JP2002052286A - ミシンの糸調子装置及びミシン - Google Patents

ミシンの糸調子装置及びミシン

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JP2002052286A JP2001161196A JP2001161196A JP2002052286A JP 2002052286 A JP2002052286 A JP 2002052286A JP 2001161196 A JP2001161196 A JP 2001161196A JP 2001161196 A JP2001161196 A JP 2001161196A JP 2002052286 A JP2002052286 A JP 2002052286A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ミシンの糸調子装置において、糸張力を所望
の値に制御可能であり、縫い品質の安定化、再現性の向
上を図ることを課題とする。 【解決手段】 糸に張力を与える調子皿22と、糸張力
を変化させるソレノイド30とを備え、ソレノイド30
は、プランジャ31のストロークをS、推力をF、印加
される電気量をC、ストロークと推力の微少変化量をそ
れぞれΔS、ΔFとした場合、C=一定のときにΔF/
ΔS≒0である特定のストローク区間を有し、ソレノイ
ド30に印加される電気量を制御することで糸に与える
張力を変更可能なミシン1の下糸調子装置20であっ
て、前記特定のストローク区間において、糸張力を所定
の目標値に下げる場合に、前記所定の目標値よりも低い
糸張力に対応する電流値をソレノイドに印加し、次いで
前記所定の目標値に対応する電流値を印加するように制
御する制御装置50を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ミシンの糸調子
装置およびミシンに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電気的な制御により糸張力を
変更可能なミシンの糸調子装置として、1組の調子皿等
からなる糸調子器と、この糸調子器を駆動するソレノイ
ドとを備えたものがある。ソレノイドは一般的には通電
量が一定であっても可動部のストロークにより推力が変
化し、糸の太さによって糸張力が変化してしまい、安定
した糸張力が得られなかった。そこで、推力がストロー
クによらない特定のストローク区間を有するソレノイド
で糸調子器の駆動を行って、この欠点を解消した糸調子
装置が用いられていた。また、上記したソレノイドの他
に、パルスモータ、ボイスコイルモータ、ヒステリシス
ブレーキ等を駆動源として用いて糸張力を変更可能とし
た糸調子装置も知られている。さらに、糸調子装置が与
える糸張力をミシン駆動中に種々変更し、縫製中に糸に
適正な張力が付与されるように構成したミシンも知られ
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな特定ストローク区間を有するソレノイドを糸調子器
の駆動に利用したとしても、安定して糸張力を制御する
ことができないことが分かった。この問題について、図
15(a)、(b)に基づいて説明する。図15
(a)、(b)は、糸調子器駆動用のソレノイドについ
て、前記特定ストローク区間における通電電流と糸張力
との関係を示すグラフである。図15(a)から分かる
ように、同じ電流を印加しても、電流の上昇時より下降
時の方が発揮される糸張力が高い。つまり、同じ糸張力
を得るべく所定の電流をソレノイドに印加しても、上昇
してその電流値としたか、あるいは下降したかにより差
異が出てしまう。この差異は、ヒステリシス損等のソレ
ノイド自身の本質的な特性によるものと考えられる。
【0004】このような現象が生じると作業者が意図す
る糸張力が得られない。具体的には図15(b)に示す
ように、作業者が設定した所定の糸張力を得るために電
流値Xを印加した場合でも、上昇させたか下降させたか
によって実際の糸張力がYg分異なってしまっていた。
このような上昇時と下降時の差異により作業者が意図す
る糸張力が得られず期待した仕上がりにならないことが
あり、しかもこの差異は一定ではなくばらつきがあるこ
とから、糸締りが一定しないなど縫いの品質について再
現性がないという課題があった。
【0005】また、このような糸張力を変更可能とした
糸調子装置を備えた従来のミシンは、非縫製中の張力に
対しては考慮されていなかった。すなわち、糸切り後も
糸の繰り出しを可能とする縫製中の糸張力が維持されて
おり、作業者が縫製後の布を針下から取り出す際に、糸
切り手段により布下で切断され布に貫通した上糸が布と
の摩擦抵抗によりミシン針の目穴から引き出されて、針
先に残る上糸の長さ(糸残り長さ)が長くなってしま
い、次の縫製の開始時に布下に上糸が絡まる鳥の巣が発
生するという問題があった。
【0006】また、布のセット位置と縫製開始位置が異
なっており、セット位置にて布押さえによって保持され
た布を布搬送手段によりミシン針に対して離れる方向に
移動することによって縫製開始位置に搬送し、縫製開始
位置において縫製を開始する構成のミシンにおいては、
セット位置で布をセットするとき針先に連なる上糸の端
部が布押さえと布の間に挟まれることがあり、上糸に付
与されている張力が高い場合は、布搬送手段により縫製
開始位置に布および上糸の端部を押さえた布押さえが移
動される際に上糸が引っ張られて針折れや糸切れ等の不
具合が発生するという問題があった。
【0007】また、この不具合は、針先からの糸残り長
さが長いほど上糸の端部が布押さえに挟まれる可能性が
高くなるため、糸切り後に布の取り出しによって上糸が
引き出されることも要因となっていた。
【0008】本発明の第1の課題は、糸張力を電気的に
制御するミシンの糸調子装置において、糸張力を常に所
望の値に制御可能であり、縫い品質の安定化、再現性の
向上を図ることにある。本発明の第2の課題は、糸に与
える張力を電気的に変化させる上糸調子装置を備えたミ
シンにおいて、布の取り出し時に上糸が引き出されて糸
残り長さが長くなるのを防止し、鳥の巣、糸切れ、針折
れ等の不具合の発生を防いで、縫い品質及び縫製効率の
向上を図ることにある。本発明の第3の課題は、糸に与
える張力を電気的に変化させる糸調子装置を備え、セッ
ト位置にて布押さえ手段によって押さえられた布を布搬
送手段により前記ミシン針に対して離れる方向に移動す
ることによって縫製開始位置に搬送するミシンにおい
て、セット位置でミシン針に連なる上糸の端部が布と布
押さえに挟まれた状態で、布がセット位置から縫製開始
位置に搬送された場合に発生する針折れや糸切れを防止
し縫製能率の低下を防ぐことにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
め、請求項1に記載の発明は、たとえば図2、図3に示
すように、ミシンの糸に張力を与える糸調子器(調子皿
22)と、糸調子器に作用して糸に与える張力を変化さ
せるソレノイド(30)とを備え、ソレノイドは、この
ソレノイドの可動部(プランジャ31)のストロークを
S、可動部の推力をF、ソレノイドに印加される電気量
をC、ストロークと推力の微少変化量をそれぞれΔS、
ΔFとした場合、C=一定のときにΔF/ΔS≒0であ
る特定のストローク区間(W)を有し、糸調子器に作用
する可動部のストロークが前記特定のストローク区間に
設定され、ソレノイドに印加される電気量を制御するこ
とで糸に与える張力を変更可能なミシン(1)の糸調子
