JP2001336156A - 石詰め枠構築用の枠ユニット、およびこれを用いた壁構築方法 - Google Patents

石詰め枠構築用の枠ユニット、およびこれを用いた壁構築方法

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Akihiro Morita
昭宏 森田
Kengo Hori
堀  謙吾
Makoto Fukui
真 福井
Kenichi Senda
賢一 千田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 連続する斜面を持つ石詰め壁を構築する際の
施工性を向上させ、かつ部材数も少なく済むようにす
る。 【解決手段】 平行四辺形骨材(間隔保持部材)3を少
なくともパネル幅の間隔の2箇所(図示例では中央も含
めて3箇所)に配置し、その前面斜辺部3bおよび背面
斜辺部3cに溶接金網によるパネル4をそれぞれあてが
い、連結用鋼線コイル6で連結し、前面パネル4と背面
パネル4間に梁10を掛け渡して、枠ユニット1を形成
する。パネル4の縦線材4aの下端部にはフック部4c
が設けられている。この枠ユニット1を組み立て石を詰
めて、壁の1段部分を形成し、これを複数段について繰
り返して、複数段の石詰め壁を構築する。枠ユニット1
を段積みする際、上側の枠ユニット1のパネル4のフッ
ク部4cが下側の枠ユニット1のパネル4の上部の横線
材4bに係合して、上下のパネル4が互いに係合し、こ
れにより上下の枠ユニット1が互いに連結される。別部
材を用いることなく、上下の枠ユニット1を簡単に係合
させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、護岸壁、擁壁、
法面等として、連続する斜面を持つ石詰め壁を構築する
際に用いる枠ユニット、およびこれを用いて行う壁構築
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、護岸壁等として石詰め壁を構
築する場合、施工すべき壁ラインに沿ってフトン籠(蛇
籠ともいう)を並べて配置し、内部に石を詰めた後、そ
の上に再びフトン籠を並べて配置し石を詰めるという作
業を繰り返して、石詰めフトン籠の複数段からなる壁を
構築する施工法がある。この種の工法におけるフトン籠
は一般に直方体状であり、前後左右底面の5つのパネル
を現場で直方体状に組み立てるか、あるいは、L形等の
複数面を持つパネル部材を用いて現場で直方体状に組み
立てるかするのが一般的である。そして、いずれの場合
でも、上下のフトン籠どうしの係合は、連結棒やピンや
鋼線コイル等の別部材の連結金具を用いて行っている
(実開昭63−85342号等参照)。上記の直方体状
のフトン籠を用いて施工した壁は、前面が階段状になる
が、直方体の前面が傾斜したフトン籠を用いて、連続す
る斜面が形成される石詰め壁を構築する場合でも、施工
法としては階段状の壁を構築する場合と同じである(特
開平10−131194号、特開平11−71768
号、特開平11−107238号等参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のように直方体状
ないし前面が傾斜した直方体状のフトン籠を用いる従来
工法は、組み立て煩雑であり施工性が低い。特に、上下
のフトン籠の連結のために別部材の連結金具を用いるの
で、その上下連結の作業性が悪いとともに、部材数が増
加してコスト高となるという問題がある。本発明は、上
記従来の欠点を解消するためになされたもので、連続す
る斜面を持つ石詰め壁を構築する際に、施工性が良好で
あるとともに、部材数が少なく済む石詰め枠構築用の枠
ユニット、およびこれを用いる壁構築方法を提供するこ
とを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の石詰め枠構築用の枠ユニットは、護岸、法面保護等
を構築する石詰め枠構築用の枠ユニットであって、前面
側のパネルと背面側のパネルとこれら両パネルの間隔を
