JP3059117B2 - セラミックス回路基板 - Google Patents
セラミックス回路基板Info
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Description
されるセラミックス回路基板に関する。
などのように絶縁性に優れたセラミックス基板の表面
に、導電性を有する金属回路板をろう材や接着剤やメタ
ライズ金属層で一体に接合したセラミックス回路基板が
パワートランジスターモジュール用基板やスイッチング
電源モジュール用基板として広く普及している。
おいては、金属回路板とセラミックス基板との間に、ろ
う材や接着剤やメタライズ層のような介在物が存在する
ため、両者間の熱抵抗が大きくなり、金属回路板上に設
けられた半導体素子の発熱を系外に迅速に放熱させるこ
とが困難であるという問題点があった。
上記ろう材や接着剤やメタライズ層を使用せずに、所定
形状に打ち抜いた金属回路板をセラミックス基板上に接
触配置させて加熱するだけで直接接合する方法が検討さ
れている。すなわち、直接接合法は、セラミックスと金
属とを、ろう材層や接着剤層やメタライズ層などの接合
層を介在させずに直接的に接合する方法である。この直
接接合法では金属中あるいは金属表面に存在する結合剤
(銅の場合は酸素)と金属との共晶液相が生成されて両
部材が直接的に接合される。
回路基板の例を示す断面図である。セラミックス基板の
材質としては、アルミナ(Al2 O3 ),ジルコニア
(ZrO2 ),ムライト等の酸化物系セラミックス焼結
体や窒化アルミニウム (AlN)などの窒化物系焼結
体が使用される。図4は結合剤としての酸素を含有しな
い銅回路板4をAl2 O3 基板2表面に直接接合したセ
ラミックス回路基板1を示す。なお接合時に共晶液相を
生成するために、銅回路板4表面には所定厚さの表面酸
化層(酸化銅層)7が予め形成されている。なお、図4
には説明図として表面酸化層を拡大して示しており、表
面酸化層の実際の厚さ、寸法は実際とは異なる。
4に示すようにAl2 O3 基板2の表面側に金属回路板
としての銅回路板4が直接接合される一方、背面側に裏
銅板としての銅板5も同様に直接接合され、さらに表面
側の銅回路板4の所定位置に図示しない半田層を介して
半導体素子6が一体に接合された構造を有している。
板1aは、結合剤としての酸素を100〜1000pp
m含有する銅回路基板4aおよび裏銅板5aをAl2 O
3 基板2のそれぞれ表面側および裏面側に直接接合して
形成されている。この場合でも、銅(回路)板中に含有
された酸素が加熱時に接合界面において酸化銅を形成
し、直接接合が行われる。
の酸化物系セラミックスについてのみ直接適用可能であ
り、窒化アルミニウム(AlN)基板や窒化けい素(S
i3N4 )基板などの非酸化物系セラミックス基板にそ
のまま適用しても、基板に対する濡れ性が低いため、金
属回路板の充分な接合強度が得られない。
用する場合には、予めセラミックス基板表面に酸化物層
を形成し、基板に対する濡れ性を高める必要がある。図
6はセラミックス基板としてAlN基板2aを使用した
セラミックス回路基板1bの構成例を示す断面図であ
る。この場合、金属回路板4a,5aの接合操作前に、
予めAlN基板2aを酸化性雰囲気中で加熱処理するこ
とにより、AlN基板2aの全表面に酸化物層(Al2
O3 皮膜)3が形成される。
ックス基板に接合したセラミックス回路基板によれば、
接合界面部にろう材や接着剤層が介在しないため、両部
材間の熱抵抗が小さく放熱姓に優れた回路基板が得られ
る。また、セラミックスと金属との間にMo板等を介在
させないような単純構造であるため、小型高実装化が可
能であり、さらに作業工程も短縮できる等の長所を有し
ている。
ように直接接合法によって形成した従来の各セラミック
ス回路基板においては、たとえ酸素を含有した金属回路
板を使用しても、または、表面酸化層を形成した金属回
路板を使用しても、十分な接合強度を有するセラミック
ス回路基板を容易に製造することは困難であり、より十
分な接合強度と製品特性の安定化が求められていた。
