JP2006187457A - ミシン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ミシンMは、先端に形成された針穴に糸Tが挿通され、上下動により針板に載置された被縫製物を縫製する縫い針1と、所定量の縫製終了後に糸Tを切断する糸切り装置と、糸切り装置により糸Tが切られた後に縫い針1と被縫製物の間を横切って被縫製物から糸Tを抜くワイパー2と、針穴に挿通された糸Tに張力を付与する糸張力付与手段3と、ワイパー2により被縫製物から糸Tを抜く際に糸に張力を付与し、被縫製物から糸Tを抜き終わった際に糸Tに付与した張力を解放するように糸張力付与手段3の動作を制御する糸張力制御手段と、を備える。
【選択図】図1
Description
ミシンには、このような糸調子が二つ設けられている。糸供給源寄りに設けられた第一の糸調子は、ミシンの縫製状況に関係なく、常に糸に対して張力を付与しており、縫い針寄りに設けられた第二の糸調子は、縫製中にのみ糸に対して第一の糸調子よりも遙かに大きな張力を付与し、縫製終了後の糸の切断時に糸への張力の付与を解放する(例えば、特許文献1参照。)。
また、糸は切断された後、ワイパーによって被縫製物から引き抜かれる。ワイパーは縫い針と被縫製物との間を横切るように移動することにより、横切る際に糸を係止して被縫製物から引き抜くようになっている。従って、ワイパーによって被縫製物から糸を引き抜く際には第一の糸調子のみによって糸に張力が付与されている。
このため、ワイパーで被縫製物から糸を引き抜く際に第一の糸調子の張力が小さいと、糸が糸供給源から繰り出され、糸切断後の針穴から出る糸の長さが長くなってしまうという問題があった。逆に、第一の糸調子の張力を大きくしすぎると、糸の切断時に糸切りメスによって糸が糸供給源から引き出される量が少なくなり、糸切断後の針穴から出る糸の長さが短くなるという問題があった。従って、第一の糸調子の張力の調節が困難であった。
また、糸取りばねの検出により、ワイパーの状態も判断することができるので、ワイパーが元の位置に戻ったか否かを検出する専用のセンサを必要としない。
また、糸取りばねの検出により、ワイパーの状態も判断することができるので、ワイパーが元の位置に戻ったか否かを検出する専用のセンサを必要としない。
<ミシンの構成>
図1〜図11に示すように、ミシンMは、駆動源となるミシンモータ10(図11参照)にリンク機構を介して連結されミシンモータ10の駆動により上下動する針棒1bに設けられた縫い針1と、所定サイクルの縫製終了後に糸を切断する糸切り装置8(図11参照)と、糸切り装置8により糸が切られた後に縫い針1と針板上に載置された被縫製物の間を横切って被縫製物から糸を抜くワイパー装置2と、縫い針1の針穴1a(図3参照)に挿通された糸に張力を付与する糸張力付与手段としての糸調子3と、縫い針1を被縫製物から抜く際に被縫製物を針板に向けて押さえ付ける中押え装置4と、ワイパー装置2により被縫製物から糸を抜く際に糸に張力を付与し、被縫製物から糸を抜き終わった際に糸に付与した張力を解放するように糸調子3の動作を制御するとともに、ワイパー装置2が縫い針1と被縫製物の間を横切った後、センサ34(図7,8参照)が糸調子3に設けられた糸取りばね33(図7,8参照)を検出しなかった場合に針棒1bの動作を停止させる制御装置5(図11参照)と、を備えている。
縫い針1は、針棒1bの駆動に連動してミシンMの上下方向に駆動し、上下動により針板に載置された被縫製物を縫製する。縫い針1の先端には、糸を挿通させるための針穴1aが形成されている。
ワイパー装置2は、図4〜図6に示すように、ミシンフレーム内に設けられたワイパー用ソレノイド20(図11参照)と、このワイパー用ソレノイド20に連結された複数の連結リンク21と、この連結リンク21の先端に連結された揺動リンク22と、揺動リンク22に連結されたカム部材23と、カム部材23を回転させる軸部材24と、軸部材24に基端部が連結されたワイパー25とを備えている。
