JP2002020678A - 改善された透明性を有する水性被覆剤組成物 - Google Patents

改善された透明性を有する水性被覆剤組成物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明酸化鉄顔料表面に対するより大きな親和
性を有し、およびより効果的な顔料の安定化を提供し、
ならびに究極的にはそれから形成される被膜の透明性を
改善する水性被覆剤組成物中での使用のための新規顔料
分散物の提供。 【解決手段】 (a)水性分散媒と;(b)少なくとも
1つの酸基含有アクリル共重合体分散剤(i)と、少な
くとも1つのホスフェート基含有アクリル共重合体分散
剤(ii)と、必要に応じて少なくとも1つのアルキルア
ミノ基含有アクリル共重合体分散剤(iii)とから実質
的に構成されるアクリル共重合体分散剤の混合物と;
(c)前記混合物(b)によって安定化される透明酸化
鉄顔料粒子と;(d)皮膜形成性ポリマー結合剤と;
(e)該結合剤用の架橋剤とを含むことを特徴とする水
性被覆剤組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は水性被覆剤組成物に
関し、およびより詳細には改善された透明性および減少
した曇り度を有するアクリル共重合体顔料分散剤の相乗
作用混合物を用いて形成される透明酸化鉄顔料分散物を
含有する水性被覆剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車および貨物自動車の外側仕上げ剤
として特に用いられる、高い透明性、魅力的かつ美しい
品質を提供する被覆剤組成物中における透明酸化鉄顔料
の使用は、よく知られている。仕上げに対して高い金属
光沢を付与するために必要であるためにアルミニウム片
のような金属片顔料を含有する自動車用被覆剤におい
て、高い被膜透明性は特に重要である。高い透明性を有
する被膜を得るために、被覆剤組成物中に顔料粒子を完
全に解膠させ、かつ均一に分散させなければならない。
一般的に共重合体分散剤を用いて安定化される顔料分散
剤を用いて、被覆剤組成物中の透明酸化鉄顔料を分散さ
せ、および分散された状態に維持する。そのような顔料
分散物を形成するために用いられる共重合体分散剤は当
該技術においてよく知られており、および典型的には、
顔料表面に吸引される顔料吸着セグメントと周囲の溶剤
媒質中へと伸びて凝集に対する顔料粒子のエントロピー
的探偵かまたは立体的安定化を与え、かつ該顔料を分散
させたままにする安定化セグメントとを有する、ランダ
ム、ブロックおよびグラフト共重合体を含む。
【0003】溶剤をベースとする被覆剤組成物に対する
透明酸化鉄顔料の添加は比較的問題が少ない。しかし、
水性組成物においては、透明酸化鉄顔料の安定化は困難
な課題である。典型的な水性被覆剤組成物においては、
ラテックス、他の顔料、電解質などのような他の微粒子
材料が酸化鉄表面を競争し、および該顔料表面から分散
性ポリマーを排除する傾向を有する。その傾向は顔料が
凝集することまたは一緒になってクラスター化すること
をもたらし、および最終被膜における高い透明性および
低い曇り度を得るのに必要な顔料の安定性を危うくす
る。
【0004】したがって、水性系における透明酸化鉄の
安定化は、少なくとも部分的には、顔料表面に対して分
散性ポリマーを有利に結合させておく能力に依存する。
水性被覆剤組成物中の透明酸化鉄顔料を安定化させるの
に用いられる現存するポリマー分散性樹脂は、この基準
を充分に満たさない。たとえば、参照により本明細書の
一部をなすものとする1993年7月23日にChuに対
して発行された米国特許第5,231,131号におい
て教示されるような、顔料表面との相互作用を増大させ
るための酸基を含有する疎水性吸着セグメントと水溶性
のための親水性安定化セグメントとを有するアクリル共
重合体を含むそのような樹脂は、非常に良好な貯蔵寿命
を有する安定な水性透明酸化鉄顔料の分散物を製造す
る。しかし該分散物が水性被覆剤組成物に添加されると
きには、それらは前述の競争効果による顔料の凝集およ
び相分離を起こす傾向があり、それら水性被覆剤組成物
は劣悪な塗料安定性、高い曇り度、高い粘度、および究
極的には透明性および色の濃さが減少した被膜をもたら
す。
【0005】たとえば、双方共に参照により本明細書の
一部をなすものとする1996年3月26日にAntonell
i他に対して発行された米国特許第5,502,113
号および1996年6月25日にAntonelli他に対して
発行された米国特許第5,530,070号において教
示されているように、リン酸化されたアクリル共重合体
分散剤もまた当該技術において知られており、およびそ
れらは、金属片(たとえばアルミニウム片)顔料を含有
する水性顔料分散物および被覆剤組成物を形成するのに
用いられてきている。これらの分散剤は、水性系におい
て金属片顔料を安定化するのに効果的ではあるが、単独
で用いられたときには、透明酸化鉄顔料を安定化するの
に充分ではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって、透明酸化
鉄顔料を含有する水性被覆剤組成物の性能を改善するこ
と、および詳細には透明酸化鉄顔料表面に対するより大
きな親和性を有し、およびより効果的な顔料の安定化を
提供し、ならびに究極的にはそれから形成される被膜の
透明性を改善しかつ溶剤を有する系の性能に接近する分
散性樹脂を含有する該水性被覆剤組成物中での使用のた
めの新規顔料分散物を見いだすことに対する要求が存在
する。
【0007】本発明は、伝統的な透明酸化鉄用分散剤と
組み合わせられる補助的分散剤としてのリン酸化された
アクリル共重合体分散剤を用いて、透明酸化鉄顔料を含
有する水性被覆剤組成物の透明性を改善するための方法
を教示する。また、本発明は、アルキルアミノ基を有す
る共重合体分散剤のために固定部位を提供する固定ポリ
マーとして補助的リン酸化分散剤を用いて、顔料表面に
対するポリマー分散剤のより強力な吸着およびより被膜
の高い透明性の発生点を提供する方法を教示する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、 (a)水性分散媒と; (b)親水性安定化セグメントと疎水性顔料吸着セグメ
ント中の酸基とを有する少なくとも1つのアクリル共重
合体分散剤(i)と、親水性安定化セグメントと疎水性
顔料吸着セグメント中のホスフェート基とを有する少な
くとも1つのアクリル共重合体分散剤(ii)と、必要に
応じて、親水性安定化セグメントと疎水性顔料吸着セグ
メント中のアルキルアミノ基とを有する少なくとも1つ
のアクリル共重合体分散剤(iii)とから実質的に構成
