JPH09220391A - ミシンの糸張力制御装置 - Google Patents

ミシンの糸張力制御装置

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JPH09220391A
JPH09220391A JP8225534A JP22553496A JPH09220391A JP H09220391 A JPH09220391 A JP H09220391A JP 8225534 A JP8225534 A JP 8225534A JP 22553496 A JP22553496 A JP 22553496A JP H09220391 A JPH09220391 A JP H09220391A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 糸張力付加を可能とする制動部における回転
子の慣性を小さくして高速での糸車の追従性を良くし、
制動力についても軸回転角に対するトルク変動がなく、
軸回転数の変化に対しても制動トルクを安定させる。糸
張力付加を可能とする駆動系において、インダクタンス
及び慣性が小さく応答を早くして高速での糸調子皿の追
従性を良くし、安定した糸把持力(張力)が得られ、太
さが変化しても安定した糸把持力(張力)が得られ、構
造が簡単で、電源投入時の原点復帰(イニシャライズ)
も不要とする。 【解決手段】 ヒステリシスブレーキ11の制動力を発
生する回転子の軸13に、制動力によって縫張力付加を
可能とする回転体である糸車1を設けて、制動力のトル
クを可変制御する。ボイスコイルモータの駆動により軸
線方向に動作する動作軸に、その軸線方向動作に応じた
対をなす皿間の間隔の変化によって糸把持力の変化に対
応した糸張力付加を可能とする糸調子皿を設けて、把持
力を可変制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒステリシスブレ
ーキに代表される電磁ブレーキを利用したミシンの糸張
力制御装置と、ボイスコイルモータに代表される低イナ
ーシャモータを利用したミシンの糸張力制御装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】ミシンにおける電磁的糸張力付与装置と
して、特公平4−11238号公報により公知のものが
ある。この従来の電磁的糸張力付与装置の制動部は、そ
の公報中の第3図に示されるように、界磁鉄心は複数の
極(8極)からなり、その各極のそれぞれに電気コイル
が巻かれており、固定子と回転子には複数の歯がそれぞ
れ設けられている。その各々の歯は対称の極の歯以外は
互いにずれるようになっている。
【0003】このような従来の電磁的糸張力付与装置
は、固定子と回転子の歯が互いに一致した回転位置にな
ったときに磁束が最大となり、回転する回転子はこの回
転位置に引き込まれて安定状態となり、この位置から脱
出するときには制動力として働く動作となっていた。な
お、以上の従来の電磁的糸張力付与装置の制動部とし
て、さらに、その公報中の第5図に示されるように、パ
ーマネントマグネット型パルスモータと同一構造のもの
もある。
【0004】その他、特開昭53−42963号公報に
より、ソレノイドのアーマチュアで直に糸調子皿を引く
ようにしたミシンの糸調子制御装置が公知であり、特開
昭60−83696号公報により、直流モータをギアで
減速し、溝カムで糸調子皿を押し引きするようにしたミ
シンの上糸張力自動設定装置が公知であり、特開平1−
317477号公報により、エアシリンダで糸調子棒
(中心の棒)を押すようにした自動ミシンの上糸張力調
節装置が公知であり、特開平2−49688号公報によ
り、ステッピングモータで糸調子スリーブを出し入れす
るようにしたミシンの糸張力調節装置が公知であり、特
開平6−170074号公報により、ステッピングモー
タで糸調子皿を押し引きするようにした刺繍ミシンの上
糸テンション制御装置が公知となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
たような従来の電磁的糸張力付与装置では、以下に列挙
するような問題点があった。 (1)低速では問題ないが、中実部材による回転子の慣
性が大きく、高速(特に、ミシンの主軸回転が1,00
0rpm以上)での糸車の追従性が悪い。 (2)歯状になった移動する極の吸引力を利用するため
に、回転位置がずれるごとに吸引する極が変わり、制動
力が変動する。 (3)停止時の制動力と回転時の制動力の差が大きく、
電気的に糸張力を均一化する場合、電気制御系の負担が
非常に大きい。
【0006】また、前述した如く従来の糸張力制御装置
は数多く提案されているが、何れも高速のミシンでは、
上糸供給を除いて実用化されるに至っていない。そし
て、前記特開昭53−42963号公報のミシンの糸調
子制御装置では、ソレノイドを使った方式が提案されて
いるが、ソレノイドには次のような欠点がある。 (1)インダクタンスが大きく、応答が遅い。 (2)移動体(アーマチュア)が磁性体のために慣性が
大きく、応答が遅い。 (3)吸引力(推力)が距離の二乗で変化する性質を持
つ。即ち、糸の太さが変化するスパン糸や毛糸の場合に
張力が変化するものであり、糸を交換すると、太糸では
張力が極端に下がり、細糸では極端に上がってしまい、
ミシン本来として要求される特性とは逆となってしまう
問題がある。また、リンク等を介在する場合、組み付け
位置の僅かなズレが二乗で増幅されるために、極端な張
力のズレとなって現れてしまう問題がある。 つまり、ソレノイドは、高速では使用できず、さらに、
張力を決定するパラメータとして電流値以外にソレノイ
ドのギャップが加わり、非常に直進性が悪いといった欠
点があった。
【0007】そして、前記特開昭60−83696号公
報のミシンの上糸張力自動設定装置、前記特開平2−4
9688号公報のミシンの糸張力調節装置、前記特開平
6−170074号公報の刺繍ミシンの上糸テンション
制御装置で、直流モータやステッピングモータを使った
方式が提案されているが、これらのモータには次のよう
な欠点がある。 (1)構造が複雑である。 (2)回転運動を直線運動に変換しているので、高速追
従性が悪い。 (3)駆動部や機構の慣性が大きく高速追従できない。 (4)アクチュエータ自身に位置や圧力を検出する能力
がないので、電源投入時にセンサ等を用いた別の手段で
位置や圧力情報を読み込むか、原点復帰動作をしなくて
はならない。 つまり、前記モータは、高速では使用できず、電源の投
入時に別の手段で位置や圧力を検出しなくてはならず、
装置が複雑化する欠点があった。
【0008】さらに、前記特開平1−317477号公
報の自動ミシンの上糸張力調節装置で、エアシリンダを
使った方式が提案されているが、エアシリンダ系には次
のような欠点がある。 (1)エア圧を変化させても、ピストンが移動し終わる
までに時間がかかり、追従性が悪い。 (2)エアシリンダもバネも圧縮性のために、過渡的に
圧を変化させた場合、ハンチングが発生し、収まるまで
に時間がかかる。 つまり、エアシリンダは、高速では使用できず、さら
に、ハンチングを誘発する恐れが大きいという欠点があ
った。
【0009】そこで、本発明の目的は、縫糸に対する張
力の付加を可能とするための制動部における回転子の慣
性を小さくして高速での糸車の追従性を良くし、制動力
についても軸回転角に対するトルク変動がなく、軸回転
数の変化に対しても制動トルクを安定させられるように
したミシンの糸張力制御装置を提供することにある。ま
た、本発明は、縫糸に対する張力の付加を可能とするた
めの駆動系において、インダクタンス及び慣性が小さく
応答を早くして高速での糸調子皿や糸車の追従性を良く
し、しかも、糸に対して安定した把持力(張力)が得ら
れ、特に、糸の太さが変化しても安定した把持力(張
力)が得られるようにし、また、構造が簡単で、電源投
入時の原点復帰(イニシャライズ)も不要とするようし
たミシンの糸張力制御装置を提供することも目的として
いる。
【0010】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決すべく
請求項1記載の発明は、ミシンの糸張力制御装置であっ
て、ヒステリシスブレーキまたはパウダブレーキによる
電磁ブレーキの制動力を発生する回転子の軸に、前記制
動力によって縫糸といわれる上糸あるいは下糸あるいは
ルーパー糸に対する張力の付加を可能とする糸車等の回
転体を設け、前記電磁ブレーキ(ヒステリシスブレーキ
等)の励磁コイルに前記制動力の調整用の制御電流を供
給する制御電流供給回路を設けて、前記制動力のトルク
を可変制御するようにした構成を特徴としている。
【0011】このように、縫糸に対する張力付加用の回
転体を、ヒステリシスブレーキまたはパウダブレーキに
よる電磁ブレーキの回転子の軸に設け、その電磁ブレー
キの励磁コイルに制動力のトルクを可変制御する制御電
流供給回路を設けてなるミシンの糸張力制御装置なの
で、縫糸に張力を付加する制動部における回転子の慣性
が小さく、制動力は軸回転角に対してトルク変動がな
く、軸回転数の変化に対しても制動トルクが安定してい
る。そして、回転子の慣性が小さいので、高速での回転
体(糸車)の追従性が良く、高速でも安定した縫目が得
られ、また、制動力は軸回転角に対してトルク変動がな
いので、安定した縫製が行え、さらに、軸回転数の変化
に対しても制動トルクが安定しているので、電気的に糸
張力を制御する場合にもその電気制御系を簡単にでき
る。
【0012】請求項2記載の発明は、請求項1記載のミ
シンの糸張力制御装置であって、前記電磁ブレーキは、
前記軸と同心円上の励磁コイルを内部に有するステータ
と、このステータに前記軸と同心円上に設けられ、前記
励磁コイルへの前記制御電流の供給により発生した磁力
が導かれる内側磁極及び外側磁極と、これら内側磁極及
び外側磁極の間に入る前記回転子としてのカップ状また
はディスク状の永久磁石と、からなるヒステリシスブレ
ーキである構成を特徴としている。
【0013】このように、糸張力制御装置の電磁ブレー
キとして、回転子の軸と同心円上の励磁コイルを内部に
有するステータに設けた内側磁極及び外側磁極の間に回
転子としてのカップ状またはディスク状の永久磁石を入
れたヒステリシスブレーキとしたので、この永久磁石に
より回転子の慣性が小さく、回転子の軸と同心円上の励
磁コイルによって、制動力は軸回転角に対してトルク変
動がなく、軸回転数の変化に対しても制動トルクが安定
している。従って、高速での回転体(糸車)の追従性が
良く、高速でも安定した縫目が得られて、安定した縫製
が行えると共に、電気的に糸張力を制御する場合にもそ
の電気制御系を簡単にできる。
【0014】請求項3記載の発明は、請求項1または2
記載のミシンの糸張力制御装置であって、ミシンの主軸
の回転数に対応して、前記トルクを、例えば、高速にな
る程下げるよう変化させる構成を特徴としている。この
ように、糸張力制御装置の電磁ブレーキの制動トルク
を、主軸の回転数に対応して変化させるので、例えば、
高速回転になる程糸が締まる場合には、高速回転になる
程制動トルクを下げるようにすることによって、回転数
が変化しても同じ縫目が得られるようになる。
【0015】請求項4記載の発明は、請求項1または2
記載のミシンの糸張力制御装置であって、ミシンの主軸
の1回転の過程において、前記トルクを、例えば、糸締
め以外は下げるよう変化させる構成を特徴としている。
このように、糸張力制御装置の電磁ブレーキの制動トル
クを、主軸の1回転のなかで変化させるので、例えば、
糸締め以外は制動トルクを下げることによって、柔らか
い縫目が得られるようになる。
【0016】請求項5記載の発明は、請求項1または2
記載のミシンの糸張力制御装置であって、ミシンに備え
られる布押え上げ装置の動作と連動して、前記トルク
を、例えば、布押えが上がっている時に下げるよう変化
させる構成を特徴としている。このように、糸張力制御
装置の電磁ブレーキの制動トルクを、布押え上げ装置の
動作と連動して変化させるので、例えば、布押えが上が
っている時に制動トルクを下げることによって、布の引
き出しが行い易くなる。
【0017】請求項6記載の発明は、請求項1または2
記載のミシンの糸張力制御装置であって、ミシンに備え
られる糸切り装置による糸切り時において、前記トルク
を、例えば、糸切り信号ONから糸切り終了まで下げる
よう変化させる構成を特徴としている。このように、糸
張力制御装置の電磁ブレーキの制動トルクを、糸切り時
に変化させるので、例えば、糸切り信号のONから糸切
り終了まで制動トルクを下げておくことによって、糸張
力付与装置側から縫糸である上糸を繰り出せることか
ら、切断した上糸が針から抜けず、糸切り時の上糸抜け
がなくなる。また、安定した上糸残り量が得られる。
【0018】請求項7記載の発明は、請求項1または2
記載のミシンの糸張力制御装置であって、ミシンによる
バック縫い時において、前記トルクを、例えば、上げる
よう変化させる構成を特徴としている。このように、糸
張力制御装置の電磁ブレーキの制動トルクを、バック縫
い時に変化させるので、例えば、バック縫い時にヒッチ
ステッチとなって糸が締まらない場合には、バック縫い
信号がON状態で制動トルクを上げておくことによっ
て、同じ縫目が得られるようになる。
【0019】請求項8記載の発明は、請求項1または2
記載のミシンの糸張力制御装置であって、ミシンによる
縫製開始時において、前記トルクを、例えば、下げるよ
う変化させる構成を特徴としている。このように、糸張
力制御装置の電磁ブレーキの制動トルクを、縫製開始時
に変化させるので、例えば、縫い始めに制動トルクを下
げることによって、糸張力付与装置側から縫糸である上
糸を繰り出せることから、上糸端が引き込まれず、縫い
始めの目飛びがなくなる。また、縫い始めに制動トルク
を上げて、糸締めを行い、縫い始めの糸をほつれ難くす
ることも可能である。
【0020】請求項9記載の発明は、請求項1または2
記載のミシンの糸張力制御装置であって、ミシンに備え
られる布段部検知装置による検知と連動して、布の段部
の縫製時において、前記トルクを、例えば、上げるよう
変化させる構成を特徴としている。このように、糸張力
制御装置の電磁ブレーキの制動トルクを、布の段部検知
時に変化させるので、例えば、布の段部で糸が締まらな
い場合には、段部の検知により制動トルクを上げること
によって、同じ縫目が得られるようになる。
【0021】請求項10記載の発明は、請求項1または
2記載のミシンの糸張力制御装置であって、2本針ミシ
ンの各縫糸に対応して備えられ、それぞれの前記トルク
を、例えば、左針側の糸締りに対し右針側の糸締りが締
まる場合は右針側を下げるよう個別に可変制御する構成
を特徴としている。このように、2本針ミシンの各縫糸
である上糸に対応してそれぞれ備えられる糸張力制御装
置の電磁ブレーキの制動トルクを、個別に可変制御する
ので、例えば、左針側の糸締りに対し右針側の糸締りが
締まる場合には、右針側の制動トルクを下げることによ
って、左右同じ縫目が得られるようになる。
【0022】請求項11記載の発明は、請求項1または
2記載のミシンの糸張力制御装置であって、2本針ミシ
ンの各縫糸に対応して備えられ、片針停止時にその停止
した方の針側の上糸を繰り出さないように前記トルク
を、例えば、左針のみの縫製時は右針側を上げるよう変
化させる構成を特徴としている。このように、2本針ミ
シンの各縫糸である上糸に対応してそれぞれ備えられる
糸張力制御装置の電磁ブレーキの制動トルクを、片針停
止時にその停止した方の針側の上糸を繰り出さないよう
に変化させるので、例えば、左針のみの縫製時には、右
針側の制動トルクを上げることによって、右曲がりの角
縫い縫製の場合に、右針側の上糸を繰り出させなくし
て、再度2本針による縫製が始まっても同じ縫目が得ら
れるようになる。
【0023】請求項12記載の発明は、請求項1または
2記載のミシンの糸張力制御装置であって、千鳥縫いミ
シンにおいて、その右針落ちと左針落ちとで前記トルク
を、例えば、右針落ちが締まって左針落ちが締まらない
場合は左針落ち時に上げるよう変化させる構成を特徴と
している。このように、千鳥縫いミシンにおいて、糸張
力制御装置の電磁ブレーキの制動トルクを、右針落ちと
左針落ちとで変化させるので、例えば、右針落ちが締ま
って左針落ちが締まらない場合には、左針落ち時に制動
トルクを上げるよう変化させることによって、左右針落
ちで同じ縫目が得られるようになる。
【0024】請求項13記載の発明は、請求項1または
2記載のミシンの糸張力制御装置であって、穴かがりミ
シンにおいて、その閂止め部の縫製と平行部の縫製とで
前記トルクを変化させる構成を特徴としている。このよ
うに、穴かがりミシンにおいて、糸張力制御装置の電磁
ブレーキの制動トルクを、閂止め部の縫製と平行部の縫
製とで変化させるので、例えば、従来は閂止め部の縫製
を2個の糸張力付与装置で調整し、平行部の縫製を1個
の糸張力付与装置で調整して切り替えていたのに比べ
て、同じ糸張力付与装置で閂止め部の縫製と平行部の縫
製の際の縫目調整が行えるようになる。
【0025】請求項14記載の発明は、請求項1または
2記載のミシンの糸張力制御装置であって、家庭用ミシ
ン、閂止め縫いミシンまたは自動機ミシンのパターン縫
いにおいて、各々の運針及び縫い方向に対し前記トルク
を、例えば、直線縫い時にしっかり締めて刺繍部を柔ら
かく締めたい場合には、直線縫い時に比べ刺繍部で下げ
るよう設定する構成を特徴としている。このように、家
庭用ミシン、閂止め縫いミシンまたは自動機ミシンのパ
ターン縫いにおいて、糸張力制御装置の電磁ブレーキの
制動トルクを、各々の運針及び縫い方向に対し可変設定
することで、例えば、直線縫い時に比べ刺繍部で下げる
よう設定することによって、直線縫い時にしっかり糸を
締めて、刺繍部は柔らかく糸を締めた所望の縫目が得ら
れる。即ち、縫製する部分によって縫目が変えられるよ
うになる。
【0026】請求項15記載の発明は、請求項1または
2記載のミシンの糸張力制御装置であって、ロックミシ
ンにおいて、縫糸となる上糸あるいはルーパー糸に前記
トルクの設定により縫目を変える構成を特徴としてい
る。このように、ロックミシンにおいて、糸張力制御装
置の電磁ブレーキの制動トルクを、所望の縫目に応じて
設定することで、例えば、縫目形式514(JIS:日
本工業規格、以下同じにつき省略)の縫目で左針側の制
動トルクを上げて下ルーパー糸張力を上げることによっ
て、縫目形式506の縫目に変えられる。即ち、縫目形
式を変えられる。
【0027】請求項16記載の発明は、請求項1または
2記載のミシンの糸張力制御装置であって、ロックミシ
ンにおいて、その空環巻き込み装置による空環形成時
に、前記トルクを、例えば、ソフトチェーンにするため
に下げるよう変化させる構成を特徴としている。このよ
うに、ロックミシンにおいて、糸張力制御装置の電磁ブ
レーキの制動トルクを、所望により変化させるので、例
えば、空環巻き込み装置による空環形成時には、制動ト
ルクを下げることによって、ソフトチェーンが得られ
る。しかも、その場合、従来は上下2段で4個から8個
の糸張力付与装置をマグネットで上段と下段に切り替え
ていたのに比べて、電気的に糸張力付与装置自体の制動
トルクが変えられることにより、1段の糸張力付与装置
でソフトチェーンが得られるようになる。
【0028】請求項17記載の発明は、請求項1または
2記載のミシンの糸張力制御装置であって、ミシンの縫
製条件によって、前記トルクを、例えば、薄物の場合は
低トルク域で厚物の場合は高トルク域等に設定する構成
を特徴としている。このように、糸張力制御装置の電磁
ブレーキの制動トルクを、布や糸の材質、糸の種類や番
手等の縫製条件により設定するので、例えば、ブラウス
等の薄物の場合には、制動トルクを低トルク域に設定す
ることによって、パッカリング等の問題の発生をなく
し、また、ジーンズ等の厚物の場合には、制動トルクを
高トルク域に設定することによって、しっかりと糸が締
められる。即ち、縫製条件に応じて簡単に制動トルクの
設定の切り替えが行える。
【0029】請求項18記載の発明は、請求項1または
2記載のミシンの糸張力制御装置であって、ミシンに、
例えば、制御盤等に糸張力表示部を設けた構成を特徴と
している。このように、糸張力制御装置の電磁ブレーキ
の制動トルクに応じた糸張力表示部を設けたミシンなの
で、電磁ブレーキの制動トルクに応じた縫糸の張力が、
例えば、制御盤等に表示されることによって、その糸張
力の再現が容易に行えるようになる。
【0030】請求項19記載の発明は、請求項1または
2記載のミシンの糸張力制御装置であって、ミシンに、
例えば、制御盤等に設定ボリュームや設定値入力装置等
による糸張力設定部を設けた構成を特徴としている。こ
のように、糸張力制御装置の電磁ブレーキの制動トルク
の設定ボリュームや設定値入力装置等による糸張力設定
部を設けたミシンなので、電磁ブレーキの制動トルクに
応じた縫糸の張力を、例えば、制御盤等に設けられた制
動トルクの設定ボリュームや設定値入力装置等を操作す
ることによって、容易に制動トルクを変えて糸張力が変
えられる。
【0031】請求項20記載の発明は、請求項1または
2記載のミシンの糸張力制御装置であって、ミシンのミ
シンアームに、例えば、従来の糸調子本体の代わりに前
記電磁ブレーキを内蔵した構成を特徴としている。この
ように、電磁ブレーキをミシンアームに内蔵したので、
従来の糸調子本体の代わりに電磁ブレーキをミシンに備
えられる。従って、邪魔物がなく、糸調子の位置関係も
従来と変わらない。
【0032】請求項21記載の発明は、請求項1または
2記載のミシンの糸張力制御装置であって、ミシンのミ
シンアームに対して、通常備えられる糸調子の代わりに
交換できるよう前記電磁ブレーキを、例えば、必要に応
じて交換できるようオプション化した構成を特徴として
いる。このように、電磁ブレーキをミシンアームに対し
てオプション化したので、例えば、必要に応じて、通常
備えられる糸調子の代わりに交換して電磁ブレーキをミ
シンに備えられる。
【0033】請求項22記載の発明は、ミシンの糸張力
制御装置であって、ボイスコイルモータを含むリニアモ
ータあるいは回転運動を直線運動に変換して運動を動作
軸に伝達する運動変換手段を有するコアレスモータによ
る低イナーシャモータの駆動により軸線方向に動作する
動作軸に、この動作軸の軸線方向動作に応じた対をなす
皿間の間隔の変化によって縫糸といわれる上糸あるいは
下糸あるいはルーパー糸に対する把持力の変化に対応し
た糸張力の付加を可能とする糸調子皿を設け、前記低イ
ナーシャモータ(ボイスコイルモータ等)に前記動作軸
の軸線方向動作力の調整用の制御電流を供給する制御電
流供給回路を設けて、前記把持力を可変制御するように
した構成を特徴としている。
【0034】このように、対をなす皿間の間隔の変化に
より縫糸に対する把持力の変化に対応した糸張力付加用
の糸調子皿を、ボイスコイルモータを含むリニアモータ
または運動変換手段を有するコアレスモータによる低イ
ナーシャモータの駆動により軸線方向に動作する動作軸
に設け、低イナーシャモータに動作軸の軸線方向動作力
調整用の制御電流を供給して、糸調子皿による縫糸に対
する把持力を可変制御する制御電流供給回路を設けてな
るミシンの糸張力制御装置なので、糸張力付加用の駆動
源として、ボイスコイルモータを含むリニアモータまた
はコアレスモータによる低イナーシャモータは、インダ
クタンスが小さく、慣性も小さく、しかも、駆動力が距
離に関係なく一定で、電流値に比例した駆動力が得ら
れ、また、構造が簡単で、電源投入時の原点復帰(イニ
シャライズ)も不要である。そして、インダクタンス及
び慣性が小さいので、応答が早く、高速での糸調子皿の
追従性が良く、高速でも安定した縫目が得られ、また、
駆動力が距離に関係なく一定で電流値に比例するので、
糸調子皿による安定した糸把持力(糸張力)が得られ、
これにより安定した縫製が行え、しかも、電源投入時の
原点復帰(イニシャライズ)も不要なことから、電気的
に糸張力を制御する場合にもその電気制御系を簡単にで
きる。
【0035】請求項23記載の発明は、ミシンの糸張力
制御装置であって、ボイスコイルモータを含むリニアモ
ータあるいは運動変換手段を有するコアレスモータによ
る低イナーシャモータの駆動により軸線方向に動作する
動作軸に、制動力の付加により縫糸といわれる上糸ある
いは下糸あるいはルーパー糸に対する張力の付加を可能
とする回転体を挟むように配置され、前記動作軸の軸線
方向動作に応じた対をなす制動部材間の間隔の変化によ
って前記回転体に対する前記制動力の付加を可能とする
摩擦体押さえ板等の回転体制動部材を設け、前記低イナ
ーシャモータ(ボイスコイルモータ等)に前記動作軸の
軸線方向動作力の調整用の制御電流を供給する制御電流
供給回路を設けて、前記制動力のトルクを可変制御する
ようにした構成を特徴としている。
【0036】このように、対をなす制動部材間の間隔の
変化による制動力の変化に対応した糸張力付加用の回転
体に対する回転体制動部材を、ボイスコイルモータを含
むリニアモータまたは運動変換手段を有するコアレスモ
ータによる低イナーシャモータの駆動により軸線方向に
動作する動作軸に設け、低イナーシャモータに動作軸の
軸線方向動作力調整用の制御電流を供給して、回転体制
動部材による回転体に対する制動力のトルクを可変制御
する制御電流供給回路を設けてなるミシンの糸張力制御
装置なので、糸張力付加用の駆動源として、ボイスコイ
ルモータを含むリニアモータまたはコアレスモータによ
る低イナーシャモータは、インダクタンスが小さく、慣
性も小さく、しかも、駆動力が距離に関係なく一定で、
電流値に比例した駆動力が得られ、また、構造が簡単
で、電源投入時の原点復帰(イニシャライズ)も不要で
ある。そして、インダクタンス及び慣性が小さいので、
応答が早く、高速での回転体(糸車)の追従性が良く、
高速でも安定した縫目が得られ、また、駆動力が距離に
関係なく一定で電流値に比例するので、回転体(糸車)
による安定した糸張力が得られ、これにより安定した縫
製が行え、しかも、電源投入時の原点復帰(イニシャラ
イズ)も不要なことから、電気的に糸張力を制御する場
合にもその電気制御系を簡単にできる。
【0037】請求項24記載の発明は、請求項22また
は23記載のミシンの糸張力制御装置であって、前記低
イナーシャモータは、ヨークと、このヨークの中心部に
一体的に設けた鉄心による中央極と、前記ヨークに設け
た永久磁石による外極とから構成される磁気回路と、こ
の磁気回路の前記外極と前記中央極との間に配設されて
その間の磁界の作用と供給される前記制御電流によって
推力が生じる可動コイルと、からなるボイスコイルモー
タであり、前記動作軸は、前記可動コイルと一体的にま
たは動力伝達機構を介して接続されている構成を特徴と
している。
【0038】このように、糸張力制御装置の低イナーシ
ャモータとして、制御電流が供給される磁気回路を構成
するヨークに、その中心部に鉄心による中央極を一体的
に設けて、永久磁石による外極を設け、これら外極と中
央極との間にその間の磁界の作用により流れる電流によ
って推力が生じる可動コイルを配設したボイスコイルモ
ータとし、その可動コイルと一体的にまたは動力伝達機
構を介して動作軸を接続したので、糸張力付加用の駆動
源としてのボイスコイルモータは、インダクタンスが小
さく、可動コイルにより慣性も小さく、その可動コイル
の駆動力が距離に関係なく一定で電流値に比例し、構造
が簡単で、電源投入時の原点復帰(イニシャライズ)も
不要である。従って、高速での糸調子皿または回転体
(糸車)の追従性が良く、高速でも安定した縫目が得ら
れ、糸調子皿または回転体(糸車)による安定した糸把
持力(糸張力)が得られて、安定した縫製が行えると共
に、電源投入時の原点復帰(イニシャライズ)も不要
で、電気的に糸張力を制御する場合にもその電気制御系
を簡単にできる。
【0039】請求項25記載の発明は、請求項22、2
3または24記載のミシンの糸張力制御装置であって、
前記低イナーシャモータ(ボイスコイルモータ等)をオ
ープンループにより制御するようにした構成を特徴とし
ている。このように、糸張力制御装置の低イナーシャモ
ータをオープンループにより制御するので、電気制御系
を簡単にできる。ここで、ソレノイドでは糸調子皿また
は回転体制動部材の距離の二乗で吸引力が変わるので、
オープンループが使えず、ステッピングモータや直流モ
ータでは電源投入時に位置情報等のフィードバックがな
ければならず、エア圧力による方式では応答スピードが
遅くて高速では使用できない。しかし、低イナーシャモ
ータ、特に、ボイスコイルモータでは、糸の太さが変化
するような糸や細糸から太糸に交換した場合でも、糸調
子皿または回転体(糸車)よる原理的に同一の糸把持力
(糸張力)が得られるので、自動糸調子器として理想的
な特性を持つ。
【0040】請求項26記載の発明は、請求項22、2
3または24記載のミシンの糸張力制御装置であって、
前記動作軸の軸方向動作力により前記糸調子皿または前
記回転体制動部材に作用する圧力を、例えば、圧力セン
サにより検出し、その検出された圧力をフィードバック
して前記把持力または前記制動力を制御するようにした
構成を特徴としている。このように、糸張力制御装置の
動作軸の軸方向動作力により糸調子皿または回転体制動
部材に作用する圧力を検出しフィードバックして把持力
または制動力を制御するので、糸調子皿または回転体制
動部材に作用する圧力を監視しながら糸張力を適切に制
御できる。
【0041】請求項27記載の発明は、請求項22、2
