JP5292755B2 - 化粧シートおよび化粧材 - Google Patents

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Description

本発明は、住宅等の建築物の内外装材や、造作材、建具等の建築資材、家具什器類、住設機器や家電製品などの表面化粧等に使用するための化粧シートおよび化粧材に関するものであり、さらに詳しくは、寸法安定性や表面強度に優れ、ラッピングラミネートまたは真空成型ラミネート等の立体成形用途にも好適であり、好ましくは植物由来プラスチックのポリ乳酸樹脂を主原料とし焼却時にも有毒ガスを発生せず地球環境と人体に優しい化粧シートおよび化粧材に関するものである。
係る樹脂系の化粧シートとしては、絵柄の印刷を熱可塑性樹脂基材シートの表面側又は裏面側に施した単層構成の化粧シートと、絵柄層をその裏面側の熱可塑性樹脂基材シートと表面側の透明樹脂層との間に挟持した複層構成の化粧シートとがある。前者は構造が単純なので安価かつ簡便に製造可能である利点があり、後者は製造面や価格面からはやや不利ではあるが、絵柄が表裏両面から保護されているので、絵柄の耐磨耗性や耐溶剤性、耐候性等の表面物性と、被貼着基材への接着時に使用する接着剤に対する耐性とを兼ね備え、また意匠面からも、基材シートの着色による高隠蔽化と、透明樹脂層へのエンボス加工による高意匠化とを両立できる等、性能面では多くの利点がある。係る関係により、両者は用途により要求される性能や価格に応じて使い分けられている。
従来この種の化粧シートに使用される熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル共重合体樹脂などが該化粧シートの基材シート又はその基材シート表面の透明樹脂層などとして使用される。例えば化粧シートの基材シートには、紙または熱可塑性樹脂シートを使用し、これに印刷を施してなる印刷シートがそのまま用いられたり、表面保護層および/もしくは意匠表現層として前述の透明樹脂層が設けられたりして、木材合板、木質繊維板、パーティクルボードなど木質系基材の表面に貼合され使用される。また特に表面強度を必要とする床材および縁材には塩化ビニル樹脂やポリエチレンテレフタレート樹脂などの表面強度に優れる高強度な樹脂材料が使用されてきた。
上記した各種の樹脂系の化粧シートの基材シートや透明樹脂層の構成材料としては従来、安価で加工適性や物性にも優れたポリ塩化ビニル樹脂が最も多用されて来たが、近年では環境問題に対する社会的な関心の高まりを受けて、環境への悪影響の少ないポリ塩化ビニル樹脂以外の樹脂、例えばポリオレフィン系熱可塑性樹脂を使用した化粧シート等も開発され、提案されている。(特許文献1参照)。
また、従来の化粧シートが木質基材に貼合された化粧部材は、廃棄時にはその化粧シートと木質基材の分別が困難であり、また表面化粧シートの材質が判別できない、などの問題により、原料リサイクルは困難であり、また有害ガス発生の問題から焼却処理も困難であり、埋め立て処理といった廃棄処理方法をとらざるを得ないという現状の問題がある。
一方、ポリ乳酸樹脂は、炭酸ガスと水とから光合成により作られる澱粉を原料とするバイオマス材料であり、しかも土中や水中で自然に加水分解し、次いで微生物により無害な分解物となる生分解性樹脂でもある。さらには燃焼により発生する熱量も少なく、また燃焼時に発生する炭酸ガスは、もともとポリ乳酸樹脂の原料となる澱粉を光合成する時に吸収した大気中の炭酸ガスであり、環境に優しい最も有望な生分解性バイオマス樹脂であるといわれている。
ポリ乳酸樹脂などを用いた生分解性樹脂による積層シートは、表面強度に優れるものもあるが、耐熱性に劣る、耐久性に劣る(生分解性)、耐薬品性に劣る、ポリ乳酸自体のもつ高剛性により加工性に劣るなどの理由によりこれまで化粧シートとして実用化されるに至らなかった。
例えば、特許文献2、3に非石油系ポリマーとして普及し始めたポリ乳酸フィルムを化粧シートに使用した例が見られる。しかしながら、これらの文献にはフィルムに関して特に具体的な記述はなく、また前述の課題、特に加工性を改善できるのに十分なフィルムとは言い難かった。
特開平6−166159号公報 特開平11−129426号公報 特開平11−227147号公報
本発明は、従来の技術における以上の様な問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、平面状基材へのラミネート加工は勿論のこと、立体形状の基材へのラッピング加工や真空成形加工等の立体成形にも耐えることができ、しかも耐傷付き性等の表面物性にも優れたバイオマス原料から構成された化粧シートを提供することにある。
請求項1に記載の発明は、少なくとも絵柄インキ層と透明熱可塑性ポリエステル系樹脂層がこの順で積層されてなる化粧シートにおいて、該透明熱可塑性ポリエステル系樹脂層が少なくともポリ乳酸、熱可塑性エラストマー、カルボキシル基と反応性を有する官能基を含む化合物、および、エチレン/酢酸ビニル共重合体またはエポキシ樹脂で被覆処理したフィラーを含んでなることを特徴とする化粧シートである。
請求項に記載の発明は、前記カルボキシル基と反応性を有する官能基を含む化合物が、前記ポリ乳酸100重量部に対して、0.1重量部以上10重量部以下の範囲で添加されることを特徴とする請求項1に記載の化粧シートである。
