JP3968881B2 - テープ巻付装置のテープ送出張力制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行される線条体にテープを巻き付けるテープ巻付装置に係り、特に、テープ切れや緩みの発生を防止するテープ巻付装置のテープ送出張力制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
導体線等の線条体に絶縁体テープ等のテープを巻き付けるテープ巻付装置は、その線条体を引き取る引取装置と共にテープ巻付ラインに設けられる。引取装置が線条体を引き取ることにより、線条体は線軸方向に走行する。テープ巻付装置(中心式テーピング装置)は、図4に示されるように、この走行される線条体 (図示せず)を中空軸11に貫通させ、この中空軸11及び中空軸11の外周に設けた部材を回転させてテープを巻き付けるようになっている。即ち、テープをロール状に蓄えたテープパット21が線条体と同軸に配置されており、このテープパット21は中空軸11の外周に回転自在に設けたテープパットホルダ22に保持されている。テープパットホルダ22は、径方向に広がった円盤状のテープパット装着部23と、軸方向に伸びた中空管状のホルダシャフト部24と、ホルダシャフト部24の端に位置するホルダプーリ25とを一体的に形成したものである。このテープパットホルダ22のテープパット装着部23に装着したテープパット21を軸方向からテープパット押え26で押さえることにより、テープパット21をテープパットホルダ22に固定することができ、テープパットホルダ22と一体にテープパット21が回転するようになっている。
【0003】
このテープパット21の径方向外側には、線条体と平行な第一のテープガイド31が配置され、テープパット21より線条体走行方向前方には、線条体に傾斜して臨む第二のテープガイド12が配置されている。第一のテープガイド31は、テープパットホルダ22のホルダシャフト部24の外周に回転自在に設けたテーピング本体32に取り付けられている。テーピング本体32は、径方向に広がった円盤状の回転板33と、軸方向に伸びた中空管状の本体シャフト部34と、本体シャフト部34の端に位置する本体プーリ35とを一体的に形成したものである。これにより、第一のテープガイド31は、テーピング本体32が回転すれば線条体の周方向に回転するようになっている。第一のテープガイド31は、テーピング本体32の回転板33の縁端部に線条体と平行に取り付けられている。この第一のテープガイド31の外側にテープパット21から送出されるテープ40を掛け、このテープ40を第二のテープガイド12に向かわせるようにする。一方、第二のテープガイド12は、線条体を貫通させている中空軸11の外側に傾斜角調整自在に取り付けられている。これにより、第二のテープガイド12は、中空軸11が回転すれば線条体の周方向に回転するようになっている。この中空軸11にもその延長端に一体的に中空軸プーリ13が形成されている。第一のテープガイド31から送られるテープ40を第二のテープガイド12に掛け、このテープ40を線条体に対して所定の角度で供給することになる。
【0004】
第一のテープガイド31はテーピング本体32と共に回転し、第二のテープガイド12は中空軸11と共に回転するが、ここで、本体プーリ35に対向させて本体プーリ35と同径の駆動プーリ51が設けられ、中空軸プーリ13に対向させて中空軸プーリ13と同径の駆動プーリ52が設けられ、これら2つの駆動プーリ51,52が共通のラインシャフト53に取り付けられている。従って、ラインシャフト53の駆動により、2つのテープガイド31,12を同期して回転させることができる。また、ラインシャフト53の回転速度は、図示されない引取装置による線条体の引取速度と電気的又は機械的に同期させるようになっている。
【0005】
以上の構成により、2つのテープガイド31,12を線条体の周方向に回転させて線条体にテープを巻き付けることができる。
【0006】
テープパット21からのテープ送出張力を発生させる機構は、テープガイド31,12を回転させるラインシャフト(これを主軸とする)53とテープパット21を回転させるテープパットホルダ(これを副軸とする)22との間に設けたパウダーブレーキ61,62である。パウダーブレーキ(パウダークラッチとも言う)は、空間を隔てた2つの回転要素間に磁性粒子を充填し、磁場の印加により回転要素間に摩擦力を発生させるものである。磁場を印加する操作電圧を変化させると、摩擦力を変化させることができる。摩擦力が小であれば、2つの回転要素は互いに滑りやすくなり、摩擦力が大であれば滑りにくくなる。ここでは、ラインシャフト(主軸)53とテープパットホルダ(副軸)22とは2つのパウダーブレーキ61,62を介して連結されている。シャフト及びプーリ部分を省略してテープ巻付装置のヘッド部分41に着目すると、テープガイド31,12の回転(主軸の回転に相当する)に対して滑りを持たせてテープパット21の随伴回転(副軸の回転に相当する)を得ていることになる。このようにして、テープガイド31,12の回転に対して滑りを持たせてテープパット21を随伴回転させることにより、その滑りトルクに応じたテープパット21からのテープ送出張力を発生させることができる。即ち、パウダーブレーキ61,62の操作電圧を変化させれば、テープ送出張力を制御することができる。
