JP4417240B2 - プリンタ装置の製造方法 - Google Patents

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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

本発明は、記録信号に応じてインク液滴をノズルより吐出して、紙やフイルムなどの記録媒体に記録するプリンタ装置及びプリンタ装置の製造方法に関する。
インク滴を噴射させて紙やフィルム等の記録媒体に直接被着させて記録を行ういわゆるインクジェット方式のプリンタ装置は、近年急速に普及しつつある。
そしてこのようなインクジェットプリンタ装置の中でも、記録信号に応じてインク液滴を吐出する、いわゆるオンデマンド型のプリンタ装置は、小型化及び低コスト化を実現することができるため特に普及している。
上記オンデマンド型のプリンタ装置においてインク液滴を吐出する方法としては、様々な方法が提案されているが、ピエゾ素子等の圧電素子を用いる方法又は発熱素子を用いる方法が一般的である。前者はピエゾ素子の変形によりインクが充填されている圧力室に圧力を加えて吐出させる方法である。後者は、発熱素子によりインクを加熱沸騰させて発生する泡の圧力でインクを吐出させる方法である。
上記圧電素子を用いる方法には、3つ以上の圧電素子が積層されてなる積層型圧電素子をインクが充填されている圧力室に振動板を介して貼り合わせ、上記積層型圧電素子を直線的に変位させることにより振動板を介して圧力室を押圧する方法と、インクが充填されている圧力室に振動板を介して単板型の圧電素子又は2層以上に積層された圧電素子を貼り合わせ、この圧電素子に電圧を与えることにより振動板と圧電素子とのバイモルフ効果により振動板を湾曲させて圧力室を押圧する方法とがある。
上記のようなプリンタ装置は、例えば以下に示すような構造のプリントヘッドを有する。すなわち、図78に示すように、このプリントヘッドは、圧力室形成部1101、振動板1102、圧電素子1103、ノズル形成部材1104により構成されるものである。
上記圧力室形成部1101においては、液体供給路を形成する第1の溝部1105、圧力室を形成する第2の溝部1106、液体供給路を形成する第3の溝部1107が連通して一方の主面1101aに臨むように開口して形成されている。なお、第1の溝部1105と第3の溝部1107は略同等の深さを有する溝として形成されており、第2の溝部1106はこれらよりも深い溝として形成されている。また、上記圧力室形成部1101においては第3の溝部1107の底面1107aから圧力室形成部1101の一主面1101aと相対向する主面1101bへ厚さ方向に貫通するノズル導入孔1108が形成されている。
そして、上記圧力室形成部1101の一主面1101a側には第1の溝部1105,第2の溝部1106、第3の溝部1107を塞ぐようにして振動板1102が図示しない接着剤により接着されており、第1の溝部1105と振動板1102に囲まれた空間が液体供給路1109とされ、第2の溝部1106と振動板1102に囲まれた空間が圧力室1110とされ、第3の溝部1107と振動板1102に囲まれた空間が液体流路1111とされる。したがって、液体供給路1109、圧力室1110、液体流路1111、ノズル導入孔1108は連通して形成されることとなる。
なお、上記振動板1102には図示しないインクタンクに接続される図示しないインク供給管が取り付けられるため、当該振動板1102にはインク供給管に対応する図示しない貫通孔が穿設されている。
さらに、上記振動板1102の圧力室形成部1101への対向面とは反対側の主面1102aの圧力室1110に対応する位置には単板型の圧電素子1103が図示しない接着剤により固定されている。
さらにまた、圧力室形成部1101の溝部開口面となる一主面1101aの反対側の一主面1101bには、ノズル導入孔1108に連通し、インクを吐出するための吐出ノズル1112が形成されたノズル形成部材1104(以下、これをオリフィスプレート1104と称する。)が配されている。
