JP2006152162A - ポリ乳酸組成物及びこれを用いた樹脂成形体 - Google Patents

ポリ乳酸組成物及びこれを用いた樹脂成形体 Download PDF

Info

Publication number
JP2006152162A
JP2006152162A JP2004346611A JP2004346611A JP2006152162A JP 2006152162 A JP2006152162 A JP 2006152162A JP 2004346611 A JP2004346611 A JP 2004346611A JP 2004346611 A JP2004346611 A JP 2004346611A JP 2006152162 A JP2006152162 A JP 2006152162A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polylactic acid
ethylene
acid composition
olefin
composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004346611A
Other languages
English (en)
Inventor
Satoshi Iwai
覚司 岩井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2004346611A priority Critical patent/JP2006152162A/ja
Publication of JP2006152162A publication Critical patent/JP2006152162A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)

Abstract

【課題】 高硬度を有すると共に、外力に耐える剛性(柔軟さ)を兼ね備え、硬く剛性のある樹脂構造物の成形を可能とする。
【解決手段】 ポリ乳酸(p-la)とオレフィン系エラストマー(Oep)とを比p-la/Oep=90/10〜60/40の範囲で混練されている。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリ乳酸組成物及びこれを用いた樹脂成形体に関し、詳しくは、硬く剛性のある構造物の成形に好適なポリ乳酸組成物及びこれを用いた樹脂成形体に関する。
プラスチックス品は様々な分野で利用されているが、その多くは石油資源に由来しており、近年では石油資源の枯渇や使用済のプラスチックス品の燃焼等に伴なう二酸化炭素の発生に起因する地球環境の悪化(例えば地球温暖化)が懸念されている。
ポリ乳酸は、植物(バイオマス)や植物資源から合成された生分解性の樹脂材料(バイオプラスチックス)として広く知られている。このバイオプラスチックスは、石油資源に依存せず、また、この原料となる植物は二酸化炭素(CO2)を吸収して成長する種であるために燃焼させても大気中に存在する以上のCO2を放出することはないことから、環境負荷が小さく、しかも再利用が可能である点から注目されている。
ところが、ポリ乳酸は一般に高い硬度を有するため、変形しにくい強度が必要とされる用途の成形に適している反面、非常に脆く壊れやすい性質(脆性)を有していることから、物理的な衝突などによって圧力や衝撃が加わるような用途には事実上用いることは難しかった。また、部材を変形させた状態にして複数の部材を組合せるような場合にも破損のおそれが高く、工程上支障を来たすことがあった。そのため、用途や目的等に合わせてその都度、ポリ乳酸に必要とされる柔軟性を付与する等の処理が行なわれている。
ポリ乳酸の処理法としては、乳酸類以外の第2成分を添加して柔軟性に改質する技術、例えば、ヒドロキシカルボン酸、ポリエチレングリコール、脂肪族多価アルコール類、脂肪族多価塩基酸類、ポリオルガノシロキサン、フタル酸ジエステル化合物、ポリエステルグラフト重合澱粉アロイ、変性ポリエチレン等の有機物を用い、これらがポリ乳酸と高相溶性であることを利用してエステル化やエポキシ化等の変性処理を施す方法が一般に行なわれている。
