JPH06191833A - α−アルミナ - Google Patents

α−アルミナ

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JPH06191833A
JPH06191833A JP5156062A JP15606293A JPH06191833A JP H06191833 A JPH06191833 A JP H06191833A JP 5156062 A JP5156062 A JP 5156062A JP 15606293 A JP15606293 A JP 15606293A JP H06191833 A JPH06191833 A JP H06191833A
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JP
Japan
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alumina
alpha
particle size
gas
raw material
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Application number
JP5156062A
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English (en)
Inventor
Masahide Mori
正英 毛利
Yoshio Uchida
義男 内田
Yoshinari Sawabe
佳成 沢辺
Takashi Watanabe
尚 渡辺
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Publication date
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  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
  • Compounds Of Alkaline-Earth Elements, Aluminum Or Rare-Earth Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】均質で内部に結晶種を有さず、8面以上の多面
体形状を有し、六方最密格子であるα−アルミナの六方
格子面に平行な最大粒子径をD、六方格子面に垂直な粒
子径をHとしたとき、D/H比が0.5以上3.0以下
であるα−アルミナ単結晶粒子からなり、数平均粒径が
0.1μm以上5μm以下であり、粒度分布が狭いこと
を特徴とする粉末状のα−アルミナ。 【効果】球形に近い形状を有し、微細で構造的に均質な
α−アルミナ単結晶粒子からなる粒度分布の狭い粉末状
のα−アルミナは、研磨材、焼結体用原料、プラズマ溶
射材、充填材、単結晶用原料、触媒担体用原料、蛍光体
用原料、封止材用原料、セラミックフィルター用原料
等、特に精密研磨材、高純度焼結体用原料、セラミック
フィルター用原料に適しており、工業的に極めて有用な
ものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、α−アルミナに関す
る。
【0002】
【従来の技術】α−アルミナ粉末は、研磨材、焼結体用
原料、プラズマ溶射材、充填材等に広く用いられてい
る。従来の一般的な製造方法により得られるα−アルミ
ナ粉末は、形状が不均一な多結晶体で、凝集粒子を多く
含み、粒度分布が広い、また用途によってはアルミナ純
度が低い等の問題があった。これらの問題点を克服する
ために、特定の用途においては後述する特殊な製造方法
によるα−アルミナ粉末が用いられてきた。しかしなが
ら、このような方法によってもα−アルミナの形状や粒
径を任意に制御することはできず、これまで粒度分布の
狭いα−アルミナ粉末を製造することは困難であった。
【0003】α−アルミナ粉末の特殊な製造方法として
は、水酸化アルミニウムの水熱処理による方法(以下、
水熱処理法という)、水酸化アルミニウムにフラックス
を添加して溶融して析出させる方法(以下、フラックス
法という)および水酸化アルミニウムを鉱化剤の存在下
で焼成する方法等が知られている。
【0004】まず、水熱処理法としては、特公昭57─
22886号公報にはコランダムを種晶として添加し粒
径を制御する方法が開示されているが、高温、高圧下で
の合成であり、得られるα−アルミナ粉末が高価になる
という問題があった。また、松井らの研究(ハイドロサ
ーマル反応、2巻、71〜78頁:水熱法によるアルミ
ナ単結晶の育成)によれば、水熱育成法(水熱処理法)