保持する間隔保持部材とを備え、当該枠ユニットを段積
みした時に上側のパネルの下縁部と下側のパネルの上縁
部とが直接係合可能な継ぎ手構造を有することを特徴と
する。
【0005】請求項2は、請求項1の石詰め枠構築用の
枠ユニットにおけるパネルが溶接金網からなることを特
徴とする。
【0006】請求項3は、請求項2の石詰め枠構築用の
枠ユニットにおける継ぎ手構造が、上側のパネルの最下
位の横線材から下方に突き出た上側継ぎ手部が下側のパ
ネルの上部の横線材に係合する構造であることを特徴と
する。
【0007】請求項4は、請求項3の石詰め枠構築用の
枠ユニットにおける継ぎ手構造が、溶接金網である前記
パネルの最上位の横線材を縦線材を挟む2本で構成し、
当該枠ユニットを段積みした時に、上側のパネルの縦線
材の直線状のままの下端部が、下側の前記最上位の2本
の横線材間に緊密に嵌入される構造であることを特徴と
する。
【0008】請求項5は、請求項3の石詰め枠構築用の
枠ユニットにおける継ぎ手構造が、溶接金網である前記
パネルの縦線材の下端部に、当該枠ユニットを段積みし
た時に、下側のパネルの最上位より下の横線材に引っ掛
け可能なフック部を形成した構造であることを特徴とす
る。
【0009】請求項6は、請求項5の石詰め枠構築用の
枠ユニットにおけるフック部を、パネルの縦線材の直線
状の下端部の片側または両側に別体のフックを溶接して
構成したことを特徴とする。
【0010】請求項7は、請求項5の石詰め枠構築用の
枠ユニットにおけるフック部を、パネルの縦線材を最下
位の横線材部分でパネル表側に曲折した後にパネル裏面
側に折り返して形成するとともに、さらにパネル正面か
ら見て横向きに傾斜させて構成したことを特徴とする。
【0011】請求項8は、請求項1〜7の石詰め枠構築
用の枠ユニットにおける前面のパネルおよび背面のパネ
ルが互いに平行であることを特徴とする。
【0012】請求項9は、請求項8の石詰め枠構築用の
枠ユニットにおける間隔保持部材が略平行四辺形をな
し、パネル幅の間隔で互いに平行に並べた2つの間隔保
持部材の前面斜辺部間および背面斜辺部間に、前記パネ
ルの左右両端部を連結したことを特徴とする。
【0013】請求項10は、請求項1〜9の石詰め枠構
築用の枠ユニットにおいて、枠ユニットの幅方向中間位
置で、前面のパネルの上部と背面のパネルの上部との間
に係合状態で架け渡される梁材を設けたことを特徴とす
る。
【0014】請求項11は、前面側のパネルと背面側の
パネルとこれら両パネルの間隔を保持する間隔保持部材
とを備えた枠ユニットを段積みし内部に石を詰めて、連
続する斜面を持つ石詰め壁を構築する壁構築方法であっ
て、前記枠ユニットを段積みする際に、上側のパネルの
下縁部と下側のパネルの上縁部とを直接係合させること
を特徴とする。
【0015】請求項12は、連続する斜面を持つ石詰め
壁を構築する壁構築方法であって、間隔保持部材として
複数の斜め補強材付き平行四辺形骨材をパネル幅の間隔
をおいて互いに平行に並べて立て、パネル幅間隔で隣接
する2つの平行四辺形骨材の前面斜辺部間および背面斜
辺部間にそれぞれ網状矩形のパネルをあてがい、前記平
行四辺形骨材を共有して隣接する左右のパネルを平行四
辺形骨材とともに連結部材を用いて連結して、隣接して
並ぶ複数の枠ユニットを組み立て、この枠ユニット内に
石を詰めて壁の1段部分を形成し、その1段部分の上に
略同じ工程で枠ユニットを形成するとともに、上側の枠
ユニットのパネルの下縁部と下側の枠ユニットのパネル
の上縁部とを直接係合させ、上側の枠ユニットに石を詰
めて壁の次ぎの1段部分を形成し、これを繰り返して、
連続する斜面を持つ石詰め壁を構築することを特徴とす
る。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図1
〜図12を参照して説明する。図1は本発明の一実施形
態の枠ユニット1の斜視図、図2(イ)は図1の枠ユニ
ット1の側面図である。また、図3はこの枠ユニット1
を用いて施工した石詰め壁の断面図、図4は図3の石詰
