JP3537251B2 - ワイヤ放電加工機のワイヤ張力発生装置 - Google Patents

ワイヤ放電加工機のワイヤ張力発生装置

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JP3537251B2 JP03814496A JP3814496A JP3537251B2 JP 3537251 B2 JP3537251 B2 JP 3537251B2 JP 03814496 A JP03814496 A JP 03814496A JP 3814496 A JP3814496 A JP 3814496A JP 3537251 B2 JP3537251 B2 JP 3537251B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ワイヤ電極供給部
から放電加工部へのワイヤ電極走行経路に設けられ、ワ
イヤ電極の走行時にワイヤ電極に所望張力を付与するワ
イヤ放電加工機のワイヤ張力発生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】本願出願人は、負荷電流と発生トルクと
の比例性に優れ、低電流域から定格電流以上までの広範
囲にわたるトルク制御に適したパウダクラッチに着目
し、このパウダクラッチをワイヤ放電加工機のワイヤ電
極走行経路におけるワイヤ電極供給部と放電加工部との
間に介挿して、ワイヤ電極の高精度の張力制御に利用し
たワイヤ放電加工機のワイヤ張力発生装置を考案した
(実開平5−60729号公報参照)。
【0003】この装置は、ワイヤ電極を巻き付けるプー
リをパウダクラッチの出力軸に取り付け、ワイヤ電極の
走行時、ギアードモータから所定トルクを付与して入力
回転体の回転を抑制し、電磁コイルを励磁させ入力回転
体と出力軸との間に密入されたパウダ(磁性粉末)に吸
着力を作用させて、入力回転体と出力軸との間に結合状
態を形成し、プーリに巻き付けられたワイヤ電極の走行
を阻止するようなブレーキ力を発生させることにより、
ワイヤ電極に所望張力を付与するようにしたものであ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、パウダ
クラッチは電磁コイルが無励磁状態であっても、内部に
密入されたパウダ自体の持つ摩擦抵抗が不可避的に存在
するため、細線のワイヤ電極(φ0.1)を使用する際
など、パウダ自体の持つ摩擦抵抗により発生するトルク
以下の微小なトルクに応じた微小な張力をワイヤ電極に
付与する必要がある場合、上記した従来技術の装置では
微小なトルクが発生できず、ワイヤ電極に許容値以上の
張力が発生してワイヤ電極が断線する恐れがある。
【0005】そのため、微小な張力が要求される場合、
機構的にパウダクラッチを切り離し、同時に別途用意し
た軽量のおもりで直接的にワイヤ電極に張力を与えてい
るが、このようなワイヤ電極径の大小に応じてワイヤ電
極の張力制御の機構を変更するのは合理的・経済的でな
く、作業的にも相当面倒であり煩わしい。そこで、本発
明においては、通常レベルの張力は勿論のこと、微小な
張力でも簡単にかつ合理的・経済的にワイヤ電極に付与
するワイヤ放電加工機のワイヤ張力発生装置を提供する
ことをその課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は、ワイヤ電極供給部から放電加工部へのワイ
ヤ電極走行経路に設けられ、ワイヤ電極の走行時に前記
ワイヤ電極に所望張力を付与するワイヤ放電加工機のワ
イヤ張力発生装置において、前記ワイヤ電極が周囲に巻
き付けられるローラが取り付けられた出力軸と、前記出
力軸を回転可能に支持するとともに、前記出力軸の軸心
まわりに自らも回転可能な入力回転体とを有し、前記出
力軸と前記入力回転体との間に密入された磁性粉体に励
磁電流を付加することで作用する吸着力で、前記出力軸
に前記入力回転体に対する回転抵抗トルクを発生させる
