JP2002060413A - エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物の製造方法 - Google Patents
エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物の製造方法Info
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Abstract
VOH)のチップの洗浄工程を改善し、フィルムなどの
成形体の外観不良が抑制されたEVOHを効率的かつ安
全に製造する。 【解決手段】 塔型洗浄器10の塔上部1からメタノー
ルを含有する状態でEVOHチップを導入し、塔型洗浄
器の塔下部3から水を導入し、塔上部の溶液におけるメ
タノールの濃度を25〜45重量%に保ってチップを塔
上部から沈降させながら、塔上部2から不純物、メタノ
ールおよび水を導出し、塔底部4からチップを塔上部に
おける濃度よりも低濃度のメタノールを含む水とともに
導出する。塔上部1から、メタノールを含む調整液を導
入してもよい。
Description
ニル共重合体ケン化物(以下、「EVOH」と略称す
る)の製造方法に関する。
ットと称することもある)に残存または付着している不
純物は、フィルムなどへの成形加工時に着色やフィッシ
ュアイの発生の原因となるので取り除く必要がある。ま
た、製造において使用されるメタノールなどの溶媒は、
経済的および衛生的観点からできる限り回収する必要が
ある。
するために、従来は、チップを水と接触させて洗浄し、
その後、水を遠心脱水する工程を繰り返す方法が採用さ
れてきた。しかし、この洗浄方法には、大量の水を必要
とし、処理時間が長いという問題がある。
洗浄器の上部からEVOHのチップを含む混合液を導入
し、下部から酢酸エステルを含む洗浄液を導入して両者
を向流接触させて連続的に洗浄する方法が提案されてい
る。この方法は、洗浄効率の点では優れている。しか
し、洗浄液として酢酸エステルを使用しているため、安
全性およびコストの点で問題がある。
VOHチップの洗浄工程を改善し、フィルムなどの成形
体の外観不良が抑制されたEVOHを効率的かつ安全に
製造する方法を提供することを目的とする。
に、本発明のEVOHの製造方法は、EVOHのチップ
を洗浄することにより前記チップから不純物を除去する
工程を含むEVOHの製造方法であって、塔型洗浄器の
塔上部からメタノールを含有する状態で前記チップを導
入し、前記塔型洗浄器の塔下部から水を導入し、前記塔
上部の溶液におけるメタノールの濃度を25重量%以上
45重量%以下に保って前記チップを前記塔上部から沈
降させながら、前記塔上部から前記不純物、メタノール
および水を導出し、前記塔下部から前記チップを前記塔
上部の溶液における濃度よりも低濃度のメタノールを含
む水とともに導出することを特徴とする。上記製造方法
によれば、EVOHのチップを連続的かつ安全に洗浄で
きる。
らメタノールを含む調整液をさらに導入することとして
もよい。
に、EVOHのチップから特に除去すべき不純物として
は、酢酸ナトリウムが挙げられる。したがって、上記製
造方法では、塔下部から導出するチップにおける酢酸ナ
トリウムの含有量が200ppm(ppmは重量基準;
以下同様)以下となるようにEVOHのチップを洗浄す
ることが好ましい。
メタノールの含有量は、10000ppm以下が好まし
い。
について説明する。EVOHチップの洗浄液としては、
洗浄能力、安全性、コストなどの観点から水が適してい
る。また、洗浄の効率を考慮すると、塔型洗浄器を用い
たチップと洗浄液との向流接触が適している。しかし、
洗浄の対象とするEVOHチップは、比重が水より小さ
いメタノールを大量に含有するので、その比重は、メタ
ノール含有量、含水量および製造条件などにもよるが、
概ね、水の比重と同程度か、それよりも小さい値を有す
る。EVOHが水中を沈降しにくい現象は、従来の洗浄
工程において確認されていた。しかも、向流洗浄では、
水の上昇流に逆らってチップを沈降させる必要がある。
このため、水との向流接触によるEVOHチップの洗浄
は、従来、試みられてこなかった。
小さく、EVOHの製造工程において使用される溶媒で
