JP2002057021A - 軟磁性材料及び磁心 - Google Patents

軟磁性材料及び磁心

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JP2002057021A JP2000241615A JP2000241615A JP2002057021A JP 2002057021 A JP2002057021 A JP 2002057021A JP 2000241615 A JP2000241615 A JP 2000241615A JP 2000241615 A JP2000241615 A JP 2000241615A JP 2002057021 A JP2002057021 A JP 2002057021A
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Akinobu Kojima
章伸 小島
Kinshirou Takadate
金四郎 高舘
Akihisa Inoue
明久 井上
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Alps Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軟磁気特性に優れ、しかも飽和密度が高いと
ともにコアロスが小さく、トランス等の磁心に用いて好
適な軟磁性材料を提供する。 【解決手段】 Fe基合金及び金属酸化物が混合溶解さ
れてなる溶湯を急冷凝固した後に熱処理して形成される
軟磁性材料であり、平均結晶粒径100nm以下のbc
c−Feの結晶粒からなる微細結晶質相を主体とする組
織からなることを特徴とする軟磁性材料を採用する。係
る軟磁性材料によれば、金属酸化物が微細結晶粒の核形
成能を有するので、均一な微細結晶質組織を形成でき、
軟磁気特性を向上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軟磁性材料及びこ
の軟磁性材料から構成された磁心に関するものであり、
特に、透磁率が高く軟磁気特性に優れた軟磁性材料に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、磁気ヘッド、トランス、チョ
ークコイル等に用いられる軟磁性合金としてケイ素鋼や
FeNi合金等が用いられ、最近ではFe基アモルファ
ス合金が用いられるようになっている。また最近では、
本発明者らによって、飽和磁束密度が高いとともにコア
ロスが小さく、柱上トランス等の磁心に用いて好適な高
飽和磁束密度軟磁性合金が提案されている(例えば特開
平1−242757号公報明細書)。
【0003】上記の高飽和磁束密度軟磁性合金は、組織
の少なくとも50%以上が平均粒径100nm以下の微
細な結晶粒からなり、組成式(Fe1-aM5a
100-x-y-z-tCuxSiyzM6tで表されるものであった
(ただし、M5はCoおよび/またはNiであり、M6は
Nb、W、Ta、Mo、Zr、HfおよびTiのうちの
1種以上の元素であり、組成比a、x、y、z、tは、0≦a
≦0.3、0.1原子%≦x≦3原子%、0原子%≦y≦1
7原子%、4原子%≦z≦17原子%、10原子%≦y+
z≦28原子%、0.1原子%≦t≦5原子%である)。
【0004】この高飽和磁束密度軟磁性合金は、例え
ば、上記組成の合金溶湯を急冷して非晶質な急冷薄帯を
形成した後、これを熱処理して微細な結晶粒を析出させ
ることにより得られるものである。この系の合金におい
て、Cuを含有させることは必須の条件であり、Cuの
添加により非晶質の急冷薄帯の組織中に組成の揺らぎを
生じさせ、熱処理の際にこの組成の揺らぎによってFe
の微細結晶粒が生成して組織が微細化し、軟磁気特性が
向上する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のようにCuは、
微細結晶粒の生成の核となるbcc−Feの結晶粒を増
加する作用を有するものであるが、このような核形成能
を有する金属元素はCuの他には見つかっていないのが
現状であった。また、このような核形成能は金属元素に
限られず、特定の金属酸化物や金属炭化物等も有すると
考えられているが、一般に金属酸化物や金属炭化物は高
融点であるため、合金溶湯に完全に溶解させることがで
きず、合金とともに液体急冷することが困難であり、上
記の軟磁性合金に用いることができなかった。
【0006】しかし、金属酸化物や金属炭化物にも比較
的低融点のものがあり、このような低融点の金属酸化物
等によれば、合金溶湯とともに急冷して非晶質な急冷薄
帯が形成される可能性があり、この急冷薄帯を熱処理す
れば微細結晶組織を有する軟磁性材料が得られる可能性
がある。そこで本願発明者らが鋭意研究を重ねた結果、
特定の金属酸化物を用いることにより、従来の高飽和磁
束密度軟磁性合金よりも優れた軟磁気特性を示すことが
判明し、本願発明に到達した。
【0007】従って本発明は、軟磁気特性に優れ、しか
