JP2001322219A - 化粧シート及びその製造方法 - Google Patents
化粧シート及びその製造方法Info
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Abstract
て、表面硬度や耐傷付き性、耐溶剤性と、折り曲げ加工
適性やエンボス加工適性とを、同時に具現化する化粧シ
ート及びその製造方法を提供する。 【解決手段】非晶性ポリエステル樹脂層1の表面側に結
晶性ポリエステル樹脂層2を設ける。この2層は望まし
くは、基材シート7上に絵柄層3を介して設けられた透
明又は半透明の層とする。結晶性ポリエステル樹脂層2
の表面側からエンボス4を施し、表面にトップコート層
5を施すこともできる。
Description
おける壁面、天井面、床面等に使用する内装材や、造作
材、建具、家具、什器、家電製品等の表面材として使用
される化粧シートに関するものである。
ートとしては、ポリ塩化ビニル樹脂フィルムに所望の適
宜の絵柄の印刷や表面へのエンボス加工等を施してなる
ものが主流であった。しかるに近年では、環境問題への
対応を考慮して、燃焼時の塩化水素又はダイオキシン等
の有害物質の発生のおそれのない、ポリオレフィン樹脂
フィルムを使用した化粧シートが数多く提案され(例え
ば特開平6−16832号、特開平6−79850号
等)、従来のポリ塩化ビニル樹脂フィルムを使用した化
粧シートに対する置き換えが急速に進行しつつある。
ムを使用した化粧シートは、従来のポリ塩化ビニル樹脂
フィルムを使用した化粧シートの代替品として、十分に
満足すべき性能を備えたものでは必ずしもない。その理
由は種々あるが、その代表的なものをいくつか例示すれ
ば、以下の様な事情がある。
ニル樹脂と比較して、表面の耐傷付き性がはるかに劣る
こと。 (2)ポリオレフィン樹脂は、結晶性が高いためにヘイ
ズ度が高く、フィルムの裏面又は層間に設けた絵柄の意
匠効果が劣ること。 (3)ポリオレフィン樹脂は、結晶部と非結晶部とを有
する不均質な構造のために、折り曲げ加工時に白化した
り、不均一な伸びのために折り曲げ部で破断したり柄が
歪んだりしやすい。
樹脂に代わる熱可塑性樹脂を使用した化粧シートとして
は、ポリエステル樹脂を使用した化粧シートなども既に
多くの提案がある(例えば実開昭56−94329号、
特開昭57−22052号、特開平2−167745
号、特開平4−293935号、特開平7−24979
号、特開平9−24588号等)。ポリエステル樹脂に
は結晶性のものと非晶性のものとがあり、結晶性のもの
でも表面ヘイズ度は極めて低く、折り曲げ加工時にもポ
リオレフィン樹脂と比較すれば白化等の問題が発生しに
くい利点がある。
は、表面硬度や耐傷付き性、耐溶剤性等には優れるもの
の、熱可塑性樹脂としてはかなり硬質で伸びにくく、高
い伸びが要求される条件での折り曲げ加工には不向きで
あるほか、融点や軟化点が高いために、表面へのエンボ
ス加工も困難である。
ゆえに透明度の高さやヘイズ度の低さに優れることは勿
論のこと、柔軟性が高く軟化点が低いことから、折り曲
げ加工適性やエンボス加工適性にも優れる利点があるも
のの、表面硬度や耐傷付き性が低く、耐溶剤性も劣り、
特にハロゲン化炭化水素系や低分子量ケトン系、炭化水
素系等の有機溶剤に対して膨潤や溶解を起こし易いなど
の問題点があった。
における上記したような問題点を解決するためになされ
たものであって、ポリエステル樹脂を使用した化粧シー
トにおいて、表面硬度や耐傷付き性、耐溶剤性と、折り
曲げ加工適性やエンボス加工適性とを、同時に具現化す
る化粧シート及びその製造方法を提供しようとするもの
である。
解決するために、非晶性ポリエステル樹脂層と、その表
面側に設けられた結晶性ポリエステル樹脂層とを少なく
とも具備することを特徴とする化粧シートを提供するも
のである。
脂層が、グリコール成分として1,4−シクロヘキサン
ジメタノールを含む共重合ポリエステル樹脂からなるこ
とを特徴とする化粧シートを併せて提供するものであ
る。
記非晶性ポリエステル樹脂層と、前記結晶性ポリエステ
