JP2013245149A - サファイア単結晶製造用原料アルミナ及びサファイア単結晶の製造方法 - Google Patents

サファイア単結晶製造用原料アルミナ及びサファイア単結晶の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】歪の小さいサファイア単結晶インゴットを得るために適した、サファイア単結晶製造用原料アルミナを提供する。
【解決手段】サファイア単結晶製造に用いられる原料アルミナであって、
下記(1)〜(3)で表される元素Xを少なくとも1種を含有し、該元素Xの含有量が原子換算で10ppm以上1000ppm以下であり、且つ、
シリコン(Si)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)及びスズ(Sn)の含有量が、原子換算で10ppm以下であることを特徴とするサファイア単結晶製造用原料アルミナ。
元素X:(1)イオン半径が0.3Å以下、且つ、価数が3価である元素
(2)イオン半径が0.4Å以上0.5Å以下、且つ、価数が4価である元素
(3)イオン半径が0.6Å以上0.7Å以下、且つ、価数が4価もしくは5価である元素。
【選択図】なし

Description

本発明は、サファイア単結晶製造用原料アルミナ及びサファイア単結晶の製造方法に関する。
化合物半導体は、2つ以上の原子がイオン結合により結合してできる半導体であり、III族元素とV族元素、あるいはII族元素とVI族元素等の組み合わせからなる。このような化合物半導体をサファイア単結晶等の基板上に成膜し、その上に電極等を形成した後に、研削、研磨及び切断などの工程を経て、発光素子等の半導体デバイスとして使用される。
基板となるサファイア基板は、例えば、アルミナ融液からサファイア単結晶を成長させる、チョクラルスキー法(CZ法)により製造された単結晶のインゴットを所定の厚みに切断して得ることができる。
このようなサファイア基板には、化合物半導体膜をサファイア単結晶のc面((0001)面)に成長させるため、c面が必要であるが、a軸引き上げだとc面を出すのに加工が難しい。c軸方位に引き上げれば、横からスライスすることで、c面基板を得ることができるので生産効率がよい。しかしながら、c軸引き上げでは、泡が生じやすい、結晶が異常成長するなどの問題がある。
さらに、チョクラルスキー法は、製造条件の影響を受けやすく、わずかな製造条件の変動により、得られるサファイア単結晶に結晶欠陥や歪が発生しやすく、インゴット引き上げ条件や温度条件などの精密な制御が必要となる。そのため、近年主流である大口径サファイア単結晶インゴットを形成する際に、インゴット全体にわたり結晶欠陥、歪の少ない結晶を作製することが困難とされている。
引き上げ法による歪の少ないサファイア単結晶の製造方法として、特許文献1には、酸化アルミニウムと、該酸化アルミニウムに対して、所定量のケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)及びスズ(Sn)の少なくとも一種の元素の酸化物を融液とし、この融液を用いてチョクラルスキー法でサファイア単結晶インゴットを得る方法が開示されている。
この方法は、純粋なアルミナ原料にわざと不純物として、Alと周期表で同族に属するSi、Ge、Snを添加し、生成する結晶にわざとひずみを与えて、結晶格子に柔軟性を持たせ、熱ひずみを相殺することにより、全体として結晶品質を上げる方法である。サファイア単結晶の主な構成元素となるアルミニウムとは異なる価数の元素が酸化アルミニウムに添加されることにより、得られるサファイア単結晶の歪が緩和されるものと考えられている。特にSiは、酸化物が安定で、添加による歪み緩和効果が大きい為、結晶育成がしやすく、単結晶化率も良好とされている。
しかしながら、特許文献1の方法では、得られるサファイア単結晶中に添加物元素であるSiやGeやSnが数十ppm程度取り込まれることで、結晶性を緩和させるものであるが、一般的にチョクラルスキー法で引上げた結晶の上部と下部では融液中の添加物元素の濃度が異なるため、サファイア単結晶インゴット中の添加物元素濃度を一様に制御することが困難という問題があった。
添加物元素が結晶へ取り込まれる量は、結晶育成速度などの育成条件でも調整可能であるが、結晶へ取り込まれる量を抑制するにも限界があり、また、取り込まれる濃度が少なすぎると、結晶歪みの少ない良質のサファイア単結晶を得ることができなくなる。
また、チョクラルスキー法等のサファイア単結晶インゴットの引き上げ育成法において、原料融液に対流がおこると、得られるサファイアインゴットに結晶ひずみが起こりやすい。また、加熱装置として、高周波加熱装置を用いることも多いが、高周波加熱装置では対流がおこりやすく、特に問題になっていた。
