JPH10264408A - プリンタ装置及びその製造方法 - Google Patents

プリンタ装置及びその製造方法

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JPH10264408A
JPH10264408A JP7613697A JP7613697A JPH10264408A JP H10264408 A JPH10264408 A JP H10264408A JP 7613697 A JP7613697 A JP 7613697A JP 7613697 A JP7613697 A JP 7613697A JP H10264408 A JPH10264408 A JP H10264408A
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JP
Japan
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ink
liquid
nozzle
forming member
film
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JP7613697A
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English (en)
Inventor
Kouichirou Kijima
公一朗 木島
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 吐出ノズルから吐出液を吐出することで印刷
を行うプリンタ装置において、ノズル開口部周辺での液
の付着等を抑え、正確な記録画像が形成されるようにす
る。 【解決手段】 吐出ノズル42が貫通孔として形成され
るノズル形成部材34を、吐出液が吐出する側に撥液性
有機フィルム34aが配された積層体によって構成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクのみ、また
はインクと希釈液を混合して吐出するプリンタ装置及び
プリンタ装置の製造方法に関する。詳しくはノズルの吐
出安定性を向上させて正確な記録画像を形成するプリン
タ装置及びその製造方法に係わるものである。
【0002】
【従来の技術】近年、特にオフィス等においてデスクト
ップパブリッシングと称されるコンピュータを使用した
文書作成が盛んに行われるようになってきており、最近
では文字や図形だけでなく、写真等のカラーの自然画像
を文字,図形とともに出力するといった要求も増加して
きている。そして、これに伴い、高品位な自然画像をプ
リントすることが要求され、中間調の再現が重要となっ
てきている。
【0003】また、印刷信号に応じて印刷時に必要な時
だけインク液滴をノズルより吐出して紙,フィルム等の
印刷媒体に印刷する、いわゆるオンデマンド型のプリン
タ装置は、小型化,低コスト化が可能なため、近年急速
に普及しつつある。
【0004】このように、インク液滴をノズルより吐出
させる方法としては、様々な方法が提案されているが、
ピエゾ素子を用いる方法または発熱素子を用いる方法が
一般的である。前者はピエゾ素子の変形によりインクに
圧力を加えて吐出させる方法である。後者は、発熱素子
によりノズル内のインクを加熱沸騰させて発生する泡の
圧力でインクを吐出させる方法である。
【0005】そして、上記のような中間調の表示による
階調表現を上述のインク液滴を吐出するオンデマンド型
のプリンタ装置で疑似的に行う方法としては、様々な方
法が提案されている。すなわち、第1の方法としてはピ
エゾ素子或いは発熱素子に与える電圧パルスの電圧やパ
ルス幅を変化させて吐出する液滴サイズを制御し、印刷
ドットの径を可変として階調を表現するものが挙げられ
る。
【0006】また、第2の方法としては、ドット径は変
化させずに1画素を例えば4×4のドットよりなるマト
リクスで構成し、このマトリクス単位でいわゆるディザ
法等により階調表現を行う方法が挙げられる。
【0007】しかしながら、上記の第1の方法において
は、ピエゾ素子或いは発熱素子に与える電圧やパルス幅
を下げすぎるとインクが吐出しなくなるため最小液滴径
に限界があり、表現可能な階調段数が少なく、特に低濃
度の表現が非常に困難であるという欠点を有している。
従って、自然画像のプリントアウトには不満足なもので
ある。
【0008】一方、上記第2の方法においても、1画素
を4×4のマトリクスで構成した場合、17階調の濃度
を表現することができるが、例えば上記第1の方法と同
じドット密度で印刷した場合には解像度が1/4に劣化
してしまい、荒さが目立つため、これも自然画像のプリ
ントアウトには不満足なものである。
【0009】そこで、本発明者等は、インクを吐出する
際にインクと希釈液を混合することにより、吐出される
インク液滴の濃度を変化させ、印刷されるドットの濃度
を制御することを可能にし、解像度の劣化を発生させる
ことなく自然画像をプリントアウトするプリンタ装置を
提案してきた。
【0010】このようなプリンタ装置のプリントヘッド
としては、吐出媒体が導入される吐出媒体ノズルと定量
媒体が導入される定量媒体ノズルを互いに隣合うように
開口して有し、定量媒体ノズルから所定量の定量媒体を
吐出媒体ノズルに向けて滲み出させて当該吐出媒体ノズ
ル開口近傍にて吐出媒体と混合させ、吐出媒体ノズルか
ら吐出媒体を定量媒体と混合されている吐出媒体と共に
押し出して、定量媒体と吐出媒体を定量媒体ノズル及び
吐出媒体ノズルの面内方向に混合吐出するようなプリン
トヘッドが挙げられる。このようなプリンタ装置におい
ては、インク或いは希釈液の何れかである定量媒体の量
を変化させて、インクと希釈液の混合比率を変化させる
ことによりドットの濃度を変化させて自然画像をプリン
トアウトする。なお、上記定量媒体及び吐出媒体は、ど
ちらか一方がインクであり、残りの一方が希釈液であれ
ば良い。なお、このプリントヘッドの一例を図34に示
す。このプリントヘッドは、ノズル形成部材401と液
室形成部材402とが積層されて構成され、液室形成部
材402に設けられた定量媒体液室403と吐出媒体液
室404が、ノズル形成部材402に貫通孔として形成
された定量媒体ノズル405または吐出媒体ノズル40
6とそれぞれ連通している。このようなプリントヘッド
では、液室403,404の一方を閉塞する振動板40
7がピエゾ素子408,409の変位によって下側にた
わむことによって液室403,404内の吐出媒体また
は定量媒体に圧力がかかり、ノズル405,406から
吐出媒体または定量媒体が押し出されることになる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、インク
と希釈液を混合吐出するプリンタ装置においては、画像
データに応じた階調を正確に表現するために、インクと
希釈液の混合比率を正確に制御する必要がある。そし
て、このためには、インクと希釈液の混合が行われない
状態、すなわち待機状態において、インクと希釈液が確
実に分離されている必要がある。もし、待機状態におい
てインクと希釈液が接していると、インクと希釈液がそ
れぞれ導入されるノズルにインク及び希釈液が互いに流
れ込み、次のドットにおけるインクと希釈液の混合比率
に大きく影響し、階調を正確に表現することが不可能と
なり、高解像度の記録画像の形成は難しい。
【0012】また、前述のインクのみを吐出するプリン
タ装置においても、吐出媒体ノズルの開口部周辺にイン
クが付着してしまうと、吐出方向の不安定状態をもたら
すこととなり、高解像度の記録画像の形成が難しくなる
ため、ノズル開口部の周辺には、撥液性をもたせること
が望まれる。このことは、上述のインクと希釈液を混合
吐出するプリンタ装置においても同様である。
【0013】この撥液性を有する材質としては、一般的
にポリテトラフルオルエチレン等が挙げられ、上記のよ
うなプリンタ装置においては、ノズル開口部周辺にこの
ような材質を配するようにしている。
【0014】ところで、上述したようなプリンタ装置に
おいては、ノズルの形状、特に開口部近傍の形状が吐出
方向に大きな影響を及ぼし、印字品質に多大な影響を及
ぼすことから、ノズルの形成をエキシマレーザによるア
ブレーション加工により行うのが一般的である。
【0015】しかしながら、上記ポリテトラフルオルエ
チレンは、エキシマレーザ光の波長を透過するものがほ
とんどであり、アブレーション加工を行うことが不可能
である。また、ポリテトラフルオルエチレンテフロン
は、焼成温度がいずれも280℃以上であるため、ポリ
サルフォンあるいはポリエーテルイミドといった耐熱温
度の低い材料で液室形成部材を構成した場合には膜形成
が困難である。
【0016】そこで、レーザ加工性については、例えば
特開平6−328698号公報に示されるごとく、ポリ
テトラフルオルエチレン中にエキシマレーザの波長域の
光を吸収するような材質を分散させることでレーザ加工
を可能する方法が提案されている。しかし、上記特開平
6−328698号公報に示すような方法を用いると、
エキシマレーザを用いた加工性と、撥液性とを両立させ
ることは難しく、どちらかの性質をある程度犠牲にしな
ければならないという不都合が生じる。
【0017】この他、ノズル開口部周辺に撥液性を付与
する方法としては、ノズル形成部材のノズル開口部側の
面に、撥液材料をスプレーあるいはスピンコートする方
法も提案されている。
【0018】しかしながら、ノズル形成部材は5cm角
以下の小型部品であるため、撥液材料の塗布処理を行う
際に、不要な部分に撥液材料が付着してしまう可能性が
高いといった問題がある。特に、ノズル形成部材の液室
側の面に撥液材料が付着してしまうと、この面での濡れ
性が悪くなり、気泡の付着が生じ易くなるといった問題
が生じる。
【0019】このため、このような撥液材料の塗布処理
を行う場合には、撥液材料の塗布厚を比較的薄く設定せ
ざるを得ず、十分に撥液性が得られない。また、撥液材
料の塗布厚が厚ければ、ノズル形成部材のノズル開口部
近傍に傷がある場合でも膜の厚みによって傷が平坦化さ
れるが、塗布厚を薄くすると、このような効果は望めな
い。
【0020】そこで、本発明はこのような従来の実情に
鑑みて提案されたものであり、ノズル形成部材の液室側
に不要な撥液性材料を付着させることなくノズル開口部
周辺に撥液性を付与することができるプリンタ装置及び
その製造方法を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明のプリンタ装置は、吐出液が導入される液
室と、これに連通する吐出ノズルとを少なくとも有し、
吐出ノズルから吐出液を吐出するプリントヘッドを有す
るプリンタ装置であって、上記吐出ノズルが、ノズル形
成部材を貫通する貫通孔として形成され、上記ノズル形
成部材は、吐出液が吐出する側が撥液性有機フィルムに
よって構成される積層体であることを特徴とするもので
ある。
【0022】また、本発明のプリンタ装置の製造方法
は、撥液性有機フィルムと、他のフィルムを貼り合わせ
てノズル形成部材を作製する工程と、このノズル形成部
材にレーザ加工によって貫通孔を形成することによって
吐出ノズルを形成する工程とを有することを特徴とする
ものである。
【0023】ノズル形成部材の、吐出液が吐出する側が
撥液性有機フィルムによって構成されていると、この有
機材料フィルムによってインク付着等が抑えられ、イン
クが安定に吐出され、正確な記録画像が形成される。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な実施の形
態について図面を参照しながら説明する。
【0025】本発明にかかるプリンタ装置の第1の実施
の形態を図1に示す。
【0026】このプリンタ装置はシリアル型のプリンタ
装置であり、図1に示すように、被印刷物であるプリン
ト紙1が支持されるドラム2と、本発明のプリンタ装置
を構成し、上記プリント紙1に記録を行うプリントヘッ
ド部3により主に構成されるものである。
【0027】このとき、上記プリント紙1は、ドラム2
の軸方向に平行に設けられた紙圧着ローラ4により、ド
ラム2に圧着保持されている。また、上記ドラム2の外
周近傍には、送りネジ5がドラム2の軸方向に平行に設
けられている。そして、この送りネジ5には、プリント
ヘッド部3が保持されている。すなわち、かかるプリン
トヘッド部3は、送りネジ5の回転によって、図中矢印
Mで示すようにドラム2の軸方向に移動するようになっ
ている。
【0028】一方、ドラム2は、プーリ6、ベルト7、
プーリ8を介してモータ9により図中矢印mで示すよう
に回転駆動される。さらに、送りネジ5及びモータ9の
回転とプリントヘッド部3は、ヘッドドライブ,ヘッド
送り制御,ドラム回転制御10により印画データ及び制
御信号11に基づいて駆動制御される。
