JP4257629B2 - ナノ結晶軟磁性合金用Fe基アモルファス合金薄帯及び磁性部品 - Google Patents

ナノ結晶軟磁性合金用Fe基アモルファス合金薄帯及び磁性部品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、単ロール法により製造されたナノ結晶軟磁性合金用Fe基アモルファス合金薄帯であって、熱処理により結晶化させた場合特に低周波領域において優れた磁気特性を示すナノ結晶軟磁性合金を製造可能なナノ結晶軟磁性合金用のFe基アモルファス合金薄帯及びFe基アモルファス合金薄帯を結晶化してなるナノ結晶軟磁性合金から構成された高性能磁性部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
単ロール法により製造されるFe基アモルファス合金薄帯から製造されるナノ結晶軟磁性合金は軟磁気特性に優れているために、各種トランス、チョークコイル、可飽和リアクトル、センサーや磁気シールドシートなどの各種磁性部品に使用されている。単ロール法は双ロール法などの方法に比べ量産性に優れるために、現在アモルファス合金薄帯の製造方法の主流となっている。合金溶湯をセラミックスや石英製のノズルのスリットから高速に回転している冷却ロール上に噴出し、超急冷することにより厚さ3μmから100μm程度のアモルファス合金薄帯を製造する。この単ロール法はナノ結晶合金用のアモルファス合金薄帯を製造する工程にも使用されている。
【0003】
ナノ結晶軟磁性合金は優れた軟磁気特性を示すため、コモンモ−ドチョ−クコイル、高周波トランス、パルストランス等の磁心に使用されている。代表的材料としては特公平4−4393号公報や特開平1−242755号公報に記載のFe−Cu−(Nb,Ti,Zr,Hf,Mo,W,Ta)−Si−B系合金やFe−Cu−(Nb,Ti,Zr,Hf,Mo,W,Ta)−B系合金等が知られている。これらのナノ結晶合金は、液相や気相から急冷しアモルファス合金とした後、これを熱処理により微結晶化することにより製造される。液相から急冷する方法としては単ロ−ル法、双ロ−ル法、遠心急冷法、回転液中紡糸法、アトマイズ法やキャビテーション法等が知られている。また、気相から急冷する方法としては、スパッタ法、蒸着法、イオンプレ−ティング法等が知られている。
【0004】
ナノ結晶軟磁性合金はこれらの方法により作製したアモルファス合金を微結晶化したもので結晶粒径は軟磁気特性が良好な合金では50nm以下であり、アモルファス合金にみられるような熱的不安定性がほとんどなく、Fe系アモルファス合金と同程度の高い飽和磁束密度と低磁歪で優れた軟磁気特性を示すことが知られている。更にナノ結晶軟磁性合金は経時変化が小さく、温度特性にも優れていることが知られている。ナノ結晶軟磁性合金用のアモルファス合金を製造する方法としては前述のように種々の製造方法が存在するが、ナノ結晶軟磁性合金用に使用されるアモルファス合金薄帯も量産性の観点から現在はほとんど単ロール法により製造が行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
単ロール法により作製されるアモルファス合金薄帯は、薄帯製造中にロールと接触し凝固する側の面(以下ロール面と呼ぶ)と自由凝固面(以下自由面と呼ぶ)とでは製造の際の冷却速度が異なり、従来から知られているアモルファス状態で製品として使用されているアモルファス合金薄帯は薄帯製造の際の冷却が悪いとロール面と反対側の自由凝固面(以下自由面と呼ぶ)に結晶が析出しやすく、柱上トランス用のFe基アモルファス合金では、鉄損の増加が起こることが報告されている。
【0006】
ナノ結晶軟磁性合金に使用するアモルファス合金薄帯においても、例えば特開平4−21746号に記載されているように熱処理前の段階で結晶ピークが存在すると熱処理後のナノ結晶合金のB−Hループが非対称になることが報告されおり、特に自由面側に結晶が多く形成することが報告されている。また、特開平1−247556号に記載されているように熱処理前の段階でハローパターンより大きな強度の結晶ピークが形成した場合、熱処理後恒透磁率性に優れたB−Hループが得られることが報告されている。しかし、種々検討した結果、特にナノ結晶軟磁性合金用の広幅のFe基アモルファス合金薄帯を多量に製造した場合は、ロール面側の結晶量が磁気特性に影響を与え、アモルファス合金薄帯のロール面側の結晶析出量が多いと、これを熱処理して製造したナノ結晶合金の最大透磁率が低下し、特に低周波の磁気特性が重要な用途では問題であることが明らかになった。
