JP3819413B1 - 苦味または渋味を有する食品原料を含有する食品 - Google Patents

苦味または渋味を有する食品原料を含有する食品 Download PDF

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Abstract

【課題】 食品原料として、苦味または渋味を有する植物体の抽出物を大量に含有する場合にも、植物体の抽出物の苦味または渋味に対してマスキング効果が十分に得られ、かつマスキング剤自体の味覚の影響が少ない食品を提供すること。
【解決手段】 本発明の食品は、松樹皮抽出物、イチョウ葉抽出物、ウメエキス、およびアスコルビン酸またはその誘導体を含有する。好ましくはさらに酵母を含有する。本発明の食品は、苦味または渋味が少なく、酸味も抑えられているため、摂取し易い。さらに、本発明の食品は、保存安定性にも優れている。
【選択図】 なし

Description

本発明は、食品に関する。より詳細には、苦味または渋味を有する食品原料の、特に植物体の抽出物の苦味または渋味が低減された食品に関する。
近年、食による健康が注目を集めており、種々の機能性を有する健康食品が市販されている。このような健康食品の機能性を発揮する材料として、種々の植物体の抽出物が用いられている。しかし、植物体の抽出物は、苦味または渋味を有することが多く、食品の嗜好性の観点から、含有量が制限されるという問題がある。特に、健康食品の多くは、含有される成分自体の味を強く感じやすい錠剤形態(錠菓)または顆粒形態であるため、植物体の抽出物の苦味または渋味による問題は顕著である。
このような苦味または渋味を有する植物体の抽出物、食品原料、または化合物の苦味または渋味を低減させる目的で、酸味料、甘味料、シクロデキストリン、海藻抽出物、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルなどのマスキング剤を利用することが提案されている(例えば、特許文献1〜3)。
しかし、植物体の抽出物の種類によっては、これらのマスキング剤を用いたとしても十分な効果が得られない場合がある。特に、様々な機能性を有し、健康食品としての利用価値が高いポリフェノール含有抽出物(松樹皮抽出物、イチョウ葉抽出物など)は、渋味(収斂味)が強いため、十分なマスキング効果を得ることは困難である。さらに、マスキング剤によっては、マスキング剤自体が有する酸味、甘味などが、得られる食品の味に影響を与える場合もある。そのため、苦味または渋味を有する植物体の抽出物を食品、特に錠剤形態(錠菓)または顆粒形態の食品に応用することは困難である。
特公平5−77386号公報 特開平3−236316号公報 特開2002−65177号公報
本発明の目的は、食品原料として、苦味または渋味を有する植物体の抽出物を大量に含有する場合にも、植物体の抽出物の苦味または渋味に対してマスキング効果が十分に得られ、かつマスキング剤自体の味覚の影響が少ない食品を提供することである。本発明の目的はまた、苦味または渋味を有する植物体の抽出物のマスキング方法を提供することである。
本発明者は、上記食品について鋭意検討を行ったところ、苦味または渋味を有する食品原料である、松樹皮抽出物、イチョウ葉抽出物、およびウメエキスを組み合わせ、さらにアスコルビン酸またはその誘導体を組み合わせることによって、上記抽出物の苦味または渋味のマスキング効果が得られるだけではなく、アスコルビン酸またはその誘導体が有する酸味も抑えられることを見出して、本発明を完成するに至った。
本発明の食品は、松樹皮抽出物、イチョウ葉抽出物、ウメエキス、およびアスコルビン酸またはその誘導体を含有する。
好ましい実施態様においては、上記アスコルビン酸またはその誘導体の乾燥質量100質量部に対して、上記松樹皮抽出物、イチョウ葉抽出物、およびウメエキスの合計量が乾燥質量で70〜500質量部の割合である。
好ましい実施態様においては、さらに、酵母を含有する。
