JP2002070710A - 内燃機関用点火装置 - Google Patents

内燃機関用点火装置

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JP2002070710A
JP2002070710A JP2000267443A JP2000267443A JP2002070710A JP 2002070710 A JP2002070710 A JP 2002070710A JP 2000267443 A JP2000267443 A JP 2000267443A JP 2000267443 A JP2000267443 A JP 2000267443A JP 2002070710 A JP2002070710 A JP 2002070710A
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慎 庄司
Takashi Uchino
隆 内野
Mitsuo Fukaya
光男 深谷
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Yamaha Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】大形の半導体素子を用いることなく、潤滑オイ
ルのレベル低下時に機関を停止させる機能を持たせた内
燃機関用点火装置を提供する。 【解決手段】点火用コンデンサ2の電荷を点火コイル1
の一次側コイルに放電させるサイリスタ3のゲートカソ
ード間にダイオード20とオイルレベル検出スイッチ1
1との直列回路を接続し、オイルレベルの低下によりオ
イルレベル検出スイッチ11がオン状態になったとき
に、点火信号Si をダイオード20とスイッチ11とを
通してサイリスタ3から側路することにより、機関の点
火動作を停止させる。検出スイッチ11がオン状態にな
ったときに点火用電源としてのエキサイタコイル7から
発光ダイオード12に制限された電流を流す駆動回路2
9を設けて、発光ダイオード12の発光によりオイルレ
ベルの低下を警告する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の潤滑オ
イルの液面レベルが設定レベル以下になったときに内燃
機関を停止させる機能を有する保安回路を備えたコンデ
ンサ放電式の内燃機関用点火装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】内燃機関の潤滑オイルの残量が許容下限
値未満になって、オイルレベル(オイルの液面レベル)
が設定レベル以下になったときには、機関を直ちに停止
させる必要がある。そこで、潤滑オイルのレベルが設定
レベル以下になったときに検出動作を行うオイルレベル
検出スイッチを設けて、この検出スイッチが検出動作を
行ったときに、点火動作を停止させるようにした内燃機
関用点火装置が用いられている。
【0003】図6は従来のこの種の点火装置の構成例を
示したものである。同図において1は一次側コイル1a
と二次コイル1bとを有する点火コイル、2は点火コイ
ルの一次側に設けられた点火用コンデンサ、3は導通し
た際に点火用コンデンサの電荷を点火コイルの一次側コ
イルを通して放電させるように設けられた放電用スイッ
チとしてのサイリスタ、4は点火用電源から点火用コン
デンサ2に充電電流を流すコンデンサ充電用ダイオード
であり、点火用コンデンサ2とサイリスタ3とダイオー
ド4とにより、点火コイル1の一次電流を制御する一次
電流制御ユニット5が構成されている。
【0004】ダイオード4のアノードと接地間には、ス
イッチ6を通して点火用電源としてのエキサイタコイル
7の出力が印加され、サイリスタ3のゲートカソード間
(放電用スイッチの制御端子間)に信号コイル8の出力
が印加されている。点火コイルの二次コイル1bの他端
は図示しない内燃機関の気筒に取り付けられた点火プラ
グ9の非接地側端子に接続されている。
【0005】エキサイタコイル7は、機関に取り付けら
れた磁石発電機内に設けられていて、機関の回転に同期
して交流電圧を誘起する。また信号コイル8は、内燃機
関に取り付けられた信号発電機内などに設けられて、機
関の点火時期にサイリスタ3に点火信号を与える。
【0006】なお図示の例では、信号コイル8から直接
サイリスタ3に点火信号が与えられているが、信号コイ
ル8の出力を入力とする点火信号供給回路からサイリス
タ3に点火信号が与えられる場合もある。例えば、内燃
機関の点火時期を回転数などに対して制御する場合に