もある。そこで、塔型洗浄器の塔上部の溶液におけるメ
タノールの濃度を調整しながらこの溶液にEVOHのチ
ップを供給したところ、チップが連続的に沈降すること
が確認された。こうして、EVOHの水による連続的な
洗浄が実現可能であることが見出された。
切な範囲は、25〜45重量%である。メタノールの濃
度が低すぎるとチップが塔上部に滞留することがあり、
逆に高すぎると洗浄のために塔を高くする必要が生じ、
コスト的に不利になることがある。かかる観点から、洗
浄の対象とするチップの状態にもよるが、メタノールの
さらに好ましい濃度は27重量%以上であり、より好ま
しい濃度は40重量%以下である。
ップには、メタノールが含まれている。この場合、塔上
部の溶液のメタノールの少なくとも一部は、EVOHチ
ップ自体から供給される。EVOHチップのメタノール
含有量は、製造条件、特にケン化後のペーストの濃縮条
件、ペーストを凝固させる浴の温度および液組成などに
左右されるが、通常、洗浄の対象とするチップの13〜
24重量%程度を占める。このメタノールは、チップか
ら洗い出された後に水とともに塔内を上昇して塔上部の
溶液の一部を構成する。一方、EVOHチップは、チッ
プ内のメタノールが水によって置換されながら、塔内を
沈降していく。塔内の液組成は、下に行くほどメタノー
ルの濃度が小さく比重が大きくなる。したがって、下に
行くほどチップの浮力が大きくなる。一方、沈降中のチ
ップは、下に行くほどメタノールの含有量が少なく含水
量が多くなり、比重が大きくなる。したがって、下に行
くほどチップの重力も大きくなる。これらは互いに打ち
消し合い、その結果、チップは滞留することなく塔下部
に到達する。
塔下部から供給される水の流量を制御することにより調
整できる。しかし、水の流量には、EVOHチップを沈
降させながらチップを洗浄するための適切な範囲が存在
する。このため、水の流量のみによるメタノール濃度の
制御には限界が生じる場合がある。また、特に洗浄の初
期段階では、メタノールの濃度が安定しない場合もあ
る。このような場合には、洗浄のための水とは別に、塔
上部に調整液を導入するとよい。
制限されず、メタノールのみを供給してもよいが、メタ
ノールと水の混合液を用いることが好ましい。調整液の
流量および成分(比)は、EVOH洗浄を行いながら適
宜変更しても構わない。
Hチップには、一般に、5000〜15000ppm程
度の酢酸ナトリウムが含まれている。酢酸ナトリウム
は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVAc)のケン
化の副生物であり、フィルムなどへの成形加工時に着色
やフィッシュアイを引き起こす。酢酸ナトリウムの濃度
は、水との向流接触により、200ppm以下、特に5
0ppm以下にまで低減することが好ましい。
メタノールは、調整液として供給されたメタノールとと
もに、その大部分を塔型洗浄器の塔上部から導出して回
収することができる。しかし、チップとともに塔下部か
ら導出する溶液にも、通常、少量のメタノールが含まれ
ている。このメタノールの濃度は、塔上部の溶液におけ
る濃度よりも低く、例えば1重量%以下、好ましくは
0.2重量%以下である。このため、塔下部から取り出
されたチップにも、微量のメタノールが含まれている。
このメタノールは、次の乾燥工程において大気中に放出
されるので、経済的および衛生的観点からできる限り少
なくする必要がある。チップ中のメタノールの含有量
は、10000ppm以下、さらに5000ppm以
下、特に2000ppm以下であることが好ましい。
ップの洗浄を効果的に行うためには15〜60℃が好適
である。また、塔下部から供給する洗浄液である水に
は、本発明の目的が阻害されない限り、他の少量成分が
含まれていても構わない。
図1を参照してさらに説明する。塔型洗浄器10の塔上
部1からは、洗浄の対象とするチップを連続して導入
し、必要に応じてメタノール−水混合液を導入する。一
方、塔下部3からは水を連続して導入する。EVOHの
チップが、水と向流接触しながら塔内を下方へと滞留す
ることなく沈降するに伴い、チップ内の不純物含有量お
よびメタノール含有量が低下していく。こうして、洗浄
されたEVOHチップは、塔底部4から連続的に取り出