特開2012−12242号公報
このように、引き上げ育成法によるサファイア単結晶の製造方法には改良の余地が残されていた。
本発明の目的は、歪の小さいサファイア単結晶インゴットを得るために適した、サファイア単結晶製造用原料アルミナ及びサファイア単結晶の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> サファイア単結晶製造に用いられる原料アルミナであって、
下記(1)〜(3)で表される元素Xを少なくとも1種を含有し、該元素Xの含有量が原子換算で10ppm以上1000ppm以下であり、且つ、
シリコン(Si)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)及びスズ(Sn)の含有量が、原子換算で10ppm以下であるサファイア単結晶製造用原料アルミナ。
元素X:(1)イオン半径が0.3Å以下、且つ、価数が3価である元素
(2)イオン半径が0.4Å以上0.5Å以下、且つ、価数が4価である元素
(3)イオン半径が0.6Å以上0.7Å以下、且つ、価数が4価もしくは5価である元素
<2> 元素Xとして、ボロン(B)、セレン(Se)、ジルコニウム(Zr)及びタンタル(Ta)から選ばれる少なくとも1種を含む前記<1>に記載の原料アルミナ。
<3> 前記原料アルミナにおいて、元素X、シリコン(Si)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)及びスズ(Sn)を除いた他の成分中、アルミナ割合が99.99重量%以上である前記<1>または<2>に記載の原料アルミナ。
<4> 比表面積が0.1m2/g以上2.0m2/g以下であり、相対密度が80%以上95%以下であり、閉気孔率が4%以下であり、軽装かさ密度が1.0g/cm3以上である前記<1>から<3>のいずれかに記載の原料アルミナ。
<5> 前記<1>から<4>のいずれかに記載の原料アルミナを炉体内に配置した坩堝に入れて加熱溶融する工程と、
不活性ガス雰囲気中、前記原料アルミナが溶融した融液からサファイア単結晶インゴットを引き上げ育成する工程と、
を含むことを特徴とするサファイア単結晶の製造方法。
<6> 原料として、アルミナと、下記(1)〜(3)で表される元素Xから選ばれる少なくとも1種を含有する化合物とを、前記アルミナに対する元素Xの濃度が原子換算で10ppm以上1000ppm以下、且つ、シリコン(Si)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)及びスズ(Sn)の濃度が原子換算で10ppm以下、となる割合で炉体内に配置した坩堝に入れて加熱溶融する工程と、
不活性ガス雰囲気中、前記原料が溶融した融液からサファイア単結晶インゴットを引き上げ育成する工程と、
を含むサファイア単結晶の製造方法。
元素X:(1)イオン半径が0.3Å以下、且つ、価数が3価である元素
(2)イオン半径が0.4Å以上0.5Å以下、且つ、価数が4価である元素
(3)イオン半径が0.6Å以上0.7Å以下、且つ、価数が4価もしくは5価である元素。
<7> 元素Xが、ボロン(B)、セレン(Se)、ジルコニウム(Zr)及びタンタル(Ta)から選ばれる少なくとも1種である前記<6>に記載のサファイア単結晶の製造方法。
<8> 前記アルミナが、純度99.99重量%以上である前記<6>または<7>に記載のサファイア単結晶の製造方法。
<9> サファイア単結晶をc軸方位に引上げ育成する前記<5>から<8>のいずれかに記載のサファイア単結晶の製造方法。
<10> 前記<5>から<9>のいずれかに記載の方法にて製造されてなり、元素Xの濃度が原子換算で5ppm以下であるサファイア単結晶。
本発明によれば、結晶歪の小さく、不純物含有量が少ないサファイア単結晶を提供することができる。
単結晶引き上げ装置の構成図である。
以下、本発明について例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下の例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
<1.サファイア単結晶製造用原料アルミナ>
本発明は、サファイア単結晶製造に用いられる原料アルミナであって、下記(1)〜(3)で表される元素Xを少なくとも1種を含有し、該元素Xの含有量が原子換算で10ppm以上1000ppm以下であり、且つ、シリコン(Si)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)及びスズ(Sn)の含有量が、原子換算で10ppm以下であるサファイア単結晶製造用原料アルミナ(以下、単に「本発明の原料アルミナ」と称する場合がある。)に関する。