は、信号コイル8の出力がマイクロコンピュータ等の演
算手段を備えた点火信号供給回路に与えられて、該点火
時期制御回路からサイリスタ3に点火信号が与えられ
る。
【0007】また図6において、10´は、サイリスタ
Th1とトランジスタTR1 と抵抗R1 ないしR3 とダイ
オードD1 ないしD3 とコンデンサC1 及びC2 とから
なる保安回路、11は保安回路10´に接続されたオイ
ルレベル検出スイッチ、12は保安回路10´に抵抗1
3を通して接続された警報手段としての発光ダイオード
である。保安回路の抵抗R1 としては抵抗値が充分に小
さいものが用いられている。
【0008】オイルレベル検出スイッチ11は、内燃機
関の潤滑オイルの液面に浮かべられたフロートと、オイ
ルの残量が許容下限値未満になって、フロートが設定位
置まで下降したときにオン状態になるスイッチとからな
っている。
【0009】図6に示した点火装置において、スイッチ
6を閉じて、始動装置により図示しない機関のクランク
軸を回転させると、エキサイタコイル7が交流電圧を出
力する。
【0010】内燃機関の潤滑オイルのレベルの残量が許
容下限値以上あって、オイルレベルが設定レベルを越え
ているときには、スイッチ11がオフ状態にあるため、
エキサイタコイル7が図示の実線矢印方向の半サイクル
の電圧を出力したときに、ダイオードD1 と抵抗R2 と
を通してトランジスタTR1 にベース電流が与えられて
このトランジスタが導通状態になり、エキサイタコイル
7からダイオードD1と抵抗R3 とダイオードD2 とを
通してサイリスタTh1のゲートに与えられるトリガ信号
が、トランジスタTR1 を通してサイリスタTh1から側
路される。
【0011】そのため、潤滑オイルのレベルが設定レベ
ルを越えているときには、サイリスタTh1は導通するこ
とができず、保安回路10´はエキサイタコイル7の出
力電圧に何の影響も与えない。またサイリスタTh1が導
通しないため、警報手段としての発光ダイオード12は
発光しない。
【0012】この状態では、エキサイタコイル7が図示
の実線矢印方向の正の半サイクルの電圧を出力したとき
にスイッチ6とダイオード4と点火コイルの一次側コイ
ル1aとを通して点火用コンデンサ2が図示の極性に充
電される。
【0013】内燃機関の点火時期に信号コイル8が点火
信号を発生すると、サイリスタ3が導通して点火用コン
デンサ2に蓄積された電荷を点火コイルの一次側コイル
1aを通して放電させ、点火コイルの二次コイル1bに
点火用の高電圧を誘起させる。この高電圧は点火プラグ
9に印加されるため、該点火プラグ9で火花放電が生じ
て機関が点火され、機関が始動する。
【0014】機関の潤滑オイルの残量が許容下限値未満
になって、オイルレベルが設定レベル値以下に低下した
場合には、オイルレベル検出スイッチ11がオン状態に
なるため、保安回路10´のトランジスタTR1 のベー
スエミッタ間が短絡され、エキサイタコイル7が正の半
サイクルの電圧を誘起したときにトランジスタTR1が
導通することができなくなる。したがって、エキサイタ
コイル7が正の半サイクルの電圧を発生したときにダイ
オードD1 と抵抗R3 とダイオードD2 とを通してサイ
リスタTh1にトリガ信号が与えられ、該サイリスタTh1
が導通する。
【0015】このように、機関の潤滑オイルが不足して
オイルレベルが設定レベル以下になった場合には、エキ
サイタコイル7が正の半サイクルの電圧を発生すると同
時に保安回路10´のサイリスタTh1が導通するため、
エキサイタコイル7がサイリスタTh1と小抵抗R1 とを
通して実質的に短絡され、点火用コンデンサ2はほとん
ど充電されなくなる。したがって機関の点火は行われな
くなり、機関は停止させられる。またこのとき、サイリ
スタTh1と抵抗R1 とを通して流れる電流により抵抗R
1 の両端に生じる電圧が発光ダイオード12に印加され
るため、該発光ダイオード12が発光してオイルレベル
が設定レベル以下に低下したことの警報を発生する。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来の
内燃機関用点火装置では、オイルレベル検出スイッチ1
1が検出動作を行ったときにエキサイタコイル7の出力
をサイリスタTh1を通して短絡していたが、エキサイタ
コイル7は、短絡電流に対して低インピーダンスを呈す
るため、サイリスタTh1が導通したときに大きな短絡電
流が流れる。そのため、サイリスタTh1として、電流容
量が大きい、大形の素子を用いる必要があり、内燃機関