【0029】上記の構成においては、プリントヘッド部
3が移動して1行分の印字を行うと、ドラム2を1行分
だけ回転させて次の印字を行う。ヘッド3が移動し、印
画する場合は、一方向の場合と往復方向の場合とがあ
る。
【0030】このようなプリンタ装置における印字及び
制御系のブロック図を図2に示す。上記プリンタ装置は
図2中に示す制御部20によって制御されている。この
制御部20は信号処理制御回路21、ドライバ22、メ
モリ23、各種モータ駆動制御部24及び補正回路25
によって構成されている。信号処理制御回路21はCP
U又はDSP(Digital Signal Pro
cessor)構成でなる。
【0031】そして、印字データ、操作部信号及び外部
制御信号などの信号入力S1は、制御部20の信号処理
制御回路21に入力され、この信号処理制御回路21に
おいて印字順番に揃えられて、ドライバ22を介して吐
出信号とともにヘッド26に送られ、ヘッド26を駆動
制御する。印字順番は、ヘッド26や印字部の構成で異
なり、また印字データの入力順番との関係もあり、必要
に応じてラインバッファメモリや1画面メモリなどのメ
モリ23に一旦記録してから取り出す。
【0032】なお、マルチヘッドでノズル数が非常に多
い場合には、ヘッド26にICを搭載してヘッド26に
接続する配線数を減らすようにする。また、信号処理制
御回路21には、補正回路25が接続されており、γ補
正、カラーの場合の色補正、各ヘッドのばらつき補正な
どを行う。補正回路25には、予め決められた補正デー
タをROM(read only memory)マッ
プ形式で格納しておき、外部条件、例えばノズル番号、
温度、入力信号などに応じて取り出すようにするのが一
般的である。
【0033】信号処理制御回路21は、前述のようにC
PUやDSP構成としてソフトウエアで処理するのが一
般的であり、処理された信号は各種モータ駆動制御部2
4に送られる。各種モータ駆動制御部24では、ドラム
及び送りネジを回転駆動するモータの駆動、同期、ヘッ
ドのクリーニング、プリント紙の供給、排出などの制御
を行う。また、信号には、印字データ以外の操作部信号
や外部制御信号が含まれることは言うまでもない。
【0034】次に、本例のプリンタ装置を構成するプリ
ントヘッドについて説明する。なお、ここではインクジ
ェット方式のプリントヘッドについて述べる。このプリ
ントヘッドは、図3に示すように、液室形成部材31、
振動板32、積層型ピエゾ素子33、ノズル形成部材3
4により主に構成されるものである。
【0035】上記液室形成部材31は、例えば厚さ略
0.1mmのステンレススチール等により形成すれば良
い。そして、上記液室形成部材31には吐出媒体バッフ
ァタンク(以下、インクバッファタンクと称する。)を
構成する貫通孔部35と、吐出媒体圧力室(以下、イン
ク圧力室と称する。)を構成して一主面31aに臨んで
開口する第1の凹部36、吐出媒体供給路(以下、イン
ク供給路と称する。)を構成して一主面31aと相対向
する主面31bに臨んで開口し、貫通孔部35と第1の
凹部36の底面の端部間を接続するように形成される第
2の凹部37、吐出媒体導入口(以下、インク導入口と
称する。)を構成して主面31bに臨んで開口し、第1
の凹部36の他端部と接続される第3の凹部38が形成
されている。
【0036】そして、本例のプリントヘッドにおいて
は、上記液室形成部材31の一主面31a側に振動板3
2を配し、相対向する主面31b側にノズル形成部材3
4(以下、オリフィスプレート34と称する。)を配し
て、液室形成部材31を振動板32とオリフィスプレー
ト34により厚さ方向に挟み込んでいる。
【0037】なお、上記振動板32は、ニッケル等の金
属箔あるいはガラス転移点が250℃以下の樹脂フィル
ム(商品名ネオフレックス)等が20μm程度の厚さで
用いられる。また、この他、温度特性の異なる樹脂フィ
ルムを組み合わて振動板を構成するようにしても良い。
【0038】この振動板32は、熱圧着あるいはエポキ
シ系の接着剤等により液室形成部材31に対して接着さ
れる。また、この振動板32には、インクバッファタン
クとなる貫通孔部35に対応する位置にこれよりも小径
のインク供給口39が形成されている。
【0039】また、一方のオリフイスプレート34は、
本例のプリンタ装置のプリントヘッドにおいては、撥液
性を有する有機材料フィルム(第1のフィルム)34a
と親水性を有する有機材料フィルム(第2のフィルム)
34bが積層された積層構造となされており、レーザ加
工によって吐出媒体ノズル42が形成されている。この
オリフィスプレート34は、撥液性を有する第1のフィ
ルム34aがインクの吐出側に、また親水性を有する第
2のフィルム34bがインク液室形成部材31側となる
ように配されている。
【0040】この撥液性を有する第1のフィルム34a
としては、表面張力が31dyne/cm以下のものを
用いるのが望ましい。なお、この表面張力は和光純薬社
製の濡れ指示薬(商品名:濡れ指数標準薬)を用いて測
定されるものであり、この指示薬のうち標準液No31
がフィルム上で弾かれることをもって、このフィルムの
表面張力が31dyne/cm以下であると判断した。
【0041】なお、フィルムの撥液性については、表面
張力とともに吸水率も指標となる。第1のフィルムとし
ては、温度23℃下で、水中に24時間浸漬した後の吸
水率〔(浸漬後の重量)−(浸漬前の重量)〕/(浸漬
前の重量)×100%が0.4%以下であるのが望まし
い。また、第1のフィルムは撥液性を有するとともにノ
ズルのレーザ加工性(加工用のレーザ光波長での吸収)
も考慮して選択するのが好ましい。そのような有機材料
フィルムの材質としては、例えばポリイミド系材料が挙
げられ、特にポリイミドシロキサンが好ましい。ポリイ
ミドシロキサンは、ポリイミドのイミド結合の窒素と結
合する芳香族炭化水素の一部がシロキサンにより置換さ
れたものであり、このポリイミドシロキサンとしてはS
iのポリイミドに対する含有量が3重量%〜25重量%
であるのが良い。また、この第1のフィルムは厚さが1
0μm以上であるのが望ましい。
【0042】なお、このポリイミド系フィルムの市販品
としては、宇部興産株式会社製のポリイミド接着フィル
ムUPA−N111(商品名)や、UPA−N221
(商品名)あるいは、UPA−T222(商品名)や、
UPA−T208(商品名)等がある。
【0043】親水性を有する第2のフィルム34bとし
ては、表面張力が40dyne/cm以上のものを用い
るのが望ましい。なお、この表面張力は、和光純薬社製
の濡れ指示薬のうち標準薬No40がフィルム上で濡れ
ることをもって40dyne/cm以上であると判断し
た。
【0044】またこのフィルムの場合も親水性とともに
ノズルのレーザ加工性も考慮して選択するのが好まし
い。そのような有機材料フィルムとしては、親水性のポ
リイミドフィルムが挙げられ、市販品では東レ・デュポ
ン株式会社製のカプトン(商品名)、宇部興産株式会社
製のユーピレックス(商品名)、三井東圧化学株式会社
製のネオフレックスフィルム(商品名)等がある。
【0045】これらの撥液性の第1のフィルム34aと
親水性の第2のフィルム34bは、例えば接着剤34c
を介して貼り合わされる。
【0046】この接着剤34cとしては、密着強度やレ
ーザ加工性に優れることからポリイミド接着材料が好ま
しく、具体的には宇部興産株式会社製のUPA−832
2(商品名)等が好適である。なお、この接着剤34c
も、レーザ加工性に優れることに越したことはないが、
フィルム34a,34bに比べて厚さが薄く、またノズ
ル開口面を構成するものではないので加工性はそれほど
厳しく要求されない。したがって、例えばエポキシ系接
着剤であっても構わない。例えばエーブルボンド社のエ
ポキシ系接着剤は、ポリイミド系の接着剤に比べて多少
加工性に劣るが、0.5μm以下の厚さであればノズル
形状に乱れを生じることなくノズルの加工が行える。
【0047】このような積層フィルムよりなるオリフィ
スプレート34には、インク導入口を形成する第3の凹
部38に対応する位置に、当該第3の凹部38よりも小
径の貫通孔として吐出媒体ノズル42(以下、インクノ
ズル42と称する。)が形成されている。このインクノ
ズル42は、オリフィスプレート34に、例えばエキシ
マレーザ光を照射することで加工を行うアブレーション
レーザ加工法によって形成されており、所定径を有する
断面円形状とされている。なお、このレーザ加工法で
は、撥液性を有する第1のフィルム34a、接着剤34
c、親水性を有する第2のフィルム34bの各層が、同
時に加工されるので、インクノズル42が境目無く連続
した貫通孔として形成される。
【0048】以上のようなオリフィスプレート34は、
振動板32とともに液室形成部材31を厚さ方向から挟
み込むように配されており、貫通孔部35、第1の凹部
36、第2の凹部37、第3の凹部38が接続されるこ
とにより形成される空洞部が振動板32とオリフィスプ
レート34により塞がれたかたちになっている。これに
より、液室形成部材31には、振動板32側からオリフ
ィスプレート34側に向かって厚さ方向に形成されるイ
ンクバッファタンク43、これと接続され液室形成部材
31の面内方向に形成されるインク供給路44と、これ
に接続され振動板32側に形成されるインク圧力室4
5、上記インク圧力室45に接続され、オリフィスプレ
ート34側に開口するインク導入口46が連続して形成
されることとなる。
【0049】そして、前述のように振動板32にはイン
ク供給口39が形成され、オリフィスプレート34には
インクノズル42が形成されていることから、インク供
給口39、インクバッファタンク43、インク供給路4
4、インク圧力室45、インク導入口46、インクノズ
ル42の順にインクが流れることとなる。
【0050】また、本例のプリントヘッドにおいては、
振動板32の液室形成部材31と接着される面とは反対
側の一主面32aのインク圧力室45に対応する位置に
突起部49が形成されており、この突起部49を介して
積層型ピエゾ素子33が載置されている。なお、上記積
層型ピエゾ素子33としては、圧電部材と導電部材とが
交互に積層されてなるものが挙げられる。このとき、圧
電部材と導電部材との積層数は何層であっても良い。
【0051】この突起部49はインク圧力室45の平面
の面積及び積層型ピエゾ素子33の平面の面積よりも小
さいものとして形成されている。さらに、上記振動板3
2の一主面32aのインク供給口39に対応する位置に
は図示しないインクタンクに接続されるインク供給管5
0が接続されている。
【0052】そして、本例のプリンタ装置のプリントヘ
ッドにおいては、図4に模式的に示すように、プリント
ヘッド中のインクバッファタンク43は、管状の部材と
なされており、このインクバッファタンク43の長手方
向に複数の上述したようなプリントヘッドが所定の間隔
を有して平行に配列されて、インクバッファタンク43
は各プリントヘッドの共通のインク配給管となされてい
る。そして、これらプリントヘッドにおいては、インク
バッファタンク43に対してインク供給路44が直交す
るように接続している。このため、各プリントヘッドの
インクノズル42は1つの面上に開口することとなる。
すなわち、インクは図示しないインクタンクからインク
バッファタンク43に供給され、ここから各プリントヘ
ッドのインク供給路44に供給されることとなる。
【0053】本例のプリンタ装置のプリントヘッドによ
り印刷を行うには、以下のようにすれば良い。すなわ
ち、本例のプリンタ装置のプリントヘッドで使用されて
いる積層型ピエゾ素子33においては、駆動電圧が印加
されると、図3中矢印M1 で示す方向とは逆の方向に直
線的に変位する性質を有するため、これに接着されてい
る突起部49を中心に振動板32を持ち上げることとな
り、図5に示すようにインク圧力室45の体積が増大す
ることとなる。
【0054】またこの積層型ピエゾ素子33は駆動電圧
が解放されると、図5中に矢印M1で示す方向に直線的
に変位する性質を有するため、これに接着されている突
起部49を介して振動板32を押圧して湾曲させてイン
ク圧力室45の体積を減少させてインク圧力室45内の
圧力を上昇させることとなる。このとき、突起部49
は、その平面面積が積層型ピエゾ素子33の平面面積よ
りも小さくなるようになされているので、積層型ピエゾ
素子33の変位を振動板32のインク圧力室45に対応
する位置に集中的に伝達することが可能である。
【0055】従って、このプリンタ装置のプリントヘッ
ドにより印刷を行う場合には、先ず、積層型ピエゾ素子
33に所定の駆動電圧を印加する。すると、前述のよう
に積層型ピエゾ素子は図5中矢印M1 で示す方向とは反
対の方向に変位し、インク圧力室45の体積が増加す
る。その結果、インクノズル42の先端に形成されてい
る図示しないインクのメニスカスは、一旦インク圧力室