請求項に記載の発明は、前記化粧シートが熱可塑性樹脂シート基材層を有することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の化粧シートである。
請求項に記載の発明は、前記熱可塑性シート基材が、少なくともポリ乳酸樹脂を含有してなるポリエステル系樹脂からなることを特徴とする請求項に記載の化粧シートである。
請求項に記載の発明は、前記熱可塑性シート基材が、少なくともポリオレフィン系樹脂からなることを特徴とする請求項に記載の化粧シートである。
請求項に記載の発明は、請求項1からのいずれか1項に記載の化粧シートを基材に貼合されてなることを特徴とする化粧材である。
請求項に記載の発明は、少なくとも絵柄インキ層と透明熱可塑性ポリエステル系樹脂層がこの順で積層されてなる化粧シートにおいて、該透明熱可塑性ポリエステル系樹脂層が少なくともポリ乳酸、熱可塑性エラストマー、カルボキシル基と反応性を有する官能基を含む化合物、および、エチレン/酢酸ビニル共重合体またはエポキシ樹脂で被覆処理したフィラーを含んでなることを特徴とする化粧シートである。透明熱可塑性ポリエステル系樹脂層が少なくともポリ乳酸、熱可塑性エラストマーを含んでなることにより、ポリ乳酸自体のもつ高剛性に由来する高強度と、適度な柔軟性を保持しており、ラミネートなどの加工時のほか、ラッピングなどの加工の際にも十分な強度と加工適性を持つ化粧シートを得ることが可能となる。
請求項に記載の発明は、前記カルボキシル基と反応性を有する官能基を含む化合物が、前記ポリ乳酸100重量部に対して、0.1重量部以上10重量部以下の範囲で添加されることを特徴とする請求項1に記載の化粧シートである。これにより、更に耐候性、および強度、耐熱性などの性能を付与することができる。
請求項に記載の発明は、前記化粧シートが熱可塑性樹脂シート基材層を有することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の化粧シートである。熱可塑性樹脂シート基材層を有することにより、化粧シートを木質材料などに貼り合わせる場合、下地となる木質材料の柄を隠蔽しやすくなり、化粧シートの印刷柄と色を正確に表現することができる。特に、熱可塑性樹脂シート基材に着色のシートを用いると、よりその効果は高い。
請求項に記載の発明は、前記熱可塑性シート基材が、少なくともポリ乳酸樹脂を含有してなるポリエステル系樹脂からなることを特徴とする請求項に記載の化粧シートである。熱可塑性シート基材が、少なくともポリ乳酸樹脂を含有してなるポリエステル系樹脂からなることにより、より高い植物由来の、環境に優しい化粧シートを得ることが可能となる。
請求項に記載の発明は、前記熱可塑性シート基材が、少なくともポリオレフィン系樹脂からなることを特徴とする請求項に記載の化粧シートである。熱可塑性樹脂シート基材が少なくともポリオレフィン系樹脂からなることにより、適度の柔軟性と強度のバランスや、折り曲げや切断等の加工適性、耐候性、特にコスト面等の各種側面に好適な化粧シートを得ることができる。
請求項に記載の発明は、前記熱可塑性シート基材が、少なくともポリオレフィン系樹脂からなることを特徴とする請求項に記載の化粧シートである。植物由来で環境に優しく、耐傷付き性等の表面物性にも優れた化粧材を得ることができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
図1は本発明の化粧シートの一例の積層構造を示す模式断面図である。図1に示す例では、本発明の化粧シートは、熱可塑性樹脂基材シート3上に絵柄インキ層及び透明熱可塑性ポリエステル系樹脂層が順次積層されて構成されるものであって、本発明では特に、前記透明熱可塑性ポリエステル系樹脂層が、少なくともポリ乳酸樹脂、熱可塑性エラストマーを含んでなることを特徴とするものである。
透明熱可塑性ポリエステル系樹脂層がポリ乳酸系樹脂および熱可塑性エラストマーを含んで成ると、ポリ乳酸自体のもつ高剛性に由来する高強度と、適度な柔軟性を保持しており、ラミネートなどの加工時のほか、ラッピングなどの加工の際にも十分な強度と加工適性を持つ化粧シートを得ることが可能となる。
なお、上記透明熱可塑性ポリエステル系樹脂層の「透明」であるとは、必ずしも厳密な意味での透明に限定されるものではなく、半透明や着色透明等であっても良い。また、本発明は上記の様な複層構成の化粧シートに限定されるものではなく、例えば、図1における熱可塑性樹脂基材シート3を有せず、透明熱可塑性ポリエステル系樹脂層の表面又は裏面に絵柄インキ層が設けられた単層構成の化粧シート等をも包含するものであり、透明熱可塑性ポリエステル系樹脂層の表面に絵柄インキ層を設ける場合には、透明熱可塑性ポリエステル系樹脂層は不透明であっても良い。その他、透明熱可塑性ポリエステル系樹脂層と絵柄インキ層との間に、透明熱可塑性ポリエステル系樹脂層と同種又は異種の透明な熱可塑性樹脂層が1層以上設けられていても良いし、それらの層間に更に1層以上の別の絵柄インキ層が設けられていても良い。