れたものであり、特に金属回路板あるいは金属板とセラ
ミックス基板との接合強度を高め回路基板全体としての
機械的強度を改善し、金属回路板の剥離や膨れなどの欠
陥の発生が少ないセラミックス回路基板を提供すること
を目的とする。
達成するために、従来のセラミックス回路基板における
金属回路板の剥離や膨れの発生原因および金属回路板に
未接合部が発生する原因について調査研究を行なった。
その結果、まず接合操作後に金属回路板のピール強度を
測定する際に接合面を観察した結果、未接合部が大きな
面積割合で存在していることを発見した。そして、この
ためにピール強度が低下していることを確認した。ま
た、さらに得られたセラミックス回路基板は上記未接合
部を起点として金属回路板の剥離や膨れが発生し易いこ
とも同時に確認した。さらに、金属回路板の剥離や膨れ
の発生原因としては、金属回路板などの直接接合時に加
熱操作によって生成する共晶液相の生成量が少ないこ
と、および共晶液相とセラミックス基板との濡れ性が悪
いことが大きな原因であると推定した。
上記共晶液相の生成量を増大させ、セラミックス基板に
対する共晶液相の濡れ性を改善する方策を種々検討し
た。その結果、金属回路板に所定量の酸素を含有させる
とともに、さらに金属回路板表面に所定厚さの酸化物層
を形成したときに、セラミックス基板と金属回路板との
接合強度(ピール強度)が大幅に改善され、回路基板の
耐久性が向上することが判明した。
るよりも、ホーニング処理等を実施して中心線平均粗さ
(Ra)が5.0〜10.0μmの範囲となるように粗
面化加工した場合の方が、基板と金属回路板との接合強
度が増加し、耐久性が優れた回路基板が得られることも
判明した。
に、特に金属回路板との接合面となるセラミックス基板
の表面部に、液相成分となるイットリアとアルミナとの
化合物を所定量分布させることにより、セラミックス基
板と金属回路板との接合強度をより高めることが可能に
なるという知見を得た。
のである。すなわち本発明に係る第1のセラミックス回
路基板は、少なくともセラミックス基板との接合面側の
表面に酸化物層を有するとともに内部に酸素を100〜
1000ppm含有する金属回路板が、前記セラミック
ス基板に直接接合されていることを特徴とする。
1.0μm以上であることを特徴とする。さらに金属回
路板はタフピッチ電解銅から構成するとよい。
00〜1000ppm含有するタフピッチ電解銅であっ
ても表面に予め厚さ1.0μm以上の酸化銅層を有する
銅回路板であることが接合強度を向上させるために好ま
しい。
2 O3 )から成ることを特徴とする。さらにセラミック
ス基板が、窒化アルミニウム(AlN)から成り、少な
くとも金属回路板との接合面側の表面に、厚さが0.5
〜10μmの酸化物層を有することを特徴とする。また
セラミックス基板が、窒化けい素(Si3 N4 )から成
り、少なくとも金属回路板との接合面側の表面に、厚さ
が0.5〜10μmの酸化物層を有することを特徴とす
る。
を有するように形成するとよい。
路基板は、セラミックス基板に金属回路板を直接接合し
てなるセラミックス回路基板において、前記セラミック
ス基板の接合面側の表面から深さ100μmまでの断面
領域についてEPMA断面面分析した場合に、液相成分
となるイットリア(Y2 O3 )とアルミナ(Al
2 O3 )との化合物の分布割合が面積率換算で10〜8
0%であることを特徴とする。さらに、上記セラミック
ス基板が窒化アルミニウム(AlN)基板で構成すると
よい。また、液相成分となるイットリアとアルミナとの
化合物は、YAG,YAL,YAMの少なくとも1種で
あることが望ましい。
合、直接接合法における結合剤は酸素であるので、この
銅回路板はCu−O共晶化合物によりセラミックス基板
に接合されることになる。さらに金属回路板がアルミニ
ウム回路板である場合、直接接合法における結合剤はS
iが好ましいので、このアルミニウム回路板はAl−S
i共晶化合物によりセラミックス基板に接合されている
ことが好ましい。
されるセラミックス基板としては、特に限定されるもの