3または24記載のミシンの糸張力制御装置であって、
前記糸張力を、例えば、糸張力センサにより検出し、そ
の検出された糸張力をフィードバックして前記把持力ま
たは前記制動力を制御するようにした構成を特徴として
いる。このように、検出された糸張力をフィードバック
して把持力または制動力を制御するので、糸調子皿間の
把持または回転体による糸張力を監視しながら糸張力を
適切に制御できる。
【0042】請求項28記載の発明は、請求項22、2
3または24記載のミシンの糸張力制御装置であって、
ミシンの主軸の回転数に対応して、前記把持力または前
記制動力を、例えば、高速になる程下げるよう変化させ
るようにした構成を特徴としている。このように、糸張
力制御装置の低イナーシャモータの駆動による動作軸の
軸線方向動作に対応した糸張力付加用の糸調子皿または
回転体(糸車)による縫糸に対する把持力または制動力
を、主軸の回転数に対応して変化させるので、例えば、
高速回転になる程糸が締まる場合には、高速回転になる
程把持力または制動力を下げるようにすることによっ
て、回転数が変化しても同じ縫目が得られるようにな
る。
【0043】請求項29記載の発明は、請求項22、2
3または24記載のミシンの糸張力制御装置であって、
ミシンに備えられる布押え上げ装置の動作と連動して、
前記把持力または前記制動力を、例えば、布押えが上が
っている時に下げるよう変化させるようにした構成を特
徴としている。このように、糸張力制御装置の低イナー
シャモータの駆動による動作軸の軸線方向動作に対応し
た糸調子皿または回転体(糸車)による縫糸に対する把
持力または制動力を、布押え上げ装置の動作と連動して
変化させるので、例えば、布押えが上がっている時に把
持力または制動力を下げることによって、布の引き出し
が行い易くなる。
【0044】請求項30記載の発明は、請求項22、2
3または24記載のミシンの糸張力制御装置であって、
ミシンに備えられる糸切り装置による糸切り時におい
て、前記把持力または前記制動力を、例えば、糸切り信
号ONから糸切り終了まで下げるよう変化させるように
した構成を特徴としている。このように、糸張力制御装
置の低イナーシャモータの駆動による動作軸の軸線方向
動作に対応した糸調子皿または回転体(糸車)による縫
糸に対する把持力または制動力を、糸切り時に変化させ
るので、例えば、糸切り信号のON状態から糸切り終了
まで把持力または制動力を下げておくことによって、糸
張力付与装置側から縫糸である上糸を繰り出せることか
ら、切断した上糸が針から抜けず、糸切り時の上糸抜け
がなくなる。また、安定した上糸残り量が得られる。
【0045】請求項31記載の発明は、請求項22、2
3または24記載のミシンの糸張力制御装置であって、
ミシンによるバック縫い時において、前記把持力または
前記制動力を、例えば、上げるよう変化させるようにし
た構成を特徴としている。このように、糸張力制御装置
の低イナーシャモータの駆動による動作軸の軸線方向動
作に対応した糸調子皿または回転体(糸車)による縫糸
に対する把持力または制動力を、バック縫い時に変化さ
せるので、例えば、バック縫い時にヒッチステッチとな
って糸が締まらない場合には、バック縫い信号がON状
態で把持力または制動力を上げておくことによって、同
じ縫目が得られるようになる。
【0046】請求項32記載の発明は、請求項22、2
3または24記載のミシンの糸張力制御装置であって、
ミシンによる縫製開始時において、前記把持力または前
記制動力を、例えば、下げるよう変化させるようにした
構成を特徴としている。このように、糸張力制御装置の
低イナーシャモータの駆動による動作軸の軸線方向動作
に対応した糸調子皿または回転体(糸車)による縫糸に
対する把持力または制動力を、縫製開始時に変化させる
ので、例えば、縫い始めに把持力または制動力を下げる
ことによって、糸張力付与装置側から縫糸である上糸を
繰り出せることから、上糸端が引き込まれず、縫い始め
の目飛びがなくなる。また、縫い始めに把持力または制
動力を上げて、糸締めを行い、縫い始めの糸をほつれ難
くすることも可能である。
【0047】請求項33記載の発明は、請求項22、2
3または24記載のミシンの糸張力制御装置であって、
ミシンに備えられる布段部検知装置による検知と連動し
て、布の段部の縫製時において、前記把持力または前記
制動力を、例えば、上げるよう変化させるようにした構
成を特徴としている。このように、糸張力制御装置の低
イナーシャモータの駆動による動作軸の軸線方向動作に
対応した糸調子皿または回転体(糸車)による縫糸に対
する把持力または制動力を、布の段部検知時に変化させ
るので、例えば、布の段部で糸が締まらない場合には、
段部の検知により把持力または制動力を上げることによ
って、同じ縫目が得られるようになる。
【0048】請求項34記載の発明は、請求項22、2
3または24記載のミシンの糸張力制御装置であって、
2本針ミシンの各縫糸に対応して備えられ、それぞれの
前記把持力または前記制動力を、例えば、左針側の糸締
まりに対し右針側の糸締まりが締まる場合は右針側を下
げるよう個別に可変制御するようにした構成を特徴とし
ている。このように、2本針ミシンの各縫糸である上糸
に対応してそれぞれ備えられる糸張力制御装置の低イナ
ーシャモータの駆動による動作軸の軸線方向動作に対応
した糸調子皿または回転体(糸車)による縫糸に対する
把持力または制動力を、個別に可変制御するので、例え
ば、左針側の糸締まりに対し右針側の糸締まりが締まる
場合には、右針側の把持力または制動力を下げることに
よって、左右同じ縫目が得られるようになる。
【0049】請求項35記載の発明は、請求項22、2
3または24記載のミシンの糸張力制御装置であって、
前記把持力または前記制動力により糸張力付加が可能な
前記糸調子皿または前記回転体よりも糸供給側におい
て、糸張力を付与する、例えば、プリテンション用の第
1糸調子器等の糸調子器を備えるミシンであり、前記糸
調子器による糸張力を超える変化分だけ前記把持力また
は前記制動力により糸張力を制御するようにした構成を
特徴としている。このように、糸張力制御装置の低イナ
ーシャモータの駆動による動作軸の軸線方向動作に対応
した把持力または制動力により糸張力付加が可能な糸調
子皿または回転体(糸車)よりも糸供給側に備える糸調
子器による糸張力を超える変化分だけ、低イナーシャモ
ータの駆動による動作軸の軸線方向動作に対応した糸調
子皿または回転体(糸車)による縫糸に対する把持力ま
たは制動力により糸張力を制御するので、糸張力に変化
を要しない領域は従来の糸調子器で持たせながら、糸張
力の変化を必要とする領域では低イナーシャモータの駆
動による動作軸の軸線方向動作に対応した糸調子皿また
は回転体(糸車)による縫糸に対する把持力または制動
力により持たせて、高張力にも対応できる。
【0050】請求項36記載の発明は、請求項22、2
3または24記載のミシンの糸張力制御装置であって、
2本針ミシンの各縫糸に対応して備えられ、片針停止時
にその停止した方の針側の縫糸を繰り出さないように前
記把持力または前記制動力を、例えば、左針のみの縫製
時は右針側を上げるよう変化させるようにした構成を特
徴としている。このように、2本針ミシンの各縫糸であ
る上糸に対応してそれぞれ備えられる糸張力制御装置の
低イナーシャモータの駆動による動作軸の軸線方向動作
に対応した糸調子皿または回転体(糸車)による縫糸に
対する把持力または制動力を、片針停止時にその停止し
た方の針側の上糸を繰り出さないように変化させるの
で、例えば、左針のみの縫製時には、右針側の把持力ま
たは制動力を上げることによって、右曲がりの角縫い縫
製の場合に、右針側の上糸を繰り出させなくして、再度
2本針による縫製が始まっても同じ縫目が得られるよう
になる。
【0051】請求項37記載の発明は、請求項22、2
3または24記載のミシンの糸張力制御装置であって、
千鳥縫いミシンにおいて、その右針落ちと左針落ちとで
前記把持力または前記制動力を、例えば、右針落ちが締
まって左針落ちが締まらない場合は左針落ち時に上げる
よう変化させるようにした構成を特徴としている。この
ように、千鳥縫いミシンにおいて、糸張力制御装置の低
イナーシャモータの駆動による動作軸の軸線方向動作に
対応した糸調子皿または回転体(糸車)による縫糸に対
する把持力または制動力を、右針落ちと左針落ちと変化
させるので、例えば、右針落ちが締まって左針落ちが締
まらない場合には、左針落ち時に把持力または制動力を
上げるよう変化させることによって、左右針落ちで同じ
縫目が得られるようになる。
【0052】請求項38記載の発明は、請求項22、2
3または24記載のミシンの糸張力制御装置であって、
穴かがりミシンにおいて、その閂止め部の縫製と平行部
の縫製とで前記把持力または前記制動力を変化させるよ
うにした構成を特徴としている。このように、穴かがり
ミシンにおいて、糸張力制御装置の低イナーシャモータ
の駆動による動作軸の軸線方向動作に対応した糸調子皿
または回転体制動部材による縫糸に対する把持力または
制動力または糸張力を、閂止め部の縫製と平行部の縫製
とで変化させるので、例えば、従来は閂止め部の縫製を
2個の糸張力付与装置で調整し、平行部の縫製を1個の
糸張力付与装置で調整して切り替えていたのに比べて、
同じ糸張力付与装置で閂止め部の縫製と平行部の縫製の
際の縫目調整が行えるようになる。
【0053】請求項39記載の発明は、請求項22、2
3または24記載のミシンの糸張力制御装置であって、
家庭用ミシン、閂止め縫いミシンまたは自動機ミシンの
パターン縫いにおいて、各々の運針及び縫い方向に対し
前記把持力または前記制動力を、例えば、直線縫い時に
しっかり締めて刺繍部を柔らかく締めたい場合には、直
線縫い時に比べ刺繍部で下げるよう設定するようにした
構成を特徴としている。このように、家庭用ミシン、閂
止め縫いミシンまたは自動機ミシンのパターン縫いにお
いて、糸張力制御装置の低イナーシャモータの駆動によ
る動作軸の軸線方向動作に対応した糸調子皿または回転
体(糸車)による縫糸に対する把持力または制動力を、
各々の運針及び縫い方向に対し可変設定することで、例
えば、直線縫い時に比べ刺繍部で下げるよう設定するこ
とによって、直線縫い時にしっかり締めて、刺繍部は柔
らかく締めた所望の縫目が得られる。即ち、縫製する部
分によって縫目が変えられるようになる。
【0054】請求項40記載の発明は、請求項22、2
3または24記載のミシンの糸張力制御装置であって、
ロックミシンにおいて、縫糸となる上糸あるいはルーパ
ー糸に前記把持力または前記制動力の設定により縫目を
変えるようにした構成を特徴としている。このように、
ロックミシンにおいて、糸張力制御装置の低イナーシャ
モータの駆動による動作軸の軸線方向動作に対応した糸
調子皿または回転体制動部材による縫糸に対する把持力
または制動力を、所望の縫目に応じて設定することで、
例えば、縫目形式514(JIS:日本工業規格、以下
同じにつき省略)の縫目で左針側の把持力または制動力
を上げて下ルーパー糸張力を上げることによって、縫目
形式506の縫目に変えられる。即ち、縫目形式を変え
られる。
【0055】請求項41記載の発明は、請求項22、2
3または24記載のミシンの糸張力制御装置であって、
ロックミシンにおいて、その空環巻き込み装置による空
環形成時に、前記把持力または前記制動力を、例えば、
ソフトチェーンにするために下げるよう変化させるよう
にした構成を特徴としている。このように、ロックミシ
ンにおいて、糸張力制御装置の低イナーシャモータの駆
動による動作軸の軸線方向動作に対応した糸調子皿また
は回転体(糸車)による縫糸に対する把持力または制動
力を、所望により変化させるので、例えば、空環巻き込
み装置による空環形成時には、把持力または制動力を下
げることによって、ソフトチェーンが得られる。しか
も、その場合、従来は上下2段で4個から8個の糸張力
付与装置をマグネットで上段と下段に切り替えていたの
に比べて、電気的に糸張力付与装置自体の把持力または
制動力が変えられることにより、1段の位置張力付与装
置でソフトチェーンが得られるようになる。
【0056】請求項42記載の発明は、請求項22、2
3または24記載のミシンの糸張力制御装置であって、
ミシンのミシンアームに、例えば、従来の糸調子本体の
代わりに前記低イナーシャモータ(ボイスコイルモータ
等)を内蔵した構成を特徴としている。このように、糸
張力制御装置の低イナーシャモータをミシンアームに内
蔵したので、従来の糸調子本体の代わりに低イナーシャ
モータをミシンに備えられる。従って、邪魔物がなく、
糸調子の位置関係も従来と変わらない。
【0057】請求項43記載の発明は、請求項22、2
3または24記載のミシンの糸張力制御装置であって、
ミシンのミシンアームの裏面側に前記低イナーシャモー
タ(ボイスコイルモータ等)を設けた構成を特徴として
いる。このように、糸張力制御装置の低イナーシャモー
タをミシンアームの裏面側に設けたので、糸張力制御装
置の駆動源としての低イナーシャモータが、縫製作業の
邪魔にならない。
【0058】請求項44記載の発明は、請求項22、2
3または24記載のミシンの糸張力制御装置であって、
ミシンのミシンアームに対して、通常備えられる糸調子
の代わりに交換できるよう前記低イナーシャモータを、
例えば、必要に応じて交換できるようオプション化した
構成を特徴としている。このように、糸張力制御装置の
低イナーシャモータをミシンアームに対してオプション
化したので、例えば、必要に応じて、通常備えられる糸
調子の代わりに交換して低イナーシャモータをミシンに
備えられる。
【0059】請求項45記載の発明は、請求項22、2
3または24記載のミシンの糸張力制御装置であって、
前記低イナーシャモータ(ボイスコイルモータ等)の駆
動力を拡大して前記動作軸に伝達するリンク機構等によ
る駆動力伝達機構を設けた構成を特徴としている。この
ように、糸張力制御装置の低イナーシャモータの駆動力
を拡大して動作軸に伝達する駆動力伝達機構を設けたの
で、低イナーシャモータの駆動力に対して動作軸のスト
ロークを稼いで、高張力が得られるようになる。
【0060】請求項46記載の発明は、請求項45記載
のミシンの糸張力制御装置であって、前記駆動力伝達機
構(リンク機構等)が有する摩擦力により前記糸調子皿
または前記回転体制動部材が押されっぱなしにならない
ように戻すために、前記摩擦力の分だけ前記動作軸を引
き戻すバネを設けた構成を特徴としている。このよう
に、駆動力伝達機構が有する摩擦力の分だけ動作軸を引
き戻すバネを設けたので、このバネの力によって、糸調
子皿または回転体制動部材を駆動力伝達機構の摩擦力に
より押されっぱなしにならないように戻せる。即ち、例
えば、弱い糸張力の時に低イナーシャモータの制御電流
を下げても、駆動力伝達機構の摩擦力で低イナーシャモ
ータにかかる圧力が開放されず、糸張力がそのまま残っ
てしまうことが考えられるが、バネによって、低イナー
シャモータの制御電流を0にした時に糸張力も0になる
よう糸調子皿または回転体制動部材を戻せる。
【0061】請求項47記載の発明は、請求項45記載
のミシンの糸張力制御装置であって、前記駆動力伝達機
構(リンク機構等)が有する摩擦力により前記糸調子皿
または前記回転体制動部材が押されっぱなしにならない
ように戻すために、前記低イナーシャモータに逆電流を
かけて前記摩擦力の分だけ前記動作軸を引き戻すように
した構成を特徴としている。このように、低イナーシャ
モータに逆電流をかけて駆動力伝達機構の摩擦力の分だ
け動作軸を引き戻すようにしたので、電流の制御によっ
て、糸調子皿または回転体制動部材を駆動力伝達機構が
有する摩擦力により押されっぱなしにならないように戻
せる。即ち、例えば、弱い糸張力の時に低イナーシャモ
ータの制御電流を下げても、駆動力伝達機構の摩擦力で
低イナーシャモータにかかる圧力が開放されず、糸張力
がそのまま残ってしまうことが考えられるが、逆電流に
よって、低イナーシャモータの制御電流を0にした時に
糸張力も0になるよう糸調子皿または回転体制動部材を
戻せる。
【0062】請求項48記載の発明は、請求項22、2
3または24記載のミシンの糸張力制御装置であって、
前記糸調子皿または前記回転体制動部材を構成する対を
なす皿または制動部材のうち、一方の皿または制動部材
を固定の皿または制動部材として、他方の皿または制動
部材を前記動作軸による可動の皿または制動部材とした
構成を特徴としている。このように、糸張力制御装置の
低イナーシャモータの駆動による動作軸の軸線方向動作
に対応した把持力または制動力により糸張力付加が可能
な糸調子皿または回転体制動部材を構成する対をなす皿
または制動部材のうち、一方の皿または制動部材を固定
の皿または制動部材として、他方の皿または制動部材を
動作軸による可動の皿または制動部材としたので、低イ
ナーシャモータにより駆動される糸調子皿または回転体
制動部材において、可動部を一方の皿または制動部材だ
けとして慣性を極力小さくでき、高速での糸張力付加の
追従性が上がる。
【0063】請求項49記載の発明は、請求項48記載
のミシンの糸張力制御装置であって、前記固定の皿また
は制動部材の軸線方向位置を、例えば、ナット等により
調節可能とした構成を特徴としている。このように、糸
張力制御装置の低イナーシャモータの駆動による動作軸
の軸線方向動作に対応した把持力または制動力により糸
張力付加が可能な糸調子皿または回転体制動部材を構成
する対をなす皿または制動部材のうち、固定の皿または
制動部材の軸線方向位置を調節可能としたので、低イナ
ーシャモータにより駆動される糸調子皿または回転体制
動部材において、糸張力設定のための初期設定のための
隙間調節が適切に行える。即ち、例えば、糸調子皿また
は回転体制動部材の隙間が大きければ、糸張力0からの
立ち上がりに時間がかかるし、隙間が狭ければ、糸を結
んだコブ部分が引っかかるが、隙間調節によって、その
ような問題をなくせる。
【0064】請求項50記載の発明は、請求項22、2
3または24記載のミシンの糸張力制御装置であって、
ミシンに備えられる布押えの高さによる布厚の検知を、
ミシンに備えられる送り歯の沈下時の位相状態で行っ
て、その検知された布厚に対応して前記把持力または前
記制動力を変化させるようにした構成を特徴としてい
る。このように、送り歯の沈下時の位相状態で、布押え
の高さに基づき検知された布厚に対応して、糸張力制御
装置の低イナーシャモータの駆動による動作軸の軸線方
向動作に対応した糸調子皿または回転体(糸車)による
縫糸に対する把持力または制動力を変化させるようにし
たので、送り歯が沈んで布押えが布厚の分だけ浮いてい
る状態で正確に布厚を検知して、布厚に応じた適切な糸
張力の制御が行える。
【0065】請求項51記載の発明は、請求項22、2
3または24記載のミシンの糸張力制御装置であって、
ミシンの縫製条件によって、前記把持力または前記制動
力を、例えば、薄物の場合は低把持力域で厚物の場合は
高把持力域等に設定するようにした構成を特徴としてい
る。このように、糸張力制御装置の低イナーシャモータ
の駆動による動作軸の軸線方向動作に対応した糸調子皿
または回転体(糸車)による縫糸に対する把持力または
制動力を、布や糸の材質、糸の種類や番手等の縫製条件
により設定するので、例えば、ブラウス等の薄物の場合
には、低把持力域または低制動力域に設定することによ
って、パッカリング等の問題の発生をなくし、また、ジ
ーンズ等の厚物の場合には、高把持力域または高制動力
域に設定することによって、しっかりと糸が締められ
る。即ち、縫製条件に応じて簡単に把持力または制動力
の設定の切り替えが行える。
【0066】請求項52記載の発明は、請求項22、2
3または24記載のミシンの糸張力制御装置であって、
布厚を基準として設定された前記把持力または前記制動
力のデータマップが用意され、このデータマップに従っ
て前記布厚を基準とする前記把持力または前記制動力に
制御されるようにした構成を特徴としている。このよう
に、データマップに従って布厚を基準とする把持力また
は制動力に制御されるようにしたので、予め与えられた
データにより布厚に基づいて糸調子皿または回転体(糸
車)による把持力または制動力を適切に制御できる。
【0067】請求項53記載の発明は、請求項52記載
のミシンの糸張力制御装置であって、ミシンに備えられ
る入力設定部に入力された設定条件と、前記データマッ
プとに従って前記制御電流を決定するようにした構成を
特徴としている。このように、入力設定部に入力された
設定条件とデータマップとに従って、糸張力制御装置の
低イナーシャモータの制御電流を決定するようにしたの
で、入力設定に基づく縫製条件と予め与えられたデータ
により低イナーシャモータの制御電流を決定して、糸調
子皿または回転体(糸車)による把持力または制動力を
適切に制御できる。
【0068】請求項54記載の発明は、請求項22、2
3または24記載のミシンの糸張力制御装置であって、
前記糸張力を微量調節可能とする調節つまみを、前記糸
調子皿または前記回転体の手前側に、例えば、ブラケッ
トを介して同軸上等に設けた構成を特徴としている。こ
のように、糸張力制御装置の低イナーシャモータの駆動
による動作軸の軸線方向動作に対応した把持力または制
動力により糸張力付加が可能な糸調子皿または回転体
(糸車)の手前側に、糸張力を微量調節可能とする調節
つまみを設けたので、通常備えられる糸調子皿または回
転体(糸車)の糸張力設定つまみと同じ位置に、糸張力
微量調節可能な調節つまみがあって、違和感を与えな
い。
【0069】請求項55記載の発明は、請求項22、2
3または24記載のミシンの糸張力制御装置であって、
前記把持力または前記制動力の付加を、ミシンに備えら
れる天秤の引き上げ時と縫糸の釜越え時とで切換可能と
した構成を特徴としている。このように、糸張力制御装
置の低イナーシャモータの駆動による動作軸の軸線方向
動作に対応した糸調子皿または回転体(糸車)による縫
糸に対する把持力または制動力の付加を、天秤の引き上
げ時と縫糸の釜越え時とで切換可能としたので、例え
ば、薄物では天秤締め、厚物では釜締めが良いとされて
おり、1台のミシンで、天秤締めと釜締めを切り換え
て、薄物から厚物までカバーできるようになる。
【0070】請求項56記載の発明は、請求項22、2
3または24記載のミシンの糸張力制御装置であって、
縫製中に行われる、例えば、膝スイッチ、手元スイッ
チ、押え上げスイッチ等の操作によるパターン切り換え
に対応して、前記把持力または前記制動力を変化させる
ようにした構成を特徴としている。このように、糸張力
制御装置の低イナーシャモータの駆動による動作軸の軸
線方向動作に対応した糸調子皿または回転体(糸車)に
よる縫糸に対する把持力または制動力を、縫製中に行わ
れるパターン切り換えに対応して変化させるようにした
ので、予め与えられたデータマップを切り換えて、糸張
力を変えることによって、色々な縫目が得られるように
なる。
【0071】請求項57記載の発明は、請求項22、2
3または24記載のミシンの糸張力制御装置であって、
ミシンに、例えば、制御盤等に糸張力表示部を設けた構
成を特徴としている。このように、糸張力制御装置の低
イナーシャモータの駆動による動作軸の軸線方向動作に
対応した糸調子皿または回転体(糸車)による縫糸に対
する把持力または制動力に応じた糸張力表示部を設けた
ミシンなので、低イナーシャモータの駆動による糸調子
皿または回転体(糸車)の把持力または制動力に応じた
縫糸の張力が、例えば、制御盤等に表示されることによ
って、その糸張力の再現が容易に行えるようになる。
【0072】請求項58記載の発明は、請求項22、2
3または24記載のミシンの糸張力制御装置であって、
前記把持力または前記制動力が縫製条件に対応して適切
に設定されたデータマップが用意され、このデータマッ
プを、例えば、通信手段(LAN、コンピュータネット
ワーク等)やメディア(カードやリムーバブル記憶装置
等)等の外部装置により入力可能とした構成を特徴とし
ている。このように、糸張力制御装置の低イナーシャモ
ータの駆動による動作軸の軸線方向動作に対応した糸調
子皿または回転体(糸車)による縫糸に対する把持力ま
たは制動力が、縫製条件に対応して適切に設定されたデ
ータマップを外部装置により入力可能としたので、例え
ば、通信手段(LAN、コンピュータネットワーク等)
やメディア(カードやリムーバブル記憶装置等)等の外
部装置を用いて、縫製条件に対応して適切に設定された
データマップを入力できる。
【0073】請求項59記載の発明は、請求項22、2
3または24記載のミシンの糸張力制御装置であって、
千鳥縫いミシンにおいて、その右針落ちと左針落ちとに
分けて設定された、例えば、右針落ちが締まって左針落
ちが締まらない場合は左針落ち時に上げる等の前記把持
力または前記制動力のデータマップが用意され、このデ
ータマップに従って前記右針落ちと左針落ちとに対応し
た前記把持力または前記制動力に制御されるようにした
構成を特徴としている。このように、糸張力制御装置の
低イナーシャモータの駆動による動作軸の軸線方向動作
に対応した糸調子皿または回転体(糸車)による縫糸に
対する把持力または制動力が、右針落ちと左針落ちとに
分けて設定されたデータマップに従って右針落ちと左針
落ちとに対応した把持力または制動力に制御されるよう
にした千鳥縫いミシンなので、予め与えられたデータマ
ップにより、例えば、右針落ちが締まって左針落ちが締
まらない場合には、左針落ち時に上げる等の把持力また
は制動力の制御を行うことによって、左右針落ちで同じ
縫目が得られるようになる。
【0074】請求項60記載の発明は、請求項22、2
3または24記載のミシンの糸張力制御装置であって、
穴かがりミシンにおいて、前記把持力または前記制動力
を変化させることよりパール縫いとウィップ縫いを切換
可能とした構成を特徴としている。このように、糸張力
制御装置の低イナーシャモータの駆動による動作軸の軸
線方向動作に対応した糸調子皿または回転体(糸車)に
よる縫糸に対する把持力または制動力を変化させること
より、パール縫いとウィップ縫いを切換可能とした穴か
がりミシンなので、低イナーシャモータの制御電流値を
切り換えるだけで、パール縫いとウィップ縫いの切り換
えができ、各々の縫いの糸張力を記憶設定しておけば、
縫いに対応したスイッチ操作や針数、送り長さ、送り方
向等により切り換えられる。
【0075】請求項61記載の発明は、請求項22、2
3または24記載のミシンの糸張力制御装置であって、
ミシンの下糸の残量に対応して前記把持力または前記制
動力を変化させるようにした構成を特徴としている。こ
のように、糸張力制御装置の低イナーシャモータの駆動
による動作軸の軸線方向動作に対応した糸調子皿または
回転体(糸車)による縫糸に対する把持力または制動力
を、下糸の残量に対応して変化させるようにしたので、
例えば、下糸残量検出器からの情報を基に糸張力を変え
て、下糸の残量が少なくなった時に下糸張力が上がって
下調子になるのを防げる。
【0076】請求項62記載の発明は、請求項22、2
3または24記載のミシンの糸張力制御装置であって、
ミシンの主軸の1回転の過程において、前記把持力また
は前記制動力を、例えば、糸締め以外は下げるよう変化
させると共に、その変化タイミングを変えるようにした
構成を特徴としている。このように、ミシンの主軸の1
回転の過程において、糸張力制御装置の低イナーシャモ
ータの駆動による動作軸の軸線方向動作に対応した糸調
子皿または回転体(糸車)による縫糸に対する把持力ま
たは制動力を変化させると共に、その変化タイミングを
変えるようにしたので、例えば、糸締め以外は把持力ま
たは制動力を下げることによって、柔らかい縫目が得ら
れ、しかも、その把持力または制動力の変化タイミング
も変えられる。ここで、特開平4ー73091号公報に
おいて、位相に同期させ、把持力パターンにより上糸張
力をコントロールする装置が開示されるが、これは速度
が変わっても同一位相なので問題がある。ところで、天
秤や釜の糸取りによって発生する糸張力は、その特性曲
線の高さや形状が回転数と共に変化するが、有効な張力
ピークは回転数と共に位相まで変化する。つまり、回転
数の変化に伴って把持力パターンは、スタートする位
相、把持する長さ、張力の大きさの3つをコントロール
しないと、縫い目をコントロールすることはできない。
そのために、1回転の中で張力及びタイミングを変える
必要がある。この点につき、1回転の中で張力及びタイ
ミングを変えられるのはボイスコイルモータ等の低イナ
ーシャモータである高応答性のアクチュエータにしかで
きない。
【0077】請求項63記載の発明は、請求項22、2
3または24記載のミシンの糸張力制御装置であって、
環縫いボタン付ミシンにおいて、前記把持力または前記
制動力を、例えば、糸締め時に下げるよう変化させるこ
とにより糸ループと縫製布との隙間を適切に確保するよ
うにした構成を特徴としている。このように、糸張力制
御装置の低イナーシャモータの駆動による動作軸の軸線
方向動作に対応した糸調子皿または回転体(糸車)によ
る縫糸に対する把持力または制動力を変化させることに
より、糸ループと縫製布との隙間を適切に確保するよう
にした環縫いボタン付ミシンなので、例えば、糸締め時
に把持力または制動力を下げるよう変化させることによ
って、糸ループが上糸に引き上げられないようにして、
糸ループと縫製布との隙間を適切に確保できる。
【0078】請求項64記載の発明は、請求項22また
は23記載のミシンの糸張力制御装置であって、前記低
イナーシャモータは、固定の永久磁石と、この永久磁石
に対応して設けられ、鉄心なしで前記制御電流が供給さ