も飽和密度が高いとともにコアロスが小さく、トランス
等の磁心に用いて好適な軟磁性材料の提供を目的とする
ものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は以下の構成を採用した。本発明の軟磁性
材料は、Fe基合金及び金属酸化物が混合溶解されてな
る溶湯を急冷凝固した後に熱処理して形成される軟磁性
材料であり、平均結晶粒径100nm以下のbcc−F
eの結晶粒からなる微細結晶質相を主体とする組織(以
下、微細結晶質組織と表記する)からなることを特徴と
する。この軟磁性材料の形状は、薄帯状、薄片状、薄板
状、あるいは粉末状、その他種々の形状であることが好
ましい。また、前記金属酸化物の融点は、1400℃以
下であることが好ましい。この金属酸化物は、V25
Mo25、MoO3、CuOのうちのいずれか1種また
は2種以上であることが好ましい。
【0009】係る軟磁性材料によれば、溶湯に溶解した
金属酸化物が微細結晶粒の核形成能を有するので、平均
結晶粒径100nm以下のbcc−Feの結晶粒からな
る微細結晶質組織を均一に形成でき、軟磁気特性を向上
させることが可能になる。
【0010】また、本発明の軟磁性材料は、先に記載の
軟磁性材料であって、前記の薄帯状もしくは粉末状の軟
磁性材料の組織中に、前記金属酸化物が分散しているこ
とを特徴とする。係る軟磁性材料によれば、核形成能を
有する金属酸化物が軟磁性材料の組織中に分散している
ので、均一な微細結晶質組織を得ることが可能になる。
【0011】また、前記Fe基合金と前記金属酸化物の
混合比が、前記金属酸化物について5重量%以下である
ことが好ましい。金属酸化物の混合比が前記Fe基合金
に対して5重量%以下であれば、均一な微細結晶質組織
が得られるため、軟磁性材料の軟磁気特性を向上させる
ことが可能となる。
【0012】また、本発明の軟磁性材料は、保磁力が1
6A/m以下であり、飽和磁化が1.5T以上であるこ
とが好ましい。
【0013】更に本発明の軟磁性材料は、先に記載の軟
磁性材料であって、前記Fe基合金が下記の組成式で表
されるものであることを特徴とする(Fe1-aabx
yただし、TはNi、Coのうち1種または2種の元
素であり、MはTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、M
o、Mn、Wから選ばれた1種または2種以上の元素で
あり、組成比を示すa、b、x、yは、0≦a≦0.
2、75原子%≦b≦93原子%、0.5原子%≦x≦
18原子%、4原子%≦y≦9原子%である。
【0014】また本発明の軟磁性材料は、先に記載の軟
磁性材料であって、前記Fe基合金が下記の組成式で表
されるものであることを特徴とする。(Fe1-aab
xyM’zただし、TはNi、Coのうち1種または
2種の元素であり、MはTi、Zr、Hf、V、Nb、
Ta、Mo、Mn、Wから選ばれた1種または2種以上
の元素であり、M’はSi、Al、Ge、P、C、C
u、Cr、希土類元素、白金属元素から選ばれた1種ま
たは2種以上の元素であり、組成比を示すa、b、x、
y、zは、0≦a≦0.2、75原子%≦b≦93原子
%、0.5原子%≦x≦18原子%、4原子%≦y≦9
原子%、0原子%≦z≦0.5原子%である。また、前
記の組成比を示すzは0.1原子%≦z≦0.5原子%
であってもよい。尚、希土類元素としては、Y、La、
Ce、Pr、Nd、Smのうちの1種または2種以上の
元素を例示でき、白金属元素としては、Ru、Rh、P
d、Os、Ir、Ptのうちの1種または2種以上の元
素を例示できる。
【0015】そして、本発明の磁心は、Fe基合金及び
金属酸化物が混合溶解されてなる溶湯を急冷凝固した後
に熱処理して形成される平均結晶粒径100nm以下の
bcc−Feの結晶粒からなる微細結晶質相を主体とす
る組織(微細結晶質組織)からなる軟磁性材料から構成
されていることを特徴とする。また、本発明の磁心は、
請求項2ないし請求項9のいずれかに記載された軟磁性
材料から構成されたものであっても良い。
【0016】また、本発明の磁心は、前記軟磁性材料の
薄帯を所定の形状に打ち抜いて薄片とした後、複数の薄
片を積層したものでもよい。また、本発明の磁心は、前
記軟磁性材料の薄板を所定の形状に打ち抜いたものでも
よい。更に本発明の磁心は、前記軟磁性材料の粉末を結
着材とともに固化成形してバルク状としたものでも良
い。そして本発明の磁心の形状は、環状、平面視略コ字
状、平面視略I字状、平面視略E字状もしくは平面視略
エ字状等、その他種々の形状であっても良い。
【0017】係る磁磁心によれば、均一な微細結晶質組
織を有する上記の軟磁性材料から構成されているので、
軟磁気特性に優れるとともにコアロスが小さく、各種磁
気素子に用いて好適な磁心を構成することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。本発明の軟磁性材料は、Fe基合
金及び金属酸化物が混合溶解されてなる溶湯を急冷凝固
