JP2001332823A - セラミックス回路基板 - Google Patents

セラミックス回路基板

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JP2001332823A
JP2001332823A JP2000153703A JP2000153703A JP2001332823A JP 2001332823 A JP2001332823 A JP 2001332823A JP 2000153703 A JP2000153703 A JP 2000153703A JP 2000153703 A JP2000153703 A JP 2000153703A JP 2001332823 A JP2001332823 A JP 2001332823A
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ceramic
ceramic substrate
metal circuit
metal
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JP2000153703A
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Norio Nakayama
憲隆 中山
Takayuki Naba
隆之 那波
Takao Shirai
隆雄 白井
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】部分的な電界の集中を防止でき、回路間の部分
放電開始電圧を上昇させて電気絶縁性を改善したセラミ
ックス回路基板を提供する。 【解決手段】セラミックス基板2aの表裏両面にそれぞ
れ金属回路板4a,5aを一体に接合したセラミックス
回路基板8において、上記セラミックス基板2aの端部
から表面側の金属回路板4aまでの距離(プルバック寸
法)P1と上記セラミックス基板2aの端部から裏面側
の金属回路板5aまでの距離(プルバック寸法)P2と
の差が1mm以下であることを特徴とするセラミックス
回路基板8である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は主に高出力トランジ
スタやパワーモジュール等の実装に使用されるセラミッ
クス回路基板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からアルミナ(Al)焼結体
などのように絶縁性に優れたセラミックス基板の表面
に、導電性を有する金属回路板をろう材や接着剤やメタ
ライズ金属層で一体に接合したセラミックス回路基板が
パワートランジスターモジュール用基板やスイッチング
電源モジュール用基板として広く普及している。
【0003】しかしながら上記セラミックス回路基板に
おいては、金属回路板とセラミックス基板との間に、ろ
う材や接着剤やメタライズ層のような介在物が存在する
ため、両者間の熱抵抗が大きくなり、金属回路板上に設
けられた半導体素子の発熱を系外に迅速に放熱させるこ
とが困難であるという問題点があった。
【0004】このような問題点を解消するため、近年、
上記ろう材や接着剤やメタライズ層を使用せずに、所定
形状に打ち抜いた金属回路板をセラミックス基板上に接
触配置させて加熱するだけで直接接合する方法も検討さ
れている。すなわち、直接接合法は、セラミックスと金
属とを、ろう材層や接着剤層やメタライズ層などの接合
層を介在させずに直接的に接合する方法である。この直
接接合法では金属中あるいは金属表面に存在する結合剤
(銅の場合は酸素)と金属との共晶液相が生成されて両
部材が直接的に接合される。
【0005】図4〜図6はそれぞれ従来のセラミックス
回路基板1の構造例を示す平面図,断面図および背面図
である。セラミックス基板2の材質としては、アルミナ
(Al),ジルコニア(ZrO),ムライト等
の酸化物系セラミックス焼結体や窒化アルミニウム(A
lN)などの窒化物系焼結体が使用される。
【0006】このセラミックス回路基板1は、例えばセ
ラミックス基板としてのAl基板2の表面側に金
属回路板としての銅回路板4が直接接合される一方、背
面側に裏金属板としての銅回路板5も同様に直接接合さ
れ、さらに表面側の銅回路板4の所定位置に図示しない
半田層を介して半導体素子6が一体に接合された構造を
有している。
【0007】上記直接接合法により金属回路板をセラミ