【0007】
この影響は、ナノ結晶軟磁性材料の母材となる広幅のFe−(Cu,Au)−M−Si−B系やFe−(Cu,Au)−M−B系アモルファス合金薄帯を多量に製造する場合に特に顕著となり、高性能のナノ結晶磁性合金からなる磁性部品を量産する上で問題があることが分った。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために本発明者らは鋭意検討の結果、単ロール法により製造されるナノ結晶軟磁性合金用Fe基アモルファス合金薄帯であり、X線回折のアモルファス相に対応するハローパターンのピーク強度値をI、bcc相の(200)結晶ピーク強度値をIとした場合、合金薄帯のロール面側のX線回折のピーク強度比I/Iが0.5以下であるナノ結晶軟磁性合金用Fe基アモルファス合金薄帯がナノ結晶軟磁性合金として使用した場合に優れた磁気特性を示すことを見出し本発明に想到した。
なお、I、Iはバックグラウンドを含んだ値ではなくバックグラウンドを除いた値で定義する。
/Iが0.5を超えると最大透磁率が著しく低下し好ましくないので、I/Iは0.5以下とする。
【0009】
ナノ結晶軟磁性合金用Fe基アモルファス合金薄帯のロール面のX線回折のピーク強度比I/Iが0.25以下である場合、特に高い最大透磁率が得られるため好ましい。
自由面側のIが大きくなるとB−Hループの非対称性が大きくなりやすく、用途によっては好ましくない。対称性の良い必要がある場合は自由面側のI/Iがロール面のI/I以下であることが望ましい。自由面側のX線回折のピーク強度比I/Iが0である場合は特に好ましい結果が得られる。
本発明の効果は、ナノ結晶軟磁性合金用Fe基アモルファス合金薄帯の断面積が0.3mm以上である場合に特に顕著である。
【0010】
本発明に係わるナノ結晶軟磁性合金用Fe基アモルファス合金薄帯としてはFeを60原子%以上91原子%以下、Bを2原子%以上25原子%、Ti,Zr,Hf,Mo,Nb,Ta,W,Vから選ばれた少なくとも1種の元素を必須元素として含む組成の合金が挙げられ、ナノ結晶合金磁心用として優れた特性を示し、本発明の効果が顕著に現れる。
【0011】
更に、
組成式:Fe100−x−a−y−zSi(原子%)
で表され、式中AはCu,Auから選ばれた少なくとも一種の元素、MはTi,Zr,Hf,Mo,Nb,Ta,W,Vからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、x,y,zおよびaはそれぞれ0.1≦x≦3、0≦y≦20、2≦z≦25、2≦a≦10を満足する組成であるFe基アモルファス合金は本発明の効果がより顕著となる。
【0012】
AはCu,Auから選ばれた少なくとも一種の元素であり、熱処理後に形成する結晶粒を微細化する効果および透磁率を向上させる効果がある。A量xが0.1原子%未満もしくは3原子%を越えると熱処理を行った磁心において透磁率の著しい減少が起こり好ましくない。特に好ましいxの範囲は0.4〜2原子%であり、この範囲で特に軟磁気特性に優れたものが実現できる。
【0013】
MおよびBはアモルファス形成を促進し、熱処理しナノ結晶軟磁性合金とした後に形成する結晶粒を微細化する効果を有する元素である。M量aは1.5〜10原子%の範囲にある場合にナノ結晶軟磁性合金とした後に特に高透磁率を示し好ましい。Si量yは20原子%以下が好ましくこの範囲で高い透磁率が得られる。B量zが2原子%未満もしくは25原子%を越えると、製造性の低下や軟磁気特性の劣下があり好ましくない。より好ましいB量zの範囲は4〜15原子%である。この範囲で高い透磁率が得られる。特に好ましいB量zの範囲は6〜10原子%の範囲である。この範囲で特に高い透磁率が得られる。
【0014】
