JP2002040692A - ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料およびその製造方法、並びにそれを用いた電子写真感光体および電子写真画像形成装置 - Google Patents

ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料およびその製造方法、並びにそれを用いた電子写真感光体および電子写真画像形成装置

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JP2002040692A JP2000229506A JP2000229506A JP2002040692A JP 2002040692 A JP2002040692 A JP 2002040692A JP 2000229506 A JP2000229506 A JP 2000229506A JP 2000229506 A JP2000229506 A JP 2000229506A JP 2002040692 A JP2002040692 A JP 2002040692A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子写真感光体の感度を十分に広い範囲で精
度よく調整することが可能であり、且つ結着樹脂中への
分散性に優れるヒドロキシガリウムフタロシアニン顔
料、およびそれらの特性が製造ロット間でばらつくこと
なく簡便に且つ安価に製造することを可能とするヒドロ
キシガリウムフタロシアニン顔料の製造方法、並びにそ
れを用いた電子写真感光体および電子写真画像形成装置
を提供すること。 【解決手段】 CuKα特性X線を用いたX線回折スペ
クトルにおいてブラッグ角度(2θ±0.2゜)7.5
゜、9.9゜、12.5゜、16.3゜、18.6゜、
25.1゜、28.3゜に回折ピークを有し且つ7.5
゜の回折ピークの半値幅が0.35〜1.2゜であるこ
とを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニン顔
料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒドロキシガリウ
ムフタロシアニン顔料およびその製造方法、並びに該ヒ
ドロキシガリウムフタロシアニン顔料を用いた電子写真
感光体および電子写真画像形成装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】フタロシアニン顔料は、青色または緑色
系の顔料、染料といった用途の他、電子写真感光体、光
ディスク、太陽電池、センサー、脱臭剤、抗菌剤、非線
形光学材料などの幅広い分野で機能性材料として実用化
が進められている。例えば、近年、半導体レーザーの発
振波長領域である近赤外領域まで感光波長領域が長波長
化されたフタロシアニン顔料が開発され、主にレーザー
・プリンターやフルカラー複写機などに用いられるデジ
タル記録用感光体の電荷発生材料として既に実用化され
ている。
【0003】フタロシアニン顔料については、その結晶
型と電子写真特性との相関を中心に多くの報告がなされ
ている。一般に、フタロシアニン顔料は、製造方法、処
理方法の違いにより幾つかの結晶型を示すものであり、
この結晶型の違いがフタロシアニン顔料の光電変換特性
に大きな影響を及ぼすことが知られている。フタロシア
ニン顔料の結晶型については、例えば、銅フタロシアニ
ン顔料の場合、安定型であるβ型の他にα型、ε型、χ
型、γ型、δ型などの結晶型が存在し、これらの結晶型
は、機械的歪力、硫酸処理、有機溶剤処理、熱処理など
により相互に転移が可能であることが知られている(例
えば米国特許第2,770,629号公報、3,160,6
35号公報、同第3,708,292号公報、同3,35
7,989号公報など)。また、無金属フタロシアニン
顔料の場合はα型、β型、γ型、ε型、δ型、X型など
の結晶型が知られている。さらにまた、ガリウムフタロ
シアニン顔料に関してもその結晶型と電子写真特性との
相関について多くの研究がなされており、CuKα特性
X線を用いたX線回折パターンにおいてブラッグ角度
(2θ±0.2゜)7.5゜、9.9゜、12.5゜、
16.3゜、18.6゜、25.1゜、28.3゜に回
折ピークを有する極めて高感度のヒドロキシガリウムフ
タロシアニン顔料及びそれを用いた電子写真感光体が、
光感度、繰り返し特性及び環境安定性に優れていること
が報告されている(Journal ofImagin
g Science and Technology,V
ol.40,No.3,May/June,249(1
996)、特開平5−263007号公報、特開平7−
53892号公報など)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一般に、フタロシアニ
ン顔料を電荷発生材料として用いる電子写真感光体の感
度はフタロシアニン顔料の感度によりほぼ決定されるの
で、電子写真感光体を設計する際には電子写真プロセス
が要求する感度に見合ったフタロシアニン顔料の選択が
必要となる。例えば、電子写真プロセスの要求感度と電
子写真感光体の感度が一致しない場合には、細線の太り
や細り、あるいはかぶりや濃度不足といった問題を発生
する場合がある。また、個人ユーザーや小規模なオフィ
スなどを対象とした汎用の小型レーザー・プリンターや
高解像度が要求されるフルカラー・プリンター/複写機
用などの電子写真画像形成装置においては、電子写真感
光体の感度が過剰に高いと解像度が低下したり中間調の
再現性が悪化してしまうので、非常に高感度のフタロシ
アニン顔料をそのまま電荷発生材料として使用できない
という制限があった。
【0005】そこで、上記の問題を解決すべく電子写真
感光体の感度を調整するための種々の試みがなされてい
る。例えば、電荷発生材料を樹脂分散系で用いる場合、
使用する結着樹脂や溶剤の種類、あるいは化合物と結着
樹脂との配合比などを変更する方法が提案されている。
しかしながら、このような方法においては、感光体に適
当な感度を付与するために選択された材料の種類や配合
比が、感光体の構成上または生産上の制約により適用で
きない場合があり、感光体の感度を調整する方法として
の実用性は低かった。
【0006】また、結晶型や種類の異なる複数のフタロ
シアニン顔料の混合物を用いることによって感光体の感
度調整を行う方法も提案されている。例えば、特開昭6
2−272272号公報にはα型およびβ型チタニルフ
タロシアニン顔料の混合物を用いた電子写真感光体;特
開平2−183261号公報にはブラッグ角度(2θ±
0.2°)の7.6°、10.2°、12.6°、1
3.2°、15.2°、16.2°、18.4°、2
2.5°、24.2°、25.4°および28.7°に
回折ピークを与える結晶を有するチタニルフタロシアニ
ン顔料と27.3°に回折ピークを与える結晶型を有す
るチタニルフタロシアニン顔料との混合物を用いた電子
写真感光体、がそれぞれ開示されており、結晶型の異な
るチタニルフタロシアニン顔料の混合比率を変化させて
その感度を調整する技術が記載されている。また、特開
平2−280169号公報には、チタニルフタロシアニ
ン顔料、無金属フタロシアニン顔料、銅フタロシアニン
顔料などの異なる種類のフタロシアニン顔料の混合物に
おいてその混合比率を変化させて感度を調整する技術が
記載されている。
【0007】しかしながら、上記従来の電子写真感光体
であっても、感度調整範囲が不十分である、製造ロット
間の感度のばらつきにより感度調整が難しくなるといっ
た感度調整に関する問題の他、繰り返し使用時や高湿あ
るいは低湿環境下などの苛酷な条件下において帯電変動
が生じるなどの光電特性に関する問題、さらには樹脂分
散系で使用する際に分散液の保存安定性が実用上満足で
きるものではない、製造工程が複雑である、コスト・ア
ップするといった製造上の問題を有しており、実用に供
し得るものではなかった。
【0008】本発明は上記従来の技術が有する課題に鑑
みてなされたものであり、電子写真感光体の感度を十分
に広い範囲で精度よく調整することが可能であり、且つ
結着樹脂中への分散性に優れるヒドロキシガリウムフタ
ロシアニン顔料、およびそれらの特性が製造ロット間で
ばらつくことなく簡便に且つ安価に製造することを可能
とするヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の製造方
法、並びにそれを用いた電子写真感光体および電子写真
画像形成装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、CuKα特性X線
を用いたX線回折スペクトルにおいてブラッグ角度(2
θ±0.2゜)7.5゜、9.9゜、12.5゜、1
6.3゜、18.6゜、25.1゜、28.3゜に回折
ピークを示すヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を
粉砕処理し、その7.5゜の回折ピークの半値幅が特定
の条件を満たすように結晶構造を制御した場合に上記課
題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0010】すなわち、本発明のヒドロキシガリウムフ
タロシアニン顔料は、CuKα特性X線を用いたX線回
折スペクトルにおいてブラッグ角度(2θ±0.2゜)
7.5゜、9.9゜、12.5゜、16.3゜、18.
