JP2007175152A - ミシン - Google Patents

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Abstract

【課題】 縫製開始に際して針棒を針上位置に移動させて「針上位置エラー」を解除する解除操作を迅速化且つ簡単化できるようにすること。
【解決手段】 鳩目穴かがり縫いの縫製開始時に、針棒位置信号と針上信号が読み込まれる。針棒が内針縫製サイクルのうちの「逆回転範囲A」のとき、又は針棒が外針縫製サイクルのうちの「逆回転範囲B」のときには、「針上位置エラー」とハンドプーリの「逆回転方向」が表示される。一方、針棒が外針縫製サイクルのうちの「逆回転範囲C」のとき、又は針棒が内針縫製サイクルのうちの「逆回転範囲D」のときには、「針上位置エラー」とハンドプーリの「順回転方向」が表示される。
【選択図】 図5

Description

本発明は、ミシンに関し、縫製開始時に、針上位置以外にある針棒を、針上位置に最短経路で移動させる為の主軸の回転方向(ハンドプーリの回転操作方向)を、作業者に分かり易く知らせるようにしたものに関する。
従来、ミシンとして、例えば、針棒やルーパーを有する鳩目穴かがりミシンにおいては、予め選択した鳩目穴かがり用の縫目模様により被加工布に鳩目穴かがり縫目が縫製されると、縫製終了時には針棒は、外針用の縫製位置に向かう直前の針上位置、つまり内針針上位置で停止する。しかし、例えば、模様確認モードを設定した場合、針棒を上下動させることなく送り台だけを移動させることで、次に縫製する鳩目穴かがり縫目を確認することができる。
この場合、作業者は縫目模様の確認を容易にする為に、ハンドプーリを手動操作して、縫針の下端が送り台上の被加工布に接近する位置まで針棒を下降させた状態で、縫目模様を確認する場合が多い。そこで、このように、針棒を針上位置から下降させた状態では、次の縫製を行うに際して、「針上位置エラー」の状態になって縫製が行えない。その為、作業者は、縫製開始に先立って、再度ハンドプーリを手動操作して、針棒を針上位置まで移動させるようにしている。
そこで、例えば、特許文献1に記載のミシンは、主軸を駆動するミシンモータと、半回転釜を駆動する釜駆動モータとを夫々専用に設け、電源投入時に、主軸の原点位置設定及び釜軸原点設定を行うに際して、縫針と半回転釜とが干渉しないように、先ず、ミシンモータを駆動させて、針棒を針上位置に自動的に移動させるようにしてある。
特開平10−328454号公報 (第4〜5頁、図9)
特許文献1に記載のミシンにおいては、電源投入時に、針棒を自動的に針上位置に移動させるようにしてあるが、この為に、制御装置のROMに、「針棒の上死点への退避処理」の為の制御プログラムを余分に設けることになり、コスト高になること、電源投入状態であって、縫製開始時に針棒が上死点以外の位置にあるときには、針棒を上死点に移動できないこと、等の問題がある。
しかし、「針棒の上死点への退避処理」の為の制御プログラムを設けないで、作業者がハンドプーリを手動操作で回転させて、針棒を針上位置に移動させるに際して、ハンドプーリを時計回り又は反時計回りの何れの方向に回転させればはよいのかが分からない。その為、先ず、ハンドプーリを任意の方向に回転させ、針棒が上昇すればよいが、下降する場合には、ハンドプーリを逆方向へ回転させるようになり、「針上位置エラー」を解除する解除操作が複雑化すること、縫製開始が遅れること、等の問題がある。
本発明は、以上のような問題点を解消する為になされたものであり、縫製開始に際して、針棒を手動操作で針上位置に移動させて「針上位置エラー」を解除させる解除操作を迅速化且つ簡単化できるようにすることを目的とするものである。