した後に熱処理して形成されるものであり、平均結晶粒
径100nm以下のbcc−Feの結晶粒からなる微細
結晶質相を主体とする組織(微細結晶質組織)からなる
ものである。この軟磁性材料の形状は、薄帯状、薄片
状、薄板状、あるいは粉末状、その他種々の形状である
ことが好ましい。
【0019】また、本発明の磁心は、上記の薄帯状の軟
磁性材料を所定の形状に打ち抜いて薄片とした後、複数
の薄片を積層したもの積層して形成してなるもの、ある
いは前記軟磁性材料の薄板を所定の形状に打ち抜いたも
の、さらには前記の粉末状の軟磁性材料を圧密化もしく
は結着材とともに固化成形してなるもので、環状、平面
視略コ字状、平面視略I字状、平面視略E字状もしくは
平面視略エ字状、その他種々の形状に成形されたもので
ある。
【0020】上記の金属酸化物は、その融点が1400
℃以下のもので、例えば、V25、Mo25、Mo
3、CuOのうちのいずれか1種または2種以上のも
のが好ましい。また金属酸化物は粉末状であることが好
ましい。金属酸化物が粉末状であれば、溶湯に素早く溶
解させることができる。
【0021】また上記のFe基合金は、インゴット、粉
末状、若しくはその他種々の形態からなるもので、下記
のいずれかの組成式で表されるものが好ましい。 (Fe1-aabxy (Fe1-aabxyM’z ただし、TはNi、Coのうち1種または2種の元素で
あり、MはTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、
Mn、Wから選ばれた1種または2種以上の元素であ
り、組成比を示すa、b、x、yは、0≦a≦0.2、
75原子%≦b≦93原子%、0.5原子%≦x≦18
原子%、4原子%≦y≦9原子%である。
【0022】上記のFe基合金には、上記FeまたはF
e−Tと、Bと、MにM’が添加されていても良く、そ
の場合のM’はSi、Al、Ge、P、C、Cu、C
r、希土類元素、白金属元素から選ばれた1種または2
種以上の元素である。尚、前記の組成比を示すzは0原
子%≦z≦0.5原子%が好ましく、0.1原子%≦z
≦0.5原子%であることがより好ましい。
【0023】上記の軟磁性材料は、平均結晶粒径100
nm以下の体心立方構造(bcc構造)のFeの結晶粒
からなる微細結晶質相を主相とし、該微細結晶質相と非
晶質相とから構成される組織からなるものであり、高飽
和磁束密度及び低保磁力を維持することができ、磁気ヘ
ッド、トランス、チョークコイル等に用いられるコア材
として好適であるが、特にトランスの磁心として用いる
ことが好ましい。
【0024】また、上記の軟磁性材料は、保磁力が16
A/m以下であり、飽和磁化が1.5T以上であること
が好ましい。
【0025】上記の軟磁性材料は、Fe基合金と金属酸
化物とが混合溶解されてなる溶湯から得られるもので、
溶湯に溶解した金属酸化物が結晶核の形成能を有するた
め、平均結晶粒径100nm以下のbcc−Feの結晶
粒を含む微細結晶質相を組織中に均一に形成させること
ができ、均一な微細結晶質組織を得ることができる。
【0026】上記の金属酸化物の融点は、1400℃以
下であることが好ましい。金属酸化物の融点が1400
℃を越えると、溶湯に金属酸化物を溶解させることが困
難となり、例えば溶湯をノズルから回転ロール等に噴出
させて急冷薄帯とする際に、未溶解の金属酸化物がノズ
ルに目詰まりしてしまうので好ましくない。また金属酸
化物が溶湯に溶解しないと、結晶核の形成能を発揮でき
ないとともに、急冷薄帯が脆くなるので好ましくない。
【0027】また、金属酸化物の混合比は、Fe基合金
に対して0重量%を越えて5重量%以下とすることが好
ましい。金属酸化物の混合比が前記Fe基合金に対して
5重量%以下であれば、均一な微細結晶質組織を得るこ
とができ、軟磁性材料の軟磁気特性を向上させることが
できる。金属酸化物の混合比が5重量%を越えると、過
剰な酸素がFeの結晶粒中に固溶して軟磁気特性が低下
し、また金属酸化物が溶湯中で完全に溶解せず非晶質薄
帯または非晶質粉体の製造が困難になるので好ましくな
い。また、金属酸化物は、軟磁性材料中で均一に分散し
ていることが好ましい。核形成能を有する金属酸化物が
軟磁性材料の組織中に分散すると、均一な微細結晶質組
織を形成することが可能になる。
【0028】溶湯を急冷凝固して得られた非晶質薄帯ま
たは非晶質粉末を熱処理すると、平均結晶粒径100n
m以下の体心立方構造(bcc構造)のFeの結晶粒が
析出する。このとき、金属酸化物中に含まれる酸素がN
b、Zr、V等の酸素と比較的結合しやすい元素と結び
ついて、酸素を比較的多く含む相が形成されることが予
想され、この酸素を含む相を核として更にbcc−Fe
等の結晶粒の核が形成されるものと考えられる。そし
て、bcc−Fe等の結晶粒の核成長が進むと、酸素、
Nb、Zr、V等がbcc−Fe相から排出され、これ
によって純粋なbcc−Fe相が形成され、この純粋な
bcc−Fe相の存在によって軟磁気特性のなかでも特
に透磁率が向上するものと考えられる。