め壁の石詰め枠(枠ユニット1を段積みした全体を指
す)の石を省いて示した斜視図である。この実施形態の
枠ユニット1は、パネル幅の間隔で互いに平行に並べた
2つの斜め補強材付き平行四辺形骨材(間隔保持部材)
3の前面斜辺部3b間および背面斜辺部3c間にそれぞ
れ網状矩形のパネル4の左右両端部を連結用鋼線コイル
6で連結するとともに、各パネル4の下端部および上端
部を、当該枠ユニット1を段積みする際に上下のパネル
4どうしを直接係合させることができる継ぎ手構造とし
ている。また、この実施形態では、前面のパネル4の最
上位の横線材4bと背面のパネル4(4’)の最上位の
横線材4bと間に、例えば9mmφの鋼線の両端にフッ
ク部10aを形成した梁材10を架け渡している。
【0017】前記斜め補強材付き平行四辺形骨材(以
下、平行四辺形骨材と略す)3は、例えば9mmφ等の
鋼線を曲折して平行四辺形状にして端末どうしを突き合
わせ溶接し、かつ、斜め補強材3aを溶接固定したもの
で、実施形態ではパネル幅方向の両端部と中央との3箇
所に配置している。なお、詳細は後述するが、壁施工時
にパネル両端の平行四辺形骨材3は隣接する枠ユニット
1に共有される。
【0018】前記パネル4は例えば6mmφ鋼線による
縦線材4aと横線材4bとを格子状に溶接した溶接金網
であり、各縦線材4aの下端部にく字形に曲折してなる
フック部4cを備えている。このフック部4cは詳細は
後述するが、上下のパネル4を連結する継ぎ手構造の一
部を構成する。図2(ロ)のパネル4の拡大側面図に示
すように、横線材4bのうち、パネル4の上から2番目
の横線材4b、下から2番目の横線材4bおよび最下位
の横線材4bは、縦線材4aの両面に溶接固定された2
本(ダブル)からなり、他は1本(シングル)である。
【0019】上記の枠ユニット1を用いて護岸壁、擁壁
等の石詰め壁を構築する場合、まず、壁を構築すべき地
盤に、パネル4の幅と同じ幅で矩形をなす同じく溶接金
網による底面パネル12(図4参照)を、構築すべき壁
ラインに沿って隣接して敷き並べ、各底面パネル12の
上で図1の枠ユニット1を、端部の平行四辺形骨材3を
共有する形で組み立てる。1つの枠ユニット1の組み立
てについて説明すると、まず、左右の平行四辺形骨材3
と中央の平行四辺形骨材3を底面パネル12の左右両端
部および中央に位置させ、連結用鋼線コイル6aにより
各平行四辺形骨材3の底辺部3dと底面パネル12の線
材部分とを連結する。次いで、前面パネル4および背面
パネル4(4’)を底面パネル12の前後縁部に寝かせ
て配置し、パネル4の下端部と底面パネル12の前後縁
部とを同じく連結用鋼線コイル6bを用いて連結する。
なお、最下段の枠ユニット1のパネル4は下端部にフッ
ク部を持たない単なる矩形の溶接金網である。次いで、
前面パネル4および背面パネル4(4’)を起して、平
行四辺形骨材3の前面斜辺部3bおよび背面斜辺部3c
にそれぞれあてがい、連結用鋼線コイル6で連結する。
この場合、前述の通り、隣接する枠ユニット1の境界で
は、1つの平行四辺形骨材3を左右の枠ユニット1に共
通の部材として用い、この1つの平行四辺形骨材3と左
右のパネル4のそれぞれ端部とをまとめて連結用鋼線コ
イル6で連結する。次いで、パネル両端と中央との中間
位置の2箇所において、前面パネル4の最上位の横線材
4bと背面パネル4(4’)の最上位の横線材4bとの
間に、両端のフック部10aを引っ掛ける形で梁10を
架け渡す。これにより、枠ユニット1の形状が安定し、
かつ強度が増大する。なお、壁の両端部では、枠ユニッ
ト1の側面に側面パネル(図示略)を取り付けて、側面
を閉ざす。次いで、この枠ユニット1の内部に石(図3
では15で示す)を充填する。これにより、壁の最下段
の1段部分が形成される。
【0020】次いで、壁の下から2段目部分を形成す
る。まず、最下段の枠ユニット1の各平行四辺形骨材3
の上に平行四辺形骨材3を乗せ、連結用鋼線コイル6c
(図4参照)を用いて連結し、次いで、前面パネル4お
よび背面パネル4(4’)を平行四辺形骨材3の前面斜
