JP3632717B2 - プリンタ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は吐出媒体を吐出するプリンタ装置及び定量媒体と吐出媒体を混合吐出するプリンタ装置に関する。詳しくは、プリンタ装置のプリントヘッドのノズル形成面側のノズル開口部周辺にポリベンゾイミダゾールを配することにより、高解像度の記録画像の形成を可能とするとともに生産性が向上されたプリンタ装置、プリントヘッドのノズル形成部分をポリベンゾイミダゾールにより形成することにより、圧縮成形や射出成形を含んだ手法によるノズル加工が可能とされ生産性が向上されたプリンタ装置に係わるものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、特にオフィス等においてデスクトップパブリッシングと称されるコンピュータを使用した文書作成が盛んに行われるようになってきており、最近では文字や図形だけでなく、写真等のカラーの自然画像を文字,図形とともに出力するといった要求も増加してきている。そして、これに伴い、高品位な自然画像をプリントすることが要求され、中間調の再現が重要となってきている。
【0003】
また、印刷信号に応じて印刷時に必要な時だけインク液滴をノズルより吐出して紙,フィルム等の印刷媒体に印刷する、いわゆるオンデマンド型のプリンタ装置は、小型化,低コスト化が可能なため、近年急速に普及しつつある。
【0004】
このようにインク液滴を吐出する方法としては、様々な方法が提案されているが、ピエゾ素子を用いる方法または発熱素子を用いる方法が一般的である。前者はピエゾ素子の変形によりインクに圧力を加えて吐出させる方法である。後者は、発熱素子によりインクを加熱沸騰させて発生する泡の圧力でインクを吐出させる方法である。
【0005】
そして、上記のような中間調を上述のインク液滴を吐出するオンデマンド型のプリンタ装置で再現する方法としては、様々な方法が提案されている。すなわち、第1の方法としてはピエゾ素子或いは発熱素子に与える電圧パルスの電圧やパルス幅を変化させて吐出する液滴サイズを制御し、印刷ドットの径を可変として諧調を表現するものが挙げられる。
【0006】
しかしながらこの方法によると、ピエゾ素子或いは発熱素子に与える電圧やパルス幅を下げすぎるとインクを吐出できなくなるため、最小液滴径に限界があり、表現可能な諧調段数が少なく、特に低濃度の表現が困難であり、自然画像をプリントアウトするには不十分である。
【0007】
また、第2の方法としては、ドット径は変化させずに1画素を例えば4×4のドットよりなるマトリクスで構成し、このマトリクス単位でいわゆるディザ法を用いて諧調表現を行う方法が挙げられる。なお、この場合には17諧調の表現が可能である。
【0008】
しかしながらこの方法で、例えば第1の方法と同じドット密度で印刷を行った場合、解像度は第1の方法の1/4であり、荒さが目立つため、自然画像をプリントアウトするには不十分である。
【0009】
そこで、本発明者等は、インクを吐出する際にインクと希釈液を混合することにより、吐出されるインク液滴の濃度を変化させ、印刷されるドットの濃度を制御することを可能にし、解像度の劣化を発生させることなく自然画像をプリントアウトするプリンタ装置を提案してきた。
【0010】
このようなプリンタ装置のプリントヘッドとしては、吐出媒体が導入される第1のノズルと定量媒体が導入される第2のノズルを互いに隣合うようにして有し、第2のノズルから所定量の定量媒体を第1のノズルに向けて滲み出させて当該第1のノズル開口近傍にて吐出媒体と混合させ、第1のノズルから吐出媒体を定量媒体と混合されている吐出媒体と共に押し出して、定量媒体と吐出媒体を第1及び第2のノズルの面内方向に混合吐出するようなプリントヘッドが挙げられる。そして、このようなプリンタ装置においては、インク或いは希釈液の何れかである定量媒体の量を変化させて、インクと希釈液の混合比率を変化させることによりドットの濃度を変化させて自然画像をプリントアウトする。なお、上記定量媒体及び吐出媒体は、どちらか一方がインクであり、残りの一方が希釈液であれば良い。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、インクと希釈液を混合吐出するプリンタ装置においては、画像データに応じた諧調を正確に表現するために、インクと希釈液の混合比率を正確に制御する必要がある。そして、このためには、インクと希釈液の混合が行われない状態、すなわち待機状態において、インクと希釈液が確実に分離されている必要がある。もし、待機状態においてインクと希釈液が接していると、インクと希釈液がそれぞれ導入されるノズルにインク及び希釈液が互いに流れ込み、次のドットにおけるインクと希釈液の混合比率に大きく影響し、諧調を正確に表現することが不可能となり、高解像度の記録画像の形成は難しい。
【0012】
そこで、このようにインクと希釈液を混合吐出するプリンタ装置においては、少なくとも定量ノズル開口部と吐出ノズル開口部とに挟まれる領域に、撥液性をもたせることが望まれる。
【0013】
また、前述のインクのみを吐出するプリンタ装置においても、吐出ノズルの開口部周辺にインクが付着してしまうと、吐出方向の不安定状態をもたらすこととなり、高解像度の記録画像の形成が難しくなるため、ノズル開口部の周辺には、撥液性をもたせることが望まれる。このことは、上述のインクと希釈液を混合吐出するプリンタ装置においても同様である。
【0014】
この撥液性を有する材質としては、一般的にポリテトラフルオルエチレン等が挙げられ、上記のようなプリンタ装置においては、ノズル開口部周辺にこのような材質を配するようにしている。
【0015】
ところで、上述したようなプリンタ装置においては、ノズルの形状、特に開口部近傍の形状が吐出方向に大きな影響を及ぼし、印字品質に多大な影響を及ぼすことから、ノズルの形成をエキシマレーザによるアブレーション加工により行うのが一般的である。
【0016】
しかしながら、上記ポリテトラフルオルエチレンは、エキシマレーザによるアブレーション加工を行うことが不可能である。そこで、このようなポリテトラフルオルエチレンを使用する場合には、例えば特開平6−328698号公報に示されるごとく、ポリテトラフルオルエチレン中にエキシマレーザの波長域の光を吸収するような材質を分散させたものを使用し、エキシマレーザによるアブレーション加工にてノズルを形成するようにしている。しかし、上記特開平6−328698号公報に示すような方法を用いると、エキシマレーザを用いた加工性と、撥液性とを両立させることは難しく、どちらかの性質をある程度犠牲にしなければならないと
いう不都合が生じる。また、上記のようなポリテトラフルオルエチレンにおいては、膜厚があまり厚いと、エキシマレーザ加工にてノズルを形成した場合の加工性が低下してしまい、バリ等が発生する可能性が高く、好ましくない。
【0017】
ところが、エキシマレーザを用いたアブレーション加工を実際に行おうとすると、ガスの管理、光学系の管理等が煩雑で、しかも消耗品が多く、コストが非常に高くなってしまう。そこで、上記のようなプリンタ装置のプリントヘッドのノズルを形成する場合には、このエキシマレーザによるアブレーション加工をできるだけ短時間とするべく、上記特開平6−328698号公報中に示されるように、射出成形とエキシマレーザによるアブレーション加工を組み合わせてノズルを形成するようにしている。すなわち、ポリサルフォン等の樹脂を用いて、射出成形によりノズルの大半を予め形成しておき、この上に上記のような撥液性を有する材料よりなる膜を形成し、この後、ポリサルフォン及び撥液性を有する膜を貫通し、液滴の吐出方向に大きく影響するノズル開口部近傍をエキシマレーザによるアブレーション加工により形成するようにしている。
【0018】
なお、このようにポリサルフォンを使用する場合には、ポリサルフォンの耐熱性が180℃程度であることから、撥液性を有する膜を形成する材料としては重合形成温度が150℃程度のものしか使用できず、しかも前述のようにエキシマレーザの波長域の光を吸収する材質が分散されたポリテトラフルオルエチレンに限定されることから、使用可能な材料がかなり限定されてしまい、生産性はあまり良好ではない。
【0019】
また、このようにポリサルフォンを使用した場合には、やはり耐熱温度が低いことから、ノズル形成後に他の部材を接着する工程においても様々な制約を受け、生産性はあまり良好ではない。
【0020】
そこで本発明は、従来の実情に鑑みて提案されたものであり、ノズル開口部周辺の撥液性が確保されていて高解像度の記録画像形成が可能であり、エキシマレーザによるアブレーション加工にてノズルの形成が可能で、生産性も良好なプリンタ装置を提供するとともに、撥液性を有する膜を形成する材料の選択の幅が広く、射出成形等の手法を組み合わせてノズルを形成することが可能とされ、生産性が良好なプリンタ装置を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために本発明者等は鋭意検討した結果、プリンタ装置のプリントヘッドを構成する材料としてポリベンゾイミダゾールを使用すれば、撥液性を確保するとともに、エキシマレーザによるアブレーション加工が可能となり、かつ撥液性を有する膜を形成する材料の選択の幅が広がり、射出成形等の手法を組み合わせてノズルを形成することが可能となることを見い出した。
【0022】
また、本発明のプリンタ装置は、吐出媒体が導入される第1の圧力室と、定量媒体が導入される第2の圧力室とを有し、上記第1の圧力室に連通する第1のノズル及び第2の圧力室に連通する第2のノズルとを互いに隣合うように開口して有するプリントヘッドのノズル開口面側の少なくともノズル開口部周辺及び/又はノズル形成部分がポリベンゾイミダゾールよりなることを特徴とするものである。
【0023】
上記プリントヘッドのノズル開口面側のノズル開口部周辺を形成するポリベンゾイミダゾールとしては、種々のものが挙げられるが、下記化5に示すような構造を有するものが好ましい。
【0024】
【化5】
【0025】
さらに、上記ポリベンゾイミダゾールとしては、湿度76%RHの環境下に24時間放置した場合の吸水率が4.0%以下のものであることが好ましい。
【0026】
なお、このようなポリベンゾイミダゾールとしては、ヘキスト(株)社製のセラゾール塗工用グレード:PBIマトリックスレジンソリュージョン:NPBI(商品名)等が挙げられる。
