JPH07206432A - α−アルミナ粉末及びその製造方法 - Google Patents

α−アルミナ粉末及びその製造方法

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JPH07206432A
JPH07206432A JP6315792A JP31579294A JPH07206432A JP H07206432 A JPH07206432 A JP H07206432A JP 6315792 A JP6315792 A JP 6315792A JP 31579294 A JP31579294 A JP 31579294A JP H07206432 A JPH07206432 A JP H07206432A
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JP
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alumina
gas
halogen
alumina powder
atmosphere
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Application number
JP6315792A
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English (en)
Inventor
Masahide Mori
正英 毛利
Norio Matsuda
憲雄 松田
Shinichiro Tanaka
紳一郎 田中
Yoshio Uchida
義男 内田
Yoshinari Sawabe
佳成 沢辺
Takashi Watanabe
尚 渡辺
Hiroshi Ogawa
洋 小川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Publication date
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  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
  • Compounds Of Alkaline-Earth Elements, Aluminum Or Rare-Earth Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】遷移アルミナ、アルミナ化合物またはこれらの
混合物、或いは遷移アルミナ、アルミナ化合物またはこ
れらの混合物に種晶および/または形状制御剤を添加し
たものを、ハロゲン化水素ガス、ハロゲンガス、または
ハロゲンガスと水蒸気の混合ガスの存在下で焼成し、得
られた焼成物からハロゲンを除去することを特徴とする
α−アルミナ粉末の製造方法、および該方法により得ら
れるα−アルミナ粉末。 【効果】粒径が任意に制御され、形状が均一で、粒度分
布が狭く、これまでにない高い充填性と均質に充填でき
る優れた特性を有し、さらにハロゲン含量が低いα−ア
ルミナ粉末を得ることが可能となり、該α−アルミナ粉
末は、高純度焼結体用原料、研磨材、セラミックフィル
ター等の多孔体用原料、封止材用原料、単結晶用原料と
して利用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、粒径および形状が制御
され、粒度分布が狭く、ハロゲン含有量が低いα−アル
ミナ粉末の製造方法、および該方法により得られるα−
アルミナ粉末に関する。
【0002】
【従来の技術】α−アルミナ粉末は研磨剤用原料、焼結
体用原料等に広く使用されており、従来より種々の製造
方法が知られているが、以下に示すような種々の問題点
を有している。例えば、特開平3−131517号公報
に記載の方法(フラックス法)では、得られるα−アル
ミナは、六方最密格子であり、α−アルミナの六方格子
面に平行な最大粒子径をD、六方格子面に垂直な粒子径
をHとしたとき、D/H比が5〜40の六角板状の粒子
しか合成できず、また形状が不均一であるという問題が
ある。
【0003】英国特許第990801号およびドイツ国
特許第1767511号に記載の方法では、得られるα
−アルミナは、形状が不均一で粒度分布が広く、特公昭
43−8929号公報に記載の方法により得られるα−
アルミナは、不純物は少ないが粒度分布が広いという問
題がある。また、特公昭57−22886号公報に記載
の方法では、コランダムを種晶として添加することによ
ってα−アルミナの粒径の制御を可能としたが、その製
造には高圧下、長時間を要するため、工業的に効率良い
方法とは言えない。
【0004】さらに、特開昭59−97528号公報に
記載の方法では、得られるα−アルミナは、平均粒径が
1〜10μmで、前記したD/Hが1に近い形状である
が、製造時に鉱化剤として使用したホウ素またはフッ素
がα−アルミナ中に残存し、焼成時に生成する凝集体が
多数含まれるという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、これま
でに知られている製造方法では、得られるα−アルミナ
の粒径を制御することが難しかったり、形状が不均一で
あったり、多結晶体である凝集粒子を多く含んでいた
り、粒度分布が広いなどの理由により、充填性が低く、
均質に充填しないという問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討を
重ねた結果、遷移アルミナまたはアルミナ化合物を、
0.1体積%以上のハロゲンが存在する雰囲気ガス下で
焼成することにより、粒径および形状が制御され、粒度
分布が狭いα−アルミナ粉末を容易に得ることができ、
続いてこれを脱ハロゲンすることにより、上記の優れた
特性を維持し、かつ、ハロゲン含有量が低いα−アルミ
ナ粉末を得ることができることを見出した。
【0007】このようにして得られたα−アルミナ粉末
は、高い充填性を有し、さらに、均質に充填することが
できるという特性を有し、しかもハロゲン含有量が低い
ため、高純度焼結体用原料、研磨材、セラミックフィル
ター等の多孔体用原料、単結晶原料、封止材用原料とし
て有利に使用できることを見いだし、本発明を完成させ
るに至った。
【0008】本発明は次に記す発明に関する。 〔1〕遷移アルミナまたはアルミナ化合物或いはこれら
の混合物を、ハロゲン化水素ガス、ハロゲンガスまたは
それらの混合ガスの濃度が0.1体積%以上であるハロ
ゲン化水素含有ガス雰囲気、ハロゲン含有ガス雰囲気ま
たはハロゲンガスと水蒸気含有雰囲下に焼成し、得られ
た焼成物からハロゲンを除去することを特徴とするα−
アルミナ粉末の製造方法。
【0009】〔2〕8面以上の多面体形状を有する六方
最密格子であり、α−アルミナの六方格子面に平行な最
大粒子径をD、六方格子面に垂直な粒子径をHとしたと
き、D/H比が0.5以上3.0以下であり、累積粒度
分布の微粒側から累積10%、累積90%の粒径をそれ
ぞれD10、D90としたとき、D90/D10が10
以下である粒度分布を有するα−アルミナ粒子からな
り、該α−アルミナ粒子のハロゲン含有量が40ppm
以下であることを特徴とするα−アルミナ粉末。
【0010】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明において、上記の特徴を有するα−アルミナ粉末
は、原料粉末として、遷移アルミナまたはアルミナ化合
物或いはこれらの混合物を0.1体積%以上のハロゲン
が存在する雰囲気下で焼成した後、脱ハロゲン化するこ
とにより得ることができる。
【0011】本発明の方法における出発原料としては、
遷移アルミナ、アルミナ化合物、またはこれらの混合物
を使用することができる。または、必要に応じてこれら
に、種晶、形状制御剤、または種晶および形状制御剤を
添加したものを使用することができる。
