JP2002059076A - 防食表面処理法と防食表面処理鋼材およびその使用方法 - Google Patents

防食表面処理法と防食表面処理鋼材およびその使用方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】塩化物が飛来する環境下で、鋼材の表面に安定
さび層を早期に形成させる防食表面処理法と、防食表面
処理鋼材およびその使用方法を提供する。 【解決手段】鋼材の表面に、塗料の固形分に対して、CO
3 2- を0.03〜12質量%含有する樹脂塗料、または、硫
酸ニッケルを 0.1〜10質量%、CO3 2- を0.01〜12質量
%、ブチラール樹脂、または、ブチラール樹脂およびブ
チラール樹脂と相溶する樹脂の混合物からなる樹脂を10
〜40質量%含有する樹脂塗料を塗布する。この処理を施
した防食表面処理鋼材は、大気環境下のみではなく、コ
ンクリート用鋼材、土中埋設構造物用鋼材としても使用
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼材の表面に保護
性を有する緻密なさびの層を形成させることにより腐食
の抑制を図る鋼材の防食表面処理法、その処理を施した
防食表面処理鋼材およびその使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼材は、産業の各分野で広範囲にわたり
使用されており、それぞれの用途に対応した鋼種が開発
され、また、適切な防食対策が採られている。土木・建
築構造物等に使用される鋼材についても、材質面から耐
食性の向上が図られる一方、種々の表面処理を施すこと
による腐食の防止ないしは抑制対策が講じられている。
しかしながら、以下に述べるように、必ずしも十分であ
るとはいえず、特に、海岸地帯や、岩塩などの凍結防止
剤が散布される地域等、多量の塩化物が飛来するような
環境下においては、腐食が加速され、また、鋼種によっ
ては孔食状に腐食する。例えば、一般に鋼にP、Cu、Cr
等の合金元素を添加することにより大気中での耐食性
(耐候性)を向上させることができ、これらの元素を添
加した鋼は“耐候性鋼”と呼ばれている。この耐候性鋼
は、腐食の進行に伴ってその表面に大気腐食に対して保
護作用を有するさび層(以下、「安定さび層」という)
が形成され、その後の腐食が著しく抑制されるので、塗
装等の防食処理を施す必要がなく、メンテナンスフリー
で使用することが可能である。しかし、安定さび層が形
成されるまでには数年または10年以上かかり、その間、
赤さび等が発生するという問題がある。このため、従来
から鋼表面に安定さび層を早期に形成させようとする研
究がなされてきた。例えば、特公昭56− 33991号公報に
は、Fe3O4 +Fe2O3 、リン酸、およびPb、Ni、Cu、
P、Zn、Cr等の単体もしくは化合物の1種以上をブチラ
ール樹脂に含有させ、溶剤と混合して耐候性鋼に塗布
し、さらにその上に耐候性皮膜を形成する処理液を塗布
する表面処理法が開示されている。また、リン酸を補助
化合物(ジンククロメート)とともに加え、これに酸化
鉄とPVB(ポリビニルブチラール樹脂)を混合し、さ
らに溶剤を加えた処理液を耐候性鋼に塗布するさび安定
化処理法が報告されている(「表面技術」Vol.47,No.3,
1996,P.273)。しかしながら、海岸地帯や、岩塩などの
凍結防止剤が散布される地域等、多量の塩化物粒子が飛
来して鋼表面に付着するような環境下においては、上記
従来の技術では必ずしも安定さび層が形成されず、腐食
が進行し、耐候性鋼を使用したにもかかわらず塗装によ
る防食処理を施さざるを得ない場合があった。さらに、
多量の塩化物粒子が飛来する環境において、例えば、建
物の水平部や、橋梁では、内桁部のフランジの下面や上
面など降雨、結露等により水が溜まりやすい場所では特
に腐食が激しく、安定さび層が形成されにくいという問
題があった。本出願人は、硫酸クロムおよび硫酸銅のう
ちの少なくとも一方を所定量含む有機樹脂塗料を鋼材の
表面に塗布して安定さび層を早期に生成させる方法を提
案したが(特開平 6−226198号公報)、この方法も特に
厳しい海岸地帯において適用するためには、処理効果の
一層の向上が望まれていた。また、コンクリート構造物
の鉄筋や鉄骨など、コンクリート中で使用される鋼材
は、その表面がコンクリートで覆われているので通常は
腐食されにくい。しかし、海岸地帯や、岩塩などの凍結
防止剤が散布される地域においては、コンクリート表面
に塩化物粒子が付着し、塩化物イオン(Cl-) が水分(H
2O) 、酸素(O2)とともにコンクリート中に拡散浸透して
鉄筋等の鋼材の表面に達し、その部分におけるCl-
度がある臨界濃度を超えると鋼材は腐食する。したがっ
て、このような塩化物が飛来する環境下にあるコンクリ
ート中の鋼材の防食対策としては、Cl- による腐食に
対する対策を講じることが必要となる。従来、コンクリ
ート中で使用される鋼材の防食対策としては、例えば、
鉄筋をエポキシ樹脂で被覆する重防食タイプのエポキシ
鉄筋が知られている。しかし、これは、鉄筋を数100 μ
m の厚さのエポキシ樹脂で被覆して腐食環境から遮断す
ることにより防食するものであって、コスト高となるた
め一般には普及していない。また、鋼にCuおよびWを添
加したり、Crを添加して低合金化し、鉄筋そのものの耐
食性を高める方法があるが、期待されるほどの防食効果
が得られず、あまり使用されていない。そのため、最近
は、コンクリートの表面に重防食塗装を行ってコンクリ
ートそのものを腐食環境から遮断する方法も検討されは
じめているが、コスト高となる不利は避けられない。
【0003】一方、特開平11− 58600号公報には、PO4
3- 、MoO4 2- 、WO4 2- 、VO3 - およびNO3 -のうちの
いずれか1種以上を含有する塗料を塗布することによ
り、さび層のCl- 透過抑制効果を高め、上記環境下に
おけるコンクリート中の鋼材の耐食性の向上を図る方法
が示されている。また、土中埋設配管や建家の土中基礎
鋼構造物等、土中に埋設された鋼材の腐食は、地下水位
が比較的低い場合には、雨水がしみ込んで鋼材の表面ま
で達した水分と地表から拡散してくる酸素の作用により
進行する。このような土中での鋼材の腐食が問題となる
場合、その防食方法としては、亜鉛めっきや重防食ライ
ニングを施す等の対策が採られてきた。しかし、重防食
ライニングは、完全な防食が可能ではあるがコストの上