元素X:(1)イオン半径が0.3Å以下、且つ、価数が3価である元素
(2)イオン半径が0.4Å以上0.5Å以下、且つ、価数が4価である元素
(3)イオン半径が0.6Å以上0.7Å以下、且つ、価数が4価もしくは5価である元素。
本発明の原料アルミナは、上記イオン半径及び価数を満たす元素Xを1種又は2種以上含む。
元素Xとしては、上記(1)〜(3)で表される元素であればよいが、その中でも、元素Xが、ボロン(B)、セレン(Se)、ジルコニウム(Zr)及びタンタル(Ta)から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
原料酸化アルミニウムに対し、Si、Ge等を添加物元素とする特許文献1に記載された従来の方法では、これらの添加物元素を結晶中に取り込ませることにより、全体としての結晶品質を向上させているため、得られるサファイア単結晶には、これらの添加物元素を必然的に含有する。そのため、結晶育成中の融液中の添加物元素の濃度が変化し、サファイア単結晶インゴットの上部と下部で添加物元素濃度が異なるなど、サファイア単結晶インゴット中の添加物元素濃度を一様に制御することが難しく、結晶品質を一様に向上できないという問題が生じることがある。
これに対し、本発明の原料アルミナの特徴は、該アルミナを原料として得られるサファイア単結晶には、元素Xがほとんど取り込まれないことにある。
本発明の原料アルミナを原料として用いると、元素Xは結晶中にほとんど取り込まれることなく、結晶性を高めることができるため、結晶品質を一様に向上できないという問題が生じない。
本発明の原料アルミナを原料とすると、引き上げ育成法によって得られるサファイア単結晶における元素Xの濃度が、通常、原子換算で10ppm以下、好ましくは5ppm以下とすることができる。なお、本発明においては、添加物元素が含まれたものであっても、結晶性が保てていれば、サファイア単結晶、サファイア単結晶インゴットと呼ぶ。
また、引き上げ育成法としては、チョクラルスキー法が挙げられる。
本発明の原料アルミナ及び該原料アルミナを原料として、得られるサファイア結晶中の添加元素の濃度(元素Xの濃度)は、ICP発光分析で測定される。
本発明の原料アルミナを原料とすると、歪の小さいサファイア単結晶インゴットを得ることができる原因については、完全には明らかではないが、アルミナ融液の粘性が、不純物添加によって高くなり、融液がゆっくり対流して、サファイア基板にあたる力が弱くなることが一因と推測される。
本発明の原料アルミナの結晶構造は特に限定はなく、αアルミナ、γアルミナ、θアルミナ、χアルミナなどいかなる結晶構造でもよいが、BET比表面積が小さく吸着水分を抑制できる点でαアルミナが好ましい。
本発明の原料アルミナは、シリコン(Si)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)及びスズ(Sn)の含有量が、原子換算で10ppm以下であり、好ましくは、5ppm以下である。
Si、Ga、Ge及びSnの含有量が、原子換算で10ppmを超えると、本発明の原料アルミナを原料とした場合に得られるサファイア単結晶インゴットの結晶性が低下して、歪の小さいサファイア単結晶を得ることができなくなる。
本発明の原料アルミナにおける元素Xの含有量は、元素Xの種類によって適宜選択されるが、原子換算で10ppm以上1000ppm以下であり、好ましくは50ppm以上500ppm以下である。なお、上記含有量は、元素Xが2種以上含まれる場合は、すべての元素Xの合計量である。
元素Xの含有量が少なすぎると、元素Xの添加効果が不十分となり、歪の小さいサファイア単結晶インゴットを得ることが困難となる。
また、元素Xの含有量が多すぎると、融液の粘性等が過大に変化したり、着色や泡が生じるなど、結晶品質が逆に低下してしまうという問題が生じることがある。
本発明の原料アルミナが、元素Xを1種類のみを含む場合において、元素Xが、ボロン(B)である場合には、原子換算で10ppm以上100ppm以下が好ましい。
また、元素Xが、セレン(Se)の場合には、原子換算で100ppm以上1000ppm以下が好ましい。
また、元素Xが、ジルコニウム(Zr)の場合には、原子換算で100ppm以上1000ppm以下が好ましい。
また、元素Xが、タンタル(Ta)の場合には、原子換算で100ppm以上1000ppm以下が好ましい。
本発明の原料アルミナは、原料として、所定量の固体の酸化アルミニウムと、元素Xを含む化合物とを、坩堝等の適当な容器内で加熱溶融したのちに、冷却することで製造することができる。
元素Xを含む化合物としては、特に制限はないが、酸素原子以外の不純物元素の混入をできるだけ避けるために、通常、酸化物が用いられる。