されるアクリル共重合体分散剤の相乗作用混合物と; (c)前記混合物(b)によって安定化される透明酸化
鉄顔料粒子と (d)皮膜形成性ポリマー結合剤と; (e)該結合剤用の架橋剤と を含有する改善された水性被覆剤組成物に関する。ここ
で、該顔料と該分散剤とは、約0.1/1から1/1の
分散剤(i)対顔料の重量比(D/P)、約0.05/
1から0.33/1の分散剤(ii)対顔料の重量比
(D/P)、および存在する場合には、約0.05/1
から0.2/1の分散剤(iii)対顔料の重量比(D/
P)において存在する。
【0009】前述のアクリル共重合体分散剤を有する顔
料分散物および該分散物を形成するための方法もまた、
本発明の一部である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の新規被覆剤組成物は、皮
膜形成性ポリマー結合剤と、架橋剤と、明記された共重
合体分散剤の混合物とを含む10〜70質量%の皮膜形
成性ポリマー成分、および対応する量の70〜90質量
%の水性ビヒクル(主として水である)を含有する水性
ベースの組成物である。該組成物は、透明酸化鉄顔料を
も含有する。該顔料は、水性顔料分散物の形態において
被覆剤組成物中に導入される。該被覆剤組成物は、明記
された量の分散剤の明記された混合物を用いて、長期間
にわたり、および本明細書中で最も注目に値する被覆剤
組成物中に添加された後に、該分散物中の顔料を安定化
し、かつ解膠させたままに維持する。結果として、新規
被覆剤組成物は、安定かつ非凝集すなわち非塊状化状態
であり、および優れた透明性を有する。
【0011】いかなる具体的な理論とも結びつけられな
いが、組成物中に用いられるリン酸化されたアクリル共
重合体分散剤は、酸化鉄の表面に対してより大きな親和
性を有すると考えている。そして、伝統的な透明酸化鉄
の分散剤と共に補助分散剤として用いられる際に、それ
は、リン酸化された分散剤に通常関連する負の副次的効
果(分散物の粘度の望まれない増大のようなもの)を伴
うことなしに、水性被覆剤中の透明酸化鉄顔料の総体的
な分散物安定性を改善する。酸化鉄表面に対するそのよ
り強い吸着に基づいて、リン酸化されたアクリル共重合
体はアルキルアミノ基を有する追加の共重合体分散剤の
ための固定部位をも提供し、該アルキルアミノ基は固定
リン酸化ポリマー上の官能基と結合する。この相乗作用
は、顔料表面に対するポリマー分散剤のより強力な吸着
の発生点を与え、それは水性被覆剤のさらなる安定化を
もたらす。
【0012】本発明の別の利点は、該組成物中に用いら
れる共重合体分散剤は、一般的に互いに、および同様に
水性被覆剤組成物中に慣用的に用いられるポリマー皮膜
形成性結合剤に対して適合性であり、および特に水性被
覆剤中に用いられるアクリルポリマーと適合性であるこ
とである。被覆剤組成物の硬化時に、共重合体分散剤は
好ましくは、被覆剤組成物の他の皮膜形成性成分と反応
し、および被膜の一部となるヒドロキシル基のような官
能基を含有し、および該官能基が被膜中の未反応成分で
あった場合に発生する可能性がある屋外暴露時の被膜の
劣化を起こさない。また、分散剤の組合せは、カラース
タイリングにおけるより良好な美観に加えて、水性塗料
対溶剤性塗料の良好な整合性をも可能にする。
【0013】本発明の被覆剤組成物は、皮膜形成性結合
剤(典型的にはアクリルポリマー)と、保護されたポリ
イソシアネートまたはアルキル化されたメラミンのよう
な硬化剤とを含有する。これらの材料は、自動車用仕上
げ剤として所望される優れた被膜特性を提供する。本明
細書中で明記された分散剤の組合せを用いる透明酸化鉄
顔料分散物を含有する、自動車および貨物自動車におい
て現在用いられている慣用のベースコート/クリアコー
ト仕上げの水性ベースコートは、透明酸化鉄の慣用の共
重合体分散剤を用いるベースコートに比べて、著しく改
善された透明性および著しく少ない曇り度を有する。
【0014】より具体的には、本発明における使用のた
めに選択される分散剤混合物は、i)疎水性吸着部分中
に酸基を有する少なくとも1つのアクリル共重合体分散
剤と、ii)疎水性吸着部分中にホスフェート基を有す
る少なくとも1つのアクリル共重合体分散剤と、必要に
応じてiii)疎水性部分中に好ましくはアリール基と共
にアルキルアミノ基を含有する少なくとも1つの付随的
アクリル共重合体分散剤とから本質的に構成される。
【0015】本発明において用いられるアクリル共重合
体分散剤は、事実上、水分散性である。したがって、そ
れら各々は、顔料表面と相互作用する少なくとも1つの
疎水性顔料吸着セグメントと、水性分散媒中に可溶性の
少なくとも1つの親水性安定化セグメントとを含む。い
かなる特定の理論とも結びつけられないが、該吸着セグ
メントは、部分的には、顔料表面に共重合体分散剤を付
着させるために機能し、一方、安定化セグメントは、部
分的には、凝集に対する顔料粒子の立体的安定化を与
え、および顔料を水性媒体中に分散させたまま維持する
ために機能すると考えている。
【0016】アクリル共重合体のそれぞれの中の吸着セ
グメントおよび安定化セグメントの位置は、該アクリル
共重合体分散剤の構造に依存して変化してもよい。本発
明のアクリル共重合体分散剤は、ランダム共重合体、ブ
ロック共重合体、またはグラフト共重合体であってもよ
い。本発明に用いられるブロック共重合体は、たとえ
ば、AB、ABAまたはABC構造を有してもよい。
A、BまたはCの少なくとも1つのブロックは、吸着セ
グメントでなければならない。A、BまたはCの少なく
とも1つのブロックは、安定化セグメントでなければな
らない。また、本発明で用いられるブロック共重合体
は、追加の第3のセグメントを含んでもよい。本発明で
用いられるグラフト共重合体は、主鎖セグメントと、該
主鎖上にグラフトされる少なくとも1つの側鎖セグメン
ト(好ましくはマクロモノマーである)を有する。主鎖
セグメントまたは側鎖セグメントのいずれかは、吸着セ
グメントでなければならない。主鎖セグメントまたは側
鎖セグメントのいずれかは、安定化セグメントでなけれ
ばならない。好ましくは、主鎖セグメントが吸着セグメ
ントであり、および側鎖セグメントが安定化セグメント
である。本発明において用いられるランダム共重合体
は、ポリマー分散剤鎖中にランダムに配置される吸着セ
グメントおよび安定化セグメントの両方を有する。
【0017】前述の分散剤の各々の吸着セグメントは、
安定化セグメントに比較して疎水性であり、および、以
後記載するようにアルキル(メタ)アクリレート、環状
脂肪族(メタ)アクリレート、およびアリール(メタ)
アクリレートのようなエチレン性不飽和疎水性モノマー
の重合物から主として構成される。術語「(メタ)アク
リレート」は、アクリレートエステル類およびメタクリ