昇を招き、経済性の観点から、ガス管を除いてはあまり
用いられていないのが現状である。また、亜鉛めっきに
よる防食方法には、めっき目付量にもよるが、長期的に
は腐食が避けられないという問題があり、土中で使用さ
れる鋼構造物に適用し得る安価で、かつ効果的な防食方
法の開発が望まれていた。また、海岸地帯や、岩塩など
の凍結防止剤が散布される地域等、多量の塩分が飛来す
る環境下においては、従来、耐食性に優れるSUS304ステ
ンレス鋼以上の高Cr高Mo含有鋼が使用されてきた。この
クラスより下の、例えばCr含有量が13質量%程度以下の
Cr鋼は赤色のさびを生じ、かつ孔食がかなり深く進行す
るため、このような飛来塩分量の多い場所では使用され
ていない。しかし、ステンレス鋼であっても、使用条件
の如何によっては発銹する場合が多く、海岸地帯等の飛
来塩分量の多い場所で使用し得る耐食性に優れた鋼材の
開発に対する要望が強い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような状
況に鑑みなされたもので、主として土木・建築構造物等
に使用される鋼材、特に、海岸地帯や、岩塩などの凍結
防止剤が散布される地域等、塩化物が飛来する環境下で
使用される鋼材の防食表面処理法と、その処理を施した
防食表面処理鋼材およびその使用方法を提供することを
課題としている。具体的には、多量の塩化物が飛来する
環境下において、特に、水平部でかつ塩化物の付着・蓄
積しやすい部位、例えば橋梁では、内桁部のフランジの
下面や上面などの結露等により水が溜まるような部位に
使用されている耐候性鋼等の低合金鋼や普通鋼等の鋼材
の表面に安定さび層を形成させることができる防食表面
処理法、およびその処理を施した防食表面処理鋼材を提
供することを目的としている。さらに、上記防食表面処
理を施した鋼材をコンクリート構造物の鉄筋や鉄骨な
ど、コンクリート中で使用される鋼材(以下、「コンク
リート用鋼材」とも記す)として、また、土中に埋設さ
れる鋼構造物用の鋼材(以下、「土中埋設構造物用鋼
材」とも記す)として使用する方法を提供することを目
的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、20年以上
の期間にわたり大気中に曝露した鋼の表面に形成された
安定さび層をX線回折等の手段により解析した結果、安
定さび層がα−FeOOH(ゲーサイト;一部、母材成分で
あるCr、Ni、CuなどがFeと置換していると考えられる)
からなる微細結晶の緻密な集合により構成されているこ
とを見いだし、このような安定さび層を鋼表面に人工的
に形成させる表面処理技術を開発した。前掲の特開平 6
−226198号公報で提案した方法がそれである。なお、微
細化したα−FeOOH は、X線回折では回折ピークを与え
ない、いわゆるX線的非晶質物質になる場合もあるが、
メスバウアー分光分析では微細なゲーサイトであること
が明瞭に確認できる。しかし、前記のように、飛来塩分
量が多い環境下では安定さび層の形成が阻害され、特に
水平部の塩分が濃縮し、水が溜まりやすい環境では安定
さび層が形成されない場合があることが問題になってい
た。そこで、このような環境下でも安定さび層が形成さ
れるような表面処理技術を開発するべく検討を重ねた結
果、鋼表面に塗布する樹脂塗料中に炭酸イオン(CO3 2-)
を含有させることにより所望の性能の安定さび層が得ら
れることを見いだした。さらに、Cr3+、Ni2+、Cu2+、Al
3+を含有させるとさびが緻密化するとともに、さびが還
元されにくくなり、腐食が抑制される。特に、鋼材の表
面にNi2+とSO4 2- を含む特定の樹脂塗料を塗布するこ
とにより形成される樹脂被膜はアニオン(特に、Cl-) の
鋼材表面への浸透を抑制する効果が大きく、樹脂被膜が
Cl- の鋼材表面への浸透を防止している間に、Cl- と同
時に浸透してくる酸素(O2)と水(H2O) との作用により、
鋼材表面に、α−FeOOH(ゲーサイト)のFeの一部がNi
で置換されたα−(Fe1-y,Niy)OOH(ニッケル置換ゲーサ
イト)またはこれとスピネル型酸化物のFeの一部がNiで
置換された酸化物(さび)との混合物からなる緻密な安
定さび層を形成させ得ることを確認した。
【0006】前記の樹脂塗料が、Ni2+とSO4 2- に加
え、さらにCr3+を含む場合は、鋼材表面に、α−(F
e1-y,Niy)OOH(ニッケル置換ゲーサイト)またはこれと
Niを含有するスピネル型のさびとの混合物、およびそれ
らとさらにα−(Fe1-x,Crx)OOH(クロム置換ゲーサイ
ト)との混合物からなる安定さび層が形成される。
【0007】前記の樹脂被膜は時間の経過とともに酸化
等により劣化するが、安定さび層は緻密でCl- の浸透を
抑制する機能を有するので、その後の腐食の進行を効果
的に抑制することができる。この安定さび層は、大気に
曝された鋼材表面のみではなく、コンクリート中で使用
される鉄筋や鉄骨等の鋼材の表面においても形成され
る。コンクリート中に拡散浸透する水分(H2O) と酸素(O
2)が鉄筋等の鋼材の表面に達し、そこで安定さび層が生
成する。このさび層は、α−(Fe1-y,Niy)OOH(ニッケル
置換ゲーサイト)またはこれとNiを含有するスピネル型
のさびとの混合物であり、樹脂塗料にさらにCr3+が含ま
れる場合は、それらの他に、それらとα−(Fe1-x,Crx)O
OH(クロム置換ゲーサイト)との混合物も含まれる。こ
のα−(Fe1-y,Niy)OOHや、スピネル型酸化物のFeの一部
がNiで置換された酸化物、α−(Fe1-x,Crx)OOHは、しば
しば結晶が微細化し、いわゆるX線的非晶質物質(アモ
ルファス)となるが、メスバウアー分光分析では安定さ
びが形成されていることが明瞭に確認できる。一方、土
中での鋼の腐食は、前述したように、地下水位が比較的
低い場合には、土中に雨水がしみ込んで鋼材の表面まで
達した水分(H2O) と地表から拡散してくる酸素(O2)との
作用により進行するので、大気腐食と現象的によく類似
しており、上記の大気腐食の場合と同様の緻密な安定さ
び層が鋼材表面に形成される。この鋼材の表面にNi2+
SO4 2- を含む特定の樹脂塗料を塗布する処理は、普通
鋼材においてのみでなく、Cu、Cr、Ni、Mo等を含む低合
金鋼、耐候性鋼、耐海水性低合金鋼の鋼材においても効
果を発揮する。また、クロム鋼(ここでは、Crを 1〜13
質量%含有する鋼をいう)の表面に上記の樹脂塗料を塗
