JP5226356B2 - エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂組成物 - Google Patents

エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂組成物に関し、詳しくは着色がなく美麗で、外観特性に優れた新規なエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂組成物に関する。
エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、EVOHと略すことがある)は酸素遮蔽性、透明性、耐油性、非帯電性、機械強度等に優れた有用な高分子材料である。その用途は多様であるが、特にフィルム、シート、容器、紡織繊維などの用途では見た目の美しさが重要であり、EVOH樹脂組成物の外観特性に対する品質要求が高まっている。
亜硫酸塩および/または亜硫酸水素塩を亜硫酸換算で1〜5000ppm含有するエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物組成物が、着色が少なく、溶融成形時にブツの発生が少ないものであるとされている(例えば、特許文献1 参照)。エチレン含有量が20〜60モル%のエチレン−ビニルエステル共重合体をケン化した後、ヒドロキシルアミンおよび/またはその塩で処理することを特徴とするエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物の処理方法によって、着色が少なく、成形時にブツの発生が少ないエチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物が得られるとされている(例えば、特許文献2 参照)。また、特許文献1に記載されているように、従来より、EVOH樹脂組成物に酢酸、リン酸などの酸および/またはそれらの塩を添加し、さらに乾燥することにより着色やブツの発生の少ないEVOH樹脂組成物が得られるとされている。
蛍光増白剤は、各種樹脂などの着色防止や白色性向上のために広く用いられており、例えばポリカーボネート樹脂組成物100重量部に対し、特定の構造を有するベンゾトリアゾール化合物からなる紫外線吸収剤5〜25重量部と、特定の構造を有するクマリン化合物およびナフタルイミド化合物のうち1種または2種のものからなる蛍光増白剤0.1〜10重量部とを含有させてなるものが優れた耐候性および耐黄変性を有するとされている(例えば、特許文献3 参照)。また、特定の構造で表される蛍光増白剤またはその塩およびポリビニルアルコール系樹脂を含有することを特徴とする蛍光増白剤水性液状組成物が、紙の白色度を向上させる上で有用であるとされている(例えば、特許文献4 参照)。
特許第3602677号公報 特許第3976809号公報 特許第2578573号公報 特開2007−224438号公報
上述の特許文献1や2のように、EVOH樹脂組成物の着色を抑制し、外観特性を向上するために、様々な樹脂組成物および製造方法が提案されている。しかしながら、上述の発明においては、EVOH樹脂組成物を溶融成形する際の黄変などの着色を抑制することはできるものの、樹脂組成物の白色性や光沢性などの見た目の美しさが十分であるとは言い難く、光学的、色彩的により美麗な樹脂組成物とすることが望まれている。
また、特許文献3や4のように蛍光増白剤などの添加剤を用いることで種々の樹脂組成物の美麗感を付加することができる。しかしながら、蛍光増白剤などの添加剤をEVOH樹脂組成物に配合する場合、その配合量や種類によっては、溶融成形時にフィッシュアイやストリークを発生し、外観不良を生じることがあった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、着色がなく、白色性や光沢性などの美麗感を有するとともに、フィッシュアイやストリークなどの外観不良のないEVOH樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題の達成に向けて鋭意検討した結果、0.010〜5.0μmol/gの蛍光増白剤を含有し、少なくとも一種類以上の金属塩を金属元素換算で0.10〜20μmol/g含有するエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂組成物が外観特性に優れることを見出した。
本発明により、着色がなく美麗で、外観特性に優れたEVOH樹脂組成物を提供することができる。また、EVOH樹脂は優れたガスバリア性や加工特性を持つため、その特性を利用した各種フィルム、シート、パイプ、容器、繊維などの各種成形品を提供することができる。
以下に、本発明の詳細を記載する。
本EVOH樹脂組成物は、0.010〜5.0μmol/gの蛍光増白剤を含有する。蛍光増白剤の含有量が0.010μmol/g以下であると当該樹脂組成物の白色性や光沢性といった美麗感が十分ではない。一方、5.0μmol/gを超えると溶融成形時にフィッシュアイやストリークなどの外観不良を生じたり、着色を起こしたりする虞がある。蛍光増白剤の含有量は、より好適には0.020〜2.0μmol/gであり、さらに好適には0.050〜0.5μmol/gである。