レートエステル類の両方を意味する。好ましくは、吸着
セグメントは、共重合体の全重量に基づいて約1〜20
質量%、好ましくは約1〜10質量%の非疎水性エチレ
ン性不飽和モノマーの重合物をさらに含有する。該非疎
水性エチレン性不飽和モノマーの重合物に対しては、前
述の分散剤のいずれのものが所望されているかに依存し
て、酸基、ホスフェート基、またはアルキルアミノ固定
化基のいずれかが結合している。
【0018】吸着セグメント中に酸官能基を導入するの
に用いることができるモノマーの例は、アクリル酸およ
びメタクリル酸のようなエチレン性不飽和カルボン酸を
含む。用いることができる他のカルボン酸は、イタコン
酸、マレイン酸などを含む。また、スチレンスルホン
酸、2−アクリルアミド−2−プロパンスルホン酸、ビ
ニルホスホン酸およびそのエステル類などのような、エ
チレン性不飽和スルホン酸、スルフィン酸、リン酸、ま
たはホスホン酸およびそれらのエステル類も用いること
ができる。酸官能基を含有するモノマーは、部分的に
は、その表面に塩基性基を有する酸化鉄顔料に対して結
合する該モノマーの理論的能力によって選択される。酸
化鉄表面は複雑である。通常、該表面上には、塩基性基
に加えて広範な種類の官能基が存在する。
【0019】グリシジルアクリレートまたはグリシジル
メタクリレートのようなエチレン性不飽和グリシジル含
有モノマー類を吸着セグメント中に共重合させ反応性グ
リシジル基を提供すること、および引き続いて該グリシ
ジル基をリン酸または五酸化リンと反応させて側部(pen
dant)のホスフェート基を有する共重合体を提供するこ
とによって、ホスフェート基を吸着セグメント中に導入
することができる。ホスフェート官能基を有するモノマ
ーは、部分的には、水性環境において透明酸化鉄顔料と
不可逆的に結合するそれらの理論的能力によって選択さ
れる。
【0020】吸着セグメント中にアルキルアミノ官能基
を導入するのに用いることができるモノマーの例は、ジ
メチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエ
チルメタクリレート、ジプロピルアミノエチルメタクリ
レート、ジブチルアミノエチルメタクリレートのよう
な、アルキル基中に1から4炭素原子を有するアルキル
アミノアルキルメタクリレートモノマーを含む。
【0021】また、前述の固定化基の全てを共重合体の
疎水性部分に組み込む必要はなく、同様に親水性部分に
も組み込むことができる。
【0022】吸着セグメントの残部を形成するのに用い
ることができる疎水性モノマーの例は、メチルアクリレ
ート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イ
ソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ペンチ
ルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘ
キシルアクリレート、ノニルアクリレート、ラウリルア
クリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレ
ート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリ
レート、ブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレー
ト、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタ
クリレート、ノニルメタクリレート、ラウリルメタクリ
レート等およびそれらの任意の混合物のような、アルキ
ル基中に1〜12炭素原子を有するアルキル(メタ)ア
クリレート類を含む。同様に、トリメチルシクロヘキシ
ルメタクリレート、イソブチルシクロヘキシルメタクリ
レートなどのような環状脂肪族(メタ)アクリレート類
を使用することもできる。同様に、ベンジル(メタ)ア
クリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、フェノキ
シ(メタ)アクリレートなどのようなアリール(メタ)
アクリレート類を用いることもできる。前述の任意のも
のの混合物もまた使用することができる。用いることが
できる他の共重合可能なモノマー類は、スチレン、α−
メチルスチレン、メタクリルアミド、およびメタクリロ
ニトリルである。
【0023】本発明において用いられる各々の分散剤の
親水性安定化セグメントは、選択される水性分散媒中に
可溶性である。それは主としてエチレン性不飽和親水性
モノマーの重合物から構成される。アクリル酸およびメ
タクリル酸および2−アクリルアミド−2−プロパンス
ルホン酸のような酸含有モノマー類を用いることができ
る。酸含有モノマーのいくつかの有用な例は、前述の酸
を含む。また、ポリ(エチレングリコール)モノ(メ
タ)アクリレート(200〜4000、好ましくは20
0〜2000の重量平均分子量)等のようなモノエチレ
ン性不飽和ポリ(アルキレングリコール)モノマー類の
ような非イオン性親水性モノマーを用いて、安定化セグ
メントを形成することもできる。前述のモノマーに加え
て、選択される水性加工媒体中での安定化部分の溶解性
特性を激しく変化させない濃度において疎水性モノマー
類が用いられることを条件として、安定化セグメントの
重量に基づいて40質量%までの他の一般的に用いられ
る疎水性モノマー類を、安定化部分中に共重合させるこ
とができる。いくつかの有用な例は、前述のアルキル
(メタ)アクリレートを含む。
【0024】本発明において用いられる各々の分散剤の
安定化セグメントまたは吸着セグメントのいずれかある
いは両方、好ましくは安定化セグメントは、共重合体の
重量を基準として30質量%までの官能基を有するエチ
レン性不飽和親水性モノマー類を含有してもよい。それ
らエチレン性不飽和親水性モノマー類は、被覆剤組成物
中に存在する皮膜形成性成分と反応し、そして該分散剤
がネットワーク構造の恒久的部分となることを可能にす
る。適当なモノマー類は、ヒドロキシエチルアクリレー
ト、ヒドロキシエチルメタクリレート等のような、アル
キル基中に1から4炭素原子を有する親水性ヒドロキシ
ルアルキル(メタ)アクリレートを含む。
【0025】本発明で用いられるアクリル共重合体分散
剤は、約4000から約25000(好ましくは約50
00から約20000)の数平均分子量を有する。吸着
セグメントは、典型的には約2000から約10000
(好ましくは約4000から約7000)の数平均分子
量を有する。安定化セグメントは、典型的には約200
0から約15000(好ましくは約4000から約70