布することによって、その表面にα−(Fe1-y,Niy)OOH
(ニッケル置換ゲーサイト)、これとNiを含有するスピ
ネル型のさびとの混合物、さらにはそれらとα−(F
e1-x,Crx)OOH(クロム置換ゲーサイト)との混合物から
なる安定さび層が形成され、このさびの層がクロム鋼の
孔食の発生およびその後の成長を効果的に抑制すること
を確認した。本発明はこれらの知見に基づいてなされた
もので、その要旨は下記(1)および(3)の防食表面
処理法、(2)および(4)の防食表面処理鋼材、なら
びに(5)の防食表面処理鋼材の使用方法にある。
【0008】(1)鋼材の表面に、塗料の固形分に対し
て、CO3 2- を0.03〜12質量%含有する樹脂塗料を塗布
する防食表面処理法。
【0009】樹脂塗料が、さらに、 0.2〜12質量%のCr
3+、 0.1〜10質量%のNi2+、 0.1〜7質量%のCu2+およ
び 0.1〜 6質量%のAl3+のうちの一種以上を含有するも
のであれば、鋼材表面に形成されるさびが緻密化すると
ともに、さびが還元されにくくなって腐食が抑制される
ので好ましい。
【0010】(2)鋼材の表面が、CO3 2- をO.O3〜12
質量%含有する樹脂被膜で被覆されている防食表面処理
鋼材。樹脂被膜が、さらに、 0.2〜12質量%のCr3+
0.1〜10質量%のNi2+、 0.1〜7質量%のCu2+および 0.1
〜 6質量%のAl3+のうちの一種以上を含有するものであ
れば、前記のように、腐食の抑制効果が大きい。上記
(1)および(2)の発明において、「鋼材」は、特に
鋼種が限定されるものではなく、普通鋼であっても、耐
候性鋼等の低合金鋼であってもよい。いわゆる錆を生成
する鋼材であればよい。
【0011】(3)鋼材の表面に、塗料の固形分に対し
て、硫酸ニッケルを 0.1〜10質量%、CO3 2- を0.01〜1
2質量%、ブチラール樹脂、または、ブチラール樹脂お
よびブチラール樹脂と相溶する樹脂の混合物からなる樹
脂を10〜40質量%含有する樹脂塗料を塗布する防食表面
処理法。前記の樹脂塗料が、さらに硫酸クロムを 0.1〜
15質量%含有するものであれば、鋼材表面に形成される
安定さび層へのCl- の浸透が抑制され、耐食性が一層
良好になる。
【0012】(4)鋼材の表面が、硫酸ニッケルを 0.1
〜10質量%、CO3 2- を0.01〜12質量%、ブチラール樹
脂、または、ブチラール樹脂およびブチラール樹脂と相
溶する樹脂の混合物からなる樹脂を10〜40質量%含有す
る樹脂被膜で被覆されている防食表面処理鋼材。樹脂塗
料が、さらに硫酸クロムを 0.1〜15質量%含有するもの
であれば、前記のように、耐食性は一層良好である。
【0013】(5)上記(3)に記載の方法で防食表面
処理を施した鋼材を大気環境用、コンクリート用または
土中埋設構造物用として使用する防食表面処理鋼材の使
用方法。上記(3)〜(5)の「鋼材」も、鋼種を問わ
ず、耐候性鋼、その他の低合金鋼や普通鋼など、いわゆ
るさびを生成する鋼であればよい。例えば、炭素鋼、C
u:0.05〜1 質量%、Cr:0.05〜13質量%、Ni: 0.1〜5
質量%、Mo:0.05〜1 質量%のうちの1種以上を含有
する鋼、耐候性鋼、耐海水性低合金鋼、または、Crを 1
3質量%以下含有するクロム鋼であってもよい。「塗料
の固形分」とは、バインダーとしての樹脂と、この樹脂
に添加する炭酸イオン(CO3 2-) 、Cr3+、Ni2+、Cu2+、A
l3+等の各イオン、硫酸ニッケル、硫酸クロム等(ここ
では、前記の各イオンを含め「薬剤」という)、および
樹脂に添加する顔料等の塗料添加剤をいい、塗料の調整
時に加える溶剤など、塗装後の自然乾燥により揮散し
て、鋼材表面に形成される樹脂被膜中に残存しないもの
は含まない。なお、上記のCO3 2- をNa塩やCa塩として
添加した場合、Na+ やCa+は樹脂被膜中に残存すること
になるが、ここでは、これらの陽イオンは塗料の固形分
には含めないこととする。また、CO3 2- の量は、添加
の際に用いた塩には関係なく、CO3 2- としての量であ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の防食表面処理法、
防食表面処理鋼材、およびその使用方法について詳細に
説明する。なお、樹脂に添加するCO3 2- 、硫酸ニッケ
ル等の薬剤、塗料を構成する樹脂、鋼材に含まれる合金
成分等の「%」はいずれも「質量%」を意味する。上記
(1)に記載の防食表面処理法は、鋼材の表面に、塗料
の固形分に対して、CO3 2- を0.03〜12質量%含有する
樹脂塗料(以下、単に「塗料」ともいう)を塗布する防
食表面処理法である。前記の樹脂塗料が、さらに、 0.2
〜12質量%のCr3+、 0.1〜10質量%のNi2+、 0.1〜 7質
量%のCu2+および 0.1〜 6質量%のAl3+のうちの一種以
上を含有していれば一層好ましい。また、(3)に記載
の防食表面処理法は、硫酸ニッケルを 0.1〜10質量%、
CO3 2- を0.01〜12質量%、ブチラール樹脂、または、
ブチラール樹脂およびブチラール樹脂と相溶する樹脂の
混合物からなる樹脂を10〜40質量%含有する樹脂塗料を
塗布する表面処理方法であり、樹脂塗料に、さらに硫酸
クロムが 0.1〜15質量%含まれていれば耐食性が一層良
好になる。鋼材の表面に、この(1)または(3)の処
理を施すことによって、鋼材を使用する過程でその表面
に安定さび層を早期に形成させることができる。以下、
塗料の構成要素および塗装方法について説明する。 CO3 2- 塩化物イオンを多量に含む環境下において、腐食過程で
生成するFe2+をα−FeOOH とし、鋼表面に安定さび層を
早期に生成させるためには、CO3 2- の存在が必須であ
る。
【0015】CO3 2- を含有する化合物の水溶液の乾湿
繰り返し条件下で鋼材の表面に生成するさびは、大半が
α−FeOOH であることを本発明者らは確認した。鋼材を
NaClやKCl 等のCl- を含む水溶液を鋼材の表面に塗布
し、乾湿繰り返しの環境に曝した場合は、γ−FeOOH 、
β−FeOOH 、Fe3O4 (上記のNiを含有するスピネル型
のさびとは異なる)あるいはγ−Fe2O3 等からなるさ
びが主であり、安定さび層を構成し得るα−FeOOH の生
成は極めて少ない。
【0016】さらに、水が長い間溜まる状態にある場合
は(例えば、橋梁内桁部のフランジの下面や上面)、特