装置(下糸調子装置20)において、糸張力を所定の目
標値に下げる場合に、前記所定の目標値よりも低い糸張
力に対応する電気量をソレノイドに印加し、次いで前記
所定の目標値に対応する電気量を印加するように制御す
る制御手段(制御装置50)を備えることを特徴とす
る。
【0010】請求項1に記載によれば、糸張力を下げる
場合には、目標値よりも低い糸張力に対応する電気量を
ソレノイドに印加し、その後目標とする糸張力に対応す
る電気量にまで上げる。ソレノイドが電気量の上昇時と
下降時に関する前述の差異を有していても、糸張力を上
げる場合にはソレノイドに対して目標とする糸張力に対
応する電流値まで直接上げることで、結局糸張力を上げ
るときも下げるときも、電気量を上げることで目標とす
る電気量を印加することになるので、このような「差
異」の影響はほとんどなく、つまり、1つの電気量に対
してほぼ一定の糸張力を得ることができる。したがっ
て、糸張力変更前の値に関係なく、作業者が設定した糸
張力と、実際の糸張力がほぼ一致するようになり、安定
した糸張力制御が可能となり、縫い品質が安定し、再現
性が向上する。
【0011】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
のミシンの糸調子装置において、ミシンは、サイクルミ
シンであり、制御手段は、縫製中、1サイクルの中で糸
の消費量が最も少ないときに、前記所定の目標値よりも
低い糸張力に対応する電気量をソレノイドに印加するよ
うに制御することを特徴とする。
【0012】請求項2に記載の発明によれば、制御手段
は、縫製中の前記所定の目標値よりも低い糸張力に対応
する電気量をソレノイドに印加するタイミングについ
て、サイクルミシンの1サイクルの動きの中で糸の消費
量が最も少ないときに行うように制御する。糸が多く消
費されている時に電気量を大きく下げると、この時の糸
張力の変化が糸締まりに影響を及ぼす可能性もあるが、
請求項2のように電気量を下げる区間を糸の消費量が最
も少ない時に限定することでこのような悪影響を防ぐこ
とができる。
【0013】請求項3に記載の発明は、例えば図2、図
3に示すようにミシンの糸に張力を与える糸調子器(調
子皿22)と、糸調子器に作用して糸に与える張力を変
化させるソレノイド(30)とを備え、ソレノイドは、
このソレノイドの可動部(プランジャ31)のストロー
クをS、可動部の推力をF、ソレノイドに印加される電
気量をC、ストロークと推力の微少変化量をそれぞれΔ
S、ΔFとした場合、C=一定のときにΔF/ΔS≒0
である特定のストローク区間を有し、糸調子器に作用す
る可動部のストロークが前記特定のストローク区間に設
定され、ソレノイドに印加される電気量を制御すること
で糸に与える張力を変更可能なミシン(1)の糸調子装
置(下糸調子装置20)において、糸張力を所定の目標
値に上げる場合に、前記所定の目標値よりも高い糸張力
に対応する電気量をソレノイドに印加し、次いで前記所
定の目標値に対応する電気量を印加するように制御する
制御手段(制御装置50)を備えることを特徴とする。
【0014】請求項3に記載の発明によれば、糸張力を
上げる場合には、目標値よりも高い糸張力に対応する電
気量をソレノイドに印加し、その後目標とする糸張力に
対応する電気量にまで下げる。ソレノイドが電気量の上
昇時と下降時に関する前述の差異を有していても、糸張
力を下げる場合にはソレノイドに対して目標とする糸張
力に対応する電流値まで直接下げることで、結局糸張力
を上げるときも下げるときも、電気量を下げることで目
標とする電気量を印加することになるので、このような
「差異」の影響はほとんどなく、つまり、1つの電気量
に対してほぼ一定の糸張力を得ることができる。したが
って、糸張力変更前の値に関係なく、作業者が設定した
糸張力と、実際の糸張力がほぼ一致するようになり、安
定した糸張力制御が可能となり、縫い品質が安定し、再
現性が向上する。
【0015】請求項4に記載の発明は、請求項3に記載
のミシンの糸調子装置において、ミシンは、サイクルミ
シンであり、制御手段は、縫製中、1サイクルの中で糸
の消費量が最も少ないときに、前記所定の目標値よりも
高い糸張力に対応する電気量をソレノイドに印加するよ
うに制御することを特徴とする。
【0016】請求項4に記載の発明によれば、制御手段
は、縫製中の前記所定の目標値よりも高い糸張力に対応
する電気量をソレノイドに印加するタイミングについ
て、サイクルミシンの1サイクルの動きの中で糸の消費
量が最も少ないときに行うように制御する。糸が多く消
費されている時に電気量を大きく上げると、この時の糸
張力の変化が糸締まりに影響を及ぼす可能性もあるが、
請求項4のように電気量を上げる区間を糸の消費量が最
も少ない時に限定することでこのような悪影響を防ぐこ
とができる。
【0017】請求項2、4に記載の発明において、糸調
子装置は上糸用でも下糸用でもよく、上糸用であれば上
糸の引き出しが最も少ないときに、下糸用であれば下糸
の引き出しが少ないときに、上記制御を行う。
【0018】請求項5記載の発明は、例えば、図2、図
3に示すように、上下動されるミシン針(6)と、糸切
り手段と、前記ミシン針に連なる上糸に与える張力を電
気的に変化させる上糸調子装置(上糸調子装置10)と
を備えたミシンにおいて、糸切り後、少なくとも、前記
糸切り手段により切断された上糸の端部が、布の移動に
より布上に引き出されるまでは、縫製時よりも高い張力
を上糸に与え前記布の移動によるミシン針からの上糸の
引き出しを阻止可能にするように前記上糸調子装置を制
御する制御手段(制御装置50)を備えることを特徴と
する。
【0019】請求項5記載の発明によれば、糸切り後、
少なくとも、前記糸切り手段により切断された上糸の端
部が、布の移動により布上に引き出されるまでは、縫製
時よりも高い張力を上糸に与えることが可能となる。し
たがって、縫製時に上糸に付与されていた張力が低い場
合でも、糸切り後に作業者が布を引き出す際に、布に貫
通した上糸の端部が布上に引き出されるまで針糸が針の
目穴から引き出されないような張力を与えることがで
き、針先に残る糸残り長さが長くなることにより発生す
る鳥の巣、糸切れ、針折れ等の不具合の発生を防いで、
縫い品質の向上及び縫製効率低下の防止を図ることがで
きる。
【0020】請求項6記載の発明は、請求項5記載のミ
シンにおいて、該ミシンが下糸調子装置(下糸調子装置
20)を備え、糸切り後縫製時よりも高い張力を上糸に
与える制御を、上糸調子装置に対してのみ行う制御手段
(制御装置50)を備えることを特徴とする。
【0021】請求項6記載の発明によれば、上糸調子装
置に加えて下糸調子装置を備えるミシンにおいても請求
項5記載の発明と同様な効果を得ることができる。
【0022】請求項7記載の発明は、上下動されるミシ
ン針(ミシン針6)と、前記ミシン針に連なる上糸に与
える張力を電気的に変化させる上糸調子装置と、(上糸
調子装置10)と、前記ミシン針の上下動と直交する方
向に布を搬送する布搬送手段と、布搬送手段に連結さ
れ、下降することによって布を押さえる布押さえ手段と
を備え、縫製開始前に、セット位置にて前記布押さえ手
段によって押さえられた布を前記布搬送手段により前記
ミシン針に対して離れる方向に移動することによって縫
製開始位置に搬送するミシンにおいて、布が前記セット
位置から前記縫製開始位置に搬送される間は、前記布搬
送手段による前記ミシン針からの上糸の繰り出しを許容
する張力を上糸に与えるように前記上糸調子装置を制御
する制御手段(制御装置50)を備えることを特徴とす
る。
【0023】請求項7記載の発明によれば、布をセット