しかし、上記方法では、変性処理が不可欠なためにコスト高になってしまったり、あるいは変性処理に用いる有機物が高相溶性のためにミクロ分散が発生し、柔軟性(剛性)は大幅に改善されるものの、改善幅が大きすぎて硬さ(硬度)が大きく低下してしまい、逆にその分散性を抑えるとポリ乳酸の特性が強くなって脆性を回避できない課題がある。すなわち、ポリ乳酸組成物の硬度を小〜中程度にある程度高く堅持しながら、剛性を制御して加えられた応力に対する柔軟性をも兼ね備えるようにすることは困難であり、結果的に所望の硬さと剛性とを得る手法としては必ずしも簡便とはいい難かった。
上記に関連して、ポリ乳酸を天然ゴムに添加した生分解性ゴム組成物が提案されており(例えば、特許文献1参照)、ポリ乳酸の溶融時の粘度改善効果が得られるとされているが、実際には天然ゴムはポリ乳酸との相溶性が悪く、均一に混合することは不可能である。
特開2000−319446号公報
以上のように、環境適正の点からポリ乳酸を用いた技術については種々検討がなされてきているものの、硬いが脆性のポリ乳酸に適度の柔軟性を付与して脆さを改善しようとする場合に、所望の硬さを保ちながら、同時に外圧や衝撃など外部から与えられる応力(外力)に耐える剛性をも付与することができる技術は未だ提供されていないのが現状である。なお、「剛性」とは、曲げ等の変形に対する弾性的性質をいう。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、高硬度を有すると共に、外力に耐える剛性(柔軟さ)を兼ね備え、硬く剛性のある樹脂構造物の成形を可能とするポリ乳酸組成物、並びに前記ポリ乳酸組成物で構成され、硬く剛性のある樹脂成形体を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
本発明は、オレフィン系エラストマーは一般に、従来ポリ乳酸の柔軟性付与に用いられていたヒドロキシカルボン酸等の有機物に比べ、ポリ乳酸との混ざりやすさ(相溶性)に劣るものの、この相溶性に乏しいオレフィン系エラストマーをポリ乳酸と併用することが、ポリ乳酸を用いた成形体の大幅な硬度低下を伴なわず、剛性のある構造物を成形するのに有用であり、しかもポリ乳酸及びオレフィン系エラストマーの割合を特定の比率とした場合に特に効果的であるとの知見を得、かかる知見に基づいてなされたものである。前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
上記目的を達成するために、第1の発明であるポリ乳酸組成物は、ポリ乳酸(p-la)とオレフィン系エラストマー(Oep)とを含み、かつポリ乳酸とオレフィン系エラストマーとの比p-la/Oepが90/10〜60/40の範囲となるように構成したものである。
第1の発明のポリ乳酸組成物においては、硬いが脆性であるポリ乳酸に、従来ポリ乳酸の柔軟性付与(エステル化やエポキシ化等の変性処理)に用いられていたヒドロキシカルボン酸等の有機物に比べ比較的相溶性の小さいオレフィン系エラストマーを組合せることで、高相溶性に由来するミクロ分散を適度に抑えた分散サイズのやや大きい分散系に構成することができるので、従来行なわれていた変性処理を施す方法における場合等のように、柔軟性の向上に相反して生ずる硬度の低下を抑制することができると共に、さらにポリ乳酸とオレフィン系エラストマーとの比率p-la/Oepを上記範囲とするので、所望の高い硬さ(硬度)を保持しながら、同時に外圧や衝撃など外部から与えられる外力に耐える剛性、すなわち柔軟さをも付与することができる。これにより、本発明のポリ乳酸組成物を用いて構成された構造物は、高い硬度と壊れにくい剛性を兼ね備え、成形後の耐衝撃性、耐圧性を飛躍的に向上させることができる。
また上記のように、本発明ではポリ乳酸との相溶性が必ずしも高くないオレフィン系エラストマーを特に選択するので、高相溶性を利用した従来の変性処理(エステル化やエポキシ化等)は不要となり、簡便な手法での構成が可能であるので、ポリ乳酸組成物を低廉に提供することができる。