にFe3O4 が多量に生成するが、CO3 2- が存在すると、
Fe3O 4 の生成が抑制され、安定さび層の形成に有効に
作用する。Ni2+、Cr3+、SO4 2-が存在する状態であって
も、長期間にわたりCl- を含む水溶液に曝した場合
は、特に前記のFe3O4 あるいはγ−Fe2O3 が多量に生
成する。しかし、このときCO3 2- が存在すると、Fe3O4
あるいはγ−Fe2O3 の生成が抑制される。これは、
塩化物イオンを多量に含む強い腐食環境下においては、
鋼材の電位は卑で、生成したさびは断続的に還元されて
Fe3O4 が生成するが、CO3 2- の存在下で生成するさび
はα−FeOOH となり、強い腐食環境下においても還元さ
れないためであると考えられる。鋼材の表面に形成させ
た樹脂被膜はCl- の鋼表面への浸透をある程度防ぐこ
とができるが、水が溜まる環境においては、Cl- の鋼
表面への浸透は比較的速い。このようなCl- が存在す
る厳しい腐食環境においても、樹脂被膜中にCO3 2-が含
まれているとα−FeOOH が生成するが、ほぼ完全な安定
さび層を生成させるためには、樹脂被膜に含有させるCO
3 2- の量が0.03%以上であることが必要である。一
方、12%を超えて含有させると、上記の効果が飽和し、
さらに、被膜が水分を吸収しやすく、ポーラスになるた
め、生成した初期さびの一部が被膜の外面にしみ出して
鋼材の外観が損なわれるだけでなく、樹脂被膜自体の可
撓性が失われ、かつ密着力が低下する。したがって、上
記(1)に記載の防食表面処理法において、CO3 2-
含有量は、塗料の固形分に対して0.03〜12%とする。一
方、上記(3)に記載の防食表面処理法の場合、すなわ
ち、樹脂被膜がCO3 2 - に加えて硫酸ニッケルを含有
し、かつ、樹脂被膜が、ブチラール樹脂、または、ブチ
ラール樹脂およびブチラール樹脂と相溶する樹脂の混合
物からなる樹脂の被膜である場合は、CO3 2- の含有量
の下限は0.01%とする。この場合は、CO3 2- の含有量
が0.01%以上であれば、ほぼ完全な安定さび層を生成さ
せることができる。樹脂塗料中にCO3 2- を含有させる
には、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)
、炭酸カルシウム(CaCO3) などの塩を用いればよい。
さらに、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、炭酸水素カリウ
ム(KHCO3) などの重炭酸塩(HCO3 -を含む塩)を用いても
よい。さらに、樹脂塗料中にPO4 3- 、MoO4 2-、WO4 2-
、VO3 -およびNO3 -のうちのいずれか1種以上を含有さ
せると、安定さび層へのCl- の浸透に対する抑制効果
を高めることができる。 Cr3+、Ni2+、Cu2+、Al3+ さびの構造が緻密であると、鋼の表面が腐食性化学種か
ら遮蔽されやすく、腐食は軽減する。Cr3+、Ni2+、C
u2+、Al3+はさびを微細化する作用効果を有しており、
樹脂塗料中にこれらのイオンを含有させると、α−FeOO
H のFeの一部がこれらのイオンにより置換されたα−(F
e1-x,Mx)OOH(ここで、MはCr、Ni、CuまたはAlであ
る)となり、さびが微細化し、緻密になる。さらに、一
時的に非常に激しく腐食が進行した際に微量に生成する
と考えられるγ−FeOOH のFeの一部が、これらのイオン
が存在することにより同様に置換されてγ−(Fe1-x,
x)OOH(MはCr、Ni、CuまたはAl)となり、これによ
ってさびが還元されにくくなり、腐食が抑制される。な
お、このとき、CO3 2- が存在すれば、γ−FeOOH が生
成しても、速やかにα−(Fe1-x,Mx)OOH(MはCr、Ni、
CuまたはAl)に変化する。このようなα−(Fe1-x,Mx)O
OH(MはCr、Ni、CuまたはAl)が生成するためには、x
が0.05以上になる必要があり、そのためには、樹脂塗料
中に 0.2%以上のCr3+、 0.1%以上のNi2+、 0.1%以上
のCu2+および 0.1%以上のAl3+のうちの一種以上を含有
させることが必要である。一方、12%を超えるCr3+、10
%を超えるNi2+、 7%を超えるCu2+、 6%を超えるAl3+
を含有させると、樹脂被膜自体の可撓性が低下し、被膜
が傷つきやすくなるだけでなく、多量の反応副生成物が
被膜外へ浸みだして外観が損なわれる場合がある。した
がって、上記(1)に記載の防食表面処理法において、
樹脂塗料中にこれらのイオンのうちの一種以上を含有さ
せる場合は、Cr3+含有量を 0.2〜12質量%、Ni2+含有量
を 0.1〜10質量%、Cu 2+含有量を 0.1〜 7質量%、Al3+
含有量を 0.1〜 6質量%とするのが好ましい。樹脂塗料
中にCr3+、Ni2+、Cu2+、Al3+を含有させるには、硫酸ク
ロム(Cr2(SO4)3) 、硫酸ニッケル(NiSO4) 、硫酸銅(C
uSO4) 、硫酸アルミニウム(Al2(SO4) 3) 等の硫酸塩、
硝酸クロム(Cr(NO3)3)、硝酸ニッケル(Ni(NO3)2)、硝酸
銅(Cu(NO3)2)、硝酸アルミニウム(Al(NO3)3)等の硝酸塩
など、塩化物以外の塩を用いればよい。特に、硫酸塩を
用いれば、次に述べるように、SO4 2- の存在によりゲ
ーサイトが生成されやすくなるので好適である。塩化ク
ロム(CrCl3) 等の塩化物を単独で用いるのは安定さび
層が生成しないので避けなければならないが、硫酸ナト
リウム等の硫酸塩とともにその硫酸塩に対して少量(望
ましくは 5%以下)用いるのであれば問題はない。 硫酸ニッケルおよび硫酸クロム 鋼材の表面に形成させる樹脂被膜が健全である限りその
被膜によって鋼材表面への塩素イオン(Cl-) の浸透をあ
る程度防ぐことができるが、樹脂皮膜は時間の経過とと
もに劣化する。しかし、被膜により鋼材とCl- の接触
が妨げられている間に、鋼材表面に緻密で欠陥のない連
続した安定さび層を形成させることができれば、その後
Cl- が被膜を透過してきても、この安定さび層によっ
て鋼材表面への到達を防止し、腐食を軽減し、また孔食
の発生およびその後の成長を抑制することができる。鋼
材表面に形成された樹脂被膜中の硫酸ニッケルは、被膜
中に水分が浸透してくるとSO4 2- とNi2+に解離して被
膜と鋼の界面に到達し、ここで、SO4 2- は水分(H2O)