本発明の原料アルミナは、元素X、シリコン(Si)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)及びスズ(Sn)を除いた他の成分中、アルミナ濃度が、99.99重量%以上である。
上記アルミナ濃度は、固体発光分光分析によって求めることができる。固体発光分光分析により、Na、Mg、Cu、Fe、Caの濃度を求め、それぞれの元素濃度の総和を100から差し引いて求めた。
アルミナ濃度=100−[Na+Mg+Cu+Fe+Ca濃度の合計](%)

この純度が、99.99重量%未満であると、結晶性が低下しすぎて、サファイア単結晶の歪みが大きくなりすぎるおそれがある。
なお、本発明の原料アルミナを上記純度にするためには、元素Xと混合融解させる前のアルミナとして、アルミナ純度99.99重量%以上のアルミナを使用すればよい。
ここで、アルミナ純度は、固体発光分光分析により、Na,Mg,Cu、Fe、Caの濃度を求め、それぞれの元素濃度の総和を100から差し引いて求めた。
また、本発明の原料アルミナは、比表面積が0.1m2/g以上2.0m2/g以下であることが好ましく、より好ましくは0.2m2/g以上1.0m2/g以下である。また、相対密度が80%〜95%であり、閉気孔率が4%以下であることが好ましい。さらには、軽装かさ密度が1.0g/cm3以上、好ましくは1.5g/cm3以上、さらに好ましくは2.0g/cm3以上である。
このような物性を有する原料アルミナであると、製造過程で閉気孔などに取り込まれる水分が少なく、加熱溶融させたときに、これらの水分により坩堝を酸化させるおそれがないため、サファイア単結晶インゴットの引き上げ育成法の原料として好適である。
なお、比表面積、相対密度、閉気孔率及び軽装かさ密度の具体的測定法は、以下のとおりである。
比表面積は、BET比表面積測定装置〔例えば、島津製作所社製「2300−PC−1A」〕を用いて窒素吸着法により測定する。
相対密度は、アルキメデス法で焼結密度を測定し、下式で算出する。
相対密度(%)=焼結密度〔g/cm3〕/3.98〔g/cm3;αアルミナ理論焼結密度〕×100
閉気孔率は粒子密度と細孔容積(開気孔体積)から、下記の式で算出する。細孔容積は試料を120℃で4時間乾燥後、水銀圧入法により細孔半径1μm以下の範囲の細孔容積として求める。また、粒子密度は、JIS R7222(1997)の真比重測定方法に基づき算出する。
閉気孔体積(cm3/g)=(1/粒子密度)−(1/3.98)
閉気孔率(%)=〔(閉気孔体積)/{(1/3.98)+細孔容積+閉気孔体積}〕×100
軽装かさ密度は、JIS R9301−2−3(1999)に基づき、試料を規定の容器に充填した後、その試料の重量と容積から算出する。
本発明の原料アルミナの形状は、粉末、顆粒、ペレット、円盤、ブロック等、いかなる形状であってもよいが、通常、粉末である。
<2.サファイア単結晶の製造方法>
以下、本発明のサファイア単結晶の製造方法について説明する。
本発明のサファイア単結晶の製造方法の第1の形態は、原料として上述の本発明の単結晶製造用原料アルミナを用い、該原料アルミナを炉体内に配置した坩堝に入れて加熱溶融する工程と、
不活性ガス雰囲気中、前記原料アルミナが溶融した融液からサファイア単結晶インゴットを引き上げ育成する工程と、を含むことを特徴とする。
上述のように、本発明の原料アルミナを原料として用いることにより、引き上げ法によって得られるサファイア単結晶には元素Xがほとんど取り込まれないため、結晶歪の小さく、不純物含有量が少ないサファイア単結晶を得ることができる。
また、本発明のサファイア単結晶の製造方法の他の形態として、本発明の原料アルミナに代えて、加熱溶解後の融液が、本発明の原料アルミナの融液と同等の組成となるようにアルミナ及び元素Xを含む原料化合物を使用してもよい。
すなわち、本発明のサファイア単結晶の製造方法の第2の形態は、原料として、シリコン(Si)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)及びスズ(Sn)の含有量が原子換算で10ppm以下であるアルミナと、
下記(1)〜(3)で表される元素Xから選ばれる少なくとも1種を含有する化合物とを、前記アルミナに対する元素Xの濃度が原子換算で10ppm以上1000ppm以下となるように炉体内に配置した坩堝に入れて加熱溶融する工程と、
不活性ガス雰囲気中、前記原料が溶融した融液からサファイア単結晶インゴットを引き上げ育成する工程と、
を含むことを特徴とする。
元素X:(1)イオン半径が0.3Å以下、且つ、価数が3価である元素
(2)イオン半径が0.4Å以上0.5Å以下、且つ、価数が4価である元素
(3)イオン半径が0.6Å以上0.7Å以下、且つ、価数が4価もしくは5価である元素。
