JP2002012041A - エンジン−ギヤユニットのマウント - Google Patents

エンジン−ギヤユニットのマウント

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  • Support Of The Bearing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 エンジンからの振動の伝達を最小限に抑え、
かつ低価格で製造することができる、エンジン−ギヤユ
ニット用マウントを提供する。 【解決手段】 エンジン5と車体の間に配置されている
第一マウントエレメント1と、エンジン又はギヤ装置6
と車体の間に配置されている第二マウントエレメント2
と、ギヤ装置と車体の間に配置されている第三マウント
エレメント3とを備え、第二マウントエレメントに支持
されているエンジン−ギヤユニット4のトルクが、自動
車の長手方向に車体へ導かれるように、第二マウントエ
レメントが形成エンジン5の停止時の静止中立位置を中
心とする自動車の長手方向の小さな変位を含む第一の領
域では第一のバネ定数を有し、この第一の領域に連続
し、自動車の長手方向のより大きな変位を含む第二の領
域では第二のバネ定数を有し、この第二のバネ定数が第
一のバネ定数よりも大きいことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車の車体に横
向きに取り付けられたエンジン−ギヤユニットマウント
に関する。より詳細には、本発明は、エンジンと車体、
自動車のボディの間に配置された第一マウントエレメン
トと、エンジン又はギヤ装置と自動車ボディ、すなわち
車体の間に配置された第二マウントエレメントと、ギヤ
装置と車体の間に配置された第三マウントエレメントと
を持つマウントに関する。
【0002】
【従来の技術】上記のような種類マウントはEP 0 818 3
40により公知である。
【0003】自動車に横向きに取り付けられたエンジン
−ギヤユニット用の公知マウントの場合、エンジンの下
に設けられた第二マウントエレメントに可動ペンジュラ
ムサポート、可動振り子支持体が配置され、これにより
力がほぼペンジュラムサポートのロッド方向に伝達され
る。このEP 0 818 340により公知であるマウントの欠点
は、こマウントがそれぞれのマウントエレメントに技術
的に複雑な構造を要求し、したがって高価なことであ
る。特にペンジュラムサポートは望ましからざるロッド
共振を生じることがあり、これによって自動車内の騒音
レベルが上昇することがある。さらにはペンジュラムサ
ポートの格納部が、構造上の空間と衝突安全性の点でし
ばしば問題となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、一方
で車体への望ましからざる振動の伝達を最小限に抑え、
他方で低価格で製造することができる、エンジン−ギヤ
ユニット用マウントを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題は、本発明で次
のようにして解決される。まず第二のエレメントを、次
のように形成して、可動中間エレメントを利用すること
なく、エンジン又はギヤ装置及び車体に配置する。すな
わち第二マウントエレメントに支持されるエンジン−ギ
ヤユニットのトルクが、ほぼ自動車の長手方向に、車
体、自動車のボディへ導かれるようにする。次にエンジ
ン停止時の静止中立位置を中心とする自動車長手方向の
小さな変位を含む第一の領域では、第二マウントエレメ
ントは第一のバネ定数を有し、自動車長手方向の変位が
より大きな、第一の領域に続く第二の領域では、第二マ
ウントエレメントは第二のバネ定数を有し、このとき第
二のバネ定数は第一のバネ定数より大きい。
【0006】本発明の実施形態の利点は、変位が小さい
ときのスプリング特性が軟らかいため、すなわちバネ定
数が小さいため、アイドリング振動を特に良好に遮断す
ることができることである。このとき、第一のバネ定数
をほぼゼロにして、ルーズ効果(Lose-Effekt)を生じ
させることが理想的である。第一のバネ定数と比べて大
きな第二のバネ定数は、特に荷重変動時の振れを効果的
に弱める。したがって本発明の実施形態によって、たが
いに相反する、そして見たところ矛盾する振動技術上の
複数の要求事項を、1つマウントにより解決することが
可能となる。本発明による配列は、エンジン−ギヤユニ
ットのトルクを実質上走行方向に、又はその逆方向に導
こうとするものであるが、これにより振動技術上の諸利
点が得られる。これらの利点は、ボディ、車体が、この
方向、走行方向又はその逆方向に比較的剛性があり、し
たがってこの方向の振動が比較的感じられないというこ