【0029】本発明に用いられるFe基合金の組成系に
おいて、主成分であるFe、Co、Niは、軟磁性材料
の磁性を担う元素であり、高い飽和磁束密度と優れた軟
磁気特性を得るために重要である。
【0030】これらの組成のFe基合金においては、F
eの組成比を示すbの値あるいはFeと、Coおよび/
またはNiの組成比の合計を示すbの値は、93原子%
以下である。bが93原子%を超えると液体急冷法等に
よって非晶質単相を得ることが困難になり、この結果、
熱処理してから得られる合金の組織が不均一になって高
い透磁率が得られないので好ましくない。また、bが7
5原子%未満では、1T以上の飽和磁束密度を得ること
ができなくなるので好ましくない。従って、bの範囲を
75原子%≦b≦93原子%とした。また、Feの一部
は、磁歪等の調整のためにCo,Niのうち1種または
2種以上の元素Tで置換してもよく、この場合、好まし
くはFeの20%以下とするのがよい。この範囲外であ
ると透磁率が劣化する。従って上記組成式においてTの
組成比aは、0.2以下の範囲が好ましい。
【0031】Bには、軟磁性材料の非晶質形成能を高め
る効果、結晶質組織の粗大化を防ぐ効果、および熱処理
工程において磁気特性に悪影響を及ぼす化合物相の生成
を抑制する効果があると考えられる。また、Zr、H
f、Nbは、α-Fe(bcc−Fe)に対してほとん
ど固溶しないとされるが、溶湯を急冷して非晶質化する
ことで、ZrとHfまたはNbを過飽和に固溶させ、こ
の後に施す熱処理によりこれら元素の固溶量を調節して
一部結晶化し、微細結晶相として析出させることで、軟
磁性材料の軟磁気特性を向上させる作用がある。また、
微細結晶質相を析出させ、その微細結晶質相の結晶粒の
粗大化を抑制するには、結晶粒成長の障害となり得る非
晶質相を粒界に残存させることが必要であると考えられ
る。さらに、この粒界非晶質相は、熱処理温度の上昇に
よってα−Fe(bcc−Fe)から排出されるZr、
Hf、Nb等の元素Mを固溶することで軟磁気特性を劣
化させるFe−M系化合物の生成を抑制すると考えられ
る。よって、Fe−Zr(Hf、Nb)系の合金へのB
の添加が重要となる。
【0032】Bの組成比を示すxが0.5原子%未満で
は、粒界の非晶質相が不安定となるため、十分な添加効
果が得られない。また、xが18原子%を越えると、B
−M系およびFe−B系において、ホウ化物の生成傾向
が強くなり、微細結晶質相を得るための熱処理条件が制
約され、良好な軟磁気特性が得られなくなる。このよう
にBの組成比を適切にすることで、析出する微細結晶相
の平均結晶粒径を100nm以下に調整することができ
る。
【0033】また、非晶質相を得やすくするためには、
非晶質形成能の特に高いZr、Hf、Nbのいずれかを
含むことが好ましく、Zr、Hf、Nbの一部は他の4
A〜7A族元素のうち、Ti、V、Ta、Mo、Mn、
Wのいずれかと置換することができる。また、Zr、H
f、Nbのうち、Hfは非常に高価な元素であるため、
原料コストを考慮すると、Zr、Nbのいずれか一方を
含むことがより好ましい。こうした元素Mは、比較的遅
い拡散種であり、元素Mの添加は、微細結晶核の成長速
度を小さくする効果、非晶質形成能を持つと考えられ、
組織の微細化に有効である。
【0034】元素Mの組成比を示すyが4原子%未満で
は、核成長速度を小さくする効果が失われ、結晶粒径が
粗大化して良好な軟磁気特性が得られない。Fe−Hf
−B系合金の場合、Hf=5原子%での平均結晶粒径は
13nmであるのに対してHf=3原子%では39nm
と粗大化する。元素Mの組成比を示すyが9原子%を越
えると、M−B系またはFe−M系の化合物の生成傾向
が大きくなり、良好な特性が得られない。
【0035】またMo及びWは、酸化物の生成自由エネ
ルギーの絶対値が小さく、熱的に安定であり酸化物を生
成しにくい。よって、これらの元素を添加して軟磁性材
料を製造する場合には、製造時の雰囲気全体を不活性ガ
ス雰囲気ではなく大気中の雰囲気で、もしくは溶湯を急
冷する際に使用するるつぼのノズルの先端部に不活性ガ
スを供給しつつ大気中で製造することができるので、製
造条件が容易となり、上述のような用途に用いる磁心等
を安価に製造することができる。また、元素Mの組成比
を4原子%以上9原子%以下とすることが、非晶質形成
能が向上する点で好ましい。
【0036】また、液体急冷法等によって非晶質相単相
が得られやすくするために、非晶質形成能を有するS
i、Al、Ge、P、C、Cu、Cr、希土類元素、白
金属元素から選ばれた1種または2種以上の元素M’を
添加しても良い。ここで希土類元素としては、Y、L
a、Ce、Pr、Nd、Smのうちの1種または2種以
上の元素を例示でき、白金属元素としては、Ru、R
h、Pd、Os、Ir、Ptのうちの1種または2種以
上の元素を例示できる。これらの元素M’は、Bと同様
に非晶質形成能を有する元素であり、その組成比zは、
0.5原子%以下であることが好ましい。元素M’の組