本発明に用いられる蛍光増白剤の種類は特に限定されるものではなく、200nm〜400nm付近の紫外線〜可視光線領域を吸収し、400〜600nm付近に蛍光を発する蛍光増白剤の中から選ばれる。具体的には、2、5−ビス(5−t−ブチル−2−ベンゾキサゾリル)チオフェン、4,4'−ビス(ベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン、4,4'−ビス(ベンゾオキサゾール−2−イル)フラン、4,4−ビス(ベンゾオキサゾール−2−イル)ナフタレン、などのベンゾキサゾイル系蛍光増白剤、3−フェニル−7−アミノクマリン、3−フェニル−7−(イミノ−1’3’5’−トリアジン−2’−ジエチルアミノ−4’−クロロ)クマリン、3−フェニル−7−(イミノ−1’3’5’−トリアジン−2’−ジエチルアミノ−4’−メトキシ)クマリン、3−フェニル−7−(2H−ナフト(1,2−d)−トリアゾール−2−イル)クマリン、4−メチル−7−ヒドロキシクマリン、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン、などのクマリン系蛍光増白剤、4、4−ビス(2−ジスルホン酸 スチリル)ビフェニル、4、4−ビス(2−メトキシスチリル)ビフェニル、などのスチレンビフェニル系蛍光増白剤などが挙げられる。EVOH樹脂組成物の良好な溶融成形性や加工特性を維持するためには、ベンゾキサゾイル系蛍光増白剤が特に好適である。
本発明に用いられる蛍光増白剤は、各種分析手法を用いることでその含有量を定量することができる。簡便には、蛍光増白剤を含有するEVOH樹脂組成物を有機溶媒に溶解した後、吸光光度計や蛍光光度計を用いて定量する。核磁気共鳴スペクトルや赤外スペクトルなどの各種スペクトル分析、ガスクロマトグラフィーや液体クロマトグラフィーのような分離分析なども利用できるし、4、4−ビス(2−ジスルホン酸 スチリル)ビフェニルのように硫黄などの特定の元素を含有する蛍光増白剤は、該EVOH樹脂組成物を灰化処理、湿式分解処理などによって前処理した後、原子吸光分析、ICP発光分析、ICP質量分析などで定量することも可能である。
また、本EVOH樹脂組成物は、少なくとも一種類以上の金属塩を金属元素換算で0.10〜20μmol/g含有する。金属塩の含有量が金属元素換算で0.10μmol/g以下であると、溶融成形時にフィッシュアイやストリークを発生し外観不良となる虞がある。金属塩の含有量が20μmol/gを超えると当該樹脂組成物が着色しやすくなる。金属塩の含有量は、より好適には0.50〜15μmol/gであり、さらに好適には1.0〜10μmol/gである。
本発明に用いられる金属塩の金属成分としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛から選択され、その酸成分としては、硫酸、スルホン酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ホウ酸、炭酸などの各種無機酸、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、グリコール酸、リンゴ酸、シュウ酸、マロン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、エチレンジアミン四酢酸などの各種有機酸などから選択される。

特に着色がなく、外観特性に優れたEVOH樹脂組成物を得るためには、金属塩がナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩であることが好ましい。具体的には、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ホウ砂などの各種ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、グリコール酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸カリウム、乳酸カリウム、グリコール酸カリウム、ラウリン酸カリウム、ステアリン酸カリウム、酢酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、酢酸カルシウム、乳酸カルシウム、ステアリン酸カルシウムなどが好適であり、この中でも酢酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウムが特に好適である。これら金属塩は1種類のみを用いても良いし、複数を同時に用いても何ら問題はない。金属塩を含有することで、対着色性や外観特性が得られるのみならず、良好な溶融成形性および加工特性を有するEVOH樹脂組成物が得られる。
本発明に用いられる金属塩は、各種分析手法を用いることでその含有量を定量することができる。含有する金属元素の種類にもよるが、金属塩を熱水抽出処理、灰化処理、湿式分解処理などによって前処理した後、滴定分析、原子吸光分析、イオンクロマトグラフィー分析、ICP発行分析、ICP質量分析などによって定量する方法や、蛍光X線分析などの非破壊分析によって定量する方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
