JP2002068739A - 研磨材用α−アルミナ粉末およびその製造方法 - Google Patents
研磨材用α−アルミナ粉末およびその製造方法Info
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Abstract
い研磨材用α−アルミナ粉末およびその製造方法を提供
する。 【解決手段】多面体形状で破砕面がないα−アルミナ粒
子からなり、累積粒度分布の大きな粒子側から累積10
%、90%をD10,D90としたとき、D90/D1
0が5以下である研磨材用α−アルミナ粉末。水酸化ア
ルミニウムまたは遷移アルミナにアルカリ土類金属の化
合物を添加し、塩化水素を1体積%以上、分子状塩素を
0.5体積%以上と水蒸気を0.5体積%以上、分子状
塩素を1体積%以上のいずれかを含有するガス雰囲気
中、800℃以上1200℃以下の温度範囲で焼成する
研磨材用α−アルミナ粉末の製造方法。
Description
α−アルミナ粉末およびその製造方法に関する。
なため、研磨材用途に幅広く使用されている。研磨材用
のα−アルミナ粉末においては一般的に、研磨材として
微粒を使用すると被研磨面の表面粗さは小さくなるが、
研磨速度が低くなり、一方、大きな粒子を使用すると研
磨速度は高くなるが表面粗さが大きくなる。ハードディ
スクのテクスチャーのようにある特定の表面粗さが必要
な場合は、それに適した粒径のα−アルミナ粉末が使用
されている。
ルミナであり、粉砕により粒径を調整して生産されてい
るので、破砕面を有し鋭い鋭角のエッジを有した粒子を
多数含有している。電融アルミナを使用して研磨を行っ
た場合、被研磨面には平均表面粗さよりはるかに深い、
スクラッチと称される傷が生ずることがある。スクラッ
チを避けるためには、微粒の電融アルミナを使用すれば
よいが、研磨速度が低下する。スクラッチの発生が少な
く、かつ研磨速度の高い研磨材用α−アルミナ粉末が望
まれている。
アルミナ粉(電融アルミナ)を研磨材として使用する従
来の研磨フィルムに比較して、同等の仕上げ表面粗さを
有し、且つ研削力をきわめて高くすることができる」効
果を有する「フィルム基体上に、多面体アルミナ粉をバ
インダー樹脂中に分散させてなる研磨層を形成したこと
を特徴とする研磨フィルム」が開示されているが、スク
ラッチについては開示されていない。
平6−191836号公報には、粒径が揃っており形状
が均一で多面体形状を有する単結晶α−アルミナ粒子か
らなる粉末およびその製造方法が開示されている。しか
し、研磨材として使用した場合には研磨速度が十分では
なかった。
速度が高くしかもスクラッチの発生が少ない研磨材用α
−アルミナ粉末およびその製造方法を提供することにあ
る。
に鑑み、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結
果、多面体形状を有したα−アルミナ粒子からなり、粒
度分布の狭いα−アルミナ粉末が優れた研磨特性を有す
る、すなわちスクラッチが少なく研磨速度が高いことを
見出した。また、水酸化アルミニウムまたは遷移アルミ
ナにある特定の物質を添加し、塩素含有雰囲気中で焼成
することにより研磨特性に優れたα−アルミナ粉末が製
造できることを見出した。
ないα−アルミナ粒子からなり、累積粒度分布の大きな
粒子側から累積10%、90%をD10,D90とした
とき、D90/D10が5以下である研磨材用α−アル
ミナ粉末を提供する。また本発明は、フェライト単結晶
を研磨する場合の研磨速度が、該フェライト単結晶の研
磨面の面積が0.3〜1cm2であり、研磨材を1〜3
質量%の水系スラリーとし、荷重が100〜300gで
あり、研磨時間が30分〜1時間である範囲の条件にお
いて、BET比表面積が4〜6m2/gであり、レーザ
ー回折散乱法により測定した平均粒径が0.4〜0.7
μmであり、純度が99.99%以上であるα−アルミ
ナ粉末を標準試料とし、該標準試料と同一条件で該フェ
ライト単結晶を研磨した場合において、該標準試料の研
磨速度を100とした場合に、120以上である上記記
載の研磨材用α−アルミナ粉末を提供する。また本発明
は、水酸化アルミニウムまたは遷移アルミナにアルカリ