ことにより、前記ワイヤ電極の走行時に前記ワイヤ電極
に張力を付与するパウダクラッチと、前記パウダクラッ
チの前記入力回転体と連結され、前記入力回転体を駆動
する駆動手段と、前記パウダクラッチの前記出力軸と連
結され、前記出力軸に対して調節用の回転トルクを発生
させる調節トルク発生手段と、前記パウダクラッチの前
記出力軸の回転抵抗トルクと前記調節トルク発生手段で
発生する回転トルクとの差が、前記ワイヤ電極の走行時
に前記ワイヤ電極の所望張力に応じた回転トルクとなる
ように、前記パウダクラッチおよび前記調節トルク発生
手段を制御する制御手段とを具備したワイヤ放電加工機
のワイヤ張力発生装置。
【0007】好ましくは、調節トルク発生手段は、付与
する電流を調節することで回転トルクを可変に発生させ
ることができるトルクモータで成る。また、好ましく
は、調節トルク発生手段は、前記パウダクラッチの前記
出力軸と連結する回転軸、前記回転軸を回転可能に支持
するとともに、前記回転軸の軸心まわりに自らも回転可
能な回転体を有し、前記回転軸と前記回転体との間に密
入された磁性粉体に励磁電流を付加することで作用する
吸着力で、前記回転軸に前記回転体に対する回転抵抗ト
ルクを発生させるパウダクラッチと、前記回転体を所定
の回転数で回転させるモータとで構成される。
【0008】
【作用】ワイヤ電極の走行時、パウダクラッチの出力軸
と連結されたワイヤ繰出モータにより、パウダクラッチ
の入力回転体が回転しないようにして、パウダクラッチ
の出力軸と入力回転体との間に密入された磁性粉体に励
磁電流を付加して吸着力を作用させて、出力軸に入力回
転体に対する回転抵抗トルクを発生させる。さらに、パ
ウダクラッチの出力軸と連結された調整トルク発生手段
により出力軸に対して調整用の回転トルクを発生させ
る。制御手段によりパウダクラッチおよび調整トルク発
生手段を制御して、パウダクラッチの出力軸の回転抵抗
トルクと調整トルク発生手段で発生する回転トルクとの
差が、ワイヤ電極の所望張力に応じた回転トルクとなる
ようにした。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照して説明する。まず、図3を参照して、本発明に係
るワイヤ放電加工機のワイヤ電極走行経路の要部構成を
説明する。ワイヤ放電加工機は、NC制御されてXY方
向に運動し得るテーブル(図示せず)上に載置されたワ
ークWと、ワイヤ電極走行経路を走行するワイヤ電極
(以下、ワイヤ)1との間の放電によってワークWの輪
郭加工を行う工作機械である。ワイヤ1は、ワイヤボビ
ン5、バックテンションモータ7等から成るワイヤ供給
装置9から引き出され、上ガイドローラ11を経てから
ワイヤ張力発生装置13に至る。ここで所望張力を付与
された後、上ヘッド17内に設けられた上ワイヤガイド
18により案内されてワークWと対向する放電加工部を
通過し、さらに、下ヘッド19内に設けられた下ワイヤ
ガイド20で案内され、下ガイドローラ21を介して方
向転換され、巻取ローラ25、巻取モータ27、ピンチ
ローラ29等から成るワイヤ巻取装置31に至り、最終
的に使用済のワイヤ1はワイヤ回収部(図示せず)に送
られる。また、ワイヤ1の走行時、巻取ローラ25は巻
取モータ27により所定速度で回転駆動され、ワイヤ張
力制御装置13でワイヤ1に所定のブレーキ力を与える
ことによりワイヤ1に所定の張力が付与される。さら
に、ワイヤ供給装置9のワイヤボビン5は、バックテン
ションモータ7で常時ワイヤ1の走行方向に対して反対
方向への引張力が与えられ、ワイヤ供給装置9からワイ
ヤ張力制御装置13までの前走部でワイヤ1に弛みが生
じないようになっている。
【0010】次に、図1を参照して、本発明のワイヤ放
電加工機のワイヤ張力発生装置の第1の実施形態につい
て説明する。ワイヤ張力発生装置13は、ワイヤ1を巻
き付けるための二条のワイヤ走行溝が形成され、ワイヤ
1の走行時、ワイヤ1が滑らないようにウレタン系樹脂