00)の数平均分子量を有する。本明細書中に記載され
る全ての分子量は、ポリスチレン標準を用いるGPC
(ゲル透過クロマトグラフィー)によって測定される。
吸着セグメントは、典型的にはポリマーの約20〜80
質量%を構成し、および対応して、安定化セグメント
は、典型的にはポリマーの約80〜20質量%を構成す
る。
【0026】前述の分散剤を、特定の構造のために発明
された種々のよく知られている溶液重合技術により調製
してもよい。そのような重合技術は、たとえば、米国特
許第4,656,226号に報告されているGTP(グ
ループトランスファー重合)法、米国特許第4,65
6,226号に報告されている標準的なアニオンまたは
ラジカル重合法、または米国特許第5,231,131
号に報告されているSCT(特殊連鎖移動)法であって
もよい(全ての引用文献は参照により本明細書の一部を
なすものとする)。GTP法は、ブロック共重合体を形
成するのに伝統的に用いられている。この方法を用いる
際には、いずれの酸またはヒドロキシル含有モノマーも
保護して重合中の副反応を防止することが一般的に推奨
される。重合に続いて、酸またはヒドロキシル基は、ア
ルコールまたは水との反応によって脱保護される。SC
T法は、グラフト共重合体のマクロモノマー部分を形成
するのに伝統的に用いられている。他の手段によって、
マクロモノマーを供給することも可能である。標準的な
アニオン重合が、ランダム共重合体を形成するのにしば
しば用いられる。
【0027】前述の共重合体の各々が形成された後に、
典型的には、該共重合体に対してアミンまたは水酸化ア
ンモニウムのような無機塩基を添加して、非反応すなわ
ち残余の酸成分を中和し、および該共重合体をより容易
に水性媒質中に分散可能にする。第1級および第2級ア
ミンを用いることができる。1つの好ましいアミンは、
2−アミノメチルプロパノールである。これら上記の中
和剤は、典型的には、以下に記載される顔料分散プロセ
ス中に添加される。
【0028】顔料分散物を形成するためには、通例の水
溶性有機溶媒または配合物中の明記された共重合体に対
して透明酸化鉄顔料を添加し、引き続いてアミンまたは
無機塩基の添加を行って該共重合体を中和し、そして次
に水を添加して水性分散物を形成する。高速混合、ボー
ルミル磨砕、砂磨砕、アトリッター磨砕、または2本も
しくは3本ロールミル磨砕のような慣用の混合を用いて
分散物を形成する。一般的に、混合を約5〜150分間
にわたって実施して、周囲温度においてブルックフィー
ルド粘度計によって測定される5および100rpmに
おける約100〜1000センチポワズ(0.100〜
1.000Pa.s)、および好ましくは約100〜5
00センチポワズ(0.100〜0.500Pa.s)
の低い剪断粘度を有する分散物を形成する。
【0029】そのように形成される顔料分散物は、約1
0〜30質量%の顔料および分散剤と、対応して約90
〜70質量%の水性ビヒクルとを含有し、および約0.
1/1から1/1の全分散剤対顔料の重量比(D/P)
を有する。酸含有分散剤(i)対顔料の重量比(D/
P)は、約0.25/1から0.75/1であり、およ
び好ましくは約0.33/1から0.5/1である。ホ
スフェート含有分散剤(ii)対顔料の重量比(D/
P)は、約0.05/1から0.45/1であり、およ
び好ましくは約0.05/1から0.15/1である。
存在する場合、アルキルアミノ含有分散剤(iii)対顔
料の重量比(D/P)は、約0.05/1から0.5/
1であり、および好ましくは約0.05/1から0.1
5/1である。全分散剤対顔料の重量比(D/P)は、
それぞれの分散剤のD/P寄与率の総計である。被膜特
性は、全D/Pが約0.4/1から0.7/1までの範
囲内、および優先的には0.6/1が最適であることを
示す。
【0030】種々の色を有する慣用の透明酸化鉄顔料
(たとえば、Johnson-Matthey製「AC−1005」
(赤色)およびBASF製「L−1916」(黄色))
のいずれのものも、顔料分散物を形成するのに用いるこ
とができる。本明細書において、透明酸化鉄をトランス
オキシドと称する場合がある。そのような顔料は、典型
的には0.1μm以下である。アルミニウム片を含有す
る水性系におけるトランスオキシド顔料の使用は、水素
ガスの発生を誘起する可能性がある。トランスオキシド
顔料は、アルミニウム顔料表面上のリン酸化された不動
態化剤樹脂を競争する。分散物処方における、本発明に
おけるリン酸化された分散性樹脂の使用は、この効果を
軽減する。
【0031】ある状況のもとでは、透明酸化鉄顔料を含
有しないが、分散剤分子内のホスフェート基に対して親
和性を有する、塗料中(特に水性塗料中)に用いられる
顔料(種々の色を有する不透明酸化鉄、および二酸化チ
タン、酸化亜鉛などのような他の金属酸化物のようなも
の)を含有する分散剤混合物を用いて顔料分散物を形成
することが望ましい可能性がある。
【0032】本発明の被覆剤組成物は、顔料分散物に加
えて、水性媒質中に、好ましくはアクリルベースのポリ
マーの結合剤と、メラミン架橋剤、ポリイソシアネート
架橋剤または保護されたポリイソシアネート架橋剤のよ
うな架橋剤とを含有する。アクリル共重合体は、安定な
溶液または分散物を形成する。また、これら水性被覆剤
組成物は、約10〜70質量%、より典型的には15〜
50質量%の結合剤と、約30〜90質量%、より典型
的には50〜85質量%の液体ビヒクルを含有し、該液
体ビヒクルは、水単独であるか、あるいは主として水と
通例の水溶性有機溶媒または配合物との混合物である。
適当な被覆剤組成物は、通常の塗料配合技術に従う他の
有用な成分を配合することにより調製される。
【0033】アクリルベースのポリマー結合剤は、典型
的には、アルキル基中に1〜12炭素原子を有するアル
キル(メタ)アクリレートと、アルキル基中に1〜4炭
素原子を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレー
トと、メタクリル酸もしくはアクリル酸との重合体であ
り、および5000〜30000の数平均分子量を有
し、および水酸化アンモニウムまたはアミンで中和され
て水溶液または水性分散物を形成する。前述のアルキル
(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)ア
クリレートを用いて、これらのポリマーを構築すること
ができる。
【0034】約60〜180℃の高温ベーキング温度の
もとで約5〜60分間で架橋する被覆剤組成物を形成す
るために、結合剤の重量を基準として約10から50質
量%、好ましくは15から30質量%のアルキル化され
たメラミンホルムアルデヒド架橋剤(該アルキル化され
る基中に1〜4炭素原子を有する)が好ましい。
