JP2001320105A - 圧電/電歪デバイス及びその製造方法 - Google Patents

圧電/電歪デバイス及びその製造方法

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JP2001320105A JP2000265902A JP2000265902A JP2001320105A JP 2001320105 A JP2001320105 A JP 2001320105A JP 2000265902 A JP2000265902 A JP 2000265902A JP 2000265902 A JP2000265902 A JP 2000265902A JP 2001320105 A JP2001320105 A JP 2001320105A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】変位特性、応答特性等のデバイス特性を低下さ
せることなく、耐衝撃性、ハンドリング性に優れた圧電
/電歪デバイスを提供すること。 【解決手段】相対向する一対の薄板部16a及び16b
と、可動部20と、これら薄板部16a及び16bと可
動部20を支持する固定部22を具備し、一対の薄板部
16a及び16bのうち、少なくとも1つの薄板部16
a及び16bに圧電/電歪素子24a及び24bが配設
され、一対の薄板部16a及び16bの両内壁と可動部
20の内壁20aと固定部22の内壁22aとにより孔
部12が形成された圧電/電歪デバイス10Aにおい
て、薄板部16a及び16bの振幅を制限する機構10
0を有して構成する。機構100は、可動部20の内壁
20aに形成された凹部102と、固定部22の内壁2
2aに設けられ、先端部104aが前記凹部102内に
入り込んだストッパ部材104とを有して構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧電/電歪素子の
変位動作に基づいて作動する可動部を備えた圧電/電歪
デバイス、もしくは可動部の変位を圧電/電歪素子によ
り検出できる圧電/電歪デバイス及びその製造方法に関
し、詳しくは、強度、耐衝撃性、耐湿性に優れ、効率よ
く可動部を大きく作動させることができる圧電/電歪デ
バイス及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近時、光学や磁気記録、精密加工等の分
野において、サブミクロンオーダーで光路長や位置を調
整可能な変位素子が必要とされており、圧電/電歪材料
(例えば強誘電体等)に電圧を印加したときに惹起され
る逆圧電効果や電歪効果による変位を利用した変位素子
の開発が進められている。
【0003】従来、このような変位素子としては、例え
ば図26に示すように、圧電/電歪材料からなる板状体
200に孔部202を設けることにより、固定部204
と可動部206とこれらを支持する梁部208とを一体
に形成し、更に、梁部208に電極層210を設けた圧
電アクチュエータが開示されている(例えば特開平10
−136665号公報参照)。
【0004】前記圧電アクチュエータにおいては、電極
層210に電圧を印加すると、逆圧電効果や電歪効果に
より、梁部208が固定部204と可動部206とを結
ぶ方向に伸縮するため、可動部206を板状体200の
面内において弧状変位又は回転変位させることが可能で
ある。
【0005】一方、特開昭63−64640号公報に
は、バイモルフを用いたアクチュエータに関して、その
バイモルフの電極を分割して設け、分割された電極を選
択して駆動することにより、高精度な位置決めを高速に
行う技術が開示され、この公報(特に第4図)には、例
えば2枚のバイモルフを対向させて使用する構造が示さ
れている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記圧
電アクチュエータにおいては、圧電/電歪材料の伸縮方
向(即ち、板状体200の面内方向)の変位をそのまま
可動部206に伝達していたため、可動部206の作動
量が小さいという問題があった。
【0007】また、圧電アクチュエータは、すべての部
分を脆弱で比較的重い材料である圧電/電歪材料によっ
て構成しているため、機械的強度が低く、ハンドリング
性、耐衝撃性、耐湿性に劣ることに加え、圧電アクチュ
エータ自体が重く、動作上、有害な振動(例えば、高速
作動時の残留振動やノイズ振動)の影響を受けやすいと
いう問題点があった。
【0008】そこで、例えば梁部の厚みを厚くして剛性
を向上させることにより、強度と共に共振周波数を上げ
るという手法が考えられるが、剛性の向上による影響に
よって著しい変位低下及び応答速度の低下を招くという
問題がある。
【0009】また、特開昭63−64640号公報の第
4図が示すものは、中継部材とバイモルフ並びにヘッド
とバイモルフとの接合形態において、共に歪みを発生す
るいわゆる圧電作動部位がそれぞれの接合部位を跨ぐ構
造、即ち、中継部材とヘッドにわたってバイモルフが連
続的に構成されている。
【0010】その結果、バイモルフを作動させた際、中
継部材とバイモルフとの接合部を支点とした変位動作
と、ヘッドとバイモルフとの接合点を支点とした変位動
作が互いに干渉し合い、変位の発現を阻害し、ヘッドを
外空間に対して大きく変位させるような作用が得られな
い構造であった。
【0011】また、従来のこの種のデバイスにおいて
は、外力に対して弱い構造のものが多く、ハンドリング
がしにくいことや、高共振周波数化を図ることが困難で
あるという問題がある。
【0012】本発明はこのような課題を考慮してなされ
たものであり、変位特性、応答特性等のデバイス特性を
低下させることなく、外力に対する耐衝撃性が大きく、
ハンドリングが容易であると共に、大変位の発生、並び
に高速応答が可能で、機械的強度が高く、有害な振動の
影響を受け難く、耐湿性に優れた変位素子、並びに可動
部の振動を精度よく検出することが可能なセンサ素子を
得ることができる圧電/電歪デバイス及びその製造方法
を提供することを目的とする。
【0013】また、本発明の目的は、製造時の不要な振
動に伴う不良の発生を抑制し、圧電/電歪デバイスの生
産性の向上を図ることができる圧電/電歪デバイス及び
その製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、相対向する一
対の薄板部と、可動部と、これら薄板部と可動部を支持
する固定部とを具備し、前記一対の薄板部のうち、少な
くとも1つの薄板部に1以上の圧電/電歪素子が配設さ
れ、前記一対の薄板部の両内壁と前記可動部の内壁と前
記固定部の内壁とにより孔部が形成された圧電/電歪デ
バイスであって、前記薄板部の振幅を制限する機構を有
することを特徴とする。
【0015】これにより、薄板部並びに可動部に対し
て、大きく振動(振幅)させるような外力等が加わって
も、前記機構により薄板部の振動(振幅)が制限され、
その結果、薄板部の破損等を防止することができる。こ
の場合、薄板部の厚みを厚くする必要がないため、薄板
部上に配設される圧電/電歪素子の材料特性が劣化する
ことがなく、変位特性や応答特性等のデバイス特性を低
下させることがない。
【0016】つまり、本発明においては、変位特性、応
答特性等のデバイス特性を低下させることなく、外力に
対する耐衝撃性が大きく、ハンドリングが容易であると
共に、大変位の発生、並びに高速応答が可能で、機械的
強度が高く、有害な振動の影響を受け難く、耐湿性に優
れた変位素子、並びに可動部の振動を精度よく検出する
ことが可能なセンサ素子を得ることができる。
【0017】また、製造時などにおいて、不要な振動が
加えられても、前記機構により薄板部の振動(振幅)が
制限されることから、前記不要な振動に伴う薄板部の破
損等を有効に防止することができ、圧電/電歪デバイス
の生産性の向上を図ることができる。
【0018】そして、前記機構としては、前記可動部の
内壁に形成された凹部と、前記固定部の内壁に設けら
れ、先端部が前記凹部内に入り込んだストッパ部材とを
有するようにしてもよく、前記固定部の内壁に形成され
た凹部と、前記可動部の内壁に設けられ、先端部が前記
凹部内に入り込んだストッパ部材とを有するようにして
もよい。この場合、ストッパ部材の先端部が凹部に当た
ることによって、薄板部の振動(振幅)が制限されるこ
とになる。また、ストッパ部材の長さと厚みを適宜調整
することで、弾力性をもたせることができ、ストッパ部
材が凹部に当たる際の衝撃を吸収することができる。
【0019】なお、前記ストッパ部材の先端部から前記
可動部の変位方向に沿った前記凹部内壁までの最短距離
は、前記薄板部の振幅の許容限界以下であることが好ま
しい。この場合、薄板部の振動(振幅)がその許容限界
以下となるため、薄板部の破損等を有効に防止すること
ができる。
【0020】また、前記機構としては、前記固定部の内
壁に設けられた2本の緩衝部材と、前記可動部の内壁に
設けられ、先端部が前記2本の緩衝部材間に入り込んだ
ストッパ部材とを有するようにしてもよく、前記可動部
の内壁に設けられた2本の緩衝部材と、前記固定部の内
壁に設けられ、先端部が前記2本の緩衝部材間に入り込
んだストッパ部材とを有するようにしてもよい。
【0021】この場合、ストッパ部材の先端部が緩衝部
材に当たることによって、薄板部の振動(振幅)が制限
されることになる。特に、緩衝部材の高さと厚みによる
アスペクト比を適宜調整することで、弾力性を持たせる
ことができ、ストッパ部材が緩衝部材に当たることによ
る衝撃を吸収することができる。
【0022】また、前記機構は、前記固定部の内壁から
孔部内に向かって形成された張出し部を設けて構成し、
前記張出し部から前記薄板部までの最短距離が該薄板部
の振幅の許容限界以下となるようにしてもよい。この場
合、薄板部の振動(振幅)がその許容限界以下となるた
め、薄板部の破損等を有効に防止することができる。特
に、この構成の場合においては、薄板部に直接(集中し
た)外力が加わったときにも、薄板部を破損に導く振動
(振幅)が効果的に制限されるため、薄板部の破損防止
に有効となる。
【0023】前記可動部、固定部、薄板部及び前記機構
は、セラミックスもしくは金属を用いて構成されていて
もよく、また、各部をセラミック材料同士で構成するこ
ともできるし、あるいは金属材料同士で構成することも
できる。更には、セラミックスと金属の材料とから製造
されたものを組み合わせたハイブリッド構造として構成
することもできる。
【0024】更に、前記薄板部、前記可動部、前記固定
部及び前記機構は、セラミックグリーン積層体を同時焼
成することによって一体化し、更に不要な部分を切除し
てなるセラミック基体で構成するようにしてもよい。ま
た、前記圧電/電歪素子を膜状とし、焼成によって前記
セラミック基体に一体化するようにしてもよい。
【0025】この場合、前記圧電/電歪素子は、圧電/
電歪層と、該圧電/電歪層に形成された一対の電極とを
有して構成することができる。また、前記圧電/電歪素
子は、圧電/電歪層と、該圧電/電歪層の両側に形成さ
れた一対の電極とを有し、該一対の電極のうち、一方の
電極を少なくとも前記薄板部に形成するようにしてもよ
い。この場合、圧電/電歪素子による振動を薄板部を通
じて効率よく可動部又は固定部に伝達することができ、