するときに下降される布押さえと布との間にミシン針の
針先に残る上糸の端部が挟まれ、布搬送手段によって布
及び上糸の端部を挟んだ布押さえが針下から離れる方向
へ移動される場合においても、上糸の繰り出しを許容す
る低い張力が上糸調子装置により糸に付与されているの
で、布搬送手段の移動にともなって針先から上糸が引き
出され、布がセット位置から縫製開始位置に搬送される
間に発生する針折れや糸切れを防止することができ、縫
製能率の低下を防ぐことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の第
1の実施の形態を詳細に説明する。図1、図2におい
て、ミシン1は、鳩目穴形状のボタン穴(図6参照)の
周りにかがり縫いを施すサイクルミシン(鳩目穴かがり
ミシン)であり、ベッド部2と、ベッド部上に設けられ
た縦胴部3と、縦胴部3からベッド部2に平行するよう
に延出するアーム部4とからなる。
【0025】ミシン1には、各種スイッチやボタン及び
表示窓を有する表示・操作パネル5が設けられている。
作業者は、この表示・操作パネル5を介して特定の縫製
パターンを選んだり所定のパラメーターについて値を設
定したりといた指示を行うとともに、表示された内容を
見て設定内容や縫製状況を確認できる。また、図2に示
すように、ミシン1にはスタートスイッチ7が設けられ
ており、このスタートスイッチ7を1回操作すること
で、ミシンモータ60が作動しミシン針6の動作(縫
製)が開始し、再度操作することでミシンモータ60が
停止するようになっている。
【0026】また、ミシン1には、図1、図2に示すよ
うに、制御手段として制御装置50が設けられている。
制御装置50は、CPU(Central Proce
ssing Unit)51と、該CPU51に接続さ
れているROM(ReadOnly Memory)5
2と、RAM(Random Access Memo
ry)53と、各種ドライバから構成される。ROM5
2には、制御プログラムや制御データ、及び鳩目穴かが
り縫いに関する縫製データ等が格納されている。
【0027】また、制御装置50には、針上検知センサ
57、針下検知センサ58及び針振り位置センサ59が
接続されている。これら針上検知センサ57及び針下検
知センサ58は、ミシン針6の上下動における移動位置
を検出し、位置に対応する信号をCPU51に出力す
る。また、針振り位置センサ59は、針振りモータ61
を駆動源として行われるミシン針6の左右方向の揺動運
動における位置を検出し、揺動位置に対応する信号をC
PU51に対して出力する。さらに、制御装置50は、
ミシンモータ60を駆動するミシンモータドライバ5
4、針振りモータ61を駆動する針振りモータドライバ
62、上糸調子装置10を駆動するATドライバ55、
下糸調子装置20を駆動するATドライバ56等の各種
ドライバを備える。
【0028】また、ベッド部2には、X軸パルスモータ
11及びY軸パルスモータ13が設けられ、この両パル
スモータを駆動源としてベッド部2の上面に戴置された
布をミシン針6の上下動と直交する方向に送る布搬送手
段としての布送り装置(図示せず)と、同じくベッド部
2に設けられ布押さえソレノイド15を駆動源として上
下動され下降位置に置いて戴置された布を押さえるとと
もに、布搬送手段に連結されて前記直交方向に移動され
る布押さえ手段としての布押さえ装置(図示せず)が設
けられている。さらに、ベッド部2には、糸切りソレノ
イド17を駆動源として、縫製終了後に上糸及び下糸を
布下で切断する糸切り装置(図示せず)が設けられてい
る。
【0029】また、制御装置50には、X軸パルスモー
タ11、Y軸パルスモータ13、布押さえソレノイド1
5、糸切りソレノイド17をそれぞれ駆動するためのX
軸モータドライバ12、Y軸モータドライバ14、布押
さえドライバ16、糸切りドライバ18が設けられてい
る。
【0030】CPU51は、ROM52に記憶されてい
る制御プログラムや制御データに基づいて、RAM53
を作業領域として、表示・操作パネル5、スタートスイ
ッチ7から入力する各種指示に対応する信号や、針上検
知センサ57、針下検知センサ58、針振り位置センサ
59からの検出信号を受け、上記各種ドライバを介し、
ミシンモータ60、針振りモータ61、上糸調子装置1
0、下糸調子装置20、布送り装置、布押さえ装置、糸
切り装置などの駆動制御を行う。
【0031】ミシン1には、糸調子装置として、ミシン
針6に連なる上糸用の上糸調子装置10と下糸用の下糸
調子装置20が設けられ、上糸調子装置10はアーム部
4に設けられ、下糸調子装置20は、ベッド部2内に設
けられている(図10)。図3には、下糸調子装置20
の構成を示した。下糸調子装置20は、糸調子軸21、
可動皿22aと固定皿22bとからなる調子皿(糸調子
器)22、ベース板23、糸調子軸ナット24、座金2
5、27とこれらの間に設けられた調子バネ26、ソレ
ノイド30とから主に構成される。下糸調子装置20
は、可動皿22aと固定皿22b間に下糸を挟んだ状態
で、ソレノイド30の推力により糸調子軸21を駆動
し、糸調子軸21とベース板23により、可動皿22a
と固定皿22b間の下糸を挟む力を連続的に変化させて
糸張力を変更する、動的な糸調子(アクティブテンショ
ン)である。
【0032】下糸調子装置20は、図1あるいは図10
に示すようにベース部2内に取り付けられる。下糸調子
装置20においては、ベース部2の一部であるフレーム
2aに対して、ベース部材23のネジ孔23a、23a
を介して、止めネジ28、29を通し、さらに止めネジ
28、29の先端をソレノイド30のネジ孔30a、3
0aに回し入れることによって、前記フレーム2aを挟
むようにしてベース部材23とソレノイド30とを一体
的に固定するようになっている。
【0033】糸調子軸21は、ネジ部21aが、調子皿
22、ベース板23、糸調子軸ナット24、座金25、
調子バネ26、座金27を挿通した状態でソレノイド3
0のプランジャ(可動部)31のネジ孔31aに螺合す
ることによって取り付けられている。糸調子軸21とプ
ランジャ31の固定位置は、糸調子軸ナット24の締め
付けにより適宜調整できる。調子バネ26は、糸に所定
の張力を掛けている状態から糸張力を下げる場合に、ソ
レノイド30による推力が下がったにも関わらず糸調子
軸21の軸周りにかかる摩擦力により糸調子軸21が戻
らないという事態を防ぐために設けられている。よっ
て、調子バネ26は、座金25、27間を押し広げるよ
うな方向、つまり糸調子軸21がソレノイド30から離
れる方向に付勢するものである。
【0034】図4、図5において、ソレノイド30は、
機枠32、コイル用フレーム33、コイル34、プラン
ジャ31、および磁性部材35等から構成される。プラ
ンジャ31は、軸方向に移動可能でかつ回転不能に軸受
け32a、32bに支持されている。プランジャ31に
固着された磁性部材35は、円筒形状でその一部に軸心
からの径を変える段部35aが形成されている。そし
て、この形状により、次ぎに述べるように、プランジャ
31の推力がストロークによらない特定ストローク区間
が得られる。
【0035】このソレノイド30は、通電電流が一定の
とき、ストローク−推力で図5のヒステリシスカーブに
示す特性が得られる。すなわち、推力がプランジャ31
のストロークによらない特定ストローク区間Wが得られ
る。この区間であれば、プランジャ31のストロークを
S、プランジャ31の推力をF、ソレノイド30に印加
される電気量をC、ストロークと推力の微少変化量をそ
