JP3839534B2 - エチレン−ビニルアルコール共重合体の製法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エチレン−ビニルエステル共重合体をケン化して製造される、着色およびフィッシュアイの少ない成形物を得ることができるエチレン−ビニルアルコール共重合体の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下EVOHと略する)は酸素遮蔽性、耐油性、非帯電性、機械強度等に優れるため、フィルム、シート、容器等の各種包装材料などとして有用である。エチレン−ビニルアルコール共重合体を、各種包装材として用いた場合、使用目的に対する性能はもとより、外観上のわずかな着色やフィッシュアイ、肌荒れ、透明性等が問題視される。
【0003】
しかしながら、EVOHは、溶融成形を行うに際し、着色やフィッシュアイの発生といった問題を発生しやすいという問題を有している。すなわち、EVOHは、通常エチレンと酢酸ビニルを溶液重合し、次いで残存エチレンおよび酢酸ビニルを追い出してから、アルカリ触媒を加えてケン化することにより製造されるが、こうして得られるEVOHは、その色調や溶融安定性に問題を生じることが多いのである。
【0004】
特に、ケン化反応時の触媒量が多かったり、反応時間が長かったり、反応温度が高かったりすることで、その溶融成形体の着色やフィッシュアイが増加することが問題点としてあげられる。かかる問題点については、重合後のエチレン−酢酸ビニル共重合体溶液に添加する重合停止剤の性能と関係のあることが特開昭61−197603号公報に記載されている。すなわち、エチレン−酢酸ビニル共重合体の重合終了時に特定の芳香族化合物(例えば2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン)を添加してからケン化して得られた該重合体のケン化物は溶融成形時に異臭発生がなく、得られたフィルムは色相に優れ、フィッシュアイが少ないとされている。そしてかかる特定の芳香族化合物は、一般の重合禁止剤に比較して、良好な成形品が得られるとされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、エチレンと酢酸ビニルの共重合後に特定の芳香族化合物(例えば2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン)を添加する方法についても、本発明者等が追試検討した結果、未だ、色調や溶融安定性の改善は十分なものとはいえなかった。
本発明の目的は、エチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化して得られる、色調や溶融安定性の良好なEVOHを得ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、エチレンとビニルエステルとを溶媒の存在下に共重合したあと、チオール化合物を添加し、次いで未反応のモノマーを除去してから、ケン化することを特徴とするEVOHの製法を提供することによって達成される。チオール化合物もしくは、該チオール化合物に由来する分解物等が効率的に重合体と分離可能であることから、特にチオール化合物が、アミノ基および/またはカルボキシル基を有する場合に上記目的はより効果的に達成される。
【発明の実施の形態】
【0007】
本発明でいうチオール化合物とは、分子中にチオール基(−SH)を有する化合物をいう。かかるチオール化合物の例としては、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、tert.−ブチルメルカプタンなどのアルキルメルカプタン;チオフェノール、トリルメルカプタンなどのアリールメルカプタン;ベンジルメルカプタンなどのアラルキルメルカプタン;メルカプトエタノールなどの水酸基含有メルカプタン;2−アミノエチルメルカプタンなどのアミノ基含有メルカプタン;2−および3−メルカプトプロピオン酸などのカルボキシル基含有メルカプタン;システインなどのチオール基含有アミノ酸などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0008】
かかるチオール基を有する化合物が着色防止、フィッシュアイ発生防止あるいは成形物の肌荒れ防止に有効な理由は明らかでないが、ポリマー末端ラジカル、開始剤ラジカルなど重合中に生成するラジカル種を効率的に捕捉する、ケン化時のポリマー酸化を防止する、などの理由が考えられる。
【0009】
なかでも、チオール化合物が、アミノ基および/またはカルボキシル基を有することが好ましい。かかる化合物は反応溶媒(多くの場合メタノール)への溶解性が良好なため重合溶液中に速やかに均一に拡散できるからである。また、多くのチオール化合物は臭気を有するものが多く、樹脂中に残留することは必ずしも好ましくないが、かかるアミノ基および/またはカルボキシル基を有することで、ケン化終了後にEVOHチップを水で洗浄する際にチオール化合物が洗浄除去されやすい点からも好ましい。なお、かかるアミノ基および/またはカルボキシル基はその塩の形で有していても構わない。
【0010】