される。塔上部のメタノールと水との混合溶液における
メタノール濃度は、上記所定の濃度範囲に調整されてい
る。このメタノール濃度は、塔上部2から塔外へと導出
される溶液の濃度を測定して管理すればよい。
ず、EVOHチップの洗浄を連続的に実施できる位置か
ら供給すればよく、2以上の位置から塔内に供給しても
構わない。他の供給位置、導出位置についても、図示し
た位置は例示である。
から実施されてきた方法に従って製造すればよい。EV
OHチップは、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA
c)をケン化し、凝固浴(水またはメタノール−水混合
液)中への押し出しおよび切断を経て、得ることができ
る。なお、洗浄の対象とするEVOHチップの大きさ
は、特に制限はないが、見かけ上の体積が10〜100
mm3程度が好適である。
モル%以上70モル%以下が好ましく、ケン化度は90
モル%以上であることが好ましい。エチレン含有量が低
すぎるとEVOHの耐水性が低下し、逆に高すぎると酸
素遮蔽性などガスバリア性が低下するからである。ケン
化が十分に行われない場合にも、ガスバリア性について
十分な効果が得られなくなる。これらの観点から、エチ
レン含有量は25〜60モル%が、ケン化度は95モル
%以上、特に99モル%以上がそれぞれさらに好適であ
る。
I)は、0.1〜200g/10分が好ましい。ここで
は、MIとして、190℃、2160g荷重下での測定
値を採用する。ただし、融点が190℃付近または19
0℃を超えるものは、上記荷重下、融点以上の温度にお
ける複数の測定値を、絶対温度の逆数を横軸、MIを縦
軸(対数目盛)とする片対数グラフとしてプロットし、
190℃に外挿した値を用いることとする。
より、フィルム、シート、容器、パイプ、繊維など各種
形状へと成形される。溶融成形としては、押出成形、イ
ンフレーション成形、ブロー成形、溶融紡糸、射出成形
などを適用できる。溶融温度は、150〜270℃が好
適である。重合度、エチレン含有量、ケン化度などが相
違する2種以上のEVOHをブレンドして溶融成形して
もよい。また、予め、EVOHに、可塑剤、安定剤、界
面活性剤、架橋剤、金属塩、充填剤、各種繊維などの補
強剤を添加しても構わない。
脂を配合してもよい。熱可塑性樹脂としては、ポリオレ
フィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテ
ン、ポリ4−メチル−1ペンテン、エチレン−プロピレ
ン共重合体、エチレンと炭素数が4以上のα−オレフィ
ンとの共重合体、ポリオレフィンと無水マレイン酸との
共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−
アクリル酸エステル共重合体、これらを不飽和カルボン
酸またはその誘導体でグラフト変性した変性ポリオレフ
ィンなど)、各種ナイロン(ナイロン6、ナイロン6
6、ナイロン6/66共重合体など)、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリスチレ
ン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリアセタ
ール、変性ポリビニルアルコール樹脂などが挙げられ
る。
可塑性樹脂とを、例えば共押出しすることにより、積層
体として成形してもよい。さらに、EVOHは、紙、プ
ラスチックフィルム、金属箔などの基材フィルムとの積
層体としてもよく、共押出コート、溶液コートなどによ
り、これら基材フィルムの表面にコーティングしても構
わない。
明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではな
い。なお、水はすべて純水を使用した。
泡鐘塔の搭上部より、EVAc(エチレン含有量:32
モル%)のメタノール溶液(EVAc濃度:35重量
%)を1.3t/時、水酸化ナトリウムのメタノール溶
液(水酸化ナトリウム濃度:15重量%)を50kg/
時で供給した。また、塔下部から115℃のメタノール
蒸気を1.1t/時で塔内へ吹き込み、副生した酢酸メ
チルをメタノールの一部と共に塔上部から留出させた。
このとき、塔内の温度は110〜115℃、圧力は5.