れる回転自在な電機子と、この電機子の中心部に一体的
に設けた出力軸と、からなるコアレスモータであり、前
記動作軸は、前記出力軸に、回転運動を直線運動に変換
する、例えば、リンク等による動力伝達機構を介して接
続されている構成を特徴としている。
【0079】このように、糸張力制御装置の低イナーシ
ャモータとして、固定の永久磁石に対応して設けられ、
鉄心なしで制御電流が供給される回転自在な電機子の中
心部に出力軸を一体的に設けたコアレスモータとし、そ
の出力軸に動力伝達機構を介して動作軸を接続したの
で、糸張力付加用の駆動源としてのコアレスモータは、
インダクタンスが小さく、鉄心なしの電機子中心部の出
力軸により慣性も小さく、その出力軸の駆動力が距離に
関係なく一定で電流値に比例し、構造が簡単で、電源投
入時の原点復帰(イニシャライズ)も不要である。ま
た、出力軸の回転運動を動力伝達機構により直線運動に
変換して、ボイスコイルモータと同様に動作軸を動作で
きる。従って、高速での糸調子皿または回転体(糸車)
の追従性が良く、高速でも安定した縫目が得られ、糸調
子皿による安定した糸把持力(糸張力)または回転体
(糸車)による安定した糸張力が得られて、安定した縫
製が行えると共に、電源投入時の原点復帰(イニシャラ
イズ)も不要で、電気的に糸張力を制御する場合にもそ
の電気制御系を簡単にできる。
【0080】請求項65記載の発明は、請求項1または
2記載のミシンの糸張力制御装置であって、前記電磁ブ
レーキの制動力により糸張力付加が可能な前記回転体よ
りも糸供給側において、糸張力を付与する、例えば、プ
リテンション用の第1糸調子器等の糸調子器を備えるミ
シンであり、前記糸調子器による糸張力を超える変化分
だけ前記電磁ブレーキが発生する制動力により糸張力を
制御するようにした構成を特徴としている。このよう
に、糸張力制御装置の電磁ブレーキの制動力により糸張
力付加が可能な回転体よりも糸供給側に備える糸調子器
による糸張力を超える変化分だけ、電磁ブレーキが発生
する制動力により糸張力を制御するようにしたので、糸
張力に変化を要しない領域は従来の糸調子器で持たせな
がら、糸張力の変化を必要とする領域では回転体(糸
車)の電磁ブレーキによる制動力により持たせて、高張
力にも対応できる。
【0081】請求項66記載の発明は、請求項1または
2記載のミシンの糸張力制御装置であって、前記電磁ブ
レーキの制動力の付加を、ミシンに備えられる天秤の引
き上げ時と縫糸の釜越え時とで切換可能とした構成を特
徴としている。このように、糸張力制御装置の電磁ブレ
ーキによる糸張力付加が可能な回転体に対する制動力の
付加を、天秤の引き上げ時と縫糸の釜越え時とで切換可
能としたので、例えば、薄物では天秤締め、厚物で釜締
めが良いとされており、1台のミシンで、天秤締めと釜
締めを切り換えて、薄物から厚物までカバーできるよう
になる。
【0082】請求項67記載の発明は、請求項1または
2記載のミシンの糸張力制御装置であって、前記電磁ブ
レーキが発生する制動力が縫製条件に対応して適切に設
定されたデータマップが用意され、このデータマップ
を、例えば、通信手段(LAN、コンピュータネットワ
ーク等)やメディア(カードやリムーバブル記憶装置
等)等の外部装置により入力可能とした構成を特徴とし
ている。このように、糸張力制御装置の電磁ブレーキに
よる糸張力付加が可能な回転体に対する制動力が縫製条
件に対応して適切に設定されたデータマップを外部装置
により入力可能としたので、例えば、通信手段(LA
N、コンピュータネットワーク等)やメディア(カード
やリムーバブル記憶装置等)等の外部装置を用いて、縫
製条件に対応して適切に設定されたデータマップを入力
できる。
【0083】請求項68記載の発明は、請求項1または
2記載のミシンの糸張力制御装置であって、穴かがりミ
シンにおいて、前記電磁ブレーキが発生する制動力を変
化させることよりパール縫いとウィップ縫いを切換可能
とした構成を特徴としている。このように、糸張力制御
装置の電磁ブレーキによる糸張力付加が可能な回転体に
対する制動力を変化させることより、パール縫いとウィ
ップ縫いを切換可能とした穴かがりミシンなので、電磁
ブレーキの励磁コイルの制御電流値を切り換えるだけ
で、パール縫いとウィップ縫いの切り換えができ、各々
の縫いの糸張力を記憶設定しておけば、縫いに対応した
スイッチ操作や針数、送り長さ、送り方向等により切り
換えられる。
【0084】請求項69記載の発明は、請求項1または
2記載のミシンの糸張力制御装置であって、環縫いボタ
ン付ミシンにおいて、前記電磁ブレーキが発生する制動
力を、例えば、糸締め時に下げるよう変化させることに
より糸ループと縫製布との隙間を適切に確保するように
した構成を特徴としている。このように、糸張力制御装
置の電磁ブレーキによる糸張力付加が可能な回転体に対
する制動力を変化させることより、糸ループと縫製布と
の隙間を適切に確保するようにした環縫いボタン付ミシ
ンなので、例えば、糸締め時に制動力を下げるよう変化
させることによって、糸ループが上糸に引き上げられな
いようにして、糸ループと縫製布との隙間を適切に確保
できる。
【0085】請求項70記載の発明は、請求項1または
2記載のミシンの糸張力制御装置であって、ミシンの下
糸の残量に対応して前記電磁ブレーキが発生する制動力
を変化させるようにした構成を特徴としている。このよ
うに、糸張力制御装置の電磁ブレーキの駆動による糸張
力付加が可能な回転体に対する制動力を、下糸の残量に
対応して変化させるようにしたので、例えば、下糸残量
検出器からの情報を基に糸張力を変えて、下糸の残量が
少なくなった時に下糸張力が上がって下調子になるのを
防げる。
【0086】請求項71記載の発明は、請求項1または
2記載のミシンの糸張力制御装置であって、ミシンに備
えられる布押えの高さによる布厚の検知を、ミシンに備
えられる送り歯の沈下時の位相状態で行って、その検知
された布厚に対応して前記電磁ブレーキが発生する制動
力を変化させるようにした構成を特徴としている。この
ように、送り歯の沈下時の位相状態で、布押えの高さに
基づき検知された布厚に対応して、糸張力制御装置の電
磁ブレーキの駆動による糸張力付加が可能な回転体に対
する制動力を変化させるようにしたので、送り歯が沈ん
で布押えが布厚の分だけ浮いている状態で正確に布厚を
検知して、布厚に応じた適切な糸張力の制御が行える。
【0087】請求項72記載の発明は、請求項1または
2記載のミシンの糸張力制御装置であって、布厚を基準
として設定された前記電磁ブレーキが発生する制動力の
データマップが用意され、このデータマップに従って前
記布厚を基準とする前記制動力に制御されるようにした
構成を特徴としている。このように、データマップに従
って布厚を基準とする制動力に制御されるようにしたの
で、予め与えられたデータにより布厚に基づいて回転体
による糸張力を適切に制御できる。
【0088】請求項73記載の発明は、請求項1または
2記載のミシンの糸張力制御装置であって、前記電磁ブ
レーキ(ヒステリシスブレーキ等)の制動力を発生する
回転子の軸を機械的または電気的に固定可能とする、例
えば、他の電磁ブレーキや、エア圧もしくは油圧による
ブレーキ等による軸固定手段を設け、この軸固定手段に
より軸を一時的に固定して回らなくするようにした構成
を特徴としている。
【0089】このように、電磁ブレーキの制動力を発生
する回転子の軸を、機械的または電気的に固定する軸固
定手段により一時的に固定して回らなくするようにした
ので、電磁ブレーキ(ヒステリシスブレーキ等)の励磁
コイルを消磁させた場合において、回転体(糸車)の軸
の回転を確実に防止できる。ここで、例えば、ヒステリ
シスブレーキは、急に流す電流値を変化させると、残留
磁気が残り、1回転中にトルク変動が発生する。このト
ルク変動を消すためには、励磁コイルの消磁が必要であ
り、その場合、交番磁界をかけて消磁するが、この時に
ヒステリシスブレーキが回転してしまう。しかし、その
回転する方向が決まっていないので、糸をゆるめる方向
に回転した場合には、糸がゆるんで糸車に巻き付いてし
まう。そこで、ヒステリシスブレーキの励磁コイルを消
磁するときは、軸が回らないように、機械的もしくは電
気的に軸を固定する必要がある。
【0090】請求項74記載の発明は、請求項1または
2記載のミシンの糸張力制御装置であって、前記電磁ブ
レーキ(ヒステリシスブレーキ等)の制動力を発生する
回転子の軸の回転方向を規制する、例えば、ワンウェイ
クラッチやラチェット等による軸回転方向規制手段を設
けた構成を特徴としている。このように、電磁ブレーキ
の制動力を発生する回転子の軸の回転方向を軸回転方向
規制手段により規制するようにしたので、電磁ブレーキ
(ヒステリシスブレーキ等)の励磁コイルを消磁させた
場合において、回転体(糸車)の軸の回転方向を規制し
て、例えば、糸をゆるめる方向の回転を防止できる。
【0091】請求項75記載の発明は、請求項1または
2記載のミシンの糸張力制御装置であって、前記電磁ブ
レーキ(ヒステリシスブレーキ等)の制動力を発生する
回転子の軸の途中に、回転の伝達をフリーにする、例え
ば、電磁クラッチ、ツースクラッチ、エア圧もしくは油
圧利用のクラッチ等による軸回転伝達フリー手段を設け
た構成を特徴としている。このように、電磁ブレーキの
制動力を発生する回転子の軸の途中に設けた軸回転伝達
フリー手段により回転の伝達をフリーにするようにした
ので、電磁ブレーキ(ヒステリシスブレーキ等)の励磁
コイルを消磁させた場合において、回転体(糸車)の軸
側からの回転の伝達を遮断して、例えば、糸をゆるめる
方向の回転を防止できる。
【0092】請求項76記載の発明は、請求項1または
2記載のミシンの糸張力制御装置であって、ミシンに備
えられる布押え上げ装置による押え上げ動作と連動し
て、前記電磁ブレーキ(ヒステリシスブレーキ等)の励
磁コイルの消磁を行うようにした構成を特徴としてい
る。このように、押え上げ動作と連動して、電磁ブレー
キの励磁コイルの消磁を行うようにしたので、次の縫製
時における電磁ブレーキのトルク変動を防止できる。
【0093】請求項77記載の発明は、請求項1または
2記載のミシンの糸張力制御装置であって、ミシンに備
えられる糸切り装置による糸切り動作と連動して、前記
電磁ブレーキ(ヒステリシスブレーキ等)の励磁コイル
の消磁を行うようにした構成を特徴としている。このよ
うに、糸切り動作と連動して、電磁ブレーキの励磁コイ
ルの消磁を行うようにしたので、次の縫製時における電
磁ブレーキのトルク変動を防止できる。
【0094】請求項78記載の発明は、請求項1または
2記載のミシンの糸張力制御装置であって、ミシンの停
止時に、前記電磁ブレーキ(ヒステリシスブレーキ等)
の励磁コイルの消磁を行うようにした構成を特徴として
いる。このように、ミシン停止時に、電磁ブレーキの励
磁コイルの消磁を行うようにしたので、次の縫製時にお
ける電磁ブレーキのトルク変動を防止できる。
【0095】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係るミシンの糸
張力制御装置の実施の各形態例について、先ず、図1か
ら図29に基づいて説明した後、次に、図33から図7
7に基づいて説明する。
【0096】<第1の実施の形態例>この第1の実施の
形態例は請求項1及び2記載の発明の具体例に相当する
ものである。先ず、図1は請求項1及び2記載の発明の
具体例に相当する第1の実施の形態例を示すもので、ミ
シンの縫糸に対する張力の付加を可能とする回転体であ
る糸車を回転子の軸に設けた電磁ブレーキとしてのヒス
テリシスブレーキによる糸張力付与装置の要部を示した
半截側面図であり、図2はそのヒステリシスブレーキの
内部構成を示す半截正面図である。これらの図1及び図
2において、1は回転体(糸車)、2a,2bは糸車半
体、3a,3bはスポーク部、4は噛み合い部、11は
電磁ブレーキ(ヒステリシスブレーキ)、12はステー
タ、12aは外側磁極、12bは内側磁極、13は出力
軸、14は励磁コイル、15は回転子(カップ状の永久
磁石)である。
【0097】図1に示すように、回転体である糸車1
は、各々の糸車半体2a,2bにそれぞれ輻射状に設け
られた弧状のスポーク部3a,3bが互いに噛み合わさ
れていて、その噛み合い部4には、図3に示すように、
上糸5が1回巻き付けられる。以上の糸車1は、電磁ブ
レーキであるヒステリシスブレーキ11に固着されてい
る。このヒステリシスブレーキ11は、図1及び図2に
示したように、ステータ12、外側磁極12a、内側磁
極12b、出力軸13、励磁コイル14および回転子で
ある永久磁石15から構成されている。
【0098】即ち、ヒステリシスブレーキ11において
は、図示のように、ステータ12の内部には、出力軸1
3と同心円上に励磁コイル14が配置されており、この
励磁コイル14への制御電流の供給により発生した磁力
は、ステータ12に出力軸13と同心円上に設けた外側
磁極12a及び内側磁極12bにそれぞれ導かれる。こ
れら外側磁極12a及び内側磁極12bの間には、回転
子であるカップ状の着磁されていない永久磁石15が入
っている。なお、外側磁極12a及び内側磁極12b
は、図2に示した例では各々12極ずつ有している。
【0099】図4は以上のようなヒステリシスブレーキ
11を用いた糸張力付与装置をミシンに装着した状態の
糸系統図であり、図示のように、縫糸である上糸5の糸
巻6と天秤9との間の糸経路に、制動装置であるヒステ
リシスブレーキ11の出力軸13に設けた糸車1を配置
している。具体的には、図示の通り、上糸5が糸巻6か
ら繰り出されて糸取りばね7に至る経路において、糸車
1による上糸5の繰り出し量をヒステリシスブレーキ1
1で規制するものである。ここで、図3に示すように、
糸車1に上糸5を1回巻き付け、矢印A方向に上糸5を
引くことにより、糸車1が矢印R方向に回転して、ヒス
テリシスブレーキ11の制動トルクが上糸5の引き出し
方向に対する張力を与えるようになっている。
【0100】そして、図3、4に示したように、針8が
図示しない布に刺し通されて、天秤9の動作により上糸
5が糸車1を通過すると、その移動量に応じて糸車1が
回転するようになっている。また、ヒステリシスブレー
キ11の制御電流は制御電流供給回路(CC)10によ
り供給される。この制御電流供給回路(CC)10から
の制御電流の供給によりヒステリシスブレーキ11の励
磁コイル14に通電すると、この励磁コイル14で発生
した磁力が、ステータ12に出力軸13と同心円上に設
けた外側磁極12a及び内側磁極12bにそれぞれ導か
れてその間の空隙に磁場が発生し、これら外側磁極12
a及び内側磁極12bの間の空隙に置かれた回転子であ
る着磁されていない永久磁石15も磁化される。
【0101】この状態で糸車1を回そうとすると、永久
磁石15にはヒステリシス特性があり、その極性の変化
は回転子である永久磁石15の回転よりも遅れ、その結
果、制動力が発生する。この制動力は磁石の極性の連続
的な変化により発生するので、図5及び図6に示すよう
に、制動力に変化が生じず、また、停止から動き出す時
のトルクと高回転時のトルクにも差がない。図7は励磁
コイル14の励磁電流Iに対する制動トルクTを示した
ものであり、図示のように、制動トルクTは励磁電流I
の増大につれて非線形的に増大する。
【0102】次に、図8は以上の糸張力付与装置を制御
する制御装置の構成及びその入出力信号を示すもので、
この制御装置21は、外部から各種信号(糸切り信号、
ミシン回転数、ミシン位相信号、押え高さ信号、押え上
げ信号、針上下左右位置信号、バック信号、片針停止信
号、布有無信号等)や設定条件(縫製条件としての針、
糸種類、糸番手、糸メーカー、布厚、布種類、張力等)
を入力する。そして、内部のCPU(Central
Processing Unit:中央処理装置)によ
りROM(Read Only Memory)やRA
M(Random Access Memory)に設
定されているデータと比較演算し、最適な縫目が得られ
るようにヒステリシスブレーキ11に流す電流を制御す
ると共に、サーボモータ22には縫目が適した回転数に
なるよう制御信号出力し、また、オペレータにはメッセ
ージを表示23する。なお、縫製で得られた制御信号デ
ータは、ROMやRAMにデータベースとして貯えら
れ、カード等のリムーバブル記憶装置24で入れ替えが
でき、また、LAN(Local Area Netw
ork)またはコンピュータネットワークを用いてホス
トコンピュータ25(或いはサーバ)等にデータを貯え
ることもできる。このような制御を行うことにより、次
の縫製時に一番近いデータを導き出せるので、段取り替
え時間が短縮される。
【0103】図9は以上の制御装置21による処理の一
例としてのフローチャートを示したものである。即ち、
縫製条件が入力されると、前記データベースからのデー
タに基づいて前記サーボモータ22に最大回転数の制御
信号が出力されるが、データベースにデータがない場合
は、先ず、ステップS1で糸張力を入力する。その後、
回転数の検出と演算処理(ステップS2)、位相の検出
と演算処理(ステップS3)、布押え高さの検出と演算
処理(ステップS4)、バック縫いの検出と演算処理
(ステップS5)、針左右位置の検出と演算処理(ステ
ップS6)、布押え上げ位置の検出と演算処理(ステッ
プS7)、糸切りの検出と演算処理(ステップS8)、
布有無の検出と演算処理(ステップS9)、片針停止の
検出と演算処理(ステップS10)等の各種検出・演算
処理を行う。そして、ステップS11において、前記ス
テップS1で入力した糸張力に基づいて現在の糸張力を
減少させるか否かが判断され、減少させない場合はその
まま、また、減少させる場合には、ステップS12でヒ
ステリシスブレーキ11に逆電圧を少しの時間かけてか
ら、前記制御電流供給回路10に前記ヒステリシスブレ
ーキ11の前記励磁コイル14へ供給する制御電流を出
力する。以上のような処理は、糸張力の入力に応じたル
ープ処理により行う。
【0104】以上の通り、第1の実施の形態例に係るミ
シンの糸張力制御装置によれば、次に列挙する作用効果
が得られる。 (1)回転子(永久磁石)15の慣性が小さいので、高
速での糸車1の追従性が良く、高速でも安定した縫目が
得られる。 (2)制動力は軸回転角に対してトルク変動がなく、安
定した縫製をすることができる。 (3)軸回転数の変化に対しても制動トルクが安定して
いるために、電気的に糸張力を制御する場合にも、電気
制御系を簡単にすることができる。
【0105】さらに、一般的に糸張力を電気制御するこ
とによって、以下の作用効果が得られる。 (4)糸張力は電流値で決まってくるので、糸張力を数
字で表現できる。これにより、糸張力を数値で管理でき
るので、縫製物の不良を減らすことができる。 (5)糸張力は電流値で決まってくるので、糸張力を変
えた後でも、電流値を元に戻すことにより、糸張力を容
易に再現することができ、即ち、データベース利用によ
り縫製の段取り時間を短縮することができる。 (6)高速で縫い始めの数針分、針糸張力を下げると、
針糸のスッポ抜けが防止できるので、1針目から高速で
縫製ができ、縫製効率が上がる。
【0106】(7)縫い始めの上糸張力を変えることに
より、布上の糸残り長さを変えることができるので、縫
製物の品質が上がる。 (8)制動トルクを大きくすると、上糸を出さなくでき
るので、2本針本縫いミシン等で片針上がり(片針停
止)で角縫いをする時に、その角縫い時における縫製物
の締り不良がなくなる(図18参照)。 (9)制動トルクを0(ゼロ)にすると、糸張力も0に
なるので、従来の糸調子のような皿浮かし機構が不要に
なり、機構の簡略化が図れる。このように、制動トルク
を0にして糸張力を0にすることで、糸切り時に有効と
なり、また、布の引き出しも容易に行える。
【0107】(10)従来のように、1本の糸に複数の
糸調子があり、縫製箇所(例えば、穴かがり縫いの閂止
め部、平行部等)で切り替えて使用している場合(図3
0参照)に比べて、1個の糸張力付与装置の調整で済む
ようになり、機構の簡略化が図れる(図20参照)。 (11)コンピュータ等の制御装置と組み合わせること
により、色々な諸条件が変わっても、常に最適な縫目が
得られるように自動制御できる。 (12)ロータリーテンション(糸車)自身の回転によ
る慣性が相殺され、ロータリーテンションの回転慣性に
よる縫いムラが発生しない。
【0108】<第2の実施の形態例>この第2の実施の
形態例は、請求項3記載の発明の具体例に相当するもの
で、ミシンの主軸の回転数の変化に応じて糸張力付与装
置としての前記ヒステリシスブレーキ11の制動トルク
の変化がなされるように構成したものである。即ち、例
えば、ミシン回転が高速になる程に糸が締まる場合は、
図10の主軸(上軸)回転数−制動トルク特性図に示し
たように、ミシンの主軸である上軸の回転が高速になる
程、前記ヒステリシスブレーキ11の制動トルクを下げ
る。このような制御を行うことによって、ミシンの回転
数の変化がなされても、同じ縫目が得られる。
【0109】<第3の実施の形態例>この第3の実施の
形態例は、請求項4記載の発明の具体例に相当するもの
で、ミシンの主軸の1回転のなかで前記ヒステリシスブ
レーキ11の制動トルクの変化がなされるように構成し
たものである。即ち、例えば、図11の主軸(上軸)回
転角−制動トルク特性図に示したように、ミシンの上軸
の1回転において、糸締め範囲以外は前記ヒステリシス
ブレーキ11の制動トルクを下げる。このような制御を
行うことによって、柔らかい縫目が得られる。
【0110】<第4の実施の形態例>この第4の実施の
形態例は、請求項5記載の発明の具体例に相当するもの
で、ミシンに備えられる図示しない布押え上げ装置の動
作と連動して前記ヒステリシスブレーキ11の制動トル
クの変化がなされるように構成したものである。即ち、
例えば、図12の時間−押え上げ信号/制動トルク特性
図に示したように、ミシンに備えられる図示しない布押
えが上がっている状態では、前記ヒステリシスブレーキ
11の制動トルクを下げる。このような制御を行うこと
によって、図示しない布が引き出し易くなる。
【0111】<第5の実施の形態例>この第5の実施の
形態例は、請求項6記載の発明の具体例に相当するもの
で、ミシンに備えられる図示しない糸切り装置による糸
切り時に前記ヒステリシスブレーキ11の制動トルクの
変化がなされるように構成したものである。即ち、例え
ば、図13の時間−糸切り信号/制動トルク特性図に示
したように、糸切り信号がONすると、糸切り終了まで
前記ヒステリシスブレーキ11の制動トルクを下げる。
また、糸切り条件によっては、糸切り開始前後及び終了
時、前後のヒステリシスブレーキ11の制動トルクコン
トロールのタイミングを任意に変えて適切な糸張力を得
られるようにすることも考えられる。このような制御を
行うことによって、適切な糸切りが可能であると同時
に、糸切りの際はその糸切り終了まで糸張力付与装置側
から上糸が繰り出せるため、切断した糸が針から抜け
ず、糸切り時の上糸抜けがない。また、糸切り後の上糸
長さは、ミシンに備えられる図示しないプリテンション
装置により調節されるが、糸張力付与装置(ヒステリシ
スブレーキ11)の制動トルクの大きさによっても調節
できるため、安定した上糸残り量になる。
【0112】<第6の実施の形態例>この第6の実施の
形態例は、請求項7記載の発明の具体例に相当するもの
で、バック縫いの際は前記ヒステリシスブレーキ11の
制動トルクの変化がなされるように構成したものであ
る。即ち、例えば、バック縫いの際には一般的にヒッチ
ステッチになることから糸が締まらない場合、図14の
時間−バック信号/制動トルク特性図に示したように、
バック信号がONの時に前記ヒステリシスブレーキ11
の制動トルクを上げる。このような制御を行うことによ
って、バック縫いでも同じ縫目が得られる。
【0113】<第7の実施の形態例>この第7の実施の
形態例は、請求項8記載の発明の具体例に相当するもの
で、縫製開始の際に前記ヒステリシスブレーキ11の制
動トルクの変化がなされるように構成したものである。
即ち、例えば、図15の縫製開始からの時間−制動トル
ク特性図に示したように、縫い始めの際には、ミシンス
タートから数針分だけ前記ヒステリシスブレーキ11の
制動トルクを下げる。このような制御を行うことによっ
て、縫い始めの際に糸張力付与装置(ヒステリシスブレ
ーキ11)側から上糸を充分に繰り出させるため、上糸
端は引き込まれず、縫い始めの目飛びがない。また、縫
い始めは糸がほつれ易いことから、例えば、縫い始めに
前記ヒステリシスブレーキ11の制動トルクを上げるこ
とで、糸締めを行って、縫い始めから糸をほつれ難くす
ることもできる。
【0114】<第8の実施の形態例>この第8の実施の
形態例は、請求項9記載の発明の具体例に相当するもの
で、布の段部検知により前記ヒステリシスブレーキ11
の制動トルクの変化がなされるように構成したものであ
る。即ち、例えば、布の厚くなった段部への縫製により
糸が締まらない場合、図16の時間−段部検知信号/制
動トルク特性図に示したように、図示しない布段部検知
装置が段部を検知すると、前記ヒステリシスブレーキ1
1の制動トルクを上げる。このような制御を行うことに
よって、布が厚くなった段部への縫製でも糸の締りが安
定している縫目が得られる。
【0115】<第9の実施の形態例>この第9の実施の
形態例は、請求項10記載の発明の具体例に相当するも
ので、2本針本縫いミシンにおいて、左右独立した糸張
力付与装置(ヒステリシスブレーキ11)を使用し、そ
れぞれの制動トルクを個別に可変制御するように構成し
たものである。即ち、例えば、図17の2本針ミシンの
要部斜視図に示したように、ミシン頭部に、右針8Rへ
の上糸5Rに対する糸車1R及びヒステリシスブレーキ
11Rと、左針8Lへの上糸5Lに対する糸車1L及び
ヒステリシスブレーキ11Lとを備えて、例えば、左針
8L側での糸締りに対し右針8R側での糸締りが締まる
場合には、右針8R側のヒステリシスブレーキ11Rの
制動トルクを下げる。このような制御を行うことによっ
て、左右共に同じ縫目が得られる。
【0116】<第10の実施の形態例>この第10の実
施の形態例は、請求項11記載の発明の具体例に相当す
るもので、2本針本縫いミシンにおいて、左右独立した
糸張力付与装置(ヒステリシスブレーキ11)を使用し
(前記図17参照)、片針停止時にはその停止した方の
ヒステリシスブレーキ11の制動トルクの変化がなされ
るように構成したものである。即ち、例えば、図18の
2本針ミシンによる片針停止を伴う縫製例に示したよう
に、右曲がりの角縫い縫製の場合には、角部の数針は左
針のみによる縫製になり、右針は縫製しないが、布は送
られるため、その上糸が繰り出されてしまう。そこで、
左針のみの縫製時は、右針側の糸張力付与装置(図17
のヒステリシスブレーキ11R参照)の制動トルクを上
げる。このような制御を行うことによって、右針側の上
糸を繰り出させなくして、再度縫製が始まっても左右共
に同じ縫目が得られる。
【0117】<第11の実施の形態例>この第11の実
施の形態例は、請求項12記載の発明の具体例に相当す
るもので、千鳥縫いミシンにおいて、右針落ちと左針落
ちで前記ヒステリシスブレーキ11の制動トルクの変化
がなされるように構成したものである。即ち、例えば、
図19の千鳥縫いミシンによる千鳥縫い例に示したよう
に、右針落ちで糸が締まり、左針落ちで糸が締まらない
場合は、右針落ちの時に前記ヒステリシスブレーキ11
の制動トルクを下げ、左針落ちの時に制動トルクを上げ
る。このような制御を行うことによって、左右の針落ち
で同じ縫目が得られる。
【0118】<第12の実施の形態例>この第12の実
施の形態例は、請求項13記載の発明の具体例に相当す
るもので、穴かがりミシンにおいて、平行部の縫製と閂
止め部の縫製とで前記ヒステリシスブレーキ11の制動
トルクの変化がなされるように構成したものである。即
ち、例えば、図30に示すように、従来の穴かがりミシ
ンは、そのミシン頭部に3個の糸張力付与装置91,9
2,92を備え、平行部の縫製を1個の糸張力付与装置
91で調整し、閂止め部の縫製を2個の糸張力付与装置
92,92で調整するよう切り替えていたが、この実施
の形態例では、例えば、図20の穴かがりミシンの要部
斜視図に示したように、1個の糸張力付与装置(ヒステ
リシスブレーキ11)31を備えて、その制動トルクを
平行部の縫製と閂止め部の縫製とで変化させる。このよ
うな制御を行うことによって、従来と同様に備えられる
プリテンション装置32と併せて2個の糸張力付与装置
により、例えば、図21に示したように、閂止め部3
3,33と平行部34,34の縫目調整が得られる。
【0119】<第13の実施の形態例>この第13の実
施の形態例は、請求項14記載の発明の具体例に相当す
るもので、家庭用ミシン、閂止め縫いミシンまたは自動
機ミシンにおいて、パターン縫いにおける前記ヒステリ
シスブレーキ11の制動トルクの変化がなされるように
構成したものである。即ち、家庭用ミシン、閂止め縫い
ミシンまたは自動機ミシンによるパターン縫いは、周知
の如くカム式とX−Y駆動式とがあり、各々の運針に対
し前記ヒステリシスブレーキ11の制動トルクを設定す
る。例えば、直線縫いの時に糸をしっかり締めて、刺繍
部では糸を柔らかく締めたい場合には、前記ヒステリシ
スブレーキ11の制動トルクを、直線縫いの時に比べ刺
繍部で下げる。このような制御を行うことによって、縫
製する部分により縫目を変えられる。また、例えば、図
22のパターン縫いによるパーフェクトステッチとヒッ