本発明のポリ乳酸組成物においては、ポリ乳酸と併用するオレフィン系エラストマーとして、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−オクテンゴム、及びエチレン−ブタジエンゴムが効果的である。これらは、一種単独で用いる以外に、二種以上を併用することもできる。中でも、エチレン−ブタジエンゴムを含む形態が特に好ましい。
本発明のポリ乳酸組成物は、ポリ乳酸にオレフィン系エラストマーを添加、混練してなる形態とするのが好ましい。ポリ乳酸中にオレフィン系エラストマーがよく混じり合うように練ることで、均一な硬さと剛性(柔軟さ)が得られる。
第2の発明である樹脂成形体は、上記した第1の発明であるポリ乳酸組成物を用いて構成したものである。上記のようにして構成される第1の発明のポリ乳酸組成物が用いられるので、高い硬度と壊れにくい剛性(柔軟さ)を兼ね備え、耐衝撃性、耐圧性等が良好で容易に壊れにくい樹脂成形体に構成することができる。また、従来以上に低廉に構成された樹脂成形体としての作製、提供も可能となる。したがって、高硬度でかつ剛性のある性能が要求される分野や用途、部材、部品等の用途が広く期待される。
本発明によれば、高硬度を有すると共に、外力に耐える剛性(柔軟さ)を兼ね備え、硬く剛性のある樹脂構造物の成形を可能とするポリ乳酸組成物、並びに本発明のポリ乳酸組成物で構成され、硬く剛性のある樹脂成形体を提供することができる。
以下、本発明の各々について詳細に説明する。
[ポリ乳酸組成物]
本発明のポリ乳酸組成物は、ポリ乳酸とオレフィン系エラストマーとを少なくとも含んでなり、必要に応じて他の成分を用いて構成することができる。
−ポリ乳酸−
本発明のポリ乳酸組成物は、ポリ乳酸の少なくとも一種を含有する。ポリ乳酸は、植物(バイオマス)や植物資源から合成された生分解性の樹脂材料(バイオプラスチックス)であり、大気中のCO2量の増大を伴なうことなく燃焼処理可能であり、環境負荷の軽減に有用である。
前記ポリ乳酸としては、例えば、L−乳酸を構成単位とするポリL−乳酸、D−乳酸を構成単位とするポリD−乳酸、L−乳酸とD−乳酸とを構成単位とするポリDL−乳酸等、及びこれらの混合物が挙げられ、L−乳酸及び/又はD−乳酸には、乳酸系以外の他の単量体が共重合されていてもよい。
なお、ポリ乳酸の重合法としては、特に制限はなく、縮重合法、開環重合法など公知の方法のいずれによって重合されたものであってもよい。例えば、縮重合法による場合は、ポリ乳酸はL−乳酸もしくはD−乳酸又はこれらの混合物を直接脱水縮重合することにより任意の組成に構成されたものである。また、開環重合法による場合は、乳酸系樹脂は乳酸の環状二量体であるラクチドを、必要に応じて重合調整剤等と共に混合し、触媒を用いて重合させることにより、任意の組成に構成されたポリ乳酸としたものである。前記ラクチドには、L−乳酸の2量体であるL−ラクチド、D−乳酸の2量体であるD−ラクチド、L−乳酸及びD−乳酸からなるDL−ラクチドがある。
ポリ乳酸のポリ乳酸組成物中における含有量としては、後述するオレフィン系エラストマーとの比を満たす範囲で、60〜90質量%が好ましく、65〜75質量%がより好ましい。
−オレフィン系エラストマー−
本発明のポリ乳酸組成物は、オレフィン系エラストマーの少なくとも一種を含有する。オレフィン系エラストマーの併用により、これまで硬いが脆性であるとされていたポリ乳酸に剛性を付与することができ、例えば変形応力や衝突など、外部から物理的に圧力や衝撃が加わるような場合でも壊れにくい耐性(耐圧性、耐衝撃性など)を持つポリ乳酸組成物に構成することができる。また、オレフィン系エラストマーは比較的安価で組成物の低コスト化に寄与すると共に、さらに耐熱性、耐候性の向上にも寄与する。
また、従来ポリ乳酸の変性処理(エステル化やエポキシ化等)に用いられてきた、ヒドロキシカルボン酸やポリエチレングリコール等の有機物ではポリ乳酸との相溶性が大きすぎ、剛性(柔軟さ)は得られるが硬度が小さくなりすぎるのを解消し、該有機物よりもポリ乳酸との相溶性が小さいオレフィン系エラストマーを選択することで、ポリ乳酸組成物の硬さ(硬度)を所望の程度に保ちつつ、所望の剛性(柔軟さ)のある組成物に制御することが可能である。