5kg/cm2、原料の塔内滞留時間は30分であっ
た。このようにして、塔下部よりケン化度99.5モル
%のEVOHのメタノール溶液を得た。
合蒸気を吹き込み、メタノールと水との混合蒸気を留出
させて、EVOHのメタノール−水混合溶媒(メタノー
ル/水=65/35、重量比)の溶液(EVOH濃度:
40重量%)を得た。この溶液を、2mm径の孔を有す
るダイスより5℃のメタノール−水混合溶媒(メタノー
ル/水=10/90、重量比)からなる凝固浴中に吐出
してストランド状に凝固させた。得られたストランドを
カッターで切断して2.5〜3.5mmの長さのチップ
状にした後、遠心脱液して含水チップを得た。このチッ
プの含水量は19重量%、メタノール含有量は19重量
%、酢酸ナトリウム含有量は10000ppmであっ
た。
上部より上記チップを、メタノール−水混合溶媒(メタ
ノール/水=30/70、重量比)とともに、150k
g/時で導入し、塔下部より30℃の水(洗浄水)を2
00L/時で導入した。塔上部から洗浄水を溢れさせて
導出し、同時に塔底部からチップと少量のメタノールを
含む洗浄水を導出しながら連続的にチップの向流洗浄を
行った。24時間の連続運転中、チップは滞留・還流す
ることなく、常に塔下部に向かって沈降した。塔中段の
内部の温度は30℃であった。
は30重量%であった。また、塔下部から回収されたチ
ップのメタノール含有量は100ppm、酢酸ナトリウ
ムの含有量は30ppmであった。
流量を100L/時に変更した点を除いては、上記実施
例と同様にしてチップの向流洗浄を行った。24時間の
連続運転中、チップは滞留・還流することなく、常に塔
下部に向かって沈降した。塔上部から溢れた洗浄水のメ
タノール濃度は50重量%、塔下部から回収されたチッ
プのメタノール含有量は15000ppm、酢酸ナトリ
ウムの含有量は1000ppmであった。
流量を400L/時に変更した点を除いては、上記実施
例と同様にしてチップの向流洗浄を行った。連続運転時
間が3時間に達したところで、チップが塔上部に滞留し
たので、運転を打ち切った。塔上部から溢れた洗浄水の
メタノール濃度は20重量%、塔下部から回収されたチ
ップのメタノール含有量は100ppm、酢酸ナトリウ
ムの含有量は30ppmであった。
EVOHチップの洗浄工程を改善することにより、フィ
ルムなどの成形体の外観不良が抑制されたEVOHを効
率的かつ安全に製造できる。メタノールが水よりも比重
が小さい点を利用してチップの連続洗浄を実現した本発
明は、EVOHの製造効率および安全性を大きく向上さ
せるものである。
例を示す図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物
のチップを洗浄することにより前記チップから不純物を
除去する工程を含むエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン
化物の製造方法であって、塔型洗浄器の塔上部からメタ
ノールを含有する状態で前記チップを導入し、前記塔型
洗浄器の塔下部から水を導入し、前記塔上部の溶液にお
けるメタノールの濃度を25重量%以上45重量%以下
に保って前記チップを前記塔上部から沈降させながら、
前記塔上部から前記不純物、メタノールおよび水を導出
し、前記塔下部から前記チップを前記塔上部の溶液にお
ける濃度よりも低濃度のメタノールを含む水とともに導
出することを特徴とするエチレン−酢酸ビニル共重合体
ケン化物の製造方法。 - 【請求項2】 塔型洗浄器の塔上部からメタノールを含
む調整液をさらに導入する請求項1に記載のエチレン−
酢酸ビニル共重合体ケン化物の製造方法。 - 【請求項3】 不純物が酢酸ナトリウムを含む請求項1
または2に記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化
物の製造方法。 - 【請求項4】 塔下部から導出するチップにおける酢酸
ナトリウムの含有量を200ppm以下とする請求項3
に記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物の製造
方法。 - 【請求項5】 塔下部から導出するチップにおけるメタ
ノールの含有量を10000ppm以下とする請求項1
〜4のいずれかに記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体
ケン化物の製造方法。
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