によりサファイア(α−アルミナ)種晶上にクロムを含
有するアルミナ単結晶を成長させて得られるα−アルミ
ナ単結晶にはひびが存在している。その原因を明らかに
するために結晶内部の均一性をしらべたところ、種晶と
成長結晶の境界部分に大きな歪みが存在し、境界近くの
成長結晶内で転移密度に対応すると考えられるエッチピ
ット密度も大きいことが確認され、ひびはこのような歪
みや欠陥と関連があると予想されるとともに、水熱育成
法の場合、結晶内にOH基や水が含有され易く、歪みや
欠陥の原因になることが考えられるとしている。
【0005】次に、フラックス法は、α−アルミナ粉末
を研磨材、充填材等に用いる目的でその形状や粒径を制
御する方法として提案されてきた。例えば、特開平3─
131517号公報には、融点が800℃以下のフッ素
系フラックスの存在下に水酸化アルミニウムを仮焼する
ことにより、平均粒径が2〜20μmであり、六方最密
格子であるα−アルミナの六方格子面に平行な最大粒子
径をD、六方格子面に垂直な粒子径をHとしたとき、D
/H比が5〜40の六角板状のα−アルミナ粒子を製造
する方法が開示されている。しかし、この方法では、粒
径が2μm以下の微細なα−アルミナ粉末ができず、ま
た形状はすべて板状であり、得られたα−アルミナ粉末
は、研磨材、充填材および単結晶用原料等の用途には必
ずしも十分なものではなかった。
【0006】α−アルミナ粉末の一般的でかつ最も安価
な製造方法はバイヤー法である。バイヤー法において
は、原料であるボーキサイトからα−アルミナ粉末を製
造する中間段階で水酸化アルミニウムまたは遷移アルミ
ナが得られる。ついで、水酸化アルミニウムまたは遷移
アルミナを大気中で焼成することにより、α−アルミナ
粉末が製造されている。
【0007】バイヤー法の中間段階において工業的に安
価に得られる水酸化アルミニウムまたは遷移アルミナ
は、通常、粒子径が10μmより大きな凝集粒子であ
り、これらの水酸化アルミニウムまたは遷移アルミナを
大気中で焼成して得られる従来のα−アルミナ粉末は、
凝集した粗粒を含む、形状が不定形の粉末であった。こ
の凝集した粗粒を含むα−アルミナ粉末は、それぞれの
用途に応じてボールミルや振動ミルを使用して解砕工程
を経て製品とされるが、解砕は必ずしも容易ではなく、
そのために解砕コストもかかり、また、解砕が困難なα
−アルミナ粉末は長時間にわたる解砕のために微粉末の
発生や異物の混入が生じ、特に研磨材としては不適当な
α−アルミナ粉末となる欠点を有していた。
【0008】このような問題を解決するために幾つかの
提案がなされてきた。例えば、α−アルミナ粒子の形状
を改良する方法として、特開昭59─97528号公報
には、原料にバイヤー法による水酸化アルミニウムを用
い、アンモニウムを含むホウ素およびホウ素系鉱化剤の
存在下に仮焼することにより、平均粒径が1〜10μm
であり、前記したD/H比が1に近いα−アルミナ粉末
を製造する方法が開示されている。しかし、この方法は
鉱化剤として添加したホウ素あるいはフッ素含有物質が
α−アルミナ中に残存するとともに、焼成時に凝集体を
生成するという欠点を有する。
【0009】さらに、バイヤー法により得られるナトリ
ウム含有水酸化アルミニウムを仮焼する際、効率よく脱
ナトリウムを行うと同時に、粒子径をコントロールする
方法として、フッ化アルミニウム、氷晶石等のフッ化物
および塩素、塩化水素等の塩素含有化合物の存在下で仮
焼する方法が英国特許第990801号に、また、ホウ
酸および塩化アンモニウム、塩酸または塩化アルミニウ
ムの存在下に仮焼する方法が西ドイツ国特許第1767
511号にそれぞれ開示されている。しかし、前者の方
法はフッ化アルミニウム等の鉱化剤を固体で混合するか
あるいは塩素およびフッ素ガスに水を添加することなく
供給し焼成するためため、生成したアルミナ粒子は形状
が不均一であり、粉末の粒度分布が広い等の品質上の問
題があった。また、後者の方法は鉱化剤として添加した
ホウ酸がホウ素含有物質としてα−アルミナ中に残存す
る。さらに、これらの方法は脱ナトリウムが主目的であ
るため、ナトリウムが脱ナトリウム剤と反応して生成し
たNaClやNa2 SO4 等のナトリウム塩を昇華ない
しは分解させるために1200℃以上の高温で焼成しな
ければならない等の不都合がある。
【0010】アルミナと塩化水素ガスの反応について
は、粒径2〜3mmに焼結されたα−アルミナと塩化水
素と、生成物の塩化アルミニウムとの反応平衡定数に関
する研究がツァイトシュリフト・フューレ・アンオルガ
ニッシェ・ウント・アルゲマイネ・ケミー(Zeit.
fur Anorg.und Allg.Chem.)