6゜、25.1゜、28.3゜に回折ピークを有し且つ
7.5゜の回折ピークの半値幅が0.35〜1.2゜で
あることを特徴とするものである。
【0011】また、本発明のヒドロキシガリウムフタロ
シアニン顔料の製造方法は、CuK α特性X線を用いた
X線回折スペクトルにおいてブラッグ角度(2θ±0.
2゜)7.5゜、9.9゜、12.5゜、16.3゜、
18.6゜、25.1゜、28.3゜に回折ピークを有
するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を、7.5
゜の回折ピークの半値幅が0.35〜1.2゜となるよ
うに粉砕処理することを特徴とするものである。
【0012】さらに、本発明の電子写真感光体は、導電
性支持体と、該支持体上に配置された感光膜と、を備え
る電子写真感光体であって、前記感光膜が上記本発明の
ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を含有すること
を特徴とするものである。
【0013】さらにまた、本発明の電子写真画像形成装
置は、上記本発明の電子写真感光体と、前記電子写真感
光体を帯電させるための帯電手段と、前記電子写真感光
体上に静電潜像を形成するための露光手段と、前記静電
潜像にトナーを付着させてトナー像を形成するための現
像手段と、前記トナー像を転写材に転写するための転写
手段と、前記転写材にトナー像を定着させるための像定
着手段と、前記電子写真感光体上に残存したトナーを除
去するためのクリーニング手段と、を備えることを特徴
とするものである。
【0014】本発明によれば、CuKα特性X線を用い
たX線回折スペクトルにおいてブラッグ角度(2θ±
0.2゜)7.5゜、9.9゜、12.5゜、16.3
゜、18.6゜、25.1゜、28.3゜に回折ピーク
を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の7.
5゜の回折ピークの半値幅が上記の特定の条件を満たす
ように制御することによって、結着樹脂中への分散性が
高められる。また、このようなヒドロキシガリウムフタ
ロシアニン顔料の感度は、上記の本発明の製造方法によ
って十分に広い範囲で精度よく調整することが可能であ
る。したがって、本発明のヒドロキシガリウムフタロシ
アニン顔料を用いることによって、電子写真画像形成プ
ロセスの要求感度に適合した感度を有し、且つ繰り返し
使用時、高湿あるいは低湿条件下での使用時などにおい
て光電特性の変動が十分に防止された電子写真感光体を
得ることが可能となり、さらには、このような特性を有
する本発明の電子写真感光体を備える本発明の電子写真
画像形成装置において、細線の太りや細り、かぶりとい
った現象を生じることなく長期にわたって十分に高い画
質を得ることが可能となる。
【0015】ここで、本発明のヒドロキシガリウムフタ
ロシアニン顔料は、赤外線吸収スペクトルにおいて波数
631±3cm-1における吸光度の最大値(Ab
631)と波数572±3cm-1における吸光度の最大
値(Abs572 )との比(Abs6 31/Abs572)が
0.85〜1.20であることが好ましい。
【0016】また、本発明の製造方法においては、前記
粉砕処理が水を用いた湿式粉砕処理であることが好まし
い。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、場合により図面を参照しつ
つ本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。な
お、図面中、同一または相当部分には同一符号を付する
こととする。
【0018】本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニ
ン顔料は、CuKα特性X線を用いたX線回折スペクト
ルにおいてブラッグ角度(2θ±0.2゜)7.5゜、
9.9゜、12.5゜、16.3゜、18.6゜、2
5.1゜、28.3゜に回折ピークを有し且つ7.5゜
の回折ピークにおける半値幅が0.35〜1.2゜、好
ましくは0.35〜1.00゜である回折パターンを示
すものである。7.5゜の回折ピークにおける半値幅が
前記範囲外であると、ヒドロキシガリウムフタロシアニ
ン顔料自体の感度が著しく低下したり凝集による分散性
の低下が生じやすくなり、その結果、電子写真感光体の
感度が低下したり製造ロット間での光電特性のばらつき
が生じやすくなる。
【0019】本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニ
ン顔料は、さらに、赤外線吸収スペクトルにおいて波数
631±3cm-1における吸光度の最大値(Ab
631)と波数572±3cm-1における吸光度の最大
値(Abs572 )との比(Abs6 31/Abs572)が
好ましくは0.85〜1.20、より好ましくは0.9
0〜1.20であるスペクトルを示すものであることが
好ましい。吸光度の比(Abs631/Abs572)が前記
上限値を超えると分散性が不十分となり、得られる電子
写真感光体の感度にばらつきが生じやすくなる傾向にあ
る。他方、吸光度の比(Abs631/Abs572)が前記
下限値未満の場合、ヒドロキシガリウムフタロシアニン
顔料自体の感度が著しく低下したり凝集による分散性の
低下が生じやすくなり、その結果、電子写真感光体にお
いて十分な感度が得られにくくなる傾向にある。
【0020】さらに、本発明のヒドロキシガリウムフタ
ロシアニン顔料の平均粒径は、0.5μm以下であるこ
とが好ましく、0.3μm以下であることが好ましい。
ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の平均粒径が前
記上限値を超えると、分散性が低下したり画質欠陥が生
じやすくなる傾向にある。
【0021】次に、本発明のヒドロキシガリウムフタロ
シアニン顔料の製造方法について説明する。
【0022】本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニ
ン顔料の製造方法は、CuKα特性X線を用いたX線回
折スペクトルにおいてブラッグ角度(2θ±0.2゜)
7.5゜、9.9゜、12.5゜、16.3゜、18.
6゜、25.1゜、28.3゜に回折ピークを有するヒ
ドロキシガリウムフタロシアニン顔料(以下、V型ヒド
ロキシガリウムフタロシアニン顔料という)を粉砕処理
して、前記ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の
7.5゜の回折ピークにおける半値幅を0.35〜1.