すなわち、このプリントヘッドにおいては、インクは、先ず液体供給路1109から、圧力室1110、液体流路1111、ノズル導入孔1108を通じて吐出ノズル1112に供給され、吐出ノズル1112の先端にメニスカスが形成される。そして、このプリントヘッドにおいては、圧電素子1103が、所定の電圧を印加されると、バイモルフ効果によって面内方向に縮み、図中矢印m1で示す厚さ方向に湾曲するものとなされていることから、これに伴い振動板1102も図中矢印m1で示す方向に湾曲する。すると、圧力室1110の体積が減少して当該圧力室1110内の圧力が上昇し、吐出ノズル1112からインクが吐出し、このインクが記録媒体に被着して印字が行われる。
また、上記のようなプリンタ装置においては、上記のようなプリントヘッドを複数有するのが一般的である。すなわち、図79に模式的に示すように、図示しないインクタンクと接続されるインク供給口1113を有する管状のインクバッファタンク1114の長手方向に上記のようなプリントヘッドを互いに平行となるように配し、このインクバッファタンク1114に各プリントヘッドの液体供給路1109をインクバッファタンク1114の側面1114aに対して直交するように接続する。このため、各プリントヘッドの吐出ノズル1112は1つの面上に開口することとなる。また、インクは図示しないインクタンクからインクバッファタンク1114に供給され、ここから各プリントヘッドの液体供給路1109に供給されることとなる。
ところで、近年、特にオフィス等においてデスクトップパブリッシングと称されるコンピュータを使用した文書作成が盛んに行われるようになってきており、最近では文字や図形だけでなく、写真等のカラーの自然画像を文字,図形と共に出力するといった要求も増加してきている。そして、これに伴い、高品位な自然画像をプリントすることが要求され、中間調の再現が重要となってきている。
そして、上記のような中間調を上述のインク液滴を吐出するオンデマンド型のプリンタ装置で再現する方法としては、様々な方法が提案されている。すなわち、第1の方法としてはピエゾ素子等の圧電素子或いは発熱素子に与える電圧パルスの電圧やパルス幅を変化させて吐出する液滴サイズを制御し、印刷ドットの径を可変として階調を表現するものが挙げられる。
しかしながらこの方法によると、ピエゾ素子或いは発熱素子に与える電圧やパルス幅を下げすぎるとインクを吐出できなくなるため、最小液滴径に限界があり、表現可能な階調段数が少なく、特に低濃度の表現が困難であり、自然画像をプリントアウトするには不十分である。
また、第2の方法としては、ドット径は変化させずに1画素を例えば4×4のドットよりなるマトリクスで構成し、このマトリクス単位でいわゆるディザ法を用いて階調表現を行う方法が挙げられる。なお、この場合には17階調の表現が可能である。
しかしながらこの方法で、例えば第1の方法と同じドット密度で印刷を行った場合、解像度は第1の方法の1/4であり、荒さが目立つため、自然画像をプリントアウトするには不十分である。
そこで、本発明者等は、インクを吐出する際にインクと希釈液を混合することにより、吐出されるインク液滴の濃度を変化させ、印刷されるドットの濃度を制御することを可能にし、解像度の劣化を発生させることなく自然画像をプリントアウトするプリンタ装置を提案してきた。
このような2液を混合するプリンタ装置のプリントヘッドを簡単に説明すると、吐出媒体が導入される吐出ノズルと定量媒体が導入される定量ノズルを互いに隣り合うようにして有し、定量ノズルから所定量の定量媒体を吐出ノズルに向けて滲み出させて当該吐出ノズル開口近傍にて吐出媒体と混合させ、吐出ノズルから吐出媒体を定量媒体と混合されている吐出媒体と共に押し出して、定量媒体と吐出媒体を吐出ノズル及び定量ノズルの面内方向に混合吐出するようになされている。そして、このようなプリンタ装置においては、インク或いは希釈液の何れかである定量媒体の量を変化させて、インクと希釈液の混合比率を変化させることによりドットの濃度を変化させて自然画像をプリントアウトする。なお、上記定量媒体及び吐出媒体は、どちらか一方がインクであり、残りの一方が希釈液であれば良い。
なお、このような2液混合型のプリンタ装置においても、前述のオンデマンド型のインクジェットプリンタ装置と同様に、インク或いは希釈液の吐出機能が必要であり、このような吐出機能として前述のインクジェットプリンタ装置と同様の圧電素子を用いる方法又は発熱素子を用いる方法が一般的に用いられている。
