JP3976809B2 - エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物の処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、着色が少なく、かつ溶融成形時のブツの発生が少ない高品質の処理されたエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物を得るためのエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物は酸素遮蔽性、耐油性、非帯電性、機械強度等に優れた有用な高分子材料であり、フィルム、シート、容器など各種包装材料などとして広く用いられる。エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物を各種包装材として用いた場合、使用目的に対する性能はもとより、外観上のわずかな着色やフィッシュアイ、ブツ、肌荒れおよび透明性が問題視される。
【0003】
しかしエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物は、溶融成形を行うに際し、着色やブツの発生といった問題を発生しやすいという問題を有している。そこで従来、その着色やブツの発生を抑制する方法として以下のような様々な手法が提案されている。
【0004】
例えば、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物に酢酸、リン酸等の酸および/またはそれらの塩を添加する方法については、特開昭48−25048、特開昭51−26993、特開昭51−28891、特開昭51−49294、特開昭51−91988、特開昭52−954、特開昭52−955、特開昭52−956、特開昭56−20044、特開昭56−41204、特開昭61−95053、特開昭61−95054、特開昭62−143954等、多数出願されている。すなわち、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物は、エチレン−ビニルエステル系共重合体に苛性アルカリを加えてケン化し、水で洗浄後、酢酸、リン酸などの酸および/またはそれらの塩を添加し、さらに乾燥することにより着色やブツの発生の少ないものが得られる、とされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のごとく、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物における着色やブツの発生などの問題に対してはさまざまな対策がとられている。
しかし、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物に酢酸、リン酸等の酸および/またはそれらの塩を添加する方法については、ケン化後の中和、洗浄が充分でなかったり、酢酸、リン酸およびそれらの塩の添加量が適当でないと、着色やブツの発生が増加しやすくなる。この欠点を改良するために、ケン化後の充分な洗浄や、酢酸、リン酸等の酸および/またはそれらの塩の添加量の最適化が行われているが、それでもなお、満足しえるレベルには到達していないのが現状である。
【0006】
本発明の目的は、着色が少なく、成形時にブツの発生が少ない処理されたエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物を得るためのエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物の処理方法に関する。
【0007】
上記目的は、エチレン−ビニルエステル共重合体をケン化した後、ヒドロキシルアミンおよび/またはその塩で処理することによって達成される。また、エチレン−ビニルエステル共重合体をケン化した後、(1)ヒドロキシルアミンおよび/またはその塩、(2)25℃でのpKaが2〜6の酸および/またはその金属塩で処理することによってより充分に達成される。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明でいうヒドロキシルアミンおよび/またはその塩とは、ヒドロキシルアミンおよび/またはヒドロキシルアミンと任意の酸とから形成されてなる塩のことをいい、酸の種類は特に限定されるものではない。ヒドロキシルアミンの塩の具体例としては、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩等があげられる。
【0009】
また、本発明で用いられる酸および/またはその金属塩は、25℃でのpKaが2〜6の酸および/またはその金属塩である。ここでpKaとは、酸の解離定数をKaとするとき、pKa=−logKaで定義される値のことをいう。なお、酸が多塩基酸である場合には、pKaが2〜6の酸基を少なくとも1つ有すればよい。pKaが2〜6であることが重要で、pKaが2以下または6以上では着色や溶融成形時のブツ発生の低減効果は減少し、目的を充分に達成することが困難である。pKaの値はより好ましくは3〜5.5である。pKaが2〜6である酸としては各種の無機酸および有機酸が使用可能であり、特に限定されるものではないが、具体的にはリン酸、亜リン酸、酢酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、酒石酸、クエン酸等があげられる。また、この酸は沸点115℃以上であることが、処理後にチップを乾燥する時に酸等が揮散することを防止する理由により望ましい。