とに起因する。さらには第二のバネ定数の領域に続けて
エンドストッパーを取り付けることも有利である。
【0007】本発明の一発展形態によれば、第二マウン
トエレメントを下方に、すなわち第一マウントエレメン
トのほぼ垂直下方位置に配置することを意図する。特に
良好な振動絶縁が、第三マウントエレメントをトルクロ
ール軸に隣接してもしくはその上に、及び/又は第一マ
ウントエレメントをトルクロール軸の上方に配置するこ
とによって得られる。この場合のトルクロール軸は次の
ように定義される:すなわち、非常に柔軟に取り付けら
れた剛性ある物体が、振動するトルクの負荷を、その三
つの主軸のいずれか1つに平行に負荷される場合、この
物体はこの主軸を中心として振動する。トルクベクトル
が1つの主軸に平行でない場合は、このベクトルを複数
の主軸に平行な成分に分解することができる。個々の成
分は主軸を中心とする振動を生じるが、その振幅は主要
質量慣性トルクと、トルクベクトルの成分に依存する。
個々の回転振動は総振動と重畳し、その振動軸は一般に
トルクベクトルにも主軸にも平行ではない。ここに生じ
る振動軸をトルクロール軸という。
【0008】本発明の特に有利な実施形態によれば、第
二マウントエレメントが第一アンカー部及び第二アンカ
ー部を備え、第一アンカー部と第二アンカー部が相対運
動可能であり、このとき、第一アンカー部と第二アンカ
ー部の間で少なくとも1つのスプリング体を作用させる
ことを意図する。これらのアンカー部を介することによ
り、マウントエレメントは、一方でエンジン又はギヤ装
置と、他方で車体と、ペンジュラムサポートのような可
動中間エレメントを利用することなく連結することがで
きる。
【0009】特にコンパクトな構造は、第二マウントエ
レメントをブシュマウントとし、第二アンカー部が第一
アンカー部を半径方向に隔置して囲み、固定することに
よって達成される。これにより、大きなコストをかける
ことなくストッパー機能と衝突安全性が得られる。
【0010】エンジン−ギヤユニットの振動絶縁は、次
のような構成により、さらに改善される。すなわち第二
マウントエレメントが、緩衝液を充填されて、かつ第一
チャンバ内壁によって画定されている第一チャンバと、
第一チャンバと分離され、1つの流路を介して第一チャ
ンバと連結し、第二チャンバ内壁によって画定されてい
る第二チャンバとからなり、第一アンカー部と第二アン
カー部の相対運動により、第一チャンバの容積が変化
し、それによって緩衝液が第一チャンバと第二チャンバ
の間の流路内を移動する、構成により、振動絶縁がさら
に改善される。
【0011】本発明の一発展形態によれば、第一内壁及
び/又は第二チャンバ内壁が可撓性の隔壁から形成さ
れ、この隔壁が、エンジン停止時の静止中立位置では次
のように配置される。すなわち、エンジン停止時の静止
中立位置を中心とする小さな変位領域での第一アンカー
部と第二アンカー部の相対運動によって、第一チャンバ
の容積が変化しないように、そして大きな変位領域での
第一アンカー部と第二アンカー部の相対運動によって、
第一チャンバの容積が変化するように、隔壁が配置され
る。このように構成することによって、トルク支持とし
て作用する第二マウントエレメントにおいて、変位が特
定のしきい値を超えて初めて、流体による減衰機能が作
動する、減衰機能に関する一種のルーズ効果を生じる。
【0012】特に簡単に製造できてコンパクトな構造
は、エンジン停止時の静止中立位置で、第一チャンバ内
壁及び/又は第二チャンバ内壁が、スプリング体に対し
てある間隔をもって配置されることにより達成される。
この間隔によって、静止中立位置を中心とする変位が小
さいときには、振幅が小さいときには第一チャンバの容
積が変化せず、したがって流体による減衰機能が生じな
い。変位、振幅が大きくなって、上記の間隔を上回ると
きには、第一チャンバの容積が変化し、流体による所望
の減衰機能が生じるようになる。
【0013】静止中立位置を中心とする変位が小さい領
域と大きい領域とで、異なる大きさを示すバネ定数は、
次のようにして得るのが特に有利である。すなわち、第
一チャンバ及び/又は第二チャンバに、特に柔軟な、弾
力性のあるバッファを設け、このバッファが第一アンカ
ー部と第二アンカー部の相対運動を画定するものとす
る。このとき、変位が大きい領域では、柔軟なバッファ
のバネ定数がスプリング体のバネ定数に加算される。非
常に低い動的剛性は、空隙にゴムブリッジを張り渡し
て、第二アンカー部へのスプリング体の外側接続領域
に、非常に大きな流路を設けることによって達成され
る。このように構成することによって、アイドリング時
に流体による減衰機能が得られ、このときマウントは、
アイドリング振動に際しては静的状態におけるよりも軟
らかく、柔軟に作動する。
