JP2001502043A - 流体力学的なトルクコンバータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 ケーシング（１３）内に受容されたタービン羽根車（２）と、コンバータロックアップクラッチ（１０）とを備えた流体力学的なトルクコンバータ（１）であって、コンバータロックアップクラッチが、ボス（３）に沿って軸方向に変位可能なピストン（１１）と、ボスに回動不能に配置されたクラッチディスク（１２）とを有していて、該クラッチディスクが、半径方向外側に位置する摩擦ライニング（２６）を備えている形式のものにおいて、軸方向でみて、ボスに自由回動可能に受容されたピストンの半径方向外側の縁部領域とクラッチディスクの摩擦ライニングとの間に、ケーシングに回動不能に配置された軸方向に可動な薄片（５０）が配置されている。

Description

【発明の詳細な説明】 流体力学的なトルクコンバータ 本発明は、ケーシング内に受容されたタービン羽根車と、コンバータロックア ップクラッチとを備えた流体力学的なトルクコンバータであって、コンバータロ ックアップクラッチが、ボスに沿って軸方向に変位可能なピストンと、ボスに回 動不能に配置されたクラッチディスクとを有していて、該クラッチディスクが、 半径方向外側に位置する摩擦ライニングを備えている形式のものに関する。この 場合、クラッチディスクの入力部材が、半径方向外側で摩擦ライニングを備えか つ出力部材が、半径方向内側で噛合い歯を介してボスに結合されている。 このような流体力学的なトルクコンバータは、一般にケーシング内部に、ケー シングに回動不能なポンプ羽根車、並びに、タービン羽根車とポンプ羽根車との 間に案内羽根車を有している。ピストンは通常、ボスに回動不能に結合されてい るか又はボスに対してダンパ（緩衝器）の所定の角度範囲で回動可能である。こ のようなトルクコンバータは、例えばドイツ国特許第３７２２８６０号明細書又 は第４４３１６４０号明細書から公知である。ピストンの高い回転質量に基づき 、特に駆動装置としての内燃機関のアイドリング状態 で、モータ・伝動装置ユニットの不快な走行印象を与えるラッセル騒音が生ずる 。 本発明の課題は、従来技術のトルクコンバータの音響特性が特にアイドリング 範囲で改善され、同時に僅かな製作費用を必要とする、コンバータロックアップ クラッチを備えた流体力学的なトルクコンバータを提供することにある。この場 合別の課題は、特に軸方向で僅かな所要構造スペースを有するトルクコンバータ を提供することにある。 更に本発明の課題は、流体力学的なトルクコンバータの製法を簡単にしかつ流 体力学的なトルクコンバータの構成部材を減少しかつこのようにして前記ユニッ トの安価な製作が達成されるようにすることにある。 前記課題は本発明の流体力学的なトルクコンバータによれば、軸方向でみて、 ボスに自由回動可能に受容されたピストンの半径方向外側の縁部領域とクラッチ ディスクの摩擦ライニングとの間に、ケーシングに回動不能に配置された軸方向 に可動な薄片が配置されていることによって、解決された。 この場合、ピストンがボスにおいて自由回動可能でありかつトルクの流れから 分離されていると、特に有利である。この場合ピストンは、増圧機能並びに薄片 及び薄片と対向摩擦面との間に配置された摩擦ライニングの圧着機能のみを有す る。 更に、薄片がほぼ円環状のエレメントとして構成さ れていると、有利である。この場合有利には、薄片はシート（薄板）成形部材又 は打抜き部材として製作される。 更に、薄片がケーシングに回動不能に連結されていると、有利である。 更に、薄片の半径方向外側の縁部領域に噛合い歯が設けられていて、この噛合 い歯が、トルクコンバータのケーシングに加工された内歯に係合していると、有 利である。 更に、薄片が噛合い歯を備えた、半径方向に延びる半径方向外側の領域を有し かつ半径方向に延びる半径方向内側の領域を有しかつ前記領域の間に設けられた 半径方向及び軸方向に延びる折曲げられた領域を有していると、有利である。 同様に、薄片の半径方向内側の縁部領域が摩擦ライニングの半径方向内側の縁 部領域の半径方向内側に位置すると、有利である。 特に、薄片の半径方向内側の縁部領域がクラッチディスクのダンパの半径方向 外側に位置すると、有利である。 次に図示の実施例に基づき本発明を説明する。 第１図は、トルクコンバータの断面図、第２図は、クラッチディスク及び薄片 を示す図である。 第１図では流体力学的なトルクコンバータ１が図示されていて、この場合、タ ービン羽根車２がタービン 羽根車シェル２ａによって概略的に示されている。