上記のように、硬く剛性のあるポリ乳酸組成物に効果的に制御するために、オレフィン系エラストマー(Oep)の量を、前記ポリ乳酸(p-la)との関係において、ポリ乳酸とオレフィン系エラストマーとの比(p-la/Oep)が90/10〜60/40を満たす範囲とする。
前記比p-la/Oepを上記範囲とすることによって、一般のミクロ分散よりも大サイズでの分散を行なうのに効果的であり、ポリ乳酸に由来する組成物の硬さを保持しながら組成物の脆性を改善することができ、硬くて柔軟性のある組成物、すなわち高度の硬さを有し、例えば変形応力や衝突などの物理的な圧力や衝撃が加わった場合でも壊れにくい剛性(換言すれば、耐圧性、耐衝撃性など)を発揮する組成物を得ることができる。換言すれば、比p-la/Oepが90/10未満、即ちOepの量が少なすぎると脆性の改善効果が小さく剛性が不足し、逆に60/40を超える、即ちOepの量が多すぎると組成物の硬度が大きく低下する。
上記範囲の中でも、より効果的に本発明の効果を奏し得る点で、前記比p-la/Oepとしては、60/40〜80/20が好ましく、70/30〜80/20がより好ましい。
また、オレフィン系エラストマーの含有量としては、上記の比p-la/Oepを満足する範囲内であって、ポリ乳酸組成物100質量部に対し、20〜40質量部が好ましく、25〜35質量部がより好ましい。
前記オレフィン系エラストマーは、室温でゴム弾性を示す高分子物質であり、オレフィン系の高分子化合物やゴム、熱可塑性エラストマーなどが含まれ、オレフィン系共重合体が好適である。例えば、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−オクテンゴム(EOR)、エチレン−ブタジエンゴム(EBR)、アクリルゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴムなどのオレフィン系のゴムや、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)等のハードセグメントとオレフィン系ゴム(エチレン−プロピレンゴム、ブチルゴムなど)等のソフトセグメントとを有するオレフィン系の熱可塑性エラストマー、等が挙げられる。
前記エチレン−プロピレンゴムには、エチレンとプロピレンとの共重合体であるEPM、並びにエチレンとプロピレン及び架橋用ジエンモノマー(例えばエチリデンノルボルネン)との三元共重合体であるEPDMが含まれる(以下同様。)。
前記熱可塑性エラストマーは、分子中に互いに非相溶の、ゴム弾性を持つ柔軟性成分(いわゆるソフトセグメント)と塑性変形を防止するための分子拘束成分(いわゆるハードセグメント)とを有するものであり、前記ソフトセグメントをなす成分とハードセグメントをなす成分とのブレンド体又は重合体のいずれであってもよく、硬く所望の剛性のあるポリ乳酸組成物を得ることが可能な範囲で使用できる。例えば、ポリプロピレンとエチレン−プロピレンゴム又はブチルゴムとを機械的にブレンド、あるいはこれらを混練した中に更に有機過酸化物等を加えて架橋させたもの等が挙げられる。
上記のオレフィン系エラストマーは、一種単独で用いる以外に、上記の比p-la/Oep及び含有量の範囲内で、複数種を併用するようにしてもよい。
上記した中でも、より効果的に本発明の効果を奏する点で、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−オクテンゴム、及びエチレン−ブタジエンゴムより選ばれる一種又はこれら二種以上の混合物、あるいはエチレン−プロピレンゴム、エチレン−オクテンゴム、及びエチレン−ブタジエンゴムの少なくとも一種と他のオレフィン系エラストマーの少なくとも一種との混合物が好ましい。
中でも、脆性の改善、具体的には引張強度及び引張伸びを向上させる観点から、エチレン−ブタジエンゴムの一種もしくは複数種、又はこれらと他のオレフィン系エラストマーの少なくとも一種との混合物が好ましい。なお、引張強度及び引張伸びの向上は剛性の向上に寄与する。
