JP2001335928A - スパッタリング装置 - Google Patents

スパッタリング装置

Info

Publication number
JP2001335928A
JP2001335928A JP2000157518A JP2000157518A JP2001335928A JP 2001335928 A JP2001335928 A JP 2001335928A JP 2000157518 A JP2000157518 A JP 2000157518A JP 2000157518 A JP2000157518 A JP 2000157518A JP 2001335928 A JP2001335928 A JP 2001335928A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
semiconductor switch
sputtering
current
switch
signal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000157518A
Other languages
English (en)
Inventor
Kiyomi Watanabe
清美 渡辺
Teruo Tomaki
照夫 戸巻
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Origin Electric Co Ltd
Original Assignee
Origin Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Origin Electric Co Ltd filed Critical Origin Electric Co Ltd
Priority to JP2000157518A priority Critical patent/JP2001335928A/ja
Publication of JP2001335928A publication Critical patent/JP2001335928A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 スパッタリング時にインダクタを流れる電流
を次のスパッタリング時まで循環させ保持し、インダク
タのリセットを不要にして高周波化を可能にし、スパッ
タ電流の立ち上がりを急峻にしてスパッタ効率を向上さ
せること。 【構成】 負極性の直流スパッタ電源1と正極性の逆電
源2を同方向にして直列接続し、それら電源の間に第1
の半導体スイッチ7と第2の半導体スイッチ10と電流
保持用インダクタ8とを電気的に直列接続し、前記第1
と第2の半導体スイッチの双方がオフである休止期間に
前記第3の半導体スイッチ31をオンさせて前記電流保
持用インダクタによる電流を前記第3の半導体スイッチ
及び前記スパッタ部Sを通して流すようにしたスパッタ
リング装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 この発明は、アーク放電への移
行を防止もしくはアーク放電発生時にはアーク放電を消
孤する機能をもつ直流スパッタリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】 直流スパッタリング装置は真空チャン
バ内にアルゴンなどの不活性ガスを導入し、ターゲット
電極に数100Vの負極性電圧を印加することによりプラズ
マ放電を発生させて不活性ガスを正イオン化し、加速し
てターゲット表面に衝突させてターゲット材料を蒸発さ
せ、この蒸気を、正極となる半導体、光ディスクなどの
基板表面に沈着させてターゲット材料による薄膜を形成
する薄膜形成装置である。
【0003】 このプラズマ直流スパッタリングの性能
を低下させる要因として、プラズマ放電からアーク放電
への移行がある。このアーク放電への移行を防止する方
法として、逆極性、すなわち正極性のパルス電圧を周期
的に加える方法、又はアーク放電を検知して速やかに正
極性のパルスを印加するなどの方法がある。従来、この
正極性のパルスを発生する構成としては、特開平9 −13
7271号公報、特開平7 −150348号公報などに逆パルス発
生回路が提案されている。なお、この明細書で用いる正
極性(逆極性)、負極性とは、スパッタ部の接地された
真空チャンバの電位を基準とした極性を意味する。
【0004】 図7は特表平8 −510504号公報に開示さ
れた従来例を示し、直流電源51の出力とスパッタ電極
52の間に直列にオートトランス53を接続し、中間タ
ップ54に半導体スイッチ55を接続する。オートトラ
ンス53の両端58−59には磁気リセット用のダイオ
ード56と抵抗57が並列に接続される。なお、50は
接地された真空チャンバである。
【0005】 次に動作を説明する。まず、定常時はス
イッチ55はオフであり、直流電源51の負極性電圧、
例えば−800Vがオートトランス53を通してスパッタ電
極52に印加される。半導体スイッチ55を周期的にオ
ンすることによりオートトランス53の始端子58と中
間端子54間に直流電源51の電圧を印加し、端子58
と終端子59に図示極性で電源51の電圧の1.1 倍程度
の電圧、例えば880Vを発生させる。この電圧は直流電源
51の出力電圧と逆極性なので、スパッタ電極52には
直流電源51の電圧の0.1 倍程度(80V )の逆電圧パル
スが印加されることになる。この逆電圧パルスがアーク
放電への移行を防止する。
【0006】 しかし、オートトランス53は通常鉄心
を使用するので、その磁気飽和を避けなければならず、
このために限られた電圧・時間積(オートトランス53
の両端間の電圧×スイッチ55のオン時間)を印加でき
るだけでり、また、スイッチ55がオフしたときには次
の逆電圧パルス印加時までに、リセット回路を構成する
ダイオード56と抵抗57を通してスイッチ55のオン
期間にオートトランス53に蓄積された磁気エネルギー
を放出して鉄心の磁化状態を元の状態に戻すこと、いわ
ゆるリセットが必要である。
【0007】 このため、1回逆電圧パルスを印加する
毎にリセット時間が必要であり、そのリセット時間が経
過するまで次の逆電圧パルスを印加できない。しかし、
スパッタリング装置にあっては1回の逆電圧パルスの印
加によって完全にアーク放電への移行を防げずに、アー
ク放電に移行し易い状態に止めるのがやっとの場合など
がある。このような場合には、下記理由からリセット期
間にアーク放電に再移行することがある。
【0008】 リセット回路を構成するダイオード56
と抵抗57はスイッチ55のオン期間にオートトランス
53に蓄積された磁気エネルギーを電流として流して消
費する。したがって、抵抗57が大きいほど短時間で前
記磁気エネルギーを消費し、リセットを完了する。この
リセット時間を短縮するには、抵抗57の値を大きくす
ればよいが、リセット時における抵抗57の両端の電圧
が高くなり、スイッチ55にかかる電圧が上昇するた