用点火装置のコストが高くなる上に、装置が大形になる
という問題があった。
【0017】本発明の目的は、保安回路に大形の半導体
素子を用いることなく、オイルレベルの低下に対する保
安機能を持たせることができるようにしたコンデンサ放
電式の内燃機関用点火装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、点火コイル
と、点火コイルの一次側に設けられて点火用電源の出力
で一方の極性に充電される点火用コンデンサと、点火信
号が与えられたときに導通して点火用コンデンサの電荷
を点火コイルの一次側コイルを通して放電させる放電用
スイッチと、内燃機関の点火時期に放電用スイッチの制
御端子間に点火信号を与える点火信号供給手段と、内燃
機関の潤滑オイルのレベルが設定レベル以下になったと
きに検出動作を行うオイルレベル検出スイッチと、駆動
電流が与えられたときに警報動作を行う警報手段と、オ
イルレベル検出スイッチが検出動作を行ったきに内燃機
関の点火を阻止するとともに警報手段を駆動する保安回
路とを備えた内燃機関用点火装置を対象とする。
【0019】本発明においては、上記保安回路を、オイ
ルレベル検出スイッチが検出動作を行ったときに点火信
号を放電用スイッチの制御端子間から側路する信号側路
回路と、オイルレベル検出スイッチが検出動作を行った
ときに点火用電源から警報手段に駆動電流を流す警報手
段駆動回路とを備えた構成とする。
【0020】上記のように保安回路を構成すると、信号
側路回路は、放電用スイッチに与える微小な信号電流を
側路する能力を有していればよいため、該点火信号側路
回路には、電流容量が大きい大形の半導体素子を用いる
必要がない。そのため、オイルレベルが低下したときに
点火用電源の出力を短絡することにより機関を停止して
いた従来の点火装置に比べて、装置のコストの低減と、
装置の小形化とを図ることができる。
【0021】またオイルレベルが低下したときには、警
報手段駆動回路が点火用電源から警報手段に駆動電流を
流すので、該警報手段を動作させて、オイルレベルが低
下したことの警報を発生させることができる。
【0022】上記放電用スイッチとしては、サイリスタ
を用いることができる。この場合、サイリスタは、導通
した際に点火用コンデンサの電荷を点火コイルの一次側
コイルを通して放電させるように設けられてカソードが
接地され、そのゲートカソード間に点火信号供給手段か
ら点火信号が与えられる。
【0023】潤滑オイルのレベルが設定レベル以下にな
ったときに上記オイルレベル検出スイッチがオン状態に
なるように構成されている場合には、オイルレベル検出
スイッチを通して放電用スイッチの制御端子間に接続さ
れたダイオードにより上記点火信号側路回路を構成する
ことができる。この場合、ダイオードは、点火信号に対
して順方向を呈する向きに設ける。
【0024】このように、ダイオードにより信号側路回
路を構成すると、保安回路の構成を簡単にすることがで
きる。この場合、オイルレベル検出スイッチに電流が流
れるが、オイルレベル検出スイッチに流れる電流は、微
小な信号電流であるため、なんら問題はない。
【0025】上記信号側路回路はまた、放電用スイッチ
の制御端子間に接続されて駆動信号が与えられたときに
オン状態になる信号側路用半導体スイッチと、オイルレ
ベル検出スイッチが検出動作を行ったときに信号側路用
半導体スイッチに駆動信号を与える駆動信号供給回路と
を備えた構成とすることができる。信号側路用半導体ス
イッチとしてはトランジスタやFETを用いることがで
きる。
【0026】点火信号供給手段は、内燃機関の特定の回
転角度位置で正負の極性の信号を出力する信号コイル
と、該信号コイルの出力を入力として放電用スイッチに
点火信号を与える点火信号供給回路とを備えた構成とす
ることができる。点火信号供給回路としては、例えば、
信号コイルの出力から得た機関の回転情報を用いて点火
時期を演算して演算した点火時期が検出されたときに放
電用スイッチに点火信号を与える回路を用いることがで
きる。
【0027】この場合、潤滑オイルのレベルが設定レベ
ル以下になったときにオイルレベル検出スイッチがオン
状態になるように構成されているとすると、保安回路
は、オイルレベルが許容限界値未満になって、オイルレ
ベル検出スイッチがオン状態になったときに信号コイル
の少なくとも一方の極性の出力信号を点火時期制御部か
ら側路する信号側路回路と、オイルレベル検出スイッチ
がオン状態になったときに点火用電源から警報手段駆動