の存在下で鋼と酸素(O2)との反応に関与し、生成するさ
びの大部分を安定さび層化する。樹脂被膜中にさらに硫
酸クロムが含まれている場合、硫酸クロムはSO4 2- とC
r3+に解離し、SO4 2- は同様に作用する。一方、Ni2+
Cr3+は、上記の安定さび層の生成反応の速度を速めると
ともに、さび層中のFeの一部をNi、さらにはCrで置換し
て微細なα−(Fe1-y,Niy)OOH(ニッケル置換ゲーサイ
ト)またはこれとNiを含有するスピネル型のさびとの混
合物、さらには、それらとα−(Fe1-x,Crx)OOH (クロ
ム置換ゲーサイト)との混合物を生成させる役割を果た
す。
【0017】その結果、鋼材表面にα−(Fe1-y,Niy)OOH
(ニッケル置換ゲーサイト)またはこれとNiを含有する
スピネル型のさびとの混合物からなる緻密な安定さび
層、また、さらには、それらとα−(Fe1-x,Crx )OOH
(クロム置換ゲーサイト)との混合物も含まれた緻密な
安定さび層が形成される。前記のα−(Fe1-x,Crx)OOH
(クロム置換ゲーサイト)は、Crを含むことによって、
Cl- 等のアニオンを選択的に透過させるアニオン選択
性からカチオンを選択的に透過させるカチオン選択性を
有するようになり、Cl- の安定さび層への浸透を防ぐ
ので、海水と直接接するような場合を除けば、Cl-
存在する環境下においても耐食性はかなり良好である。
また、α−(Fe1-y,Niy)OOH(ニッケル置換ゲーサイト)
はこのようなカチオン選択性とはならないが、Niを含む
ことによってさびを非常に緻密化し、同時にさびの粒子
間をつなぐバインダーとして作用してさび層の凝集力を
高め、さび層を防食性の非常に優れた保護性のあるさび
層とするものと推察される。このように、硫酸ニッケ
ル、さらには硫酸クロムは安定さび層の形成に密接に関
与しており、上記(3)に記載の防食表面処理法はこの
作用効果を利用する方法であるが、Cl- の鋼材表面へ
の到達を防止し得る安定さび層を生成させるためには、
樹脂塗料中に、塗料の固形分に対して、 0.1%以上の硫
酸ニッケルを含有させることが必要である。しかし、10
%を超える硫酸ニッケルを含有させると樹脂被膜の欠陥
が多くなり、被膜の劣化が速まる。したがって、上記
(3)に記載の防食表面処理法において、樹脂塗料中の
硫酸ニッケルの含有量は、塗料の固形分に対して 0.1〜
10%とする。硫酸ニッケルに加え、さらに硫酸クロムを
含有させる場合、硫酸クロムの含有量は、塗料の固形分
に対して 0.1〜15%とする。含有量が 0.1%に満たない
と、上述したCrの効果が十分に発揮されず、15%を超え
て含有させると、硫酸ニッケルの場合と同様に樹脂被膜
の劣化が促進されるからである。なお、硫酸ニッケルと
硫酸クロムを同時に含有させることは、両方の性能が引
き出されるので好ましいが、それらの合計の含有量が20
%を超えると、鋼材の表面に樹脂塗料を塗布した初期の
段階で反応副生成物が生じるので好ましくない。樹脂塗
料中に硫酸ニッケルや硫酸クロムを添加するに際し、硫
酸ニッケル、硫酸クロムを用いず、例えば、硝酸ニッケ
ル(Ni(NO3)2) や硝酸クロム(Cr(NO3)3)と硫酸ナトリウ
ム(Na2SO4) を用いてもよい。樹脂被膜中に水分が浸透
してくると、Ni2+とSO4 2- や、Cr3+とSO4 2- が生成す
る。しかし、硫酸ニッケルや硫酸クロムを使用すれば、
一種類の薬剤の添加で済むという利点がある。なお、塩
化ニッケル、塩化クロムのような塩化物は、腐食を促進
し、さびの安定化を妨げるので、好ましくない。ただ
し、同時に添加する硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム)
に対して望ましくは 5%以下だけ用いるのであれば問題
はない。 樹脂 上記(1)に記載の防食表面処理法で用いるバインダー
としての樹脂は特に制限されず、エポキシ樹脂、ウレタ
ン樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹
脂、アルキル樹脂、フタル酸樹脂、メラミン樹脂、ブチ
ラール樹脂、フェノール樹脂等を使用することができ
る。バインダーとしての樹脂の量が塗料の固形分に対し
て10%未満では、塗料として鋼材表面に塗布したときに
均一な被膜が得られず、強度および付着力が小さくな
り、50%を超えると、被膜を通して浸透する水分量が少
なくなって安定さび層の生成が遅延する場合がある。し
たがって、樹脂量は塗料の固形分に対して10〜50%とす
るのが好ましい。上記(3)に記載の防食表面処理法で
用いるバインダーとしての樹脂は、ブチラール樹脂、ま
たは、ブチラール樹脂およびブチラール樹脂と相溶する
樹脂の混合物からなる樹脂である。ブチラール樹脂は非
常に柔軟性に富み、さび層の形成に伴う鋼材表面の変化
に無理なく追従できるので、本発明(上記(3)に記載
の発明)の防食表面処理法で用いる樹脂塗料における不
可欠の成分である。ブチラール樹脂単独で用いてもよい
し、ブチラール樹脂にこの樹脂と相溶する樹脂(例え
ば、メラミン樹脂やフェノール樹脂)を混合して用いて
もよい。この場合のバインダーとしての樹脂の量は、樹
脂塗料の固形分に対して、10%未満では樹脂塗料を鋼材
表面に塗布したときに均一な被膜が得られず、また、形
成される被膜の強度および付着力が小さい。一方、40%
を超えると、被膜を通して浸透する水分量が少なくな
り、安定さびの形成が著しく遅延する。したがって、こ
の場合の樹脂量は、10〜40%とする。樹脂は、CO3 2-
や、Cr3+、Ni2+、Cu2+、Al3+、または硫酸ニッケル等を
樹脂被膜中に保持するバインダーとしての作用以外に、
次のような積極的な防食機能も有している。すなわち、
樹脂被膜は元来カチオン選択性(カチオンを選択的に透
過させる性質)を有しており、被膜が劣化するまで鋼材
表面へのCl- の透過を防ぐ役割を果たす。したがっ
て、その間にCl- の透過しにくい安定さび層を形成さ
せることができる。 樹脂被膜の形成 上記の樹脂に、前述したCO3 2- を含む炭酸ナトリウ
ム、炭酸水素ナトリウム等の塩や、Cr3+、Ni2+、Cu2+
Al3+を含む硫酸塩や硝酸塩、または硫酸ニッケル、さら
には硫酸クロムを所定量添加し、適当量の溶剤または水
を加えて塗布作業に適した粘度の樹脂塗料とする。この
とき、ベンガラ、二酸化チタン、カーボンブラック、フ
タロシアニンブルー等の着色顔料、タルク、シリカ、マ
