JP2002322546A - Fe基軟磁性合金およびそれを用いた磁心 - Google Patents

Fe基軟磁性合金およびそれを用いた磁心

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明久 井上
Akinobu Kojima
章伸 小島
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、高い飽和磁束密度と特に優れた軟
磁気特性を兼務するとともに、低損失のFe基軟磁性合
金を提供することを目的の1つとする。 【解決手段】 本発明は、液体急冷法により作製した急
冷薄帯合金を熱処理することにより得られる粒径100
nm以下のFeの微細なbcc相を主相としたナノ結晶
軟磁性合金において、Feとの混合エンタルピーΔHが
正の値を有する元素である元素Qを0.01原子%以上
必須成分として含むことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微細な結晶粒径を
有するFe基軟磁性合金に関するものであり、液体急冷
法により作製される急冷薄帯を熱処理することにより実
現される粒径100nm以下のナノメーターオーダーの
微細組織を持ち、高透磁率で、低保磁力の軟磁性材料に
おいて、Feとの混合エンタルピーが正の元素を添加す
ることでその磁気特性の改善を図ったものである。
【0002】
【従来の技術】柱上トランス 、チョークコイル、磁気
ヘッド等に用いられる軟磁性合金において 一般的に要
求される諸特性は以下の通りである 飽和磁束密度が高いこと。 透磁率が高いこと。 低保磁力であること。 低損失であること。 薄い形状が得やすいこと。 磁気ヘッドに適用する場合に耐摩耗性に優れているこ
と。
【0003】従って柱上トランス用の磁心材料あるいは
磁気ヘッドを製造する場合、これらの観点から種々の合
金系において材料研究がなされている。従来、前述の用
途に対しては、センダスト、パーマロイ、けい素鋼等の
結晶質合金が用いられ、最近ではFe基およびCo基の
非晶質合金も使用されるようになってきている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】然るに柱上トランスの
場合、より一層の小型化、高性能化が要求されているた
め、より軟磁気特性に優れ、低損失な特性が要求される
など、高性能の磁性材料が望まれている。また、磁気ヘ
ッドの場合、高記録密度化に伴う磁気記録媒体の高保磁
力化に対応するために、より高飽和磁束密度で高性能の
磁気ヘッド用の磁性材料が望まれている。
【0005】ところが、前記のセンダストは、軟磁気特
性には優れるものの、飽和磁束密度が約11KGと低い
欠点があり、パーマロイも同様に、軟磁気特性に優れる
合金組成においては、飽和磁束密度が約8kGと低い欠
点があり、けい素鋼は飽和磁束密度は高いものの軟磁気
特性に劣る欠点がある。一方、非晶質合金において、C
o基合金は軟磁気特性に優れるものの飽和磁束密度が1
T(テスラ)程度と不十分である。また、Fe基合金は
飽和磁束密度が高く、1.5Tあるいはそれ以上のもの
が得られるが、軟磁気特性が不十分な傾向がある。ま
た、非晶質合金の熱安定性は十分ではなく、未だ未解決
の面がある。前述のごとく高飽和磁束密度と優れた軟磁
気特性を兼備することは難しい。また、トランス用の軟
磁性合金として重要な特性は、鉄損が小さいこと、飽和
磁束密度が高いことであるが、従来、一部の用途として
使用されているトランス用のFe系のアモルファス合金
の鉄損は、周波数50Hz、励磁磁界1.3Tにおいて
0.2〜0.3W/kg程度であり、鉄損をさらに低くし
たいという要望があった。また、トランスの小型化のた
めに飽和磁束密度を更に高めたいという要望もあった。
【0006】一方、単ロール液体急冷法を用いることに
より、ある組成範囲内で非晶質のほぼ単相の合金が得ら
れることが広く知られている。特に、Co基またはFe
基の非晶質合金は、CoおよびFe等の磁性元素を有す
るために磁性を示し、またその構造が非晶質相であるこ
とより、結晶質材料には存在する結晶磁気異方性がな
く、優れた軟磁気特性が得られることがわかっている。
【0007】近年、Fe基軟磁性合金を結晶化させるこ
とにより、非常に微細なbcc相を主相とするナノ結晶
組織が得られることが見出されており、この種のナノ結
晶合金は熱処理条件を最適化することによりFe基非晶
質合金よりも優れた軟磁気特性を示すことが報告されて
いる。
【0008】以上のような背景から本出願人は特公平7
−65145号公報、特許第285257号公報、特許
第2878472号公報などに開示されているFe基微
結晶合金を開発し、高い飽和磁束密度と高い透磁率を両
立した合金を提供した。これらの特許に記載されたFe
基軟磁性合金の1つは、(Fe1-aabxy なる
組成式で示され(ただしZはNi,Coのうち1種また
は2種の元素、MはTi、Zr、Hf、V、Nb、T
a、Mo、Wから選ばれた1種または2種以上の元素で
あり、組成比を示すa、b、x、yは、0≦a≦0.0
5、b≦93原子%、0.5原子%≦x≦18原子%、
4原子%≦y≦9原子%である。)るものであり、飽和
磁束密度が1.5T以上であり、1kHzにおける実効
透磁率が10000以上のものであった。
【0009】また、これらの特許に記載されたFe基軟
磁性合金の他の1つは、(Fe1-aabxy T’c
なる組成式で示され(ただしZはNi,Coのうち1種
または2種の元素、MはTi、Zr、Hf、V、Nb、
Ta、Mo、Wから選ばれた1種または2種以上の元素
であり、T’はCu、Ag、Au、Pd、Ptから選ば
れた1種または2種以上の元素であり、組成比を示す
a、b、x、y、zは、0≦a≦0.05、b≦93原
子%、0.5原子%≦x≦18原子%、4原子%≦y≦
9原子%、0.2原子%≦z≦4.5原子%である。)る
ものであり、飽和磁束密度が1.5T以上であり、1k
Hzにおける実効透磁率が20000以上のものであっ
た。
【0010】これらのFe基微結晶合金は、優れた透磁
率と高い飽和磁束密度を両立させることができ、高い硬
度と耐摩耗性も兼ね備えたものであった。ところが、本
発明者らがこの種のFe基軟磁性合金を研究するうち
に、Feとの混合エンタルピーの関係において特定の好
ましい関係にある元素を選択して添加することが、Fe
基軟磁性合金の特性向上に寄与することを見出し、本願
発明に到達した。
【0011】本発明の目的は、優れた飽和磁束密度と透
磁率を兼備するとともに、低損失のFe基軟磁性合金を
提供することを目的の1つとする。更に本発明の目的の
1つは、先の特性を兼ね備えた上に、大気中において実
施する急冷法により酸化等による不具合を生じないよう
にしながら製造することができるFe基軟磁性合金の提
供である。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係るFe基軟磁
性合金は前記課題を解決するために、液体急冷法により
作製した急冷薄帯合金を熱処理することにより得られる
粒径100nm以下のFeの微細なbcc相を主相とし
たナノ結晶軟磁性合金において、Feとの混合エンタル
ピーΔHが正の値を有する元素である元素Qを0.01
原子%以上必須成分として含むことを特徴とする。エン
タルピーとは、固体や液体状態にある物質の内部エネル
ギーを意味する。Feに対する混合エンタルピーΔHが
正の値を有する元素を添加するということは、Feと元
素Qを混合することにより固体や液体状態にある物質の
内部エネルギーが高くなることを意味し、平衡状態にあ
る2つの物質は分離する傾向が強くなること意味する。
従ってFeに元素Qを添加した組成の溶湯を急冷する場
合にFeを主体とする母相から元素Qが排出し易く、更
に熱処理時にFeのbcc相の結晶の核生成が容易にな
り、微細なナノ結晶が効率よく生成し易くなる。これに
より、元素Qを添加すると、材料の表面粗さが粗くと
も、熱処理後において、微細な結晶組織で均一に形成す
ることができ、優れた軟磁気特性が得られる。
【0013】本発明に係るFe基軟磁性合金は前記課題
を解決するために、液体急冷法により作製した急冷薄帯
合金を熱処理することにより得られる粒径100nm以
下のFeの微細なbcc相を主相としたナノ結晶軟磁性
合金において、Fe、Co及びNiのうち、少なくとも
1種以上の元素Tと、V、Zr、Ti、Ta、Hf、N
b、Mo、W、Cr、Mnの内の少なくとも1種以上の
元素Mと、B、P、Cのうちの少なくとも1種以上の元
素Xと、Feとの混合エンタルピーΔHが正の値を有す
る元素Qとを具備してなり、前記元素Qを0.01原子
%以上必須成分として含むことを特徴とする。FeにC
oあるいはNiに加えて元素Mと元素Xと元素Qを添加
した組成系の溶湯を急冷する場合にFeを主体とする母
相から元素Qが析出し易く、更に熱処理時にFeのbc
c相の結晶の核生成が容易になり、微細なナノ結晶が効
率よく生成し易くなる。
【0014】本発明に係るFe基軟磁性合金は前記課題
を解決するために、液体急冷法により作製した急冷薄帯
合金を熱処理することにより得られる粒径100nm以
下のFeの微細なbcc相を主相としたナノ結晶軟磁性
合金において、Fe、Co及びNiのうち、少なくとも
1種以上の元素Tと、V、Nb、Mo、W、Cr、Mn
の内の少なくとも1種以上の元素M1と、B、P、Cの
うちの少なくとも1種以上の元素Xと、Feとの混合エ
ンタルピーΔHが正の値を有する元素Qとを具備してな
り、前記元素Qを0.01原子%以上必須成分として含
むことを特徴とする。前記V、Nb、Mo、W、Crか
ら選択される元素M1を添加するならば、これらの元素
はZr、HfなどのM元素よりも大気中で安定であり、
酸化しずらいので、液体急冷法を大気中において実施す
る場合の製造条件の選択が容易になり、製造し易くな
る。
【0015】本発明に係るFe基軟磁性合金は前記課題
を解決するために、液体急冷法により作製したT
100-a-b-cabcなる組成の急冷薄帯合金を熱処理す
ることにより得られる粒径100nm以下のFeの微細
なbcc相を主相としたことを特徴とする。 ただし、
前記組成式において、TはFe、Co及びNiのうち、
少なくとも1種以上の元素を示し、MはV、Zr、T
i、Ta、Hf、Nb、Mo、W、Cr、Mnのうちの
少なくとも1種以上の元素を示し、XはB、P、Cのう
ちの少なくとも1種以上の元素を示し、QはFeとの混
合エンタルピーΔHが正の値を有する元素を示し、組成
比を示すa、b、cは4≦a≦9、2≦b≦14、0.
