JP2001295005A - ナノ結晶軟磁性合金用Fe基アモルファス合金薄帯及び磁性部品 - Google Patents
ナノ結晶軟磁性合金用Fe基アモルファス合金薄帯及び磁性部品Info
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Abstract
場合に特に低周波領域において優れた磁気特性を示すナ
ノ結晶軟磁性合金用のFe基アモルファス合金薄帯及び
ナノ結晶軟磁性合金から構成された高性能磁性部品を実
現する。 【解決手段】 単ロール法により製造されるナノ結晶軟
磁性合金用Fe基アモルファス合金薄帯であり、X線回
折のアモルファス相に対応するハローパターンのピーク
強度値をI1、bcc相の(200)結晶ピーク強度値
をI2とした場合、合金薄帯のロール面側のX線回折の
ピーク強度比I2/I1が0.5以下であることを特徴
とするナノ結晶軟磁性合金用Fe基アモルファス合金薄
帯である。
Description
製造されたナノ結晶軟磁性合金用Fe基アモルファス合
金薄帯であって、熱処理により結晶化させた場合特に低
周波領域において優れた磁気特性を示すナノ結晶軟磁性
合金を製造可能なナノ結晶軟磁性合金用のFe基アモル
ファス合金薄帯及びFe基アモルファス合金薄帯を結晶
化してなるナノ結晶軟磁性合金から構成された高性能磁
性部品に関するものである。
ルファス合金薄帯から製造されるナノ結晶軟磁性合金は
軟磁気特性に優れているために、各種トランス、チョー
クコイル、可飽和リアクトル、センサーや磁気シールド
シートなどの各種磁性部品に使用されている。単ロール
法は双ロール法などの方法に比べ量産性に優れるため
に、現在アモルファス合金薄帯の製造方法の主流となっ
ている。合金溶湯をセラミックスや石英製のノズルのス
リットから高速に回転している冷却ロール上に噴出し、
超急冷することにより厚さ3μmから100μm程度の
アモルファス合金薄帯を製造する。この単ロール法はナ
ノ結晶合金用のアモルファス合金薄帯を製造する工程に
も使用されている。
示すため、コモンモ−ドチョ−クコイル、高周波トラン
ス、パルストランス等の磁心に使用されている。代表的
材料としては特公平4−4393号公報や特開平1−2
42755号公報に記載のFe−Cu−(Nb,Ti,
Zr,Hf,Mo,W,Ta)−Si−B系合金やFe
−Cu−(Nb,Ti,Zr,Hf,Mo,W,Ta)
−B系合金等が知られている。これらのナノ結晶合金
は、液相や気相から急冷しアモルファス合金とした後、
これを熱処理により微結晶化することにより製造され
る。液相から急冷する方法としては単ロ−ル法、双ロ−
ル法、遠心急冷法、回転液中紡糸法、アトマイズ法やキ
ャビテーション法等が知られている。また、気相から急
冷する方法としては、スパッタ法、蒸着法、イオンプレ
−ティング法等が知られている。
作製したアモルファス合金を微結晶化したもので結晶粒
径は軟磁気特性が良好な合金では50nm以下であり、
アモルファス合金にみられるような熱的不安定性がほと
んどなく、Fe系アモルファス合金と同程度の高い飽和
磁束密度と低磁歪で優れた軟磁気特性を示すことが知ら
れている。更にナノ結晶軟磁性合金は経時変化が小さ
く、温度特性にも優れていることが知られている。ナノ
結晶軟磁性合金用のアモルファス合金を製造する方法と
しては前述のように種々の製造方法が存在するが、ナノ
結晶軟磁性合金用に使用されるアモルファス合金薄帯も
量産性の観点から現在はほとんど単ロール法により製造
が行われている。
されるアモルファス合金薄帯は、薄帯製造中にロールと
接触し凝固する側の面(以下ロール面と呼ぶ)と自由凝
固面(以下自由面と呼ぶ)とでは製造の際の冷却速度が
異なり、従来から知られているアモルファス状態で製品
として使用されているアモルファス合金薄帯は薄帯製造
の際の冷却が悪いとロール面と反対側の自由凝固面(以