チステッチが混在した縫製例に示すように、前記ヒステ
リシスブレーキ11の制動トルクを適切に変える制御を
行うことで、同じ糸締りの縫目が得られるようになる。
【0120】<第14の実施の形態例>この第14の実
施の形態例は、請求項15記載の発明の具体例に相当す
るもので、ロックミシンにおいて、前記ヒステリシスブ
レーキ11の制動トルクの設定により縫目の変化がなさ
れるように構成したものである。即ち、例えば、図23
の縫目形式の変化例(a)から(b)に示すように、図
23(a)に示した縫目形式514の縫目で左針側の前
記ヒステリシスブレーキ11の制動トルクを上げて縫糸
となる上糸張力を下げ、縫糸となる下ルーパー糸張力を
上げると、図23(b)に示した通り、縫目形式506
の縫目に変わる。また、図24の縫目形式の変化例
(a)から(b)に示すように、図24(a)に示した
縫目形式504の縫目で前記ヒステリシスブレーキ11
の制動トルクを上げて縫糸となる上糸張力を下げ、縫糸
となる下ルーパー糸張力を上げると、図24(b)に示
した通り、縫目形式505の縫目に変わる。同様に、図
25の縫目形式の変化例(a)から(b)に示すよう
に、図25(a)に示した縫目形式502の縫目で前記
ヒステリシスブレーキ11の制動トルクを上げて縫糸と
なる上糸張力を下げ、縫い糸となるルーパー糸張力を上
げると、図25(b)に示した通り、縫目形式503の
縫目に変わる。
【0121】<第15の実施の形態例>この第15の実
施の形態例は、請求項16記載の発明の具体例に相当す
るもので、ロックミシンにおいて、空環巻き込み時に前
記ヒステリシスブレーキ11の制動トルクの設定により
縫目の変化がなされるように構成したものである。即
ち、例えば、図31に示すように、従来のロックミシン
は、上下2段で計4〜8個の糸張力付与装置93(図示
例では上下段とも3個ずつの糸張力付与装置94,9
5)を備え、空環巻き込み時にソフトチェーンにするた
めに、マグネットで上段の糸張力付与装置94と下段の
糸張力付与装置95に切り替えていたが、この実施の形
態例では、例えば、図26のロックミシンの斜視図に示
したように、1段で3個の糸張力付与装置(ヒステリシ
スブレーキ11)41を備えて、その制動トルクを適切
に変化させる。このような制御を行うことによって、1
段の糸張力付与装置41によりソフトチェーンが得られ
る。
【0122】<第16の実施の形態例>この第16の実
施の形態例は、請求項17記載の発明の具体例に相当す
るもので、縫製条件によって前記ヒステリシスブレーキ
11の制動トルクを設定がなされるように構成したもの
である。即ち、例えば、縫製条件とは、前記図8の制御
装置の構成及びその入出力信号に示したように、布や糸
の材質、糸の種類や番手等であり、例えば、ブラウス等
の薄物の場合には、パッカリング等の問題が発生するた
め、前記ヒステリシスブレーキ11の制動トルクを低ト
ルク域に設定し、逆に、ジーンズ等の厚物の場合には、
前記ヒステリシスブレーキ11の制動トルクを高トルク
域に設定することで、しっかりと糸が締められるなど、
簡単に制動トルクの設定の切り替えができる。
【0123】<第17の実施の形態例>この第17の実
施の形態例は、請求項18記載の発明の具体例に相当す
るもので、ミシンの適所に、前記ヒステリシスブレーキ
11の制動トルクによる糸張力表示部を設けたものであ
る。即ち、例えば、図27の縫製装置の一例に示すよう
に、ミシンのテーブル上に設置される制御盤50に、前
記ヒステリシスブレーキ11の制動トルクが表示される
制動トルク表示部51を設ける。このように、制動トル
ク表示部51を設けると、そのトルクは縫糸張力であ
り、つまり、縫糸張力が表示されるので、その糸張力の
表示に基づいて同じ糸張力の再現が容易にできる。な
お、糸張力表示部(制動トルク表示部)51は、制御盤
50に限らず、ミシン頭部やテーブル下などに配置して
もよい。
【0124】<第18の実施の形態例>この第18の実
施の形態例は、請求項19記載の発明の具体例に相当す
るもので、ミシンの適所に、前記ヒステリシスブレーキ
11の制動トルクによる糸張力設定部を設けたものであ
る。即ち、例えば、前記図27の縫製装置の一例に示し
たように、ミシンのテーブル上に設置される制御盤50
に、前記ヒステリシスブレーキ11の制動トルクの設定
が行える設定ボリュームや設定値入力装置による糸張力
設定部52を設ける。このように、糸張力設定部52を
設けると、その設定ボリュームや設定値入力装置を操作
して、容易に適切な制動トルクに変えられる。なお、糸
張力設定部(設定ボリュームや設定値入力装置)52
は、制御盤50に限らず、ミシン頭部やテーブル下など
に配置してもよい。
【0125】<第19の実施の形態例>この第19の実
施の形態例は、請求項20記載の発明の具体例に相当す
るもので、ミシンアームに前記ヒステリシスブレーキ1
1を内蔵したものである。即ち、例えば、図32に示し
たような従来の糸調子96(97は糸車、98は糸調子
本体)の代わりに、図28のミシンの要部の一例に示す
ように、糸車1を備えた前記ヒステリシスブレーキ11
と同様の構成による糸張力付与装置61をミシンアーム
に内蔵している。このように、従来の糸調子本体98の
代わりに、前記ヒステリシスブレーキ11と同様の構成
による糸張力付与装置61をミシンアームに内蔵して備
えられる。
【0126】<第20の実施の形態例>この第20の実
施の形態例は、請求項21記載の発明の具体例に相当す
るもので、ミシンアームに対して前記ヒステリシスブレ
ーキ11をオプション化したものである。即ち、例え
ば、前記図32に示したような通常備えられる従来の前
記糸調子96の代わりに交換できるよう、前記図28の
ミシンの要部の一例に示したように、糸車1を備えた前
記ヒステリシスブレーキ11と同様の構成による糸張力
付与装置61をオプションとしてミシンアームに内蔵し
て備えら得るようにしている。このように、必要に応じ
て、通常備えられる前記糸調子96の代わりに交換して
前記ヒステリシスブレーキ11と同様の構成による糸張
力付与装置61をミシンに備えられる。
【0127】<第21の実施の形態例>この第21の実
施の形態例は、前述した第1の実施の形態例における糸
張力付与装置の変形例に関するもので、その概略構成を
示した図29において、71は電磁ブレーキ(ヒステリ
シスブレーキ)、72は出力軸、73は回転体(ロー
ラ)、74は押し付けローラ、75は縫糸、76はロー
ラホルダ、77は押し付けばねである。即ち、図29に
示すように、電磁ブレーキであるヒステリシスブレーキ
71は、その出力軸72上に回転体であるローラ73を
固着して備えており、このローラ73と押し付けローラ
74との間に縫糸75が挟み込まれている。つまり、押
し付けローラ74はローラホルダ76に支持されてお
り、このローラホルダ76に押し付けばね77を接続す
ることによって、押し付けローラ74が縫糸75を挟ん
でローラ74に押し付けられている。
【0128】このように、本発明に係るミシンの糸張力
付与装置において、高張力の場合におけるスリップ防止
のために縫糸75を両ローラ73,74で挟むようにし
てもよい。なお、この第21の実施の形態例におけるヒ
ステリシスブレーキ71によっても、前述した第1の実
施の形態例におけるヒステリシスブレーキ11と同様の
機能が得られることは勿論である。また、この第21の
実施の形態例におけるヒステリシスブレーキ71も、前
述した第1の実施の形態例におけるヒステリシスブレー
キ11と同じく、前述した第2の実施の形態例から第2
0の実施の形態例にも同様に適用可能である。
【0129】なお、以上の実施の各形態例においては、
本発明のミシンの糸張力制御装置に用いる電磁ブレーキ
としてヒステリシスブレーキとしたが、本発明はこれに
限定されるものではなく、同じ電磁ブレーキであるパウ
ダブレーキを用いても同等の効果が得られる。さらに、
その他、ミシンの具体的な制御方法や具体的な細部構造
等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【0130】ここで、パウダブレーキについて簡単に説
明する。パウダブレーキは、図示しないが公知のよう
に、固定軸と回転軸を同心円筒上にパウダギャップを隔
てて配置し、そのパウダギャップに透磁率の高いパウダ
(磁性鉄粉)を入れて、そのパウダに磁束を流すようス
テータ外周に励磁コイルを配置したものである。このよ
うな構成のパウダブレーキは、無励磁で回転軸が回転し
ていれば、パウダは遠心力により回転軸動作面に押し付
けられ、回転軸と固定軸とは何ら連結状態にないが、コ
イルを励磁すると、発生した磁束に沿ってパウダが鎖状
に連結し、そのパウダ間の連結力及びパウダと動作面と
の摩擦力により回転軸に制動力が働くものである。以上
のようなパウダブレーキは、以下に列挙する特長を有す
る。 (1)広範囲の制御が容易である。即ち、励磁電流と制
動トルクの関係がほぼ比例的であり、制動トルクを広範
囲にわたって簡単に制御できる。 (2)連続スリップ運転が可能である。即ち、パウダを
使用するため、動作面は連続スリップが可能であり、ま
た、スリップ回転速度に関係なく常に安定したスリップ
トルクが得られる。 (3)安定したトルクが得られる。即ち、動作面形状、
ラビリンス形状等により常にパウダは正常に働くため、
電流の0N/0FFを繰り返しても極めて安定したトル
クが再現できる。 (4)鳴き音がない。即ち、摩擦板方式に見られる動作
面のスティックスリップがなく、また、停止音も発生し
ないため、静粛運転できる。 (5)熱容量が大きい。即ち、耐熱性に優れたパウダを
使用し、理想的な冷却方法の採用により、過酷な連続運
転でも安心して使用できる。 (6)スムーズな停止・駆動が可能である。即ち、静摩
擦係数と動摩擦係数はほぼ等しいため、完全停止時のシ
ョックもなく、負荷に応じた加減速度が得られる。
【0131】以上の実施の形態例では、ヒステリシスブ
レーキに代表される電磁ブレーキを用いた糸張力制御装
置について説明したが、以降の実施の形態例からは、ボ
イスコイルモータに代表されるリニアモータを含む低イ
ナーシャモータを用いた糸張力制御装置について説明す
る。
【0132】<第22の実施の形態例>この第22の実
施の形態例は、請求項22から24記載及び請求項48
記載の発明の具体例に相当するものである。即ち、図3
3は請求項22から24記載及び請求項48記載の発明
の具体例に相当する第22の実施の形態例を示すもの
で、軸線方向に動作する動作軸に糸調子皿を設けた低イ
ナーシャモータとしてのボイスコイルモータによる糸張
力付与装置の要部を示した縦断側面図である。この図3
3において、100はミシンアームブロック、101は
糸調子皿、102は外皿(固定皿)、103は内皿(可
動皿)、104は中空軸、105は動作軸、106は当
接片、107は軸受ケース、108はコイルバネ、10
9は糸掛け棒、111は低イナーシャモータ(ボイスコ
イルモータ)、112は磁気回路、113は円筒型ヨー
ク、114は永久磁石(外極)、115は鉄心(中央
極)、116は可動コイル、117は補償銅管、118
はコイル、119はコイルヘッドである。
【0133】図33に示すように、ミシンアームブロッ
ク100に備えられる糸調子皿101は、対をなす外皿
102及び内皿103からなるもので、この実施の形態
例では、中空軸104上に、その先端部のフランジ側に
外皿による固定皿102を組み付けて、この固定皿10
2と対向する内皿である可動皿103をスライド自在に
組み付けている。そして、中空軸104の内部には、動
作軸105がスライド自在に挿入されていて、この動作
軸105の先端部による押される当接片106が設けら
れており、この当接片106は、可動皿103と一体の
ものである。なお、この実施の形態例とは逆に、内皿1
03を固定皿として、外皿102を可動皿としてもよ
く、その場合には、当接片106を可動皿となる外皿1
02と一体に設けて、その当接片106に動作軸105
の先端部を係合等により接続することで、動作軸105
により当接片106が引かれるようにしておく。以上の
糸調子皿101の中空軸104は、軸受ケース107に
回転自在に軸受されており、軸受ケース107はミシン
アームブロック100の組み込み穴に填め込んで固定さ
れている。また、軸受ケース107内にコイルバネ10
8が介装されており、このコイルバネ108の先端部に
は、糸調子皿101の外周に臨む糸掛け棒109が一体
に形成されている。
【0134】そして、糸調子皿101の中空軸104に
内部に挿入される動作軸105は、低イナーシャモータ
であるリニア直流モータとしてのボイスコイルモータ1
11により駆動される。このボイスコイルモータ111
は、磁気回路112を構成する円筒型ヨーク113、そ
の端部内周に設けた永久磁石による外極114、前記円
筒形ヨーク113の中心部に一体的に設けた鉄心による
中央極115と、この中央極115と外極114との間
に配設される円筒状の可動コイル116とからなるもの
である。また、可動コイル116は、補償銅管117の
外周にコイル118を設けたもので、その先端部のコイ
ルヘッド119の中央部に前記動作軸105を一体的に
備えている。以上のボイスコイルモータ111は、磁気
回路112の中央極(鉄心)115の外周におかれた外
極(永久磁石)114から可動コイル116に磁界が作
用しており、この磁界中にある可動コイル(コイル11
8)116に制御電流供給回路(CC)110(図36
参照)から供給される制御電流によって、可動コイル1
16に推力(または吸引力)が生じ、コイルヘッド11
9に備えた動作軸105が中空軸104内を前進(また
は後退)する。
【0135】以上のボイスコイルモータ111の移動距
離−吸引力(推力)特性を図34に示しており、同じく
電流−吸引力(推力)特性を図35に示している。即
ち、ボイスコイルモータ111は、インダクタンスが小
さくて応答が早いという特性、移動体が可動コイル11
6だけなので、慣性が小さくて応答が早いという特性を
具備する他、図34に示すように、可動コイル116の
吸引力(推力)が距離に関係なく一定で、さらに、図3
5に示すように、電流に比例した線形の吸引力(推力)
が取り出せるといった特性を具備するものである。この
ような特性を具備するボイスコイルモータ111なの
で、その可動コイル116と一体の動作軸105による
中空軸104内の前進(または後退)動作によって、当
接片106を介して可動皿103が軸線方向に移動し
て、固定皿102との間の隙間を変えて、糸調子皿10
1を通す糸に対する把持力を変えることができる。
【0136】図36は以上のようなボイスコイルモータ
111を用いた糸張力付与装置をミシンに装着した状態
の糸系統図であり、図示のように、縫糸である上糸5の
糸巻6と天秤9との間の糸経路に、ボイスコイルモータ
111による動作軸105上に設けた糸調子皿101を
配置している。具体的には、図示の通り、上糸5が糸巻
6から繰り出されて糸取りバネ7に至る経路において、
糸調子皿101による上糸5の繰り出し量をボイスコイ
ルモータ111で規制するものである。また、ボイスコ
イルモータ111の制御電流は制御電流供給回路(C
C)110により供給される。
【0137】次に、図38は以上の糸張力付与装置を制
御する制御装置の構成及びその入出力信号を示すもの
で、この制御装置21は、外部から各種信号(糸切り信
号、ミシン回転数、ミシン位相信号、押え高さ信号、押
え上げ信号、針上下左右位置信号、バック信号、片針停
止信号、布有無信号等)や設定条件(縫製条件としての
針、糸種類、糸番手、糸メーカー、布厚、布種類、張力
等)を入力する。そして、内部のCPUによりROMや
RAMに設定されているデータと比較演算し、最適な縫
目が得られるようにボイスコイルモータ111に流す電
流を制御すると共に、サーボモータ22には縫目が適し
た回転数になるよう制御信号出力し、また、オペレータ
にはメッセージを表示23する。なお、縫製で得られた
制御信号データは、ROMやRAMにデータベースとし
て貯えられ、カード等のリムーバブル記憶装置24で入
れ替えができ、また、LANまたはコンピュータネット
ワークを用いてホストコンピュータ25(或いはサー
バ)等にデータを貯えることもできる。このような制御
を行うことにより、次の縫製時に一番近いデータを導き
出せるので、段取り替え時間が短縮される。
【0138】図39は以上の制御装置21による処理の
一例としてのフローチャートを示したものである。即
ち、縫製条件が入力されると、前記データベースからの
データに基づいて前記サーボモータ22に最大回転数の
制御信号が出力されるが、データベースにデータがない
場合は、先ず、ステップS1で糸張力を入力する。その
後、回転数の検出と演算処理(ステップS2)、位相の
検出と演算処理(ステップS3)、布押え高さの検出と
演算処理(ステップS4)、バック縫いの検出と演算処
理(ステップS5)、針左右位置の検出と演算処理(ス
テップS6)、布押え上げ位置の検出と演算処理(ステ
ップS7)、糸切りの検出と演算処理(ステップS
8)、布有無の検出と演算処理(ステップS9)、片針
停止の検出と演算処理(ステップS10)等の各種検出
・演算処理を行ってから、前記制御電流供給回路110
に前記ボイスコイルモータ111の前記可動コイル11
6へ供給する制御電流を出力する。以上のような処理
は、糸張力の入力後は縫製中繰り返し行う。
【0139】以上の実施の形態例に係るボイスコイルモ
ータ111により把持力を制御する糸調子器(糸調子皿
101)を用いたミシンの糸張力制御装置によれば、以
下に列挙する作用効果が得られる。 (1)インダクタンスが小さく、応答が早い。 (2)移動体が可動コイル116だけなので、慣性が小
さく、応答が早い。
【0140】(3)可動コイル116の吸引力(推力)
が距離に関係なく一定であり、電流に比例した吸引力
(推力)、即ち、圧力が得られる。従って、次の利点が
得られる。 糸の太さが変化するようなスパン糸や毛糸の場合でも
張力が変化しない。 太さの違う糸に交換しても、張力が大きく変化しな
い。 リンク等の駆動力伝達機構が介在する場合でも、組付
位置のずれがあっても張力にバラツキが発生しない。
【0141】(4)電流値と張力の直進性が良い。即
ち、流す電流値によって張力は一義的に決まってしま
う。 (5)電源投入時に原点復帰(イニシャライズ)する必
要がない。 (6)ストロークが大きく取れ、リンク等の駆動力伝達
機構で吸引力(推力)を増やすのに適している。
【0142】なお、以上の如く列挙した利点は、ボイス
コイルモータ111の吸引力(推力)による圧力をトル
クに置き換えた、後述するコアレスモータによっても同
様に得られる。
【0143】<第23の実施の形態例>この第23の実
施の形態例は、請求項26記載の発明の具体例に相当す
るものである。即ち、図37は請求項26記載の発明の
具体例に相当する第23の実施の形態例を示すもので、
図33の糸張力付与装置に圧力センサを設けた状態を示
した縦断側面図である。図37において、121は圧力
センサ(圧力検出手段)であり、この圧力センサ121
を、糸調子皿101の固定皿102と中空軸104の端
部フランジとの間に設けている。このような圧力センサ
121によって、ボイスコイルモータ111による動作
軸105の軸方向動作力により可動皿103から固定皿
102に作用する圧力を検出でき、その検出した圧力を
フィードバックして糸調子皿101による糸把持力を制
御するように構成する。これにより、ボイスコイルモー
タ111により糸調子皿101に作用する圧力を監視し
ながら糸張力を適切に制御できるものとなる。
【0144】<第24の実施の形態例>この第24の実
施の形態例は、請求項27記載の発明の具体例に相当す
るもので、図示しないが、糸張力を検出する糸張力セン
サ(糸張力検出手段)を設けている。このような糸張力
センサによって、ボイスコイルモータ111により糸調
子皿101で糸に付与される張力を検出でき、その検出
した糸張力をフィードバックして糸調子皿101による
糸把持力を制御するように構成する。これにより、ボイ
スコイルモータ111による糸調子皿101の把持によ
る糸張力を監視しながら糸張力を適切に制御できるもの
となる。
【0145】<第25の実施の形態例>この第25の実
施の形態例は、請求項28記載の発明の具体例に相当す
るもので、ミシンの主軸の回転数の変化に応じて糸張力
付与装置としての前記ボイスコイルモータ111による
糸調子皿101の糸把持力の変化がなされるように構成
したものである。即ち、図40は請求項28記載の発明
の具体例に相当する第25の実施の形態例を示すもの
で、主軸(上軸)回転数−把持力(張力)特性図であ
る。例えば、ミシン回転が高速になる程に糸が締まる場
合は、図40に示したように、ミシンの主軸である上軸
の回転が高速になる程、前記ボイスコイルモータ111
による糸調子皿101の糸把持力を下げるものとする。
このような制御を行うことによって、ミシンの回転数の
変化がなされても、同じ縫目が得られる。
【0146】なお、ミシンの主軸の1回転のなかで前記
ボイスコイルモータ111による糸調子皿101の糸把
持力の変化がなされるようにしてもよい。即ち、図41
は糸締め範囲を併せて示した主軸(上軸)回転数−把持
力(張力)特性図である。例えば、図41に示したよう
に、ミシンの上軸の1回転において、糸締め範囲以外は
前記ボイスコイルモータ111による糸調子皿101の
糸把持力を下げるものとする。このような制御を行う
と、柔らかい縫目が得られる。
【0147】<第26の実施の形態例>この第26の実
施の形態例は、請求項29記載の発明の具体例に相当す
るもので、ミシンに備えられる図示しない布押え上げ装
置の動作と連動して前記ボイスコイルモータ111によ
る糸調子皿101の糸把持力の変化がなされるように構
成したものである。即ち、図42は請求項29記載の発
明の具体例に相当する第26の実施の形態例を示すもの
で、時間−押さえ上げ信号/把持力(張力)特性図であ
る。例えば、図42に示したように、ミシンに備えられ
る図示しない布押えが上がっている状態では、前記ボイ
スコイルモータ111による糸調子皿101の糸把持力
を下げるものとする。このような制御を行うことによっ
て、図示しない布が引き出し易くなる。
【0148】<第27の実施の形態例>この第27の実
施の形態例は、請求項30記載の発明の具体例に相当す
るもので、ミシンに備えられる図示しない糸切り装置に
よる糸切り時に前記ボイスコイルモータ111による糸
調子皿101の糸把持力の変化がなされるように構成し
たものである。即ち、図43は請求項30記載の発明の
具体例に相当する第27の実施の形態例を示すもので、
時間−糸切り信号/把持力(張力)特性図である。例え
ば、図43に示したように、糸切り信号がONすると、
糸切り終了まで前記ボイスコイルモータ111による糸
調子皿101の糸把持力を下げるものとする。なお、糸
切り条件によっては、糸切り開始前後及び終了時、前後
のボイスコイルモータ111による糸調子皿101の糸
把持タイミングを任意に変えて適切な糸張力を得られる
ようにすることも考えられる。このような制御を行うこ
とによって、適切な糸切りが可能であると同時に、糸切
りの際はその糸切り終了まで糸張力付与装置側から上糸
が繰り出せるため、切断した糸が針から抜けず、糸切り
時の上糸抜けがない。また、糸切り後の上糸長さは、ミ
シンに備えられる図示しないプリテンション装置により
調節されるが、糸張力付与装置(ボイスコイルモータ1
11の駆動による糸調子皿101)の糸把持力の大きさ
によっても調節できるため、安定した上糸残り量にな
る。
【0149】<第28の実施の形態例>この第28の実
施の形態例は、請求項31記載の発明の具体例に相当す
るもので、バック縫いの際は前記ボイスコイルモータ1
11による糸調子皿101の糸把持力の変化がなされる
ように構成したものである。即ち、図44は請求項31
記載の発明の具体例に相当する第28の実施の形態例を
示すもので、時間−バック信号/把持力(張力)特性図
である。例えば、バック縫いの際には一般的にヒッチス
テッチになることから糸が締まらない場合、図44に示
したように、バック信号がONの時に前記ボイスコイル
モータ111による糸調子皿101の糸把持力を上げる
ものとする。このような制御を行うことによって、バッ
ク縫いでも同じ縫目が得られる。
【0150】<第29の実施の形態例>この第29の実
施の形態例は、請求項32記載の発明の具体例に相当す
るもので、縫製開始の際に前記ボイスコイルモータ11
1による糸調子皿101の糸把持力の変化がなされるよ
うに構成したものである。即ち、図45は請求項32記
載の発明の具体例に相当する第29の実施の形態例を示
すもので、時間−把持力(張力)特性図である。例え
ば、図45に示したように、縫い始めの際には、ミシン
スタートから数針分だけ前記ボイスコイルモータ111
による糸調子皿101の糸把持力を下げるものとする。
このような制御を行うことによって、縫い始めの際に糸
張力付与装置(ボイスコイルモータ111の駆動による
糸調子皿101)側から上糸を充分に繰り出させるた
め、上糸端は引き込まれず、縫い始めの目飛びがない。
また、縫い始めは糸がほつれ易いことから、例えば、縫
い始めに前記ボイスコイルモータ111による糸調子皿
101の糸把持力を上げることで、糸締めを行って、縫
い始めから糸をほつれ難くすることもできる。
【0151】<第30の実施の形態例>この第30の実
施の形態例は、請求項33記載の発明の具体例に相当す
るもので、布の段部検知により前記ボイスコイルモータ
111による糸調子皿101の糸把持力の変化がなされ
るように構成したものである。即ち、図46は請求項3
3記載の発明の具体例に相当する第30の実施の形態例
を示すもので、時間−段部検知信号/把持力(張力)特
性図である。例えば、布の厚くなった段部への縫製によ
り糸が締まらない場合、図46に示したように、図示し
ない布段部検知装置が段部を検知すると、前記ボイスコ
イルモータ111による糸調子皿101の糸把持力を上
げるものとする。このような制御を行うことによって、
布が厚くなった段部への縫製でも糸の締りが安定してい
る縫目が得られる。
【0152】<第31の実施の形態例>この第31の実
施の形態例は、請求項34記載の発明の具体例に相当す
るもので、2本針本縫いミシンにおいて、左右独立した
糸張力付与装置(ボイスコイルモータ111の駆動によ
る糸調子皿101)を使用し、それぞれの糸把持力を個
別に可変制御するように構成したものである。即ち、図
47は請求項34記載の発明の具体例に相当する第31
の実施の形態例を示すもので、2本針ミシンの要部斜視
図である。例えば、図47に示したように、ミシン頭部
に、右針8Rへの上糸5Rに対する糸調子皿101R及
びボイスコイルモータ111Rと、左針8Lへの上糸5
Lに対する糸調子皿101L及びボイスコイルモータ1
11Lとを備えて、例えば、左針8L側での糸締りに対
し右針8R側での糸締りが締まる場合には、右針8R側
のボイスコイルモータ111Rによる糸調子皿101R
の把持力を下げるものとする。このような制御を行うこ
とによって、左右共に同じ縫目が得られる。
【0153】<第32の実施の形態例>この第32の実
施の形態例は、請求項35記載の発明の具体例に相当す
るものである。即ち、図48は請求項35記載の発明の
具体例に相当する第32の実施の形態例を示すもので、
回転数−把持力(張力)特性図である。この実施の形態
例では、前記糸張力付与装置(ボイスコイルモータ11
1の駆動による糸調子皿101)よりも糸供給側(糸巻
側)に、プリテンション用の図示しない第1糸調子器を
設けておいて、その第1糸調子器により付与される糸張
力を超える変化分だけ、前記ボイスコイルモータ111
による糸調子皿101の糸把持力により糸張力を制御す
るものとする。こうすれば、図48に示したように、糸
張力に変化を必要としない領域において、従来と同様の
第1糸調子器で持たせながら、その第1糸調子器による
糸張力を超えて糸張力の変化を必要とする領域において
は、ボイスコイルモータ(VCM)111による糸調子
皿101の糸把持力により持たせることによって、高張
力にも対応できるものとなる。
【0154】<第33の実施の形態例>この第33の実
施の形態例は、請求項36記載の発明の具体例に相当す
るもので、2本針本縫いミシンにおいて、左右独立した
糸張力付与装置(ボイスコイルモータ111の駆動によ
る糸調子皿101)を使用し(前記図47参照)、片針
停止時にはその停止した方のボイスコイルモータ111
による糸調子皿101の糸把持力の変化がなされるよう
に構成したものである。即ち、図49は請求項36記載
の発明の具体例に相当する第33の実施の形態例を示す
もので、2本針ミシンによる片針停止を伴う縫製例を示
した平面図である。例えば、図49に示したように、右
曲がりの角縫い縫製の場合には、角部の数針は左針のみ
による縫製になり、右針は縫製しないが、布は送られる
ため、その上糸が繰り出されてしまう。そこで、左針の
みの縫製時は、右針側の糸張力付与装置(図47のボイ
スコイルモータ111Rによる糸調子皿101R参照)
の糸把持力を上げるものとする。このような制御を行う
ことによって、右針側の上糸を繰り出させなくして、再
度縫製が始まっても左右共に同じ縫目が得られる。
【0155】<第34の実施の形態例>この第34の実
施の形態例は、請求項37記載の発明の具体例に相当す
るもので、千鳥縫いミシンにおいて、右針落ちと左針落
ちで前記ボイスコイルモータ111による糸調子皿10
1の糸把持力の変化がなされるように構成したものであ
る。即ち、図50は請求項37記載の発明の具体例に相