ではなく、酸化アルミニウム(アルミナ:Al2 O3 )
等の酸化物系セラミックス基板の他に、窒化アルミニウ
ム(AlN),窒化けい素(Si3 N4 ),窒化チタン
(TiN)等の窒化物、炭化けい素(SiC),炭化チ
タン(TiC)等の炭化物、またはほう化ランタン等の
ほう化物等の非酸化物系セラミックス基板でもよい。こ
れらのセラミックス基板には酸化イットリウムなどの焼
結助剤等が含有されていてもよい。
は、銅,アルミニウム,鉄,ニッケル,クロム,銀,モ
リブデン,コバルトの単体またはその合金など、基板成
分との共晶化合物を生成し、直接接合法を適用できる金
属であれば特に限定されないが、特に導電性および価格
の観点から銅,アルミニウムまたはその合金が好まし
い。
て決定されるが、セラミックス基板の厚さを0.25〜
1.2mmの範囲とする一方、金属回路板の厚さを0.1
〜0.5mmの範囲に設定して両者を組み合せると熱膨張
差による変形などの影響を受けにくくなる。
場合には、酸素を100〜1000ppm含有するタフ
ピッチ電解銅から成る銅回路板を使用し、さらに後述す
るように銅回路板表面に所定厚さの酸化銅層を予め形成
することにより、直接接合時に、発生するCu−O共晶
の量を増加させ、基板と銅回路板との接合強度を、より
向上させることができる。
属回路板を大気中において温度150〜360℃の範囲
にて20〜120秒間加熱する表面酸化処理を実施する
ことによって形成される。ここで、酸化銅層の厚さが1
μm未満の場合は、Cu−O共晶の発生量が少なくなる
ため、基板と銅回路板との未接合部分が多く、接合強度
を向上させる効果は少ない。一方、酸化銅層の厚さが1
0μmを超えるように過大にしても、接合強度の改善効
果が少なく、却って銅回路板の導電特性を阻害すること
になる。したがって、銅回路板表面に形成する酸化銅層
の厚さは1〜10μmの範囲が好ましい。そして同様の
理由により2〜5μmの範囲がより望ましい。
る場合よりも、粗面である方が接合強度が高くなる傾向
がある。なお、上記酸化処理において、加熱温度を高め
たり、処理時間を長くすることにより、セラミックス基
板の表面粗さを増加させることができる。上記表面酸化
処理後におけるセラミックス基板の表面粗さは、中心線
平均粗さ(Ra)が5〜10μmの範囲にするとよい。
さらに必要に応じてセラミックス基板表面をホーニング
処理することによって、その表面粗さを調整してもよ
い。
物系セラミックス基板のみについては直ちに適用可能で
あり、窒化アルミニウムや窒化けい素などの非酸化物系
セラミックス基板にそのまま適用しても基板に対する濡
れ性が低いため、金属回路板の充分な接合強度が得られ
ない。
セラミックスを使用する場合には、その非酸化物系セラ
ミックス基板の表面に予め酸化物層を形成し、基板に対
する濡れ性を高める必要がある。この酸化物層は上記非
酸化物系セラミックス基板を、空気中などの酸化雰囲気
中で温度1000〜1400℃程度で2〜15時間加熱
して形成される。この酸化物層の厚さが0.5μm未満
の場合には、上記濡れ性の改善効果が少ない一方、10
μmを超えるように厚く形成しても改善効果が飽和する
ため、酸化物層の厚さは0.5〜10μmの範囲が必要
であり、より好ましくは1〜5μmの範囲が望ましい。
アルミニウム(AlN)基板を使用する場合には、上記
セラミックス基板の接合面側の表面から深さ100μm
までの断面領域についてEPMA断面面分析した場合
に、液相成分となるイットリア(Y2 O3 )とアルミナ
(Al2 O3 )との化合物の分布割合が面積率換算で1
0〜80%の範囲となるように調整する必要がある。す
なわち、酸化物層以外にY2 O3 とAl2 O3 との化合
物を前記所定量分布させる必要がある。
ら深さ100μmまでの断面領域は、金属回路板との接
合性に大きく影響を及ぼす領域であり、この断面領域、
すなわちセラミックス基板の接合表面部における上記化
合物の分布割合が10%未満の場合には、上記接合強度
の改善効果が少ない。一方、上記分布割合が80%を超
えた場合においても、接合強度は低下する。したがっ