ル樹脂層とを順次具備してなることを特徴とする化粧シ
ートを併せて提供するものである。
脂層の表面側からエンボスが施されてなることを特徴と
する化粧シートを併せて提供するものである。
に、非晶性ポリエステル樹脂層の表面側に、非晶状態の
結晶性ポリエステル樹脂層を設けた積層シートを作製
し、しかる後、該積層シートの非晶状態の結晶性ポリエ
ステル樹脂層の表面側からエンボスを施すと同時に、該
非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層を結晶化させるこ
とを特徴とする化粧シートの製造方法を提供するもので
ある。
シートの非晶性ポリエステル樹脂層の裏面側を、基材シ
ートの表面上に積層した後又は積層すると同時に施すこ
とを特徴とする化粧シートの製造方法を併せて提供する
ものである。
その製造方法の実施の形態を、図面を参照しつつ詳細に
説明する。図1〜図6はそれぞれ本発明の化粧シートの
実施の形態を示す模式断面図であり、図7〜図11はそ
れぞれ本発明の化粧シートの製造方法の実施の形態を示
す概略工程図である。
うに、非晶性ポリエステル樹脂層1の表面側に、結晶性
ポリエステル樹脂層2が積層されて構成されるものであ
る。この化粧シートには、非晶性ポリエステル樹脂層1
の裏面側に絵柄層3が設けられており、この絵柄層3が
結晶性ポリエステル樹脂層2の表面側から透視できるよ
うに、非晶性ポリエステル樹脂層1及び結晶性ポリエス
テル樹脂層2は、透明又は半透明とされている。
トに優れた柔軟性や透明性、折り曲げ加工適性やエンボ
ス加工適性等を付与するために設けられる層であって、
通常の樹脂成形工程の条件では殆ど結晶化することのな
い程度に、結晶性が著しく低いか若しくは結晶化速度が
著しく遅い熱可塑性のポリエステル樹脂からなる層であ
る。
ば、ポリエチレンテレフタレート樹脂のジカルボン酸成
分の一部又は全部を例えばイソフタル酸等で置換した
り、或いは、グリコール成分の一部又は全部を例えば
1,4−シクロヘキサンジメタノール又はジエチレング
リコール等で置換することによって、ホモポリエチレン
テレフタレート樹脂と比較して結晶加速度を著しく遅く
した樹脂などを使用することができる。中でも、グリコ
ール成分の一部を1,4−シクロヘキサンジメタノール
で置換した非晶性の共重合ポリエステル樹脂は、卓越し
た柔軟性を示し、折り曲げ加工適性やエンボス加工適性
に優れるので、特に好適である。
ルムとしては、本来結晶性であるホモポリエチレンテレ
フタレート樹脂を、結晶化させない条件でフィルム成形
したものも、通称A−PETフィルムとして知られてい
るが、本発明においては、少なくとも得られる化粧シー
トの表面に深いエンボス4を施そうとする場合には、こ
の種のフィルムの採用はあまり望ましいものではない。
深いエンボス4を施すための強度の加熱によって樹脂が
結晶化し、柔軟性や透明性等が悪化してしまう場合があ
るからである。但し、表面にエンボス4を施さない場合
や、樹脂をあまり加熱軟化させなくても賦型可能な程度
の浅いエンボス4のみを施す場合は、必ずしもこの限り
ではない。
トの表面に優れた表面硬度や耐傷付き性、耐溶剤性等の
表面物性を付与するために設けられるものであり、例え
ばポリエチレンテレフタレート系樹脂において、例えば
イソフタル酸や1,4−シクロヘキサンジメタノール、
ジエチレングリコール等の共重合成分を全く含有しない
か若しくは含有量が少なく、結晶化度が高く結晶化速度
の速い熱可塑性のポリエステル樹脂からなるものであ
る。
リエステル樹脂層2の厚さに関しては、透明性や折り曲
げ加工適性、エンボス加工適性などの面では、非晶性ポ
リエステル樹脂層1の厚さの比率が高い程有利である
が、結晶性ポリエステル樹脂層2の厚さが薄すぎても、
表面硬度や耐傷付き性、耐溶剤性などが十分に得られな
い場合がある。
1の厚さは、少なくとも1μm以上とすることが望まし
く、通常は5μm以上が良い。上限は、折り曲げ加工適
性の観点からは、化粧シートの総厚の20%を越えない
範囲内とするのが良く、透明性やエンボス加工適性の観