ックス基板に接合したセラミックス回路基板によれば、
接合界面部にろう材や接着剤層が介在しないため、両部
材間の熱抵抗が小さく放熱姓に優れた回路基板が得られ
る。また、セラミックスと金属との間にMo板等を介在
させないような単純構造であるため、小型高実装化が可
能であり、さらに作業工程も短縮できる等の長所を有し
ている。
【0008】近年、半導体素子の高集積化,高出力化,
大型化が進展し、高出力トランジスタやパワーモジュー
ル等の実装に使用されるセラミックス回路基板には高い
電気絶縁性が要求されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図5に
示すような従来のセラミックス回路基板1においては、
セラミックス基板2の端部から表裏両面に接合した金属
回路板等4,5までの距離(プルバック寸法)P1,P
2の相互関係については全く考慮されていなかったた
め、セラミックス回路基板1の絶縁破壊電圧が低く、高
い電気絶縁性を確保することが困難であった。
【0010】すなわち、セラミックス基板2の表裏両面
におけるプルバック寸法P1,P2の差が大きい場合や
プルバック寸法P1,P2のばらつきが大きい場合に
は、局所的に電界の集中が起こり易く、部分放電の開始
電圧も低くなり、耐電圧特性が低下することが本発明者
らの実験により確認されている。
【0011】また、従来、上記セラミックス回路基板の
電気絶縁性を評価する方法として、セラミックス回路基
板に高電圧を印加して破壊電圧を検出する絶縁性試験が
広く採用されていた。しかしながら、この絶縁性試験は
破壊試験であるため、実際の製品に組み込むセラミック
ス回路基板の全数について実施することは不可能であ
り、必然的に試験対象は狭い範囲に限定されることにな
り、製品の信頼性を確実に保証し得る体制は確立されて
いなかった。
【0012】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであり、部分的な電界の集中を防止でき、回路
間の部分放電開始電圧を上昇させて電気絶縁性を改善し
たセラミックス回路基板を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明者らはセラミックス回路基板の電気絶縁性が
低下する原因について鋭意究明したところ、前記のよう
にセラミックス基板の表裏面に接合した金属回路板等の
プルバック寸法の差やばらつきが大きい場合に、絶縁破
壊電圧が低下し電気絶縁性の低下が顕著になるという知
見を得た。また、上記セラミックス基板の両面に接合し
た金属回路板等のプルバック寸法差を所定範囲にしたと
きに、セラミックス回路基板の高い電気絶縁性が得られ
るという知見も得た。
【0014】さらに、破壊試験である従来の絶縁性試験
を実施せずに、破壊電圧に至る前段階の所定の部分放電
による電荷量を検出する方法により、回路基板の潜在的
な絶縁不良を効果的に発見することが可能であり、セラ
ミックス回路基板を用いた製品の信頼性を確実に保証で
きるという知見も得た。
【0015】本発明は上記知見に基づいて完成されたも
のである。すなわち、本発明に係るセラミックス回路基
板は、セラミックス基板の表裏両面にそれぞれ金属回路
板を一体に接合したセラミックス回路基板において、上
記セラミックス基板の端部から表面側の金属回路板まで
の距離(プルバック寸法)と上記セラミックス基板の端
部から裏面側の金属回路板までの距離(プルバック寸
法)との差が1mm以下であることを特徴とする。
【0016】また上記セラミックス回路基板において、
セラミックス基板の表裏両面にそれぞれ接合された金属
回路板のパターン形状がセラミックス基板面に関して対
称であることが好ましい。また、パターン形状を複数の
金属回路板で形成することが好ましい。さらに、セラミ
ックス基板が窒化アルミニウム(AlN),窒化けい素
(Si),酸化アルミニウム(アルミナ;Al
),酸化ジルコニウム(ジルコニア;ZrO)の
少なくとも1種から成ることが好ましい。また、セラミ
ックス基板を170W/m・K以上の熱伝導率を有する
窒化アルミニウム(AlN)から構成するとよい。
【0017】さらに、セラミックス基板の表裏に接合し
た金属回路板間に電圧を印加した場合に金属回路板間に
10pC(ピコクーロン)の電荷量の移動を伴う放電が
開始されるときの部分放電開始電圧が6KV以上である
ことを特徴とする。また、セラミックス基板の気孔率が
