JP3460763B2 - 軟磁性合金の製造方法 - Google Patents
軟磁性合金の製造方法Info
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Description
ンス、チョークコイル等に使用される軟磁性合金の製造
方法に関するものである。
タの磁心あるいはトランスやチョークコイルなどに用い
られている軟磁性合金に要求される特性は、飽和磁束密
度が高いこと、透磁率が高いこと、低保磁力であるこ
と、薄い形状が得やすいことなどである。従って軟磁性
合金の開発においては、これらの観点から種々の合金系
において材料研究がなされている。従来、前述の用途に
対する材料として、センダスト、パーマロイ、けい素鋼
等の結晶質合金が用いられ、特に最近では、Fe系やC
o系の非晶質合金も使用されるようになってきている。
利用するにあたっては、薄帯状とされた軟磁性合金がよ
く用いられる。そのような軟磁性合金薄帯を製造するに
は、圧延に代るものとして、溶融した合金を高速に回転
する冷却体に吹付けることにより急冷して得る方法が知
られている。さらに、そのような溶融金属を急冷して製
造した軟磁性合金薄帯においては、その金属の結晶化温
度以上(例えば、500〜660℃)の熱処理を施すこ
とにより、急冷時には非晶質であった軟磁性合金に、結
晶相が生成され、高い飽和磁束密度と透磁率を有する優
れた軟磁気特性を示し、硬度も高く、耐熱性にも優れた
軟磁性合金とすることができる。
て得られる軟磁性合金は優れた磁気特性を有するもの
の、機器の小型化、高性能化に対応するために、より高
性能の軟磁性材料、特に高い透磁率を有する軟磁性合金
の出現が望まれている。本発明は前記課題を解決するた
めになされたもので、より優れた磁気特性を有する軟磁
性合金を製造する方法を提供するものである。
造方法は、溶融金属を冷却してなる非晶質合金に、該金
属の結晶化温度未満での予備熱処理をして結晶粒の核と
なる領域を形成し、その後、結晶化温度以上での熱処理
をして、平均結晶粒径が50nm以下のFeを主成分とす
るbcc結晶粒からなる結晶相を組織の50%以上とす
ることを特徴とするものである。この際、予備熱処理を
200℃以上、かつ該金属の結晶化温度より50℃以上
低い温度範囲で行うことが望ましい。または、予備熱処
理を250〜400℃にて行うことが好ましい。また、
予備熱処理は、その最高熱処理温度を5分以上保持して
行うことが望ましい。
とし、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、Wか
らなる群から選ばれた1種または2種以上と、Si及び
又はBを含んだものであるものが好適である。または、
軟磁性合金が次式で示される組成を有するものであるこ
とが望ましい。 FebBxMy 但し、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、M
o、Wからなる群から選ばれた1種または2種以上の元
素であり、組成比を示すb、x、yは、75≦b≦93原子
%、0.5≦x≦18原子%、4≦y≦9原子% であ
る。または、軟磁性合金が次式で示される組成を有する
ものであることが望ましい。 FebBxMyXZ 但し、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、M
o、Wからなる群から選ばれた1種または2種以上の元
素であり、XはSi、Al、Ge、Gaのうちの1種ま
たは2種以上であり、組成比を示すb、x、y、zは、75
≦b≦93原子%、0.5≦x≦18原子%、4≦y≦9原
子%、zは4原子%以下である。または、軟磁性合金が
次式で示される組成を有するものであることが望まし
い。 FebBxMyTd 但し、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、M
o、Wからなる群から選ばれた1種または2種以上の元
素であり、Tは、Cu、Ag、Au、Pd、Ptかなる
群から選ばれた1種または2種以上の元素であり、組成
比を示すb、x、y、dは、75≦b≦93原子%、0.5≦
x≦18原子%、4≦y≦9原子%、dは4.5原子%以下
である。または、軟磁性合金が次式で示される組成を有