請求項1のミシンは、ミシンモータで主軸を介して上下に往復駆動される針棒と、この針棒の下端に取付けられた縫針と協働して上糸の糸輪を補足する糸輪捕捉手段とを備えたミシンにおいて、針棒の針上位置を検出する針上検出手段と、主軸の回転位相角を示すエンコーダ信号を発生させるエンコーダ手段を有し、主軸の回転位相角を検出する位相角検出手段と、ミシンの起動時に、針上検出手段からの検出信号と位相角検出手段の位相角情報を受け、針棒が針上位置でないときに針棒を最短経路で針上位置に移動させる主軸の回転方向を判定する回転方向判定手段と、回転方向判定手段から受けた主軸の回転方向を通知する通知手段とを備えたものである。
縫製に際してミシンモータが駆動されると主軸の回転により針棒が上下に往復駆動されるので、この針棒に取付けられた縫針と、これに同期して駆動される糸輪捕捉器との協働により、被加工布に縫目が形成される。ところで、縫製処理が終了した場合、一般的に、針棒はその最上位置で停止し、針上位置から次の縫製が開始される。
しかし、次の縫製開始に際して、針棒が針上位置以外の位置に下降しているような場合、回転方向判定手段は、針上検出手段で検出された検出信号と、位相角検出手段で検出される主軸の回転位相角とに基づいて、針棒を最短経路で針上位置に移動させる為の主軸の回転方向を判定するので、通知手段により、主軸の回転方向が通知される。それ故、作業者は、その通知された回転方向に主軸を回転することにより、針棒は早期に針上位置に移動される。
請求項2のミシンは、請求項1において、前記回転方向判定手段から受けた主軸の回転方向を表示可能な操作パネルを備え、通知手段を操作パネルで構成したものである。
請求項3のミシンは、請求項2において、ミシンの起動時に前記針上検出手段の検出信号を受け、針棒が針上位置でないときには針上位置エラーであることを表示するエラー表示手段を設けたものである。
請求項4のミシンは、請求項3において、前記ミシンは針棒を内針位置と外針位置とに交互に揺動させる針振り機構を有する鳩目穴かがりミシンであり、針棒が主軸の回転位相角360°に亙る内針縫製サイクルと主軸の回転位相角360°に亙る外針縫製サイクルの何れであるかを検出する針棒位置検出手段を設け、回転方向判定手段はミシンの起動時に針棒位置検出手段から検出信号を受け針棒を最短経路で内針針上位置に移動させる主軸の回転方向を判定するものである。
請求項5のミシンは、請求項4において、前記主軸に、外部から手動操作可能なハンドプーリが連結されたものである。
請求項1の発明によれば、ミシンモータで主軸を介して上下に往復駆動される針棒と、この針棒の下端に取付けられた縫針と協働して上糸の糸輪を補足する糸輪捕捉手段とを備えたミシンにおいて、針上検出手段と、位相角検出手段と、回転方向判定手段と、通知手段とを備え、ミシンの起動時に、針棒が針上位置でないときには、針棒を針上位置に移動させる主軸の回転方向が通知されるので、作業者は通知された回転方向に基づいて主軸を回転させるだけで、針棒を迅速にその針上位置に移動させることができる。
それ故、縫製開始に際して、針棒が針上位置以外の場合であっても、針棒の針上位置への移動操作を迅速化且つ簡単化でき、次の縫製を迅速に開始することができ、縫製サイクルタイムを大幅に短縮することができる。
請求項2の発明によれば、前記回転方向判定手段から受けた主軸の回転方向を表示可能な操作パネルを備え、通知手段を操作パネルで構成したので、作業者は操作パネルへの表示を介して通知された主軸の回転方向を容易に且つ正確に知ることができる。その他請求項1と同様の効果を奏する。
請求項3の発明によれば、ミシンの起動時に前記針上検出手段の検出信号を受け、針棒が針上位置でないときには針上位置エラーであることを表示するエラー表示手段を設けたので、作業者は、針棒が針上位置でないことを、表示された針上位置エラーにより容易に且つ明確に認識することができる。その他請求項2と同様の効果を奏する。