上記第2の形態の製造方法でも、第1の形態の製造方法と同様に、結晶歪の小さく、不純物含有量が少ないサファイア単結晶を得ることができる。
以下、上記第1の形態、第2の形態の製造方法を総称して、「本発明のサファイア単結晶の製造方法」と称す場合がある。
本発明のサファイア単結晶の製造方法では、従来公知のサファイア製造用単結晶引き上げ装置を用いて製造することができる。例えば、特許文献1記載の装置を用いることができる。
以下、本発明のサファイア単結晶の製造方法における第1の形態を、サファイア単結晶インゴットの製造条件における、原料を加熱溶融する工程、インゴットを引き上げ育成する工程について詳細に説明する。
(原料を加熱溶融する工程)
サファイアインゴットの製造に際し、まず、上述した本発明のサファイア単結晶製造用原料アルミナを、坩堝に投入する。
そして、坩堝内の原料である本発明の原料アルミナを、加熱によって溶融し、アルミナ融液を得る。
なお、第2の形態として、原料として、本発明の原料アルミナに代えて、本発明の原料アルミナと同等の組成となるようにアルミナ及び元素Xを含む原料化合物を使用してもよい。
加熱に用いる炉は、抵抗炉、高周波加熱炉等の従来公知の加熱炉が使用できる。加熱炉によるアルミナ融液の加熱が不均一であると、アルミナ融液の対流によって、アルミナ融液から成長するサファイア単結晶の品質が低下するという問題がある。一般に、抵抗炉は、熱が均等にいきわたるため、アルミナ融液の対流が起こりにくいため好ましいが、本発明の原料アルミナ(あるいはアルミナ及び元素Xを含む原料化合物)からなる融液は、比較的加熱が不均一になりやすい高周波加熱炉を用いても、高品質なサファイア単結晶を成長させることができる。
加熱条件は、上記原料が融液になる温度であり、元素Xの種類によって、融解温度は若干異なるが、通常、2000℃以上2050℃以下で、10時間以上、好ましくは、2000℃以上2050℃以下で、15時間以上の条件である。
原料を加熱溶融する工程の雰囲気は、特に限定はないが、通常、不活性ガス雰囲気である。ここで、不活性ガスとは、ヘリウム、アルゴン、窒素などの非反応性のガスを意味する。
(インゴットを引き上げ育成する工程)
本工程は、上記原料を加熱溶融する工程にて得られたアルミナ融液から、サファイア単結晶インゴットを引き上げ育成する工程である。
インゴットを引き上げ育成する工程での雰囲気は、不活性ガス雰囲気であることを必須とし、炉体内の酸素濃度は、0.2〜1.0体積%の範囲が好ましく、より好ましくは、0.3〜0.8体積%である。酸素濃度が0.2体積%未満では、Al2O3-xの生成により結晶中にサブグレインが発生しやすくなる。酸素濃度が1.0体積%を超えると坩堝材料の酸化が進行し、坩堝の劣化が促進され、坩堝材から発生する酸化金属が炉内に飛散して融液に混入しやすくなり、その結果、結晶中に坩堝材が取り込まれ着色等の不良が発生しやすくなる。
インゴットを引き上げ育成する工程では、まず、上記原料を加熱溶融する工程にて得られたアルミナ融液に、種結晶の下端部を接触させる。この時の温度は、通常、1950℃〜2050℃である。
次いで、アルミナ融液に接触させた種結晶を回転させながら上方に引き上げ、種結晶の下方に肩部を形成する。引き続いて、種結晶を介して肩部を回転させながら上方に引き上げ、肩部の下方に直胴部を形成する。さらに引き続いて、種結晶および肩部を介して直胴部を回転させながら上方に引き上げてアルミナ融液から引き離し、直胴部の下方に尾部を形成する。
その後、得られたサファイアインゴットが冷却された後にチャンバの外部に取り出される。
得られるサファイアインゴットは、通常、上記肩部は、種結晶側から直胴部側に向けて、徐々にその直径が拡大していく形状を有する。また、直胴部は、上方から下方に向けてその直径がほぼ同じとなるような形状を有する。なお、直胴部の直径は、予め設計されたサファイア単結晶のウェハの直径よりもわずかに大きな値に設定される。
尾部は、上方から下方に向けて徐々にその直径が縮小し、上方から下方に向けて凸状となる形状(凸形状)を有する。
サファイアインゴットの結晶性(歪みの大小)は、インゴットの真ん中あたりからスライス加工して得られたサファイア単結晶基板を用い、偏光された光の透過状態(クロスニコル像の干渉線の滑らかさ)から評価することができる。
評価方法の詳細は、実施例にて詳述する。
本発明のサファイア単結晶の製造方法において、サファイア単結晶をc軸方位に引上げ育成することが好ましい。
このように引き上げ育成を行えば、上方の種結晶側から下方の尾部側に向けてc軸方向にサファイアの単結晶が成長するため、横からスライスすることによって、LEDを製造するためのGaN成長用基板に適したc面基板を得ることができる。