1.5vol.%以下であることが望ましい。また、金
属回路板を直接接合法によりセラミックス基板に一体に
接合することが望ましい。
【0018】本発明に係るセラミックス回路基板に使用
されるセラミックス基板としては、特に限定されるもの
ではなく、酸化アルミニウム(アルミナ:Al
)、ジルコニア(ZrO)等の酸化物系セラミッ
クス基板の他に、窒化アルミニウム(AlN),窒化け
い素(Si),窒化チタン(TiN)等の窒化
物、炭化けい素(SiC),炭化チタン(TiC)等の
炭化物、またはほう化ランタン等のほう化物等の非酸化
物系セラミックス基板でもよい。しかしながら、より高
い電気絶縁性を確保するためには、AlN,Si
,Al,ZrOの少なくとも1種から成
るセラミックス基板が好ましい。これらのセラミックス
基板には酸化イットリウムなどの希土類化合物、酸化カ
ルシウムなどのアルカリ土類化合物、タングステン酸化
物などの遷移金属化合物などの各種焼結助剤等が含有さ
れていてもよい。
【0019】セラミックス基板の表裏両面にそれぞれ金
属回路板を一体に接合したセラミックス回路基板におい
て、上記セラミックス基板の端部から表面側の金属回路
板までの距離(プルバック寸法)と上記セラミックス基
板の端部から裏面側の金属回路板までの距離(プルバッ
ク寸法)との差は、セラミックス回路基板の電気絶縁性
に大きく影響するため、本発明での上記プルバック寸法
の差は1mm以下とされる。上記プルバック寸法差が1
mmを超えると、部分的に電界の集中が起こり易く、部
分放電の開始電圧が低下し、セラミックス回路基板の耐
電圧特性が低下する。そのため、本発明では上記プルバ
ック寸法の差が1mm以下とされるが、0.5mm以下
がより好ましく、さらに、寸法差が0であり、表裏の金
属回路板のプルバック寸法が実質的に同一であること
が、さらに望ましい。
【0020】特に、部分的な電界の集中に基づく部分放
電は金属回路板端部に集中し易いので、プルバック寸法
の差を1mm以下、好ましくは寸法差を0にすることに
より、部分放電のばらつきを無くすことができるため耐
電圧特性が向上するものと考えられる。
【0021】また金属回路板を構成する金属としては、
銅,アルミニウム,鉄,ニッケル,クロム,銀,モリブ
デン,コバルトの単体またはその合金など、基板成分と
の共晶化合物を生成し、直接接合法を適用できる金属で
あれば特に限定されないが、特に導電性および価格の観
点から銅,アルミニウムまたはその合金が好ましい。
【0022】金属回路板の厚さは、通電容量等を勘案し
て決定されるが、セラミックス基板の厚さを0.25〜
1.2mmの範囲とする一方、金属回路板の厚さを0.
1〜0.5mmの範囲に設定して両者を組み合せると熱
膨張差による変形などの影響を受けにくくなる。
【0023】またセラミックス基板の表裏両面にそれぞ
れ接合された金属回路板のパターン形状がセラミックス
基板面に関して対称であるときに、セラミックス基板の
表裏面における電界分布が同一になるとともに、応力分
布も表裏両面で同一になるため、電気絶縁性がより高め
られるとともに、応力分布の不同一に起因するセラミッ
クス基板の割れも効果的に防止できる。
【0024】特に、表面および裏面を形成する金属回路
板からなるパターン形状を、それぞれ複数の金属回路板
からなる構成とすることにより本発明の効果を得易くな
る。つまり、複数の金属回路板からなるパターン形状を
用い、そのパターン形状を実質的に表裏同一にすること
により電界分布および応力分布を同一にするだけでな
く、電界分布および応力分布を分散し、電界または応力
が特定の部位のみに集中することを防止することができ
る。
【0025】また、本発明のセラミックス回路基板にお
いては、金属回路板を直接接合法により接合する形態で
あることが好ましい。前述のように金属回路板の接合方
法にはろう材や接着剤を用いたものがあり、このような
方法により金属回路板を接合したセラミックス回路基板
であっても本発明の効果は得られる。しかしながら、ろ
う材を用いたものには、例えばAg−Cu−Ti系ろう
材を用いた活性金属接合法が存在するが、一般的に、こ
のようなろう材は導電性を有しているため部分的な電界
の集中の原因になり易い。ろう材は塗布法式によりセラ
ミックス基板上に塗布されることが多いため、金属回路
板の外縁からはみ出している場合が多く、このようなろ
う材のはみ出しは特に部分的な電界の集中を起こし易
い。
【0026】一方、接着剤を用いた接合法として、例え