用スイッチに駆動電流を流す警報手段駆動回路とを備え
た構成とすることができる。
【0028】上記信号側路回路は、オイルレベル検出ス
イッチを通して信号コイルの両端間に接続されたダイオ
ードにより構成して、信号コイルの少なくとも一方の極
性の信号をダイオードとオイルレベル検出スイッチとを
通して点火時期制御部から側路するようにすることがで
きる。
【0029】また上記のように、信号コイルの出力を点
火時期制御部に入力するようにする場合、信号側路回路
は、信号コイルの出力端子間に接続されてオイルレベル
検出スイッチが検出動作を行ったときにオン状態になる
半導体スイッチにより構成することができる。
【0030】警報手段が過電流により破損するのを防止
するため、上記警報手段駆動回路は、オイルレベル検出
スイッチが検出動作を行ったときに点火用電源から警報
手段に制限された駆動電流を流すように構成しておくの
が好ましい。ここで「制限された駆動電流」とは、制限
値以下に制限された駆動電流、またはほぼ一定に保たれ
た駆動電流を意味する。
【0031】制限された駆動電流を流す警報手段駆動回
路は、例えば、駆動信号が与えられたときに導通して点
火用電源から警報手段に駆動電流を流す警報手段駆動用
スイッチと、オイルレベル検出スイッチがオン状態にな
ったときに警報手段駆動用スイッチに駆動信号を与える
スイッチ駆動回路と、導通した際に警報手段駆動用スイ
ッチを遮断状態にするように設けられた遮断制御用スイ
ッチと、警報手段駆動用スイッチを通して流れる駆動電
流を検出して検出した電流が設定値を越えたときに遮断
制御用スイッチを導通させる制御用スイッチ駆動回路と
を備えた構成とすることができる。
【0032】上記遮断制御用スイッチは、自己保持機能
(トリガ信号が与えられたときに導通して、保持電流以
上の電流が流れている間オン状態を保持する機能)を有
する半導体スイッチにより構成するのが好ましい。
【0033】また上記警報手段駆動回路は、点火用電源
から警報手段にほぼ一定の駆動電流を流す定電流回路に
より構成してもよい。
【0034】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係わる内燃機関用
点火装置を示したもので、同図において図6に示した従
来の点火装置の各部と同等の部分にはそれぞれ図6と同
一の符号を付してある。
【0035】図1において、1は一端が接地された一次
側コイル1aと、一端が一次側コイルの他端に接続され
た二次コイル1bとを有する点火コイル、2は一次側コ
イル1aの他端に一端が接続された点火用コンデンサ、
3は点火用コンデンサの他端と接地間に接続された放電
用スイッチとしてのサイリスタ、4は点火用コンデンサ
2の他端にカソードが接続されたコンデンサ充電用ダイ
オードであり、点火用コンデンサ2とサイリスタ3とダ
イオード4とにより、一次電流制御ユニット5が構成さ
れている。
【0036】ダイオード4のアノードと接地間にスイッ
チ6を通して点火用電源としてのエキサイタコイル7が
接続され、サイリスタ3のゲートカソード間(放電用ス
イッチの制御端子間)に信号コイル8が接続されてい
る。また点火コイルの二次コイル1bの他端は図示しな
い内燃機関の気筒に取り付けられた点火プラグ9の非接
地側の端子に高圧コードを通して接続されている。
【0037】エキサイタコイル7は、機関のクランクに
より駆動される磁石発電機内に設けられていて、機関の
回転に同期して、図示の実線矢印方向の正の半サイクル
の電圧と、図示の破線矢印方向の負の半サイクルの電圧
とからなる交流電圧を誘起する。
【0038】信号コイル8は、内燃機関に取付けられた
信号発電機内などに設けられて、機関の回転情報(特定
の回転角度位置を示す回転角度情報や回転速度情報)を
含む電気信号を発生する。信号発電機としては、リラク
タ(誘導子)を有するロータと、該ロータのリラクタの
回転方向の前端縁及び後端縁をそれぞれ検出して信号コ
イルから極性が異なるパルス信号を発生する信号発電子
とを備えた誘導子形の発電機が多く用いられている。図
1の点火装置にこのような信号発電機に設けられた信号
コイルが用いられる場合には、内燃機関の点火時期に信
号コイル8が正極性のパルス信号を発生するように信号
発電機が構成されて、該正極性のパルス信号が点火信号
Siとしてサイリスタ3のゲートに与えられる。
【0039】また信号コイル8としては、機関に取り付
けられた磁石発電機内に設けられて、ほぼ正弦波形に近
い波形の交流電圧を誘起する発電コイルを用いることも
できる。この場合には、該信号コイルの正の半サイクル