EVOH樹脂組成物に金属塩や蛍光増白剤を添加する方法は特に限定されない。金属塩や蛍光増白剤の溶液またはエマルジョンを調整してEVOH樹脂組成物を浸漬させる方法、EVOH樹脂組成物と金属塩や蛍光増白剤とをブレンドして溶融成形する方法、金属塩や蛍光増白剤を含有するマスターバッチとEVOH樹脂組成物をブレンドして溶融成形する方法、EVOH樹脂組成物を溶融成形する際に金属塩や蛍光増白剤の溶液又はエマルジョンを液添加する方法、EVOH樹脂、金属塩、蛍光増白剤からなる溶液を調整する方法などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。異なる方法で2回以上に分けて添加も良い。
蛍光増白剤がイオン性の構造を有する塩である場合、本発明に記する金属塩としての効果も得ることが可能であるが、当該蛍光増白剤とは異なる種類の金属塩を含有することが好適である。例えば、本発明のEVOH樹脂組成物が4、4−ビス(2−ジスルホン酸 スチリル)ビフェニルのナトリウム塩を含有する場合、本発明の蛍光増白剤としての効果に加えて、金属塩としての効果も得ることができる。しかしながら、その含有量を最適なものとするためには、4、4−ビス(2−ジスルホン酸 スチリル)ビフェニルとは異なる種類の金属塩を配合することが好適である。
また、本発明の趣旨である良好な外観特性を達成するためには、本発明のEVOH樹脂組成物はできる限り可視光領域に吸収を示さないことが好適である。特に、樹脂組成物が400nm付近の可視光に吸収を有する場合は黄色に着色するため、400nm付近の光の吸収を最小限にすることが重要である。具体的には、本発明のEVOH樹脂組成物をジメチルスルホキシドに溶解して測定される次式(1)で示される吸光係数εが0.05以下であることが好適である。
ε=A/(L×C)・・・(1)
ここで、Aは吸光光度計で測定される400nmの光の吸光度、Lは光路長(単位:cm)、CはEVOH樹脂組成物の濃度(単位:重量%)を表す。
前記の吸光係数εの測定方法について具体的に記載するに、本発明のEVOH樹脂組成物をジメチルスルホキシドに溶解して、紫外可視分光光度計やその他の吸光光度計で吸光度を測定する。前記の吸光度Aを正確に測定するためには、Aが1.0以下となる条件で測定することが好適である。例えば、5.0重量%のEVOH樹脂組成物のジメチルスルホキシド溶液を調整し、5.0cm光路長の石英セルを使用して測定した400nmの吸光度が0.25である場合、次式(2)に示すように本発明の吸光係数εは0.01である。
ε=0.25/(5.0×5.0)=0.01 ・・・(2)
本発明で得られたEVOHからなる樹脂組成物の好適なメルトフローレート(MFR)(190℃、2160g荷重下で測定;但し、融点が190℃付近あるいは190℃を越えるものは2160g荷重下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆数を横軸、メルトフローレートを縦軸(対数)としてプロットし、190℃に外挿した値)は好適には0.1〜200g/10min.である。MFRの下限はより好適には0.2g/10min.以上であり、さらに好適には0.5g/10min.以上であり、最適には1g/10min.以上である。また、MFRの上限はより好適に50g/10min.以下であり、さらに好適には30g/10min.以下であり、最適には15g/10min.以下である。該メルトフローレートが該範囲よりも小さい場合には、成形時に押出機内が高トルク状態となって押出加工が困難となり、また該範囲よりも大きい場合には成形物の機械強度が不足して好ましくない。
本発明のEVOH樹脂組成物のケン化度は、99.0〜100mol%であることが好適である。ケン化度が99.0mol%以下であると、十分なガスバリア性を得がたく、溶融成形時にフィッシュアイを発生して外観が悪くなる虞がある。用途に応じて、ケン化度が99.0モル%よりも低いEVOH樹脂組成物とすることもできる。
本発明で得られた樹脂組成物に、重合度、エチレン含有量及びケン化度の異なるEVOHをブレンドし溶融成形することも可能である。また、他の各種可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、スリップ剤、帯電防止剤、可塑剤、硼酸等の架橋剤、無機充填剤、無機乾燥剤、各種繊維などの補強材などを適量添加することも可能であるが、本発明の趣旨から樹脂組成物の外観特性が損なわれない程度とすることが肝要である。
得られた本発明のEVOH樹脂組成物はフィルム、シート、容器、パイプ、繊維等、各種の成形物に成形される。中でも、容器や織物用繊維など外観の美麗さが要求される用途は、本発明の樹脂組成物を使用するのに適した用途である。
本発明のEVOHの成形方法は特に限定されない。押出成形、インフレーション押出、ブロー成形、溶融紡糸、湿式紡糸、射出成形などによる成形が一般的である。溶融温度は該共重合体の融点等により異なるが150〜270℃程度が好ましい。
本発明のEVOHは、当該樹脂組成物のみの単層からなる成形物としても使用可能であるが、当該EVOHからなる少なくとも1層を含む多層構造体とすることが好適である。多層構造体の層構成としては、本発明のEVOHをE、接着剤をAd、他の熱可塑性樹脂や基材をTで表わすと、E/T、T/E/T、E/Ad/T、T/Ad/E/Ad/T等が挙げられるが、これに限定されない。ここで示されたそれぞれの層は単層であってもよいし、場合によっては多層であってもよい。