209頁、21巻(1932年)に報告されている。こ
の報告では原料の置かれた場所とは別の場所にα−アル
ミナが生成しているが、六角板状のものしか得られてい
ない。
【0011】特公昭43−8929号公報には、アルミ
ナ水和物を塩化アンモニウムとともに仮焼することによ
り、不純物の少ない平均粒径10μm以下のアルミナを
製造する方法が開示されている。しかし、この方法で得
られたアルミナ粉末は粒度分布が広いものであった。し
たがって、これまでα−アルミナの単結晶で微細でかつ
凝集粒子でなく、特に精密研磨材、焼結体用原料、セラ
ミックフィルター用原料等に最適な粉末は未だに得られ
ていなかった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、上記した問題を解決して、微細で、均質な、凝集粒
子でないα−アルミナ単結晶粒子からなる粉末状のα−
アルミナを提供することにある。特に、8面体以上の多
面体の形状を有し、D/Hが0.5以上3.0以下で、
粒度分布が狭く、アルミナ純度が高く、粒子内の組成が
均一で、構造的にも歪みがなく均質なα−アルミナ単結
晶粒子からなる、数平均粒径が0.1μm以上5μm以
下の粉末状のα−アルミナを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明はつぎの発明から
なる。 (1)均質で内部に結晶種を有さず、8面以上の多面体
形状を有し、六方最密格子であるα−アルミナの六方格
子面に平行な最大粒子径をD、六方格子面に垂直な粒子
径をHとしたとき、D/H比が0.5以上3.0以下で
あるα−アルミナ単結晶粒子からなり、数平均粒径が
0.1μm以上5μm以下であることを特徴とするα−
アルミナ。 (2)累積粒度分布の微粒側から累積10%、累積90
%の粒径をそれぞれD10、D90としたとき、D90
/D10が10以下である粒度分布を有する項(1)記
載のα−アルミナ。 (3)数平均粒径が0.5μm以上3μm以下である項
(1)または(2)記載のα−アルミナ。
【0014】以下に本発明について詳しく説明する。本
発明のα−アルミナは、原料として遷移アルミナまたは
熱処理により遷移アルミナとなるアルミナ原料を用いて
製造される。遷移アルミナとは、Al2 3として表さ
れる多形を有するアルミナのうち、α形以外の全てのア
ルミナを意味する。具体的には、γ−アルミナ、δ−ア
ルミナ、θ−アルミナ等を例示することができる。
【0015】熱処理により遷移アルミナとなるアルミナ
原料とは、焼成工程において、遷移アルミナを経由して
目的とする粉末状のα−アルミナを与える遷移アルミナ
の前駆体を意味する。具体的には、水酸化アルミニウ
ム;硫バン(硫酸アルミニウム);硫酸アルミニウムカ
リウムおよび硫酸アルミニウムアンモニウム等のいわゆ
る明バン類;アンモニウムアルミニウム炭酸塩の他、ア
ルミナゲル、例えば、アルミニウムの水中放電法による
アルミナゲル等を挙げることができる。
【0016】遷移アルミナおよび熱処理により遷移アル
ミナとなるアルミナ原料の合成方法は特に限定されな
い。例えば、水酸化アルミニウムはバイヤー法、有機ア
ルミニウム化合物の加水分解法あるいはコンデンサー等
のエッチング廃液から得られるアルミニウム化合物を出
発原料として合成する方法等により得ることができる。
【0017】遷移アルミナは、水酸化アルミニウムを熱
処理する方法、硫酸アルミニウムの分解法、明バン分解
法、塩化アルミニウムの気相分解法あるいはアンモニウ
ムアルミニウム炭酸塩の分解法等により得られる。
【0018】上記の遷移アルミナまたは熱処理により遷
移アルミナとなるアルミナ原料を、雰囲気ガスの全体積
に対して塩化水素ガス1体積%以上、好ましくは5体積
%以上、より好ましくは10体積%以上の雰囲気ガス中
にて焼成する。雰囲気ガスである塩化水素ガスの希釈ガ
スとしては、窒素、水素あるいはアルゴン等の不活性ガ
スおよび空気を用いることができる。塩化水素ガスを含
む雰囲気ガスの圧力は特に限定されず、工業的に用いら
れる範囲において任意に選ぶことができる。このような
雰囲気ガス中で焼成することにより、後述するように比
較的に低い焼成温度で、目的とする粉末状のα−アルミ
ナを得ることができる。
【0019】塩化水素ガスの代わりに塩素ガスおよび水
蒸気の混合ガスを用いることもできる。遷移アルミナま
たは熱処理により遷移アルミナとなるアルミナ原料を塩