の出力電圧が点火信号としてサイリスタ3に与えられ
る。
【0040】以上の各部の構成は図6に示した従来の内
燃機関用点火装置のそれと同様であるが、本発明におい
ては、機関の潤滑オイルの残量が許容下限値未満になっ
てオイルレベル検出スイッチ11が検出動作を行ったと
きにサイリスタ3のゲートカソード間(放電用スイッチ
の制御端子間)に与えられる点火信号を該サイリスタか
ら側路することにより点火動作を停止させるとともに、
エキサイタコイル7から警報手段としての発光ダイオー
ド12に制限された駆動電流を流すように保安回路10
が構成される。
【0041】更に詳細に説明すると、図示の保安回路1
0は、サイリスタ3のゲートにアノードが接続されたダ
イオード20を備え、該ダイオード20のカソードと接
地間にオイルレベル検出スイッチ11が接続されてい
る。オイルレベル検出スイッチ11は、潤滑オイルの液
面に浮かべられるフロートと、該フロートが設定位置以
下に低下したときに検出動作を行うスイッチ手段とを備
えた公知のもので、潤滑オイルの残量が許容下限値未満
になって、オイルレベルが設定レベル以下に低下したと
きにそのスイッチ手段がオン状態になるように設けられ
ている。この例では、ダイオード20により、信号側路
回路が構成されている。
【0042】保安回路10はまた、アノードがスイッチ
6を通してエキサイタコイル7の非接地側端子に接続さ
れたダイオード21を備え、該ダイオード21のカソー
ドにNPNトランジスタ22のコレクタが接続されてい
る。トランジスタ22のエミッタは電流検出用抵抗23
を通して電流制限用抵抗13の一端に接続され、該抵抗
13の他端と検出スイッチ11の非接地側端子との間
に、発光ダイオード12がそのカソードを検出スイッチ
11側に向けて接続されている。
【0043】トランジスタ22のコレクタとベース間に
抵抗24が接続され、エキサイタコイル7が正の半サイ
クルの電圧を誘起したときにダイオード21と抵抗24
とを通してトランジスタ22にベース電流が与えられる
ようになっている。またトランジスタのベースにサイリ
スタ25のアノードが接続され、該サイリスタのカソー
ドは、電流検出用抵抗23のトランジスタ22と反対側
の端子に接続されている。電流検出用抵抗23の両端の
電圧がツェナーダイオード26を通してサイリスタ25
のゲートカソード間に接続され、トランジスタ22を通
して発光ダイオード12に流れる駆動電流が制限値を超
えて抵抗23の両端の電圧が設定値を超えたときに、ツ
ェナーダイオード26が導通してサイリスタ25にトリ
ガ信号が与えられるようになっている。サイリスタ25
のゲートカソード間には抵抗27とコンデンサ28とが
並列に接続されている。
【0044】図示の例では、トランジスタ22により、
駆動信号(ベース電流)が与えられたときに導通して点
火用電源(エキサイタコイル)から警報手段(発光ダイ
オード12)に駆動電流を流す警報手段駆動用スイッチ
が構成され、ダイオード21−抵抗24−トランジスタ
22のベース・エミッタ−抵抗23の回路により、オイ
ルレベル検出スイッチ11がオン状態になったときにエ
キサイタコイル7から警報手段駆動用スイッチ(トラン
ジスタ22)に駆動信号を与えるスイッチ駆動回路が構
成されている。またサイリスタ25により、導通した際
に警報手段駆動用スイッチを遮断状態にするように設け
られた遮断制御用スイッチが構成され、抵抗23と、ツ
ェナーダイオード26とにより、警報手段駆動用スイッ
チ(トランジスタ22)を通して流れる駆動電流を検出
して検出した電流が設定値を越えたときに遮断制御用ス
イッチを導通させる制御用スイッチ駆動回路が構成され
ている。そして、上記警報手段駆動用スイッチと、スイ
ッチ駆動回路と、遮断制御用スイッチと、制御用スイッ
チ駆動回路とにより、警報手段駆動回路29が構成さ
れ、この警報手段駆動回路29と、ダイオード20から
なる信号側路回路とにより、保安回路10が構成されて
いる。
【0045】図1に示した内燃機関用点火装置におい
て、機関の潤滑オイルのレベルが設定レベル以下になっ
て、検出スイッチ11がオン状態になると、信号コイル
8が出力する点火信号がダイオード20とスイッチ11
とを通してサイリスタ3から側路されるため、サイリス
タ3が導通することができなくなる。したがって、点火
動作は行われなくなり、機関は失火して停止する。
【0046】また検出スイッチ11がオン状態になる
と、エキサイタコイル7が正の半サイクルの電圧を出力
したときに、エキサイタコイルからダイオード21と抵