【0010】
これらの酸の金属塩としては、特に限定されるものではないが、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩等があげられ、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム等を用いることができる。多塩基酸を用いる場合にはその金属塩が部分塩であってもよく、リン酸二水素ナトリウムやリン酸二水素カリウムなども用いることができる。
【0011】
本発明に用いるエチレン−ビニルエステル共重合体は、エチレンとビニルエステルを共重合して得られるが、ビニルエステルの種類は特に限定されるものではない。例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどの脂肪族ビニルエステルがあげられ、芳香族カルボン酸のビニルエステルであっても構わない。これらのビニルエステルの中で、価格の面から酢酸ビニルが好ましい。
【0012】
本発明で使用されるエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物は、エチレン含有量が20〜60モル%、好ましくは20〜55モル%、ビニルエステル成分のケン化度90モル%以上、好ましくは95モル%以上のものである。エチレン含量が20モル%以下では高湿時の酸素遮断性が低下し、一方60モル%以上では充分な酸素遮断性や印刷適性等の物性が低下する。また、ケン化度が90モル%以下では酸素遮断性や耐湿性が低下する。
【0013】
以下に製造方法を具体的に説明する。エチレンとビニルエステルの重合は溶液重合に限るものではなく、連続式、回分式のいずれであってもよいが、例えば、回分式の溶液重合の場合の重合条件は次の通りである。
【0014】
溶媒;アルコール類が好ましいが、その他エチレン、ビニルエステルおよびエチレン−ビニルエステル共重合体を溶解し得る有機溶剤(ジメチルスルホキシドなど)を用いることができる。アルコール類としてはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等を用いることができ、特にメチルアルコールが好ましい。
触媒;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メチル−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(2−シクロプロピルプロピオニトリル)等のアゾニトリル系開始剤およびイソブチリルパーオキサイド、クミルパーオキシネオデカノエイト、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物系開始剤等を用いることができる。
温度;20〜90℃、好ましくは40℃〜70℃。
時間;2〜15時間、好ましくは3〜11時間。
重合率;仕込みビニルエステルに対して10〜90%、好ましくは30〜80%。
重合後の溶液中の樹脂分;5〜85%、好ましくは20〜70%。
共重合体中のエチレン含有率;20〜60モル%、好ましくは25〜55モル%。
【0015】
なお、エチレンとビニルエステル以外にこれらと共重合し得る単量体、例えば、プロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン等のα−オレフィン;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸またはその無水物、塩、あるいはモノまたはジアルキルエステル等;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸またはその塩;アルキルビニルエーテル類、ビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等を少量共存させることも可能である。
【0016】
所定時間の重合後、所定の重合率に達した後、必要に応じて重合禁止剤を添加し、未反応のエチレンガスを蒸発除去した後、未反応ビニルエステルを追い出す。エチレンを蒸発除去したエチレン−ビニルエステル共重合体から未反応のビニルエステルを追い出す方法としては、例えば、ラシヒリングを充填した塔の上部から該共重合体溶液を一定速度で連続的に供給し、塔下部よりメタノール等の有機溶剤蒸気を吹き込み塔頂部よりメタノール等の有機溶剤と未反応ビニルエステルの混合蒸気を流出させ、塔底部より未反応ビニルエステルを除去した該共重合体溶液を取り出す方法などが採用される。
【0017】
未反応ビニルエステルを除去した該共重合体溶液にアルカリ触媒を添加し、該共重合体中のビニルエステル成分をケン化する。ケン化方法は連続式、回分式いずれも可能である。アルカリ触媒としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカリ金属アルコラートなどが用いられる。例えば、回分式の場合のケン化条件は次の通りである。