て、上記化合物の分布割合は10〜80%の範囲とされ
るが20〜60%の範囲がより好ましい。
ミナとの化合物としては、YAG(イットリウム・アル
ミニウム・ガーネット:3Y2O3・5Al2O3),
YAL(イットリウム・アルミニウム:1Y2O3・1
Al2O3),YAM(イットリウム・アルミニウム:
2Y2O3・1Al2O3)があり、これらの化合物は
金属回路板との濡れ性を向上させる作用を有し、金属回
路板とセラミックス基板との接合強度を、より高めるこ
とができる。
合物のセラミックス基板表面部における分布割合は、基
板原料となるセラミックス原料粉末に対して焼結助剤と
して添加するY2 O3 およびAl2 O3 の添加量,焼結
温度や焼結時間を適正に制御することにより調整でき
る。例えば、セラミックス基板としてのAlN基板を製
造する場合は、AlN原料粉末に対して1〜10重量%
のY2 O3 と0.1〜5重量%のAl2 O3 とを添加
し、得られた原料混合体の成形体表面に窒化ほう素(B
N)などから成る敷粉を配置した状態で、非酸化性雰囲
気中で温度1750〜1950℃で2〜10時間焼結し
て得られる。
配置することにより、生成したYAG,YAL,YAM
などの液相成分が成形体表面部から揮散することが防止
でき、AlN基板表面部に液相成分となる化合物が所定
量だけ分布したAlN基板が得られる。上記化合物の分
布割合は、AlN基板の接合表面部の断面領域をX線マ
イクロアナライザ(EPMA)による面分析し、特にイ
ットリウム(Y)の集合部の面積割合を定量することに
より容易に測定できる。
記のように製造したセラミックス基板の表面に、前記金
属回路板を直接接合して製造される。
合剤を使用せずにセラミックス基板表面に直接的に一体
に接合される。すなわち、金属回路板の成分と基板成分
との共晶化合物(共晶融体)を加熱により発生せしめ、
この共晶化合物を接合剤として両部材を接合する、いわ
ゆる直接接合法を使用して接合される。
ラミックスから成り、また金属回路板が銅回路板である
場合には、以下のように接合操作が実施される。すなわ
ち酸化物層を形成したセラミックス基板の表面の所定位
置に、表面酸化層としての酸化銅層を形成した銅回路板
を接触配置して基板方向に押圧した状態で、銅の融点
(1083℃)未満で銅−酸化銅の共晶温度(1065
℃)以上に加熱し、生成したCu−O共晶化合物液相
(共晶融体)を接合剤として銅回路板がセラミックス基
板表面に直接的に接合される。この直接接合法は、いわ
ゆる銅直接接合法(DBC:Direct Bonding Copper
法)である。
ある場合には、結合剤としてはSiが選択されセラミッ
クス基板表面にAl回路板を押圧した状態でアルミニウ
ム−けい素の共晶温度以上に加熱し、生成したAl−S
i共晶化合物液相(共晶融体)を接合剤としてAl回路
板がセラミックス基板表面に直接的に接合され、本発明
のセラミックス回路基板が製造される。
板をセラミックス基板表面に直接接合して形成した本発
明に係るセラミックス回路基板によれば、金属回路板と
セラミックス基板との間に、接着剤やろう材のような介
在物が存在しないため、両者間の熱抵抗が小さく、金属
回路板上に設けられた半導体素子の発熱を系外に迅速に
放散させることが可能である。
ば、金属回路板に所定量の酸素が含有されており、また
金属回路板表面に表面酸化層が形成されているため、直
接接合時に必要な共晶融体の生成量を大幅に増加させる
ことができ、またセラミックス基板に対する共晶融体の
濡れ性を大幅に高めることができる。したがって、セラ
ミックス基板と金属回路板との未接合部が減少し、両部
材の接合強度を大幅に高めることができる。また未接合
部に起因する金属回路板の剥離や膨れが効果的に防止で
き、この回路基板を用いた半導体装置を高い製造歩留り
で量産することが可能になる。
熱サイクルによって回路層が剥離したり、基板に割れが
発生することが少なく、耐熱サイクル特性が著しく向上
し、耐久性および信頼性に優れた半導体装置を提供する
ことができる。
ミックス基板の表面部に、液相成分となるイットリアと
アルミナとの化合物を所定量だけ分布させることによ