【0007】
パウダーブレーキ61は、図示されないテンションコントローラにより制御される。このテンションコントローラは、テープパット21の径の変化によるテープ40の引出しトルクの変化を演算し、テープパット径が変化しても均一なテープ送出張力が得られるような制御を行うものである。
【0008】
もう一つのパウダーブレーキ62は、停止張力用パウダーブレーキと呼ばれ、テープ巻付装置の速度が変化したときに使われるものである。即ち、起動時或いは停止時等にラインシャフト53の回転速度が変化したとき、テープパット21にかかる慣性トルクを吸収するために、テープ40に張力を印加するものである。この張力は、テープ巻付装置の機械的特性に合わせて予め設定しておく。即ち、パウダーブレーキ62の操作電圧を予め一定に定めておき、起動時或いは停止時等にこの操作電圧を印加する。
【0009】
図4のテープ巻付装置にあっては、テープパットホルダ(副軸)22はラインシャフト(主軸)53に対し、2つのパウダーブレーキ61,62を介して滑りながら随伴回転していることになる。テープ巻付装置を停止させるとき、速度変化するラインシャフト53に対してテープパットホルダ22が相対的に遅れたり進んだりすると、テープ40に異常張力がかかってテープ切れや緩みが発生してしまう。これを回避するために停止張力用のパウダーブレーキ62が設けられている。パウダーブレーキ62は、従来、次のように制御されている。
【0010】
図5に示されるように、テープ巻付装置のパット回転部(テープパットホルダ、テープパット及びテープパット押え)20の総重量をW、パット回転部20の半径をR、パット回転部20の角速度をωとすると、パット回転部20にかかる慣性モーメントIは、
【0011】
【数1】
【0012】
で与えられ、パット回転部20の慣性トルクTは、
【0013】
【数2】
【0014】
となる。この慣性トルクTからパウダーブレーキやメカロス等により発生する摩擦トルクTF を差し引いたトルクが実際にテープ張力に影響を与えるトルクTD となる。即ち、
【0015】
【数3】
【0016】
式(2)によれば、テープ巻付装置を一定速度で運転しているときには、角加速度がないため慣性トルクTは発生しないが、起動時や停止時には速度変化、即ち角加速度があるため慣性トルクTが発生する。そこで、この慣性トルクTの発生に対し、パウダーブレーキ62に予め定めた一定の操作電圧を印加して摩擦トルクTF を大きくし、式(3)のトルクTD を0に近付ける。これにより実際にテープ張力に影響を与えるトルクTD を小さくしてテープ切れや緩みを回避することができる。
【0017】
従来技術によるテープ巻付装置の電気系統は、図6に示されるように、停止張力用電源1の電圧Vより予め設定した電圧VB を生成する張力設定アンプ2を備え、テープ巻付装置に停止信号が入力されたときに操作電圧VB をパウダーブレーキ62に印加するようになっている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術では、起動時や停止時の速度変化によって起こるテープ張力の変化に対し、パウダーブレーキに予め定めた一定の操作電圧を印加して一定の張力をかけることでテープ張力の変化を緩和させている。しかし、このような方法には、次のような問題点がある。
【0019】
テープ巻付装置をより高速で運転する場合や機械的強度が弱いテープを巻き付ける場合、一定の張力をかけるだけではテープ張力変化を吸収できず、テープ切れや緩みを回避することができない。なお、テープ張力変化の発生要因は、テープパットホルダ22とラインシャフト53とを介しているパウダーブレーキ61,62の慣性、線条体の引取装置とテープ巻付装置とのモータ等の電気的同調のズレ、パウダーブレーキ61,62の摩擦特性等であり、テープ巻付装置の構造などの機械的特性に起因するものである。
【0020】
このようなテープ張力変化の変化幅が大きな使用環境下では、テープに異常張力がかかりテープ切れや緩みが発生する。従来技術では、テープ巻付装置の停止時等にテープ切れや緩みが発生するため、運転速度を高めることができず、生産性が向上できない。また、機械的強度が強いテープを使用せざるを得ず、テープのコストが低減できない。
【0021】