2゜とするものである。なお、Journal of I
maging Science and Technol
ogy,Vol.40,No.3,May/June,
249(1996)、特開平5−263007号公報、
特開平7−53892号公報などに記載されている製造
方法によっても、CuKα特性X線を用いたX線回折パ
ターンにおいてブラッグ角度(2θ±0.2゜)7.5
゜、9.9゜、12.5゜、16.3゜、18.6゜、
25.1゜、28.3゜に回折ピークを有するヒドロキ
シガリウムフタロシアニン顔料を得ることは可能である
が、これらの従来の製造方法のようにヒドロキシガリウ
ムフタロシアニン顔料の粉砕処理を行わないと、7.5
゜の回折ピークにおける半値幅が0.35゜未満とな
り、所望の感度を有するヒドロキシガリウムフタロシア
ニン顔料を簡便且つ安価に得ることはできない。
【0023】ここで、本発明にかかる粉砕処理として
は、溶剤を用いずに行う環式粉砕処理、溶剤を用いて行
う湿式粉砕処理などが挙げられる。
【0024】乾式粉砕処理を行う場合は、振動ミル、自
動乳鉢、サンドミル、ダイノーミル、コボールミル、ア
トライター、遊星ボールミル、ボールミルなどの装置を
用いることができる。本発明においては、乾式粉砕処理
を行う際の粉砕力や処理時間等の条件は用いる装置によ
って異なるが、処理後のヒドロキシガリウムフタロシア
ニン顔料の平均粒径が0.5μm以下(より好ましくは
0.3μm以下)となるように処理条件を設定すること
が好ましい。
【0025】湿式粉砕処理を行う場合は、上記乾式粉砕
処理の説明において例示された装置の他、超音波分散
機、ゴーリンホモジナイザー、マイクロフルイダイザ
ー、ジェットミル、アルティマイザー、マイルダーなど
を用いることができる。また、本発明においては、湿式
粉砕処理を行う際の粉砕力や処理時間などの条件は用い
る装置によって異なるが、処理後のヒドロキシガリウム
フタロシアニン顔料の平均粒径が0.5μm以下(より
好ましくは0.3μm以下)となるように処理条件を設
定することが好ましく、また、処理温度は使用する溶剤
の沸点以下(より好ましくは0〜100℃)であること
が好ましい。さらに、前記湿式粉砕処理においては、溶
剤として水を用いることが好ましい。水を用いて湿式粉
砕処理を行うと、顔料の結晶成長や凝集が十分に防止さ
れて感度や分散性が向上する傾向にある。さらにまた、
前記湿式粉砕処理における溶剤の使用量は、V型ヒドロ
キシガリウムフタロシアニン顔料1重量部に対して好ま
しくは1〜200重量部、より好ましくは5〜100重
量部である。
【0026】本発明の製造方法において、原料として使
用されるV型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料
は、従来より公知の方法により得ることができる。以下
にその一例を示す。
【0027】先ず、o−フタロジニトリルまたは1,3
−ジイミノイソインドリンと三塩化ガリウムとを所定の
溶媒中で反応させる方法(I型クロロガリウムフタロシ
アニン法);o−フタロジニトリル、アルコキシガリウ
ムおよびエチレングリコールを所定の溶媒中で加熱し反
応させてフタロシアニン二量体(フタロシアニン・ダイ
マー)を合成する方法(フタロシアニン・ダイマー
法)、等により粗ガリウムフタロシアニンを製造する。
上記の反応における溶媒としては、α−クロロナフタレ
ン、β−クロロナフタレン、α−メチルナフタレン、メ
トキシナフタレン、ジメチルアミノエタノール、ジフェ
ニルエタン、エチレングリコール、ジアルキルエーテ
ル、キノリン、スルホラン、ジクロロベンゼン、ジメチ
ルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルスル
ホアミドなどの不活性且つ高沸点の溶剤を用いることが
好ましい。
【0028】次に、上記の工程で得られた粗ガリウムフ
タロシアニンについてアシッドペースティング処理を行
うことによって、粗ガリウムフタロシアニンを微粒子化
するとともにI型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔
料に変換する。ここで、本発明にかかるアシッドペース
ティング処理とは、具体的には、粗ガリウムフタロシア
ニンを硫酸などの酸に溶解させたものあるいは硫酸塩な
どの酸塩としたものを、アルカリ水溶液、水または氷水
中に注ぎ、再結晶させることをいう。前記アシッドペー
スティング処理に用いる酸としては硫酸が好ましく、中
でも濃度70〜100%(特に好ましくは95〜100
%)の硫酸がより好ましい。
【0029】上記のアシッドペースティング処理後、得
られたI型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を溶
剤処理することによって、CuKα特性X線を用いたX
線回折パターンにおいてブラッグ角度(2θ±0.2
゜)7.5゜、9.9゜、12.5゜、16.3゜、1
8.6゜、25.1゜、28.3゜に強い回折ピークを
有するV型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を得
ることができる。ここで、本発明にかかる溶剤処理と
は、試料を所定の溶剤に加えて静置または攪拌するなど
の方法によって試料と溶媒とを接触させる処理のことを
いう。本発明にかかる溶剤処理に使用される溶剤として
は、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチル
アセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類;
酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−アミルなど
のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチル
iso−ブチルケトンなどのケトン類、などが挙げられ
る。これらの溶剤の使用量はヒドロキシガリウムフタロ
シアニン顔料1重量部に対して通常1〜200重量部、
好ましくは1〜100重量部であり、また、溶剤処理温
度は通常0〜150℃、好ましくは室温〜100℃であ
る。なお、本発明にかかる溶剤処理においては、上記の
湿式粉砕処理の説明において例示された装置を用いて攪
拌を行ってもよいが、これらの装置を用いる際には顔料
の粉砕が起こらないように攪拌することが重要である。
【0030】上記本発明の製造方法によって得られる本
発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料は、顔
料、染料、電子写真感光体、光ディスク、太陽電池、セ
ンサー、脱臭剤、抗菌剤、非線形光学材料などの種々の
用途に利用することができる。中でも、本発明のヒドロ
キシガリウムフタロシアニン顔料を電子写真感光体の電
荷発生材料として用いた場合には、感光体の最適な感度
や優れた光電特性を得ることができる点、および感光膜
に含まれる結着樹脂中への分散性に優れているので製造
ロット間の特性のばらつきを十分に抑制できる点で特に
有効である。
【0031】図1(a)〜(e)はそれぞれ本発明の電
子写真感光体の好適な一実施形態を示す模式断面図であ
る。図1(a)〜(c)に示す電子写真感光体は、電荷
発生材料を含有する層(電荷発生層4)と電荷輸送材料
を含有する層(電荷輸送層5)とに機能が分離された積
層型感光膜6を備える電子写真感光体であり、図1
(a)に示す電子写真感光体1は、導電性支持体2上に
下引き層3、電荷発生層4、電荷輸送層5が順次積層さ
れた構造;図1(b)に示す電子写真感光体1は、導電
性支持体2上に下引き層3、電荷発生層4、電荷輸送層
5、表面保護層7が順次積層された構造;図1(c)に
示す電子写真感光体1は、導電性支持体2上に下引き層
3、電荷輸送層5、電荷発生層4、表面保護層7が順次
積層された構造、をそれぞれ有している。他方、図1
(d)及び(e)に示す電子写真感光体は、電荷発生材
料と電荷輸送材料とを同一の層に含む単層型感光体であ
り、図1(d)に示す電子写真感光体1は、導電性支持