当する第34の実施の形態例を示すもので、千鳥縫いミ
シンによる千鳥縫いを例示した平面図である。例えば、
図50の千鳥縫い例に示したように、右針落ちで糸が締
まり、左針落ちで糸が締まらない場合は、右針落ちの時
に前記ボイスコイルモータ111による糸調子皿101
の糸把持力を下げ、左針落ちの時に把持力を上げるもの
とする。このような制御を行うことによって、左右の針
落ちで同じ縫目が得られる。
【0156】<第35の実施の形態例>この第35の実
施の形態例は、請求項38記載の発明の具体例に相当す
るもので、穴かがりミシンにおいて、平行部の縫製と閂
止め部の縫製とで前記ボイスコイルモータ111による
糸調子皿101の糸把持力の変化がなされるように構成
したものである。即ち、図51は請求項38記載の発明
の具体例に相当する第35の実施の形態例を示すもの
で、穴かがりミシンを示した要部斜視図であり、図52
その穴かがりミシンによる縫製例を示した平面図であ
る。この実施の形態例では、例えば、図51に示したよ
うに、1個の糸張力付与装置(ボイスコイルモータ11
1の駆動による糸調子皿101)131を備えて、その
糸把持力を平行部の縫製と閂止め部の縫製とで変化させ
るものとする。このような制御を行うことによって、従
来と同様に備えられるプリテンション装置32と併せて
2個の糸張力付与装置により、例えば、図52に示した
ように、閂止め部33,33と平行部34,34の縫目
調整が得られる。
【0157】<第36の実施の形態例>この第36の実
施の形態例は、請求項39記載の発明の具体例に相当す
るもので、家庭用ミシン、閂止め縫いミシンまたは自動
機ミシンにおいて、パターン縫いにおける前記ボイスコ
イルモータ111による糸調子皿101の糸把持力の変
化がなされるように構成したものである。即ち、図53
は請求項39記載の発明の具体例に相当する第36の実
施の形態例を示すもので、パターン縫いによるパーフェ
クトステッチとヒッチステッチが混在する縫製例を示し
た平面図である。ところで、家庭用ミシン、閂止め縫い
ミシンまたは自動機ミシンによるパターン縫いは、周知
の如くカム式とX−Y駆動式とがあり、各々の運針に対
し前記ボイスコイルモータ111による糸調子皿101
の糸把持力を設定する。例えば、直線縫いの時に糸をし
っかり締めて、刺繍部では糸を柔らかく締めたい場合に
は、前記ボイスコイルモータ111による糸調子皿10
1の糸把持力を、直線縫いの時に比べ刺繍部で下げるも
のとする。このような制御を行うことによって、縫製す
る部分により縫目を変えられる。また、例えば、図53
のパターン縫いによるパーフェクトステッチとヒッチス
テッチが混在した縫製例に示すように、前記ボイスコイ
ルモータ111による糸調子皿101の糸把持力を適切
に変える制御を行うことで、同じ糸締りの縫目が得られ
るようになる。
【0158】<第37の実施の形態例>この第37の実
施の形態例は、請求項40記載の発明の具体例に相当す
るもので、ロックミシンにおいて、前記ボイスコイルモ
ータ111による糸調子皿101の糸把持力の設定によ
り縫目の変化がなされるように構成したものである。即
ち、図54から図56は請求項40記載の発明の具体例
に相当する第37の実施の形態例を示すもので、図54
(a)は縫い目形式514の縫い目を例示した斜視図、
図54(b)は縫い目形式506の縫い目を例示した斜
視図であり、図55(a)は縫い目形式504の縫い目
を例示した斜視図、図55(b)は縫い目形式505の
縫い目を例示した斜視図、図56(a)は縫い目形式5
04の縫い目を例示した斜視図、図56(b)は縫い目
形式503の縫い目を例示した斜視図である。例えば、
図54の縫目形式の変化例(a)から(b)に示すよう
に、図54(a)に示した縫目形式514の縫目で左針
側の前記ボイスコイルモータ111による糸調子皿10
1の糸把持力を上げて縫糸となる上糸張力を下げ、縫糸
となる下ルーパー糸張力を上げると、図54(b)に示
した通り、縫目形式506の縫目に変わる。また、図5
5の縫目形式の変化例(a)から(b)に示すように、
図55(a)に示した縫目形式504の縫目で前記ボイ
スコイルモータ111による糸調子皿101の糸把持力
を上げて縫糸となる上糸張力を下げ、縫糸となる下ルー
パー糸張力を上げると、図55(b)に示した通り、縫
目形式505の縫目に変わる。同様に、図56の縫目形
式の変化例(a)から(b)に示すように、図56
(a)に示した縫目形式502の縫目で前記ボイスコイ
ルモータ111による糸調子皿101の糸把持力を上げ
て縫糸となる上糸張力を下げ、縫い糸となるルーパー糸
張力を上げると、図56(b)に示した通り、縫目形式
503の縫目に変わる。
【0159】<第38の実施の形態例>この第38の実
施の形態例は、請求項41記載の発明の具体例に相当す
るもので、ロックミシンにおいて、空環巻き込み時に前
記ボイスコイルモータ111による糸調子皿101の糸
把持力の設定により縫目の変化がなされるように構成し
たものである。即ち、図57は請求項41記載の発明の
具体例に相当する第38の実施の形態例を示すもので、
ロックミシンを示した要部斜視図である。この実施の形
態例では、例えば、図57に示したように、1段で3個
の糸張力付与装置(ボイスコイルモータ111の駆動に
よる糸調子皿101)141を備えて、その糸把持力を
適切に変化させる。このような制御を行うことによっ
て、1段の糸張力付与装置141によりソフトチェーン
が得られる。
【0160】<第39の実施の形態例>この第39の実
施の形態例は、請求項42及び44記載の発明の具体例
に相当するものである。即ち、図58は請求項42及び
44記載の発明の具体例に相当する第39の実施の形態
例を示すもので、(a)は縫製装置の一例を示した要部
斜視図、(b)は糸張力付与装置の半部破断側面図であ
る。例えば、図58に示すように、糸調子皿101を備
えた前記ボイスコイルモータ111と同様の構成による
糸張力付与装置151をミシンアームに内蔵している。
このように、従来の糸調子本体の代わりに、前記ボイス
コイルモータ111の駆動による糸調子皿101と同様
の構成による糸張力付与装置151をミシンアームに内
蔵して備えられる。また、このようなボイスコイルモー
タ111の駆動による糸調子皿101と同様の構成によ
る糸張力付与装置151を、オプションとして備えた
り、あるいは、通常備えられる糸調子と交換して備える
こともできる。
【0161】<第40の実施の形態例>この第40の実
施の形態例は、請求項43と45及び46記載の発明の
具体例に相当するものである。即ち、図59は請求項4
3と45及び46記載の発明の具体例に相当する第40
の実施の形態例を示すもので、ボイスコイルモータから
糸調子皿までの駆動機構を示した斜視図であり、図60
はその糸張力付与装置をミシンに組み込んだ状態の一例
を示した概略側面図である。この実施の形態例では、図
59に示すように、糸調子皿101の動作軸105とボ
イスコイルモータ111との間に駆動力伝達装置として
のリンク機構171を介設することで、糸張力付与装置
160を構成している。そして、ボイスコイルモータ1
11は、ブラケット161を用いて、図60に示すよう
に、ミシンアームに対して糸調子皿101とは反対の裏
面側に配置して固定している。
【0162】リンク機構171は、図59に示したよう
に、ボイスコイルモータ111の可動コイル116のコ
イルヘッド119の中央部に連結したロッド172と、
このロッド172に継手173を介して一端部を連結
し、他端側寄り部で支軸175を介してブラケット17
6に支持されたアーム174と、このアーム174の他
端部に継手を介して連結したロッド177とから構成さ
れている。そして、このロッド177に前記動作軸10
5が連結されている。また、ロッド177の先端部に設
けたフランジ178と、糸調子皿101の中空軸104
(あるいは軸受ケース107)の端面との間には、リン
ク機構171が有する摩擦力の分だけ動作軸105を戻
すための圧縮コイルバネ179が介設されている。以上
のリンク機構171は、ミシンアームの内部に収容され
る。
【0163】以上の通り、先ず、ボイスコイルモータ1
11は、ミシンアームに対して糸調子皿101とは反対
の裏面側に配置されているので、縫製作業の邪魔になら
ないものとなっている。そして、ボイスコイルモータ1
11からリンク機構171により動作軸105に駆動力
が伝達され、そのリンク機構171によって、可動コイ
ル116の推力(吸引力)が拡大されて動作軸105に
入力されるため、ボイスコイルモータ111の駆動力に
対して動作軸105のストロークを稼ぐことができ、従
って、糸調子皿101による糸に対する高張力を得るこ
とができるものとなる。また、例えば、弱い糸張力の時
にボイスコイルモータ111の制御電流を下げても、リ
ンク機構171の摩擦力でボイスコイルモータ111に
かかる圧力が開放されずに、糸張力がそのまま残ってし
まうようなことが考えられるが、圧縮コイルバネ179
の付勢力によって、ロッド177と共に動作軸105を
迅速に戻せるため、ボイスコイルモータ111の制御電
流を0にすると、糸張力も直ぐに0になるよう糸調子皿
101を戻すことができる。なお、駆動力伝達機構とし
て、この実施の形態例では、回転方式によるリンク機構
171を採用したが、他に、往復運動機構や、フレキシ
ブルワイヤを用いたものでもよく、その構成は任意であ
る。
【0164】<第41の実施の形態例>この第41の実
施の形態例は、請求項47記載の発明の具体例に相当す
るもので、図示しないが、前述した第40の実施の形態
例において、圧縮コイルバネ179に代えて、ボイスコ
イルモータ111に逆電流をかけることで、リンク機構
171の摩擦力の分だけ可動コイル116を迅速に戻す
ように制御する。従って、可動コイル116の戻りによ
りリンク機構171を介して動作軸105も迅速に戻る
ため、前述した第40の実施の形態例と同様に、ボイス
コイルモータ111の制御電流を0にすると、糸張力も
直ぐに0になるよう糸調子皿101を戻すことができ
る。
【0165】<第42の実施の形態例>この第42の実
施の形態例は、請求項48及び49記載の発明の具体例
に相当するものである。即ち、図61は請求項48及び
49記載の発明の具体例に相当する第42の実施の形態
例を示すもので、図33と同様の糸張力付与装置に糸調
子皿の隙間調節手段を設けた例を示した縦断側面図であ
る。この実施の形態例では、中空軸104の先端部外周
に雄ねじ部181を形成して、この雄ねじ部181に、
固定皿102と可動皿103からなる糸調子皿101の
隙間調節手段としてのナット182をねじ込んでいる。
つまり、このナット182の位置調節により固定皿10
2の位置が調節される。先ず、前述した図33の糸張力
付与装置と同様に、ボイスコイルモータ111により把
持力を可変とされる糸調子皿101の一方のみを可動皿
103としたことで、慣性を極力小さくして、高速での
糸張力付加の追従性を上げることができる。また、ナッ
ト182の位置調節応じて固定皿103の位置が変わ
り、初期設定のための糸調子皿101の隙間調節が適切
に行えることから、例えば、隙間が大きくて糸張力0か
らの立ち上がりに時間がかかったり、隙間が狭くて糸を
結んだコブ部分が引っかかるといった問題を解消するこ
とができる。
【0166】<第43の実施の形態例>この第43の実
施の形態例は、請求項50記載の発明の具体例に相当す
るものである。即ち、図62は請求項50記載の発明の
具体例に相当する第43の実施の形態例を示すもので、
主軸(上軸)回転角−送り歯高さ特性図である。この実
施の形態例では、図62に示すように、図示しない布押
えの高さによる布厚の読込みを、図示しない送り歯の沈
下時の位相状態で行い、その読込まれた布厚に対応し
て、前記ボイスコイルモータ111の駆動による糸調子
皿101の糸把持力を変化させるものとする。これによ
り、送り歯が沈んで布押えが布厚の分だけ浮いている状
態で正確に布厚を検知して、布厚に応じた適切な糸張力
の制御が行えるものとなる。
【0167】<第44の実施の形態例>この第44の実
施の形態例は、請求項51記載の発明の具体例に相当す
るもので、図示しないが、布、糸、送りピッチ等の入力
または選択に基づく縫製条件によって前記ボイスコイル
モータ111の駆動による糸調子皿101の糸把持力の
設定がなされるように構成するものである。即ち、例え
ば、縫製条件とは、前記図38の制御装置の構成及びそ
の入出力信号に示したように、布や糸の材質、糸の種類
や番手等であり、例えば、ブラウス等の薄物の場合に
は、パッカリング等の問題が発生するため、前記ボイス
コイルモータ111の駆動による糸調子皿101の糸把
持力を低把持力域に設定し、逆に、ジーンズ等の厚物の
場合には、前記ボイスコイルモータ111の駆動による
糸調子皿101の糸把持力を高把持力域に設定すること
で、しっかりと糸が締められるなど、簡単に糸把持力の
設定の切り替えができるものとなる。
【0168】<第45の実施の形態例>この第45の実
施の形態例は、請求項52及び53記載の発明の具体例
に相当するものである。即ち、図63は請求項52及び
53記載の発明の具体例に相当する第45の実施の形態
例を示すもので、(a)は回転数−布枚数に対応する係
数のデータカードの一例を示した正面図、(b)は回転
数−主軸位相に対応する布枚数に応じたデータカードの
一例を示した分解斜視図である。この実施の形態例で
は、布厚を基準として、図63(a)に示すように、回
転数及び布枚数に応じた係数を予め決めておいて、その
布枚数に対応させて、図63(b)に示すように、回転
数及び主軸位相の各データが決められたデータマップ
を、ミシンの制御装置のR0Mに入力しておくものとす
る。これにより、データマップに従って布厚を基準とし
た、前記ボイスコイルモータ111の駆動による糸調子
皿101の糸把持力に適切に制御することができる。ま
た、図示しない入力設定部における布、糸、送りピッチ
等の入力または選択に基づく設定条件と、前記データマ
ップとに従って、前記ボイスコイルモータ111の制御
電流を決定するように構成してもよい。このように、入
力設定に基づく縫製条件とデータマップとによりボイス
コイルモータ111の制御電流を決定しても、糸調子皿
101による把持力を適切に制御することができる。
【0169】<第46の実施の形態例>この第46の実
施の形態例は、請求項54記載の発明の具体例に相当す
るものである。即ち、図64は請求項54記載の発明の
具体例に相当する第46の実施の形態例を示すもので、
糸張力付与装置の半部を破断して示した要部側面図であ
る。この実施の形態例では、図64に示すように、ミシ
ンアームブロック100に内蔵したボイスコイルモータ
111により駆動される糸調子皿101の手前側で、か
つ、同軸上に位置する調節つまみ191をミシンアーム
ブロック100に取り付けたブラケット192を介して
設けて、この調節つまみ191の操作により、糸調子皿
101の把持力による糸張力を微量調節可能とするよう
制御装置を構成する。これにより、通常備えられる糸調
子皿の糸張力設定つまみと同じ位置に、ボイスコイルモ
ータ111により駆動される糸調子皿101に対する糸
張力微量調節可能な調節つまみ191があるので、違和
感を与えることがないものとなる。
【0170】<第47の実施の形態例>この第47の実
施の形態例は、請求項55記載の発明の具体例に相当す
るものである。即ち、図65は請求項55記載の発明の
具体例に相当する第47の実施の形態例を示すもので、
主軸(上軸)回転角−上糸張力/上糸量/ボイスコイル
モータ(VCM)電流特性図である。この実施の形態例
は、1台のミシンで、天秤締めと釜締めとを切り換える
ことにより、薄物から厚物までカバーできるようにした
ものである。ここで、一般に、薄物では天秤締め、厚物
では釜締めが良いとされている。このため、前記ボイス
コイルモータ111の駆動による糸調子皿101の糸把
持力を、図示しない天秤の引き上げ時と縫糸の釜越え時
とでボイスコイルモータ(VCM)電流を切換可能とし
ている。これにより、1台のミシンで、天秤締めと釜締
めとでボイスコイルモータ(VCM)電流を切り換え
て、薄物から厚物までカバーできるものとなる。
【0171】<第48の実施の形態例>この第48の実
施の形態例は、請求項56記載の発明の具体例に相当す
るもので、図示しないが、前記ボイスコイルモータ11
1の駆動による糸調子皿101の糸把持力を、例えば、
膝スイッチ、手元スイッチ、押え上げスイッチ等の操作
に基づくパターン切り換えに対応して変化させるものと
する。このように、ボイスコイルモータ111の駆動に
よる糸調子皿101の糸把持力をパターン切り換えに対
応して変化させるので、予め与えられたデータマップに
切り換えて、糸張力を変えることができ、従って、色々
な縫目が得られるようになる。
【0172】<第49の実施の形態例>この第49の実
施の形態例は、請求項57記載の発明の具体例に相当す
るもので、ミシンの適所に、前記ボイスコイルモータ1
11の駆動による糸調子皿101の糸把持力による糸張
力表示部を設けたものである。即ち、図66は請求項5
7記載の発明の具体例に相当する第49の実施の形態例
を示すもので、縫製装置の一例を示した概略正面図であ
る。例えば、図66に示すように、ミシンのテーブル上
に設置される制御盤200に、前記ボイスコイルモータ
111の駆動による糸調子皿101の糸把持力が表示さ
れる糸把持力表示部201を設ける。このように、糸把
持力表示201を設けると、その糸把持力は縫糸張力で
あり、つまり、縫糸張力が表示されるので、その糸張力
の表示に基づいて同じ糸張力の再現が容易にできる。な
お、糸張力表示部(糸把持力表示部)201は、制御盤
200に限らず、ミシン頭部やテーブル下などに配置し
てもよい。また、図66の例では、制御盤200に、前
記ボイスコイルモータ111の駆動による糸調子皿10
1の糸把持力の設定が行える設定ボリュームや設定値入
力装置による糸張力設定部202を設けている。このよ
うに、糸張力設定部202を設けると、その設定ボリュ
ームや設定値入力装置を操作して、容易に適切な制動ト
ルクに変えられる。なお、この糸張力設定部(設定ボリ
ュームや設定値入力装置)202も、制御盤200に限
らず、ミシン頭部やテーブル下などに配置してもよい。
【0173】<第50の実施の形態例>この第50の実
施の形態例は、請求項58記載の発明の具体例に相当す
るもので、前述した図38に示すように、前記ボイスコ
イルモータ111の駆動による糸調子皿101の糸把持
力が縫製条件に対応して適切に設定されたデータマップ
を、LANやコンピュータネットワーク等の通信手段、
または、カードやリムーバブル記憶装置24等のメディ
ア等の外部装置により、制御装置21に入力可能とした
ものである。これにより、ボイスコイルモータ111を
含む各種機能部を制御する制御装置21に対して、縫製
条件に対応して適切に設定されたデータマップを外部装
置を用いて入力することができる。
【0174】<第51の実施の形態例>この第51の実
施の形態例は、請求項59記載の発明の具体例に相当す
るものである。即ち、図67は請求項59記載の発明の
具体例に相当する第51の実施の形態例を示すもので、
左針落ち用と右針落ち用の布枚数(布厚)に応じたデー
タカードの一例を示した分解斜視図である。この実施の
形態例では、千鳥縫いミシンにおいて、図67に示すよ
うに、その右針落ちと左針落ちとに分けて設定された、
前記ボイスコイルモータ111の駆動による糸調子皿1
01の糸把持力のデータマップに従って制御するもので
ある。これにより、例えば、右針落ちが締まって左針落
ちが締まらない場合に、左針落ち時に上げる等の把持力
の制御を行うことで、左右針落ちで同じ縫目が得られる
ものとなる。
【0175】<第52の実施の形態例>この第52の実
施の形態例は、請求項60記載の発明の具体例に相当す
るものである。即ち、図68は請求項60記載の発明の
具体例に相当する第52の実施の形態例を示すもので、
(a)はウィップ縫いの縫い目を示した平面図、(b)
はパール縫いの縫い目を示した平面図である。この実施
の形態例では、穴かがりミシンおいて、前記ボイスコイ
ルモータ111の駆動による糸調子皿101の糸把持力
を変化させることで、パール縫いとウィップ縫いを切換
可能としている。つまり、ボイスコイルモータ111の
制御電流値を切り換えるだけで、図68(a)に示した
ウィップ縫いの縫い目と、図68(b)に示したパール
縫いの縫い目とに切り換えることができる。また、その
ようなウィップ縫いとパール縫いの糸張力を記憶設定し
ておくことで、縫いに対応したスイッチ操作や針数、送
り長さ、送り方向等により切り換えることもできる。
【0176】<第53の実施の形態例>この第53の実
施の形態例は、請求項61記載の発明の具体例に相当す
るものである。即ち、図69は請求項61記載の発明の
具体例に相当する第53の実施の形態例を示すもので、
下糸残量検知装置と釜内に収容されているボビンケース
との関係を示した概略断面図である。この実施の形態例
では、リニアアクチュエータを用いた下糸残量検知装置
(本出願人の提案に係る特願平7−216143号参
照)による下糸残量に対応して、前記ボイスコイルモー
タ111の駆動による糸調子皿101の糸把持力を変化
させる。図69に示すように、下糸残量検知装置Aは、
釜214内のボビン212に巻かれた下糸211に対し
て、リニアモータの可動部であるコイル組立体205と
一体に移動する検知棒207が当接して、下糸211の
残量を検知するものであり、208はセンサである。こ
のようなリニアアクチュエータを用いた下糸残量検知装
置Aにより検出される下糸残量に対応して、前記ボイス
コイルモータ111の駆動による糸調子皿101の糸把
持力を変化させることで、下糸残量が少なくなった時に
下糸張力が上がって下調子になるのを防ぐことができ
る。
【0177】<第54の実施の形態例>この第54の実
施の形態例は、請求項62記載の発明の具体例に相当す
るもので、図示しないが、ミシン主軸の1回転の過程に
おいて、前記ボイスコイルモータ111の駆動による糸
調子皿101の糸把持力を、例えば、糸締め以外は下げ
るように変化させ、かつ、その変化タイミングも変え
る。このように、ミシン主軸の1回転の過程で、糸締め
以外は前記糸調子皿101の糸把持力を下げることによ
って、柔らかい縫い目が得られ、しかも、前記ボイスコ
イルモータ111の使用によって糸調子皿101の糸把
持力の変化タイミングも変えることができる。
【0178】<第55の実施の形態例>この第55の実
施の形態例は、請求項63記載の発明の具体例に相当す
るものである。即ち、図70は請求項63記載の発明の
具体例に相当する第55の実施の形態例を示すもので、
環縫いボタン付ミシンによる糸締めを示した要部破断の
側面図である。この実施の形態例では、環縫いボタン付
ミシンにおいて、いわゆるアクティブテンション方式の
もの(本出願人の提案に係る特願平8−3813号参
照)に適用しており、図70中、220は布、221は
ボタン、222はルーパー、223は針、224は天
秤、225は糸張力付与装置、226は糸繰り出し装
置、227は上糸、228,229は糸ループである。
【0179】これによれば、天秤224から針223の
間に設けた糸張力付与装置225により上糸227を押
さえて、天秤224による上糸227の引き下げ量を制
御し、かつ、天秤224により上糸227を引き上げき
る前に、糸繰り出し装置226により上糸227を針2
23側に繰り出すことによって、糸ループ228と布2
20との隙間lを確保することができる。従って、次に
形成される糸ループ229を従来より大きく形成するこ
とができるものである。以上のようなアクティブテンシ
ョン方式の環縫いボタン付ミシンにおいて、糸張力付与
装置225は、前記ボイスコイルモータ111の駆動に
よる糸調子皿101により構成されて、その糸調子皿1
01の糸把持力が可変制御されるものとなっている。
【0180】<第56の実施の形態例>この第56の実
施の形態例は、請求項64記載の発明の具体例に相当す
るものである。即ち、図71は請求項64記載の発明の
具体例に相当する第56の実施の形態例を示すもので、
軸線方向に動作する動作軸に糸調子皿を設けた低イナー
シャモータとしてのコアレスモータによる糸張力付与装
置の要部を示した縦断側面図である。この図71におい
て、300はミシンアームブロック、301は低イナー
シャモータ(コアレスモータ)、302は出力軸、30
3はリンク、304は継手である。この実施の形態例で
は、低イナーシャモータとして前記ボイスコイルモータ
に代えて、図示のように、コアレスモータ301を用い
て、糸調子皿101の糸把持力を可変制御するようにし
ている。
【0181】コアレスモータ301は、その内部構造を
省略するが、固定の永久磁石と、この永久磁石に対応し
て設けられ、鉄心を持たないで前記制御電流が供給され
る回転自在な電機子をケーシングに内蔵して、その電機
子の中心部に出力軸302を一体的に備えたものであ
る。このようなコアレスモータ301は、前述したボイ
スコイルモータ(VCM)と非常に良く似た特性を有す
るものであり、その出力軸302の回転運動を直線運動
に変換して前記動作軸105に伝えることによって、前
記ボイスコイルモータ(VCM)による場合と同様に、
コアレスモータ301の駆動による糸調子皿101の糸
把持力の前述したような各種制御を行うことができる。
この実施の形態例では、ミシンアームブロック300内
に取り付けたコアレスモータ301の出力軸302にリ
ンク303を一体的に備え、このリンク303の先端部
に継手304を介して前記動作軸105を連結した構成
としている。ここで、コアレスモータ301の出力軸3
02から糸調子皿101の動作軸105までの動力伝達
機構について、実施の形態例のリンク303及び継手3
04に代えて、プーリ等の他の機構を用いて回転運動を
直線運動に変換するよう構成してもよい。
【0182】なお、前述したヒステリシスブレーキまた
はパウダブレーキによる電磁ブレーキを用いた糸張力制
御装置においても、以上のボイスコイルモータまたは運
動変換手段を有するコアレスモータによる低イナーシャ
モータを用いた糸張力制御装置による請求項35、5
0、52、55、58、60、61及び63記載の発明
と同様に構成できるものであり、これらを請求項65か
ら72に記載して、その具体例及び作用効果の説明を省
略した。さらに、以上の実施の各形態例では、制御電流
という表現をとっているが、制御電圧に置き換えても同
様のことが言える。
【0183】<第57の実施の形態例>この第57の実
施の形態例は、請求項23記載の発明の具体例に相当す
るものである。即ち、図72は請求項23記載の発明の
具体例に相当する第57の実施の形態例を示すもので、
軸線方向に動作する動作軸に回転体制動部材を設けた低
イナーシャモータとしてのボイスコイルモータによる糸
張力付与装置の要部を示した縦断側面図である。この図
72において、前述した第22の実施の形態例(図33
参照)と同様に、100はミシンアームブロック、10
4は中空軸、105は動作軸、107は軸受ケース、1
08はコイルバネ、109は糸掛け棒、111は低イナ
ーシャモータ(ボイスコイルモータ)、112は磁気回
路、113は円筒型ヨーク、114は永久磁石(外
極)、115は鉄心(中央極)、116は可動コイル、
117は補償銅管、118はコイル、119はコイルヘ
ッドであり、401は回転体(糸車)、402,403
は摩擦体(摩擦板)、404,405は回転体制動部材
(押さえ板)、406は当接片である。
【0184】図72に示すように、前記ボイスコイルモ
ータ111の前記動作軸105が挿入される前記中空軸
104上には、回転体である糸車401が回転自在に装
着されると共に、この糸車401の両側に摩擦体として
の摩擦板402,403がそれぞれ配設されており、さ
らに、これらの摩擦板402、403の両側には、回転
体制動部材である対をなす押さえ板404,405がそ
れぞれ配設されている。この回転体制動部材について
は、中空軸104上に、その先端部のフランジ側に固定
の押さえ板404を組み付けて、前記軸受ケース107
側に可動の押さえ板405をスライド自在に組み付けて
いる。そして、中空軸104の内部に設けられて、動作
軸105の先端部により押される当接片406は、可動
の押さえ板405と一体のものである。なお、この実施
の形態例とは逆に、内側の押さえ板405を固定とし
て、外側の押さえ板404を可動としてもよく、その場
合には、当接片406を可動となる外側の押さえ板40
4と一体に設けて、その当接片406に動作軸105の
先端部を係合等により接続することで、動作軸105に
より当接片406が引かれるようにしておく。
【0185】以上のような構成の糸張力付与装置によれ
ば、ボイスコイルモータ111の前記可動コイルと11
6と一体の動作軸105による中空軸104内の前進
(または後退)動作によって、当接片406を介して可
動の押さえ板405が軸線方向に移動して、固定の押さ
え板404との間の隙間を変えて、その間の両側の摩擦
板402,403を介して糸車401に対する制動力を
変えることができる。従って、糸車401に巻き付けら
れる糸に対する張力を変えることができる。
【0186】なお、このようなボイスコイルモータ11
1の作動により制動力が付与される糸車401によって
も、ボイスコイルモータによる前述した糸調子皿の場合
と同様に、前述したような各種制御を行うことができ
る。また、このような糸車401において、前述したコ