め、またスパッタ電極52にかかる電圧も瞬時的に高く
なるため、前述のようにアーク放電に移行し易い状態の
場合にあってはアーク放電が連続したり、直ぐに再発生
することがある。
【0009】 また、逆パルスの繰り返し周波数を上げ
ていくとリセット回路の抵抗57の損失が比例して増加
し、逆パルスを数十kHzから数百kHzに高周波化す
ることが困難である。同時にオートトランス53の磁速
の振幅が大きいので鉄損も増加する欠点がある。
【0010】 図8は特開平10−298754号公報に開示さ
れた別の従来例であり、これらの問題点を解決するため
に、DC電源61とスパッタ電極62の間にスパッタ電
流の供給を制御する半導体スイッチ63とインダクタ6
4、フライホイール用ダイオード65からなるチョッパ
型定電流回路66を接続し、また正極性の逆電圧源67
と逆パルス用半導体スイッチ68をチョッパ型定電流回
路66の出力端に直列接続したものである。なお、69
は配線インダクタンスであり、60は接地された真空チ
ャンバである。
【0011】 次に動作を説明する。半導体スイッチ6
3はインダクタ64の出力電流が定電流となるように、
パルス幅制御される。逆パルス用半導体スイッチ68を
オンさせると、スパッタ電極62に正極性の電圧が印加
される。このとき、インダクタ64の出力側は逆パルス
用半導体スイッチ68と逆電圧源67で短絡されるが、
半導体スイッチ63を制御してインダクタ64電流の増
加を制限して定電流を維持させる。
【0012】 ところで、逆パルス回路は普通、直流ス
パッタ電源とは別構成になっており、オプション的に使
用されることが多い。このため、どのような直流電源に
組み合わせられても機能することが必要である。しか
し、この従来例の逆パルス回路は、その動作原理から定
電流チョッパ機能も行う直流スパッタ電源に相当する。
すなわち、直流スパッタ電源の制御で得られる定電流特
性、定電力特性をこの逆パルス回路で得ることを前提と
している。このような従来の逆パルス回路定電流制御、
定電力制御機能を持つ他の一般的な直流電源と組み合わ
せるのは合理的でない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】 また、これらを組み
合わせた場合、有効なスパッタ電圧は、チョッパ回路の
原理から、負極性の主電源電圧よりも定電流回路の主ス
イッチ63のオン時間比率で低下する問題があり、電源
電圧を有効利用できない。
【0014】 また他の欠点として、スパッタの逆パル
ス電流は、電極間の負の帯電電荷を放電するため、通
常、負の主電流に比較して小さな値であり、実質的な電
力を必要としないにも関わらず、逆パルス電圧源67は
主回路のスパッタ電流の短絡回路となるため、逆パルス
期間の間、主電源と同一の電流を流せる能力が必要であ
り、逆パルスのデューテイによる平均電力が必要とな
る。また、半導体スイッチ68のターンオフ時には、イ
ンダクタ64の電流がスパッタ電極までの配線インダク
タンス69に瞬時に流れ込むことによる開放電圧が加わ
り、高い耐圧の半導体スイッチが必要となる。
【0015】 本発明は、このような従来の逆電圧パル
ス回路におけるインダクタのリセットに起因する種々の
問題を解決するところにあり、スパッタリング時にイン
ダクタを流れる電流を次のスパッタリング時まで循環さ
せ保持してインダクタのリセットを不要にし、一対のス
イッチが双方ともオフである休止期間を必ず設け、その
休止期間においてインダクタのエネルギーをスパッタ部
を通して循環させることにより、インダクタのエネルギ
ーを有効にスパッタ部に供給し、またスパッタ電流の立
ち上がりを急峻なものにしてスパッタ効率を向上させる
と共に高周波化を容易なものすることを主要課題として
いる。
【0016】
【課題を解決するための手段】 本発明の請求項1は、
前記課題を解決するため、負極性の直流スパッタ電源と
正極性の逆電源を同方向にして直列接続し、前記逆電源
の正極性端子側に第2の半導体スイッチの第1の主端子
を接続すると共に、その第2の主端子をスパッタ部のス
パッタ電極に接続し、前記直流スパッタ電源の負極性端
子側に第1の半導体スイッチの第2の主端子を接続し、
前記第1の半導体スイッチの第1の主端子と前記第2の
半導体スイッチの第2の主端子との間に電流保持用イン
ダクタを電気的に直列接続し、前記第1の半導体スイッ
チの第1の主端子と前記電流保持用インダクタとの接続
点を第1のダイオードを通して前記第2と第3の半導体
スイッチの第1の主端子に接続し、前記第3の半導体ス
イッチの第2の主端子をスパッタ部のチャンバに電気的
に接続してなり、前記第1の半導体スイッチがオンのと
きには前記直流スパッタ電源から前記スパッタ電極に前
記電流保持用インダクタを通して負極性電圧を供給し、
前記第2の半導体スイッチがオンのときには前記逆電源
から前記スパッタ電極に正極性電圧を供給するスパッタ
リング装置であって、前記第1と第2の半導体スイッチ
の双方がオフである休止期間に前記第3の半導体スイッ
チをオンさせて前記電流保持用インダクタによる電流を
前記第3の半導体スイッチ及び前記スパッタ部を通して
流すスパッタリング装置を提供するものである。
【0017】 本発明の請求項2は、前記課題を解決す
るため、請求項1において、前記第1の半導体スイッチ
への制御信号を反転する第1の反転回路、前記第2の半
導体スイッチへの制御信号を反転する第2の反転回路、
前記第1と第2の反転回路の出力信号をAND論理する
AND回路、そのAND回路からの信号により駆動信号
を前記第3の半導体スイッチに与えるための駆動回路を
備えたスパッタリング装置を提供するものである。
【0018】 本発明の請求項3は、前記課題を解決す
るため、負極性の直流スパッタ電源と正極性の逆電源を
同方向にして直列接続し、前記逆電源の正極性端子側に
第2の半導体スイッチの第1の主端子を接続すると共
に、その第2の主端子をスパッタ部のスパッタ電極に接
続し、前記直流スパッタ電源の負極性端子側に第1の半
導体スイッチの第2の主端子を接続し、前記第1の半導
体スイッチの第1の主端子と前記第2の半導体スイッチ
の第2の主端子との間に電流保持用インダクタを電気的
に直列接続し、前記第1の半導体スイッチの第1の主端
子と前記電流保持用インダクタとの接続点を第1のダイ
オードを通して前記第2の半導体スイッチの第1の主端
子に接続すると共に、第3のダイオードを通して第3の
半導体スイッチの第1の主端子に接続し、前記第3の半
導体スイッチの第2の主端子をスパッタ部のチャンバに
電気的に接続してなり、前記第1の半導体スイッチがオ
ンのときには前記直流スパッタ電源から前記スパッタ電
極に前記電流保持用インダクタを通して負極性電圧を供
給し、前記第2の半導体スイッチがオンのときには前記
逆電源から前記スパッタ電極に正極性電圧を供給するス
パッタリング装置であって、前記第1と第2の半導体ス
イッチの双方がオフである休止期間又は前記第2の半導
体スイッチがオフの期間に前記第3の半導体スイッチを
オンさせて前記電流保持用インダクタによる電流を前記