01≦c≦1の関係を満足するものとする。液体急冷法
により製造する急冷薄帯合金の組成として、前記T
100-a-b-ca bcなる組成であることが好ましい。
【0016】本発明に係るFe基軟磁性合金は前記課題
を解決するために、単ロール液体急冷法により作製した
100-a-b-cabcdなる組成の急冷薄帯合金を熱
処理することにより得られる粒径100nm以下のFe
の微細なbcc相を主相としたことを特徴とする。ただ
し、前記組成式において、TはFe、Co及びNiのう
ち、少なくとも1種以上の元素を示し、MはV、Zr、
Ti、Ta、Hf、Nb、Mo、W、Cr、Mnのうち
の少なくとも1種以上の元素を示し、XはB、P、Cの
うちの少なくとも1種以上の元素を示し、QはFeとの
混合エンタルピーΔHが正の値を有する元素を示し、Z
はGa、Ge、Alのうち1種以上の元素を示し、組成
比を示すa、b、c、dは4≦a≦9、2≦b≦14、
0.01≦c≦1、0<d≦5の関係を満足するものと
する。液体急冷法により製造する急冷薄帯合金の組成と
して、前記T100-a-b-ca bcdなる組成であるこ
とが好ましい。
【0017】本発明に係るFe基軟磁性合金は前記課題
を解決するために、液体急冷法により作製したT
100-a-b-cabcSieなる組成の急冷薄帯合金を熱
処理することにより得られる粒径100nm以下のFe
の微細なbcc相を主相としたことを特徴とする。ただ
し、前記組成式において、TはFe、Co及びNiのう
ち、少なくとも1種以上の元素を示し、MはV、Zr、
Ti、Ta、Hf、Nb、Mo、W、Cr、Mnのうち
の少なくとも1種以上の元素を示し、XはB、P、Cの
うちの少なくとも1種以上の元素を示し、QはFeとの
混合エンタルピーΔHが正の値を有する元素を示し、組
成比を示すa、b、c、eは4≦a≦9、2≦b≦1
4、0.01≦c≦1、0.1≦e≦15の関係を満足す
るものとする。液体急冷法により製造する急冷薄帯合金
の組成として、前記T100-a-b-ca bcSieなる組
成であることが好ましい。
【0018】本発明に係るFe基軟磁性合金は前記課題
を解決するために、単ロール液体急冷法により作製した
100-a-b-cabcdSieなる組成の急冷薄帯合金
を熱処理することにより得られる粒径100nm以下の
Feの微細なbcc相を主相としたことを特徴とする。
ただし、前記組成式において、TはFe、Co及びNi
のうち、少なくとも1種以上の元素を示し、MはV、Z
r、Ti、Ta、Hf、Nb、Mo、W、Cr、Mnの
うちの少なくとも1種以上の元素を示し、XはB、P、
Cのうちの少なくとも1種以上の元素を示し、QはFe
との混合エンタルピーΔHが正の値を有する元素を示
し、ZはGa、Ge、Alのうち1種以上の元素を示
し、組成比を示すa、b、c、d、eは4≦a≦9、2
≦b≦14、0.01≦c≦1、0<d≦5、0.1≦e
≦15の関係を満足するものとする。液体急冷法により
製造する急冷薄帯合金の組成として、前記T100-a-b-c
a bcdSieなる組成であることが好ましい。
【0019】本発明に係るFe基軟磁性合金は前記課題
を解決するために、先のいずれかに記載のFe基軟磁性
合金において、組成比a、bが5≦a≦7、8≦b≦1
3の関係を満足されたことを特徴とする。組成比a、b
が先の範囲であるならば、更に高い飽和磁束密度と透磁
率を両立することができ、更に低い鉄損を得ることがで
きる。
【0020】本発明に係るFe基軟磁性合金は前記課題
を解決するために、先のいずれかに記載のFe基軟磁性
合金において、組成比a、bが6≦a≦6.7、9≦b
≦10.5の関係を満足されたことを特徴とする。組成
比a、bが先の範囲であるならば、更に高い飽和磁束密
度と透磁率を両立することができ、更に低い鉄損を得る
ことができる。
【0021】本発明に係るFe基軟磁性合金は前記課題
を解決するために、先のいずれかに記載のFe基軟磁性
合金において、元素MがNb、V、Mo、Wのうちの少
なくとも1種以上の元素であることを特徴とする。前記
V、Nb、Mo、Wから選択される元素は、Zr、Hf
などのM元素よりも大気中で安定であり、酸化しずらい
ので、液体急冷法を大気中において実施する場合の製造
条件の選択が容易になり、製造し易くなる。
【0022】本発明に係るFe基軟磁性合金は前記課題
を解決するために、先のいずれかに記載のFe基軟磁性
合金において、元素MがNbであることを特徴とする。
元素MのなかでNbが最も安定であり、製造時に酸化し
難く、Fe基軟磁性合金を急冷法により大気中において
製造する場合により有利であり、大気中において製造し
ても高品質の軟磁気特性の高いものが得られ易い特徴を
有する。
【0023】本発明に係るFe基軟磁性合金は前記課題
を解決するために、先のいずれかに記載のFe基軟磁性
合金において、急冷凝固された薄帯合金が300℃以上
で熱処理されることによりFeの微細なbcc相が析出
されたことを特徴とする。300℃以上、好ましくは5
00〜700℃の範囲で熱処理することで、急冷直後に
は非晶質相を主体とする組織から、Feを主体とする微
細な結晶が析出する。
【0024】本発明に係るFe基軟磁性合金は前記課題
を解決するために、先のいずれかに記載の急冷薄帯合金
が大気中液体急冷法により作製されたものであることを
特徴とする。大気中において溶融合金を急冷して凝固さ
せる部分にのみ不活性ガスを吹き付けて製造する大気中
急冷法により目的の組成の目的の軟磁気特性を発揮し得
る非晶質合金薄帯を得られ易く、この非晶質合金薄帯を
熱処理することで目的の微細な結晶組織のFe基軟磁性
合金薄帯が得られる。
【0025】本発明に係るFe基軟磁性合金は前記課題
を解決するために、先のいずれかに記載のFe基軟磁性
合金において、16A/m以下(0.2 Oe以下)の保
磁力を有し、かつ、1.5T以上の飽和磁束密度を示す
ことを特徴とする。本発明により高い飽和磁束密度と低
い鉄損が得られる。
【0026】本発明に係るFe基軟磁性合金は前記課題
を解決するために、先のいずれかに記載のFe基軟磁性
合金において表面粗さが1〜10μmの範囲とされたこ
とを特徴とする。本発明に係るFe基軟磁性合金は前記
課題を解決するために、1kHzにおいて40000以
上の透磁率、4.8A/m(0.06 Oe)以下の保磁
力、50Hz、1.33Tにおける鉄損が0.1W/kg
以下の少なくとも1つを満たすことを特徴とする。表面
粗さが先の範囲であるならば、巻線化して磁心とした場
合の充填率が向上し、磁心とする場合の特性向上が見込
まれる。また、元素Qを添加することにより、表面粗さ
が多少粗くても軟磁気特性の劣化が少なくなるため、多
少製造条件を緩和しても良好な軟磁性合金を得られ、材
料の歩留まりも向上するために、コストダウンに対応で
きる。
【0027】本発明に係る磁心は前記課題を解決するた
めに、先のいずれかに記載のFe基軟磁性合金が用いら
れたことを特徴とする。先に記載の種々のFe基軟磁性
合金からなる薄帯合金から磁心が構成されているなら
ば、飽和磁束密度が高く、透磁率が高く、鉄損が少ない
優れた磁心が提供される。
【0028】
【発明の実施の形態】以下に本発明を更に詳細に説明す
る。本発明に係るFe基軟磁性合金は、以下に示す組成
の非晶質合金あるいは一部結晶質相を含む非晶質合金を
溶湯から急冷することにより得る工程と、これらの工程
で得られたものを結晶化温度以上に加熱した後に冷却
し、非晶質相の一部または大部分を結晶化し、微細な結
晶粒を析出させる熱処理工程とによって通常得ることが
出来る。
【0029】本実施の形態に係るFe基軟磁性合金は、
液体急冷法により作製した急冷薄帯合金を熱処理するこ
とにより得られる粒径100nm以下のFeの微細なb
cc相を主相としたナノ結晶軟磁性合金において、Fe
との混合エンタルピーΔHが正の値を有する元素である
元素Qを0.01原子%以上必須成分として含むもので
ある。Feとの混合エンタルピーΔHが正の値を有する
元素とは、本願明細書においては以下に示すFe5050
の組成の場合、換言すると、Feと元素Qを50:50
で混合した時にエンタルピーHがH’に変わった場合に
HとH’の差(=ΔH)と考えることができ、ΔH[k
J/mol・atom]が正のものを意味する。
【0030】ここでエンタルピーHは、「Cohesion in