45側に後退した後、積層型ピエゾ素子33の変位が収
まると表面張力との釣り合いによつてインクノズル42
の先端近傍で安定し、インク吐出の待機状態となる。
【0056】続いて、積層型ピエゾ素子33に印加され
ている駆動電圧が解放されると、積層型ピエゾ素子33
は元の形状に戻ろうとして図5中矢印M1 で示す方向に
変位する。その結果、インク圧力室45は元の大きさに
戻ろうとし、インク圧力室45内の圧力が上昇するた
め、インクノズル42からインクが吐出され、これを被
記録材に被着させて印刷を行う。このとき、積層型ピエ
ゾ素子33に印加される駆動電圧の時間変化は、インク
ノズル42からインクを吐出し得るように設定されてい
る。
【0057】ここで、本例のプリンタ装置のプリントヘ
ッドにおいては、オリフィスプレート34が撥液性を有
する第1のフィルム34aと親水性を有する第2のフィ
ルム34bよりなり、このうち親水性を有する第2のフ
ィルム34bが液室形成部材側に配されているので、液
室形成部材31の各室ではオリフィスプレート34によ
ってインクがはじかれることなく気泡の発生等が防止さ
れる。
【0058】また、オリフィスプレート34の撥液性を
有する第1のフィルム34aは、ノズル加工面側になる
ように配されていることから、ノズル開口部周辺では有
機材料フィルムの撥液性によってインク付着等が抑えら
れ、インクが安定に吐出され、正確な記録画像が形成さ
れる。
【0059】続いて本例のプリンタ装置のプリントヘッ
ドの製造方法について述べる。
【0060】先ず、液室形成部材を製造する。すなわ
ち、図6に示すように、ステンレス部材61を用意す
る。このステンレス部材61は、インク供給路やインク
圧力室等の各液室を形成する都合上、厚さが0.07m
m以上であるのが望ましい。また、インク圧力室にかか
る圧力に耐えるためにも、0.07mm以上の厚さが必
要である。なお、ここでは、厚さが0.1mmのステン
レス部材を使用した。
【0061】そして、このステンレス部材の一主面61
aに例えば感光性ドライフイルムや液体レジスト材料な
どのレジストを塗布した後、インクバッファタンクを形
成するための貫通孔部とインク圧力室を形成するための
凹部の形成位置に応じた部分をエッチング可能なパター
ンを有するマスクを用いてパターン露光し、レジスト6
2を形成する。
【0062】また、このステンレス部材61の一主面6
1aに相対向する主面61bにも同様にしてインク供給
路を形成するための凹部、インク導入口を形成するため
の凹部の形成位置に応じた部分をエッチング可能なパタ
ーンを有するマスクを用いてパターン露光し、レジスト
63を形成する。
【0063】続いて、上記ステンレス部材61をレジス
ト62,63をマスクとして、例えば塩化第2鉄水溶液
等のエッチング溶液に所定時間浸してエッチングを行
う。その結果、図7に示すように、インクバッファタン
クを形成し、一主面61aからこれと相対向する主面6
1bに貫通する貫通孔部35、インク圧力室を形成し、
一主面61aに臨んで開口する第1の凹部36、貫通孔
部35の側面と第1の凹部36の底面を接続してインク
供給路を形成し、一主面61bに臨んで開口する第2の
凹部37、インク導入口を形成し、第1の凹部36の底
面から一主面61bに臨んで開口する第3の凹部38が
形成される。
【0064】なお、このステンレス部材61のエッチン
グに際しては、ステンレス部材61の片面からのエツチ
ング量が、両側面で当該ステンレス部材61の厚さの約
1/2強となるように選定するのが適当である。これに
より貫通孔部35や各凹部36,37,38の寸法精度
が向上し、安定な形成が可能になる。また、ステンレス
部材61の両側で、片面からのエツチング量を同じにす
れば、ステンレス部材61の一主面61aでのエツチン
グの条件と、他方の主面61bでのエッチング条件をほ
ぼ同じに設定できるので、エッチング工程が簡易化する
とともに工程に費やす時間が短縮する。
【0065】ここではステンレンス部材61の厚さが
0.1mmであるので、ステンレス部材61の片面から
のエッチンング量を約0.055mm程度に設定した。
また、インク供給口となる貫通孔部35の径は、インク
圧力室45に圧力が印加された際に、インク供給口43
でのインク流量がインク圧力室45内での圧力上昇に影
響を及ぼさないように、後工程で形成するノズルの径よ
りも大きくなるようにした。
【0066】続いてレジスト62,63を除去する。レ
ジスト62,63としてドライフィルムレジストを使用
した場合には、例えば5%以下の水酸化ナトリウム水溶
液を用いれば良く、レジスト62,63として液体レジ
スト材料を用いた場合には、例えば専用アルカリ溶液を
用いれば良い。その結果、図8に示すように、貫通孔3
5、第1の凹部36、第2の凹部37、第3の凹部38
が形成される液室形成部材31が形成される。
【0067】このようにしてレジスト62及び63を除
去した後、オリフィスプレートを形成する。
【0068】オリフィスプレートを形成するには、図9
に示すように、親水性の有機材料フィルム64を、ステ
ンレス部材61の貫通孔部35、第2の凹部37及び第
3の凹部38が形成された側の面に熱圧着によって接着
する。ここでは、この親水性の有機材料フィルム64と
して、厚さが略50μm、ガラス転移点が250℃以下
のフィルム(商品名ネオフレックス)を使用した。熱圧
着条件は、温度230℃、圧力20〜30kgf/cm
2である。ここで熱圧着法は、高い接着強度が得られる
とともに煩雑な操作が要らず、効率の良い接着を行うこ
とができる。また、接着剤を用いる方法では、はみ出し
た接着剤がインク流路を塞ぐことが懸念されるが、熱圧
着法ではこのような不都合が回避される。
【0069】次に、図10に示すように、この親水性を
有する有機材料フィルム64の、ステンレス部材61と
接着された側とは反対側の面に撥液性を有する有機材料
フィルム65を接着剤66によって接着し、積層フィル
ム67を形成する。
【0070】この撥液性を有する有機材料フィルム65
としては、上述の如く、撥液性とレーザ加工性の点から
選択され、例えば宇部興産株式会社製のポリイミド接着
フィルム:UPA−N111、UPA−N221、UP
A−T222、UPA−T208(いずれも商品名)等
が用いられる。これらのポリイミド接着フィルムは、表
面張力が31dyne/cm以下と撥液性に優れ、しか
もエキシマレーザによってノズルを形成した場合にバリ
や剥がれ等が発生せず、オリフィスプレートの材料とし
て好適である。
【0071】接着剤66としては、密着強度とレーザ加
工性に優れることから、宇部興産株式会社製のポリイミ
ド接着材料:UPA−8322(商品名)等が好適であ
る。また、エーブルボンド社のエポキシ系接着剤も、ポ
リイミド接着材料に比べればレーザ加工性が多少劣るも
のの、薄い厚さ範囲(例えば0.5μm以下)であれば
使用可能である。なお、このUPA−8322は、16
0℃程度の低い硬化温度であっても十分な接着強度を得
ることができる。
【0072】以上のようなオリフィスプレートの形成方
法では、原材料が液体状態の撥液性材料を塗布する方法
とは異なり、液室形成部材側の面に不要な撥液性材料が
付着してしまうことがない。したがって、液室形成部材
側では第1のフィルム32bによる親水性が有効に保持
されることになる。
【0073】次に、エキシマレーザ加工装置を用いて、
積層フィルム67にインクノズルを形成する。インクノ
ズルを形成するには、積層フィルム67の、ステンレス
部材61の第3の凹部38に対応する位置に、ステンレ
ス部材61側からエキシマレーザを垂直に照射する。そ
の結果、図11に示すように、プレート67を構成する
親水性の有機材料フィルム64、接着剤66、撥液性の
有機材料フィルム65に連続する貫通孔(インクノズ
ル)42が形成される。このとき、第3の凹部30の径
はレーザ加工によって形成されるノズル径に比べて十分
に大きいので、レーザの照射位置が多少ずれでもインク
液室形成部材31によってレーザが遮蔽されてしまうこ
とがなく、また先に例示したフィルム材や接着剤はいず
れもレーザ加工性に優れるので、精密な形状のインクノ
ズルが形成される。
【0074】なお、このように積層フィルムに予めノズ
ルを形成せずに、積層フィルムにステンレス部材を接着
した後にノズルを形成するのは、積層フィルムとステン
レス部材の位置合わせを簡易化するためである。
【0075】次いで、図12に示すように、インク液室
形成部材31のオリフィスプレート34が接着された側
とは反対側の主面に、予め突起49が形成された振動板
32を熱圧着によって接着する。
【0076】ここで、この振動板32としては、三井東
圧化学社製の金属ラッピングフィルムを使用した。この
金属ラッピングフィルムは、図13に示すように、温度
特性の異なる3枚の樹脂フィルム32a,32b,32
cよりなる積層フィルム(振動板32)上に厚さが約1
8μmの銅箔(突起49)がラミネート形成されたもの
である。
【0077】この3枚の樹脂フィルムのうち、1層目の
樹脂フィルム32aはガラス転移点が250℃以下であ
って220〜230℃の温度範囲で接着性を示す樹脂フ
ィルム(商品名ネオフレックス)であり、2層目の樹脂
フィルム32bはガラス転移点が300℃以上であり、
300℃以下の温度範囲で接着性を示さないポリイミド
系フィルムであり、3層目の樹脂フィルム32cはガラ
ス転移点が300℃以下であって270℃〜280℃の
温度範囲で接着性を示す樹脂フィルム(商品名ネオフレ
ックス)である。そして、突起49は3層目の樹脂フィ
ルム32c上に接着されている。
【0078】なお、この突起49の耐熱性は、実質的に
振動板49を構成する樹脂フィルム32a,32b,3
2cの温度特性に依存することになるが、振動板を構成
するこれら樹脂フィルム32a,32b,32cはいず
れも低温で軟化する材質ではないので、突起49を耐熱
性のある構造体として形成することができる。
【0079】このような振動板32は、突起49が形成
されていない1層目の樹脂フィルム32aが液室形成部
材31と熱圧着される。この熱圧着条件は、温度230
℃程度、圧力20〜30kgf/cm2である。この熱
圧着法は、高い接着強度が得られるとともに煩雑な操作
が要らず、効率の良い接着を行うことができる。
【0080】なお、ここでは振動板32を熱圧着法によ
って接着しているが、接着剤を用いて接着を行うように
しても構わない。この接着剤としては、熱可塑性接着剤
が好ましいが、低温で硬化する接着剤、例えばエポキシ
系接着剤等であっても差し支えない。
【0081】液室形成部材は、このようにして振動板が
接着されることで各凹部が閉塞される。すなわち、貫通
孔部35によりインクバッファタンク43が形成され、
第2の凹部37によりインク供給路44が形成され、第
1の凹部36によりインク圧力室45が形成され、第3
の凹部38によりインク導入口46が形成されることと
なる。
【0082】この後、振動板32上の突起部49上に積
層型ピエゾ素子33を配し、インク供給口39と接続さ
れるようにインク供給管50を配して図3に示したよう
な本例のプリンタ装置のプリントヘッドを完成する。
【0083】前述の例においては、プリントヘッドとし
てインクジェットタイプのプリントヘッドを使用してい
るプリンタ装置の例について述べたが、本発明はプリン
トヘッドとして、2液混合型のプリントヘッドを使用し
ているプリンタ装置にも適用可能である。
【0084】この場合、プリンタ装置の構成は、先に図
1に示したものと同様とされる。そして、2液混合型の
プリントヘッドを有するものを使用した場合の、印字及
び制御系のブロック図を図14に示す。このブロック図
は先に示した図2と略同様の構成を有するが、制御部9
0が図2に示したものと同様の信号処理制御回路22、
メモリ25、各種制御部27及び補正回路26の他、第
1のドライバ91と第2のドライバ92によって構成さ
れている。なお、ここでは、図2と同様の部分について
は説明を省略する。これら第1のドライバ91及び第2
のドライバ92はそれぞれ吐出媒体ノズル及び定量媒体
ノズルの数に応じて設けられている。
【0085】第1のドライバ91は、後述するように、
定量媒体ノズルから定量媒体を押し出すために設けられ
た第1の積層型ピエゾ素子(定量側)を駆動制御するも
のであり、第2のドライバ92は吐出媒体ノズルから吐
出媒体を吐出させるために設けられた第2の積層型ピエ
ゾ素子(吐出側)を駆動制御するものである。なお、上
記定量側と吐出側の何れか一方がインクであり、他方が
希釈液とされている。
【0086】これら各第1のドライバ91及び第2のド
ライバ92は信号処理制御回路22内に設けられた後述
のシリアルパラレル変換回路及びタイミング制御回路の
制御に基づいて、それぞれに対応する第1の積層型ピエ
ゾ素子及び第2の積層型ピエゾ素子を駆動制御する。
【0087】次に、上記プリントヘッドの駆動回路を図