辺部3bおよび背面斜辺部3cに、いずれもフック部4
cを前方に向けてそれぞれあてがい、連結用鋼線コイル
6で連結する。その際、上下のパネル4どうしの係合
は、図5に詳細を示すようにして行う。すなわち、図5
(イ)のように、上側のパネル4(U)の縦線材4aの
下端のフック部4cを下側のパネル4(D)の最上位の
横線材4bの下側にくぐらせ、矢印のように回転させて
起し、図5(ロ)のようにフック部4cを下側のパネル
4の上から2番目の横線材4bに係合させる。上側のパ
ネル4の最下位の横線材4bは、下側のパネル4の最上
位の横線材4b上に乗る。上側のパネル4のフック部4
cおよび最下位の横線材4bと、下側のパネル4の上か
ら2番目の横線材4bおよび最上位の横線材4bとは、
上下のパネル4を係合させる継ぎ手構造を構成する。こ
のように本発明では別部材を用いて上下のパネル4を係
合させるのでなく、パネル4自体に継ぎ手構造を備えて
いるので、上下のパネル4を係合させる作業がきわめて
容易で能率的である。また、別部材を用いないので、部
材数が少なく済む。
【0021】上記のように石詰めした最下段の枠ユニッ
ト1の上に下から2段目の枠ユニット1を組み立てる作
業を、各最下段の枠ユニット1の上で繰り返して、下か
ら2段目の枠ユニット1の組み立てがすべて終了した
後、ないし一部が終了する毎に、その内部に石を詰める
と、石詰め壁の下から2段目の部分が形成される。上述
の作業を順次繰り返して所定段数を形成した後、最上段
部分の枠ユニット1に上面に蓋パネル16(図4参照)
を連結用鋼線コイル6dで取り付けると、図3に示すよ
うに、連続する斜面を持つ石詰め壁が構築される。な
お、図3の壁は河川の護岸壁であり、壁の最下段部分が
地中に埋まった施工態様である。
【0022】図6に上下のパネル4の継ぎ手構造につい
ての他の実施形態を示す。同図(イ)は上下のパネル4
を係合させる直前の状態、(ロ)は係合させた状態を示
す。この実施形態のパネル4は、縦線材4aの下端部が
直線状のままであり、最上位の横線材4bが縦線材4a
を挟む両側に2本(ダブル)ある。この場合、上側のパ
ネル4(U)の最下位の2本の横線材4bが下側のパネ
ル4(D)の最上位の2本の横線材4bの上に乗るとと
もに、上側のパネル4の縦線材4aの直線のままの下端
部が、下側のパネル4の最上位の2本の横線材4b間に
緊密に嵌合することで、みだりに抜けないように係合す
る。
【0023】図7に上下のパネル4の継ぎ手構造につい
てのさらに他の実施形態を示す。同図(イ)はパネル4
のフック部4cの近傍の斜視図、(ロ)は上下のパネル
4を係合させた状態の正面図、(ハ)は(ロ)のA−A
断面図である。この実施形態のパネル4は、縦線材4a
の直線状の下端部の片側に別体のフック4’cを溶接固
定してフック部4cを形成したものである。図6までの
各実施形態では、上側パネル4の縦線材4aと下側パネ
ル4の縦線材4aとが横にずれた状態となり、したがっ
て、上側パネル4と下側パネル4とが若干横にずれた状
態で組み立てられる。しかし、図7の実施形態では、上
下の縦線材4aの芯が一直線上にあり、上下のパネル4
の横方向のずれが解消され、正しく整列する。
【0024】図8に上下のパネル4の継ぎ手構造につい
てのさらに他の実施形態を示す。同図(イ)はパネル4
のフック部4cの近傍の斜視図、(ロ)は上下のパネル
4を係合させた状態の正面図、(ハ)は(ロ)のB−B
断面図である。この実施形態のパネル4は、縦線材4a
の直線状の下端部の両側に別体のフック4’cをそれぞ
れ溶接固定してフック部4cを形成したものである。こ
の実施形態の場合も、図7の実施形態と同じく、上下の
縦線材4aの芯が一直線上にあり、上下のパネル4の横
方向のずれが解消され、正しく整列する。また、フック
4’cがダブルであるから、係合強度が高い。
【0025】図9に上下のパネル4の継ぎ手構造につい
てのさらに他の実施形態を示す。同図(イ)はパネル4
のフック部4cの近傍の斜視図、(ロ)は上下のパネル
4を係合させた状態の正面図、(ハ)は(ロ)のC−C