ば有機樹脂を用いた方法があり、この有機樹脂は一般的
に絶縁性が高いことから部分的な電界の集中は回避でき
る。しかしながら、接着剤は放熱性が悪く、セラミック
ス基板の熱抵抗を悪化させてしまうため、好ましい形態
であるとは言えない。
【0027】また、ろう材や接着剤を用いた接合法では
ろう材等の塗布むらが起き易く、このろう材の不均一性
も部分的な電界の集中の原因となると考えられる。した
がって、金属回路板を直接接合法により接合したセラミ
ックス基板であることが特に好ましい形態である。
【0028】なお、金属回路板として銅回路板を使用し
て直接接合法によりセラミックス基板に接合する場合に
は、酸素を100〜1000ppm含有するタフピッチ
電解銅から成る銅回路板を使用し、さらに後述するよう
に銅回路板表面に所定厚さの酸化銅層を予め形成するこ
とにより、直接接合時に、発生するCu−O共晶の量を
増加させ、セラミックス基板と銅回路板との接合強度
を、より向上させることができる。
【0029】上記酸化銅層などの酸化物層は、例えば金
属回路板を大気中において温度150〜360℃の範囲
にて20〜120秒間加熱する表面酸化処理を実施する
ことによって形成される。ここで、酸化銅層の厚さが1
μm未満の場合は、Cu−O共晶の発生量が少なくなる
ため、基板と銅回路板との未接合部分が多く、接合強度
を向上させる効果は少ない。一方、酸化銅層の厚さが1
0μmを超えるように過大にしても、接合強度の改善効
果が少なく、却って銅回路板の導電特性を阻害すること
になる。したがって、銅回路板表面に形成する酸化銅層
の厚さは1〜10μmの範囲が好ましい。そして同様の
理由により2〜5μmの範囲がより望ましい。
【0030】また、セラミックス基板の表面が平滑であ
る場合よりも、粗面である方が接合強度が高くなる傾向
がある。なお、上記酸化処理において、加熱温度を高め
たり、処理時間を長くすることにより、セラミックス基
板の表面粗さを増加させることができる。上記表面酸化
処理後におけるセラミックス基板の表面粗さは、中心線
平均粗さ(Ra)が5〜10μmの範囲にするとよい。
さらに必要に応じてセラミックス基板表面をホーニング
処理することによって、その表面粗さを調整してもよ
い。
【0031】なお、直接接合法はAlなどの酸化
物系セラミックス基板のみについては直ちに適用可能で
あり、窒化アルミニウムや窒化けい素などの非酸化物系
セラミックス基板にそのまま適用しても基板に対する濡
れ性が低いため、金属回路板の充分な接合強度が得られ
ない。
【0032】そこでセラミックス基板として、AlNや
Siなどの非酸化物系セラミックス基板を使用す
る場合には、その非酸化物系セラミックス基板の表面に
予め酸化物層を形成し、基板に対する濡れ性を高める必
要がある。この酸化物層は上記非酸化物系セラミックス
基板を、空気中などの酸化雰囲気中で温度1000〜1
400℃程度で0.1〜15時間加熱して形成される。
この酸化物層の厚さが0.5μm未満の場合には、上記
濡れ性の改善効果が少ない一方、10μmを超えるよう
に厚く形成しても改善効果が飽和するため、酸化物層の
厚さは0.5〜10μmの範囲が必要であり、より好ま
しくは1〜5μmの範囲が望ましい。
【0033】一方、さらにセラミックス基板として、2
00W/m・K以上の熱伝導率を有する窒化アルミニウ
ム(AlN)基板を使用することにより、セラミックス
回路基板の放熱性を大幅に高めることが可能であり、特
に発熱量が大きい高出力トランジスタやパワーモジュー
ルを実装した場合においても、発熱は迅速に系外に排出
されるため、発熱による誤動作が少なく、動作信頼性が
高い半導体装置が得られる。
【0034】上記のように調製したセラミックス回路基
板において、セラミックス基板の表裏に接合した金属回
路板間に電圧を印加した場合に、金属回路板間に10p
Cの電荷量の移動を伴う放電が開始されるときの部分放
電開始電圧は6KV以上となり、従来のセラミックス回
路基板と比較して、その電気絶縁性を大幅に改善するこ
とができる。また、上記のような優れた電気絶縁性を確
保するために、セラミックス基板の気孔率は1.5vo
l.%以下に調整することが望ましい。
【0035】さらにセラミックス基板中の最大気孔径は
1μm以下であることが望ましい。セラミックス基板中
に存在する気孔径が大きすぎると、セラミックス基板中
の電気絶縁性に部分的なばらつきを生じてしまうことか