【0012】ここで、遷移アルミナとはAl2 3 とし
て表される多形を有するアルミナの内、α形以外の全て
のアルミナを意味し、具体的にはγ−アルミナ、δ−ア
ルミナ、θ−アルミナ等を例示することができる。
【0013】原料として使用するアルミナ化合物として
は、例えば、水酸化アルミニウム、硫バン(硫酸アルミ
ニウム)、硫酸アルミニウムカリウムや硫酸アルミニウ
ムアンモニウム等のいわゆる明バン類、アンモニウムア
ルミニウム炭酸塩、アルミニウムの水中放電法等により
得られるアルミナゲルなどの遷移アルミナの前駆体を挙
げることができる。
【0014】遷移アルミナまたはアルミナ化合物の製造
方法は、特に限定されるものではなく、例えば、水酸化
アルミニウムを熱処理する方法、硫酸アルミニウムを分
解する方法、明バンを分解する方法、塩化アルミニウム
を気相分解する方法、アンモニウムアルミニウム炭酸塩
を分解する方法、バイヤ−法、有機アルミニウム化合物
を加水分解する方法、またはコンデンサ−等のエッチン
グ廃液から得られるアルミニウム化合物を出発原料とす
る方法などの公知の方法を使用することができる。
【0015】本発明の製造方法によれば、バイヤ−法の
ような工業的に安価な方法で得られる粒子径が10μm
以上の水酸化アルミニウムや遷移アルミナを原料として
用いて、目的とするα−アルミナ粉末を得ることもでき
る。
【0016】本発明においては、目的とするα−アルミ
ナ粉末の粒径は、種晶を添加することにより制御するこ
とが可能である。種晶を添加しない場合は、通常、粒径
が0.1〜30μm程度のα−アルミナ粉末を得ること
ができる。この場合、粒径は、出発原料によってある程
度制御することができる。
【0017】例えば、有機アルミニウム化合物を加水分
解して得られる水酸化アルミニウムを原料とすると粒径
が約18μmのα−アルミナ粉末を得ることができ、こ
の水酸化アルミニウムを焼成して得られる遷移アルミナ
を原料とすると粒径が約10μmのα−アルミナ粉末を
得ることができる。また、加水分解条件、焼成温度、焼
成雰囲気等を変えることによって、得られるα−アルミ
ナ粉末の粒径を変えることもできる。例えば、高い焼成
温度で得られた遷移アルミナを原料とすると、生成する
α−アルミナ粒子の粒径を小さくすることができる。
【0018】次に、種晶を添加する場合は、通常、粒径
が0.1〜10μm程度のα−アルミナ粉末を得ること
ができる。この場合、粒径は、種晶の添加量によって制
御することができ、種晶の数が多いほど粒子径は小さく
なる。種晶の添加量は、原料をアルミナに換算し、これ
を100重量部としたとき、10-3〜50重量部、好ま
しくは10-3〜30重量部、さらに好ましくは10-3
10重量部である。原料のアルミナへの換算方法は、例
えば、遷移アルミナを原料とした場合は、数重量%の吸
着水が含有されているとし、水酸化アルミニウムを原料
とした場合は、数十重量%の結晶水が含有されていると
し、これらを除いものがアルミナになるとして計算す
る。
【0019】種晶は、α−アルミナの結晶成長の起点と
なるものを意味し、該種晶を起点としてそのまわりにα
−アルミナが成長するものであれば特に限定されるもの
ではなく、使用される種晶としては、アルミニウム、チ
タン、バナジウム、クロム、鉄、ニッケルの酸化物、窒
化物、酸窒化物、炭化物、炭窒化物、ハロゲン化物、ホ
ウ化物などが挙げられ、酸化物、窒化物が好ましく、特
に酸化物を用いることが好ましい。これらの金属化合物
は、単独または二種以上混合して用いることができる。
【0020】種晶の添加方法としては、撹拌、ボ−ルミ
ル、超音波分散等の方法が採用できる。種晶を添加する
かわりに、混合装置の材料の摩耗物を利用して目的とす
るα−アルミナ粉末の粒径を制御することも可能であ
る。例えば、アルミナボ−ルを用いボ−ルミルすること
によってアルミナの摩耗粉を種晶として原料に混合する
ことにより粒径を制御することができる。
【0021】α−アルミナ粉末の形状を制御するために
は、出発原料である遷移アルミナ、アルミナ化合物また
はその混合物に形状制御剤を添加することが好ましい。
形状制御剤は、結晶の成長の過程で作用し、D/H比
(六方最密格子であるα−アルミナの六方格子面に平行
な最大粒子径をD、六方格子面に垂直な粒子径をHとし
たときのDとHの比)および晶癖を変化させる働きをす
るものであり、このような機能を有するものであれば特
に限定されるものではない。
【0022】形状制御剤としては、例えば、マグネシウ
ム、カルシウム、ストロンチウム、イットリウム、ジル
コニウム、ニオブ、バナジウム、モリブデン、銅、亜
鉛、ホウ素、ケイ素、ランタン、セリウム、ネオジウム
等の金属単体およびこれら金属の酸化物、窒化物、酸窒
化物、炭化物、炭窒化物、ハロゲン化物、ホウ化物等の
金属化合物が挙げられ、酸化物が好ましい。上記の金属
単体、金属化合物は、単独または二種以上混合して使用
される。バナジウムについては、種晶としての機能も有
する。
【0023】形状制御剤の添加量は、原料をアルミナに
換算し、これを100重量部としたとき、10-3〜50
重量部、好ましくは10-3〜30重量部、さらに好まし
くは10-3〜10重量部である。例えば、D/H比を大
きくする形状制御剤としては、マグネシウム、カルシウ
ム、シリコン、銅、モリブデン、ニオブ、亜鉛、ジルコ
ニウム、バナジウム、ストロンチウムを用いることがで
きる。またD/H比を小さくする形状制御剤としては、
ランタン、セリウム、ネオジウムを用いることができ
る。
【0024】晶癖を制御する場合、例えば、n面を出さ
しめる形状制御剤としては、ランタン、セリウム、ネオ
ジウム、ジルコニウムを、c面とr面からなる粒子を合
成するにはカルシウムを、a面を消去するためにはジル
コニウムを、a面とc面からなる6角柱状にするために
はホウ素を用いることができる。形状制御剤の添加方法
は特に限定されるものではなく、例えば、ボ−ルミル、
超音波分散等の方法を挙げることができる。また混合メ
ディア等の混合装置材料の混合時の摩耗物を形状制御剤
として用いてもよい。
【0025】さらに目的とするα−アルミナ粉末の粒径
と形状を制御するためには種晶と形状制御剤とを同時に
添加してもよい。これにより目的とする用途に適した一
次粒子の粒子径および形状を有するα−アルミナ粉末を
製造することができる。種晶と形状制御剤とを同時に添
加する場合、添加量の合計は、原料をアルミナに換算
し、これを100重量部としたとき、10-3〜50重量
部、好ましくは10-3〜30重量部、さらに好ましくは
10-3〜10重量部である。
【0026】焼成は、ハロゲン化水素ガス、ハロゲンガ
ス、またはハロゲンガスと水蒸気をを含む雰囲気ガス中
で実施される。
【0027】焼成工程においてハロゲン化水素ガスを用
いる場合、雰囲気ガスの全体積に対してハロゲン化水素
ガスを0.1体積%以上、好ましくは0.5体積%以
上、さらに好ましくは1体積%以上含有した雰囲気ガス
が使用される。ハロゲン化水素ガスの希釈ガスとして
は、窒素や水素あるいはアルゴン等の不活性ガスまたは
空気を用いることができる。ハロゲン化水素ガスを含む
雰囲気ガスの圧力は、通常、常圧であるが、特に限定さ
れず工業的に用いられている範囲において任意に選ぶこ
とができる。このような雰囲気ガス中で焼成することに
より、低い温度で目的とするα−アルミナ粉末を得るこ
とができる。焼成温度は500〜1400℃、好ましく
は600〜1300℃、さらに好ましくは800〜12
00℃である。
【0028】焼成工程においてハロゲンガスを用いる場
合、雰囲気ガスの全体積に対してハロゲンガスを0.1
体積%以上、好ましくは0.5体積%以上、さらに好ま
しくは1.0体積%以上含有した雰囲気ガスが使用され
る。ハロゲンガスの希釈ガスとしては、窒素や水素ある
いはアルゴン等の不活性ガスまたは空気を用いることが
できる。ハロゲンガスを含む雰囲気ガスの圧力は、通