成比が0.5原子%を越えると、軟磁性材料の軟磁気特
性が低下するので好ましくない。また特に組成比zを
0.1原子%以上0.5原子%以下とすると、高い飽和
磁束密度が得られる。
【0037】元素M’のなかでも希土類元素であるY、
La、Ce、Pr、Nd、Smは、希土類元素の種類や
添加量を調整することにより、軟磁性材料中の非晶質相
の体積分率をコントロールできる。これは、希土類元素
と上記Mとの親和力が強いため、希土類元素がFeを主
成分とするbcc相(体心立方の相)に固溶せず非晶質
相に残留し、また、希土類元素の種類を変更することに
より、軟磁性材料が示す磁歪を変更することができるか
らである。また、上記に列挙した希土類元素は比較的安
価であるので、この希土類元素を添加することにより、
高価なBや元素Mの組成比x、yを少なくすることがで
き、軟磁性材料のコストダウンが可能になる。希土類元
素は、Feを主成分とするbcc相(体心立方の相)に
固溶せず、非晶質相に残留してBやMと同様の役目をす
るため、その分、BやMの添加量を減らすことができる
からである。
【0038】また元素M’のなかでもSi、Al、G
e、C、Pは、半金属元素として知られており、Bと同
様に非晶質形成元素として用いることができる。また、
これらの半金属元素には軟磁性材料の電気抵抗を上昇さ
せ、コアロスを低下させる効果があるが、Alはその効
果が大きい。またGeは結晶粒の径を微細化させる効果
がある。従ってSi、Al、Ge、C、Pのうち、A
l、Geは添加した効果が特に大きく、Al、Geの単
独添加もしくはAlとGeの複合添加とすることがより
好ましい。
【0039】またCuは、前記の金属酸化物と同様に結
晶核の形成能を有する元素であり、金属酸化物とともに
Cuを添加すると、核形成能がより向上して均一な微細
結晶質組織を得ることができ、軟磁性材料の軟磁気特性
をより向上させることができる。Cuの添加により、軟
磁性材料の軟磁気特性が著しく改善される機構について
は明確にされていないが、結晶化温度を示差熱分析法に
より測定したところ、Cuを添加したFe基合金の結晶
化温度は、添加しない合金に比べてやや低い温度である
と認められた。これはCuの添加により非晶質相が不均
一となり、その結果、非晶質相の安定性が低下したこと
に起因すると考えられる。また不均一な非晶質相が結晶
化する場合、部分的に結晶化しやすい領域が多数でき不
均一核生成するため、得られる組織が微細結晶粒組織と
なると考えられる。またCuはFeに対する固溶度が著
しく低い元素であり、相分離傾向があるため、加熱によ
りミクロな組成ゆらぎが生じ、非晶質相が不均一となる
傾向がより顕著になると考えられ、組織の微細化に寄与
するものと考えられる。以上の観点から、Cuの他にN
i、Cr、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt等の元
素でも結晶化温度を低下させる効果があり、Cuと同様
な効果が期待できる。また、Cr、Ru、Rh、Pd、
Os、Ir、Ptについては、軟磁性材料の耐食性を改
善する効果もある。
【0040】更に必要に応じて、Zn、Cd、Ga、I
n、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Se、Te、L
i、Be、Mg、Ca、Sr、Ba等の元素を添加する
ことにより軟磁性材料の磁歪を調整することもできる。
その他、H,N,O,S等の不可避的不純物については所
望の特性が劣化しない程度に含有していても本発明の軟
磁性材料の組成と同一とみなすことができるのは勿論で
ある。
【0041】本発明の軟磁性材料を製造するには、例え
ば、(Fe又はFe−T)−B−M系、または(Fe又
はFe−T)−B−M−M’系のFe基合金(ただし、
TはNi、Coのうち1種または2種の元素であり、M
はTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、Mn、W
から選ばれた1種または2種以上の元素であり、M’は
Si、Al、Ge、P、C、Cu、Cr、希土類元素、
白金属元素から選ばれた1種または2種以上の元素であ
る。)と、V25、Mo25、MoO3、CuOのうち
のいずれか1種または2種以上の金属酸化物とを混合
し、これらをアーク溶解、高周波誘導溶解等の手段で溶
解することにより合金溶湯を形成する。
【0042】次に、この合金溶湯を急冷して、非晶質相
を主体とする薄帯もしくは粉末を作製する。ここで薄帯
もしくは粉末を作製する具体的方法としては、特開平4
−323351号公報に記載されているような流体冷却
法や、単ロールを用いた急冷法等を採用することができ
る。
【0043】ついで、作製した薄帯または粉末を熱処理
することにより、上記薄帯中または粉末中の非晶質相の
一部が結晶化し、非晶質相と、平均粒径100nm以下
の微細なbcc構造のFeの結晶粒からなる微細結晶相
とが混合した組織が得られ、目的とする軟磁性材料が得
られる。
【0044】熱処理により平均結晶粒径100nm以下