本発明の食品は、食品原料である植物体の抽出物の苦味または渋味に対するマスキング効果が十分に得られ、かつアスコルビン酸またはその誘導体の酸味も抑えられている。したがって、本発明の食品は、苦味または渋味を有する植物体の抽出物を大量に含有する場合にも摂取し易い。さらに、この食品は、保存安定性にも優れている。本発明の食品は、松樹皮抽出物、イチョウ葉抽出物、またはウメエキスの食品への応用を容易にし、これらを含有する食品を、様々な味に調整することおよび様々な形態とすることが可能である。本発明の食品は、特に、含有成分の味を強く感じやすい、咀嚼して摂取し得る形態の食品(錠菓など)として好適に利用される。
以下、本発明の食品について説明する。なお、本発明は、以下の説明で限定的に解釈されるものではなく、特許請求の範囲における記載の範囲内において、種々の改変が可能である。
本発明の食品は、松樹皮抽出物、イチョウ葉抽出物、ウメエキス、およびアスコルビン酸またはその誘導体を含有し、必要に応じて、酵母およびその他の成分を含有し得る。まず、上記各成分について説明し、次いで本発明の食品について説明する。
(松樹皮抽出物)
本発明の食品に用いられる松樹皮抽出物の原料である松樹皮としては、例えば、フランス海岸松(Pinus Martima)、カラマツ、クロマツ、アカマツ、ヒメコマツ、ゴヨウマツ、チョウセンマツ、ハイマツ、リュウキュウマツ、ウツクシマツ、ダイオウマツ、シロマツ、カナダのケベック地方のアネダなどのマツ目に属する植物の樹皮が挙げられる。好ましくはフランス海岸松(Pinus Martima)の樹皮である。
フランス海岸松は、南仏の大西洋沿岸の一部に生育している海洋性松をいう。このフランス海岸松の樹皮は、プロアントシアニジン、有機酸、ならびにその他の生理活性物質などを含有する。特に主要成分であるプロアントシアニジンには、活性酸素を除去する強い抗酸化作用があることが知られている。
本発明に用いられる松樹皮抽出物は、上記の松の樹皮を溶媒で抽出することによって得られる。抽出溶媒としては、例えば、水、有機溶媒などが挙げられる。水を用いる場合には、温水または熱水を用いてもよい。有機溶媒としては、食品あるいは薬剤の製造に許容される有機溶媒が用いられる。例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、アセトン、ヘキサン、シクロヘキサン、プロピレングリコール、エチルメチルケトン、グリセリン、酢酸メチル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、食用油脂、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、および1,1,2−トリクロロエテンなどが挙げられる。これらの抽出溶媒(例えば、水および有機溶媒)は、単独で用いてもよいし、2以上を組合せて用いてもよい。2以上を組み合せた混合抽出溶媒としては、例えば、含水アルコール(特に含水エタノール)、含水プロピレングリコールなどの含水有機溶媒などが挙げられる。これらの抽出溶媒の中でも、特に、熱水、含水エタノール、および含水プロピレングリコールが好ましく用いられる。
抽出方法は、特に限定されない。例えば、加温抽出法、超臨界流体抽出法などが用いられる。本発明においては、得られる食品の安全性の観点から、松樹皮をエタノール、水、これらの混合溶媒などを用いて、より好ましくは加温しながら抽出することが好ましい。
超臨界流体抽出法は、物質の気液の臨界点(臨界温度、臨界圧力)を超えた状態の流体である超臨界流体を用いて抽出を行う方法である。超臨界流体としては、二酸化炭素、エチレン、プロパン、亜酸化窒素(笑気ガス)などが用いられる。好ましくは二酸化炭素である。
超臨界流体抽出法は、目的成分を超臨界流体によって抽出する抽出工程および目的成分と超臨界流体とを分離する分離工程からなる。分離工程では、圧力変化による抽出分離、温度変化による抽出分離、または吸着剤・吸収剤を用いた抽出分離のいずれを行ってもよい。
また、エントレーナー添加法による超臨界流体抽出を行ってもよい。この方法は、超臨界流体に、例えば、エタノール、プロパノール、n−ヘキサン、アセトン、トルエン、その他の脂肪族低級アルコール類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、またはケトン類を2〜20w/v%程度添加し、得られた抽出流体で超臨界流体抽出を行うことによって、OPC、カテキン類(後述)などの目的とする被抽出物の抽出流体に対する溶解度を飛躍的に上昇させる、あるいは分離の選択性を増強させる方法であり、効率的に松樹皮抽出物を得る方法である。