常、常圧であるが、特に限定されず工業的に用いられて
いる範囲において任意に選ぶことができる。このような
雰囲気ガス中で焼成することにより、低い温度で目的と
するα−アルミナ粉末を得ることができる。焼成温度は
950〜1500℃、好ましくは1050〜1400
℃、さらに好ましくは1100〜1300℃である。
【0029】焼成工程においてハロゲンガスと水蒸気を
含む雰囲気ガスを用いる場合、雰囲気ガスの全体積に対
しハロゲンガスを0.1体積%以上、好ましくは0.5
体積%以上、さらに好ましくは1体積%以上と、水蒸気
を0.01体積%以上、好ましくは0.1体積%以上、
さらに好ましくは0.5体積%以上含有した雰囲気ガス
が使用される。ハロゲンガスの希釈ガスとしては、窒素
や水素あるいはアルゴン等の不活性ガスまたは空気を用
いることができる。水蒸気は、窒素ガスにより焼成炉内
に搬送され、その体積%は水の温度による飽和水蒸気圧
変化により制御される。ハロゲンガスと水蒸気を含む雰
囲気ガスの圧力は、通常、常圧であるが、特に限定され
ず工業的に用いられている範囲において任意に選ぶこと
ができる。このような雰囲気ガス中で焼成することによ
り、目的とするα−アルミナ粉末を得ることができる。
ハロゲンガスと水蒸気を用いた場合の焼成温度は500
〜1400℃、好ましくは600〜1300℃以下、さ
らに好ましくは800〜1200℃である。
【0030】上記した雰囲気ガスを用い、それぞれに対
応した焼成温度で焼成することにより、工業的に有利な
生成速度で、α−アルミナ粒子同士の凝集が起こりにく
く、焼成直後でも粒度分布の狭いα−アルミナ粒子から
なるα−アルミナ粉末を得ることができる。焼成時間
は、遷移アルミナまたはアルミナ化合物がα−アルミナ
に結晶成長するまで焼成すれば十分であり、好ましくは
1分以上、より好ましくは10分以上である。本発明の
製造方法によれば、従来の方法に比べ短時間で目的とす
るα−アルミナ粉末を得ることができる。
【0031】雰囲気ガスの供給源や供給方法は、遷移ア
ルミナ等の原料が存在する反応系に上記の雰囲気ガスを
導入できれば特に限定されない。例えば、ハロゲン化水
素ガスやハロゲンガス供給源としては、通常はボンベガ
スを用いるが、得られるハロゲン化水素ガスやハロゲン
ガスを所定のガス組成になるようにしてボンベガスの代
わりとして固体状または液体状のハロゲン化合物を用い
ることもできる。
【0032】固体状または液体状のハロゲン化水素ガス
供給源としては、例えば、フッ酸、塩酸、臭化水素酸等
のハロゲン化水素の溶液、フッ化アンモンニウム、塩化
アンモンニウム、臭化アンモンニウム、ヨウ化アンモン
ニウム等のハロゲン化アンモニウムなどのハロゲン化合
物、ハロゲン含有高分子化合物などが挙げられ、塩化ア
ンモンニウムが好ましく使用される。例えば、塩化アン
モンニウムは約400℃で昇華するので、原料と混合す
るか、または原料と同時に炉内に導入するかして、昇華
させ、塩化水素ガス雰囲気を作ることができる。塩化ア
ンモンニウムを用いてバッチ法で実施した場合、塩化ア
ンモンニウムは、本発明の焼成温度では完全に分解し、
モル分率に従って体積%でそれぞれ塩化水素ガス33体
積%、窒素ガス17体積%、水素ガス50体積%の雰囲
気を形成する。塩化水素ガス濃度は、塩化アンモニウム
の充填量と炉の大きさにより調整する。
【0033】固体状または液体状のハロゲンガス供給源
としては、例えば、固体状のK2 2 6 ・KFや固体
状のヨウ素、液体臭素や液体状の臭素酸、ハロゲン含有
高分子化合物などが挙げられる。固体状のハロゲンガス
供給源についても塩化アンモンニウムと同様にして使用
することができる。
【0034】ハロゲン化水素ガス濃度が高いほど、低温
度で短時間焼成するだけでも高純度のα−アルミナ粉末
を得ることが可能となる。ガスの供給方法としては連続
方式または回分方式のいずれの方法も使用することがで
きる。
【0035】焼成装置は必ずしも限定されず、通常の焼
成炉を用いることができる。焼成炉は、ハロゲン化水素
ガス、ハロゲンガス等に腐食されない材質で構成されて
いることが望ましく、さらに雰囲気を調整できる機構を
備えていることが望ましい。また、ハロゲン化水素ガス
やハロゲンガス等の酸性ガスを用いるため、焼成炉は気
密性であることが望ましく、工業的にはトンネル炉、ロ
−タリ−キルン、またはプッシャ−炉等を用いることが
できる。製造工程の中で用いられる装置の材質として
は、酸性の雰囲気中で反応が進行するため、アルミナ
製、石英製、耐酸煉瓦製、白金製、炭化ケイ素製、ムラ
イト製またはグラファイト製のルツボやボ−ト等が好ま
しく使用される。
【0036】上記した遷移アルミナ等の原料の焼成を工
業的により効率良く実施する方法として、固体状または
液体状のハロゲン化水素ガス源および/またはハロゲン
ガス源を焼成炉内に直接供給し、ハロゲン化水素ガスお
よび/またはハロゲンガスを含有する雰囲気中で連続的
に焼成する方法を挙げることができる。
【0037】この場合には、雰囲気の全体積に対して、
ハロゲン化水素ガス、ハロゲンガス、またはこれらの混
合物を1体積%以上、好ましくは5体積%以上、より好
ましくは10体積%以上含有する雰囲気ガスを形成する
よう固体状または液体状のハロゲン化水素ガス源、ハロ
ゲンガス源、またはこれらの混合物を焼成炉内に直接供
給して、遷移アルミナおよび/またはアルミナ化合物を
焼成することが好ましい。
【0038】また、ハロゲンガス源と水蒸気とを同時に
供給してもよい。この場合、焼成炉内のハロゲンガスお
よび水蒸気を含有する雰囲気の圧力は特に限定されず、
工業的に用いられる範囲において任意に選ぶことができ
る。
【0039】アルミナ原料を焼成する焼成炉内の雰囲気
中のハロゲン化水素ガスまたはハロゲンガスの濃度は、
上記の所定の濃度に保たれていれば十分であるので、ハ
ロゲン化水素ガス源またはハロゲンガス源となる固体状
または液体状の物質は、焼成炉内の雰囲気中のハロゲン
化水素ガスまたはハロゲンガスを上記の濃度に維持する
量だけ供給すればよい。また、過剰に供給しても特に問
題はなく、排出する必要もない。
【0040】ハロゲン化水素ガス源またはハロゲンガス
源となる固体状または液体状の物質は焼成炉内へ直接供
給されることが好ましい。これらのガス源は、単独で供
給してもよいがアルミナ原料と混合して供給してもよ
い。例えば、連続で操業するプッシャー式トンネル炉の
ような間欠的に原料を供給する炉の場合は、アルミナ原
料を入れる容器にガス源入れて炉内に挿入してもよいの
で、ボンベガスを用いる場合に比べてガス供給のための
設備が不要となる。
【0041】さらに、焼成炉の最高均熱ゾーンにおいて
ハロゲン化水素ガスおよび/またはハロゲンガスの濃度
を必要濃度以上に維持するため、固体状または液体状の
ハロゲン化水素ガス源および/またはハロゲンガス源が
分解して生成したハロゲン化水素ガスおよび/またはハ
ロゲンガスは、遷移アルミナおよび/またはアルミナ化
合物の供給方向と並流して流すことが好ましい。
【0042】ハロゲン化水素ガスおよび/またはハロゲ
ンガスをアルミナ原料の供給方向と並流に流す方法とし
ては、該アルミナ原料の入口側から炉内の最高均熱ゾー
ンの方向に該ガスを流し、窒素ガスでこれらのガスを搬
送する方法、または焼成して得られたα−アルミナ粉末
の取り出し口からブロワーで吸引する方法などが挙げら
れ、これにより炉内の焼成が行われる領域の雰囲気が常
に所定の濃度の雰囲気に保つことが容易になる。ここ
で、最高均熱ゾーンとは、遷移アルミナおよび/または
アルミナ化合物がハロゲン化水素ガスおよび/またはハ
ロゲンガスと反応して焼成が行われる領域のことで、炉
内ではここの温度が反応に最適な最高温度に維持されな
ければならない。
【0043】焼成温度は好ましくは600℃以上140
0℃以下、より好ましくは700℃以上1300℃以
下、さらに好ましくは800℃以上1200℃以下であ
る。この温度範囲に制御して焼成することにより、焼成