点からは50μm以下、より望ましくは25μm以下と
するのが良い。
制限されるものではないが、従来の同種の化粧シートと
同様、薄過ぎると加工時の破断や被貼着基材への貼合時
の糊ダク等が発生し易く、一方厚過ぎても折り曲げ加工
適性に劣る他、巻取方式での大量生産が困難となり、材
料コストも高くなるので、通例50〜1000μの範囲
で設計され、中でも100〜500μm程度が最も一般
的である。
晶性ポリエステル樹脂層2には、必要に応じて例えば紫
外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、可塑剤、難燃剤、充
填剤、艶調整剤、帯電防止剤、滑剤等の各種の添加剤か
ら選ばれる1種以上が添加されていても良い。
エステル樹脂層2とは、必要に応じて層間に接着剤層6
を介在させて積層されていても良いし、接着剤層6を介
在させずに直接積層されていても良い。
るものではなく、従来の同種の化粧シートと同様、印刷
インキ組成物や塗料等を使用して、例えばグラビア印刷
法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、ス
クリーン印刷法、フレキソ印刷法、ドライオフセット印
刷法、凸版印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法
等の各種の印刷方法や塗装法などにより設けることがで
きる。絵柄の種類にも全く制限はなく、例えば木目柄、
石目柄、布目柄、抽象柄、幾何学図形、文字又は記号
等、或いはそれらの組み合わせ等、所望により任意であ
り、単色無地であっても良い。
脂層1と結晶性ポリエステル樹脂層2との層間に設ける
ことも可能ではあるが、前述したように本発明の化粧シ
ートにおいては、結晶性ポリエステル樹脂層2は比較的
に薄い層とすることが望ましく、その場合に、絵柄層3
の表面上に存在する透明な熱可塑性樹脂層が結晶性ポリ
エステル樹脂層2のみであると、意匠上十分な深み感や
奥行き感、塗装感等が得られない場合があるので、非晶
性ポリエステル樹脂層1の優れた透明性を活かすよう
に、絵柄層3は少なくとも非晶性ポリエステル樹脂層1
の裏面側に設けることが望ましい。
晶性ポリエステル樹脂層1の裏面側と、非晶性ポリエス
テル樹脂層1と結晶性ポリエステル樹脂層2の層間との
2箇所に絵柄層3を設けることは、特に差し支えない。
に、結晶性ポリエステル樹脂層2の表面側からエンボス
4を施すこともできる。エンボス4は、所望により任意
の模様状に施すことができ、例えば木目柄に対する木目
導管溝模様状等のように、絵柄層3のなす絵柄と同調し
た模様であっても良いし、同調していなくても良い。ま
た、例えば砂目状や梨地状、ヘアライン状等のように、
絵柄層3のなす絵柄とは全く無関係のパターンであって
も良い。必要に応じて、エンボス4の凹陥部をワイピン
グ法等により着色することもできる。
性、耐溶剤性等の表面物性を更に向上させるために、結
晶性ポリエステル樹脂層2の表面にトップコート層5を
設けることもできる。トップコート層5を設けること
で、各樹脂層や絵柄層に対して耐候性や耐薬品性などを
付与することもできる。
化粧シートにおけるそれと同様であり、本発明において
特に限定されるものではないが、一般的には、例えば2
液硬化型ウレタン系樹脂、アミノアルキド系樹脂、メラ
ミン系樹脂、エポキシ系樹脂、電離放射線硬化性樹脂な
どの硬化性樹脂を主成分とするものを使用することが望
ましい。また、係るトップコート樹脂に、例えばシリ
カ、アルミナ、炭化珪素等の高硬度の耐磨耗性粒子を含
有させることによって、表面の耐傷付き性を更に向上さ
せることもできる。
耗性粒子を含有するトップコート樹脂の層を、ポリオレ
フィン樹脂などの熱可塑性エラストマー樹脂の表面上に
設けたとしても、表面から大きな荷重がかかった場合に
は、樹脂の凹みが生じるために、高い耐傷付き性を得る
ことは困難である。これに対し、本発明の化粧シート
は、非晶性ポリエステル樹脂層1の優れた復元力と、結
晶性ポリエステル樹脂層2の高い弾性との相乗作用によ
り、トップコート層5の性能が遺憾なく発揮され、優れ