応答性の向上を図ることができる。特に、前記圧電/電
歪素子は、前記圧電/電歪層と前記一対の電極が複数の
積層形態で構成されていることが好ましい。
【0026】次に、本発明は、相対向する一対の薄板部
と、可動部と、これら薄板部と可動部を支持する固定部
とを具備し、前記一対の薄板部のうち、少なくとも1つ
の薄板部に1以上の圧電/電歪素子が配設され、前記一
対の薄板部の両内壁と前記可動部の内壁と前記固定部の
内壁とにより孔部が形成された圧電/電歪デバイスの製
造方法であって、少なくとも前記薄板上に前記圧電/電
歪素子を作製した後に、所定部位を切除して、前記薄板
部の振幅を制限する機構が設けられた圧電/電歪デバイ
スを作製することを特徴とする。
【0027】ここでいう圧電/電歪素子を作製した後と
は、少なくとも圧電/電歪層が薄板部に形成された状態
を示し、圧電/電歪層の形成後に形成される電極に対し
ては、所定部位の切除を行った後に形成するようにして
もかまわない。
【0028】また、本発明は、相対向する一対の薄板部
と、可動部と、これら薄板部と可動部を支持する固定部
とを具備し、前記一対の薄板部のうち、少なくとも1つ
の薄板部に1以上の圧電/電歪素子が配設され、前記一
対の薄板部の両内壁と前記可動部の内壁と前記固定部の
内壁とにより孔部が形成された圧電/電歪デバイスの製
造方法であって、少なくとも後に少なくとも前記孔部を
形成するための窓部を有するセラミックグリーンシート
と、後に前記薄板部の振幅を制限する機構を形成するた
めのセラミックグリーンシートと、後に前記薄板部とな
るセラミックグリーンシートとを含むセラミックグリー
ン積層体を一体焼成して、セラミック積層体を作製する
セラミック積層体作製工程と、前記セラミック積層体の
うち、前記薄板部となる部分の外表面に前記圧電/電歪
素子を形成する工程と、前記圧電/電歪素子が形成され
たセラミック積層体に対する少なくとも1回の切除処理
によって、前記薄板部の振幅を制限する機構が設けられ
た圧電/電歪デバイスを作製する切除工程とを含むこと
を特徴とする。
【0029】これらの製造方法により、変位特性、応答
特性等のデバイス特性を低下させることなく、外力に対
する耐衝撃性が大きく、ハンドリングが容易であると共
に、大変位の発生、並びに高速応答が可能で、機械的強
度が高く、有害な振動の影響を受け難く、耐湿性に優れ
た変位素子、並びに可動部の振動を精度よく検出するこ
とが可能なセンサ素子を容易に得ることができる。
【0030】また、これらの製造方法においては、前記
切除工程において、前記セラミック積層体に対する切除
処理によって前記孔部を露出させることを併せて行うよ
うにしてもよい。この場合、互いに対向する端面を有す
る前記可動部又は固定部の形成と孔部の形成を同時に行
うようにしてもよく、その順番は問わない。
【0031】また、前記切除処理を例えば機械加工で行
った場合などにおいて、不要な振動が加わることになる
が、前記機構の存在により、薄板部の振動(振幅)が制
限されることから、前記不要な振動に伴う製造時におけ
る薄板部の破損等を有効に防止することができ、圧電/
電歪デバイスの生産性の向上を図ることができる。
【0032】従って、本発明に係る圧電/電歪デバイス
及びその製造方法によれば、各種トランスデューサ、各
種アクチュエータ、周波数領域機能部品(フィルタ)、
トランス、通信用や動力用の振動子や共振子、発振子、
ディスクリミネータ等の能動素子のほか、超音波センサ
や加速度センサ、角速度センサや衝撃センサ、質量セン
サ等の各種センサ用のセンサ素子として利用することが
でき、特に、光学機器、精密機器等の各種精密部品等の
変位や位置決め調整、角度調整の機構に用いられる各種
アクチュエータに好適に利用することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る圧電/電歪デ
バイス及びその製造方法の実施の形態例を図1〜図25
を参照しながら説明する。
【0034】ここで、圧電/電歪デバイスは、圧電/電
歪素子により電気的エネルギと機械的エネルギとを相互
に変換する素子を包含する概念である。従って、各種ア
クチュエータや振動子等の能動素子、特に、逆圧電効果
や電歪効果による変位を利用した変位素子として最も好
適に用いられるほか、加速度センサ素子や衝撃センサ素
子等の受動素子としても好適に使用され得る。
【0035】なお、本発明における圧電/電歪とは、圧
電及び/又は電歪を意味し、例えば圧電/電歪デバイス
並びに圧電/電歪素子は、それぞれ圧電及び/又は電歪
デバイス並びに圧電及び/又は電歪素子を意味する。
【0036】まず、第1の実施の形態に係る圧電/電歪
デバイス10Aは、図1に示すように、全体として長尺
の直方体の形状を呈し、その長軸方向のほぼ中央部分に
孔部12が設けられた基体14を有する。
【0037】基体14は、相対向する一対の薄板部16
a及び16bと、可動部20と、前記一対の薄板部16
a及び16b並びに可動部20を支持する固定部22と
を具備し、少なくとも薄板部16a及び16bの各一部
にそれぞれ圧電/電歪素子24a及び24bが形成され
ている。ここで、薄板部16a及び16bのうち、それ
ぞれ圧電/電歪素子24a及び24bが形成される面
を、薄板部16a及び16bの側面と定義する。
【0038】この基体14については、全体をセラミッ
クスもしくは金属を用いて構成されたもののほか、セラ
ミックスと金属の材料で製造されたものを組み合わせた
ハイブリッド構造としてもよい。
【0039】また、基体14は、各部を有機樹脂、ガラ
ス等の接着剤で接着してなる構造、セラミックグリーン
積層体を焼成により一体化してなるセラミック一体構
造、ロウ付け、半田付け、共晶接合もしくは溶接等で一
体化した金属一体構造等の構成を採用することができる
が、一体構造が信頼性の点で望ましく、中でも最も好ま
しくはセラミックグリーン積層体を焼成により一体化し
たセラミック積層体で基体14を構成することが望まし
い。
【0040】このようなセラミックスの一体化物は、各
部の接合部に接着剤が介在しないことから、経時的な状
態変化がほとんど生じないため、接合部位の信頼性が高
く、かつ、剛性確保に有利な構造であることに加え、後
述するセラミックグリーンシート積層法により、容易に
製造することが可能である。
【0041】そして、圧電/電歪素子24a及び24b
は、後述のとおり別体として圧電/電歪素子24a及び
24bを準備して、基体14に有機樹脂、ガラス等の接
着剤や、ロウ付け、半田付け、共晶接合等で貼り付けら
れるほか、膜形成法を用いることにより、前記貼り付け
ではなく直接基体14に形成されることとなる。
【0042】また、この圧電/電歪デバイス10Aは、
一対の薄板部16a及び16bの両内壁と可動部20の
内壁20aと固定部22の内壁22aにより例えば矩形
状の前記孔部12が形成され、前記圧電/電歪素子24
a及び/又は24bの駆動によって可動部20が変位
し、あるいは可動部20の変位を圧電/電歪素子24a
及び/又は24bにより検出する構成を有する。
【0043】圧電/電歪素子24a及び24bは、圧電
/電歪層26と、該圧電/電歪層26の両側に形成され
た一対の電極28及び30とを有して構成され、該一対
の電極28及び30のうち、一方の電極28が少なくと
も一対の薄板部16a及び16bに形成されている。
【0044】図1の例では、圧電/電歪素子24a及び
24bを構成する一方の電極28及び圧電/電歪層26
の各先端部を可動部20の側面まで延ばし、他方の電極
30の先端部を薄板部16a及び16bの長さ方向(Z
軸方向)のほぼ中央に位置させるようにしている。そし
て、この圧電/電歪素子24a及び24bの実質的駆動
部分18(一対の電極28及び30が圧電/電歪層26
を間に挟んで重なる部分)が固定部22の側面の一部か
ら薄板部16a及び16bの側面の一部にかけて連続的
に形成されている構成をとることで、可動部20の変位
量を効率的に大きくすることが可能となる。
【0045】そして、上述の第1の実施の形態に係る圧
電/電歪デバイス10Aにおいては、図1に示すよう
に、前記薄板部16a及び16bや可動部20の振幅を
制限する機構100を有して構成されている。この機構
100は、第1の実施の形態では、可動部20の内壁2
0aに形成された凹部102と、固定部22の内壁22
aに設けられ、先端部104aが前記凹部102内に入
り込んだ板状のストッパ部材104とを有して構成され
ている。
【0046】この場合、例えば図13に示すように、ス
トッパ部材104の先端部104aから可動部20の変
位方向に沿った前記凹部102の内壁(側壁)102a
までの最短距離Lcが、可動部20や薄板部16a及び
16bの振幅の許容限界以下であることが好ましい。こ
れにより、可動部20や薄板部16a及び16bの振動
(振幅)がその許容限界以下となるため、薄板部16a
及び16bの破損等を有効に防止することができる。ま
た、更に、前記ストッパ部材104の先端部104aか
ら前記ストッパ部材104の伸びる方向に沿った前記凹
部102の内壁102aまでの最短距離も、前記許容限
界に応じ、所定の寸法とすれば、Z軸方向からの外力に
対しても、薄板部16a及び16bの破損等を有効に防
止することができる。
【0047】なお、一対の電極28及び30への電圧の
印加は、各電極28及び30のうち、それぞれ固定部2
2の両側面(素子形成面)上に形成された端子(パッ
ド)32及び34を通じて行われるようになっている。
各端子32及び34の位置は、一方の電極28に対応す
る端子32が固定部22の後端寄りに形成され、外部空
間側の他方の電極30に対応する端子34が固定部22
の内壁22a寄りに形成されている。
【0048】この場合、圧電/電歪デバイス10Aの固
定を、端子32及び34が配置された面とは別の面を利
用してそれぞれ別個に行うことができ、結果として、圧
電/電歪デバイス10Aの固定と、回路と端子32及び
34間の電気的接続の双方に高い信頼性を得ることがで
きる。この構成においては、フレキシブルプリント回路
(FPCとも称される)、フレキシブルフラットケーブ
ル(FFCとも称される)、ワイヤボンディング等によ
って端子32及び34と回路との電気的接続が行われ
る。
【0049】圧電/電歪素子24a及び24bの構成と
しては、図1に示す構成のほか、図2に示す第1の変形
例に係る圧電/電歪デバイス10Aaのように、一対の
電極28及び30並びに圧電/電歪層26の各先端面を
ほぼ揃えるようにし、圧電/電歪素子24a及び24b
の実質的駆動部分18(一対の電極28及び30が圧電
/電歪層26を間に挟んで重なる部分)を固定部22の
側面の一部から可動部20の側面の一部にかけて連続的
に形成するようにしてもよい。
【0050】また、図3に示す第2の変形例に係る圧電
/電歪デバイス10Abのように、一対の電極28及び
30並びに圧電/電歪層26の各先端面をほぼ揃えるよ
うにし、圧電/電歪素子24a及び24bの実質的駆動
部分18を固定部22の外表面の一部から薄板部16a
及び16bの側面の一部にかけて連続的に形成するよう
にしてもよいし、図4に示す第3の変形例に係る圧電/
電歪デバイス10Acのように、圧電/電歪素子24a
及び24bを構成する一対の電極28及び30の各先端
部を揃え、圧電/電歪層26の先端部のみを可動部20
側に突出させるようにしてもよい。これら図3、図4に