Feの一部をCo,Niから選ばれた少なくとも1種の元素で置換しても良く、磁歪や飽和磁束密度の調整あるいは耐食性の改善に効果がある。
Bの一部をAl,Ga,Ge,P,C,Be,Nから選ばれた少なくとも1種の元素で置換しても良く、磁歪調整、高周波磁気特性の改善などに効果がある。Feの一部をMn,Cr,Ag,Zn,Sn,In,As,Sb,Sc,Y,白金族元素,Ca,Na,Ba,Sr,Li,希土類元素から選ばれた少なくとも1種の元素で置換しても良く、耐食性の改善、薄帯の表面性状の改善、磁気特性の調整等に効果がある。
【0015】
本発明のナノ結晶用Fe基アモルファス合金薄帯は、原料、溶解中に周囲のガスや耐火物などから混入するO,S等の不可避不純物を含んでも良い。
薄帯製造の際に合金薄帯に形成する結晶は、主として体心立方構造(bcc構造)のFeを主体とする相であり、Si,B,Ge等を固溶している場合もある。薄帯表面に形成する体心立方構造(bcc構造)の結晶は、ほとんどの場合(100)が薄帯面にほぼ平行になるように配向している。この配向した結晶からの強度が強いX線回折ピークは(200)からのピークである。また、DO相などの規則相を一部に含むあるいは完全に規則化している場合もある。規則化している場合は(400)からのピークに相当するが、本発明では規則化している場合もすべて(200)に統一して表記する。
【0016】
もう一つの本発明は前記ナノ結晶軟磁性合金用Fe基アモルファス合金薄帯を結晶化してなる磁性部品である。前記ナノ結晶軟磁性合金用Fe基アモルファス合金薄帯を切断、巻き回す、あるいは積層等を行い、これを熱処理し結晶化させ組織の少なくとも一部に平均粒径50nm以下の結晶粒を存在させたナノ軟磁性合金からなる磁性部品はインダクタンスを高くできるなどの特徴があり、高性能あるいは小型の磁性部品を実現可能である。
また、熱処理の際に磁界中熱処理を適用すれば異なる形状のB−H曲線を実現できるために可飽和リアクトルや高電流まで使用するチョークコイル等の磁性部品の実現も可能である。
【0017】
熱処理後のナノ結晶軟磁性合金は薄帯製造の際に薄帯表面に形成する前記結晶相に加えて、数nmから50nm程度のランダム配向の超微細な体心立方構造(bcc構造)の結晶粒が形成する。このような合金のX線回折パターンは、薄帯製造の際に薄帯表面に形成する(100)面が薄帯表面にほぼ平行に配向した結晶粒の影響により、完全にランダム配向した場合の強度比とは異なり、(200)ピーク強度が多少強くなる傾向となる。残部は主にアモルファス相であるが、実質的に結晶相だけからなるナノ結晶軟磁性合金からなる磁性部品も本発明に含まれる。また、bcc相以外にFCC構造のCuやAuを主成分とする結晶粒が存在する合金からなる磁性部品も本発明に含まれる。
【0018】
前記、ナノ結晶軟磁性合金用Fe基アモルファス合金薄帯の熱処理は通常はアルゴンガス、窒素ガス等の不活性ガス中で行なうが大気中等酸素を含む雰囲気で行っても良い。また、必要に応じて熱処理期間の少なくとも一部の期間、合金がほぼ飽和する程度以上の強さの磁界を印加して磁界中熱処理を行い誘導磁気異方性を付与しても良い。合金の形状にも依存するが一般には高角形比とするために薄帯の長手方向(巻磁心の場合は磁心の磁路方向)に磁界を印加する場合は8A/m以上、低角形比とするために薄帯の幅方向(巻磁心の場合は磁心の高さ方向)に印加する場合は80kA/m以上の磁界を印加する場合が多い。
【0019】
熱処理は露点が−30℃以下の不活性ガス雰囲気中で行なうことが望ましく、特に露点が−60℃以下の不活性ガス雰囲気中で熱処理を行なうと透磁率もより高くなり、より好ましい結果が得られる。熱処理の際の最高到達温度は結晶化温度以上であり、通常450℃から650℃の範囲である。一定温度に保持する熱処理パターンで熱処理を行う場合は、一定温度での保持時間は通常は量産性の観点から24時間以下であり、好ましくは4時間以下である。熱処理の際の平均昇温速度は好ましくは0.1℃/minから200℃/min、より好ましくは1℃/minから40℃/min、平均冷却速度は好ましくは0.1℃/minから3000℃/min、より好ましくは1℃/minから1000℃/minであり、この範囲で特に優れた軟磁気特性が得られる。