土類金属の化合物を添加し、(1)塩化水素を1体積%
以上含むガス雰囲気(2)分子状塩素を0.5体積%と
水蒸気を0.5体積%以上含むガス雰囲気(3)分子状
塩素を1体積%以上含むガス雰囲気、から選ばれるガス
雰囲気中、800℃以上1200℃以下の温度範囲で焼
成する研磨材用α−アルミナ粉末の製造方法を提供す
る。
する。本発明のα−アルミナ粉末は、形状が均一で多面
体形状を有しており、破砕面を有していないα−アルミ
ナ粒子からなる。電融アルミナのように破砕面を有して
いるα−アルミナ粒子からなるα−アルミナ粉末を研磨
材として用いると、研磨速度は高いがスクラッチが生じ
やすい。粒径の揃った多面体形状のα−アルミナ粒子か
らなるα−アルミナ粉末を研磨材として用いると、スク
ラッチの発生は大幅に低減するが研磨速度が不十分な場
合がある。形状が均一で多面体形状を有しているだけで
はなく、D90/D10が5以下である場合に、理由は
必ずしも明らかではないが、研磨速度が高くかつスクラ
ッチの発生が少なくなる。
たα−アルミナ粒子からなることが好ましく、D90/
D10が5以下、好ましくは3以下の狭い粒度分布を有
し、スクラッチを発生する原因となる、粗大粒子や凝集
粒が少ない。
結晶を研磨したときの研磨速度である。研磨速度の絶対
値はフェライト単結晶の厚さの変化を研磨時間で除した
値であるが、研磨速度の絶対値は研磨条件により変化す
る。以下のようにして研磨条件により変化しない研磨速
度の値を得ることができる。すなわち、標準試料を研磨
材としてフェライト単結晶の研磨を行い、研磨材サンプ
ルを研磨材とする以外は同一の条件で研磨を行い、研磨
材サンプルの研磨速度の絶対値を標準試料の研磨速度の
絶対で除して100倍することにより、標準試料を10
0とした場合の研磨材サンプルの研磨速度を得ることが
できる。
の範囲は、フェライト単結晶の研磨面の面積が0.3〜
1cm2であり、研磨材を1〜3質量%の水系スラリー
とし、荷重が100〜300gであり、研磨時間が30
分〜1時間である。標準試料としては、BET比表面積
が4〜6m2/gであり、レーザー回折散乱法により測
定した平均粒径が0.4〜0.7μmであり、純度が9
9.99%以上であるα−アルミナ粉末を標準試料とし
た。本発明の研磨材用α−アルミナ粉末は、上記の研磨
速度の評価方法において研磨速度が120以上が好まし
く、さらに好ましくは130以上である。
びその製造方法について説明する。本発明の製造方法で
原料として用いられる水酸化アルミニウムまたは遷移ア
ルミナとしては、例えばギブサイト、バイヤライト、ノ
ルソトランダイト、ベーマイト、ベーマイトゲル、擬ベ
ーマイト、ダイアスポア、またアルミナゲル、γ−アル
ミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ等を用いることがで
きる。
度なα−アルミナ粉末が必要な場合は、高純度の原料を
用いればよい。また、不純物の元素によっては塩素含有
雰囲気中における焼成により当該元素を低減することが
できる。
水酸化アルミニウムまたは遷移アルミナに、Ca、Sr
等のアルカリ土類金属の化合物を添加する。本発明の製
造方法におけるアルカリ土類金属の化合物の添加はα−
アルミナ粒子のエッジを鋭くする効果を有するものと推
定されるが、アルカリ土類金属の化合物を添加すること
により、理由は明らかではないが、生成したα−アルミ
ナ粉末を研磨材として使用した場合、研磨速度が増大す
るのである。アルカリ土類金属の化合物としては、ハロ
ゲン化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物、窒化物等
を用いることができる。
成するα−アルミナ粉末に対して、0.1質量%から3
0質量%であり、好ましくは0.5質量%から10質量
%、さらに好ましくは1質量%から5質量%である。水
酸化アルミニウムまたは遷移アルミナとアルカリ土類金
属の化合物との混合には、通常工業的に用いられている
混合装置を用いることができ混合装置として、例えば、
ボールミル、振動ミル、ヘンシェルミキサーを挙げるこ
とができる。水酸化アルミニウムまたは遷移アルミナと