アミノ基および/またはカルボキシル基を有するチオール化合物の中でも特に好適なものとして、システインがあげられる。システインは分子内にチオール基、アミノ基およびカルボキシル基を有しており、メタノール、水への溶解性に優れているだけでなく、それ自体が必須アミノ酸であって、化合物自体の人体に対する安全性が極めて高いからである。EVOH成形体のうちのかなりの量が食料品や医薬品等を包装するのに用いられている現状を考慮すると、かかる点は極めて重要である。
【0011】
以上に示したようなチオール化合物を添加することで、添加しない場合に比較して、着色およびフィッシュアイの発生の少ないEVOH成形体を得ることが可能である。
【0012】
なお、かかるチオール化合物は2種類以上のものを併用することもできる。また、チオール化合物以外の化合物を別途添加することもできる。
【0013】
本発明で得られるEVOHのエチレン含有量は20〜60モル%、好適には25〜50モル%、より好適には25〜40モル%、ビニルエステル成分のけん化度は90モル%以上、好適には95モル%以上、より好適には98モル%以上である。
エチレン含有量が20モル%未満では、高湿度下でのガスバリアー性が低下し溶融成形性も悪化する。また60モル%を越えると十分なガスバリアー性が得られない。一方、けん化度が90モル%未満では、高湿度時のガスバリアー性が低下するだけでなく、EVOHの熱安定性が悪化し、成形物にゲルが発生しやすい。
【0014】
ビニルエステルとしては酢酸ビニルが代表的なものとしてあげられるが、その他の脂肪酸ビニルエステル(プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなど)も使用できる。
【0015】
またEVOHには、本発明の目的が阻害されない範囲で他の単量体を少量共重合することもできる。共重合できる単量体の例としては、プロピレン、ブテン、イソブテン、4−メチルペンテン−1、ヘキセン、オクテンなどのα−オレフィン、イタコン酸、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸、その塩、その部分または完全エステル、そのニトリル、そのアミド、その無水物、ビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン系化合物、不飽和スルホン酸、その塩、アルキルチオール類、ビニルピロリドンなどがあげられる。
【0016】
また、本発明に用いるEVOHの好適なメルトインデックス(MI)(190℃、2160g荷重下で測定;ただし、融点が190℃付近あるいは190℃を越えるものは2160g荷重下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆数を横軸、メルトインデックスを縦軸(対数)としてプロットし、190℃に外挿した値)は0.1〜200g/10min.、最適には0.2〜100g/10min.である。
【0017】
以下、本発明のEVOHの製法について詳しく説明する。エチレンと酢酸ビニルの重合は溶液重合に限るものではなく、連続式、回分式のいずれであってもよいが、例えば、回分式の溶液重合の場合の重合条件は次の通りである。
【0018】
溶媒;アルコール類が好ましいが、その他エチレン、酢酸ビニルおよびエチレン−酢酸ビニル共重合体を溶解し得る有機溶剤(ジメチルスルホキシドなど)を用いることができる。アルコール類としてはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等を用いることができ、特にメチルアルコールが好ましい。
触媒;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトル)、2,2’−アゾビス−(4−メチル−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(2−シクロプロピルプロピオニトリル)等のアゾニトリル系開始剤およびイソブチリルパーオキサイド、クミルパーオキシネオデカノエイト、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物系開始剤等を用いることができる。
温度;20〜90℃、好ましくは40℃〜70℃。
時間;2〜15時間、好ましくは3〜11時間。
重合率;仕込み酢酸ビニルに対して10〜90%、好ましくは30〜80%。
重合後の溶液中の樹脂分;5〜85%、好ましくは20〜70%
【0019】
所定時間の重合後、所定の重合率に達した後、反応溶液にチオール化合物を添加し、未反応のエチレンガスを蒸発除去した後、未反応酢酸ビニルを追い出す。該チオール化合物は重合に用いた溶媒などに溶解して添加することが、均一拡散の観点から好ましい。また同様に均一拡散の観点から、溶液重合である方がバルク重合に比較して好ましい。
【0020】
チオール化合物の添加量は、特に限定されるものではないが、仕込酢酸ビニルに対する仕込みチオール化合物量として示すならば、好ましくは0.0001〜3重量%、さらに好ましくは0.0005〜1重量%、特に好ましくは0.001〜0.5重量%が望ましい。0.0001重量%未満の少量を添加したのでは、着色が少なく、成形時にゲル状ブツの発生の少ない成形品を得ることができない。また、逆に3重量%以上の大量を添加したのでは、低分子量化合物であるチオール化合物の残存によって、臭気の発生、滲み出し等の問題を生じて、包装容器等に広く用いられる観点から望ましくない。