上記に示す多層構造体を製造する方法は特に限定されない。本発明のEVOH樹脂組成物をメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールなどのアルコール類と水の混合溶媒、ジメチルスルホキシド、1、1、1、3、3、3−ヘキサフルオロイソプロパノールなどのハロゲン化アルコール類に溶解して、基材上に塗布することが本発明の効果を奏する上で好適である。こうして得られた成形物は基材の外観特性を向上することができるため、特に白色の基材を使用した場合に、白色性や光沢性を引き立たせることができる。
基材表面に塗布する方法としては、キャスティングヘッドからの吐出、ロールコート、エアナイフコート、グラビアロールコート、ドクターロールコート、ドクターナイフコート、カーテンフローコート、スプレー、ワイヤーバー、ロッドコート、浸漬、刷毛塗りなど任意の手段が例示される。このように塗布された基材を乾燥・熱処理する方法としては乾熱処理法、たとえば赤外線照射法、熱風乾燥法などが例示される。これらの赤外線照射、熱風乾燥などはそれぞれ単独で使用してもよいし、また併用することもできる。また乾燥・熱処理の温度は30〜180℃であることが好ましく、下限値については50℃以上が好ましく、最適には80℃以上である。また乾燥・熱処理の時間は5秒〜10分が好ましく、さらに好適には1〜5分である。乾燥・熱処理中は条件、たとえば温度を増減させること、たとえば最初は低温で処理し、徐々に温度を上昇させることなどは自由である。
基材表面には、ドライラミネーション法などにより接着剤を予め塗布乾燥、すなわちアンカーコートすることは好ましい。ドライラミネーション用接着剤としては層間接着力が充分であれば特に限定されるものではない。例えばポリウレタン系、ポリエステル系のドライラミネート用接着剤が挙げられる。また、基材表面にコロナ放電処理、スパッタリング処理、高周波処理、火災処理、クロム酸処理、溶剤エッチング処理などや、これらを組み合わせた表面処理を施しても構わない。また塗布は1回でも良いし、複数回でも良い。
基材としては次のものが挙げられる。熱可塑性樹脂のフィルム、例えば、ポリプロピレン樹脂、ナイロン−6、ナイロン−6,6などのポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどのポリエチレンなどからなるフィルム等が挙げられる。
また、上記フィルム以外の各種成形品(シート、カップ、ボトルなど)も好適なものとして挙げられ、また繊維集合体(紙、不織布、織布、ファイブラスケーシングなど)、ポリ塩化ビニル樹脂製壁紙、写真印画紙なども挙げられる。
また、本発明のEVOH樹脂組成物を他の熱可塑性樹脂を溶融押出する方法、逆に熱可塑性樹脂等の基材上に該EVOHと他の熱可塑性樹脂とを共押出する方法、熱可塑性樹脂とEVOHからなるEVOHを共押出又は共射出する方法、本発明のEVOHより得られた成形物と他の基材のフィルム、シートとを有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物等の公知の接着剤を用いてラミネートする方法等によって、多層構造体を得ることもできる。
本発明の組成物と熱可塑性樹脂との共押出成形の方法は特に限定されず、マルチマニホールド合流方式Tダイ法、フィードブロック合流方式Tダイ法、インフレーション法などが好適なものとして例示される。また、共射出成形の方法も特に限定されず、一般的な手法を用いることができる。
本発明のEVOHと積層するのに用いられる熱可塑性樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体(炭素数4〜20のα−オレフィン)、ポリブテン、ポリペンテン等のオレフィンの単独又はその共重合体、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエステルエラストマー、ナイロン−6、ナイロン−6,6等のポリアミド樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリウレタンエラストマー、ポリカーボネート、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどが挙げられる。上記の中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエステルが好ましく用いられる。