等でなるプーリ41が一端に取り付けられた出力軸43
を有したパウダクラッチ45と、出力軸43の他端とカ
ップリング47により連結された出力軸49を有したパ
ウダクラッチ51とから構成される。
【0011】パウダクラッチ45は、出力軸43を長手
方向両側の一対の軸受57a,57bで回動可能に内部
支持するロータ(入力回転体)55と、ロータ55を長
手方向両側の一対の軸受53a,53bで回動可能に内
部支持するクラッチ本体59と、出力軸43とロータ5
5と軸受57a,57bとで囲まれたドーナツ状の空間
(隙間)に密入したパウダ(磁性粉末)Pと、パウダP
に励磁電流を付加して吸着力が作用可能なようにクラッ
チ本体59内部に同心配置した電磁コイル61とから基
本的に構成される。また、パウダクラッチ45のクラッ
チ本体59はベース(図示せず)に固定され、ロータ5
5の端部には大歯車63が一体固定され、ベースに固定
されたウォームギヤードモータ65からの出力を伝達す
る小歯車67と噛合する。なお、ウォームギアードモー
タ65は、モータからの出力のみを出力軸43に伝達
し、出力軸43からの出力はモータに伝達させない、い
わば一方通行のモータである。
【0012】パウダクラッチ51も、上記のパウダクラ
ッチ45と略同じ構成であり、ロータ(入力回転体)7
5と、クラッチ本体79と、ドーナツ状の空間(隙間)
に封入したパウダPと、電磁コイル81とから構成さ
れ、同様に、パウダクラッチ51のクラッチ本体79は
ベースに固定され、ロータ75の端部には大歯車83が
一体固定され、ベースに固定されたモータ85からの出
力を伝達する小歯車87と噛合する。
【0013】制御装置101は、ワイヤ1に所望張力を
付与する指令を受けると、ワイヤ1の走行時、パウダク
ラッチ45の出力軸43の回転抵抗トルクとパウダクラ
ッチ51の出力軸49の回転トルクとの差が所望張力に
応じた回転トルクになるように、あらかじめ記憶してお
いた励磁電流をパウダクラッチ45,51の電磁コイル
61,81にそれぞれ供給し、さらに、パウダクラッチ
51の電磁コイル81を励磁したときはモータ85を所
定速度で回転させる(図1における実線部)。この場
合、ワイヤ巻取装置31の巻取モータ27の回転速度よ
り大きくすることが望ましい。一方、放電加工部でワイ
ヤ1が断線したときなどワイヤ1の自動装填を行う場合
は、新たなワイヤ1をワイヤ供給装置9から繰り出すた
めに、所定の励磁電流をパウダクラッチ45の電磁コイ
ル61に供給し、励磁させ、ウォームギアードモータ6
5に所定トルクを付与する(図1における点線部)。
【0014】ここから、上記のように構成された第1の
実施形態のワイヤ張力発生装置における、ワイヤの走行
時、通常レベルの張力をワイヤに付与する場合と、微小
な張力をワイヤに付与する場合に分けてその動作を説明
する。まず、通常レベルの張力をワイヤ1に付与する場
合、ウォームギアードモータ65の機構によりパウダク
ラッチ45のロータ55の回転を抑制するとともに、ワ
イヤ1に付与する所望張力に応じてあらかじめ記憶して
おいた励磁電流を制御装置101からパウダクラッチ4
5の電磁コイル61に供給し、励磁させ、ロータ55と
出力軸43との間に密入されたパウダPに吸着力を作用
させる。この状態で、出力軸43に取り付けたプーリ4
1を正転させれば、プーリ41に巻き付けられたワイヤ
1の走行方向と逆の方向にワイヤ1の走行を阻止するよ
うなブレーキ力が作用するので、放電加工部を走行する
ワイヤ1に所望張力を付与することができる。
【0015】これに対し、微小な張力をワイヤ1に付与
する場合、ウォームギアードモータ65の機構によりパ
ウダクラッチ45のロータ55の回転を抑制するととも
に、ワイヤ1に付与する所望張力に応じてあらかじめ記
憶しておいた励磁電流を制御装置101からパウダクラ
ッチ45,51の電磁コイル61,81にそれぞれ供給
し、励磁させて、ロータ55と出力軸43との間、ロー