第3の半導体スイッチ及び前記スパッタ部を通して流す
スパッタリング装置を提供するものである。
【0019】 本発明の請求項4は、前記課題を解決す
るため、請求項3において、前記第2の半導体スイッチ
への制御信号を反転する反転回路、前記制御信号を反転
してなる反転信号と同相の駆動信号を前記第3の半導体
スイッチに与えるための駆動回路を備えたスパッタリン
グ装置を提供するものである。
【0020】 本発明の請求項5は、前記課題を解決す
るため、請求項1ないし請求項4のいずれかにおいて、
前記直流スパッタ電源の負極性端子側は第2のダイオー
ドを通して前記スパッタ部のスパッタ電極側に接続され
たスパッタリング装置を提供するものである。
【0021】 本発明の請求項6は、前記課題を解決す
るため、請求項1ないし請求項5のいずれかにおいて、
前記第1の半導体スイッチと前記第2の半導体スイッチ
を休止期間を挟んで定期的に交互にオンさせることによ
り、定期的に逆電圧パルスを加えてアーク放電の発生を
抑制又は消孤するスパッタリング装置を提供するもので
ある。
【0022】 本発明の請求項7は、前記課題を解決す
るため、請求項1ないし請求項6のいずれかにおいて、
前記第1の半導体スイッチがオンの状態で、スパッタ電
圧が所定レベル以下であるときアーク放電が発生したと
判別してアーク信号を出力する回路を設け、前記アーク
信号により前記第1の半導体スイッチを所定時間オフさ
せると共に、前記第2の半導体スイッチをオンさせ、所
定時間臨時に逆電圧パルスを加えてアーク放電を消孤す
るスパッタリング装置を提供するものである。
【0023】 本発明の請求項8は、前記課題を解決す
るため、請求項1ないし請求項7のいずれかにおいて、
スパッタ電圧が所定レベル以下になるとき電圧低下信号
を出力する電圧低下検出回路を設け、前記電圧低下信号
により前記第1の半導体スイッチを所定時間オフさせる
と共に、前記第2の半導体スイッチをオンさせ、所定時
間臨時に逆電圧パルスを加えて発生したアーク放電を消
孤するスパッタリング装置を提供するものである。
【0024】 本発明の請求項9は、前記課題を解決す
るため、請求項1ないし請求項8のいずれかにおいて、
前記電流保持用インダクタに流れる電流を検出し、この
電流が第1の過電流レベルを越えたときに前記第1の半
導体スイッチをオフさせることにより、前記電流保持用
インダクタを流れる電流を前記第1のダイオード、前記
逆電源、前記スパッタ電極を通して循環させて減少さ
せ、前記第1の過電流レベルより下の第2の過電流レベ
ル以下となったとき、再び前記第1の半導体スイッチを
オンさせるスパッタリング装置を提供するものである。
【0025】 本発明の請求項10は、前記課題を解決
するため、請求項1ないし請求項9のいずれかにおい
て、前記第1、第2、第3の半導体スイッチがすべてオ
フとなる微小時間には、前記電流保持用インダクタによ
る電流が前記逆電源を通して前記スパッタ部に流れるス
パッタリング装置を提供するものである。
【0026】
【発明の実施の形態及び実施例】 本発明の基本的な考
え方は、スパッタリング時にインダクタを流れる電流を
次のスパッタリング時まで循環させ保持することにあ
り、このためインダクタのリセットは不要になるが、一
対の半導体スイッチが同時オンになるとそのインダクタ
が電源間に短絡的に接続され、その都度そのインダクタ
の蓄積エネルギーが増大するという問題を防ぐために、
温度上昇など動作条件が変化しても一対の半導体スイッ
チが同時オンをすることがないよう必ず休止期間を設
け、この休止期間において前記インダクタのエネルギー
をスパッタ部を通して支障の無い形で循環させる電流路
を確保するところに本発明の目的がある。
【0027】 図1は本発明の一実施例を示し、図1に
おいて、1は負極性の直流スパッタ電源であり、例えば
−800 Vである。この電源1は通常、スパッタ電圧とス
パッタ電流を検出して乗算し、乗算値に応じて、例えば
コンバータをパルス幅制御してスパッタ電極への入力電
力を一定値に制御する定電力モード又はスパッタ電流を
一定にする定電流モードで制御され、スパッタ電流はこ
の電源1で制御される。本発明の逆電圧回路の出力電
流、電圧、及び電力は基本的にこの直流スパッタ電源1
で制御され、逆電圧パルスの付加によるピーク値の増加
を除いて、出力電流、電圧、電力の変換は行わないオプ
ション回路である。
【0028】 この直流スパッタ電源1の一般的な構成
例を図2に示す。図2において、1Aは商用電力を整流
する整流器、1Bは整流された直流電力を高周波交流電
力に変換するインバータ、1Cはインバータ1Bからの
高周波交流電力をスパッタ電圧に必要な電圧に変換し、
また商用電源とスパッタ電極を直流的に絶縁する高周波
トランス、1Dは高周波トランス1Cで変換された高周
波の交流電力を整流してスパッタ電圧に変換する整流器
である。整流器1Dの出力電流がシャント抵抗1Eで検
出され、また出力電圧も検出されてインバータ制御回路
1Fに与えられる。直流スパッタ電源1としては、定電
流又は定電力特性をもつものが一般的である。このた
め、インバータ制御回路1Fは検出電流によりインバー
タをパルス幅制御などして出力電流を定電流化する場合
と、検出電圧と検出電流を乗算して電力として検出し、
この電力が一定になるようにインバータ1Bをパルス制
御して出力電力を定電力化する場合とがある。本発明に
あっては、直流スパッタ電源1はいずれを採用したもの
であっても良い。
【0029】 図1に戻り、2は直流スパッタ電源1の
電圧の10%程度の大きさの逆極性の電圧を出力する逆電
源であり、その電圧は例えば+80Vである。本発明では
この逆電圧とその印加時間を有効な範囲で任意に調整で
きる。それぞれの電源1、2の接地端子はスパッタ電極
3を収容してなる接地された真空チャンバ4に接続され
る。電源1の内部出力回路には放電安定用のインダクタ
(図示せず)が挿入される場合があり、また各電源1、
2との配線インピーダンスを下げ、以下に説明する半導
体スイッチのスイッチングによるサージ電圧を吸収する
コンデンサ5、6が各電源1、2に並列接続される。
7、8、9、10はそれぞれ直流スパッタ電源1の負極
出力と逆電源2の正極出力との間に互いに直列接続され
た第1の半導体スイッチ、電流保持用のインダクタ、シ
ャント抵抗、及び第2の半導体スイッチである。
【0030】 以下、第1の半導体スイッチ7が定常の
順方向スパッタ電流を流すので順スイッチと称し、第2
の半導体スイッチ10が逆極性の正極電圧をスパッタ電
極3に印加するので逆スイッチと称する。ここで、半導
体スイッチとしてIGBTで説明するが、FET、バイ
ポーラトランジスタなど他の制御可能なスイッチング半
導体素子でも良い。順スイッチ7のコレクタと逆電源2
の正極側との間にフライホイール用の第1のダイオード
11が接続される。12は逆スイッチ10のエミッタと
スパッタ電極3、逆スイッチ10のエミッタ、シャント
抵抗9の一端との間に接続された第2のダイオードであ