該共重合体溶液濃度;10〜50%。
反応温度;30〜60℃。
触媒使用量;0.02〜0.6当量(ビニルエステル成分当り)。
時間;1〜6時間。
ケン化反応後のケン化度は目的により異なるが通常ビニルエステル成分の90%以上であり、好ましくは95%以上である。ケン化度は条件によって任意に調整できる。
【0018】
反応後のエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物はアルカリ触媒、副生塩類、その他不純物等を含有するため、これらを必要に応じて中和、洗浄することにより除去する。
【0019】
得られたエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物をヒドロキシルアミンおよび/またはその塩で処理する方法は特に限定されない。例えば、該ケン化物をヒドロキシルアミンおよび/またはその塩が溶解している溶液に浸漬させる方法、該ケン化物を溶融させてヒドロキシルアミンおよび/またはその塩を混合させる方法、または該ケン化物を適当な溶媒に溶解させてヒドロキシルアミンおよび/またはその塩を混合させる方法等がある。
本発明の効果をより顕著に発揮させるためには、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物をヒドロキシルアミンおよび/またはその塩の溶液に浸漬させる方法が望ましい。この処理は、バッチ方式、連続方式のいずれによる操作でも実施可能である。また、その際該ケン化物の形状は、粉末、粒状、球状、円柱形チップ状等の任意の形状であってよい。
【0020】
エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物をヒドロキシルアミンおよび/またはその塩の溶液に浸漬させる場合、ヒドロキシルアミンおよび/またはその塩の濃度は、0.01〜100g/Lの範囲内が好ましく、最適には0.05〜50g/Lである。浸漬させる溶液の溶媒は特に限定されないが、取扱い上の理由等から水溶液であることが好ましい。該ケン化物を浸漬する際、ヒドロキシルアミンおよび/またはその塩の溶液重量が、乾燥時の該ケン化物重量に対して3倍以上、好ましくは20倍以上であることが望ましい。浸漬時間はエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物の形態によってその好適範囲は異なるが、1〜10mm程度のチップの場合には1時間以上、好ましくは2時間以上が望ましい。
【0021】
ヒドロキシルアミンおよび/またはその塩で処理することに加えて、pKaが2〜6の酸および/またはその金属塩でエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物を処理することで、成形時のブツ発生や着色をより効果的に低減させることができる。
【0022】
処理方法は、ヒドロキシルアミンおよび/またはその塩での処理同様、特に限定されない。例えば、該ケン化物をpKaが2〜6の酸および/またはその金属塩の溶液に浸漬させる方法、該ケン化物を溶融させて酸および/または酸の金属塩を混合させる方法、または該ケン化物を適当な溶媒に溶解させて酸および/または酸の金属塩を混合させる方法等がある。本発明の効果をより顕著に発揮させるためには、該ケン化物を酸および/または酸の金属塩の溶液、特に水溶液に浸漬させる方法が望ましく、その濃度は、酸、金属塩の合計値として好ましくは0.01〜50g/L、より好ましくは0.05〜20g/Lである。この処理においても、バッチ方式、連続方式のいずれによる操作でも実施可能である。ケン化物の形状も、粉末、粒状、球状、円柱形チップ状等の任意の形状であってよい。
【0023】
上記pKaが2〜6の酸および/またはその金属塩での処理は、ヒドロキシルアミンおよび/またはその塩での処理の前に行ってもよいし、後に行ってもよく、また同時に処理しても構わない。
なかでも、pKaが2〜6の酸および/またはその金属塩、およびヒドロキシルアミンおよび/またはその塩の双方を含む溶液で処理することが、工程の簡素化の点から好ましい。このとき、この処理液はpH7以下に、より好ましくは6.2以下に調製されていることが、溶融成形時のブツの発生や着色をより効果的に抑えられるため望ましい。
【0024】
上記のように溶液に浸漬して処理した場合、最後に乾燥し目的とする処理されたエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物が得られる。
【0025】
また、本発明に用いるエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物の好適なメルトインデックス(MI)(190℃、2160g荷重下で測定;ただし、融点が190℃付近あるいは190℃を越えるものは2160g荷重下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆数を横軸、メルトインデックスを縦軸(対数)としてプロットし、190℃に外挿した値)は0.1〜200g/10min.、最適には0.2〜100g/10min.である。