アレスモータにより制動力をかけるように構成してもよ
い。
【0187】ところで、図73は前記電磁ブレーキ(ヒ
ステリシスブレーキ)を消磁させるための交番磁界のか
け方の一例を示した時間−交番磁界線図である。即ち、
ヒステリシスブレーキは、流す電流を急に変化させる
と、残留磁気が残り、1回転中にトルク変動が発生す
る。そのトルク変動を消すためには、消磁が必要にな
る。その消磁には、例として図73に示すように、交番
磁界をかけて消磁するが、この時にヒステリシスブレー
キが回転してしまう。この場合、その回転する方向が決
まっていないので、糸をゆるめる方向に回転した場合に
は、糸がゆるんで糸車に巻き付いてしまう。そこで、消
磁するときは、軸が回らないように、機械的もしくは電
気的に軸を固定する必要がある。そのような対策例が、
後述するような第58から第60の実施の各形態例であ
る。
【0188】<第58の実施の形態例>この第58の実
施の形態例は、請求項73記載の発明の具体例に相当す
るものである。即ち、図74は請求項73記載の発明の
具体例に相当する第58の実施の形態例を示すもので、
糸車の軸に軸固定手段を設けた電磁ブレーキとしてのヒ
ステリシスブレーキによる糸張力付与装置の要部を示し
た部分的破断の斜視図である。この図74において、前
述した第1の実施の形態例(図1参照)と同様に、1は
回転体(糸車)、11は電磁ブレーキ(ヒステリシスブ
レーキ)、12はステータ、12aは外側磁極、12b
は内側磁極、13は出力軸、14は励磁コイル、15は
回転子(カップ状の永久磁石)であり、500はミシン
ブロック、501は軸固定手段(電磁ブレーキ)であ
る。
【0189】図74に示すように、前記糸車1を備える
前記ヒステリシスブレーキ11の前記出力軸13に、こ
の出力軸13を一時的に固定可能とする軸固定手段、例
えば、出力軸13を制動力により一時的に固定する適宜
の電磁ブレーキ501を設けている。従って、ヒステリ
シスブレーキ11の前記励磁コイル14を消磁させた場
合において、電磁ブレーキ501の作動により出力軸1
3に制動力をかけて一時的に固定することができる。
【0190】なお、この実施の形態例では、軸固定手段
として電磁ブレーキ501を使用したが、これに限ら
ず、例えば、エア圧によるブレーキや油圧によるブレー
キを採用してもよく、他の機械的な軸固定手段を採用し
てもよい。また、このような機械的に軸を固定する方法
の他、電気的な制御により軸を固定するようにしてもよ
い。
【0191】<第59の実施の形態例>この第59の実
施の形態例は、請求項74記載の発明の具体例に相当す
るものである。即ち、図75は請求項74記載の発明の
具体例に相当する第59の実施の形態例を示すもので、
糸車の軸に軸回転方向規制手段を設けた電磁ブレーキと
してのヒステリシスブレーキによる糸張力付与装置の要
部を示した部分的破断の斜視図である。この図75にお
いて、前述した第58の実施の形態例(図74参照)と
同様に、1は回転体(糸車)、11は電磁ブレーキ(ヒ
ステリシスブレーキ)、12はステータ、12aは外側
磁極、12bは内側磁極、13は出力軸、14は励磁コ
イル、15は回転子(カップ状の永久磁石)、500は
ミシンブロックであり、502は軸回転方向規制手段
(ワンウェイクラッチ)である。
【0192】図75に示すように、糸車1を備えるヒス
テリシスブレーキ11の出力軸13の途中に、この出力
軸13の図示矢印方向の回転を許容して反対方向、即
ち、糸をゆるめる方向の回転を規制する軸回転方向規制
手段、例えば、ワンウェイクラッチ502を設けてい
る。従って、ヒステリシスブレーキ11の励磁コイル1
4を消磁させた場合において、ワンウェイクラッチ50
2により出力軸13の図示矢印方向と反対方向(糸をゆ
るめる方向)の回転を規制することができる。
【0193】なお、この実施の形態例では、軸回転方向
規制手段としてワンウェイクラッチ502を使用した
が、これに限らず、例えば、ラチェットを採用してもよ
く、他の機械的な軸回転方向規制手段を採用してもよ
い。
【0194】<第60の実施の形態例>この第60の実
施の形態例は、請求項75記載の発明の具体例に相当す
るものである。即ち、図76は請求項75記載の発明の
具体例に相当する第60の実施の形態例を示すもので、
糸車の軸に軸回転伝達フリー手段を設けた電磁ブレーキ
としてのヒステリシスブレーキによる糸張力付与装置の
要部を示した部分的破断の斜視図である。この図76に
おいて、前述した第58の実施の形態例(図74参照)
と同様に、1は回転体(糸車)、11は電磁ブレーキ
(ヒステリシスブレーキ)、12はステータ、12aは
外側磁極、12bは内側磁極、13は出力軸、14は励
磁コイル、15は回転子(カップ状の永久磁石)、50
0はミシンブロックであり、503は軸回転伝達フリー
手段(電磁クラッチ)である。
【0195】図76に示すように、糸車1を備えるヒス
テリシスブレーキ11の出力軸13の途中に、この出力
軸13の回転の伝達をフリーにする軸回転伝達フリー手
段、例えば、出力軸13の回転の伝達・遮断を可能とす
る適宜の電磁クラッチ503を設けている。従って、ヒ
ステリシスブレーキ11の励磁コイル14を消磁させた
場合において、電磁クラッチ503の遮断動作によっ
て、出力軸13の回転の伝達をフリーにすることができ
る。
【0196】なお、この実施の形態例では、軸回転伝達
フリー手段として電磁クラッチ503を使用したが、こ
れに限らず、例えば、ツースクラッチを採用したり、エ
ア圧によるクラッチや油圧によるクラッチを採用しても
よく、他の機械的な軸回転伝達フリー手段を採用しても
よい。
【0197】<第61の実施の形態例>この第61の実
施の形態例は、請求項76及び77記載の発明の具体例
に相当するものである。即ち、図77は請求項76及び
77記載の発明の具体例に相当する第61の実施の形態
例を示すもので、制御処理の一例を示したフローチャー
トである。この実施の形態例では、図77のフローチャ
ートに示されるように、前述した第1の実施の形態例で
の制御処理の一例(図9参照)において、布押え上げ位
置の検出と演算処理(ステップS7)に続いて、前記ヒ
ステリシスブレーキ11の前記励磁コイル14を消磁さ
せる(ステップS71)。そして、次の糸切りの検出と
演算処理(ステップS8)に続いても、ヒステリシスブ
レーキ11の励磁コイル14を消磁させる(ステップS
81)。
【0198】具体的には、ステップS7において、布押
え上げ位置が上端に達した時点で、ヒステリシスブレー
キ11の励磁コイル14を消磁させるようにする。な
お、その消磁の仕方としては、例えば、ミシンの布押え
上げ装置の押え上げ動作に直接連動させたり、または、
手元スイッチや押え上げスイッチの押え上げ操作に連動
させたり、あるいは、押え上げ動作を行わせるべく膝ス
イッチの0N動作のための膝上げ操作に連動させるよう
にすればよい。従って、布押え上げ動作時におけるヒス
テリシスブレーキ11のトルク変動を防止できる。さら
に、次のステップS8において、糸切り信号がONにな
った時点で、ヒステリシスブレーキ11の励磁コイル1
4を消磁させるようにする。従って、糸切り動作時にお
けるヒステリシスブレーキ11のトルク変動を防止でき
る。
【0199】<第62の実施の形態例>この第62の実
施の形態例は、請求項78記載の発明の具体例に相当す
るものである。即ち、図示しないが、この請求項78記
載の発明の具体例に相当する第62の実施の形態例で
は、ミシンの停止時に、ヒステリシスブレーキ11の励
磁コイル14を消磁させる。具体的には、縫製が終わっ
てミシンが停止した時点で、ヒステリシスブレーキ11
の励磁コイル14を消磁させるようにする。従って、ミ
シン停止時におけるヒステリシスブレーキ11のトルク
変動を防止できる。
【0200】なお、以上の第58から第62の実施の各
形態例では、ヒステリシスブレーキについて説明した
が、前述したパウダブレーキの場合でも同様のことが言
える。また、以上に説明した実施の各形態例の他、具体
的構成や細部構造等については適宜の変更が許容される
ものであることは勿論である。
【0201】
【発明の効果】以上のように、請求項1記載の発明に係
るミシンの糸張力制御装置によれば、縫糸に対する張力
付加用の回転体を電磁ブレーキの回転子の軸に設け、そ
の電磁ブレーキの励磁コイルに制動力のトルクを可変制
御する制御電流供給回路を設けてなる構成のため、縫糸
に張力を付加する制動部における回転子の慣性を小さく
することができ、制動力を軸回転角に対してトルク変動
がないものにすることができると共に、軸回転数の変化
に対しても制動トルクを安定させることができる。従っ
て、回転子の慣性が小さいため、高速での回転体(糸
車)の追従性を良くして、高速でも安定した縫目を得る
ことができ、また、制動力は軸回転角に対してトルク変
動がないため、安定した縫製をすることができ、さら
に、軸回転数の変化に対しても制動トルクが安定してい
るため、電気的に糸張力を制御する場合にもその電気制
御系を簡単にすることができる。
【0202】請求項2記載の発明に係るミシンの糸張力
制御装置によれば、請求項1記載の発明における糸張力
制御装置の電磁ブレーキを、同心円上の励磁コイルを内
部に有するステータに設けた内側磁極及び外側磁極の間
に永久磁石を入れたヒステリシスブレーキとしたため、
回転子の慣性を小さくすることができ、さらに、同心円
上の励磁コイルによって、制動力を軸回転角に対してト
ルク変動がないものにすることができると共に、軸回転
数の変化に対しても制動トルクを安定させることができ
る。従って、高速での回転体(糸車)の追従性を良くし
て、高速でも安定した縫目を得ることができ、安定した
縫製をすることができると共に、電気的に糸張力を制御
する場合にもその電気制御系を簡単にすることができ
る。
【0203】請求項3記載の発明に係るミシンの糸張力
制御装置によれば、請求項1または2記載の発明におけ
る電磁ブレーキの制動トルクを、主軸の回転数に対応し
て変化させるため、例えば、高速回転になる程糸が締ま
る場合には、高速回転になる程制動トルクを下げるよう
にすることによって、回転数が変化しても同じ縫目を得
ることができる。
【0204】請求項4記載の発明に係るミシンの糸張力
制御装置によれば、請求項1または2記載の発明におけ
る電磁ブレーキの制動トルクを、主軸の1回転のなかで
変化させるため、例えば、糸締め以外は制動トルクを下
げることによって、柔らかい縫目を得ることができる。
【0205】請求項5記載の発明に係るミシンの糸張力
制御装置によれば、請求項1または2記載の発明におけ
る電磁ブレーキの制動トルクを、布押え上げ装置の動作
と連動して変化させるため、例えば、布押えが上がって
いる時に制動トルクを下げることによって、布を引き出
し易くすることができる。
【0206】請求項6記載の発明に係るミシンの糸張力
制御装置によれば、請求項1または2記載の発明におけ
る電磁ブレーキの制動トルクを、糸切り時に変化させる
ため、例えば、糸切り信号のONから糸切り終了まで制
動トルクを下げておくことによって、糸張力付与装置側
から縫糸となる上糸を繰り出せて、切断した上糸が針か
ら抜けないようにすることで、糸切り時の上糸抜けをな
くすことができる。また、安定した上糸残り量を得るこ
とができる。
【0207】請求項7記載の発明に係るミシンの糸張力
制御装置によれば、請求項1または2記載の発明におけ
る電磁ブレーキの制動トルクを、バック縫い時に変化さ
せるため、例えば、バック縫い時にヒッチステッチとな
って糸が締まらない場合には、バック縫い信号がON状
態で制動トルクを上げておくことによって、同じ縫目を
得ることができる。
【0208】請求項8記載の発明に係るミシンの糸張力
制御装置によれば、請求項1または2記載の発明におけ
る電磁ブレーキの制動トルクを、縫製開始時に変化させ
るため、例えば、縫い始めに制動トルクを下げることに
よって、糸張力付与装置側から縫糸である上糸を繰り出
せて、上糸端が引き込まれないようにすることで、縫い
始めの目飛びをなくすことができる。また、縫い始めに
制動トルクを上げることによって、縫い始めの糸をほつ
れ難くすることもできる。
【0209】請求項9記載の発明に係るミシンの糸張力
制御装置によれば、請求項1または2記載の発明におけ
る電磁ブレーキの制動トルクを、布の段部検知時に変化
させるため、例えば、布の段部で糸が締まらない場合に
は、段部の検知により制動トルクを上げることによっ
て、同じ縫目を得ることができる。
【0210】請求項10記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、2本針ミシンの各縫糸である上糸
に対応してそれぞれ備えられる、請求項1または2記載
の発明における電磁ブレーキの制動トルクを、個別に可
変制御するため、例えば、左針側の糸締りに対し右針側
の糸締りが締まる場合には、右針側の制動トルクを下げ
ることによって、左右同じ縫目を得ることができる。
【0211】請求項11記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、2本針ミシンの各縫糸である上糸
に対応してそれぞれ備えられる、請求項1または2記載
の発明における電磁ブレーキの制動トルクを、片針停止
時にその停止した方の針側の上糸を繰り出さないように
変化させるため、例えば、左針のみの縫製時には、右針
側の制動トルクを上げることによって、右曲がりの角縫
い縫製の場合に、右針側の上糸を繰り出させなくして、
再度2本針による縫製が始まっても同じ縫目を得ること
ができる。
【0212】請求項12記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、千鳥縫いミシンにおいて、請求項
1または2記載の発明における電磁ブレーキの制動トル
クを、右針落ちと左針落ちとで変化させるため、例え
ば、右針落ちが締まって左針落ちが締まらない場合に
は、左針落ち時に制動トルクを上げるよう変化させるこ
とによって、左右針落ちで同じ縫目を得ることができ
る。
【0213】請求項13記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、穴かがりミシンにおいて、請求項
1または2記載の発明における電磁ブレーキの制動トル
クを、閂止め部の縫製と平行部の縫製とで変化させるた
め、例えば、従来は閂止め部の縫製を2個の糸張力付与
装置で調整し、平行部の縫製を1個の糸張力付与装置で
調整して切り替えていたのに比べて、同じ糸張力付与装
置で閂止め部の縫製と平行部の縫製の際の縫目調整をす
ることができる。
【0214】請求項14記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、家庭用ミシン、閂止め縫いミシン
または自動機ミシンのパターン縫いにおいて、請求項1
または2記載の発明における電磁ブレーキの制動トルク
を、各々の運針及び縫い方向に対し可変設定するため、
例えば、直線縫い時に比べ刺繍部で下げるよう設定する
ことによって、直線縫い時にしっかり糸を締めて、刺繍
部は柔らかく糸を締めた所望の縫目を得ることができ。
即ち、縫製する部分によって縫目を変えることができ
る。
【0215】請求項15記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、ロックミシンにおいて、請求項1
または2記載の発明における電磁ブレーキの制動トルク
を、所望の縫目に応じて設定するため、例えば、縫目形
式514の縫目で左針側の縫糸となる上糸の制動トルク
を上げて縫糸となる下ルーパー糸張力を上げることによ
って、縫目形式506の縫目に変えることができ。即
ち、縫目形式を変えることができる。
【0216】請求項16記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、ロックミシンにおいて、請求項1
または2記載の発明における電磁ブレーキの制動トルク
を、所望により変化させるため、例えば、空環巻き込み
装置による空環形成時には、制動トルクを下げることに
よって、ソフトチェーンを得ることができる。しかも、
その場合、従来は上下2段で4個から8個の糸張力付与
装置をマグネットで上段と下段に切り替えていたのに比
べて、電気的に糸張力付与装置自体の制動トルクが変え
られるため、1段の糸張力付与装置でソフトチェーンを
得ることができる。
【0217】請求項17記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項1または2記載の発明にお
ける電磁ブレーキの制動トルクを縫製条件により設定す
るため、例えば、ブラウス等の薄物の場合には、制動ト
ルクを低トルク域に設定することによって、パッカリン
グ等の問題の発生をなくすことができ、また、ジーンズ
等の厚物の場合には、制動トルクを高トルク域に設定す
ることによって、しっかりと糸を締めることができる。
即ち、縫製条件に応じて簡単に制動トルクの設定を切り
替えることができる。
【0218】請求項18記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項1または2記載の発明にお
ける電磁ブレーキの制動トルクに応じた糸張力表示部を
設けたため、電磁ブレーキの制動トルクに応じた縫糸の
張力が、糸張力表示部に表示されることによって、その
糸張力を容易に再現することができる。
【0219】請求項19記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項1または2記載の発明にお
ける電磁ブレーキの制動トルクの設定ボリュームや設定
値入力装置等による糸張力設定部を設けたため、電磁ブ
レーキの制動トルクに応じた縫糸の張力を糸張力設定部
の操作で設定することによって、容易に制動トルクを変
えて糸張力を変えることができる。
【0220】請求項20記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項1または2記載の発明にお
ける電磁ブレーキをミシンアームに内蔵したため、従来
の糸調子本体の代わりに電磁ブレーキをミシンに備える
ことができる。
【0221】請求項21記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項1または2記載の発明にお
ける電磁ブレーキをミシンアームに対してオプション化
したため、通常備えられる糸調子の代わりに交換して電
磁ブレーキをミシンに備えることができる。
【0222】また、請求項22記載の発明に係るミシン
の糸張力制御装置によれば、縫糸に対する張力付加用の
糸調子皿を、低イナーシャモータの駆動により軸線方向
に動作する動作軸に設け、低イナーシャモータに動作軸
の軸線方向動作力調整用の制御電流を供給して、糸調子
皿による縫糸に対する把持力を可変制御する制御電流供
給回路を設けてなる構成のため、糸張力付加用の駆動源
として、インダクタンスが小さく、慣性も小さく、しか
も、駆動力が距離に関係なく一定で、電流値に比例した
駆動力が得られ、また、構造が簡単で、電源投入時の原
点復帰(イニシャライズ)も不要であるといった利点を
得ることができる。従って、インダクタンス及び慣性が
小さいため、応答が早く、高速での糸調子皿の追従性を
良くして、高速でも安定した縫目を得ることができ、ま
た、駆動力は距離に関係なく一定で電流値に比例するた
め、糸調子皿による安定した糸把持力(糸張力)を得
て、安定した縫製をすることができ、しかも、電源投入
時の原点復帰(イニシャライズ)も不要なため、電気的
に糸張力を制御する場合にもその電気制御系を簡単にす
ることができる。
【0223】請求項23記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、糸張力付加用の回転体に対する回
転体制動部材を、低イナーシャモータの駆動により軸線
方向に動作する動作軸に設け、低イナーシャモータに動
作軸の軸線方向動作力調整用の制御電流を供給して、回
転体制動部材による回転体に対する制動力のトルクを可
変制御する制御電流供給回路を設けてなる構成のため、
糸張力付加用の駆動源として、インダクタンスが小さ
く、慣性も小さく、しかも、駆動力が距離に関係なく一
定で、電流値に比例した駆動力が得られ、また、構造が
簡単で、電源投入時の原点復帰(イニシャライズ)も不
要であるといった利点を得ることができる。従って、イ
ンダクタンス及び慣性が小さいため、応答が早く、高速
での回転体(糸車)の追従性を良くして、高速でも安定
した縫目を得ることができ、また、駆動力は距離に関係
なく一定で電流値に比例するため、回転体(糸車)によ
る安定した糸張力を得て、安定した縫製をすることがで
き、しかも、電源投入時の原点復帰(イニシャライズ)
も不要なため、電気的に糸張力を制御する場合にもその
電気制御系を簡単にすることができる。
【0224】請求項24記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項22または23記載の発明
における糸張力制御装置の低イナーシャモータを、磁気
回路を構成するヨークに、その中心部に鉄心による中央
極を一体的に設けて、ヨークの一部に永久磁石による外
極を設け、これら外極と中央極との間にその間の磁界の
作用により流れる電流によって推力が生じる可動コイル
を配設したボイスコイルモータとして、その可動コイル
と一体的にまたは動力伝達機構を介して動作軸を接続し
たため、糸張力付加用の駆動源として、インダクタンス
が小さく、可動コイルにより慣性も小さく、その可動コ
イルの駆動力が距離に関係なく一定で電流値に比例し、
構造が簡単で、電源投入時の原点復帰(イニシャライ
ズ)も不要であるといった利点を得ることができる。従
って、高速での糸調子皿または回転体(糸車)の追従性
を良くして、高速でも安定した縫目を得ることができ、
糸調子皿または回転体(糸車)による安定した糸把持力
(糸張力)を得ることができて、安定した縫製をするこ
とができると共に、電源投入時の原点復帰(イニシャラ
イズ)も不要で、電気的に糸張力を制御する場合にもそ
の電気制御系を簡単にすることができる。
【0225】請求項25記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項22、23または24記載
の発明における糸張力制御装置の低イナーシャモータを
オープンループにより制御するため、電気制御系を簡単
にすることができる。
【0226】請求項26記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項22、23または24記載
の発明における糸張力制御装置の動作軸の軸方向動作力
により糸調子皿または回転体制動部材に作用する圧力を
検出しフィードバックして把持力または制動力を制御す
るため、糸調子皿または回転体制動部材に作用する圧力
を監視しながら糸張力を適切に制御することができる。
【0227】請求項27記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、検出された糸張力をフィードバッ
クして、請求項22、23または24記載の発明におけ
る糸調子皿または回転体制動部材による把持力または制
動力を制御するため、糸調子皿または回転体制動部材間
の把持による糸張力を監視しながら糸張力を適切に制御
することができる。
【0228】請求項28記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項22、23または24記載
の発明における糸張力制御装置の低イナーシャモータの
駆動による糸調子皿または回転体(糸車)の把持力また
は制動力を、主軸の回転数に対応して変化させるため、
例えば、高速回転になる程糸が締まる場合には、高速回
転になる程把持力または制動力を下げるようにすること
によって、回転数が変化しても同じ縫目を得ることがで
きる。
【0229】請求項29記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項22、23または24記載
の発明における糸張力制御装置の低イナーシャモータの
駆動による糸調子皿または回転体(糸車)の把持力また
は制動力を、布押え上げ装置の動作と連動して変化させ
るため、例えば、布押えが上がっている時に把持力また
は制動力を下げることによって、布を引き出し易くする
ことができる。
【0230】請求項30記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項22、23または24記載
の発明における糸張力制御装置の低イナーシャモータの
駆動による糸調子皿または回転体(糸車)の把持力また
は制動力を、糸切り時に変化させるため、例えば、糸切
り信号のON状態から糸切り終了まで把持力または制動
力を下げておくことによって、糸張力付与装置側から縫
糸となる上糸を繰り出せて、切断した上糸が針から抜け
ないようにすることで、糸切り時の上糸抜けをなくすこ
とができる。また、安定した上糸残り量を得ることがで
きる。
【0231】請求項31記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項22、23または24記載
の発明における糸張力制御装置の低イナーシャモータの
駆動による糸調子皿または回転体(糸車)の把持力また
は制動力を、バック縫い時に変化させるため、例えば、
バック縫い時にヒッチステッチとなって糸が締まらない
場合には、バック縫い信号がON状態で把持力または制
動力を上げておくことによって、同じ縫目を得ることが
できる。
【0232】請求項32記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項22、23または24記載
の発明における糸張力制御装置の低イナーシャモータの
駆動による糸調子皿または回転体(糸車)の把持力また
は制動力を、縫製開始時に変化させるため、例えば、縫
い始めに把持力または制動力を下げることによって、糸
張力付与装置側から縫糸である上糸を繰り出せて、上糸
端が引き込まれないようにすることで、縫い始めの目飛
びをなくすことができる。また、縫い始めに把持力また
は制動力を上げることによって、縫い始めの糸をほつれ
難くすることもできる。
【0233】請求項33記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項22、23または24記載
の発明における糸張力制御装置の低イナーシャモータの
駆動による糸調子皿または回転体(糸車)の把持力また
は制動力を、布の段部検知時に変化させるため、例え
ば、布の段部で糸が締まらない場合には、段部の検知に
より把持力または制動力を上げることによって、同じ縫
目を得ることができる。
【0234】請求項34記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、2本針ミシンの各縫糸である上糸
に対応してそれぞれ備えられる、請求項22、23また
は24記載の発明における糸張力制御装置の低イナーシ
ャモータの駆動による糸調子皿または回転体(糸車)の
把持力または制動力を、個別に可変制御するため、例え
ば、左針側の糸締まりに対し右針側の糸締まりが締まる
場合には、右針側の把持力または制動力を下げることに
よって、左右同じ縫目を得ることができる。
【0235】請求項35記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項22、23または24記載
の発明における糸張力制御装置の糸調子皿または回転体
(糸車)よりも糸供給側に備える糸調子器による糸張力
を超える変化分だけ、低イナーシャモータの駆動による
糸調子皿または回転体(糸車)の把持力または制動力に
より糸張力を制御するため、糸張力に変化を要しない領
域は従来の糸調子器で持たせながら、糸張力の変化を必
要とする領域では低イナーシャモータの駆動による糸調
子皿または回転体(糸車)の把持力または制動力により
持たせることによって、高張力にも対応することができ
る。
【0236】請求項36記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、2本針ミシンの各縫糸である上糸
に対応してそれぞれ備えられる、請求項22、23また
は24記載の発明における糸張力制御装置の低イナーシ
ャモータの駆動による糸調子皿または回転体(糸車)の
把持力または制動力を、片針停止時にその停止した方の
針側の上糸を繰り出さないように変化させるため、例え
ば、左針のみの縫製時には、右針側の把持力または制動
力を上げることによって、右曲がりの角縫い縫製の場合
に、右針側の上糸を繰り出させなくして、再度2本針に
よる縫製が始まっても同じ縫目を得ることができる。
【0237】請求項37記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、千鳥縫いミシンにおいて、請求項
22、23または24記載の発明における糸張力制御装
置の低イナーシャモータの駆動による糸調子皿または回
転体(糸車)の把持力または制動力を、右針落ちと左針
落ちと変化させるため、例えば、右針落ちが締まって左
針落ちが締まらない場合には、左針落ち時に把持力また
は制動力を上げるよう変化させることによって、左右針
落ちで同じ縫目を得ることができる。
【0238】請求項38記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、穴かがりミシンにおいて、請求項
22、23または24記載の発明における糸張力制御装