抗24とを通してトランジスタ22にベース電流が与え
られるため、該トランジスタ22が導通状態になって、
エキサイタコイル7からダイオード21とトランジスタ
22と抵抗23及び13と発光ダイオード12と検出ス
イッチ11とを通して発光ダイオード12の駆動電流が
流れる。これにより発光ダイオード12が発光し、潤滑
オイルのレベルが設定レベル以下になったこと(潤滑オ
イルが不足していること)の警報を発生する。
【0047】発光ダイオード12の駆動電流が制限値を
超えると、サイリスタ25にトリガ信号が与えられて該
サイリスタが導通状態になるため、トランジスタ22が
遮断状態にされ、発光ダイオード12の駆動電流が遮断
される。エキサイタコイルが負の半サイクルの電圧を出
力すると、サイリスタ25のアノードカソード間が逆バ
イアスされるため、該サイリスタ25が遮断状態にな
る。したがって、次に再びエキサイタコイルが正の半サ
イクルの電圧を発生するとトランジスタ22が導通状態
になって、発光ダイオードに駆動電流が流れ、該駆動電
流が設定値を越えるとサイリスタ25が導通状態になっ
てトランジスタ22が遮断状態になる。これらの動作が
繰り返されて、発光ダイオード12に流れる駆動電流が
制限値以下に保たれる。したがって、発光ダイオード1
2に過電流が流れて該ダイオードが破損するのを防ぐこ
とができる。図1に示した点火装置のその他の動作は、
図6に示した従来の点火装置と同様である。
【0048】上記の例では、警報手段駆動用スイッチ
(上記の例ではトランジスタ22)を遮断状態にするよ
うに制御する遮断制御用スイッチとしてサイリスタ25
を用いたが、このサイリスタは、自己保持機能を有する
他のスイッチにより置き換えることができる。
【0049】図2は、自己保持機能を有するスイッチと
して、PNPトランジスタ30Aと、NPNトランジス
タ30Bとからなるスイッチ30を用いて、このスイッ
チによりトランジスタ22を遮断状態に制御するように
した例を示している。
【0050】トランジスタ30Aのエミッタはトランジ
スタ22のベースに接続され、トランジスタ30Bのコ
レクタ及びベースはそれぞれトランジスタ30Aのベー
ス及びコレクタに接続されている。トランジスタ30B
のエミッタは抵抗23のトランジスタ22と反対側の端
子に接続され、該トランジスタ30Bのベースエミッタ
間に抵抗23の両端の電圧がツェナーダイオード26を
通して印加されている。
【0051】図2に示したスイッチ30においては、ト
ランジスタ30Aのエミッタ及びトランジスタ30Bの
エミッタがそれぞれサイリスタのアノード及びカソード
に相当し、トランジスタ30Bのベースがサイリスタの
ゲートに相当している。
【0052】図3は本発明に係わる点火装置の他の構成
例を示したもので、この例では、保安回路のダイオード
21のカソードと電流制限抵抗13との間にFET31
と抵抗32とからなる公知の定電流回路が接続され、こ
の定電流回路により、警報手段駆動回路29が構成され
ている。このように、定電流回路により警報手段駆動回
路29を構成しても、発光ダイオード12の駆動電流を
制限することができるため、発光ダイオードが過電流に
より破損するのを防ぐことができる。
【0053】図4は本発明に係わる点火装置の更に他の
構成例を示したもので、この例では、信号コイル8の非
接地側の端子にエミッタが接続され、コレクタが接地さ
れたPNPトランジスタ32が設けられて、トランジス
タ32のベースと接地間にオイルレベル検出スイッチ1
1が接続されている。この例では、トランジスタ32に
より信号側路用スイッチ回路が構成され、この信号側路
用スイッチ回路により信号側路回路が構成されている。
【0054】図4に示した点火装置においては、潤滑オ
イルのレベルが許容下限値未満になって検出スイッチ1
1が閉じている状態で信号コイル8が点火信号を発生し
たときにトランジスタ32がオン状態になり、点火信号
をサイリスタ3から側路する。その他の点は図1に示し
た点火装置と同様に構成されている。
【0055】図5は本発明に係わる点火装置の更に他の
構成例を示したもので、この例では、信号コイル8の出
力が点火信号供給回路33に入力され、点火信号供給回
路33からサイリスタ3に点火信号が与えられている。
保安回路10は図1に示した例と同様に構成されている
が、この例では、点火時期制御部33の出力端子間にオ
イルレベル検出スイッチ11を通して信号側路回路を構
成するダイオード20が接続されている。
【0056】点火信号供給回路33は、例えばCPU等
の演算手段を備えていて、信号コイル8の出力信号から