ら、最大気孔径が1μmを超えることは好ましい形態で
はない。
【0036】上記構成に係るセラミックス回路基板によ
れば、セラミックス基板の表裏両面に金属回路板を一体
に接合しており、上記セラミックス基板の表裏両面にお
けるプルバック寸法(セラミックス基板端部から金属回
路板までの距離)の差を所定範囲内に規定しているた
め、局所的な電界の集中が効果的に防止され、回路間の
部分放電開始電圧を上昇させることが可能となる。した
がって、セラミックス回路基板の電気絶縁性が向上し、
半導体素子が高出力化した場合においても、誤動作が発
生しにくく、半導体装置の信頼性を大幅に高めることが
できる。
【0037】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施形態について、
以下に示す実施例および比較例を参照して、より具体的
に説明する。
【0038】実施例1〜7 表1に示す気孔率,熱伝導率および厚さを有する窒化ア
ルミニウム(AlN)基板などのセラミックス基板を多
数用意した。各AlN基板などの非酸化物系セラミック
ス基板については、空気雰囲気の加熱炉中で温度100
0℃で8〜12時間加熱することにより、基板全表面を
酸化し、厚さ2〜3μmの酸化物層(Al皮膜)
を形成した。なお、窒化アルミニウム基板は最大気孔径
がいずれも1μm以下のものを使用した。
【0039】一方、酸素を407ppm含有し、厚さが
0.3mmのタフピッチ電解銅から成り、図1〜図3に
示すような所定形状に打ち抜いた銅回路板4aを多数用
意した。
【0040】次に酸化物層を形成した各AlN基板表面
側に、厚さ0.3mmのタフピッチ電解銅から成る銅回
路板を接触配置する一方、背面側に厚さ0.3mmのタ
フピッチ銅から成る銅回路板を表面側の銅回路板と対称
となるように配置するとともに、表裏両面におけるセラ
ミックス基板から金属回路板までの距離(プルバック寸
法)P1,P2が表1に示す値となるように各銅回路板
を接触配置させて積層体とし、この積層体を窒素ガス雰
囲気に調整した温度1075℃(共晶温度付近)に設定
した加熱炉に挿入して1分間加熱することにより、各A
lN基板の両面に銅回路板を直接接合した実施例1〜7
に係るセラミックス回路基板をそれぞれ調製した。
【0041】各セラミックス回路基板1は、図2に示す
ようにAlN基板2aの全表面に酸化物層3が形成され
ており、図1に示すようにAlN基板2aの表面側に金
属回路板としての銅回路板4aが直接接合される一方、
図3に示すように背面側に裏銅板としての銅回路板5a
が同様に直接接合され、さらに表面側の銅回路板4aの
所定位置に図示しない半田層を介して半導体素子6が一
体に接合された構造を有する。また、図1および図3の
対比から明らかなように、各セラミックス基板2aの表
裏両面にそれぞれ接合された金属回路板4a,5aのパ
ターン形状がセラミックス基板面に関して対称となって
いる。
【0042】比較例1〜3 一方、セラミックス基板の端部から各金属回路板までの
距離(プルバック寸法)P1,P2を、本発明で規定す
る範囲外に調整した点以外は実施例と同一条件でセラミ
ックス基板の両面にそれぞれ銅回路板を直接接合して比
較例1〜3に係るセラミックス回路基板をそれぞれ調製
した。また、比較例2に係るセラミックス回路基板にお
いては、セラミックス基板の表裏面に接合する金属回路
板のパターン形状を図4および図6に示す従来の形状と
し、セラミックス基板面に関して非対称とした。
【0043】上記のように調製した各実施例および比較
例に係る各セラミックス基板について、その電気絶縁性
の良否を比較するために、下記のような部分放電試験を
実施した。すなわち、各セラミックス回路基板を絶縁液
(商品名:フロリナート)中に浸漬し、セラミックス基
板両面に接合した銅回路板にそれぞれ電極を配置し、こ
の電極間に毎分10KVの電圧上昇速度で交流電圧を印
加した。そして、10pC(ピコクーロン)の電荷量を
放電する際の印加電圧を部分放電開始電圧としてそれぞ
れ測定し、下記表1に示す結果を得た。
【0044】
【表1】
【0045】上記表1に示す結果から明らかなように、
セラミックス基板の端部から表面側の金属回路板までの
距離(プルバック寸法)P1と上記セラミックス基板の
端部から裏面側の金属回路板までの距離(プルバック寸
法)P2との差を1.0mm以下に規定した各実施例に
係るセラミックス回路基板は、上記差を範囲外に規定し
た各比較例に係るセラミックス回路基板と比較して、部