これを解決する1つの方法として、起動時や停止時にスロースタート、スローストップを行うことが考えられる。しかし、撚合ラインの中に何かの異常があった場合にスローストップを行うと、その異常時に生産されたテープ巻付線条体がかなり引き取られた後に停止することになり、そのことが新たに問題となる。従って、この方法は好適ではない。
【0022】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、テープ切れや緩みの発生を防止するテープ巻付装置のテープ送出張力制御方法を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、線条体を線軸方向に走行させ、この線条体と同軸にテープをロール状に蓄えたテープパットを配置し、このテープパットの径方向外側に前記線条体と平行な第一のテープガイドを配置すると共に前記線条体に傾斜して臨む第二のテープガイドを配置し、
前記テープガイドの回転に対して滑りを持たせて前記テープパットを随伴回転させるために、前記テープガイドを回転させる主軸と前記テープパットを回転させる副軸との間にパウダーブレーキを用い、
これらのテープガイドを前記線条体の周方向に回転させて前記線条体にテープを巻き付けるときに、前記テープガイドの回転に対して滑りを持たせて前記テープパットを随伴回転させることにより前記テープパットからのテープ送出張力を発生させ、
前記テープガイドの回転を停止させるときに、前記テープガイドの運転速度信号を発生させ、一定の値からなる第一の操作電圧から、前記テープガイドの運転速度信号の電圧の低下量を差し引いた第二の操作電圧をパウダーブレーキに印加することにより、前記テープ送出張力を制御するものである。
【0025】
前記テープガイドの回転に対して滑りを持たせて前記テープパットを随伴回転させるために、前記テープガイドを回転させる主軸と前記テープパットを回転させる副軸との間にパウダーブレーキを用い、前記テープガイドの回転を停止させるときに、前記テープガイドの回転速度の減少に比例させて前記パウダーブレーキの操作電圧徐々にを高くし、その操作電圧に比例させて、前記テープパットの滑りの度合いを徐々に小さくしてもよい。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0027】
まず、本発明を考案するにあたり、従来のテープ巻付装置が運転中に停止するときに実際にテープにかかる慣性トルク(張力)を詳しく分析したので、その内容を説明する。なお、ここでは、テープ巻付装置の前段に、線条体を撚り合わせる撚合装置及びその線条体を送出する送出機を接続し、線条体の撚り合わせと同時にテープ巻き付けを行う巻取回転型の撚合ラインを用いるものとする。
【0028】
図7に示されるように、テープ巻付装置が運転中に停止するときに実際にテープにかかる慣性トルクは、パウダーブレーキ62を介してラインシャフト53に連結しているテープパットホルダ22が減速することによる滑りで発生するトルクT1(ラインシャフト53の回転による慣性トルク)と、テープ40が引き出されていることによりテープパットホルダ22が回転板33と相対的に回転している相対速度の変化によるトルクT2とがある。このトルクT1,T2の発生メカニズムは次の通りである。
【0029】
1)ラインシャフト53(図7ではテーピング本体の回転板33)がN1(rpm)で回転しているときに、テープ巻付装置に対して停止信号が入力される。なお、このときテープパットホルダ22は、N2(rpm)で回転しているものとする。
【0030】
2)テープ巻付装置が停止の動作に入り、ラインシャフト53が減速する。
【0031】
3)▲1▼トルクT1の発生…ラインシャフト53によりパウダーブレーキ62を介して駆動されているテープパットホルダは、慣性トルクT1でもっと回ろうとする。慣性トルクT1は図示のようにテープの引出方向とは逆方向に作用する。従って、テープ送出張力は大きくなる。
【0032】
▲2▼トルクT2の発生…テープパットホルダ22は、テーピング本体の回転板33と相対的に見ると、N1−N2=N3(rpm)で回転しているので慣性トルクT2で回ろうとする。慣性トルクT2は図示のようにテープの引出方向と同一方向に作用する。従って、テープ送出張力は小さくなる。
【0033】
4)テープ巻付装置の各機構が完全に停止するまでの間に、ラインシャフトの減速率、パウダーブレーキ固有の摩擦特性、引取装置やテープ巻付装置固有の慣性・摩擦、撚合ラインとテープ巻付装置との電気的・機械的同調のずれなどによりテープ送出張力が変動する。
【0034】