直後でも粒度分布の狭いα−アルミナ粒子からなる粉末
状のα−アルミナを工業的に有利な生成速度で得ること
ができる。
【0044】焼成時間は、アルミナ原料がα−アルミナ
に成長するまで焼成すれば十分であり、好ましくは1分
以上、より好ましくは10分以上である。従来の方法に
比べて、より短時間で目的とするα−アルミナ粉末を得
ることができる。焼成装置は連続に原料を供給し製品を
取り出すことができるトンネル炉やロータリーキルン等
の連続式焼成炉が用いられるが、特に電気加熱方式また
は間接ガス加熱方式のトンネル炉を用いることが好まし
い。
【0045】焼成炉はハロゲン化水素ガス、ハロゲンガ
ス等に腐食されない材質で構成されていることが望まし
く、さらには雰囲気を調整できる機構を備えていること
が望ましい。また、ハロゲン化水素ガスやハロゲンガス
等の酸性ガスを用いるので、焼成炉には気密性があり、
装置の材質は、アルミナ製、石英製、耐酸煉瓦製、白金
製、炭化ケイ素製、ムライト製またはグラファイト製の
ルツボやボ−ト等が好ましく使用される。
【0046】本発明の方法では、ハロゲン化水素ガスま
たは、ハロゲンガスまたは、ハロゲンガスと水蒸気を含
有する雰囲気下で焼成するため、焼成したものにハロゲ
ンが残留することからハロゲンを除去する。例えば、得
られた粒径が1μm以下の微粒のα−アルミナ粉末で
は、表面積が大きいことから焼成直後にはハロゲンが2
00ppm以上残留している場合がある。また粒径が数
μmの表面積が小さいα−アルミナ粉末粒子でも数十p
pm残留している場合がある。ハロゲンが数百ppm以
上残留している場合、例えば、封止材用原料として用い
たときに、ICに封止後、腐食性のハロゲンイオンが流
出してアルミニウム配線を断線させる等の問題を発生さ
せることがある。したがって、このようにハロゲンイオ
ンが悪影響を及ぼす用途、例えば、高純度焼結体用原
料、研磨材、セラミクフィルター、封止材用原料、単結
晶用原料等の用途に使用する場合にはハロゲンを除去す
ることが必要である。
【0047】ハロゲンの除去方法としては、例えば、次
のような方法が挙げられる。 (a)ハロゲンを含有したα−アルミナ粉末を、空気
中、窒素中、またはこれらに水蒸気、酸素、水素、二酸
化炭素、アルコール、アンモニアから選ばれる一種以上
のガスを0.1体積%以上、好ましくは1体積%以上、
さらに好ましくは10体積%以上含有する雰囲気中で5
50℃〜1400℃までの温度範囲で、好ましくは60
0〜1200℃、さらに好ましくは800〜1200℃
の温度範囲で熱処理する方法。熱処理時間は1分以上、
好ましくは10分以上、さらに好ましくは1時間以上で
ある。例えば、用途によりハロゲンの残留濃度を10p
pm以下とする場合は、上記のガスを1体積%以上含有
する雰囲気中で800℃以上で、30分以上熱処理すれ
ばよい。
【0048】(b)ハロゲンを含有したα−アルミナ粉
末を、不活性ガス雰囲気中で600〜1400℃、好ま
しくは900〜1200℃の温度範囲で熱処理する方
法。熱処理時間は1分以上、好ましくは30分以上、さ
らに好ましくは1時間以上である。
【0049】(c)ハロゲンを含有したα−アルミナ粉
末を、1Torr以下、好ましくは0.1Torr以下
の減圧下で400〜1400℃、好ましくは700〜1
200℃の温度範囲で熱処理する方法。熱処理時間は1
分以上、好ましくは10分以上、さらに好ましくは1時
間以上である。
【0050】(d〜f)ハロゲンを含有したα−アルミ
ナ粉末を、(d)水、アルカリ性溶液(pH9〜13)
またはアルコール溶液で洗浄処理後、70〜300℃の
温度範囲で乾燥処理する方法、(e)水、アルカリ性溶
液(pH9〜13)またはアルコール溶液を沸点まで加
熱して煮沸処理後、70〜300℃の温度範囲で乾燥処
理する方法、または(f)水、アルカリ性溶液(pH9
〜13)またはアルコール溶液を用い70〜200℃の
温度範囲でオートクレーブで処理後、70〜300℃の
温度範囲で乾燥処理する方法。
【0051】使用されるアルカリ性溶液は、特に限定は
されないが、アンモニア、水酸化ナトリウム等を所定の
pHに溶液を調整して用いることができる。また、使用
されるアルコール類としては、特に限定はされないが、
エタノール、メタノール等を用いることができる。
【0052】オートクレーブ処理をする場合には、各溶
媒の飽和蒸気圧で処理すれば十分脱ハロゲン効果がある
が、処理時間を短くしたい場合は加圧機構のあるオート
クレーブを用いることが好ましい。いずれの場合も除去
されるハロゲン量は微量であるので、通常使用される市
販の焼成炉やオートクレーブを使用することができる。
【0053】さらに、α−アルミナ粉末が微粒の場合、
一部が軽く凝集している粒子が存在する場合があるた
め、用途によっては解砕工程を加えることが好ましい。
解砕工程は、脱ハロゲン工程の前または後を選択するこ
とができるが、工業的な生産設備を考える場合、いずれ
か都合のよい順序でプロセスを設計することができる。
【0054】解砕方法は、特に限定されるものではない
が、例えば、ジェットミル、振動ミル、ボールミル等を
用いて実施することができ、特にジェットミルを用いる
ことが好ましい。本発明で得られるα−アルミナ粉末の
凝集は弱く、小さい粉砕エネルギーでも十分粉砕するこ
とが可能であり、例えば、ジェットミルを用いる場合、
供給する空気の圧力は、従来法により製造されたα−ア
ルミナ粉末では十分な解砕ができない程度の圧力;1〜
6kg/cm2 でも本発明のα−アルミナ粉末を解砕す
ることができる。
【0055】本発明の方法により得られたα−アルミナ
粒子は、粒径が制御されており、形状が均一で、粒度分
布が狭いことから、高い充填性および均質に充填できる
優れた特性を有し、さらにハロゲン含有量が低いという
優れた性質を有する。また、本発明の粒子は結晶内部が
均一であるが、種晶を添加することなく製造されたα−
アルミナ粒子は、特に均一性が優れている。
【0056】該α−アルミナ粒子は、8面以上の多面体
の形状を有する六方最密格子であり、その六方格子面に
平行な最大粒子径をD、六方格子面に垂直な粒子径をH
としたときD/H比が0.5以上3.0以下であり、そ
の粒度分布が、微粒側から累積10%、累積90%の粒
径をそれぞれD10、D90としたときにD90/D1
0が10以下であるα−アルミナ粒子からなり、ハロゲ
ン含有量が40ppm以下である。該α−アルミナ粒子
の数平均粒径は、0.1μm以上30μm以下程度であ
る。
【0057】該α−アルミナ粒子は、充填性が高く、均
質に充填でき、さらにハロゲン含有量が低いことから、
単結晶用原料、高純度焼結体用原料、研磨材、セラミッ
クフィルター等の多孔体用原料、封止材用原料等に使用
することができる。
【0058】粒度分布は、D90/D10が10以下で
あるが、好ましくは7以下である。D90/D10が7
以下では充填性が良好であるので、特に高い充填性が要
求される単結晶用原料、封止材用原料等の用途に好まし
い。
【0059】ハロゲン含有量は、40ppm以下であ
り、好ましくは20ppm以下、より好ましくは10p
pm以下である。単結晶用原料、高純度焼結体用原料等
の用途にはハロゲン含有量が20ppm以下であること
が好ましい。さらにハロゲンによる腐食が問題となる封
止材用原料の用途にはハロゲン含有量が10ppm以下
であることが好ましい。
【0060】アルミナ純度は、使用原料の純度に依存す
るが、本発明の方法によれば使用原料と同等またはそれ
以上のアルミナ純度のα−アルミナ粒子を得ることがで
きる。アルミナ純度は、99.90重量%以上であるこ
とが好ましく、特に99.95重量%以上であることが
好ましい。
【0061】単結晶用原料用途にはアルミナ純度が9
9.90重量%以上であることが好ましい。また、高純
度焼結体用原料の用途にはアルミナ純度が99.95重
量%以上であることが好ましい。アルミナ純度が99.