【0035】これらの架橋剤は、一般的には部分的また
は完全にアルキル化されたメラミンホルムアルデヒド化
合物であり、および前述のようにモノマー性であっても
ポリマー性であってもよい。架橋剤として保護されたポ
リイソシアネートを用いることもできる。
【0036】メラミン架橋剤を含有する被覆剤組成物
は、結合剤の重量を基準として約0.1から1.0質量
%の強酸触媒またはその塩を含有して、硬化温度および
時間を減少させることができる。パラトルエンスルホン
酸またはそのアンモニウム塩のような芳香族スルホン酸
類が好ましい触媒である。用いることができる他の触媒
は、ドデシルベンゼンスルホン酸、リン酸、およびこれ
らの酸のアミンまたはアンモニウム塩である。
【0037】適合性であるアクリロウレタン類、ポリエ
ステル類およびポリエステルウレタン類、ポリエーテル
類およびポリエーテルウレタン類のような、他の皮膜形
成性ポリマーをこれら被覆剤組成物中に用いることもで
きる。架橋剤としてポリイソシアネートを用いて、周囲
温度において硬化する被覆剤組成物を提供してもよい。
【0038】加えて、本発明の被覆剤組成物は、顔料、
充填剤、可塑剤、酸化防止剤、界面活性剤、および流れ
制御剤のような種々の他の任意選択の成分を含有しても
よい。
【0039】新規被覆剤組成物の仕上の耐候性を改善す
るために、紫外光安定化剤または紫外光安定剤の組合せ
を、結合剤の重量を基準として約0.1〜5質量%の量
で添加することができる。該安定剤は、たとえば顔料分
散物に添加してもよいし、あるいは被覆剤組成物に直接
添加してもよい。そのような安定化剤は、紫外光吸収
剤、遮蔽剤、消光剤、および特定のヒンダードアミン光
安定化剤を含む。また、酸化防止剤を、結合剤の重量を
基準として0.1〜5質量%の量で添加することもでき
る。
【0040】有用である典型的な紫外光吸収剤は、ベン
ゾフェノン類、トリアゾール類、トリアジン類、ベンゾ
エート類、ヒンダードアミン類およびそれらの混合物を
含む。紫外光吸収剤の具体的な例は米国特許第4,59
1,533号に記載されており、その全開示は参照によ
り本明細書の一部をなすものとする。
【0041】また、そのような被覆剤組成物は、たとえ
ば「Resiflow」S(ポリブチルアクリレー
ト)、BYK320および325(高分子量ポリアクリ
レート類)のような流れ制御剤、ヒュームドシリカのよ
うなレオロジー制御剤、Rohm & Haas製Acrysol
(登録商標)共重合体のような増粘剤のような慣用の配
合添加剤を含んでもよい。
【0042】透明酸化鉄顔料とは別に、本発明の被覆剤
組成物は、塗料中(特に水性塗料中)に用いられる他の
慣用の顔料を含むこともできる。該慣用の顔料は、アル
ミニウム片、ブロンズ、ニッケルステンレス鋼片などの
ような金属片、被覆された雲母片(カーボンブラックに
加えて、二酸化チタンなどで被覆された雲母片のような
もの)のような真珠箔顔料、タルク、カオリン、バライ
ト、炭酸塩類、ケイ酸塩類のような充填材顔料、二酸化
チタン、種々の色を有する不透明酸化鉄、および酸化亜
鉛のような金属酸化物、カーボンブラック、およびキナ
クリドン類、フタロシアニン類、ペリレン類、アゾ顔料
類、インダントロン類、カルバゾールバイオレットのよ
うなカルバゾール類、イソインドリノン類、イソインド
ロン類、チオインジゴレッド類、ベンズイミダゾリノン
類などのような広範な種類の有機顔料のようなものであ
る。アルミニウム片のような金属片が好ましい。これら
の顔料は、慣用の分散剤により、かつ必ずしも前述の組
合せによらずに安定化された水性分散物として提供され
てもよい。
【0043】本発明の被覆剤組成物は、単一被膜として
用いてもよいし、あるいはその上にクリアコートを付着
してカラーコート/クリアコート仕上げを提供する着色
されたカラーコートまたはベースコートにおいて用いて
もよい。
【0044】本発明の被覆剤組成物は、あらかじめ彩色
された基板、下塗りされた基板、冷間圧延鋼、リン酸塩
処理鋼、および慣用の電着下塗り剤で被覆された鋼のよ
うな、種々の金属基板または非金属基板に対して優れた
接着力を有する。これら被覆剤組成物は、ポリエステル
で補強されたガラス繊維、反応射出成形されたウレタン
類、および部分的に結晶性のポリアミド類のようなプラ
スチック基板を被覆するのに用いることができる。特
に、本発明のベースコートまたはカラーコート組成物
は、改善された透明性および減少した曇り度および改善
された塗料安定性を提供し、それら特性は、自動車およ
び貨物自動車に用いられる被覆剤として非常に重要な特
性である。
【0045】本発明の被覆剤組成物は、吹付、静電吹
付、浸漬、刷毛塗り、フローコーチングなどのような慣
用の技術によって付着することができる。好ましい技術
は、吹付および静電吹付である。OEM用途において
は、典型的には、該組成物は100〜150℃において
約15〜30分間にわたってベークされて、厚さ約0.
1〜3.0ミル(25〜75μm)の被膜を形成する。
該組成物がクリアコートとして用いられるときには、該
組成物は、不粘着状態まで乾燥されてもよく、あるいは
クリアコートが付着される前に短い時間にわたって硬化
または好ましくはフラッシュ乾燥されてもよいカラーコ
ート上に付着される。次にカラーコート/クリアコート
仕上げは前述のようにベークされて、乾燥かつ硬化され
た仕上げを提供する。当業者によって容易に認識される
ように、本発明は、非ベークの塗り替え(refinish)系に
もまた適用可能である。
【0046】「ウェットオンウェット」付着を用いて、
ベースコート上に透明なトップコートを付着すること、
すなわち、ベースコートを硬化または完全に乾燥させる
ことなしにベースコート上にクリアコートを付着するこ
とは通例のことである。次に被覆された基板はあらかじ
め定められた時間にわたって加熱されて、ベースコート
およびクリアコートの同時の硬化をさせられる。
【0047】以下の実施例は、本発明を説明する。特に
記載のない限り、全ての部、比、およびパーセントは重
量基準である。本明細書中に開示される全ての分子量
は、ポリスチレン標準を用いるGPC(ゲル透過クロマ
トグラフィー)により測定される。
【0048】
【実施例】ポリマー分散剤を調製し、そして顔料分散物
中に配合し、そしてその顔料分散物を透明被覆剤組成物
中に配合した。
【0049】ポリマー分散剤1 ポリマー分散剤1は、37.5/50.2/5.1/
5.1/2.1の重量比のメチルメタクリレート(MM
A)、ブチルアクリレート(BA)、アクリル酸(A
A)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEM
A)および2−アクリルアミド−2−プロパンスルホン