超臨界流体抽出法は、比較的低い温度で操作できるため、高温で変質・分解する物質にも適用できるという利点;抽出流体が残留しないという利点;および溶媒の循環利用が可能であり、脱溶媒工程などが省略でき、工程がシンプルになるという利点がある。
また、松樹皮からの抽出は、上記の方法以外でもよく、例えば、液体二酸化炭素回分法、液体二酸化炭素還流法、超臨界二酸化炭素還流法などの方法で行ってもよい。
松樹皮からの抽出は、複数の抽出方法を組み合わせてもよい。複数の抽出方法を組み合わせることにより、種々の組成の松樹皮抽出物を得ることが可能となる。
抽出の具体例について説明すれば、まず、フランス海岸松の樹皮1kgを、塩化ナトリウムの飽和溶液3Lに入れ、100℃にて30分間抽出し、抽出液を得る(抽出工程)。その後、抽出液を濾過し、得られる不溶物を塩化ナトリウムの飽和溶液500mLで洗浄し、洗浄液を得る(洗浄工程)。この抽出液と洗浄液とを合わせて、松樹皮の粗抽出液を得る。
次いで、この粗抽出液に酢酸エチル250mLを添加して分液し、酢酸エチル層を回収する工程を5回行う。回収した酢酸エチル溶液を合わせて、無水硫酸ナトリウム200gに直接添加して脱水する。その後、この酢酸エチル溶液を濾過し、濾液を元の5分の1量になるまで減圧濃縮する。濃縮された酢酸エチル溶液を2Lのクロロホルムに注ぎ、攪拌して得られる沈殿物を濾過により回収する。その後、この沈殿物を酢酸エチル100mLに溶解した後、再度1Lのクロロホルムに添加して沈殿させる操作を2回繰り返す洗浄工程を行う。この方法により、例えば、2〜4量体のOPCを20質量%以上含み、プロアントシアニジン以外の成分を10質量%以上含有する、約5gの松樹皮抽出物を得ることができる。
このようにして得られる松樹皮抽出物は、上記抽出後、さらに吸着性の樹脂(ダイアイオンHP−20、Sephadex−LH20、キチン)などや限外濾過膜を用いて精製してもよい。精製することによって、プロアントシアニジン、プロアントシアニジン以外の生理活性物質などの所望の成分の含有量が高められた松樹皮抽出物を得ること、あるいは松樹皮抽出物中の所望の成分の組成を調整すること、例えば、プロアントシアニジンとプロアントシアニジン以外の生理活性物質との混合比を調整することが可能となる。
本発明に用いられる松樹皮抽出物は、上述のように、種々の生理活性成分、好ましくは、プロアントシアニジン、有機酸、フラボノイドなどを含有する。特にプロアントシアニジンを含有することが好ましい。
プロアントシアニジンとは、各種植物中に存在する縮合または重合(以下、縮重合という)したタンニンであり、フラバン−3−オールまたはフラバン−3,4−ジオールを構成単位として縮重合した化合物群をいう。これらは、酸処理によりシアニジン、デルフィニジン、ペラルゴニジンなどのアントシアニジンを生成することから、その名称が与えられている。プロアントシアニジンは、ポリフェノール類の一種で、植物が作り出す強力な抗酸化物質であり、植物の葉、樹皮、果物の皮もしくは種の部分に集中的に含まれている。プロアントシアニジンは、ヒトの体内では、生成することができない物質である。
上記プロアントシアニジンの中でも、重合度が低いプロアントシアニジン、特に重合度が2〜4の縮重合体(2〜4量体)が、抗酸化作用に優れている。本発明においては、この重合度が2〜4の縮重合体を、特にオリゴメリック・プロアントシアニジン(Oligomeric proanthocyanidin;OPC)という。OPCは、抗酸化作用のほか、チロシナーゼ、コラゲナーゼ、エラスターゼ、ヒアルロニダーゼなどの酵素反応を阻害する作用や、血流の改善作用を有することが知られている。松樹皮抽出物は、プロアントシアニジンの中でもOPCに富む。
上記有機酸またはフラボノイドとしては、例えば、例えば、カフェー酸、フマル酸、キナ酸、没食子酸、バニリン酸、フェルラ酸、カテキン(catechin)類などが挙げられる。好ましくはカテキン類である。