Metals, Elsevier Science Publishers B. V. Amsterda
m (1988)」に記載されている通り、固体や液体状態にあ
る物質の内部エネルギーを意味する。混合エンタルピー
ΔHが正であるということは、2つの物質を混ぜ合わせ
ることにより内部エネルギーが高くなることを意味して
おり、平衡状態の2つの物質は分離することとなる。即
ち、この種のFe基非晶質合金に対し、Feとの混合エ
ンタルピーが正の物質(元素Q)を加えると、Feと混
ざりにくいためにFeを主体とする母相からその元素Q
が析出し易くなることを意味し、結晶の核を生成し易く
する。本願発明において、Feとの混合エンタルピーΔ
Hが正の元素Qをわずかに、(0.01原子%以上)添
加することは、結晶の核成長を容易にさせ、微細なナノ
結晶組織を実現し易くするものである。
【0031】以上説明の混合エンタルピーΔH[kJ/m
ol・atom]が正の元素の具体的な数値を以下に列挙す
る。 C=8.411、N=36.002、Na=62.44
7、Mg=17.659、K=80.611、Ca=2
5.43、Cu=12.923、Zn=3.572、Rb
=83.323、Sr=34.337、Ag=28.11
3、Cd=16.758、In=19.038、Sn=1
0.623、Sb=10.497、Cs=85.164、
Ba=36.754、Au=8.003、Hg=22.0
79、Tl=30.833、Pb=29.145、Bi=
25.806、La=4.512、Ce=2.654、P
r=0.678、Nd=0.676、Eu=30.46
6、Yb=24.923である。これらの元素の中で、
Cは元素Xとして添加されるので元素Qからは除くもの
とする。これらの混合エンタルピーの値を勘案し、本願
発明ではなるべく正の値で大きいものを用いるならばF
eと混ざりにくく、Feを主相とする母相から析出し易
くなる。
【0032】また、先の組成式において、元素Mとして
記載されている元素のうち、V=−7.153、Zr=
−24.757、Ta=−15.027、Hf=−20.
589、Nb=−15.723、Mo=−1.99、W=
−0.048はいずれも負の値であり、元素Xのうち、
B=−11.445、P=−31.53はいずれの負の
値、C=8.411であり、元素Zのうち、Ga=−1.
743、Ge=−3.392、Al=−11.103はい
ずれも負の値である。
【0033】次に、先に記載のFe基軟磁性合金におい
て、Fe、Co及びNiのうち、少なくとも1種以上の
元素Tと、V、Zr、Ti、Ta、Hf、Nb、Mo、
W、C、Mnのうちの少なくとも1種以上の元素Mと、
B、P、Cのうちの少なくとも1種以上の元素Xと、F
eとの混合エンタルピーHが正の値を有する元素Qとを
具備してなる組成のものでも良い。先に記載のFe基軟
磁性合金において、元素M1がV、Nb、Mo、W、C
r、Mnのうちの少なくとも1種以上の元素でも良い。
これらの元素は融点が高く大気中において他の元素M
(ZrやHf)よりも酸化しずらい元素であるので、後
述する溶湯から急冷する工程を行う際に大気中において
も急冷合金薄帯を製造し易くなる傾向がある。
【0034】本実施形態においてFe基軟磁性合金の組
成として具体的には、組成式T100- a-b-cabcで示
される組成のものでも良い。ただし前記組成式において
TはFe、Co及びNiのうち、少なくとも1種以上の
元素を示し、MはV、Zr、Ti、Ta、Hf、Nb、
Mo、W、Cr、Mnのうちの少なくとも1種以上の元
素を示し、XはB、P、Cのうちの少なくとも1種以上
の元素を示し、QはFeとの混合エンタルピーHが正の
値を有する元素を示し、組成比を示すa、b、cは4≦
a≦9、2≦b≦14、0.01≦c≦1の関係を満足
するものとする。 この組成式のFe基軟磁性合金にお
いて元素Mのうち、V、Nb、Mo、W、Crのうちの
少なくとも1種以上の元素M1を選択して用いることも
できる。
【0035】本実施形態において、後述する単ロール液
体急冷法により作製したFe基軟磁性合金の組成として
具体的に、組成式T100-a-b-cabcdで示される
組成のものでも良い。ただし前記組成式において、Zは
Ga、Ge、Alのうち1種以上の元素を示し、組成比
を示すa、b、c、dは4≦a≦9、2≦b≦14、
0.01≦c≦1、0<d≦5の関係を満足するものと
する。この組成式のFe基軟磁性合金において元素Mの
うち、V、Nb、Mo、W、Crのうちの少なくとも1
種以上の元素M1を選択して用いることもできる。
【0036】本実施の形態において、後述する液体急冷
法により作製したFe基軟磁性合金の組成として具体的
に、組成式T100-a-b-cabcSieで示される組成
のものでも良い。ただし、前記組成式において、組成比
を示すa、b、c、eは4≦a≦9、2≦b≦14、
0.01≦c≦1、0.1≦e≦15の関係を満足するも
のとする。この組成式のFe基軟磁性合金において元素
Mのうち、V、Nb、Mo、W、Crのうちの少なくと
も1種以上の元素M1を選択して用いることもできる。
【0037】本実施の形態において、後述する単ロール
液体急冷法により作製したFe基軟磁性合金として具体
的に、組成式T100-a-b-cabcdSieで示される
組成のものでも良い。ただし、前記組成式において、Z
はGa、Ge、Alのうち1種以上の元素を示し、組成
比を示すa、b、c、d、eは4≦a≦9、2≦b≦1
4、0.01≦c≦1、0<d≦5、0.1≦e≦15の
関係を満足するものとする。
【0038】先のいずれかに記載のFe基軟磁性合金に
おいて、組成比a、bが5≦a≦7、8≦b≦13の関
係を満足することが好ましく、組成比a、bが6≦a≦
6.7、9≦b≦10.5の関係を満足することがより好
ましい。次に、先のいずれかに記載のFe基軟磁性合金
において、元素MがNb、V、Mo、Wのうちの少なく
とも1種以上の元素であることが好ましく、元素MがN
bであることがより好ましい。
【0039】本発明に係る先の組成の合金において必須
成分として元素Xを添加する場合において特に元素Xが
Bの場合には、本発明合金の非晶質形成能を高める効
果、および前記熱処理工程において磁気特性に悪影響を
及ぼす化合物相の生成を抑制する効果があると考えら
れ、このためBを含有することは重要である。非晶質形
成能からみて、Bを含有する場合の含有量は2原子%以
上、14原子%以下が必要であるが、急冷時に非晶質相
を確実に得るとともに良好な軟磁気特性が得られること
を考慮すると8原子%以上、13原子%以下の範囲がよ
り好ましい。
【0040】本発明にかかる合金において、急冷により
非晶質相を得やすくするためには、元素Tにおいて非晶
質形成能の高いZrまたはHfのいずれかを含むことが
好ましく、またZr、Hfはその一部を他の4A〜6A
族元素のうち、Ti、V、Nb、Ta、Mo、W、C
r、Mnから選択される1種または2種以上の元素と置
換することが出来る。
【0041】前記添加元素のうち、Zr、Hf、Nb
は、合金溶湯から急冷した場合に非晶質相を得るために
重要な元素であり、この非晶質相から熱処理によりFe
の微結晶粒を析出させて飽和磁束密度Bsが1.5T
(テスラ)以上、1kHzにおける実効透磁率μeが3
6000以上の両特性を満足できるようにするためには
重要である。ZrとHfのいずれか、またはこれらに代
えてNbを添加する場合、4原子%以上、9原子%以下
の範囲でこれらの元素を添加すると必要量の非晶質相を
得ることが容易である。また、前記元素の中においても
Nbは融点の高い金属元素であって熱的に安定であり、
製造時に酸化しずらいものであるので、Zr、Hf含有
量を少なくしてNb含有量を多くすることでZr、Hf
を多く含む組成系のものよりも製造条件を緩くすること
が可能となり、元素MをNbのみとすることが大気中に
おいて製造する上では最も好ましく、さらに、良好な磁
気特性を持つことが可能となる。
【0042】次に、本発明合金における主成分である元
素Tの含有量を示す組成比xは75原子%以上、93原
子%以下である。これは、bが93原子%を越えると高
い透磁率が得られないためであるが、飽和磁束密度1T
以上を得るためには、元素TはFeが主体であると考
え、bが75原子%以上必要であり、飽和磁束密度1.