【0014】第一、第二及び/又は第三マウントエレメ
ントを、剛性の高い車体に、特に台枠固定箇所の領域に
配置することによって、特に良好な振動絶縁が達成され
る。このとき、マウントエレメントを自動車のシャシ
ー、又は車体の補助フレームに固定することができる。
この場合すべてのマウントエレメントが、可動中間エレ
メントを利用することなく、エンジン−ギヤユニット及
び車体と連結されるのが有利な点である。
【0015】本発明の特に有利かつ安価に製造可能な実
施形態では、エンジン−ギヤユニットを厳密に3つのマ
ウントエレメントによって、自動車ボディ、車体に固定
することを意図する。多くの場合、本発明の第一、第二
及び第三マウントエレメントは、振動技術上の点で、横
向きに取り付けられたエンジン−ギヤユニットの良好な
マウンティングを得るのに十分である。しかし本発明の
配置及び仕様による3つマウントエレメントとあわせ
て、1つ又は複数のそのほかマウントエレメントを使用
する場合も、本発明の対象外とはならない。
【0016】さらには第一マウントエレメントを、エン
ジン−ギヤユニットの上端に又は上端に隣接して配置
し、第二マウントエレメントを、エンジン−ギヤユニッ
トの下端に又は下端に隣接して配置することが、特に有
利である。これらのマウントエレメントが大きな間隔を
もつことによって、特に良好な振動絶縁が達成される。
【0017】さらにはエンジン−ギヤユニットの重心
が、第一マウントエレメント及び第三マウントエレメン
トの間で、仮想連接線(gedachten Verbindungslinie)
よりも下に位置するように、第一マウントエレメント及
び第三マウントエレメントを配置することが有利であ
る。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に本発明のマウントの好まし
い実施形態をさらに詳細に説明する。
【0019】図1及び2は、エンジン−ギヤユニット4
を自動車のボディ、車体(図には示さない)に取り付け
るマウントを示す。ここでは座標軸X、Y及びZによっ
て空間内の方向づけを行う。Xは水平かつ後方向、した
がってDで示される走行方向とは反対方向を指す。Y
は、走行方向に対して水平かつ右方向を指し、Zは垂直
方向を示す。
【0020】エンジン−ギヤユニット4は主として、走
行方向に対して横向きに取り付けられた(横置き)エン
ジン5とギヤ装置6からなる。エンジン−ギヤユニット
4のマウントは、エンジン5と車体の間に配置されてい
る第一マウントエレメント1と、エンジン5と車体の間
に配置されている第二マウントエレメント2と、ギヤ装
置6と車体の間に配置されている第三マウントエレメン
ト3からなる。特に図2に記載するように、第二マウン
トエレメント2は第一マウントエレメント1の下方に配
置されている(図1では、第一マウントエレメント1及
び第二マウントエレメント2をX軸方向にずらして示し
てある)。この実施例では、第二マウントエレメント2
が、第一マウントエレメント1のほぼ垂直方向下位置に
設けられている。第一マウントエレメント1は、トルク
ロール軸7の上方でエンジン5に取り付けられている。
第三マウントエレメント3は、トルクロール軸7に隣接
するか、又はトルクロール軸7自体の上に配置される。
【0021】本実施例では、第一マウントエレメント1
がエンジン−ギヤユニット4の上端に隣接して、第二マ
ウントエレメント2がエンジン−ギヤユニット4の下端
に隣接してそれぞれ配置されている。またエンジン−ギ
ヤユニット4の重心が、第一マウントエレメント及び第
三マウントエレメントの間で、仮想連接線よりも下に位
置するように、第一マウントエレメント及び第三マウン
トエレメント配置されている。
【0022】第二マウントエレメント2は、自動車の剛
性の高い車体部分に、特に台枠固定部に配置するのが有
利であり、この場合この車体部分はシャシー自体又は補
助フレームとすることができる。
【0023】第二マウントエレメント2は、次のように
形成し、可動中間エレメントを利用することなく、エン
ジン及び車体に取り付けられる。すなわち、第二マウン
トエレメント2に支持されるエンジン−ギヤユニット4
のトルクが、自動車長手方向に、したがってX方向に又
はその逆方向に、車体に導かれるように取り付けられ
る。
【0024】図3〜8に示した第二マウントエレメント
2は、第一アンカー部9と第二アンカー部10からなり、
この第一アンカー部9と第二アンカー部10は相対運動可
能であり、このとき、第一アンカー部9及び第二アンカ
ー部10の間でスプリング体11が作用する。第二アンカー
部は、特にブシュマウントとして形成され、ここでは第
二アンカー部10が第一アンカー部9を半径方向に間隔を
もって囲み、固定している。第一アンカー部と第二アン