る。逆スイッチ10のコレクタと第1のダイオード11
との接続点と逆電源2の正極側との間には、ダイオード
13と抵抗14が並列接続された逆電流制限回路15が
接続される。ここで、ダイオード11と12は順スイッ
チ7、逆スイッチ10それぞれの両端子間の電圧を直流
スパッタ電源1、逆電源2の電圧にクランプするので、
それらスイッチに過電圧は印加されない。
【0031】 電流保持用のインダクタ8と直列接続さ
れたシャント抵抗9は、インダクタ8を流れる電流を検
出する。その検出され電圧信号はヒステリシスを持つコ
ンパレータ16で基準電圧源17の二つの過電流設定レ
ベル(例えば15Aと12Aの電流値に相当する基準信
号)を持つ基準電圧源17と比較される。ウインドコン
パレータ16はインダクタ8を流れる電流が第1の過電
流設定レベルに相当する値、例えば15Aを越えたと
き、過電流信号OCを発生して制御回路18に伝送し、イ
ンダクタ8を流れる電流がヒステリシスによる第1の過
電流設定レベルより下の第2の過電流設定レベル(例え
ば12A)以下に低下したとき、過電流信号OCの発生を
停止する。過電流信号OCは制御回路18内でホトカプラ
などの信号絶縁伝達回路19で絶縁分離され、同時に位
相反転された過電流反転信号OC' となる。なお、スパッ
タ電極の電位と制御回路18の絶縁分離のために、シャ
ント抵抗9の代わりにホール素子又は変流器など絶縁型
の電流検出要素を電流検出に使用した場合は、過電流判
別は制御回路18側で行うことができる。
【0032】 20はスパッタ部Sのスパッタ電極に接
続された電圧検出抵抗である。その検出電圧が制御回路
18の低電圧検出回路21のアーク放電電圧に対応する
電圧値よりも低いとき、つまりアーク放電が発生する
と、低電圧検出回路21は電圧低下信号LVを発生する。
電圧低下信号LVは、後で説明する順スイッチ7の制御信
号PIr'とAND回路22で論理積され、AND回路22
は順スイッチ7がオンの状態でスパッタ電圧が低いと
き、アーク放電が発生したと判別してアーク信号ARC を
発生する。23はアーク信号ARC でトリガーされ、所定
パルス幅の臨時パルスPIを発生する単安定マルチバイブ
レータである。
【0033】 24は所定のパルス周波数、例えば100
kHz、所定のパルス幅、例えば2μsの定期パルス信
号PRを発生するパルス発生器である。25は臨時信号PI
と定期パルス信号PRとを論理和した出力信号PIR を発生
するOR回路である。OR回路25の出力信号PIR は、
順スイッチ7と逆スイッチ10が同時にオフである休止
期間を形成する休止期間形成回路26を通して逆スイッ
チ10の制御信号PIr となり、信号絶縁伝達回路27を
通して逆スイッチ10の駆動信号QRとなる。
【0034】 休止期間形成回路26は、逆スイッチ1
0の制御信号PIr と同時に、制御信号PIr と逆相でかつ
隙間時間(休止期間)を持った信号PIr'を発生する。逆
スイッチ10のオフのときに休止期間を挟んで順スイッ
チ7をオンさせる信号PIr'を作る。信号PIr'と過電流信
号OC' はAND回路29に与えられる。AND回路29
は過電流でないとき、すなわち過電流反転信号OC' がH
レベルのときのみ制御信号PIr'' を出力し、この信号は
信号絶縁伝達回路30を通して順スイッチ7の駆動信号
QFとなる。スパッタ電流ISが過電流であるときは、過電
流反転信号OC' がLレベルとなり、信号PIr'はAND回
路29を通過しないので駆動信号QFは発生されず、した
がって順スイッチ7はオンしない。
【0035】 次に、31は逆スイッチ10の第1の主
端子であるコレクタとスパッタ部Sの真空チャンバ4と
の間に図示極性で接続された第3の半導体スイッチ(以
下、バイパススイッチという)であり、制御回路18か
らの駆動信号QXにより、後述する順スイッチ7と逆スイ
ッチ10が共にオフの期間(以下、休止期間という)で
オンする。32は順スイッチ7の制御信号PIr'' を反転
する信号反転器、33は逆スイッチ10の制御信号PIr
を反転する信号反転器、34は信号反転器32と33の
出力信号をAND論理するAND回路、35はバイパス
スイッチ31に駆動信号QXを与える信号絶縁伝達回路で
ある。
【0036】 次に図3により信号について説明する。
休止期間については図4と図6で説明するので、図3で
は特に示していない。図3において、(a) は定期パルス
信号PR、(b) はアーク信号ARC 、(c) は臨時パルス信号
PI、(d) は定期パルス信号+臨時パルス信号PIR もしく
は逆スイッチの駆動信号QR、(e) は過電流信号OCの反転
信号OC' 、(f) はその過電流反転信号OC' と、(定期パ
ルス信号+臨時パルス信号)PIR の反転信号PIr'のAN
D論理信号(OC' *PIr')もしくは順スイッチ7の駆動
信号QF、(g) はスパッタ電極3のスパッタ電圧VS、(h)
はスパッタ電流ISの波形である。
【0037】 次に動作を説明する。今、時刻t0〜t
1では正常にスパッタリングが行われて、過電流OC信号
も電圧低下信号LVも存在しないとする。この状態では、
パルス発生器24から出力された定期パルス信号PRはO
R回路25及び休止期間形成回路26を通って所定の休
止期間をもつ信号PIr となり、信号絶縁伝達回路27を
通ってスイッチ10の駆動信号QRとなる。他方では、定
期パルス信号PRはOR回路25、休止期間形成回路26
を通して位相が反転された信号PIr'となり、さらに過電
流反転信号OC' がHレベルであるので、AND回路29
を通過して制御信号PIr'' となり、絶縁信号伝達回路3
0を通しで順スイッチ7の駆動信号QFとなる。したがっ
て、順スイッチ7と逆スイッチ10は所定の時間幅の休
止期間を挟んで交互にオンする。順スイッチ7がオンの
とき、スパッタ電極3には負電圧、例えば−800 Vが印
加され、順スパッタ電流IS、例えば10Aが直流スパッ
タ電源1から順スイッチ7、インダクタ8、シャント抵
抗9を通してスパッタ電極3に流れ、スパッタリングが
行われる。
【0038】 次に休止期間を挟んで順スイッチ7がオ
フし、逆スイッチ10がオンすると、スパッタ電極3に
は逆電源2から抵抗14を通して逆極性パルス電圧、例
えば80Vが印加され、逆電流が流れる。スパッタ電極3
の逆インピーダンスは順方向よりも高く、また抵抗14
が直列なので電流値は小さく、例えば1A以下である。
この逆電圧でアーク放電への移行を抑制する。このと
き、順スイッチ7がオンの期間にインダクタ8に流れて
いた電流は逆スイッチ10と第1のダイオード11、シ
ャント抵抗9を通して循環し、第1のダイオード11の
順電圧降下及びシャント抵抗9の電圧ドロップは小さい
ので、その循環電流はほとんど減衰しないで保持され
る。
【0039】 次に休止期間を挟んで再び順スイッチ7
がオン、逆スイッチ10がオフすると、第1のダイオー
ド11はカットオフしてインダクタ8を流れていた循環
電流はスパッタ電極3に瞬時に転流する。スパッタ電流
ISの立ち上がりは逆スイッチ10がオンする前の値とほ