【0026】
以上のような処理をして得られたエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物は溶融成形によりフィルム、シート、容器、パイプ、繊維等、各種の成形体に成形される。これらの成形物は再使用の目的で粉砕し再度成形することも可能である。また、フィルム、シート、繊維等を一軸または二軸延伸することも可能である。溶融成形法としては押出成形、インフレーション押出、ブロー成形、溶融紡糸、射出成形等が可能である。溶融温度は該共重合体の融点等により異なるが150〜270℃程度が好ましい。該共重合体ケン化物の重合度、エチレン含有率およびケン化度の異なるものを二種以上ブレンドし溶融成形することも可能である。また、該共重合体ケン化物に他の各種可塑剤、安定剤、界面活性剤、色剤、紫外線吸収剤、スリップ剤、帯電防止剤、乾燥剤、ホウ酸などの架橋剤、金属塩、充填剤、各種繊維等の補強剤等を適量添加することも可能である。このような方法によって、着色およびブツの少ない成形物が得られる。
【0027】
また、該共重合体ケン化物以外の熱可塑性樹脂を適量配合することも可能である。熱可塑性樹脂としては各種のポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体、ポリオレフィンと無水マレイン酸との共重合体、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、またはこれらを不飽和カルボン酸またはその誘導体でグラフト変性した変性ポリオレフィンなど)、各種ナイロン(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6/66共重合体など)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリアセタールおよび変性ポリビニルアルコール樹脂などが用いられる。また、本発明により処理されたエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物を前記の熱可塑性樹脂と積層、特に共押出して多層構造体として使用することもできる。また、該エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物組成物を紙、プラスチックフィルムおよび金属箔等の基材フィルムに共押し出しコートあるいは溶液コートすることも可能である。
【0028】
【実施例】
以下、実施例により具体的に説明する。なお、(部)、(%)は特に断わりのない限り重量基準で表したものである。
【0029】
実施例1〜4
耐圧100kg/cm2の重合槽に酢酸ビニル19600部、メタノール2180部、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)7.5部を仕込み、攪拌しながら窒素置換後、昇温、昇圧し内温60℃、エチレン圧力35.5kg/cm2に調整した。3.5時間その温度、圧力を保持し重合させた後、ハイドロキノン5部を添加し、重合槽を常圧に戻し、エチレンを蒸発除去した。引き続き、このメタノール溶液をラシヒリングを充填した追い出し塔の塔上部より連続的に流下させ、一方、塔底部よりメタノール蒸気を吹き込んで未反応酢酸ビニル単量体をメタノール蒸気とともに塔頂部より放出させコンデンサーを通して除去することにより、未反応酢酸ビニル0.01%以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体の45%メタノール溶液を得た。この時の重合率は仕込み酢酸ビニルに対して47%、エチレン含有率は33モル%であった。
【0030】
次に、エチレン−酢酸ビニル共重合体のメタノール溶液をケン化反応器に仕込み、苛性ソーダ/メタノール溶液(80g/L)を共重合体中の酢酸ビニル成分に対し、0.4当量となるように添加し、メタノールを添加して共重合体濃度が20%になるように調整した。60℃に昇温し反応器内に窒素ガスを吹き込みながら約4時間反応させた。4時間後、酢酸で中和し反応を停止させ、円形の開口部を有する金板から水中に押し出して析出させ、切断することで直径約3mm、長さ約5mmのチップを得た。得られたチップは遠心分離機で脱液しさらに大量の水を加え脱液する操作を繰り返した。
【0031】
こうして得られたエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物の含水チップ3kgを、0.1(実施例1)、1.0(実施例2)、10(実施例3)、20(実施例4)g/Lのヒドロキシルアミンの水溶液40Lに25℃で4時間浸漬した。浸漬後、80℃で3時間、引き続いて105℃で15時間熱風乾燥機を用いて乾燥を行った。得られた乾燥チップの黄色度は、JIS−K−7103に準じて測定した。また、溶融成形物の黄色度については、乾燥チップを230℃で6分30秒溶融し、板状に成形したものの表面色をJIS−K−7103に準じて測定した。
【0032】
また、上記乾燥後のケン化物を径20mmの押出機/Tダイ単層製膜機でシリンダー温度200〜230℃で製膜し、厚み30μmのフィルムを作成した。このフィルムのブツの数を、目視で確認可能なものの数をカウントすることで測定した。