本発明のサファイア単結晶の製造方法において、取り出したサファイアインゴットを、インゴット状態で熱処理を行い、結晶育成中のインゴット内の温度分布によって生じた歪を緩和することが好ましい。
次に、このようにして得られたサファイアインゴットは、上方から下方に向けて同一径の直胴部を切り出し、切り出された直胴部は、さらに、例えば、マルチワイヤーソーなどの切断手段にて、厚さ0.5〜2mm程度に切断され、サファイア単結晶基板として切り出される。
次いで、基板表面をラップ、研磨加工して、表面がミラー加工されたサファイア単結晶基板を得る。サファイア単結晶のc軸方向に結晶成長していることから、得られる基板の主面は、サファイア単結晶のc面((0001)面)となる。
なお、基板の主面をc面およびc面からオフ角を付けて加工しても良い。また、c面以外で切り出すことも可能である。また、切り出された基板表面を平滑化や、表面を凹凸加工してもよい。
<サファイア単結晶>
本発明のサファイア単結晶は、上述の製造方法にて元素Xを含む本発明の原料アルミナ(または、融液時に本発明の原料アルミナと同一組成になるアルミナ及び元素Xを含む原料化合物)を原料として、製造されてなり、元素Xの濃度が原子換算で5ppm以下、好ましくは、3ppm以下である。
このように、本発明のサファイア単結晶は、結晶中の不純物濃度が低いので、化合物半導体成長用基板や偏光子保持基板などの用途に好適に用いることができる。
本発明のサファイア単結晶の形状は、特に限定されず、引き上げ育成後のサファイアインゴット、該インゴットをスライスしたサファイア基板など任意の形状を含む。
本発明のサファイア単結晶の応用方法は特に限定はなく、通常、サファイア基板として、発光素子、光デバイス、プロジェクターなどに好適に使用される。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
1.サファイア単結晶製造用原料アルミナ及びサファイアインゴットの製造
実施例1
(1)サファイア単結晶製造用原料アルミナの製造
直径がΦ50mmのイリジウムからなる坩堝に、高純度アルミナ原料を235g、添加物であるボロン原料化合物(B23)を0.016g(B:100ppm相当)、それぞれ投入し、N2雰囲気下で、徐々に温度を2050℃に上げアルミナ原料およびボロン原料化合物を溶解し、冷却することにより、実施例1の原料アルミナを得た。
(2)サファイアインゴットの製造
単結晶引き上げ装置を用いて、評価用のサファイアインゴットを製造した。図1に単結晶引き上げ装置の構成図を示す。加熱炉には、高周波炉を使用し、坩堝には直径がΦ50mmのIr製坩堝を使用した。
まず、得られた実施例1の原料アルミナを、イリジウムからなる坩堝に入れて、N2雰囲気下で、2050℃で溶解した。その後、c軸方位に切出した酸化アルミニウム単結晶を種結晶として用い、種結晶をアルミナ融液近くまで降下させた。この種結晶を5〜15rpmで回転させながら徐々に降下させ、種結晶の先端を融液に接触させて温度を徐々に降下させながら、引上げ速度0.5〜2mm/hの速度で結晶引上げを開始した。精密温度制御をしながら、サファイアインゴットの直径が約25mmの直胴部を形成し、尾部を含め長さ約100mmのサファイアインゴットを作製した。
表1に実施例1における添加物元素Xと、原料中のX濃度を示す。
実施例2,3
(1)サファイア単結晶製造用原料アルミナの製造
最初に坩堝に投入する原料を、高純度アルミナ原料235gに対し、ボロン原料化合物(B23)の添加量を0.032g(実施例2、B:200ppm相当)、0.064g(実施例3、B:400ppm相当)とした以外は、実施例1と同様にして、実施例2,3の原料アルミナを得た。
(2)サファイア単結晶の製造
実施例1の原料アルミナに代えて、実施例2,3の原料アルミナを使用した以外は、実施例1と同様にして、実施例2,3のサファイアインゴットを得た。
表1に実施例2,3における添加物元素Xと、原料中のX濃度を示す。
実施例4〜6
(1)サファイア単結晶製造用原料アルミナの製造
最初に坩堝に投入する原料における添加物をセレン原料化合物とし、高純度アルミナ原料235gに対し、セレン原料化合物(SeO2)の添加量を0.026g(実施例4、Se:100ppm相当)、0.051g(実施例5、Se:200ppm相当)、0.102g(実施例6、Se:400ppm相当)とした以外は、実施例1と同様にして、実施例4〜6の原料アルミナを得た。
(2)サファイアインゴットの製造
実施例1の原料アルミナに代えて、実施例4〜6の原料アルミナを使用した以外は、実施例1と同様にして、実施例4〜6のサファイアインゴットを得た。
表1に実施例4〜6における添加物元素Xと、原料中のX濃度を示す。
実施例7〜9
(1)サファイア単結晶製造用原料アルミナの製造