素ガスおよび水蒸気を導入した雰囲気ガス中、雰囲気ガ
スの全体積に対して、塩素ガス1体積%以上、好ましく
は5体積%以上、より好ましくは10体積%以上と水蒸
気0.1体積%以上、好ましくは1体積%以上、より好
ましくは5体積%以上とを導入して焼成する。導入する
塩素ガスおよび水蒸気の希釈ガスとしては、窒素、水素
あるいはアルゴン等の不活性ガスおよび空気を用いるこ
とができる。塩素ガスおよび水蒸気を含む雰囲気ガスの
圧力は特に限定されず、工業的に用いられる範囲におい
て任意に選ぶことができる。このような雰囲気ガス中で
焼成することにより、後述するように比較的に低い焼成
温度で、目的とする粉末状のα−アルミナを得ることが
できる。
【0020】焼成温度は600℃以上、好ましくは60
0℃以上1400℃以下、より好ましくは700℃以上
1300℃以下、さらに好ましくは800℃以上120
0℃以下である。この温度範囲に制御して焼成すること
により、工業的に有利な生成速度で、生成するα−アル
ミナ粒子同士の凝集が起こりにくく、焼成直後でも粒度
分布の狭いα−アルミナ単結晶粒子からなる粉末状のα
−アルミナを得ることができる。
【0021】適切な焼成の時間は雰囲気ガスの濃度や焼
成の温度にも依存するので必ずしも限定されないが、好
ましくは1分以上、より好ましくは10分以上である。
アルミナ原料がα−アルミナに結晶成長するまで焼成す
れば十分である。従来の方法の焼成時間に比べて短い時
間で目的とする粉末状のα−アルミナを得ることができ
る。
【0022】雰囲気ガスの供給源や供給方法は特に限定
されない。遷移アルミナ等の原料が存在する反応系に上
記の雰囲気ガスを導入することができればよい。例え
ば、供給源としては通常はボンベガスを用いることがで
きるが、塩酸溶液や塩化アンモニウム等の塩素化合物あ
るいは塩素含有高分子化合物等を塩素ガス等の原料とし
て用いる場合には、それらの蒸気圧または分解により上
記した所定のガス組成になるようにして用いることもで
きる。塩化アンモニウム等の分解ガスを用いる場合は、
焼成炉内に固体物質が析出することによる操業の障害が
生じることがあり、また、塩化水素ガス濃度が高いほど
低温度、短時間の焼成、さらには高純度のアルミナを得
ることが可能になるため、塩化水素あるいは塩素は、そ
れらをボンベ等から直接に焼成炉内に供給する方が好ま
しい。ガスの供給方法としては連続方式または回分方式
のいずれでも用いることができる。
【0023】焼成装置は必ずしも限定されず、いわゆる
焼成炉を用いることができる。焼成炉は塩化水素ガス、
塩素ガス等に腐食されない材質で構成されていることが
望ましく、さらには雰囲気を調整できる機構を備えてい
ることが望ましい。また、塩化水素ガスや塩素ガス等の
酸性ガスを用いるので、焼成炉には気密性があることが
好ましい。工業的には連続方式で焼成することが好まし
く、例えば、トンネル炉、ロータリーキルンあるいはプ
ッシャー炉等を用いることができる。製造工程の中で用
いられる装置の材質としては、酸性の雰囲気中で反応が
進行するので、アルミナ製、石英製、耐酸レンガあるい
はグラファイト製のルツボやボート等を用いることが望
ましい。
【0024】上記の製造方法により凝集粒子でない本発
明のα−アルミナを得ることができる。原料あるいは製
造条件によっては凝集粒子であったり、凝集粒子を含む
ことがあるが、その場合においても凝集は軽度なもので
あり、簡単な解砕を行うことにより、容易に本発明のα
−アルミナを得ることができる。
【0025】本発明の数平均粒径が0.1μm以上5μ
m以下の粉末状のα−アルミナを得るためには、アルミ
ナ原料としてアルミナ純度が99.5〜99.9重量%
程度のものを用いることが好ましい。具体的には、バイ
ヤー法による水酸化アルミニウム粉末、それから得られ
る遷移アルミナ或いは明バン等を例示することができ
る。
【0026】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに詳しく説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。
【0027】なお、本発明における各種の測定はつぎの
ようにして行った。 1.α−アルミナの数平均粒径と粒度分布の測定 (1)(D90/D10)値は、レーザー散乱法を測定
原理とするマスターサイザー(マルバーン社製)を用い