従うような圧電/電歪素子24a及び24bの配置を有
する構造の場合、図1の例と同様に、可動部20を固定
部22に対してほぼ平行に、かつ、大きく変位させるこ
とができる。
【0051】特に、上述の第3の変形例に係る圧電/電
歪デバイス10Acでは、図4に示すように、可動部2
0に互いに対向する端面36a及び36bを形成した例
を示す。
【0052】この場合、製造時に圧電/電歪素子24a
及び24b及び/又は薄板部16a及び16bに生じて
いた内部残留応力を前記端面36a及び36bの移動に
よって解放することができるため、可動部20の変位動
作が前記内部残留応力によって阻害されることがなくな
り、ほぼ設計通りの可動部20の変位動作を得ることが
できる。加えて、この応力の解放によって、圧電/電歪
デバイス10Acの機械強度の向上も図ることができ
る。
【0053】これら端面36a及び36bの間には、図
4に示すように、空隙(空気)38を介在させるように
してもよいし、前記可動部20の構成部材とは異なる部
材、例えば樹脂等からなる部材を介在させるようにして
もよい。上述の例では、互いに対向する端面36a及び
36bを可動部20に設けた例を示したが、その他、図
5に示す第4の変形例に係る圧電/電歪デバイス10A
dのように、前記端面36a及び36bを固定部22に
設けるようにしてもよい。また、この図5に従う圧電/
電歪素子24a及び24bの配置も可動部20を固定部
22に対してほぼ平行に、かつ、大きく変位させること
ができる。
【0054】上述の例では、圧電/電歪素子24a及び
24bを、1層構造の圧電/電歪層26と一対の電極2
8及び30で構成するようにしたが、その他、圧電/電
歪素子24a及び24bを、圧電/電歪層26と一対の
電極28及び30の複数を積層形態にして構成すること
も好ましい。
【0055】例えば図6に示す第5の変形例に係る圧電
/電歪デバイス10Aeのように、圧電/電歪層26並
びに一対の電極28及び30をそれぞれ多層構造とし、
一方の電極28と他方の電極30をそれぞれ交互に積層
して、これら一対の電極28と他方の電極30が圧電/
電歪層26を間に挟んで重なる部分(実質的駆動部分1
8)が多段構成とされた圧電/電歪素子24a及び24
bとしてもよい。この図6では、圧電/電歪層26を3
層構造とし、1層目の下面(薄板部16a及び16bの
側面)と2層目の上面に一方の電極28をそれぞれ分離
して形成し、1層目の上面と3層目の上面に他方の電極
30をそれぞれ分離して形成し、更に、一方の電極28
の各端部にそれぞれ端子32a及び32bを設け、他方
の電極30の各端部にそれぞれ端子34a及び34bを
設けた例を示している。
【0056】また、図7に示す第6の変形例に係る圧電
/電歪デバイス10Afのように、圧電/電歪層26並
びに一対の電極28及び30をそれぞれ多層構造とし、
一方の電極28と他方の電極30を断面ほぼ櫛歯状とな
るようにそれぞれ互い違いに積層し、これら一対の電極
28と他方の電極30が圧電/電歪層26を間に挟んで
重なる部分(実質的駆動部分18)が多段構成とされた
圧電/電歪素子24a及び24bとしてもよい。この図
7では、圧電/電歪層26を3層構造とし、一方の電極
28が1層目の下面(薄板部16a及び16bの側面)
と2層目の上面に位置するように櫛歯状に形成し、他方
の電極30が1層目の上面と3層目の上面に位置するよ
うに櫛歯状に形成した例を示している。この構成の場
合、一方の電極28同士並びに他方の電極30同士をそ
れぞれつなぎ共通化することで、図6の構成と比べて端
子32及び34の数を減らすことができるため、圧電/
電歪素子24a及び24bの多層化に伴うサイズの大型
化を抑えることができる。
【0057】なお、図6においては、一方の電極28同
士、他方の電極30同士に対して同じ電位の信号を印加
する使用法のほか、すべての電極28及び30にそれぞ
れ独立した信号を印加して使用することも可能である。
後者のような使用法を採用すれば、各圧電/電歪層26
ごとに異なる歪みを発生させることができ、より精密な
変位制御を行わせることが可能である。
【0058】また、図8に示す第7の変形例に係る圧電
/電歪デバイス10Agのように、圧電/電歪素子24
a及び24bを、その先端部が薄板部16a及び16b
上にとどまるように形成するようにしてもよい。図8の
例では、圧電/電歪素子24a及び24bの先端部を薄
板部16a及び16bの長さ方向ほぼ中央部に位置され
た例を示す。この場合、可動部20を固定部22に対し
てほぼ平行に大きく変位させることができるという利点
がある。
【0059】また、図9に示す第8の変形例に係る圧電
/電歪デバイス10Ahのように、2つの多段構成の圧
電/電歪素子24a1及び24b1をそれぞれ固定部2
2と薄板部16a及び16bとを跨るように形成し、他
の2つの多段構成の圧電/電歪素子24a2及び24b
2をそれぞれ可動部20と薄板部16a及び16bとを
跨るように形成するようにしてもよい。この場合、圧電
/電歪素子24a及び24bを多段構成にする効果と、
可動部20を変位させるための作用点が増えるという効
果により、可動部20をきわめて大きく変位させること
ができ、また、高速応答性にも優れたものになり、好ま
しい。
【0060】また、図10に示す第9の変形例に係る圧
電/電歪デバイス10Aiのように、圧電/電歪層26
を2層構成とし、一方の電極28が1層目の下面(薄板
部16a及び16bの側面)と2層目の上面に位置する
ように櫛歯状に形成し、他方の電極30が1層目の上面
に位置するように形成した多段構成の圧電/電歪素子2
4a及び24bとしてもよい。
【0061】このような圧電/電歪素子24a及び24
bを多段構成とすることにより、圧電/電歪素子24a
及び24bの発生力が増大し、もって大変位が図られる
と共に、圧電/電歪デバイス10Ai自体の剛性が増す
ことで、高共振周波数化が図られ、変位動作の高速化が
容易に達成できる。
【0062】ここで、周波数とは、一対の電極28及び
30に印加する電圧を交番的に切り換えて、可動部20
を左右に変位させたときの電圧波形の周波数を示し、共
振周波数とは、可動部20の変位動作が所定の振動モー
ドで追従できる最大の周波数を示す。
【0063】なお、段数を多くすれば、駆動力の増大は
図られるが、それに伴い消費電力も増えるため、実際に
実施する場合には、用途、使用状態に応じて適宜段数等
を決めればよい。また、第5〜第9の変形例に係る圧電
/電歪デバイス10Ae〜10Aiでは、圧電/電歪素
子24a及び24bを多段構成にして駆動力を上げて
も、基本的に薄板部16a及び16bの幅(Y軸方向の
距離)は不変であるため、例えば非常に狭い間隙におい
て使用されるハードディスク用磁気ヘッドの位置決め、
リンギング制御等のアクチュエータに適用する上で非常
に好ましいデバイスとなる。
【0064】上述の圧電/電歪素子24a及び24bに
おいては、一対の電極28及び30間に圧電/電歪層2
6を介在させたいわゆるサンドイッチ構造で構成した場
合を示したが、その他、図11に示すように、少なくと
も薄板部16a及び16bの側面に形成された圧電/電
歪層26の一主面に櫛型の一対の電極28及び30を形
成するようにしてもよいし、図12に示すように、少な
くとも薄板部16a及び16bの側面に形成された圧電
/電歪層26に櫛型の一対の電極28及び30を埋め込
んで形成するようにしてもよい。
【0065】図11に示す構造の場合は、消費電力を低
く抑えることができるという利点があり、図12に示す
構造の場合は、歪み、発生力の大きな電界方向の逆圧電
効果や電歪効果を効果的に利用できる構造であることか
ら、大変位の発生に有利になる。
【0066】具体的には、図11に示す圧電/電歪素子
24a及び24bは、圧電/電歪層26の一主面に櫛型
構造の一対の電極28及び30が形成されてなり、一方
の電極28及び他方の電極30が互い違いに一定の幅の
間隙29をもって相互に対向する構造を有する。図11
では、一対の電極28及び30を圧電/電歪層26の一
主面に形成した例を示したが、その他、薄板部16a及
び16bと圧電/電歪層26との間に一対の電極28及
び30を形成するようにしてもよいし、圧電/電歪層2
6の一主面並びに薄板部16a及び16bと圧電/電歪
層26との間にそれぞれ櫛型の一対の電極28及び30
を形成するようにしてもよい。
【0067】一方、図12に示す圧電/電歪素子24a
及び24bは、圧電/電歪層26に埋め込まれるよう
に、櫛型構造の一対の電極28及び30が形成され、一
方の電極28及び他方の電極30が互い違いに一定の幅
の間隙29をもって相互に対向する構造を有する。
【0068】図11及び図12に示すような圧電/電歪
素子24a及び24bも第1の実施の形態に係る圧電/
電歪デバイス10A等に好適に用いることができる。図
11及び図12に示す圧電/電歪素子24a及び24b
のように、櫛型の一対の電極28及び30を用いる場合
は、各電極28及び30の櫛歯のピッチDを小さくする
ことで、圧電/電歪素子24a及び24bの変位を大き
くすることが可能である。
【0069】ここで、第1の実施の形態に係る圧電/電
歪デバイス10Aの動作について説明する。まず、例え
ば2つの圧電/電歪素子24a及び24bが自然状態、
即ち、圧電/電歪素子24a及び24bが共に変位動作
を行っていない場合は、図13に示すように、圧電/電
歪デバイス10Aの長軸(固定部の長軸)mと可動部2
0の中心軸nとがほぼ一致している。
【0070】この状態から、例えば図14Aの波形図に
示すように、一方の圧電/電歪素子24aにおける一対
の電極28及び30に所定のバイアス電位Vbを有する
サイン波Waをかけ、図14Bに示すように、他方の圧
電/電歪素子24bにおける一対の電極28及び30に
前記サイン波Waとはほぼ180°位相の異なるサイン
波Wbをかける。
【0071】そして、一方の圧電/電歪素子24aにお
ける一対の電極28及び30に対して例えば最大値の電
圧が印加された段階においては、一方の圧電/電歪素子
24aにおける圧電/電歪層26はその主面方向に収縮
変位する。これにより、例えば図15に示すように、一
方の薄板部16aに対し、矢印Aで示すように、該薄板
部16aを例えば右方向に撓ませる方向の応力が発生す
ることから、該一方の薄板部16aは右方向に撓み、こ
のとき、他方の圧電/電歪素子24bにおける一対の電
極28及び30には、電圧は印加されていない状態とな
るため、他方の薄板部16bは一方の薄板部16aの撓
みに追従して右方向に撓む。
【0072】その結果、可動部20は、圧電/電歪デバ
イス10Aの長軸mに対して例えば右方向に変位する。
なお、変位量は、各圧電/電歪素子24a及び24bに
印加される電圧の最大値に応じて変化し、例えば最大値
が大きくなるほど変位量も大きくなる。
【0073】そして、この実施の形態では、可動部20
の変位の際に、可動部20の内壁20aに設けられた凹
部102の側壁102aにストッパ部材104の先端部
104aが当たり、可動部20の変位を抑制するかたち
となる。そのため、可動部20を大きく振動(振幅)さ
せるような外力等が加わっても、前記機構100の作用
(ストッパ部材104の先端部104aが凹部102の
側壁102aに当たること)により、可動部20の振動
(振幅)が制限され、その結果、薄板部16a及び16