請求項4の発明によれば、前記ミシンは針棒を内針位置と外針位置とに交互に揺動させる針振り機構を有する鳩目穴かがりミシンであり、針棒位置検出手段を設け、回転方向判定手段はミシンの起動時に針棒位置検出手段から検出信号を受け針棒を最短経路で内針針上位置に移動させる主軸の回転方向を判定するので、鳩目穴かがり縫いを内針針位置から開始する場合に、針上位置エラー表示により、針棒が内針針上位置でないことが容易に分かり、しかも、針棒を最短経路で内針針上位置に移動させる主軸の回転方向が表示されるので、作業者はこの表示された回転方向に主軸を回転させればよく、針棒の内針針上位置への移動を迅速化できるとともに、縫製サイクルタイムを大幅に短縮することができる。その他請求項3と同様の効果を奏する。
請求項5の発明によれば、前記主軸の一端部に、外部から手動操作可能なハンドプーリが一体的に連結されたので、作業者は、表示された回転方向にハンドプーリを回転操作することができ、針棒の内針針上位置への移動が簡単化する。その他請求項4と同様の効果を奏する。
本実施例の鳩目穴かがりミシンは、縫製開始に際して「針上位置エラー」の場合に、針棒を内針針上位置に移動させて「針上位置エラー」を解除させる為のハンドプーリの回転方向を表示するようにしてある。
図1,図2に示すように、鳩目穴かがりミシン1は、鳩目穴かがり縫目と鳩目穴を形成するものであり、上方を開放した略矩形箱状をなすベッド台2と、そのベッド台2に嵌め込むように載置されたベッド部3と、そのベッド部3の後方部から立設される脚柱部4と、その脚柱部4の上部から前方に延びるアーム部5等を有し、ミシンテーブルT上に載置固定されている。
このミシンテーブルTの上側に、操作パネル6が設けられるとともに、ミシンテーブルTの下側に、各機構の作動を制御するマイクロコンピュータからなる制御装置20を収納した制御ボックス9が設けられている。操作パネル6には、液晶ディスプレイ7や複数の操作スイッチからなるスイッチ類8が設けられている。そこで、作業者は液晶ディスプレイ7を介して複数種類の鳩目穴かがり縫目のうちから択一的に選択する等、各種の操作が指示される。
ところで、図示を省略するが、アーム部5内において、主軸が前後方向向きに配設され、複数箇所において機枠に回転可能に支持されている。アーム部5の前後方向のほぼ中央部において、主軸と直交状に立体交差する副軸が左右向きに配設され、この副軸の一端部にハンドプーリ10が固着されている。
主軸はタイミングベルトを介してミシンモータ40(図3参照)により直接駆動され、副軸はハイポイドギヤを介して主軸に連結されている。それ故、作業者がハンドプーリ10を手動で反時計回り(順方向)に又は反時計回り(逆方向)に回転操作すると、副軸を介して主軸が所定回転方向と反所定回転方向とに回転する。
図2に示すように、アーム部5の先端下部には、縫針11を備えた針棒12が上下動可能に設けられ、詳しく図示はしないが、ミシンモータ40の駆動により回転する主軸の回転力がカム機構に伝達され、針振り機構により針棒12が所定の針振り幅だけ左右に揺動しながら上下駆動されるようになっている。この場合、主軸がミシンモータ40により2回転する毎に、針棒12は左側揺動位置(内針位置)と右側揺動位置(外針位置)とに揺動するようになっている。
また、ベッド部3には、針棒12に対向するように2個のルーパー(図示略)を備えたルーパー土台14が設けられ、これら2個のルーパーは図示しないカム機構を介して主軸の回転により、針棒12の上下動と調時して駆動されるようになっている。また、針棒12及びルーパー土台14はベッド部3内に設けられたθ方向駆動モータ42(図3参照)及びギヤ機構からなる回動機構(図示略)により、夫々水平面において、鉛直軸周りに一体的に回動するようになっている。
ベッド部3には、ルーパー土台14の後方側に位置して固定配置された鳩目穴を形成する為のメス15が着脱可能に取付けられるとともに、このメス15に対して上方より接離する打ち抜き用ハンマー16が揺動可能に設けられている。
この打ち抜き用ハンマー16の先端部には、ハンマー17が着脱可能に取付けられている。その打ち抜き用ハンマー16はベッド部3内に設けられた図示外のエアシリンダ等からなるハンマー駆動機構により駆動され、ハンマー17とメス15の協働により、略円形状の鳩目穴部とこれに連なる直線状の脚穴部とからなる鳩目穴が被加工布に穿孔されるようになっている。