た耐傷付き性を得ることができる。
リエステル樹脂層1とその表面側の結晶性ポリエステル
樹脂層2とからなる、上述したような構成に限定される
ものではなく、非晶性ポリエステル樹脂層1の裏面側
に、これらと同種又は異種の材質からなる層を具備する
ものであってもよい。
トの支持体としての基材シート7の表面上に、絵柄層3
を介して、透明又は半透明の非晶性ポリエステル樹脂層
1と、透明又は半透明の結晶性ポリエステル樹脂層2と
を順次積層して化粧シートを構成することもできる。
着時に溶剤型の接着剤を使用しても、接着剤に含まれる
溶剤によって非晶性ポリエステル樹脂層1が侵される心
配がないことや、非晶性ポリエステル樹脂層1等との積
層前に基材シート7に予め絵柄層3を施しておくこと
で、絵柄層3の形成用の印刷インキに含まれる溶剤によ
って非晶性ポリエステル樹脂層1が侵される心配がな
く、使用可能な印刷インキの選択範囲が拡がり、絵柄層
3の耐候性の向上や、より自由な意匠表現などが可能と
なることなどの利点がある。
ト7の材質には特に制限はなく、例えば薄葉紙やチタン
紙、クラフト紙、上質紙等の紙類や織布、不織布等の繊
維質素材や、銅箔やアルミニウム箔等の金属箔などであ
っても良いが、折り曲げ加工適性や化粧シートの製造上
の種々の加工適性、取り扱い性などを考慮すると、熱可
塑性樹脂からなるフィルム乃至シートを使用することが
最も望ましい。
ロピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテ
ン、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等のポリオ
レフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体鹸化物、エチレン−(メタ)ア
クリル酸(エステル)共重合体、エチレン−(メタ)ア
クリル酸金属中和物(アイオノマー)等のオレフィン系
共重合体樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチ
レンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリカーボ
ネート等のポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレー
ト、ポリエチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレ
ート、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレー
ト、ポリブチルアクリレート等のアクリル樹脂、ポリス
チレン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニト
リル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエ
ン−スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、6−ナイロ
ン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン等のポリア
ミド系樹脂、トリアセチルセルロース等の繊維素誘導体
等、或いはそれらから選ばれる2種以上の共重合体、混
合物、複合体、積層体等からなるフィルム乃至シート状
体を使用することができる。
した化粧シートに代わる化粧シートの提供という本発明
の目的からは、上記した熱可塑性樹脂として、例えばポ
リ塩化ビニル樹脂やポリ塩化ビニリデン樹脂等の様に、
塩素原子を含有する熱可塑性樹脂の採用は望ましくな
く、非塩素系(非ハロゲン系)の熱可塑性樹脂を採用す
べきである。
合時の溶剤アタックの問題からは、耐溶剤性に優れたも
のであることが望ましく、一方、特に被貼着基材の表面
の欠陥や好ましくない色彩に対する隠蔽性が要求される
場合には、隠蔽性顔料の添加による高隠蔽化が可能なも
のであることが望ましい。これらの事情にさらに加工適