5T以上を確実に得るためには、他の添加元素の添加範
囲を満たした上においてできるだけ多くのFeを含有さ
せることが必要であり、他の添加元素の量も鑑みると8
4原子%を超える量を含有させることで1.5T以上の
飽和磁束密度を容易に得ることができる。元素TはFe
を主成分もしくはFeのみとするのが低コストで実施で
きる点において有利であり、飽和磁束密度を高くするこ
とができる点で好ましい。Feの一部は磁歪等の調整の
ためにCo、Niの1種または2種で置換しても良い。
この場合、CoまたはNiの添加量はFeの20%以下
が好ましく、5%以下とすることがより好ましい。この
範囲を超えてCoまたはNiをFeに対して置換する
と、透磁率が劣化するため、好ましくない。
【0043】なお、先の種々の組成のFe基軟磁性合金
において、Feの一部をCoあるいはNiで置換した組
成系の場合の組成式は、(Fe1-ff100-a-b-ca
bc、(Fe1-ff100-a-b-cabcd、(Fe
1-ff100-a-b-cabcSie、(Fe1-ff
100-a-b-cabcdSieのいずれかで表記すること
ができ、これらの組成式において、FeとCoあるいは
Niの組成比を示すfは、f≦0.2の範囲であること
が好ましく、f≦0.05であることがより好ましい。
【0044】本発明に係る合金において、元素Qとして
SとSnのうちの1種または2種を0.01<(S,S
n)≦2.0原子%の範囲で含有している組成系の合金
は、熱処理後合金中にSnやSが均一に分散し、これら
の元素を含有していることで先の組成の軟磁性合金の諸
特性に加え、即ち、高い飽和磁束密度を維持したまま、
高い透磁率を有した上に、鉄損が低いという特徴を得る
ことができる。また、非晶質相の状態から熱処理により
微結晶を析出させる際の熱処理温度、即ち、アニール温
度を従来の組成系のものよりも、より広い範囲に設定し
て、同等あるいはそれ以上の高い磁気特性を得ることが
できるようになり、アニール温度依存性を広くすること
ができる。
【0045】以上の背景において、SとSnを添加する
組成系の合金の含有量において、先の範囲の中でも0.
05原子%以上、0.8原子%以下の範囲が好ましく、
0.05原子%以上、0.3原子%以下の範囲がより好ま
しく、0.05原子%以上、0.2原子%以下の範囲が最
も好ましい。また、前記組成系の軟磁性合金において、
必要に応じてIn、Sn、As、Se、Te、Li、B
e、Sr、Sc、Tc、Re、Ru、Rh、Pd、O
s、Ir、Pt、In等の元素を追加することで軟磁性
合金の磁歪を調整することもできる。前記組成系の軟磁
性合金において、H、N、O、S等の不可避的不純物に
ついては所望の特性が劣化しない程度に含有していても
本発明で用いるFe基軟磁性合金の組成と同一とみなす
ことができるのは勿論である。
【0046】次に、先に記載した種々の組成系の軟磁性
合金を製造する方法の一例について以下に説明する。先
の組成系の軟磁性合金を製造するためには、製造方法の
一例として、回転している金属製のロールに目的の組成
の合金溶湯を噴出させて非晶質相単相あるいは一部結晶
化した部分を含み、非晶質相を主相とする薄帯状(リボ
ン状)とする単ロール法を採用することができる。この
単ロール法を採用する場合、合金溶湯の急冷を不活性ガ
ス雰囲気中あるいは真空雰囲気中で行っても良く、大気
雰囲気中で行っても良い。また、大気雰囲気中で行う場
合には、溶湯を急冷する際に、使用するるつぼのノズル
の先端部側に不活性ガスを供給し、ノズルとその近傍に
おける合金溶湯及び薄帯(リボン)の酸化を防止しつ
つ、ノズルから冷却ロール等の冷却面に溶湯を噴出させ
て急冷することにより行っても良い。
【0047】ついで、先の如く作製した薄帯を300℃
以上、好ましくは550〜700℃の範囲、より好まし
くは600〜700℃の温度範囲に加熱後冷却する熱処
理を施して結晶化することにより、上記薄帯の非晶質相
の一部または全部を結晶化し、非晶質相と、平均粒径1
00nm以下の微細なbcc構造の結晶粒からなる微細
結晶相とが混合した組織を得ることができ、目的とする
Fe基軟磁性合金を得ることができる。なお、前記組成
比のFe基軟磁性合金において元素Tの主成分をFeと
した場合は、平均粒径100nm以下の微細なbcc構
造のFeの結晶粒からなる微細結晶相が主に析出する。
【0048】熱処理により平均結晶粒径100nm以下
の微細なbcc構造の結晶粒(Feの結晶粒)からなる
微細結晶組織が析出したのは、急冷状態の非晶質合金薄
帯等が非晶質相を主体とする組織となっており、これを
加熱すると、ある温度以上で平均結晶粒径が30nm以
下のbccFeを主成分とする体心立方構造の結晶粒か
らなる微細結晶相が析出するからである。また、このF
eの微細結晶相が析出する温度よりも高い温度では、F
3B等の軟磁気特性を悪化させる可能性を有する化合
物相が析出する傾向がある。このような化合物相が析出
する温度は、合金の組成によるが1013K(740
℃)〜1083K(810℃)程度である。ただし、軟
磁気特性を悪化させる化合物相の析出は、少量であれば
影響が少ないので、一部化合物相の析出があっても差し
支えない。ここで、本発明組成系の軟磁性合金には先に
説明した混合エンタルピーが正の元素Qを0.01原子
%以上含有し、Feの微細結晶粒が非晶質相から析出し
易い傾向にあるので、十分な量のFeの微細結晶粒が析
出される。
【0049】上記の熱処理温度まで昇温するときの昇温
速度は、20〜200K/分の範囲が好ましく、40〜
200K/分の範囲とするのがより好ましい。昇温速度
が遅いと製造時間が長くなるので昇温速度は速い方が好
ましいが、一般的には加熱装置の性能上、200K/分
程度が上限とされる。また、非晶質合金薄帯等を上記保
持温度に保持する時間は、0〜180分間とすることが
でき、合金の組成によっては0分、すなわち、昇温後直
ちに降温させて保持時間無しとしても、目的とする微結
晶の析出効果を得ることができる。また、保持時間は1
80分より長くしても磁気特性は向上せず、逆に製造時
間が長くなり生産性が悪くなるので好ましくない。
【0050】以下に、急冷薄帯(急冷リボン)を製造す
るための一具体例として、大気雰囲気中においてるつぼ
のノズル先端部のみに不活性ガスを供給しながら合金溶
湯を急冷する装置と方法について説明する。図1は、大
気中で急冷薄帯を製造する場合に用いて好適な合金薄帯
製造装置の一例を示す概略構成図である。この例の合金
薄帯製造装置は、冷却ロール1と、合金溶湯を保持する
るつぼ3の下端部に連接された溶湯ノズル2と、溶湯ノ
ズル2及びるつぼ3の外周に捲回されて配置された加熱
コイル4と、不活性ガスを溶湯ノズル2の少なくとも先
端部にフローするためのガスフロー供給手段である第1
〜第3のガスフローノズル51、52、53、及び、溶
湯ノズル2の先端部周囲に配置された内向き孔付きの環
状管からなるガスフローパイプ54と、冷却ロール1の
冷却面1aに向けて不活性ガスをフローするガスフロー
供給手段である第5のガスフローノズル55から基本的
に構成されている。
【0051】冷却ロール1は、図示しないモータにより
矢印(反時計)方向へ回転駆動される。冷却ロール1の