り、セラミックス基板と金属回路板との接合強度を、よ
り高めることができる。
下に示す実施例を参照して具体的に説明する。
あり、縦55mm×横37mm×厚さ0.8mmの窒化アルミ
ニウム(AlN)基板を多数用意し、各AlN基板を空
気雰囲気の加熱炉中で1300℃で12時間加熱するこ
とにより、基板全表面を酸化し厚さ2μmの酸化物層
(Al2 O3 皮膜)を形成した。
0.3mmおよび0.25mmのタフピッチ電解銅から成る
銅回路板を多数用意し、各銅回路板を大気に接するホッ
トプレート上に載置した状態で表1に示す酸化条件(温
度,時間)でそれぞれ加熱して表面酸化処理を行ない、
表1に示すような厚さを有する表面酸化層(酸化銅層)
を一体に形成した。
側に、厚さ0.3mmのタフピッチ電解銅から成る銅回路
板を接触配置する一方、背面側に厚さ0.25mmのタフ
ピッチ銅から成る銅回路板を裏当て材として接触配置さ
せて積層体とし、この積層体を窒素ガス雰囲気に調整し
た温度1075℃に設定した加熱炉に挿入して1分間加
熱することにより、各AlN基板の両面に銅回路板を直
接接合した実施例1〜5に係るセラミックス回路基板を
それぞれ調製した。
ようにAlN基板2aの全表面に酸化物層3が形成され
ており、AlN基板2aの表面側に金属回路板としての
銅回路板4aが直接接合される一方、背面側に裏銅板と
しての銅回路板5aが同様に直接接合され、さらに表面
側の銅回路板4aの所定位置に図示しない半田層を介し
て半導体素子6が一体に接合された構造を有する。なお
AlN基板2aの両面に銅回路板4a,5aを接合した
場合、裏銅板としての銅回路板5aは放熱促進および反
り防止に寄与するので有効である。
面酸化層(酸化銅層)を形成しない銅回路板を使用した
点以外は実施例1と同一条件で直接接合処理することに
より、比較例1に係るセラミックス回路基板を調製し
た。
であり、縦50mm×横25mm×厚さ0.635mmの窒化
アルミニウム(AlN)基板を多数用意し、各AlN基
板を空気雰囲気の加熱炉中で1300℃で12時間加熱
することにより、基板全表面を酸化し厚さ2μmの酸化
物層(Al2 O3 皮膜)を形成した。
0.3mmおよび0.25mmのタフピッチ電解銅から成る
銅回路板を多数用意し、各銅回路板を大気に接するホッ
トプレート上に載置した状態で表1に示す酸化条件(温
度,時間)でそれぞれ加熱して表面酸化処理を行ない、
表1に示すような厚さを有する表面酸化層(酸化銅層)
を一体に形成した。
側に、厚さ0.3mmのタフピッチ電解銅から成る銅回路
板を接触配置する一方、背面側に厚さ0.25mmのタフ
ピッチ銅から成る銅回路板を裏当て材として接触配置さ
せて積層体とし、この積層体を窒素ガス雰囲気に調整し
た温度1075℃に設定した加熱炉に挿入して1分間加
熱することにより、各AlN基板の両面に銅回路板を直
接接合して、図1に示すような実施例6〜10に係るセ
ラミックス回路基板をそれぞれ調製した。
面酸化層(酸化銅層)を形成しない銅回路板を使用した
点以外は実施例6と同一条件で直接接合処理することに
より、比較例2に係るセラミックス回路基板を調製し
た。
例に係る各回路基板について、表面酸化処理後における
銅回路板の酸素含有量を測定して、表1に示す結果を得
た。また各回路基板の強度特性を評価するために、各銅
回路板のピール強度の平均値を測定するとともに、この
ピール強度測定後における銅回路板の剥離面を写真撮影
し、写真上に白色部として残る未接合部の面積率を画像
解析により測定した。各測定結果を下記表1に示す。
結合剤として所定量の酸素を含有する銅回路板であり、
かつ、その接合面に表面酸化層(酸化銅層)を一体に形
成した銅回路板をセラミックス基板表面に直接接合して
成る各実施例に係るセラミックス回路基板によれば、上
記酸化銅層を形成していない比較例1,2の回路基板と
比較して、銅回路板とセラミックス基板との未接合部の
面積率が小さく、またピール強度は10〜27%上昇す
ることが確認できた。
化物層(Al2 O3 皮膜)を形成したAlN基板2aに
代えて、同一厚さを有するアルミナ(Al2 O3 )基板