【0021】
チオール化合物を添加し、エチレンを蒸発除去したエチレン−酢酸ビニル共重合体から未反応の酢酸ビニルを追い出す方法としては、例えば、ラシヒリングを充填した塔の上部から該共重合体溶液を一定速度で連続的に供給し、塔下部よりメタノール等の有機溶剤蒸気を吹き込み塔頂部よりメタノール等の有機溶剤と未反応酢酸ビニルの混合蒸気を流出させ、塔底部より未反応酢酸ビニルを除去した該共重合体溶液を取り出す方法などが採用される。
【0022】
未反応酢酸ビニルを除去した該共重合体溶液にアルカリ触媒を添加し、該共重合体中の酢酸エステル成分をケン化する。ケン化方法は連続式、回分式いずれも可能である。アルカリ触媒としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカリ金属アルコラートなどが用いられる。例えば、回分式の場合のケン化条件は次の通りである。
該共重合体溶液濃度;10〜50%
反応温度;30〜60℃
触媒使用量;0.02〜0.6当量(酢酸エステル基当り)
時間;1〜6時間
ケン化反応後のケン化度は目的により異なるが通常酢酸ビニル成分の95%以上であり、ケン化条件によって任意に調整できる。
【0023】
反応後の該共重合体ケン化物はアルカリ触媒、副生塩類、その他不純物等を含有するためこれらを洗浄、たとえば水洗により除去する。また、チオール化合物も、水洗などの洗浄により除去できるが、除去されやすさはチオール化合物の極性などにより異なり、アミノ基および/またはカルボキシル基のような極性基を有する方が効率的に除去できる。
【0024】
このようにして得られた該共重合体ケン化物に、リン酸、ピロ燐酸、亜燐酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、酒石酸、クエン酸、燐酸二水素ナトリウム、燐酸二水素カリウム、酢酸等の酸または多塩基酸の部分塩を添加することも可能である。最後に乾燥し目的とするエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物が得られる。
【0025】
こうして得られたEVOHは溶融成形によりフィルム、シート、容器、パイプ、繊維等、各種の成形体に成形される。これらの成形物は再使用の目的で粉砕し再度成形することも可能である。また、フィルム、シート、繊維等を一軸または二軸延伸することも可能である。溶融成形法としては押出成形、インフレーション押出、ブロー成形、溶融紡糸、射出成形等が可能である。溶融温度は該共重合体の融点等により異なるが150〜270℃程度が好ましい。EVOHの重合度、エチレン含有率およびケン化度の異なるものを二種以上ブレンドし溶融成形することも可能である。また、EVOHに他の各種可塑剤、安定剤、界面活性剤、架橋剤、金属塩、充填剤、各種繊維等の補強剤等を適量添加することも可能である。このような方法によって、着色、フィッシュアイ発生、成形物の肌荒れの少ない成形物が得られる。
【0026】
また、EVOH以外の熱可塑性樹脂を適量配合することも可能である。熱可塑性樹脂としては各種ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレンと炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体、ポリオレフィンと無水マレイン酸との共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、またはこれらを不飽和カルボン酸またはその誘導体でグラフト変性した変性ポリオレフィンなど)、各種ナイロン(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6/66共重合体など)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリアセタールおよび変性ポリビニルアルコール樹脂などが用いられる。また、本発明により得られたEVOHを前記の熱可塑性樹脂と積層、特に共押出しして多層構造体として使用することもできる。また、該EVOHを紙、プラスチックフィルムおよび金属箔等の基材フィルムに共押出しコートあるいは溶液コートすることも可能である。
【0027】
【実施例】
以下、実施例により具体的に説明する。なお、(部)、(%)は特に断わりのない限り重量基準で表したものである。また、以下の実施例中での、EVOH中に残存するチオール化合物の量、成形体の着色、フィルム中のフィッシュアイの個数の検査方法についてはそれぞれ以下の手順で行った。
【0028】
該共重合体ケン化物中に残存するチオール化合物の量は、以下のような手順で定量した。試料のEVOHを粉砕し、100メッシュのふるいによって粗大粒子を除去したもの10gをクロロホルム100mLを用いて48時間ソックスレー抽出した。この抽出液中のチオール化合物量は、それぞれのチオール化合物の標品を用いて検量線を作成し、高速液体クロマトグラフィーにて定量した。
【0029】
フィルムの着色は、100μm厚みの未延伸フィルムを10枚重ねて白い紙の上に置き、目視観察によって以下のように4段階で判定した。着色度0;ほとんど着色が認められない、着色度1;かすかに着色、着色度2;やや着色、着色度3;明らかに着色。