ぼ等しい値であり、すなわち、インダクタ8の電流保持
作用により電流切り替えが瞬時に行われるので、スパッ
タ電流ISの立ち上がり特性は極めて良くなり、スパッタ
リング効率が向上すると共に高周波化が容易になる。
【0040】 順スイッチ7がターンオフするとき、そ
のコレクタは第1のダイオード11で直流スパッタ電源
1の電圧と逆パルス電源2の電圧の絶対値の和に等しい
電圧(880 V) に2個のコンデンサ5、6で電圧クラン
プされ、理論的にはそれ以上のサージ電圧が順スイッチ
7にかからない。また、逆スイッチ10がターンオフす
るときもそのエミッタは第2のダイオード12で2個の
コンデンサ5、6の電圧の和に等しい電圧(880 V)に
クランプされるので、余分なサージ電圧を発生しない。
【0041】 本発明の定常運転状態では、インダクタ
8と逆スイッチ10、第1のダイオード11の直列ルー
プ回路で電流が維持され、電流切り替えが高速化できる
とともに、インダクタ8に実質的な電圧の発生がなく、
磁気リセットさせないので、従来のようなリセットに伴
う損失を生じないのは勿論のこと、リセット時間が不要
なのでこのことが更に一層高周波化を容易にする。な
お、この発明では逆パルス回路はスパッタ電流ISの大き
さを制御するものではない。電流は、直流スパッタ電源
1で制御される。
【0042】 次に、アーク放電の発生時の動作を説明
する。分かり易くするため、図3で臨時パルス関係の波
形には斜線を付した。駆動信号QFにより順スイッチ7が
オンしているとき、t=t1でアーク放電が発生したと
すると、スパッタ電圧VSは低下し、インダクタ8にかか
る電圧がほぼ直流スパッタ電源1の電圧800 Vになり、
直流スパッタ電源1からインダクタ8を流れる電流が増
加する。インダクタ8の電流が第1の過電流レベルに達
するまでは過電流信号OCは発生されない。
【0043】 電圧低下検出回路21はスパッタ電圧VS
の低下を検出して電圧低下信号LVを発生し、これに伴い
AND回路22はアーク信号ARC を発生する。アーク信
号ARC により、単安定マルチバイブレータ23がトリガ
されると、t=t2で一定パルス幅の臨時パルス信号PI
が発生し、OR回路25で定期パルス信号PRに割り込
む。臨時パルス信号PIは逆スイッチ10の駆動信号QRと
なり、逆スイッチ10をオンさせる。一方、臨時パルス
信号PIは休止期間形成回路26で反転されて信号PIR'と
なり、休止期間をもつ制御信号PIr'' となる。
【0044】 すなわち、休止期間を挟んで順スイッチ
7がオフ、逆スイッチ10がオンすることにより、臨時
パルス信号PIが発生されている期間の間、スパッタ電極
3に逆パルス電圧を加えて、アーク放電の消孤動作を行
う。時刻t2でアーク放電が消弧すれば電圧低下信号LV
が消滅し、再び、定期パルス信号PIによる正常運転に復
帰する。
【0045】 次に、アークが臨時パルス信号PIによる
消弧動作によってもアークを消孤できない場合について
説明する。時刻t3で再びアーク放電が発生し、1回目
の臨時パルス信号PIによる前述のような消弧動作によっ
てもアークが消孤できないと、次の駆動信号QFにより順
スイッチ7がオンするのに伴い、時刻t4でスパッタ電
流ISは更に増加して第1の過電流レベルに達することに
なる。これに伴い、コンパレータ16は過電流信号OCを
発生し、この過電流信号を反転した信号OC' により制御
信号PIr'' が生じ、順スイッチ7をターンオフさせる。
例えば、順スイッチ7はインダクタ8を流れる電流が第
1の電流設定レベルである15Aに達するとオフする。
このとき、信号LVが発生するために再度臨時パルス信号
PIを発生して、順スイッチ7をオフ、逆スイッチ10を
オンにして臨時パルス信号PIを加えることもできるが、
この実施例では1回のアーク発生に対して臨時パルス信
号PIは1回のみとし、以後は定期パルス信号PRのみとし
ている。図では臨時パルス信号の発生を1回に制限する
回路を省略した。
【0046】 このアーク放電発生期間でも逆スイッチ
10は定期的にオンするから、定期的に逆電圧を印加し
てアーク放電を消孤する作用を行う。順スイッチ7と逆
スイッチ10とが同時にオフしている期間にインダクタ
8を流れている電流は、ダイオード11、12、逆電源
2、直流スパッタ電源1、シャント抵抗9を通して還流
し、直流スパッタ電源1に電流を継続する。逆スイッチ
10のオフに伴い、図示のようにスパッタ電流ISは急減
するが、逆スイッチ10がオフした後、時刻t5でイン
ダクタ8を流れていた電流が第2の過電流設定レベル、
例えば12A以下に減少すると過電流信号OCが消滅する
ため、再び順スイッチ7がオンする。これに伴い、スパ
ッタ電流ISが増加して、時刻t6で第1の過電流レベル
に達すると、再びコンパレータ16は過電流信号OCを発
生し、この過電流信号OCによりオフの制御信号PIr'' が
生じ、順スイッチ7をターンオフさせる。そして次の駆
動信号QRにより逆スイッチ10がオンし、そのアーク放
電消孤作用により時刻t7でアーク放電が消弧すると、
アーク信号ARC も消滅し、インダクタ8の電流が第2の
過電流レベル(例えば12A)以下に下がると、再び順
スイッチ7と逆スイッチ10は定期パルス信号PRで休止
期間を挟んで交互にオンし、定常動作に復帰する。
【0047】 ここで、順スイッチ7と逆スイッチ10
の切り替わり時に同時オンさせないための休止期間Tを
設ける必要性について説明する。例えば、順スイッチ7
と逆スイッチ10が同時にオンする期間が生じたとする
と、直流スパッタ電源1と逆電源2それぞれの電圧の和
に等しい電圧がインダクタ8に周期的に加えられて定常
時よりも大きな電流がインダクタ8を流れ、インダクタ
8に蓄積されるエネルギーが大きくなる。つまり、この
発明ではインダクタ8の蓄積エネルギーをほぼゼロに、
即ちリセットせずに保持するので、順スイッチ7と逆ス
イッチ10が同時にオンする度にインダクタ8に蓄積さ
れるエネルギーが増大し、最後にはインダクタ8の磁心
が飽和して動作不能になる。したがって、この発明では
順スイッチ7と逆スイッチ10のオン期間の間には必ず
休止期間Tが備えられ、図4で示すように、この実施例
ではバイパススイッチ31を休止期間T=(t1−t2)、
(t3−t4)、(t5−t6)・・にオンさせることにより、
インダクタ8のエネルギーを第1のダイオード11やバ
イパススイッチ31などを通してスパッタ部Sにスパッ
タ電流として流し、順スイッチ7と逆スイッチ10の双
方のオフ期間である休止期間Tにおいてもスパッタ部S
にエネルギーを供給して、順スイッチ7がオンするまで
インダクタ8のエネルギーを持続する。これにより休止
期間中にもインダクタ8のエネルギーが有効に利用され
るので電力効率が向上するのは勿論のこと、スパッタ電
流の立ち上がりを急峻にできると共に、高周波化できる
ので、好ましいスパッタリングを行うことができる。
【0048】 なお、実際の装置では回路状態の変化な
どにより順スイッチ7、逆スイッチ10及びバイパスス
