JP3136455B2 - インクジェットプリントヘッドを構成するプレートの接着方法 - Google Patents

インクジェットプリントヘッドを構成するプレートの接着方法

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JP3136455B2 JP05183625A JP18362593A JP3136455B2 JP 3136455 B2 JP3136455 B2 JP 3136455B2 JP 05183625 A JP05183625 A JP 05183625A JP 18362593 A JP18362593 A JP 18362593A JP 3136455 B2 JP3136455 B2 JP 3136455B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】この発明は、インクジェットプリ
ンタに用いられるインクジェットプリントヘッドを構成
するプレートの接着方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】図１は、インクジェットプリントヘッド
の断面説明図である。インクジェットプリントヘッド
(1) は、図２に示す複数のプレートを積層して形成され
ている。図１において、圧力発生手段の一つである圧電
／電歪素子(11)によって閉塞プレート(3a)を下方向へ変
位させてインク加圧室(9) 内のインクをインク通過孔の
一例であるノズル孔(17)から吐出するようになってい
る。図３は図１におけるインクノズル部材(2) を構成す
る各プレートの説明図を示し、(2a)はオリフィスプレー
ト、(2b)は流路プレート、(2c-1)と(2c-2)は２枚でノズ
ルプレートを形成している。これら各プレートは、図４
に示すように接着対象プレートの合わせ面形状に形成し
た熱可塑性樹脂シート(18),(19-1),(19-2)を各プレート
間に介在し、各プレートを加熱加圧することによって接
着されている。なお、図２において(13)は、図１の第１
の連通孔(8) を形成する第１の開口部、(14)は第２の連
通孔(10)を形成する第２の開口部、(15)は第２の連通孔
(10)と通孔(16)とを接続する第２のオリフィス孔をそれ
ぞれ示す。
【０００３】図５は、流路プレート(2b)とノズルプレー
ト(2c-1)を熱可塑性樹脂シート(19)によって接着すると
ころを示す。図５(a) に示すように、熱可塑性樹脂シー
ト(19)に穿設された孔(19b) の孔径は、熱可塑性樹脂シ
ートが加熱加圧によってプレート面間で流動して広が
り、通孔(16)の出口やノズル孔(17)の入口を閉塞しない
ように、通孔(16)の孔径及びノズル孔(17)の流入側孔径
よりも、やや大きめに形成されている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】一定温度一定圧力下で
熱可塑性樹脂シートを介在したプレートを加熱加圧した
とき、プレート間で広がる樹脂の量は、最近傍のインク
通過孔方向に比べ、当該方向以外の方向の方が多い。こ
のように熱可塑性樹脂シートに形成されるシート孔周辺
に流れ込む樹脂の量は、シート孔周辺の状況によって一
定しない。しかしながら、前述のとおり、従来は、熱可
塑性樹脂シートに形成するシート孔（図４の(18b),(19
b) ）は、シート孔周辺の熱可塑性樹脂シート面積に拘
らず、通孔やノズル孔に合致した形状か、それより僅か
に孔径の大きい同心円形状に一定形成されているため、
前記最近傍のインク通過孔方向以外の方向からの樹脂の
流れ込み量が多くなり、図５(c) に示すように熱可塑性
樹脂シートの溶融した樹脂(22)が通孔(16)及びノズル孔
(17)の内側へ過度に突出することがある。従って、この
ような事態が生ずると、インクの吐出量が減少したり変
化し、良好な印字品質を得ることができない。また、こ
のような事態を避けるために熱可塑性樹脂シートに形成