カー部は半径方向に隔置されている。第一アンカー部9
は穴12をそなえ、この穴12は第一アンカー部を貫通して
いる。この穴12を介して、第二マウントエレメント2を
エンジン5又は車体に連結することができる。第二アン
カー部10には、ほぼ半径方向に伸びる取り付けフランジ
13が形成され、第二アンカー部10は、このフランジ13を
介して、車体、自動車ボディ又は自動車のエンジン5と
連結される。
【0025】この場合の第二マウントエレメント2は次
のように形成される。すなわち、エンジン5の停止時の
静止中立位置を中心とする、自動車長手方向(つまり図
5に示すX方向、又はその逆方向)の小さな変位の第一
の領域で第一のバネ定数を有し、第一の領域に続き、自
動車長手方向のより大きな変位の第二の領域では第二の
バネ定数を有し、このとき第二のバネ定数は第一のバネ
定数よりも大きくなるように、第二マウントエレメント
2は形成される。このような構成は、本発明では特に次
のようにして達成される。すなわち、エンジン5停止時
の静止中立位置を中心とする変位が小さいときは、第二
マウントエレメント2のバネ定数が主として第一のスプ
リング体11によって決定されることにより達成される。
このスプリング体の持つバネ定数は、20〜500 N/mmの
間の範囲にある。このようにして静止中立位置を中心と
した軟らかい、柔軟なマウンティングが達成される。よ
り大きな変位の領域におけるバネ定数の上昇は、第二の
スプリング体14、14′によって達成される。たがいに向
かい合って配置されている第二のスプリング体14、14′
は、この実施例では、第一アンカー部9及び第二アンカ
ー部10の間の相対運動が特定の振幅を超過する場合にの
み、弾性変形するように配置、形成されている。第二の
スプリング体14、14′は、このようにより大きな変位の
領域でのみ作用するので、第二のスプリング体14、14′
のバネ定数を高め、したがってマウンティング特性を硬
化、硬くすることができる。
【0026】第一のスプリング体11は、エラストマー体
として形成され、これは第一アンカー部9及び第二アン
カー部10をたがいに連結する。その際、第一のスプリン
グ体11はブリッジ、連結体として形成され、このブリッ
ジは第二アンカー部10が取り囲む空間を通って伸びてい
る。すなわち第二アンカー部10に半径方向に取り囲まれ
る第一アンカー部9は、第一のスプリング体11を介して
第二アンカー部10と連結されている。第一のスプリング
体11の中に、金属スリーブにより形成される第一アンカ
ー部9が組み込まれ、加硫処理されている。第一のスプ
リング体11は、この実施例では、主として第一の平面15
に沿って延伸し、この平面はほぼ垂直、すなわちZ軸方
向に平行に配置されている。
【0027】第二のスプリング体14、14′は、第二アン
カー部10と第一のスプリング体11の間に形成された中空
部に配置されている。この実施例では、第二のスプリン
グ体14、14′は第二アンカー部10と第一のスプリング体
11とが画定する空間に配置され、第二アンカー部10と第
一のスプリング体11は、第二のスプリング体14、14′を
介して結合されている。これらのスプリング体は、第一
のスプリング体11と同様にエラストマー製で、第一のス
プリング体11とともにただ一度の処理過程で製造され
る。特に図6に示されるように、第二のスプリング体1
4、14′はそれぞれ両側に、すなわちそれぞれの半径方
向外側に、特に第一の平面15に関して対称となるように
第二の平面16に配置されている。このとき、第二の平面
は第一の平面15に対してほぼ垂直に延伸している。この
場合第二のスプリング体14及び14′と第一のスプリング
体11の間に、それぞれ空隙16及び16′が形成されてい
る。この空隙16、16′により、変位が空隙16、16′より
小さいときには、第二マウントエレメント2のバネ定数
が、ほぼ第一のスプリング体11だけで決定されるように
なる。変位が空隙16、16′の大きさを超過すると、第二
のスプリング体14、14′が動かされ又は変形されるの
で、第二のスプリング体14、14′のバネ定数が第一のス
プリング体のバネ定数に加算される。
【0028】ストッパーからストッパーへのエンジンの
極端に激しい運動により、第一チャンバ内壁17及び第二
チャンバ内壁19に負荷がかかるのを防止するため、流路
21にバルブ50を、特に第二アンカー部10に加硫されたゴ
ムリップを備えるバルブを設けることが有利である。
【0029】第二のスプリング体14、14′はバッファと
して形成され、このバッファは第一アンカー部9及び第
二アンカー部10の間の相対運動を制限する。第二のスプ
リング体14、14′のバネ定数は、変形が増大するほど上
昇するので、変位の大きさが増加するとともに第二マウ