分放電開始電圧が大きく、優れた電気絶縁性を有してい
ることが判明した。具体的には、従来例を示す各比較例
に係るセラミックス回路基板の部分放電開始電圧の平均
値が5.5KVであるのに対して、プルバック寸法差を
適正に調整した各実施例の平均値は6.3KVであり、
耐電圧特性が約15%改善されることが確認できた。
【0046】
【発明の効果】以上説明の通り、本発明に係るセラミッ
クス回路基板によれば、セラミックス基板の表裏両面に
金属回路板を一体に接合しており、上記セラミックス基
板の表裏両面におけるプルバック寸法(セラミックス基
板端部から金属回路板までの距離)の差を所定範囲内に
規定しているため、局所的な電界の集中が効果的に防止
され、回路間の部分放電開始電圧を上昇させることが可
能となる。したがって、セラミックス回路基板の電気絶
縁性が向上し、半導体素子が高出力化した場合において
も、誤動作が発生しにくく、半導体装置の信頼性を大幅
に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るセラミックス回路基板の一実施例
を示す平面図。
【図2】図1に示すセラミックス回路基板の断面図。
【図3】図1に示すセラミックス回路基板の背面図。
【図4】従来のセラミックス回路基板の構造例を示す平
面図。
【図5】図4に示すセラミックス回路基板の断面図。
【図6】図4に示すセラミックス回路基板の背面図。
【符号の説明】
1 セラミックス回路基板 2,2a セラミックス基板(Al基板,AlN
基板) 3 酸化物層(Al膜) 4,4a 金属回路板(銅回路板) 5,5a 金属回路板(裏銅板) 6 半導体素子 8 セラミックス回路基板 P1,P2 プルバック寸法
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 25/18 (72)発明者 白井 隆雄 神奈川県横浜市鶴見区末広町二丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 Fターム(参考) 5E338 AA02 AA18 BB63 CC01 CD02 CD11 EE02 EE11 EE28 5E343 AA02 AA24 BB15 BB24 BB67 DD55 DD62 GG01

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックス基板の表裏両面にそれぞれ
    金属回路板を一体に接合したセラミックス回路基板にお
    いて、上記セラミックス基板の端部から表面側の金属回
    路板までの距離(プルバック寸法)と上記セラミックス
    基板の端部から裏面側の金属回路板までの距離(プルバ
    ック寸法)との差が1mm以下であることを特徴とする
    セラミックス回路基板。
  2. 【請求項2】 セラミックス基板の表裏両面にそれぞれ
    接合された金属回路板のパターン形状がセラミックス基
    板面に関して対称であることを特徴とする請求項1記載
    のセラミックス回路基板。
  3. 【請求項3】 セラミックス基板が窒化アルミニウム,
    窒化けい素,アルミナ,ジルコニアの少なくとも1種か
    ら成ることを特徴とする請求項1記載のセラミックス回
    路基板。
  4. 【請求項4】 セラミックス基板が170W/m・K以
    上の熱伝導率を有する窒化アルミニウムから成ることを
    特徴とする請求項1記載のセラミックス回路基板。
  5. 【請求項5】 セラミックス基板の表裏に接合した金属
    回路板間に電圧を印加した場合に金属回路板間に10p
    Cの電荷量の移動を伴う放電が開始されるときの部分放
    電開始電圧が6KV以上であることを特徴とする請求項
    1記載のセラミックス回路基板。
  6. 【請求項6】 セラミックス基板の気孔率が1.5vo
    l.%以下であることを特徴とする請求項1記載のセラ
    ミックス回路基板。
  7. 【請求項7】 金属回路板が直接接合法により一体に接
    合されたものであることを特徴とする請求項1記載のセ
    ラミックス回路基板。
  8. 【請求項8】 パターン形状が複数の金属回路板からな
    ることを特徴とする請求項2記載のセラミックス回路基
    板。
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