15に示す。すなわち、デジタル中間調データD1が他
ブロックより供給され、シリアルパラレル変換回路94
により第1のドライバ91および第2のドライバ92に
送られる。シリアルパラレル変換回路94より与えられ
たデジタル中間調データが所定のしきい値以下の場合
は、定量および吐出は行わない。印字タイミングになる
と、他ブロックから印字トリガが出力され、タイミング
制御回路95がそれを検出し、所定のタイミングで定量
部コントロール信号と吐出コントロール信号をそれぞれ
第1のドライバ91および第2のドライバ92に出力す
る。
【0088】次に、プリントヘッドの構成について説明
する。なお、ここでは、インクを定量媒体とし、希釈液
を吐出媒体とするプリントヘッドの例について述べる。
本例のプリントヘッドは、図16に示すように、液室形
成部材121、振動板122、積層型ピエゾ素子123
a,123b、ノズル形成部材124により主に構成さ
れるものである。
【0089】上記液室形成部材121は、厚さ略0.1
mmのステンレススチール等により形成すれば良い。そ
して、上記液室形成部材121には定量媒体バッファタ
ンク(以下、インクバッファタンクと称する。)を構成
する貫通孔部125と、定量媒体圧力室(以下、インク
圧力室と称する。)を構成して一主面121aに臨んで
開口する第1の凹部126、定量媒体供給路(以下、イ
ンク供給路と称する。)を構成して一主面121aと相
対向する主面121bに臨んで開口し、貫通孔部125
と第1の凹部126の底面の端部間を接続するように形
成される第2の凹部127、定量媒体導入口(以下、イ
ンク導入口と称する。)を構成して主面121bに臨ん
で開口し、第1の凹部126の他端部と接続される第3
の凹部128が形成されている。
【0090】また、上記液室形成部材121には吐出媒
体バッファタンク(以下、希釈液バッファタンクと称す
る。)を構成する貫通孔部135と、吐出媒体圧力室
(以下、希釈液圧力室と称する。)を構成して一主面1
21aに臨んで開口する第4の凹部136、吐出媒体供
給路(以下、希釈液供給路と称する。)を構成して一主
面121aと相対向する主面121bに臨んで開口し、
貫通孔部135と第4の凹部136の底面の端部間を接
続するように形成される第5の凹部137、吐出媒体導
入口(以下、希釈液導入口と称する。)を構成して主面
121bに臨んで開口し、第4の凹部136の他端部と
接続される第6の凹部138が形成されている。
【0091】そして、この液室形成部材121において
は、第3の凹部128と第6の凹部138が所定の間隔
を有して相対向するように各貫通孔部及び凹部が形成さ
れている。
【0092】そして、本例のプリントヘッドにおいて
は、上記液室形成部材121の一主面121a側に振動
板122を配し、相対向する主面121b側にノズル形
成部材124(以下、オリフィスプレート124と称す
る。)を配して、液室形成部材121を振動板122と
ノズル形成部材124により厚さ方向に挟み込んでい
る。なお、上記振動板122においては、インクバッフ
ァタンクとなる貫通孔部125及び希釈液バッファタン
クとなる貫通孔部135に対応する位置にこれよりも小
径のインク供給口129,139がそれぞれ形成されて
いる。
【0093】また、一方のオリフイスプレート124
は、本例のプリンタ装置のプリントヘッドにおいては、
撥液性を有する有機材料フィルム(第1のフィルム)1
24aと親水性を有する有機材料フィルム(第2のフィ
ルム)124bが積層された積層構造となされており、
このうち撥液性を有する第1のフィルム124aがイン
クの吐出側に、また親水性を有する第2のフィルム12
4bがインク液室形成部材側121となるように配され
ている。
【0094】この撥液性を有する第1のフィルム124
aとしては、表面張力が31dyne/cm以下のもの
を用いるのが望ましい。なお、フィルムの撥液性につい
ては、表面張力とともに吸水率も指標となる。第1のフ
ィルムとしては、温度23℃下で、水中に24時間浸漬
した後の吸水率が0.4%以下であるのが望ましい。ま
た、第1のフィルムは撥液性を有するとともにノズルの
レーザ加工性(加工用のレーザ光波長での吸収)も考慮
して選択するのが好ましい。そのような有機材料フィル
ムの材質としては、例えばポリイミド系材料が挙げら
れ、特にポリイミドシロキサンが好ましい。ポリイミド
シロキサンは、ポリイミドのイミド結合の窒素と結合す
る芳香族炭化水素の一部がシロキサンにより置換された
ものであり、このポリイミドシロキサンとしてはSiの
ポリイミドに対する含有量が3重量%〜25重量%であ
るのが良い。また、この第1のフィルムは厚さが10μ
m以上であるのが望ましい。
【0095】なお、このポリイミド系フィルムの市販品
としては、宇部興産株式会社製のポリイミド接着フィル
ムUPA−N111(商品名)や、UPA−N221
(商品名)あるいは、UPA−T222(商品名)や、
UPA−T208(商品名)等がある。
【0096】親水性を有する第2のフィルム124bと
しては、表面張力が40dyne/cm以上のものを用
いるのが望ましく、またこの場合も親水性とともにノズ
ルのレーザ加工性も考慮して選択するのが好ましい。そ
のような有機材料フィルムとしては、親水性のポリイミ
ドフィルムが挙げられ、市販品では東レ・デュポン株式
会社製のカプトン(商品名)、宇部興産株式会社製のユ
ーピレックス(商品名)、三井東圧化学株式会社製のネ
オフレックスフィルム(商品名)等がある。
【0097】これらの撥液性の第1のフィルム124a
と親水性の第2のフィルム124bは、例えば接着剤1
24cを介して貼り合わされる。
【0098】この接着剤124cとしては、密着強度や
レーザ加工性に優れることからポリイミド接着材料が好
ましく、具体的には宇部興産株式会社製のUPA−83
22(商品名)等が好適である。なお、この接着剤12
4cも、レーザ加工性に優れることに越したことはない
が、フィルムに比べて厚さが薄く、またノズル開口面を
構成するものではないので加工性はそれほど厳しく要求
されない。したがって、例えばエポキシ系接着剤であっ
ても構わない。例えばエポキシ系の接着剤であるエーブ
ルボンド社のエポキシ系接着剤は、ポリイミド系の接着
剤に比べて多少加工性に劣るが、0.5μm程度の厚さ
であればノズル形状に乱れを生じることなくノズルの加
工が行える。
【0099】このような積層フィルムよりなるオリフィ
スプレート124には、インク導入口を形成する第3の
凹部128に対応する位置に、当該第3の凹部128よ
りも小径の貫通孔として定量媒体ノズル132(以下、
インクノズル132と称する。)が形成されるととも
に、希釈液導入口を形成する第6の凹部138に対応す
る位置に、当該第6の凹部138よりも小径の貫通孔と
して吐出媒体ノズル142(以下、希釈液ノズル142
と称する。)が形成されている。なお、このうち希釈液
ノズル142はオリフィスプレート124の表面に対し
て垂直に形成され、インクノズル132はオリフィスプ
レート124の厚さ方向に対して斜めに形成される。こ
れら各ノズル132,142は、例えばエキシマレーザ
光を照射することで加工を行うアブレーションレーザ加
工法によって、所定径を有する断面円形状の貫通孔とし
て形成される。なお、このレーザ加工法では、撥液性を
有する有機材料フィルム、接着剤、親水性を有する有機
材料フィルムの各層が、同時に加工されるので、インク
ノズル132や希釈液ノズル142が境目無く連続した
貫通孔として形成される。
【0100】以上のようなオリフィスプレート124
は、振動板122とともに液室形成部材121を厚さ方
向から挟み込むように配されており、貫通孔部125、
第1の凹部126、第2の凹部127、第3の凹部12
8が接続されることにより形成される空洞部と、貫通孔
部135、第4の凹部136、第5の凹部137、第6
の凹部138が接続されることにより形成される空洞部
が振動板122とオリフィスプレート124により塞が
れたかたちになっている。
【0101】これにより、液室形成部材121には、振
動板122側からオリフィスプレート124側に向かっ
て厚さ方向に形成されるインクバッファタンク143、
これと接続され液室形成部材121の面内方向に形成さ
れるインク供給路144と、これに接続され振動板12
2側に形成されるインク圧力室145、上記インク圧力
室145に接続され、オリフィスプレート124側に開
口するインク導入口146が連続して形成される。ま
た、それとともに振動板122側からオリフィスプレー
ト124側に向かって厚さ方向に形成される希釈液バッ
ファタンク153、これと接続され液室形成部材121
の面内方向に形成される希釈液供給路154と、これに
接続され振動板122側に形成される希釈液圧力室15
5、上記希釈液圧力室155に接続され、オリフィスプ
レート124側に開口する希釈液導入口156が連続し
て形成されることとなる。
【0102】そして、前述のように振動板122にはイ
ンク供給口129が形成され、オリフィスプレート12
4にはインクノズル132が形成されていることから、
インク供給口129、インクバッファタンク143、イ
ンク供給路144、インク圧力室145、インク導入口
146、インクノズル132の順にインクが流れること
となる。
【0103】さらに、前述のように振動板122には希
釈液供給口139が形成され、オリフィスプレート12
4には希釈液ノズル142が形成されていることから、
希釈液供給口139、希釈液バッファタンク153、希
釈液供給路154、希釈液圧力室155、希釈液導入口
156、希釈液ノズル142の順に希釈液が流れること
となる。
【0104】また、本例のプリントヘッドにおいては、
振動板122の液室形成部材121と接着される面とは
反対側の一主面122aのインク圧力室145に対応す
る位置に突起部149が形成されており、この突起部1
49を介して積層型ピエゾ素子123a(第1の積層型
ピエゾ素子)が載置されている。同様に、希釈液圧力室
155に対応する位置にも突起部159が形成されてお
り、この突起部159を介して積層型ピエゾ素子123
b(第2の積層型ピエゾ素子)が載置されている。な
お、上記積層型ピエゾ素子123a,123bとして
は、圧電部材と導電部材とが交互に積層されてなるもの
が挙げられる。このとき、圧電部材と導電部材との積層
数は何層であっても良い。
【0105】この突起部149,159はインク圧力室
145或いは希釈液圧力室155の平面の面積及び積層
型ピエゾ素子123a,123bの平面の面積よりも小
さいものとして形成されている。さらに、上記振動板1
22の一主面122aのインク供給口129に対応する
位置には図示しないインクタンクに接続されるインク供
給管150が接続され、同様に希釈液供給口139に対
応する位置には図示しない希釈液タンクに接続される希
釈液供給管160が接続されている。
【0106】そして、本例のプリンタ装置のプリントヘ
ッドにおいては、図17に模式的に示すように、プリン
トヘッド中のインクバッファタンク143及び希釈液バ
ッファタンク153は、管状の部材となされており、こ
のインクバッファタンク143及び希釈液バッファタン
ク153の長手方向に複数の上述したようなプリントヘ
ッドが所定の間隔を有して平行に配列されて、インクバ
ッファタンク143は各プリントヘッドの共通のインク
配給管となされ、希釈液バッファタンク153も各プリ
ントヘッドの共通の希釈液配給管となされている。そし
て、これらプリントヘッドにおいては、前述のプリント
ヘッドと同様に、インクバッファタンク143に対して
インク供給路144が接続され、希釈液バッファタンク
153に対して希釈液供給路154が接続されている。
このため、各プリントヘッドのインクノズル132と希
釈液ノズル142は隣合うようにして1つの面上に開口
することとなる。
【0107】すなわち、本例のプリンタ装置のプリント
ヘッドにおいては、インクは図示しないインクタンクか
らインクバッファタンク143に供給され、ここから各
プリントヘッドのインク供給路144に供給されること
となり、一方の希釈液も図示しない希釈液タンクから希
釈液バッファタンク153に供給され、ここから各プリ
ントヘッドの希釈液供給路154に供給されることとな
る。
【0108】本例のプリンタ装置のプリントヘッドによ
り印刷を行うには、以下のようにすれば良い。すなわ
ち、本例のプリンタ装置のプリントヘッドで使用されて
いる積層型ピエゾ素子である積層型ピエゾ素子123a
(以下、第1の積層型ピエゾ素子123aと称する。)
においては、駆動電圧が印加されると、図16中矢印M
2 で示す方向とは逆の方向に直線的に変位する性質を有
するため、これに接着されている突起部149を中心に
振動板122を持ち上げることとなり、図18に示すよ
うにインク圧力室145の体積が増大することとなる。
このことは、他方の積層型ピエゾ素子123b(以下、