したがって、上記2液混合型のプリンタ装置は、前述のインクジェットプリンタ装置と略同様の構成を有する。なお、ここでは希釈液を吐出媒体とし、インクを定量媒体として使用する例について述べる。すなわち、前述したような圧力室形成部に吐出媒体が導入される第1の液体供給路、第1の圧力室、第1の液体流路、第1のノズル導入孔が順次設けられると共に、これらと所定の間隔を有して定量媒体が導入される第2の液体供給路、第2の圧力室、第2の液体流路、第2のノズル導入孔が隣り合うように順次設けられており、この圧力室形成部上に振動板が接着して配され、各圧力室に対応する位置に圧電素子が設けられている。
さらに、圧力室形成部の第1及び第2のノズル導入孔に対応する位置にこれらにそれぞれ連通する吐出ノズル及び定量ノズルを有するオリフィスプレートが圧力室形成部の振動板が配されない側の主面に接着されて配されている。なお、このオリフィスプレートにおいては、インクと希釈液の混合が行い易いように、吐出ノズル及び定量ノズルの開口部が隣り合うように形成されていることが好ましい。
また、この2液混合型のプリンタ装置においても、複数のプリントヘッドを有するのが一般的であり、各プリントヘッドの第1の液体供給路及び第2の液体供給路が希釈液バッファタンク及びインクバッファタンクにそれぞれ接続されている。なお、このプリンタ装置においても、各プリントヘッドは所定の間隔を有して平行に配列されており、各ノズルが一面をなすように配されている。
このとき、希釈液バッファタンク及びインクバッファタンクは、希釈液タンク及びインクタンクにそれぞれ接続されており、希釈液或いはインクは、希釈液バッファタンク或いはインクタンクから第1の液体供給路或いは第2の液体供給路に供給され、第1の圧力室或いは第2の圧力室に供給され、第1の液体流路と第1のノズル導入孔或いは第2の液体流路と第2のノズル導入孔を介して、吐出ノズル或いは定量ノズルにそれぞれ供給されることとなる。
この2液混合型のプリンタ装置においても圧電素子に所定の電圧を印加することにより、定量媒体として例えばインクを定量ノズルから吐出ノズルに向けて滲み出させ、吐出ノズルから吐出媒体として例えば希釈液を吐出させてインクと希釈液を混合吐出して、混合液滴を記録媒体に被着させ、印刷を行う。なお、このような2液混合型のプリンタ装置のうち、吐出媒体を希釈液とし、定量媒体をインクとするプリンタ装置を「キャリアジェット」プリンタ装置と称する。
特開平5−318750号公報
ところで、上述のようなインクジェットプリンタ装置や「キャリアジェット」プリンタ装置等では、インクや希釈液などの液体が対応する圧力室内に気泡を有することなく充填されている必要があり、このため振動板を圧力室形成部に接着する工程では高精度の接着技術が要求される。
例えば先に図78に示すようなインクジェットプリンタ装置を例に採って説明すると、圧力室形成部1101に対する振動板1102の接着方法としては、振動板1102をドライフィルムレジスト材料などの感光性と接着性とを有する材料を用いて形成しておき、圧力室形成部1101に液体供給路1109を形成する第1の溝部1105と液体流路1111を形成する第3の溝部1107を形成した後、上記振動板1102を圧力室形成部1101の一主面1101a側に加熱加圧して接着する方法が挙げられ、従来より多用されている。
しかしながらこの方法により、圧力室形成部1101に振動板1102を接着すると、製造装置として高額な露光装置を必要とする、さらには振動板1102を形成するドライフィルムレジスト材料にインクや希釈液などに対する耐久性をもたせるために熱硬化処理を必要とするといった不都合が生じる。
また、振動板1102を圧力室形成部1101に接着する方法としては、圧力室形成部1101及び振動板1102をガラス材を用いて形成し、振動板1102を圧力室形成部1101に陽極接着する方法も挙げられる。しかしながら、この方法ではガラス材が衝撃や傷に弱い材料であることから、振動板1102の板厚を10〔μm〕以下に薄型化することが困難である。
吐出ノズル1112からインクを吐出させるために必要な圧力を圧力室1110内に発生させる場合、振動板1102の板厚に応じて圧電素子1103には負荷が発生するこのため、当該圧電素子1103に対する駆動電圧を低減するためには振動板1102の薄型化が必要であるが、上記のような方法により、振動板1102が圧力室形成部1101に接着されたプリンタ装置においては、振動板1102の薄型化が困難であることとから、駆動電圧の低減化に対応することができない。また、上記のようなプリンタ装置においては、圧電素子1103の負荷を少しでも減少させるために圧力室1110の横幅を広くする必要が生じ、圧力室1110の微細化、すなわち吐出ノズル1112の狭ピッチ化が困難であり、小型化への対応も困難である。