タービン／タービン羽根車２ は、ボス３に回動不能に配置されているか又は結合されている。このような結合 は、通常リベット結合又は溶接によって行われる。トルクコンバータ１のケーシ ング１３内には、タービン羽根車２以外に更にポンプ羽根車及び場合によっては 案内羽根車が配置されている。 トルクコンバータのタービン２並びにピストン１１及びクラッチディスク１２ を備えたコンバータロックアップクラッチ１０は、ケーシング１３内部に配置さ れている。この場合、クラッチディスク１２はディスク１２の入力部材と出力部 材との間にねじり振動ダンパを有している。 クラッチディスク１２は、ほぼ２つのサイドディスク２０，２１（入力部材） の間で軸方向で受容されたフランジ（出力部材）２２から構成されている。サイ ドディスクは、少なくとも１つの固定部材２３，２４、例えばリベット部材によ って互いに軸方向で不変な間隔を置いて結合されていてかつ互いに回動不能に配 置されている。固定部材２４によってサイドディスク２０，２１にライニング支 持ディスク２５が結合されていて、このライニング支持ディスクは、少なくとも 片側で又は有利な実施例では両側で摩擦ライニング２６ａ，２６ｂを支持してい る。ディスク状の構成部材としてのライニング支持体は、半径方向内側に舌片２ ５ａを有していて、この舌片は、サイドディスク２１にリベット結合するのに用 いられる。サイドディスク２０は同様に半径方向内側に舌片２０ａを有していて 、この舌片は、ライニング支持ディスク２５の舌片２５ａの切欠き内に係合して いる。この場合、サイドディスク２０，２１間の結合は、各第２のリベット２４ によって行われかつ別のリベット結合部は、サイドディスクとライニング支持体 との結合に用いられる。これによって、各リベットを介してそれぞれ２つのシー ト（薄板）のみが結合される。これによって有利には、軸方向の所要構造スペー スが減少される。 フランジ２２は、蓄力部材を受容するための開口部を設けられた、例えば打抜 き加工された、半径方向に延びる領域を有している。更に、フランジ２２の半径 方向内側の空間領域２２ａには、軸方向に延びるほぼ中空円筒状の脚部２２ｂが 設けられていて、この脚部は、半径方向内側で内歯７０を有している。内歯７０ は、ボスの外歯７１に噛合い係合している。これにってトルクはフランジからボ ス３に伝達される。ボス自体は、トルク伝達のために伝動装置入力軸（図示せず ）に結合可能な内歯７３を有している。 摩擦ライニング２６ａ，２６ｂは、ほぼ円環状又は楕円形のライニングとして ライニング支持ディスクに取り付けられている、例えば接着されているか又はプ ラス嵌めされている。ライニングは、流体を通流させ るための溝を有している。流体は、コンバータロックアップクラッチが閉じられ た場合でも溝を介して流れることができる。 サイドディスク２０，２１は、蓄力部材３２，３３を受容するための受容領域 として開口３０、例えばばね開口部又はオイル密な湾曲部又は膨出部を有してい る。フランジ２２は、蓄力部材を受容するためにばね開口部のような切欠き３１ を有している。 サイドディスク及びフランジの受容領域内には、蓄力部材３２，３３、例えば 圧縮ばねが配置されていて、この圧縮ばねは、サイドディスクとフランジとが相 対回動した場合に蓄力部材を介してサイドディスクからフランジへのトルク伝達 が行われるように、配置されている。これによって、ダンパ（緩衝器）が形成さ れる。サイドディスク２０，２１及びフランジ２２を軸方向でセンタリングする ために、蓄力部材２７、例えば皿ばねが、一方のサイドディスクとフランジとの 間でダンパの半径方向内側の領域に配置されている。皿ばねは、半径方向内側で サイドディスクにかつ半径方向外側でフランジに支持されていて、この場合皿ば ねは、噛合い歯を介してフランジ又は対向ディスクの対応噛合い歯に係合できか つこのようにしてサイドディスク又はフランジに回動不能に結合できる。皿ばね は、フランジとモータ側に配置されたサイドディスクとの間並びにフランジとタ ービン羽根車側に配置され たサイドディスクとの間に配置できる。特に、それぞれ他方のサイドディスクが 相対回動時に摩擦接続式にフランジに支持されると有利であり、このことは、結 合部材２３の半径方向内側で図示されている。 ピストン１１の半径方向外側の縁部領域には、コンタクト面又は摩擦面４０が 設けられている。ピストン１１は、中央の切欠きを備えた円環状の部材として構 成されていて、この場合、切欠きはボス自体を受容する。従って、ピストン１１ はボス３によって支持される。