このようにして実際にテープにかかる張力が発生するが、一般的には線条体の巻取機(引取装置)、送出機、テープ巻付装置からなる撚合ラインでは、実際のテープ巻の状態から分析した結果、撚合ラインの減速停止時に巻き付けられるテープに実際にかかる張力TD (停止張力)は図8のように変化することが判った。図8に示されるように、張力TD は、テープ巻付装置が停止動作を始めた後に急激に減少して最小張力Tminに達し、その後、徐々に大きくなり、最大張力Tmaxに達した後、再び減少して完全停止の状態で±0になる。この変動曲線において、張力TD が最小張力Tmin側にあるときには、テープが緩む傾向にあり、張力TD が最大張力Tmax側にあるときには、テープに過大な張力がかかるためテープが切れることがある。
【0035】
これに対し、従来技術においてテープ巻付装置に停止信号が入力されたときにパウダーブレーキ62に印加する操作電圧(停止張力電圧)は、VB であり、完全停止となるまで一定である。このパウダーブレーキ操作から得られる停止張力は電圧VB に比例するので、以下、図8上で電圧VB と張力TD とを比較する。テープ巻付装置が高速運転されると、ラインシャフトが高速回転になり図示の張力TD の変動幅はいっそう大きくなる。これに対して一定の電圧VB でパウダーブレーキ62を操作したのではテープにかかる張力TD を緩和しきれず、テープ切れや緩みを回避することができない。
【0036】
もし、張力TD が最小張力Tmin側のときテープが緩まないようにするためには、操作電圧をVB ´のように小さく設定しなくてはならない。しかし、操作電圧VB ´を設定してしまうと、張力TD が最大張力Tmax側になったとき、テープに過大な張力がかかり、テープが切れてしまう。
【0037】
このように、テープ巻付装置に停止信号が入力された直後にテープにかかる最小張力Tminと、その後に発生する最大張力Tmaxとの差が大きいため、従来技術のように一定の操作電圧VB を与えてもテープ張力変化を吸収できず、テープ切れや緩みを回避することができない。
【0038】
そこで、本発明では、テープガイド31,12の回転速度の変化に比例させてパウダーブレーキ62の操作電圧を変化させるようにした。ここで、テープガイド31,12の回転速度はラインシャフト53の回転速度に比例し、ラインシャフト53の回転速度は撚合ラインの運転速度(引取装置の引取速度等)に同期されている。従って、撚合ラインの運転速度に比例させてパウダーブレーキ62の操作電圧を変化させてもよい。
【0039】
さて、このような操作電圧の変化方法は、図8において、テープに実際にかかる張力TD の変動曲線が、従来技術の操作電圧VB の直線から図2に示す撚合ラインの運転速度信号Sの曲線を差し引いた曲線に近似していることに着目したものである。これに基づき、一定の操作電圧VB から撚合ラインの運転速度信号Sを適宜に増幅した電圧を減算し、図3に示す操作電圧(停止張力電圧)VA を得る。
【0040】
本発明のテープ送出張力制御方法を適用したテープ巻付装置の電気系統は、図1に示されるように、停止張力用電源1の電圧Vより予め設定した電圧VB を生成する張力設定アンプ2と、撚合ライン3の運転速度信号Sをゲイン調整してこの速度に比例する電圧S´を生成するゲイン調整アンプ4と、電圧VB から電圧S´を減算して操作電圧VA を生成する減算器5とを備え、テープ巻付装置に停止信号が入力されたときに操作電圧VA をパウダーブレーキ62に印加するようになっている。
【0041】
図1の電気系統により制御される図4のテープ巻付装置の動作を説明する。
【0042】
線条体の撚合装置、線条体の送出機に本発明のテープ巻付装置を組み合わせた撚合ラインにおいて定常の運転速度で運転が行われているものとする。この撚合ラインが停止するときに、停止信号が発生されると共に、運転速度信号Sが発生される。撚合ラインの運転速度信号Sは、図2に示されるように、停止動作の開始直後には所定の値から大きな傾斜で減少し、次第に傾斜が小さくなり、完全停止の時点で傾斜がなくなると共に値0に至る。従って、テープ巻付装置にあっては、ラインシャフト53の回転速度が運転速度信号Sに比例して減速し、テープガイド31を含むテーピング本体32の回転速度が運転速度信号Sに比例して減速する。
【0043】
ラインシャフト53の減速により、既に説明したように慣性トルクT1,T2が発生してテープに実際にかかる張力TD (停止張力)は図3に示されるように、停止動作を始めた直後に減少して最小張力Tminに達し、その後、徐々に大きくなり、最大張力Tmaxに達した後、再び減少して完全停止の状態で±0になる。
【0044】
一方、図1のテープ巻付装置の電気系統では、ゲイン調整アンプ2により運転速度信号Sに比例する電圧S´が生成され、減算器5により予め設定した電圧VB から電圧S´減算した操作電圧VA が生成される。操作電圧VA は、図3に示されるように、停止動作を始めた直後、所定の値から大きな傾斜で増加し、次第に傾斜が小さくなり、完全停止の時点で傾斜がなくなると共に一定値に至る。この操作電圧VA がパウダーブレーキ62に印加されるので、パウダーブレーキ62内の2つの回転要素間の摩擦力は、操作電圧VA に比例して最初は非常に小さく、それから徐々に大きくなっていく。従って、テープガイド31,12の回転に対するテープパット21の滑りの度合いは、操作電圧VA に比例して最初は非常に大きく、それから徐々に小さくなっていく。このパウダーブレーキ62の操作によってテープ40に印加される張力は、操作電圧VA に比例して最初は非常に小さく、それから徐々に大きくなっていくことになる。