性や経済性などをあわせて考慮すると、基材シート7と
しては、ポリオレフィン樹脂又は結晶性ポリエステル樹
脂からなるフィルム乃至シートを採用することが最も望
ましい。
外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、可塑剤、滑剤、帯電
防止剤、難燃剤、充填剤等の各種の添加剤から選ばれる
1種以上が添加されていてもよい。また、基材シート7
は透明や半透明であってもよいし、着色剤の添加により
着色透明や着色不透明とされていてもよい。
目的とする化粧シートの総厚と、折り曲げ加工適性やエ
ンボス加工適性の観点から選ばれる非晶性ポリエステル
樹脂層1の厚さと、表面物性の観点から選ばれる結晶性
ポリエステル樹脂層2の厚さと、基材シート7自体の加
工性や経済性などを総合的に勘案して適宜決定すればよ
い。一般的には、10〜300μm程度の範囲内で設計
され、中でも20〜150μm程度の範囲内とすること
が最も望ましい。
1とは、必要に応じて層間に接着剤層6又は62を介在
させて積層されていても良いし、接着剤層6又は62を
介在させずに直接積層されていても良い。
シートと同様、例えば木質系ボード類、無機系ボード
類、樹脂ボード類、金属板などの表面に貼合して化粧板
として用いられるのが一般的であり、該貼合の際には通
常、例えばウレタン系や酢酸ビニル系等の適宜の接着剤
が使用されるが、基材シート7を構成する樹脂の種類に
よっては、係る汎用のラミネート用接着剤との接着性が
不十分である場合もある。係る場合に備えて、基材シー
ト7の裏面に、上記したような各種の汎用の接着剤との
接着性に優れた樹脂組成物からなるプライマー層8を設
けておくことが好ましい。
系、アクリル系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、塩
素化ポリオレフィン系、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体系、ポリアミド系、ポリエステル系等の各種のプライ
マー剤が知られており、これらの中から基材シート7の
材質に合わせたものを選んで使用する。また、プライマ
ー層8に例えばシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、硫
酸バリウム等の粉末を添加しておくと、プライマー層8
の表面が粗面化することによって、化粧シートの巻取保
存時のブロッキングが防止できるほか、投錨効果による
前記ラミネート用接着剤との接着性の向上を図ることも
できる。
ル樹脂層1の表面側に、結晶性ポリエステル樹脂層2を
積層し、該積層と同時又は積層後に、結晶性ポリエステ
ル樹脂層2の表面側からエンボス4を施すことで、製造
することができる。但し、本発明の化粧シートでは一般
に、結晶性ポリエステル樹脂層2はかなり薄くする必要
があることから、両ポリエステル樹脂層の積層と同時の
エンボス加工は、シワ寄りや破れ等の問題から難しく、
エンボス加工は積層後とすることが望ましい。なお、絵
柄層3の形成は、両ポリエステル樹脂層の積層前、積層
後エンボス加工前、エンボス加工後のいずれの段階で施
してもよい。
2が十分に薄く、しかもエンボス4の深さがあまり深く
ない場合には、上記の製造方法でも十分に対応できる
が、結晶性ポリエステル樹脂層2を厚く設ける場合や、
深いエンボス4を施す場合には、エンボス加工時に結晶
性ポリエステル樹脂層2がエンボス4の形状に十分に追
従して変形することができずに、エンボス4の深さが不
十分となったり、結晶性ポリエステル樹脂層2の破れが
発生したりする場合もある。
まず、非晶性ポリエステル樹脂層1の表面側に、非晶状
態の結晶性ポリエステル樹脂層21を設けた積層シート
を作製しておき、しかる後、該積層シートの非晶状態の
結晶性ポリエステル樹脂層21の表面側から、加熱した
エンボスロール91等によって、エンボス4を施すと同
時に、該非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層2を、エ