上記透明熱可塑性ポリエステル系樹脂層を構成するポリエステル系熱可塑性樹脂に含まれるポリ乳酸系樹脂としては、とうもろこしなどのでんぷんやセルロースから調製されるポリ乳酸樹脂単一の材料での使用が可能で、ポリ−L−乳酸、ポリ−D−乳酸、L−乳酸とD−乳酸とのランダム共重合体などのポリ乳酸、または、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸の混合物、いわゆるステレオコンプレックスポリ乳酸、あるいはそれらの誘導体が好ましい。特に、ステレオコンプレックスポリ乳酸はポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸が1:1で結晶化したポリ乳酸であり、通常のポリ乳酸より融点が高く、耐熱性のポリ乳酸として知られる。このステレオコンプレックスポリ乳酸を使用した化粧シートは、耐熱性が付与される。ポリ乳酸樹脂中に含まれるL−乳酸とD−乳酸の割合は、ポリ乳酸樹脂の結晶性、耐熱性、強度などに影響を与える。ポリ乳酸樹脂中に含まれる、L−乳酸とD−乳酸の合計の比率は10%以下、50%付近、90%以上のものが、それぞれ好ましく用いられる。
また、これらの各ポリ乳酸樹脂の混合物やアロイ、ポリ乳酸系樹脂以外の樹脂とのアロイとしても使用が可能であり、化粧シートが使用される条件や製造工程で求められる加工性の中で必要な物性が得られるよう混合して使用することが可能である。
ポリ乳酸系樹脂以外でのポリ乳酸とのアロイとして使用される樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンサクシネート、ポリプロピレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリペンタンサクシネート、ポリヘキサンサクシネートなどのポリサクシネート樹脂、カプロラクトン―ブチレンサクシレート、ポリブチレンアジペート・テレフタレート、ポリブチレンサクシネートアジペート変性、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネートカーボネート変性、ポリエチレンテレフタレートサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリヒドロキシブチレートなどがある。
またポリ乳酸樹脂に混合されるバイオマス材料や生分解樹脂としては、ポリヒドロキシブチレート系、ポリブチレンサクシネート系、ポリブチレンサクシネート系、ポリカプロラクトン系、酢酸セルロース系、その他セルロース系、ポリエステルアミド系、酢酸ビニル系、デンプン系のものから適宜選択が可能で、単一でも複数種の混合でも構わない。
また化粧シートとしてエンボス加工による表面加飾が求められる場合には、ポリ乳酸樹脂を含有することにより、そのポリ乳酸樹脂のポリ乳酸の非晶性シートはガラス転移温度が約60℃であることから、表面保護層側から熱エンボス加工により表面保護層および透明熱可塑性樹脂層に凹凸の表面加飾が可能であり、ポリ乳酸樹脂の熱変形温度が比較的小さいことからエンボス加工性を改善することができ、優れた表面加飾性を付与することも可能となる。
次に、透明熱可塑性ポリエステル系樹脂層に含まれる熱可塑性エラストマーについて説明する。
熱可塑性エラストマーとしては、水素添加ジエン系重合体、変性ジエン系重合体、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーまたはこれらの混合物等が挙げられる。
スチレン系熱可塑性エラストマーとは、共役ジエンとビニル芳香族化合物との共重合体又はその水添物であり、例えば、ブタジエン−スチレン共重合体ゴム、イソプレン−スチレン共重合体ゴム、ブタジエン・イソプレン−スチレン共重合体ゴム、ブタジエン−p−メチルスチレン共重合体ゴム又はこれらの水添物などが挙げられる。
共役ジエンとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエンなどの炭素原子数4〜8の共役ジエンが挙げられる。
ビニル芳香族化合物は、そのビニル基の1位または2位がメチル基などのアルキル基などで置換されていてもよい。ビニル芳香族化合物の例としては、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレンなどの炭素原子数8〜12のビニル芳香族化合物が挙げられる。
具体的に最も好ましいエラストマーとしては、水添スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−エチレンブチレン−オレフィン結晶ブロックコポリマー、オレフィン結晶−エチレン・ブチレン−オレフィン結晶ブロックコポリマーが挙げられ、また、これらの熱可塑性エラストマーをエポキシ基、カルボキシル基、アミノ基、アルコシキシリル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基などへ変性したエラストマーが挙げられる。
これらの熱可塑性エラストマーと、ポリ乳酸の比率としては特に限定されるものではないが、ポリ乳酸を100とした場合、0.1から50の間、さらには、1から30の間が好ましい。0.1より少ないと、熱可塑性エラストマーの効果が現れ難く、また50より多いと、各種化粧シートとしての強度が現れ難いため好ましくない。さらに、熱可塑性ポリエステル系樹脂層にポリオレフィンなどのその他の樹脂を含む場合、熱可塑性エラストマーはポリ乳酸とその他の樹脂の相溶化剤としても働く。この場合、ポリ乳酸樹脂に対しては、0.5から20の間であると好ましい。