【0027】
そして、この場合、プリントヘッドのノズル形成部分、すなわちプリントヘッドのノズル開口面側のノズル開口部周辺の上記ポリベンゾイミダゾールにより形成される部分以外の部分が、ポリイミドにより形成されていても良い。
【0028】
一方、プリントヘッドのノズル形成部分、すなわちプリントヘッドのノズル開口面側のノズル開口部周辺以外の部分を形成するポリベンゾイミダゾールとしても種々のものが挙げられるが、下記化6に示すような構造を有するものが好ましい。
【0029】
【化6】
【0030】
このようにプリントヘッドのノズル形成部分をポリベンゾイミダゾールにより形成する場合には、ノズル形成部分が少なくとも圧縮成形を含んだ手法或いは少なくとも射出成形を含んだ手法により形成されることが好ましい。
【0031】
なお、このようなポリベンゾイミダゾールとしては、ヘキスト(株)社製のポリベンゾイミダゾールU−60,TU−60(何れも商品名)等が挙げられる。
【0032】
さらに、このようにプリントヘッドのノズル形成部分をポリベンゾイミダゾールにより形成する場合には、プリントヘッドのノズル開口面側の少なくともノズル開口部周辺を150℃以上の温度で重合形成された材料により形成しても良い。
【0033】
また、上記材料の代わりに、フッ素系高分子を分散させたポリイミド系高分子を使用しても良く、このフッ素系高分子としては、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体樹脂が好ましい。
【0034】
さらに、本発明のプリンタ装置においては、プリントヘッドのノズル開口面側の少なくともノズル開口部周辺及びノズル形成部分の両者がポリベンゾイミダゾールにより形成されていても良く、これらポリベンゾイミダゾールとしては、上述のものが使用可能である。
【0035】
そして、これら本発明のプリンタ装置においては、ノズルの少なくとも開口部近傍がレーザ加工、さらに好ましくはエキシマレーザを用いたアブレーション加工により形成されていることが好ましい。
【0036】
本発明のプリンタ装置においては、プリントヘッドのノズル開口面側の少なくともノズル開口部周辺にポリベンゾイミダゾールを配しており、ノズル開口部周辺の撥液性が確保される。また、ポリベンゾイミダゾールがエキシマレーザを用いたアブレーション加工に適した材料であることから、本発明のプリンタ装置においては、エキシマレーザを用いたアブレーション加工によるノズル形成が可能である。
【0037】
さらに、本発明のプリンタ装置においては、プリントヘッドのノズル形成部分、すなわちプリントヘッドのノズル開口面側のノズル開口部周辺以外の部分をポリベンゾイミダゾールやポリイミドにより形成しており、これらの耐熱性が高いことから、ノズル開口部周辺に150℃以上の比較的高温での重合形成を必要とする材料を配することも可能である。また、これらの材質もエキシマレーザを用いたアブレーション加工に適した材料であることから、本発明のプリンタ装置においては、エキシマレーザを用いたアブレーション加工によるノズル形成が可能である。さらに、ポリベンゾイミダゾールを使用した場合には、これが圧縮成形或いは射出成形に適した材質であることから、ノズル形成をこれらの方法を含んだ方法により行うことも可能である。
【0038】
また、本発明のプリンタ装置においては、プリントヘッドのノズル開口面側の少なくともノズル開口部周辺及びノズル形成部分の両者をポリベンゾイミダゾールにより形成してもよく、このようにすれば、ノズル開口部周辺のポリベンゾイミダゾールとして300℃程度の比較的高温での重合形成を要するものを使用することも可能である。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明す
る。
【0040】
先ず、吐出媒体としてインクのみを吐出する本発明の前提となるプリンタ装置の例について述べる。
【0041】
本例のプリンタ装置は、図1に示すように、ノズル1、インク圧力室2、インク供給流路3、さらにはインク供給口4が形成されているオリフィスプレート部材5と、少なくとも上記インク圧力室2に対応する位置に配される圧力素子6により主に構成されるプリントヘッドを有するものであり、この他に駆動装置や制御装置等も有していることは言うまでもない。
【0042】
上記オリフィスプレート部材5は、インク圧力室2を形成する第1の凹部7、インク供給流路3を形成し、第1の凹部7よりも深さが浅い第2の凹部8、インク供給口4を形成し、第2の凹部8よりも深さが深い第3の凹部9が、連続して一主面10a側に開口して形成され、かつ第1の凹部7の底面側から一主面10aの裏面10bにわたる貫通孔であるノズル1が形成される基板10と、一主面10a側に配され、上記各凹部を覆う蓋部材としての機能を兼ね備える振動板11により構成される。
【0043】
上記各凹部は、例えば断面略コ字状、略U字状の溝部として形成すれば良く、ノズル1は、例えば裏面10b側に向かうに従って細くなる断面円形、或いは楕円、矩形状の貫通孔として形成すれば良い。
【0044】
すなわち、第3の凹部9と振動板11間の空間がインク供給口4となり、第2の凹部8と振動板11間の空間がインク供給流路3となり、第1の凹部7と振動板11間の空間がインク圧力室2となり、これらは連続した空間として形成され、さらにこれにノズル1も連続して形成されることとなる。なお、振動板11の第3の凹部9に対応する部分の一部には開口部12が形成されている。
【0045】
そして、上記インク供給口4の開口部12には、図示しない外部のインクタンクよりインクを供給するためのインク供給管13が接続されている。
【0046】
従って、外部のインクタンクよりインク14はインク供給管13を介してインク供給口4に供給され、このインク供給口4からインク供給流路3、インク圧力室2、ノズル1へと充填されることとなる。
【0047】
また、上記振動板11は、インク圧力室2に対応する部分が変位し易いように、その一部に切り込みを入れた部材として配されている。
【0048】
さらに、上記圧力素子6としては、積層ピエゾ素子等が挙げられ、本例においては積層ピエゾ素子を使用した例を示している。この圧力素子6は、上述のように振動板11上のインク圧力室2に対応する部分に圧力素子6の長手方向が振動板11に直交するように配され、反対側が支持体15により固定されている。
【0049】
上記圧力素子6を構成する積層ピエゾ素子は、電圧の印加に応じて長手方向に伸縮する。このとき、一端側が支持体15により固定されているため、圧力素子6が伸長すると、図中矢印Pで示すような方向に振動板11が押圧される。そして、これに伴ってインク圧力室2のインク14に圧力が加わり、インク14はノズル1から吐出される。なお、このとき、インク供給流路3はインク圧力室2よりも狭いことからインク14がインク供給口4側に大量に逆流することはない。
【0050】
本例のプリンタ装置により印刷を行う場合には、圧力素子6によりインク圧力室2内のインク14を加圧し、ノズル1からインク14を図示しない被記録材に向けて吐出するようにすれば良く、諧調はドットの大きさやマトリクスにより表現すれば良い。
【0051】
そして、本例のプリンタ装置のプリントヘッドにおいては、図2に拡大して示すように、オリフィスプレート部材5のノズル1の開口面、すなわち基板10のノズル1の開口面となる裏面10b側の少なくともノズル1開口部周辺に撥液膜膜16が配されている。なお、本例のプリンタ装置においては、図1にも示すように撥液膜16が裏面10b側の全面にわたって配されている。
【0052】
この撥液膜16は、ポリベンゾイミダゾールにより形成されることが好ましい。このようなポリベンゾイミダゾールとしては、種々のものが挙げられるが、下記化7に示すような構造を有するものが好まし
い。
【0053】
【化7】
【0054】
さらに、上記ポリベンゾイミダゾールとしては、湿度76%RHの環境下に24時間放置した場合の吸水率が4.0%以下のものであることが好ましい。
【0055】
そして、このようなポリベンゾイミダゾールとしては、ヘキスト(株)社製のセラゾール塗工用グレード:PBIマトリックスレジンソリュージョン:NPBI(商品名)等が挙げられる。
【0056】
また、上記のようなプリンタ装置においては基板10はポリイミド或いは上記のポリベンゾイミダゾールとは異なる種類のポリベンゾイミダゾールにより形成されることが好ましい。この基板10を形成するポリベンゾイミダゾールとしては、種々のもzが挙げられるが、下記化8に示すような構造を有するものが好ましい。
【0057】
【化8】
【0058】
このように基板10をポリベンゾイミダゾールにより形成する場合には、基板10のノズル部分が少なくとも圧縮成形を含んだ手法或いは少なくとも射出成形を含んだ手法により形成されることが好ましい。
【0059】
なお、このようなポリベンゾイミダゾールとしては、ヘキスト(株)社製のポリベンゾイミダゾールU−60,TU−60(何れも商品名)等が挙げられる。
【0060】
さらに、このように基板10をポリベンゾイミダゾールにより形成する場合には、撥液膜16を上述のポリベンゾイミダゾールの他、150℃以上の温度で重合形成された材料により形成しても良い。
【0061】
また、上記材料の代わりに、フッ素系高分子を分散させたポリイミド系高分子を使用しても良く、このフッ素系高分子としては、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体樹脂が好ましい。
【0062】
本例のプリンタ装置においては、プリントヘッドのノズル1開口面側の少なくともノズル1開口部周辺に撥液性を有する撥液膜16が形成されていることから、ノズル1開口部周辺における撥液性が確保され、余分なインクの付着等が防止されることとなり、吐出の安定性が高まり、高解像度の画像形成が可能となる。
【0063】
次に、上述のようなプリンタ装置の製造方法について述べる。なお、ここでは、プリントヘッドの製造方法についてのみ述べる。先ず、図3に示すような、第1の凹部7、第2の凹部8、第3の凹部9が一主面10a側に臨んで開口して形成される基板10を製造する。なお、これら第1の凹部7、第2の凹部8、第3の凹部9は連続して形成されており、これらの形状は前述の通りである。この基板10の製造方法としては、射出成形法或いは圧縮成形法等が挙げられ、これを形成する材料としては、この種のプリンタ装置に使用される材料であれば、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルイミド等何れでも良いが、前述の撥液膜16を形成するポリベンゾイミダゾールとは異なる種類のポリベンゾイミダゾール或いはポリイミド等が好ましく、ここではポリベンゾイミダゾール或いはポリイミドを使用した例について述べる。