の微細なbcc構造のFeの結晶粒からなる微細結晶組
織が析出したのは、急冷状態の非晶質合金薄帯等が非晶
質相を主体とする組織となっており、これを加熱する
と、ある温度以上で平均結晶粒径が100nm以下のF
eを主成分とする体心立方構造の結晶粒からなる微細結
晶相が析出するからである。このbcc構造を有するF
eの結晶粒からなる微細結晶相が析出する温度は、合金
の組成によるが480〜550℃程度である。またこの
Feの微細結晶相が析出する温度よりも高い温度では、
Fe3B、あるいは軟磁性材料にZrが含まれる場合に
はFe3Zr等の軟磁気特性を悪化させる化合物相が析
出する。このような 化合物相が析出する温度は、合金
の組成によるが740〜810℃程度である。したがっ
て、本発明において、非晶質合金薄帯等を熱処理する際
の熱処理温度は480℃〜810℃の範囲で、体心立方
構造を有するFeの結晶粒を主成分とする微細結晶相が
好ましく析出しかつ上記化合物相が析出しないように、
合金の組成に応じて好ましく設定される。
【0045】上記の熱処理温度まで昇温するときの昇温
速度は、20〜200℃/分の範囲が好ましく、40〜
200℃/分の範囲とするのがより好ましい。昇温速度
が遅いと製造時間が長くなるので昇温速度は速い方が好
ましいが、加熱装置の性能上、200℃/分程度が上限
とされる。
【0046】また、非晶質合金薄帯等を上記熱処理温度
に保持する時間は、0〜60分間とすることができ、合
金の組成によっては0分、すなわち昇温後直ちに降温さ
せて保持時間無しとしても、目的とする効果を得ること
ができる。また、保持時間は60分より長くしても磁気
特性は向上せず、製造時間が長くなり生産性が悪くなる
ので好ましくない。また、特にSiを含まない組成の場
合には、10分以下の保持時間としても目的とする効果
を得ることができる。これは、Siを添加した場合に
は、FeにSiを充分に固溶させる必要があり、保持時
間を長くする必要があるからである。
【0047】上記の軟磁性材料は、Fe基合金及び金属
酸化物が混合溶解されてなる溶湯を急冷凝固した後に熱
処理して形成される微細結晶質相を主体とする組織から
なるものであり、金属酸化物が微細結晶粒の核形成能を
有するので、平均結晶粒径100nm以下のbcc−F
eの結晶粒からなる微細結晶質相を主相とする均一な組
織を形成でき、軟磁気特性を向上させることができる。
【0048】
【実施例】(試料の作製)Fe84Nb79、Fe90Zr
73及びFe85.5Nb4Zr28.5の組成になるように
原料をそれぞれ調整し、それを窒素ガス雰囲気中で高周
波溶解し、溶けた原料を鋳型に流し込んで上記の各組成
のFe基合金インゴットを作製した。次に、各Fe基合
金インゴットに、金属酸化物としてV25、Mo23
それぞれ加え、これらを窒素ガス雰囲気中においてノズ
ル内で高周波溶解し、合金溶湯とした。この合金溶湯
を、ノズルより高速回転している銅ロールに吹き出させ
て急冷する液体急冷法により、厚さ約20μm、幅約1
5mmの急冷薄帯を得た。次に得られた急冷薄帯を、外
径10mm、内径6mmの円環状に機械的に打ち抜き、
熱処理を行うことにより、表1に示すような軟磁性材料
(試料1〜19及び試料21〜30)を得た。尚、熱処
理条件は、昇温速度180℃/分、熱処理温度650℃
〜700℃、この熱処理温度での保持時間は5分とし、
熱処理炉の中でそのまま除冷した。表1に、各試料を構
成するFe基合金インゴットの組成、金属酸化物の種類
および金属酸化物の混合比を示す。
【0049】(磁気特性の測定)上記の試料1〜19及
び試料21〜30の1kHzにおける実効透磁率
(μ’)、保磁力(Hc)及び飽和磁束密度(Bs)を
測定した。結果を表2及び表3に示す。また、急冷薄帯
の組織の状態をX線回折法により調査した。結果を表2
及び表3に併せて示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】(試料1〜10について)表2及び表3に
示すように、得られた急冷薄帯の組織は非晶質相単相で
あることがわかる。また、Fe基合金に対するV25
Mo23の混合比が高くなると、V25、Mo23が溶
湯内で完全に溶解せず、ノズルのつまりが生じて急冷薄
帯を作成することができなくなることがわかる。
【0054】また、表2及び表3に示すように、Fe基
合金に対するV25の混合比が0.5〜2.0重量%で
ある試料2〜4の透磁率(μ’)は、V25が0重量%
である試料1の透磁率(μ’)より向上し、また試料2
〜4の保磁力(Hc)が試料1の保磁力(Hc)より低
くなっていることがわかる。特にV25の混合比の増加
とともに透磁率(μ’)が増加し、保磁力(Hc)が低
くなっている。
【0055】同様に、Fe基合金に対するMo23
0.5〜1.2重量%である試料7、8の透磁率
(μ’)は、Mo23が0重量%である試料1の透磁率
(μ’)より向上し、また試料7、8の保磁力(Hc)
は試料1の保磁力(Hc)より低くなっていることがわ