するものであることが望ましい。 FebBxMyTdXZ 但し、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、M
o、Wからなる群から選ばれた1種または2種以上の元
素であり、Tは、Cu、Ag、Au、Pd、Ptかなる
群から選ばれた1種または2種以上の元素であり、Xは
Si、Al、Ge、Gaのうちの1種または2種以上で
あり、組成比を示すb、x、y、d、zは、75≦b≦93原
子%、0.5≦x≦18原子%、4≦y≦9原子%、dは
4.5原子%以下、zは4原子%以下である。
鋭意研究を重ねた結果、溶融金属を急冷した後、熱処理
を施す方法において得られる軟磁性合金においては、そ
の結晶粒径の揃ったかつ微細な結晶粒を均一に生成する
ことにより磁気特性を向上できることを知見し、その為
には、熱処理前に結晶化温度未満の温度での予備熱処理
を施すことが有効であることを見い出した。従来のよう
に非晶質合金に結晶化温度よりも高い温度での熱処理を
施すと、結晶相が生成されるものの、時間的に無作為に
結晶粒が生成し、成長するので、均一な結晶粒をもつ軟
磁性合金を確実に製造することは困難であった。しかし
ながら、本発明においては、熱処理を施す前に、一旦、
予備熱処理を行うこととした。この熱処理はその合金の
結晶化温度よりも低くなければならない。また、結晶化
温度よりも低いことから、この予備熱処理は、従来から
行われてきた所謂熱処理(以下、「結晶化熱処理」と称
する)とは明らかに異なるものである。この予備熱処理
をすることにより、結晶粒の核となる領域、換言すれ
ば、中範囲秩序(Medium Range Order:MRO)領域
(大きさは3〜5nm)が多数発生する。そして、このM
RO領域が生成された後に、結晶化温度以上での結晶化
熱処理を施すことにより、このMRO領域を核とした結
晶が成長する。このように、予め、結晶の核となるMR
O領域を生成した後に結晶粒を成長させるようにするこ
とにより、結晶化の初期段階で多数の結晶が同時に成長
し始めるようになるので、結晶粒径が微細かつ均一な結
晶粒が形成されるようになる。本発明における予備熱処
理はしたがって結晶化温度未満であることが必要である
が、結晶化温度よりも50℃以上低い温度とすることが
望ましい。予備熱処理における結晶粒の成長を確実に防
ぐためである。また、予備熱処理の温度は200℃以上
とすることが望ましい。それよりも低い温度であると、
MRO領域を十分に発生させることができず、予備熱処
理をすることの効果が生じないからである。特に、多く
の軟磁性合金の結晶化温度を考慮すると、この予備熱処
理の温度は250〜400℃の範囲内で行うことが好ま
しい。また、予備熱処理の処理時間は、その熱処理温度
にもよるが、5分以上は必要とされる。5分よりも短い
とMRO領域を十分に発生させることができず、予備熱
処理をすることの効果が生じないからである。
にあっては、一旦冷却後に、又は連続的に行ってもかま
わない。即ち、図1に示すように、予備熱処理を所定温
度(Tpa℃)で所定時間(t分:但し、望ましくは5分
以上)行った後に、冷却(自然放冷若しくは強制冷却)
し、その後、結晶化熱処理を結晶化温度以上の所定温度
(Ta℃)で所定時間(例えば、30分)行う方法の
他、図2に示すように、所定温度(Tpa℃)で所定時間
(t分:但し、望ましくは5分以上)の予備熱処理を行
った後、続いて結晶化温度以上に加熱して結晶化熱処理
を行うようにしてもよい。
た工程を経ることによって、平均結晶粒径が50nm以下
(より好ましくは30nm以下)のFeを主成分とするb
cc(体心立方構造)結晶粒からなる結晶相を組織の5
0%以上としたものを製造するものである。このよう
に、微細な微細な結晶粒からなる結晶相と、その粒界に
存在する粒界非晶質相とを主体とした組織とすることに
より、優れた軟磁気特性を発揮するようになる。本発明
による合金が優れた軟磁気特性を示す理由として、析出
したbcc結晶粒の粒径が微細なために従来の結晶質材
料において軟磁気特性を劣化させる原因の1つであると
されていた結晶磁気異方性がbcc粒子間の磁気相互作
用により平均化され、みかけの結晶磁気異方性が非常に
小さくなる為であると考えられる。ここで、主体となる
結晶粒の平均結晶粒径が50nmよりも大きいと、結晶磁
気異方性の平均化が十分でなく軟磁気特性が劣化するた
め望ましくない。また、結晶相が50%未満であると、