【0064】
なお、上記ポリベンゾイミダゾールにおいては、下記化9に示すような構造を有することが好ましく、例えば、ヘキスト(株)社製の圧縮成形に適したU−60(商品名),射出成形に適したTU−60(商品名)等が挙げられる。
【0065】
【化9】
【0066】
上記ポリベンゾイミダゾールは、濡れ性が良好で、かつエキシマレーザを用いたアブレーション加工特性に優れており、後述のノズル形成が容易であるとともに、形成されたノズル内には気泡混入がされ難い。
【0067】
一方、ポリイミドとしては、射出成形グレードのものであれば良く、例えば三井東圧化学(株)社製のポリイミド等が挙げられる。
【0068】
次に、図4に示すように、基板10の一主面10aの反対側の裏面10b上に撥液膜16を形成する。このとき、上記撥液膜16は、下記化10に示すような構造を有し、湿度76%RHの環境下に24時間放置した場合の吸水率が4.0%以下のものポリベンゾイミダゾールを塗布して形成することが好ましい。
【0069】
【化10】
【0070】
そして、このようなポリベンゾイミダゾールとしては、ヘキスト(株)社製のセラゾール塗工用グレード:PBIマトリックスレジンソリュージョン:NPBI(商品名)等が挙げられる。
【0071】
このヘキスト(株)社製のセラゾール塗工用グレード:PBIマトリックスレジンソリュージョン:NPBI(商品名)は、ポリベンゾイミダゾールをN,N−ジメチルアセトアミド溶剤中に、樹脂濃度が10wt%程度となるように分散させたもので、粘度が300±50cpの液体であり、これを基板10上に配する方法としては、スプレーを用いて吹き付けて塗布する、あるいはディッピングにより塗布する、さらには静電塗装方法などにより塗装した後、300℃以上の温度下にて30分以上の焼成工程を行う方法が挙げられる。その結果、室温から200℃程度の広い温度範囲において非粘着性を有する撥水膜を形成することができる。
【0072】
また、上述のような条件を満たすポリベンゾイミダゾールをN,N−ジメチルアセトアミド溶剤中に、樹脂濃度が10wt%程度となるように分散させて、上述と同様にして基板10上に配するようにしても良い。
【0073】
本例のように、基板10の材質として、上記撥液膜16を形成するポリベンゾイミダゾールとは異なる種類のポリベンゾイミダゾール或いはポリイミド材質を使用すれば、基板の材質として、ポリサルフォンおよびポリエーテルサルフォンを用いた場合においては、実施不可能であった300℃以上の焼成工程を行うことができる。
【0074】
次に、図5に示すように、基板10の第1の凹部7の底面から当該基板10及び撥液膜16を貫通するノズル1をエキシマレーザ加工機を用いて形成する。本例のプリンタ装置においては、基板10を形成するポリベンゾイミダゾール或いはポリイミド、撥液膜16を形成するポリベンゾイミダゾールの何れもがエキシマレーザによるアブレーション加工が可能な材料であるため、このようにノズル1をエキシマレーザによるアブレーション加工で形成することが可能である。従って、本例のプリンタ装置においては、ノズル形成工程が簡素化され、生産性が良好となる。
【0075】
また、これらポリベンゾイミダゾールおよびポリイミドにおけるエキシマレーザによるアブレーション加工特性が非常に優れていることから、上記ノズル1は、バリ等の発生および剥がれの発生などの工程不良を発生することなく形成され、製造歩留まりも向上し、このことからも本例のプリンタ装置においては生産性が良好となる。
【0076】
次に、図6に示すように、基板10の各凹部開口面である一主面10a側に蓋部材として機能する振動板11を配し、第3の凹部9と振動板11間の空間をインク供給口4とし、第2の凹部8と振動板11間の空間をインク供給流路3とし、第1の凹部7と振動板11間の空間をインク圧力室2とする。そして、これらは連続した空間として形成され、さらにこれにノズル1も連続して形成されることとなる。なお、上記振動板11の第3の凹部9に対応する位置の一部に開口部12が形成され、インク供給口4の一部が開口していることは言うまでもない。
【0077】
また、この振動板11においては、インク圧力室2に対応する位置が変位し易いように、その一部に切り込みが入れられていることは言うまでもない。
【0078】
さらに、上記振動板11上のインク圧力室2に対応する部分に積層ピエゾ素子である圧力素子6を配する。この圧力素子6の反対側が支持体15により支持されていることは言うまでもない。
【0079】
また、開口部12に接続されるようにインク供給管13を配し、プリントヘッドを完成する。
【0080】
上述の例においては、所定の凹部を有する基板10を射出成形等の手段により形成する例について述べたが、この基板10の代わりに金属板にポリイミド等よりなる高分子フィルムを貼り合わせたものを使用して製造するようにしても良い。ただし、ここでは基板の構造が若干異なる例を示す。すなわち、図7に示すように、金属板21の一主面21a側に高分子フィルム22を貼り合わせ、これらによりインク圧力室を構成する第1の凹部27、インク供給口を構成する第3の凹部29、第1の凹部27と第3の凹部29を接続するインク供給流路23を構成し、基板とする。
【0081】
このような金属板21は、例えばステンレス鋼等により形成すれば良く、高分子フィルム22はポリイミドフィルム等とすれば良い。なお、上記ポリイミドフィルムにおいては、このフィルムにノズルが形成されることから、ある程度濡れ性を有することが好ましく、また、エキシマレーザを用いたアブレーション加工性が良好であることが好ましい。このようなポリイミドフィルムとしては、例えば東レ・デュポン(株)社製のカプトンフィルム(商品名)が挙げられる。そして、これらの間をガラス転移温度の低い塗布型のポリイミド材料により貼り合わせるようにするのが好ましい。このようなポリイミド材料としては、三井東圧化学(株)社製のネオフレックス(商品名:ガラス転移点200℃)等が挙げられる。
【0082】
また、上記高分子フィルム22としては、下記化11に示すような構造を有するポリベンゾイミダゾール等のフィルム或いは極薄い板材を使用しても良い。
【0083】
【化11】
【0084】
なお、このようにして形成された金属板21と高分子フィルム22よりなる基板は、前述の一体成形の基板に耐薬品性で劣ることはない。
【0085】
次に、図8に示すように、高分子フィルム22上に撥液膜26を形成する。このとき、上記撥液膜26は、前述の撥液膜16と同様に、下記化12に示すような構造を有し、湿度76%RHの環境下に24時間放置した場合の吸水率が4.0%以下のポリベンゾイミダゾールを塗布して形成することが好ましい。
【0086】
【化12】
【0087】
そして、このようなポリベンゾイミダゾールとしては、ヘキスト(株)社製のセラゾール塗工用グレード:PBIマトリックスレジンソリュージョン:NPBI(商品名)等が挙げられる。
【0088】
このヘキスト(株)社製のセラゾール塗工用グレード:PBIマトリックスレジンソリュージョン:NPBI(商品名)は、ポリベンゾイミダゾールをN,N−ジメチルアセトアミド溶剤中に、樹脂濃度が10wt%程度となるように分散させたもので、粘度が300±50cpの液体であり、これを高分子フィルム22上に配する方法としては、スプレーを用いて吹き付けて塗布する、あるいはディッピングにより塗布する、さらには静電塗装方法などにより塗装した後、300℃以上の温度下にて30分以上の焼成工程を行う方法が挙げられる。その結果、室温から200℃程度の広い温度範囲において非粘着性を有する撥水膜を形成することができる。
【0089】
また、上述のような条件を満たすポリベンゾイミダゾールをN,N−ジメチルアセトアミド溶剤中に、樹脂濃度が10wt%程度となるように分散させて、上述と同様にして高分子フィルム22上に配するようにしても良い。
【0090】
本例のように、基板の材質として、上記撥液膜26を形成するポリベンゾイミダゾールとは異なる種類のポリベンゾイミダゾール或いはポリイミドを使用すれば、基板の材質として、ポリサルフォンおよびポリエーテルサルフォンを用いた場合においては、実施不可能であった300℃以上の焼成工程を行うことができる。
【0091】
次に、図9に示すように、金属板21の第1の凹部27の底面から高分子フィルム22及び撥液膜26を貫通するノズル31をエキシマレーザ加工機を用いて形成する。本例のプリンタ装置においては、高分子フィルム22を形成するポリベンゾイミダゾール或いはポリイミド、撥液膜26を形成するポリベンゾイミダゾールの何れもがエキシマレーザによるアブレーション加工が可能な材料であるため、このようにノズル31をエキシマレーザによるアブレーション加工で形成することが可能である。従って、本例のプリンタ装置においては、ノズル形成工程が簡素化され、生産性が良好となる。
【0092】
また、これらポリベンゾイミダゾール及びポリイミドにおけるエキシマレーザによるアブレーション加工特性が非常に優れていることから、上記ノズル31は、バリ等の発生および剥がれの発生などの工程不良を発生することなく形成され、製造歩留まりも向上し、このことからも本例のプリンタ装置においては生産性が良好となる。
【0093】
続いて、前述のように振動板、インク供給管、圧力素子等を配してプリントヘッドを完成する。
【0094】
従って、本例のプリンタ装置においては、プリントヘッドのノズル開口面側の少なくともノズル開口部周辺に撥液性を有するポリベンゾイミダゾールが形成されており、ノズル開口部周辺の撥液性が確保されることから、インクの吐出安定性が確保され、高品位な記録画像の形成が可能となる。また、上記ポリベンゾイミダゾールがエキシマレーザを用いたアブレーション加工に適した材料であることから、本例のプリンタ装置においては、エキシマレーザを用いたアブレーション加工によるノズル形成が可能であり、製造工程が簡素化され、生産性が良好となる。
【0095】