置の低イナーシャモータの駆動による糸調子皿または回
転体(糸車)の把持力または制動力を、閂止め部の縫製
と平行部の縫製とで変化させるため、例えば、従来は閂
止め部の縫製を2個の糸張力付与装置で調整し、平行部
の縫製を1個の糸張力付与装置で調整して切り替えてい
たのに比べて、同じ糸張力付与装置で閂止め部の縫製と
平行部の縫製の際の縫目調整をすることができる。
【0239】請求項39記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、家庭用ミシン、閂止め縫いミシン
または自動機ミシンのパターン縫いにおいて、請求項2
2、23または24記載の発明における糸張力制御装置
の低イナーシャモータの駆動による糸調子皿または回転
体(糸車)の把持力または制動力を、各々の運針及び縫
い方向に対し可変設定するため、例えば、直線縫い時に
比べ刺繍部で下げるよう設定することによって、直線縫
い時にしっかり締めて、刺繍部は柔らかく糸を締めた所
望の縫目を得ることができる。即ち、縫製する部分によ
って縫目を変えることができる。
【0240】請求項40記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、ロックミシンにおいて、請求項2
2、23または24記載の発明における糸張力制御装置
の低イナーシャモータの駆動による糸調子皿または回転
体(糸車)の把持力または制動力を、所望の縫目に応じ
て設定するため、例えば、縫目形式514の縫目で左針
側の把持力または制動力を上げて下ルーパー糸張力を上
げることによって、縫目形式506の縫目に変えること
ができる。即ち、縫目形式を変えることができる。
【0241】請求項41記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、ロックミシンにおいて、請求項2
2、23または24記載の発明における糸張力制御装置
の低イナーシャモータの駆動による糸調子皿または回転
体(糸車)の把持力または制動力を、所望により変化さ
せるため、例えば、空環巻き込み装置による空環形成時
には、把持力または制動力を下げることによって、ソフ
トチェーンを得ることができる。しかも、その場合、従
来は上下2段で4個から8個の糸張力付与装置をマグネ
ットで上段と下段に切り替えていたのに比べて、電気的
に糸張力付与装置自体の把持力または制動力が変えられ
るため、1段の位置張力付与装置でソフトチェーンを得
ることができる。
【0242】請求項42記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項22、23または24記載
の発明における糸張力制御装置の低イナーシャモータを
ミシンアームに内蔵したので、従来の糸調子本体の代わ
りに低イナーシャモータをミシンに備えることができ
る。従って、邪魔物がなく、糸調子の位置関係も従来と
変わらないといった利点を得ることができる。
【0243】請求項43記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項22、23または24記載
の発明における糸張力制御装置の低イナーシャモータを
ミシンアームの裏面側に設けたため、糸張力制御装置の
駆動源としての低イナーシャモータが、縫製作業の邪魔
にならないといった利点を得ることができる。
【0244】請求項44記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項22、23または24記載
の発明における糸張力制御装置の低イナーシャモータを
ミシンアームに対してオプション化したので、通常備え
られる糸調子の代わりに交換して低イナーシャモータを
ミシンに備えることができる。
【0245】請求項45記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項22、23または24記載
の発明における糸張力制御装置の低イナーシャモータの
駆動力を拡大して動作軸に伝達する駆動力伝達機構を設
けたため、低イナーシャモータの駆動力に対して動作軸
のストロークを稼いで、高張力を得ることができる。
【0246】請求項46記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項45記載の発明における駆
動力伝達機構が有する摩擦力の分だけ動作軸を引き戻す
バネを設けたため、このバネの力によって、糸調子皿ま
たは回転体制動部材を駆動力伝達機構の摩擦力により押
されっぱなしにならないように戻すことができる。即
ち、例えば、弱い糸張力の時に低イナーシャモータの制
御電流を下げても、バネによって、低イナーシャモータ
の制御電流を0にした時に糸張力も0になるよう糸調子
皿または回転体制動部材を確実に戻すことができる。
【0247】請求項47記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、低イナーシャモータに逆電流をか
けて、請求項45記載の発明における駆動力伝達機構の
摩擦力の分だけ動作軸を引き戻すため、電流の制御によ
って、糸調子皿または回転体制動部材を駆動力伝達機構
が有する摩擦力により押されっぱなしにならないように
戻すことができる。即ち、例えば、弱い糸張力の時に低
イナーシャモータの制御電流を下げても、逆電流によっ
て、低イナーシャモータの制御電流を0にした時に糸張
力も0になるよう糸調子皿または回転体制動部材を確実
に戻すことができる。
【0248】請求項48記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項22、23または24記載
の発明における糸張力制御装置の低イナーシャモータの
駆動による糸調子皿または回転体制動部材を構成する対
をなす皿または制動部材のうち、一方の皿または制動部
材を固定の皿または制動部材として、他方の皿または制
動部材を動作軸による可動の皿または制動部材としたた
め、低イナーシャモータにより駆動される糸調子皿また
は回転体制動部材において、可動部を一方の皿または制
動部材だけとして慣性を極力小さくすることができ、従
って、高速での糸張力付加の追従性を上げることができ
る。
【0249】請求項49記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項48記載の発明における固
定の皿または制動部材の軸線方向位置を調節可能とした
ため、低イナーシャモータにより駆動される糸調子皿ま
たは回転体制動部材において、糸張力設定のための初期
設定のための隙間を適切に調節することができる。従っ
て、例えば、糸調子皿または回転体制動部材の隙間が大
きいことによる糸張力0からの立ち上がりに時間がかか
るといった問題や、また、隙間が狭いことによる糸を結
んだコブ部分が引っかかるといった問題を解消すること
ができる。
【0250】請求項50記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、送り歯の沈下時の位相状態で、布
押えの高さに基づき検知された布厚に対応して、請求項
22、23または24記載の発明における糸張力制御装
置の低イナーシャモータの駆動による糸調子皿または回
転体(糸車)の把持力または制動力を変化させるため、
送り歯が沈んで布押えが布厚の分だけ浮いている状態で
正確に布厚を検知して、布厚に応じて糸張力を適切に制
御することができる。
【0251】請求項51記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項22、23または24記載
の発明における糸張力制御装置の低イナーシャモータの
駆動による糸調子皿または回転体(糸車)の把持力また
は制動力を縫製条件により設定するため、例えば、ブラ
ウス等の薄物の場合には、低把持力域または低制動力域
に設定することによって、パッカリング等の問題の発生
をなくすことができ、また、ジーンズ等の厚物の場合に
は、高把持力域または高制動力域に設定することによっ
て、しっかりと糸が締めることができる。即ち、縫製条
件に応じて簡単に把持力または制動力の設定を切り替え
ることができる。
【0252】請求項52記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、データマップに従って布厚を基準
とする把持力または制動力に制御するため、予め与えら
れたデータにより布厚に基づいて、請求項22、23ま
たは24記載の発明における糸調子皿または回転体(糸
車)による把持力または制動力を適切に制御することが
できる。
【0253】請求項53記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、入力設定部に入力された設定条件
と、請求項52記載の発明におけるデータマップとに従
って、糸張力制御装置の低イナーシャモータの制御電流
を決定するため、入力設定に基づく縫製条件と予め与え
られたデータにより低イナーシャモータの制御電流を決
定して、糸調子皿または回転体(糸車)による把持力ま
たは制動力を適切に制御することができる。
【0254】請求項54記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項22、23または24記載
の発明における糸張力制御装置の低イナーシャモータの
駆動による糸調子皿または回転体(糸車)の手前側に、
糸張力微量調節用の調節つまみを設けたため、通常備え
られる糸調子皿または回転体(糸車)の糸張力設定つま
みと同じ位置に、糸張力微量調節の調節つまみがあっ
て、違和感を与えことがないといった利点を得ることが
できる。
【0255】請求項55記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項22、23または24記載
の発明における糸張力制御装置の低イナーシャモータの
駆動による糸調子皿または回転体(糸車)の把持力また
は制動力の付加を、天秤の引き上げ時と縫糸の釜越え時
とで切換可能としたため、例えば、薄物では天秤締め、
厚物では釜締めが良いとされているのに対応して、1台
のミシンで、天秤締めと釜締めを切り換えて、薄物から
厚物までカバーすることができる。
【0256】請求項56記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項22、23または24記載
の発明における糸張力制御装置の低イナーシャモータの
駆動による糸調子皿または回転体(糸車)の把持力また
は制動力を、縫製中に行われるパターン切り換えに対応
して変化させるため、予め与えられたデータマップを切
り換えて、糸張力を変えることによって、色々な縫目を
得ることができる。
【0257】請求項57記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項22、23または24記載
の発明における糸張力制御装置の低イナーシャモータの
駆動による糸調子皿または回転体(糸車)の把持力また
は制動力に応じた糸張力表示部を設けたため、低イナー
シャモータの駆動による糸調子皿または回転体(糸車)
の把持力または制動力に応じた糸張力が、例えば、制御
盤等に表示されることによって、その糸張力を容易に再
現することができる。
【0258】請求項58記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項22、23または24記載
の発明における糸張力制御装置の低イナーシャモータの
駆動による糸調子皿または回転体(糸車)の把持力また
は制動力が、縫製条件に対応して適切に設定されたデー
タマップを外部装置により入力可能としたため、例え
ば、通信手段やメディア等の外部装置を用いて、縫製条
件に対応して適切に設定されたデータマップを入力する
ことができる。
【0259】請求項59記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、千鳥縫いミシンにおいて、請求項
22、23または24記載の発明における糸張力制御装
置の低イナーシャモータの駆動による糸調子皿または回
転体(糸車)の把持力または制動力が、右針落ちと左針
落ちとに分けて設定されたデータマップに従って右針落
ちと左針落ちとに対応した把持力または制動力に制御さ
れるため、予め与えられたデータマップにより、例え
ば、右針落ちが締まって左針落ちが締まらない場合に
は、左針落ち時に上げる等の把持力または制動力の制御
を行うことによって、左右針落ちで同じ縫目を得ること
ができる。
【0260】請求項60記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、穴かがりミシンにおいて、請求項
22、23または24記載の発明における糸張力制御装
置の低イナーシャモータの駆動による糸調子皿または回
転体(糸車)の把持力または制動力を変化させることよ
り、パール縫いとウィップ縫いを切換可能としたため、
低イナーシャモータの制御電流値を切り換えるだけで、
パール縫いとウィップ縫いとに切り換えできて、各々の
縫いの糸張力を記憶設定しておくことで、縫いに対応し
たスイッチ操作や針数、送り長さ、送り方向等により切
り換えることができる。
【0261】請求項61記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項22、23または24記載
の発明における糸張力制御装置の低イナーシャモータの
駆動による糸調子皿または回転体(糸車)の把持力また
は制動力を、下糸の残量に対応して変化させるため、例
えば、下糸残量検出器からの情報を基に糸張力を変え
て、下糸の残量が少なくなった時に下糸張力が上がって
下調子になるのを防ぐことができる。
【0262】請求項62記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、ミシンの主軸の1回転の過程にお
いて、請求項22、23または24記載の発明における
糸張力制御装置の低イナーシャモータの駆動による糸調
子皿または回転体(糸車)の把持力または制動力を変化
させると共に、その変化タイミングを変えるため、例え
ば、糸締め以外は把持力または制動力を下げることによ
って、柔らかい縫目を得ることができ、しかも、その把
持力または制動力の変化タイミングも変えることができ
る。
【0263】請求項63記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、環縫いボタン付ミシンにおいて、
請求項22、23または24記載の発明における糸張力
制御装置の低イナーシャモータの駆動による糸調子皿ま
たは回転体(糸車)の把持力または制動力を変化させる
ことにより、糸ループと縫製布との隙間を適切に確保す
るため、例えば、糸締め時に把持力または制動力を下げ
るよう変化させることによって、糸ループが上糸に引き
上げられないようにして、糸ループと縫製布との隙間を
適切に確保することができる。
【0264】請求項64記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項22、23または24記載
の発明における糸張力制御装置の低イナーシャモータ
を、固定の永久磁石に対応して設けられ、鉄心なしで制
御電流が供給される回転自在な電機子の中心部に出力軸
を一体的に設けたコアレスモータとして、その出力軸に
動力伝達機構を介して動作軸を接続したため、糸張力付
加用の駆動源として、インダクタンスが小さく、鉄心な
しの電機子中心部の出力軸により慣性も小さく、その出
力軸の駆動力が距離に関係なく一定で電流値に比例し、
構造が簡単で、電源投入時の原点復帰(イニシャライ
ズ)も不要であるといった利点を得ることができる。ま
た、出力軸の回転運動を動力伝達機構により直線運動に
変換して、ボイスコイルモータと同様に動作軸を動作す
ることができる。従って、高速での糸調子皿または回転
体(糸車)の追従性を良くして、高速でも安定した縫目
を得ることができ、糸調子皿または回転体(糸車)によ
る安定した糸把持力(糸張力)を得ることができて、安
定した縫製をすることができると共に、電源投入時の原
点復帰(イニシャライズ)も不要で、電気的に糸張力を
制御する場合にもその電気制御系を簡単にすることがで
きる。
【0265】請求項65記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項1または2記載の発明にお
ける糸張力制御装置の電磁ブレーキの制動力により糸張
力付加が可能な回転体よりも糸供給側に備える糸調子器
による糸張力を超える変化分だけ、電磁ブレーキが発生
する制動力により糸張力を制御するため、糸張力に変化
を要しない領域は従来の糸調子器で持たせながら、糸張
力の変化を必要とする領域では回転体(糸車)の電磁ブ
レーキによる制動力により持たせて、高張力にも対応す
ることができる。
【0266】請求項66記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項1または2記載の発明にお
ける糸張力制御装置の電磁ブレーキによる糸張力付加が
可能な回転体に対する制動力の付加を、天秤の引き上げ
時と縫糸の釜越え時とで切換可能としたため、例えば、
薄物では天秤締め、厚物で釜締めが良いとされているの
に対応して、1台のミシンで、天秤締めと釜締めを切り
換えて、薄物から厚物までカバーすることができる。
【0267】請求項67記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項1または2記載の発明にお
ける糸張力制御装置の電磁ブレーキによる糸張力付加が
可能な回転体に対する制動力が縫製条件に対応して適切
に設定されたデータマップを外部装置により入力可能と
したため、例えば、通信手段やメディア等の外部装置を
用いて、縫製条件に対応して適切に設定されたデータマ
ップを入力することができる。
【0268】請求項68記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、穴かがりミシンにおいて、請求項
1または2記載の発明における糸張力制御装置の電磁ブ
レーキによる糸張力付加が可能な回転体に対する制動力
を変化させることより、パール縫いとウィップ縫いを切
換可能としたため、電磁ブレーキの励磁コイルの制御電
流値を切り換えるだけで、パール縫いとウィップ縫いと
に切り換えることができ、各々の縫いの糸張力を記憶設
定しておくことで、縫いに対応したスイッチ操作や針
数、送り長さ、送り方向等により切り換えることができ
る。
【0269】請求項69記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、環縫いボタン付ミシンにおいて、
請求項1または2記載の発明における糸張力制御装置の
電磁ブレーキによる糸張力付加が可能な回転体に対する
制動力を変化させることより、糸ループと縫製布との隙
間を適切に確保するため、例えば、糸締め時に制動力を
下げるよう変化させることによって、糸ループが上糸に
引き上げられないようにして、糸ループと縫製布との隙
間を適切に確保することができる。
【0270】請求項70記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項1または2記載の発明にお
ける糸張力制御装置の電磁ブレーキによる糸張力付加が
可能な回転体に対する制動力を、下糸の残量に対応して
変化させるため、例えば、下糸残量検出器からの情報を
基に糸張力を変えて、下糸の残量が少なくなった時に下
糸張力が上がって下調子になるのを防ぐことができる。
【0271】請求項71記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、送り歯の沈下時の位相状態で、布
押えの高さに基づき検知された布厚に対応して、請求項
1または2記載の発明における糸張力制御装置の電磁ブ
レーキによる糸張力付加が可能な回転体に対する制動力
を変化させるため、送り歯が沈んで布押えが布厚の分だ
け浮いている状態で正確に布厚を検知して、布厚に応じ
て糸張力を適切に制御することができる。
【0272】請求項72記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項1または2記載の発明にお
ける糸張力制御装置の電磁ブレーキによる糸張力付加が
可能な回転体に対する制動力を、データマップに従って
布厚を基準とする制動力に制御するため、予め与えられ
たデータにより布厚に基づいて、請求項1または2記載
の発明における回転子による糸張力を適切に制御するこ
とができる。
【0273】請求項73記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項1または2記載の発明にお
ける糸張力制御装置の電磁ブレーキの回転子の軸を、機
械的または電気的に固定する軸固定手段により一時的に
固定して回らなくするため、電磁ブレーキの励磁コイル
を消磁させた場合において、電磁ブレーキによる糸張力
付加が可能な回転体の軸の回転を確実に防止することが
できる。
【0274】請求項74記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項1または2記載の発明にお
ける糸張力制御装置の電磁ブレーキの回転子の軸の回転
方向を軸回転方向規制手段により規制するため、電磁ブ
レーキの励磁コイルを消磁させた場合において、電磁ブ
レーキによる糸張力付加が可能な回転体の軸の回転方向
を規制して、例えば、糸をゆるめる方向の回転を防止す
ることができる。
【0275】請求項75記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項1または2記載の発明にお
ける糸張力制御装置の電磁ブレーキの回転子の軸の途中
に設けた軸回転伝達フリー手段により回転の伝達をフリ
ーにするため、電磁ブレーキの励磁コイルを消磁させた
場合において、電磁ブレーキによる糸張力付加が可能な
回転体の軸側からの回転の伝達を遮断して、例えば、糸
をゆるめる方向の回転を防止することができる。
【0276】請求項76記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項1または2記載の発明にお
ける糸張力制御装置の電磁ブレーキの励磁コイルの消磁
を、押え上げ動作と連動して行うため、電磁ブレーキの
トルク変動を防止することができる。
【0277】請求項77記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項1または2記載の発明にお
ける糸張力制御装置の電磁ブレーキの励磁コイルの消磁
を、糸切り動作と連動して行うため、電磁ブレーキのト
ルク変動を防止することができる。
【0278】請求項78記載の発明に係るミシンの糸張
力制御装置によれば、請求項1または2記載の発明にお
ける糸張力制御装置の電磁ブレーキの励磁コイルの消磁
を、ミシン停止時に行うため、電磁ブレーキのトルク変
動を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1及び2記載の発明の具体例に相当する
第1の実施の形態例を示すもので、ミシンの縫糸に対す
る張力の付加を可能とする回転体である糸車を回転子の
軸に設けた電磁ブレーキとしてのヒステリシスブレーキ
による糸張力付与装置の要部を示した半截側面図であ
る。
【図2】図1のヒステリシスブレーキの内部構成を示す
半截正面図である。
【図3】図1の糸車に縫糸を巻き付けた状態を示す斜視
図である。
【図4】図1の糸張力付与装置をミシンに装着した状態
の糸系統図である。
【図5】図1の糸張力付与装置による軸回転数−制動ト
ルク特性図である。
【図6】図1の糸張力付与装置による軸回転角−制動ト
ルク特性図である。
【図7】図1の糸張力付与装置による励磁電流−制動ト
ルク特性図である。
【図8】図1の糸張力付与装置を制御する制御装置の構
成及びその入出力信号を示すもので、請求項17記載の
発明の具体例に相当する第16の実施の形態例も併せて
示した構成図である。
【図9】図8の制御装置による処理の一例を示したフロ
ーチャートである。
【図10】請求項3記載の発明の具体例に相当する第2
の実施の形態例を示すもので、主軸(上軸)回転数−制
動トルク特性図である。
【図11】請求項4記載の発明の具体例に相当する第3
の実施の形態例を示すもので、主軸(上軸)回転角−制
動トルク特性図である。
【図12】請求項5記載の発明の具体例に相当する第4
の実施の形態例を示すもので、時間−押え上げ信号/制
動トルク特性図である。
【図13】請求項6記載の発明の具体例に相当する第5
の実施の形態例を示すもので、時間−糸切り信号/制動
トルク特性図である。
【図14】請求項7記載の発明の具体例に相当する第6
の実施の形態例を示すもので、時間−バック信号/制動
トルク特性図である。
【図15】請求項8記載の発明の具体例に相当する第7
の実施の形態例を示すもので、縫製開始からの時間−制
動トルク特性図である。
【図16】請求項9記載の発明の具体例に相当する第8
の実施の形態例を示すもので、時間−段部検知信号/制
動トルク特性図である。
【図17】請求項10記載の発明の具体例に相当する第
9の実施の形態例を示すもので、2本針ミシンの要部斜
視図である。
【図18】請求項11記載の発明の具体例に相当する第
10の実施の形態例を示すもので、2本針ミシンによる
片針停止を伴う縫製例を示す平面図である。
【図19】請求項12記載の発明の具体例に相当する第
11の実施の形態例を示すもので、千鳥縫いミシンによ
る千鳥縫いを例示した平面図である。
【図20】請求項13記載の発明の具体例に相当する第
12の実施の形態例を示すもので、穴かがりミシンの要
部斜視図である。
【図21】穴かがりミシンによる縫製例を示す平面図で
ある。
【図22】請求項14記載の発明の具体例に相当する第
13の実施の形態例を示すもので、パターン縫いによる
パーフェクトステッチとヒッチステッチが混在した縫製
例を示す平面図である。
【図23】請求項15記載の発明の具体例に相当する第
14の実施の形態例を示すもので、(a)は縫目形式5
14の縫目を例示した斜視図、(b)は縫目形式506
の縫目を例示した斜視図である。
【図24】図23に続いて第14の実施の形態例を示す
もので、(a)は縫目形式504の縫目を例示した斜視
図、(b)は縫目形式505の縫目を例示した斜視図で
ある。
【図25】図24に続いて第14の実施の形態例を示す
もので、(a)は縫目形式502の縫目を例示した斜視
図、(b)は縫目形式503の縫目を例示した斜視図で
ある。
【図26】請求項16記載の発明の具体例に相当する第
15の実施の形態例を示すもので、ロックミシンの斜視
図である。
【図27】請求項18記載の発明の具体例に相当する第
17の実施の形態例と請求項19記載の発明の具体例に
相当する第18の実施の形態例とを共に示すもので、縫
製装置の一例を示した概略正面図である。
【図28】請求項20記載の発明の具体例に相当する第
19の実施の形態例と請求項21記載の発明の具体例に
相当する第20の実施の形態例とを共に示すもので、ミ
シンの要部の一例を示した斜視図である。
【図29】第1の実施の形態例の変形例である第21の
実施の形態例の糸張力付与装置を示す概略構成図であ
る。
【図30】従来の穴かがりミシンの糸張力付与装置部分
を示した要部斜視図である。
【図31】従来のロックミシンを示した斜視図である。
【図32】従来の糸調子を示した斜視図である。
【図33】請求項22から24記載及び請求項48記載
の発明の具体例に相当する第22の実施の形態例を示す
もので、軸線方向に動作する動作軸に糸調子皿を設けた
低イナーシャモータとしてのボイスコイルモータによる
糸張力付与装置の要部を示した縦断側面図である。
【図34】図33のボイスコイルモータの移動距離−吸
引力(推力)特性図である。
【図35】図33のボイスコイルモータの電流−吸引力
(推力)特性図である。
【図36】図33の糸張力付与装置をミシンに装着した
状態の糸系統図である。
【図37】請求項26記載の発明の具体例に相当する第
23の実施の形態例を示すもので、図33の糸張力付与
装置に圧力センサを設けた状態を示した縦断側面図であ
る。
【図38】図33の糸張力付与装置を制御する制御装置
の構成及びその入出力信号を示すもので、請求項58記
載の発明の具体例に相当する第50の実施の形態例も併
せて示した構成図である。
【図39】図38の制御装置による処理の一例を示した
フローチャートである。
【図40】請求項28記載の発明の具体例に相当する第
25の実施の形態例を示すもので、主軸(上軸)回転数
−把持力(張力)特性図である。
【図41】糸締め範囲を併せて示した主軸(上軸)回転
数−把持力(張力)特性図である。
【図42】請求項29記載の発明の具体例に相当する第
26の実施の形態例を示すもので、時間−押さえ上げ信
号/把持力(張力)特性図である。
【図43】請求項30記載の発明の具体例に相当する第
27の実施の形態例を示すもので、時間−糸切り信号/
把持力(張力)特性図である。
【図44】請求項31記載の発明の具体例に相当する第
28の実施の形態例を示すもので、時間−バック信号/
把持力(張力)特性図である。
【図45】請求項32記載の発明の具体例に相当する第
29の実施の形態例を示すもので、時間−把持力(張
力)特性図である。
【図46】請求項33記載の発明の具体例に相当する第
30の実施の形態例を示すもので、時間−段部検知信号
/把持力(張力)特性図である。
【図47】請求項34記載の発明の具体例に相当する第