【0020】
また、ナノ結晶軟磁性合金を製造するための熱処理は1段ではなく多段の熱処理や複数回の熱処理を行なうこともできる。更には合金薄帯に直流、交流あるいはパルス電流を流して合金を発熱させ熱処理することもできる。また、合金薄帯に張力や圧力を印加しながら熱処理し異方性を付与することにより磁気特性を改良することも可能である。
【0021】
本発明の磁性部品に使用される合金薄帯は必要に応じてSiO、MgO、Al等の粉末あるいは膜で合金薄帯表面を覆ったり、化成処理により表面に絶縁層を形成したり、アノード酸化処理により表面に酸化物層を形成しても良い。層間絶縁処理は特に高周波における渦電流の影響を低減し、透磁率や磁心損失を更に改善する効果がある。
【0022】
また、本発明のアモルファス合金薄帯は、防犯センサー、識別センサーなどの磁気センサーなどにも使用可能である。更に、本発明の磁性部品に使用される磁心は必要に応じて樹脂含浸を行ったり、磁心の周囲のコーティングを行なったり、樹脂含浸後切断してギャップを形成し、インバータ用トランスやチョークコイル用のカットコアを作製することもできる。
前記ナノ結晶軟磁性合金からなる磁心を使用したトランス、チョークコイル、可飽和リアクトル、センサーなどの磁性部品を少なくとも一部に使用した電源、インバータ、漏電ブレーカ、パソコン、通信機器、などの装置は装置の小型化、効率の向上あるいは低ノイズ化などが可能となる。
【0023】
前記Fe基アモルファス合金薄帯は、1100℃〜1500℃程度に加熱した合金溶湯をスリットを有するノズルから回転する金属製の冷却ロール上に噴出し、アモルファス合金薄帯を製造するいわゆる単ロール法により製造される。特に好ましい噴出する際の溶湯温度は1250℃から1400℃程度が望ましい。出湯用のノズルのスリットは製造する薄帯の幅×0.3〜0.8mm程度の形状が好ましい。ノズル材質は石英、窒化珪素、窒化硼素等のセラミックスが用いられる。ロールは量産では水冷または温水で冷却され、CuおよびCu−Be、Cu−Zr、Cu−CrなどのCu合金が主に使用される。特に望ましいのはCu−Be合金であり、量産においてロールのダメージが少なく面の結晶が析出しにくく、熱処理後優れた磁気特性のナノ結晶軟磁性合金を実現できる。また、ロール表面は製造前に研磨されるがRaは1μm以下が望ましい。
【0024】
この単ロール法において、合金溶湯出湯中の冷却ロールとノズル先端との間隔(ギャップ)は20μm以上250μm以下、出湯圧力は25kPa以上、冷却ロールの周速を22m/sから40m/sの範囲である。特に好ましい出湯圧力は27kPa以上44kPa以下、特に好ましい冷却ロールの周速は25m/s以上、40m/s以下であり、この範囲で特に高い最大透磁率が得られやすい。製造はHe、Arなどの不活性ガス中で行っても良いが、製造中にノズル付近にHeガス、COガス、COガスあるいはこれらのガスと空気、窒素ガス、Arガスとの混合ガス等を流し製造すると量産においてもロール面の結晶析出が特に抑制され、熱処理により製造したナノ結晶軟磁性合金の磁気特性が更に向上する。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下本発明を実施例にしたがって説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0026】
(実施例1)
原子%でSi15.5%、B6.7%、Nb2.8%、Cu0.7%、残部実質的にFeからなる合金溶湯を単ロール装置を用いセラミックス製のノズルのスリットから外径800mmのCu−Be合金製の表面粗さRaが0.09μmである水冷冷却ロール上に出湯し、幅25mmのアモルファス合金薄帯40kgを作製した。溶湯の出湯温度は1350℃、ノズルのスリットは25mm×0.6mm、ノズル先端と冷却ロール間のギャップは120μm、出湯圧力は30kPa、ロール周速を29m/sとした。また、ロールを研磨しながら薄帯製造を行った。比較のため同形状の表面粗さRaが0.6μmである水冷ロールでArガスをノズル付近に流しながらロールを研磨せずにアモルファス合金薄帯を作製した。