タ75と出力軸49との間に密入されたパウダPにそれ
ぞれ吸着力を作用させる。この状態で、出力軸43に取
り付けたプーリ41に巻き付けられたワイヤ1の走行方
向と同方向に、パウダクラッチ51の出力軸49をモー
タ85により後押しするように正転させれば、パウダク
ラッチ45内に密入されたパウダP自体の持つ摩擦抵抗
により発生するトルクを適切に緩和・減少させて、放電
加工部を走行するワイヤ1に微小な張力を付与すること
ができる。つまり、パウダクラッチ45で発生する出力
軸43の回転抵抗トルクとパウダクラッチ51で発生す
る出力軸49の回転トルクとの差が、微小な張力に応じ
た回転トルクになる。
【0016】また、放電加工部でワイヤ1が断線したと
きなどワイヤ1の自動装填を行う場合には、所定の励磁
電流を制御装置101からパウダクラッチ45の電磁コ
イル61に供給し、励磁させ、ロータ55と出力軸43
との間に密入されたパウダPに所定の吸着力を作用させ
る。この状態で、ウォームギアードモータ65から所定
トルクを付与してパウダクラッチ45のロータ55と出
力軸43とを連れ回りさせることにより、ワイヤ供給装
置9のワイヤボビン5から新たなワイヤ1が繰り出され
る。図3に示すように、繰り出されたワイヤ1は、上ワ
イヤガイド18を経てワークWと対向する放電加工部に
供給され、ワークWを通過した後、下ワイヤガイド2
0、下ガイドローラ21を経てワイヤ巻取装置31で巻
き採られるが、この瞬間、プーリ41が取り付けられた
パウダクラッチ45の出力軸43がパウダP内を空回り
してロータ55と出力軸43との吸着力を断続するた
め、ワイヤ1の自動装填終了とともにワイヤ1が切断し
てしまうことはない。
【0017】尚、通常レベルの張力をワイヤに付与しよ
うとする場合において、上記ウォームギアードモータ6
5の停止制御によるロータ55の回転抑制とパウダクラ
ッチ45の電磁コイル61の電磁制御とによる制御構成
に代えて、他方のウォームギアードモータ85の停止制
御によるロータ75の回転抑制とパウダクラッチ51の
電磁コイル81の電磁制御とによる制御構成を採用する
こともできる。あるいは、ウォームギアードモータ6
5、85のいずれも停止制御することなく、一方をプー
リ41の正転用、他方を逆転用として作動させ、調和的
にプーリ41を制動制御することによっても、ワイヤに
所望の通常レベルの張力を発生させることができる。尚
また、微小な張力をワイヤに付与しようとする場合にお
いて、上記ウォームギアードモータ65の停止制御によ
るロータ55の回転抑制とウォームギアードモータ85
による出力軸49の正転制御とによる制御構成に代え
て、ウォームギアードモータ85の停止制御によるロー
タ75の回転抑制とウォームギアードモータ65による
出力軸43の正転制御とによる制御構成を採用すること
もできる。あるいは、ウォームギアードモータ65、8
5のいずれも停止制御することなく、一方をプーリ41
の正転用、他方を逆転用として作動させ、調和的にプー
リ41を制動制御することによっても、ワイヤに所望の
微小な張力を発生させることができる。以上の両尚書
は、後述する第2実施形態においても同様に妥当する。
【0018】以上のように、第1実施形態のワイヤ張力
発生装置においては、パウダクラッチ装置を2つ連結
し、片側をトルクカウンタ用として作用させ、パウダク
ラッチ生来の摩擦抵抗を低減し得るように構成したの
で、通常レベルの張力制御から細線ワイヤ用の微小張力
制御までを容易且つ迅速に実施することができる。ま
た、パウダクラッチ45,51を重畳的に作用させて、
パウダクラッチ45単体では発生できない非常に高い張
力をワイヤ1に付与することも可能である。
【0019】次に、図2を参照して、本発明のワイヤ放
電加工機のワイヤ張力発生装置の第2の実施形態につい
て説明するが、上記した第1実施形態と共通する(又
は、共通し得る)部品や部分については、同一の参照番
号を付し、重複する説明を省略し、要点を簡潔に説明す