体2上に下引き層3、単層型感光膜8が順次積層された
構造;図1(e)に示す電子写真感光体1は、導電性支
持体2上に下引き層3、単層型感光膜8、表面保護層7
が順次積層された構造、をそれぞれ有している。そし
て、電荷発生層4、および単層型感光膜8は上記本発明
のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を電荷発生材
料として含有するものである。ここで、本発明において
は、図1(a)〜(c)のような積層型感光体であると
より高い感光特性が得られるので好ましい。
【0032】導電性支持体2の材料としては、アルミニ
ウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼などの金属類;
アルミニウム、チタニウム、ニッケル、クロム、ステン
レス、金、バナジウム、酸化錫、酸化インジウム、IT
Oなどの薄膜を設けたプラスチックフィルム;導電性付
与剤を塗布または含浸させた紙およびプラスチックフィ
ルム、などが挙げられる。また、導電性支持体2の形状
としては特に制限はないが、ドラム状、シート状、プレ
ート状などの形状を有するものが好適に使用される。さ
らに、本発明においては、必要に応じて導電性支持体2
の表面に対して陽極酸化処理、液体ホーニングによる粗
面化処理、薬品処理、着色処理などを行うことができ
る。
【0033】本発明においては、図1(a)〜(e)に
示すように、導電性支持体2上に下引き層3を設けるこ
とが好ましい。導電性支持体2上に下引き層3を設ける
と、下記(i)〜(vi): (i)導電性支持体から感光膜への不必要なキャリアの
注入が防止されて画像品質が向上する; (ii)電子写真感光体の光減衰曲線の環境依存性(温
度、湿度など)が低減して安定した画像品質が得られ
る; (iii)適度な電荷輸送能により、長期にわたって繰り
返し使用する場合にも電荷が蓄積されず、感度変動の発
生が抑制される; (iv)帯電電圧に対する適度な耐圧性により、絶縁破壊
に起因する画像欠陥の発生が防止される; (v)接着層として、感光膜を支持体に一体的に保持す
ることができる; (vi)支持体の光反射が防止される、に示す効果が得ら
れる傾向にある。ここで、下引き層3としては、アルミ
ニウム陽極酸化被膜、酸化アルミニウム、水酸化アルミ
ニウムなどの無機層;ポリビニルアルコール、ポリエチ
レン、ポリアクリル酸、セルロース類、ポリウレタン、
ポリイミド、ポリアミドなどの有機層;ジルコニウムキ
レート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、チタ
ニルキレート化合物、チタニルアルコキシド化合物など
の有機金属化合物;シランカップリング剤、などを用い
ることができる。また、下引き層3の膜厚は好ましくは
0.01〜20μmであり、より好ましくは0.1〜1
0μmである。
【0034】このような構成を有する下引き層3は、サ
ンドミル、コロイドミル、アトライター、ダイノーミ
ル、ジェットミル、コボールミル、ロールミル、超音波
分散機、ゴーリンホモジナイザー、マイクロフルイダイ
ザー、アルティマイザー、マイルダーなどを用いて上記
の材料を所定の溶剤に分散して得られる塗工液を支持体
2上に塗布し、乾燥することによって得ることができ
る。下引き層の成膜に用いられる溶剤としては、具体的
には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n
−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソル
ブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケト
ン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、
ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライ
ド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエンなどが挙
げられ、これらのうちの1種を単独で使用してもよく、
2種以上の混合物として使用してもよい。また、上記の
塗工液を導電性支持体2上に塗布する方法としては、ブ
レードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、
スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビード
コーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテ
ンコーティング法などが挙げられる。
【0035】図1(a)〜(c)に示す積層型感光体に
おいて、電荷発生層4は電荷発生材料としての本発明の
ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料と結着樹脂とを
含有するものである。ここで、本発明において使用され
る結着樹脂としては、ポリカーボネート、ポリスチレ
ン、ポリスルホン、ポリエステル、ポリイミド、ポリエ
ステルカーボネート、ポリビニルブチラール、メタクリ
ル酸エステル重合体、酢酸ビニル単独重合体又は共重合
体、セルロースエステル、セルロースエーテル、ポリブ
タジエン、ポリウレタン、フェノキシ樹脂、エポキシ樹
脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、またはこれらの部分
架橋硬化物等が挙げられ、これらの結着樹脂のうちの1
種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いるこ
とができる。また、電荷発生層4における本発明のヒド
ロキシガリウムフタロシアニン顔料と結着樹脂との配合
比(重量比)は、好ましくは40:1〜1:4であり、
より好ましくは20:1〜1:2である。本発明のヒド
ロキシガリウムフタロシアニン顔料の配合量が結着樹脂
の配合量の40倍を超えると、電子写真感光体の製造工
程において使用される分散液中の顔料の分散性が不十分
となる傾向にあり、他方、結着樹脂の配合量の1/4未
満であると電子写真感光体の感度が不十分となる傾向に
ある。
【0036】また、電荷発生層4は、本発明のヒドロキ
シガリウムフタロシアニン顔料以外の電荷発生材料を含
有してもよい。ここで、本発明に使用される他の電荷発
生材料としては、金属含有または無金属のフタロシアニ
ン顔料を用いることが好ましく、中でも、本発明のヒド
ロキシガリウムフタロシアニン顔料以外のヒドロキシガ
リウムフタロシアニン顔料、クロロガリウムフタロシア
ニン顔料、ジクロロスズフタロシアニン顔料またはオキ
シチタニルフタロシアニン顔料を用いることが特に好ま
しい。また、これらの他の電荷発生材料の配合量は、電
荷発生層中に含まれる物質全量基準で50重量%以下で
あることが好ましい。
【0037】なお、電荷発生層4上に電荷輸送層5など
の他の層をさらに成膜する場合には、その塗工液に使用
される溶剤によって電荷発生層5が溶解あるいは膨潤す
ることのないように、電荷発生層4の結着樹脂と、電荷
発生層5の上に塗布される塗布液の溶剤と、の組み合わ
せが適宜選択される。また、電荷発生層4の結着樹脂と
後述する電荷輸送層5の結着樹脂とは、互いの屈折率同
士が近いものを組み合わせて使用することが好ましく、
具体的には、互いの屈折率の差が1以下であることが好
ましい。このように屈折率の近い結着樹脂を組み合わせ
て用いると、電荷発生層4と電荷発生層5との界面での
光の反射が抑制され、干渉縞防止効果が向上する傾向に
ある。
【0038】電荷発生層4は、本発明のヒドロキシガリ
ウムフタロシアニン顔料および結着樹脂を所定の溶剤に
加え、サンドミル、コロイドミル、アトライター、ダイ
ノーミル、ジェットミル、コボールミル、ロールミル、
超音波分散機、ゴーリンホモジナイザー、マイクロフル
イダイザー、アルティマイザー、マイルダーなどを用い
て混合、分散させることにより得られる塗工液を、ブレ
ードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ス
プレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコ
ーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテン
コーティング法などにより塗布し、乾燥することによっ
て得ることができる。ここで、電荷発生層4の塗工液に
用いる溶剤としては、具体的には、メタノール、エタノ
ール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、アセト
ン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチ
ル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラ
ン、メチレンクロライド、クロロホルム、トルエン、キ
シレン、クロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、ジメ
チルアセトアミド、水などが挙げられ、これらのうちの
1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用
いもよい。このようにして得られる電荷発生層4の膜厚
は、通常0.1〜5μmであり、好ましくは0.2〜2
μmである。
【0039】電荷輸送層5は電荷輸送材料を含むもので
あり、通常、電荷輸送材料は所定の結着樹脂中に分散さ
れている。ここで、電荷輸送層5に使用される電荷輸送
材料としては、N,N‘−ジフェニル−N,N‘−ビス
−(m−トリル)ベンジジン、4−ジエチルアミノベン
ズアルデヒド−2,2−ジフェニルヒドラゾン、p−
(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルア
ニリンなどが挙げられ、これらの電荷輸送材料は1種を
単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても
よい。また、電荷輸送層5に使用される結着樹脂として
は、上記電荷発生層4の説明において例示された結着樹
脂が挙げられる。さらに、このような構成を有する電荷
輸送層5は、上記電荷発生層4の成膜方法と同様にし
て、電荷輸送材料および結着樹脂を含む塗工液を塗布
し、乾燥することによって得ることができる。このよう
にして得られる電荷輸送層5の膜厚は、通常5〜50μ
mであり、好ましくは10〜40μmである。なお、使
用する電荷輸送材料が成膜性を有する場合には、結着樹
脂を用いなくてもよい。
【0040】他方、図1(d)および(e)に示す単層
型感光体において、単層型感光膜8は電荷発生材料とし
ての本発明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料と
電荷輸送材料との双方を含むものであり、通常、これら
の成分は所定の結着樹脂中に分散されている。ここで、
単層型感光膜8に使用される電荷輸送材料および結着樹
脂としては、それぞれ上記電荷輸送層5の説明において
例示された電荷発生材料、および上記電荷発生層4の説
明において例示された結着樹脂が挙げられる。また、こ
のような構成を有する単層型感光膜8は、上記電荷発生
層4の成膜方法と同様にして、本発明のヒドロキシガリ
ウムフタロシアニン顔料、電荷輸送材料および結着樹脂
を含む塗工液を塗布し、乾燥することによって得ること
ができる。このようにして得られる単層型感光膜8の膜
厚は、通常5〜50μmであり、好ましくは10〜40
μmである。
【0041】本発明の電子写真感光体においては、図1
(b)、(c)および(e)に示すように、その最表面
に表面保護層7を設けることが好ましい。このように表
面保護層を設けると感光体の耐久性が向上する傾向にあ
る。表面保護層7は導電性材料と結着樹脂とを含むもの
であり、必要に応じて無機微粒子などを配合することが
できる。ここで、表面保護層7に使用される導電性材料
としては、具体的には、ジメチルフェロセンなどのメタ
ロセン化合物;N,N’−ビス−(m−トリル)ベンジ
ンなどの芳香族アミノ化合物;酸化アンチモン、酸化ス
ズ、酸化チタン、酸化インジウム、酸化スズ−酸化アン
チモンなどの金属酸化物、などが挙げられる。また、表
面保護層7に使用される結着樹脂としては、上記の電荷
発生層4の説明において例示された結着樹脂、または従
来より公知の導電性ポリマーなどを用いることができ
る。および電荷輸送層5の説明において例示された電荷
輸送材料が挙げられる。さらに、表面保護層に使用され
る無機微粒子としては、シリコーン系無機微粒子、フッ
素系無機微粒子などが挙げられ、その平均粒子径は0.
005〜0.1μmであることが好ましい。さらに、こ
のような構成を有する表面保護層7は、上記電荷発生層
4の成膜方法と同様にして、結着樹脂および必要に応じ
て配合される電荷輸送材料、無機微粒子などを含む塗工
液を塗布し、乾燥することによって得ることができる。
このようにして得られる表面保護層7の膜厚は、通常
0.5〜10μmであり、好ましくは0.7〜8μmで
ある。また、表面保護層7の電気抵抗(体積抵抗率)は
好ましくは109〜1014Ω・cmである。
【0042】このような構成を有する本発明の電子写真
感光体は、電子写真画像形成プロセスにおける細線の太
りや細り、かぶりなどの現象を生じることなく長期にわ
たって十分に高い画質を得ることを可能とするものであ
り、レーザー・プリンター、LEDプリンター、CRT
プリンター、フルカラープリンターなどの各種プリンタ
ーや、複写機、ファクシミリ(FAX)、デジタル複合
機、フルカラー複写機などのデジタル式電子写真装置、
などの電子写真画像形成装置に好適に使用される。
【0043】図2は本発明の電子写真画像形成装置の好
適な一実施形態を示す概略構成図である。図2において
は、本発明の電子写真感光体1が支持体9によって保持
されており、電子写真感光体1は支持体9を中心として
矢印の方向に所定の回転速度で回転駆動される。この回
転過程において、電源(図示せず)から電圧の供給を受
けた帯電部材10により、電子写真感光体1はその周面
に正または負の所定電位の均一帯電を受ける。次に、露
光手段(画像入力手段)11にて電子写真感光体1が光
像露光を受け、電子写真感光体1の周面に露光像に対応
した静電潜像が形成される。その後、現像手段12にて
前記静電潜像にトナーを付着させてトナー像が形成さ
れ、転写手段13にて前記トナー像が転写材Pに転写さ
れる。トナー像が転写された後の転写材Pは像定着手段
14にて像定着を受けて複写物としてプリントアウトさ
れる。転写工程後の感光体1はクリーニング手段15に
てその周面に残存したトナーの除去を受けて清浄面化さ
れて繰り返して像形成に使用される。
【0044】本発明にかかる帯電手段としては、例えば
導電性又は半導電性のローラー、ブラシ、フィルム、ゴ
ムブレード等を用いた接触型帯電器、コロナ放電を利用
したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器など;露光
手段としては、前記電子写真感光体表面に、半導体レー
ザー、LED(light emitting dio
de)、液晶シャッターなどの光源を所望の像様に露光
できる光学系装置など;。
【0045】現像装置としては、一成分系、ニ成分系な
どの正規または反転現像剤を用いた従来より公知の現像
装置など;転写装置としては、ベルト、ローラー、フィ
ルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロ
ナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン
転写帯電器など、が挙げられる。
【0046】また、図2には示していないが、本発明の
電子写真画像形成装置は中間転写手段を備えるものであ
ってもよい。本発明にかかる中間転写手段としては、導
電性支持体上にゴム、エラストマー、樹脂などを含む弾