粒子間の磁気相互作用が弱まり、軟磁気特性が劣化する
為、望ましくない。
成分とし、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、
Wからなる群から選ばれた1種または2種以上と、Si
及び又はBを含んだものが好適である。または、下記の
各式で示される組成の軟磁性合金に特に好適である。 FebBxMy FebBxMyXZ FebBxMyTd FebBxMyTdXZ 但し、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、M
o、Wからなる群から選ばれた1種または2種以上の元
素であり、Tは、Cu、Ag、Au、Pd、Ptかなる
群から選ばれた1種または2種以上の元素であり、Xは
Si、Al、Ge、Gaのうちの1種または2種以上で
あり、組成比を示すb、x、y、d、zは、75≦b≦93原
子%、0.5≦x≦18原子%、4≦y≦9原子%、dは
4.5原子%以下、zは4原子%以下である。
eの添加量を示すbの値は、93原子%以下である。こ
れは、bが93原子%を超えると液体急冷法によって非
晶質単相を得ることが困難になり、この結果、熱処理し
てから得られる合金の組織が不均一になるため高い透磁
率が得られないためである。また、飽和磁束密度10k
G以上を得るためには、bが75原子%以上であること
がより好ましいのでbの範囲を75〜93原子%とし
た。
を高める効果、結晶組織の粗大化を防ぐ効果、および熱
処理工程において磁気特性に悪影響を及ぼす化合物相の
生成を抑制する効果があると考えられる。また、本来、
α-Feに対してZr、Hfはほとんど固溶しないが、
合金の全体を急冷して非晶質化することで、ZrとHf
を過飽和に固溶させ、この後に施す熱処理によりこれら
元素の固溶量を調節して一部結晶化し、微細結晶相とし
て析出させることで、得られる軟磁性合金の軟磁気特性
を向上させ、合金薄帯の磁歪を小さくできる。また、微
結晶相を析出させ、その微結晶相の結晶粒の粗大化を抑
制するには、結晶粒成長の障害となり得る非晶質相を粒
界に残存させることが必要であると考えられる。さら
に、この粒界非晶質相は、熱処理温度の上昇によってα
−Feから排出されるZr、Hf、Nb等のM元素を固
溶することで軟磁気特性を劣化させるFe−M系化合物
の生成を抑制すると考えられる。よって、Fe−Zr
(Hf)系の合金にBを添加することが重要となる。B
の添加量を示すXが、0.5原子%を下回る場合、粒界の
非晶質相が不安定となるため、十分な添加効果が得られ
ない。また、Bの添加量を示すXが18原子%を超える
と、B-M系およびFe-B系において、ホウ化物の生成
傾向が強くなり、この結果、微細結晶組織を得るための
熱処理条件が制約され、良好な軟磁気特性が得られなく
なる。このように適切な量のBを添加することで析出す
る微細結晶相の平均結晶粒径を30nm以下に調整する
ことができる。
非晶質形成能の特に高いZr、Hf、Nbのいずれかを
含むことが好ましく、Zr,Hf,Nbの一部は他の4
A〜6A族元素のうち、Ti,V,Ta,Mo,Wのい
ずれかと置換することができる。こうしたM元素は、比
較的遅い拡散種であり、M元素の添加は、微細結晶核の
成長速度を小さくする効果、非晶質形成能を持つと考え
られ、組織の微細化に有効である。しかし、M元素の添
加量を示すyが4原子%を下回る値になると、核成長速
度を小さくする効果が失われ、この結果、結晶粒径が粗
大化し良好な軟磁性が得られない。Fe-Hf-B系合金
の場合、Hf=5原子%での平均結晶粒径は13nmで
あるのに対してHf=3原子%では39nmと粗大化す
る。他方、M元素の添加量を示すyが9原子%を超える
と、M-B系またはFe-M系の化合物の生成傾向が大き
くなり、良好な特性が得られない他、液体急冷後の薄帯
状合金が脆化し、所定のコア形状等に加工することが困
難となる。よって、yの範囲を4〜9原子%とした。中
でもNbとMoは、酸化物の生成自由エネルギーの絶対
値が小さく、熱的に安定であり、製造時に酸化しずらい
ものである。よって、これらの元素を添加している場合
は、製造条件が容易で安価に製造することができ、ま
た、製造コストの面でも有利である。これらの元素を添
加して前記軟磁性合金を製造する場合に、具体的には、
溶湯を急冷する際に使用するるつぼのノズルの先端部