ベッド部3の上面部には、図1,図2に示すように、被加工布を載置する送り台18が設けられている。この送り台18は、全体として薄形の矩形箱状をなし、ルーパー土台14及びメス15に対向する部位が開放されている。また、この送り台18の上面には、図示を省略するが、金属製からなる左右1対のクロスプレートが夫々設けられている。
ベッド部3内には、この送り台18を、ステッピングからなるX方向駆動モータ47(図3参照)の駆動によりX方向(左右方向)に送り移動させるX方向移動機構(図示略)と、ステッピングモータからなるY方向駆動モータ49(図3参照)の駆動によりY方向(前後方向)に送り移動させるY方向移動機構(図示略)とが設けられている。
次に、鳩目穴かがりミシン1の制御系の概要について、図3のブロック図に基づいて説明する。
鳩目穴かがりミシン1の制御ボックス9に収納された制御装置20は、CPU21とROM22とRAM23及び不揮発性メモリ24等を含むマイクロコンピュータと、そのマイクロコンピュータにデータバスなどのコモンバス25を介して接続された入力インターフェース26及び出力インターフェース27等から構成されている。
入力インターフェース26には、起動・停止スイッチ30と、図示しない布押えに連結された布押えスイッチ31と、針棒12の針上位置を検出する針上位置検出センサ32と、針棒12の針下位置を検出する針下位置検出センサ33と、針棒12の揺動位置を検出する針棒位置検出センサ34と、送り台18のX方向原点位置を設定するX方向原点センサ35と、送り台18のY方向原点位置を設定するY方向原点センサ36と、θ方向駆動モータ42のθ方向原点位置を設定するθ方向原点センサ37と、操作パネル6等が接続されている。
針上位置検出センサ32は、近接スイッチからなり、副軸に一体的に設けられた針上用円板に所定範囲に亙って形成された突出部に反応して、主軸の回転位相角「337.5〜22.5°」の範囲(約45°)に亙って「H」レベルの針上信号を出力する。また、針下位置検出センサ33は、近接スイッチからなり、副軸に一体的に設けられた針下用円板に所定範囲に亙って形成された突出部に反応して、主軸の回転位相角「157.5〜202.5°」の範囲(約45°)に亙って「H」レベルの針下信号を出力する。
ここで、図5に示すように、針上位置検出センサ32から「H」レベルの針上信号が出力される主軸の回転位相角45°の範囲が針上位置である。また、針棒位置信号が「H」レベルであり且つ針上信号が「H」レベルの範囲が内針針上位置である。
針棒位置検出センサ34は、近接スイッチからなり、副軸に一体的に設けられた針棒揺動位置用円板に所定範囲に亙って形成された突出部に反応して、針棒12の針上位置を含む主軸の回転位相角「360°」分に対応する内針縫製サイクルに亙って「H」レベルの針棒位置信号を出力(図5参照)し、主軸の回転位相角「360°」分に対応する外針縫製サイクルに亙って「L」レベルの針棒位置信号を出力(図5参照)する。具体的には、針上位置の主軸の回転位相角を挟んで主軸の回転位相角が前後180°である360°を示している。
出力インターフェース27からは、ACサーボモータからなるミシンモータ40の為の駆動回路41と、θ方向駆動モータ42の為の駆動回路43と、打ち抜き用ハンマー16を駆動するエアシリンダ44に連結された電磁切換え弁45の為の駆動回路46と、送り台18を移動駆動するX方向駆動モータ47の為の駆動回路48と、Y方向駆動モータ49の為の駆動回路50に夫々駆動信号が供給される。
ここで、180本の細線を等間隔で放射状に描いたエンコーダディスク(図示略)がミシンモータ40の駆動軸に固着され、このエンコーダディスクを読み取り可能に位相角センサ51が設けられている。即ち、ミシンモータ40の駆動軸が回転位相角2°回転されると、位相角センサ51は1つのエンコーダ信号を入力インターフェース26に出力するようになっている。