上記カテキン類とは、ポリヒドロキシフラバン−3−オールの総称であり、プロアントシアニジンの構成単位である。カテキン類としては、(+)−カテキン、(−)−エピカテキン、(+)−ガロカテキン、(−)−エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキンガレートなどが知られている。天然物からは、狭義のカテキンといわれている(+)−カテキンの他、ガロカテキン、アフゼレキン、ならびに(+)−カテキンまたはガロカテキンの3−ガロイル誘導体が単離されている。カテキン類は、通常単独では水溶性が乏しく、その生理活性が低いが、OPCや他の植物中に見られる有機酸の存在下では水溶性が増すと同時に、活性化する性質がある。そのため、OPCとともに摂取することにより効果的に生理活性を発揮する。
(イチョウ葉抽出物)
本発明の食品に用いられるイチョウ葉抽出物は、当業者が通常用いる製造方法により得られるイチョウ葉抽出物であればよく、特に制限されない。一般的には、イチョウの緑葉を乾燥、粉末化し、水あるいはエタノール、アセトン、酢酸エチルなどの有機溶媒で抽出し、さらにアルカリ処理、吸着剤処理などにより、有害物質(例えば、アルキルフェノールおよびギンコール酸などのアルキルフェノールの誘導体)を除去することによって得られる。安全性の点から、イチョウ葉抽出物中のギンコール酸やアルキルフェノールの含有量は、それぞれ好ましくは10ppm以下、より好ましくは5ppm以下である。
本発明に用いられるイチョウ葉抽出物には、フラボノイド配糖体(ケンフェロール、ケルセチン、イソラムネチンなど)、テルペノイド(テルペンラクトン)、シキミ酸、カルボン酸などの生理活性物質が含まれる。また、イチョウ葉抽出物は、プロアントシアニジンとしてプロデルフィニジンを含有することが好ましい。
本発明に用いられるイチョウ葉抽出物は、その生理活性を十分に発揮させる観点から、フラボノイド配糖体を10質量%以上含有することが好ましく、15質量%以上含有することがより好ましく、15質量%〜60質量%含有することがさらに好ましい。
(ウメエキス)
本発明の食品に用いられるウメエキスについても、当業者が通常用いる製造方法により得られるウメエキスであればよく、特に制限されない。一般的には、青ウメをすりおろし、果汁を得て、この果汁を煮詰めることによって得られる。このようなウメエキスには、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸などの有機酸、ならびにムメフラールが含まれる。
上記松樹皮抽出物、イチョウ葉抽出物、およびウメエキスの3種類の植物体の抽出物の混合物は、健康食品として有用である。
(アスコルビン酸またはその誘導体)
本発明の食品は、アスコルビン酸またはその誘導体を含有する。松樹皮抽出物、イチョウ葉抽出物、およびウメエキスからなる苦味または渋味を有する植物体の抽出物と、アスコルビン酸またはその誘導体とを共存させることにより、植物体の抽出物の苦味または渋味に対するマスキング効果が得られるだけではなく、アスコルビン酸またはその誘導体の酸味が抑えられる。したがって、他の酸味を有するマスキング剤を用いる場合に比べて、酸味が少なく、摂取し易い。
本発明の食品に含有されるアスコルビン酸またはその誘導体としては、例えば、食品添加物として用いられるアスコルビン酸またはその誘導体、例えば、アスコルビン酸グリコシド、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸マグネシウムなどが用いられる。アスコルビン酸を豊富に含む天然素材(例えば、レモン、オレンジ、アセロラなどの果実由来の天然素材、あるいは、ブロッコリー、メキャベツ、ピーマン、コマツナ、カリフラワーなどの野菜由来の天然素材)も、本発明においてアスコルビン酸として用いることができる。
(酵母)