糸調子3(糸張力付与手段)は、図1,図7,図8に示すように、ミシンMの糸供給源寄りに設けられた第1の糸調子31と、第1の糸調子31よりも縫い針1寄りに設けられた第2の糸調子32とを備えている。
第1の糸調子31は、ミシンアームの先端部の上方に設けられており、糸Tに対して常に張力を付与しており、糸切り装置8による糸Tの切断時に糸供給源から糸が過剰に繰り出されることを防止する機能を有する。
第2の糸調子32は、第1の糸調子31の下方に設けられており、縫製時に糸Tに適度な張力を付与して縫い目が弛むことを防止する機能を有する。ここで、第2の糸調子32により糸Tに付与される張力は、第1の糸調子31により糸Tに付与される張力よりも大きくなっている。
第2の糸調子32は、ベース部材63のネジ孔63a、63aを介して、止めネジ68、69を通し、さらに止めネジ68、69の先端を糸調子用ソレノイド7のネジ孔70a、70aに回し入れることによって、ベース部材63と糸調子用ソレノイド7とを一体的に固定するようになっている。
また、糸調子用ソレノイド7に出力される通電電流が大きくなるにつれて、推力が大きくなる。糸調子用ソレノイド7は、コイル74に通電することで糸調子軸61を引き込む(糸に張力を与える)方向に取り付けられ、通電電流の増大にしたがって糸調子軸61により与えられる糸張力が大きくなる。すなわち、第2の糸調子32では、通電電流を変えることによってのみ糸張力が変わるようになっており、制御装置5の指示信号により電流値は制御される。
糸取りばね33の近傍には、糸取りばね33が初期位置にあるか否かを検出するセンサ34が設けられている。センサ34は、例えば、糸取りばね33が初期位置にある場合には糸取りばね33と接触し、糸取りばね33が弾性変形した場合にはセンサ34から離れるように構成され、その接触の可否で糸取りばね33の存在を検出するものである。
中押え装置4は、図1〜図3に示すように、先端に縫い針1が設けられた針棒1bを上下方向に駆動させる上軸に設けられている。この上軸はミシンモータ10に連結されており、ミシンモータ10の駆動によりその駆動力がリンク機構を介して中押え41に伝達され、中押え41の上下動を行うことができる。この中押え41は、針棒1bに同期するように上下動し、縫い針1を上昇させて被縫製物から抜く際に下降して被縫製物を押さえ付け、被縫製物のばたつきを防止することができるようになっている。
また、中押え41はミシンモータ10とは別個に設けられた中押え高さ調節用ステッピングモータ40(図11参照)とリンク機構を介して連結されており、中押え41の下死点となる被縫製物を押さえ付けるときの針板上面からの高さを調節することができるようになっている。
制御装置5は、図11に示すように、各種処理を行うCPU51と、プログラムやデータが記憶されたメモリ52と、を備えている。
メモリ52には、CPU51が処理を行う作業エリア53と、処理に用いるデータを記録するデータエリア54と、種々の処理を行うためのプログラムが記憶されたプログラムエリア55と、が形成されている。
次に、上記構成を有するミシンによる縫製において、糸の切断から糸抜きにわたる動作について説明する。
図12に示すように、制御装置5は縫製の途中で糸を切断する時期か否かを判断する(ステップS1)。ここで、制御装置5が糸を切断する時期であると判断した場合(ステップS1:YES)、制御装置5は糸調子制御プログラム55aを実行することにより、制御装置5は第2の糸調子32による糸への張力の付与を解放させる(ステップS2)。一方、制御装置5が糸を切断する時期ではないと判断した場合(ステップS1:NO)、制御装置5は当該判断を繰り返す。
次いで、制御装置5は、被縫製物及び中押え41から糸を抜く時期か否かを判断する(ステップS4)。ここで、制御装置5が主軸センサ9(図11参照)により縫い針1が所定位置にあることを検出して糸を抜く時期であると判断した場合(ステップS4:YES)、制御装置5は糸調子制御プログラム55aを実行することにより、制御装置5は第2の糸調子32に再度糸へ張力を付与させる(ステップS5)。一方、制御装置5が糸を抜く時期ではないと判断した場合(ステップS4:NO)、制御装置5は当該判断を繰り返す。