れぞれΔS、ΔFとした場合、C=一定のときにΔF/
ΔS≒0である。
【0036】下糸調子装置20では、この特定ストロー
ク区間Wのみを利用して下糸に張力を与えるものであ
る。つまり、調子皿22に作用できる状態のプランジャ
31のストローク区間が、前記特定ストローク区間Wに
含まれるように、ナット24の締結位置が設定される。
ここで、プランジャ31が調子皿22に作用する状態と
は、可動皿22aと固定皿22bが下糸のない状態で十
分に当接した状態から、下糸が可動皿22aと固定皿2
2b間に挟まれた状態までのことを指す。糸調子器22
に作用するプランジャのストロークを、特定ストローク
区間Wに設定するには、例えば、ナット24をゆるめた
状態で、ソレノイド30の後方に突出したプランジャ3
1の先端31aの突出量W’(図4)を計測しながら、
固定皿22bがベース部材23に当接する状態で糸調子
軸21をドライバ等で回転させ、その突出量W’が図5
の「Z」の値から範囲Wに対応する位置にもっていき、
その位置でナット24を締めて糸調子軸21とプランジ
ャ31を固定することで達成される。
【0037】また、ソレノイド30に出力される通電電
流が大きくなるに連れて、推力が大きくなる。ソレノイ
ド30は、コイル33に通電することで糸調子軸21を
引き込む(糸に張力を与える)方向に取り付けられ、通
電電流の増大にしたがって糸調子軸21により与えられ
る糸張力が大きくなる。すなわち、下糸調子装置20で
は、通電電流を変えることによってのみ糸張力が変わる
ようになっており、制御装置50の指示信号によりAT
ドライバ56を介して電流値は制御される。
【0038】なお、図3〜図5に基づいて下糸調子装置
20について説明したが、上糸調子装置10について
は、使用される部位が異なる他は下糸調子装置20と全
く同一の構成であるので、詳細の説明を省略する。
【0039】ミシン1によって縫製される鳩目穴かがり
縫いは、例えば図6(a)に示す形状であり、その縫目
は、流れ閂右、直線部右、鳩目部右下、鳩目部、鳩目部
左下、直線部左、流れ閂左の各部からなり、流れ閂右、
直線部右…の順で縫製していく。これら7カ所について
それぞれ糸張力を設定することが可能であり、前記表示
・操作パネル5を介して作業者が所望の糸張力を設定す
る。ROM52内の縫製データには、図6(b)に示す
ように、各部ごとに縫製時の針落ち回数と上糸及び下糸
の張力を決めるパターンデータが含まれ、作業者が設定
したデータはこのパターンデータに格納される。制御装
置50は、このようなパターンデータにしたがってAT
ドライバ55、56を介してソレノイドに印加する電流
を連続的に変えるように制御する。具体的には、流れ閂
右の縫製時には上糸張力がa1、下糸張力がb1となる
ように所定大きさの電流を印加し、N1回ミシン針60
を駆動し、次いで直線部右の縫製時には上糸張力がa
2、下糸張力がb2となるように電流値を変えN2回ミ
シン針6を駆動するようになっている。
【0040】ところで、前記ソレノイド30の前記特定
ストローク区間内において所定の電流値に設定する場
合、その電流を上昇させることでその電流値に達した
か、下降させることで達したかによって推力に差異が現
れ、図15(a)に示したような現象が生じる。このよ
うな現象により糸張力が不安定になることを防ぐため
に、制御装置50は、ソレノイド30について図7、図
8に示すような制御を行うようになっている。図8にお
いて、曲線u2は電流を上昇しながら所定の電流値を印
加した際の糸張力であり、曲線d2は電流を下降させな
がら所定の電流値を印加した際の糸張力である。ここで
は制御装置50は、糸張力と電流値の対応関係につい
て、曲線u2に従ってソレノイド30を制御するものと
し、糸張力を上げる場合には、変更前に印加している電
流値から、目標とする糸張力に対応する電流値まで直接
上昇させる。
【0041】一方、糸張力を下げる場合には、図7に示
すように、変更前の電流値P1から目標とする糸張力よ
りも低い糸張力に対応する電流値(図8のS1よりも低
い電流値)R1まで下げてしまい、そこから目標とする
糸張力に対応する電流値Q1まで上げるように制御す
る。この制御を図8を用いて説明する。図8で目標とす
る糸張力をM1とする。糸張力を下げる際に図7のよう
に制御することで、設定される糸張力は曲線d2よりも
曲線u2に近い、曲線u’2にしたがって決まる。この
ように一旦下げてから上げることで、目標とする糸張力
M1にほとんど同じ糸張力M2が得られるようになる。
仮に、変更前の電流値P1から直接電流値Q1まで下げ
たとすると、曲線d2に従って糸張力が下がり、目標の
糸張力M1よりもかなり大きな糸張力M3となってしま
い、所望の糸張力が得られない。
【0042】さらに、制御装置50は、図7、図8のよ
うに電流値P1から電流値R1まで下げるときのタイミ
ングについて、縫製中は鳩目穴かがり縫いの特定のタイ
ミングにおいてのみ行うようになっている。以下、この
タイミングの制御について詳細に説明する。図6(a)
に示すように、鳩目穴かがり縫いの縫目は、流れ閂右か
ら順に縫い進め最後は流れ閂左で終了する。ここで鳩目
穴かがり縫いJにおいて、鳩目穴H側を内側とし、鳩目
穴かがり縫いJの外回りを外側とする。
【0043】ミシン1では、ミシン針6と、図9に示す
ルーパー装置40との協働により縫目が形成されるよう
になっている。ルーパー装置40は、ベット部2に設け
られており、右ルーパー41と右スプレッダー42、左
ルーパー43と左スプレッダー43とを備えている。右
ルーパー41には、例えば図11(b)に示すように、
切り欠き41aが形成され、該切り欠き41aで上糸を
引っ掛ける。右スプレッダー42は右ルーパー41に対
して閉じた状態から開くことで、上糸のループを形成す
るものである。左ルーパー43には、例えば図11
(d)に示すように、挿通孔43aが形成され、該挿通
孔43aに下糸を通した状態で保持する。左スプレッダ
ー44は、左ルーパー43に対して閉じた状態から開く
ことで、下糸のループを形成するものである。
【0044】ルーパー装置40の下方には、図10に示
すルーパー駆動機構40aが設けられている。ルーパー
駆動機構40aはスプレッダー駆動軸45と、ルーパー
駆動軸46とを備え、ルーパー駆動軸46はスプレッダ
ー駆動軸45に対して摺動自在である。スプレッダー駆
動軸45とルーパー駆動軸46は、それぞれ図示しない
機構により上下に駆動され、スプレッダー駆動軸45が
上方に移動することで右スプレッダー42、左スプレッ
ダー43の一方が開くように構成されている。また、ル
ーパー駆動軸46の上下動に連れて、ルーパー装置40
全体が左右に往復運動(図9中の矢印方向)するように
なっている。
【0045】また、前述のように鳩目穴H周りを1回転
するように縫製するために、ミシン1では、布送り装置
(図示せず)により布を一定方向に送るとともに、ミシ
ン針6及びルーパ装置40を軸方向を中心に回転運動さ
せる。図10に示すように、ルーパー駆動機構40a上
には、前記ルーパー駆動軸46の同軸を中心とするよう
にギア48が取り付けられており、このギア48にタイ
ミングベルト47が掛けられている。タイミングベルト
47は、図示しないモータにより回転するように構成さ
れ、タイミングベルト47が回転するとギア48を介し
てルーパー駆動機構40aと共にルーパー装置40が回
転する。さらに、タイミングベルト47の回転は、ミシ
ン針6の図示しない回転機構に伝達するようになってお
り、ルーパー装置40の回転と同期して同じ方向にミシ
ン針6も回転するようになっている。この回転機構によ
り、ルーパー装置40と共にミシン針6を回転させなが