イカ、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の体質顔料、酸
化クロム、クロム酸亜鉛、クロム酸鉛、塩基性硫酸鉛等
の防錆顔料、その他チキソ剤、分散剤、酸化防止剤等、
慣用されている添加剤を加えてもよい。さらに、燐酸あ
るいはその水溶液を添加してもよく、むしろ燐酸とニッ
ケルイオン、さらにはクロムイオンとが共存することに
より、ニッケル置換ゲーサイト、これとNiを含有するス
ピネル型のさびとの混合物、さらにはクロム置換ゲーサ
イトの生成が促進されるので、その方が好適である。上
記のようにして得られた樹脂塗料を、通常の塗装と同様
にエアスプレー、エアレススプレーあるいは刷毛塗り
等、慣用の方法で鋼材表面に塗布する。溶剤または水分
は、塗装後、自然乾燥により蒸散するが、水分の一部
は、安定さびの生成反応に寄与するするものと考えられ
る。鋼材としては、前記のように、耐候性鋼に限定され
ず、その他の低合金鋼や普通鋼など、いわゆるさびを生
成する鋼であれば鋼種を問わない。上記(3)に記載の
防食表面処理法では、Crを13%以下含有するクロム鋼で
あってもよい。なお、クロム鋼におけるCrの含有量を13
%以下とするのは、耐食性に優れるSUS304ステンレス鋼
以上の高Cr高Mo含有鋼ではなく、これよりグレードの低
い材料を対象として、これに表面処理を施し、孔食を生
じさせずに使用することを前提としているからである。
塗装時の膜厚は、上記(1)に記載の防食表面処理法で
は、塗料が乾燥固化した後の乾燥膜厚で 5〜 150μm と
なるようにするのが望ましい。この膜厚であれば、安定
さび層の生成段階における鋼表面へのCO3 2- や、C
r3+、Ni2+、Cu2+、Al3+等のイオンと鉄イオンの供給バ
ランスが最適となる。一方、上記(3)に記載の防食表
面処理法では、塗装時の膜厚は、乾燥膜厚で 5〜50μm
となるようにするのが望ましく、鋼表面へのニッケルイ
オン、さらにはクロムイオンと、鉄イオンの供給バラン
スが最適となる。なお、所定の乾燥膜厚になるように塗
料を塗布するには、あらかじめ塗布時の塗膜の膜厚(塗
膜厚)と乾燥後の膜厚との関係を求めておき、その関係
に基づいて塗布時の塗膜厚を定めればよい。塗布は、場
所を選ばずどこでも施工可能なので、製造元で出荷前に
行う場合はもちろん、施工現場で鋼材を切断し、溶接等
の加工を行った後の鋼材にも適用することができる。ま
た、1回の塗装で効果が得られるので、経済性にも優れ
ている。なお、コンクリート構造物に使用される鉄筋や
鉄骨等に塗布する場合は、コンクリート打設前であれば
可能である。また、塗布前の鋼材の表面は、研磨した状
態、酸洗したままの状態、ショットブラスト等による処
理を施した状態等、いずれであってもよい。表面にさび
が発生した状態であってもこの方法の適用は可能であ
る。鋼材表面に安定さび層が生成した後には鋼材の腐食
速度が極めて低くなるため、さらに、上層に着色塗膜を
被覆することも可能である。ブラスト処理等を施した表
面を有する鋼材に着色塗料を被覆する場合に比べて、そ
の着色塗膜の寿命が延長される。上述した本発明の防食
表面処理法によれば、海岸地帯等の塩化物が飛来する厳
しい環境下においても、鋼材の表面に緻密な安定さび層
を形成させ、その後の腐食の進行を抑制することができ
る。また、鋼材としてクロム鋼を用いた場合は孔食の発
生および進行を抑制することができる。クロム鋼は、従
来、海岸地帯等の飛来する塩分量の多い場所での使用は
不適とされていたが、本発明の防食表面処理法を施すこ
とにより、このような場所でも孔食を生じさせずに使用
することができる。これによって、安価な材料の提供が
可能となる。さらに、土中に埋設された鋼材の腐食で一
番の問題となるのは塩化物による腐食で、通常は鋼材表
面に局部電池(マイクロセル)が形成されることにより
孔食の形態を採って進行する。しかし、本発明の防食表
面処理法を施すことにより、孔食部においても、生成す
るさびはニッケル置換ゲーサイト、これとNiを含有する
スピネル型のさびとの混合物、さらには、クロム置換ゲ
ーサイトからなる緻密な保護性のある安定さびとなるの
で、孔食の進行は抑制される。次に、本発明の防食表面
処理鋼材は、上述した本発明の防食表面処理法を用いて
さび安定化処理を施した鋼材である。すなわち、上記
(2)に記載の防食表面処理鋼材は、鋼材の表面が、CO
3 2- をO.O3〜12質量%含有する樹脂被膜で被覆されて
いる防食表面処理鋼材であり、上記(4)に記載の防食
表面処理鋼材は、鋼材表面が、硫酸ニッケルを 0.1〜10
質量%、CO3 2- を0.01〜12質量%、ブチラール樹脂、
または、ブチラール樹脂およびブチラール樹脂と相溶す
る樹脂の混合物からなる樹脂を10〜40質量%含有する樹
脂被膜で被覆された鋼材である。上記(2)に記載の防
食表面処理鋼材において、樹脂被膜が、さらに、 0.2〜
12質量%のCr3+、 0.1〜10質量%のNi2+、 0.1〜 7質量
%のCu2+および 0.1〜 6質量%のAl3+のうちの一種以上
を含有するものであれば、上述したように、より好まし
い。また、上記(4)に記載の防食表面処理鋼材におい
ては、樹脂被膜にさらに硫酸クロムが 0.1〜15質量%含
まれていると、耐食性が一層良好になる。素材鋼として
は、前述した鋼を使用することができる。素材鋼の形状
について、何ら限定はない。前記のように、切断、溶接
等の加工を行った後の鋼材であってもよいし、研磨した
状態、酸洗したままの状態、ショットブラスト等による
処理を施した状態等、あるいは、表面にさびが発生した
状態のものであってもよい。樹脂、および樹脂に添加す
るCO3 2- や、Cr3+、Ni2+、Cu2+、Al3+等のイオン、硫
酸ニッケル、さらには硫酸クロムの作用効果、含有量の
限定理由は、上述したとおりである。樹脂被膜の膜厚
は、前記のように、上記(2)に記載の防食表面処理鋼
材では5〜 150μm 、(4)に記載の防食表面処理鋼材
では 5〜50μm であるのが望ましい。本発明の防食表面
処理鋼材の使用方法は、上記(4)に記載の防食表面処
理鋼材を大気環境中で土木・建築構造物の素材として、
鉄筋や鉄骨などコンクリート中で使用されるコンクリー
ト用鋼材として、または土中埋設配管や建家の土中基礎
鋼構造物等、土中埋設構造物用鋼材として使用する方法
である。上述したように、海岸地帯や、岩塩などの凍結
防止剤が散布される地域等、多量の塩分が飛来する大気