本発明のEVOHと熱可塑性樹脂とを積層するに際し、接着性樹脂を使用する場合があり、この場合の接着性樹脂としてはカルボン酸変性ポリオレフィンからなる接着性樹脂が好ましい。ここでカルボン酸変性ポリオレフィンとは、オレフィン系重合体にエチレン性不飽和カルボン酸又はその無水物を化学的(たとえば付加反応、グラフト反応により)結合させて得られるカルボキシル基を含有する変性オレフィン系重合体のことをいう。また、ここでオレフィン系重合体とはポリエチレン(低圧、中圧、高圧)、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ボリブテンなどのポリオレフィン、オレフィンと該オレフィンとを共重合し得るコモノマー(ビニルエステル、不飽和カルボン酸エステルなど)との共重合体、たとえばエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチルエステル共重合体などを意味する。このうち直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニルの含有量5〜55重量%)、エチレン−アクリル酸エチルエステル共重合体(アクリル酸エチルエステルの含有量8〜35重量%)が好適であり、直鎖状低密度ポリエチレン及びエチレン−酢酸ビニル共重合体が特に好適である。エチレン性不飽和カルボン酸又はその無水物とはエチレン性不飽和モノカルボン酸、そのエステル、エチレン性不飽和ジカルボン酸、そのモノ又はジエステル、その無水物があげられ、このうちエチレン性不飽和ジカルボン酸無水物が好適である。具体的にはマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステルなどが挙げられ、なかんずく、無水マレイン酸が好適である。
エチレン性不飽和カルボン酸又はその無水物のオレフィン系重合体への付加量又はグラフト量(変性度)はオレフィン系重合体に対し0.01〜15重量%、好ましくは0.02〜10重量%である。エチレン性不飽和カルボン酸又はその無水物のオレフィン系重合体への付加反応、グラフト反応は、たとえば溶媒(キシレンなど)、触媒(過酸化物など)の存在下でラジカル重合法などにより得られる。このようにして得られたカルボン酸変性ポリオレフィンの190℃、2160g荷重下で測定したメルトフローレート(MFR)は0.2〜30g/10分であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10g/10 分である。これらの接着性樹脂は単独で用いてもよいし、また二種以上を混合して用いることもできる。
このようにして得られた共押出多層構造体又は共射出多層構造体を二次加工することにより、各種成形品(フィルム、シート、チューブ、ボトルなど)を得ることができる。たとえば以下のようなものが挙げられる。
(1)多層構造体(シート又はフィルムなど)を一軸又は二軸方向に延伸し、必要に応じて熱処理することによる多層共延伸シート又はフィルム
(2)多層構造体(シート又はフィルムなど)を圧延することによる多層圧延シート又はフィルム
(3)多層構造体(シート又はフィルムなど)真空成形、圧空成形、真空圧空成形等、熱成形加工することによる多層トレーカップ状容器
(4)多層構造体(パイプなど)からのストレッチブロー成形等によるボトル、カップ状容器
(5)多層構造体(パリソンなど)からの二軸延伸ブロー成形等によるボトル状容器
このような二次加工法には特に制限はなく、上記以外の公知の二次加工法も採用できる。このようにして得られた共押出多層構造体あるいは共射出多層構造体は、各種食品容器の材料、例えば、包装用フィルム、深絞り容器、カップ状容器、ボトル等の材料として好適に用いられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。以下「%」、「部」とあるのは特に断わりのない限り重量基準である。
(1)蛍光増白剤の定量
乾燥EVOHペレット1.0gを1−プロパノール/水混合液(重量比:1−プロパノール/水=55/45)に溶解し、全量を500mLとした。得られたEVOH溶液を島津製作所製蛍光光度計RF−5300PCを用いて、励起波長360nmで蛍光強度を測定することで定量分析した。なお、定量に際しては蛍光増白剤標品で作成した検量線を用いた。また、蛍光強度が強く自己消光が起こる場合は、調整したEVOH溶液を1−プロパノール/水混合液で適宜希釈してから測定した。
(2)金属塩の定量
凍結粉砕により粉砕したEVOH樹脂組成物の粉末0.5gに硝酸5mLを投入し、BERGHOF社製 Speedwave MWS−2により湿式分解した。湿式分解後の液をイオン交換水で希釈して全液量を50mLとした。希釈液を、(株)パーキンエルマージャパン社製ICP発光分光分析装置 Optima 4300 DVを用いて、各元素を定量分析した。こうして得られた各金属元素の量から、金属元素の量を金属元素換算値で得た。なお、定量に際しては市販の金属元素標準液を使用して作成した検量線を用いた。
(3)吸光係数εの測定
乾燥EVOHペレット1.0gをジメチルスルホキシド24gに溶解して4.0%のEVOH溶液を調整した。得られたEVOH溶液を光路長1.0cmの石英セルに入れて、島津製作所製分光光度計UV−2450で400nmにおける吸光度を測定した。分析結果から、上述した式(1)に従って吸光係数εを計算した。また、吸光度が1.0を超える場合は、調整したEVOH溶液をジメチルスルホキシドで適宜希釈してから吸光度を測定した。
実施例1
[含水ペレットの作製]
エチレン含有量26mol%、ケン化度99.8mol%のEVOH樹脂5.0kgを、水/メタノール=48/52(重量比)の混合液に80℃で12時間、撹拌しながら溶解させて37重量%のEVOH溶液を得た。次に、撹拌を止めて溶解槽の温度を65℃に下げて5時間放置し、前記のEVOHの水/メタノール溶液の脱泡を行った。そして、直径3.5mmの円形の開口部を有する金板から、5℃の水/メタノール=9/1(重量比)の混合中に押出してストランド状に析出させ、切断することで直径約3.5mm、長さ約3.5mmのペレットを得た。得られたEVOHペレットの水分率は60重量%であった。