下自由面と呼ぶ)に結晶が析出しやすく、柱上トランス
用のFe基アモルファス合金では、鉄損の増加が起こる
ことが報告されている。
ス合金薄帯においても、例えば特開平4−21746号
に記載されているように熱処理前の段階で結晶ピークが
存在すると熱処理後のナノ結晶合金のB−Hループが非
対称になることが報告されおり、特に自由面側に結晶が
多く形成することが報告されている。また、特開平1−
247556号に記載されているように熱処理前の段階
でハローパターンより大きな強度の結晶ピークが形成し
た場合、熱処理後恒透磁率性に優れたB−Hループが得
られることが報告されている。しかし、種々検討した結
果、特にナノ結晶軟磁性合金用の広幅のFe基アモルフ
ァス合金薄帯を多量に製造した場合は、ロール面側の結
晶量が磁気特性に影響を与え、アモルファス合金薄帯の
ロール面側の結晶析出量が多いと、これを熱処理して製
造したナノ結晶合金の最大透磁率が低下し、特に低周波
の磁気特性が重要な用途では問題であることが明らかに
なった。
なる広幅のFe−(Cu,Au)−M−Si−B系やF
e−(Cu,Au)−M−B系アモルファス合金薄帯を
多量に製造する場合に特に顕著となり、高性能のナノ結
晶磁性合金からなる磁性部品を量産する上で問題がある
ことが分った。
めに本発明者らは鋭意検討の結果、単ロール法により製
造されるナノ結晶軟磁性合金用Fe基アモルファス合金
薄帯であり、X線回折のアモルファス相に対応するハロ
ーパターンのピーク強度値をI1、bcc相の(20
0)結晶ピーク強度値をI2とした場合、合金薄帯のロ
ール面側のX線回折のピーク強度比I2/I1が0.5
以下であるナノ結晶軟磁性合金用Fe基アモルファス合
金薄帯がナノ結晶軟磁性合金として使用した場合に優れ
た磁気特性を示すことを見出し本発明に想到した。な
お、I1、I2はバックグラウンドを含んだ値ではなく
バックグラウンドを除いた値で定義する。I2/I1が
0.5を超えると最大透磁率が著しく低下し好ましくな
いので、I2/I1は0.5以下とする。
合金薄帯のロール面のX線回折のピーク強度比I2/I
1が0.25以下である場合、特に高い最大透磁率が得
られるため好ましい。自由面側のI2が大きくなるとB
−Hループの非対称性が大きくなりやすく、用途によっ
ては好ましくない。対称性の良い必要がある場合は自由
面側のI2/I1がロール面のI2/I1以下であるこ
とが望ましい。自由面側のX線回折のピーク強度比I2
/I1が0である場合は特に好ましい結果が得られる。
本発明の効果は、ナノ結晶軟磁性合金用Fe基アモルフ
ァス合金薄帯の断面積が0.3mm2以上である場合に
特に顕著である。
基アモルファス合金薄帯としてはFeを60原子%以上
91原子%以下、Bを2原子%以上25原子%、Ti,
Zr,Hf,Mo,Nb,Ta,W,Vから選ばれた少
なくとも1種の元素を必須元素として含む組成の合金が
挙げられ、ナノ結晶合金磁心用として優れた特性を示
し、本発明の効果が顕著に現れる。
z(原子%) で表され、式中AはCu,Auから選ばれた少なくとも
一種の元素、MはTi,Zr,Hf,Mo,Nb,T
a,W,Vからなる群から選ばれた少なくとも1種の元
素であり、x,y,zおよびaはそれぞれ0.1≦x≦
3、0≦y≦20、2≦z≦25、2≦a≦10を満足
する組成であるFe基アモルファス合金は本発明の効果
がより顕著となる。
種の元素であり、熱処理後に形成する結晶粒を微細化す
る効果および透磁率を向上させる効果がある。A量xが
0.1原子%未満もしくは3原子%を越えると熱処理を
行った磁心において透磁率の著しい減少が起こり好まし
くない。特に好ましいxの範囲は0.4〜2原子%であ
り、この範囲で特に軟磁気特性に優れたものが実現でき
る。
熱処理しナノ結晶軟磁性合金とした後に形成する結晶粒
を微細化する効果を有する元素である。M量aは1.5