性層と少なくとも1層の被服層とが積層された構造を有
するものを使用することができ、その材料としては使用
される材料は、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹
脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ
ブタジエン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル
系樹脂、ポリエチレン系樹脂、フッ素樹脂等の樹脂に対
して、導電性のカーボン粒子や金属粉等を分散混合させ
たもの等があげられる。また、前記中間転写手段の形状
としては、ローラー状、ベルト状などが挙げられる。
【0047】
【実施例】以下、実施例および比較例に基づいて本発明
をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何
ら限定されるものではない。
【0048】参考例1 (I型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の製造) 1,3−ジイミノイソインドリン30重量部および三塩
化ガリウム9.1重量部をジメチルスルホキシド230
重量部に加え、160℃で6時間攪拌しながら反応させ
て赤紫色結晶を得た。得られた結晶をジメチルスルホキ
シドで洗浄した後、イオン交換水で洗浄し、乾燥してI
型クロロガリウムフタロシアニンの粗結晶28重量部を
得た。
【0049】次に、得られたI型クロロガリウムフタロ
シアニンの粗結晶10重量部を60℃に加熱した硫酸
(濃度97%)300部に十分に溶解したものを、25
%アンモニア水600重量部とイオン交換水200重量
部との混合溶液中に滴下した。析出した結晶を濾過によ
り採取し、さらにN,N−ジメチルホルムアミド及びイ
オン交換水で洗浄し、乾燥してI型ヒドロキシガリウム
フタロシアニン顔料8重量部を得た。
【0050】このようにして得られたI型ヒドロキシガ
リウムフタロシアニン顔料について、X線回折スペクト
ルおよび赤外線吸収スペクトルの測定を行った。その結
果をそれぞれ図3および図4に示す。
【0051】なお、本実施例におけるX線回折スペクト
ルの測定は、粉末法によりCuKα特性X線を用いて、以
下の条件で行った。
【0052】使用測定器:理学電機社製X線回折装置M
iniflex X線管球:Cu 管電流:15mA スキャン速度:5.0deg./min サンプリング間隔:0.02deg. スタート角度(2θ):5deg. ストップ角度(2θ):35deg. ステップ角度(2θ):0.02deg. また、赤外線吸収スペクトルの測定は、KBr法により
堀場製作所社製フーリエ変換赤外分光光度計FT−73
0を用いて行った。
【0053】(V型ヒドロキシガリウムフタロシアニン
顔料の製造)上記の工程で得られたI型ヒドロキシガリ
ウムフタロシアニン顔料5重量部を、N,N−ジメチルホ
ルムアミド80重量部とともに30℃で24時間撹拌し
た(溶剤処理)。次いで、得られた結晶をイオン交換水
を用いて洗浄し、乾燥してV型ヒドロキシガリウムフタ
ロシアニン顔料4.5重量部を得た。得られたV型ヒロ
キシガリウムフタロシアニン顔料のX線回折スペクトル
を図5、赤外線吸収スペクトルを図6、にそれぞれ示
す。また、図5に示すX線回折スペクトルの7.5°の
回折ピークにおける半値幅、並びに図6に示す赤外線吸
収スペクトルの吸光度比Abs631/Abs572を表1に
示す。
【0054】実施例1−1 参考例1で得られたV型ヒドロキシガリウムフタロシア
ニン顔料5重量部および5mmφジルコニア製ビーズ5
0重量部を封入したアルミナ製ポットを小型振動ミル
(MB−0型、中央化工機社製)に装着し、20分間の
乾式粉砕を行った。得られたヒドロキシガリウムフタロ
シアニン顔料のX線回折スペクトルを図7、赤外線吸収
スペクトルを図8、にそれぞれ示す。また、図7に示す
X線回折スペクトルの7.5°のピークにおける半値
幅、並びに図8に示す赤外線吸収スペクトルの吸光度比
Abs631/Abs572を表1に示す。
【0055】実施例1−2〜1−5 実施例1−2〜1−5においては、それぞれ実施例1−
1と同様にしてヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料
を製造した。これらのヒドロキシガリウムフタロシアニ
ン顔料のX線回折スペクトルはいずれも、ブラッグ角度
(2θ±0.2゜)7.5゜、9.9゜、12.5゜、
16.3゜、18.6゜、25.1゜、28.3゜に回
折ピークを有するものであった。得られたヒドロキシガ
リウムフタロシアニン顔料の7.5°のピークにおける
半値幅、並びに赤外線吸収スペクトルの吸光度比Abs
631/Abs572をそれぞれ表1に示す。
【0056】実施例2〜5 実施例2〜5においては、実施例1−1における乾式粉
砕時間をそれぞれ5分、40分、60分、120分とし
たこと以外は実施例1−1と同様にしてヒドロキシガリ
ウムフタロシアニン顔料を製造し、そのX線回折スペク
トルおよび赤外線吸収スペクトルを測定した。これらの
ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料のX線回折スペ
クトルはいずれも、ブラッグ角度(2θ±0.2゜)
7.5゜、9.9゜、12.5゜、16.3゜、18.
6゜、25.1゜、28.3゜に回折ピークを有するも
のであった。各実施例において得られたヒドロキシガリ
ウムフタロシアニン顔料のX線回折スペクトルにおける
7.5°のピークの半値幅、並びに赤外線吸収スペクト
ルにおける吸光度比Abs631/Abs572を表1に示
す。
【0057】実施例6 参考例1で得られたV型ヒドロキシガリウムフタロシア
ニン顔料5重量部と電導度0.1μS/cmのイオン交
換水50部とを混合してスラリー液を調製し、超微粒子
化乳化分散装置アルティマイザー((株)スギノマシン
社製)を用いて圧力1500kg/cm2、吐出量35
0ml/minで20分間湿式粉砕処理を行った。その
後、遠心分離によりスラリー液から水を除去し、真空乾
燥を行って目的のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔
料を製造し、そのX線回折スペクトルおよび赤外線吸収
スペクトルを測定した。得られたヒドロキシガリウムフ
タロシアニン顔料は、ブラッグ角度(2θ±0.2゜)
7.5゜、9.9゜、12.5゜、16.3゜、18.
6゜、25.1゜、28.3゜に回折ピークを有するも
のであった。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニ
ン顔料のX線回折スペクトルにおける7.5°のピーク
の半値幅、および赤外線吸収スペクトルにおける吸光度
比Abs631/Abs572を表1に示す。
【0058】実施例7〜8 実施例7〜8においては、アルティマイザーの粉砕処理
時間をそれぞれ5分間、60分間としたこと以外は実施
例6と同様にしてヒドロキシガリウムフタロシアニン顔
料を製造し、そのX線回折スペクトルおよび赤外線吸収
スペクトルを測定した。得られたヒドロキシガリウムフ
タロシアニン顔料はいずれも、ブラッグ角度(2θ±
0.2゜)7.5゜、9.9゜、12.5゜、16.3
゜、18.6゜、25.1゜、28.3゜に回折ピーク
を有するものであった。各実施例において得られたヒド
ロキシガリウムフタロシアニン顔料のX線回折スペクト
ルにおける7.5°のピークの半値幅、および赤外線吸
収スペクトルにおける吸光度比Abs631/Abs572
表1に示す。
【0059】比較例1〜5 比較例1〜5においては、それぞれ参考例1と同様にし
てV型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を製造
し、そのX線回折スペクトルおよび赤外線吸収スペクト
ルを測定した。得られたヒドロキシガリウムフタロシア
ニン顔料はいずれも、ブラッグ角度(2θ±0.2゜)
7.5゜、9.9゜、12.5゜、16.3゜、18.