最初に坩堝に投入する原料における添加物をジルコニウム原料化合物とし、高純度アルミナ原料235gに対し、ジルコニウム原料化合物(ZrO2)の添加量を0.028g(実施例7、Zr:100ppm相当)、0.057g(実施例8、Zr:200ppm相当)、0.114g(実施例9、Zr:400ppm相当)とした以外は、実施例1と同様にして、実施例7〜9の原料アルミナを得た。
(2)サファイアインゴットの製造
実施例1の原料アルミナに代えて、実施例7〜9の原料アルミナを使用した以外は、実施例1と同様にして、実施例7〜9のサファイアインゴットを得た。
表1に実施例7〜9における添加物元素Xと、原料中のX濃度を示す。
実施例10〜12
(1)サファイア単結晶製造用原料アルミナの製造
最初に坩堝に投入する原料における添加物をタンタル原料化合物とし、高純度アルミナ原料235gに対し、タンタル原料化合物(Ta25)の添加量を0.102g(実施例10、Ta:100ppm相当)、0.204g(実施例11、Ta:200ppm相当)、0.407g(実施例12、Ta:400ppm相当)とした以外は、実施例1と同様にして、実施例10〜12の原料アルミナを得た。
(2)サファイアインゴットの製造
実施例1の原料アルミナに代えて、実施例10〜12の原料アルミナを使用した以外は、実施例1と同様にして、実施例10〜12のサファイアインゴットを得た。
表1に実施例10〜12における添加物元素Xと、原料中のX濃度を示す。
比較例1
(1)サファイアインゴットの製造
最初に坩堝に投入する原料において、高純度アルミナ原料235gのみとし、添加物を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例1のサファイアインゴットを得た。
比較例2〜4
(1)サファイア単結晶製造用原料アルミナの製造
最初に坩堝に投入する原料における添加物をガリウム原料化合物とし、高純度アルミナ原料235gに対し、ガリウム原料化合物(Ga23)の添加量を0.043g(比較例2、Ga:100ppm相当)、0.086g(比較例3、Ga:200ppm相当)、0.173g(比較例4、Ga:400ppm相当)とした以外は、実施例1と同様にして、比較例2〜4の原料アルミナを得た。
(2)サファイアインゴットの製造
実施例1の原料アルミナに代えて、比較例2〜4の原料アルミナを使用した以外は、実施例1と同様にして、比較例2〜4のサファイアインゴットを得た。
表1に比較例2〜4における添加物元素Xと、原料中のX濃度を示す。
2.サファイアインゴットの評価
2.1.サファイアインゴットの結晶性評価
上記実施例1〜12、及び比較例1〜4にそれぞれ示した手順によって得られたサファイアインゴットの中央を、ハンドソーによって切断し、切断面をポリッシングし、c面におけるクロスニコル像の干渉線の滑らかさで結晶内歪みを評価した。
結果を表1にまとめて示す。なお、表1における評価基準は以下のとおりである。

◎:滑らかな干渉線が観察される
○:概ね滑らかな干渉線が観察されるが、一部滑らかでない部分がある
△:干渉線は観察されるが、滑らかではない
×:干渉線が観察されず
また、実施例1〜12において、歪み観察結果はいずれも比較例1に比べて結晶品質の向上が認められた(△〜◎)。これに対し、比較例2では結晶内に添加元素が取り込まれたことに起因し、内部に歪みが発生したために干渉線が観察されず不良となった。
2.2.サファイアインゴット中の不純物量の評価
実施例1〜12、及び比較例1〜4にそれぞれ示した手順によって得られたサファイアインゴットに対し、ICP発光法を用いて、内部に存在する不純物を分析した。
結果を表1にまとめて示す。
まず、元素Xとしてボロン(B)を含む実施例1〜3では、原料中の添加物濃度が100、200、400ppmであったのに対し、得られた結晶中の元素X(B)の濃度は、いずれも3ppm以下であった。
この結果から、ボロン(B)は、サファイア結晶中にほとんど取り込まれていないことがわかる。
また、元素Xとしてセレン(Se)を含む実施例4〜6では、原料中の添加物濃度が100、200、400ppmであったのに対し、得られた結晶中の元素X(Se)の濃度はいずれも2ppm以下であった。
この結果から、セレン(Se)は、サファイア結晶中にほとんど取り込まれていないことがわかる。
また、元素Xとしてジルコニウム(Zr)を含む実施例7〜9では、原料中の添加物濃度が100、200、400ppmであったのに対し、得られた結晶中の元素X(Zr)の濃度は1ppm以下、2ppm、2ppmであった。
この結果から、ジルコニウム(Zr)は、サファイア結晶中にほとんど取り込まれていないことがわかる。
また、元素Xとしてタンタル(Ta)を含む実施例10〜12では、原料中の添加物濃度が100、200、400ppmであったのに対し、得られた結晶中の元素X(Ta)の濃度はいずれも2ppm以下であった。