イッチ31がすべてオフである微小なオフ期間が存在す
ることもあるので、この微小なオフ期間ではインダクタ
8のエネルギーは逆電流制限回路15のダイオード13
を通して逆電源2に帰還されるが、この期間は短いので
逆電源2が過充電になり難い。したがって、バイパスス
イッチ31は逆電源2が過充電になるのを防止する働き
も行う。
【0049】 この発明では、定常状態における直流回
路のインダクタンスのリセット電圧はほぼ0であるた
め、励磁エネルギーのリセットを考慮する必要がない。
そのため、インダクタンスの材料はフェライトコアは勿
論のこと、安価であるが高周波特性の劣る方向性鋼板な
どのカットコアを用いることができる。このため逆パル
スの高周波化は順スイッチや逆スイッチとして用いる半
導体スイッチのスイッチング速度と損失により決まり、
100kHz以上の高周波化が容易である。
【0050】 次に、第5図及び第6図により他の実施
例について説明する。この実施例が前記実施例と異なる
点は、順スイッチ7の第1の主端子を逆流防止用の第3
のダイオード36を通してバイパススイッチ31の第1
の主端子に接続した点と、逆スイッチ10の制御信号PI
r の位相と逆位相の信号でバイパススイッチ31を駆動
している点である。これら二つの信号間には休止期間は
不要である。したがって、定常状態ではバイパススイッ
チ31は逆スイッチ10がオフのときにオンし、オンの
ときオフする。バイパススイッチ31がオン状態にある
状態で順スイッチ7がオンするが、第3のダイオード3
6が存在するために、順スイッチ7とバイパススイッチ
31とを通して直流スパッタ電源1の正、負極性端子が
短絡されることはない。
【0051】 この動作についてもう少し詳しく説明す
る。図6の(A),(B),(C)はそれぞれ逆スイッ
チ10、順スイッチ7、バイパススイッチ31のオンオ
フ波形の位相関係を示す。時刻t1以前で逆スイッチ1
0がオンしていて前述のように逆電圧をスパッタ部Sに
供給しており、時刻t1で逆スイッチ10がオフしたと
する。逆スイッチ10の制御信号PIr は信号反転器33
で反転され、その反転信号は信号絶縁伝達回路35を通
してバイパススイッチ31のゲートに駆動信号QXとして
与えられる。この駆動信号QXは逆スイッチ10の駆動信
号QRと逆の位相であり、したがって、バイパススイッチ
31は逆スイッチ10と逆位相で動作するが、順スイッ
チ7のオン期間全部と重なる。
【0052】 バイパススイッチ31がオンで、順スイ
ッチ7と逆スイッチ10がオフの期間は、今までインダ
クタ8を流れていた電流は第3のダイオード36を通し
てスパッタ部Sに流れ、さらにシャント抵抗9を通して
インダクタ8に戻る。したがって、この期間では順スイ
ッチ7と逆スイッチ10がオフであるにもかかわらず、
スパッタ部Sに電流が供給される。ここで、図示してい
ないが、時刻t1,t4,t5・・を微視的に見ると、
各半導体スイッチの動作遅れの変動によりオン期間が重
なる場合と、重ならない場合が生じる。重なる場合に
は、インダクタ8の電流はダイオード36、バイパスス
イッチ31、逆電源2、抵抗14、逆スイッチ10の経
路で流れる。重ならない場合には、ダイオード11、1
3を通して逆電源2に帰還され、逆電源2の入力電力を
減少させる。
【0053】
【発明の効果】 (1) スパッタリング時にインダクタを
流れる電流を次のスパッタリング時まで循環させ保持す
ると共に、一対のスイッチが双方ともオフである休止期
間を必ず設けることにより、インダクタのリセットを不
要にして高周波化を可能にし、またスパッタ電流の立ち
上がりを急峻にできるので、スパッタリング効率を向上
させることができる。
【0054】 (2) 半導体スイッチの耐電圧を実質的に
逆パルス電源の正極性電圧とスパッタ電源の負極性電圧
の絶対値の和に制限することができる。
【0055】 (3) 電流保持インダクタは実質的に電圧
を背負わないので、直流スパッタ電源の電圧を有効にス
パッタ電圧として利用することができる。
【0056】 (4) 本発明の回路は 一般的な直流スパ
ッタ電源と組み合わせることのできる汎用性をもつ。
【0057】 (5) オートトランスなどスパッタ電源電
圧を逆電源に直接利用していないので、逆パルス電圧の
波高値をスパッタ電圧に無関係に任意に調整できる。
【0058】 (6) また、逆電源インピーダンスの高い
スパッタ電極の逆方向電流を供給するだけなので、電力
容量は小さくて済む。
【0059】 (7) アーク放電中にもパルス的、又は連
続的に逆パルスを印加してアークを速やかに消孤でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスパッタリング装置の一実施例を
示す回路図である。
【図2】この発明に用いる一般的な定電流又は定電力出
力の構成例を示す図である。
【図3】図1の各部分の信号のタイミングを示す説明図
である。
【図4】図1の一部分の信号のタイミングを示す説明図
である。
【図5】逆電源の過電圧防止回路の実施例を示す回路図
である。
【図6】図5の一部分の信号のタイミングを示す説明図
である。
【図7】従来の第1の逆パルス回路例を示す図である。
【図8】従来の別の逆パルス回路例を示す図である。
【符号の説明】
1・・直流スパッタ電源 2・・逆電源 3・・スパッタ電極 4・・真空チ
ャンバ 5、6・・コンデンサ 7・・順スイ
ッチ 8・・電流保持用インダクタ 9・・シャン
ト抵抗 10・・逆スイッチ 11・・フラ
イホイール用ダイオード 12・・第1のダイオード 15・・逆電
流制限回路 16・・コンパレータ 17・・基準
電圧源 18・・制御回路 19・・信号
絶縁伝達回路 20・・電圧検出抵抗 21・・電圧
低下検出回路 22・・AND回路 23・・単安
定マルチバイブレータ 24・・パルス発生器 25・・OR
回路 26・・休止期間形成回路 27・・信号
絶縁伝達回路 28・・信号反転器 29・・AN
D回路 30・・信号絶縁伝達回路 31・・バイ
パススイッチ 32・・信号反転器 33・・信号
反転器 34・・AND回路 35・・信号
絶縁伝達回路 36・・第3のダイオード OC・・・過電流信号 ARC ・・・ア
ーク信号 PR・・・定期パルス信号 PI・・・臨時
パルス信号 LV・・・スパッタ電圧低下信号 QF・・・順ス
イッチの駆動信号 QR・・・逆スイッチの駆動信号

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 負極性の直流スパッタ電源と正極性の逆
    電源を同方向にして直列接続し、 前記逆電源の正極性端子側に第2の半導体スイッチの第
    1の主端子を接続すると共に、その第2の主端子をスパ
    ッタ部のスパッタ電極に接続し、 前記直流スパッタ電源の負極性端子側に第1の半導体ス
    イッチの第2の主端子を接続し、 前記第1の半導体スイッチの第1の主端子と前記第2の
    半導体スイッチの第2の主端子との間に電流保持用イン