[含水ペレットの精製]
このようにして得られた含水EVOHペレット8.1kgに80Lの純水を加え、25℃で2時間撹拌しながら洗浄しては脱液する操作を2回繰り返した。次に、1g/Lの酢酸水溶液で、25℃で2時間撹拌しながら洗浄しては脱液する操作を2回繰り返した。さらに、含水ペレットを100Lのイオン交換水で、25℃で2時間撹拌しながら洗浄しては脱液する操作を6回繰り返した。
[金属塩および蛍光増白剤の添加]
次に、0.1mmol/Lの酢酸亜鉛および蛍光増白剤4、4−ビス(2−ジスルホン酸 スチリル)ビフェニル (以下、DSBPと記載)の2ナトリウム塩0.5mmol/Lを含有する水溶液30Lに上記含水EVOHペレット3.0kgを投入し、25℃で5時間、浸漬及び撹拌を行った。処理後の含水ペレットを80℃にて3時間、引き続き120℃にて24時間乾燥し、乾燥EVOHペレットを得た。
得られたEVOHペレットを二軸押出機にて溶融混練して、直径約3mm、長さ約3mmのEVOHペレットを得た。溶融混練条件を以下に示す。
二軸押出機((株)東洋精機製作所製)の仕様
形式: 二軸押出機
L/D: 25
口径: 26mmφ
スクリュー: 同方向完全噛合型
ダイスホール数:2ホール(3mmφ)
混練条件
回転数: 150rpm
押出温度: C1/C2/C3/C4/C5/Die
=180/200/220/240/240/240℃
吐出量: 2.3kg/hr
得られたEVOHペレット中の酢酸亜鉛の含有量は、亜鉛元素換算で2.1μmol/gであった。蛍光増白剤DSBPの含有量は1.5μmol/gであった。また、本EVOHペレットの吸光係数εは0.07であった。また、EVOHペレットのMFRは5.5g/10min.(190℃換算、2160g荷重下)であった。
引き続いて、得られたEVOHペレットを下記に示す単層製膜試験および白色フィルムへの塗布試験に供して耐着色性および外観特性を評価した。
[単層製膜試験]
EVOHペレットを(株)東洋精機製作所製20mm押出機D2020(D(mm)=20、L/D=20、圧縮比=2.0、スクリュー:フルフライト)を用いて単層製膜を以下の条件で行い、単層フィルムを得た。
押出温度:C1/C2/C3/Die=175/220/220/220℃
スクリュー回転数:40rpm
吐出量 :1.2kg/hr
引取りロール温度:80℃
引取りロール速度:2.0m/min.
フィルム厚み :30μm
[単層フィルムの耐着色性評価]
上記方法で作製された単層フィルムを紙管に巻き取り、フィルム端面の着色度を肉眼で以下のように判定した。
判定 : 基準
A:着色なし
B:若干ながら黄変している。
C:黄変している。
D:著しく黄変している
[単層フィルムの外観評価]
上記方法で作製された単層フィルムのフィッシュアイやストリークを目視で確認し、フィルムの外観を以下のように判定した。
A:外観は美麗で、フィッシュアイやストリークがほとんど無い。
B:外観に問題はないが、フィッシュアイやストリークが若干目立つ。
C:フィッシュアイやストリークが多く、外観上に問題がある。
D:フィッシュアイやストリークが著しく、フィルムの透明性にも難がある。
得られたEVOH樹脂組成物のフィルムは着色が認められず、単層フィルムの耐着色性評価結果はA判定であった。また単層フィルムの外観評価結果はA判定であった。
[白色フィルムへの塗布試験]
上記のEVOHペレットを水/1−プロパノールの混合溶液(重量比:水/1−プロパノール=45/55)に添加混合し、70℃で加熱攪拌溶解して、EVOH樹脂組成物の濃度が10%の溶液を得た。この溶液を白色ポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム社メリネックス、50μm)に塗布して110℃、5分間乾燥し多層フィルムを得た(EVOH層厚み3μm)。
[白色フィルムの外観評価]
上記方法で作製された白色フィルムの外観を肉眼で以下のように判定した。
判定 : 基準
A:基材フィルムよりも白色性や光沢性に優れて美麗である。
B:基材フィルムと同等の白色性や光沢性がある。
C:基材フィルムよりも黄変が目立つ。
本試験で得られた白色フィルムの外観評価結果はB判定であった。
実施例2
実施例1と同様にして作製した精製後の含水EVOHペレット3.0kgを5.3mmol/Lの酢酸ナトリウムと10mmol/Lの酢酸を含有する水溶液30Lに投入し、25℃で5時間、浸漬及び撹拌を行った。処理後の含水ペレットを80℃にて3時間、引き続き120℃にて24時間乾燥し、乾燥EVOHペレットを得た。
得られたEVOHペレット100部に対して蛍光増白剤4,4'−ビス(ベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン(以下、BBOSと記載)0.010部を混合し、実施例1と同様にして二軸押出機で溶融混練してペレットを作製した。得られたEVOHペレット中の酢酸ナトリウムの含有量は、ナトリウム元素換算で6.2μmol/gであり、BBOSの含有量は0.24μmol/gであった。また、本EVOHペレットの吸光係数εは0.18であり、MFRは6.3g/10min.(190℃換算、2160g荷重下)であった。