本発明のポリ乳酸組成物は、上記したポリ乳酸及びオレフィン系エラストマー以外に、目的等に応じてタルク、安定剤、結晶核剤などの他の成分を加えた構成としてもよい。
本発明のポリ乳酸組成物の形態としては、ポリ乳酸及びオレフィン系エラストマー(並びに必要に応じて他の成分)が含まれる態様であれば特に制限はないが、ポリ乳酸にオレフィン系エラストマー(及び必要に応じて他の成分)を添加混合し、混練してなる態様が好適である。
混練の方法及び条件については、特に制限されるものではなく、混練を行なうのに適した公知の装置(例えば、単軸又は二軸押出混練機、ラボプラストミル)を目的等により適宜選択し、混練温度をポリ乳酸の融点以上であって、かつポリ乳酸の熱分解温度以下(例えば、170〜230℃の温度範囲)とすることにより好適に混練を行なうことができる。
[樹脂成形体]
本発明の樹脂成形体は、既述した本発明のポリ乳酸組成物を必要に応じ他の組成と共に成形してなるものである。既述のように、本発明のポリ乳酸組成物を用いた構成とすることによって、成形体の硬度を大きく損なうことなく剛性(柔軟さ)を兼備させることが可能であり、しかもポリ乳酸本来の特性から、燃焼時のCO2発生量も抑えられる。
樹脂成形体の成形方法は、既述の本発明のポリ乳酸組成物を用いた方法であれば特に制限はなく、公知の成形方法から適宜選択した方法を利用して行なうことができる。例えば、プレス成形、射出成形、ブロー成形などの方法を挙げることができる。
成形は、加熱しながら行なうことができ、該加熱時の温度としては、ポリ乳酸の種類や組成物の成分構成に依存するが、ポリ乳酸の融点以上でかつ熱分解温度以下(例えば、170〜230℃の温度範囲)とするのが好適である。また、加熱時間については、成分構成や加熱温度を加味して適宜選択すればよい。
また、樹脂成形体の形状や大きさについては、特に制限はなく、例えば、立体形状(立方体や直方体、球、中空体等を含む。)、シートもしくはフィルム形状をはじめ、所望とする任意の形状、大きさを選択できる。
本発明のポリ乳酸組成物及び樹脂成形体は、樹脂成分を原料とする種々の分野で広く使用可能であり、特にこれまで石油資源に由来するプラスチックス品を構成する樹脂成分の代替成分として好適であり、具体的には、高硬度で剛性を必要とする構造物、例えば、自動車用部材(インパネやコンソール等の内装部品など)、家電用部材(パソコン、ステレオ等の筐体)等の幅広いプラスチックス品の用途に好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜3)
ポリ乳酸として、ポリL−乳酸(重量平均分子量Mw=230,000、光学純度98.5%)を用意し、このポリL−乳酸を60℃で1昼夜乾燥させた。そして、乾燥後のポリL−乳酸を100g秤量した。
次いで、オレフィン系エラストマーとして、エチレン−プロピレンゴム(EPR/タフマーP0280、三井化学(株)製;実施例1)、エチレン−オクテンゴム(EOR/タフマーA4050、三井化学(株)製/;実施例2)、及びエチレン−ブタジエンゴム(EBR/タフマーH430、三井化学(株)製;実施例3)を用意し、各々について、ポリL−乳酸と混合した全体(全質量)の10質量%(比p-la/Oep=90/10)、20質量%(比p-la/Oep=80/20)、30質量%(比p-la/Oep=70/30)となる量を秤量した。以下、EPR(タフマーP0280)を用いた場合(実施例1)を中心に説明する。
秤量したポリL−乳酸100gを、各々の量のエチレン−プロピレンゴム(タフマーP0280)と共にそれぞれ別個のビニル袋に入れて混合し、3種のポリ乳酸混合物1a〜1cを得た。
その後、ポリ乳酸混合物1a〜1cの各々を順次、二軸押出混練機〔(株)東洋精機製作所製〕を用いて下記条件にて混練し、混練物1a〜1cを押出した。
〔条件〕
・加熱温度:出口側に向かって順に下記T1,T2,T3,T4とした。
ミキサー温度T1:165℃
ミキサー温度T2:185℃
ミキサー温度T3:210℃
ミキサー温度T4:200℃
・スクリュー回転数:50r.p.m.
・スクリュー径 :φ20mm