ら前記鳩目部部分を縫うようになっている。
【0046】なお、下糸調子装置20は図10に示す位
置に設けられているが、図示しない糸供給源から導かれ
た下糸T2は、調子皿22に挟持された状態で、前記ス
プレッダー駆動軸45、ルーパー駆動軸46、ギア48
等の内部を通って、図9の点線で示すようにルーパー装
置40の左方に引き出され、左ルーパー43の前記挿通
孔43aに通されている。
【0047】ミシン針6は、前述のように左右に針振り
運動を行うことで、縫目の内側(鳩目穴H側)と外側に
針落ちするようになっている。なお、ミシン針6が内側
に位置するとき内針、外側に位置するときは外針とも言
う。また、ミシン針6の上下動における最上点を上死
点、最下点を下死点という。ミシン針6は、縫目形成
時、針振り運動及び上下運動により、内針上死点→内針
下死点→外針上死点→外針下死点→内針上死点を1サイ
クルとする繰り返し運動を行う。このミシン針6の動き
は、360゜を1サイクルとする繰り返し波形を有する
動きに模式化してとらえることもでき、その移動位置
を、内針上死点0゜→内針下死点90゜→外針上死点1
80゜→外針下死点270゜→内針上死点360゜と表
現することができる。この移動位置は、前記センサ5
7、58、59(図2)からの検出信号に基づいて検出
することができる。制御装置50は、前述のソレノイド
30に印加する電流値を下げる処理を、ミシン針6が外
針下死点から内針上死点の間で行うようになっている。
【0048】このタイミングで電流を下げるのは次ぎの
理由による。図11、図12には、かがり縫い時のミシ
ン針6、ルーパー41、43、スプレッダー42、44
の動きを、縫目の形成の様子とともに示した。図11、
図12では、ミシン針6の動きを前述のように1サイク
ルを360゜とし、ミシン針6が内針上死点(0゜)か
ら動き始めて、60゜、75゜、100゜、130゜、
240゜、260゜、290゜、325゜の移動位置に
達したときの様子を順に示している。なお、これら移動
位置はおよその値である。また図11、図12の各図に
おいて、左側が前記内側、右側が前記外側であり、T1
が上糸、T2が下糸である。さらに、図11、図12で
は、各ルーパー41、43に対して、スプレッダー4
2、44は上方向に開くように示しているが、実際に
は、ほぼ水平方向(紙面に垂直な面)に開くようになっ
ている。
【0049】まず、1サイクルの最後の時(図12
(c)、(d)参照)、右ルーパー41は、外側におい
てミシン針6に通っている上糸T1を切り欠き41aに
よって引っ掛け、ルーパー装置40の揺動により内側に
向かって移動する。このとき右スプレッダー42が大き
く開く。これにより、図11(a)に示すように、上糸
T1は内側においてループAを形成する。この状態のと
きに、ミシン針6は、内針上死点(0゜)から下降して
おり、移動位置60゜で、右ルーパー41と右スプレッ
ダー42によって形成された上糸T1のループAの中に
入りこんで、さらに下降する。ミシン針6の移動位置7
5゜の時、図11(b)に示すように、前記ループAは
ミシン針6の周囲に巻き付くように掛かり、一方右ルー
パー41と右スプレッダー42は外側に移動していく。
【0050】この右ルーパー41等の移動とともに、左
ルーパー43と左スプレッダー44も下糸T2を引っ張
りながら外側に移動してくる。またミシン針6は内針下
死点(90゜)に達すると上昇に転じ、外針上死点に向
かって斜め上方向に上昇し始めると、図11(c)(移
動位置100゜)に示すように、ミシン針6の針穴6a
に通されている上糸T1にたるみ部taが形成される。
このたるみ部ta内に、外側方向へ移動中の左ルーパー
43と左スプレッダー44が入り始める。ミシン針6は
上昇し続け、一方、左スプレッダー44は移動しながら
開いていき、たるみ部taは、図11(d)のように、
ループBを形成する。
【0051】ミシン針6は外針上死点(180゜)に達
したあと、下降し始め、移動位置240゜で図12
(a)に示すように、外側に達した左ルーパー43と左
スプレッダー44との間で広げられている下糸T2のル
ープC内に入り込む。次いで、移動位置260゜におい
て、図12(b)に示すように、左ルーパー43等は内
側に戻り始めるが、ミシン針6は下降途中であり、下糸
T2のループCはミシン針6に巻き付き、前記ループB
はループCに掛けられた状態になる。
【0052】ミシン針6が外針下死点(270゜)に達
した後、内針上死点に向かって斜め上方に移動し始める
と、移動位置290゜において図12(c)に示すよう
に、上糸T1のたるみ部tbが形成される。左ルーパー
43等の内側への移動と共に右ルーパー41と右スプレ
ッダー42も内側に移動し始め、たるみ部tbを切り欠
き41aで引っ掛け始める。ミシン針6の移動位置32
5゜の時(図12(d))、右スプレッダー42は、右
ルーパー41とともに内側に移動しながら開いていき、
再び前述のループA同様のループDを形成し始め、1サ
イクルが終了する。
【0053】上記1サイクル中、内針下死点(90゜)
から外針下死点(270゜)の間(図11(c)、
(d)、図12(a)、(b))は、左ルーパー43と
左スプレッダー44により下糸T2が内側から外側に引
き出され、ループを形成するので、下糸T2はかなり消
費される。一方、内針上死点(0゜)から内針下死点
(90゜)の間(図11(a)、(b))と、外針下死
点(270゜)から内針上死点(360゜=0゜)の間
(図12(c)、(d))は、あまり下糸T2は引き出
されない。
【0054】さらに、内針上死点から内針下死点の間
と、外針下死点から内針上死点の間とを比較すると、下
糸T2が図9に示したようにルーパー装置40の左側か
ら左ルーパー43に通されているので、ルーパー装置4
0全体が左から右(内側から外側)に揺動する内針上死
点から内針下死点間は下糸T2はルーパー装置40の動
きに連れてわずかながら引き出される。しかし、右から
左(外側から内側)へ揺動する外針下死点から内針上死
点間では、下糸T2を右側に引っ張る力はなくほとんど
引き出されず消費されない。下糸T2が多く消費されて
いるときに、ソレノイド30に印加する電流値を下げる
と、糸張力に影響し所定の糸張力に設定できない可能性
がある。そこで、制御装置50は、縫製中、下糸T2の
消費量が最も少ないとき、つまりミシン針6が外側下死
点から内針上死点の間にあるときに、電流値を下げると
いう制御処理を行うようになっている。
【0055】次ぎに下糸調子装置20の制御を図13に
より説明する。ステップS12において、スタートスイ
ッチ7がONになったか否かを判定し、ステップS12
でONであると判定するとステップS13に移行し、ミ
シンモータ60等の各駆動源が作動し始めミシン1が起
動し、図6に示す鳩目穴かがり縫いが開始する。ステッ
プS14に移行し、ミシン針6が外針の下死点に達した
か否かを判定し、達したと判定すればステップS15に
移行し、達していないと判定すればステップS14の判
定を繰り返す。ステップS15においては、糸張力を変
更するか否か、つまりソレノイド30に印加する電流の
変更命令があるか否か判定する。変更命令がなければ、
ステップS21に移行する。変更命令があれば、ステッ
プS16に移行する。
【0056】ステップS16では、電流値を上げるのか
下げるのか判定する。電流を上げる(糸張力を上げる)
場合には、ステップS18に移行し、目標とする糸張力
に対応する電流値まで上げ、ステップS21に移行す
る。ステップS16で下げると判定すれば、ステップS
17に移行する。ステップS17では、目標値よりも低