断面図である。この実施形態のパネル4は、縦線材4a
を最下位の横線材4bの部分でパネル表側(図9(ハ)
の左側)に曲折した後にパネル裏側に折り返してフック
部4cを形成するとともに、さらに同図(ロ)にも示す
ように、このフック部4cをパネル正面から見て横向き
に傾斜させたものである。これにより、別体のフックを
溶接固定する方法によらず、縦線材4aを曲折する加工
だけで、上下の縦線材4aの芯を一直線上にすることが
できる。
【0026】また、上述の各実施形態ではパネル4の最
下位の横線材4bがダブル(2本)であるが、図10に
示すように、パネル4の最下位の横線材4bをシングル
(1本)としてもよい。また、図11に示すように、縦
線材4aの直線部を最下位の横線材4bから下方に長く
伸ばした後に横向きU字形に曲折した、局所的な爪形状
のフック部4cとしてもよい。
【0027】縦線材4aの下端にフック部4cを設ける
種々の態様を図12に示す。上述の各実施形態のパネル
4は、同図(イ)にも示すように、パネル4のすべての
縦線材4aにフック部4cを形成しているが、必要な係
合強度が得られれば、(ロ)〜(ニ)に示すように一部
について省略してもよい。すなわち、(ロ)は1つおき
の縦線材4aについて、フック部4cを省略し直線のま
まとしたものである。(ハ)は両端の縦線材4aについ
てフック部を省略したものである。(ニ)は片側端の縦
線材だけにフック部4cを省略したものである。
【0028】上述の実施形態では、上下のパネル4を係
合させるための継ぎ手構造として、上側パネル4の縦線
材4aの下端に形成したフック部4cが下側パネル4の
上部の横線材4bに係合する構造としたが、逆に、下側
パネル4の縦線材4aの上端に形成したフック部が上側
パネル4の下端の横線材に係合する構造とすることもで
きる。要するに、上下のパネル4を上下方向に離脱しな
いように係合させることができる構造であればよい。ま
た、平行四辺形骨材3とパネル4とを連結させる連結部
材としては、実施形態のような連結用鋼線コイル6に限
らず、他の手段を採用することができる。
【0029】
【発明の効果】本発明の枠ユニットあるいは壁施工法に
よれば、枠ユニットを段積みした時に上側のパネルの下
縁部と下側のパネルの上縁部とが直接係合するので、係
合のために別部材を用いる従来工法と比べて、必要な部
材数を少なくすることができるとともに、上下のパネル
の係合作業の能率が向上する。
【0030】請求項2のようにパネルとして溶接金網を
用いることは、石詰め枠を形成する枠ユニットのパネル
として適切であり、上下のパネルの係合部を形成する上
で好都合である。
【0031】請求項3のように、上側のパネルの最下位
の横線材から下方に突き出た上側継ぎ手部が下側のパネ
ルの上部の横線材に係合する構造とすると、溶接金網で
ある上下のパネルを直接係合させる構造を容易に実現で
きる。
【0032】請求項4によれば、上側パネルの縦線材の
直線状の下端部を下側パネルのダブルの横線材間に単に
嵌入すればよいので、上下のパネルどうしの継ぎ手構造
をきわめて簡単に実現でき、また、係合作業が著しく簡
単になる。
【0033】請求項5によれば、フック部によって上下
のパネルどうしの係合作業を簡単に行えるとともに、確
実に係合させることができる。
【0034】請求項6によれば、パネルの縦線材の直線
状の下端部の片側または両側に別体のフックを溶接固定
してフック部とすることで、上下のパネルが左右にずれ
ることが回避され、正しく整列する。
【0035】請求項7によれば、パネルの縦線材の下端
部を曲折するという簡単な手段で、上下のパネルの左右
ずれの回避を実現できる。
【0036】請求項8のように、前面のパネルおよび背
面のパネルが互いに平行な枠ユニットは、石詰め壁を構
築するため枠ユニット構造として適切である。
【0037】請求項9によれば、間隔保持部材として
平行四辺形骨材を用いて枠ユニットを構成するので、連
続する斜面を持つ石詰め壁を構築するための枠ユニット