実施例1記載の方法に従って、単層製膜試験および評価を行ったところ、本EVOH樹脂組成物の単層フィルムの耐着色性評価結果はB判定であり、単層フィルムの外観評価結果はA判定であった。また、白色フィルムの外観評価結果はA判定であった。
実施例3
蛍光増白剤を2、5−ビス(5−t−ブチル−2−ベンゾキサゾリル)チオフェン(以下、BBOTと記載)として、EVOH樹脂組成物100部に対して0.025部添加したことを除いては、実施例2と同様にしてEVOHペレットを作製して、評価を行った。得られたEVOHペレットの酢酸ナトリウムの含有量はナトリウム元素換算で6.3μmol/gであり、蛍光増白剤BBOTの含有量は0.58μmol/gであった。また、本EVOHペレットの吸光係数εは0.13であり、MFRは6.5g/10min.(190℃換算、2160g荷重下)であった。また、本EVOH樹脂組成物の単層フィルムの耐着色性評価結果はB判定であり、単層フィルムの外観評価結果はA判定であった。また、白色フィルムの外観評価結果はA判定であった。
実施例4
BBOTを添加する量を、EVOH樹脂組成物100部に対して0.0050部としたことを除いては、実施例3と同様にしてEVOHペレットを作製して、評価を行った。得られたEVOHペレットの酢酸ナトリウムの含有量はナトリウム元素換算で6.2μmol/gであり、蛍光増白剤BBOTの含有量は0.12μmol/gであった。また、本EVOHペレットの吸光係数εは0.02であり、MFRは6.6g/10min.(190℃換算、2160g荷重下)であった。また、本EVOH樹脂組成物の単層フィルムの耐着色性評価結果はA判定であり、単層フィルムの外観評価結果はA判定であった。また、白色フィルムの外観評価結果はA判定であった。
比較例1
含水EVOHペレットを水溶液に浸漬処理する際に、DSBPを添加しないことを除いては、実施例1と同様にしてEVOHペレットを作製し、評価を行った。得られたEVOHペレット中の酢酸亜鉛の含有量は、亜鉛元素換算で1.8μmol/gであった。吸光係数εは0.06であり、MFRは5.5g/10min.(190℃換算、2160g荷重下)であった。また、単層フィルムの耐着色性評価結果はD判定であり、外観評価結果はB判定であった。白色フィルムの外観評価結果はC判定であった。
比較例2
含水EVOHペレットを水溶液に浸漬処理する際に、BBOSを添加しないことを除いては、実施例2と同様にしてEVOHペレットを作製し、評価を行った。得られたEVOHペレット中の酢酸ナトリウムの含有量は、ナトリウム元素換算で6.4μmol/gであった。吸光係数εは0.01であり、MFRは6.5g/10min.(190℃換算、2160g荷重下)であった。また、単層フィルムの耐着色性評価結果はC判定であり、外観評価結果はB判定であった。白色フィルムの外観評価結果はB判定であった。
比較例3
酢酸ナトリウムと酢酸を含有する水溶液への浸漬処理を行わなかったことを除いては、実施例4と同様にしてEVOHペレットを作製し、評価を行った。得られたEVOHペレット中の蛍光増白剤BBOTの含有量は0.12μmol/gであり、EVOH中のナトリウム元素は検出されなかった。吸光係数εは0.08であり、MFRは3.8g/10min.(190℃換算、2160g荷重下)であった。また、単層フィルムの耐着色性評価結果はD判定であり、外観評価結果はD判定であった。白色フィルムの外観評価結果はC判定であった。
実施例5
[含水ペレットの作製]
エチレン含有量32mol%、ケン化度99.7mol%のEVOH樹脂5.0kgを、水/メタノール=35/65(重量比)の混合に80℃で12時間、撹拌しながら溶解させて35重量%のEVOH溶液を得た。続いて、該EVOH溶液に蛍光増白剤BBOT0.25g(EVOH樹脂100部に対して0.0050部)を添加してさらに3時間攪拌した。次に、撹拌を止めて溶解槽の温度を65℃に下げて5時間放置し、前記のEVOHの水/メタノール溶液の脱泡を行った。そして、直径3.5mmの円形の開口部を有する金板から、5℃の水/メタノール=9/1(重量比)の混合液中に押出してストランド状に析出させ、切断することで直径約3.5mm、長さ約3.5mmのペレットを得た。得られたEVOHペレットの水分率は68重量%であった。
[含水ペレットの精製]
このようにして得られた含水ペレット6.0kgに60Lの純水を加え、25℃で2時間撹拌しながら洗浄しては脱液する操作を2回繰り返した。次に、1g/Lの酢酸水溶液で、25℃で2時間撹拌しながら洗浄しては脱液する操作を2回繰り返した。さらに、含水ペレットを100Lのイオン交換水で、25℃で2時間撹拌しながら洗浄しては脱液する操作を6回繰り返した。
[金属塩の添加]
次に、5.3mmol/Lの酢酸ナトリウム、10mmol/Lの酢酸、および1.6mmol/Lのホウ酸を含有する水溶液20Lに上記含水ペレット2.0kgを投入し、25℃で5時間、浸漬及び撹拌を行った。処理後の含水ペレットを80℃にて3時間、引き続き120℃にて30時間窒素雰囲気下の乾燥機(酸素濃度200ppm)で乾燥し、EVOHペレットを得た。乾燥EVOHペレットのMFRは1.7g/10min.(190℃、2160g荷重下)であり、蛍光増白剤BBOTの含有量は0.14μmol/gであった。EVOHペレット中の酢酸ナトリウムの含有量は、ナトリウム元素換算で6.2μmol/gであった。また、本EVOHペレットの吸光係数εは0.02であった。