酸から構成される顔料吸着セグメント中に酸官能基を含
有し、20000の数平均分子量を有し、2の多分散性
を有するランダムアクリル共重合体の例である。該ポリ
マーを、参照により本明細書の一部をなすものとする米
国特許第4,656,226号に記載されるような標準
的アニオン重合方法を用いて作製した。ポリマー溶液を
2−アミノメチルプロパノールを用いて中和し、および
使用の前に、脱イオン水およびイソプロパノールを用い
て50%の固形分含有率まで希釈した。
【0050】ポリマー分散剤2 ポリマー分散剤2は、顔料吸着性主鎖セグメント中にホ
スフェート官能基を含有し、および標準的フリーラジカ
ル重合のアプローチを用いて調製されるリン酸化された
グラフト共重合体の例である。得られるリン酸化された
グラフト共重合体は以下の組成を有した。[60]NBA/
MA/リン酸化GMA(45.5/45.5/9)//[40] Biscomer
20Wグラフトポリマーの安定化アームとしてマクロモノ
マーBiscomer 20Wを用いて、リン酸化された重合体を調
製した。この材料(Biscomer 20W)は、ISCから購入
されるポリ(エチレングリコールモノメタクリレート)
のマクロモノマーである。Biscomer 20Wは、2000の
分子量(M)を有する非イオン性であり、およびポリ
マーに対して水溶性官能基を提供する。他の構成成分と
共に、Biscomer 20Wマクロモノマーを容器内で反応させ
て、マクロ分枝された(macro branched)グラフト共重
合体を形成した。
【0051】グラフト共重合体を、攪拌機、熱電対、冷
却器、および窒素ブランケットを取り付けた反応器に投
入すること、および加熱して還流することによって形成
した。反応器に対して、n−ブチルアクリレート(NB
A)、グリシジルメタクリレート(GMA)、メチルア
クリレート(MA)およびBiscomer 20Wマクロモノマー
の主鎖モノマーを、溶媒であるイソプロパノールと共に
添加した。メチルエチルケトンおよびイソプロパノール
の溶液中に溶解された開始剤、2,2’−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)(DuPont Co. (Wi
lmington, DE)製のVazo(登録商標)52)を供給
することにより、重合反応を開始した。リン酸化は、リ
ン酸(HPO)を用いるグリシジルメタクリレート
のエポキシ基のエステル化により実施した。
【0052】得られるリン酸化されたアクリルグラフト
共重合体は、99%転化率に達した。その固形分は、水
/イソプロパノール溶液中45%であった。該ポリマー
の分子量を、GPCを用いて得た。カラムに注入する前
に、該ポリマーをメチル化した。GPCは、4577の
数平均分子量と2.64の多分散性とを示した。
【0053】ポリマー分散剤3 ポリマー分散剤3は、吸着セグメント中にベンジル官能
基およびアルキルアミノ官能基を含有し、およびGTP
方法を用いて調製されるABブロック共重合体の例であ
る。
【0054】該ABブロック共重合体は、かき混ぜ機、
冷却器、加熱マントル、窒素吸気口、熱電対および添加
口を取り付けた5リットルのフラスコに対して、160
0gのテトラヒドロフランと3.8gのp−キシレンと
を投入し、引き続いて触媒(m−クロロ安息香酸テトラ
ブチルアンモニウム)の1.0Mアセトニトリル溶液
0.6mLを投入した。そのフラスコに対して、開始剤
(1,1−ビス(トリメチルシロキシ)−2−メチルプ
ロパン)の0.140M溶液32.5gを注入した。m
−クロロ安息香酸テトラブチルアンモニウムの1.0M
アセトニトリル溶液0.6mLから成る供給Iを開始
し、および200分かけて添加した。265.0g
(1.67モル)のトリメチルシリルメタクリレート、
298.0g(2.10モル)のブチルメタクリレー
ト、140.0g(1.40モル)のメチルメタクリレ
ート、および141.0g(0.70モル)のトリメチ
ルシロキシエチルメタクリレートから成る供給IIを、
0.0分において開始し、および45分の期間をかけて
添加した。供給IIが完了した100分後に、99%超の
モノマーが反応した。616.0g(3.46モル)の
ベンジルメタクリレートおよび154.0g(0.98
モル)のジメチルアミノエチルメタクリレートから成る
供給IIIを開始し、および30分間かけて添加した。4
00分の後、得られる反応混合物に対して150gのメ
タノールを添加して反応を停止し、そしてヒドロキシお
よび酸モノマーを脱保護し、そして溶媒の蒸留を開始し
た。蒸留の第1段階の間に、400.0gの溶媒を除去
した。100gのメタノールを添加し、そしてさらなる
200.0gの溶媒を留去した。
【0055】得られるポリマー溶液は50%の固形分含
有率を有し、およびポリマーは以下の組成を有した:2
5/7//15/10/5/12のモノマー比のベンジ
ルメタクリレート(BZMA)/ジメチルアミノエチル
メタクリレート(DMEAMA)//BMA/MMA/
ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)/メタク
リル酸(MAA)。該ポリマーは、9400の数平均分
子量と1.1の多分散性とを有した。使用の前に、脱イ
オン水およびイソプロピルアルコールの1:1混合物を
用いてポリマー溶液を30%の固形分含有率まで希釈し
た。
【0056】顔料分散物の特性の評価 顔料分散物のサンプルを、以下の手順によって調製し
た。Temple C. PattonのPaint Flow and Pigment Dispe
rsion、439〜441頁(Wiley IntersciencePublica
tion, 1979)に記載されている標準01アトリッターを
用いて、実験室磨砕を行った。それぞれの磨砕には40
0gの実験分散物を装填し、および粉砕を850gの
0.8〜1.0mm高密度ジルコニア媒体を用いて実施
した。それぞれのアトリッターにおいて、500rpm
のスピンドル攪拌において合計24時間にわたって粉砕
を行い、適切な粉砕が達成されることを確実にした。
【0057】実験計画中に、1つの対照標準を含んだ。
対照標準は、現行の透明酸化鉄用分散剤(ポリマー分散
剤1)を用いて作製された分散物であり、それは現行の
技術に関する基点を与える。残りの実験は、改善された
分散物および塗料性能を与えるホスフェート分散剤の最
適レベルを決定した。
【0058】赤色および黄色透明酸化鉄(「トランスオ
キシド」)分散物配合物(Ex)それぞれは、以下の組
成を有した。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】分散物CEx.1が対照標準である。分散物Ex.