bの破損等を防止することができる。この場合、薄板部
16a及び16bの厚みを厚くして破損等を防止する必
要がないため、薄板部16a及び16b上に形成される
圧電/電歪素子24a及び24bの材料特性が劣化する
ことがなく、変位特性や応答特性等のデバイス特性を低
下させることがない。
【0074】特に、圧電/電歪層26の構成材料とし
て、抗電界を有する圧電/電歪材料を適用した場合に
は、図14A及び図14Bの二点鎖線の波形に示すよう
に、最小値のレベルが僅かに負のレベルとなるように、
前記バイアス電位Vbを調整するようにしてもよい。こ
の場合、該負のレベルが印加されている圧電/電歪素子
(例えば他方の圧電/電歪素子24b)の駆動によっ
て、例えば他方の薄板部16bに一方の薄板部16aの
撓み方向と同じ方向の応力が発生し、可動部20の変位
量をより大きくすることが可能となる。つまり、図14
A及び図14Bにおける二点鎖線に示すような波形を使
用することで、負のレベルが印加されている圧電/電歪
素子24b又は24aが、変位動作の主体となっている
圧電/電歪素子24a又は24bをサポートするという
機能を持たせることができる。
【0075】なお、図9に示す第8の変形例に係る圧電
/電歪デバイス10Ahの例では、対角線上に配置され
た例えば圧電/電歪素子24a1と圧電/電歪素子24
b2に、図14Aに示す電圧(サイン波Wa参照)が印
加され、他の圧電/電歪素子24a2と圧電/電歪素子
24b1に、図14Bに示す電圧(サイン波Wb参照)
が印加される。
【0076】このように、第1の実施の形態に係る圧電
/電歪デバイス10A並びに各種変形例10Aa〜10
Aiにおいては、圧電/電歪素子24a及び24bの微
小な変位が薄板部16a及び16bの撓みを利用して大
きな変位動作に増幅されて、可動部20に伝達されるこ
とになるため、可動部20は、圧電/電歪デバイス10
の長軸mに対して大きく変位させることが可能となる。
【0077】特に、可動部20や薄板部16a及び16
bの振幅を制限する機構100を有するようにしたの
で、可動部20や薄板部16a及び16bに対して、該
可動部20や薄板部16a及び16bを大きく振動(振
幅)させるような外力等が加わっても、前記機構100
により可動部20や薄板部16a及び16bの振動(振
幅)が制限され、その結果、薄板部の破損等を防止する
ことができる。この場合、薄板部16a及び16bの厚
みを厚くする必要がないため、薄板部16a及び16b
に形成される圧電/電歪素子24a及び24bの材料特
性が劣化することがなく、変位特性や応答特性等のデバ
イス特性を低下させることがない。
【0078】つまり、この第1の実施の形態において
は、変位特性、応答特性等のデバイス特性を損なうこと
なく、高速応答が可能となる。
【0079】また、第1の実施の形態に係る圧電/電歪
デバイス10A等においては、可動部20、薄板部16
a及び16b並びに固定部22が一体化されており、す
べての部分を脆弱で比較的重い材料である圧電/電歪材
料によって構成する必要がないため、機械的強度が高
く、ハンドリング性、耐衝撃性、耐湿性に優れ、動作
上、有害な振動(例えば、高速作動時の残留振動やノイ
ズ振動)の影響を受け難いという利点を有する。
【0080】また、この第1の実施の形態に係る圧電/
電歪デバイス10A等においては、圧電/電歪素子24
a及び24bを、圧電/電歪層26と、該圧電/電歪層
26の両側に形成された一対の電極28及び30とを有
して構成し、一対の電極28及び30のうち、一方の電
極28を少なくとも薄板部16a及び16bの外表面に
形成するようにしたので、圧電/電歪素子24a及び2
4bによる振動を薄板部16a及び16bを通じて効率
よく可動部20に伝達することができ、応答性の向上を
図ることができる。
【0081】特に、第1の実施の形態に係る圧電/電歪
デバイス10A、第2〜第7の変形例に係る圧電/電歪
デバイス10Ab〜10Ag並びに第9の変形例に係る
圧電/電歪デバイス10Aiにおいては、一対の電極2
8及び30が圧電/電歪層26を間に挟んで重なる部分
(実質的駆動部分18)を固定部22の一部から薄板部
16a及び16bの一部にかけて連続的に形成するよう
にしている。
【0082】実質的駆動部分18を更に可動部20の一
部にかけて形成した場合、可動部20の変位動作が前記
実質的駆動部分18によって制限され、大きな変位を得
ることができなくなるおそれがあるが、これらの実施の
形態や変形例では、前記実質的駆動部分18を可動部2
0と固定部22の両方にかけないように形成しているた
め、可動部20の変位動作が制限されるという不都合が
回避され、可動部20の変位量を大きくすることができ
る。
【0083】また、その中でも、第2、第3、第4及び
第7の圧電/電歪デバイス10Ab、10Ac、10A
d及び10Ag等に示されるような構成を採用すること
で、可動部20を固定部22に対してほぼ平行に変位さ
せることが可能となるため、外力に対する耐衝撃性が増
し、薄板部16a及び16bの破損が抑えられることと
合わせ、好ましい構造である。
【0084】逆に、可動部20の一部に圧電/電歪素子
24a及び24bを形成する場合は、前記実質的駆動部
分18が可動部20の一部から薄板部16a及び16b
の一部にかけて位置させるように形成することが好まし
い。これは、実質的駆動部分18が固定部22の一部に
までわたって形成されると、上述したように、可動部2
0の変位動作が制限されるからである。
【0085】この場合も、前記実質的駆動部分18の位
置関係に加え、一方の電極28、他方の電極30及び圧
電/電歪層26のすべてが可動部20の一部から薄板部
16a及び16bの一部にかけて位置されるように形成
した構造とすれば、可動部20を固定部22に対してほ
ぼ平行に変位させることが可能となるため、外力に対す
る耐衝撃性が増し、薄板部16a及び16bの破損が抑
えられることと合わせ、好ましい構造である。
【0086】次に、第1の実施の形態に係る圧電/電歪
デバイス10Aの好ましい構成例について説明する。
【0087】まず、可動部20の変位動作を確実なもの
とするために、圧電/電歪素子24a及び24bの実質
的駆動部分18が固定部22もしくは可動部20にかか
る距離Lgを薄板部16a及び16bの厚みLdの1/
2以上とすることが好ましい。
【0088】そして、薄板部16a及び16bの内壁間
の距離(X軸方向の距離)Laと薄板部16a及び16
bの幅Lbとの比La/Lbが0.5〜20となるよう
に構成する。前記比La/Lbは、好ましくは1〜10
とされ、更に好ましくは2〜8とされる。この比La/
Lbの規定値は、可動部20の変位量を大きくし、X−
Z平面内での変位を支配的に得られることの発見に基づ
く規定である。
【0089】一方、薄板部16a及び16bの長さ(Z
軸方向の距離)Leと薄板部16a及び16bの内壁間
の距離Laとの比Le/Laにおいては、好ましくは
0.5〜10とされ、更に好ましくは0.7〜5とする
ことが望ましい。この比Le/Laの規定値は、可動部
20の変位量を大きくでき、かつ、高い共振周波数で変
位動作を行うことができる(高い応答速度を達成でき
る)という発見に基づく規定である。
【0090】従って、第1の実施の形態に係る圧電/電
歪デバイス10AをY軸方向への煽り変位、あるいは振
動を抑制し、かつ、高速応答性に優れ、相対的に低電圧
で大きな変位を併せ持つ構造とするには、比La/Lb
を0.5〜20とし、かつ、比Le/Laを0.5〜1
0にすることが好ましく、更に好ましくは比La/Lb
を1〜10とし、かつ、比Le/Laを0.7〜5にす
るとよい。更に、孔部12にゲル状の材料、例えばシリ
コーンゲルを充填することが好ましい。
【0091】また、可動部20の長さ(Z軸方向の距
離)Lfは、短いことが好ましい。短くすることで軽量
化と共振周波数の増大が図られるからである。しかしな
がら、可動部20のX軸方向の剛性を確保し、その変位
を確実なものとするためには、可動部20の長さ(Z軸
方向の距離)Lfと薄板部16a及び16bの厚みLd
との比Lf/Ldを3以上、好ましくは5以上とするこ
とが望ましい。
【0092】なお、各部の実寸法は、可動部20への部
品の取り付けのための接合面積、固定部22を他の部材
に取り付けるための接合面積、電極用端子などの取り付
けのための接合面積、圧電/電歪デバイス10A全体の
強度、耐久度、必要な変位量並びに共振周波数、そし
て、駆動電圧等を考慮して定められることになる。
【0093】具体的には、例えば薄板部16a及び16
bの内壁間の距離Laは、100μm〜2000μmが
好ましく、更に好ましくは200μm〜1000μmで
ある。薄板部16a及び16bの幅Lbは、50μm〜
2000μmが好ましく、更に好ましくは100μm〜
500μmである。薄板部16a及び16bの厚みLd
は、Y軸方向への変位成分である煽り変位が効果的に抑
制されるように、薄板部16a及び16bの幅Lbとの
関係においてLb>Ldとされ、かつ、2μm〜100
μmが好ましく、更に好ましくは4μm〜50μmであ
る。
【0094】薄板部16a及び16bの長さLeは、2
00μm〜3000μmが好ましく、更に好ましくは3
00μm〜2000μmである。可動部20の長さLf
は、50μm〜2000μmが好ましく、更に好ましく
は100μm〜1000μmである。
【0095】このような構成にすることにより、X軸方
向の変位に対してY軸方向の変位が10%を超えない
が、上述の寸法比率と実寸法の範囲で適宜調整を行うこ
とで低電圧駆動が可能で、Y軸方向への変位成分を5%
以下に抑制できるというきわめて優れた効果を示す。つ
まり、可動部20は、実質的にX軸方向という1軸方向
に変位することになり、しかも、高速応答性に優れ、相
対的に低電圧で大きな変位を得ることができる。
【0096】また、この圧電/電歪デバイス10Aにお
いては、デバイスの形状が従来のような板状ではなく、
可動部20と固定部22が直方体の形状を呈しており、
可動部20と固定部22の側面が連続するように一対の
薄板部16a及び16bが設けられているため、圧電/
電歪デバイス10AのY軸方向の剛性を選択的に高くす
ることができる。
【0097】即ち、この圧電/電歪デバイス10Aで
は、平面内(XZ平面内)における可動部20の動作の
みを選択的に発生させることができ、可動部20のYZ
面内の動作(いわゆる煽り方向の動作)を抑制すること
ができる。
【0098】次に、第1の実施の形態に係る圧電/電歪
デバイス10Aの各構成要素について説明する。
【0099】可動部20は、上述したように、薄板部1
6a及び16bの駆動量に基づいて作動する部分であ
り、圧電/電歪デバイス10Aの使用目的に応じて種々
の部材が取り付けられる。例えば、圧電/電歪デバイス
10Aを変位素子として使用する場合であれば、光シャ
ッタの遮蔽板等が取り付けられ、特に、ハードディスク
ドライブの磁気ヘッドの位置決めやリンギング抑制機構
に使用するのであれば、磁気ヘッド、磁気ヘッドを有す
るスライダ、スライダを有するサスペンション等の位置
決めを必要とする部材が取り付けられる。
【0100】固定部22は、上述したように、薄板部1
6a及び16b並びに可動部20を支持する部分である
と共に、圧電/電歪デバイス10Aを他の部材に取り付