ンボス加工のための熱によって結晶化させる製造方法を
採用するとよい(図7、図8)。
晶性ポリエステル樹脂層21は非晶状態であるから、十
分な柔軟性や熱変形性を有しており、エンボス4の形状
を忠実に再現しての変形が容易に可能であると共に、エ
ンボス加工時の加熱により結晶化することで、エンボス
加工後には表面硬度や耐傷付き性、耐溶剤性等に優れた
ものとなるので、エンボス加工適性と表面物性との両立
が容易である利点がある。
テル樹脂層21は、本来結晶性であるポリエステル樹脂
を結晶化させない条件でフィルム乃至シート状に成形す
ることで得られるものであり、その成形条件は例えば従
来より市販されている所謂A−PETの製造条件に従え
ばよい。
晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層21との積層は、接
着剤を介したドライラミネート法又はウエットラミネー
ト法、接着剤を介した又は介さない熱ラミネート法等、
それぞれを別途フィルム又はシート成形後に積層する方
法によってもよい(図7)し、或いは、非晶性ポリエス
テル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂とを、後者が結晶化
しない条件で共押出し成形する方法によってもよい(図
8)。
却した共押出しフィルム乃至シートを再度加熱してエン
ボス加工を施しても良いし、押出機から共押出しした
後、冷却固化する前に、冷却したエンボスロール91に
よってエンボス4を施すと同時に冷却固化させ、同時に
結晶化させる方法によることもできる(図8)。
材シート7を設ける場合には、基材シート7(予めその
表面上に絵柄層3が設けられていても良い)と非晶性ポ
リエステル樹脂層1との積層は、非晶性ポリエステル樹
脂層1と結晶性ポリエステル樹脂層2(又は、非晶状態
の結晶性ポリエステル樹脂層21)との積層前、積層と
同時、積層後エンボス加工前、エンボス加工と同時、エ
ンボス加工後のいずれであっても良い。
性ポリエステル樹脂層2との積層シートへのエンボス加
工後に基材シート7と積層するのは、積層時の熱により
エンボス4の形状が損なわれるおそれがあり、生産性に
も劣るので、基材シート7の積層はエンボス加工よりも
前又はエンボス加工と同時とすることが望ましい。
は、まず非晶性ポリエステル樹脂層1と非晶状態の結晶
性ポリエステル樹脂層21との積層シートを前記した方
法に従って作製し、その非晶性ポリエステル樹脂層1の
裏面側に基材シート1を積層し、該積層の後又は該積層
と同時に、エンボスロール91等によりエンボス4を施
す方法(図9、図10)や、基材シート1とエンボスロ
ール91との間に、非晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポ
リエステル樹脂とを、後者が結晶化しない条件で共押出
しして基材シート1と積層させ、同時に、エンボスロー
ル91によるエンボス4の賦型と、両樹脂の冷却固化
と、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化とを行う方法(図
11)などを例示することができる。
ル樹脂層1を構成する非晶性ポリエステル樹脂、特に
1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエステ
ル樹脂は、基材シート1やその表面に設けた絵柄層3上
に積層する際の接着性に優れ、比較的低温での熱ラミネ
ートや溶融共押出ラミネートによっても優れた層間密着
性を有する化粧シートが得られる利点がある。
いるが、図1〜図6に例示したような、製造すべき化粧
シートの構成に従って、各シートの積層前又は後、エン
ボス加工の前又は後の適切な時期に、適宜の位置に絵柄
層3や接着剤層6,61,62、トップコート層5、プ
ライマー層8等を施しても良いことは、改めて説明する
までもない。
法の具体的な実施例を挙げ、本発明をより詳細に説明す
る。
ム(W400;三菱化学ポリエステルフィルム株式会社
製)に2液硬化型ウレタン系印刷インキ(ラミスター;