する孔(19b) を大きめの孔径で設計することも考えられ
るが、図６に示すように熱可塑性樹脂シート(19)と各プ
レート間に大きな淀み(23)が形成されてしまい、淀んだ
インクが変質する等のトラブル等により、インクをスム
ーズに吐出できなくなり、やはり良好な印字品質を得る
ことができない。
【０００５】
【課題を解決するための手段】この発明は、前記従来の
諸課題を解決し、良好な印字品質を得ることができるイ
ンクジェットプリントヘッドを構成するプレートの接着
方法を提供するものであり、その構成は、接着対象プレ
ートの合わせ面形状に形成した熱可塑性樹脂シートを各
プレート間に介在し、インク通過孔が形成された接着対
象プレート間には、両側のプレートのインク通過孔の直
径の大きい方に対応する基準孔を含むとともに、該イン
ク通過孔と最近傍のインク通過孔を結ぶ方向の前記基準
孔に対するシート逃がし量が当該方向以外の方向の前記
基準孔に対するシート逃がし量に対して最小にされた形
状のシート孔を有する熱可塑性樹脂シートを介在し、各
プレートを加熱加圧することによって各プレート同士を
接着することにある。尚ここでシート逃がし量とは、あ
る方向に対して基準孔の縁からシート孔の縁までの距離
を意味する。
【０００６】
【作用】インク通過孔が形成された接着対象プレート間
に介在する熱可塑性樹脂シートに形成されるシート孔
が、プレートを加熱加圧したときにシート孔に向けて流
れ込む樹脂量に応じて形成されているため、樹脂がイン
ク通過孔内へ過度に突出したり、シートとプレート間に
大きな淀みが形成されることがない。従って、インクの
吐出量及び吐出速度の変動を防止することができ、良好
な印字品質を得ることができる。
【０００７】
【実施例】図１は、この発明が適用されるインクジェッ
トプリントヘッドの断面図、図２はインクジェットプリ
ントヘッドを構成する各プレートの分解斜視図をそれぞ
れ示す。(2) はインクノズル部材で、オリフィスプレー
ト(2a)、流路プレート(2b)及びノズルプレート(2c-1)，
(2c-2)によって形成されている。(4) はインク供給孔、
(5) はインク供給流路、(6) は第１のオリフィス孔をそ
れぞれ示す。(3) はインクポンプ部材で、閉塞プレート
(3a)、スぺーサプレート(3b)及び接続プレート(3c)によ
って形成されている。(9) はインク加圧室で、前記第１
のオリフィス孔(6) 及び第１の連通孔(8) を介してイン
ク供給流路(5) と連通している。(11)は圧電／電歪素
子、(17)はノズル孔をそれぞれ示す。このインクジェッ
トプリントヘッドは、インク供給孔(4) から供給された
インクをインク供給流路(5) を経てインク加圧室(9) へ
導き、圧力発生手段の一例である圧電／電歪素子(11)を
変位させることで、ノズル孔(17)から吐出されるように
なっている。
【０００８】ここで、各プレートの接着方法をインクノ
ズル部材を構成するプレートの接着方法を例に挙げて説
明する。図３はインクノズル部材を構成する各プレート
の平面図である。これら各プレートの接着は、図４に示
すように、オリフィスプレート(2a)と流路プレート(2b)
間には両プレートの合わせ面形状に形成された熱可塑性
樹脂シート(18)を、流路プレート(2b)とノズルプレート
(2c-1)間には両プレートの合わせ面形状に形成された熱
可塑性樹脂シート(19-1)を、同じくノズルプレート(2c-
1)，(2c-2)間には熱可塑性樹脂シート(19-2)を、それぞ
れ介在して積層した後、各プレート間を所定の温度及び
圧力で加熱加圧し、各プレート間に介在した熱可塑性樹
脂シートを溶融することによって行なわれる。
【０００９】図７は、流路プレート(2b)とノズルプレー
ト(2c-1)との接着状態を示す説明図である。図７(a) に
おいて、(20)は、前記熱可塑性樹脂シート(19)に替えて
用いられる熱可塑性樹脂シートで、流路プレート(2b)と
ノズルプレート(2c-1)との合わせ面形状に形成されてい
る。(20a) は流路プレートの窓部(7) に対応する形状に