〜10原子%の範囲にある場合にナノ結晶軟磁性合金と
した後に特に高透磁率を示し好ましい。Si量yは20
原子%以下が好ましくこの範囲で高い透磁率が得られ
る。B量zが2原子%未満もしくは25原子%を越える
と、製造性の低下や軟磁気特性の劣下があり好ましくな
い。より好ましいB量zの範囲は4〜15原子%であ
る。この範囲で高い透磁率が得られる。特に好ましいB
量zの範囲は6〜10原子%の範囲である。この範囲で
特に高い透磁率が得られる。
くとも1種の元素で置換しても良く、磁歪や飽和磁束密
度の調整あるいは耐食性の改善に効果がある。Bの一部
をAl,Ga,Ge,P,C,Be,Nから選ばれた少
なくとも1種の元素で置換しても良く、磁歪調整、高周
波磁気特性の改善などに効果がある。Feの一部をM
n,Cr,Ag,Zn,Sn,In,As,Sb,S
c,Y,白金族元素,Ca,Na,Ba,Sr,Li,
希土類元素から選ばれた少なくとも1種の元素で置換し
ても良く、耐食性の改善、薄帯の表面性状の改善、磁気
特性の調整等に効果がある。
金薄帯は、原料、溶解中に周囲のガスや耐火物などから
混入するO,S等の不可避不純物を含んでも良い。薄帯
製造の際に合金薄帯に形成する結晶は、主として体心立
方構造(bcc構造)のFeを主体とする相であり、S
i,B,Ge等を固溶している場合もある。薄帯表面に
形成する体心立方構造(bcc構造)の結晶は、ほとん
どの場合(100)が薄帯面にほぼ平行になるように配
向している。この配向した結晶からの強度が強いX線回
折ピークは(200)からのピークである。また、DO
3相などの規則相を一部に含むあるいは完全に規則化し
ている場合もある。規則化している場合は(400)か
らのピークに相当するが、本発明では規則化している場
合もすべて(200)に統一して表記する。
金用Fe基アモルファス合金薄帯を結晶化してなる磁性
部品である。前記ナノ結晶軟磁性合金用Fe基アモルフ
ァス合金薄帯を切断、巻き回す、あるいは積層等を行
い、これを熱処理し結晶化させ組織の少なくとも一部に
平均粒径50nm以下の結晶粒を存在させたナノ軟磁性
合金からなる磁性部品はインダクタンスを高くできるな
どの特徴があり、高性能あるいは小型の磁性部品を実現
可能である。また、熱処理の際に磁界中熱処理を適用す
れば異なる形状のB−H曲線を実現できるために可飽和
リアクトルや高電流まで使用するチョークコイル等の磁
性部品の実現も可能である。
の際に薄帯表面に形成する前記結晶相に加えて、数nm
から50nm程度のランダム配向の超微細な体心立方構
造(bcc構造)の結晶粒が形成する。このような合金
のX線回折パターンは、薄帯製造の際に薄帯表面に形成
する(100)面が薄帯表面にほぼ平行に配向した結晶
粒の影響により、完全にランダム配向した場合の強度比
とは異なり、(200)ピーク強度が多少強くなる傾向
となる。残部は主にアモルファス相であるが、実質的に
結晶相だけからなるナノ結晶軟磁性合金からなる磁性部
品も本発明に含まれる。また、bcc相以外にFCC構
造のCuやAuを主成分とする結晶粒が存在する合金か
らなる磁性部品も本発明に含まれる。
ファス合金薄帯の熱処理は通常はアルゴンガス、窒素ガ
ス等の不活性ガス中で行なうが大気中等酸素を含む雰囲
気で行っても良い。また、必要に応じて熱処理期間の少
なくとも一部の期間、合金がほぼ飽和する程度以上の強
さの磁界を印加して磁界中熱処理を行い誘導磁気異方性
を付与しても良い。合金の形状にも依存するが一般には
高角形比とするために薄帯の長手方向(巻磁心の場合は
磁心の磁路方向)に磁界を印加する場合は8A/m以
上、低角形比とするために薄帯の幅方向(巻磁心の場合
は磁心の高さ方向)に印加する場合は80kA/m以上
の磁界を印加する場合が多い。
雰囲気中で行なうことが望ましく、特に露点が−60℃
以下の不活性ガス雰囲気中で熱処理を行なうと透磁率も