機関の回転角度情報と回転速度情報とを得て各回転速度
における機関の点火時期を演算し、演算した点火時期が
検出されたときにサイリスタ3に点火信号を与える。そ
の他の点は図1に示した例と同様に構成されている。図
5の点火装置においてオイルレベル検出スイッチ11が
検出動作を行ったときの動作は図1の点火装置と同様で
ある。
【0057】図5のように、信号コイル8の出力が点火
信号供給回路33に入力される場合には、図5に破線で
示したように、信号コイル8の出力を点火信号供給回路
33から側路するように信号側路回路を設けてもよい。
【0058】上記の例では、点火用電源としてエキサイ
タコイル7を用いたが、磁石発電機に設けられた発電コ
イルと、該発電コイルの誘起電圧をチョッパにより昇圧
する昇圧回路とを備えた点火用電源を用いる場合や、バ
ッテリの電圧をDC−DCコンバータにより昇圧するよ
うにした点火用電源を用いる場合にも本発明を適用する
ことができる。
【0059】上記の例では、警報手段として発光ダイオ
ードを用いたが、この警報手段はランプでもよく、ブザ
ー等の発音手段でもよい。
【0060】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、オイル
レベル検出スイッチが検出動作を行ったときに、放電用
スイッチに与える点火信号を該放電用スイッチから側路
するか、または信号コイルから点火時期制御部に与えら
れる信号を該点火時期制御部から側路するようにしたの
で、電流容量が大きい半導体素子を用いることなく、オ
イルレベルのレベルが設定レベル以下に低下したときに
機関を停止させる機能を持たせることができる。
【0061】また本発明においては、オイルレベル検出
スイッチが検出動作を行ったときに点火用電源側から警
報手段駆動回路を通して警報手段に駆動電流を流すよう
にしたので、オイルのレベルが低下したことの警報を発
生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる点火装置の構成例を示した回路
図である。
【図2】本発明に係わる点火装置の他の構成例を示した
回路図である。
【図3】本発明に係わる点火装置の更に他の構成例を示
した回路図である。
【図4】本発明に係わる点火装置の更に他の構成例を示
した回路図である。
【図5】本発明に係わる点火装置の更に他の構成例を示
した回路図である。
【図6】従来の点火装置の構成を示した回路図である。
【符号の説明】
1…点火コイル、2…点火用コンデンサ、3…サイリス
タ(放電用スイッチ)、7…エキサイタコイル(点火用
電源)、8…信号コイル、10…保安回路、11…オイ
ルレベル検出スイッチ、12…発光ダイオード、20…
信号側路回路を構成するダイオード、22…トランジス
タ、25…サイリスタ、29…警報発生手段駆動回路。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02P 11/06 F02P 11/06 (72)発明者 庄司 慎 静岡県沼津市大岡3744番地 国産電機株式 会社内 (72)発明者 内野 隆 静岡県磐田市新貝2500 ヤマハ発動機株式 会社内 (72)発明者 深谷 光男 静岡県磐田市新貝2500 ヤマハ発動機株式 会社内 Fターム(参考) 3G015 BL06 CA07 FB10 FC11 FE01 3G019 BA02 BA07 BA08 CA11 CB19 FA05 FA15 3G084 BA33 DA27 DA28 EB22 FA00 3G092 CA01 CB04 FA38 FB06 HE10Z

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 点火コイルと、前記点火コイルの一次側
    に設けられて点火用電源の出力で一方の極性に充電され
    る点火用コンデンサと、点火信号が与えられたときに導
    通して前記点火用コンデンサの電荷を前記点火コイルの
    一次側コイルを通して放電させる放電用スイッチと、内
    燃機関の点火時期に前記放電用スイッチの制御端子間に
    点火信号を与える点火信号供給手段と、前記内燃機関の
    潤滑オイルのレベルが設定レベル以下になったときに検
    出動作を行うオイルレベル検出スイッチと、駆動電流が
    与えられたときに警報動作を行う警報手段と、前記オイ
    ルレベル検出スイッチが検出動作を行ったときに前記内
    燃機関の点火を阻止するとともに前記警報手段を駆動す