さらに、本例のプリンタ装置においては、プリントヘッドのノズル形成部分、すなわちプリントヘッドのノズル開口面側のノズル開口部周辺の上記ポリベンゾイミダゾールにより形成される部分以外の部分が、上記ポリベンゾイミダゾールとは異なる種類のポリベンゾイミダゾール或いはポリイミドにより形成されているため、これらをエキシマレーザによるアブレーション加工にて加工してノズルを形成することが可能であり、製造工程が簡素化され、生産性が良好となる。
【0096】
また、これら材料のエキシマレーザによるアブレーション加工特性が非常に優れていることから、ノズルがバリ等の発生および剥がれの発生などの工程不良を発生することなく形成され、製造歩留まりも向上し、このことからも本例のプリンタ装置においては生産性が良好となる。
【0097】
次に、インクと希釈液を混合吐出するプリンタ装置に本発明を適用した例について述べる。なお、このようなプリンタ装置のうち、インクを定量側とし、希釈液を吐出側とするものを特に、キャリアジェット方式のプリンタ装置と称する。
【0098】
本例のプリンタ装置は、図10に示すように、第1のノズル41、吐出媒体圧力室42、吐出媒体供給流路43、吐出媒体供給口44と、第2のノズル61、定量媒体圧力室62、定量媒体供給流路63、定量媒体供給口64が形成されているオリフィスプレート部材45と、少なくとも上記吐出媒体圧力室42及び定量媒体圧力室62に対応する位置にそれぞれ配される第1の圧力素子46及び第2の圧力素子66により主に構成されるプリントヘッドを有するものであり、この他に駆動装置や制御装置を有することは言うまでもない。
【0099】
上記オリフィスプレート部材45は、圧力室やノズル等を形成する凹部を有する基板50と上記各凹部を塞ぐ蓋部材としての機能を兼ね備える振動板51により構成される。
【0100】
上記基板50には、吐出媒体圧力室42を形成する第1の凹部47、吐出媒体供給流路43を形成し、第1の凹部47よりも深さが浅い第2の凹部48、吐出媒体供給口44を形成し、第2の凹部48よりも深さが深い第3の凹部49が、連続して一主面50a側に開口して形成され、かつ第1の凹部47の底面側から一主面50aの裏面50bにわたり、基板50の厚さ方向に形成される貫通孔である第1のノズル41が形成されている。
【0101】
さらに、上記基板50には、定量媒体圧力室62を形成する第4の凹部67、定量媒体供給流路63を形成し、第4の凹部67よりも深さが浅い第5の凹部68、定量媒体供給口64を形成し、第5の凹部68よりも深さが深い第6の凹部69が、連続して一主面50a側に開口して形成され、かつ第4の凹部67の底面側から一主面50aの裏面50bにわたって基板50の厚さ方向に対して斜め方向に形成される貫通孔である第2のノズル61が形成されている。
【0102】
そして、上記第1のノズル41と第2のノズル61は裏面50bにおいて開口部が隣合うように形成されており、これら第1及び第2のノズル41,61を挟むようにして吐出及び定量媒体圧力室42,62、吐出及び定量媒体供給流路43,63、吐出及び定量媒体供給口44,64が順次形成されていることとなる。
【0103】
上記各凹部は、例えば断面略コ字状、略U字状の溝部として形成すれば良く、第1及び第2のノズル41,61は、例えば裏面50b側に向かうに従って細くなる断面円形、或いは楕円、矩形状の貫通孔として形成すれば良い。
【0104】
すなわち、第3の凹部49と振動板51間の空間が吐出媒体供給口44となり、第2の凹部48と振動板51間の空間が吐出媒体供給流路43となり、第1の凹部47と振動板51間の空間が吐出媒体圧力室42となり、これらは連続した空間として形成され、さらにこれに第1のノズル41も連続して形成されることとなる。なお、振動板51の第3の凹部49に対応する部分の一部には開口部52が形成されている。
【0105】
そして、上記吐出媒体供給口44の開口部52には、図示しない外部の吐出媒体タンクより吐出媒体を供給するための吐出媒体供給管53が接続されている。
【0106】
従って、外部の吐出媒体タンクより吐出媒体54は吐出媒体供給管53を介して吐出媒体供給口44に供給され、この吐出媒体供給口44から吐出媒体供給流路43、吐出媒体圧力室42、第1のノズル41へと充填されることとなる。
【0107】
一方、第6の凹部69と振動板51間の空間が定量媒体供給口64となり、第5の凹部68と振動板51間の空間が定量媒体供給流路63となり、第4の凹部67と振動板51間の空間が定量媒体圧力室62となり、これらは連続した空間として形成され、さらにこれに第2のノズル61も連続して形成されることとなる。なお、振動板51の第6の凹部69に対応する部分の一部には開口部72が形成されている。
【0108】
そして、上記定量媒体供給口64の開口部72には、図示しない外部の定量媒体タンクより定量媒体を供給するための定量媒体供給管73が接続されている。
【0109】
従って、外部の定量媒体タンクより定量媒体74は定量媒体供給管73を介して定量媒体供給口64に供給され、この定量媒体供給口64から定量媒体供給流路63、定量媒体圧力室62、第2のノズル61へと充填されることとなる。
【0110】
また、上記振動板51は、吐出媒体圧力室42及び定量媒体圧力室62に対応する部分が変位し易いように、その一部に切り込みを入れた部材として配されている。
【0111】
さらに、上記第1及び第2の圧力素子46,66としては、積層ピエゾ素子等が挙げられ、本例においては積層ピエゾ素子を使用した例を示している。この第1の圧力素子46は、上述のように振動板51上の吐出媒体圧力室42に対応する部分に当該第1の圧力素子46の長手方向が振動板51に直交するように配され、反対側が支持体55により固定されている。他方の第2の圧力素子66も同様であり、上述のように振動板51上の定量媒体圧力室62に対応する部分に同様に配され、反対側が支持体75により固定されている。
【0112】
上記第1及び第2の圧力素子46,66を構成する積層ピエゾ素子は、電圧の印加に応じて長手方向に伸縮する。このとき、一端側が支持体55,75により固定されているため、第1及び第2の圧力素子46,66が伸長すると、図中矢印P1,P2で示すような方向に振動板51が押圧される。そして、これに伴って吐出媒体圧力室42の吐出媒体54及び定量媒体圧力室62の定量媒体74に圧力が加わり、吐出媒体54は第1のノズル41から定量媒体74は第2のノズル61から押し出される。なお、このとき、吐出及び定量媒体供給流路43,63は吐出及び定量媒体圧力室42,62よりも狭いことから吐出及び定量媒体54,74が吐出及び定量媒体供給口44,64側に大量に逆流することはない。
【0113】
本例のプリンタ装置により印刷を行う際には、先ず、第2の圧力素子66により定量媒体圧力室62内の定量媒体74を加圧して第2のノズル61より所定量の定量媒体74を第1のノズル41側に向けて押し出し、第1のノズル41の開口近傍に供給し、この開口近傍において吐出媒体54と混合させる。なお、このとき第2の圧力素子66に印加する電圧の強弱或いはパルス幅等により定量媒体74の押し出し量が制御される。
【0114】
次に、第1の圧力素子46により吐出媒体圧力室42内の吐出媒体54を加圧し、吐出媒体54とともに第1のノズル41の開口近傍の定量媒体74と吐出媒体54の混合液を図示しない被記録材に向けて吐出する。そして、諧調は定量媒体74の押し出し量を変化させてドットの濃度を変化させて表現すれば良い。なお、吐出媒体54及び定量媒体74としては、何れか一方がインクであり、他方が希釈液とされていれば良く、インクを定量媒体74としたときには、希釈液の量を一定とした状態でインクの量を変化させてドットの濃度を変化させ、希釈液を定量媒体74としたときには、インクの量を一定とした状態で希釈液の量を変化させてドットの濃度を変化させれば良い。
【0115】
そして、本例のプリンタ装置のプリントヘッドにおいては、図11に拡大して示すように、オリフィスプレート部材45の第1及び第2のノズル41,61の開口面、すなわち基板50の第1及び第2のノズル41,61の開口面となる裏面50b側の少なくとも第1及び第2のノズル41,61開口部周辺に撥液膜56が配されている。なお、本例のプリンタ装置においては、図10にも示すように撥液膜56が裏面50b側の全面にわたって配されている。
【0116】
この撥液膜56はポリベンゾイミダゾールにより形成されることが好ましい。このようなポリベンゾイミダゾールとしては、種々のものが挙げられるが、下記化13に示すような構造を有するものが好ましい。
【0117】
【化13】
【0118】
さらに、上記ポリベンゾイミダゾールとしては、湿度76%RHの環境下に24時間放置した場合の吸水率が4.0%以下のものであることが好ましい。
【0119】
そして、このようなポリベンゾイミダゾールとしては、ヘキスト(株)社製のセラゾール塗工用グレード:PBIマトリックスレジンソリュージョン:NPBI(商品名)等が挙げられる。
【0120】
また、上記のようなプリンタ装置においては基板50はポリイミド或いは上記のポリベンゾイミダゾールとは異なる種類のポリベンゾイミダゾールにより形成されることが好ましい。この基板50を形成するポリベンゾイミダゾールとしては、種々のものが挙げられるが、下記化14に示すような構造を有するものが好ましい。
【0121】
【化14】
【0122】
このように基板50をポリベンゾイミダゾールにより形成する場合には、基板50のノズル部分が少なくとも圧縮成形を含んだ手法或いは少なくとも射出成形を含んだ手法により形成されることが好ましい。
【0123】
なお、このようなポリベンゾイミダゾールとしては、ヘキスト(株)社製のポリベンゾイミダゾールU−60,TU−60(何れも商品名)等が挙げられる。
【0124】
さらに、このように基板50をポリベンゾイミダゾールにより形成する場合には、撥液膜56を上述のポリベンゾイミダゾールの他、150℃以上の温度で重合形成された材料により形成しても良い。
【0125】
また、上記材料の代わりに、フッ素系高分子を分散させたポリイミド系高分子を使用しても良く、このフッ素系高分子としては、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体樹脂が好ましい。
【0126】