次いで、制御装置5は、被縫製物及び中押え41からの糸抜きが終了したか否かを判断する(ステップS7)。ここで、制御装置5が、糸抜きが終了したと判断した場合(ステップS7:YES)、制御装置5は糸調子制御プログラム55aを実行することにより、制御装置5は第2の糸調子32による糸への張力の解放させ(ステップS8)、これをもって本処理を終了させる。一方、制御装置5が、糸抜きが終了していないと判断した場合(ステップS7:NO)、制御装置5は当該判断を繰り返す。
次に、ミシンに異常が発生したときの動作について説明する。
図13に示すように、制御装置5は、糸取りばね33が初期位置にあることをセンサ34が検出したか否かを判断する(ステップS21)。ここで、制御装置5が、糸取りばね33が初期位置にあることをセンサ34が検出したと判断した場合(ステップS21:YES)、制御装置5は所定の縫製プログラムを実行することにより、縫製を開始させる(ステップS22)。一方、制御装置5が、糸取りばね33が初期位置にあることをセンサ34が検出していないと判断した場合(ステップS21:NO)、制御装置5は当該判断を繰り返す。
実施形態におけるミシンMによれば、制御装置5は、ワイパー25により被縫製物から糸Tを抜く際に糸Tに張力を付与し、被縫製物から糸Tを抜き終わった際に糸Tに付与した張力を解放するように第2の糸調子32の動作を制御する。これにより、糸Tを抜くときだけ糸Tに張力を付与するので、ワイパー25による糸供給源からの糸Tの引き出しがなく、糸Tの切断後の縫い針1の針穴から出る糸Tの長さを最適な長さにすることができる。よって、被縫製物の見栄えが悪くなることもなく、縫製時の目飛びを防止することができる。また、被縫製物から糸Tを抜いた後は、糸Tに付与された張力が解放されるので、ミシン停止時の糸替え、糸通しを容易に行うことができる。
また、糸Tを二枚の皿の間に挿通させ、この皿をバネ等の弾性部材で常時圧接させ、糸調子用ソレノイド7で皿を浮かせる方式の糸調子を用いてもよい。
また、糸調子用ソレノイド7の代わりにステッピングモータを用いてピニオンを回転させ、ラックを前後移動させることで糸張力を変更するようにしてもよい。
また、糸取りばね33の検出により、ワイパー25の状態も判断することができるので、ワイパー25が元の位置に戻ったか否かを検出する専用のセンサを必要としない。
2 ワイパー装置
3 糸調子(糸張力付与手段)
5 制御装置(糸張力制御手段、縫い針制御手段)
7 糸調子用ソレノイド
25 ワイパー
31 第1の糸調子
32 第2の糸調子
33 糸取りばね
34 センサ
M ミシン
T 糸
Claims (3)
- 先端に形成された針穴に糸が挿通され、上下動により針板に載置された被縫製物を縫製する縫い針と、
所定量の縫製終了後に糸を切断する糸切り装置と、
前記糸切り装置により糸が切られた後に前記縫い針と前記被縫製物の間を横切って前記被縫製物から糸を抜くワイパーと、
前記針穴に挿通された糸に張力を付与する糸張力付与手段と、を備えるミシンにおいて、
前記ワイパーにより前記被縫製物から糸を抜く際に糸に張力を付与し、前記被縫製物から糸を抜き終わった際に糸に付与した張力を解放するように前記糸張力付与手段の動作を制御する糸張力制御手段を備えることを特徴とするミシン。 - 前記糸張力付与手段は、ソレノイドの吸引力によって糸に張力を付与することを特徴とする請求項1に記載のミシン。
- 糸供給源から針穴に至る糸の経路上に設けられ、当該糸を係止するとともに糸の張力により弾性変形する糸取りばねと、
前記糸取りばねに糸の張力が作用する前の初期位置における当該糸取りばねの存在を検出するセンサと、
を有し、
前記ワイパーが前記縫い針と前記被縫製物の間を横切った後、前記センサが前記糸取りばねを検出しなかった場合に前記縫い針の上下動作を停止させる縫い針制御手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のミシン。
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