冷却面1aは、炭素鋼、例えばJISS45CなどのF
e基合金、または真鍮(Cu−Zn合金)、あるいは純
銅等の金属材料で構成することが望ましい。冷却ロール
1の冷却面1aが真鍮あるいは純銅であると、熱伝導性
が高いことから、冷却効果が高く、目的の合金溶湯の急
冷に適している。冷却効果を向上させるためには、内部
に水冷構造を設けることが望ましい。
【0052】図1において、るつぼ3内で溶解された合
金溶湯は、下端部の溶湯ノズル2から冷却ロール1の冷
却面1aに向けて噴出される。るつぼ3の上部は、供給
管7を介してArガスなどのガス供給源8に接続される
と共に、供給管7には、圧力調整弁9と電磁弁10とが
組み込まれ、供給管7において圧力調整弁9と電磁弁1
0との間には圧力計11が組み込まれている。また、供
給管7には補助管12が並列的に接続され、補助管12
には圧力調整弁13、流量調整弁14、流量計15が組
み込まれている。従って、ガス供給源8からるつぼ3内
にArガスなどの不活性ガスを供給し、溶湯にガス圧を
作用させ、溶湯ノズル2から溶湯を冷却ロール1に向け
て所定の圧力で噴出して急冷できるように構成されてい
る。
【0053】図1に示す装置を用いて目的の組成の合金
薄帯を製造する時には、大気雰囲気中にて冷却ロール1
を高速で回転させつつ、その頂部付近、もしくは、頂部
よりやや前方に近接配置した溶湯ノズル2から上記のい
ずれかの組成の合金溶湯を噴出することにより、冷却ロ
ール1の表面で溶湯を急速冷却して固化させつつ冷却ロ
ール1の回転方向に帯状となして引き出す。また、図1
に示すように、冷却ロール1の回転方向前側下方には、
薄帯誘導板70とスクレイパー72とが備えられてい
る。冷却面1aにおいて溶湯が冷却されて形成された合
金薄帯は、スクレイパー72により冷却ロール1から剥
離されて薄帯誘導板70側に案内される。従って、スク
レイパー72の近傍が、冷却面1aから合金薄帯が剥離
する位置となる。
【0054】次に、先の第1〜第4のガスフローノズル
51、52、53、54には、第1のガスフローノズル
51について例示するように、圧力調整弁16が組み込
まれた接続管17を介してガス供給源18が接続されて
いる。また、先の第1〜第4のガスフローノズル51、
52、53、54を、単独で用いることは勿論、複数組
み合わせて使用することができ、溶湯ノズル2から冷却
ロール1に溶湯を噴出させて急冷する部分(パドル部
分)の周囲の酸素濃度を低減させて急冷される合金溶湯
が不要に酸化しないように雰囲気を調整することができ
る。
【0055】図1に示した合金薄帯製造装置を用いて本
発明に係る軟磁性合金を製造するには、先の合金薄帯製
造装置を室温程度の大気雰囲気中に設置し、溶湯ノズル
(溶湯射出用ノズル)2の少なくとも溶湯吹き出し部先
端部分21に第1〜第4のガスフローノズル51〜54
からそれぞれ不活性ガスをフローするとともに冷却ロー
ル1の冷却面1aに向けて第5のガスフローノズル55
から不活性ガスをフローしつつ、上記のいずれかで示さ
れる組成式を示す合金溶湯を溶湯ノズル2から冷却ロー
ル1の冷却面1aに射出して急冷し、非晶質を主体とす
る合金薄帯を得る。ついで、作製した合金薄帯を先に説
明した結晶化温度以上に加熱後冷却する熱処理(アニー
ル処理)することにより、上記合金薄帯の非晶質相の少
なくとも一部あるいはほぼ全部を結晶化し、非晶質相
と、平均粒径100nm以下の微細なbcc構造の結晶
粒(主にFeの結晶粒)からなる微細結晶相とが混合し
た組織を得、目的とするFe基軟磁性合金薄帯を得るこ
とができる。
【0056】ここで、先に示す組成の軟磁性合金薄帯を
製造する場合、S、Mg、Zn等以外の元素を含む組成
系の軟磁性合金においては、目的の組成となるように合
金溶湯を作成すれば良い。即ち、目的の組成となるよう
な組成の母合金(インゴット)をアーク溶解法等の常法
で作成し、この母合金をるつぼ2に投入してこの母合金
を加熱溶解し、先の急冷法に供すれば良い。しかし、S
(硫黄)、Mg(マグネシウム)、Zn(亜鉛)等を含
む組成系のFe基軟磁性合金を製造する場合、母合金
(インゴット)中にS、Mg、Zn等を含有させておく
と、母合金をアーク溶解法等の常法により溶製する際の
加熱溶融処理時に融点の低いSが蒸発し、実際に合金溶
湯の急冷操作を行う時点において合金溶湯中のS含有量
が目的の組成比よりも少なくなってしまうおそれが高
い。
【0057】このため、本発明組成系において特にS
(硫黄)を含む組成系の軟磁性合金を製造する場合、目
的量のSを含まない状態の組成の母合金(インゴット)
を一端作成し、この母合金を合金薄帯製造装置のるつぼ
3にセットする際に目的量の硫黄粉末等の硫黄原料を添
加してから溶解し、溶解後なるべく早い時間、できれば
直ちに合金溶湯の噴出作業を行って急冷処理を行えば良
い。この操作によって揮発しやすい硫黄の減量を無く
し、目的の量の硫黄をFe基軟磁性合金中に含ませるこ
とができる。ただし、Sの蒸発量を正確に制御できるの
であれば、Sは予め母合金に投入して製造しても良いの
は勿論である。
【0058】以上の製造方法により得られた目的の組成
比のFe基軟磁性合金は、高い飽和磁束密度と高い透磁
率を両立し、かつ、鉄損も少ないものが得られる。例え
ば特定の組成系においては、1.5T以上の高い飽和磁
束密度を有し、36000以上の高い実効透磁率を有す
るとともに、0.15W・kg-1以下の低い鉄損を示す
優れたものとなる。また、SとSnを微量添加する場
合、微量添加するSとSnの少なくとも一方の組成比を
0.05〜0.3原子%の好ましい範囲とするならば、
1.5T以上の高い飽和磁束密度を有し、40000以
上の高い実効透磁率を有するとともに、0.1W・kg
-1以下の低い鉄損を示す優れたFe基軟磁性合金を得る
ことが可能となる。
【0059】また、本発明に係る組成系のFe基軟磁性
合金であれば、表面粗さとして、R maxの値が2.5以上
であって透磁率40000以上のFe基軟磁性合金薄
帯、R maxの値が3.5以上であっても透磁率40000
以上のFe基軟磁性合金薄帯を得ることが可能となる。
さらに、表面粗さが4μmを超えて10μm程度になっ
っても、実用的に充分な透磁率を得ることが可能とな
る。即ち、銅ロール表面状態等によりFe基軟磁性合金
薄帯の表面粗さは変化するが、特に合金溶湯から急冷し
てFe基軟磁性合金薄帯を製造する場合は製造の初期段
階よりも製造末期の段階のもの、即ち長尺の薄帯のエン
ド側のものが表面が荒れ易い。このように表面が荒れ易
いと、表面酸化が起こり易い傾向があり、表面の結晶化
に効いてくる。この点において先のFeに対する混合エ
ンタルピーΔHの値が正の元素Qを添加した組成系であ
るならば、表面粗さの値が悪くなっても組成に応じて4
0000以上の高い透磁率と低い保磁力と低い鉄損を確
保することができる。このように本発明においては、多
少表面粗さが粗くても、良好な磁気特性が得られるが、
粗すぎるとコアに加工した場合の占積率が小さくなるた
め、10μm以下に、好ましくは4μm以下に抑える必
要がある。また、本発明のFe基軟磁性合金のこの特性
を生かし、製造条件の緩和と材料歩留まりの向上を図る
ためには、表面粗さは1μm以上、より好ましくは2μ