本例のプリンタ装置においては、プリントヘッドの第1及び第2のノズル41,61開口面側の少なくとも第1及び第2のノズル41,61開口部周辺に撥液性を有する撥液膜56が形成されていることから、第1及び第2のノズル41,61開口部周辺における撥液性が確保される。すなわち、インクと希釈液の混合が行われない待機状態において、インクと希釈液が確実に分離され、ドット毎のインクと希釈液の混合比率が正確に制御され、画像データに応じた諧調を正確に表現することが可能であり、高解像度の記録画像の形成が可能となる。
【0127】
また、本例のプリンタ装置においても、前述のインクのみを吐出するプリンタ装置と同様に、吐出安定性が高まり、このことからも高解像度の記録画像の形成が可能となる。
【0128】
次に、上述のようなプリンタ装置の製造方法について述べる。なお、ここでは、プリントヘッドの製造方法についてのみ述べる。先ず、図12に示すように、第1の凹部47、第2の凹部48、第3の凹部49、第4の凹部67、第5の凹部68、第6の凹部69が一主面50a側に臨んで開口して形成される基板50を製造する。なお、これら第1の凹部47、第2の凹部48、第3の凹部49は連続して形成されており、これらの形状は前述の通りである。また、第4の凹部67、第5の凹部68、第6の凹部69も連続して形成されており、これらの形状は前述の通りである。この基板50の製造方法としては、射出成形法或いは圧縮成形法等が挙げられ、これを形成する材料としては、この種のプリンタ装置に使用される材料であれば、何れでも良いが、前述の撥液膜56を形成するポリベンゾイミダゾールとは異なる種類のポリベンゾイミダゾール或いはポリイミド等が好ましく、ここではポリベンゾイミダゾール或いはポリイミドを使用した例について述べる。
【0129】
なお、上記ポリベンゾイミダゾールにおいては、下記化15に示すような構造を有することが好ましく、例えば、ヘキスト(株)社製の圧縮成形に適したU−60(商品名),射出成形に適したTU−60(商品名)等が挙げられる。
【0130】
【化15】
【0131】
上記ポリベンゾイミダゾールは、濡れ性が良好で、かつエキシマレーザを用いたアブレーション加工特性に優れており、後述のノズル形成が容易であるとともに、形成されたノズル内には気泡混入がされ難い。
【0132】
一方、ポリイミドとしては、射出成形グレードのものであれば良く、例えば三井東圧化学(株)社製のポリイミド等が挙げられる。
【0133】
次に、図13に示すように、基板50の一主面50aの反対側の裏面50b上に撥液膜56を形成する。このとき、上記撥液膜56は、下記化16に示すような構造を有し、湿度76%RHの環境下に24時間放置した場合の吸水率が4.0%以下のポリベンゾイミダゾールを塗布して形成することが好ましい。
【0134】
【化16】
【0135】
そして、このようなポリベンゾイミダゾールとしては、ヘキスト(株)社製のセラゾール塗工用グレード:PBIマトリックスレジンソリュージョン:NPBI(商品名)等が挙げられる。
【0136】
このヘキスト(株)社製のセラゾール塗工用グレード:PBIマトリックスレジンソリュージョン:NPBI(商品名)は、ポリベンゾイミダゾールをN,N−ジメチルアセトアミド溶剤中に、樹脂濃度が10wt%程度となるように分散させたもので、粘度が300±50cpの液体であり、これを基板50上に配する方法としては、スプレーを用いて吹き付けて塗布する、あるいはディッピングにより塗布する、さらには静電塗装方法などにより塗装した後、300℃以上の温度下にて30分以上の焼成工程を行う方法が挙げられる。その結果、室温から200℃程度の広い温度範囲において非粘着性を有する撥水膜を形成することができる。
【0137】
また、上述のような条件を満たすポリベンゾイミダゾールをN,N−ジメチルアセトアミド溶剤中に、樹脂濃度が10wt%程度となるように分散させて、上述と同様にして基板50上に配するようにしても良い。
【0138】
本例のように、基板50の材質として、上記撥液膜56を形成するポリベンゾイミダゾールとは異なる種類のポリベンゾイミダゾール或いはポリイミド材質を使用すれば、基板の材質として、ポリサルフォンおよびポリエーテルサルフォンを用いた場合においては、実施不可能であった300℃以上の焼成工程を行うことができる。
【0139】
次に、図14に示すように、基板50の第1の凹部47の底面から当該基板50及び撥液膜56を貫通する第1のノズル41をエキシマレーザ加工機を用いて形成する。また、基板50の第4の凹部67の底面から当該基板50及び撥液膜56を貫通する第2のノズル61をエキシマレーザ加工機を用いて形成する。本例のプリンタ装置においては、基板50を形成するポリベンゾイミダゾール或いはポリイミド、撥液膜56を形成するポリベンゾイミダゾールの何れもがエキシマレーザによるアブレーション加工が可能な材料であるため、このように第1及び第2のノズル41,61をエキシマレーザによるアブレーション加工で形成することが可能である。従って、本例のプリンタ装置においては、ノズル形成工程が簡素化され、生産性が良好となる。
【0140】
また、これらポリベンゾイミダゾールおよびポリイミドにおけるエキシマレーザによるアブレーション加工特性が非常に優れていることから、上記第1及び第2のノズル41,61は、バリ等の発生および剥がれの発生などの工程不良を発生することなく形成され、製造歩留まりも向上し、このことからも本例のプリンタ装置においては生産性が良好となる。
【0141】
次に、図15に示すように、基板50の各凹部開口面である一主面50a側に蓋部材として機能する振動板51を配し、第3の凹部49と振動板51間の空間を吐出媒体供給口44とし、第2の凹部48と振動板51間の空間を吐出媒体供給流路43とし、第1の凹部47と振動板51間の空間を吐出媒体圧力室42とする。そして、これらは連続した空間として形成され、さらにこれに第1のノズル41も連続して形成されることとなる。なお、上記振動板51の第3の凹部49に対応する位置の一部に開口部52が形成され、吐出媒体供給口44の一部が開口していることは言うまでもない。
【0142】
また、この振動板51を配することにより、第6の凹部69と振動板51間の空間を定量媒体供給口64とし、第5の凹部68と振動板51間の空間を定量媒体供給流路63とし、第1の凹部67と振動板51間の空間を定量媒体圧力室62とする。そして、これらは連続した空間として形成され、さらにこれに第2のノズル61も連続して形成されることとなる。なお、上記振動板51の第6の凹部69に対応する位置の一部に開口部72が形成され、定量媒体供給口64の一部が開口していることは言うまでもない。
【0143】
また、この振動板51においては、吐出及び定量媒体圧力室42,62に対応する位置が変位し易いように、その一部に切り込みが入れられていることは言うまでもない。
【0144】
さらに、上記振動板51上の吐出媒体圧力室42に対応する部分に積層ピエゾ素子である圧力素子46を配し、定量媒体圧力室62に対応する部分にも積層ピエゾ素子である圧力素子66を配する。この圧力素子46,66の反対側が支持体55,75により支持されていることは言うまでもない。
【0145】
また、開口部52に接続されるように吐出媒体供給管53を配し、開口部72に接続されるように定量媒体供給管73を配し、プリントヘッドを完成する。
【0146】
上述の例においては、所定の凹部を有する基板50を射出成形等の手段により形成する例について述べたが、この基板50の代わりに金属板にポリイミド等よりなる高分子フィルムを貼り合わせたものを使用して製造するようにしても良い。ただし、ここでは基板の構造が若干異なる例を示す。すなわち、図16に示すように、金属板81の一主面81a側に高分子フィルム82を貼り合わせ、これらにより吐出媒体圧力室を構成する第1の凹部87、吐出媒体供給口を構成する第3の凹部89、第1の凹部87と第3の凹部89を接続する吐出媒体供給流路83を構成する。また、定量媒体圧力室を構成する第4の凹部97、定量媒体供給口を構成する第6の凹部99、第4の凹部97と第6の凹部99を接続する定量媒体供給流路93を構成し、基板とする。
【0147】
このような金属板81は、例えばステンレス鋼等により形成すれば良く、高分子フィルム82はポリイミドフィルム等とすれば良い。なお、上記ポリイミドフィルムにおいては、このフィルムにノズルが形成されることから、ある程度濡れ性を有することが好ましく、また、エキシマレーザを用いたアブレーション加工性が良好であることが好ましい。このようなポリイミドフィルムとしては、例えば東レ・デュポン(株)社製のカプトンフィルム(商品名)が挙げられる。そして、これらの間をガラス転移温度の低い塗布型のポリイミド材料により貼り合わせるようにするのが好ましい。このようなポリイミド材料としては、三井東圧化学(株)社製
のネオフレックス(商品名:ガラス転移点200℃)等が挙げられる。
【0148】
また、上記高分子フィルム82としては、下記化17に示すような構造を有するポリベンゾイミダゾール等のフィルム或いは極薄い板材を使用しても良い。
【0149】
【化17】
【0150】
なお、このようにして形成された金属板81と高分子フィルム82よりなる基板は、前述の一体成形の基板に耐薬品性で劣ることはない。
【0151】
次に、図17に示すように、高分子フィルム82上に撥液膜84を形成する。このとき、上記撥液膜84は、前述の撥液膜56と同様に、下記化18に示すような構造を有し、湿度76%RHの環境下に24時間放置した場合の吸水率が4.0%以下のポリベンゾイミダゾールを塗布して形成することが好ましい。
【0152】
【化18】
【0153】
そして、このようなポリベンゾイミダゾールとしては、ヘキスト(株)社製のセラゾール塗工用グレード:PBIマトリックスレジンソリュージョン:NPBI(商品名)等が挙げられる。
【0154】
このヘキスト(株)社製のセラゾール塗工用グレード:PBIマトリックスレジンソリュージョン:NPBI(商品名)は、ポリベンゾイミダゾールをN,N−ジメチルアセトアミド溶剤中に、樹脂濃度が10wt%程度となるように分散させたもので、粘度が300±50cpの液体であり、これを高分子フィルム82上に配する方法としては、スプレーを用いて吹き付けて塗布する、あるいはディッピングにより塗布する、さらには静電塗装方法などにより塗装した後、300℃以上の温度下にて30分以上の焼成工程を行う方法が挙げられる。その結果、室温から200℃程度の広い温度範囲において非粘着性を有する撥水膜を形成することができる。