ROM22には、複数のスイッチ30,31や複数のセンサ32〜37から入力される入力信号を受け、各モータ40,42,47,49を駆動させるミシン制御プログラム、位相角センサ51からのエンコーダ信号をカウントして主軸の回転位相角を検出する回転位相角検出プログラム、後述する本願特有の針上位置エラー表示制御の制御プログラムなどが格納されている。また、RAM23には、鳩目穴かがり縫いに際して、作成された鳩目穴かがり縫いの縫製データを格納する縫製データメモリに加えて、各種のワークメモリ、バッファやポインタなどが設けられている。
ここで、ミシンモータ40が1回転して主軸が1回転するように構成されている。また、前述した回転位相角検出制御プログラムにより、位相角センサ51から受けるエンコーダ信号を順次カウントしながら主軸の回転位相角が検出される。更に、エンコーダ信号のカウント値は、主軸が1回転して「0、1、2・・・・179」までカウントしたとき、つまり針上信号が「H」レベルから「L」レベルに立ち下がるタイミングで出力されるリセット信号でリセット(クリア)される。
次に、鳩目穴かがりミシン1の制御装置20により実行される針上位置エラー表示制御のルーチンについて、図4フローチャートに基づいて説明する。ここで、鳩目穴かがり縫いの縫製を開始するに際して、縫針11の直下に被加工布の縫製開始位置を位置決めする為に送り台18を移動させるときに、縫針11が送り台18に干渉しないように、針棒12は必ず内針針上位置に移動させておくように、この針上位置エラー表示制御が実行される。但し、図中符号Si(i=11、12、13・・・)は各ステップである。
起動・停止スイッチ30が操作されて、縫製処理が開始されるに先立って、針上位置エラー表示制御が開始される。この制御が開始されると、先ず、針棒位置検出センサ34から出力される針棒位置信号が読み込まれる(S11)。この読み込まれた針棒位置信号が「H」レベルである、つまり針棒12が内針縫製サイクル(主軸の回転位相角が0°である針棒12の内針針上位置を含む主軸の回転位相角360°に亙る縫製サイクル)のときに(S12:Yes)、針上位置検出センサ32から出力される針上信号が読み込まれる(S13)。
次に、この針上信号が「H」レベルであって針棒12が針上位置の場合には(S14:Yes)、針棒12が針上位置に位置し、直ぐに縫製を開始できる状態である為、針上位置エラーを何ら表示することなく、この制御を終了する。
一方、針上位置でない場合に(S14:No)、エンコーダ信号のカウント値Eが「0≦E≦79」のときには(S15:Yes)、液晶ディスプレイ7に「針上位置エラー」が表示され(S18)、ハンドプーリ10を逆方向に回転させた方が、針棒12を最短経路で内針針上位置に移動できる為、液晶ディスプレイ7に逆回転方向を指示する画面が表示される(S19)。
しかし、エンコーダ信号のカウント値Eが「80≦E≦157」のときには(S15:No)、ハンドプーリ10を順方向に回転させた方が、針棒12を最短経路で内針針上位置に移動できる為、液晶ディスプレイ7に「針上位置エラー」が表示され(S16)、液晶ディスプレイ7に順回転方向を指示する画面が表示される(S17)。
一方、読み込まれた針棒位置信号が「L」レベルであって針棒12が外針縫製サイクル(主軸の回転位相角が0°である針棒12の外針針上位置を含む主軸の回転位相角360°に亙る縫製サイクル)のときに(S12:No)、エンコーダ信号のカウント値Eが「80≦E≦170」のときには(S20:Yes)、液晶ディスプレイ7に「針上位置エラー」が表示され(S18)、ハンドプーリ10を逆方向に回転させた方が、針棒12を最短経路で内針針上位置に移動できる為、液晶ディスプレイ7に逆回転方向を指示する画面が表示される(S19)。