ピストン１１の半径方向内側の領域には、軸方向 に折り曲げられた領域４１が設けられていて、この領域４１は、ボスを受容する ための脚部として用いられる。脚部４１とボスとの間では周方向溝４２内にシー ルリング４３が受容されていて、このシールリングはピストンをボスに対してシ ールする。ピストンは、ボスに対して自由回動可能でありかつ軸方向に変位可能 に配置されている。この場合、ピストンの半径方向内側の領域はボス３の半径方 向外側の領域３ａに軸方向で支持でき、この領域は、ピストン４とボス３ａとの 間に配置されているスラスト軸受け９０、例えば支承ディスク又は滑り軸受け又 は転がり軸受けを備えている。ピストンは、有利な実施例ではボス３に対して回 転可能に配置されている。これによってピストンは、0コンバータの駆動側で振 動が生じた場合にねじり振動を受けずしかもピストンの慣性モーメントはこのよ うな振動から減結合される。これによって、ピストンによるラッセル騒音が、完 全には回避されないとしても、少なくとも減少される。 軸方向でみてクラッチディスク１２の一方の摩擦ライニング２６ｂとピストン １１との間には、円環状の薄片５０が配置されていて、この薄片は、薄片の、半 径方向外側に位置する噛合い歯５２を介してケーシングの内歯５１によりケーシ ングに回動不能に結合されている。薄片５０は、ケーシングの噛合い歯５１内で 軸方向に変位可能である。形状係合式の結合は、有利には別の構成部材を間挿す ることなしに薄片とケーシングとの間で行われる。 薄片の半径方向内側の縁部領域５５は、摩擦ライニングの縁部領域の半径方向 内側に配置されている。薄片５０は、半径方向に延びる半径方向内側の薄片領域 と半径方向に延びる半径方向外側の薄片領域との間に、軸方向でみて折り曲げら れた中間領域５０ａを有している。 圧力室６０を圧力負荷して、つまり圧力室６０の圧力が圧力室６１の圧力より も大きい場合にクラッチが連結されかつピストンが摩擦リング５３，５４に接触 しかつ薄片５０が摩擦面２６ｂに対して負荷されかつ摩擦面２６ａが摩擦クラッ チのケーシング側の摩擦面に対して負荷される。クラッチは連結されるか又はス リップするよう作動される。圧力室６１の圧力が圧力 室６０の圧力よりも大きい場合には、クラッチが解離される。摩擦リング５３， ５４は、一体に形成することもできる。摩擦リングは、軸方向力をピストンから 薄片に伝達するのに用いられると同時に、薄片とピストンとの間で回転数差が生 じた場合に摩擦損失を減少するのに又は摩耗を減少するのに用いられる。同様に 、単数又は複数の摩擦リングを介した良好な熱排出を行うために、摩擦リングが 比較的薄く形成されていると、有利である。 第２図では、クラッチディスク１２及び薄片５０の一部を図示している。図面 では、ボス３に対するトルク伝達のためにフランジ２２の、半径方向内側に位置 する噛合い歯、例えば内歯７０が図示されている。サイドディスク２１は結合部 材２３、例えばリベットによって、対向側のサイドディスク２０（図示せず）に 回動不能にしかも軸方向で不動に結合されている。リベット２３は、ほぼ均一に 周方向に亘って分配されている。サイドディスク２０内には、蓄力部材３２，３ ３を受容するために、ばね開口部３０が設けられている、例えば打抜き加工され ている。蓄力部材３２，３３は、直径の異なる同軸的に配置された蓄力部材によ って形成されていてかつトルク伝達のために周方向でみて最終巻条で開口端部３ ０ａ，３０ｂに接触している。 クラッチディスク１２の半径方向外側の領域には、 円環状のライニング支持体２５が結合部材２４によってサイドディスク２０，２ １の少なくとも一方に結合されている。ライニング支持体２５は、両側でそれぞ れ少なくとも１つの摩擦ライニングを有していて、この摩擦ライニングは有利に は、流体通流及び冷却のために溝を有することができる。 更に本発明は、本発明の公開内容を明瞭に示すドイツ国出願第１９６３４０２ ９号明細書の内容に関連する。 薄片５０は、負荷された場合に摩擦ライニング２６ｂの摩擦面に摩擦接触する 摩擦面を有する。薄片５０の半径方向外側の領域には、ケーシングカバー内の内 歯に噛合い係合する噛合い歯５２が設けられている。噛合い係合によって薄片５ ０は、ケーシングに回動不能にしかも軸方向可動に配置されている。 従って、クラッチを連結した場合に力の流れ又はトルクの流れは、トルクコン バータｌのケーシング１３から出発してクラッチディスクの摩擦ライニング２６ ａの一方の摩擦面にかつケーシング１３から薄片５０の噛合い歯５１，５２を介 して薄片５０からクラッチディスクの他方の摩擦ライニング２６ｂの他方の摩擦 面にかつそこからサイドディスク２０，２１及び蓄力部材３２，３３を介してフ ランジ２２にかつフランジ２２から噛合い歯７０，７１を介してボス３にかつボ ス３から伝動装置入力軸（図示せず）に行われる。