東洋インキ製造株式会社製)を用いて木目印刷を施し、
該印刷面上に、厚さ200μmの非晶性ポリエステル樹
脂フィルム(NAGASE A−PET;長瀬産業株式
会社製)(注;これはイーストマン社製の非晶性共重合
ポリエステル樹脂「PET G」からなるフィルムであ
る)と、厚さ12μmの結晶性ポリエステル樹脂フィル
ム(ルミラーSタイプ;東レ株式会社製)とを、それぞ
れ2液硬化型ウレタン系接着剤(タケラックA−54
0;武田薬品工業株式会社製)を介してドライラミネー
ト法により順次積層させた。このようにして得られた複
層シートの表面に、熱エンボス方式により木目導管状の
エンボスを施して、本発明の化粧シートを得た。
2液硬化型ウレタン系印刷インキ(ラミスター;東洋イ
ンキ製造株式会社製)を用いて木目印刷を施し、印刷シ
ートを得た。一方、非晶性ポリエステル樹脂(シクロヘ
キサンジメタノール共重合ポリエステル樹脂;East
er PETG 6763;イーストマンケミカル社
製)と、結晶性ポリエステル樹脂(ホモポリエチレンテ
レフタレート樹脂)とを、後者を結晶化させない条件
で、両者の厚さがそれぞれ90μm及び10μmとなる
ように共押出し製膜し、積層シートを得た。しかる後、
前記印刷シートの印刷面に、前記積層シートの非晶性ポ
リエステル樹脂層面を向けて、ドライラミネート法によ
り積層し、さらに、結晶性ポリエステル樹脂層面に熱エ
ンボス方式により木目導管状のエンボスを施し、同時
に、該エンボス時の加熱により結晶性ポリエステル樹脂
層を結晶化させて、本発明の化粧シートを得た。
に、2液硬化型ウレタン系印刷インキ(ラミスター;東
洋インキ製造株式会社製)を用いて木目印刷を施し、該
印刷面に、ポリエステル樹脂系ヒートシール剤(AD−
X17−3;東洋モートン株式会社製)を塗工し、印刷
シートを得た。一方、非晶性ポリエステル樹脂(シクロ
ヘキサンジメタノール共重合ポリエステル樹脂;Eas
ter PETG 6763;イーストマンケミカル社
製)と、結晶性ポリエステル樹脂(ホモポリエチレンテ
レフタレート樹脂)とを、後者を結晶化させない条件
で、両者の厚さがそれぞれ180μm及び20μmとな
るように共押出し製膜し、積層シートを得た。しかる
後、前記印刷シートのヒートシール剤塗工面に、前記積
層シートの非晶性ポリエステル樹脂層面を向けて、熱ラ
ミネート法により積層すると同時に、結晶性ポリエステ
ル樹脂層の表面に木目導管状のエンボスを施し、同時に
結晶性ポリエステル樹脂層を結晶化させた。さらに、結
晶性ポリエステル樹脂層の表面に、シリコーン系防汚剤
を添加した2液硬化型ウレタン系トップコート剤(UR
341;東洋インキ製造株式会社製)を塗工してトップ
コート層を形成して、本発明の化粧シートを得た。
樹脂を代替した環境適応型の化粧シートであることはも
とより、非晶性ポリエステル樹脂層と、その表面側に設
けられた結晶性ポリエステル樹脂層とを少なくとも具備
することにより、柔軟性に優れ軟化点も低い非晶性ポリ
エステル樹脂層の作用によって、優れた折り曲げ加工適
性やエンボス加工適性等を有し、またその透明性の高さ
によって、深み感、奥行き感、塗装感等の優れた意匠効
果をも有すると同時に、その表面の高度に結晶化し物理
的にも化学的にも強い結晶性ポリエステル樹脂層の作用
により、優れた表面硬度や耐傷付き性、耐磨耗性、耐溶
剤性等をも同時に有しており、意匠性に優れることは勿
論のこと、2次加工適性と表面物性とを同時に要求され
る厳しい用途にも十分に対応することのできるものであ
るという顕著な利点を有するものである。
グリコール成分として1,4−シクロヘキサンジメタノ
ールを含む共重合ポリエステル樹脂からなることによ
り、折り曲げ加工適性やエンボス加工適性につながる優
れた柔軟性を具備すると共に、優れた熱接着性をも有す
ることから、基材シートやその表面の絵柄層の上への積
層に際しては、生産性に優れた簡便な積層方法により、
良好な層間密着強度を容易に得ることができるという顕
著な利点を有するものである。
れば、非晶性ポリエステル樹脂層の表面側に、非晶状態
の結晶性ポリエステル樹脂層を設けた積層シートを作製