【0155】
また、上述のような条件を満たすポリベンゾイミダゾールをN,N−ジメチルアセトアミド溶剤中に、樹脂濃度が10wt%程度となるように分散させて、上述と同様にして高分子フィルム82上に配するようにしても良い。
【0156】
本例のように、基板の材質として、上記撥液膜84を形成するポリベンゾイミダゾールとは異なる種類のポリベンゾイミダゾール或いはポリイミドを使用すれば、基板の材質として、ポリサルフォンおよびポリエーテルサルフォンを用いた場合においては、実施不可能であった300℃以上の焼成工程を行うことができる。
【0157】
次に、図18に示すように、金属板81の第1の凹部87の底面から高分子フィルム82及び撥液膜84を貫通する第1のノズル85をエキシマレーザ加工機を用いて形成する。また、金属板81の第4の凹部97の底面から高分子フィルム82及び撥液膜84を貫通する第2のノズル86をエキシマレーザ加工機を用いて形成する。
【0158】
本例のプリンタ装置においては、高分子フィルム82を形成するポリベンゾイミダゾール或いはポリイミド、撥液膜84を形成するポリベンゾイミダゾールの何れもがエキシマレーザによるアブレーション加工が可能な材料であるため、このように第1及び第2のノズル85,86をエキシマレーザによるアブレーション加工で形成することが可能である。従って、本例のプリンタ装置においては、ノズル形成工程が簡素化され、生産性が良好となる。
【0159】
また、これらポリベンゾイミダゾール及びポリイミドにおけるエキシマレーザによるアブレーション加工特性が非常に優れていることから、上記第1及び第2のノズル85,86は、バリ等の発生および剥がれの発生などの工程不良を発生することなく形成され、製造歩留まりも向上し、このことからも本例のプリンタ装置においては生産性が良好となる。
【0160】
続いて、前述のように振動板、定量媒体供給管、吐出媒体供給管、圧力素子等を配してプリントヘッドを完成する。
【0161】
従って、本例のプリンタ装置においては、プリントヘッドのノズル開口面側の少なくともノズル開口部周辺に撥液性を有するポリベンゾイミダゾールが形成されており、ノズル開口部周辺の撥液性が確保される。すなわち、インクと希釈液の混合が行われない待機状態において、インクと希釈液が確実に分離され、ドット毎のインクと希釈液の混合比率が正確に制御され、画像データに応じた諧調を正確に表現することが可能であり、高解像度の記録画像の形成が可能となる。
【0162】
さらに、インク及び希釈液の吐出安定性も確保され、このことからも、高品位な記録画像の形成が可能となる。
【0163】
また、上記ポリベンゾイミダゾールがエキシマレーザを用いたアブレーション加工に適した材料であることから、本例のプリンタ装置においては、エキシマレーザを用いたアブレーション加工によるノズル形成が可能であり、製造工程が簡素化され、生産性が良好となる。
【0164】
さらに、本例のプリンタ装置においては、プリントヘッドのノズル形成部分、すなわちプリントヘッドのノズル開口面側のノズル開口部周辺の上記ポリベンゾイミダゾールにより形成される部分以外の部分が、上記ポリベンゾイミダゾールとは異なる種類のポリベンゾイミダゾール或いはポリイミドにより形成されているため、これらをエキシマレーザによるアブレーション加工にて加工してノズルを形成することが可能であり、製造工程が簡素化され、生産性が良好となる。
【0165】
また、これら材料のエキシマレーザによるアブレーション加工特性が非常に優れていることから、ノズルがバリ等の発生および剥がれの発生などの工程不良を発生することなく形成され、製造歩留まりも向上し、このことからも本例のプリンタ装置においては生産性が良好となる。
【0166】
上述の各プリンタ装置においては、ノズルをエキシマレーザを用いたアブレーション加工のみを用いて形成して製造した例について述べたが、これらプリンタ装置は、ノズルを圧縮成形或いは射出成形とエキシマレーザを用いたアブレーション加工を組み合わせた手法により形成して製造しても良い。
【0167】
すなわち、先に述べたインクのみを吐出するプリンタ装置を製造する方法としては、以下に示すような方法が挙げられる。先ず、圧縮成形とエキシマレーザを用いたアブレーション加工を組み合わせた手法によりノズルを形成する例について述べる。最初に、図19に示すように圧縮成形に適しており、しかもエキシマレーザを用いたアブレーション加工が可能な下記化19に示すような構造を有するポリベンゾイミダゾール、例えばヘキスト(株)社製のU−60(商品名)等よりなる板状の基材101を用意する。
【0168】
【化19】
【0169】
次に、この基材101を図示しない圧縮金型に投入して圧縮成形し、図20に示すような第1の凹部102、第2の凹部103、第3の凹部104が一主面105a側に臨んで開口して形成される基板105を製造する。なお、各凹部は前述のように連続して形成されており、これらの形状も前述の通りである。ただし、本例においては、上記圧縮成形の際に、第1の凹部102の底面から基板105の厚さ方向に止まり孔として形成されるノズル導入口106も形成する。
【0170】
次に、図21に示すように、基板105の一主面105aの反対側の裏面105b上に撥液膜107を形成する。
【0171】
前述の例においては、撥液膜としてポリベンゾイミダゾールよりなる膜を形成する例について述べたが、上記基板105の形成材料としてポリベンゾイミダゾール、例えばヘキスト(株)社製のU−60(商品名)を選択した場合には、その耐熱温度が400℃以上であるので、撥液膜107の形成材料の選択範囲は格段に広がることとなる。
【0172】
すなわち、撥液膜107の形成材料として、150℃以上の温度で重合形成された材料やフッ素系高分子を分散させたポリイミド系高分子の使用が可能となる。
【0173】
そして、上記のような撥液膜107の形成材料の具体例としては、前述の例において述べたポリベンゾイミダゾールは勿論のこと、例えば宇部興産(株)社製のポリイミド系オーバーコートインク ユピコートFS−100L(商品名)、同社製のポリイミドコーティング材料ユピファインFP−100(商品名)等といった吸水率が0.4%以下のポリイミド系材料や、デュポン(株)社製の変性ポリテトラフルオルエチレンコーティング 958−207(商品名)といったポリイミド系材料中にポリテトラフルオルエチレン粒子が分散された材料等といった、レーザによる加工、特にエキシマレーザによるアブレーション加工が可能な材料が挙げられる。
【0174】
そして、この撥液膜107はその厚さが例えば10〜30μmの厚さとなるように形成すれば良い。厚さを5μm以上とすると、ピンホール等が生じ難く、好ましい。
【0175】
一方、ノズルの形状の精度がさほど要求されていない場合、すなわちノズルの形状に多少のバリ等が発生しても構わない場合、或いは撥液膜の厚さが5μm以下でも構わない場合等においては、撥液膜107の形成材料としてPTFE(4フッ化エチレン樹脂)等の使用も可能である。
【0176】
次に、図22に示すように、基板105のノズル導入口106の底面から当該基板105及び撥液膜107を貫通するノズル開口部近傍108をエキシマレーザ加工機を用いて形成してノズルを完成する。本例のプリンタ装置においては、基板105を形成するポリベンゾイミダゾール、撥液膜107を形成する材料の何れもがエキシマレーザによるアブレーション加工が可能な材料であるため、このようにノズル開口部近傍108をエキシマレーザによるアブレーション加工で形成することが可能である。
【0177】
この後、前述したような方法で振動板等を配し、プリンタ装置を完成させれば良い。この際、本例においては、基板105が耐熱温度の高いポリベンゾイミダゾールにより形成されているので、振動板等を接着する工程の工程温度を200℃程度としても問題は無く、接着剤の選択範囲が広げられることとなる。
【0178】
従って、本例のようにしてノズルを形成すれば、エキシマレーザによるアブレーション加工を最小限に抑えることが可能となり、製造コストを低減して生産性を向上させることが可能となる。
【0179】
次に、射出成形とエキシマレーザを用いたアブレーション加工を組み合わせた手法によりノズルを形成する例について述べる。最初に、射出成形に適しており、しかもエキシマレーザを用いたアブレーション加工が可能な下記化20に示すような構造を有するポリベンゾイミダゾール、例えばヘキスト(株)社製のTU−60(商品名)等を図示しない射出成形金型を用いて射出成形する。
【0180】
【化20】
【0181】
その結果、図20に示すような第1の凹部102、第2の凹部103、第3の凹部104が一主面105a側に臨んで開口して形成される基板105が製造される。なお、各凹部は前述のように連続して形成されており、これらの形状も前述の通りである。ただし、本例においては、上記射出成形の際に、第1の凹部102の底面から基板105の厚さ方向に止まり孔として形成されるノズル導入口106も形成する。
【0182】
次に、図21に示すように、基板105の一主面105aの反対側の裏面105b上に撥液膜107を形成する。
【0183】
前述の例においては、撥液膜としてポリベンゾイミダゾールよりなる膜を形成する例について述べたが、上記基板105の形成材料としてポリベンゾイミダゾール、例えばヘキスト(株)社製のTU−60(商品名)を選択した場合には、その耐熱温度が250℃以上であるので、撥液膜107の形成材料の選択範囲は格段に広がることとなる。
【0184】
すなわち、撥液膜107の形成材料として、150℃以上の温度で重合形成された材料やフッ素系高分子を分散させたポリイミド系高分子の使用が可能となる。
【0185】
そして、上記のような撥液膜107の形成材料の具体例としては、前述の例において述べたポリベンゾイミダゾールは勿論のこと、例えば宇部興産(株)社製のポリイミド系オーバーコートインク ユピコートFS−100L(商品名)、同社製のポリイミドコーティング材料 ユピファインFP−100(商品名)等といった吸水率が0.4%以下のポリイミド系材料や、デュポン(株)社製の変性ポリテトラフルオルエチレンコーティング 958−207(商品名)といったポリイミド系材料中にポリテトラフルオルエチレン粒子が分散された材料等といった、レーザによる加工、特にエキシマレーザによるアブレーション加工が可能な材料が挙げられる。
【0186】