得られたEVOHペレットを二軸押出機で溶融混練することなく、実施例1記載の方法に従って単層フィルムおよび白色フィルムを作製して評価した。単層フィルムの耐着色性評価結果および外観評価結果はいずれもA判定であった。白色フィルムの外観評価結果はA判定であった。
比較例4
EVOH溶液に添加する蛍光増白剤BBOTの量13g(EVOH樹脂100部に対して0.26部)としたことを除いては、実施例5と同様にしてEVOHペレットを作製し、実施例1記載の方法に従って評価を行った。得られたEVOHペレット中の蛍光増白剤BBOTの含有量は6.0μmol/gであり、酢酸ナトリウムの含有量は、ナトリウム元素換算で6.7μmol/gであった。また、吸光係数εは0.84であり、MFRは1.8g/10min.(190℃、2160g荷重下)であった。また、単層フィルムの耐着色性評価結果はC判定であり、外観評価結果はB判定であった。白色フィルムの外観評価結果はB判定であった。
実施例6〜10および比較例5〜6
含水EVOHペレットを浸漬する金属塩含有処理液の組成を、表1にまとめて示すように変更することを除いては、実施例5と同様にしてEVOHペレットを作製し、実施例1記載の方法に従って評価を行った。EVOHペレットの蛍光増白剤含有量および金属塩の含有量を表2に、評価結果を表3にそれぞれ示す。
実施例11
実施例5で得られたEVOHペレットと、VORIDIAN社製ポリエチレンテレフタレート(PET)「PET9921W」を用いて、KORTEC/HUSKY製共射出成形機(SL160型4個取り)により24時間連続で共射出成形を行い、PET/樹脂組成物/PETの2種3層の有底パリソンを成形した。このとき、PET側射出機温度は280℃、樹脂組成物側射出機温度は210℃、PETと樹脂組成物とが合流するホットランナーブロック部は270℃、射出金型コア温度は10℃、射出金型キャビティー温度は10℃とした。また、容器におけるPET層とEVOH樹脂組成物層の厚み比を95/5とするように射出速度および射出量を調節した。このパリソンを目視で観察したところ着色やストリークは認められなかった。
その後、CRUPP CORPOPLAST MASCHINENBAU製延伸ブロー成形機(LB01型530mL1個取り)を使用して、有底パリソン(24時間連続運転直後のもの)の表面温度を105℃に加熱し、延伸ブロー成形を行い、2種3層の共射出延伸ブロー成形容器を得た。該容器の厚み構成は、(内)PET/樹脂組成物/PET(外)=140/25/180(μm)であった。得られた容器の外観を目視で観察したが、層間剥離、ヘイズ、ブツは認められず、外観も良好であった。
以上の評価結果から明らかなように、実施例1〜10においては、単層フィルムおよび白色フィルムに塗布した際の外観特性に優れたEVOH樹脂組成物が得られた。実施例11では外観特性に優れた成形物が得られた。
Figure 0005226356
Figure 0005226356
Figure 0005226356

Claims (5)

  1. 0.010〜5.0μmol/gの蛍光増白剤を含有し、少なくとも一種類以上の金属塩を金属元素換算で0.10〜20μmol/g含有し、前記金属塩が、亜鉛、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属と無機酸又は有機酸との塩であるエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂組成物。
  2. 蛍光増白剤がベンゾキサゾイル系蛍光増白剤である請求項1に記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂組成物。
  3. 金属塩がナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、あるいはカルシウム塩である請求項1又は2に記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂組成物。
  4. エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂組成物をジメチルスルホキシドに溶解して測定される次式(1)で示される吸光係数εが0.05以下である請求項1〜3いずれかに記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂組成物。
    ε=A/(L×C)・・・(1)
    ここで、Aは吸光光度計で測定される400nmの光の吸光度、Lは光路長(単位:cm)、Cはエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂組成物の濃度(単位:重量%)を表す。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂組成物を成形してなる成形品。
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