第2の積層型ピエゾ素子123bと称する。)において
も同様であり、駆動電圧が印加されると、図18中矢印
2 で示す方向とは逆の方向に直線的に変位する性質を
有するため、これに接着されている突起部159を中心
に振動板122を持ち上げることとなり、図18中に示
すように希釈液圧力室155の体積が増大することとな
る。
【0109】またこの第1及び第2の積層型ピエゾ素子
123a,123bは駆動電圧が解放されると、図16
中に矢印M2 で示す方向に直線的に変位する性質を有す
るため、これに接着されている突起部149,159を
介して振動板122を押圧して湾曲させてインク圧力室
145或いは希釈液圧力室155の体積を減少させてイ
ンク圧力室145或いは希釈液圧力室155内の圧力を
上昇させることとなる。このとき、突起部149,15
9は、その平面面積が第1及び第2の積層型ピエゾ素子
123a,123bの平面面積よりも小さくなるように
なされているので、第1及び第2の積層型ピエゾ素子1
23a,123bの変位を振動板122のインク圧力室
145或いは希釈液圧力室155に対応する位置に集中
的に伝達することが可能である。
【0110】次に、上記のような構成のプリンタ装置に
より印刷を行う場合の、駆動電圧の印加タイミングを図
19に示す。ここでは、第1及び第2の積層型ピエゾ素
子として、いわゆるd31モードの積層型ピエゾ素子を使
用した場合の駆動電圧の印加タイミングを示す。
【0111】すなわち、図19(a)に示すように、印
刷前の待機時、図中(A)で示す時点において、希釈液
圧力室155に対応する位置に設けられる第2の積層型
ピエゾ素子123bに予め例えば20Vを印加し、図1
9(b)に示すように、印刷前の待機時、図中(A)で
示す時点において、インク圧力室145に対応する位置
に設けられる第1の積層型ピエゾ素子123aには予め
例えば10Vを印加しておく。すると、図18中に示す
ように、インク圧力室145と希釈液圧力室155の体
積が増加した状態となる。このとき、インクノズル13
2、希釈液ノズル142の何れにおいても先端にメニス
カスが形成されている。
【0112】そして、印刷時には、前述のヘッドドライ
ブ,ヘッド送り制御,ドラム回転制御からの信号に基づ
いて、定量媒体を飛翔させることなく定量するべく、図
19(b)中(B)で示す時点で第1の積層型ピエゾ素
子123aの電圧を例えば5Vまで除々に下げ、この状
態で例えば150μsec保持する。すると、第1の積
層型ピエゾ素子123aが図18中矢印M2 で示す方向
に除々に伸長し、図20中に示すように振動板122を
介してインク圧力室145が徐々に加圧され、インク圧
力室145が元の形状に戻ろうとするため、インクノズ
ル132に内圧が加わり、インクがインクノズル132
から希釈液ノズル142の開口付近までしみ出し、希釈
液ノズル142の希釈液に合わさる。なお、このときの
電圧は、画像データの階調に合わせて設定されており、
インクの量は画像データに応じたものとなる。
【0113】その後、インクノズル132内にインクを
引き込み、定量されたインクのみを希釈液ノズル142
開口付近に残存させるべく、図19(b)中(C)で示
す時点で第1の積層型ピエゾ素子123aの電圧を10
Vまで徐々に戻す。すると、第1の積層型ピエゾ素子1
23aが図20中矢印M2 で示す方向とは反対の方向に
除々に縮小し、インクノズル132の内圧が解除され、
インクはインクノズル132内に戻ろうとする。これに
より、定量されたインクのみが希釈液ノズル142開口
付近に残存することとなる。
【0114】次に、希釈液ノズル142から希釈液を吐
出するべく、図19(a)中に示すように、図中(D)
で示す時点で第2の積層型ピエゾ素子123bの電圧を
例えば0Vとする。すると、第2の積層型ピエゾ素子1
23bが図20中矢印M2 で示す方向に伸長し、振動板
122を介して希釈液圧力室155が加圧され、希釈液
圧力室155が元の形状に戻ろうとするため、希釈液ノ
ズル155に内圧が加わる。その結果、希釈液ノズル1
55内の内圧によって希釈液が押し出され、この希釈液
と希釈液ノズル142開口付近に残存していたインクと
の混合溶液が形成される。
【0115】次に、図19(a)中(D)で示す時点か
ら例えば50μsecの間0Vとし、図19(a)中
(E)で示す時点で第2の積層型ピエゾ素子123bの
電圧を例えば20Vに戻すと、第2の積層型ピエゾ素子
123bが図22中矢印M2 で示す方向とは反対の方向
に縮小し、希釈液ノズル142の内圧が解除され、希釈
液が希釈液ノズル142内に戻ろうとする。これによ
り、希釈液ノズル142内の希釈液と混合溶液間にくび
れが生じ、ついには混合溶液が希釈液ノズル142から
吐出され、当該混合溶液が前述のプリント紙1に被着し
て印刷が行われる。このとき、第2の積層型ピエゾ素子
123bに印加される駆動電圧の時間変化は、希釈液ノ
ズル142から混合液滴を吐出し得るように設定されて
いる。
【0116】希釈液圧力室155及びインク圧力室14
5の内圧はやがて元に戻り、希釈液及びインクは再び希
釈液ノズル142及びインクノズル132内に充填さ
れ、再び印刷待機状態となる。
【0117】なお、図19(b)中T1 で示され、図中
(B)で示す時点と図中(C)で示す時点間のインク定
量パルス幅、図19(a)中T2 で示され、図中(D)
で示す時点と図中(E)で示す時点間の希釈液吐出パル
ス幅、図19(b)中Vで示されるインク定量電圧は可
変である。
【0118】そして、図19(a),図19(b)に示
されるように、上記動作を繰り返すことで印刷がなさ
れ、図19(a)中T3 で示される印刷のサイクルは例
えば1msecとすれば良い。
【0119】すなわち、図15に示した駆動回路の信号
は、上記のような図19で示したタイミングで出力さ
れ、これにしたがって、第1の積層型ピエゾ素子123
aおよび第2の積層型ピエゾ素子123bに所定電圧が
印加される。
【0120】ここで、本例のプリンタ装置のプリントヘ
ッドにおいては、オリフィスプレート124が撥液性を
有する第1のフィルム124aと親水性を有する第2の
フィルム124bの2層よりなり、このうち親水性を有
する第2の材料フィルム124bが液室形成部材121
側に、撥液性を有する第1のフィルム124aがノズル
開口部側になるように配されていることから、液室形成
部材121の各室ではオリフィスプレート124によっ
てインクがはじかれることなく気泡の発生等が防止され
る。また、ノズル開口部周辺では第1のフィルム124
aの撥液性によってインク付着等が抑えられ、インクが
安定に吐出され、正確な記録画像が形成される。
【0121】続いて本例のプリンタ装置のプリントヘッ
ドの製造方法について述べる。先ず、液室形成部材を製
造する。すなわち、図21に示すように、ステンレス部
材171を用意する。このステンレス部材171は、イ
ンク供給路やインク圧力室等の各液室を形成する都合
上、厚さが0.07mm以上であるのが望ましい。ま
た、インク圧力室にかかる圧力に耐えるためにも、0.
07mm以上の厚さが必要である。なお、ここでは、厚
さが0.1mmのステンレス部材を使用した。
【0122】そして、このステンレス部材171の一主
面171aに例えば感光性ドライフイルムや液体レジス
ト材料などのレジストを塗布した後、インクバッファタ
ンク及び希釈液バッファタンクを形成するための貫通孔
部とインク圧力室及び希釈液圧力室を形成するための凹
部の形成位置に応じた部分をエッチング可能なパターン
を有するマスクを用いてパターン露光し、レジスト17
2を形成する。
【0123】また、このステンレス部材171の一主面
171aに相対向する主面171bにも同様にしてイン
ク供給路及び希釈液供給路を形成するための凹部、イン
ク導入口及び希釈液導入口を形成するための凹部の形成
位置に応じた部分をエッチング可能なパターンを有する
マスクを用いてパターン露光し、レジスト173を形成
する。
【0124】続いて、上記ステンレス部材171をレジ
スト172,173をマスクとして、例えば塩化第2鉄
水溶液等のエッチング溶液に所定時間浸してエッチング
を行う。その結果、図22に示すように、インクバッフ
ァタンクを形成し、一主面171aからこれと相対向す
る主面171bに貫通する貫通孔部125、インク圧力
室を形成し、一主面171aに臨んで開口する第1の凹
部126、貫通孔部125の側面と第1の凹部126の
底面を接続してインク供給路を形成し、一主面171b
に臨んで開口する第2の凹部127、インク導入口を形
成し、第1の凹部126の底面から一主面171bに臨
んで開口する第3の凹部128が形成される。また、同
様に希釈液バッファタンクを形成し、一主面171aか
らこれと相対向する主面171bに貫通する貫通孔部1
35、希釈液圧力室を形成し、一主面171aに臨んで
開口する第4の凹部136、貫通孔部135の側面と第
1の凹部136の底面を接続してインク供給路を形成
し、一主面171bに臨んで開口する第5の凹部13
7、希釈液導入口を形成し、第1の凹部136の底面か
ら一主面171bに臨んで開口する第6の凹部138が
形成される。なお、これらは、前述のように、第3の凹
部128と第6の凹部138が所定の間隔を有して相対
向するように形成される。
【0125】このステンレス部材171のエッチングに
際しては、ステンレス部材171の片面からのエツチン
グ量が、両側面でステンレス部材171の厚さの約1/
2強となるように選定するのが適当である。これにより
貫通孔部125,135や各凹部126,127,12
8,136,137,138の寸法精度が向上し、安定
な形成が可能になる。また、ステンレス部材171の両
側で、片面からのエツチング量を同じにすれば、ステン
レス部材171の両側面でエツチングの条件をほぼ同じ
条件に設定し得るので、エッチング工程が簡易化すると
ともに工程に費やす時間が短縮する。
【0126】なお、ここではステンレス部材171の厚
さが0.1mmであるので、ステンレス部材171の片
面からのエッチンング量を約0.055mm程度に設定
した。また、インク供給口143,希釈液供給口153
となる貫通孔部125,135の径は、インク圧力室1
45や希釈液圧力室155に圧力が印加された際に、供
給口143,153での液流量が圧力室145,155
内での圧力上昇に影響を及ぼさないように、後工程で形
成するノズルの径よりも大きくなるようにした。
【0127】続いてレジスト172,173を除去す
る。レジスト172,173としてドライフィルムレジ
ストを使用した場合には、例えば5%以下の水酸化ナト
リウム水溶液を用いれば良く、レジスト172,173
として液体レジスト材料を用いた場合には、例えば専用
アルカリ溶液を用いれば良い。その結果、図23に示す
ように、貫通孔部125、第1の凹部126、第2の凹
部127、第3の凹部128と、貫通孔部135、第4
の凹部136、第5の凹部137、第6の凹部138が
形成される液室形成部材121が形成される。
【0128】このようにしてレジスト172及び173
を除去した後、オリフィスプレートを形成する。
【0129】オリフィスプレートを形成するには、ま
ず、図24に示すように、親水性の有機材料フィルム1
74を、液室形成部材121の貫通孔部125,13
5、第2の凹部127、第3の凹部128、第5の凹部
137、第6の凹部138が形成された側の面に熱圧着
によって接着する。ここでは、この親水性の有機材料フ
ィルム174として、厚さが略50μm、ガラス転移点
が250℃以下のフィルム(商品名ネオフレックス)を
使用した。熱圧着条件は、温度230℃、圧力20〜3
0kgf/cm2である。ここで熱圧着法は、高い接着
強度が得られるとともに煩雑な操作が要らず、効率の良
い接着を行うことができる。また、接着剤を用いる方法
では、はみ出した接着剤がインク流路を塞ぐことが懸念
されるが、熱圧着法ではこのような不都合が回避され
る。
【0130】次に、図25に示すように、この親水性を
有する有機材料フィルム174の、ステンレス部材17
1と接着された側とは反対側の面に撥液性を有する有機
材料フィルム175を接着剤176によって接着するこ
とによって積層フィルム177を形成する。
【0131】この撥液性を有する有機材料フィルム17
5としては、上述の如く、撥液性とレーザ加工性の点か
ら選択され、例えば宇部興産株式会社製のポリイミド接
着フィルム:UPA−N111、UPA−N221、U
PA−T222、UPA−T208(いずれも商品名)
等が用いられる。これらのポリイミド接着フィルムは、
表面張力が31dyne/cm以下と撥液性に優れ、し
かもエキシマレーザによってノズルを形成した場合にバ
リや剥がれ等が発生せず、オリフィスプレートの材料と
して好適である。
【0132】接着剤176としては、密着強度とレーザ
加工性に優れることから、宇部興産株式会社製のポリイ