ここで挙げた具体的な材料のうち、前述したポリベンゾイミダゾールにおいては、300℃以上の重合形成工程が必要であるとされているが、当該ポリベンゾイミダゾールと基板105を形成するポリベンゾイミダゾールの基本的な材料組成が非常に近いことから、基板105に損傷を与えることはない。また、ポリイミド系材料中にポリテトラフルオルエチレン粒子が分散された材料においては、340℃程度の重合形成工程が必要であるが、この工程が短時間の処理であることと、この処理温度が基板105を形成する材質の耐熱温度を100℃以上上回ることがないことから、基板105に損傷を与えることはない。
【0187】
そして、この撥液膜107はその厚さが例えば10〜30μmの厚さとなるように形成すれば良い。厚さを5μm以上とすると、ピンホール等が生じ難く、好ましい。
【0188】
一方、ノズルの形状の精度がさほど要求されていない場合、すなわちノズルの形状に多少のバリ等が発生しても構わない場合、或いは撥液膜の厚さが5μm以下でも構わない場合等においては、PTFE(4フッ化エチレン樹脂)等の使用も可能である。
【0189】
次に、図22に示すように、基板105のノズル導入口106の底面から当該基板105及び撥液膜107を貫通するノズル開口部近傍108をエキシマレーザ加工機を用いて形成する。本例のプリンタ装置においては、基板105を形成するポリベンゾイミダゾール、撥液膜107を形成する材料の何れもがエキシマレーザによるアブレーション加工が可能な材料であるため、このようにノズル開口部近傍108をエキシマレーザによるアブレーション加工で形成することが可能である。
【0190】
この後、前述したような方法で振動板等を配し、プリンタ装置を完成させれば良い。この際、本例においては、基板105が耐熱温度の高いポリベンゾイミダゾールにより形成されているので、振動板等を接着する工程の工程温度を200℃程度としても問題は無く、接着剤の選択範囲が広げられることとなる。
【0191】
b従って、本例のようにしてノズルを形成すれば、エキシマレーザによるアブレーション加工を最小限に抑えることが可能となり、製造コストを低減して生産性を向上させることが可能となる。
【0192】
また、先に述べたインクと希釈液を混合吐出するプリンタ装置を製造する方法としては、以下に示すような方法が挙げられる。先ず、圧縮成形とエキシマレーザを用いたアブレーション加工を組み合わせた手法によりノズルを形成する例について述べる。最初に、図23に示すように圧縮成形に適しており、しかもエキシマレーザを用いたアブレーション加工が可能な下記化21に示すような構造を有するポリベンゾイミダゾール、例えばヘキスト(株)社製のU−60(商品名)等よりなる板状の基材111を用意する。
【0193】
【化21】
【0194】
次に、この基材111を図示しない圧縮金型に投入して圧縮成形し、図24に示すような第1の凹部112、第2の凹部113、第3の凹部114が一主面115a側に臨んで開口して形成されるとともに、第4の凹部122、第5の凹部123、第6の凹部124が一主面115a側に臨んで開口して形成される基板115を製造する。なお、各凹部は前述のように連続して形成されており、これらの形状も前述の通りである。ただし、本例においては、上記圧縮成形の際に、第1の凹部112の底面から基板115の厚さ方向に止まり孔として形成される第1のノズル導入口116と第4の凹部122の底面から基板115の厚さ方向に対して斜め方向に止まり孔として形成される第2のノズル導入口126も形成する。
【0195】
次に、図25に示すように、基板115の一主面115aの反対側の裏面115b上に撥液膜117を形成する。
【0196】
前述の例においては、撥液膜としてポリベンゾイミダゾールよりなる膜を形成する例について述べたが、上記基板115の形成材料としてポリベンゾイミダゾール、例えばヘキスト(株)社製のU−60(商品名)を選択した場合には、その耐熱温度が400℃以上であるので、撥液膜117の形成材料の選択範囲は格段に広がることとなる。
【0197】
すなわち、撥液膜117の形成材料として、150℃以上の温度で重合形成された材料やフッ素系高分子を分散させたポリイミド系高分子の使用が可能となる。
【0198】
そして、上記のような撥液膜117の形成材料の具体例としては、前述の例において述べたポリベンゾイミダゾールは勿論のこと、例えば宇部興産(株)社製のポリイミド系オーバーコートインク ユピコートFS−100L(商品名)、同社製のポリイミドコーティング材料 ユピファインFP−100(商品名)等といった吸水率が0.4%以下のポリイミド系材料や、デュポン(株)社製の変性ポリテトラフルオルエチレンコーティング 958−207(商品名)といったポリイミド系材料中にポリテトラフルオルエチレン粒子が分散された材料等といった、レーザによる加工、特にエキシマレーザによるアブレーション加工が可能な材料が挙げられる。
【0199】
そして、この撥液膜117はその厚さが例えば10〜30μmの厚さとなるように形成すれば良い。厚さを5μm以上とすると、ピンホール等が生じ難く、好ましい。
【0200】
一方、ノズルの形状の精度がさほど要求されていない場合、すなわちノズルの形状に多少のバリ等が発生しても構わない場合、或いは撥液膜の厚さが5μm以下でも構わない場合等においては、PTFE(4フッ化エチレン樹脂)等の使用も可能である。
【0201】
次に、図26に示すように、基板115の第1のノズル導入口116の底面から当該基板115及び撥液膜117を厚さ方向に貫通する第1のノズル開口部近傍118と第2のノズル導入口126の底面から当該基板115及び撥液膜117を厚さ方向に対して斜め方向に貫通する第2のノズル開口部近傍128をエキシマレーザ加工機を用いて形成し、各ノズルを完成する。本例のプリンタ装置においては、基板115を形成するポリベンゾイミダゾール、撥液膜117を形成する材料の何れもがエキシマレーザによるアブレーション加工が可能な材料であるため、このように第1及び第2のノズル開口部近傍118,128をエキシマレーザによるアブレーション加工で形成することが可能である。
【0202】
この後、前述したような方法で振動板等を配し、プリンタ装置を完成させれば良い。この際、本例においては、基板115が耐熱温度の高いポリベンゾイミダゾールにより形成されているので、振動板等を接着する工程の工程温度を200℃程度としても問題は無く、接着剤の選択範囲が広げられることとなる。
【0203】
従って、本例のようにしてノズルを形成すれば、エキシマレーザによるアブレーション加工を最小限に抑えることが可能となり、製造コストを低減して生産性を向上させることが可能となる。
【0204】
次に、射出成形とエキシマレーザを用いたアブレーション加工を組み合わせた手法によりノズルを形成する例について述べる。最初に、射出成形に適しており、しかもエキシマレーザを用いたアブレーション加工が可能な下記化22に示すような構造を有するポリベンゾイミダゾール、例えばヘキスト(株)社製のTU−60(商品名)等を図示しない射出成形金型を用いて射出成形する。
【0205】
【化22】
【0206】
その結果、図24に示すような第1の凹部112、第2の凹部113、第3の凹部114が一主面115a側に臨んで開口して形成されるとともに、第4の凹部122、第5の凹部123、第6の凹部124が一主面115a側に臨んで開口して形成される基板115が製造される。なお、各凹部は前述のように連続して形成されており、これらの形状も前述の通りである。ただし、本例においては、上記射出成形の際に、第1の凹部112の底面から基板115の厚さ方向に止まり孔として形成される第1のノズル導入口116と第4の凹部122の底面から基板115の厚さ方向に対して斜め方向に止まり孔として形成される第2のノズル導入口126も形成する。
【0207】
次に、図25に示すように、基板115の一主面115aの反対側の裏面115b上に撥液膜117を形成する。
【0208】
前述の例においては、撥液膜としてポリベンゾイミダゾールよりなる膜を形成する例について述べたが、上記基板115の形成材料としてポリベンゾイミダゾール、例えばヘキスト(株)社製のTU−60(商品名)を選択した場合には、その耐熱温度が250℃以上であるので、撥液膜117の形成材料の選択範囲は格段に広がることとなる。
【0209】
すなわち、撥液膜117の形成材料として、150℃以上の温度で重合形成された材料やフッ素系高分子を分散させたポリイミド系高分子の使用が可能となる。
【0210】
そして、上記のような撥液膜117の形成材料の具体例としては、前述の例において述べたポリベンゾイミダゾールは勿論のこと、例えば宇部興産(株)社製のポリイミド系オーバーコートインク ユピコートFS−100L(商品名)、同社製のポリイミドコーティング材 ユピファインFP−100(商品名)等といった吸水率が0.4%以下のポリイミド系材料や、デュポン(株)社製の変性ポリテトラフルオルエチレンコーティング 958−207(商品名)といったポリイミド系材料中にポリテトラフルオルエチレン粒子が分散された材料等といった、レーザによる加工、特にエキシマレーザによるアブレーション加工が可能な材料が挙げられる。
【0211】
ここで挙げた具体的な材料のうち、前述したポリベンゾイミダゾールにおいては、300℃以上の重合形成工程が必要であるとされているが、当該ポリベンゾイミダゾールと基板115を形成するポリベンゾイミダゾールの基本的な材料組成が非常に近いことから、基板115に損傷を与えることはない。また、ポリイミド系材料中にポリテトラフルオルエチレン粒子が分散された材料においては、340℃程度の重合形成工程が必要であるが、この工程が短時間の処理であることと、この処理温度が基板115を形成する材質の耐熱温度を100℃以上上回ることがないことから、基板115に損傷を与えることはない。
【0212】
そして、この撥液膜117はその厚さが例えば10〜30μmの厚さとなるように形成すれば良い。厚さを5μm以上とすると、ピンホール等が生じ難く、好ましい。
【0213】
一方、ノズルの形状の精度がさほど要求されていない場合、すなわちノズルの形状に多少のバリ等が発生しても構わない場合、或いは撥液膜の厚さが5μm以下でも構わない場合等においては、PTFE(4フッ化エチレン樹脂)等の使用も可能である。
【0214】