ピ ストン１１は、トルク伝達には用いられず、特にピストンはボス３及びケーシン グ１３に対して回動可能に配置されている。 構成部材の順序は軸方向でみて次の通りである。即ち、対向摩擦面を備えたケ ーシング１３、摩擦面を備えた摩擦ライニング２６ａ、ライニング支持体２５、 摩擦面を備えた摩擦ライニング２６ｂ、薄片５０及びピストン１１。 図示のトルクコンバータはほぼ、変形加工により、例えば深絞り加工により成 形又は構成されたシート部材から形成される。同様に構成部材、例えばピストン はアルミニウムから製作できる。 コンバータロックアップクラッチを備えたトルクコンバータは、例えば圧力室 を圧力負荷するために制御可能な弁及びコンピュータユニットを備えた制御機構 による適当な制御を行う場合に、コンバータロックアップクラッチが所定の作動 領域でスリップするよう制御されかつその都度の作動時点に関連して開閉作動さ れるように、使用される。 本発明により提示された請求の範囲は、広範の特許防護を得るための先入観の ない形式的な提案である。本願出願人は、これまで明細書及び/又は図面でのみ 開示された特徴以外の別の特徴を請求することを保留する。 従属請求項で記載の構成によって本発明の別の構成 が可能である。しかし、従属請求項の独自の特徴を放棄するものではない。 従属請求項の構成によって、その他の請求項とは無関係な独自の構成が得られ る。 本発明は図示の実施例に限定されるものではない。むしろ本発明の範囲におい て種種の変更及び修正が可能である。明細書及び図面並びに請求の範囲記載の特 徴及びエレメント並びにプロセスステップに関連して、個々に及び組み合わせて 発明性を有する変化構成、エレメント、組み合わせ及び/又は材料も可能である 。組み合わされた特徴により、新たな構成並びに新たなプロセスステップもしく はプロセスステップ順序、特に製作、チェック及び作業プロセスが得られる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ミーシャ グラドゥー アメリカ合衆国 オハイオ ウースター グリーンズヴュー ドライヴ 1109

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．ケーシング内に受容されたタービン羽根車と、コンバータロックアップク ラッチとを備えた流体力学的なトルクコンバータであって、コンバータロックア ップクラッチが、ボスに沿って軸方向に変位可能なピストンと、ボスに回動不能 に配置されたクラッチディスクとを有していて、該クラッチディスクが、半径方 向外側に位置する摩擦ライニングを備えている形式のものにおいて、軸方向でみ て、ボスに自由回動可能に受容されたピストンの半径方向外側の縁部領域とクラ ッチディスクの摩擦ライニングとの間に、ケーシングに回動不能に配置された軸 方向に可動な薄片が配置されていることを特徴とする、流体力学的なトルクコン バータ。 ２．薄片が、ほぼ円環状の部材として構成されている、請求項１記載のトルク コンバータ。 ３．薄片が、トルクコンバータのケーシングに回動不能に結合されている、請 求項１記載のトルクコンバータ。 ４．薄片の半径方向外側の縁部領域に、トルクコンバータのケーシング内に加 工された内歯に係合する噛合い歯が設けられている、請求項１記載のトルクコン バータ。 ５．薄片が、噛合い歯を備えた、半径方向に延びる 半径方向外側の領域と、半径方向に延びる半径方向内側の領域と、前記両領域の 間に設けられた半径方向及び軸方向に延びる折曲げられた領域とを有している、 請求項１から４までのいずれか１項記載のトルクコンバータ。 ６．薄片の半径方向内側の縁部領域が、摩擦ライニングの半径方向内側の縁部 領域の半径方向内側に位置している、請求項１から５までのいずれか１項記載の トルクコンバータ。 ７．薄片の半径方向内側の縁部領域が、クラッチディスクのダンパの半径方向 外側に位置している、請求項１から５までのいずれか１項記載のトルクコンバー タ。 ８．ケーシング内に受容されたタービン羽根車と、コンバータロックアップク ラッチとを備えた流体力学的なトルクコンバータであって、コンバータロックア ップクラッチが、ボスに沿って軸方向に変位可能なピストンを有している形式の ものにおいて、本願明細書に相応するトルクコンバータの特別な構成及び作用形 式を有することを特徴とする、流体力学的なトルクコンバータ。