て測定した。 (2)α−アルミナのSEM(走査型電子顕微鏡、日本
電子株式会社製:T−300)写真を写し、その写真か
ら80ないし100個の粒子を選び出して画像解析を行
い、円相当径の平均値とその分布を求めた。円相当径と
は、面積が等しい真円の直径に換算した値をいう。
【0028】2.α−アルミナの結晶形状(D/H)の
測定 本発明においてα−アルミナの形状とは、六方最密格子
であるα−アルミナの六方格子面に平行な最大粒子径を
D、六方格子面に垂直な粒子径をHとしたときのD/H
比をいう。(D/H)は、α−アルミナ粉末のSEM
(走査型電子顕微鏡、日本電子株式会社製:T−30
0)写真を写し、その写真から5ないし10個の粒子を
選び出して画像解析を行い、その平均値として求めた。
【0029】3.結晶面の数および晶癖の評価 (1)結晶面の数 α−アルミナのSEM(走査型電子顕微鏡、日本電子株
式会社製:T−300)写真を写し、その写真の画像解
析により求めた。 (2)晶癖の評価 また、本発明におけるα−アルミナの粒子の形状の評価
として、結晶の晶癖を観察した。本発明により得られた
α−アルミナ粒子の晶癖(AからIで表す)を図7に表
した。α−アルミナは六方晶であり、晶癖とはa面{1
120}、c面{0001}、n面{2243}および
r面{1012}からなる結晶面の現れ方で特徴づけら
れる結晶の形態をいう。図7に結晶面a、c、nおよび
rを記した。
【0030】4.アルミナ純度の測定 発光分析により不純物イオンの混入量を測定し、不純物
を酸化物換算して求めた。塩素含有量は電位差滴定法に
より求めた。このようにして求めた不純物含有量(重量
%)を100重量%から差し引いてアルミナ純度とし
た。 5.Na2 Oの測定 発光分析によりナトリウムイオンの混入量を測定し、酸
化物換算して求めた。
【0031】実施例において使用した遷移アルミナ等の
原料はつぎに示すとおりである。 1.遷移アルミナA アルミニウムイソプロポキシドの加水分解法により得た
水酸化アルミニウムを焼成した遷移アルミナ(商品名:
AKP−G15、住友化学工業(株)製、粒径:約4μ
m) 2.遷移アルミナC 水酸化アルミニウムCを空気中800℃で焼成して遷移
アルミナとしたもの2次粒径:約30μm
【0032】3.水酸化アルミニウムB バイヤー法による粉末(商品名:C301、住友化学工
業(株)製、2次粒径:約2μm) 4.水酸化アルミニウムC バイヤー法による粉末(商品名:C12、住友化学工業
(株)製、2次粒径:約47μm)
【0033】 5.明バン〔AlNH4 (SO4 )・12H2 O〕 熱処理により遷移アルミナとなるアルミナ原料。和光純
薬(株)製の試薬を用いた。
【0034】塩化水素ガスは鶴見ソーダ(株)製のボン
ベ塩化水素ガス(純度99.9%)を用いた。塩素ガス
は藤本産業(株)製のボンベ塩素ガス(純度99.4
%)を用いた。水蒸気の体積%は水の温度による飽和水
蒸気圧変化により制御し、窒素ガスにより炉内に導入し
た。
【0035】遷移アルミナまたは水酸化アルミニウム等
のアルミナ原料をアルミナボートに充填した。充填量は
0.4g、充填深さは5mmとした。焼成は石英製炉芯
管(直径27mm、長さ1000mm)を用いた管状炉
(株式会社モトヤマ製、DSPSH−28)で行った。
窒素ガスを流通させつつ、昇温速度500℃/時間にて
昇温し、雰囲気導入温度になったとき雰囲気ガスを導入
した。
【0036】雰囲気ガス濃度の調整は、流量計によりガ
ス流量の調整により行った。雰囲気ガスの流量は、線流
速を20〜49mm/分に調整した。この方式をガスフ
ロー方式と称することにする。雰囲気ガスの全圧はすべ
て大気圧であった。
【0037】所定の温度に到った後はその温度にて所定
の時間保持した。これをそれぞれ保持温度(焼成温度)
および保持時間(焼成時間)と称する。所定の保持時間
の経過後、自然放冷して目的とする粉末状のα−アルミ
ナを得た。水蒸気分圧は水の温度による飽和水蒸気圧変
化により制御し、水蒸気は窒素ガスにより焼成炉へ導入
した。
【0038】実施例1〜6 アルミナ原料として水酸化アルミニウムおよび遷移アル
ミナ(γ−アルミナ)を用いて、雰囲気ガスとして塩化
水素ガスを用いた実施例である。焼成温度(保持温度)
は1100℃または900℃であった。実施例2および
4で得られた粉末状のα−アルミナのSEM写真をそれ