かる。特にMo23の混合比の増加とともに透磁率
(μ’)が増加し、保磁力(Hc)が低くなっている。
なお、飽和磁束密度(Bs)については、V25、Mo
23の添加による変動は見られず、高いBsを維持して
いる。
【0056】(試料11〜19について)表2及び表3
に示すように、試料1〜10と同様、得られた急冷薄帯
の組織は非晶質相単相であることがわかる。また、Fe
基合金に対するV25、Mo23の混合比が高くなる
と、V25、Mo23が溶湯内で完全に溶解せず、ノズ
ルのつまりが生じて急冷薄帯を作成することができなく
なることがわかる。
【0057】また表2及び表3に示すように、Fe基合
金に対するV25が0.3〜1.5重量%である試料1
2〜14の透磁率(μ’)は、V25が0重量%である
試料11の透磁率(μ’)より向上していることがわか
る。特にV25の混合比の増加とともに透磁率(μ’)
が増加している。また、保磁力(Hc)については、V
25の混合比が0.3重量%(試料12)で最も低くな
っている。
【0058】同様に、Fe基合金に対するMo23
0.8〜1.2重量%である試料16、17の透磁率
(μ’)は、Mo23が0重量%である試料11の透磁
率(μ’)より向上し、また試料16、17の保磁力
(Hc)は試料11の保磁力(Hc)より低くなってい
ることがわかる。特にMo23の混合比の増加とともに
透磁率(μ’)が増加し、保磁力(Hc)が低くなって
いる。なお、飽和磁束密度(Bs)については、V
25、Mo23の添加による変動は見られず、高いBs
を維持している。
【0059】(試料21〜30について)表2及び表3
に示すように、試料1〜19と同様、得られた急冷薄帯
の組織は非晶質相単相であることがわかる。また、Fe
基合金に対するV25、Mo23の混合比が高くなる
と、V25、Mo23が溶湯内で完全に溶解せず、ノズ
ルのつまりが生じて急冷薄帯を作成することができなく
なることがわかる。
【0060】また、表2及び表3に示すように、Fe基
合金に対するV25が0.5〜1.3重量%の範囲であ
る試料22、23の透磁率(μ’)は、V25が0重量
%である試料21の透磁率(μ’)より向上しているこ
とがわかる。特にV25の混合比の増加とともに透磁率
(μ’)が増加している。また、保磁力(Hc)につい
ては、V25の混合比が0.5重量%(試料22)で最
も低くなっている。
【0061】同様に、Fe基合金に対するMo23
0.4〜0.8重量%である試料26、27の透磁率
(μ’)は、Mo23が0重量%である試料21の透磁
率(μ’)より向上し、また試料26、27の保磁力
(Hc)が試料21の保磁力(Hc)より低くなってい
ることがわかる。特にMo23の混合比の増加とともに
透磁率(μ’)が増加し、保磁力(Hc)が低くなって
いる。なお、飽和磁束密度(Bs)については、V
25、Mo23の添加による変動は見られず、高いBs
を維持している。
【0062】以上のように、上記の軟磁性材料によれ
ば、適量のV25やMo23をFe基合金に添加するこ
とにより、Bsを高く維持したままで透磁率(μ’)を
高くするとともに保磁力(Hc)を低くすることがで
き、軟磁気特性を改善することができることが判明し
た。
【0063】また、図1には、試料7の急冷薄帯と、こ
の急冷薄帯を熱処理(650℃5分保持)して得られた
試料7の軟磁性材料の薄帯のX線回折結果を示す。急冷
薄帯においては、非晶質に特有なハローな回折パターン
が得られている。また、熱処理後の軟磁性材料の薄帯に
おいては、bcc−Fe相による回折パターンが得られ
ており、熱処理によってFeを主体とする結晶質相が析
出していることが分かる。この結果から、本発明の軟磁
性材料の薄帯の組織の大部分が、熱処理により非晶質か
らbcc構造(体心立方構造)のFe相に変化している
ことが分かる。また、このbcc構造のFeの結晶相
は、X線回折ピークの半値幅より求めた結果から10〜
30nm程度の微細な結晶粒であった。
【0064】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
軟磁性材料は、Fe基合金及び金属酸化物が混合溶解さ
れてなる溶湯を急冷凝固した後に熱処理して形成される
もので、bcc−Feの結晶粒からなる微細結晶質相を
主体とする組織からなり、金属酸化物が微細結晶粒の核
形成能を有するので、Feの結晶粒からなる微細結晶質
組織を均一に形成でき、軟磁気特性を向上させることが
できる。
【0065】また本発明の軟磁性材料によれば、金属酸
化物の融点が1400℃以下であるので、金属酸化物を
溶湯中で溶解させることができ、均一な微細結晶質組織
が形成され、軟磁気特性を向上させることができる。
【0066】また、本発明の軟磁性材料によれば、軟磁
性材料の組織中に金属酸化物が分散しているので、均一
な微細結晶質組織を得ることができ、軟磁気特性をより
向上できる。
【0067】そして、本発明の磁心は、上記の均一な微
細結晶質組織を有する軟磁性材料から構成されているの