け固定する部分でもあり、固定部22を例えば前記ハー
ドディスクドライブの磁気ヘッドの位置決めに利用する
場合には、VCM(ボイスコイルモータ)に取り付けら
れたキャリッジアーム、該キャリッジアームに取り付け
られた固定プレート又はサスペンション等に支持固定す
ることにより、圧電/電歪デバイス10Aの全体が固定
される。また、この固定部22には、図1に示すよう
に、圧電/電歪素子24a及び24bを駆動するための
端子32及び34その他の部材が配置される場合もあ
る。
【0101】可動部20及び固定部22を構成する材料
としては、剛性を有するものであれば、特に限定されな
いが、後述するセラミックグリーンシート積層法を適用
したセラミックスを好適に用いることができる。具体的
には、安定化ジルコニア、部分安定化ジルコニアをはじ
めとするジルコニア、アルミナ、マグネシア、窒化珪
素、窒化アルミニウム、酸化チタンを主成分とする材料
等が挙げられるほか、これらの混合物を主成分とした材
料が挙げられるが、機械的強度や靱性が高い点におい
て、ジルコニア、特に安定化ジルコニアを主成分とする
材料と部分安定化ジルコニアを主成分とする材料が好ま
しい。また、金属材料においては、剛性を有するもので
あれば、特に限定されないが、ステンレス鋼、ニッケル
等が挙げられる。その他、エンジニアリングプラスチッ
クで構成してもよい。
【0102】薄板部16a及び16bは、上述したよう
に、圧電/電歪素子24a及び24bの変位により駆動
する部分である。薄板部16a及び16bは、可撓性を
有する薄板状の部材であって、表面に配設された圧電/
電歪素子24a及び24bの伸縮変位を屈曲変位として
増幅して、可動部20に伝達する機能を有する。従っ
て、薄板部16a及び16bの形状や材質は、可撓性を
有し、屈曲変形によって破損しない程度の機械的強度を
有するものであれば足り、可動部20の応答性、操作性
を考慮して適宜選択することができる。
【0103】薄板部16a及び16bの厚みLdは、2
μm〜100μm程度とすることが好ましく、薄板部1
6a(もしくは16b)と圧電/電歪素子24a(もし
くは24b)とを合わせた厚みは7μm〜500μmと
することが好ましい。電極28及び30の厚みは0.1
〜50μm、圧電/電歪層26の厚みは3〜300μm
とすることが好ましい。また、薄板部16a及び16b
の幅Lbとしては、50μm〜2000μmが好適であ
る。
【0104】薄板部16a及び16bを構成する材料と
しては、可動部20や固定部22と同様のセラミックス
を好適に用いることができ、ジルコニア、中でも安定化
ジルコニアを主成分とする材料と部分安定化ジルコニア
を主成分とする材料は、薄肉であっても機械的強度が大
きいこと、靱性が高いこと、圧電/電歪層や電極材との
反応性が小さいことから最も好適に用いられる。
【0105】また、金属材料で構成する場合にも、前述
のとおり、可撓性を有し、屈曲変形が可能な金属材料で
あればよいが、好ましくは、鉄系材料としては、各種ス
テンレス鋼、各種バネ鋼鋼材で構成することが望まし
く、非鉄系材料としては、ベリリウム銅、リン青銅、ニ
ッケル、ニッケル鉄合金で構成することが望ましい。
【0106】前記安定化ジルコニア並びに部分安定化ジ
ルコニアにおいては、次のように安定化並びに部分安定
化されたものが好ましい。即ち、ジルコニアを安定化並
びに部分安定化させる化合物としては、酸化イットリウ
ム、酸化イッテルビウム、酸化セリウム、酸化カルシウ
ム、及び酸化マグネシウムがあり、少なくともそのうち
の1つの化合物を添加、含有させることにより、ジルコ
ニアは部分的にあるいは完全に安定することになるが、
その安定化は、1種類の化合物の添加のみならず、それ
ら化合物を組み合わせて添加することによっても、目的
とするジルコニアの安定化は可能である。
【0107】なお、それぞれの化合物の添加量として
は、酸化イットリウムや酸化イッテルビウムの場合にあ
っては、1〜30モル%、好ましくは1.5〜10モル
%、酸化セリウムの場合にあっては、6〜50モル%、
好ましくは8〜20モル%、酸化カルシウムや酸化マグ
ネシウムの場合にあっては、5〜40モル%、好ましく
は5〜20モル%とすることが望ましいが、その中でも
特に酸化イットリウムを安定化剤として用いることが好
ましく、その場合においては、1.5〜10モル%、更
に好ましくは2〜4モル%とすることが望ましい。ま
た、焼結助剤等の添加物としてアルミナ、シリカ、遷移
金属酸化物等を0.05〜20wt%の範囲で添加する
ことが可能であるが、圧電/電歪素子24a及び24b
の形成手法として、膜形成法による焼成一体化を採用す
る場合は、アルミナ、マグネシア、遷移金属酸化物等を
添加物として添加することも好ましい。
【0108】なお、機械的強度と安定した結晶相が得ら
れるように、ジルコニアの平均結晶粒子径を0.05〜
3μm、好ましくは0.05〜1μmとすることが望ま
しい。また、上述のように、薄板部16a及び16bに
ついては、可動部20並びに固定部22と同様のセラミ
ックスを用いることができるが、好ましくは、実質的に
同一の材料を用いて構成することが、接合部分の信頼
性、圧電/電歪デバイス10Aの強度、製造の煩雑さの
低減を図る上で有利である。
【0109】圧電/電歪素子24a及び24bは、少な
くとも圧電/電歪層26と、該圧電/電歪層26に電界
をかけるための一対の電極28及び30を有するもので
あり、ユニモルフ型、バイモルフ型等の圧電/電歪素子
を用いることができるが、薄板部16a及び16bとの
組合せに係るユニモルフ型の方が、発生する変位量の安
定性に優れ、軽量化に有利であるため、このような圧電
/電歪デバイス10Aに適している。
【0110】例えば、図1に示すように、一方の電極2
8、圧電/電歪層26及び他方の電極30が層状に積層
された圧電/電歪素子等を好適に用いることができるほ
か、図6〜図10に示すように、多段構成にしてもよ
い。
【0111】前記圧電/電歪素子24a及び24bは、
図1に示すように、圧電/電歪デバイス10Aの外面側
に形成する方が薄板部16a及び16bをより大きく駆
動させることができる点で好ましいが、使用形態などに
応じて、圧電/電歪デバイス10Aの内面側、即ち、孔
部12の内壁面に形成してもよく、圧電/電歪デバイス
10Aの外面側、内面側の双方に形成してもよい。
【0112】圧電/電歪層26には、圧電セラミックス
が好適に用いられるが、電歪セラミックスや強誘電体セ
ラミックス、あるいは反強誘電体セラミックスを用いる
ことも可能である。但し、この圧電/電歪デバイス10
Aをハードディスクドライブの磁気ヘッドの位置決め等
に用いる場合は、可動部20の変位量と駆動電圧又は出
力電圧とのリニアリティが重要とされるため、歪み履歴
の小さい材料を用いることが好ましく、抗電界が10k
V/mm以下の材料を用いることが好ましい。
【0113】具体的な材料としては、ジルコン酸鉛、チ
タン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛、ニッケルニオブ酸
鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、マンガンニオブ酸鉛、アンチモン
スズ酸鉛、マンガンタングステン酸鉛、コバルトニオブ
酸鉛、チタン酸バリウム、チタン酸ナトリウムビスマ
ス、ニオブ酸カリウムナトリウム、タンタル酸ストロン
チウムビスマス等を単独であるいは混合物として含有す
るセラミックスが挙げられる。
【0114】特に、高い電気機械結合係数と圧電定数を
有し、圧電/電歪層26の焼結時における薄板部(セラ
ミックス)16a及び16bとの反応性が小さく、安定
した組成のものが得られる点において、ジルコン酸鉛、
チタン酸鉛、及びマグネシウムニオブ酸鉛を主成分とす
る材料、もしくはチタン酸ナトリウムビスマスを主成分
とする材料が好適に用いられる。
【0115】更に、前記材料に、ランタン、カルシウ
ム、ストロンチウム、モリブデン、タングステン、バリ
ウム、ニオブ、亜鉛、ニッケル、マンガン、セリウム、
カドミウム、クロム、コバルト、アンチモン、鉄、イッ
トリウム、タンタル、リチウム、ビスマス、スズ等の酸
化物等を単独で、もしくは混合したセラミックスを用い
てもよい。
【0116】例えば、主成分であるジルコン酸鉛とチタ
ン酸鉛及びマグネシウムニオブ酸鉛に、ランタンやスト
ロンチウムを含有させることにより、抗電界や圧電特性
を調整可能となる等の利点が得られる場合がある。
【0117】なお、シリカ等のガラス化し易い材料の添
加は避けることが望ましい。なぜならば、シリカ等の材
料は、圧電/電歪層の熱処理時に、圧電/電歪材料と反
応し易く、その組成を変動させ、圧電特性を劣化させる
からである。
【0118】一方、圧電/電歪素子24a及び24bの
一対の電極28及び30は、室温で固体であり、導電性
に優れた金属で構成されていることが好ましく、例えば
アルミニウム、チタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケ
ル、銅、亜鉛、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、パラ
ジウム、ロジウム、銀、スズ、タンタル、タングステ
ン、イリジウム、白金、金、鉛等の金属単体、もしくは
これらの合金が用いられ、更に、これらに圧電/電歪層
26及び/又は薄板部16a及び16bと同じ材料を分
散させたサーメット材料を用いてもよい。
【0119】圧電/電歪素子24a及び24bにおける
電極28及び30の材料選定は、圧電/電歪層26の形
成方法に依存して決定される。例えば薄板部16a及び
16b上に一方の電極28を形成した後、該一方の電極
28上に圧電/電歪層26を焼成により形成する場合
は、一方の電極28には、圧電/電歪層26の焼成温度
においても変化しない白金、パラジウム、白金−パラジ
ウム合金、銀−パラジウム合金、金−パラジウム合金等
の高融点金属を使用する必要があるが、圧電/電歪層2
6を形成した後に、該圧電/電歪層26上に形成される
他方の電極30は、低温で電極形成を行うことができる
ため、アルミニウム、金、銀等の低融点金属を使用する
ことができる。
【0120】また、電極28及び30の厚みは、少なか
らず圧電/電歪素子24a及び24bの変位を低下させ
る要因ともなるため、特に圧電/電歪層26の焼成後に
形成される電極28及び30には、焼成後に緻密でより
薄い膜が得られる有機金属ペースト、例えば金レジネー
トペースト、白金レジネートペースト、銀レジネートペ
ースト等の材料を用いることが好ましい。
【0121】次に、第1の実施の形態に係る圧電/電歪
デバイス10Aの製造方法を図16A〜図18を参照し
ながら説明する。
【0122】この第1の実施の形態に係る圧電/電歪デ
バイス10Aは、各部材の構成材料をセラミックスと
し、圧電/電歪デバイス10Aの構成要素として、圧電
/電歪素子24a及び24bを除く基体14、即ち、薄
板部16a及び16b、固定部22及び可動部20につ
いてはセラミックグリーンシート積層法を用いて製造す
ることが好ましく、一方、圧電/電歪素子24a及び2
4bをはじめとして、各端子32及び34については、
薄膜や厚膜等の膜形成手法を用いて製造することが好ま
しい。
【0123】圧電/電歪デバイス10Aの基体14にお