ミド接着材料:UPA−8322(商品名)等が好適で
ある。また、エーブルボンド社のエポキシ系接着剤も、
ポリイミド接着材料に比べればレーザ加工性が多少劣る
ものの、薄い厚さ範囲(例えば0.5μm以下)であれ
ば使用可能である。なお、このうちUPA−8322
は、160℃程度の低い硬化温度であっても十分な接着
強度を得ることができる。
【0133】以上のようなオリフィスプレートの形成方
法では、原材料が液体状態の撥液性材料を塗布する方法
とは異なり、液室形成部材側の面に不要な撥液性材料が
付着してしまうことがない。したがって、液室形成部材
側では第1のフィルム124bによる親水性が有効に保
持されることになる。
【0134】次に、エキシマレーザ加工装置を用いて、
図26に示すように積層フィルム177にインクノズル
と希釈液ノズルを形成する。
【0135】まず、希釈液ノズルを形成するには、積層
フィルム171の、液室形成部材121の第6の凹部1
38に対応する位置に、エキシマレーザを液室形成部材
171側から垂直に照射する。その結果、積層フィルム
177を構成する親水性の有機材料フィルム174、接
着剤176、撥液性の有機材料フィルム175に連続す
る貫通孔(希釈液ノズル)142が形成される。
【0136】次に、インクノズルを形成するために、積
層フィルム177の、液室形成部材121の第3の凹部
128に対応する位置に、エキシマレーザを希釈液ノズ
ル179の開口部に向かう方向で斜めに照射する。その
結果、積層フィルム177を構成する親水性の有機材料
フィルム174、接着剤176、撥液性の有機材料フィ
ルム175に連続する貫通孔(インクノズル)132が
形成される。
【0137】これらノズル132,142の形成に際し
て、第3の凹部128または第6の凹部138の径はノ
ズル128,179の径に比べて十分に大きいので、レ
ーザの照射位置が多少ずれでも液室形成部材121によ
ってレーザが遮蔽されてしまうことがなく、また先に例
示したフィルム材や接着剤はいずれもレーザ加工性に優
れるので、精密な形状のインクノズルが形成される。
【0138】なお、このように積層フィルムに予めノズ
ルを形成せずに、積層フィルムにステンレス部材を接着
した後にノズルを形成するのは、積層フィルムとステン
レス部材の位置合わせを簡易化するためである。
【0139】次いで、図27に示すように、液室形成部
材121のオリフィスプレート124が接着された側と
は反対側の主面に、予め突起149,159が形成され
た振動板122を熱圧着によって接着する。
【0140】ここで、この振動板122としては、三井
東圧化学社製の金属ラッピングフィルムを使用した。こ
の金属ラッピングフィルムは、図28に示すように、温
度特性の異なる3枚の樹脂フィルム122a,122
b,122cよりなる積層フィルム(振動板122)上
に厚さが約18μmの2枚の銅箔(突起149,、15
9)がラミネート形成されたものである。
【0141】この3枚の樹脂フィルムのうち、1層目の
樹脂フィルム122aはガラス転移点が250℃以下で
あって220〜230℃の温度範囲で接着性を示す樹脂
フィルム(商品名ネオフレックス)であり、2層目の樹
脂フィルム122bはガラス転移点が300℃以上であ
り、300℃以下の温度範囲で接着性を示さないポリイ
ミド系フィルムであり、3層目の樹脂フィルム122c
はガラス転移点が300℃以下であって270℃〜28
0℃の温度範囲で接着性を示す樹脂フィルム(商品名ネ
オフレックス)である。そして、突起149,159
は、3層目の樹脂フィルム122c上に貼り合わされる
ことで形成される。
【0142】なお、この突起149,159の耐熱性
は、実質的に振動板122を構成する樹脂フィルム12
2a,122b,122cの温度特性に依存することに
なるが、振動板122を構成するフィルムはいずれも低
温で軟化する材質ではないので、突起149,159を
耐熱性のある構造体として形成することができる。
【0143】また、この振動板122では、突起が形成
されていない1層目の樹脂フィルム122aが液室形成
部材121と熱圧着される。この熱圧着条件は、温度2
30℃程度、圧力20〜30kgf/cm2である。こ
の熱圧着法は、高い接着強度が得られるとともに煩雑な
操作が要らず、効率の良い接着を行うことができる。
【0144】なお、ここでは振動板122を熱圧着法に
よって接着しているが、接着剤を用いて接着を行うよう
にしても構わない。この接着剤としては、熱可塑性接着
剤が好ましいが、低温で硬化する接着剤、例えばエポキ
シ系接着剤等であっても差し支えない。
【0145】液室形成部材121は、このようにして振
動板122が接着されることで各貫通孔部125,13
5及び各凹部126,127,128,136,13
7,138が閉塞される。
【0146】すなわち、貫通孔部125によりインクバ
ッファタンク143が形成され、第2の凹部127によ
りインク供給路144が形成され、第1の凹部126に
よりインク圧力室145が形成され、第3の凹部128
によりインク導入口146が形成されることとなる。
【0147】また、貫通孔部135により希釈液バッフ
ァタンク153が形成され、第2の凹部137により希
釈液供給路154が形成され、第1の凹部136により
希釈液圧力室155が形成され、第3の凹部138によ
り希釈液導入口156が形成されることとなる。
【0148】この後、振動板122上の突起部149,
159上に積層型ピエゾ素子123a,123bを配
し、インク供給口129と接続されるようにインク供給
管150を配するとともに、希釈液供給口139と接続
されるように希釈液供給管160を配することで図16
に示したような本例のプリンタ装置のプリントヘッドを
完成する。
【0149】以上で説明したプリントヘッドは、いずれ
も液室形成部材が金属材料により構成されるが、この液
室形成部材はポリサルフォンやポリエーテルイミド等の
材料を射出成形することで形成しても良い。
【0150】液室形成部材を射出成形によって形成した
プリントヘッドの例として、インクジェットタイプのプ
リントヘッドを図29に、2液混合タイプのプリントヘ
ッドを図30に示す。
【0151】まず、図29に示すプリントヘッドは、液
室形成部材301、振動板302、積層型ピエゾ素子3
03、インク供給管304、オリフィスプレート305
により構成されている。
【0152】上記液室形成部材301は樹脂材料を射出
成形することで成形された成形体であり、定量媒体バッ
ファタンク306、定量媒体供給路307、定量媒体圧
力室308、定量媒体導入部309(以下、それぞれイ
ンクバッファタンク306、インク供給路307、イン
ク圧力室308及びインク導入部309と称する。)が
一主面に臨んで開口する凹部310として形成されてい
る。また、上記インク導入部309の底部には、液室形
成部材の他方の主面に貫通するインク導入口311が形
成されている。
【0153】この液室形成部材301の樹脂材料として
は、耐熱温度が180℃程度のポリサルフォン材料ある
いはポリエーテルイミド材料等を用いることが可能であ
る。ここで樹脂材料を射出成形することで形成される液
室形成部材301の場合、これまで熱処理によって撥液
性が付与されていたが、このプリントヘッドでは後述す
る撥液性の有機材料フィルムによって撥液性を付与する
ので、この熱処理が不要である。したがって、耐熱温度
が180℃程度の樹脂材料を使用することができる。
【0154】この液室形成部材301には、凹部310
が開口する側の主面に振動板302が配されるとともに
他方の主面にオリフィスプレート305が配されてお
り、この振動板302とオリフィスプレート305によ
って厚さ方向に挟み込まれたかたちになっている。
【0155】このうち、振動板302は、ニッケル等の
金属箔あるいは樹脂フィルムによって構成されており、
バッファタンクに対応する位置に、バッファタンクの径
よりも小径となされたインク供給口313が形成されて
いる。
【0156】一方、オリフィスプレート305は、この
プリントヘッドでは、撥液性を有する有機材料フィルム
305aと、この有機材料フィルム305aを液室形成
部材301に接着する接着剤層305bによって構成さ
れている。
【0157】接着剤層は305bは、液室形成部材30
1の耐熱温度である180℃以下の温度で接着工程が終
了する材料により構成される。
【0158】この接着剤層305bとしては、密着強度
やレーザ加工性に優れることからポリイミド接着材料が
好ましく、具体的には宇部興産社製のUPA−8322
(商品名)等が好適である。なお、この接着剤層305
bも、レーザ加工性に優れることに越したことはない
が、フィルムに比べて厚さが薄く、またノズル開口面を
構成するものではないので加工性はそれ程厳しく要求さ
れない。したがって、例えばエポキシ系接着剤であって
も構わない。例えば、エポキシ系接着剤であるエーブル
ボンド社製のエポキシ接着剤は、ポリイミド系の接着剤
に比べて多少加工性に劣るが0.5μm程度の厚さであ
ればノズル形状に乱れを生じることなくノズルの加工が
行える。
【0159】撥液性を有する有機材料フィルム305a
としては、表面張力が31dyne/cm以下のものを
用いるのが望ましい。またこのような撥液性を有すると
ともにノズルのレーザ加工性も考慮して選択するのが好
ましい。そのような有機材料フィルムの材質としては、
例えばポリイミド系材料が挙げられ、特にポリイミドシ
ロキサンが好ましい。ポリイミドシロキサンは、ポリイ
ミドのイミド結合の窒素と結合する芳香族炭化水素の一
部がシロキサンにより置換されたものであり、Siのポ
リイミドに対する含有量が3重量%〜25重量%である
のが良い。
【0160】なお、このポリイミド系フィルムの市販品
としては、宇部興産株式会社製のポリイミド接着フィル
ム:UPA−N111(商品名)や、UPA−N221
(商品名)あるいは、UPA−T222(商品名)や、
UPA−T208(商品名)等が用いられる。
【0161】撥液性を有する有機材料フィルム305a
としては、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重
合体も使用可能である。この共重合体は撥液性に非常に
優れる有機材料であり、オリフィスプレートの材料とし
て適している。しかし、焼成温度が270℃であるた
め、耐熱温度が200℃以下の液室形成部材に直接熱圧
着させることが困難であり、また接着剤による接着性も
劣るため、これまでは使用が避けられていた。しかし、
接着剤層305bとして、接着温度が180℃以下の接
着材料、例えば、宇部興産社製のポリイミド接着フィル
ム:UPA−8322(商品名)を接着剤層として用い
れば、低温で十分な強度の接着を行うことができる。但
し、この共重合体フィルムは、ポリイミドフィルムに比
べてレーザ加工性に劣るので、5μm以下の厚さで用い
るのが望ましい。5μm以下の厚さであれば、エキシマ
レーザ加工装置によって直径が35μm程度の円形のノ
ズルが精密な形状で加工できる。
【0162】このような積層フィルムよりなるオリフィ
スプレート305には、インク導入口311と連続する
貫通孔としてインクノズル312が形成されている。液
室形成部材301のインク導入口311と、オリフィス
プレートのインクノズル312は、インク導入部309
の底部に、例えばエキシマレーザ光を照射することで加
工を行うアブレーションレーザ加工法によって形成さ
れ、所定径を有する断面円形状とされている。なお、こ
のレーザ加工法では、液室形成部材301、接着剤層3
05b、撥液性を有する有機材料フィルム305aの各
層が、同時に加工されるので、インクノズル312が境
目無く連続した貫通孔として形成される。
【0163】以上のようなオリフィスプレートは、振動
板302とともに液室形成部材301を厚さ方向から挟
み込むように配されており、凹部310が振動板302
によって塞がれたかたちになっている。これにより、液
室形成部材301には、振動板302側からオリフィス
プレート305側に向かって厚さ方向に形成されるイン
クバッファタンク306、これと接続され液室形成部材
301の面内方向に形成されるインク供給路307と、
これに接続され振動板302側に形成されるインク圧力
室308、上記インク圧力室308に接続され、オリフ
ィスプレート305側に開口するインク導入部309及
びインク導入口311が連続して形成されることとな
る。
【0164】そして、前述のように振動板302にはイ
ンク供給口313が形成され、オリフィスプレート30
5にはインクノズル312が形成されていることから、
インク供給口313、インクバッファタンク306、イ
ンク供給路307、インク圧力室308、インク導入部
309、インク導入口311、インクノズル312の順
にインクが流れることとなる。
【0165】また、本例のプリントヘッドにおいては、