また、本発明に用いられるカルボキシル基と反応性を有する官能基を有する化合物としては、N−N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、2,6,2´,6´−テトライソプロピルジフェニルカルボジイミド、ポリカルボジイミドなどのカルボジイミド化合物、グリシジルエーテル化合物、グリシジルエステル化合物、グリシジルアミン化合物、グリシジルイミド化合物、脂環式エポキシ化合物などのエポキシ化合物、2,2´−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2´−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)などのオキサゾリン化合物、オキサジン化合物、アミン化合物などから選ばれる少なくとも一種または二種以上の化合物を任意に選択使用することができる。
本発明においては、さらにカルボキシル基との反応性を高める反応触媒を添加することもできる。触媒としては、例えば、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、3級アミン化合物、イミダゾール化合物第4級アンモニウム塩、リン酸エステル、ホスフィン化合物、ホスホニウム塩等が挙げられる。
これらのカルボキシル基と反応活性を有する官能基を含む化合物は、ポリ乳酸などのポリエステルを100重量部とすると、20重量部以下の範囲で添加することができ、より好ましくは、0.1重量部以上10重量部以下、さらにより好ましくは、0.5重量部以上5重量部以下の範囲で添加することができる。添加量が20重量部より多くなると、樹脂の粘度が著しく上昇し、成形が困難となる場合がある。カルボキシル基と反応活性のある官能基を含む化合物を添加することにより、ポリ乳酸などのポリエステル上の分子鎖長延長や分岐分子鎖付与が可能となり、これにともなう溶融粘度、伸張粘度の向上により、発泡成形性を改良することができる。
また、本発明に用いられるフィラーとしては、公知の無機フィラーおよび有機フィラーから適宜選択が可能である。無機フィラーの具体例としては、タルク、非膨潤性雲母、膨潤性雲母、イオン交換を行った膨潤化雲母、炭酸カルシウム、ベントナイト、有機変性モンモリロナイト、水酸化マグネシウム、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維等が挙げられる。有機フィラーの具体例としては、綿繊維、麻繊維、ケナフ繊維、ヘンプ繊維、ジュート繊維、バナナ繊維、ココナッツ繊維、セルロース繊維、紙粉、木粉、竹粉、セルロース粉末、籾殻粉末、果実殻粉末、タンパク質、澱粉などが挙げられる。
これらのフィラーは樹脂との密着を改善するためにエチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆処理されていてもよく、アミノシランやエポキシシランなどのカップリング剤など公知の方法で処理されていても良い。また用途、目的に応じて、単一で使用しても複数種を混合しても構わない。
本発明におけるフィラーの選定としては、熱膨張率低減効果が高く、増核効果もあるタルク、雲母、有機変性モンモリロナイト等板状、鱗片状フィラー、比較的低比重で且つ、発泡成形体の切削性、釘打ち性等に効果の大きい、ケナフ繊維、木粉等の繊維状有機フィラー等より選定されることがより好ましい。
また、有機変性モンモリロナイト等の膨潤性層状ケイ酸塩を使用すると、比較的良好に層剥離が進行し、いわゆるナノコンポジットの分散となり、少量で大きな物性改善効果をえることができる。
また、本発明の透明熱可塑性ポリエステル系樹脂層には、目的の化粧シートの用途により必要に応じて、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、充填剤、加水分解抑止剤、核剤、等の従来公知の各種の添加剤の1種以上が添加されていても良い。
酸化防止剤としては例えばフェノール系、硫黄系、リン系等、紫外線吸収剤としては例えばベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリシレート系、シアノアクリレート系、ホルムアミジン系、オキザニリド系等、光安定剤としては例えばヒンダードアミン系、ニッケル錯体系等、熱安定剤としては例えばヒンダードフェノール系、硫黄系、ヒドラジン系等、可塑剤としては樹脂の種類にもよるが例えばフタル酸エステル系、リン酸エステル系、脂肪酸エステル系、脂肪族二塩基酸エステル系、オキシ安息香酸エステル系、エポキシ 系、ポリエステル系等、滑剤としては例えば脂肪酸エステル系、脂肪酸系、金属石鹸系、脂肪酸アミド系、高級アルコール系、パラフィン系等、帯電防止剤としては例えばカチオン系、アニオン系、ノニオン系、両イオン系等、難燃剤としては例えば臭素系、リン系、塩素系、窒素系、アルミニウム系、アンチモン系、マグネシウム系、硼素系、ジルコニウム系等、充填剤としては例えば炭酸カルシウム、滑石、蝋石、カオリン等から選ばれる1種又は2種以上の混合系で使用することができる。
熱可塑性ポリエステル系樹脂層の厚みには特に制限はなく、従来の一般的な化粧シートの場合と同等に設定することができる。具体的には、図1に示す様な複層構成の化粧シートの透明樹脂層として使用する場合には20〜150μm程度の範囲とされる場合が多く、単層構成の化粧シートであれば50〜300μm程度の範囲とされる場合が多い。