より高くなり、より好ましい結果が得られる。熱処理の
際の最高到達温度は結晶化温度以上であり、通常450
℃から650℃の範囲である。一定温度に保持する熱処
理パターンで熱処理を行う場合は、一定温度での保持時
間は通常は量産性の観点から24時間以下であり、好ま
しくは4時間以下である。熱処理の際の平均昇温速度は
好ましくは0.1℃/minから200℃/min、よ
り好ましくは1℃/minから40℃/min、平均冷
却速度は好ましくは0.1℃/minから3000℃/
min、より好ましくは1℃/minから1000℃/
minであり、この範囲で特に優れた軟磁気特性が得ら
れる。
の熱処理は1段ではなく多段の熱処理や複数回の熱処理
を行なうこともできる。更には合金薄帯に直流、交流あ
るいはパルス電流を流して合金を発熱させ熱処理するこ
ともできる。また、合金薄帯に張力や圧力を印加しなが
ら熱処理し異方性を付与することにより磁気特性を改良
することも可能である。
必要に応じてSiO2、MgO、Al2O3等の粉末あ
るいは膜で合金薄帯表面を覆ったり、化成処理により表
面に絶縁層を形成したり、アノード酸化処理により表面
に酸化物層を形成しても良い。層間絶縁処理は特に高周
波における渦電流の影響を低減し、透磁率や磁心損失を
更に改善する効果がある。
防犯センサー、識別センサーなどの磁気センサーなどに
も使用可能である。更に、本発明の磁性部品に使用され
る磁心は必要に応じて樹脂含浸を行ったり、磁心の周囲
のコーティングを行なったり、樹脂含浸後切断してギャ
ップを形成し、インバータ用トランスやチョークコイル
用のカットコアを作製することもできる。前記ナノ結晶
軟磁性合金からなる磁心を使用したトランス、チョーク
コイル、可飽和リアクトル、センサーなどの磁性部品を
少なくとも一部に使用した電源、インバータ、漏電ブレ
ーカ、パソコン、通信機器、などの装置は装置の小型
化、効率の向上あるいは低ノイズ化などが可能となる。
00℃〜1500℃程度に加熱した合金溶湯をスリット
を有するノズルから回転する金属製の冷却ロール上に噴
出し、アモルファス合金薄帯を製造するいわゆる単ロー
ル法により製造される。特に好ましい噴出する際の溶湯
温度は1250℃から1400℃程度が望ましい。出湯
用のノズルのスリットは製造する薄帯の幅×0.3〜
0.8mm程度の形状が好ましい。ノズル材質は石英、
窒化珪素、窒化硼素等のセラミックスが用いられる。ロ
ールは量産では水冷または温水で冷却され、Cuおよび
Cu−Be、Cu−Zr、Cu−CrなどのCu合金が
主に使用される。特に望ましいのはCu−Be合金であ
り、量産においてロールのダメージが少なく面の結晶が
析出しにくく、熱処理後優れた磁気特性のナノ結晶軟磁
性合金を実現できる。また、ロール表面は製造前に研磨
されるがRaは1μm以下が望ましい。
の冷却ロールとノズル先端との間隔(ギャップ)は20
μm以上250μm以下、出湯圧力は25kPa以上、
冷却ロールの周速を22m/sから40m/sの範囲で
ある。特に好ましい出湯圧力は27kPa以上44kP
a以下、特に好ましい冷却ロールの周速は25m/s以
上、40m/s以下であり、この範囲で特に高い最大透
磁率が得られやすい。製造はHe、Arなどの不活性ガ
ス中で行っても良いが、製造中にノズル付近にHeガ
ス、COガス、CO2ガスあるいはこれらのガスと空
気、窒素ガス、Arガスとの混合ガス等を流し製造する
と量産においてもロール面の結晶析出が特に抑制され、
熱処理により製造したナノ結晶軟磁性合金の磁気特性が
更に向上する。
説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
6.7%、Nb2.8%、Cu0.7%、残部実質的に
Feからなる合金溶湯を単ロール装置を用いセラミック
ス製のノズルのスリットから外径800mmのCu−B