環境下であっても、また、そのような場所にコンクリー
ト構造物が建設されている場合、あるいは土中に最初か
らCl- 等の腐食性イオンが多量に含まれている場合で
あっても、鋼材の表面に安定さび層が形成される。した
がって、上記(4)に記載の防食表面処理鋼材は、その
ような厳しい環境下においても十分使用することができ
る。
【0018】
【実施例】(実施例1)表1に示す鋼を供試材とし、こ
れに表2に示す前処理を施した後、表4に示す条件で塗
装を施した試験片について、海岸地帯で大気暴露試験を
行った。なお、表3にバインダーとして用いた樹脂を示
す。表3において、硬化剤を使用するバインダー樹脂E
とFは2液タイプで、主剤(バインダー樹脂+添加剤)
と硬化剤を塗装直前に混合して使用した。
【0019】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】 試験片の寸法は、 100mm×60mm×3.0mm(厚み)とし
た。樹脂塗料は、表3に示したバインダー樹脂にNa2CO3
もしくはNaHCO3を添加し、または、さらに、Cr3+、N
i2+、Cu2+、Al3+が表4に示した含有量になるようにCr 2
(SO4)3 、NiSO4 、CuSO4 、Al2(SO4)3 を添加し
た。また、顔料としてベンガラ、シリカ、硫酸バリウム
等を適宜添加し、溶剤(シンナー)を加えて粘度が0.2
〜 1N・s/m2(200〜1000センチポアズ、B型粘度計で測
定) となるように調整した。この樹脂塗料をエアスプレ
ーにより表4に示した所定の膜厚になるように上記寸法
の供試材の表面(表裏両面)に塗布し、試験片とした。
【0020】大気暴露試験は、海岸から100m離れた場所
(新潟県直江津市内)で、試験片を水平に、または地面
に対して30度傾斜させて設置し、5年間暴露することに
より行った。水平に設置した試験片では、降雨時に試験
片表面に厚さ 300〜 500μmの液膜が形成される。試験
結果を表4に併せて示す。表4において、「平均腐食
量」は、試験片表面のさびを除去した後、質量測定を行
い、試験前後の質量差から1年当たりの腐食深さとして
求めたものである。なお、表示した値は、表裏両面にお
ける腐食深さの平均値である。また、「供試材」の欄に
おいて、記号Yで示した前処理(表2参照;初期暴露に
より試験片の表面にさび層を形成)を行った場合は、あ
らかじめ初期暴露による腐食量からその腐食深さを求め
ておき、これをブランク値として補正した。
【0021】「流れさび/副生成物の有無」について
は、肉眼観察により流れさびまたは反応副生成物の生成
の有無を調査した。また、「安定さび以外のさび生成の
有無」については、さびのX線回折を行うとともに、さ
び層の断面のラマン分光法による構造解析により確認し
た。X線回折での評価が困難な一部のさびについては、
メスバウアー分光分析を実施した。さらに、さび層の断
面の偏光顕微鏡観察を行い、安定さび層は消光すること
により安定さび層の存在の有無を判定した。なお、「樹
脂の種類」の欄の記号は表3の記号に対応し、「供試
材」の「鋼種」の欄の記号(数字)は表1の供試材の記
号に、「前処理」の欄の記号は表2の記号に対応する。
また、「曝露状況」の欄の「H」は試験片を水平に、
「V」は30度傾斜させて設置したことを表す。表4に示
した結果から、本発明(前記の(2)に記載の防食表面
処理鋼材)で規定する条件を満たすNo.1〜27では、いず
れも安定さび層が生成し、腐食量が10μm/y 以下と少な
く、流れさび等も認められなかった。No.25で一部安定
さび以外のさび(少量のマグネタイト)が検出された
が、これは、供試材に施した前処理(初期暴露)中に生
成したさびの残部であると考えられる。
【0022】これに対して、樹脂塗料による塗装をしな
かった場合(No.32) は、素材鋼が耐候性鋼であっても
安定さび層が生成せず、腐食量が極端に大きく、また、
塗装を行っても、樹脂塗料中に本発明で規定する薬剤が
所定量含まれていない場合(No.28、29、31)は、安定
さび層が生成せず、腐食抑制効果が十分ではなかった。
No.30 は、CO3 2- の含有量が上限の12%を超えた場合
であるが、初期に流れさびが一部観察された。(実施例
2)表5に示す化学組成を有する丸棒を供試材として、
表6に示す樹脂塗料を塗布した試験片を作製し、これを
コンクリート中に打設して得たコンクリートブロック供
試体について、乾湿繰り返し試験を実施した。
【0023】
【表5】
【表6】 供試材(丸棒)は、腐食減量が求めやすいように表面の
ミルスケールをあらかじめ硫酸水溶液により除去して用
いた。
【0024】試験片の寸法は、直径10mm×長さ100mm と
した。樹脂塗料は、表6に示した樹脂、硫酸ニッケル、
硫酸クロム、CO3 2-(Na2CO3またはNaHCO3として添加)の
他に、顔料として、ベンガラ、シリカ、硫酸バリウム等
を適宜添加し、溶剤(シンナー)を加えて粘度が 0.2〜
1N・s/m2(200〜1000センチポアズ、B型粘度計で測定)
となるように調整した。この樹脂塗料をエアスプレーに
より表6に示した所定の膜厚になるように上記寸法の供
試材の表面に塗布し、試験片とした。図1は、コンクリ
ートブロック供試体の作製方法の説明図で、樹脂塗料を
塗布した試験片1をかぶり2を10mmとしてコンクリート
3中に打設し、コンクリートブロック供試体を作製し
た。表7に使用したコンクリートの配合を示す。
【0025】
【表7】 上記のコンクリートブロック供試体について、40℃の人
工海水を用いて、〔湿潤状態(wet) 6h→乾燥状態(dry)
6h〕を1サイクルとする乾湿繰り返し試験を3ヶ月間実
施した。試験結果を表6に併せて示す。表6において、
「平均腐食量」は、コンクリート中から取りだした試験
片の表面の樹脂被膜およびさびを除去した後、質量測定
を行い、試験前後の質量差から1年当たりの腐食深さと
して求めたものである。
【0026】また、「安定さび以外のさびの生成」につ
いては、実施例1と同様の方法で判定した。なお、「供
試材」の欄の記号(数字)は表5の供試材記号に対応す
る。表6に示した結果から、本発明で規定する条件を満
たすNo.1〜9 では、いずれもニッケル置換ゲーサイト、
およびこれとNiを含有するスピネル型のさびとの混合
物、さらにはクロム置換ゲーサイトとの混合物からなる
安定さび層が生成し、平均腐食量も0.01mm/y未満であっ
た。これに対し、本発明で規定する条件から外れる No.