としてきわめて簡単であり、かつ施工性が良好である。 間隔をあけて配置した平行四辺形骨材の前面部および
背面部にそれぞれパネルを取り付けるという簡単な作業
で概ねの組み立てが行えるので、組み立て作業がきわめ
て容易かつ能率的であり、連続する斜面を持つ石詰め壁
を構築する際の施工性が向上する。
【0038】請求項10によれば、前後のパネル間に架
け渡した梁材により、枠ユニット内に充填した石を保持
する強度が増大する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の枠ユニットの斜視図であ
る。
【図2】(イ)は図1の枠ユニットの側面図、(ロ)は
パネルのみの拡大側面図である。
【図3】上記の枠ユニットを用いて施工した石詰め壁の
断面図である。
【図4】上記の枠ユニットを用いて構築した石詰め壁に
おける枠ユニットの段積み状態を説明する斜視図であ
る。
【図5】図4のように枠ユニットを段積みする際の上下
の枠ユニットのパネルどうしの係合要領を説明する図で
あり、(イ)は係合させる動作の途中の状態、(ロ)は
係合させた状態を示す。
【図6】本発明の枠ユニットにおけるパネルどうしの継
ぎ手構造の他の実施形態を示すもので、(イ)は係合さ
せる動作の途中の状態、(ロ)は係合させた状態を示
す。
【図7】本発明の枠ユニットにおけるパネルどうしの継
ぎ手構造のさらに他の実施形態を示すもので、(イ)は
パネル下端のフック部近傍の斜視図、(ロ)は上下のパ
ネルどうしを係合させた状態の正面図、(ハ)は(ロ)
のA−A断面図である。
【図8】本発明の枠ユニットにおけるパネルどうしの継
ぎ手構造のさらに他の実施形態を示すもので、(イ)は
パネル下端のフック部近傍の斜視図、(ロ)は上下のパ
ネルどうしを係合させた状態の正面図、(ハ)は(ロ)
のB−B断面図である。
【図9】本発明の枠ユニットにおけるパネルどうしの継
ぎ手構造のさらに他の実施形態を示すもので、(イ)は
パネル下端のフック部近傍の斜視図、(ロ)は上下のパ
ネルどうしを係合させた状態の正面図、(ハ)は(ロ)
のC−C断面図である。
【図10】本発明の枠ユニットにおけるパネルどうしの
継ぎ手構造のさらに他の実施形態を示すもので、パネル
下端のフック部近傍の斜視図である。
【図11】本発明の枠ユニットにおけるパネルどうしの
継ぎ手構造のさらに他の実施形態を示すもので、パネル
下端のフック部近傍の側面図である。
【図12】本発明の枠ユニットにおけるパネルの下端部
に設けるフック部の種々の態様を示すもので、(イ)は
各縦線材にフック部を設けたもの(図1の実施形態)、
(ロ)は1つおきの縦線材にフック部を設けたもの、
(ハ)はパネルの両端の縦線材についてだけフック部を
省略したもの、(ニ)はパネル片側端の縦線材について
フック部を省略したものである。
【符号の説明】
1 枠ユニット 3 斜め補強材付き平行四辺形骨材(間隔保持部材) 3a 斜め補強材 3b 前面斜辺部 3c 背面斜辺部 3d 底辺部 4 パネル 4’ 背面のパネル 4a 縦線材 4b 横線材 4c フック部 4’c フック 6 連結用鋼線コイル 10 梁 10a フック部 12 底面パネル 15 石 16 蓋パネル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福井 真 東京都台東区西浅草3−20−14 小岩金網 株式会社内 (72)発明者 千田 賢一 東京都台東区西浅草3−20−14 小岩金網 株式会社内 Fターム(参考) 2D018 CA02 2D044 DB43

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 護岸、法面保護等を構築する石詰め枠構
    築用の枠ユニットであって、 前面側のパネルと背面側のパネルとこれら両パネルの間
    隔を保持する間隔保持部材とを備え、当該枠ユニットを
    段積みした時に上側のパネルの下縁部と下側のパネルの
    上縁部とが直接係合可能な継ぎ手構造を有することを特
    徴とする石詰め枠構築用の枠ユニット。