e合金製の表面粗さRaが0.09μmである水冷冷却
ロール上に出湯し、幅25mmのアモルファス合金薄帯
40kgを作製した。溶湯の出湯温度は1350℃、ノ
ズルのスリットは25mm×0.6mm、ノズル先端と
冷却ロール間のギャップは120μm、出湯圧力は30
kPa、ロール周速を29m/sとした。また、ロール
を研磨しながら薄帯製造を行った。比較のため同形状の
表面粗さRaが0.6μmである水冷ロールでArガス
をノズル付近に流しながらロールを研磨せずにアモルフ
ァス合金薄帯を作製した。
側(冷却ロールと接触して凝固した面)及び自由面側
(自由凝固面側)のX線回折を行った。X線回折パター
ンを図1、図2に示す。比較例の方はロール面側のX線
回折によりアモルファス相に対応するハローパターンと
bcc相に対応する大きな(200)結晶ピークが認め
られた。一方、本発明に係わる試料はロール面側にアモ
ルファス相に対応するハローパターンと極僅かな(20
0)結晶ピークしか認められなかった。自由凝固面側は
アモルファス相に対応するハローパターンのみで結晶ピ
ークは認められなかった。
にし、外径25mm内径20mmに巻き回し巻磁心を作
製し、図3に示す熱処理パターンで熱処理を行った。熱
処理後の磁心を構成している軟磁性合金薄帯は、透過電
子顕微鏡による組織観察の結果、組織の70%程度が粒
径12nm程度の微細な結晶粒からなることが確認され
た。次にこの巻磁心をフェノール樹脂製のコアケースに
入れ巻線を施し、50Hzにおける最大比透磁率μ
maxを測定した。得られた磁気特性とX線回折のピー
ク強度比I2/I1を表1に示す。
I1が0.5以下である本発明ナノ結晶軟磁性合金用F
e基アモルファス合金薄帯は熱処理により結晶化し、ナ
ノ結晶軟磁性合金とした後の最大比透磁率μmaxが高
く優れている。
ットし、外径75mm内径50mmの磁心と上記比較例
の合金薄帯からなる同形状のナノ結晶合金磁心に検出巻
線を200ターン施し、1kΩの抵抗を両端に接続し検
出部とし、窓部に電流を流す導線を貫通させ電流センサ
ーを作製した。実効値で1Aの60Hzの電流を貫通し
た導線に流した場合の検出巻線両端の電圧は本発明の合
金薄帯では4.5V、比較例の合金薄帯では4.1Vで
あり、本発明の磁性部品の方が検出感度が高く優れてい
た。
ルファス合金薄帯を作製した。本発明例は、薄帯製造中
にノズル付近をCO2ガス雰囲気としてロールを研磨し
ながら製造した薄帯であり、比較例は薄帯製造中にロー
ルを研磨せずArガス雰囲気で製造した薄帯である。次
にこのアモルファス合金薄帯のロール面側(冷却ロール
と接触して凝固した面)及び自由面側(自由凝固面側)
のX線回折を行った。次に得られた薄帯をロール接触面
側を外側にし、巻き回し巻磁心を作製し、実施例1と同
様の熱処理を行った。熱処理後の磁心を構成している軟
磁性合金薄帯は、透過電子顕微鏡による組織観察の結
果、組織の70%程度が粒径12nm程度の微細な結晶
粒からなることが確認された。
ケースに入れ巻線を施し、直流B−Hループ及び50H
zにおける最大比透磁率μmaxを測定した。直流B−
Hループの非対称性は次式により定義した。B−Hルー
プのシフトH sは、B−HループがH軸と交わる2箇所
の点の磁界の値Hc1、Hc2を用いて次式で定義し
た。 Hs=( Hc1+Hc2)/2 ただし、Hc1、Hc2の位置がB軸に対して右側に位
置している場合はHc 1、Hc2の値を正、左側に位置
している場合は負とする。得られた磁気特性とX線回折
のピーク強度比I2/I1を表2に示す。
たナノ結晶合金は高い最大比透磁率μmaxが得られ
る。一方、本発明外のアモルファス合金薄帯から作製し
たナノ結晶合金はμmaxが低い傾向があり、ロール面
側のX線回折ピーク強度比I2/I1が0.5以下であ
ることが重要であることが分かる。また、自由面側のI
2/I1がロ−ル面側のI2/I1より大きいとB−H