絵柄インキ層は、目的とする化粧シートに任意の所望の絵柄の意匠性を付与する目的で設けられるものであって、その絵柄の種類には特に制限はなく、例えば木目柄、石目柄、抽象柄、単色無地等、従来の化粧シートの場合と同様の各種の絵柄を採用することができる。絵柄インキ層の構成材料や形成方法にも特に制限はなく、例えば有機又は無機の染料又は顔料等の着色剤を、適当な結着剤樹脂と共に、適当な溶剤中に溶解又は分散してなる、印刷インキ又はコーティング剤等を、適宜の印刷方法又はコーティング方法によって印刷又は塗工して設けることができる。
前記着色剤としては、例えばカーボンブラック、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、カドミウムレッド等の無機顔料や、アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料、金粉、銀粉、銅粉、アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料、魚鱗粉、塩基性炭酸鉛、酸化塩化ビスマス、酸化チタン被覆雲母等の真珠光沢顔料、蛍光顔料、夜光顔料等、又はこれらから選ばれる2種以上の混合物等を使用することができる。
また、前記結着剤樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリビニル系樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等の各種合成樹脂類、又はそれらの2種以上の混合物、共重合体等を使用することができる。
また、前記溶剤としては、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤や、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤、メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤、ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤等の各種有機溶剤や、水等の無機溶剤、又はそれらの2種以上の混合溶剤等を使用することができる。
その他、必要に応じて例えば体質顔料や可塑剤、分散剤、界面活性剤、粘着付与剤、接着助剤、乾燥剤、安定剤、硬化剤、硬化促進剤又は硬化遅延剤等の各種の添加剤を適宜添加することもできる。
絵柄インキ層の形成方法には特に制限はなく、例えばグラビア印刷法やオフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等の従来公知の各種の印刷方法を使用することができる。また、例えば全面ベタ状の場合には上記した各種の印刷方法の他、例えばロールコート法やナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等の各種のコーティング方法によることもできる。その他、例えば手描き法、墨流し法、写真法、レーザービーム又は電子ビーム描画法、金属等の部分蒸着法やエッチング法等、又はこれらの方法を複数組み合わせて行うことも勿論可能である。
なお、図1に示す様な複層構成の化粧シートにおいては、絵柄インキ層は熱可塑性樹脂基材シート1とポリエステル系熱可塑性樹脂層2との積層前にポリエステル系熱可塑性樹脂層側に設けておいても良いが、熱可塑性樹脂基材シート3側に設けておいても良い。また、絵柄インキ層の形成に先立ち必要に応じて、ポリエステル系熱可塑性樹脂層又は熱可塑性樹脂基材シート3の被印刷面に例えばコロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理、電離放射線処理、重クロム酸処理、アンカー処理又はプライマー処理等の表面処理を施すことによって、ポリエステル系熱可塑性樹脂層又は熱可塑性樹脂基材シート3と絵柄インキ層との密着性の向上を図ることもできる。
熱可塑性樹脂シート基材を構成する熱可塑性樹脂の種類には特に制限はなく、従来より係る化粧シートの基材シート用として使用されている各種の熱可塑性樹脂を使用することができる。具体的には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体又はその鹸化物、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体等のポリオレフィン系共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン樹脂、AS樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、セルロースアセテート、ニトロセルロース等の繊維素誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩素系樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフロロエチレン、エチレン−テトラフロロエチレン共重合体等のフッ素系樹脂等、又はこれらから選ばれる2種又は3種以上の共重合体や混合物、複合体、積層体等を使用することができる。