に、不活性ガスを部分的に供給しつつ大気中で製造もし
くは大気中の雰囲気で製造することができる。
または2種以上(X)を4原子%以下含有することが好
ましい。これらは半金属元素として知られるものである
が、これらの半金属元素はFeを主成分とするbcc相
(体心立方晶の相)に固溶し、非晶質形成能を発揮す
る。それらの元素の含有量が4原子%を超えると磁歪が
大きくなるか、飽和磁束密度が低下するか、透磁率が低
下するので好ましくない。
種または2種以上(T)を4.5原子%以下含有させる
と、軟磁気特性が改善される。Cu等のように、Feと
固溶しない元素を微量添加することにより、組成が揺ら
ぎ、Cuが結晶化の初期段階にクラスターを形成し、相
対的にFeリッチな領域が生じ、α−Feの核生成頻度
を増加させることができる。また、結晶化温度を示差熱
分析法により測定したところ、上記Cu,Ag等の元素
の添加は結晶化温度をやや低めるようである。これは、
これらの添加により非晶質が不均一となり、その結果、
非晶質の安定性が低下したことに起因すると考えられ
る。不均一な非晶質相が結晶化する場合、部分的に結晶
化しやすい領域が多数でき不均一核生成するため、得ら
れる組成が微細結晶粒組織となると考えられる。以上の
観点からこれらの元素以外の元素でも結晶化温度を低下
させる元素には、同様の効果が期待できる。
るために、Cr,Ru,Rh,Irなどの白金族元素を
添加することも可能である。これらの元素は、5原子%
よりも多く添加すると、飽和磁束密度の劣化が著しくな
るため、添加量は5原子%以下に抑える必要がある。ま
た、他に、必要に応じてY,La,Ce,Pr,Nd,
Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,T
m,Yb,Lu,Zn,Cd,In,Sn,Pb,A
s,Sb,Bi,Se,Te,Li,Be,Mg,C
a,Sr,Ba等の元素を添加することで得られる軟磁
性合金の磁歪を調整することもできる。その他、前記組
成系の軟磁性合金において、H、N、O、S等の不可避
的不純物については所望の特性が劣化しない程度に含有
していても本発明で用いる軟磁性合金の組成と同一とみ
なすことができるのは勿論である。
らなる合金薄帯を製造した。薄帯の製造には図9に示す
ような製造装置を用いた。この装置では、チャンバ10
が、冷却ロール3とるつぼ12を収納する箱状の本体部
13と、この本体部13に接合された箱状の収納部14
とを具備して構成されている。本体部13と収納部14
は、それぞれフランジ部13a,14aを介してボルト接
合され、本体部13と収納部14との接合部分は気密構
造にされている。また、チャンバ10の本体部13に
は、真空排気装置に接続された排気管15が接続されて
いる。前記冷却ロール3は、チャンバ10の側壁を貫通
する回転軸11によって支持されており、チャンバ10
の外部に設けられた図示略のモータによって冷却ロール
3が回転駆動されるようになっている。前記るつぼ12
の下端部にはノズル6が設けられており、るつぼ12の
下部には加熱コイル9が設けられ、るつぼ12の内部に
溶融金属2が収納される。
してArガスなどのガス供給源18に接続されるととも
に、供給管16には、圧力調節弁19と電磁弁20とが
組み込まれ、供給管16において圧力調節弁19と電磁
弁20との間には圧力計21が組み込まれている。ま
た、供給管16には補助管23が並列的に接続され、補
助管23には圧力調整弁24と流量調整弁25と流量計
26が組み込まれている。したがって、ガス供給源18
からるつぼ12内にArなどのガスを供給してノズル6
から溶融金属を冷却ロール3に吹き付けることができる
ようになっている。また、チャンバ10の天井部にはA
rガスなどのガス供給源31が接続管32を介して接続
され、接続管32には圧力調節弁33が組み込まれ、チ
ャンバ10の内部にArガスなどを送れるようになって
いる。
には、まずチャンバ10の内部を真空排気するととも
に、このチャンバ10内にガス供給源31からArガス
などの非酸化性ガスを送る。また、ガス供給源18から
Arガスをるつぼ12の内部に圧送し、溶融金属2をノ
ズル6から吹き出すとともに、冷却ロール3を高速回転
させる。すると、溶融金属2は冷却ロール3の頂部から
冷却ロール3の表面に沿って押し出され、薄帯4が得ら