m以上とするのがより好ましい。次に本発明の高飽和磁
束密度Fe系軟磁性合金の組成限定理由について実施例
をもって更に詳細に説明する。
【0060】
【実施例】以下の各実施例に示す軟磁性合金薄帯は単ロ
ール液体急冷法により作製した。即ち、1つの回転して
いる鋼製ロール上におかれた石英ノズルから、溶融金属
をアルゴンガスの圧力(射出圧0.092MPa:差
圧)により回転中のロール(ロール周速:70m/s)
上に、ノズル先端部とロール表面とのギャップを0.2
mmに設定して噴出させ、合金溶湯を急冷して目的の組
成比の合金薄帯を得た。るつぼ先端部の石英ノズルのス
リット状の開口部の幅と厚さは、15×0.3mmであ
り、以上のように作成した合金薄帯の幅は約15mmであ
り、厚さは約20〜40μmであった。
【0061】得られた各合金薄帯試料を後述する熱処理
温度でアニール処理し、軟磁性合金薄帯試料を得た。得
られた軟磁性合金薄帯試料の透磁率は、薄帯試料を加工
し、外径10mm、内径5mmのリング状とし、これを積み
重ねたものに巻線し、インダクタンス法により測定し
た。実効透磁率(μe)の測定条件は10mOe、1kH
zとした。各試料の保磁力(Hc)は、直流B−Hループ
トレーサにより測定し、飽和磁束密度(Bs)はVSMに
て10kOeで測定した磁化より算出した。なお、特に
規定しない限り、以下に示す実施例では、500〜70
0℃の温度で1時間保持した後、水焼入れした後の磁気
特性を示す。
【0062】まず、本発明に係る組成系の軟磁性合金薄
帯においてFe83.8Nb6.59.5Sn0.2なる組成と、
Fe83.95Nb6.59La0.050.5なる組成と、Fe83
Nb6 .59Cu10.5なる組成と、Fe82.5Nb6.7
9.5La0.1Ga1なる組成と、Fe82.5Nb6.510Cu
1なる組成の各軟磁性合金薄帯試料、並びに比較例とし
ての、Fe84Nb6.59.5なる組成と、Fe83.5Nb
6.510なる組成の軟磁性合金薄帯試料の透磁率
(μ’:1kHz)と保磁力(Hc:A/m)と飽和磁
化(Br)と鉄損W1.33/50/Wkg-1の測定結果を図
2に示す。
【0063】図2に示す結果から、元素Qとして、S
n、La、Cuを選択して添加させた組成系の各軟磁性
合金薄帯試料では、透磁率と保磁力と飽和磁化と鉄損の
いずれかの値が、元素Qを添加していない組成系の軟磁
性合金薄帯試料よりも優れた値を示した。また、いずれ
の試料にあってもアニール温度範囲は550℃〜700
℃の範囲、更に好ましくは600〜700℃の範囲が好
ましいことがわかる。
【0064】次に図3は、Fe84Nb6.59.5なる組成
の試料(比較例)とFe83.8Nb6. 59.5Sn0.2なる
組成の試料の自由表面側(得られた薄帯においてロール
に接触しない側の面)の表面粗さの測定結果を示す。F
84Nb6.59.5なる組成の軟磁性合金薄帯試料におい
て測定した4点およびFe83.8Nb6.59.5Sn0.2
る組成の軟磁性合金薄帯試料においては、(株)小坂研
究所製表面粗さ測定器(SE−2300)を用いて、薄
帯長手方向のスタート時、エンド部および中央部の任意
の点における表面(自由面とロール面)を幅方向及び長
さ方向で表面の段差を測定し、平均化することでその材
料の表面粗さ(Rmax)とした。図3に示す結果から、
比較例の試料が、Rmaxが大きくなるに従って透磁率は
低下し、保磁力は大きくなるのに対し、元素Qを添加し
た本発明に係わる軟磁性合金薄帯試料は、Rmaxが大き
くなるのに従って透磁率はむしろ向上し、保磁力も低下
しているのがわかる。また、鉄損については、比較例の
試料はRmaxが多きなるのに従って鉄損の劣化が大きい
のに対し、本発明に係わる軟磁性合金薄帯試料は鉄損の
劣化が小さくなっていることが分かる。これは、元素Q
を添加しない比較例の試料が表面粗さが大きくなるに従
って、薄帯表面の凹凸部分において不均一な核生成を生
じやすくなり、熱処理後の結晶組織が不均一となった
り、化合物相を形成したりして軟磁気特性を劣化させて
いるのに対し、本発明の試料においては元素Qが添加さ
れることによって、表面粗さが粗くなってもそのような
不均一な核生成を生じにくくなっていることが考えられ
る。このように元素Qを添加することによって、多少表
面粗さが粗くなっても、優れた軟磁気特性を維持できる
ために、製造条件を緩和したり、材料の歩留まりを向上
させることが可能となるため、生産コストを削減するこ
とが可能となる。
【0065】次に、以下に示す表1に、先に説明した混
合エンタルピーΔHが正の値を示す各種の元素(Cu、
Sn、Sr、Zn、Sb、In)をFe84Nb6.59.5
なる組成の軟磁性合金に添加した各種の試料と、混合エ
ンタルピーΔHが正の値を示す各種の元素(Cu、S
n、Sr、Zn、La、Ag、Au、Ba)をFe83.5
Nb6.510なる組成の軟磁性合金に添加した試料と、
混合エンタルピーΔHが正の値を示すCuをFe84.5
6.59なる組成の軟磁性合金に添加した試料と、混合
エンタルピーΔHが正の値を示すSiまたはCuをFe
83.5Nb6.510なる組成の軟磁性合金に添加した試料
と、混合エンタルピーΔHが正の値を示すSnまたはZ
nをFe84.5Nb6.59なる組成の軟磁性合金に添加し
た試料について、各試料の熱処理温度と保磁力と飽和磁
束密度と飽和磁化と鉄損を測定した結果を示す。
【0066】
【表1】
【0067】表1に示すように、Fe84Nb6.59.5
る組成の軟磁性合金にSnを0.1あるいは0.2原子%
添加した試料、Sr、Zn、Sb、Inのいずれかを
0.2原子%添加した試料はいずれも添加していない組
成に対して透磁率が向上し、41000以上が得られる
とともに鉄損も0.1Wkg-1よりも小さく、0.092
〜0.099の範囲となった。また、飽和磁束密度にお
いてはいずれの試料も1.5T(テスラ)を超える優れ
た値を示した。
【0068】Fe83.5Nb6.510なる組成の軟磁性合
金試料にCuを0.1原子%添加した試料、Snを0.2
原子%添加した試料、Srを0.2原子%添加した試
料、Znを0.2原子%添加した試料、Laを0.1原子
%かるAgを0.5原子%添加した試料、Auを0.5原
子%添加した試料、Baを0.2原子%添加した試料
は、いずれもこれらの元素を添加していない試料に比べ
て透磁率が向上し(42000〜44000)、保磁力
が低く(0.035〜0.054)、鉄損も0.1Wkg
-1よりも小さく、0.071〜0.099の範囲となっ
た。また、飽和磁束密度においてはいずれの試料も1.
5T(テスラ)を超える優れた値を示した。Fe84.5
6.59なる組成の軟磁性合金試料にSnあるいはZn
を0.2原子%添加した試料においては50000ある
いは42000の優れた透磁率と0.045の低い保磁
力、1.5Tを超える優れた飽和磁束密度と0.092の
低い鉄損が得られた。
【0069】表2は先の表1に示した各試料と同じよう
に種々の元素QをFeNbB系の軟磁性合金に種々の
量、含有させて得た軟磁性合金試料の磁気特性の測定結
果を示すものである。
【0070】
【表2】
【0071】表2においては、元素Qとして、Cuを1
原子%あるいは0.5原子%、Laを0.1あるいは0.