6゜、25.1゜、28.3゜に回折ピークを有するも
のであった。各比較例において得られたヒドロキシガリ
ウムフタロシアニン顔料のX線回折スペクトルにおける
7.5°のピークの半値幅、および赤外線吸収スペクト
ルにおける吸光度比Abs631/Abs572を表1に示
す。
【0060】比較例6 比較例6においては、乾式粉砕時間を100時間とした
こと以外は実施例1−1と同様にしてヒドロキシガリウ
ムフタロシアニン顔料を製造し、そのX線回折スペクト
ルおよび赤外線吸収スペクトルを測定した。得られたヒ
ドロキシガリウムフタロシアニン顔料のX線回折スペク
トルを図9、赤外線吸収スペクトルを図10、にそれぞ
れ示す。また、図9に示すX線回折スペクトルにおける
7.5°のピークの半値幅、および図10に示す赤外線
吸収スペクトルにおける吸光度比Abs631/Abs572
を表1に示す。得られた顔料の粉末X線回折スペクトル
は、各ピークがブロード化してアモルファスに近い状態
を示し、ブラッグ角度7.5°のピークが消失してお
り、結晶構造がV型からI型へと変わっていることが示
唆された。
【0061】比較例7〜10 比較例7〜10においては、α型チタニルフタロシアニ
ン顔料及びβ型チタニルフタロシアニン顔料の重量比を
それぞれ90:10、70:30、50:50、30:
70として混合し、α型チタニルフタロシアニン顔料と
β型チタニルフタロシアニン顔料の混合顔料を製造し
た。
【0062】実施例A−1 ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−1、積水
化学工業社製)8重量部をn−ブチルアルコール152
重量部に溶解させた溶液に、トリブトキシジルコニウム
アセチルアセトネートの50%トルエン溶液(商品名:
ZC−540、松本交商社製)100重量部、γ−アミ
ノプロピルトリエトキシシラン(商品名:A1100、
日本ユニカー社製)10重量部およびn−ブチルアルコ
ール130重量部を混合した溶液を加えて攪拌し、下引
き層用の塗布液を作製した。この塗布液を50μm厚の
アルミニウムシート上に浸漬塗布し、150℃で10分
間加熱乾燥し、膜厚1.0μmの下引き層を作製した。
【0063】次に、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂
(VMCH、日本ユニカー社製)1重量部を酢酸n−ブ
チル100重量部に溶解させた溶液と実施例1−1で得
られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料1重量部
とを混合し、ガラスビーズとともに、3時間サンドミル
で分散して、電荷発生層形成用塗布液を調製した。得ら
れた塗布液を上記の下引き層上に浸漬塗布し、100℃
で10分間加熱乾燥して膜厚0.20μmの電荷発生層
を作製した。
【0064】さらに、電荷輸送材料としてのN,N−ビ
ス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミ
ン5重量部をポリカーボネートZ樹脂5重量部とともに
モノクロロベンゼン40部に溶解させ、得られた溶液を
浸漬塗布装置によって、上記の電荷発生層上に塗布し、
120℃で40分間加熱乾燥して、膜厚20μmの電荷
輸送層を作製し、目的の電子写真感光体シートを作製し
た。
【0065】また、84mmφ×347mmのアルミニ
ウムパイプを湿式ホーニング処理して、中心線平均粗さ
Raが0.18μmとなるように粗面化したものを導電
性支持体として用いたこと以外は上記の手順と同様にし
て、下引き層、 電荷発生層、電荷輸送層を順次作製
し、目的の電子写真感光体ドラムを作製した。
【0066】実施例A−2〜A−5 実施例A−2〜A−5においては、実施例1−1のヒド
ロキシガリウムフタロシアニン顔料の代わりにそれぞれ
実施例1−2〜1−5のヒドロキシガリウムフタロシア
ニン顔料を用いたこと以外は実施例A−1と同様にし
て、電子写真感光体シート及び電子写真感光体ドラムを
作製した。
【0067】実施例B〜H 実施例B〜Hにおいては、実施例1−1のヒドロキシガ
リウムフタロシアニン顔料の代わりに、実施例2〜8の
ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を使用したこと
以外は実施例A−1と同様にして、電子写真感光体シー
トおよび電子写真感光体ドラムを作製した。
【0068】比較例A〜G 比較例A〜Gにおいては、実施例1−1のヒドロキシガ
リウムフタロシアニン顔料の代わりに、それぞれ参考例
1及び比較例1〜6のヒドロキシガリウムフタロシアニ
ン顔料を使用したこと以外は実施例A−1と同様にし
て、電子写真感光体シートおよび電子写真感光体ドラム
を作製した。
【0069】比較例H〜K 比較例H〜Kにおいては、実施例1−1のヒドロキシガ
リウムフタロシアニン顔料の代わりに、それぞれ比較例
7〜10のα型チタニルフタロシアニン顔料とβ型チタ
ニルフタロシアニンフタロシアニン顔料との混合顔料を
使用したこと以外は実施例A−1と同様にして、電子写
真感光体シートおよび電子写真感光体ドラムを作製し
た。
【0070】(残留電位の測定)このようにして得られ
た実施例A−1〜A−5、B〜Hおよび比較例A〜Kの
電子写真感光体シートの電子写真特性を評価するため
に、以下の手順で残留電位の測定を行った。
【0071】感光体に20mmφの小面積マスクを使用
し、20℃、50%RHの環境下において、静電複写紙
試験装置(EPA8200:川口電機社製)を用いて−
5.0kVのコロナ放電により感光体を負帯電させた
後、干渉フィルターを用いて780nmに分光したハロ
ゲンランプ光を感光体表面上において5.0μW/cm
2となるように調整して照射した。そのときの初期表面
電位V0[V]、表面電位がV0の1/2になるまでの半
減露光量E1/2[μJ/cm2]および露光開始から10
秒後の残留電位VR[V]を測定した。これらの結果を
表1に示す。
【0072】
【表1】 (画質評価試験)また、実施例A−1〜A−5、B〜H
および比較例A〜Kの各電子写真感光体ドラムを、図2
に示す構成を有するフルカラー・レーザープリンター
(DocuPrint C411、富士ゼロックス社
製)に装着して画質評価を行った。その結果を表2に示
す。なお、上記のフルカラー・レーザープリンターにお
いては、帯電装置としてローラー帯電器(BCR)、露
光装置として780nmの半導体レーザーを使用したR
OS、現像方式として2成分系反転現像方式、転写装置
としてローラー帯電器(BTR)、転写装置としてベル
ト中間転写方式を採用した。また、上記の画質評価試験
においては、電子写真感光体ドラムの感度がそれぞれ異
なっているため、ROSの光量を調整して画像濃度が一
定になるようにした。
【0073】(電荷発生材料の分散性評価)さらに、実
施例A−1〜A−5、B〜Hおよび比較例A〜Kで用い
た各電荷発生材料(実施例1−1〜1−5、2〜8、参
考例1、比較例1〜10)の分散性の評価を行うため
に、ガラスプレート上に電荷発生層を形成し、顕微鏡を
用いてその分散状態を観察した。その結果を表2に示
す。なお、表2中、「良好」とは電荷発生層中に凝集体
が見られなかったことを意味し、「不良」とは凝集体が
観察されたり塗膜表面がざらついていたことを意味す
る。
【0074】
【表2】 表1〜2に示すように、CuKα特性X線を用いたX線
回折スペクトルにおいてブラッグ角度(2θ±0.2
゜)7.5゜、9.9゜、12.5゜、16.3゜、1
8.6゜、25.1゜、28.3゜に回折ピークを有す
るヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を粉砕処理し
て、その7.5゜の回折ピークの半値幅を0.35〜
1.2゜とすることによって、広範囲にわたってヒドロ
キシガリウムフタロシアニン顔料の感度を精度よく調整
できることが確認された。
【0075】また、このようにして得られた実施例1−
1〜1−5、2〜8のヒドロキシガリウムフタロシアニ
ン顔料はいずれも電荷発生層における分散性に優れてお
り、これらを用いて得られた実施例A−1〜A−5、B
〜Hの電子写真感光体を備える電子写真画像形成装置に
おいては、細線の太りや細り、かぶりなどの現象を生じ
ることなく良好な画質が得られることが確認された。
【0076】これに対して、従来の製造方法によって得
られた参考例1、比較例1〜5のヒドロキシガリウムフ
タロシアニン顔料は、同一条件で製造した場合であって
も感度にばらつきが生じやすかった。そして、これらの
顔料を用いた比較例A〜Fの電子写真感光体においては
電荷発生層における電荷発生材料の分散性が不十分とな
りやすく、その結果、電子写真画像形成装置においてか
ぶりが生じやすかった。
【0077】また、CuKα特性X線を用いたX線回折
スペクトルにおいてブラッグ角度(2θ±0.2゜)
7.5゜、9.9゜、12.5゜、16.3゜、18.