さらに、振動板1102を圧力室形成部1101に接着する方法としては、圧力室形成部1101と振動板1102とを接着剤を用いて接着する方法も挙げられ、従来より用いられている。しかしながらこの方法では、接着剤の塗布厚さを2〔μm〕以下にすることが困難であることから、圧力室形成部1101に形成される液体供給路1109を形成する第1の溝部1105や液体流路1111を形成する第3の溝部1107の深さが浅い場合には当該第1及び第3の溝部1105,1107が接着剤により塞がれてしまう可能性があり、液体供給路1109や液体流路1111の流路特性が変化してしまう等の不都合が生じる。
このような不都合を解消する方法として、圧力室形成部1101の材料としてシリコン基板等を用い、当該圧力室形成部1101を異方性エッチング等によりエッチングすることにより液体供給路1109を形成する第1の溝部1105や液体流路1111を形成する第3の溝部1107のアスペクト比(幅に対する深さの比)を高める方法が挙げられる。
しかしながらこの方法では、圧力室形成部1101の材料としてシリコンを用いた場合に、その熱膨張率に合わせて他の部材の材質を選定する必要が発生するため、材料選定の許容度が極端に制限されるという不都合が生じる。
なお、振動板1102を圧力室形成部1101に接着する方法としては、特開平5−183625号公報に開示されているように、振動板1102を圧力室形成部1101に接着する接着剤として、熱可塑性の接着シートを用いる方法も挙げられる。しかしながら、この方法では接着剤のはみ出し部分がインク供給口を塞がないように、接着剤のはみ出し部分の補正を考慮した貫通穴を接着工程よりも前に接着シートに形成する必要があり、その位置合わせや寸法精度に高精度が要求される。さらにこの接着シートは、シート単体では材料強度が高くなく、その精度を維持するためには高精度の温度管理を必要とするといった問題が生じる。
すなわち、上述したようなインクジェットプリンタ装置及び例えば「キャリアジェット」プリンタ装置のような2液混合型のプリンタ装置においては、圧力室形成部の一主面側に形成された液体供給路を塞ぐことなく、圧力室が形成された圧力室形成部に対する振動板の接着作業を容易に行うことが課題となっている。
また、さらにこれらプリンタ装置においては、液体の吐出を行う毎に振動板が変位することから、振動板の接着部分には、液体の吐出を行う毎に機械的な負荷が加わり、振動板の接着箇所に剥がれ等が発生するおそれがあり、これはプリンタ装置としての機能を大きく損なってしまう。
このような不都合を解決するべく、本発明者等は、振動板を熱可塑性材料により形成し、振動板と圧力室形成部の間を熱圧着してこれらの間の接着性を高めたプリンタ装置を提唱してきた。しかしながら、このプリンタ装置においては、製造の際、吐出ノズル或いは定量ノズル形成がなされた後のオリフィスプレートが接着された圧力室形成部に対し、振動板を接着する工程を実施しており、ノズル形成がなされたオリフィスプレートにも、熱可塑性材料を熱圧着させるための温度及び圧力が加わることとなってしまう。
上述の課題を解決するため本発明者等が鋭意検討した結果、振動板として、圧力室を覆い、接着性も有する熱可塑性層と、上記圧力室及び液体供給路の周囲上を取り囲むように上記熱可塑性層上に積層されるパターン層を有する振動板を使用するようにすれば、振動板を圧力室形成部の液体供給路が形成される主面上に載置し、当該振動板を加圧加熱して圧力室形成部の上に接着する際、圧力は振動板のパターン層に集中して印加され、パターン層が形成されない液体供給路との対向部に不要な圧力がかかることはなく、液体供給路が塞がれてしまうことはなく、かつ圧力室が形成された圧力室形成部に対する振動板の接着作業を容易に行うことが可能であることを見い出した。