本発明の食品は、ビタミンおよびミネラルを豊富に含有することが可能な観点から、そして、味をマイルドにするというマスキング効果を増強する観点から、酵母を含有することが好ましい。本明細書において、酵母とは、酵母菌体自体あるいはそのエキスをいう。酵母の形態は、乾燥酵母、液状酵母、および酵母エキス(液状、粉末状、濃縮物などの形態)である。酵母エキスとは、種々の方法で処理した酵母およびその抽出物をいい、例えば、酵母の破砕物、酵母の熱水処理物または熱水抽出物、酵母を有機溶剤(例えば、エタノールなどの食品に用いることが可能な有機溶剤)で処理した処理物または抽出物、酵母の有機酸(例えば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸などの食用の有機酸)処理物または抽出物などが挙げられる。
本発明の食品に用いられる酵母は、一般に食品あるいは食品の製造に用いられる酵母であればよく、特に制限されない。例えば、清酒酵母、ビール酵母、ワイン酵母などの醸造用酵母、パン酵母などの食品用酵母が挙げられる。
(その他の成分)
本発明の食品は、必要に応じて、その他の成分を含有し得る。例えば、通常の食品として添加し得る成分(賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、栄養成分、食品添加物、調味料など)が挙げられる。
本発明の食品に用いられる栄養成分または食品添加物としては、例えば、ローヤルゼリー、プロポリス、ビタミン類(A、B群、D、E、K、葉酸、パントテン酸、ビオチン、これらの誘導体など)ミネラル(鉄、マグネシウム、カルシウム、亜鉛など)、α−リポ酸、セレン、キチン・キトサン、レシチン、ポリフェノール(カテキン類、アントシアニン類、ガロタンニンなどの加水分解型タンニン、イソフラボン類、フラボノイド類、これらの誘導体など)、カロテノイド(リコピン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、ルテインなど)、サポニン(ジンセサノイド、グリチルリチン酸など)、キサンチン誘導体(カフェインなど)、脂肪酸、アミノ酸、タンパク質(コラーゲン、エラスチンなど)、ムコ多糖類(ヒアルロン酸、コンドロイチン、デルマタン、ヘパラン、ヘパリン、ケタラン、これらの塩など)、アミノ糖(グルコサミン、アセチルグルコサミン、ガラクトサミン、アセチルガラクトサミン、ノイラミン酸、アセチルノイラミン酸、ヘキソサミン、それらの塩など)、食物繊維(難消化性デキストリン、アルギン酸、グアガム、ペクチン、グルコマンナンなど)、オリゴ糖(イソマルトオリゴ糖、環状オリゴ糖など)リン脂質とスフィンゴ脂質及びそれらの誘導体(ホスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、セラミドなど)、含硫化合物(アリイン、セパエン、タウリン、グルタチオン、メチルスルホニルメタンなど)、糖アルコール、キノン類(コエンザイムQ10など)、リグナン類(セサミンなど)、これらを含有する動植物抽出物、根菜類(ウコン、ショウガなど)、麦若葉末などのイネ科植物の緑葉、ケールなどのアブラナ科植物の緑葉などが挙げられる。
本発明の食品に用いられる調味料としては、例えば、グラニュー糖、蜂蜜、ソルビットなどの甘味料、アルコール、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸などの酸味料、および香料が挙げられる。
(本発明の食品)
本発明の食品は、松樹皮抽出物、イチョウ葉抽出物、ウメエキス、およびアスコルビン酸またはその誘導体を含有し、必要に応じて、酵母、および/またはその他の成分を含有し得る。
本発明の食品中の松樹皮抽出物の含有量は特に制限されない。好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上である。また、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。さらに成人一日あたりの松樹皮抽出物の摂取量が、0.1mg以上となるように含有されることが好ましい。また、成人一日あたりの松樹皮抽出物の摂取量が、2000mg以下となるように含有されることが好ましく、1000mg以下となるように含有されることが好ましい。