ぞれ図4および図3に示した。実験条件および実験結果
を表1および表2に記した。
【0039】実施例7 雰囲気ガスとして塩素ガスおよび水蒸気を用い、ガス流
速を変えた他は実施例3と同様にして行った。実験条件
および実験結果を表1および表2に記した。
【0040】実施例8 アルミナ原料として明バンを用いた他は実施例3と同様
にして行った。実験条件および実験結果を表1および表
2に記した。得られた粉末状のα−アルミナのSEM写
真を図1に、粒度分布を図2に示した。
【0041】比較例1、2 従来の方法に従って水酸化アルミニウムCを空気中で焼
成した。実験条件および実験結果を表1および表2に記
した。比較例2で得られた粉末状のα−アルミナのSE
M写真を図5に示した。 比較例3 遷移アルミナAを雰囲気ガス中の塩化水素濃度を0.5
体積%と低くして焼成した。実験条件および実験結果を
表1および表2に記した。得られた粉末状のα−アルミ
ナのSEM写真を図6に示した。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】上記のようにして得られた微細で凝集粒子
でなく、アルミナ純度が高く、構造的にも均質であり、
粒度分布の狭いα−アルミナ単結晶粒子からなるα−ア
ルミナは、研磨材、焼結体用原料、プラズマ溶射材、充
填材、単結晶用原料、触媒担体用原料、蛍光体用原料、
封止材用原料、セラミックフィルター用原料等、特に精
密研磨材、焼結体用原料、セラミックフィルター用原料
に適しており、工業的に極めて有用なものである。
【0045】
【発明の効果】本発明のα−アルミナは、様々な種類、
形状、粒子サイズおよび組成のアルミナ原料から得られ
るものであり、内部に結晶種を有さず、高純度の、微細
で均質な、粒度分布が狭く、かつ凝集粒子でない8面体
以上の多面体形状を有するα−アルミナ単結晶粒子から
なるものである。具体的に言えば、本発明のα−アルミ
ナ単結晶粉末を構成する粒子は、その数平均粒径が0.
1μm以上5μm以下で、D/H比が0.5以上3.0
以下で、粒度分布が累積粒度分布の微粒側から累積10
%、累積90%の粒径をそれぞれD10、D90とした
ときのD90/D10比が10以下、好ましくは9以
下、特に好ましくは7以下と狭いという優れた特徴を有
している。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例8で観察されたα−アルミナの粒子構造
を示す。図面に代わる写真。倍率4900倍の走査型電
子顕微鏡写真。
【図2】実施例8で得られたα−アルミナの粒度分布を
示す。
【図3】実施例4で観察されたα−アルミナの粒子構造
を示す。図面に代わる写真。倍率1900倍の走査型電
子顕微鏡写真。
【図4】実施例2で観察されたα−アルミナの粒子構造
を示す。図面に代わる写真。倍率1900倍の走査型電
子顕微鏡写真。
【図5】比較例2で観察されたα−アルミナの粒子構造
を示す。図面に代わる写真。倍率1900倍の走査型電
子顕微鏡写真。
【図6】比較例3で観察されたα−アルミナの粒子構造
を示す。図面に代わる写真。倍率930倍の走査型電子
顕微鏡写真。
【図7】α−アルミナ単結晶粒子の晶癖を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 尚 茨城県つくば市北原6 住友化学工業株式 会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】均質で内部に結晶種を有さず、8面以上の
    多面体形状を有し、六方最密格子であるα−アルミナの
    六方格子面に平行な最大粒子径をD、六方格子面に垂直
    な粒子径をHとしたとき、D/H比が0.5以上3.0
    以下であるα−アルミナ単結晶粒子からなり、数平均粒
    径が0.1μm以上5μm以下であることを特徴とする
    α−アルミナ。
  2. 【請求項2】累積粒度分布の微粒側から累積10%、累
    積90%の粒径をそれぞれD10、D90としたとき、
    D90/D10が10以下である粒度分布を有する請求
    項1記載のα−アルミナ。
  3. 【請求項3】数平均粒径が0.5μm以上3μm以下で
    ある請求項1または2記載のα−アルミナ。
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