但し、前述した環境問題への適応を考慮すると、上記した各種の熱可塑性樹脂の内、塩素系樹脂やフッ素系樹脂の使用は余り好ましいものとは言えず、塩素やフッ素等のハロゲン元素を含有しないもの、すなわち非ハロゲン系熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。中でも、適度の柔軟性と強度のバランスや、折り曲げや切断・切削等の加工適性、耐候性等の各種の側面から見ると、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂が最も好適である。
上記ポリオレフィン系熱可塑性樹脂としては上掲したものを始め種々の単独重合体や共重合体が知られているが、中でも化粧シート用基材シートの素材として最も好適なのはポリプロピレン系樹脂、すなわちポリプロピレンを主成分とする単独又は共重合体であり、具体的には、例えばホモポリプロピレン樹脂、ランダムポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂、及び、ポリプロピレン結晶部を有し、且つプロピレン以外の炭素数2〜20のα−オレフィン、好ましくはエチレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1又はオクテン−1、のコモノマーを15モル%以上含有するプロピレン−α−オレフィン共重合体などを例示することができる。また、通常ポリプロピレン系樹脂の柔軟化に用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−プロピレン共重合ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム等の改質剤を添加することもできる。
更に、熱可塑性樹脂シート基材を構成する熱可塑性樹脂にはポリ乳酸を使用することも可能で、具体的には、例えば既にポリエステル系熱可塑性樹脂への添加剤として例示したもの等を使用することができる。熱可塑性樹脂シート基材にポリ乳酸系樹脂を含むものを使用すると、より植物由来度の高い化粧シートができ、より環境問題へ対応した化粧シートを得ることができる。
熱可塑性樹脂シート基材を構成する熱可塑性樹脂には、目的の化粧シートの用途により必要に応じて、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、充填剤等の従来公知の各種の添加剤の1種以上が添加されていても良い。これらの添加剤として具体的には、例えば既にポリエステル系熱可塑性樹脂への添加剤として例示したもの等を使用することができる。
上記の他、熱可塑性樹脂シート基材を構成する熱可塑性樹脂に、適宜の有機又は無機の染料又は顔料等の着色剤を添加することによって、熱可塑性樹脂シート基材を着色することもできる。特に、用途により化粧シートが隠蔽性を必要とする場合には、隠蔽性顔料を使用して熱可塑性樹脂シート基材を隠蔽性とすることが好ましい。隠蔽性顔料とは、分散媒たる熱可塑性樹脂と比較して高屈折率の顔料であり、屈折率の高さや耐候性、耐薬品性等の面から、例えば酸化チタン系顔料や酸化鉄系顔料等の無機顔料を少なくとも使用することが好ましい。勿論、熱可塑性樹脂シート基材自体を隠蔽性とする替わりに、隠蔽性顔料等を含有する印刷インキ又はコーティング剤等からなる隠蔽ベタ層4を設けても良いし、両者を併用することもできる。
熱可塑性樹脂シート基材の厚さには特に制限はなく、従来の一般の化粧シートの基材シートと同様の厚さのものを使用することができる。具体的には、化粧シートの用途や樹脂の種類にもよるが、50〜200μm程度の範囲から選ばれるのが一般的である。
本発明においては透明熱可塑性ポリエステル系樹脂層と熱可塑性樹脂シート基材との積層方法にも特に制限はなく、従来公知の任意の方法を適宜適用することができる。具体的には例えば、予めフィルム状乃至シート状に成形された透明熱可塑性ポリエステル系樹脂層をドライラミネート接着剤、感熱接着剤、感圧接着剤又は電離放射線硬化型接着剤等の適宜の接着剤5を介して熱可塑性樹脂シート基材の表面上に接着する方法、或いは接着剤を介さずに熱圧着又は超音波溶着等の手段によって直接接着する方法や、ポリエステル系熱可塑性樹脂を加熱溶融しフィルム乃至シート状に押し出し成形すると同時に熱可塑性樹脂シート基材の表面上に積層し接着させる方法等、従来公知の各種の方法の中から、樹脂の特性に合致した方法を適宜選択して使用することができる。
なお、上記積層に先立ち、透明熱可塑性ポリエステル系樹脂層及び/又は熱可塑性樹脂シート基材に絵柄インキ層や隠蔽層4等を施しておいても良いことは勿論であるが、その他、接着性の向上を目的として、透明熱可塑性ポリエステル系樹脂層及び/又は熱可塑性樹脂シート基材の接着面に、コロナ処理又はオゾン処理等の適宜の表面活性化処理や、適宜の接着性樹脂組成物からなるアンカー層6,6’等を施しておくこともできる。また押し出しラミネート法の場合には、ポリエステル系熱可塑性樹脂と共に接着性樹脂を熱可塑性樹脂シート基材との間に挟持する様に共押し出し積層することにより、接着性の向上を図ることもできる。