05原子%、Snを0.2原子%、Auを0.5原子%、
Ndを0.2原子%、Srを0.2原子%添加した試料で
あるが、いずれの試料においても透磁率か飽和磁束密度
か鉄損のいずれかの特性が向上している。従って本発明
組成系の軟磁性合金に対する元素Qの添加効果を確認す
ることができた。
【0072】次に、図4はFeNbBCu系合金(Nb
=6原子%)の飽和磁束密度における組成依存性を示す
三角組成図、図5はFeNbBCu系合金(Nb=6原
子%)の飽和磁化における組成依存性を示す三角組成
図、図6はFeNbBCu系合金(Nb=6原子%)の
透磁率における組成依存性を示す三角組成図、図7はF
eNbBCu系合金(Nb=6原子%)の保磁力におけ
る組成依存性を示す三角組成図、図8はFeNbBCu
系合金(Nb=6原子%)の磁歪における組成依存性を
示す三角組成図、図9はFeNbBCu系合金(Nb=
6原子%)の鉄損における組成依存性を示す三角組成図
である。これらの図4〜図9に示された結果から、元素
QとしてCuを選択した場合、本発明に係る元素Qを添
加した組成範囲を有することで優れた特性が得られてい
ることが明らかである。また、Bの含有量に関し、図4
〜図9に示す結果から見れば、Bの含有量については9
〜10.5原子%の範囲がより好ましい範囲であると考
えられる。
【0073】図10はFeNbBCu系合金(Nb=
6.5原子%)の透磁率における組成依存性を示す三角
組成図、図11はFeNbBCu系合金(Nb=6.5
原子%)の保磁力における組成依存性を示す三角組成
図、図12はFeNbBCu系合金(Nb=6.5原子
%)の飽和磁束密度における組成依存性を示す三角組成
図、図13はFeNbBCu系合金(Nb=6.5原子
%)の飽和磁化における組成依存性を示す三角組成図、
図14はFeNbBCu系合金(Nb=6.5原子%)
の磁歪における組成依存性を示す三角組成図、図15は
FeNbBCu系合金(Nb=6.5原子%)の鉄損に
おける組成依存性を示す三角組成図である。これらの図
10〜図15に示された結果から、元素QとしてCuを
選択した場合、本発明に係る元素Qを添加した組成範囲
を有することで優れた特性が得られていることが明らか
である。
【0074】図16はFeNbMoBCu系合金(Nb
=6.0原子%、Mo=0.5原子%)の透磁率における
組成依存性を示す三角組成図、図17はFeNbMoB
Cu系合金(Nb=6.0原子%、Mo=0.5原子%)
の保磁力における組成依存性を示す三角組成図、図18
はFeNbMoBCu系合金(Nb=6.0原子%、M
o=0.5原子%)の飽和磁束密度における組成依存性
を示す三角組成図、図19はFeNbMoBCu系合金
(Nb=6.0原子%、Mo=0.5原子%)の飽和磁化
における組成依存性を示す三角組成図、図20はFeN
bMoBCu系合金(Nb=6.0原子%、Mo=0.5
原子%)の磁歪における組成依存性を示す三角組成図、
図21はFeNbMoBCu系合金(Nb=6.0原子
%、Mo=0.5原子%)の鉄損における組成依存性を
示す三角組成図である。これらの図16〜図21に示さ
れた結果から、元素QとしてCuを選択した場合、本発
明に係る元素Qを添加した組成範囲を有することで優れ
た特性が得られていることが明らかである。
【0075】
【発明の効果】以上説明したように本発明のFe基軟磁
性合金によれば、Feとの混合エンタルピーΔHが正の
値を有する元素である元素Qを0.01原子%以上必須
成分として含むことを特徴とするので、Feと元素Qを
混合することにより固体や液体状態にある物質の内部エ
ネルギーを高くすることができ、平衡状態にある2つの
物質を分離する傾向を強くすることができるので、Fe
を主体とする母相から元素Qを析出し易くすることがで
き、熱処理時にFeのbcc相の結晶の核生成を容易に
することができ、微細なナノ結晶を効率よく生成させる
ことができる。
【0076】本発明において、Fe、Co及びNiのう
ち、少なくとも1種以上の元素Tと、V、Zr、Ti、
Ta、Hf、Nb、Mo、W、Crの内の少なくとも1
種以上の元素Mと、B、P、Cのうちの少なくとも1種
以上の元素Xと、Feとの混合エンタルピーΔHが正の
値を有する元素Qとを具備してなり、前記元素Qを0.
01原子%以上必須成分として含むならば、FeにCo
あるいはNiに加えて元素Mと元素Xと元素Qを添加し
た組成系の溶湯を急冷する場合にFeを主体とする母相
から元素Qが析出し易く、更に熱処理時にFeのbcc
相の結晶の核生成が容易になり、微細なナノ結晶を効率
よく生成し易くなる。これにより、元素Qを添加する
と、材料の表面粗さが粗くても、熱処理後において微細
な結晶組織を均一に形成することができ、優れた軟磁気
特性が得られる。
【0077】本発明の先の組成において、V、Nb、M
o、W、Cr、Mnの内の少なくとも1種以上の元素M
1を用いるならば、これらの元素はZr、HfなどのM
元素よりも大気中で安定であり、酸化しずらいので、液
体急冷法を大気中において実施する場合の製造条件の選
択が容易になり、製造し易くなる。
【0078】本発明において急冷薄帯合金の組成とし
て、T100-a-b-cabcなる組成、T100-a-b-ca
bcdなる組成、T100-a-b-cabcSieなる組
成、T10 0-a-b-cabcdSieなる組成であるなら
ば、熱処理時にFeのbcc相の結晶の核生成が容易に
なり、微細なナノ結晶を効率よく生成し易くなるという
効果を確実に得ることができる。
【0079】本発明の先のいずれかに記載のFe基軟磁
性合金において、組成比a、bが5≦a≦7、8≦b≦
13の関係を満足するならば、あるいは、組成比a、b
が6≦a≦6.7、9≦b≦10.5の関係を満足するな
らば、更に高い飽和磁束密度と透磁率を両立することが
でき、更に低い鉄損を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明に係るFe基軟磁性合金の製造
に好適に用いられる合金薄帯製造装置の一例を示す概略
構成図である。
【図2】 図2は本発明に係る各種組成の合金と比較例
合金における透磁率と保磁力と飽和磁化と鉄損のアニー
ル温度依存性を示す図である。
【図3】 図3は本発明に係る薄帯合金と比較例の薄帯
合金における透磁率と保磁力と飽和磁化と鉄損の表面粗
さ依存性を示す図である。
【図4】 図4はFeNbBCu系合金(Nb=6原子
%)の飽和磁束密度における組成依存性を示す三角組成
図である。
【図5】 図5はFeNbBCu系合金(Nb=6原子
%)の飽和磁化における組成依存性を示す三角組成図で
ある。
【図6】 図6はFeNbBCu系合金(Nb=6原子
%)の透磁率における組成依存性を示す三角組成図であ
る。
【図7】 図7はFeNbBCu系合金(Nb=6原子
%)の保磁力における組成依存性を示す三角組成図であ
る。
【図8】 図8はFeNbBCu系合金(Nb=6原子
%)の磁歪における組成依存性を示す三角組成図であ
る。
【図9】 図9はFeNbBCu系合金(Nb=6原子
%)の鉄損における組成依存性を示す三角組成図であ
る。
【図10】 図10はFeNbBCu系合金(Nb=
6.5原子%)の透磁率における組成依存性を示す三角
組成図である。
【図11】 図11はFeNbBCu系合金(Nb=
6.5原子%)の保磁力における組成依存性を示す三角
組成図である。
【図12】 図12はFeNbBCu系合金(Nb=
6.5原子%)の飽和磁束密度における組成依存性を示
す三角組成図である。
【図13】 図13はFeNbBCu系合金(Nb=
6.5原子%)の飽和磁化における組成依存性を示す三
角組成図である。
【図14】 図14はFeNbBCu系合金(Nb=
6.5原子%)の磁歪における組成依存性を示す三角組
成図である。
【図15】 図15はFeNbBCu系合金(Nb=
6.5原子%)の鉄損における組成依存性を示す三角組
成図である。
【図16】 図16はFeNbMoBCu系合金(Nb
=6.0原子%、Mo=0.5原子%)の透磁率における
組成依存性を示す三角組成図である。
【図17】 図17はFeNbMoBCu系合金(Nb
=6.0原子%、Mo=0.5原子%)の保磁力における
組成依存性を示す三角組成図である。
【図18】 図18はFeNbMoBCu系合金(Nb
=6.0原子%、Mo=0.5原子%)の飽和磁束密度に
おける組成依存性を示す三角組成図である。
【図19】 図19はFeNbMoBCu系合金(Nb
=6.0原子%、Mo=0.5原子%)の飽和磁化におけ
る組成依存性を示す三角組成図である。
【図20】 図20はFeNbMoBCu系合金(Nb
=6.0原子%、Mo=0.5原子%)の磁歪における組
成依存性を示す三角組成図である。
【図21】 図21はFeNbMoBCu系合金(Nb