れる。るつぼ12から溶融金属2を冷却ロール3に連続
的に吹き出して薄帯4を連続製造すると、冷却ロール3
から引き出された薄帯4は、チャンバ10の収納部14
に収納される。この薄帯4はまだ予熱状態で温度が高い
ので、この段階で空気に触れると酸化するおそれが高い
が、チャンバ10の内部がArガスで満たされているの
で、チャンバ10の内部で酸化することはない。そし
て、薄帯4の連続製造が終了して収納部14内に収納さ
れている薄帯4の温度が常温近くまで下がったならば、
チャンバ10の本体部13と収納部14とを分離して薄
帯4を取り出せばよい。
質合金薄帯を示差熱分析法で昇温速度10℃/minで、
結晶化温度を測定した。測定結果を表1に示す。
金を使用して、同じく急冷して製造した非晶質合金薄帯
試料を300℃で60分間の予備熱処理を施し、放冷
後、540℃で30分間の結晶化熱処理を施した。この
工程において、急冷直後、予備熱処理後、結晶化熱処理
後にX線回折強度を測定した。測定結果を図3に示す。
図3から、急冷直後であると、非晶質相に特有なハーロ
ーパターンを呈している。そして、予備熱処理後では、
依然、ハローパターンを示し、結晶化していないもの
の、結晶化熱処理後にはα−Feに由来するbcc結晶
を示すピークが表れている。さらに、図4に、急冷直後
のFe84Nb3.5Zr3.5B8Cu1なる組成の合金薄帯の高分解能
TEM(透過型電子顕微鏡)写真を示す。図示されてい
るように、非晶質合金となっている。そして、図5に3
00℃で予備熱処理(60分)をしたFe84Nb3.5Zr3.5B8
Cu1なる組成の合金薄帯のTEM写真を示す。図5に
は、約3nmのMRO領域(円内)が示されている。
分)を経たものと経たない各合金(Fe84Nb3.5Zr3.5B8Cu
1)について、結晶化熱処理後に生成された結晶の粒径
分布を調査した。粒径分布は50個の粒子を無作為に選
び、その粒径を計測したものである。計測結果を図6に
示す。図6から、予備熱処理を施すことなく結晶化熱処
理をした合金薄帯であると、生成された結晶の粒径が広
い範囲にわたっているが、予備熱処理後に結晶化熱処理
をしたものであると、殆どの結晶粒径が狭い範囲(5〜
7nm)に集約されて揃っていることがわかる。このよう
に、結晶粒径が均一になることにより、高透磁率で低保
持力の優れた磁気特性を実現することが可能となる。
て製造した非晶質合金薄帯をプレス加工して作製したリ
ング状の試料(外径:10mm、内径:6mm)を用い、予
備熱処理(60分)を経たものと経たない合金につい
て、磁気特性、即ち、飽和磁束密度Bs(T)、保持力
Hc(A/m)、透磁率μe(1kHz)、平均結晶粒
径D(nm)を測定した。測定結果を表2,3及び図7,
8に示す。ここで、平均結晶粒径Dは、X線回折図形の
bcc相の(110)回折ピークの半値幅より求めた。
により、透磁率μeを高め、保持力を低減せしめること
ができ、軟磁性合金としてより優れたものとすることが
できることがわかる。また、結晶粒径も微細化してお
り、軟磁気特性向上の要因となっていることがわかる。
結晶化温度が530℃のFe90Zr7B3について、予備熱処
理条件と透磁率の関係を試験した。試験結果を表4に示
す。
(結晶化温度との差ΔTが330〜50℃)のNo.c〜
gであると、高い透磁率が得られると共に、処理温度が
高いほど、処理時間が短くて済むことがわかる。これに
対し、予備熱処理を行わないaと、低温(150℃)で
予備熱処理を行ったbは、処理時間を300分としたに
もかかわらず、透磁率を高めることが困難であった。ま
た、結晶化温度との差ΔTが小さい(30℃)温度での
予備熱処理を行ったNo.hも、透磁率を高めることはで
きず、特定範囲温度における予備熱処理を施すことによ
り磁気特性を向上させることができることがわかる。
1)と図2に示した処理工程(パターン2)の磁気特性
への影響を試験した。尚、予備熱処理時間は60分、結
晶化熱処理時間は30分とした。試験結果を表5に示
す。
は認められず、予備熱処理と結晶化熱処理の間に、冷却
時間があっても磁気特性に影響はないことがわかる。
明であると、結晶粒径を微細かつ均一にすることがで
き、より透磁率の高い、また保持力の小さい優れた軟磁
気特性を示す軟磁性合金を製造することが可能となる。
である。
である。
係を示すグラフである。
係を示すグラフである。