ける各部材を一体的に成形することが可能なセラミック
グリーンシート積層法によれば、各部材の接合部の経時
的な状態変化がほとんど生じないため、接合部位の信頼
性が高く、かつ、剛性確保に有利な方法である。
【0124】この第1の実施の形態に係る圧電/電歪デ
バイス10Aでは、薄板部16a及び16bと固定部2
2との境界部分(接合部分)並びに薄板部16a及び1
6bと可動部20との境界部分(接合部分)は、変位発
現の支点となるため、接合部分の信頼性は圧電/電歪デ
バイス10Aの特性を左右する重要なポイントである。
【0125】また、以下に示す製造方法は、生産性や成
形性に優れるため、所定形状の圧電/電歪デバイスを短
時間に、かつ、再現性よく得ることができる。
【0126】以下、具体的に第1の実施の形態に係る圧
電/電歪デバイス10Aの製造方法について説明する。
ここで、定義付けをしておく。セラミックグリーンシー
トを積層して得られた積層体をセラミックグリーン積層
体58(例えば図16B参照)と定義し、このセラミッ
クグリーン積層体58を焼成して一体化したものをセラ
ミック積層体60(例えば図17参照)と定義し、この
セラミック積層体60から不要な部分を切除して可動部
20、薄板部16a及び16b並びに固定部22が一体
化されたものをセラミック基体14C(図18参照)と
定義する。
【0127】また、この製造方法においては、最終的に
セラミック積層体60をチップ単位に切断して、圧電/
電歪デバイス10Aを多数個取りするものであるが、説
明を簡単にするために、圧電/電歪デバイス10Aの1
個取りを主体にして説明する。
【0128】まず、ジルコニア等のセラミック粉末にバ
インダ、溶剤、分散剤、可塑剤等を添加混合してスラリ
ーを作製し、これを脱泡処理後、リバースロールコータ
ー法、ドクターブレード法等の方法により、所定の厚み
を有するセラミックグリーンシートを作製する。
【0129】次に、金型を用いた打抜加工やレーザ加工
等の方法により、セラミックグリーンシートを図16A
のような種々の形状に加工して、複数枚の基体形成用の
セラミックグリーンシート50A、50B、52A、5
2B、54A、54B及び56を得る。
【0130】これらセラミックグリーンシート50A、
50B、52A、52B、54A、54B及び56は、
少なくとも後に孔部12を形成する窓部110が形成さ
れた複数枚(例えば2枚)のセラミックグリーンシート
50A及び50Bと、少なくとも後に孔部12を形成す
る窓部110と凹部102を形成する窓部112が連続
形成された複数枚(例えば2枚)のセラミックグリーン
シート54A及び54Bと、窓部114が形成され、少
なくとも後にストッパ部材122となる例えば1枚のセ
ラミックグリーンシート56と、後に薄板部16a及び
16bとなる複数枚(例えば2枚)のセラミックグリー
ンシート52A及び52Bとを有する。なお、セラミッ
クグリーンシートの枚数は、あくまでも一例である。
【0131】その後、図16Bに示すように、セラミッ
クグリーンシート52A及び52Bでセラミックグリー
ンシート50A、50B、54A、54B及び56を挟
み込むようにして、かつ、セラミックグリーンシート5
6が中央に位置し、その上下にセラミックグリーンシー
ト54A及び54Bが位置するように、これらセラミッ
クグリーンシート50A、50B、52A、52B、5
4A、54B及び56を積層・圧着して、セラミックグ
リーン積層体58とした後、該セラミックグリーン積層
体58を焼成してセラミック積層体60(図17参照)
を得る。
【0132】なお、積層一体化のための圧着回数や順序
は限定されない。構造に応じて、例えば窓部110、1
12及び114の形状、セラミックグリーンシートの枚
数等により所望の構造を得るように適宜決めることがで
きる。
【0133】窓部110、112及び114の形状は、
すべて同一である必要はなく、所望の機能に応じて決定
することができる。また、セラミックグリーンシートの
枚数、各セラミックグリーンシートの厚みも特に限定さ
れない。
【0134】圧着は、熱を加えることで、より積層性を
向上させることができる。また、セラミック粉末(セラ
ミックグリーンシートに使用されたセラミックスと同一
又は類似した組成であると、信頼性確保の点で好まし
い)、バインダを主体としたペースト、スラリー等をセ
ラミックグリーンシート上に塗布、印刷して、接合補助
層とすることで、セラミックグリーンシート界面の積層
性を向上させることができる。なお、セラミックグリー
ンシート52A及び52Bが薄い場合には、プラスチッ
クフィルム、中でも表面にシリコーン系の離型剤をコー
ティングしたポリエチレンテレフタレートフィルムを用
いて取り扱うことが好ましい。
【0135】次に、図17に示すように、前記セラミッ
ク積層体60の両表面、即ち、セラミックグリーンシー
ト52A及び52Bが積層された表面に相当する表面に
それぞれ圧電/電歪素子24a及び24bを形成する。
圧電/電歪素子24a及び24bの形成法としては、ス
クリーン印刷法、ディッピング法、塗布法、電気泳動法
等の厚膜形成法や、イオンビーム法、スパッタリング
法、真空蒸着、イオンプレーティング法、化学気相成長
法(CVD)、めっき等の薄膜形成法を用いることがで
きる。
【0136】このような膜形成法を用いて圧電/電歪素
子24a及び24bを形成することにより、接着剤を用
いることなく、圧電/電歪素子24a及び24bと薄板
部16a及び16bとを一体的に接合、配設することが
でき、信頼性、再現性を確保できると共に、集積化を容
易にすることができる。
【0137】この場合、厚膜形成法により圧電/電歪素
子24a及び24bを形成することが好ましい。特に、
圧電/電歪層26の形成において厚膜形成法を用いれ
ば、平均粒径0.01〜5μm、好ましくは0.05〜
3μmの圧電セラミックスの粒子、粉末を主成分とする
ペーストやスラリー、又はサスペンションやエマルジョ
ン、ゾル等を用いて膜化することができ、それを焼成す
ることによって良好な圧電/電歪特性を得ることができ
るからである。
【0138】なお、電気泳動法は、膜を高い密度で、か
つ、高い形状精度で形成できるという利点がある。ま
た、スクリーン印刷法は、膜形成とパターン形成とを同
時にできるため、製造工程の簡略化に有利である。
【0139】具体的に、圧電/電歪素子24a及び24
bの形成について説明する。まず、セラミックグリーン
積層体58を1200℃〜1600℃の温度で焼成、一
体化してセラミック積層体60を得た後、該セラミック
積層体60の両表面の所定位置に一方の電極28を印
刷、焼成し、次いで、圧電/電歪層26を印刷、焼成
し、更に、他方の電極30を印刷、焼成して圧電/電歪
素子24a及び24bを形成する。その後、各電極28
及び30を駆動回路に電気的に接続するための端子32
及び34を印刷、焼成する。
【0140】ここで、一方の電極28として白金(P
t)、圧電/電歪層26としてジルコン酸チタン酸鉛
(PZT)、他方の電極30として金(Au)、更に、
端子32及び34として銀(Ag)というように、各部
材の焼成温度が積層順に従って低くなるように材料を選
定すると、ある焼成段階において、それより以前に焼成
された材料の再焼結が起こらず、電極材等の剥離や凝集
といった不具合の発生を回避することができる。
【0141】なお、適当な材料を選択することにより、
圧電/電歪素子24a及び24bの各部材と端子32及
び34を逐次印刷して、1回で一体焼成することも可能
であり、圧電/電歪層26を形成した後に低温で各電極
30等を設けることもできる。
【0142】また、圧電/電歪素子24a及び24bの
各部材と端子32及び34は、スパッタ法や蒸着法等の
薄膜形成法によって形成してもよく、この場合には、必
ずしも熱処理を必要としない。
【0143】圧電/電歪素子24a及び24bの形成に
おいては、セラミックグリーン積層体58の両表面、即
ち、セラミックグリーンシート52A及び52Bの各表
面に予め圧電/電歪素子24a及び24bを形成してお
き、該セラミックグリーン積層体58と圧電/電歪素子
24a及び24bとを同時に焼成することも好ましく行
われる。同時焼成にあたっては、セラミックグリーン積
層体58と圧電/電歪素子24a及び24bのすべての
構成膜に対して焼成を行うようにしてもよく、一方の電
極28とセラミックグリーン積層体58とを同時焼成し
たり、他方の電極30を除く他の構成膜とセラミックグ
リーン積層体58とを同時焼成する方法等が挙げられ
る。
【0144】圧電/電歪素子24a及び24bとセラミ
ックグリーン積層体58とを同時焼成する方法として
は、スラリー原料を用いたテープ成形法等によって圧電
/電歪層26の前駆体を成形し、この焼成前の圧電/電
歪層26の前駆体をセラミックグリーン積層体58の表
面上に熱圧着等で積層し、同時に焼成して可動部20、
薄板部16a及び16b、圧電/電歪層26、固定部2
2とを同時に作製する方法が挙げられる。但し、この方
法では、上述した膜形成法を用いて、セラミックグリー
ン積層体58の表面及び/又は圧電/電歪層26に予め
電極28を形成しておく必要がある。
【0145】その他の方法としては、セラミックグリー
ン積層体58の少なくとも最終的に薄板部16a及び1
6bとなる部分にスクリーン印刷により圧電/電歪素子
24a及び24bの各構成層である電極28及び30、
圧電/電歪層26を形成し、同時に焼成することが挙げ
られる。
【0146】圧電/電歪素子24a及び24bの構成膜
の焼成温度は、これを構成する材料によって適宜決定さ
れるが、一般には、500℃〜1500℃であり、圧電
/電歪層26に対しては、好ましくは1000℃〜14
00℃である。この場合、圧電/電歪層26の組成を制
御するためには、圧電/電歪層26の材料の蒸発源の存
在下に焼結することが好ましい。なお、圧電/電歪層2
6とセラミックグリーン積層体58を同時焼成する場合
には、両者の焼成条件を合わせることが必要である。圧
電/電歪素子24a及び24bは、必ずしもセラミック
積層体60もしくはセラミックグリーン積層体58の両
面に形成されるものではなく、片面のみでももちろんよ
い。
【0147】次に、上述のようにして、圧電/電歪素子
24a及び24bが形成されたセラミック積層体60の
うち、不要な部分を切除する。切除する位置は、セラミ
ック積層体60の側部、特に、該切除によってセラミッ
ク積層体60の側面に窓部110による孔部12が形成
される箇所(切断線C1及びC2参照)である。
【0148】切除の方法としては、ダイシング加工、ス
ライシング加工、ワイヤソー加工等の機械加工のほか、
YAGレーザ、エキシマレーザ等のレーザ加工や電子ビ
ーム加工を適用することが可能である。
【0149】この切除によって、図18に示すように、
セラミック基体14Cに圧電/電歪素子24a及び24
bが形成され、更に、前記可動部20の内壁20aに凹
部102が形成され、前記固定部22に先端部104a
が前記凹部102に入り込むストッパ部材104が形成
された圧電/電歪デバイス10Aを得る。
【0150】この製造方法においては、セラミック積層
体60から不要な部分を切除したと同時に、セラミック
基体14Cに圧電/電歪素子24a及び24bが形成さ
れ、更に、前記可動部20の内壁20aに凹部102が
形成され、前記固定部22に先端部104aが前記凹部