2を使用した点以外は、実施例1と同様にして銅回路板
をAl2 O3 基板2表面に直接接合することにより、図
2に示すような実施例11に係るセラミックス回路基板
1dを調製した。なお、銅回路板としては実施例1〜5
用に調製した各銅回路板4a,5aを使用した。各銅回
路板4a,5aの表面には所定厚さの酸化銅層7が形成
されている。
ていない銅回路板をAl2 O3 基板に直接接合して比較
例のセラミックス回路基板を調製した。
5aを使用した実施例11に係るセラミックス回路基板
1dのピール強度は、酸化銅層を形成しない比較例のセ
ラミックス回路基板と比較して22〜31%増加してお
り、優れた接合強度を有していることが確認できた。
化物層(Al2 O3 皮膜)を形成したAlN基板2aに
代えて、表面に厚さ2μmの酸化物層(SiO2 皮膜)
3aを形成した窒化けい素(Si3 N4 )基板2bを使
用した点以外は、実施例1と同様にして銅回路板をSi
3 N4 基板2b表面に直接接合することにより、図3に
示すような実施例12に係るセラミックス回路基板1e
を調製した。なお、銅回路板としては実施例1〜5用に
調製した各銅回路板4a,5aを使用した。各銅回路板
4a,5aの表面には所定厚さの酸化銅層7が形成され
ている。
ていない銅回路板をSi3 N4 基板に直接接合して比較
例のセラミックス回路基板を調製した。
5aを使用した実施例12に係るセラミックス回路基板
1eのピール強度は、酸化銅層を形成しない比較例のセ
ラミックス回路基板と比較して18〜28%増加してお
り、優れた接合強度を有していることが確認できた。
クス基板表面部における液相成分量を調整したAlN基
板を用いた実施例について以下に説明する。
てのイットリア(Y2O3 )とアルミナ(Al2 O3 )
とを表2に示す割合で添加し、エチルアルコール中で3
0時間湿式混合した。乾燥した原料混合物を金型成形機
の型内に充填して1200kg/cm2 の成形圧力にて圧縮
成形して板状の各AlN成形体を調製した。
を封入した耐圧加熱炉内に配置し、さらに各AlN成形
体の表面上に窒化ほう素から成る敷粉を配置した状態で
焼結を実施した。焼結条件は表2に示す通りである。
ーニング加工して厚さ10μm相当量を削り取った。し
かる後に各AlN焼結体を実施例1と同様に空気雰囲気
の加熱炉内で1300°で12時間加熱することによ
り、基板全表面を酸化し、厚さ2μmの酸化物層(Al
2 O3 皮膜)を形成することにより、各実施例用のAl
N基板とした。
μmの表面酸化層(酸化銅層)を有し、酸素を407pp
m 含有する厚さ0.3mmおよび0.25mmのタフピッチ
電解銅からなる銅回路板を用意した。
側に、厚さ0.3mmのタフピッチ電解銅から成る銅回路
板を接触配置する一方、背面側に厚さ0.25mmのタフ
ピッチ銅から成る銅回路板を裏当て材として接触配置さ
せて積層体とし、この積層体を窒素ガス雰囲気に調整し
た温度1075℃に設定した加熱炉に挿入して1分間加
熱することにより、各AlN基板の両面に銅回路板を直
接接合した実施例13〜20に係るセラミックス回路基
板をそれぞれ調製した。
助剤の添加量を過量に設定したり(比較例3,4)し、
さらに、表2に示す条件で焼成を実施した点以外は、前
記実施例13〜15と同一の条件で銅回路板の直接接合
を行うことにより、それぞれ比較例3〜4に係るAlN
回路基板をそれぞれ製造した。
および比較例3〜4に係る各AlN回路基板について、
銅回路板のピール強度の平均値を測定するとともに、こ
のピール強度測定後におけるAlN基板の表面断面部に
おける液相成分(YAG,YAL,YAM)の分布割合
をEPMA面分析によって定量し、下記表2に示す結果
を得た。
AlN基板の表面部に、液相成分となるYAG,YA
L,YAMなどのイットリアとアルミナとの化合物を所
定量だけ分布させた各実施例のAlN回路基板において
は、過剰量の化合物を分布させた各比較例の回路基板と
比較して、AlN基板と銅回路板との接合強度が、より
高くなることが判明した。
は、AlN基板表面に形成した酸化物層(α−Al2 O