95重量%以上では、異常粒成長が起きず、均一な組織
を有する高強度の焼結体を得ることができ、また単結晶
原料でも固体レーザー用等の特に高純度を必要とする用
途に使用することができる。本発明の方法によれば、F
eおよびCaの含有量を減少させることができるので、
異常粒成長が起きず、特に高純度焼結体用原料として好
ましい。
【0062】α−アルミナ粒子は、例えば、以下に示す
ような方法により加工して上記の用途に使用することが
できる。単結晶を製造する場合は、例えば、ルツボに原
料α−アルミナ粉末を充填し、融点まで昇温、融解した
後、冷却するというプロセスを数回繰り返し、ルツボに
融液を充分充填した後、これを引き上げるチョクラルス
キー法により製造する。この方法では、コスト面や不純
物の混入防止の観点から、昇温、融解の回数を減らすこ
とが要望されており、そのためには原料α−アルミナ粉
末の充填密度を高くすることが好ましい。本発明のα−
アルミナ粉末は、粒径が制御され、形状が均一で、粒度
分布が狭いため、従来のα−アルミナに比べて充填密度
が高いことから単結晶用原料として好ましい。
【0063】高純度焼結体およびセラミックフィルター
等の多孔体を製造する場合は、本発明のα−アルミナ粉
末をプレス成形、スリップキャスト、射出成形、押出し
成形等の方法により成形し、これを焼結、加工すること
により製造する。高純度焼結体は、成形体中の粉末の充
填が不均一な場合、焼結時に不均一な収縮が起こり寸法
精度が低下し、また、粒度分布が広く凝集粒が存在した
り不純物が存在する場合には強度や耐磨耗性が低下する
ため、該用途には凝集粒がなく均一に充填した成形体が
得られるα−アルミナ粉末を使用することが好ましい。
本発明のα−アルミナ粉末は形状が均一で粒度分布が狭
く、均一に充填することが可能であるため高純度焼結体
用途に好ましい。
【0064】セラミックフィルター等の多孔体は、用途
により濾過する物質の粒径が異なり、また濾過効率が高
いことが要求されるため、多孔体中の細孔径が制御可能
で、細孔径分布が狭い多孔体が好ましい。本発明のα−
アルミナ粉末は形状が均一で粒度分布が狭く、粒径を制
御することが可能であるため、成形体中の細孔径を制御
することが可能で、任意の細孔径を有するセラミックフ
ィルター等の多孔体を製造することができるため好まし
く使用される。
【0065】また、本発明のα−アルミナ粉末は、エポ
キシ樹脂と混合して、これをICやLSIに塗布するな
どしてICやLSIの機械的強度、耐熱性、耐久性、熱
伝導性等を向上させる封止材として使用される。本発明
のα−アルミナ粉末は形状が均一で粒度分布が狭く、均
一に充填することが可能で、しかも腐食の原因となるハ
ロゲン等の含有量が少なく高純度であるため封止材原料
として好ましい。また、本発明のアルミナ粉末は、高い
圧壊強度を有しており、研磨材用として好ましい。
【0066】また、該α−アルミナ粉末は、高い充填
性、均質に充填できる優れた特性を有し、さらにハロゲ
ン含有量が低いことから、イットリウムアルミニウムガ
ーネット(YAG)、サファイア、ルビー等の単結晶用
原料、高純度焼結体用原料、研磨材、セラミックフィル
ター、封止材用原料等に使用することができる。
【0067】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明は実施例により限定されるものではない。
なお、本発明における各種測定は以下の方法で行った。 1.α−アルミナ粉末の数平均粒径と粒度分布(D90
/D10)の測定。 (1)数平均粒径は、α−アルミナ粉末の走査型電子顕
微鏡(日本電子株式会社製、T−300)写真から80
ないし100個の粒子を選び出して画像解析を行い、円
相当径の平均値とその分布を求めた。円相当径とは、面
積の等しい真円の直径に換算した値を言う。 (2)(D90/D10)の値は、レ−ザ−散乱法を測
定原理とするマスタ−サイザ−(マルバ−ン社製)を用
いて測定した。ここで、累積粒度分布の微粒側から、累
積10%、累積90%のところの粒径をそれぞれD1
0、D90と称する。
【0068】2.α−アルミナ粉末の形状(D/H)の
測定。 本発明においてα−アルミナ粉末の形状とは、六方最密
格子であるα−アルミナの六方格子面に平行な最大粒子
径をD、六方格子面に垂直な粒子径をHとしたときのD
/H比をいう。(D/H)はα−アルミナ粉末の走査型
電子顕微鏡(日本電子株式会社製、T−300)写真か
ら5ないし10個の粒子を選び出してD/Hを測定し、
その平均値として求めた。
【0069】3.ハロゲンの残留濃度測定。 10ppm以上の残留ハロゲン量は蛍光X線により測定
した。α−アルミナ粉末を直径40mmの容器に入れ、
これにX線を照射した。10ppm未満の残留ハロゲン
量はグロー放電質量分析法により測定した。α−アルミ
ナ粉末をIn線に付着させて分析した。
【0070】4.結晶面の数および晶癖の評価 (1)結晶面の数 α−アルミナのSEM(走査型電子顕微鏡、日本電子株
式会社製:T−300)写真を写し、その写真の画像解
析により求めた。 (2)晶癖の評価 また、本発明におけるα−アルミナの粒子の形状の評価
として、結晶の晶癖を観察した。本発明により得られた
α−アルミナ粒子の晶癖(AからIで表す)を図5に示
した。α−アルミナは六方晶であり、晶癖とはa面{1
120}、c面{0001}、n面{2243}および
r面{1012}からなる結晶面の現れ方で特徴づけら
れる結晶の形態をいう。図5に結晶面a、c、nおよび
rを記した。
【0071】5.アルミナ純度の測定 発光分析により不純物イオンの混入量を測定し、不純物
を酸化物換算して求めた。ハロゲン含有量は蛍光X線分
析法またはグロー放電質量分析法により求めた。このよ
うにして求めた不純物含有量(重量%)を100重量%
から差し引いてアルミナ純度とした。 6.粒子の圧壊強度の測定 ダイナミック超微小硬度計〔(株)島津製作所製〕によ
り測定した。
【0072】実施例において使用した遷移アルミナ等の