  2. 【請求項2】 前記パネルが溶接金網からなることを特
    徴とする請求項1記載の石詰め枠構築用の枠ユニット。
  3. 【請求項3】 前記継ぎ手構造は、上側のパネルの最下
    位の横線材から下方に突き出た上側継ぎ手部が下側のパ
    ネルの上部の横線材に係合する構造であることを特徴と
    する請求項2記載の石詰め枠構築用の枠ユニット。
  4. 【請求項4】 前記継ぎ手構造は、溶接金網である前記
    パネルの最上位の横線材を縦線材を挟む2本で構成し、
    当該枠ユニットを段積みした時に、上側のパネルの縦線
    材の直線状のままの下端部が、下側の前記最上位の2本
    の横線材間に緊密に嵌入される構造であることを特徴と
    する請求項3記載の石詰め枠構築用の枠ユニット。
  5. 【請求項5】 前記継ぎ手構造は、溶接金網である前記
    パネルの縦線材の下端部に、当該枠ユニットを段積みし
    た時に、下側のパネルの最上位より下の横線材に引っ掛
    け可能なフック部を形成した構造であることを特徴とす
    る請求項3記載の石詰め枠構築用の枠ユニット。
  6. 【請求項6】 前記フック部を、パネルの縦線材の直線
    状の下端部の片側または両側に別体のフックを溶接して
    構成したことを特徴とする請求項5記載の石詰め枠構築
    用の枠ユニット。
  7. 【請求項7】 前記フック部を、パネルの縦線材を最下
    位の横線材部分でパネル表側に曲折した後にパネル裏面
    側に折り返して形成するとともに、さらにパネル正面か
    ら見て横向きに傾斜させて構成したことを特徴とする請
    求項5記載の石詰め枠構築用の枠ユニット。
  8. 【請求項8】 前面のパネルおよび背面のパネルが互い
    に平行であることを特徴とする請求項1〜7記載の石詰
    め枠構築用の枠ユニット。
  9. 【請求項9】 前記間隔保持部材が略平行四辺形をな
    し、パネル幅の間隔で互いに平行に並べた2つの間隔保
    持部材の前面斜辺部間および背面斜辺部間に、前記パネ
    ルの左右両端部を連結したことを特徴とする請求項8記
    載の石詰め枠構築用の枠ユニット。
  10. 【請求項10】 当該枠ユニットの幅方向中間位置で、
    前面のパネルの上部と背面のパネルの上部との間に係合
    状態で架け渡される梁材を設けたことを特徴とする請求
    項1〜9記載の石詰め枠構築用の枠ユニット。
  11. 【請求項11】 前面側のパネルと背面側のパネルとこ
    れら両パネルの間隔を保持する間隔保持部材とを備えた
    枠ユニットを段積みし内部に石を詰めて、連続する斜面
    を持つ石詰め壁を構築する壁構築方法であって、 前記枠ユニットを段積みする際に、上側のパネルの下縁
    部と下側のパネルの上縁部とを直接係合させることを特
    徴とする壁構築方法。
  12. 【請求項12】 連続する斜面を持つ石詰め壁を構築す
    る壁構築方法であって、 間隔保持部材として複数の斜め補強材付き平行四辺形骨
    材をパネル幅の間隔をおいて互いに平行に並べて立て、
    パネル幅間隔で隣接する2つの平行四辺形骨材の前面斜
    辺部間および背面斜辺部間にそれぞれ網状矩形のパネル
    をあてがい、前記平行四辺形骨材を共有して隣接する左
    右のパネルを平行四辺形骨材とともに連結部材を用いて
    連結して、隣接して並ぶ複数の枠ユニットを組み立て、
    この枠ユニット内に石を詰めて壁の1段部分を形成し、
    その1段部分の上に略同じ工程で枠ユニットを形成する
    とともに、上側の枠ユニットのパネルの下縁部と下側の
    枠ユニットのパネルの上縁部とを直接係合させ、上側の
    枠ユニットに石を詰めて壁の次ぎの1段部分を形成し、
    これを繰り返して、連続する斜面を持つ石詰め壁を構築
    することを特徴とする壁構築方法。
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