3 皮膜)と銅回路板との接合強度を、上記YAG,YA
L,YAMなどの液相成分が増強する効果が得られ、さ
らに上記液相成分により銅回路板との濡れ性が向上し、
未接合領域が減少し、AlN基板と銅回路板との接合強
度が向上すると考えられる。
通常はポーラス(多孔質)な状態で生成されており、結
晶サイズレベルで観察した場合には、銅回路板に対して
酸化物層が当接しない部分も生じている。しかしなが
ら、本実施例によれば、上記酸化物層が存在しない部分
には液相成分が分布することになり、この液相成分がA
lN基板と銅回路板との接合作用の一部を担うことにな
る。したがって、両部材間の未接合部分が減少し、さら
に液相成分の結合強度はAlN基板の酸化物層の膜強度
より強い。そのため、AlN基板と銅回路板との接合強
度は、液相成分を分布させない従来構造と比較して、大
幅に向上するものと考えられる。
クス回路基板によれば、金属回路板に所定量の酸素が含
有されており、またさらに金属回路板表面に表面酸化層
が形成されているため、直接接合時に必要な共晶融体の
生成量を増加させることができ、またセラミックス基板
に対する共晶融体の濡れ性を高めることができる。した
がって、セラミックス基板と金属回路板との未接合部が
減少し、両部材の接合強度を高めることができる。
示す断面図。
例を示す断面図。
構成例を示す断面図。
面図。
す断面図。
を示す断面図。
基板(Al2 O3 回路基板,AlN回路基板,Si3 N
4 回路基板) 2,2a,2b セラミックス基板(Al2 O3 基板,
AlN基板,Si3 N4基板) 3 酸化物層(Al2 O3 皮膜) 3a 酸化物層(SiO2 皮膜) 4,4a 金属回路板(Cu回路板) 5,5a 金属板(裏銅板) 6 半導体素子(チップ) 7 表面酸化層(酸化銅層)
Claims (9)
- 【請求項1】 少なくとも非酸化物系セラミックス基板
との接合面側の表面に酸化物層を有するとともに内部に
酸素を100〜1000ppm含有する金属回路板が、
前記セラミックス基板に直接接合されているセラミック
ス回路基板において、上記金属回路板の表面に厚さが
1.0μm以上の酸化物層が形成されていることを特徴
とするセラミックス回路基板。 - 【請求項2】 セラミックス基板の厚さが0.25〜
1.2mmであり、金属回路板の厚さが0.1〜0.5
mmであることを特徴とする請求項1記載のセラミック
ス回路基板。 - 【請求項3】 金属回路板がタフピッチ電解銅で構成さ
れることを特徴とする請求項1記載のセラミックス回路
基板。 - 【請求項4】 セラミックス基板が、窒化アルミニウム
(AlN)で構成され、少なくとも金属回路板との接合
面側の表面に、厚さが0.5〜10μmの酸化物層を有
することを特徴とする請求項1記載のセラミックス回路
基板。 - 【請求項5】 セラミックス基板が、窒化けい素(Si
3N4)で構成され、少なくとも金属回路板との接合面
側の表面に、厚さが0.5〜10μmの酸化物層を有す
ることを特徴とする請求項1記載のセラミックス回路基
板。 - 【請求項6】 セラミックス基板の少なくとも金属回路
板との接合面側の表面は粗面化加工されていることを特
徴とする請求項1記載のセラミックス回路基板。 - 【請求項7】 セラミックス基板に金属回路板を直接接
合してなるセラミックス回路基板において、前記セラミ
ックス基板の接合面側の表面から深さ100μmまでの
断面領域についてEPMA断面面分析した場合に、液相
成分となるイットリア(Y2O3)とアルミナ(Al2
O3)との化合物の分布割合が面積率換算で10〜80
%であることを特徴とするセラミックス回路基板。 - 【請求項8】 セラミックス基板が窒化アルミニウム
(AlN)基板であることを特徴とする請求項7記載の
セラミックス回路基板。 - 【請求項9】 液相成分となるイットリアとアルミナと
の化合物が、YAG,YAL,YAMの少なくとも1種
であることを特徴する請求項7記載のセラミックス回路
基板。
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