しかし、エンコーダ信号のカウント値Eが、「171≦E≦179」又は「0≦E≦79」のときには(S20:No)、ハンドプーリ10を順方向に回転させた方が、針棒12を最短経路で内針針上位置に移動できる為、液晶ディスプレイ7に「針上位置エラー」が表示され(S16)、液晶ディスプレイ7に順回転方向を指示する画面が表示される(S17)。
そこで、作業者が、表示された回転方向を参照して、ハンドプーリ10を手動操作で逆方向に又は順方向に回転させることにより、針棒12が内針縫製サイクルであり且つ内針針上位置に最短経路で移動する。このとき、液晶ディスプレイ7に「針上位置エラー」が表示されなくなり、手動操作による針棒12の内針針上位置への移動が完了する。
次に、針上位置エラー表示の作用及び効果について、図5を参照して説明する。
例えば、針棒12が「逆回転範囲A」にあるときには、エンコーダ信号のカウント値Eが「0≦E≦79」であるので、図6に示すように、液晶ディスプレイ7には、「針上位置から外れています」とハンドプーリ10の回転方向「逆回転方向」、つまり主軸の逆回転方向が同時に表示される。
また、針棒12が「逆回転範囲B」にあるときにも、同様に、エンコーダ信号のカウント値Eが「80≦E≦170」であるので、図6に示すように、液晶ディスプレイ7には、「針上位置から外れています」とハンドプーリ10の回転方向「逆回転方向」、つまり主軸の逆回転方向が同時に表示される。
一方、針棒12が「順回転範囲C」にあるときには、エンコーダ信号のカウント値Eが「171≦E≦179」且つ「0≦E≦79」であるので、図7に示すように、液晶ディスプレイ7には、「針上位置から外れています」と、ハンドプーリ10の回転方向「順回転方向」、つまり主軸の順回転方向が同時に表示される。
更に、針棒12が「順回転範囲D」にあるときにも、同様に、エンコーダ信号のカウント値Eが「80≦E≦157」であるので、図7に示すように、液晶ディスプレイ7には、「針上位置から外れています」とハンドプーリ10の回転方向「順回転方向」、つまり主軸の順回転方向が同時に表示される。
ここで、針上位置検出センサ32等が針上検出手段に相当する。また、位相角センサ51等がエンコーダ手段に相当する。また、回転位相角検出プログラムを実行する制御装置20が位相角検出手段に相当する。また、針上位置エラー表示制御のS11〜S15とS20等を実行する制御装置20が回転方向判定手段に相当する。また、液晶ディスプレイ7を有する操作パネル6と針上位置エラー表示制御のS17、S19等を実行する制御装置20とが通知手段に相当する。また、針上位置エラー表示制御のS17,S19等を実行する制御装置20がエラー表示手段に相当する。更に、針上位置エラー表示制御のS12等を実行する制御装置20が針棒位置検出手段に相当する。
このように、鳩目穴かがりミシン1を用いて鳩目穴かがり縫いを行う縫製開始時における針棒12の位置に関して、針棒位置信号(「H」又は「L」レベルの信号)と、針上信号(「H」又は「L」レベルの信号)と、エンコーダ信号のカウント値Eが読み込まれ、これらの信号に基づいて、針棒12が内針針上位置でないときに、針棒12を最短経路で内針針上位置に移動させる主軸の回転方向、つまりハンドプーリ10の回転方向が液晶ディスプレイ7への表示により通知されるので、作業者はその通知された回転方向に基づいてハンドプーリ10を回転させるだけで、針棒12を最短経路で迅速に内針針上位置に移動させることができる。
それ故、針棒12が内針針上位置以外の場合であっても、作業者によるハンドプーリ10の手動操作を格段に簡単化することができる。その結果、次の縫製作業を迅速に開始することができ、縫製サイクルタイムを大幅に短縮することができる。
更に、この場合、液晶ディスプレイ7には、針棒12が針上位置でない針上位置エラーであることが文字により表示されるので、作業者は、針棒12が針上位置でないことを、表示された針上位置エラーにより容易に且つ明確に認識することができる。
次に、前記実施形態を部分的に変更した変更形態について説明する。