102に入り込むストッパ部材104が形成された圧電
/電歪デバイス10Aを得ることができるため、製造工
程の簡略化を図ることができると共に、圧電/電歪デバ
イス10Aの歩留まりを向上させることができる。
【0151】特に、前記セラミック積層体60のうち、
不要な部分を切除する際において、例えば機械加工によ
って切除する場合には、薄板部16a及び16bを振動
(振幅)させる何らかの応力が薄板部16a及び16b
にかかり、場合によっては、その振動によって薄板部1
6a及び16bが破損するおそれがある。しかし、本実
施の形態では、前記ストッパ部材104を設けるように
しているため、切除時の振動(振幅)が制限され、圧電
/電歪デバイス10Aの生産性を向上させることができ
る。
【0152】上述の第1の実施の形態に係る圧電/電歪
デバイス10A並びに各種変形例10Aa〜10Aiに
おいては、機構100の構成として、可動部20の内壁
20aに形成された凹部102と、固定部22の内壁2
2aに設けられ、先端部104aが前記凹部102内に
入り込んだストッパ部材104とを有するようにした
が、その他、図19に示す第10の変形例に係る圧電/
電歪デバイス10Ajのように、固定部22の内壁22
aに凹部102を形成し、前記可動部20の内壁20a
に前記ストッパ部材104を形成して、前記機構100
を構成するようにしてもよい。
【0153】この場合も、可動部20や薄板部16a及
び16bに対して、該可動部20や薄板部16a及び1
6bを大きく振動(振幅)させるような外力等が加わっ
ても、前記機構100により可動部20や薄板部16a
及び16bの振動(振幅)が制限され、その結果、薄板
部16a及び16bの破損等を防止することができる。
この場合、薄板部16a及び16bの厚みを厚くする必
要がないため、変位特性や応答特性等のデバイス特性を
低下させることがない。
【0154】次に、第2の実施の形態に係る圧電/電歪
デバイス10Bについて図20を参照しながら説明す
る。第1の実施の形態に係る圧電/電歪デバイス10A
並びに各種変形例10Aa〜10Aiと対応する部材に
ついては同符号を付してその重複説明を省略する。
【0155】この第2の実施の形態に係る圧電/電歪デ
バイス10Bは、図20に示すように、第1の実施の形
態に係る圧電/電歪デバイス10Aとほぼ同様の構成を
有するが、薄板部16a及び16bの振幅を制限する機
構100が、固定部22の内壁22aに設けられた2本
の緩衝部材120a及び120bと、可動部20の内壁
20aに設けられ、先端部122aが前記2本の緩衝部
材120a及び120b間に入り込んだストッパ部材1
22とを有して構成されている点で異なる。
【0156】この場合も、前記ストッパ部材122の先
端部122aから可動部20の変位方向に沿った前記緩
衝部材120a又は120bまでの最短距離が、可動部
20や薄板部16a及び16bの振幅の許容限界以下で
あることが好ましい。
【0157】この第2の実施の形態に係る圧電/電歪デ
バイス10Bにおいては、ストッパ部材122の先端部
122aが緩衝部材120a又は120bに当たること
によって、可動部20や薄板部16a及び16bの振動
(振幅)が制限されることになる。特に、緩衝部材12
0a及び120bの高さと厚みによるアスペクト比を適
宜調整することで、弾力性を持たせることができ、スト
ッパ部材122が緩衝部材120a及び120bに当た
ることによる衝撃を吸収することができる。
【0158】なお、図21に示す変形例に係る圧電/電
歪デバイス10Baのように、可動部20の内壁20a
に2本の緩衝部材120a及び120bを設け、固定部
22の内壁22aに前記ストッパ部材122を設けるよ
うにしてもよい。
【0159】次に、第3の実施の形態に係る圧電/電歪
デバイス10Cについて図22を参照しながら説明す
る。第1の実施の形態に係る圧電/電歪デバイス10A
並びに各種変形例10Aa〜10Aiと対応する部材に
ついては同符号を付してその重複説明を省略する。
【0160】この第3の実施の形態に係る圧電/電歪デ
バイス10Cは、図22に示すように、第1の実施の形
態に係る圧電/電歪デバイス10Aとほぼ同様の構成を
有するが、薄板部16a及び16bの振幅を制限する機
構100が、固定部22の内壁22aから孔部12内に
向かって形成された張出し部130を有して構成され、
張出し部130から前記薄板部16a及び16bまでの
最短距離Liが該薄板部16a及び16bの振幅の許容
限界以下に設定されている点で異なる。
【0161】ここで、許容限界とは、薄板部16a及び
16bと可動部20との接合部分並びに薄板部16a及
び16bと固定部22との接合部分にかかる応力が最大
のとき(破壊しない最大値)の薄板部16a及び16b
の振幅をいう。
【0162】この第3の実施の形態に係る圧電/電歪デ
バイス10Cにおいては、可動部20や薄板部16a及
び16bの振動(振幅)がその許容限界以下となるた
め、薄板部16a及び16bの破損等を有効に防止する
ことができる。特に、この構成の場合においては、薄板
部16a及び16bに直接(集中した)外力が加わった
ときにも、薄板部16a及び16bを破損に導く振動
(振幅)が効果的に制限される構造のため、薄板部16
a及び16bの破損防止に有効である。
【0163】上述の例では、一対の薄板部16a及び1
6bに圧電/電歪素子24a及び24bを形成した例を
示したが、その他、図23に示す第4の実施の形態に係
る圧電/電歪デバイス10Dのように、一方の薄板部1
6aに圧電/電歪素子24aを形成するようにしてもよ
い。
【0164】このように、相対向する一対の薄板部16
a及び16bの片側の薄板部16aのみに圧電/電歪素
子24aを形成した圧電/電歪デバイス10Dは、圧電
/電歪素子24bが形成されていない薄板部16bの剛
性を小さくすることができる。
【0165】その結果、両側に圧電/電歪素子24a及
び24bが形成されている圧電/電歪デバイス(例えば
図8に示す圧電/電歪デバイス10Ag)と、片側のみ
に圧電/電歪素子24aが形成された圧電/電歪デバイ
ス10Dとを、1つの圧電/電歪素子24aを駆動して
得られる変位の大きさで比較すると、片側のみに圧電/
電歪素子24aが形成された圧電/電歪デバイス10D
の方が、対向する側の薄板部16bの剛性が低いという
効果から、より大きな変位が得られるという特徴があ
る。
【0166】上述の第1の実施の形態に係る圧電/電歪
デバイス10A並びに各種変形例10Aa〜10Aiに
おいては、ストッパ部材104として板状のものを設け
た例を示したが、その他、図24の第5の実施の形態に
係る圧電/電歪デバイス10Eに示すように、段差14
0を有するものにしてもよい。即ち、第5の実施の形態
に係る圧電/電歪デバイス10Eのストッパ部材104
は、第1の実施の形態に係る圧電/電歪デバイス10A
のストッパ部材104と第3の実施の形態に係る圧電/
電歪デバイス10Cの張出し部130とを組み合わせた
構成となっており、X軸方向の厚みが大とされた厚肉部
142の上部中央にX軸方向の厚みが小とされた薄肉部
144が一体に形成された構成を有する。薄肉部144
の先端部104aは、可動部20の内壁20aに設けら
れた凹部102内に入り込んだ形となっている。なお、
厚肉部142から前記薄板部16a及び16bまでの最
短距離Li並びに凹部102内に入り込んだ薄肉部14
4の先端部104aから可動部20の変位方向に沿った
前記凹部102の内壁102aまでの最短距離Lcは、
該薄板部16a及び16bの振幅の許容限界以下に設定
されている。
【0167】この場合、圧電/電歪デバイス10Eは、
その側面(X軸方向)からの外力に対して総合的に強く
なるため、可動部20並びに薄板部16a及び16bに
外力が加わった場合における耐衝撃性を更に向上させる
ことができる。
【0168】また、上述の第2の実施の形態に係る圧電
/電歪デバイス10Bにおいては、緩衝部材120a及
び120bとしてそれぞれ薄肉の板状のものを設けた例
を示したが、その他、図25の第6の実施の形態に係る
圧電/電歪デバイス10Fに示すように、厚肉の板状と
し、各緩衝部材120a及び120bから前記薄板部1
6a及び16bまでの最短距離Li並びにストッパ部材
122の先端部122aから可動部20の変位方向に沿
った各緩衝部材120a及び120bまでの最短距離L
cが該薄板部16a及び16bの振幅の許容限界以下に
設定されたものを設けるようにしてもよい。
【0169】この場合も、圧電/電歪デバイス10F
は、その側面(X軸方向)からの外力に対して総合的に
強くなるため、可動部20並びに薄板部16a及び16
bに外力が加わった場合における耐衝撃性を更に向上さ
せることができる。
【0170】この第6の実施の形態に係る圧電/電歪デ
バイス10Fの構造は、図19に示す第1の実施の形態
に係る圧電/電歪デバイス10Aの第10の変形例(1
0Aj)や、図21に示す第2の実施の形態に係る圧電
/電歪デバイス10Bの変形例(10Ba)にも適用さ
せることができる。
【0171】なお、図19や図21に示すように、可動
部20にストッパ部材104や緩衝部材120a及び1
20bを有するものについては、可動部20の質量が増
加するため、アクチュエータとして使用した場合、その
応答性が若干低下することになるが、加速度センサ等の
慣性質量を利用するセンサ等に使用した場合は、検出感
度の向上に有効である。
【0172】上述した種々の圧電/電歪デバイスによれ
ば、各種トランスデューサ、各種アクチュエータ、周波
数領域機能部品(フィルタ)、トランス、通信用や動力
用の振動子や共振子、発振子、ディスクリミネータ等の
能動素子のほか、超音波センサや加速度センサ、角速度
センサや衝撃センサ、質量センサ等の各種センサ用のセ
ンサ素子として利用することができ、特に、光学機器、
精密機器等の各種精密部品等の変位や位置決め調整、角
度調整の機構に用いられる各種アクチュエータに好適に
利用することができる。
【0173】なお、この発明に係る圧電/電歪デバイス
及びその製造方法は、上述の実施の形態に限らず、この
発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る
ことはもちろんである。
【0174】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る圧電
/電歪デバイス及びその製造方法によれば、変位特性、
応答特性等のデバイス特性が低下することなく、外力に
対する耐衝撃性が大きく、ハンドリングが容易であると
共に、大変位の発生並びに高速応答が可能で、機械的強
度が高く、有害な振動の影響を受け難く、耐湿性に優れ
た変位素子、並びに可動部の振動を精度よく検出するこ
とが可能なセンサ素子を得ることができる。
【0175】また、製造時の不要な振動に伴う不良の発
生を抑制することができ、圧電/電歪デバイスの生産性
の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る圧電/電歪デバイスの
構成を示す斜視図である。
【図2】第1の実施の形態に係る圧電/電歪デバイスの
第1の変形例を示す斜視図である。
【図3】第1の実施の形態に係る圧電/電歪デバイスの
第2の変形例を示す斜視図である。