引き続いて、二軸押出混練機から押出された混練物1a〜1cの各々を順次、190℃に予熱されたプレス成形機(東洋インターナショナル(株)製)に装填し、被プレス物である混練物を挟むようにして離型用シートで包み、1mm厚に成形されるように2トンの荷重を加えて3分間プレスし、3種の成形物を得た。このとき、厚み1mmのスペーサを用いて1mm厚に成形されるようにした。
プレス終了後、成形物の熱収縮によるソリを防止するために、プレス成形機から取出した成形物の各々を順次、別のプレス機(コータキ精機(株)製)に装填し、更に2トンの荷重を加えて23℃で3分間プレスした。
上記のようにして、本発明の樹脂成形体である成形シート1a〜1cを作製した(下記表1参照)。また、エチレン−オクテンゴム(EOR/タフマーA4050;実施例2)、及びエチレン−ブタジエンゴム(EBR/タフマーH430;実施例3)を用いた場合についても同様の操作を行ない、下記表1に示すように、本発明の樹脂成形体である成形シート2a〜2c、及び3a〜3cを作製した。
Figure 2006152162
(比較例1〜3)
実施例1〜3の各々において、ポリL−乳酸と混合したEPR、EOR、又はEBRの量をそれぞれ0%、50%に代えたこと以外、実施例と同様にして、ポリ乳酸混合物から混練物を得、さらに前記表1に示すように、成形シート1d〜1e、2d〜2e及び3d〜3eを作製した。なお、成形シート2d及び3dは成形シート1dと同一体である。
(評価)
上記より得られた成形シートを用いて下記の評価を行なった。評価結果は図1〜図3並びに図4に示す。
−固体粘弾性試験−
成形シート1c、2c及び3c、並びに1d(2d又は3dを用いても同様である。)を切出して各々測定用サンプル(長さ30mm、幅5mm、厚み1mm)を作成し、レオスペクトラ〔(株)レオロジ製〕を用いて、JIS K7244に基づいた固体粘弾性試験を行なった。得られた粘弾性の結果から40〜90℃付近における貯蔵弾性率、損失弾性率、及びtanδを求めて図1〜図3を作成し、これらをもとにガラス転移温度Tgを算出し、ポリL−乳酸とEPR、EOR、又はEBRとの混ざり具合(相溶性)を評価した。Tgが低いほど相溶性が高いことを示す。Tgの結果は下記表2に示す。
−引張試験−
成形シートの各々を切出して測定用サンプル(長さ30mm、幅5mm、厚み1mm)を作成し、オートグラフ(島津製作所(株)製)を用いて、JIS K6301に基づいた引張試験を行なった。得られた値から引張降伏点応力(MPa)に対する破断伸び(%)を求め、成形シートの脆性を評価する指標とした。また、求められた値から引張降伏点応力(MPa)を縦軸、破断伸び(%)を横軸として図4を作成すると共に、成形シート1c、2c及び3c、並びに1dにおける破断伸びを下記表2に示す。
Figure 2006152162
前記表2に示すように、オレフィン系エラストマーを加えた本発明の成形シート1c〜3cでは、比較の成形シート1dに比し、ガラス転移温度が低く、ポリ乳酸に対するオレフィン系エラストマーの相溶性は良好であった。このうち、エチレン−ブタジエンゴム(EBR)が最も良好であった。
また、図4に示すように、ポリ乳酸及びオレフィン系エラストマーの比p-la/Oepが90/10〜60/40の範囲を満たすように構成された本発明の成形シート1a〜1c、2a〜2c並びに3a〜3cでは、オレフィン系エラストマーを加えない従来系の成形シート1d(2d、3d)に比し、高い降伏応力の段階、つまり高い硬度を維持した状態で、良好な破断伸びを示し、剛性のある樹脂成形体を得ることができた。中でも、エチレン−ブタジエンゴム(EBR)を使用した場合(成形シート3a〜3c)に特に良好であった。また、比p-la/Oepが本発明における範囲を超える比較の成形シート1e、2e、及び3eでは、破断伸びは大きいものの、柔軟になりすぎて硬度が不足してしまった。
貯蔵弾性率のEPR、EOR又はEBRの混合による効果を示すグラフである。 損失弾性率のEPR、EOR又はEBRの混合による効果を示すグラフである。 tanδのEPR、EOR又はEBRの混合による効果を示すグラフである。 引張降伏点応力と破断伸びとの関係を示すグラフである。