次に、図26に示すように、基板115の第1のノズル導入口116の底面から当該基板115及び撥液膜117を厚さ方向に貫通する第1のノズル開口部近傍118と第2のノズル導入口126の底面から当該基板115及び撥液膜117を厚さ方向に対して斜め方向に貫通する第2のノズル開口部近傍128をエキシマレーザ加工機を用いて形成し、各ノズルを完成する。本例のプリンタ装置においては、基板115を形成するポリベンゾイミダゾール、撥液膜117を形成する材料の何れもがエキシマレーザによるアブレーション加工が可能な材料であるため、このように第1及び第2のノズル開口部近傍118,128をエキシマレーザによるアブレーション加工で形成することが可能である。
【0215】
この後、前述したような方法で振動板等を配し、プリンタ装置を完成させれば良い。この際、本例においては、基板115が耐熱温度の高いポリベンゾイミダゾールにより形成されているので、振動板等を接着する工程の工程温度を200℃程度としても問題は無く、接着剤の選択範囲が広げられることとなる。
【0216】
従って、本例のようにしてノズルを形成すれば、エキシマレーザによるアブレーション加工を最小限に抑えることが可能となり、製造コストを低減して生産性を向上させることが可能となる。
【0217】
なお、これまで述べたノズルを圧縮成形或いは射出成形とエキシマレーザを用いたアブレーション加工を組み合わせた手法により形成したプリンタ装置においても先に述べたようなプリンタ装置と同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0218】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明のプリンタ装置においては、プリントヘッドのノズル開口面側の少なくともノズル開口部周辺にポリベンゾイミダゾールを配しており、ノズル開口部周辺の撥液性が確保され、高品位な記録画像の形成が可能となる。
【0219】
また、ポリベンゾイミダゾールがエキシマレーザを用いたアブレーション加工に適した材料であることから、本発明のプリンタ装置においては、エキシマレーザを用いたアブレーション加工によるノズル形成が可能であり、製造工程が簡素化され、生産性が良好となる。
【0220】
さらに、本発明のプリンタ装置においては、プリントヘッドのノズル形成部分、すなわちプリントヘッドのノズル開口側のノズル開口部周辺以外の部分をポリベンゾイミダゾールやポリイミドにより形成しており、これらの耐熱性が高いことから、ノズル開口部周辺に150℃以上の比較的高温での重合形成を必要とする材料を配することも可能である。また、これらの材質もエキシマレーザを用いたアブレーション加工に適した材料であることから、本発明のプリンタ装置においては、エキシマレーザを用いたアブレーション加工によるノズル形成が可能であり、製造工程が簡素化され、生産性が良好となる。さらに、ポリベンゾイミダゾールを使用した場合には、これが圧縮成形或いは射出成形に適した材質であることから、ノズル形成をこれらの方法を含んだ方法により行うことも可能であり、製造コストが抑えられ、生産性が良好となる。
【0221】
また、本発明のプリンタ装置においては、プリントヘッドのノズル開口面側の少なくともノズル開口部周辺及びノズル形成部分の両者をポリベンゾイミダゾールにより形成してもよく、このようにすれば、ノズル開口部周辺のポリベンゾイミダゾールとして300℃程度の比較的高温での重合形成を要するものを使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の前提となるプリンタ装置の一例を示す要部概略断面図である。
【図2】本発明の前提となるプリンタ装置の一例を示す要部拡大断面図である。
【図3】本発明の前提となるプリンタ装置の製造方法の一例を工程順に示すものであり、基板を形成する工程を示す要部概略断面図である。
【図4】本発明の前提となるプリンタ装置の製造方法の一例を工程順に示すものであり、撥液膜を形成する工程を示す要部概略断面図である。
【図5】本発明の前提となるプリンタ装置の製造方法の一例を工程順に示すものであり、ノズルを形成する工程を示す要部概略断面図である。
【図6】本発明の前提となるプリンタ装置の製造方法の一例を工程順に示すものであり、振動板等を配する工程を示す要部概略断面図である。
【図7】本発明の前提となるプリンタ装置の製造方法の他の例を工程順に示すものであり、高分子フィルムが貼り合わされた金属板を用意する工程を示す要部概略断面図である。
【図8】本発明の前提となるプリンタ装置の製造方法の他の例を工程順に示すものであり、撥液膜を形成する工程を示す要部概略断面図である。
【図9】本発明の前提となるプリンタ装置の製造方法の他の例を工程順に示すものであり、ノズルを形成する工程を示す要部概略断面図である。
【図10】本発明を適用したプリンタ装置の他の例を示す要部概略断面図である。
【図11】本発明を適用したプリンタ装置の他の例を示す要部拡大断面図である。
【図12】本発明を適用したプリンタ装置の製造方法のさらに他の例を工程順に示すものであり、基板を形成する工程を示す要部概略断面図である。
【図13】本発明を適用したプリンタ装置の製造方法のさらに他の例を工程順に示すものであり、撥液膜を形成する工程を示す要部概略断面図である。
【図14】本発明を適用したプリンタ装置の製造方法のさらに他の例を工程順に示すものであり、ノズルを形成する工程を示す要部概略断面図である。
【図15】本発明を適用したプリンタ装置の製造方法のさらに他の例を工程順に示すものであり、振動板等を配する工程を示す要部概略断面図である。
【図16】本発明を適用したプリンタ装置の製造方法のさらに他の例を工程順に示すものであり、高分子フィルムが貼り合わされた金属板を用意する工程を示す要部概略断面図である。
【図17】本発明を適用したプリンタ装置の製造方法のさらに他の例を工程順に示すものであり、撥液膜を形成する工程を示す要部概略断面図である。
【図18】本発明を適用したプリンタ装置の製造方法のさらに他の例を工程順に示すものであり、ノズルを形成する工程を示す要部概略断面図である。
【図19】本発明を適用したプリンタ装置の製造方法のさらに他の例を工程順に示すものであり、基材を用意する工程を示す要部概略断面図である。
【図20】本発明を適用したプリンタ装置の製造方法のさらに他の例を工程順に示すものであり、基板を用意する工程を示す要部概略断面図である。
【図21】本発明を適用したプリンタ装置の製造方法のさらに他の例を工程順に示すものであり、撥液膜を形成する工程を示す要部概略断面図である。
【図22】本発明を適用したプリンタ装置の製造方法のさらに他の例を工程順に示すものであり、ノズルを形成する工程を示す要部概略断面図である。
【図23】本発明を適用したプリンタ装置の製造方法のさらに他の例を工程順に示すものであり、基材を用意する工程を示す要部概略断面図である。
【図24】本発明を適用したプリンタ装置の製造方法のさらに他の例を工程順に示すものであり、基板を用意する工程を示す要部概略断面図である。
【図25】本発明を適用したプリンタ装置の製造方法のさらに他の例を工程順に示すものであり、撥液膜を形成する工程を示す要部概略断面図である。
【図26】本発明を適用したプリンタ装置の製造方法のさらに他の例を工程順に示すものであり、ノズルを形成する工程を示す要部概略断面図である。
【符号の説明】
1 ノズル、2 インク圧力室、14 インク、16,56 撥液膜、41 第1のノズル、42 吐出媒体圧力室、54 吐出媒体、61 第2のノズル、6 定量媒体圧力室、74 量媒体
Claims (18)
- 吐出媒体が導入される第1の圧力室と、定量媒体が導入される第2の圧力室とを有し、上記第1の圧力室に連通する第1のノズル及び第2の圧力室に連通する第2のノズルとを互いに隣合うように開口して有し、第2のノズルから第1のノズルに向けて定量媒体を滲み出させた後、第1のノズルから吐出媒体を吐出させて定量媒体と吐出媒体を混合吐出するプリントヘッドを有するプリンタ装置において、
プリントヘッドのノズル開口面側の少なくともノズル開口部周辺及び/又はノズル形成部分がポリベンゾイミダゾールよりなることを特徴とするプリンタ装置。 - プリントヘッドのノズル開口面側の少なくともノズル開口部周辺がポリベンゾイミダゾールよりなることを特徴とする請求項1記載のプリンタ装置。
- ポリベンゾイミダゾールが、湿度76%RHの環境下に24時間放置した場合の吸水率が4.0%以下のものであることを特徴とする請求項2記載のプリンタ装置。
- プリントヘッドのノズル形成部分が、ポリイミドよりなることを特徴とする請求項2記載のプリンタ装置。
- プリントヘッドのノズル形成部分が、ポリベンゾイミダゾールよりなることを特徴とする請求項1記載のプリンタ装置。
- プリントヘッドのノズル形成部分が少なくとも圧縮成形を含んだ手法により形成されていることを特徴とする請求項6記載のプリンタ装置。
- プリントヘッドのノズル形成部分が少なくとも射出成形を含んだ手法により形成されていることを特徴とする請求項6記載のプリンタ装置。
- プリントヘッドのノズル開口面側の少なくともノズル開口部周辺が150℃以上の温度で重合形成された材料よりなることを特徴する請求項6記載のプリンタ装置。
- プリントヘッドのノズル開口面側の少なくともノズル開口部周辺がフッ素系高分子を分散させたポリイミド系高分子よりなることを特徴とする請求項6記載のプリンタ装置。
- フッ素系高分子が、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体樹脂であることを特徴とする請求項11記載のプリンタ装置。
- プリントヘッドのノズル開口面側の少なくともノズル開口部周辺及びノズル形成部分がポリベンゾイミダゾールよりなることを特徴とする請求項1記載のプリンタ装置。
- プリントヘッドのノズル開口面側の少なくともノズル開口部周辺のポリベンゾイミダゾールが、湿度76%RHの環境下に24時間放置した場合の吸水率が4.0%以下のものであることを特徴とする請求項13記載のプリンタ装置。
- ノズルの少なくとも開口部近傍がレーザ加工により形成されていることを特徴とする請求項1記載のプリンタ装置。
- レーザ加工がエキシマレーザを用いたアブレーション加工であることを特徴とする請求項17記載のプリンタ装置。
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