ループの非対称性が大きくなり好ましくなく、非対称性
を考慮すると、自由面側のI2/I1はロ−ル面側のI
2/I1より小さい方が好ましいことが分かる。
せナノ結晶軟磁性合金とした場合に特に低周波領域にお
いて優れた磁気特性を示すナノ結晶軟磁性合金用のFe
基アモルファス合金薄帯及びナノ結晶軟磁性合金から構
成された高性能磁性部品を実現できるためその効果は著
しいものがある。
ーン例を示した図である。
ターン例を示した図である。
を示した図である。
例を示した図である。
ある。
Claims (11)
- 【請求項1】 単ロール法により製造されるナノ結晶軟
磁性合金用Fe基アモルファス合金薄帯であり、X線回
折のアモルファス相に対応するハローパターンのピーク
強度値をI1、bcc相の(200)結晶ピーク強度値
をI2とした場合、合金薄帯のロール面側のX線回折の
ピーク強度比I2/I1が0.5以下であることを特徴
とするナノ結晶軟磁性合金用Fe基アモルファス合金薄
帯。 - 【請求項2】 合金薄帯のロール面側のX線回折のピー
ク強度比I2/I1が0.25以下であることを特徴と
する請求項1に記載のナノ結晶軟磁性合金用Fe基アモ
ルファス合金薄帯。 - 【請求項3】 自由面側のI2/I1がロール面側のI
2/I1以下であることを特徴とする請求項1又は請求
項2に記載のナノ結晶軟磁性合金用Fe基アモルファス
合金薄帯。 - 【請求項4】 合金薄帯の自由面側のX線回折のピーク
強度比I2/I1が0であることを特徴とする請求項1
乃至請求項3の何れかに記載のナノ結晶軟磁性合金用F
e基アモルファス合金薄帯。 - 【請求項5】 合金薄帯の断面積が0.3mm2以上で
あることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに
記載のナノ結晶軟磁性合金用Fe基アモルファス合金薄
帯。 - 【請求項6】 Feを60原子%以上91原子%以下、
Bを2原子%以上25原子%以下、Ti,Zr,Hf,
Mo,Nb,Ta,W,Vから選ばれた少なくとも1種
の元素を必須元素として含むことを特徴とする請求項1
乃至請求項5の何れかに記載のナノ結晶軟磁性合金用F
e基アモルファス合金薄帯。 - 【請求項7】 組成式:Fe100−x−a−y−zA
xMaSiyBz(原子%)で表され、式中AはCu、
Auから選ばれた少なくとも一種の元素、MはTi,Z
r,Hf,Mo,Nb,Ta,W,Vからなる群から選
ばれた少なくとも1種の元素であり、x,y,zおよび
aはそれぞれ0.1≦x≦3、0≦y≦20、2≦z≦
25、2≦a≦10を満足する組成であることを特徴と
する請求項1乃至請求項5の何れかに記載のナノ結晶軟
磁性合金用Fe基アモルファス合金薄帯。 - 【請求項8】 Feの一部をCo,Niから選ばれた少
なくとも1種の元素で置換したことを特徴とする請求項
7に記載のナノ結晶軟磁性合金用Fe基アモルファス合
金薄帯。 - 【請求項9】 Bの一部をAl,Ga,Ge,P,C,
Be,Nから選ばれた少なくとも1種の元素で置換した
ことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載のナノ結
晶軟磁性合金用Fe基アモルファス合金薄帯。 - 【請求項10】 Feの一部をMn,Cr,Ag,Z
n,Sn,In,As,Sb,Sc,Y,白金族元素,
Ca,Na,Ba,Sr,Li,希土類元素から選ばれ
た少なくとも1種の元素で置換したことを特徴とする請
求項7乃至請求項9の何れかに記載のナノ結晶軟磁性合
金用Fe基アモルファス合金薄帯。 - 【請求項11】 請求項1乃至請求項10の何れかに記
載のFe基アモルファス合金薄帯を結晶化してなること
を特徴とする磁性部品。
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