=6.0原子%、Mo=0.5原子%)の鉄損における組
成依存性を示す三角組成図である。
【符号の説明】
1…冷却ロール、2…溶湯ノズル、3…るつぼ

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体急冷法により作製した急冷薄帯合金
    を熱処理することにより得られる粒径100nm以下の
    Feの微細なbcc相を主相としたナノ結晶軟磁性合金
    において、Feとの混合エンタルピーΔHが正の値を有
    する元素である元素Qを0.01原子%以上必須成分と
    して含むことを特徴とするFe基軟磁性合金。
  2. 【請求項2】 液体急冷法により作製した急冷薄帯合金
    を熱処理することにより得られる粒径100nm以下の
    Feの微細なbcc相を主相としたナノ結晶軟磁性合金
    において、Fe、Co及びNiのうち、少なくとも1種
    以上の元素Tと、V、Zr、Ti、Ta、Hf、Nb、
    Mo、W、Cr、Mnの内の少なくとも1種以上の元素
    Mと、B、P、Cのうちの少なくとも1種以上の元素X
    と、Feとの混合エンタルピーΔHが正の値を有する元
    素Qとを具備してなり、前記元素Qを0.01原子%以
    上必須成分として含むことを特徴とするFe基軟磁性合
    金。
  3. 【請求項3】 液体急冷法により作製した急冷薄帯合金
    を熱処理することにより得られる粒径100nm以下の
    Feの微細なbcc相を主相としたナノ結晶軟磁性合金
    において、Fe、Co及びNiのうち、少なくとも1種
    以上の元素Tと、V、Nb、Mo、W、Crの内の少な
    くとも1種以上の元素M1と、B、P、Cのうちの少な
    くとも1種以上の元素Xと、Feとの混合エンタルピー
    ΔHが正の値を有する元素Qとを具備してなり、前記元
    素Qを0.01原子%以上必須成分として含むことを特
    徴とするFe基軟磁性合金。
  4. 【請求項4】 液体急冷法により作製したT100-a-b-c
    abcなる組成の急冷薄帯合金を熱処理することに
    より得られる粒径100nm以下のFeの微細なbcc
    相を主相としたことを特徴とするFe基軟磁性合金。た
    だし、前記組成式において、TはFe、Co及びNiの
    うち、少なくとも1種以上の元素を示し、MはV、Z
    r、Ti、Ta、Hf、Nb、Mo、W、Cr、Mnの
    内の少なくとも1種以上の元素を示し、XはB、P、C
    のうちの少なくとも1種以上の元素を示し、QはFeと
    の混合エンタルピーΔHが正の値を有する元素を示し、
    組成比を示すa、b、cは4≦a≦9、2≦b≦14、
    0.01≦c≦1の関係を満足するものとする。
  5. 【請求項5】 単ロール液体急冷法により作製したT
    100-a-b-cabc dなる組成の急冷薄帯合金を熱処
    理することにより得られる粒径100nm以下のFeの
    微細なbcc相を主相としたことを特徴とするFe基軟
    磁性合金。ただし、前記組成式において、TはFe、C
    o及びNiのうち、少なくとも1種以上の元素を示し、
    MはV、Zr、Ti、Ta、Hf、Nb、Mo、W、C
    r、Mnの内の少なくとも1種以上の元素を示し、Xは
    B、P、Cのうちの少なくとも1種以上の元素を示し、
    QはFeとの混合エンタルピーΔHが正の値を有する元
    素を示し、ZはGa、Ge、Alのうち1種以上の元素
    を示し、組成比を示すa、b、c、dは4≦a≦9、2
    ≦b≦14、0.01≦c≦1、0<d≦5の関係を満
    足するものとする。
  6. 【請求項6】 液体急冷法により作製したT100-a-b-c
    abcSieなる組成の急冷薄帯合金を熱処理するこ
    とにより得られる粒径100nm以下のFeの微細なb
    cc相を主相としたことを特徴とするFe基軟磁性合
    金。ただし、前記組成式において、TはFe、Co及び
    Niのうち、少なくとも1種以上の元素を示し、Mは
    V、Zr、Ti、Ta、Hf、Nb、Mo、W、Cr、
    Mnの内の少なくとも1種以上の元素を示し、XはB、
    P、Cのうちの少なくとも1種以上の元素を示し、Qは
    Feとの混合エンタルピーΔHが正の値を有する元素を
    示し、組成比を示すa、b、c、eは4≦a≦9、2≦
    b≦14、0.01≦c≦1、0.1≦e≦15の関係を
    満足するものとする。
  7. 【請求項7】 単ロール液体急冷法により作製したT
    100-a-b-cabc dSieなる組成の急冷薄帯合金を
    熱処理することにより得られる粒径100nm以下のF
    eの微細なbcc相を主相としたことを特徴とするFe
    基軟磁性合金。ただし、前記組成式において、TはF
    e、Co及びNiのうち、少なくとも1種以上の元素を
    示し、MはV、Zr、Ti、Ta、Hf、Nb、Mo、
    W、Cr、Mnの内の少なくとも1種以上の元素を示
    し、XはB、P、Cのうちの少なくとも1種以上の元素
    を示し、QはFeとの混合エンタルピーΔHが正の値を
    有する元素を示し、ZはGa、Ge、Alのうち1種以
    上の元素を示し、組成比を示すa、b、c、d、eは4
    ≦a≦9、2≦b≦14、0.01≦c≦1、0<d≦
    5、0.1≦e≦15の関係を満足するものとする。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし請求項7のいずれかに記
    載のFe基軟磁性合金において、組成比a、bが5≦a
    ≦7、8≦b≦13の関係を満足されたことを特徴とす
    るFe基軟磁性合金。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし請求項7のいずれかに記
    載のFe基軟磁性合金において、組成比a、bが6≦a
    ≦6.7、9≦b≦10.5の関係を満足されたことを特
    徴とするFe基軟磁性合金。
  10. 【請求項10】 請求項2ないし請求項8のいずれかに
    記載のFe基軟磁性合金において、元素MがNb、V、
    Mo、Wの内の少なくとも1種以上の元素であることを
    特徴とするFe基軟磁性合金。
  11. 【請求項11】 請求項2ないし請求項8のいずれかに
    記載のFe基軟磁性合金において、元素MがNbである
    ことを特徴とするFe基軟磁性合金。
  12. 【請求項12】 請求項1ないし請求項11のいずれか
    に記載のFe基軟磁性合金において、急冷凝固された薄
    帯合金が300℃以上で熱処理されることによりFeの
    微細なbcc相が析出されたことを特徴とするFe基軟
    磁性合金。
  13. 【請求項13】 請求項1ないし請求項12のいずれか
    に記載の急冷薄帯合金が大気中液体急冷法により作製さ
    れたものであることを特徴とするFe基軟磁性合金。
  14. 【請求項14】 請求項1ないし13のいずれかに記載
    のFe基軟磁性合金において、16A/m(0.2 O
    e)以下の保磁力を有し、かつ、1.5T以上の飽和磁
    束密度を示すことを特徴とするFe基軟磁性合金。
  15. 【請求項15】 表面粗さが1〜10μmの範囲とされ
    たことを特徴とする請求項1ないし14のいずれかに記
    載のFe基軟磁性合金。
  16. 【請求項16】 1kHzにおいて40000以上の透
    磁率、4.8A/m(0.06 Oe)以下の保磁力、5
    0Hz、1.33Tにおける鉄損が0.1W/kg以下の
    少なくとも1つを満たすことを特徴とする請求項15に
    記載のFe基軟磁性合金。
  17. 【請求項17】 Feとの混合エンタルピーΔHが正の
    値を有する元素Qとして、N、Na、Mg、K、Ca、
    Cu、Zn、Rb、Sr、Ag、Cd、In、Sn、S
    b、Cs、Ba、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、L
    a、Ce、Pr、Nd、Eu、Ybのなかから選択され
    る1種以上の元素を用いたことを特徴とする請求項1〜
    16のいずれかに記載のFe基軟磁性合金。
  18. 【請求項18】 請求項1ないし17のいずれかに記載
    のFe基軟磁性合金が用いられたことを特徴とする磁
    心。
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