アルカリ土類金属の化合物との混合物を造粒して嵩密度
を上げれば、焼成の効率を上げることが可能である。
アルミニウムまたは遷移アルミナに種晶を添加すること
が好ましい。種晶としては、例えば、アルミニウム、チ
タン、鉄、クロムやニッケルの化合物、好ましくは酸化
物を用いることができるが、α−アルミナの粉末が最も
好ましい。
粉末を、塩化水素ガス、分子状塩素と水蒸気、分子状塩
素のいずれかを含む雰囲気中で焼成する。焼成に用いる
ガス雰囲気が塩化水素ガスを含む場合、塩化水素の濃度
は1体積%以上であり、好ましくは10体積%以上であ
る。塩化水素100体積%の雰囲気ガスも使用できる。
塩化水素の濃度が1体積%未満では、多面体形状のα−
アルミナ粒子が得られず、目的とする研磨材用に好適な
α−アルミナ粉末が得られない場合がある。
蒸気を含む場合、分子状塩素の濃度が0.5体積%以上
でかつ水蒸気の濃度が0.5体積%以上であり、好まし
くは分子状塩素の濃度が5体積%以上でかつ水蒸気の濃
度が5体積%以上である。分子状塩素と水蒸気を合わせ
て100体積%の雰囲気ガスも使用できる。分子状塩素
の濃度が0.5体積%未満または水蒸気の濃度が0.5
体積%未満であると、平均一次粒子径が小さくなり、目
的とする研磨材用に好適なα−アルミナ粉末が得られな
い場合がある。
む場合、分子状塩素の濃度は1体積%以上であり、好ま
しくは10体積%以上である。分子状塩素100体積%
のガス雰囲気も使用できる。分子状塩素の濃度が1体積
%未満であると、多面体形状のα−アルミナ粒子が得ら
れなくなり、目的とする研磨材用に好適なα−アルミナ
粉末が得られない場合がある。
範囲であり、好ましくは900℃以上1100℃以下の
範囲である。焼成温度が低すぎると、粒子の成長が不十
分になり、高すぎると、熱による凝集が起きる等の問題
が発生する。
い。焼成時間が短すぎると粒子の成長が不十分になり、
焼成時間が長すぎると凝集が発生する問題が生じる。
ヘリウム、アルゴン、空気等を用いることができる。
たは塩素ガスボンベからの導入、熱分解により塩化水素
または塩素ガスを発生する物質を添加する方法を用いる
ことができる。熱分解により塩化水素を発生する物質と
しては、塩酸溶液、塩化アンモニウム等を用いることが
できる。
質で構成されていることが望ましく、さらに雰囲気を制
御できる機構を備えていることが望ましい。焼成炉は工
業的に一般的に使用されているトンネル炉、バッチ炉、
ロータリーキルン、プッシャー炉等を用いることができ
る。
ることができる。本発明の製造法では焼成時の凝集が起
きにくいため、粉砕は媒体を用いず粉砕力の弱い方法で
あるジェットミル等で行なうことができる。本発明の製
造方法で得られた研磨剤用α−アルミナ粉末はジェット
ミルで容易にほぼ単分散となり、従来の電融品に比べ、
研磨速度は同等であるが破砕面がなく粗大粒子が少ない
ため、被研磨面のスクラッチが少ない。本発明のα−ア
ルミナ粉末は、特に精密機器、精密部品の仕上げ加工、
ハードデイスクのテクスチャー等に適している。
れらによって限定されるものではない。本発明における
各種の測定は次のようにして行なった。 1.α−アルミナ粉末の平均一次粒径、アスペクト比の
測定 平均一次粒径は、SEM(走査型電子顕微鏡、日本電子
株式会社製T−220型)を使用してα−アルミナ粒子
の写真を撮り、その写真から80ないし100個の粒子
を任意に選び出して画像解析を行い、円相当径の平均値
として求めた。アスペクト比は、SEM写真から5ない
し10個の粒子の選び出し画像解析を行い、その平均値
として求めた。 2.粗粒量の測定 α−アルミナを水に分散させ濃度10質量%のスラリー
とし、該スラリーを目開き5μmのナイロンメッシュで
濾過し、乾燥後の残渣の質量を測定し、粗粒量とした。
使用してα−アルミナ粉末の粒度分布を測定し、チャー
トからD90とD10を読み取って求めた。 4.研磨特性の評価 α−アルミナ粉末を水に分散し、2質量%のスラリーを
調製した。スラリーを定量供給しながら、丸本工業製の
片面研磨機を使用して研磨を行った。フェライト単結晶
を被研磨物として研磨布上で研磨し、該フェライト単結
晶の研磨による厚み減少から研磨速度の絶対値を求め
た。BET比表面積が4.5m2/g、レーザー回折散