2は、黄色トランスオキシド顔料(BASF、L−191
6)に関してのみ作製した。赤色トランスオキシド顔料
はJohnson MattheyのAC−1005であった。ポリマ
ー分散剤1の樹脂固形分は50%であり、ポリマー分散
剤2の樹脂固形分は45%であり、およびポリマー分散
剤3の樹脂固形分は30%である。顔料に対して適用さ
れるそれぞれの分散剤の量を、分散剤対顔料の重量比で
あるD/Pとして報告する。
【0062】結果 実験結果を、表4、表5、表6および表7に示す。1
5.00%の分散顔料装填量を、01アトリッター磨砕
物の間の規定された適切なスクリーニングに用いた。そ
れぞれの磨砕物の分析および対照標準との比較におい
て、用いた重要製品特性は、(i)分散物粘度、(ii)
分散物の曇り度および透明度、および(iii)塗料への
漸次添加物(letdown)の曇り度/透明度および安定性を
含んだ。
【0063】分散物の所望される属性は、(i)顔料の
高い装填量、(ii)低粘度、および(iii)低い曇り度
および高い透明性を含む。分散物の粘度を、標準のブル
ックフィールド粘度計を用い、低剪断(5rpm)およ
びより高い剪断(100rpm)において測定する。分
散物の曇り度および透明度を、Mylor上への展色およびH
unter Colorquest Instrumentを用いて該パネルを読み
とることを用いて測定した。
【0064】良好な分散物は、良好な塗料を作製するた
めに、必要であるが十分な条件ではない。良好な分散物
は、水性塗料系において用いられるときに、良好に作用
し、かつ所望される美観を提供しなければならない。こ
の評価をするために、それぞれの分散物を平衡(balance
d)透明塗料配合物中に攪拌しながら漸次添加した。用い
た平衡透明塗料配合物BC−1は、以下の組成を有し
た。
【0065】
【表3】
【0066】20グラムの平衡透明塗料配合物BC−1
に対して6gの分散物を添加し、徹底的に混合し、そし
て#20WWR(ワイヤを巻き付けた棒)を用いて該塗
料をMylarフィルム上に展色することにより、塗料
の評価を実施した。該フィルムが乾燥した後に、#20
WWR(ワイヤを巻き付けた棒)を用いてフィルム上に
クリアコートを付着した。そのサンプルを華氏250度
(約121℃)において30分間にわたってオーブン硬
化させた。冷却の後に、Hunter ColorQuestを用いて、
曇り度および透明度を測定した。分散物を攪拌しながら
漸次添加することおよび曇り度/透明度測定の手順は、
DuPont Co. (Wilmington, DE)のProcedure TM-0501Aに
より詳細に記載されている。
【0067】黄色トランスオキシドの結果 黄色トランスオキシド顔料BASF L-1916の結果を表4に
示す。分散物中のホスフェート樹脂の関数であるBC−
1における塗料への漸次添加物の曇り度は、ホスフェー
ト樹脂を含有しない対照標準の曇り度が最も高い漸次添
加物の曇り度(14.43%)を有することを示す。D
/P=0.075から最大D/P=0.45までの追加
のホスフェート樹脂を有し、D/P=0.50の標準的
トランスオキシド用分散剤を有するEx.2からEx.5までの
磨砕物は、D/P=0.075のホスフェート樹脂を有
するEx.2が最も低い漸次添加物の曇り度を有し、ホスフ
ェート樹脂の濃度が増加するのに伴って曇り度がわずか
に増大することを示す。また、本評価結果は、ホスフェ
ート樹脂レベルが増加するのに伴って、分散物粘度が急
速に増大することを示す。それらの結果に基づき、漸次
添加物の分散物中の0.075と0.15との間のホス
フェート樹脂(ポリマー分散剤2)の装填量が、曇り度
および分散物粘度に基づいて最適であるように見える。
【0068】赤色トランスオキシドの結果 赤色トランスオキシド顔料Johnson MattheyのAC-1005に
関して同等の組の分散物磨砕を実施した。これらの結果
は、同様に、ホスフェートレベルの増加に伴う分散物粘
度の増大という同一の傾向を示す。分散物は、BC−1
中に攪拌しながら漸次添加した。
【0069】表5の結果は、ホスフェート樹脂を含有し
ない対照標準であるCEx.1が、最も高い漸次添加物の曇
り度を有したことを示す。漸次添加物の曇り度は、ホス
フェートレベルの増加に伴う同一の緩やかな増大を示
す。分散物粘度は、ホスフェートレベルの増加に伴う同
一の速やかな増大を示す。5.0%未満のホスフェート
レベルを用いる磨砕は行わなかった。5.0%未満であ
ってもよい最適レベルを確立するためには、さらなる最
適化磨砕物が必要である。
【0070】漸次添加物の曇り度を減少することに加え
て、重要な製品特性は、漸次添加物のの粘度および透明
度安定性である。また、塗料は、実際に顧客に使用され
る前に数週間または数ヶ月にわたって放置される可能性
があるので、これは重要な考慮の対象である。したがっ
て、塗料安定性の状態は、相分離に起因する漸次添加物
の粘度が増大すること、および時間経過に伴う凝集に起
因する曇り度が増大することを調べる。また、これは重
要な製品特性であるので、黄色および赤色トランスオキ
シドを攪拌しながら漸次添加することを試験し、および
1および3週間の間をおいて曇り度を再測定した。表6
および表7の結果は、良好な塗料安定性を示すいずれの
サンプルについても著しい曇り度の増加はなかったこと
を示す。
【0071】3分散剤系 赤色および黄色トランスオキシド顔料の両方に関して3
分散剤系を評価する最後の実験を実施した。リン酸化さ
れた櫛形(グラフト)ポリマーの使用は、塗料における
性能を改善したが、しかし、注目すべき分散物粘度の増
大を有した。高粘度において、分散物の粉砕が困難とな
り、および粘着することに起因する収量損失が大きくな
る。0.1のD/Pにおけるポリマー分散剤3の使用
は、さらなる透明度の利点、および分散物の粘度および
レオロジーを減少させることにおける予期せぬ改善を示
した。大処理量のミルにおける大量バッチの粉砕に関し
て最適な分散物粘度は、5および100rpmにおける
ブルックフィールド粘度計にて、約100から500セ
ンチポアズ(0.100から0.500Pa・s)であ
る。黄色および赤色トランスオキシドのそれぞれに関し
て、表4および表5に報告されるこれら最後の実験は、
3つの分散剤の組合せを試験する。分散物配合におい
て、現状のトランスオキシド用分散剤(ポリマー分散剤
1)を、0.50から0.33のD/Pへと減少させ
た。リン酸化された櫛形ポリマー(ポリマー分散剤2)
を0.15に維持し、およびベンジルおよびアミン官能
性ポリマーである第3のポリマー分散剤3を0.10の
D/Pの装填量においてさらに導入した。表4および表
5の結果は、これらの分散物配合物が、分散物および漸
次添加物において最も低い曇り度のみならず、最も低い
分散物粘度を有することを示す。これらの結果は、トラ
ンスオキシド顔料の表面は複雑であり、および慣用の湿
式粉砕方法を用いて最適な安定化を達成することが容易
ではないことを示す。
【0072】
【表4】
【0073】
【表5】
【0074】
【表6】
【0075】
【表7】
【0076】
【発明の効果】上記の結果はホスフェート化されたグラ
フト共重合体分散性樹脂が、水性塗料系における赤色お
よび黄色トランスオキシド顔料の両方の安定化を改善す
ることを示す。分散物配合作業は、カラースタイリング
の問題点を取り扱うことを補助すべき顔料の装填量は重
要であることを示す。また、漸次添加物および塗料安定
性のデータは、顔料表面上の固定化樹脂としてホスフェ
ート樹脂を用い、該固定化樹脂と結合する分散剤3のよ
うな共分散剤と共に使用することが、水性塗料系におけ