形成された窓部、(20b) は流路プレートの通孔(16)及び
ノズルプレート(2c-1)のノズル孔(17)に対応する位置に
形成されたシート孔をそれぞれ示す。(16a) は、熱可塑
性樹脂シートに形成するシート孔の基準となる基準孔
で、通孔(16)に対応する位置に、その断面形状で形成さ
れる。
【００１０】図８の部分拡大図に示すように、シート孔
(20b) は、基準孔(16a)の大きさを含み、その基準孔(16
a) と最近傍のインク通過孔を結ぶ方向の前記基準孔に
対するシート逃がし量が当該方向以外の方向の前記基準
孔に対するシート逃がし量に対して最小に形成されてい
る。この実施例の場合は、基準孔と窓部(20a) 間の距離
が最も大きいため、シート孔(20b) は、窓部(20a) 側に
向いた方向の逃がし量を最大とした形状となっている。
(20c) は、その拡大形成によって形成された逃がし部で
ある。図７(b) は、流路プレート(2b)とノズルプレート
(2c-1)間に熱可塑性樹脂シート(20)を介在して積層した
状態を示す断面説明図である。この積層状態から、両プ
レートを所定温度及び圧力で加熱加圧すると、図７(c)
に示すように熱可塑性樹脂シートを形成する樹脂(21)
は、両プレート間で溶融して広がるが、通孔(16)及びノ
ズル孔(17)の内側へ過度に突出することなく、また、樹
脂と両プレート間に大きな淀みが形成されることもな
く、両孔の周縁と略一致する箇所で流動が止まり、両プ
レートが接着される。従って、インクをノズル孔からス
ムーズに吐出することができ、良好な印字品質を得るこ
とができる。
【００１１】シート孔(20b) の形状と大きさは、基準孔
周辺の合成樹脂製シートの面積によって、すなわち、接
着対象プレートの通孔(16)、ノズル孔(17)及び窓部(7)
の大きさや位置などによって変わるため、それら各パラ
メーターとの関係を予め調べて決定される。また、その
決定の際、加熱加圧時の樹脂の広がる範囲は、合成樹脂
製シートの厚みや樹脂の性質、加熱温度や圧力、接着対
象プレートの性質などの相違によっても変化するため、
これらのパラメーターも考慮に入れられる。なお、合成
樹脂製シート(20)の窓部(20a) もその周辺のシート面積
を考慮して逃がし部を形成しているため、図７(c) に示
すように、窓部内側に樹脂が突出することがない。
【００１２】次に、オリフィスプレート(2a)と流路プレ
ート(2b)との接着も、前記同様の加工を施した合成樹脂
製シートを両プレート間に介在することによって行なわ
れるため、インク供給孔(4) 、第１のオリフィス孔(6)
及び第２のオリフィス孔(15)内に樹脂が突出したり、淀
みが形成されてインクの流れが妨げられることがない。
なお、オリフィスプレート(2a)と流路プレート(2b)によ
り構成される部分をインク供給流路を有するプレートと
して射出成型等で予め一体成型しておき、そのプレート
上にノズルプレート(2c-2)、或はノズルプレート(2c-1)
及び(2c-2)を積層し、前記接着方法により前記インク供
給流路を有するプレートと各ノズルプレートとを接着す
ることもできる。また、閉塞プレート(3a)とスぺーサプ
レート(3b)により構成される部分をインク加圧室を有す
るプレートとして射出成型等で予め一体成型しておき、
そのプレート上に接続プレート(3c)と、前記一体成型さ
れたインク供給流路を有するプレートを順に積層し、前
記接着方法により各プレートを接着することもできる。
【００１３】このように、この発明の接着方法によれ
ば、インク供給孔(4) からノズル孔(17)に至るまで、ス
ムーズなインクの流れを得ることができるため、圧電／
電歪素子(11)の変位特性が十分活かされ、良好な印字品
質を得ることができる。
【００１４】
【発明の効果】この発明にかかるインクジェットプリン
トヘッドを構成するプレートの接着方法によれば、イン
クジェットプリントヘッド内のインクの流れをスムーズ
にすることができるためノズル孔から吐出されるインク