原料はつぎに示すとおりである。 1.遷移アルミナ アルミニウム有機金属化合物の加水分解法により得た水
酸化アルミニウムを焼成した遷移アルミナ(商品名:A
KP−G15、住友化学工業(株)製、2次粒径:約4
μm) 2.水酸化アルミニウム アルミニウム有機金属化合物の加水分解により合成して
得た粉末であり、2次粒径は約8μmである。 3.ハロゲン化水素ガスおよびハロゲンガス ハロゲン化水素ガスとしては塩化水素ガスを用いた。塩
化水素ガスは鶴見ソーダ(株)製のボンベ塩化水素ガス
(純度99.9%)を用いた。塩素ガスは藤本産業
(株)製のボンベ塩素ガス(純度99.4%)を用い
た。
【0073】実施例1 遷移アルミナとして、アルミニウム有機金属化合物の加
水分解法による遷移アルミナ粉末(商品名AKP−G1
5、住友化学工業株式会社製)を用いた。該遷移アルミ
ナ粉末200gをグラファイトボ−トに充填し、石英炉
芯管を用いた管状炉にて焼成した。希釈ガスとして窒素
ガスを用い、昇温速度500℃/時間にて昇温し、80
0℃になったときボンベ塩化水素ガスを導入した。雰囲
気の濃度調整は流量計により窒素ガスとボンベ塩化水素
ガスのそれぞれのガス流量を調整した。雰囲気全体の流
量は線速度20mm/分に調整した。雰囲気ガスの全圧
はすべて大気圧であった。1100℃に至った後はその
温度で30分間保持した後、自然放冷した。得られたα
−アルミナ粉末を空気中600℃で30分間脱塩素を行
い、目的とするα−アルミナ粉末を得た。結果を表1お
よび表2に示す。実施例1で得た粉末状のα−アルミナ
のSEM写真を図1に、粒度分布を図2示す。粒子の圧
壊強度は580kg/mm2 と高い値であった。
【0074】実施例2 原料アルミナとして、アルミニウム有機金属化合物の加
水分解法により合成した水酸化アルミニウム(水アルと
略すことがある)を用いた以外は実施例1と同様にし
て、α−アルミナ粉末を得た。結果を表1および表2に
示す。
【0075】実施例3 遷移アルミナとして、明バン(和光純薬株式会社製)を
用いた以外は実施例1と同様にして、α−アルミナ粉末
を得た。結果を表1および表2に示す。
【0076】実施例4 遷移アルミナとして、硫バン(和光純薬株式会社製)を
用いた以外は実施例1と同様にして、α−アルミナ粉末
を得た。結果を表1および表2に示す。
【0077】実施例5 遷移アルミナとして、アルミニウム有機金属化合物の加
水分解法による遷移アルミナ粉末(商品名AKP−G1
5、住友化学工業株式会社製)を用いた。種晶としてα
−アルミナ粉末(商品名AKP−50、住友化学工業株
式会社製)11.6gを用い、これを上記遷移アルミナ
粉末に混合して211.6gとし、該混合物をグラファ
イトボ−トに充填し、以下、実施例1と同様にして、α
−アルミナ粉末を得た。結果を表1および表2に示す。
【0078】実施例6 実施例5で得たα−アルミナ粉末をジェットミル(日本
ニューマチック工業株式会社製、PJM−100SP)
により解砕した。解砕条件は、空気圧6kg/cm
2 で、粉末の供給速度を2.4kg/hrとした。結果
を表1および表2に示す。また、FeおよびCaの含有
量はそれぞれ7ppmおよび4ppmであった。
【0079】実施例7 遷移アルミナとして、アルミニウム有機金属化合物の加
水分解法による遷移アルミナ粉末(商品名AKP−G1
5、住友化学工業株式会社製)を用いた。種晶としてα
−アルミナ粉末(商品名AKP−50、住友化学工業株
式会社製)11.6gを用い、これを上記遷移アルミナ
粉末に混合して211.6gとし、該混合物をグラファ
イトボ−トに充填し、以下、実施例1と同様にして、雰
囲気温度1100℃で30分間保持した後、自然放冷し
てα−アルミナ粉末を得た。次に、得られたα−アルミ
ナ粉末をジェットミルにより解砕(空気圧6kg/cm
2 で、粉末の供給速度を2.4kg/hr)してから空
気中600℃で30分間脱塩素を行い、目的とするα−
アルミナ粉末を得た。結果を表1および表2に示す。
【0080】実施例8 遷移アルミナとして、アルミニウム有機金属化合物の加
水分解法による遷移アルミナ粉末(商品名AKP−G1
5、住友化学工業株式会社製)を用いた。種晶としてα
−アルミナ粉末(商品名AKP−50、住友化学工業株
式会社製)11.6gを用い、これを上記遷移アルミナ
粉末に混合して211.6gとし、該混合物をグラファ
イトボ−トに充填し、石英炉芯管を用いた管状炉にて焼
成した。昇温速度500℃/時間にて昇温し、400℃
になったときボンベ塩化水素ガスのみを導入した。雰囲
気の濃度調整は流量計によりボンベ塩化水素ガスの流量
を調整して行った。雰囲気全体の流量は線速度20mm
/分に調整した。雰囲気ガスの全圧はすべて大気圧であ
った。600℃に至った後はその温度で90分間保持し
た後、自然放冷した。得られたα−アルミナ粉末を空気
中600℃で30分間脱塩素を行った後、ジェットミル
により解砕(空気圧6kg/cm2 で、粉末の供給速度
を2.4kg/hr)して目的とするα−アルミナ粉末
を得た。結果を表1および表2に示す。
【0081】実施例9 遷移アルミナとして、アルミニウム有機金属化合物の加
水分解法による遷移アルミナ粉末(商品名AKP−G1
5、住友化学工業株式会社製)を用いた。種晶としてα
−アルミナ粉末(商品名AKP−50、住友化学工業株
式会社製)11.6gを用い、これを上記遷移アルミナ
粉末に混合して211.6gとし、該混合物をグラファ
イトボ−トに充填し、石英炉芯管を用いた管状炉にて焼
成した。昇温速度500℃/時間にて昇温し、800℃
になったときボンベ塩素ガスのみを導入した。雰囲気の
濃度調整は流量計によりボンベ塩素ガスの流量を調整し
て行った。雰囲気全体の流量は線速度20mm/分に調
整した。雰囲気ガスの全圧はすべて大気圧であった。1
200℃に至った後はその温度で30分間保持した後、
自然放冷した。得られたα−アルミナ粉末を空気中60
0℃で30分間脱塩素を行った後、ジェットミルにより
解砕(空気圧6kg/cm2 で、粉末の供給速度を2.