し、しかる後、該積層シートの非晶状態の結晶性ポリエ
ステル樹脂層の表面側からエンボスを施すと同時に、該
非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層を結晶化させるこ
とにより、表面物性の強化のために結晶性ポリエステル
樹脂層を厚く設ける必要がある場合や、意匠面から深い
エンボスが要求される場合にあっても、エンボス加工時
には結晶性ポリエステル樹脂層は柔軟な非晶状態である
ことから、十分にエンボス形状に追従させて変形させる
ことができ、一方、エンボス加工後には結晶化している
ことから、表面硬度や耐磨耗性、耐傷付き性、耐溶剤性
等に優れたものとなる。このようにして、深いエンボス
による意匠効果と各種表面物性とを兼備した化粧シート
を、簡便な工程で容易に製造することができるという顕
著な利点を有するものである。
面図である。
面図である。
面図である。
面図である。
面図である。
面図である。
示す概略工程図である。
示す概略工程図である。
示す概略工程図である。
を示す概略工程図である。
を示す概略工程図である。
9)
は、まず非晶性ポリエステル樹脂層1と非晶状態の結晶
性ポリエステル樹脂層21との積層シートを前記した方
法に従って作製し、その非晶性ポリエステル樹脂層1の
裏面側に基材シート7を積層し、該積層の後又は該積層
と同時に、エンボスロール91等によりエンボス4を施
す方法(図9、図10)や、基材シート7とエンボスロ
ール91との間に、非晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポ
リエステル樹脂とを、後者が結晶化しない条件で共押出
しして基材シート7と積層させ、同時に、エンボスロー
ル91によるエンボス4の賦型と、両樹脂の冷却固化
と、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化とを行う方法(図
11)などを例示することができる。
ル樹脂層1を構成する非晶性ポリエステル樹脂、特に
1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエステ
ル樹脂は、基材シート7やその表面に設けた絵柄層3上
に積層する際の接着性に優れ、比較的低温での熱ラミネ
ートや溶融共押出ラミネートによっても優れた層間密着
性を有する化粧シートが得られる利点がある。
Claims (6)
- 【請求項1】非晶性ポリエステル樹脂層と、その表面側
に設けられた結晶性ポリエステル樹脂層とを少なくとも
具備することを特徴とする化粧シート。 - 【請求項2】前記非晶性ポリエステル樹脂層が、グリコ
ール成分として1,4−シクロヘキサンジメタノールを
含む共重合ポリエステル樹脂からなることを特徴とする
請求項1に記載の化粧シート。 - 【請求項3】基材シートの表面上に、前記非晶性ポリエ
ステル樹脂層と、前記結晶性ポリエステル樹脂層とを順
次具備してなることを特徴とする請求項1又は2に記載
の化粧シート。 - 【請求項4】前記結晶性ポリエステル樹脂層の表面側か
らエンボスが施されてなることを特徴とする請求項1〜
3のいずれかに記載の化粧シート。 - 【請求項5】非晶性ポリエステル樹脂層の表面側に、非
晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層を設けた積層シート
を作製し、しかる後、該積層シートの非晶状態の結晶性
ポリエステル樹脂層の表面側からエンボスを施すと同時
に、該非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂層を結晶化さ
せることを特徴とする化粧シートの製造方法。 - 【請求項6】前記エンボスは、前記積層シートの非晶性
ポリエステル樹脂層の裏面側を、基材シートの表面上に
積層した後又は積層すると同時に施すことを特徴とする
請求項5に記載の化粧シートの製造方法。
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