本発明のプリンタ装置の製造方法は、圧力室と上記圧力室に液体を供給する液体供給路とを形成する圧力室形成部と、上記圧力室に連通する吐出ノズルと、上記圧力室を覆う振動板と、上記振動板を介して上記圧力室に対応して配置される圧電素子とを有するプリンタ装置の製造方法において、上記圧力室及び上記液体供給路の一部を形成する上記圧力室形成部を形成し、上記圧力室形成部の上記振動板が貼り合わされる一面とは反対側の他面にフィルム状部材を貼り合わせ、このフィルム状部材に上記吐出ノズルを形成し、接着性を有する熱可塑性層の一方の面上に、上記熱可塑性層上に上記圧力室及び液体供給路の周囲上を取り囲むようにU字状に形成したパターン層と上記圧電素子が取り付けられ、上記圧力室の幅方向の中央部と上記熱可塑性層を介して対向するように、かつ、長さが該圧力室の長さより短くなるように形成される突起部とが同時に形成された上記振動板を、上記圧力室形成部の上記一面に、上記パターン層の下側に上記圧力形成部が位置するように上記熱可塑性層の上記パターン層が形成されていない面を上記圧力室形成部に対向させ、プレス装置の第1及び第2のプレートによって挟むようにして該パターン層に圧力を集中させて印加して、上記パターン層が形成されている側から上記パターン層の下側の上記圧力室形成部に圧力が集中する領域が形成されるように上記熱可塑性層を上記圧力室形成部に加熱圧着し、上記圧力室形成部に貼り合わせ、上記振動板上に上記圧電素子を固着する。
そして、発明のプリンタ装置の製造方法においては、熱可塑性層がポリイミド材料よりなることが好ましい。さらにまた、発明のプリンタ装置においては、熱可塑性層がガラス転移点が180〔℃〕〜250〔℃〕の材料よりなることが好ましく、この場合、熱可塑性層とパターン層の間に薄膜を有するようにしても良い。
前述の発明のプリンタ装置の製造方法においては、振動板として、圧力室を覆い、接着性も有する熱可塑性層と、圧力室及び液体供給路の周囲上を取り囲むように上記熱可塑性層上に積層されるパターン層を有する振動板を使用しており、振動板を圧力室形成部の液体供給路が形成される主面上に載置し、当該振動板の熱可塑性層を加圧加熱して圧力室形成部の上に接着する際、圧力は振動板のパターン層に集中して印加され、パターン層が形成されない液体供給路との対向部に不要な圧力がかかることはなく、熱可塑性層により液体供給路が塞がれてしまうことはなく、かつ圧力室が形成された圧力室形成部に対する振動板の接着作業が容易に行われる。
前述の発明のプリンタ装置の製造方法においては、振動板として、圧力室を覆い、接着性も有する熱可塑性層と、圧力室及び液体供給路の周囲上を取り囲むように上記熱可塑性層上に積層されるパターン層を有する振動板を使用しており振動板を圧力室形成部の液体供給路が形成される主面上に載置し、当該振動板の熱可塑性層を加圧加熱して圧力室形成部の上に接着する際、圧力は振動板のパターン層に集中して印加され、パターン層が形成されない液体供給路との対向部に不要な圧力がかかることはなく、熱可塑性層により液体供給路が塞がれてしまうことはなく、かつ圧力室が形成された圧力室形成部に対する振動板の接着作業が容易に行われる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(1)実施例
本実施例においては、本発明をインクのみを吐出するインクジェットプリンタ装置に適用した例について述べる。
(1−1)インクジェットプリンタ装置の構成
先ず、インクジェットプリンタ装置の全体の構成について述べる。図1に示すように、本発明を適用したシリアル型インクジェットプリンタ装置10は構成される。すなわち、モータ11からプーリ12、ベルト13及びプーリ14を順次介してドラム15に与えられる回転出力に基づいて当該ドラム15を回転駆動し得るようになされている。
そして、このドラム15の外周には、当該ドラム15の軸方向と平行に紙押さえ16が配設されており、ドラム15に巻回された被印刷物としてのプリント紙17をこの紙押さえ16により当該ドラム15に押さえ付け得るようになされている。
またドラム15の外周には送りねじ18がドラム15の軸方向と平行に配置されていると共に、当該送りねじ18にはインクジェットプリントヘッドであるプリントヘッド19が螺合されており、かくして送りねじ18を回転駆動させることによってこのプリントヘッド19をドラム15の軸方向に移動させ得るようになされている。
ここでこのインクジェットプリンタ装置10の場合、これらモータ11、送りねじ18の駆動モータ(図示せず)及びプリントヘッド19は、全てヘッドドライブ,ヘッド送り制御,ドラム回転制御20(以下、制御部20と称する。)に供給される印画データ及び制御信号からなる入力信号S1に基づいて当該制御部20により駆動制御される。