    ダクタを電気的に直列接続し、 前記第1の半導体スイッチの第1の主端子と前記電流保
    持用インダクタとの接続点を第1のダイオードを通して
    前記第2と第3の半導体スイッチの第1の主端子に接続
    し、 前記第3の半導体スイッチの第2の主端子をスパッタ部
    のチャンバに電気的に接続してなり、 前記第1の半導体スイッチがオンのときには前記直流ス
    パッタ電源から前記スパッタ電極に前記電流保持用イン
    ダクタを通して負極性電圧を供給し、前記第2の半導体
    スイッチがオンのときには前記逆電源から前記スパッタ
    電極に正極性電圧を供給するスパッタリング装置であっ
    て、 前記第1と第2の半導体スイッチの双方がオフである休
    止期間に前記第3の半導体スイッチをオンさせて前記電
    流保持用インダクタによる電流を前記第3の半導体スイ
    ッチ及び前記スパッタ部を通して流すことを特徴とする
    スパッタリング装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記第1の半導体スイッチへの制御信号を反転する第1
    の反転回路、 前記第2の半導体スイッチへの制御信号を反転する第2
    の反転回路、 前記第1と第2の反転回路の出力信号をAND論理する
    AND回路、 該AND回路からの信号により駆動信号を前記第3の半
    導体スイッチに与えるための駆動回路、を備えたことを
    特徴とするスパッタリング装置。
  3. 【請求項3】 負極性の直流スパッタ電源と正極性の逆
    電源を同方向にして直列接続し、 前記逆電源の正極性端子側に第2の半導体スイッチの第
    1の主端子を接続すると共に、その第2の主端子をスパ
    ッタ部のスパッタ電極に接続し、 前記直流スパッタ電源の負極性端子側に第1の半導体ス
    イッチの第2の主端子を接続し、 前記第1の半導体スイッチの第1の主端子と前記第2の
    半導体スイッチの第2の主端子との間に電流保持用イン
    ダクタを電気的に直列接続し、 前記第1の半導体スイッチの第1の主端子と前記電流保
    持用インダクタとの接続点を第1のダイオードを通して
    前記第2の半導体スイッチの第1の主端子に接続すると
    共に、第3のダイオードを通して第3の半導体スイッチ
    の第1の主端子に接続し、 前記第3の半導体スイッチの第2の主端子をスパッタ部
    のチャンバに電気的に接続してなり、 前記第1の半導体スイッチがオンのときには前記直流ス
    パッタ電源から前記スパッタ電極に前記電流保持用イン
    ダクタを通して負極性電圧を供給し、前記第2の半導体
    スイッチがオンのときには前記逆電源から前記スパッタ
    電極に正極性電圧を供給するスパッタリング装置であっ
    て、 前記第1と第2の半導体スイッチの双方がオフである休
    止期間又は前記第2の半導体スイッチがオフの期間に前
    記第3の半導体スイッチをオンさせて前記電流保持用イ
    ンダクタによる電流を前記第3の半導体スイッチ及び前
    記スパッタ部を通して流すことを特徴とするスパッタリ
    ング装置。
  4. 【請求項4】 請求項3において、 前記第2の半導体スイッチへの制御信号を反転する反転
    回路、 前記制御信号を反転してなる反転信号と同相の駆動信号
    を前記第3の半導体スイッチに与えるための駆動回路、
    を備えたことを特徴とするスパッタリング装置。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし請求項4のいずれかにお
    いて、 前記直流スパッタ電源の負極性端子側は第2のダイオー
    ドを通して前記スパッタ部のスパッタ電極側に接続され
    たことを特徴とするスパッタリング装置。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし請求項5のいずれかにお
    いて、 前記第1の半導体スイッチと前記第2の半導体スイッチ
    を休止期間を挟んで定期的に交互にオンさせることによ
    り、定期的に逆電圧パルスを加えてアーク放電の発生を
    抑制又は消孤することを特徴とするスパッタリング装
    置。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし請求項6のいずれかにお
    いて、 前記第1の半導体スイッチがオンの状態で、スパッタ電
    圧が所定レベル以下であるときアーク放電が発生したと
    判別してアーク信号を出力する回路を設け、前記アーク
    信号により前記第1の半導体スイッチを所定時間オフさ
    せると共に、前記第2の半導体スイッチをオンさせ、所
    定時間臨時に逆電圧パルスを加えてアーク放電を消孤す
    ることを特徴とするスパッタリング装置。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし請求項7のいずれかにお
    いて、 スパッタ電圧が所定レベル以下になるとき電圧低下信号
    を出力する電圧低下検出回路を設け、前記電圧低下信号
    により前記第1の半導体スイッチを所定時間オフさせる
    と共に、前記第2の半導体スイッチをオンさせ、所定時
    間臨時に逆電圧パルスを加えて発生したアーク放電を消
    孤することを特徴とするスパッタリング装置。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし請求項8のいずれかにお
    いて、 前記電流保持用インダクタに流れる電流を検出し、この
    電流が第1の過電流レベルを越えたときに前記第1の半
    導体スイッチをオフさせることにより、前記電流保持用
    インダクタを流れる電流を前記第1のダイオード、前記
    第3の半導体スイッチ、前記スパッタ電極を通して循環
    させて減少させ、前記第1の過電流レベルより下の第2
    の過電流レベル以下となったとき、再び前記第1の半導
    体スイッチをオンさせることを特徴とするスパッタリン
    グ装置。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし請求項9のいずれかに
    おいて、 前記第1、第2、第3の半導体スイッチがすべてオフと
    なる微小時間には、前記電流保持用インダクタによる電
    流が前記逆電源を通して前記スパッタ部に流れることを
    特徴とするスパッタリング装置。
JP2000157518A 2000-05-29 2000-05-29 スパッタリング装置 Withdrawn JP2001335928A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000157518A JP2001335928A (ja) 2000-05-29 2000-05-29 スパッタリング装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000157518A JP2001335928A (ja) 2000-05-29 2000-05-29 スパッタリング装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001335928A true JP2001335928A (ja) 2001-12-07