ることにする。本装置は、一言で言うならば、第1実施
形態ワイヤ張力発生装置の構成からパウダクラッチ51
を取り除き、その代わりにトルクモータ91を配置し、
このトルクモータ91とパウダクラッチ45の出力軸4
3とをカップリング47で直結してなる。
【0020】次に、上記のように構成された第2の実施
形態のワイヤ張力発生装置における、ワイヤの走行時、
微小な張力をワイヤに付与する場合の動作を説明する。
なお、通常レベルの張力をワイヤ1に付与する場合やワ
イヤ1の自動装填を行う場合は、上記した第1の実施形
態のワイヤ張力発生装置と全く同様に行えばよい。これ
に対し、微小な張力をワイヤ1に付与する場合、ウォー
ムギアードモータ65の機構によりパウダクラッチ45
のロータ55の回転を抑制するとともに、ワイヤ1に付
与する所望張力に応じてあらかじめ記憶しておいた励磁
電流を制御装置101からパウダクラッチ45の電磁コ
イル61に供給し、励磁させ、ロータ55と出力軸43
との間に密入されたパウダPに吸着力を作用させる。こ
の状態で、出力軸43に取り付けたプーリ41に巻き付
けられたワイヤ1の走行方向と同方向に、トルクモータ
91によりパウダクラッチ45の出力軸43を後押しす
るように正転させれば、パウダクラッチ45内に密入さ
れたパウダP自体の持つ摩擦抵抗により発生するトルク
を適切に緩和・減少させ、放電加工部を走行するワイヤ
1に微小な張力を付与することができる。つまり、パウ
ダクラッチ45で発生する出力軸43の回転抵抗トルク
とトルクモータ91で発生する回転トルクとの差が、微
小な張力に応じた回転トルクになる。
【0021】一般的にトルクモータは、低い電流を供給
したとき発生する低トルクの高精度な制御を行うことが
困難であるが、中程度のトルクの制御ならば比較的高精
度に実施可能である。従って、微小な張力をワイヤに付
与する場合、原理的には、第1実施形態のワイヤ張力発
生装置と同様の制御を行うことになるが、パウダクラッ
チ45内に密入されたパウダP自体の持つ摩擦抵抗によ
りプーリ41に作用する制動力は微小であり、これをト
ルクモータ91で緩和・減少(トルクカウンタ)させよ
うとすると、結局トルクモータ91には不適当な低トル
クの制御を行わなければならない。そこで、パウダクラ
ッチ45により通常レベルの張力がワイヤに付与するよ
うにトルク制御しつつ、これを緩和・低減し得るように
トルクモータ91では中程度のトルクの制御を行うよう
にする。
【0022】以上のように、第2実施形態のワイヤ張力
発生装置においても同様に、パウダクラッチ生来の摩擦
抵抗を結果的に低減ないし無視し得るように構成したの
で、通常レベルの張力制御から細線ワイヤ用の微小張力
制御までを容易且つ迅速に実施することができる。しか
も、一般的に低トルクの制御に不向きなトルクモータ9
1を用いてこれを実現している点で、非常に合理的・経
済的である。また、パウダクラッチ45とトルクモータ
91とを重畳的に作用させて、パウダクラッチ45単体
では発生できない非常に高い張力をワイヤ1に付与する
ことも可能である。
【0023】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、ワイヤ電極の走行時、パウダクラッチの出力
軸と連結されたワイヤ繰出モータにより、パウダクラッ
チの入力回転体が回転しないようにして、パウダクラッ
チの出力軸と入力回転体との間に密入された磁性粉体に
励磁電流を付加して吸着力を作用させて、出力軸に入力
回転体に対する回転抵抗トルクを発生させるとともに、
パウダクラッチの出力軸と連結された調整トルク発生手
段により、出力軸に対して調整用の回転トルクを発生さ
せて、制御手段によりパウダクラッチの出力軸の回転抵
抗トルクと調整トルク発生手段で発生する回転トルクと
の差が、ワイヤ電極の所望張力に応じた回転トルクとな
るようにしたことから、ワイヤ電極径の大小に応じてワ
イヤ電極の張力制御の機構を変更することなく、通常レ