【図4】第1の実施の形態に係る圧電/電歪デバイスの
第3の変形例を示す斜視図である。
【図5】第1の実施の形態に係る圧電/電歪デバイスの
第4の変形例を示す斜視図である。
【図6】第1の実施の形態に係る圧電/電歪デバイスの
第5の変形例を示す斜視図である。
【図7】第1の実施の形態に係る圧電/電歪デバイスの
第6の変形例を示す斜視図である。
【図8】第1の実施の形態に係る圧電/電歪デバイスの
第7の変形例を示す斜視図である。
【図9】第1の実施の形態に係る圧電/電歪デバイスの
第8の変形例を示す斜視図である。
【図10】第1の実施の形態に係る圧電/電歪デバイス
の第9の変形例を示す斜視図である。
【図11】圧電/電歪素子の他の例を一部省略して示す
斜視図である。
【図12】圧電/電歪素子の更に他の例を一部省略して
示す斜視図である。
【図13】第1の実施の形態に係る圧電/電歪デバイス
において、圧電/電歪素子が共に変位動作を行っていな
い場合を示す説明図である。
【図14】図14Aは一方の圧電/電歪素子に印加され
る電圧波形を示す波形図であり、図14Bは他方の圧電
/電歪素子に印加される電圧波形を示す波形図である。
【図15】第1の実施の形態に係る圧電/電歪デバイス
において、圧電/電歪素子が変位動作を行った場合を示
す説明図である。
【図16】図16Aは第1の実施の形態に係る圧電/電
歪デバイスの製造方法において、必要なセラミックグリ
ーンシートの積層過程を示す説明図であり、図16Bは
セラミックグリーン積層体とした状態を示す説明図であ
る。
【図17】前記製造方法において、セラミックグリーン
積層体を焼成したセラミック積層体とした後、該セラミ
ック積層体に圧電/電歪素子を形成した状態を示す説明
図である。
【図18】前記製造方法において、セラミック積層体を
所定の切断線に沿って切断して、第1の実施の形態に係
る圧電/電歪デバイスとした状態を示す説明図である。
【図19】第1の実施の形態に係る圧電/電歪デバイス
の第10の変形例を示す斜視図である。
【図20】第2の実施の形態に係る圧電/電歪デバイス
の構成を示す斜視図である。
【図21】第2の実施の形態に係る圧電/電歪デバイス
の変形例を示す斜視図である。
【図22】第3の実施の形態に係る圧電/電歪デバイス
の構成を示す斜視図である。
【図23】第4の実施の形態に係る圧電/電歪デバイス
の構成を示す斜視図である。
【図24】第5の実施の形態に係る圧電/電歪デバイス
の構成を示す斜視図である。
【図25】第6の実施の形態に係る圧電/電歪デバイス
の構成を示す斜視図である。
【図26】従来例に係る圧電/電歪デバイスを示す構成
図である。
【符号の説明】
10A、10Aa〜10Aj、10B、10Ba、10
C、10D、10E、10F…圧電/電歪デバイス 12…孔部 14…基体 16a、16b…薄板部 20…可動部 20a…内壁 22…固定部 22a…内壁 24a、24b…
圧電/電歪素子 26…圧電/電歪層 28…一方の電極 30…他方の電極 50A、50B、52A、52B、54A、54B、5
6…セラミックグリーンシート 58…セラミックグリーン積層体 60…セラミック
積層体 100…機構 102…凹部 104…ストッパ部材 120a、120
b…緩衝部材 122…ストッパ部材 122a…先端部 130…張出し部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 41/18 101D 41/22 Z (31)優先権主張番号 特願平11−371967 (32)優先日 平成11年12月27日(1999.12.27) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願2000−13576(P2000−13576) (32)優先日 平成12年1月21日(2000.1.21) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願2000−15123(P2000−15123) (32)優先日 平成12年1月24日(2000.1.24) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願2000−56434(P2000−56434) (32)優先日 平成12年3月1日(2000.3.1) (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 滑川 政彦 愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号 日 本碍子株式会社内 (72)発明者 木村 浩二 愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号 日 本碍子株式会社内 (72)発明者 柴田 和義 愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号 日 本碍子株式会社内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】相対向する一対の薄板部と、可動部と、こ
    れら薄板部と可動部を支持する固定部とを具備し、 前記一対の薄板部のうち、少なくとも1つの薄板部に1
    以上の圧電/電歪素子が配設され、 前記一対の薄板部の両内壁と前記可動部の内壁と前記固
    定部の内壁とにより孔部が形成された圧電/電歪デバイ
    スであって、 前記薄板部の振幅を制限する機構を有することを特徴と
    する圧電/電歪デバイス。
  2. 【請求項2】請求項1記載の圧電/電歪デバイスにおい
    て、 前記機構は、 前記可動部の内壁に形成された凹部と、 前記固定部の内壁に設けられ、先端部が前記凹部内に入
    り込んだストッパ部材とを有することを特徴とする圧電
    /電歪デバイス。
  3. 【請求項3】請求項1記載の圧電/電歪デバイスにおい
    て、 前記機構は、 前記固定部の内壁に形成された凹部と、 前記可動部の内壁に設けられ、先端部が前記凹部内に入
    り込んだストッパ部材とを有することを特徴とする圧電
    /電歪デバイス。
  4. 【請求項4】請求項2又は3記載の圧電/電歪デバイス
    において、 前記ストッパ部材の先端部から前記可動部の変位方向に
    沿った前記凹部内壁までの最短距離が、前記薄板部の振
    幅の許容限界以下であることを特徴とする圧電/電歪デ
    バイス。
  5. 【請求項5】請求項1記載の圧電/電歪デバイスにおい
    て、 前記機構は、 前記固定部の内壁に設けられた2本の緩衝部材と、 前記可動部の内壁に設けられ、先端部が前記2本の緩衝
    部材間に入り込んだストッパ部材とを有することを特徴
    とする圧電/電歪デバイス。
  6. 【請求項6】請求項1記載の圧電/電歪デバイスにおい
    て、 前記機構は、 前記可動部の内壁に設けられた2本の緩衝部材と、 前記固定部の内壁に設けられ、先端部が前記2本の緩衝
    部材間に入り込んだストッパ部材とを有することを特徴
    とする圧電/電歪デバイス。
  7. 【請求項7】請求項5又は6記載の圧電/電歪デバイス
    において、 前記ストッパ部材の先端部から前記可動部の変位方向に
    沿った前記緩衝部材までの最短距離が、前記薄板部の振
    幅の許容限界以下であることを特徴とする圧電/電歪デ
    バイス。
  8. 【請求項8】請求項1記載の圧電/電歪デバイスにおい
    て、 前記機構は、前記固定部の内壁から孔部内に向かって形
    成された張出し部を有し、 前記張出し部から前記薄板部までの最短距離が該薄板部
    の振幅の許容限界以下であることを特徴とする圧電/電
    歪デバイス。
  9. 【請求項9】請求項1〜8のいずれか1項に記載の圧電
    /電歪デバイスにおいて、 前記薄板部、前記可動部、前記固定部及び前記機構は、
    セラミックグリーン積層体を同時焼成することによって
    一体化し、更に不要な部分を切除してなるセラミック基
    体で構成されていることを特徴とする圧電/電歪デバイ
    ス。
  10. 【請求項10】請求項9記載の圧電/電歪デバイスにお
    いて、 前記圧電/電歪素子は膜状であって、焼成によって前記
    セラミック基体に一体化されていることを特徴とする圧
    電/電歪デバイス。
  11. 【請求項11】請求項1〜10のいずれか1項に記載の
    圧電/電歪デバイスにおいて、 前記圧電/電歪素子は、 圧電/電歪層と、該圧電/電歪層に形成された一対の電
    極とを有することを特徴とする圧電/電歪デバイス。
  12. 【請求項12】請求項11記載の圧電/電歪デバイスに
    おいて、 前記圧電/電歪素子は、 前記圧電/電歪層と前記一対の電極を複数の積層形態で
    構成されていることを特徴とする圧電/電歪デバイス。
  13. 【請求項13】請求項1〜12のいずれか1項に記載の
    圧電/電歪デバイスにおいて、 前記孔部にゲル状の材料が充填されていることを特徴と
    する圧電/電歪デバイス。
  14. 【請求項14】相対向する一対の薄板部と、可動部と、
    これら薄板部と可動部を支持する固定部とを具備し、 前記一対の薄板部のうち、少なくとも1つの薄板部に1
    以上の圧電/電歪素子が配設され、 前記一対の薄板部の両内壁と前記可動部の内壁と前記固
    定部の内壁とにより孔部が形成された圧電/電歪デバイ
    スの製造方法であって、 少なくとも前記薄板上に前記圧電/電歪素子を作製した
    後に、所定部位を切除して、前記薄板部の振幅を制限す
    る機構が設けられた圧電/電歪デバイスを作製すること
    を特徴とする圧電/電歪デバイスの製造方法。
  15. 【請求項15】相対向する一対の薄板部と、可動部と、
    これら薄板部と可動部を支持する固定部とを具備し、 前記一対の薄板部のうち、少なくとも1つの薄板部に1
    以上の圧電/電歪素子が配設され、 前記一対の薄板部の両内壁と前記可動部の内壁と前記固
    定部の内壁とにより孔部が形成された圧電/電歪デバイ
    スの製造方法であって、 少なくとも後に少なくとも前記孔部を形成するための窓
    部を有するセラミックグリーンシートと、後に前記薄板
    部の振幅を制限する機構を形成するためのセラミックグ
    リーンシートと、後に前記薄板部となるセラミックグリ
    ーンシートとを含むセラミックグリーン積層体を一体焼
    成して、セラミック積層体を作製するセラミック積層体
    作製工程と、 前記セラミック積層体のうち、前記薄板部となる部分の
    外表面に前記圧電/電歪素子を形成する工程と、 前記圧電/電歪素子が形成されたセラミック積層体に対
    する少なくとも1回の切除処理によって、前記薄板部の
    振幅を制限する機構が設けられた圧電/電歪デバイスを
    作製する切除工程とを含むことを特徴とする圧電/電歪
    デバイスの製造方法。
JP2000265902A 1999-10-01 2000-09-01 圧電/電歪デバイス及びその製造方法 Expired - Fee Related JP3845544B2 (ja)

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