Family

ID=18662139

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000157518A Withdrawn JP2001335928A (ja) 2000-05-29 2000-05-29 スパッタリング装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001335928A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008075112A (ja) * 2006-09-20 2008-04-03 Shindengen Electric Mfg Co Ltd スパッタ装置用電源回路
JP2009059715A (ja) * 2008-11-14 2009-03-19 Shibaura Mechatronics Corp 電源、スパッタ用電源及びスパッタ装置
JP2009059714A (ja) * 2008-11-14 2009-03-19 Shibaura Mechatronics Corp 電源、スパッタ用電源及びスパッタ装置
WO2012023276A1 (ja) * 2010-08-18 2012-02-23 株式会社アルバック 直流電源装置
JP5679241B1 (ja) * 2013-09-27 2015-03-04 株式会社京三製作所 電圧形直流電源装置および電圧形直流電源装置の制御方法

Cited By (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008075112A (ja) * 2006-09-20 2008-04-03 Shindengen Electric Mfg Co Ltd スパッタ装置用電源回路
JP2009059715A (ja) * 2008-11-14 2009-03-19 Shibaura Mechatronics Corp 電源、スパッタ用電源及びスパッタ装置
JP2009059714A (ja) * 2008-11-14 2009-03-19 Shibaura Mechatronics Corp 電源、スパッタ用電源及びスパッタ装置
JP4492975B2 (ja) * 2008-11-14 2010-06-30 芝浦メカトロニクス株式会社 電源、スパッタ用電源及びスパッタ装置
JP4492974B2 (ja) * 2008-11-14 2010-06-30 芝浦メカトロニクス株式会社 電源、スパッタ用電源及びスパッタ装置
WO2012023276A1 (ja) * 2010-08-18 2012-02-23 株式会社アルバック 直流電源装置
CN103069928A (zh) * 2010-08-18 2013-04-24 株式会社爱发科 直流电源装置
JP5399563B2 (ja) * 2010-08-18 2014-01-29 株式会社アルバック 直流電源装置
TWI458243B (zh) * 2010-08-18 2014-10-21 Ulvac Inc DC power supply unit
JP5679241B1 (ja) * 2013-09-27 2015-03-04 株式会社京三製作所 電圧形直流電源装置および電圧形直流電源装置の制御方法
WO2015045196A1 (ja) * 2013-09-27 2015-04-02 株式会社京三製作所 電圧形直流電源装置および電圧形直流電源装置の制御方法
JP2015070677A (ja) * 2013-09-27 2015-04-13 株式会社京三製作所 電圧形直流電源装置および電圧形直流電源装置の制御方法
CN105075087A (zh) * 2013-09-27 2015-11-18 株式会社京三制作所 电压型直流电源装置以及电压型直流电源装置的控制方法
TWI511621B (zh) * 2013-09-27 2015-12-01 Kyosan Electric Mfg 電壓型直流電源裝置及電壓型直流電源裝置之控制方法
US9621064B2 (en) 2013-09-27 2017-04-11 Kyosan Electric Mfg. Co., Ltd. Arc quenching circuit for a power supply in a plasma generator

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8471484B2 (en) Reversed-polarity pulse generating circuit for direct current plasma and direct current plasma power supply unit
JP2003069406A (ja) 高電圧半導体スイッチ装置および高電圧発生装置
JP2001335928A (ja) スパッタリング装置
JP4079561B2 (ja) スパッタ用電源
JPH0241777A (ja) アーク加工用電源装置
JP2001295042A (ja) スパッタリング装置
JP3206521B2 (ja) 高周波加熱装置
JP3803482B2 (ja) パルス電源装置
JP3263751B2 (ja) スイッチング電源
JP3505514B2 (ja) 電源回路
US6204644B1 (en) Switching power supply for speeding up turn-off operation of a switching element
JP5172135B2 (ja) 真空装置
JPH1052754A (ja) アーク加工用電源装置
JP3610383B2 (ja) フライバック形コンバータ
JP4468078B2 (ja) 真空装置用異常放電抑制装置
JP4949285B2 (ja) プラズマ放電装置
JP4627696B2 (ja) 真空装置
JP4081731B2 (ja) スイッチング電源装置
WO2005041389A1 (ja) パルス発生回路
JPH05266984A (ja) 放電ランプ点灯装置
JP3307592B2 (ja) 放電加工機の電源装置
JP2943330B2 (ja) 自励発振式dc−dcコンバータ
JPH07170725A (ja) ゲートターンオフサイリスタ制御装置
JPH1187050A (ja) 高周波加熱装置
JPH0564448A (ja) スイツチング電源装置

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20070807