振動板302の液室形成部材301と接着される面とは
反対側の一主面のインク圧力室308に対応する位置に
突起部314が形成されており、この突起部314を介
して積層型ピエゾ素子303が載置されている。なお、
上記積層型ピエゾ素子303としては、圧電部材と導電
部材とが交互に積層されてなるものが挙げられる。この
とき、圧電部材と導電部材との積層数は何層であっても
良い。
【0166】この突起部314はインク圧力室308の
平面の面積及び積層型ピエゾ素子303の平面の面積よ
りも小さいものとして形成されている。さらに、上記振
動板302の一主面のインク供給口313に対応する位
置には図示しないインクタンクに接続されるインク供給
管304が接続されている。
【0167】このプリントヘッドにおいても、積層型ピ
エゾ素子303の変位によって振動板302が持ち上げ
られたり押圧されたりする。これによってインク圧力室
308での圧力が制御され、インクノズル312からイ
ンクが吐出することになる。
【0168】このとき、このプリントヘッドにおいて
は、オリフィスプレート305が撥液性を有する有機材
料フィルム305aと接着剤層305bの2層よりな
り、撥液性の有機材料フィルム305aがノズル開口面
側となるように配されているので、ノズル開口部周辺で
は有機材料フィルム305aの撥水性によってインク付
着等が抑えられ、インクが安定に吐出され、正確な記録
画像が形成される。
【0169】このようなプリントヘッドを製造するに
は、射出成形法によってインクバッファタンク306、
インク供給路307、インク圧力室308、インク導入
部309に対応する凹部310を有する樹脂部材を成形
する。そして、この樹脂部材の凹部310が形成された
側と反対側の面に、撥液性の有機材料フィルム305a
上に接着剤層305bが形成されてなる積層フィルム3
05を熱圧着する。そして、インク導入部309の底部
に対してエキシマレーザを照射して、この底部から液室
形成部材301とオリフィスプレート305を貫通する
貫通孔としてインク導入口311及びインクノズル31
2を形成する。この後、樹脂部材のオリフィスプレート
が形成された側と反対側の面に、突起を有する振動板3
02、積層ピエゾ素子303を接着し、インク液供給管
304を取り付けることでプリントヘッドが完成する。
【0170】次に、図30に示すプリントヘッドは、2
液混合タイプのプリントヘッドであり、液室形成部材3
15、振動板316、積層型ピエゾ素子317,31
8、インク供給管319、希釈液供給管320及びノズ
ル形成部材321により構成されている。
【0171】上記液室形成部材315は樹脂材料を射出
成形することで成形された成形体であり、定量媒体バッ
ファタンク322、定量媒体供給路323、定量媒体圧
力室324及び定量媒体導入部325(以下、それぞれ
インクバッファタンク322、インク供給路323、イ
ンク圧力室324及びインク導入部325と称する。)
が、一主面に臨んで開口する第1の凹部326として形
成されている。また、上記インク導入部325の底部に
は、液室形成部材315の他方の主面に貫通するインク
導入口327が形成されている。また、この第1の凹部
326の隣には、これと左右対称に、吐出媒体バッファ
タンク328、吐出媒体供給路329、吐出媒体圧力室
330及び吐出媒体導入部331(以下、それぞれ希釈
液バッファタンク328、希釈液供給路329、希釈液
圧力室330及び希釈液導入部331と称する。)が、
一主面に臨んで開口する第2の凹部332として形成さ
れている。また、上記希釈液導入部331の底部には、
液室形成部材315の他方の主面に貫通する希釈液導入
口333が形成されている。
【0172】この液室形成部材315の樹脂材料として
は、耐熱温度が180℃程度のポリサルフォン材料ある
いはポリエーテルイミド材料等を用いることが可能であ
る。ここで樹脂材料を射出成形法することで形成される
液室形成部材の場合、これまで熱処理によって撥液性が
付与されていたが、このプリントヘッドでは後述する撥
液性の有機材料フィルムによって撥液性を付与するの
で、この熱処理が不要である。したがって、耐熱温度が
180℃程度の樹脂材料を使用することができる。
【0173】この液室形成部材315には、第1の凹部
326及び第2の凹部332が開口する側の主面に振動
板316が配されるとともに他方の主面にオリフィスプ
レート321が配されており、この振動板316とオリ
フィスプレート321によって厚さ方向に挟み込まれた
かたちになっている。
【0174】このうち、振動板316は、ニッケル等の
金属箔あるいは樹脂フィルムによって構成されており、
インクバッファタンク322に対応する位置にインクバ
ッファタンク332の径よりも小径となされたインク供
給口334が形成されている。また、希釈液バッファタ
ンク328に対応する位置に希釈液バッファタンク32
8に径よりも小径となされた希釈液供給口335が形成
されている。
【0175】一方、オリフィスプレート321は、この
プリントヘッドでは、撥液性を有する有機材料フィルム
321aと、この有機材料フィルム321aを液室形成
部材315に接着する接着剤層321bによって構成さ
れている。
【0176】接着剤層321bは、液室形成部材315
の耐熱温度である180℃以下の温度において接着工程
が終了する材料により構成される。
【0177】この接着剤層321bとしては、密着強度
やレーザ加工性に優れることからポリイミド接着材料が
好ましく、具体的には宇部興産社製のUPA−8322
(商品名)等が好適である。なお、この接着剤層321
bも、レーザ加工性に優れることに越したことはない
が、フィルムに比べて厚さが薄く、またノズル開口面を
構成するものではないので加工性はそれほど厳しく要求
されない。したがって、例えばエポキシ系接着剤であっ
ても構わない。例えばエポキシ系接着剤であるエーブル
ボンド社製のエポキシ接着剤は、ポリイミド系の接着剤
に比べて多少加工性に劣るが0.5μm程度の厚さであ
ればノズル形状の乱れを生じることなくノズルの加工が
行える。
【0178】撥液性を有する有機材料フィルム321a
としては、表面張力が31dyne/cm以下のものを
用いるのが望ましい。またこのような撥液性を有すると
ともにノズルのレーザ加工性も考慮して選択するのが好
ましい。そのような有機材料フィルムの材質としては、
例えばポリイミド系材料が挙げられ、特にポリイミドシ
ロキサンが好ましい。ポリイミドシロキサンは、ポリイ
ミドのイミド結合の窒素と結合する芳香族炭化水素の一
部がシロキサンにより置換されたものであり、Siのポ
リイミドに対する含有量が3重量%〜25重量%である
のが良い。
【0179】なお、このポリイミド系フィルムの市販品
としては、宇部興産株式会社製のポリイミド接着フィル
ム:UPA−N111(商品名)や、UPA−N221
(商品名)あるいは、UPA−T222(商品名)や、
UPA−T208(商品名)等が用いられる。
【0180】撥液性を有する有機材料フィルム321a
としては、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重
合体も使用可能である。この共重合体は撥液性に非常に
優れる有機材料であり、オリフィスプレートの材料とし
て適している。しかし、焼成温度が270℃であるた
め、耐熱温度が200℃以下の液室形成部材に直接熱圧
着させることが困難であり、また接着剤による接着性も
劣るため、これまでは使用が避けられていた。しかし、
接着剤層321bとして、接着温度が180℃以下の接
着材料、例えば、宇部興産社製のポリイミド接着フィル
ム:UPA−8322を用いれば、低温で十分な強度の
接着を行うことができる。但し、この共重合体フィルム
は、ポリイミドフィルムに比べてレーザ加工性に劣るの
で、5μm以下の厚さで用いるのが望ましい。5μm以
下の厚さであれば、エキシマレーザ加工装置によって直
径が35μm程度の円形のノズルが精密な形状で加工で
きる。
【0181】このような積層フィルムよりなるオリフィ
スプレート321には、インク導入口327と連続する
貫通孔として定量媒体ノズル336(以下、インクノズ
ル336と称する。)が厚さ方向に対して斜めに形成さ
れ、また希釈液導入口333と連続する貫通孔として吐
出媒体ノズル337(以下、希釈液ノズル337と称す
る。)が垂直に形成されている。このインクノズル33
6及び希釈液ノズル337は、液室形成部材315のイ
ンク導入部325または希釈液導入部331の底部に、
例えばエキシマレーザ光を照射することで加工を行うア
ブレーションレーザ加工法によって形成されており、所
定径を有する断面円形状とされている。なお、このレー
ザ加工法では、液室形成部材315、接着剤層321
b、撥液性を有する有機材料フィルム321aの各層
が、同時に加工されるので、ノズルが境目無く連続した
貫通孔として形成される。
【0182】以上のようなオリフィスプレート321
は、振動板316とともに液室形成部材315を厚さ方
向から挟み込むように配されており、このオリフィスプ
レート321に形成されたインクノズル336と希釈液
ノズル337は、それぞれインク導入口327、希釈液
導入口33に連通したかたちになる。
【0183】したがって、インクバッファタンク326
に供給されたインクは、インクバッファタンク326、
インク供給路323、インク圧力室324、インク導入
部325、インク導入口327、インクノズル336の
順に流れることとなる。また、希釈液バッファタンク3
28に供給された希釈液は、希釈液バッファタンク32
8、希釈液供給路329、希釈液圧力室330、希釈液
導入部331、希釈液導入口333、希釈液ノズル33
7の順に流れることとなる。
【0184】また、本例のプリントヘッドにおいては、
振動板338,339の液室形成部材315と接着され
る面とは反対側の一主面のインク圧力室324、希釈液
圧力室330に対応する位置に突起部338,339が
形成されており、この突起部338,339を介して積
層型ピエゾ素子317,318が載置されている。な
お、上記積層型ピエゾ素子317,318としては、圧
電部材と導電部材とが交互に積層されてなるものが挙げ
られる。このとき、圧電部材と導電部材との積層数は何
層であっても良い。
【0185】この突起部338,339はインク圧力室
324,希釈液圧力室330の平面の面積及び積層型ピ
エゾ素子317,318の平面の面積よりも小さいもの
として形成されている。さらに、上記振動板316の一
主面のインク供給口334に対応する位置には図示しな
いインクタンクに接続されるインク供給管319が接続
されている。また、希釈液供給口335に対応する位置
には図示しない希釈液タンクに接続される希釈液供給管
320が接続されている。
【0186】このプリントヘッドにおいても、積層型ピ
エゾ素子317,318の変位によって振動板316が
持ち上げられたり押圧されたりする。これによってイン
ク圧力室324や希釈液圧力室330の圧力が制御さ
れ、オリフィスプレート321上でインクと希釈液が混
合され、吐出することになる。
【0187】このとき、このプリントヘッドにおいて
は、オリフィスプレート321が撥液性を有する有機材
料フィルム321aと接着剤層321bの2層よりな
り、撥液性の有機材料フィルム321aがノズル開口面
側となるように配されているので、ノズル開口部周辺で
は有機材料フィルム321aの撥水性によってインク付
着等が抑えられ、インクの混合、吐出が安定化し、正確
な記録画像が形成される。
【0188】このようなプリントヘッドを製造するに
は、射出成形法によってインクバッファタンク326、
インク供給路323、インク圧力室324、インク導入
部325に対応する第1の凹部326と、希釈液バッフ
ァタンク328、希釈液供給路329、希釈液圧力室3
30、希釈液導入部331に対応する第2の凹部332
を有する樹脂部材を成形する。そして、この樹脂部材の
第1の凹部と第2の凹部が形成された側と反対側の面
に、撥液性の有機材料フィルム321a上に接着剤層3
21bが形成されてなるオリフィスプレート321を熱
圧着する。そして、インク導入部325の底部に対して
エキシマレーザを厚さ方向に対して斜めに照射すること
で、この底部から液室形成部材315とオリフィスプレ
ート321を貫通するインク導入口327とインクノズ
ル336を形成する。続いて、希釈液導入部331の底
部に対してエキシマレーザを垂直に照射することで、こ
の底部から液室形成部材315とオリフィスプレート3
21を貫通する希釈液導入口333と希釈液ノズル33
7を形成する。
【0189】この後、樹脂部材のオリフィスプレート3
21が形成された側と反対側の面に、突起338,33
9を有する振動板316、積層ピエゾ素子317,31
8を接着し、インク液供給管319及び希釈液供給管3
20を取り付けることでプリントヘッドが完成する。