以上のチップの黄色度、溶融成形物の黄色度およびフィルム中のブツの数を表1に示す。なお、得られたエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物のケン化度は99.5モル%、メルトインデックス(190℃、2160g荷重下)は2g/10min.であった。
【0033】
実施例5
21g/Lのヒドロキシルアミン塩酸塩の水溶液40Lに浸漬して処理をしたことを除いて実施例1と同様にして試験を行った。得られた結果を表1に示す。
【0034】
実施例6
10g/Lのヒドロキシルアミンと1.2g/Lの酢酸を含む水溶液40Lに浸漬して処理をしたことを除いて実施例1と同様にして試験を行った。得られた結果を表1に示す。
【0035】
実施例7
10g/Lのヒドロキシルアミンと1.8g/Lのリン酸を含む水溶液40Lに浸漬して処理をしたことを除いて実施例1と同様にして試験を行った。得られた結果を表1に示す。
【0036】
実施例8
10g/Lのヒドロキシルアミン、0.5g/Lの酢酸および0.05g/Lの酢酸ナトリウムを含む水溶液40Lに浸漬して処理をしたことを除いて実施例1と同様にして試験を行った。得られた結果を表1に示す。
【0037】
実施例9
実施例1と同様にして得られたエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物の含水チップ3kgを、10g/Lのヒドロキシルアミンの水溶液40Lに25℃で4時間浸漬した。その後、40Lの純水に3時間浸漬して洗浄した。この洗浄操作を2回行った後、25℃の1.2g/Lの酢酸水溶液40Lに4時間浸漬した。その後実施例1と同様に乾燥し、同様の試験を行った。得られた結果を表1に示す。
【0038】
比較例1
実施例1と同様にして得られたエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物の含水チップ3kgを、40Lの純水に3時間浸漬して洗浄した。この洗浄操作を2回行った後、実施例1と同様に乾燥し、同様の試験を行った。得られた結果を表1に示す。
【0039】
比較例2
実施例1と同様にして得られたエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物の含水チップ3kgを、1.2g/Lの酢酸の水溶液40Lに25℃で4時間浸漬した。その後実施例1と同様に乾燥し、同様の試験を行った。得られた結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
Figure 0003976809
【0041】
【発明の効果】
以上述べたように、エチレン−ビニルエステル共重合体をケン化した後、ヒドロキシルアミンおよび/またはその塩で処理すること、あるいはそれに加えて25℃でのpKaが2〜6の酸またはその金属塩で処理することにより、着色が少なく、溶融成形時のブツの発生の少ない高品質のエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物、またはその成形物を得ることができる。

Claims (4)

  1. エチレン含有量が20〜60モル%のエチレン−ビニルエステル共重合体をケン化した後、ヒドロキシルアミンおよび/またはその塩で処理することを特徴とするエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物の処理方法。
  2. エチレン含有量が20〜60モル%のエチレン−ビニルエステル共重合体をケン化した後、(1)ヒドロキシルアミンおよび/またはその塩、および(2)25℃でのpKaが2〜6の酸および/またはその金属塩で処理することを特徴とするエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物の処理方法。
  3. 該処理が、以下の(a)、(b)、(c)から選ばれる請求項1に記載のエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物の処理方法。
    (a)該エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物をヒドロキシルアミンおよび/またはその塩が溶解している溶液に浸漬させる
    (b)該エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物を溶融させてヒドロキシルアミンおよび/またはその塩を混合させる
    (c)該エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物を溶媒に溶解させてヒドロキシルアミンおよび/またはその塩を混合させる
  4. エチレン含有量が20〜60モル%のエチレン−ビニルエステル共重合体をケン化した後、ヒドロキシルアミンおよび/またはその塩が溶解している溶液に浸漬させる請求項1〜3に記載のエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物の処理方法。
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