ントエレメント2はより一層硬化する。
【0030】第二マウントエレメント2は、緩衝液を充
填されて、かつ第一チャンバ内壁17により区切られた第
一チャンバ18と、第一チャンバ18から分離され、第二チ
ャンバ内壁19により区切られた第二チャンバ20を備え、
このとき第二チャンバ20は流路21を介して第一チャンバ
18と連結されている。このような構成において、第一ア
ンカー部9と第二アンカー部10が相対運動することによ
り、第一チャンバ18の容積が変化し、それによって流路
21内の緩衝液は第一チャンバ18と第二チャンバ20の間を
移動する。第一チャンバ内壁17及び/又は第二チャンバ
内壁19は、柔軟な隔壁により形成されている。この隔壁
はエラストマー製であり、1つの工程で、第一のスプリ
ング体11及び第二のスプリング体14、14′とともに一体
的に製造、一体成形される。第一チャンバ内壁17及び/
又は第二チャンバ内壁19は、次のように配置、形成され
ている。すなわち、第一アンカー部9及び第二アンカー
部10の相対運動により、エンジン5の停止時の静止中立
位置を中心とする変位が小さな領域では、第一チャンバ
18の容積が変化しないように配置、形成されている。こ
れは上記の空隙16、16′によって達成されるが、この空
隙はチャンバ内壁17又は19と第一のスプリング体11の間
に形成されている。しかし変位がより大きな領域では、
第一アンカー部9と第二アンカー部10との相対運動によ
って、第一チャンバ18の容積が変化する。このようにし
て変位がより大きな領域では、第一アンカー部及び第二
アンカー部の間に生じる相対運動に対して流体による減
衰が行われる。
【0031】この実施例では、第二のスプリング体14、
14′は、第一チャンバ18又は第二チャンバ20に配置され
ている。このとき第二のスプリング体14及び14′と第二
アンカー部10の間に、間隔22及び22′が設けられる。第
一チャンバ18及び第二チャンバ20を連結する流路21は、
第二アンカー部10の内側で円周方向に延伸する。ここで
は流路21は外壁23に隣接して配置される。流路21の中に
は絞り弁が配置され、これにより流路21内の流量抵抗を
所望の値に調節することができる。
【0032】図9は、液圧式減衰マウント24の第一の実
施形態を示し、このマウントは、本発明において、第一
マウントエレメント1及び/又は第三マウントエレメン
ト3として使用することができる。
【0033】液圧式減衰マウント24は、第一の支持体25
と第二の支持体26を備え、このとき第一の支持体25と第
二の支持体26は相対運動可能に取り付けられている。金
属製の第一の支持体25及び第二の支持体26を介して、こ
の液圧式減衰マウント24は、一方でエンジン5又はギヤ
装置6と、他方で自動車ボディ、車体、特に剛性の高い
ボディ箇所、台枠固定箇所と連結することができる。
【0034】第一の支持体25と第二の支持体26の間に、
ゴムボディとして形成されたスプリングエレメント27が
設けられる。ゴムボディは、リング状であり、概略中空
の切頭錐体形状であって、このとき、このリング状のゴ
ムボディの半径方向外側端部は第二の支持体26と、リン
グ状のゴムボディの半径方向内側端部は第一の支持体25
と連結されている。本実施例では、スプリングエレメン
ト27を、加硫によって、第一の支持体25及び第二の支持
体26と連結することができる。
【0035】第二の支持体26は、マウント軸29をリング
状に囲む、半径方向外側から囲む第一ハウジング部28を
備える。第一ハウジング部28の端部に対向する第一の支
持体25の端部に、スプリングエレメント27が固定されて
いる。
【0036】第一ハウジング部28によって囲まれる空間
に、作動室30と調整室31が形成されている。作動室30
は、支持体33に取り付けられた隔壁32によって、調整室
31から分離されている。このとき、作動室30と調整室31
は、緩衝液を充填され、緩衝液流路34を介して互いに液
通して連結されている。
【0037】作動室30は、第一の支持体25、第一ハウジ
ング部28、隔壁32、支持体33によって画定される。調整
室31は、隔壁32の作動室30とは反対側の面、支持体33、
伸縮ダイヤフラムとして形成されたダイヤフラム35によ
って画定される。
【0038】第一の支持体25と第二の支持体26の間の相
対運動によって、緩衝液を完全に充填された、緩衝液に
よって満たされている作動室30の容積が変化し、それに
よって緩衝液は、作動室30と調整室31の間の緩衝液流路
34を介して移動する。柔軟な、可撓性のダイヤフラム35
によって、調整室31は緩衝液を完全に充填されていて
も、緩衝液による容積変化を吸収することが可能とな
る。マウント24に振動が導かれることによって、緩衝液
流路34内で緩衝液の固有周波数が励振されると、緩衝液