4kg/hr)して目的とするα−アルミナ粉末を得
た。結果を表1および表2に示す。
【0082】実施例10 遷移アルミナとして、アルミニウム有機金属化合物の加
水分解法による遷移アルミナ粉末(商品名AKP−G1
5、住友化学工業株式会社製)を用いた。種晶としてα
−アルミナ粉末(商品名AKP−50、住友化学工業株
式会社製)11.6gを用い、これを上記遷移アルミナ
粉末に混合して211.6gとし、該混合物をグラファ
イトボ−トに充填し、石英炉芯管を用いた管状炉にて焼
成した。希釈ガスとして窒素ガスを用い、昇温速度50
0℃/時間にて昇温し、600℃になったときボンベ塩
素ガスと水蒸気とを導入した。雰囲気の濃度調整は流量
計により窒素ガスとボンベ塩素ガスのそれぞれのガス流
量を調整した。雰囲気全体の流量は線速度20mm/分
に調整した。雰囲気ガスの全圧はすべて大気圧であっ
た。800℃に至った後はその温度で90分間保持した
後、自然放冷した。次に、得られたα−アルミナ粉末を
ジェットミルにより解砕(空気圧6kg/cm2 で、粉
末の供給速度を2.4kg/hr)してから空気中60
0℃で30分間脱塩素を行い、目的とするα−アルミナ
粉末を得た。結果を表1および表2に示す。
【0083】実施例11 遷移アルミナとして、アルミニウム有機金属化合物の加
水分解法による遷移アルミナ粉末(商品名AKP−G1
5、住友化学工業株式会社製)を用いた。形状制御剤と
してMgO粉末(和光純薬株式会社製)6gを用い、こ
れを上記遷移アルミナ粉末に混合して206gとし、該
混合物をグラファイトボ−トに充填し、石英炉芯管を用
いた管状炉にて焼成した。希釈ガスとして窒素ガスを用
い、昇温速度500℃/時間にて昇温し、800℃にな
ったときボンベ塩化水素ガスを導入した。雰囲気の濃度
調整は流量計により窒素ガスとボンベ塩化水素ガスのそ
れぞれのガス流量を調整した。雰囲気全体の流量は線速
度20mm/分に調整した。雰囲気ガスの全圧はすべて
大気圧であった。1100℃に至った後はその温度で3
0分間保持した後、自然放冷した。得られたα−アルミ
ナ粉末を空気中600℃で30分間脱塩素を行い、目的
とするα−アルミナ粉末を得た。結果を表1および表2
に示す。
【0084】実施例12 遷移アルミナとして、アルミニウム有機金属化合物の加
水分解法による遷移アルミナ粉末(商品名AKP−G1
5、住友化学工業株式会社製)を用いた。種晶としてα
−アルミナ粉末(商品名AKP−50、住友化学工業株
式会社製)11.6gを用い、形状制御剤としてMgO
粉末(和光純薬株式会社製)6gを用い、これを上記遷
移アルミナ粉末に混合して217.6gとし、該混合物
をグラファイトボ−トに充填し、石英炉芯管を用いた管
状炉にて焼成した。希釈ガスとして窒素ガスを用い、昇
温速度500℃/時間にて昇温し、800℃になったと
きボンベ塩化水素ガスを導入した。雰囲気の濃度調整は
流量計により窒素ガスとボンベ塩化水素ガスのそれぞれ
のガス流量を調整した。雰囲気全体の流量は線速度20
mm/分に調整した。雰囲気ガスの全圧はすべて大気圧
であった。1100℃に至った後はその温度で30分間
保持した後、自然放冷した。次に、得られたα−アルミ
ナ粉末をジェットミルにより解砕してから空気中600
℃で30分間脱塩素を行い、目的とするα−アルミナ粉
末を得た。結果を表1および表2に示す。
【0085】実施例13 遷移アルミナとして、アルミニウム有機金属化合物の加
水分解法による遷移アルミナ粉末(商品名AKP−G1
5、住友化学工業株式会社製)を用いた。種晶としてα
−アルミナ粉末(商品名AKP−50、住友化学工業株
式会社製)11.6gを用い、これを上記遷移アルミナ
粉末に混合して211.6gとし、該混合物をグラファ
イトボ−トに充填し、以下、実施例1と同様にして、雰
囲気温度1100℃で30分間保持した後、自然放冷し
てα−アルミナ粉末を得た。次に、得られたα−アルミ
ナ粉末を空気中1000℃で30分間脱塩素を行った
後、ジェットミルにより解砕(空気圧6kg/cm
2 で、粉末の供給速度を2.4kg/hr)して目的と
するα−アルミナ粉末を得た。結果を表1および表2に
示す。
【0086】実施例14 脱塩素の温度を900℃とした以外は実施例13と同様
にして目的とするα−アルミナ粉末を得た。結果を表1
および表2に示す。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】実施例15 脱塩素を窒素雰囲気中1100℃で180分間行った以
外は実施例13と同様にして目的とするα−アルミナ粉
末を得た。結果を表3および表4に示す。
【0090】実施例16 ロータリーポンプ(真空機工株式会社製、GVD−05
0A)で0.1Torrに減圧して、1000℃で脱塩
素を60分間行う以外は実施例13と同様にして目的と
するα−アルミナ粉末を得た。結果を表3および表4に
示す。
【0091】実施例17 水で洗浄した後、250℃で60分間乾燥して脱塩素を
行う以外は実施例13と同様にして目的とするα−アル
ミナ粉末を得た。結果を表3および表4に示す。
【0092】実施例18 実施例5で得たα−アルミナ粉末を水に浸し、オートク
レーブ中で180℃で2時間処理した後、ジェットミル
により解砕(空気圧6kg/cm2 で、粉末の供給速度
を2.4kg/hr)して目的とするα−アルミナ粉末
を得た。結果を表3および表4に示す。
【0093】実施例19〜22 表1に示す雰囲気ガス組成、焼成温度、焼成時間とする
以外は、実施例5と同様にしてα−アルミナ粉末を得
た。結果を表3および表4に示す。
【0094】実施例23 脱ハロゲン処理より前の工程は、実施例1と同様に行い
α−アルミナ粉末を得た。得られたα−アルミナ粉末約
1gをアルミナ製坩堝に充填し、減圧下にて真空焼成に
より脱塩素処理を行った。α−アルミナを充填した坩堝
を室温にて電気炉(メタルエレメント炉)内に入れ、密
閉してロータリーポンプを用いて約0.1Torrまで
真空度を上昇させた後、ロータリーポンプを運転しなが
ら、昇温速度5℃/分で200℃まで上昇させ、200
℃に到達後、温度200℃、真空度0.1Torrで2
時間保持した。ついで降温速度20℃/分で室温まで炉
内にて放冷した。塩素含有量は3ppmであった。実験
条件および結果を表3および表4に示す。
【0095】実施例24 脱ハロゲン処理より前の工程は、実施例1と同様に行い
α−アルミナ粉末を得た。得られたα−アルミナ粉末の
脱ハロゲン処理をオートクレーブ中、180℃にて2時
間行い、目的とするα−アルミナを得た。塩素含有量は
1ppmであった。実験条件および結果を表3および表
4に示す。
【0096】実施例25 アルミナ原料として遷移アルミナ(γ−アルミナ、AK
P−G15、住友化学工業(株)製)200gと、種晶
としてのα−アルミナ(AKP−50、平均粒径0.6
μm、住友化学工業(株)製)11.6gを溶媒として
イソプロピルアルコールを用い攪拌し混合した。溶媒は
エバポレータにより乾燥除去した。このようにして得ら
れたアルミナ原料と種晶の混合物約200gをグラファ
イトボートに充填し、石英炉芯管を用いて管状炉にて焼
成した。窒素ガスを流通させつつ、昇温速度500℃/
時間にて昇温し、800℃になったとき、ボンベの塩化
水素ガスを導入した。雰囲気ガス濃度の調整は、流量計
によるガス流量の調節により行った。雰囲気ガスの流量
は線速度20mm/分に調整した。雰囲気ガスの全圧は
大気圧であった。1100℃に至った後はその温度で3
0分間保持した後、自然放冷してα−アルミナ粉末を得
た。得られたα−アルミナ粉末の塩素含有量をグロー放
電質量分析法により測定したところ310ppmであっ
た。得られたα−アルミナ粉末約1gをアルミナ製坩堝
に充填し、減圧下にて真空焼成により脱ハロゲン処理を
行った。α−アルミナを充填した坩堝を室温にて電気炉
内(メタルエレメント炉)内に入れ、密閉してロータリ
ーポンプを用いて約0.1Torrまで真空度を上昇さ
せた後、ロータリーポンプを運転しながら昇温速度5℃
/分で1000℃まで上昇させ、1000℃に到達後、
真空度0.1Torrで1時間保持した。ついで、降温
速度20℃/分で室温まで炉内にて放冷し、目的とする
脱ハロゲン処理されたα−アルミナ粉末を得た。実験条
件および結果を表3および表4に示す。
【0097】実施例26 雰囲気ガスとして塩化水素ガスの代わりに塩素ガスを反
応系に導入して実施例28と同様にして焼成した。得ら
れたα−アルミナ粉末をジェットミル(空気圧6kg/
cm2 、粉末の供給速度2.4kg/hr)により解砕
した。ついで、実施例25と同様にして脱ハロゲン処理
を行ない、目的とするα−アルミナ粉末を得た。実験条
件および結果を表3および表4に示す。