量が変動することもなく、また、その吐出速度も一定
し、良好な印字品質を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】インクジェットプリントヘッドの断面説明図で
ある。
【図２】インクジェットプリントヘッドを構成するプレ
ートの斜視図である。
【図３】インクノズル部材を構成するプレートの説明図
である。
【図４】インクノズル部材を構成するプレート間に熱可
塑性樹脂シートを介在するところを示す説明図である。
【図５】(a) は従来の接着方法に用いられる熱可塑性樹
脂シートの説明図、(b)は(a) に示す熱可塑性樹脂シー
トを流路プレートとノズルプレート間に介在した状態を
示す説明図、(c) は(b) に示す状態からプレートを加熱
加圧した状態を示す説明図である。
【図６】従来の接着方法によって流路プレートとノズル
プレートを接着した状態を示す説明図である。
【図７】(a) はこの発明の接着方法に用いられる熱可塑
性樹脂シートの説明図、(b) は(a) に示す熱可塑性樹脂
シートを流路プレートとノズルプレート間に介在した状
態を示す説明図、(c) は(b) に示す状態からプレートを
加熱加圧した状態を示す説明図である。
【図８】この発明の接着方法に用いられる熱可塑性樹脂
シートの部分拡大図である。
【符号の説明】
１・・インクジェットプリントヘッド、２・・インクノ
ズル部材、２ａ・・オリフィスプレート、２ｂ・・流路
プレート、２ｃ−１，２ｃ−２・・ノズルプレート、３
・・インクポンプ部材、３ａ・・閉塞プレート、３ｂ・
・スぺーサプレート、３ｃ・・接続プレート、４・・イ
ンク供給孔、５・・インク供給流路、６・・第１のオリ
フィス孔、７，１２，１８ａ，１９ａ，２０ａ・・窓
部、８・・第１の連通孔、９・・インク加圧室、１０・
・第２の連通孔、１１・・圧電／電歪素子、１３・・第
１の開口部、１４・・第２の開口部、１５・・第２のオ
リフィス孔、１６・・通孔、１６ａ・・基準孔、１７・
・ノズル孔、１８，１９−１，１９−２，２０・・熱可
塑性樹脂シート、１８ｂ，１９ｂ・・孔、２０ｂ・・シ
ート孔、２０ｃ・・逃げ部、２１，２２・・樹脂、２３
・・淀み。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 伸夫 名古屋市瑞穂区須田町２番56号 日本碍 子株式会社内 (56)参考文献 特開 平４−358841（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) B41J 2/16 B41J 2/045 B41J 2/055

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】インクを吐出するノズル孔が形成されたノ
    ズルプレート上に複数のプレートを適宜組合せ積層し、
    或はインク供給流路を有するプレートを前記ノズルプレ
    ート上に積層し、前記ノズル孔に連通するインク加圧室
    を形成するとともに、圧力発生手段によってインク加圧
    室内のインクを前記ノズル孔から吐出させるインクジェ
    ットプリントヘッドにおいて、接着対象プレートの合わ
    せ面形状に形成した熱可塑性樹脂シートを各プレート間
    に介在し、インク通過孔が形成された接着対象プレート
    間には、両側のプレートのインク通過孔の直径の大きい
    方に対応する基準孔を含むとともに、該インク通過孔と
    最近傍のインク通過孔を結ぶ方向の前記基準孔に対する
    シート逃がし量が当該方向以外の方向の前記基準孔に対
    するシート逃がし量に対して最小にされた形状のシート
    孔を有する熱可塑性樹脂シートを介在し、各プレートを
    加熱加圧することによって各プレート同士を接着するこ
    とを特徴とするインクジェットプリントヘッドを構成す
    るプレートの接着方法。
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