流路34に収められた緩衝液も振動を始め、それによって
振動の軽減が達成される。
【0039】第二の支持体26に第二ハウジング部36を設
け、このとき、第二ハウジング部36は、第一の支持体25
と間隔「l」をもって、第一の支持体25をリング状に囲
む。第一の支持体25にはストッパー37、37′が形成され
る。図9の左半分は、ストッパー37を持つ支持体25を走
行方向と平行に切った部分断面図を示す。図9の右半分
は、ストッパー37を持つ支持体25を走行方向を横切る方
向に切った部分断面図である。
【0040】ストッパー37、37′は、柔軟な、可撓性の
材料部分38、38′を備えるが、この材料部分をゴム製バ
ッファとして形成することが好ましい。
【0041】第一の支持体25と第二の支持体26の間の相
対運動の振幅が間隔lより小さいときは、液圧式減衰マ
ウント24の振動挙動はストッパー37の制御を受けない。
しかし相対運動の振幅が大きくなると、バッファ38が第
二ハウジング部36と接触して変形される。図9に示すよ
うに、バッファ38、38′の厚みは、X方向とY方向、す
なわち走行方向と走行方向を横切る方向で異なるので、
結果生じる衝撃の軟らかさがこれらの方向によって異な
る。図9に示した実施形態の場合では、バッファ38はバ
ッファ38′よりも厚く、すなわちY方向よりもX方向の
方が厚く、そのためX方向ではY方向よりも軟らかい衝
撃が得られる。
【0042】図10と11は、本発明において、第一マウン
トエレメント1及び/又は第三マウントエレメント3と
して利用することができるマウント39を示す。マウント
39は、液圧式減衰ブシュマウント(ハイドロブシュ)と
して形成されている。上記液圧式減衰マウント24と同じ
機能を示す部分には同じ参照番号を付してある。
【0043】液圧式減衰ブシュマウント39は、第一の支
持体25と、第一の支持体25に対して相対運動可能な支持
体26を備える。金属製の第一の支持体25及び第二の支持
体26を介して、液圧式減衰ブシュマウントマウント39
は、一方でエンジン5又はギヤ装置6と、他方で自動車
のシャシー、車体と連結される。第二の支持体26は、第
一の支持体25をリング状に囲む。すなわち半径方向外側
から囲む。このとき、第一の支持体25及び第二の支持体
26の間に、ゴムボディとして形成されたスプリングエレ
メント27が設けられている。第一の支持体25及び第二の
支持体26の間に形成された空間に、作動室30と調整室31
が形成されている。作動室30は、スプリングエレメント
27と第二の支持体26により画定されている。調整室31
は、第二の支持体26と柔軟な壁40により画定されてい
る。作動室30と調整室31は、緩衝液を充填され、緩衝液
流路34を介して相互に液通するように連結されている。
【0044】第一の支持体25及び第二の支持体26の間の
相対運動によって、緩衝液を完全に充填された、緩衝液
によって満たされている作動室30の容積が変化し、それ
によって緩衝液は作動室30と調整室31の間の緩衝液流路
44を介して移動する。このとき柔軟な、可撓性の壁40に
よって、緩衝液を完全に充填された作動室31は、緩衝液
による容積変化を吸収することができる。
【0045】液圧式減衰ブシュマウント39は、マウント
軸の横方向に作用するスプリングストッパー41を備え
る。このストッパーは柔軟なバッファで形成され、この
バッファは第二の支持体26に形成されている。スプリン
グストッパー41は、空隙42だけ第一の支持体25から隔置
されている。第一の支持体25のスプリングストッパー41
と対向する側には、同様に弾力のある、可撓性の層が設
けられている。さらに第二の支持体26は、半径方向内側
に向く、半径方向に延伸する第三ハウジング部43を備
え、この第三ハウジング部43は、第一の支持体25に形成
された軸方向のストッパー44に対するストッパー面を形
成する。自動車の横方向に作用する軸方向のストッパー
44は、空隙45だけ第三ハウジング部43から隔置されてい
る。軸方向のストッパー44はさらに、エラストマー製の
柔軟なバッファを備えている。図10に示されるように、
第一の支持体25は、さらにトルク支持バッファ46を備
え、このトルク支持バッファ46はマウント軸29を横切る
方向に、そしてスプリングストッパー41と位置をずらし
て配置されている。このトルク支持バッファ46はノイズ
を防止するものであって、このトルク支持バッファ46が
なければ、第一の支持体25及び第二の支持体26が接触す
ることによって、ノイズの発生することがある。
【0046】
【発明の効果】本発明は、車体に横向きに取り付けられ
ているエンジン−ギヤユニット(4)のマウントに関す
る。より詳細には、エンジン(5)と車体の間に配置さ