乱法による測定装置である日機装株式会社製マイクロト
ラックRAで測定した平均粒径が0.54μm、純度が
99.995質量%であるα−アルミナ粉末である住友
化学工業株式会社製AKP−20を標準試料として用い
た。研磨布にはスウェードクロスを用い、研磨面が4×
12mm(研磨面積0.48cm2)フェライト単結晶
をベークライト樹脂で固定した研磨試験片として用い、
加工荷重200g、定盤回転数300rpm、研磨時間
30分の条件で、標準試料を研磨材として研磨を行い、
同一のフェライト単結晶を使用して同一条件でサンプル
のα−アルミナ粉末を研磨材として研磨を行い、標準試
料の研磨速度の絶対値をサンプルのα−アルミナ粉末の
研磨速度の絶対値で徐して100を乗じて研磨速度とし
た。
水分解して合成した水酸化アルミニウムを用いた。この
原料にα−アルミナ粉末を種晶として添加、形状制御剤
としてCaCO3を1質量%添加し、ハイプラボールを
用いて乾式ボールミルで2時間混合した。この原料を管
状炉で焼成した。雰囲気ガスの組成は塩化水素ガスが3
0体積%、窒素ガスは70体積%であった。塩化水素ガ
スは炉の温度が800℃になったとき導入した。焼成温
度は1100℃とした。焼成して得られた粉末をジェッ
トミルにより粉砕した。
形状であり、エッジが鋭どかった。平均一次粒径は2μ
mであった。粒度分布を測定した結果、D90/D10
は3であった。得られたα−アルミナ粉末の粒径5μm
以上の粗粒量を測定した結果、45質量ppmであっ
た。得られたα−アルミナ粉末の研磨速度を測定した結
果、170と大きな値であった。微分干渉顕微鏡により
被研磨物表面のスクラッチを観察した結果、スクラッチ
の数は少なかった。α−アルミナ粉末の製造条件と評価
結果を表1に示した。
実施例1と同様に製造し、評価を行ない、結果を表1に
示した。
様にして相対研磨速度を測定し、被研磨面のスクラッチ
を観察した。結果を表1に示した。
面体形状を有し破砕面を有さないα−アルミナ粒子から
なり、粒度分布が狭く粗大粒子が少ないので、研磨材と
して研磨速度が高くスクラッチが少ないという優れた特
長を有している。本発明の製造方法により、前記α−ア
ルミナ粉末の製造が可能となる。
Claims (4)
- 【請求項1】多面体形状で破砕面がないα−アルミナ粒
子からなり、累積粒度分布の微粒側から累積10%、9
0%をD10、D90としたとき、D90/D10が5
以下であることを特徴とする研磨材用α−アルミナ粉
末。 - 【請求項2】フェライト単結晶を研磨する場合の研磨速
度が、該フェライト単結晶の研磨面の面積が0.3〜1
cm2であり、研磨材を1〜3質量%の水系スラリーと
し、荷重が100〜300gであり、研磨時間が30分
〜1時間である範囲の条件において、BET比表面積が
4〜6m2/gであり、レーザー回折散乱法により測定
した平均粒径が0.4〜0.7μmであり、純度が9
9.99%以上であるα−アルミナ粉末を標準試料と
し、該標準試料と同一条件で該フェライト単結晶を研磨
した場合において、該標準試料の研磨速度を100とし
た場合に、120以上である請求項1に記載の研磨材用
α−アルミナ粉末。 - 【請求項3】水酸化アルミニウムまたは遷移アルミナに
アルカリ土類金属の化合物を添加し、下記の(1)〜
(3)から選ばれるガス雰囲気中、800℃以上120
0℃以下の温度範囲で焼成することを特徴とする研磨材
用α−アルミナ粉末の製造方法。 (1)塩化水素を1体積%以上含むガス雰囲気 (2)分子状塩素を0.5体積%と水蒸気を0.5体積
%以上含むガス雰囲気 (3)分子状塩素を1体積%以上含むガス雰囲気 - 【請求項4】水酸化アルミニウムまたは遷移アルミナに
種晶を添加する請求項3記載の研磨材用α−アルミナ粉
末の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2000260553A JP2002068739A (ja) | 2000-08-30 | 2000-08-30 | 研磨材用α−アルミナ粉末およびその製造方法 |
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