この結果から、タンタル(Ta)は、サファイア結晶中にほとんど取り込まれていないことがわかる。
一方、ガリウム(Ga)を添加物とする比較例2〜4では、原料中の添加物濃度が22ppm、31ppm、110ppmと高濃度になったため、得られた結晶中に圧縮応力が発生し、結晶歪みが大きくなり干渉線が観察されなかった。
また、添加物を加えない比較例1では、原料中の添加物濃度が検出限界以下であり、得られた結晶中の不純物濃度(B、Se、Zr、Ta、Gaを測定)もすべて検出限界以下であった。
本発明の原料アルミナは、サファイア単結晶インゴットの製造用原料として適しており、該原料アルミナを加熱溶融し、チョクラルスキー法などのサファイア単結晶インゴットの引き上げ育成法によって、歪の小さいサファイア単結晶インゴットを得ることができる。該サファイア単結晶インゴットを加工して得られるサファイア単結晶は、結晶歪の小さく、不純物含有量が少ないため、発光素子など様々な用途に好適に使用できる。

Claims (10)

  1. サファイア単結晶製造に用いられる原料アルミナであって、
    下記(1)〜(3)で表される元素Xを少なくとも1種を含有し、該元素Xの濃度が原子換算で10ppm以上1000ppm以下であり、且つ、
    シリコン(Si)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)及びスズ(Sn)の濃度が、原子換算で10ppm以下であることを特徴とするサファイア単結晶製造用原料アルミナ。
    元素X:(1)イオン半径が0.3Å以下、且つ、価数が3価である元素
    (2)イオン半径が0.4Å以上0.5Å以下、且つ、価数が4価である元素
    (3)イオン半径が0.6Å以上0.7Å以下、且つ、価数が4価もしくは5価である元素
  2. 元素Xとして、ボロン(B)、セレン(Se)、ジルコニウム(Zr)及びタンタル(Ta)から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1に記載の原料アルミナ。
  3. 前記原料アルミナにおいて、元素X、シリコン(Si)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)及びスズ(Sn)を除いた他の成分中、アルミナ濃度が99.99重量%以上である請求項1または2に記載の原料アルミナ。
  4. 比表面積が0.1m2/g以上2.0m2/g以下であり、相対密度が80%以上95%以下であり、閉気孔率が4%以下であり、軽装かさ密度が1.0g/cm3以上である請求項1から3のいずれかに記載の原料アルミナ。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の原料アルミナを、炉体内に配置した坩堝に入れて加熱溶融する工程と、
    不活性ガス雰囲気中、前記原料アルミナが溶融した融液からサファイア単結晶インゴットを引き上げ育成する工程と、
    を含むことを特徴とするサファイア単結晶の製造方法。
  6. 原料として、アルミナと、下記(1)〜(3)で表される元素Xから選ばれる少なくとも1種を含有する化合物とを、前記アルミナに対する元素Xの濃度が原子換算で10ppm以上1000ppm以下、且つ、シリコン(Si)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)及びスズ(Sn)の濃度が原子換算で10ppm以下、となる割合で炉体内に配置した坩堝に入れて加熱溶融する工程と、
    不活性ガス雰囲気中、前記原料が溶融した融液からサファイア単結晶インゴットを引き上げ育成する工程と、
    を含むことを特徴とするサファイア単結晶の製造方法。
    元素X:(1)イオン半径が0.3Å以下、且つ、価数が3価である元素
    (2)イオン半径が0.4Å以上0.5Å以下、且つ、価数が4価である元素
    (3)イオン半径が0.6Å以上0.7Å以下、且つ、価数が4価もしくは5価である元素
  7. 元素Xが、ボロン(B)、セレン(Se)、ジルコニウム(Zr)及びタンタル(Ta)から選ばれる少なくとも1種である請求項6に記載のサファイア単結晶の製造方法。
  8. 前記アルミナが、純度99.99重量%以上である請求項6または7に記載のサファイア単結晶の製造方法。
  9. サファイア単結晶をc軸方位に引上げ育成する請求項5から8のいずれかに記載のサファイア単結晶の製造方法。
  10. 請求項5から9のいずれかに記載の方法にて製造されてなり、元素Xの濃度が原子換算で5ppm以下であるサファイア単結晶。
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