Claims (4)

  1. ポリ乳酸(p-la)とオレフィン系エラストマー(Oep)とを含み、かつ
    前記ポリ乳酸と前記オレフィン系エラストマーとの比p-la/Oepが90/10〜60/40であるポリ乳酸組成物。
  2. 前記オレフィン系エラストマーが、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−オクテンゴム、及びエチレン−ブタジエンゴムの少なくとも一種である請求項1に記載のポリ乳酸組成物。
  3. 前記ポリ乳酸に前記オレフィン系エラストマーが添加、混練されてなる請求項1又は2に記載のポリ乳酸組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリ乳酸組成物を用いてなる樹脂成形体。
JP2004346611A 2004-11-30 2004-11-30 ポリ乳酸組成物及びこれを用いた樹脂成形体 Pending JP2006152162A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004346611A JP2006152162A (ja) 2004-11-30 2004-11-30 ポリ乳酸組成物及びこれを用いた樹脂成形体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004346611A JP2006152162A (ja) 2004-11-30 2004-11-30 ポリ乳酸組成物及びこれを用いた樹脂成形体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006152162A true JP2006152162A (ja) 2006-06-15

Family

ID=36630832

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004346611A Pending JP2006152162A (ja) 2004-11-30 2004-11-30 ポリ乳酸組成物及びこれを用いた樹脂成形体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006152162A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008026632A1 (fr) * 2006-09-01 2008-03-06 Kaneka Corporation Composition élastomère thermoplastique
WO2008149995A1 (ja) * 2007-06-06 2008-12-11 Mitsubishi Plastics, Inc. ポリ乳酸系樹脂組成物、ポリ乳酸系フィルム、並びに該フィルムを用いた成形品、延伸フィルム、熱収縮性ラベル、及び該ラベルを装着した容器
JP2009083235A (ja) * 2007-09-28 2009-04-23 Toppan Printing Co Ltd 化粧シートおよび化粧材

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04252249A (ja) * 1990-12-28 1992-09-08 Mitsubishi Petrochem Co Ltd 微生物崩壊性樹脂成形体
JP2002037987A (ja) * 2000-07-26 2002-02-06 Shimadzu Corp ポリ乳酸系組成物及びその製造方法
JP2002275217A (ja) * 2001-03-22 2002-09-25 Sumitomo Chem Co Ltd 生分解性樹脂改質用エチレン−α−オレフィン共重合体、その組成物及びその成形体
JP2004035691A (ja) * 2002-07-02 2004-02-05 Toyoda Gosei Co Ltd 結晶性生分解性樹脂組成物
JP2004143315A (ja) * 2002-10-25 2004-05-20 Toyota Motor Corp ポリマーブレンド及びその製造法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04252249A (ja) * 1990-12-28 1992-09-08 Mitsubishi Petrochem Co Ltd 微生物崩壊性樹脂成形体
JP2002037987A (ja) * 2000-07-26 2002-02-06 Shimadzu Corp ポリ乳酸系組成物及びその製造方法
JP2002275217A (ja) * 2001-03-22 2002-09-25 Sumitomo Chem Co Ltd 生分解性樹脂改質用エチレン−α−オレフィン共重合体、その組成物及びその成形体
JP2004035691A (ja) * 2002-07-02 2004-02-05 Toyoda Gosei Co Ltd 結晶性生分解性樹脂組成物
JP2004143315A (ja) * 2002-10-25 2004-05-20 Toyota Motor Corp ポリマーブレンド及びその製造法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008026632A1 (fr) * 2006-09-01 2008-03-06 Kaneka Corporation Composition élastomère thermoplastique
JP5500823B2 (ja) * 2006-09-01 2014-05-21 株式会社カネカ 熱可塑性エラストマー組成物
US8748526B2 (en) 2006-09-01 2014-06-10 Kaneka Corporation Thermoplastic elastomer composition
WO2008149995A1 (ja) * 2007-06-06 2008-12-11 Mitsubishi Plastics, Inc. ポリ乳酸系樹脂組成物、ポリ乳酸系フィルム、並びに該フィルムを用いた成形品、延伸フィルム、熱収縮性ラベル、及び該ラベルを装着した容器
JP2009013406A (ja) * 2007-06-06 2009-01-22 Mitsubishi Plastics Inc ポリ乳酸系樹脂組成物、ポリ乳酸系フィルム、並びに該フィルムを用いた成形品、延伸フィルム、熱収縮性ラベル、及び該ラベルを装着した容器
US8304048B2 (en) 2007-06-06 2012-11-06 Mitsubishi Plastics, Inc. Polylactic acid-based resin composition, polylactic acid-based film, molded product using the film, elongated film, heat-shrinkable label, and container having the label thereon
JP2009083235A (ja) * 2007-09-28 2009-04-23 Toppan Printing Co Ltd 化粧シートおよび化粧材