透明熱可塑性ポリエステル系樹脂層の表面には、従来公知の如く、必要に応じて所望の適宜の模様のエンボス7を設けることもできる。エンボス7の模様の種類にも特に制限はなく、例えば木目調(特に導管模様状)、石目調、和紙調、布目調、幾何学模様状等の各種模様状であっても良いし、或いは例えば単なる艶消状や砂目状、ヘアライン状、スウェード調等であっても良い。また、これらのエンボス7の模様を絵柄インキ層の絵柄と同調させることによって更なる意匠性の向上を図ることも出来るが、その必要がなければ非同調であっても良く、また絵柄インキ層の絵柄と同調した模様と同調しない模様との両者を含む模様のエンボス7を設けることもできる。
エンボス7の形成方法にも特に制限はないが、金属製のエンボス版を使用した機械エンボス法が最も一般的である。またエンボス7の形成時期にも特に制限はなく、熱可塑性樹脂シート基材2との積層前、積層と同時又は積層後の中から任意の時期を選択することができ、またこれらの中から選ばれる複数の時期に同一又は異なる模様のエンボス7を複数回に亘って施すこともできる。なお、エンボス7の凹陥部には、必要に応じてワイピング法等の手法により着色剤8を充填しても良く、これによって表面の凹凸模様と同調した色彩模様を有する意匠性に優れた化粧シートを得ることができる。
また、化粧シートの表面に更に優れた表面物性を付与する目的で、透明熱可塑性ポリエステル系樹脂層の表面にトップコート層を設けることもできる。トップコート層の構成材料としては、従来より係る化粧シートのトップコート層の構成材料として使用されている公知の各種のトップコート剤の中から選ばれる任意のものを使用することができる。一般的には、少なくとも下地を透視可能な透明性を有する必要がある他、化粧シートの用途により要求される耐磨耗性や耐擦傷性、耐溶剤性、耐汚染性等の表面物性を具備させるべく、硬化性樹脂を主成分とする材料から構成することが好ましい。但し、立体成形用途の場合には、化粧シートの伸びに追従すべく柔軟性にも配慮する必要がある。
上記トップコート層の構成材料として具体的には、例えばメラミン系樹脂、フェノール系樹脂、尿素系樹脂、エポキシ系樹脂、アミノアルキド系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂等の熱硬化性樹脂や、アクリル系樹脂等の電離放射線硬化性樹脂等を、好適に使用することができる。また必要に応じて、艶調整剤、滑剤、帯電防止剤、結露防止剤、抗菌剤、防黴剤等の各種添加剤を適宜添加することができる。また、トップコート層を艶の異なる2層以上から構成し、その内1層以上を絵柄状に設けることによって、表面の艶の変化による材質感や視覚的立体感を有する化粧シートを得ることもできる。
トップコート層の形成方法にも特に制限はなく、例えばグラビアコート法、ロールコート法、ディップコート法、エアーナイフコート法、ナイフコート法、コンマコート法、ダイコート法、リップコート法、キスコート法、ロッドコート法、スプレーコート法、フローコート法等の従来公知の任意のコーティング法を適宜適用することができる。
なお、透明熱可塑性ポリエステル系樹脂層とトップコート層との密着性が不十分である場合には、トップコート層の塗工形成に先立ち、透明熱可塑性ポリエステル系樹脂層の表面に例えばコロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理、電離放射線処理、重クロム酸処理、アンカー又はプライマー処理等の表面処理を施すことによって、透明熱可塑性ポリエステル系樹脂層とトップコート層との間の密着性を向上することができる。
本発明の化粧シートは、既に説明した様に、従来の化粧シートと同様、例えば合板やパーティクルボード等の木質系基材や、珪酸カルシウム板、木毛セメント板等の無機質系基材、FRP(繊維強化プラスチック)等の合成樹脂系基材等の各種の基材の表面に貼付して使用するものであり、一般的には該貼付の際には例えばウレタン系や酢酸ビニル系等の適宜の接着剤が使用されるが、熱可塑性樹脂シート基材を構成する樹脂の種類によっては、係る汎用のラミネート用接着剤との接着性が不十分である場合もある。係る場合に備えて、熱可塑性樹脂シート基材の裏面に、上記した汎用の接着剤との接着性に優れた樹脂からなるプライマー層を設けておくことが好ましい。
上記プライマー層としては例えばウレタン系、アクリル系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系等の各種のプライマー剤が知られており、これらの中から熱可塑性樹脂シート基材に合わせたものを選んで使用する。なお、プライマー層に例えばシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の粉末を添加しておくと、プライマー層の表面が粗面化することによって化粧シートの巻取保存時のブロッキングが防止できる他、投錨効果による前記ラミネート用接着剤との接着性の向上を図ることもできる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
基材シートとして、ランダムポリプロピレン樹脂100重量部に無機顔料を6重量部、フェノール系酸化防止剤を0.2重量部、ヒンダードアミン系光安定剤を0.3重量部、ブロッキング防止剤を0.2重量部添加してなる樹脂を溶融押出しして得られたシートを用い、その表面にコロナ処理を施した後、グラビア印刷法により絵柄用インキ(東洋インキ製造株式会社製 商品名「ラミスター」)を使用して木目模様を施し、模様層を形成した。さらに木目模様の模様層上に2液硬化型のウレタン系アンカーコート剤(三井化学ポリウレタン株式会社製 商品名「タケラック」(主剤)と商品名「タケネート」(硬化剤))からなるアンカーコート剤をグラビア印刷法により固形分厚み約1μmとなるように塗工して、アンカーコート層を形成した。