い糸張力に対応する電流値まで下げ、ステップS19に
移行する。ステップS19では、ミシン針6が内針上死
点に達したか否か判定する。達していなければステップ
S19の判定を繰り返し、達していればステップS20
に移行する。次いで、ステップS20で、目標とする糸
張力に対応する電流値まで上げる処理を行い、ステップ
S21に移行する。ステップS21では、糸切り装置に
よる糸切りを行うか否かを判定し、糸切りしないと判定
すれば、ステップS14に戻り以後のステップを繰り返
す。糸切りすると判定すれば、ステップS22に移行し
糸切り装置を駆動して糸切りを行い、ステップS23に
おいてミシン1を停止させる。
【0057】以上の本発明のミシンの下糸調子装置20
によれば、糸張力を上げる場合には、ソレノイド30に
対して目標値に対応する電流値まで上げる。一方、下げ
る場合には、図7に示したように、目標値よりも低い糸
張力に対応する電流値にまで下げて、その後目標値に対
応する電流値にまで上げる。ソレノイド30が本質的に
ヒステリシスによる電流上昇時と下降時の推力の差異を
有していても、糸張力を上げるときも下げるときも、電
流値を上げることで目標とする電流値に設定するので、
このような「差異」の影響はほとんどなく、1つの電流
値を印加することでほぼ一定の糸張力を得ることができ
る。したがって、糸張力変更前の値に関係なく、表示・
操作パネル5を介して設定した糸張力と、実際の糸張力
がほぼ一致し、安定した糸張力制御が可能となり、縫い
品質が安定し、再現性が向上する。
【0058】また、図11、図12で示したように、縫
製中については電流値を一旦下げるという制御は、下糸
T2が最も消費されない時、すなわちミシン針6の移動
位置が外針下死点から内針上死点の間にあるときに行
う。下糸T2が多く消費される時に電流値を下げると、
糸張力に影響を及ぼし所定の糸張力に設定できない可能
性もあるが、本実施の形態のように電流値を下げる区間
を限定することでこのような悪影響を防ぎ、確実に所定
の糸張力に設定できる。
【0059】加えて、糸調子に用いられるソレノイド
は、一般に駆動力が大きいものほどヒステリシス損も大
きくなる。従来であれば高い糸張力が得らえるソレノイ
ドを用いると、電流の上昇時・下降時の差異が大きくな
ってしまい、実用的ではなかった。しかし、本発明によ
れば、このヒステリシスの影響を回避できるので、駆動
力の高いソレノイドを使用でき、多様な縫製に対応でき
るようになる。
【0060】なお、本発明は上記実施の形態に限定され
ず、具体的な形状・構造その他について適宜変更可能で
ある。例えば、上記とは逆に、図14に示すように逆の
制御を行ってもよい。図14(b)において、曲線d3
が電流値を下げる場合、曲線u3が電流値を上げる場合
である。図14(a)に示すように、糸張力を上げる場
合、変更前の電流値R2から、目標値よりも高い糸張力
に対応する電流値(図14(b)のS2より高い電流
値)P2に上げ、次いで目標値に対応する電流値Q2に
下げるように制御しても、上記と同様の効果が得られ
る。つまり、制御装置50は、糸張力と電流値との対応
図14(b)の曲線d3に従うものとし、糸張力を下
げるときは、目標値M4に対応する電流値Q2まで直接
下げる。そして、糸張力を上げるときは、目標とする糸
張力よりも高い糸張力に対応する電流値P2まで上げて
から、目標値に対応する電流値Q2まで下げることで、
糸張力は曲線d3にほぼ近い曲線d’3に従って下が
り、糸張力を上げるときも下げるときも一定の電流値に
対してほぼ一定の糸張力を得ることができる。
【0061】次に、本発明の第2の実施の形態を、図1
6及び図17に基づいて説明する。ステップS1におい
て、スタートスイッチ7がONになったか否かを判定
し、ステップS1でONであると判定するとステップS
2に移行し、縫製開始前の上糸張力の設定値(例えばa
8)を読み込む。この設定値a8は、上糸が引き出され
るのに十分な低い値(張力0でも良い)が予め記憶手段
(例えばROM52)に記憶されており、ステップS2
の処理は、CPU51がこの設定値を読み込むことによ
り行われる。なお、この設定値a8を表示・操作パネル
5により設定可能としても良い。
【0062】次いで、ステップS3に移行し、設定値
(a8)の張力に対応する電流が上糸調子装置10のソ
レノイド30に印加され、上糸調子装置10が上糸に与
える糸張力が上糸が引き出されるのに十分低い値(a
8)に保たれる。この制御は、設定値a8が十分に低い
張力であるため、それまでソレノイド30に印加されて
いた電流値より下げる必要がある。従って、ソレノイド
30のヒステリシスを補正する場合は、ステップS2で
読み込まれた設定値(a8)よりも低い糸張力を上糸に
与える電流を一旦ソレノイド30に印加し、続いて、目
標値、すなわち設定値(a8)の糸張力を上糸に与える
目標の電流を上糸調子装置10のソレノイド30に印加
することにより行われる。
【0063】そして、ステップS4に移行して、作業者
によって布セット位置にセットされた布を押さえるため
に布押さえ装置が作動して、布押さえが下降する。続い
て、ステップS5に移行して、セットされた布の縫製開
始位置がミシン針下に来るように、ミシン針6の上下動
を停止させたまま布送り装置が作動して布を押さえた布
押さえをミシン針下より離れる方向に空送りさせて移動
させる。このとき、ステップS4の布押さえの下降時に
ミシン針に連なる上糸の端部が布押さえと布に挟まれて
いれば、布および上糸の端部を押さえた布押さえの移動
にともなってミシン針より上糸が引っ張られることにな
るが、本発明においては、ステップS3で上糸の張力が
十分低くなっているため、引っ張られた分、上糸が針先
より引き出され、従来発生していた針折れや糸切れを防
ぐことができる。
【0064】さらに、ステップS6に移行して縫製中の
上糸調子装置10の制御が行われる。この制御は、縫製
時の上糸の張力として設定されている図6(b)の糸張
力a1〜a7に基づいて、第1の実施の形態の図13で
示したステップS13〜ステップS21と同様な制御が
上糸調子装置10に対して行われる。次いで、ステップ
S7に移行し、糸切り装置が駆動され布下で上下糸が切
断される。
【0065】糸切りが終了すると、ステップS8に移行
して、ミシンモータ60が停止され、ミシンが停止す
る。そして、ステップS9に移行して、糸切り後におけ
るミシン停止中にミシン針6に連なる上糸に付与される
張力の設定値が読み込まれる。この設定値は、糸切り
後、作業者による布の取り出しにともなって布に刺さっ
ている上糸の端部が布上に引き出されるまでは、ミシン
針6からの上糸の引き出しを阻止可能とするように縫製
時よりも高い張力を上糸に与える設定値(例えばa9)
として予め記憶手段(例えばROM52)に記憶されて
おり、ステップS9の処理は、CPU51がこの設定値
を読み込むことにより行われる。なお、この設定値a9
を表示・操作パネル5により設定可能としても良い。
【0066】次いで、ステップS10に移行して、目標
の糸張力、すなわちステップS9で読み込まれた設定値
a9の張力に対応する目標の電流がソレノイド30に印
加されて、上糸に目標の糸張力が付与されて、処理が終
了する。なお、このときのソレノイド30に対する電流
の印加は、設定値a9が縫製中の糸張力よりも高く設定
されており、常に縫製時よりも高い電流を流すため、ヒ
ステリシスによる誤差を考慮して上昇、下降の判断を行
う必要はなく、即電流を目標の電流に上昇させている。
【0067】この後、作業者により、縫製が終了した布
の取り出しが行われるが、既にステップS10でミシン