    る保安回路とを備えた内燃機関用点火装置において、 前記保安回路は、 前記オイルレベル検出スイッチが検出動作を行ったとき
    に前記点火信号を前記放電用スイッチの制御端子間から
    側路する信号側路回路と、 前記オイルレベル検出スイッチが検出動作を行ったとき
    に前記点火用電源から前記警報手段に駆動電流を流す警
    報手段駆動回路と、 を具備した内燃機関用点火装置。
  2. 【請求項2】 前記オイルレベル検出スイッチは、前記
    潤滑オイルのレベルが設定レベル以下になったときにオ
    ン状態になるように構成され、 前記信号側路回路は、前記オイルレベル検出スイッチを
    通して前記放電用スイッチの制御端子間に接続されたダ
    イオードからなり、 前記ダイオードは、前記点火信号に対して順方向を呈す
    る向きにして設けられている請求項1に記載の内燃機関
    用点火装置。
  3. 【請求項3】 前記信号側路回路は、前記放電用スイッ
    チの制御端子間に接続されて、前記オイルレベル検出ス
    イッチが検出動作を行ったときに導通する信号側路用ス
    イッチ回路からなっている請求項1に記載の内燃機関用
    点火装置。
  4. 【請求項4】 点火コイルと、前記点火コイルの一次側
    に設けられて点火用電源の出力で一方の極性に充電され
    る点火用コンデンサと、点火信号が与えられたときに導
    通して前記点火用コンデンサの電荷を前記点火コイルの
    一次側コイルを通して放電させる放電用スイッチと、内
    燃機関の点火時期に前記放電用スイッチに点火信号を与
    える点火信号供給手段と、前記内燃機関の潤滑オイルの
    レベルが設定レベル以下になったときに検出動作を行っ
    てオン状態になるオイルレベル検出スイッチと、駆動電
    流が与えられた時に警報動作を行う警報手段と、前記オ
    イルレベル検出スイッチがオン状態になったときに前記
    内燃機関の点火を阻止するとともに前記警報手段を駆動
    する保安回路とを備えた内燃機関用点火装置において、 前記点火信号供給手段は、内燃機関の特定の回転角度位
    置で正負の極性の信号を出力する信号コイルと、前記信
    号コイルの出力を入力として前記放電用スイッチに点火
    信号を与える点火信号供給回路とを備え、 前記保安回路は、 前記オイルレベル検出スイッチがオン状態になったとき
    に前記信号コイルの少なくとも一方の極性の出力信号を
    前記点火信号供給回路から側路する信号側路回路と、 前記オイルレベル検出スイッチがオン状態になったとき
    に前記点火用電源から前記警報手段に駆動電流を流す警
    報手段駆動回路と、 を具備した内燃機関用点火装置。
  5. 【請求項5】 前記信号側路回路は、前記オイルレベル
    検出スイッチを通して前記信号コイルの両端間に接続さ
    れたダイオードからなっている請求項4に記載の内燃機
    関用点火装置。
  6. 【請求項6】 前記信号側路回路は、前記信号コイルの
    出力端子間に接続されて、前記オイルレベル検出スイッ
    チが検出動作を行ったときにオン状態になる半導体スイ
    ッチからなっている請求項4に記載の内燃機関用点火装
    置。
  7. 【請求項7】 前記警報手段駆動回路は、駆動信号が与
    えられたときに導通して前記点火用電源から前記警報手
    段に駆動電流を流す警報手段駆動用スイッチと、前記オ
    イルレベル検出スイッチが検出動作を行ったときに前記
    警報手段駆動用スイッチに駆動信号を与えるスイッチ駆
    動回路と、導通した際に前記警報手段駆動用スイッチを
    遮断状態にするように設けられた遮断制御用スイッチ
    と、前記警報手段駆動用スイッチを通して流れる駆動電
    流を検出して検出した電流が設定値を越えたときに前記
    遮断制御用スイッチを導通させる制御用スイッチ駆動回
    路と、 を備えている請求項1ないし6のいずれか1つに記載の
    内燃機関用点火装置。
  8. 【請求項8】 前記遮断制御用スイッチは自己保持機能
    を有する半導体スイッチからなっている請求項7に記載
    の内燃機関用点火装置。
  9. 【請求項9】 前記警報手段駆動回路は、定電流回路か
    らなっている請求項1ないし6のいずれか1つに記載の
    内燃機関用点火装置。
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