るトランスオキシドの性能を著しく改善したことを示
す。
【0077】本発明の真意および範囲から離れることの
ない、本発明の組成物における種々の変更、修正、成分
の追加または置換は、当業者にとっては明らかであろ
う。本発明は、前述の例示的な実施形態に制限されるも
のではなく、特許請求の範囲に規定されるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 カリン ビー.ビスチャー アメリカ合衆国 08043 ニュージャージ ー州 ボーリーズ ハミルトン ドライブ 2903 (72)発明者 ケネス エス.キーセンバウム アメリカ合衆国 48323 ミシガン州 ウ ェスト ブルームフィールド ウェンデル ロード 4160 Fターム(参考) 4J037 AA15 CC16 EE28 FF02 4J038 CG001 CG002 CP072 CQ002 GA06 GA09 GA14 HA066 HA216 KA03 KA08 MA08 MA10

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)水性分散媒と; (b)親水性安定化セグメントと疎水性顔料吸着セグメ
    ント中の酸基とを有する少なくとも1つのアクリル共重
    合体分散剤(i)と、 親水性安定化セグメントと疎水性顔料吸着セグメント中
    のホスフェート基とを有する少なくとも1つのアクリル
    共重合体分散剤(ii)と、 必要に応じて、親水性安定化セグメントと疎水性顔料吸
    着セグメント中のアルキルアミノ基とを有する少なくと
    も1つのアクリル共重合体分散剤(iii)とから実質的
    に構成されるアクリル共重合体分散剤の混合物と; (c)前記混合物(b)によって安定化される透明酸化
    鉄顔料粒子と (d)皮膜形成性ポリマー結合剤と; (e)該結合剤用の架橋剤と を含むことを特徴とする水性被覆剤組成物。
  2. 【請求項2】 該顔料と該分散剤とは、 前記分散剤(i)は、前記顔料粒子に対して0.1/1
    から1/1の重量比(D/P)において存在し、 前記分散剤(ii)は、前記顔料粒子に対して0.05/
    1から0.33/1の重量比(D/P)において存在
    し、および前記分散剤(iii)は、前記顔料粒子に対し
    て0.05/1から0.2/1の重量比(D/P)にお
    いて存在することを特徴とする請求項1に記載の被覆剤
    組成物。
  3. 【請求項3】 前記アクリル共重合体分散剤(i)、
    (ii)および(iii)は、約4000〜25000の数
    平均分子量を有することを特徴とする請求項1に記載の
    被覆剤組成物。
  4. 【請求項4】 前記組成物は、アルミニウム片顔料をさ
    らに含有することを特徴とする請求項1に記載の被覆剤
    組成物。
  5. 【請求項5】 前記アクリル共重合体分散剤(i)、
    (ii)および(iii)は、それらの安定化セグメント中
    に、硬化時に前記架橋剤と反応するヒドロキシル基を含
    有することを特徴とする請求項1に記載の被覆剤組成
    物。
  6. 【請求項6】 前記アクリル共重合体分散剤(ii)は、
    ポリマー主鎖と該主鎖に結合するマクロモノマー側鎖を
    有するアクリルグラフト共重合体を含み、該主鎖は、ア
    ルキル基中に1〜12炭素原子を有するアルキル(メ
    タ)アクリレートモノマーとグリシジル(メタ)アクリ
    レートモノマーの重合物から本質的に構成され、かつ前
    記グリシジル基はリン酸または五酸化リンと反応させら
    れ、前記側鎖は、前記主鎖に結合した親水性ポリ(エチ
    レングリコール)モノ(メタ)アクリレートマクロモノ
    マーから本質的に構成されることを特徴とする請求項1
    に記載の被覆剤組成物。
  7. 【請求項7】 前記アクリル共重合体分散剤(i)は、
    アルキル基中に1〜12炭素原子を有するアルキル(メ
    タ)アクリレートモノマーと、アクリル酸またはメタク
    リル酸と、アルキル基中に1〜4炭素原子を有するヒド
    ロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマーと、2−
    アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸モノマ
    ーとの重合物から本質的に構成されるランダムアクリル
    共重合体を含むことを特徴とする請求項6に記載の被覆
    剤組成物。
  8. 【請求項8】 前記アクリル共重合体分散剤(iii)
    は、アクリル性ABブロック共重合体を含み、 疎水性Aセグメントは、ベンジル(メタ)アクリレート
    モノマーとアルキル基中に1〜4炭素原子を有するアル
    キルアミノ(メタ)アクリレートモノマーとから本質的
    に構成され、および親水性Bセグメントは、アルキル基
    中に1〜12炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリ
    レートモノマーと、アクリル酸またはメタクリル酸と、
    アルキル基中に1〜4炭素原子を有するヒドロキシアル
    キル(メタ)アクリレートモノマーとの重合物から本質
    的に構成されることを特徴とする請求項7に記載の被覆
    剤組成物。
  9. 【請求項9】 前記架橋剤はアルキル化されたメラミン
    架橋剤を含み、および前記皮膜形成性結合剤は、アルキ
    ル基中に1〜12炭素原子を有するアルキル(メタ)ア
    クリレートモノマーと、アルキル基中に1〜4炭素原子
    を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノ
    マーと、アクリル酸またはメタクリル酸とを含むアクリ
    ル重合体であることを特徴とする請求項1に記載の被覆
    剤組成物。
  10. 【請求項10】 顔料と、 親水性安定化セグメントと疎水性顔料吸着セグメント中
    の酸基とを有する少なくとも1つのアクリル共重合体分
    散剤と、親水性安定化セグメントと疎水性顔料吸着セグ
    メント中のホスフェート基とを有する少なくとも1つの
    アクリル共重合体分散剤と、必要に応じて、親水性安定
    化セグメントと疎水性顔料吸着セグメント中のアルキル
    アミノ基とを有する少なくとも1つのアクリル共重合体
    分散剤とから本質的に構成される共重合体分散剤の混合
    物とを含むことを特徴とする水性顔料分散物。
  11. 【請求項11】 前記顔料は、透明酸化鉄を含むことを
    特徴とする請求項1に記載の分散物。
  12. 【請求項12】 請求項10に記載の組成物の乾燥およ
    び硬化した層により被覆されることを特徴とする基板。
  13. 【請求項13】 該乾燥および硬化した層の上に、被覆
    剤組成物の透明層が重ねられることを特徴とする請求項
    12に記載の基板。
  14. 【請求項14】 請求項11に記載の分散物を調製する
    方法であって、前記複数の分散剤を、水中または水およ
    び水溶性溶媒の配合物中で一緒に混合し、引き続いてア
    ミンまたは無機塩基を添加して前記複数の分散剤中の残
    留または未反応の酸基を中和し、そして次に該分散物中
    に透明酸化鉄顔料を分散させて、顔料分散物を形成する
    ことを特徴とする方法。
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