一方、ポリ乳酸系樹脂(ユニチカ株式会社製 テラマック)70重量部と熱可塑性エラストマー(JSR製ダイナロン)30重量部を予め溶融混練により準備し、厚みが50μmとなるように、押出温度220℃でTダイ押出ラミネート法により前記アンカーコート層上に積層した。また、この際、押出ラミネートの冷却ロールには木目導管模様を凹凸反転させて付与しておき、化粧シートに深度約20μmの木目導管模様を付与した。
さらに、最表層に表面保護層(大日本インキ化学工業株式会社製 商品名「UCクリヤー」)を設けて、実施例1の化粧シートを得た。
<実施例1の化粧シートの層構成>
トップコート層:ウレタン系コート剤 6μm
透明熱可塑性ポリエステル系樹脂層 50μm
印刷インキ:ウレタン系2液硬化型 0〜2μm
熱可塑性樹脂シート基材:ポリプロピレン樹脂 80μm
基材シートを厚さ35μmのポリ乳酸の延伸フィルムに変え、実施例1と同様の手法により実施例2の化粧シートを作製した。
<実施例2の化粧シートの層構成>
トップコート層:ウレタン系コート剤 6μm
透明熱可塑性ポリエステル系樹脂層 50μm
印刷インキ:ウレタン系2液硬化型 0〜2μm
熱可塑性樹脂シート基材:二軸延伸ポリ乳酸フィルム 70μm
<比較例1>
透明熱可塑性樹脂としてポリ乳酸のみを用い、その他の材料および製造方法は実施例2と同じ化粧シートを作成した。
<比較例1の化粧シートの層構成>
トップコート層:ウレタン系コート剤 6μm
透明熱可塑性ポリエステル系樹脂層:ポリ乳酸樹脂のみ 50μm
印刷インキ:ウレタン系2液硬化型 0〜2μm
熱可塑性樹脂シート基材:二軸延伸ポリ乳酸フィルム 35μm
<評価>
上記の実施例1,2および比較例1の化粧シートを厚さ3mmのMDF板に貼合した化粧ボードの状態にして、化粧シートの評価を行った。
<評価方法>
加工性:MDFの化粧シートを貼り合わせていない面側にシート界面まで達する深さで断面V字型の溝を切削した後、その溝に酢酸ビニル系エマルジョンの接着剤を塗布してから、折り曲げた。折り曲げた部分の化粧シート表面から見て亀裂や白化を起こしていないものを○とし、亀裂や白化を起こしているものを×とした。

耐久性:促進試験として60℃オーブンに10日間投入し、化粧シート層間のデラミネーションや変色の有無(有→不良,無→良)かつ、化粧シート貼合した木質樹脂組成物をサンシャインウェザーメータ1000時間投入(照射は化粧シート貼合面側)し表面劣化および内部劣化の有無(有→不良,無→良)を観察し、両方の結果を満足したものを○、いずれか一つでも満足できなかったものは×不良とした。なお、サンシャインウェザーメータの試験は、63℃環境下で化粧シートに紫外線照射を120分間行い、その120分のうちの最初の18分間、純水のシャワー噴射を行う。これを1サイクルとし、1000時間繰り返した。
以下に結果を示す。
Figure 0005292755
以上詳細に説明した様に、本発明の化粧シートは平面基材へのラミネートやVカット加工等は勿論のこと、柱状基材へのラッピングラミネートや三次元凹凸基材への立体成形ラミネートにおいても、割れ、白化、シワ等の問題が発生することがなく、各種表面物性の面でも優れたものであるという顕著な効果を奏するものである。また、耐久性試験の結果より、本発明の化粧シートは実用に耐えうるものであるといえる。
本発明の化粧シートの一例の積層構造を示す模式断面図である。
符号の説明
1 透明熱可塑性ポリエステル系樹脂層
2 絵柄インキ層
3 熱可塑性樹脂シート基材
4 隠蔽層
5 接着剤層
6、6’アンカー層
7 エンボス
8 着色剤
9 トップコート層
10 プライマー層

Claims (6)

  1. 少なくとも絵柄インキ層と透明熱可塑性ポリエステル系樹脂層がこの順で積層されてなる化粧シートにおいて、該透明熱可塑性ポリエステル系樹脂層が少なくともポリ乳酸、熱可塑性エラストマー、カルボキシル基と反応性を有する官能基を含む化合物、および、エチレン/酢酸ビニル共重合体またはエポキシ樹脂で被覆処理したフィラーを含んでなることを特徴とする化粧シート。
  2. 前記カルボキシル基と反応性を有する官能基を含む化合物が、前記ポリ乳酸100重量部に対して、0.1重量部以上10重量部以下の範囲で添加されることを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記化粧シートが熱可塑性樹脂シート基材層を有することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の化粧シート。
  4. 前記熱可塑性シート基材が、少なくともポリ乳酸樹脂を含有してなるポリエステル系樹脂からなることを特徴とする請求項3に記載の化粧シート。
  5. 前記熱可塑性シート基材が、少なくともポリオレフィン系樹脂からなることを特徴とする請求項3に記載の化粧シート。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の化粧シートを基材に貼合されてなることを特徴とする化粧材。
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