れている第一マウントエレメント(1)と、エンジン
(5)又はギヤ装置(6)と車体の間に配置されている
第二マウントエレメント(2)と、ギヤ装置(6)と車
体の間に配置されている第三マウントエレメント(3)
とを備えるマウントに関する。このようなマウントにお
いて、第二マウントエレメント(2)に支持されている
エンジン−ギヤユニット(4)のトルクが、ほぼ自動車
の長手方向に車体へ導かれるように、第二マウントエレ
メント(2)が形成され、かつ可動中間エレメントを利
用せずにエンジン又はギヤ装置と車体の間に配置され、
また第二マウントエレメント(2)が、エンジン(5)
の停止時の静止中立位置を中心とする自動車長手方向の
小さな変位を含む第一の領域では第一のバネ定数を有
し、この第一の領域に連続し、自動車長手方向のより大
きな変位を含む第二の領域では第二のバネ定数を有し、
第二のバネ定数は第一のバネ定数よりも大きい。
【0047】このような構成であることによって、エン
ジンからの振動の伝達を最小限に抑え、かつ低価格で製
造することができる、エンジン−ギヤユニット用マウン
トが提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエンジンマウントを上から見た図であ
る。
【図2】本発明のエンジンマウントを背面から見た図で
ある。
【図3】特に第二マウントエレメントとして利用される
マウントエレメントの3次元図である。
【図4】図3のエンジンマウントを上から見た図であ
る。
【図5】図3のエンジンマウントを前から見た図であ
る。
【図6】図4のエンジンマウントをA−Aの線で切った
断面図である。
【図7】図4のエンジンマウントをB−Bの線で切った
断面図である。
【図8】図5のエンジンマウントをC−Cの線で切った
断面図である。
【図9】本発明の第一マウントエレメント及び/又は第
三マウントエレメントとして利用されるマウントエレメ
ントの断面図である。
【図10】本発明の第一マウントエレメント及び/又は
第三マウントエレメントとして利用されるもう1つのマ
ウントエレメントの断面図である。
【図11】図10のマウントエレメントをD−Dの線で
切った断面図である。
【符号の説明】
1 第一マウントエレメント 2 第二マウントエレメント 3 第三マウントエレメント 4 エンジン−ギヤユニット 5 エンジン 6 ギヤ装置 7 トルクロール軸 9 第一アンカー部 10 第二アンカー部 11 スプリング体 13 固定フランジ 14 第二のスプリング体 15 第一の平面 16 空隙 18 第一チャンバ 20 第二チャンバ 25 第一の支持体 26 第二の支持体 30 作動室 31 調整室 32 隔壁 34 緩衝液流路 35 ダイヤフラム 37 ストッパー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16F 15/08 F16F 13/00 620V 620F Fターム(参考) 3D035 CA02 CA05 CA26 CA43 3J047 AA03 AA05 CA02 FA02 3J048 AA01 BA19 BA21 BG10 DA01 EA01

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体に横向きに取り付けられたエンジン
    −ギヤユニット(4)のマウントであって、 エンジン(5)と車体の間に配置されている第一マウン
    トエレメント(1)と、前記エンジン(5)又はギヤ装
    置(6)と前記車体の間に配置されている第二マウント
    エレメント(2)と、前記ギヤ装置(6)と前記車体の
    間に配置されている第三マウントエレメント(3)とを
    備えるものにおいて、 前記第二マウントエレメント(2)に支持されている前
    記エンジン−ギヤユニット(4)のトルクが、ほぼ自動
    車の長手方向に前記車体へ導かれるように、前記第二マ
    ウントエレメント(2)が形成され、かつ可動中間エレ
    メントを利用することなく前記エンジン又は前記ギヤ装
    置と前記車体との間に配置され、 前記第二マウントエレメント(2)が、前記エンジン
    (5)の停止時の静止中立位置を中心とする前記自動車
    の長手方向の小さな変位を含む第一の領域では第一のバ
    ネ定数を有し、かつ該第一の領域に連続し、前記自動車
    の長手方向のより大きな変位を含む第二の領域では第二
    のバネ定数を有し、この第二のバネ定数が前記第一のバ
    ネ定数よりも大きいことを特徴とするマウント。
  2. 【請求項2】 前記第二マウントエレメント(2)が、
    第一マウントエレメント(1)又は第三マウントエレメ
    ント(3)の下方に、特にほぼ垂直下方位置に配置され