る。
Claims (6)
- 【請求項1】 次式で示される組成を有する軟磁性合金
の製造方法であって、 溶融金属を冷却してなる非晶質合金に、200℃以上4
50度以下で、かつ該金属の結晶化温度より80℃以上
低い温度範囲での予備熱処理をして結晶粒の核となる領
域を形成し、その後、結晶化温度以上での熱処理をし
て、平均結晶粒径が50nm以下のFeを主成分とするb
cc結晶粒からなる結晶相を組織の50%以上とするこ
とを特徴とする軟磁性合金の製造方法。Fe b B x M y 但し、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、M
o、Wからなる群から選ばれた1種または2種以上の元
素であり、組成比を示すb、x、yは、 75≦b≦93原
子%、0.5≦x≦18原子%、4≦y≦9原子%であ
る。 - 【請求項2】 次式で示される組成を有する軟磁性合金
の製造方法であって、 溶融金属を冷却してなる非晶質合金に、200℃以上4
50度以下で、かつ該金属の結晶化温度より80℃以上
低い温度範囲での予備熱処理をして結晶粒の核となる領
域を形成し、その後、結晶化温度以上での熱処理をし
て、平均結晶粒径が50nm以下のFeを主成分とするb
cc結晶粒からなる結晶相を組織の50%以上とするこ
とを特徴とする軟磁性合金の製造方法。 Fe b B x M y X z 但し、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、M
o、Wからなる群から選ばれた1種または2種以上の元
素であり、XはSi、Al、Ge、Gaのうちの1種ま
たは2種以上であり、組成比を示すb、x、y、zは、 75≦b≦93原子%、0.5≦x≦18原子%、4≦y≦
9原子%、 zは4原子%以下である。 - 【請求項3】 次式で示される組成を有する軟磁性合金
の製造方法であって、 溶融金属を冷却してなる非晶質合金に、200℃以上4
50度以下で、かつ該金属の結晶化温度より80℃以上
低い温度範囲での予備熱処理をして結晶粒の核 となる領
域を形成し、その後、結晶化温度以上での熱処理をし
て、平均結晶粒径が50nm以下のFeを主成分とするb
cc結晶粒からなる結晶相を組織の50%以上とするこ
とを特徴とする軟磁性合金の製造方法。 Fe b B x M y T d 但し、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、M
o、Wからなる群から選ばれた1種または2種以上の元
素であり、Tは、Cu、Ag、Au、 Pd、Ptかな
る群から選ばれた1種または2種以上の元素であり、組
成比を示すb、x、y、dは、75≦b≦93原子%、0.5
≦x≦18原子%、4≦y≦9原子%、dは4.5原子%以
下である。 - 【請求項4】 次式で示される組成を有する軟磁性合金
の製造方法であって、 溶融金属を冷却してなる非晶質合金に、200℃以上4
50度以下で、かつ該金属の結晶化温度より80℃以上
低い温度範囲での予備熱処理をして結晶粒の核となる領
域を形成し、その後、結晶化温度以上での熱処理をし
て、平均結晶粒径が50nm以下のFeを主成分とするb
cc結晶粒からなる結晶相を組織の50%以上とするこ
とを特徴とする軟磁性合金の製造方法。 Fe b B x M y T d X z 但し、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、M
o、Wからなる群から選ばれた1種または2種以上の元
素であり、Tは、Cu、Ag、Au、 Pd、Ptかな
る群から選ばれた1種または2種以上の元素であり、 XはSi、Al、Ge、Gaのうちの1種または2種以
上であり、組成比を示すb、x、y、d、zは、75≦b≦9
3原子%、0.5≦x≦18原子%、 4≦y≦9原子%、dは4.5原子%以下、zは4原子%以
下である。 - 【請求項5】 前記予備熱処理は、その最高熱処理温度
を5分以上保持して行うことを特徴とする請求項1乃至
4のいずれか一項に記載の軟磁性合金の製造方法。 - 【請求項6】 前記予備熱処理の処理時間は、10分以
上120分以下にて行うことを特徴とする請求項1乃至
4のいずれか一項に記載の軟磁性合金の製造方法。
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