【0190】以上、本発明に係るプリンタ装置に搭載さ
れるプリントヘッドの具体的な形態について説明した
が、プリントヘッドの構成はこれに限るものではない。
例えば、液室の形状や液を吐出させるための機構等は、
この種のプリントヘッドで採用されているものがいずれ
も適用可能である。また、熱圧着やレーザ加工等のプロ
セス条件も各種変更が可能である。
【0191】例えば、ここでは溌液性フィルム34a,
124a,305a,321aの材質として表面張力が
31dyne/cm以下の材質を用いることとして説明
を行ったが、本発明においては溌液性フィルム34a,
124a,305a,321aの材質は、その全てが表
面張力が31dyne/cm以下の材質により構成され
る必要はない。溌液性フィルム34a,124a,30
5a,321aの少なくとも片面の表面張力が31dy
ne/cm以下の材質により構成されていれば、オリフ
ィスプレートの形成方法において、原材料が液体状態の
溌液性材料を塗布する工程を用いないので、液室形成部
材側の面に不要な溌液性材料が付着してしまうことがな
く、同様の効果が得られる。
【0192】また、ここでは、オリフィスプレート3
4,124を構成する親水性の有機材料フィルム64,
174の材質として、厚さが略50μm、ガラス転移点
が250℃以下のフィルム(商品名ネオフレックス)を
使用した例を説明したが、図31に示すような有機材料
フィルム191を用いても同様の効果が得られる。
【0193】すなわち、この図31に示す有機材料フィ
ルム191は厚さがほぼ125μm、ガラス転移点が2
50℃以上のデュポン社製のカプトン(商品名)よりな
る樹脂材料192の一面に、厚さがほぼ7μm、ガラス
転移点が250℃以下のネオフレックスからなる樹脂材
料193が塗布されて構成されている。
【0194】この有機材料フィルム191の厚さは有機
材料フィルム64,174の厚さよりも厚いので、オリ
フィスプレート34及び124の強度を一段と確保する
ことができるとともに、ノズル42の長さを長くするこ
とができるので、吐出されるインク液滴の方向性を高め
ることができる。
【0195】特に2液混合型のオリフィスプレート12
4において有機材料フィルム191を用いた場合には、
インク用ノズル132の傾斜角度に余裕をもたせること
ができるとともに、インク液室と希釈液室との間隔を容
易に広げることができるので、インク漏れ及び希釈液漏
れを確実に防止し得る。
【0196】また、プリンタ装置の印字方式も図1に示
す構成によるものに限らず、図32に示すライン型のプ
リンタ装置、図33に示すドラム型のプリンタ装置であ
っても良い。なお、図中、図1に対応する部材の符号に
ついては、図1の符号と同一符号を使用した。
【0197】このうちライン型のプリンタ装置は、図示
しない多数のプリントヘッドがライン状に配置されてな
るラインヘッド212がドラム202の軸方向に固定し
て設けられている。このライン型のプリンタ装置におい
ては、ラインヘッド212が1行分の印字を同時に行う
ようになされており、一行分の印字が完了すると図中矢
印mで示す方向にドラム202を1行分だけ回転させて
次の行の印字を行うようになされている。この場合、全
ラインを一括して印字したり、複数ブロツクに分割した
り、1行おきに交互に印字する方法が考えられる。
【0198】また、ドラム回転型のプリンタ装置は、ド
ラム202が回転するとその回転に同期してプリントヘ
ッド部203からインクが吐出され、プリント紙201
上に画像が形成される。ドラム202が図中矢印mで示
す方向に1回転してプリント紙201上に円周方向に1
列の印刷が完了すると、送りねじ205が回転してプリ
ントヘッド部203を図中矢印M´で示す方向に1ピッ
チ分移動させ、次の列の印刷を行う。この場合、ドラム
202と送りねじ205を同時に回転させ、印刷しなが
らプリントヘッド部203を徐々に移動させる方法もあ
る。マルチノズルヘッドの場合や同じ場所を何度か印字
するような構成の場合は、ドラム202と送りねじ20
5とを連動して同時に回転させながらスパイラル状の印
字を行う。
【0199】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明のプリンタ装置は、ノズルが形成されるノズル形成部
材として、撥液性有機フィルムがノズル開口部側に配さ
れた積層体を用いるので、ノズル形成部材の液室側に不
要な撥液性材料を付着させることなくノズル開口部周辺
に撥液性を付与することができる。したがって、ノズル
開口部周辺でのインク付着等が抑えられ、インクが安定
に吐出され、正確な記録画像が形成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したプリンタ装置の一例を模式的
に示す要部概略斜視図である。
【図2】本発明を適用したプリンタ装置の一例の印字及
び制御系のブロック図である。
【図3】本発明を適用したプリンタ装置の一例のプリン
トヘッドを示す要部概略断面図である。
【図4】図3に示すプリンタ装置のインクバッファタン
クを示す要部概略平面図である。
【図5】本発明を適用したプリンタ装置の一例のプリン
トヘッドのインク圧力室の体積が増大した状態を示す要
部概略断面図である。
【図6】本発明を適用したプリンタ装置の製造方法の一
例を工程順に示すものであり、ステンレス部材上にレジ
ストを形成する工程を示す要部概略断面図である。
【図7】本発明を適用したプリンタ装置の製造方法の一
例を工程順に示すものであり、エッチングした状態を示
す要部概略断面図である。
【図8】本発明を適用したプリンタ装置の製造方法の一
例を工程順に示すものであり、圧力室形成部材を形成す
る工程を示す要部概略断面図である。
【図9】本発明を適用したプリンタ装置の製造方法の一
例を工程順に示すものであり、ステンレス部材に親水性
の有機材料フィルムを接着する工程を示す要部概略断面
図である。
【図10】本発明を適用したプリンタ装置の製造方法の
一例を工程順に示すものであり、親水性の有機材料フィ
ルムに溌液性の有機材料フィルムを接着する工程を示す
要部概略断面図である。
【図11】本発明を適用したプリンタ装置の製造方法の
一例を工程順に示すものであり、積層フィルムにノズル
を形成する工程を示す要部概略断面図である。
【図12】本発明を適用したプリンタ装置の製造方法の
一例を工程順に示すものであり、振動板を接着する工程
を示す要部拡大断面図である。
【図13】液室形成部材に接着する振動板の構成を示す
要部拡大断面図である。
【図14】本発明を適用したプリンタ装置の他の例の印
字及び制御系のブロック図である。
【図15】本発明を適用したプリンタ装置の他の例のプ
リントヘッドの駆動回路を示す回路ブロック図である。
【図16】本発明を適用したプリンタ装置の他の例のプ
リントヘッドを示す要部概略断面図である。
【図17】図16に示すプリンタ装置のバッファタンク
を示す要部概略平面図である。
【図18】本発明を適用したプリンタ装置の他の例のプ
リントヘッドのインク圧力室及び希釈液圧力室の体積が
増大した状態を示す要部概略断面図である。
【図19】本発明を適用したプリンタ装置の他の例のプ
リントヘッドの駆動電圧の印加タイミングを示すチャー
トである。
【図20】本発明を適用したプリンタ装置の他の例のプ
リントヘッドのインク圧力室の体積が元の状態に戻ろう
とする様子を示す要部概略断面図である。
【図21】本発明を適用したプリンタ装置の製造方法の
さらに他の例を工程順に示すものであり、ステンレス部
材上にレジストを形成する工程を示す要部概略断面図で
ある。
【図22】本発明を適用したプリンタ装置の製造方法の
さらに他の例を工程順に示すものであり、エッチングし
た状態を示す要部概略断面図である。
【図23】本発明を適用したプリンタ装置の製造方法の
さらに他の例を工程順に示すものであり、圧力室形成部
材を形成する工程を示す要部概略断面図である。
【図24】本発明を適用したプリンタ装置の製造方法の
さらに他の例を工程順に示すものであり、液室形成部材
に親水性の有機材料フィルムを接着する工程を示す要部
概略断面図である。
【図25】本発明を適用したプリンタ装置の製造方法の
さらに他の例を工程順に示すものであり、親水性の有機
材料フィルムに溌液性の有機材料フィルムを接着する工
程を示す要部概略断面図である。
【図26】本発明を適用したプリンタ装置の製造方法の
さらに他の例を工程順に示すものであり、積層フィルム
にノズルを形成する工程を示す要部概略断面図である。
【図27】本発明を適用したプリンタ装置の製造方法の
さらに他の例を工程順に示すものであり、振動板を接着
する工程を示す要部概略断面図である。
【図28】液室形成部材に接着する振動板の構成を示す
要部概略断面図である。
【図29】本発明を適用したプリンタ装置のさらに他の
例のプリントヘッドを示す要部概略断面図である。
【図30】本発明を適用したプリンタ装置のさらに他の
例のプリントヘッドを示す要部概略平面図である。
【図31】親水性有機材料フィルムの他の例を示す要部
概略断面図である。
【図32】本発明を適用したプリンタ装置の他の例を模
式的に示す要部概略斜視図である。
【図33】本発明を適用したプリンタ装置の他の例を模
式的に示す要部概略斜視図である。
【図34】従来のプリンタヘッドを示す要部概略断面図
である。
【符号の説明】
31,121,301,315 液室形成部材、34,
124 305,321 オリフィスプレート、34
a,124a,305a,321a 溌液性を有する有
機材料フィルム、42,132,312,336 イン
クノズル、142,337 希釈液ノズル

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吐出液が導入される液室と、これに連通
    する吐出ノズルとを少なくとも有し、吐出ノズルから吐
    出液を吐出するプリントヘッドを有するプリンタ装置に
    おいて、 上記吐出ノズルが、ノズル形成部材を貫通する貫通孔と
    して形成され、 上記ノズル形成部材は、吐出液が吐出する側が撥液性有
    機フィルムによって構成される積層体であることを特徴
    とするプリンタ装置。
  2. 【請求項2】 上記吐出ノズルは、ノズル形成部材をレ
    ーザ加工することで形成されることを特徴とする請求項
    1記載のプリンタ装置。
  3. 【請求項3】 撥液性有機フィルムの厚さが、10μm
    以上であることを特徴とする請求項1記載のプリンタ装
    置。
  4. 【請求項4】 撥液性有機フィルムは、ポリイミド系材
    料よりなることを特徴とする請求項1記載のプリンタ装
    置。
  5. 【請求項5】 ポリイミド系材料は、温度23℃下で、
    水中に24時間浸漬した後の吸水率が0.4%以下であ
    ることを特徴とする請求項4記載のプリンタ装置。
  6. 【請求項6】 撥液性有機フィルムを構成するポリイミ
    ド系材料は、ポリイミドシロキサンを含む材料であるこ
    とを特徴とする請求項5記載のプリンタ装置。
  7. 【請求項7】 撥液性有機フィルムは、四フッ化エチレ
    ンと六フッ化プロピレンの共重合体であることを特徴と
    する請求項1記載のプリンタ装置。
  8. 【請求項8】 積層フィルムのフィルム同士が、硬化温
    度が180℃以下の接着剤によって接着されていること
    を特徴とする請求項1記載のプリンタ装置。
  9. 【請求項9】 液室が、ノズル形成部材側に開口してお
    り、 ノズル形成部材の液室側が、表面張力が40dyne/
    cm以上の親水性有機フィルムによって構成されている
    ことを特徴とする請求項1記載のプリンタ装置。
  10. 【請求項10】 親水性有機フィルムは、ポリイミド系
    材料であることを特徴とする請求項9記載のプリンタ装
    置。
  11. 【請求項11】 液室が、樹脂の射出成形体によって形
    成されており、 この射出成形体に、撥液性有機フィルムが、接着温度が
    180℃以下の接着剤層によって接着されていることを
    特徴とする請求項1記載のプリンタ装置。
  12. 【請求項12】 ノズル形成部材に、第1の吐出ノズル
    と第2の吐出ノズルが貫通孔として設けられ、第1のノ
    ズルからの溶液と第2のノズルからの溶液が混合されて
    吐出されることを特徴とする請求項1記載のプリンタ装
    置。
  13. 【請求項13】 撥液性有機フィルムと、他のフィルム
    を貼り合わせてノズル形成部材を作製する工程と、この
    ノズル形成部材にレーザ加工によって貫通孔を形成する
    ことによって吐出ノズルを形成する工程とを有すること
    を特徴とするプリンタ装置の製造方法。
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