本発明の食品中のイチョウ葉抽出物の含有量に特に制限はない。好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上である。また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。さらに、成人一日あたりのイチョウ葉抽出物の摂取量が、0.1mg以上となるように含有されることが好ましい。また、成人一日あたりのイチョウ葉抽出物の摂取量が、500mg以下となるように含有されることが好ましく、400mg以下となるように含有されることが好ましい。
本発明の食品中のウメエキスの含有量に特に制限はない。好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上である。また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。さらに成人一日あたりのウメエキスの摂取量が、1mg以上となるように含有されることが好ましい。また、成人一日あたりのウメエキスの摂取量が、3000mg以下となるように含有されることが好ましく、2000mg以下となるように含有されることが好ましい。
本発明の食品中のアスコルビン酸またはその誘導体の含有量に特に制限はない。好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上である。また、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。
本発明の食品は、アスコルビン酸またはその誘導体の乾燥質量100質量部に対して、松樹皮抽出物、イチョウ葉抽出物、およびウメエキスの合計量が乾燥質量で、好ましくは70〜500質量部の割合となるように含有されることが好ましい。上記の合計量が70質量部未満の場合、アスコルビン酸の酸味を強く感じる場合がある。500質量部を超える場合、渋味または苦味が強くなる場合がある。
本発明の食品は、用途に応じて、種々の形態で提供され得る。例えば、ハードカプセル、ソフトカプセルなどのカプセル剤、錠剤(錠菓)、もしくは丸剤などに、あるいは粉末状、顆粒状、茶状、もしくは飴状などの形態に成形したり、そのまま飲料として用いたりすることができる。好ましくは錠剤(錠菓)または顆粒状形態である。これらの形状または好みに応じて、そのまま食してもよく、あるいは水、湯、牛乳などに溶いて飲んでも良い。また、粉末化してティーバッグ状などの形態で提供する場合、成分を浸出させてから飲んでも良い。
例えば、植物発酵ジュース、野菜ジュース(例えば、人参ジュース)、他の植物抽出物、果汁などに本発明の食品を添加して、上記食品を含む飲料の形態で利用することも可能である。このような形態にすれば、嗜好性を良くすることが可能であるだけでなく、機能性または栄養価の高い飲料とすることもできる。
以下、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明は、実施例の記載により制限されないことはいうまでもない。
(実施例1)
松樹皮抽出物(株式会社東洋新薬)、イチョウ葉抽出物(日本新薬株式会社)、ウメエキス(中野BC株式会社)、アスコルビン酸、および表1に記載の種々のその他の成分を表1に記載の割合で用いて、錠剤(錠菓、250mg/粒)を調製した(錠剤1とする)。
得られた錠剤1について、マスキング効果および保存安定性を以下のようにして評価した。結果を表1に示す。
(1)マスキング効果
パネラー10名に錠剤1を試食させ、苦味または渋味、および酸味のそれぞれについて以下の評価基準でアンケート調査を行った。得られた点数の合計点を算出し、合計点が0点以上であれば、マスキング効果があると評価し、さらに合計点が高いほど、マスキング効果が高いと評価した。
<苦味または渋味の評価基準>
苦味または渋味を顕著に感じる :−1点
苦味または渋味をわずかに感じる : 0点
苦味または渋味を感じない : 1点
<酸味の評価基準>
酸味を顕著に感じる :−1点
酸味をわずかに感じる : 0点
酸味を感じない : 1点
(2)保存安定性
錠剤10個をアルミパウチに密封し、恒温恒湿器内で50℃および相対湿度75%の条件下にて2週間保存した。保存後、錠剤の外観の変化を目視にて観察し、錠剤のいずれか1個でも変色している場合は、変色ありと、錠剤のいずれも変色していない場合は、変色なしとして評価した。