【0027】
次にこのアモルファス合金薄帯のロール面側(冷却ロールと接触して凝固した面)及び自由面側(自由凝固面側)のX線回折を行った。X線回折パターンを図1、図2に示す。比較例の方はロール面側のX線回折によりアモルファス相に対応するハローパターンとbcc相に対応する大きな(200)結晶ピークが認められた。一方、本発明に係わる試料はロール面側にアモルファス相に対応するハローパターンと極僅かな(200)結晶ピークしか認められなかった。自由凝固面側はアモルファス相に対応するハローパターンのみで結晶ピークは認められなかった。
【0028】
次に得られた薄帯をロール接触面側を外側にし、外径25mm内径20mmに巻き回し巻磁心を作製し、図3に示す熱処理パターンで熱処理を行った。熱処理後の磁心を構成している軟磁性合金薄帯は、透過電子顕微鏡による組織観察の結果、組織の70%程度が粒径12nm程度の微細な結晶粒からなることが確認された。
次にこの巻磁心をフェノール樹脂製のコアケースに入れ巻線を施し、50Hzにおける最大比透磁率μmaxを測定した。得られた磁気特性とX線回折のピーク強度比I/Iを表1に示す。
【0029】
ロール面のX線回折のピーク強度比I/Iが0.5以下である本発明ナノ結晶軟磁性合金用Fe基アモルファス合金薄帯は熱処理により結晶化し、ナノ結晶軟磁性合金とした後の最大比透磁率μmaxが高く優れている。
【0030】
次に本発明の合金薄帯を15mm幅にスリットし、外径75mm内径50mmの磁心と上記比較例の合金薄帯からなる同形状のナノ結晶合金磁心に検出巻線を200ターン施し、1kΩの抵抗を両端に接続し検出部とし、窓部に電流を流す導線を貫通させ電流センサーを作製した。
実効値で1Aの60Hzの電流を貫通した導線に流した場合の検出巻線両端の電圧は本発明の合金薄帯では4.5V、比較例の合金薄帯では4.1Vであり、本発明の磁性部品の方が検出感度が高く優れていた。
【0031】
(実施例2)
表2に示す種々の組成のアモルファス合金薄帯を作製した。本発明例は、薄帯製造中にノズル付近をCOガス雰囲気としてロールを研磨しながら製造した薄帯であり、比較例は薄帯製造中にロールを研磨せずArガス雰囲気で製造した薄帯である。次にこのアモルファス合金薄帯のロール面側(冷却ロールと接触して凝固した面)及び自由面側(自由凝固面側)のX線回折を行った。
次に得られた薄帯をロール接触面側を外側にし、巻き回し巻磁心を作製し、実施例1と同様の熱処理を行った。熱処理後の磁心を構成している軟磁性合金薄帯は、透過電子顕微鏡による組織観察の結果、組織の70%程度が粒径12nm程度の微細な結晶粒からなることが確認された。
【0032】
次にこの巻磁心をフェノール樹脂製のコアケースに入れ巻線を施し、直流B−Hループ及び50Hzにおける最大比透磁率μmaxを測定した。
直流B−Hループの非対称性は次式により定義した。B−HループのシフトHは、B−HループがH軸と交わる2箇所の点の磁界の値Hc1、Hc2を用いて次式で定義した。
=( Hc1+Hc2)/2
ただし、Hc1、Hc2の位置がB軸に対して右側に位置している場合はHc1、Hc2の値を正、左側に位置している場合は負とする。
得られた磁気特性とX線回折のピーク強度比I/Iを表2に示す。
【0033】
本発明のアモルファス合金薄帯から作製したナノ結晶合金は高い最大比透磁率μmaxが得られる。一方、本発明外のアモルファス合金薄帯から作製したナノ結晶合金はμmaxが低い傾向があり、ロール面側のX線回折ピーク強度比I/Iが0.5以下であることが重要であることが分かる。また、自由面側のI/Iがロ−ル面側のI/Iより大きいとB−Hループの非対称性が大きくなり好ましくなく、非対称性を考慮すると、自由面側のI/Iはロ−ル面側のI/Iより小さい方が好ましいことが分かる。
【0034】
【表1】
Figure 0004257629
【0035】
【表2】
Figure 0004257629
【0036】
【表3】
Figure 0004257629