    ている、請求項1に記載のマウント。
  3. 【請求項3】 前記第三マウントエレメント(3)が、
    トルクロール軸(7)に隣接して、又はトルクロール軸
    (7)上に配置されている、請求項1又は2に記載のマ
    ウント。
  4. 【請求項4】 前記第一マウントエレメント(1)が、
    トルクロール軸(7)よりも上方に配置されている、請
    求項1から3までのいずれか1項に記載のマウント。
  5. 【請求項5】 前記第二マウントエレメント(2)が、
    第一アンカー部(9)及び第二アンカー部(10)を備
    え、該第一アンカー部(9)と該第二アンカー部(10)
    が相対運動可能であり、前記第一アンカー部(9)及び
    第二アンカー部(10)の間で少なくとも1つのスプリン
    グ体(11、14、14′)が作用する、請求項1から4まで
    のいずれか1項に記載のマウント。
  6. 【請求項6】 前記第二マウントエレメント(2)がブ
    シュマウントであり、前記第二アンカー部(10)が前記
    第一アンカー部(9)を半径方向に間隔をおいて固定し
    ている、請求項5に記載マウント。
  7. 【請求項7】 前記第二マウントエレメント(2)が、
    第一チャンバ内壁(17)によって画定された第一チャン
    バ(18)と、この第一チャンバ(18)から分離されて第
    二チャンバ内壁(19)によって画定された第二チャンバ
    (20)を備え、かつ緩衝液を充填され、この第二チャン
    バが、流路(21)を介して前記第一チャンバ(18)と連
    結されており、前記第一アンカー部(9)と第二アンカ
    ー部(10)の相対運動によって、前記第一チャンバ(1
    8)の容積が変化し、それによって緩衝液が、前記第一
    チャンバ(18)と前記第二チャンバ(20)の間の前記流
    路(21)の中で移動する、請求項5又は6に記載のマウ
    ント。
  8. 【請求項8】 前記第一チャンバ内壁(17)及び/又は
    第二チャンバ内壁(19)が柔軟な隔壁によって形成さ
    れ、この隔壁が、前記第一アンカー部(9)及び第二ア
    ンカー部(10)の相対運動による、前記エンジンの停止
    時の静止中立位置を中心とする小さな変位領域では、前
    記第一チャンバ(18)の容積が変化しないように、かつ
    前記第一アンカー部(9)及び第二アンカー部(10)の
    相対運動による大きな変位領域では、前記第一チャンバ
    (18)の容積が変化するように配置されている、請求項
    7に記載のマウント。
  9. 【請求項9】 前記第一チャンバ内壁(17)及び/又は
    第二チャンバ内壁(19)が、エンジン停止時の静止中立
    位置にある場合に、前記スプリング体(11)に対して間
    隔をもって配置されている、請求項7又は8に記載のマ
    ウント。
  10. 【請求項10】 前記第一チャンバ(18)及び/又は前
    記第二チャンバ(20)が特に柔軟なバッファを備え、こ
    のバッファが、前記第一アンカー部(9)及び第二アン
    カー部(10)の相対運動を制限する、請求項7から9ま
    でのいずれか1項に記載のマウント。
  11. 【請求項11】 前記第一マウントエレメント(1)、
    前記第二マウントエレメント(2)及び/又は前記第三
    マウントエレメント(3)が、剛性の高いボディ箇所
    に、特に台枠固定箇所の領域に固定されている、請求項
    1から10までのいずれか1項に記載のマウント。
  12. 【請求項12】 前記エンジン−ギヤユニットが、正確
    に3つのマウントエレメントにより前記車体に取り付け
    られている、請求項1から11までのいずれか1項に記
    載のマウント。
  13. 【請求項13】 前記第一マウントエレメント(1)
    が、前記エンジン−ギヤユニット(4)の上端に又は上
    端に隣接して、かつ前記第二マウントエレメント(2)
    が、前記エンジン−ギヤユニット(4)の下端に又は下
    端に隣接して配置されている、請求項1から12までの
    いずれか1項に記載マウント。
  14. 【請求項14】 前記第一マウントエレメント(1)及
    び第三マウントエレメント(3)が、前記エンジン−ギ
    ヤユニット(4)の重心が、前記第一マウントエレメン
    ト(1)と前記第三マウントエレメント(3)の仮想連
    接線よりも下に位置するように配置されている、請求項
    1から13までのいずれか1項に記載マウント。
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