(実施例2および3)
実施例1で用いた成分の含有量を表1に記載の割合としたこと以外は、実施例1と同様にして、錠剤を調製し(それぞれ錠剤2および3とする)、各錠剤についてマスキング効果および保存安定性を評価した。結果を表1に併せて示す。
(比較例1〜3)
アスコルビン酸の代わりに、リンゴ酸を用い、さらに表1に記載の割合としたこと以外は、実施例1と同様にして、錠剤を調製し(それぞれ錠剤4〜6とする)、各錠剤についてマスキング効果および保存安定性を評価した。結果を表1に併せて示す。
(比較例4〜6)
アスコルビン酸の代わりに、クエン酸を用い、さらに表1に記載の割合としたこと以外は、実施例1と同様にして、錠剤を調製し(それぞれ錠剤7〜9とする)、各錠剤についてマスキング効果および保存安定性を評価した。結果を表1に併せて示す。
(比較例7〜9)
アスコルビン酸の代わりに、酒石酸を用い、さらに表1に記載の割合としたこと以外は、実施例1と同様にして、錠剤を調製し(それぞれ錠剤10〜12とする)、各錠剤についてマスキング効果および保存安定性を評価した。結果を表1に併せて示す。
(比較例10〜12)
松樹皮抽出物、イチョウ葉抽出物、およびウメエキスのうちのいずか1種のみを用いたこと、さらに表1に記載の割合としたこと以外は、実施例1と同様にして、錠剤を調製し(それぞれ錠剤13〜15とする)、各錠剤についてマスキング効果および保存安定性を評価した。結果を表1に併せて示す。
Figure 0003819413
表1の評価結果に示すように、実施例1〜3の錠剤1〜3は、苦味または渋味、および酸味が非常に少なく、さらに保存安定性に優れていた。このことは、松樹皮抽出物、イチョウ葉抽出物、ウメエキス、およびアスコルビン酸またはその誘導体を組み合わせることによって、植物体の抽出物の苦味または渋味が相互にマスキングされ、かつアスコルビン酸またはその誘導体が有する酸味が抑制されていることを示す。
これに対して、アスコルビン酸の代わりに、他の有機酸(マスキング剤)を用いた場合は、所望のマスキング効果および保存安定性は得られなかった。すなわち、リンゴ酸(比較例1〜3;錠剤4〜6)またはクエン酸(比較例4〜6;錠剤7〜9)を用いた場合は、苦味または渋味は低減するものの、酸味が顕著であった。錠剤7〜9のクエン酸を用いた場合(比較例4〜6)は、さらに保存安定性も悪かった。酒石酸を用いた場合は(比較例7〜9;錠剤10〜12)、苦味または渋味および酸味が顕著であった。なお、松樹皮抽出物、イチョウ葉抽出物、およびウメエキスをそれぞれ単独で用いた場合は(比較例10〜12;錠剤13〜15)、十分な苦味または渋味のマスキング効果が得られなかった。
本発明の食品は、松樹皮抽出物、イチョウ葉抽出物、ウメエキス、およびアスコルビン酸またはその誘導体を含有する。この食品は、上記松樹皮抽出物、イチョウ葉抽出物、およびウメエキスの苦味または渋味のマスキング効果が十分に得られ、かつアスコルビン酸またはその誘導体の酸味も抑えられている。したがって、本発明の食品は、苦味または渋味を有する植物体の抽出物を大量に含有する場合にも摂取し易い。さらに、この食品は、保存安定性にも優れている。本発明の食品は、松樹皮抽出物、イチョウ葉抽出物、またはウメエキスの食品への応用を可能にし、これらを含有する場合にも、様々な味に調整することおよび様々な形態とすることが可能である。本発明の食品は、特に、含有成分の味を強く感じやすい、咀嚼して摂取し得る形態の食品(錠菓など)として好適に利用される。

Claims (3)

  1. 松樹皮抽出物、イチョウ葉抽出物、ウメエキス、およびアスコルビン酸またはその誘導体を含有する、食品。
  2. 前記アスコルビン酸またはその誘導体の乾燥質量100質量部に対して、前記松樹皮抽出物、イチョウ葉抽出物、およびウメエキスの合計量が乾燥質量で70〜500質量部の割合である、請求項1に記載の食品。
  3. さらに、酵母を含有する、請求項1または2に記載の食品。
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