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Zheng et al. PHBV-graft-GMA via reactive extrusion and its use in PHBV/nanocellulose crystal composites
JP2007269995A (ja) ポリ乳酸含有樹脂組成物、ポリ乳酸含有樹脂フィルム及びポリ乳酸含有樹脂繊維
JP4922124B2 (ja) ポリ乳酸系樹脂組成物及びその成形体
JPWO2005000946A1 (ja) 脂肪族ポリエステル樹脂組成物、その製造方法、前記樹脂組成物からなる成形体及び発泡体
JP6034866B2 (ja) ポリ−3−ヒドロキシアルカノエート系樹脂組成物および成形体
HUT64576A (en) Thermoplastic materials to be produced from lactides and method for it's production, method for producing of degradable polyolefinic - compound, compound for replacing polystyrene, method for producing of degradable, thermoplastic compound
KR101970847B1 (ko) 생분해성 필름
Garcia et al. Sericin as compatibilizer in starch/polyester blown films
JP4887860B2 (ja) 射出成形用ポリ乳酸系樹脂組成物、その製造方法及び射出成形体
JP3785904B2 (ja) ポリ乳酸系組成物及びその製造方法
KR101711252B1 (ko) 생분해성 고분자 발포체 및 이의 제조방법
JP2006089643A (ja) 樹脂組成物およびその成形体
JP2008239645A (ja) ポリ乳酸系樹脂組成物及びその製造方法、並びに成形品
KR20200071817A (ko) 내열성과 기계적 물성이 우수한 3차원 프린터 필라멘트용 폴리유산 수지 조성물 및 이를 이용한 3차원 프린터용 필라멘트
JP5346502B2 (ja) 樹脂組成物及びこれを用いたフィルム、積層体
JP2008239857A (ja) 樹脂組成物、その製造方法及びその樹脂成形体
JP5623479B2 (ja) 樹脂組成物及びこれを用いたフィルム、積層体
JP7251250B2 (ja) フィルム成形用樹脂組成物およびその樹脂組成物からなるフィルム
JP2006152162A (ja) ポリ乳酸組成物及びこれを用いた樹脂成形体
KR20180029427A (ko) 생분해성 고분자 발포체 및 그 제조 방법
JP2001031853A (ja) ポリ乳酸系重合体組成物
JP4366848B2 (ja) 架橋型軟質乳酸系ポリマーの製造方法及びその組成物
JP2011084654A (ja) ポリ乳酸系樹脂組成物
JP2008222865A (ja) バイオマス樹脂組成物
JP2007045915A (ja) ポリ乳酸樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20070529

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100126

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20100309

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100430

A02 Decision of refusal

Effective date: 20100525

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02