針6からの上糸の引き出しを阻止可能にする張力が上糸
に与えられているため、ミシン針6からの上糸の引き出
しを防止することができ、縫い始めの鳥の巣の発生を防
ぐことができる。また、、針先に残る糸残り長さが長く
なることに帰因して、布セットのため布押さえが下降し
たときに上糸の端部が布押さえに挟まれて発生する針折
れや糸抜け発生するを防止できる。
【0068】なお、ステップS10で与えた張力は、次
の縫製のために、作業者により再度スタートスイッチ7
が操作されるまで維持する構成としても良いが、布の取
り出しが完了するであろう所定時間だけ維持するように
して、その後は、開放あるいは、縫製開始前の張力a8
をスタートスイッチ7が操作される前に予め与えたおい
ても良い。あるいは、布の取り出しを検知するセンサを
設けて、センサにより布の取り出しが検知されるまで、
ステップS10で与えた張力を維持する構成としても良
い。
【0069】次に、図17のタイムチャートに基づい
て、図16で示した制御を行った場合の上糸に与えられ
る張力の変化を説明する。
【0070】まず、時刻t1でスタートスイッチ7がO
Nされると、上糸が引き出されるのに十分な低い張力a
8が上糸に与えられる。なお、このa8の値は、0でも
良い。この張力a8は、布が縫製開始位置に移動されて
縫製が開始されるt2の時刻まで維持される。そのた
め、ミシン針の針先に連なる上糸の端部が布押さえに挟
まれて移動されても、上糸が引き出され、針折れや糸切
れが防止できる。
【0071】そして、時刻t2で縫製が開始されると、
縫製時の上糸の張力として設定されている図6(b)に
示した糸張力a1〜a7の張力が与えられ、縫製が行わ
れる。さらに、縫製が完了し、時刻t3において糸切り
が完了すると、糸切り後、作業者による布の取り出しに
ともなってミシン針6から上糸が引き出されるのを阻止
するための縫製時よりも高い張力a9が上糸に与えられ
る。この場合、従来は一点差線で示すように、糸切り完
了後も縫製終了時の張力が維持されたままであるので、
上糸が針先から引き出されることがあるが、本発明の場
合は、上糸の引き出しを阻止可能とする強い張力(a
9)が与えられるので、上糸の引き出しが確実に防止さ
れる。
【0072】そして、時刻t4において、再度スタート
スイッチ7が操作されることにより、上糸にa8の張力
が与えられる。この場合も従来は、一点差線で示すよう
に縫製終了時の張力が維持されたままであるので、針折
れや糸切れが発生する場合があるが、本発明の場合はそ
のような不具合の発生を確実に防止することができる。
なお時刻t1および時刻t4では、ソレノイド30のヒ
ステリシスを補正する場合は、一旦糸張力をa8より下
げる制御を行っているが、図17では、図の簡略化のた
めその変化は省略した。
【0073】また、図16のフローチャートに示した上
糸調子装置の制御は、上記第2の実施の形態では、糸調
子装置の駆動源として糸に与える張力を変化させるソレ
ノイドを用いた例を示しているが、上記ソレノイドに限
らず、張力を電気的に変化させることが可能な駆動源で
あれば、パルスモータや、ボイスコイルモータ、ヒステ
リシスモータ等を使用しても良いことは勿論である。
【0074】また、第1の実施の形態及び第2の実施の
形態は、本発明を鳩目穴かがりミシンに適用した例を示
したが、鳩目穴かがりミシンに限らず、各種ミシンに適
用可能である。
【0075】
【発明の効果】請求項1に記載によれば、糸張力を下げ
る場合には、目標値よりも低い糸張力に対応する電気量
をソレノイドに印加し、その後目標とする糸張力に対応
する電気量にまで上げ、糸張力を上げる場合には、ソレ
ノイドに対して目標とする糸張力に対応する電流値まで
直接上げることで、結局糸張力を上げるときも下げると
きも、電気量を上げることで目標とする電気量を印加す
ることになるので、ソレノイドの電気量の上昇時と下降
時に関する前述の差異の影響はほとんどなくなり、1つ
の電気量に対してほぼ一定の糸張力を得ることができ
る。したがって、糸張力変更前の値に関係なく、作業者
が設定した糸張力と、実際の糸張力がほぼ一致するよう
になり、安定した糸張力制御が可能となり、縫い品質が
安定し、再現性が向上する。
【0076】請求項2に記載の発明によれば、制御手段
は、前記所定の目標値よりも低い糸張力に対応する電気
量をソレノイドに印加するタイミングについて、サイク
ルミシンの1サイクルの動きの中で糸の消費量が最も少
ないときに行うように制御する。糸が多く消費されてい
る時に電気量を大きく下げると、この時の糸張力の変化
が糸締まりに影響を及ぼす可能性もあるが、請求項2の
ように電気量を下げる区間を糸の消費量が最も少ない時
に限定することでこのような悪影響を防ぎ、確実に所定
の糸張力に設定できる。
【0077】請求項3に記載の発明によれば、糸張力を
上げる場合には、目標値よりも高い糸張力に対応する電
気量をソレノイドに印加し、その後目標とする糸張力に
対応する電気量にまで下げ、下げる場合にはソレノイド
に対して目標とする糸張力に対応する電流値まで直接下
げることで、結局糸張力を上げるときも下げるときも、
電気量を下げることで目標とする電気量を印加すること
になるので、ソレノイドの電気量の上昇時と下降時に関
する前述の差異の影響はほとんどなくなり、1つの電気
量に対してほぼ一定の糸張力を得ることができる。した
がって、糸張力変更前の値に関係なく、作業者が設定し
た糸張力と、実際の糸張力がほぼ一致するようになり、
安定した糸張力制御が可能となり、縫い品質が安定し、
再現性が向上する。
【0078】請求項4に記載の発明によれば、制御手段
は、前記所定の目標値よりも高い糸張力に対応する電気
量をソレノイドに印加するタイミングについて、サイク
ルミシンの1サイクルの動きの中で糸の消費量が最も少
ないときに行うように制御する。糸が多く消費されてい
る時に電気量を大きく上げると、この時の糸張力の変化
が糸締まりに影響を及ぼす可能性もあるが、請求項4の
ように電気量を上げる区間を糸の消費量が最も少ない時
に限定することでこのような悪影響を防ぎ、確実に所定
の糸張力に設定できる。
【0079】請求項5に記載の発明によれば、糸切り
後、少なくとも、糸切り手段により切断された上糸の端
部が、布の移動により布上に引き出されるまでは、縫製
時よりも高い張力を上糸に与え布の移動によるミシン針
からの上糸の引き出しを阻止可能とするするように上糸
調子装置を制御する。したがって、縫製時に糸に付与さ
れていた張力が低い場合でも、糸切り後に作業者が布を
引き出す際に針糸が針の目穴から引き出されないような
張力を与えることができ、針先に残る糸残り長さが長く
なることにより発生する鳥の巣、糸切れ、針折れ等の不
具合の発生を防いで、縫い品質の向上及び縫製効率低下
の防止を図ることができる。
【0080】請求項6記載の発明によれば、上糸調子装
置に加えて下糸調子装置を備えるミシンにおいても糸切
り後縫製時よりも高い張力を糸に与える制御を、上糸調
子装置に対してのみ行うので、請求項5記載の発明と同
様な効果を得ることができる。
【0081】請求項7記載の発明によれば、布がセット
位置から縫製開始位置に搬送される間は、布送り装置に
よるミシン針からの上糸の繰り出しを許容する張力を上
糸に与えるように糸調子装置を制御する。従って、布を
セットするときに下降される布押さえと布の間にミシン
針の針先に残る上糸の端部が挟まれ、布送り装置によっ
て布及び上糸の端部を挟んだ布押さえが針下から離れる
方向へ移動される場合においても、上糸の繰り出しを許
容するように低い張力が上糸調子装置により糸に付与さ