10〜14では、安定さび層は形成されず、平均腐食量が大
きかった。 No.12のCO3 2- を14.0%含有する場合、さ
びはほとんどがゲーサイト構造を有していたが、初期か
ら腐食副生成物が鋼材表面に現れ、さび層の外面側にゲ
ーサイト以外の錆がわずかに生成していた。 (実施例3)表8示す化学組成を有する鋼を供試材と
し、表9に示す樹脂塗料を塗布した試験片を作製して土
中埋設腐食試験を行った。
【0027】
【表8】
【表9】 試験片の寸法は、50mm× 300mm× 5mm(厚み)とした。
樹脂塗料は、表9に示した樹脂、硫酸ニッケル、硫酸ク
ロム、CO3 2-(Na2CO3またはNaHCO3として添加)の他に、
顔料として、ベンガラ、シリカ、硫酸バリウム等を適宜
添加し、溶剤(シンナー)を加えて粘度が 0.2〜1 N・s/
m2 (200〜1000センチポアズ、B型粘度計で測定)とな
るように調整した。この樹脂塗料をエアスプレーにより
表9に示した所定の膜厚になるように上記寸法の供試材
の表面に塗布し、試験片とした。土中埋設腐食試験は、
上記の試験片を深さ50cmの土中に水平に4年間埋設する
ことにより行った。なお、腐食を加速するとともに、腐
食に対するCl- の作用も想定して、試験の最初に人工
雨(3%NaCl水溶液: HClによりpHを 4.5に調整)を 5mm
(雨量)散布した。試験結果を表9に併せて示す。表9
において、「平均腐食量」は、試験後の試験片の表面の
樹脂被膜およびさびを除去した後、質量測定を行い、試
験前後の質量差から1年当たりの腐食深さに換算したも
のである。「最大腐食深さ」は、ポイントマイクロメー
ターを用いて測定した。また、「安定さび以外のさびの
生成」については、実施例1と同様の方法で判定した。
表9に示した結果から、本発明で規定する条件を満たす
No.1〜9 では、いずれもニッケル置換ゲーサイト、およ
びこれとNiを含有するスピネル型のさびとの混合物、さ
らにはクロム置換ゲーサイトとの混合物からなる安定さ
び層が生成し、平均腐食量も0.01mm/y未満と小さく、最
大腐食深さも浅かったが、本発明で規定する条件から外
れる No.10〜13では、安定さび層は形成されず、平均腐
食量および最大腐食深さのいずれもNo.1〜9 に比べて大
きかった。 (実施例4)表10に示す化学組成を有する鋼を供試材
とし、表11に示す樹脂塗料を塗布した試験片を作製し
て海岸地帯で大気暴露試験を行った。
【0028】
【表10】
【表11】 供試材の表面は、いずれもエメリー紙(600番) で研磨し
た。また、試験片の寸法は、60mm× 100mm× 3mm(厚
み)とした。樹脂塗料は、表11に示した樹脂、硫酸ニ
ッケル、硫酸クロム、CO3 2-(Na2CO3またはNaHCO3として
添加)の他に、顔料として、ベンガラ、シリカ、硫酸バ
リウム等を適宜添加し、溶剤(シンナー)を加えて粘度
が 0.2〜1 N・s/m2 (200〜1000センチポアズ、B型粘度
計で測定)となるように調整した。この樹脂塗料をエア
スプレーにより表11に示した所定の膜厚になるように
上記寸法の供試材の表面に塗布し、試験片とした。大気
暴露試験は、海岸から100m離れた場所で、地上1mの高さ
で、水平に設置し、2年間暴露することにより行った。
試験結果を表11に併せて示す。表11において、「最
大孔食深さ」は、ポイントマイクロメーターを用いて測
定した。また、「安定さび以外のさびの生成」について
は、実施例1と同様の方法で判定した。表11に示した
結果から、本発明で規定する条件を満たすNo.1〜13で
は、いずれもニッケル置換ゲーサイト、およびこれとNi
を含有するスピネル型のさびとの混合物、さらにはクロ
ム置換ゲーサイトとの混合物からなる安定さび層が生成
し、最大孔食深さは10μm 以下と浅かったが、本発明で
規定する条件から外れる No.14〜18では、安定さび層は
形成されず、最大孔食深さは15μm 以上と深かった。
【0029】
【発明の効果】本発明の防食表面処理法によれば、海岸
地帯や、岩塩などの凍結防止剤が散布される地域等、塩
化物が飛来する厳しい環境下においても鋼材の表面に緻
密な安定さび層を形成させ、腐食の進行を抑制すること
ができる。特に、水平部でかつ塩化物の付着・蓄積しや
すい部位、例えば橋梁の内桁部のフランジの下面や上面
などの結露等により水が溜まるような部位に使用されて
いる鋼材の表面に安定さび層を早期に形成させることが
できる。
【0030】したがって、この処理を施した本発明の防
食表面処理鋼板は、このような厳しい環境下において、
土木・建築構造物等を対象とした比較的安価な鋼材とし
て使用することが可能である。大気環境下のみではな
く、例えば、コンクリート構造物の鉄筋や鉄骨等のコン
クリート用鋼材、土中配設管や建家の土中基礎構造物等
の土中で使用される土中埋設構造物用鋼材としても使用
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で用いたコンクリートブロック供試体の
作製方法の説明図で、(a)は供試体の縦断面図、
(b)は(a)のA−A矢視断面図である。
【符号の説明】
1:試験片 2:かぶり 3:コンクリート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 7/12 C09D 7/12 129/14 129/14 201/00 201/00 (72)発明者 鹿島 和幸 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 岸川 浩史 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 Fターム(参考) 4D075 CA33 DB02 DC05 EB19 EB56 4F100 AA07B AA08B AB03A AK01B AK23B AK33 AK53 AL05B BA02 CC00B GB07 GB51 JB02 JM02B 4J038 CE071 EA011 HA276 HA376 NA03 PB05

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼材の表面に、塗料の固形分に対して、CO
    3 2- を0.03〜12質量%含有する樹脂塗料を塗布するこ
    とを特徴とする防食表面処理法。
  2. 【請求項2】鋼材の表面が、CO3 2- をO.O3〜12質量%
    含有する樹脂被膜で被覆されていることを特徴とする防
    食表面処理鋼材。
  3. 【請求項3】鋼材の表面に、塗料の固形分に対して、硫
    酸ニッケルを 0.1〜10質量%、CO3 2 - を0.01〜12質量
    %、ブチラール樹脂、または、ブチラール樹脂およびブ
    チラール樹脂と相溶する樹脂の混合物からなる樹脂を10
    〜40質量%含有する樹脂塗料を塗布することを特徴とす
    る防食表面処理法。
  4. 【請求項4】鋼材の表面が、硫酸ニッケルを 0.1〜10質
    量%、CO3 2- を0.01〜12質量%、ブチラール樹脂、ま
    たは、ブチラール樹脂およびブチラール樹脂と相溶する
    樹脂の混合物からなる樹脂を10〜40質量%含有する樹脂
    被膜で被覆されていることを特徴とする防食表面処理鋼
    材。
  5. 【請求項5】請求項3に記載の方法で防食表面処理を施
    した鋼材を大気環境用、コンクリート用または土中埋設
    構造物用として使用することを特徴とする防食表面処理
    鋼材の使用方法。
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