6゜、25.1゜、28.3゜に回折ピークを有するヒ
ドロキシガリウムフタロシアニン顔料を過剰に粉砕処理
して7.5゜の回折ピークを消失させた比較例6のヒド
ロキシガリウムフタロシアニン顔料では、結着樹脂中へ
の十分な分散性が得られなかった。そして、この顔料を
用いた電子写真感光体を備える電子写真画像形成装置に
おいては、濃度不足が生じて良好な画像が得られなかっ
た。
【0078】さらに、結晶構造の異なるチタニルフタロ
シアニン顔料を混合した場合は、比較例7〜10のよう
に混合比によって感度のばらつきが生じやすく、分散性
も不十分となりやすかった。そして、これらの顔料を用
いた電子写真感光体を備える電子写真画像形成装置にお
いては、かぶりや濃度不足などの現象がして良好な画像
が得られにくかった。
【0079】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、電
子写真感光体の感度を十分に広い範囲で精度よく調整す
ることが可能であり、且つ結着樹脂中への分散性に優れ
るヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料、およびそれ
らの特性が製造ロット間でばらつくことなく簡便に且つ
安価に製造することを可能とするヒドロキシガリウムフ
タロシアニン顔料の製造方法が提供される。また、本発
明のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を用いるこ
とによって、電子写真画像形成プロセスの要求感度に適
合した感度を有し、且つ繰り返し使用時、高湿あるいは
低湿条件下での使用時などにおいて光電特性の変動が十
分に防止された電子写真感光体を得ることが可能とな
り、さらには、このような特性を有する本発明の電子写
真感光体を備える本発明の電子写真画像形成装置におい
て、細線の太りや細り、かぶりといった現象を生じるこ
となく長期にわたって十分に高い画質を得ることが可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(e)はそれぞれ本発明の電子写真感
光体の好適な一実施形態を示す模式断面図である。
【図2】本発明の電子写真画像形成装置の好適な一実施
形態を示す概略構成図である。
【図3】参考例1で得られたI型ヒドロキシガリウムフ
タロシアニン顔料のX線回折スペクトルを示すグラフで
ある。
【図4】参考例1で得られたI型ヒドロキシガリウムフ
タロシアニン顔料の赤外線吸収スペクトルを示すグラフ
である。
【図5】参考例1で得られたV型ヒドロキシガリウムフ
タロシアニン顔料のX線回折スペクトルを示すグラフで
ある。
【図6】参考例1で得られたV型ヒドロキシガリウムフ
タロシアニン顔料の赤外線吸収スペクトルを示すグラフ
である。
【図7】実施例1−1で得られた本発明のヒドロキシガ
リウムフタロシアニン顔料のX線回折スペクトルを示す
グラフである。
【図8】実施例1−1で得られた本発明のヒドロキシガ
リウムフタロシアニン顔料の赤外線吸収スペクトルを示
すグラフである。
【図9】比較例6で得られたヒドロキシガリウムフタロ
シアニン顔料のX線回折スペクトルを示すグラフであ
る。
【図10】比較例6で得られたヒドロキシガリウムフタ
ロシアニン顔料の赤外線吸収スペクトルを示すグラフで
ある。
【符号の説明】
1…電子写真感光体、2…導電性支持体、3…下引き
層、4…電荷発生層、5…電荷輸送層、6…積層型感光
膜、7…表面保護層、8…単層型感光膜、9…支持体、
10…帯電部材、11…露光手段(画像入力手段)、1
2…現像手段、13…転写手段、14…像定着手段、1
5…クリーニング手段。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 CuKα特性X線を用いたX線回折スペ
    クトルにおいてブラッグ角度(2θ±0.2゜)7.5
    ゜、9.9゜、12.5゜、16.3゜、18.6゜、
    25.1゜、28.3゜に回折ピークを有し且つ7.5
    ゜の回折ピークの半値幅が0.35〜1.2゜であるこ
    とを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニン顔
    料。
  2. 【請求項2】 赤外線吸収スペクトルにおいて波数63
    1±3cm-1における吸光度の最大値(Abs631)と
    波数572±3cm-1における吸光度の最大値(Abs
    572 )との比(Abs631/Abs572)が0.85〜
    1.20であることを特徴とする、請求項1に記載のヒ
    ドロキシガリウムフタロシアニン顔料。
  3. 【請求項3】 CuKα特性X線を用いたX線回折スペ
    クトルにおいてブラッグ角度(2θ±0.2゜)7.5
    ゜、9.9゜、12.5゜、16.3゜、18.6゜、
    25.1゜、28.3゜に回折ピークを有するヒドロキ
    シガリウムフタロシアニン顔料を、7.5゜の回折ピー
    クの半値幅が0.35〜1.2゜となるように粉砕処理
    することを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニ
    ン顔料の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記粉砕処理が水を用いた湿式粉砕処理
    であることを特徴とする、請求項3に記載のヒドロキシ
    ガリウムフタロシアニン顔料の製造方法。
  5. 【請求項5】 導電性支持体と、該支持体上に配置され
    た感光膜と、を備える電子写真感光体であって、 前記感光膜が請求項1または2に記載のヒドロキシガリ
    ウムフタロシアニン顔料を含有することを特徴とする電
    子写真感光体。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の電子写真感光体と、 前記電子写真感光体を帯電させるための帯電手段と、 前記電子写真感光体上に静電潜像を形成するための露光
    手段と、 前記静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する
    ための現像手段と、 前記トナー像を転写材に転写するための転写手段と、 前記転写材にトナー像を定着させるための像定着手段
    と、 前記電子写真感光体上に残存したトナーを除去するため
    のクリーニング手段と、を備えることを特徴とする電子
    写真画像形成装置。
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