【0098】比較例1 原料アルミナとして、実施例2で用いたものと同じ水ア
ルを200g用い、石英炉芯管を用いた管状炉にて空気
中で焼成した。昇温速度500℃/時間にて昇温し11
00℃に至った後はその温度で30分間保持した後、自
然放冷した。目的とするα−アルミナ粉末を得ることが
できなかった。結果を表3および表4に示す。
【0099】比較例2 実施例5において、脱塩素の工程が無い場合は塩素の含
有量が310ppmのα−アルミナ粉末が得られた。結
果を表3および表4に示す。
【0100】比較例3 脱ハロゲン処理を行わない他は実施例1と同様に遷移ア
ルミナを焼成してα−アルミナ粉末を得た。得られたα
−アルミナ粉末の粒子形状と粒度分布は良好であった
が、塩素含有量は48ppmとかなり多かった。実験条
件および結果を表3および表4に示す。
【0101】比較例4 水熱法により合成された平均粒径10μmのα−アルミ
ナ粒子の圧壊強度は13kg/mm2 であった。
【0102】
【表3】
【0103】
【表4】
【0104】
【発明の効果】粒径が任意に制御され、形状が均一で、
粒度分布が狭く、これまでにない高い充填性と均質に充
填できる優れた特性を有し、さらにハロゲン含量が低い
α−アルミナ粉末を得ることが可能となり、該α−アル
ミナ粉末は、高純度焼結体用原料、研磨材、セラミック
フィルター等の多孔体用原料、封止材用原料、単結晶用
原料として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で観察されたα−アルミナの粒子構造
を示す。図面に代わる写真。倍率900倍の走査型電子
顕微鏡写真。
【図2】実施例1で観察されたα−アルミナの粒度分布
を示す。
【図3】実施例16で観察されたα−アルミナ粉末の粒
子構造を示す。図面に代わる写真。(倍率4900倍の
走査型電子顕微鏡写真。)
【図4】実施例16で得られたα−アルミナ粉末の粒度
分布図を示す。
【図5】α−アルミナ単結晶粒子の晶癖を表す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C04B 35/10 (31)優先権主張番号 特願平5−299998 (32)優先日 平5(1993)11月30日 (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 内田 義男 茨城県つくば市北原6 住友化学工業株式 会社内 (72)発明者 沢辺 佳成 茨城県つくば市北原6 住友化学工業株式 会社内 (72)発明者 渡辺 尚 茨城県つくば市北原6 住友化学工業株式 会社内 (72)発明者 小川 洋 茨城県つくば市北原6 住友化学工業株式 会社内

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】遷移アルミナまたはアルミナ化合物或いは
    これらの混合物を、ハロゲン化水素ガス、ハロゲンガス
    またはそれらの混合ガスの濃度が0.1体積%以上であ
    るハロゲン化水素含有ガス雰囲気、ハロゲン含有ガス雰
    囲気またはハロゲンガスと水蒸気含有雰囲下に焼成し、
    得られた焼成物からハロゲンを除去することを特徴とす
    るα−アルミナ粉末の製造方法。
  2. 【請求項2】遷移アルミナまたはアルミナ化合物或いは
    これらの混合物に、種晶または形状制御剤或いはこれら
    の混合物を添加する請求項1記載のα−アルミナ粉末の
    製造方法。
  3. 【請求項3】ハロゲン化水素ガス、ハロゲンガスまたは
    それらの混合ガスの濃度が1体積%以上であるハロゲン
    化水素含有ガス雰囲気、ハロゲン含有ガス雰囲気または
    ハロゲンガスと水蒸気含有雰囲下に焼成し、得られた焼
    成物からハロゲンを除去することを特徴とする請求項1
    記載のα−アルミナ粉末の製造方法。
  4. 【請求項4】固体状または液体状のハロゲン化水素ガス
    源またはハロゲンガス源或いはこれらの混合物を焼成炉
    内に直接供給して発生させたハロゲン化水素ガスまたは
    ハロゲンガス或いはこれらの混合物を1体積%以上含有
    する雰囲気中で、遷移アルミナまたはアルミナ化合物或
    いはこれらの混合物を焼成する請求項1または2記載の
    α−アルミナ粉末の製造方法。
  5. 【請求項5】固体状または液体状のハロゲン化水素ガス
    源またはハロゲンガス源或いはこれらの混合物を、遷移
    アルミナまたはアルミナ化合物或いはこれらの混合物と
    予め混合して焼成炉内に直接供給することを特徴とする
    請求項4記載のα−アルミナ粉末の製造方法。
  6. 【請求項6】焼成温度が600℃から1400℃である
    請求項4または5記載のα−アルミナ粉末の製造方法。
  7. 【請求項7】ハロゲン化水素ガス源がハロゲン化アンモ
    ニウムである請求項4または5記載のα−アルミナ粉末
    の製造方法。
  8. 【請求項8】ハロゲン化アンモニウムが塩化アンモニウ
    ムである請求項7記載のα−アルミナ粉末の製造方法。
  9. 【請求項9】種晶として、アルミニウム、チタン、バナ
    ジウム、クロム、鉄、ニッケルの化合物から選ばれた一
    種または二種以上を用いることを特徴とする請求項2記
    載のα−アルミナ粉末の製造方法。
  10. 【請求項10】形状制御剤として、マグネシウム、カル
    シウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウ
    ム、ニオブ、バナジウム、モリブデン、銅、亜鉛、ホウ
    素、ケイ素、ランタン、セリウム、ネオジウムの各金属
    単体およびそれらの化合物から選ばれた一種または二種
    以上を用いることを特徴とする請求項2記載のα−アル
    ミナ粉末の製造方法。
  11. 【請求項11】ハロゲン化水素ガスを0.1体積%以上
    含有する雰囲気中で500〜1400℃の温度範囲で焼
    成することを特徴とする請求項1または2記載のα−ア
    ルミナ粉末の製造方法。
  12. 【請求項12】ハロゲンガスを0.1体積%以上含有す
    る雰囲気中で950〜1500℃の温度範囲で焼成する
    ことを特徴とする請求項1または2記載のα−アルミナ
    粉末の製造方法。
  13. 【請求項13】ハロゲンガスを0.1体積%以上および
    水蒸気を0.01体積%以上含有する雰囲気中で500
    〜1400℃の温度範囲で焼成することを特徴とする請
    求項1または2記載のα−アルミナ粉末の製造方法。
  14. 【請求項14】ハロゲンを除去する工程が、下記の
    (a)〜(f)から選ばれる工程であることを特徴とす
    る請求項1、2または4記載のα−アルミナ粉末の製造
    方法。 (a)空気中、窒素中、またはされらに水蒸気、酸素、
    水素、二酸化炭素、アルコール、アンモニアから選ばれ
    た一種以上のガスを0.1体積%以上含有する雰囲気中
    で550℃〜1400℃の温度範囲で熱処理する工程。 (b)不活性ガスの雰囲気中で600〜1400℃の温
    度範囲で熱処理する工程。 (c)1Torr以下の減圧下で400〜1400℃の
    温度範囲で熱処理する工程。 (d)水、アルカリ性溶液またはアルコール溶液で洗浄
    した後、乾燥処理する工程。 (e)水、アルカリ性溶液またはアルコール溶液を沸点
    まで加熱して煮沸処理した後、乾燥処理する工程。 (f)水、アルカリ性溶液またはアルコール溶液を用い
    70〜200℃の温度範囲でオートクレーブで処理した
    後、乾燥処理する工程。
  15. 【請求項15】8面以上の多面体形状を有する六方最密
    格子であり、α−アルミナの六方格子面に平行な最大粒
    子径をD、六方格子面に垂直な粒子径をHとしたとき、
    D/H比が0.5以上3.0以下であり、累積粒度分布
    の微粒側から累積10%、累積90%の粒径をそれぞれ
    D10、D90としたとき、D90/D10が10以下
    である粒度分布を有するα−アルミナ粒子からなり、該
    α−アルミナ粒子のハロゲン含有量が40ppm以下で
    あることを特徴とするα−アルミナ粉末。
  16. 【請求項16】ハロゲン含有量が10ppm以下である
    ことを特徴とする請求15記載のα−アルミナ粉末。
  17. 【請求項17】アルミナ純度が99.90重量%以上で
    ある請求項15記載のα−アルミナ粉末。
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