【0045】
図3において、操作電圧(停止張力電圧)VA の曲線が張力TD の変動曲線に近似していることがよく判る。従って、ラインシャフト53の減速により発生する張力TD がパウダーブレーキ62の操作によって印加される張力によって吸収され、テープ切れや緩みが防止されることになる。
【0046】
本発明のテープ送出張力制御方法は、テープ巻付装置の機械的構造は従来技術と同じくして実施することができ、このテープ巻付装置をより高速で運転する場合や機械的強度が弱いテープを巻き付ける場合でも、テープ張力変化を十分に吸収し、テープ切れや緩みを発生させることなくテープ巻き付けを行うことができる。また、撚合ラインを構成する引取装置、テープ巻付装置に電気的、機械的同期のズレが生じる場合でも、テープ巻付装置が停止するときに発生するテープパットホルダの慣性によるテープ送出張力の変化を小さくすることが可能であり、テープ切れや緩みなどの異常を撲滅することが可能である。
【0047】
本発明のテープ送出張力制御方法は、非常に安価かつ短時間で従来のテープ巻付装置に導入することが可能であり、これを実施した場合、厚さ0.1mm、幅15〜50mmの不織布を直径5〜20mmの線条体に巻き付ける場合を例にとると、従来技術で制御する場合に比較して、テープ切れや緩みなどの異常が発生する運転速度が高くなるため、テープ巻付装置の定常運転の回転速度を約40%も上げることが可能となる。
【0048】
なお、上記の実施形態では、撚合ラインの運転速度信号Sをゲイン調整アンプに入力したが、テープ巻付装置の主軸系の回転速度信号を入力してもよいことは勿論である。
【0049】
【発明の効果】
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
【0050】
(1)テープ張力の変化時にテープガイドに対するテープパットの滑りの度合いを調節するようにしたので、テープ張力の変化がよく吸収され、テープ切れや緩みの発生を防止することができる。
【0051】
(2)テープ巻付装置の機械的構造は従来と同じでよいので、簡易に実施できる。
【0052】
(3)滑りの度合いの調節にテープガイドの回転速度を用いたので、実際のテープ張力を計測する必要がなく、張力センサ等を付加しなくてよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるテープ巻付装置の電気系統図である。
【図2】撚合ラインの運転速度信号の時間変化図である。
【図3】本発明による停止張力及び停止張力電圧の時間変化図である。
【図4】テープ巻付装置の機械構造図である。
【図5】テープ巻付装置のパット回転部の斜視図である。
【図6】従来技術によるテープ巻付装置の電気系統図である。
【図7】テープ巻付装置のパット回転部の正面図である。
【図8】従来技術による停止張力及び停止張力電圧の時間変化図である。
【符号の説明】
2 張力設定アンプ
4 ゲイン調整アンプ
5 減算器
11 中空軸
12、31 テープガイド
21 テープパット
22 テープパットホルダ
32 テーピング本体
40 テープ
53 ラインシャフト
61、62 パウダーブレーキ
Claims (1)
- 線条体を線軸方向に走行させ、この線条体と同軸にテープをロール状に蓄えたテープパットを配置し、このテープパットの径方向外側に前記線条体と平行な第一のテープガイドを配置すると共に前記線条体に傾斜して臨む第二のテープガイドを配置し、
前記テープガイドの回転に対して滑りを持たせて前記テープパットを随伴回転させるために、前記テープガイドを回転させる主軸と前記テープパットを回転させる副軸との間にパウダーブレーキを用い、
これらのテープガイドを前記線条体の周方向に回転させて前記線条体にテープを巻き付けるときに、前記テープガイドの回転に対して滑りを持たせて前記テープパットを随伴回転させることにより前記テープパットからのテープ送出張力を発生させ、
前記テープガイドの回転を停止させるときに、前記テープガイドの運転速度信号を発生させ、一定の値からなる第一の操作電圧から、前記テープガイドの運転速度信号の電圧の低下量を差し引いた第二の操作電圧をパウダーブレーキに印加することにより、前記テープ送出張力を制御することを特徴とするテープ巻付装置のテープ送出張力制御方法。
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