1)縫製開始に際して、針棒12が内針針上位置に移動していない内針針上位置エラーであることが、液晶ディスプレイ7の特殊な背景色により分かるようにしてもよく、内針針上位置エラー専用ランプの点灯又は点滅により分かるようにしてもよい。
2)内針針上位置エラーであることが、アラームブザーの鳴動により、或いはスピーカによる音声案内により、作業者に認識させるようにしてもよい。
3)針上位置エラー表示制御のS14における「針棒は針上位置か?」の判定に代えて、エンコーダ信号のカウント値Eが「157≦E≦179」の範囲内か否かで判定するようにしてもよい。
4)エンコーダ信号のカウント値Eから内針針上位置までのカウント値を演算し、液晶ディスプレイ7にそのカウント値を表示するようにしてもよい。その際、演算されたカウント値に応じて、液晶ディスプレイ7に表示する色を変更させてもよい。
5)本実施例では、主軸にハンドプーリ10が一体的に連結されているが、ギヤを介して間接的に連結されていてもよい。
6)本発明は以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、当業者でれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施例に種々の変更を付加して実施することができ、本発明はそれらの変更形態をも包含するものである。
本発明の実施例に係る鳩目穴かがりミシンの斜視図である。 鳩目穴かがりミシンの側面図である。 鳩目穴かがりミシンの制御系のブロック図である。 針上位置エラー表示制御のフローチャートである。 針棒の上下動及び針振りに関する各種の信号を示すタイムチャートである。 内針針上位置エラー及びハンドプーリの逆回転方向の表示例を示す図である。 内針針上位置エラー及びハンドプーリの順回転方向の表示例を示す図である。
符号の説明
1 鳩目穴かがりミシン
7 液晶ディスプレイ
10 ハンドプーリ
11 縫針
12 針棒
20 制御装置
32 針上位置検出センサ
34 針棒位置検出センサ
40 ミシンモータ
51 位相角センサ

Claims (5)

  1. ミシンモータで主軸を介して上下に往復駆動される針棒と、この針棒の下端に取付けられた縫針と協働して上糸の糸輪を補足する糸輪捕捉手段とを備えたミシンにおいて、
    前記針棒の針上位置を検出する針上検出手段と、
    前記主軸の回転位相角を示すエンコーダ信号を発生させるエンコーダ手段を有し、前記主軸の回転位相角を検出する位相角検出手段と、
    ミシンの起動時に、前記針上検出手段からの検出信号と前記位相角検出手段の位相角情報を受け、針棒が針上位置でないときに針棒を最短経路で針上位置に移動させる主軸の回転方向を判定する回転方向判定手段と、
    前記回転方向判定手段から受けた主軸の回転方向を通知する通知手段と、
    を備えたことを特徴とするミシン。
  2. 前記回転方向判定手段から受けた主軸の回転方向を表示可能な操作パネルを備え、前記通知手段を前記操作パネルで構成したことを特徴とする請求項1に記載のミシン。
  3. ミシンの起動時に前記針上検出手段の検出信号を受け、針棒が針上位置でないときには針上位置エラーであることを表示するエラー表示手段を設けたことを特徴とする請求項2に記載のミシン。
  4. 前記ミシンは針棒を内針位置と外針位置とに交互に揺動させる針振り機構を有する鳩目穴かがりミシンであり、前記針棒が前記主軸の回転位相角360°に亙る内針縫製サイクルと前記主軸の回転位相角360°に亙る外針縫製サイクルの何れであるかを検出する針棒位置検出手段を設け、前記回転方向判定手段はミシンの起動時に前記針棒位置検出手段から検出信号を受け前記針棒を最短経路で内針針上位置に移動させる主軸の回転方向を判定することを特徴とする請求項3に記載のミシン。
  5. 前記主軸に、外部から手動操作可能なハンドプーリが連結されたことを特徴とする請求項4に記載のミシン。
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