31の実施の形態例を示すもので、2本針ミシンの要部
斜視図である。
【図48】請求項35記載の発明の具体例に相当する第
32の実施の形態例を示すもので、回転数−把持力(張
力)特性図である。
【図49】請求項36記載の発明の具体例に相当する第
33の実施の形態例を示すもので、2本針ミシンによる
片針停止を伴う縫製例を示した平面図である。
【図50】請求項37記載の発明の具体例に相当する第
34の実施の形態例を示すもので、千鳥縫いミシンによ
る千鳥縫いを例示した平面図である。
【図51】請求項38記載の発明の具体例に相当する第
35の実施の形態例を示すもので、穴かがりミシンを示
した要部斜視図である。
【図52】穴かがりミシンによる縫製例を示した平面図
である。
【図53】請求項39記載の発明の具体例に相当する第
36の実施の形態例を示すもので、パターン縫いによる
パーフェクトステッチとヒッチステッチが混在する縫製
例を示した平面図である。
【図54】請求項40記載の発明の具体例に相当する第
37の実施の形態例を示すもので、(a)は縫い目形式
514の縫い目を例示した斜視図、(b)は縫い目形式
506の縫い目を例示した斜視図である。
【図55】図54に続いて第37の実施の形態例を示す
もので、(a)は縫い目形式504の縫い目を例示した
斜視図、(b)は縫い目形式505の縫い目を例示した
斜視図である。
【図56】図55に続いて第37の実施の形態例を示す
もので、(a)は縫い目形式504の縫い目を例示した
斜視図、(b)は縫い目形式503の縫い目を例示した
斜視図である。
【図57】請求項41記載の発明の具体例に相当する第
38の実施の形態例を示すもので、ロックミシンを示し
た要部斜視図である。
【図58】請求項42及び44記載の発明の具体例に相
当する第39の実施の形態例を示すもので、(a)は縫
製装置の一例を示した要部斜視図、(b)は糸張力付与
装置の半部破断側面図である。
【図59】請求項43と45及び46記載の発明の具体
例に相当する第40の実施の形態例を示すもので、ボイ
スコイルモータから糸調子皿までの駆動機構を示した斜
視図である。
【図60】図59の糸張力付与装置をミシンに組み込ん
だ状態の一例を示した概略側面図である。
【図61】請求項48及び49記載の発明の具体例に相
当する第42の実施の形態例を示すもので、図33と同
様の糸張力付与装置に糸調子皿の隙間調節手段を設けた
例を示した縦断側面図である。
【図62】請求項50記載の発明の具体例に相当する第
43の実施の形態例を示すもので、主軸(上軸)回転角
−送り歯高さ特性図である。
【図63】請求項52及び53記載の発明の具体例に相
当する第45の実施の形態例を示すもので、(a)は回
転数−布枚数に対応する係数のデータカードの一例を示
した正面図、(b)は回転数−主軸位相に対応する布枚
数に応じたデータカードの一例を示した分解斜視図であ
る。
【図64】請求項54記載の発明の具体例に相当する第
46の実施の形態例を示すもので、糸張力付与装置の半
部を破断して示した要部側面図である。
【図65】請求項55記載の発明の具体例に相当する第
47の実施の形態例を示すもので、主軸(上軸)回転角
−上糸張力/上糸量/ボイスコイルモータ電流特性図で
ある。
【図66】請求項57記載の発明の具体例に相当する第
49の実施の形態例を示すもので、縫製装置の一例を示
した概略正面図である。
【図67】請求項59記載の発明の具体例に相当する第
51の実施の形態例を示すもので、左針落ち用と右針落
ち用の布枚数(布厚)に応じたデータカードの一例を示
した分解斜視図である。
【図68】請求項60記載の発明の具体例に相当する第
52の実施の形態例を示すもので、(a)はウィップ縫
いの縫い目を示した平面図、(b)はパール縫いの縫い
目を示した平面図である。
【図69】請求項61記載の発明の具体例に相当する第
53の実施の形態例を示すもので、下糸残量検知装置と
釜内に収容されているボビンケースとの関係を示した概
略断面図である。
【図70】請求項63記載の発明の具体例に相当する第
55の実施の形態例を示すもので、環縫いボタン付ミシ
ンによる糸締めを示した要部破断の側面図である。
【図71】請求項64記載の発明の具体例に相当する第
56の実施の形態例を示すもので、軸線方向に動作する
動作軸に糸調子皿を設けた低イナーシャモータとしての
コアレスモータによる糸張力付与装置の要部を示した縦
断側面図である。
【図72】請求項23記載の発明の具体例に相当する第
57の実施の形態例を示すもので、軸線方向に動作する
動作軸に回転体制動部材を設けた低イナーシャモータと
してのボイスコイルモータによる糸張力付与装置の要部
を示した縦断側面図である。
【図73】電磁ブレーキ(ヒステリシスブレーキ)を消
磁させるための交番磁界のかけ方の一例を示した時間−
交番磁界線図である。
【図74】請求項73記載の発明の具体例に相当する第
58の実施の形態例を示すもので、糸車の軸に軸固定手
段を設けた電磁ブレーキとしてのヒステリシスブレーキ
による糸張力付与装置の要部を示した部分的破断の斜視
図である。
【図75】請求項74記載の発明の具体例に相当する第
59の実施の形態例を示すもので、糸車の軸に軸回転方
向規制手段を設けた電磁ブレーキとしてのヒステリシス
ブレーキによる糸張力付与装置の要部を示した部分的破
断の斜視図である。
【図76】請求項75記載の発明の具体例に相当する第
60の実施の形態例を示すもので、糸車の軸に軸回転伝
達フリー手段を設けた電磁ブレーキとしてのヒステリシ
スブレーキによる糸張力付与装置の要部を示した部分的
破断の斜視図である。
【図77】請求項76及び77記載の発明の具体例に相
当する第61の実施の形態例を示すもので、制御処理の
一例を示したフローチャートである。
【符号の説明】
1 回転体(糸車) 5 上糸 6 糸巻 7 糸取りばね 8 針 9 天秤 10 制御電流供給回路 11 電磁ブレーキ(ヒステリシスブレーキ) 12 ステータ 12a 外側磁極 12b 内側磁極 13 出力軸 14 励磁コイル 15 回転子(カップ状の永久磁石) 21 制御装置 22 サーボモータ 23 表示部 24 記憶装置 51 糸張力表示部(制動トルク表示部) 52 糸張力設定部(設定ボリューム、設定値入力装
置) 71 電磁ブレーキ(ヒステリシスブレーキ) 72 出力軸 73 回転体(ローラ) 74 押し付けローラ 75 縫糸 76 ローラホルダ 77 押し付けばね 101 糸調子皿 102 固定皿 103 可動皿 104 中空軸 105 動作軸 106 当接片 110 制御電流供給回路 111 低イナーシャモータ(ボイスコイルモータ) 112 磁気回路 113 円筒型ヨーク 114 永久磁石(外極) 115 鉄心(中央極) 116 可動コイル 119 コイルヘッド 121 圧力検出手段 171 駆動力伝達機構 179 バネ 182 位置調節手段 191 糸張力微量調節用の調節つまみ 201 糸張力表示部(糸把持力表示部) 301 低イナーシャモータ(コアレスモータ) 302 出力軸 303 リンク 401 回転体(糸車) 402,403 摩擦体(摩擦板) 404,405 回転体制動部材(押さえ板) 406 当接片 501 軸固定手段 502 軸回転方向規制手段 503 軸回転伝達フリー手段
フロントページの続き (72)発明者 中島 穂純 東京都調布市国領町8丁目2番地の1 ジ ューキ株式会社内

Claims (78)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヒステリシスブレーキまたはパウダブレー
    キによる電磁ブレーキの制動力を発生する回転子の軸
    に、前記制動力によって縫糸に対する張力の付加を可能
    とする回転体を設け、 前記電磁ブレーキの励磁コイルに前記制動力の調整用の
    制御電流を供給する制御電流供給回路を設けて、前記制
    動力のトルクを可変制御するようにしたことを特徴とす
    るミシンの糸張力制御装置。
  2. 【請求項2】前記電磁ブレーキは、前記軸と同心円上の
    励磁コイルを内部に有するステータと、 このステータに前記軸と同心円上に設けられ、前記励磁
    コイルへの前記制御電流の供給により発生した磁力が導
    かれる内側磁極及び外側磁極と、 これら内側磁極及び外側磁極の間に入る前記回転子とし
    てのカップ状またはディスク状の永久磁石と、からなる
    ヒステリシスブレーキであることを特徴とする請求項1
    記載のミシンの糸張力制御装置。
  3. 【請求項3】ミシンの主軸の回転数に対応して、前記ト
    ルクを変化させることを特徴とする請求項1または2記
    載のミシンの糸張力制御装置。
  4. 【請求項4】ミシンの主軸の1回転の過程において、前
    記トルクを変化させることを特徴とする請求項1または
    2記載のミシンの糸張力制御装置。
  5. 【請求項5】ミシンに備えられる布押え上げ装置の動作
    と連動して、前記トルクを変化させることを特徴とする
    請求項1または2記載のミシンの糸張力制御装置。
  6. 【請求項6】ミシンに備えられる糸切り装置による糸切
    り時において、前記トルクを変化させることを特徴とす
    る請求項1または2記載のミシンの糸張力制御装置。
  7. 【請求項7】ミシンによるバック縫い時において、前記
    トルクを変化させることを特徴とする請求項1または2
    記載のミシンの糸張力制御装置。
  8. 【請求項8】ミシンによる縫製開始時において、前記ト
    ルクを変化させることを特徴とする請求項1または2記
    載のミシンの糸張力制御装置。
  9. 【請求項9】ミシンに備えられる布段部検知装置による
    検知と連動して、布の段部の縫製時において、前記トル
    クを変化させることを特徴とする請求項1または2記載
    のミシンの糸張力制御装置。
  10. 【請求項10】2本針ミシンの各縫糸に対応して備えら
    れ、それぞれの前記トルクを個別に可変制御することを
    特徴とする請求項1または2記載のミシンの糸張力制御
    装置。
  11. 【請求項11】2本針ミシンの各縫糸に対応して備えら
    れ、片針停止時にその停止した方の針側の縫糸を繰り出
    さないように前記トルクを変化させることを特徴とする
    請求項1または2記載のミシンの糸張力制御装置。
  12. 【請求項12】千鳥縫いミシンにおいて、その右針落ち
    と左針落ちとで前記トルクを変化させることを特徴とす
    る請求項1または2記載のミシンの糸張力制御装置。
  13. 【請求項13】穴かがりミシンにおいて、その閂止め部
    の縫製と平行部の縫製とで前記トルクを変化させること
    を特徴とする請求項1または2記載のミシンの糸張力制
    御装置。
  14. 【請求項14】家庭用ミシン、閂止め縫いミシンまたは
    自動機ミシンのパターン縫いにおいて、各々の運針及び
    縫い方向に対し前記トルクを設定することを特徴とする
    請求項1または2記載のミシンの糸張力制御装置。
  15. 【請求項15】ロックミシンにおいて、前記トルクの設
    定により縫目を変えることを特徴とする請求項1または
    2記載のミシンの糸張力制御装置。
  16. 【請求項16】ロックミシンにおいて、その空環巻き込
    み装置による空環形成時に、前記トルクを変化させるこ
    とを特徴とする請求項1または2記載のミシンの糸張力
    制御装置。
  17. 【請求項17】ミシンの縫製条件によって、前記トルク
    を設定することを特徴とする請求項1または2記載のミ
    シンの糸張力制御装置。
  18. 【請求項18】ミシンに糸張力表示部を設けたことを特
    徴とする請求項1または2記載のミシンの糸張力制御装
    置。
  19. 【請求項19】ミシンに糸張力設定部を設けたことを特
    徴とする請求項1または2記載のミシンの糸張力制御装
    置。
  20. 【請求項20】ミシンのミシンアームに前記電磁ブレー
    キを内蔵したことを特徴とする請求項1または2記載の
    ミシンの糸張力制御装置。
  21. 【請求項21】ミシンのミシンアームに対して、通常備
    えられる糸調子の代わりに交換できるよう前記電磁ブレ
    ーキをオプション化したことを特徴とする請求項1また
    は2記載のミシンの糸張力制御装置。
  22. 【請求項22】ボイスコイルモータを含むリニアモータ
    あるいは運動変換手段を有するコアレスモータによる低
    イナーシャモータの駆動により軸線方向に動作する動作
    軸に、この動作軸の軸線方向動作に応じた対をなす皿間
    の間隔の変化によって縫糸に対する把持力の変化に対応
    した糸張力の付加を可能とする糸調子皿を設け、 前記低イナーシャモータに前記動作軸の軸線方向動作力
    の調整用の制御電流を供給する制御電流供給回路を設け
    て、前記把持力を可変制御するようにしたことを特徴と
    するミシンの糸張力制御装置。
  23. 【請求項23】ボイスコイルモータを含むリニアモータ
    あるいは運動変換手段を有するコアレスモータによる低
    イナーシャモータの駆動により軸線方向に動作する動作
    軸に、制動力の付加により縫糸に対する張力の付加を可
    能とする回転体を挟むように配置され、前記動作軸の軸
    線方向動作に応じた対をなす制動部材間の間隔の変化に
    よって前記回転体に対する前記制動力の付加を可能とす
    る回転体制動部材を設け、前記低イナーシャモータに前
    記動作軸の軸線方向動作力の調整用の制御電流を供給す
    る制御電流供給回路を設けて、前記制動力のトルクを可
    変制御するようにしたことを特徴とするミシンの糸張力
    制御装置。
  24. 【請求項24】前記低イナーシャモータは、 ヨークと、このヨークの中心部に一体的に設けた鉄心に
    よる中央極と、前記ヨークに設けた永久磁石による外極
    とから構成される磁気回路と、 この磁気回路の前記外極と前記中央極との間に配設され
    てその間の磁界の作用と供給される前記制御電流によっ
    て推力が生じる可動コイルと、からなるボイスコイルモ
    ータであり、 前記動作軸は、前記可動コイルと一体的にまたは動力伝
    達機構を介して接続されていることを特徴とする請求項
    22または23記載のミシンの糸張力制御装置。
  25. 【請求項25】前記低イナーシャモータをオープンルー
    プにより制御することを特徴とする請求項22、23ま
    たは24記載のミシンの糸張力制御装置。
  26. 【請求項26】前記動作軸の軸方向動作力により前記糸
    調子皿または前記回転体制動部材に作用する圧力を検出
    し、その検出された圧力をフィードバックして前記把持
    力または前記制動力を制御することを特徴とする請求項
    22、23または24記載のミシンの糸張力制御装置。
  27. 【請求項27】前記糸張力を検出し、その検出された糸
    張力をフィードバックして前記把持力または前記制動力
    を制御することを特徴とする請求項22、23または2
    4記載のミシンの糸張力制御装置。
  28. 【請求項28】ミシンの主軸の回転数に対応して、前記
    把持力または前記制動力を変化させることを特徴とする
    請求項22、23または24記載のミシンの糸張力制御
    装置。
  29. 【請求項29】ミシンに備えられる布押え上げ装置の動
    作と連動して、前記把持力または前記制動力を変化させ
    ることを特徴とする請求項22、23または24記載の
    ミシンの糸張力制御装置。
  30. 【請求項30】ミシンに備えられる糸切り装置による糸
    切り時において、前記把持力または前記制動力を変化さ
    せることを特徴とする請求項22、23または24記載
    のミシンの糸張力制御装置。
  31. 【請求項31】ミシンによるバック縫い時において、前
    記把持力または前記制動力を変化させることを特徴とす
    る請求項22、23または24記載のミシンの糸張力制
    御装置。
  32. 【請求項32】ミシンによる縫製開始時において、前記
    把持力または前記制動力を変化させることを特徴とする
    請求項22、23または24記載のミシンの糸張力制御
    装置。
  33. 【請求項33】ミシンに備えられる布段部検知装置によ
    る検知と連動して、布の段部の縫製時において、前記把
    持力または前記制動力を変化させることを特徴とする請
    求項22、23または24記載のミシンの糸張力制御装
    置。
  34. 【請求項34】2本針ミシンの各縫糸に対応して備えら
    れ、それぞれの前記把持力または前記制動力を個別に可
    変制御することを特徴とする請求項22、23または2
    4記載のミシンの糸張力制御装置。
  35. 【請求項35】前記把持力または前記制動力により糸張
    力付加が可能な前記糸調子皿または前記回転体よりも糸
    供給側において、糸張力を付与する糸調子器を備えるミ
    シンであって、 前記糸調子器による糸張力を超える変化分だけ前記把持
    力または前記制動力により糸張力を制御することを特徴
    とする請求項22、23または24記載のミシンの糸張
    力制御装置。
  36. 【請求項36】2本針ミシンの各縫糸に対応して備えら
    れ、片針停止時にその停止した方の針側の縫糸を繰り出
    さないように前記把持力または前記制動力を変化させる
    ことを特徴とする請求項22、23または24記載のミ
    シンの糸張力制御装置。
  37. 【請求項37】千鳥縫いミシンにおいて、その右針落ち
    と左針落ちとで前記把持力または前記制動力を変化させ
    ることを特徴とする請求項22、23または24記載の
    ミシンの糸張力制御装置。
  38. 【請求項38】穴かがりミシンにおいて、その閂止め部
    の縫製と平行部の縫製とで前記把持力または前記制動力
    を変化させることを特徴とする請求項22、23または
    24記載のミシンの糸張力制御装置。
  39. 【請求項39】家庭用ミシン、閂止め縫いミシンまたは
    自動機ミシンのパターン縫いにおいて、各々の運針及び
    縫い方向に対し前記把持力または前記制動力を設定する
    ことを特徴とする請求項22、23または24記載のミ
    シンの糸張力制御装置。
  40. 【請求項40】ロックミシンにおいて、前記把持力また
    は前記制動力の設定により縫目を変えることを特徴とす
    る請求項22、23または24記載のミシンの糸張力制
    御装置。
  41. 【請求項41】ロックミシンにおいて、その空環巻き込
    み装置による空環形成時に、前記把持力または前記制動
    力を変化させることを特徴とする請求項22、23また
    は24記載のミシンの糸張力制御装置。
  42. 【請求項42】ミシンのミシンアームに前記低イナーシ
    ャモータを内蔵したことを特徴とする請求項22、23
    または24記載のミシンの糸張力制御装置。
  43. 【請求項43】ミシンのミシンアームの裏面側に前記低
    イナーシャモータを設けたことを特徴とする請求項2
    2、23または24記載のミシンの糸張力制御装置。
  44. 【請求項44】ミシンのミシンアームに対して、通常備
    えられる糸調子の代わりに交換できるよう前記低イナー
    シャモータをオプション化したことを特徴とする請求項
    22、23または24記載のミシンの糸張力制御装置。
  45. 【請求項45】前記低イナーシャモータの駆動力を拡大
    して前記動作軸に伝達する駆動力伝達機構を設けたこと
    を特徴とする請求項22、23または24記載のミシン
    の糸張力制御装置。
  46. 【請求項46】前記駆動力伝達機構が有する摩擦力によ
    り前記糸調子皿または前記回転体制動部材が押されっぱ
    なしにならないように戻すために、前記摩擦力の分だけ
    前記動作軸を引き戻すバネを設けたことを特徴とする請
    求項45記載のミシンの糸張力制御装置。
  47. 【請求項47】前記駆動力伝達機構が有する摩擦力によ
    り前記糸調子皿または前記回転体制動部材が押されっぱ
    なしにならないように戻すために、前記低イナーシャモ
    ータに逆電流をかけて前記摩擦力の分だけ前記動作軸を
    引き戻すことを特徴とする請求項45記載のミシンの糸
    張力制御装置。
  48. 【請求項48】前記糸調子皿または前記回転体制動部材
    を構成する対をなす皿または制動部材のうち、一方の皿
    または制動部材を固定の皿または制動部材として、他方
    の皿または制動部材を前記動作軸による可動の皿または
    制動部材としたことを特徴とする請求項22、23また
    は24記載のミシンの糸張力制御装置。
  49. 【請求項49】前記固定の皿または制動部材の軸線方向
    位置を調節可能としたことを特徴とする請求項48記載
    のミシンの糸張力制御装置。
  50. 【請求項50】ミシンに備えられる布押えの高さによる
    布厚の検知を、ミシンに備えられる送り歯の沈下時の位
    相状態で行って、 その検知された布厚に対応して前記把持力または前記制
    動力を変化させることを特徴とする請求項22、23ま
    たは24記載のミシンの糸張力制御装置。
  51. 【請求項51】ミシンの縫製条件によって、前記把持力
    または前記制動力を設定することを特徴とする請求項2
    2、23または24記載のミシンの糸張力制御装置。
  52. 【請求項52】布厚を基準として設定された前記把持力
    または前記制動力のデータマップが用意され、 このデータマップに従って前記布厚を基準とする前記把
    持力または前記制動力に制御されることを特徴とする請
    求項22、23または24記載のミシンの糸張力制御装
    置。
  53. 【請求項53】ミシンに備えられる入力設定部に入力さ
    れた設定条件と、前記データマップとに従って前記制御
    電流を決定することを特徴とする請求項52記載のミシ
    ンの糸張力制御装置。
  54. 【請求項54】前記糸張力を微量調節可能とする調節つ
    まみを、前記糸調子皿または前記回転体の手前側に設け
    たことを特徴とする請求項22、23または24記載の
    ミシンの糸張力制御装置。
  55. 【請求項55】前記把持力または前記制動力の付加を、
    ミシンに備えられる天秤の引き上げ時と縫糸の釜越え時
    とで切換可能としたことを特徴とする請求項22、23
    または24記載のミシンの糸張力制御装置。
  56. 【請求項56】縫製中に行われるパターン切り換えに対
    応して、前記把持力または前記制動力を変化させること
    を特徴とする請求項22、23または24記載のミシン
    の糸張力制御装置。
  57. 【請求項57】ミシンに糸張力表示部を設けたことを特
    徴とする請求項22、23または24記載のミシンの糸
    張力制御装置。
  58. 【請求項58】前記把持力または前記制動力が縫製条件
    に対応して適切に設定されたデータマップが用意され、 このデータマップを外部装置により入力可能としたこと
    を特徴とする請求項22、23または24記載のミシン
    の糸張力制御装置。
  59. 【請求項59】千鳥縫いミシンにおいて、その右針落ち
    と左針落ちとに分けて設定された前記把持力または前記
    制動力のデータマップが用意され、 このデータマップに従って前記右針落ちと左針落ちとに
    対応した前記把持力または前記制動力に制御されること
    を特徴とする請求項22、23または24記載のミシン
    の糸張力制御装置。
  60. 【請求項60】穴かがりミシンにおいて、前記把持力ま
    たは前記制動力を変化させることよりパール縫いとウィ
    ップ縫いを切換可能としたことを特徴とする請求項2
    2、23または24記載のミシンの糸張力制御装置。
  61. 【請求項61】ミシンの下糸の残量に対応して前記把持
    力または前記制動力を変化させることを特徴とする請求
    項22、23または24記載のミシンの糸張力制御装
    置。
  62. 【請求項62】ミシンの主軸の1回転の過程において、
    前記把持力または前記制動力を変化させると共に、その
    変化タイミングを変えることを特徴とする請求項22、
    23または24記載のミシンの糸張力制御装置。
  63. 【請求項63】環縫いボタン付ミシンにおいて、前記把
    持力または前記制動力を変化させることにより糸ループ
    と縫製布との隙間を適切に確保することを特徴とする請
    求項22、23または24記載のミシンの糸張力制御装
    置。
  64. 【請求項64】前記低イナーシャモータは、 固定の永久磁石と、 この永久磁石に対応して設けられ、鉄心なしで前記制御
    電流が供給される回転自在な電機子と、 この電機子の中心部に一体的に設けた出力軸と、からな
    るコアレスモータであり、 前記動作軸は、前記出力軸に回転運動を直線運動に変換
    する動力伝達機構を介して接続されていることを特徴と
    する請求項22または23記載のミシンの糸張力制御装
    置。
  65. 【請求項65】前記電磁ブレーキの制動力により糸張力
    付加が可能な前記回転体よりも糸供給側において、糸張
    力を付与する糸調子器を備えるミシンであって、 前記糸調子器による糸張力を超える変化分だけ前記電磁
    ブレーキが発生する制動力により糸張力を制御すること
    を特徴とする請求項1または2記載のミシンの糸張力制
    御装置。
  66. 【請求項66】前記電磁ブレーキの制動力の付加を、ミ
    シンに備えられる天秤の引き上げ時と縫糸の釜越え時と
    で切換可能としたことを特徴とする請求項1または2記
    載のミシンの糸張力制御装置。
  67. 【請求項67】前記電磁ブレーキが発生する制動力が縫
    製条件に対応して適切に設定されたデータマップが用意
    され、 このデータマップを外部装置により入力可能としたこと
    を特徴とする請求項1または2記載のミシンの糸張力制
    御装置。
  68. 【請求項68】穴かがりミシンにおいて、前記電磁ブレ
    ーキが発生する制動力を変化させることよりパール縫い
    とウィップ縫いを切換可能としたことを特徴とする請求
    項1または2記載のミシンの糸張力制御装置。
  69. 【請求項69】環縫いボタン付ミシンにおいて、前記電
    磁ブレーキが発生する制動力を変化させることにより糸
    ループと縫製布との隙間を適切に確保することを特徴と
    する請求項1または2記載のミシンの糸張力制御装置。
  70. 【請求項70】ミシンの下糸の残量に対応して前記電磁
    ブレーキが発生する制動力を変化させることを特徴とす
    ることを特徴とする請求項1または2記載のミシンの糸
    張力制御装置。
  71. 【請求項71】ミシンに備えられる布押えの高さによる
    布厚の検知を、ミシンに備えられる送り歯の沈下時の位
    相状態で行って、 その検知された布厚に対応して前記電磁ブレーキが発生
    する制動力を変化させることを特徴とする請求項1また
    は2記載のミシンの糸張力制御装置。
  72. 【請求項72】布厚を基準として設定された前記電磁ブ
    レーキが発生する制動力のデータマップが用意され、 このデータマップに従って前記布厚を基準とする前記制
    動力に制御されることを特徴とする請求項1または2記
    載のミシンの糸張力制御装置。
  73. 【請求項73】前記電磁ブレーキの制動力を発生する回
    転子の軸を機械的または電気的に固定可能とする軸固定
    手段を設け、 この軸固定手段により軸を一時的に固定して回らなくす
    ることを特徴とする請求項1または2記載のミシンの糸
    張力制御装置。
  74. 【請求項74】前記電磁ブレーキの制動力を発生する回
    転子の軸の回転方向を規制する軸回転方向規制手段を設
    けたことを特徴とする請求項1または2記載のミシンの
    糸張力制御装置。
  75. 【請求項75】前記電磁ブレーキの制動力を発生する回
    転子の軸の途中に、回転の伝達をフリーにする軸回転伝
    達フリー手段を設けたことを特徴とする請求項1または
    2記載のミシンの糸張力制御装置。
  76. 【請求項76】ミシンに備えられる布押え上げ装置によ
    る押え上げ動作と連動して、前記電磁ブレーキの励磁コ
    イルの消磁を行うことを特徴とする請求項1または2記
    載のミシンの糸張力制御装置。
  77. 【請求項77】ミシンに備えられる糸切り装置による糸
    切り動作と連動して、前記電磁ブレーキの励磁コイルの
    消磁を行うことを特徴とする請求項1または2記載のミ
    シンの糸張力制御装置。
  78. 【請求項78】ミシンの停止時に、前記電磁ブレーキの
    励磁コイルの消磁を行うことを特徴とする請求項1また
    は2記載のミシンの糸張力制御装置。
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