【0030】
フィルム中のゲル状ブツについては、12μm厚みの延伸フィルムを試料とし偏光板を垂直に二枚重ねた間に試料を配置し、背面から蛍光灯で照らした状態で目視で観察し、20cm×20cmの範囲中の約0.2mm以上の大きさのフィッシュアイの個数をカウントすることで測定した。
【0031】
実施例1
耐圧100kg/cm2の重合槽に酢酸ビニル19600部、メタノール2180部、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)7.5部を仕込み、攪拌しながら窒素置換後、昇温、昇圧し内温60℃、エチレン圧力35.5kg/cm2に調整した。3.5時間その温度、圧力を保持し重合させた後、システイン6.0部{0.031重量%/VAc(酢酸ビニル)}をメタノールに溶解し1%溶液にして添加した。この時の重合率は仕込み酢酸ビニルに対して45%、エチレン含有率は32モル%であった。
【0032】
ポリエン化合物の添加後に、重合槽を常圧に戻し、エチレンを蒸発除去した。引き続き、このメタノール溶液をラシヒリングを充填した追い出し塔の塔上部より連続的に流下させ、一方、塔底部よりメタノール蒸気を吹き込んで未反応酢酸ビニル単量体をメタノール蒸気とともに塔頂部より放出させコンデンサーを通して除去することにより、未反応酢酸ビニル0.01%以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体の45%メタノール溶液を得た。
【0033】
次に、エチレン−酢酸ビニル共重合体のメタノール溶液をケン化反応器に仕込み、苛性ソーダ/メタノール溶液(80g/L)を共重合体中の酢酸ビニル成分に対し、0.4当量となるように添加し、メタノールを添加して共重合体濃度が20%になるように調整した。60℃に昇温し反応器内に窒素ガスを吹き込みながら約4時間反応させた。4時間後、酢酸で中和し反応を停止させ内容物を反応器より取り出し約20時間常温に放置すると粒子状に析出した。析出後の粒子は遠心分離機で脱液しさらに大量の水を加え脱液する操作を繰り返した。
【0034】
最後に脱液乾燥して得られたEVOHのケン化度は99.5モル%、メルトインデックス(190℃、2160g荷重下)は2g/10min.であった。該EVOH中に残存するシステインの量は20ppmであった。
このEVOHを、シリンダー、アダプターおよびダイの温度をそれぞれ230℃に設定した60mm径の押出機/Tダイ単層製膜機で製膜して厚み100μmの未延伸フィルムを得た。未延伸フィルムを90℃の温水に浸し、EVOHの吸水率を15%にし、90℃でテンター方式により縦、横それぞれ2.9倍に延伸して厚みが12μmの延伸フィルムを得た。
【0035】
得られた未延伸フィルムの着色度は0であり、良好な色調のフィルムを得ることができた。また、延伸フィルム中のフィッシュアイの数は400cm2あたり2個であった。
以上の樹脂およびフィルムの性状の測定結果を表1にまとめて示す。
【0036】
実施例2〜5、比較例1〜3
実施例1のシステインに代えてこれと等モル量の3−メルカプトプロピオン酸5.3部(0.027重量%/VAc、実施例2)、2−アミノエチルメルカプタン3.8部(0.019重量%/VAc、実施例3)、チオフェノール5.5部(0.028重量%/VAc、実施例4)、tert.−ブチルメルカプタン4.5部(0.023重量%/VAc、実施例5)、ハイドロキノン5.5部(0.028重量%/VAc、比較例1)、スチレン5.2部(0.027重量%/VAc、比較例2)、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン11.7部(0.060重量%/VAc、比較例3)を用いて実施例1と同様の方法でEVOHを製造した。こうして得られたEVOHの未延伸フィルムおよび延伸フィルムを実施例1と同様に作成し、その評価結果を表1にあわせて示す。
【0037】
比較例4
システインに代わる添加剤は何も入れず、実施例1と同様の方法でEVOHを製造した。得られた共重合体ケン化物の未延伸フィルムおよび延伸フィルムを実施例1と同様に作成し、その評価結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【発明の効果】
以上述べたように、エチレン−ビニルエステル共重合体の重合後に、チオール化合物を添加し、該重合体をケン化して得られた樹脂を成形することで、着色が少なく、フィッシュアイの少ない、高品質のEVOH成形物を得ることができる。
Claims (3)
- エチレンとビニルエステルとを溶媒の存在下に共重合したあと、チオール化合物を添加し、次いで未反応のモノマーを除去してから、ケン化することを特徴とするエチレン−ビニルアルコール共重合体の製法。
- チオール化合物が、アミノ基および/またはカルボキシル基を有する化合物である請求項1に記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体の製法。
- チオール化合物が、システインである請求項1または2に記載のエチレン−ビニルアルコール共重合体の製法。
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