で、軟磁気特性に優れるとともにコアロスが小さく、各
種磁気素子に用いて好適な磁心を構成することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 試料7の急冷薄帯と熱処理後の薄帯のX線
回折結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高舘 金四郎 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 井上 明久 宮城県仙台市青葉区川内元支倉35番地 川 内住宅11−806 Fターム(参考) 5E041 AA11 AA19 CA02 HB11 HB17 NN01 NN06 NN12 NN13 NN17 NN18

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe基合金及び金属酸化物が混合溶解
    されてなる溶湯を急冷凝固した後に熱処理して形成され
    る軟磁性材料であり、平均結晶粒径100nm以下のb
    cc−Feの結晶粒からなる微細結晶質相を主体とする
    組織からなることを特徴とする軟磁性材料。
  2. 【請求項2】 前記金属酸化物の融点が1400℃以
    下であることを特徴とする請求項1に記載の軟磁性材
    料。
  3. 【請求項3】 前記金属酸化物は、V25、Mo
    25、MoO3、CuOのうちのいずれか1種または2
    種以上であることを特徴とする請求項1または請求項2
    に記載の軟磁性材料。
  4. 【請求項4】 前記の薄帯状もしくは粉末状の軟磁性
    材料の組織中に、前記金属酸化物が分散していることを
    特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の
    軟磁性材料。
  5. 【請求項5】 前記Fe基合金と前記金属酸化物の混
    合比が、前記金属酸化物について5重量%以下であるこ
    とを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記
    載の軟磁性材料。
  6. 【請求項6】 保磁力が16A/m以下であり、飽和
    磁化が1.5T以上であることを特徴とする請求項1な
    いし請求項5のいずれかに記載の軟磁性材料。
  7. 【請求項7】 前記Fe基合金が、下記の組成式で表
    されるものであることを特徴とする請求項1ないし請求
    項6のいずれかに記載の軟磁性材料。 (Fe1-aabxy ただし、TはNi、Coのうち1種または2種の元素で
    あり、MはTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、
    Mn、Wから選ばれた1種または2種以上の元素であ
    り、組成比を示すa、b、x、yは、0≦a≦0.2、
    75原子%≦b≦93原子%、0.5原子%≦x≦18
    原子%、4原子%≦y≦9原子%である。
  8. 【請求項8】 前記Fe基合金が、下記の組成式で表
    されるものであることを特徴とする請求項1ないし請求
    項6のいずれかに記載の軟磁性材料。 (Fe1-aabxyM’z ただし、TはNi、Coのうち1種または2種の元素で
    あり、MはTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、
    Mn、Wから選ばれた1種または2種以上の元素であ
    り、M’はSi、Al、Ge、P、C、Cu、Cr、希
    土類元素、白金属元素から選ばれた1種または2種以上
    の元素であり、組成比を示すa、b、x、y、zは、0
    ≦a≦0.2、75原子%≦b≦93原子%、0.5原
    子%≦x≦18原子%、4原子%≦y≦9原子%、0原
    子%≦z≦0.5原子%である。
  9. 【請求項9】 前記の組成比を示すzが0.1原子%
    ≦z≦0.5原子%であることを特徴とする請求項8に
    記載の軟磁性材料。
  10. 【請求項10】 Fe基合金及び金属酸化物が混合溶
    解されてなる溶湯を急冷凝固した後に熱処理して形成さ
    れる平均結晶粒径100nm以下のbcc−Feの結晶
    粒からなる微細結晶質相を主体とする組織からなる軟磁
    性材料から構成されていることを特徴とする磁心。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100431745C (zh) * 2005-05-16 2008-11-12 钢铁研究总院 一种软磁合金粉的制造方法
JP2012132095A (ja) * 2010-10-29 2012-07-12 General Electric Co <Ge> ナノ構造化フェライト合金を用いて形成された物品
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