ベルの張力から細線ワイヤ電極用の微小張力制御までを
極めて容易に、且つ迅速に実施することができる。よっ
て、高精度で安定的な張力をワイヤ電極に付与すること
ができ、ワイヤ放電加工機における加工精度を向上させ
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のワイヤ放電加工機のワイヤ張力発生装
置の第1の実施態様を示す要部断面図である。
【図2】本発明のワイヤ放電加工機のワイヤ張力発生装
置の第2の実施形態を示す要部断面図である。
【図3】本発明に係るワイヤ放電加工機のワイヤ電極走
行経路を示す略示機構図である。
【符号の説明】
1…ワイヤ(電極) 9…ワイヤ供給装置 13…ワイヤ張力発生装置 18,20…上、下ワイヤガイド 31…ワイヤ巻取装置 41…プーリ 43,49…出力軸 45,51…パウダクラッチ 47…カップリング 53a,53b…軸受 55,75…ロータ 57a,57b…軸受 59,79…クラッチ本体 61,81…電磁コイル 65…ウォームギアードモータ 85…モータ 91…トルクモータ 101…制御装置 W…ワーク P…パウダ(磁性粉体)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ワイヤ電極供給部から放電加工部へのワ
    イヤ電極走行経路に設けられ、ワイヤ電極の走行時に前
    記ワイヤ電極に所望張力を付与するワイヤ放電加工機の
    ワイヤ張力発生装置において、 前記ワイヤ電極が周囲に巻き付けられるローラが取り付
    けられた出力軸と、前記出力軸を回転可能に支持すると
    ともに、前記出力軸の軸心まわりに自らも回転可能な入
    力回転体とを有し、前記出力軸と前記入力回転体との間
    に密入された磁性粉体に励磁電流を付加することで作用
    する吸着力で、前記出力軸に前記入力回転体に対する回
    転抵抗トルクを発生させることにより、前記ワイヤ電極
    の走行時に前記ワイヤ電極に張力を付与するパウダクラ
    ッチと、 前記パウダクラッチの前記入力回転体と連結され、前記
    入力回転体を駆動する駆動手段と、 前記パウダクラッチの前記出力軸と連結され、前記出力
    軸に対して調節用の回転トルクを発生させる調節トルク
    発生手段と、 前記パウダクラッチの前記出力軸の回転抵抗トルクと前
    記調節トルク発生手段で発生する回転トルクとの差が、
    前記ワイヤ電極の走行時に前記ワイヤ電極の所望張力に
    応じた回転トルクとなるように、前記パウダクラッチお
    よび前記調節トルク発生手段を制御する制御手段と、を
    具備したことを特徴とするワイヤ放電加工機のワイヤ張
    力発生装置。
  2. 【請求項2】 前記調節トルク発生手段は、付与する電
    流を調節することで回転トルクを可変に発生させること
    ができるトルクモータで成る請求項1記載のワイヤ放電
    加工機のワイヤ張力発生装置。
  3. 【請求項3】 前記調節トルク発生手段は、前記パウダ
    クラッチの前記出力軸と連結する回転軸、前記回転軸を
    回転可能に支持するとともに、前記回転軸の軸心まわり
    に自らも回転可能な回転体を有し、前記回転軸と前記回
    転体との間に密入された磁性粉体に励磁電流を付加する
    ことで作用する吸着力で、前記回転軸に前記回転体に対
    する回転抵抗トルクを発生させるパウダクラッチと、前
    記回転体を所定の回転数で回転させるモータとで構成さ
    れた請求項1記載のワイヤ放電加工機のワイヤ張力発生
    装置。
JP03814496A 1996-02-26 1996-02-26 ワイヤ放電加工機のワイヤ張力発生装置 Expired - Fee Related JP3537251B2 (ja)

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