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、熱処理により結晶化させナノ結晶軟磁性合金とした場合に特に低周波領域において優れた磁気特性を示すナノ結晶軟磁性合金用のFe基アモルファス合金薄帯及びナノ結晶軟磁性合金から構成された高性能磁性部品を実現できるためその効果は著しいものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わる薄帯の自由面側のX線回折パターン例を示した図である。
【図2】 本発明に係わる薄帯のロール面側のX線回折パターン例を示した図である。
【図3】 比較した薄帯の自由面側のX線回折パターン例を示した図である。
【図4】 比較した薄帯のロール面側のX線回折パターン例を示した図である。
【図5】 本発明に係わる熱処理パターン例を示した図である。

Claims (11)

  1. 単ロール法により製造されるナノ結晶軟磁性合金用Fe基アモルファス合金薄帯であり、X線回折のアモルファス相に対応するハローパターンのピーク強度値をI、bcc相の(200)結晶ピーク強度値をIとした場合、合金薄帯のロール面側のX線回折のピーク強度比I/Iが0.5以下であることを特徴とするナノ結晶軟磁性合金用Fe基アモルファス合金薄帯。
  2. 合金薄帯のロール面側のX線回折のピーク強度比I/Iが0.25以下であることを特徴とする請求項1に記載のナノ結晶軟磁性合金用Fe基アモルファス合金薄帯。
  3. 自由面側のI/Iがロール面側のI/I以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のナノ結晶軟磁性合金用Fe基アモルファス合金薄帯。
  4. 合金薄帯の自由面側のX線回折のピーク強度比I/Iが0であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載のナノ結晶軟磁性合金用Fe基アモルファス合金薄帯。
  5. 合金薄帯の断面積が0.3mm以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載のナノ結晶軟磁性合金用Fe基アモルファス合金薄帯。
  6. Feを60原子%以上91原子%以下、Bを2原子%以上25原子%以下、Ti,Zr,Hf,Mo,Nb,Ta,W,Vから選ばれた少なくとも1種の元素を必須元素として含むことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載のナノ結晶軟磁性合金用Fe基アモルファス合金薄帯。
  7. 組成式:Fe100−x−a−y−zSi(原子%)で表され、式中AはCu、Auから選ばれた少なくとも一種の元素、MはTi,Zr,Hf,Mo,Nb,Ta,W,Vからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素であり、x,y,zおよびaはそれぞれ0.1≦x≦3、0≦y≦20、2≦z≦25、2≦a≦10を満足する組成であることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載のナノ結晶軟磁性合金用Fe基アモルファス合金薄帯。
  8. Feの一部をCo,Niから選ばれた少なくとも1種の元素で置換したことを特徴とする請求項7に記載のナノ結晶軟磁性合金用Fe基アモルファス合金薄帯。
  9. Bの一部をAl,Ga,Ge,P,C,Be,Nから選ばれた少なくとも1種の元素で置換したことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載のナノ結晶軟磁性合金用Fe基アモルファス合金薄帯。
  10. Feの一部をMn,Cr,Ag,Zn,Sn,In,As,Sb,Sc,Y,白金族元素,Ca,Na,Ba,Sr,Li,希土類元素から選ばれた少なくとも1種の元素で置換したことを特徴とする請求項7乃至請求項9の何れかに記載のナノ結晶軟磁性合金用Fe基アモルファス合金薄帯。
  11. 請求項1乃至請求項10の何れかに記載のFe基アモルファス合金薄帯を結晶化してなることを特徴とする磁性部品。
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