れているので、布送り装置の移動にともなってミシン針
の針先から上糸が引き出され、布がセット位置から縫製
開始位置に搬送される間に発生する針折れや糸切れを防
止することができ、縫製能率の低下を防ぐことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の糸調子装置が適用されるミシンを模式
的に示す図である。
【図2】図1のミシンの概略構成を示すブロック図であ
る。
【図3】下糸調子装置の構成を示す分解斜視図である。
【図4】下糸調子装置のソレノイドを示す断面図であ
る。
【図5】図4のソレノイドのストローク対推力を示すグ
ラフ図である。
【図6】(a)は鳩目穴かがり縫いの形状と各部の名称
を示し、(b)は(a)の縫目を形成するときに用いる
パターンデータを示す図である。
【図7】制御装置によって行われる糸張力を下げるとき
の制御方法のイメージを示す図である。
【図8】ソレノイドに印加する電流値に対する糸張力の
関係を示すグラフである。
【図9】ルーパー装置を示す平面図である。
【図10】ルーパー駆動機構を示す斜視図である。
【図11】縫製時のミシン針と左右のルーパーとスプレ
ッダーの動きを順を追って説明する図である。
【図12】縫製時のミシン針と左右のルーパーとスプレ
ッダーの動きを順を追って説明する図である。
【図13】本発明の下糸調子装置の制御を示すフローチ
ャートである。
【図14】本発明の電流制御の他の例を説明する図であ
り、(a)は制御方法のイメージを示し、(b)は電流
値に対する糸張力の関係を示すグラフである。
【図15】糸調子装置に用いられるソレノイド特有の性
質を説明する図であり、(a)および(b)は電流値に
対する糸張力の関係を示すグラフである。
【図16】本発明の上糸調子装置の制御を示すフローチ
ャートである。
【図17】本発明の上糸調子装置によって、上糸に与え
られる張力の変化を示す示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 ミシン 5 表示・操作パネル 6 ミシン針 7 スタートスイッチ 10 上糸調子装置 20 下糸調子装置 21 糸調子軸 22 調子皿(糸調子器) 23 ベース板 24 糸調子軸ナット 26 調子バネ 30 ソレノイド 31 プランジャ(可動部) 40 ルーパー装置 41 右ルーパー 42 右スプレッダー 43 左ルーパー 44 左スプレッダー 50 制御装置(制御手段) T1 上糸 T2 下糸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂井 克秋 東京都調布市国領町8丁目2番地の1 ジ ューキ株式会社内 Fターム(参考) 3B150 AA24 CB03 CD01 CD04 CE01 CE06 CE23 FD07 JA04 JA07 JA11 LA51 LB03 NA47 NB15 NC11 PA03 QA01 QA02 QA04 QA06 QA07

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ミシンの糸に張力を与える糸調子器と、 糸調子器に作用して糸に与える張力を変化させるソレノ
    イドとを備え、 ソレノイドは、このソレノイドの可動部のストロークを
    S、可動部の推力をF、ソレノイドに印加される電気量
    をC、ストロークと推力の微少変化量をそれぞれΔS、
    ΔFとした場合、C=一定のときにΔF/ΔS≒0であ
    る特定のストローク区間を有し、 糸調子器に作用する可動部のストロークが前記特定のス
    トローク区間に設定され、ソレノイドに印加される電気
    量を制御することで糸に与える張力を変更可能なミシン
    の糸調子装置において、 糸張力を所定の目標値に下げる場合に、前記所定の目標
    値よりも低い糸張力に対応する電気量をソレノイドに印
    加し、次いで前記所定の目標値に対応する電気量を印加
    するように制御する制御手段を備えることを特徴とする
    ミシンの糸調子装置。
  2. 【請求項2】ミシンはサイクルミシンであり、 制御手段は、縫製中、1サイクルの中で糸の消費量が最
    も少ないときに、前記所定の目標値よりも低い糸張力に
    対応する電気量をソレノイドに印加するように制御する
    ことを特徴とする請求項1に記載のミシンの糸調子装
    置。
  3. 【請求項3】ミシンの糸に張力を与える糸調子器と、 糸調子器に作用して糸に与える張力を変化させるソレノ
    イドとを備え、 ソレノイドは、このソレノイドの可動部のストロークを
    S、可動部の推力をF、ソレノイドに印加される電気量
    をC、ストロークと推力の微少変化量をそれぞれΔS、
    ΔFとした場合、C=一定のときにΔF/ΔS≒0であ
    る特定のストローク区間を有し、 糸調子器に作用する可動部のストロークが前記特定のス
    トローク区間に設定され、ソレノイドに印加される電気
    量を制御することで糸に与える張力を変更可能なミシン
    の糸調子装置において、 糸張力を所定の目標値に上げる場合に、前記所定の目標
    値よりも高い糸張力に対応する電気量をソレノイドに印
    加し、次いで前記所定の目標値に対応する電気量を印加
    するように制御する制御手段を備えることを特徴とする
    ミシンの糸調子装置。
  4. 【請求項4】ミシンは、サイクルミシンであり、 制御手段は、縫製中、1サイクルの中で糸の消費量が最
    も少ないときに、前記所定の目標値よりも高い糸張力に
    対応する電気量をソレノイドに印加するように制御する
    ことを特徴とする請求項3に記載のミシンの糸調子装
    置。
  5. 【請求項5】上下動されるミシン針と、 前記ミシン針に連なる糸を布下で切断する糸切り手段
    と、 前記ミシン針に連なる上糸に与える張力を電気的に変化
    させる上糸調子装置とを備えたミシンにおいて、 糸切り後、少なくとも、前記糸切り手段により切断され
    た上糸の端部が、布の移動により布上に引き出されるま
    では、縫製時よりも高い張力を上糸に与え前記布の移動
    によるミシン針からの上糸の引き出しを阻止可能にする
    ように前記糸調子装置を制御する制御手段を備えること
    を特徴とするミシン。
  6. 【請求項6】前記ミシンが下糸調子装置を備え、前記糸
    切り後縫製時よりも高い張力を糸に与える制御を、上糸
    調子装置に対してのみ行う制御手段を備えることを特徴
    とする請求項5記載のミシン。
  7. 【請求項7】上下動されるミシン針と、 前記ミシン針に連なる上糸に与える張力を電気的に変化
    させる上糸調子装置と、 前記ミシン針の上下動と直交する方向に布を搬送する布
    搬送手段と、 布搬送手段に連結され、下降することによって布を押さ
    える布押さえ手段とを備え、 縫製開始前に、セット位置にて前記布押さえ手段によっ
    て押さえられた布を前記布搬送手段により前記ミシン針
    に対して離れる方向に移動することによって縫製開始位
    置に搬送し、縫製開始位置において縫製を開始するミシ
    ンにおいて、 布が前記セット位置から前記縫製開始位置に搬送される
    間は、前記布搬送手段による前記ミシン針からの上糸の
    繰り出しを許容する張力を上糸に与えるように前記上糸
    調子装置を制御する制御手段を備えることを特徴とする
    ミシン。
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