実際上制御部20は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)を含むマイクロコンピュータ構成の信号処理制御回路21を有し、供給される入力信号S1に基づいて信号処理制御回路21がパルス波形状の駆動信号S2を生成し、これをドライバ22を介して駆動信号S3としてプリントヘッド19に与えることにより、当該駆動信号S3に基づいてプリントヘッド19を駆動させ、かくして入力信号S1に基づく文字及び図形等をプリント紙17に記録させるようになされている。
この際、信号処理制御回路21は、入力信号S1に基づいて得られる印画データを必要に応じてラインバッファメモリ又はフレームメモリ構成のメモリ23に記録し、この後、これを適宜読み出すことにより印画データを印画順番に並べ替える一方、必要に応じて補正回路24にROM(Read Only Memory)マップ型式で格納された補正データを読み出し、当該補正データに基づいて印画データのγ補正やカラーの場合の色補正等を行うようになされている。
また、信号処理制御回路21は、入力信号S1に基づいて制御信号S4を生成し、これらをそれぞれ駆動制御部25を介して駆動制御信号S5として対応するモータ11又は送りねじ18の駆動モータに送出することによりこれらモータ11及び送りねじ19の駆動モータを駆動制御し、かくしてドラム15及び送りねじ18の回転動作を制御するようになされている。
かくしてこのインクジェットプリンタ装置10では、動作時、プリントヘッド19が原点位置に位置した状態において、送りねじ18の駆動モータが制御部20から供給される駆動制御信号S5に基づいて駆動して送りねじ18を所定の角速度で回転させることによりプリントヘッド19を一定速度でドラム15の軸方向に移動させると共に、このときプリントヘッド19が制御部20から供給される駆動信号S3に基づいて駆動することにより、プリント紙17に入力信号S1に基づく文字や図形等を1行分だけ印字する。
次いでこの1行分の印字が終了すると、モータ11が制御部20から供給される駆動制御信号S5に基づき駆動してドラム15を所定角度だけ回転させることによりプリント紙17を1行分だけ送らせると共に、この際送りねじ18の駆動モータが制御部20から供給される駆動制御信号S5に基づき駆動して送りねじ18を回転させることにより、プリントヘッド19を原点位置に戻し、この後同様の動作を繰り返す。
このようにしてこのインクジェットプリンタ装置10においては、制御部20に供給される入力信号S1に基づいてプリント紙17に1行ずつの印字を順次行うようになされ、かくして入力信号S1に基づく文字及び図形等をプリント紙17に印字し、印画し得るようになされている。
(1−2)インクジェットプリントヘッドの構成
プリントヘッド19(インクジェットプリントヘッド)の構成を図3及び図4に示す。
上記プリントヘッド19は、図3及び図4に示すように、ノズル形成部材であるオリフィスプレート30の一面30A上に圧力室形成部31及び振動板32とが順次積層されると共に、当該振動板32上に複数の圧電素子33が固着されることにより形成されている。
本例のプリントヘッド19においては、圧力室形成部31は、例えばステンレス材を用いて形成されており、その一面31AにはY方向(図中矢印y1で示す方向)に沿って形成された開口部であるインクバッファタンク40と、当該インクバッファタンク40に沿って(Y方向に沿って)所定の第1のピッチで順次形成された凹部でなる複数の圧力室41と、各圧力室41をそれぞれ個別にインクバッファタンク40と連通する溝状の複数の液体供給路42とが設けられている。また、各圧力室41の先端部にはそれぞれ貫通穴であるノズル導入孔43が設けられている。
さらに、インクバッファタンク40は、図示しないインクタンクと図示しないインク供給管を介して接続されており、かくしてインクタンクからインク供給管を介してインクバッファタンク40に供給されたインクを、対応する液体供給路42をそれぞれ介して各圧力室41内に導入し得るようになされている。
一方、オリフィスプレート30は、本例においては、有機フイルムを用いて形成されており、このオリフィスプレート30には各ノズル導入孔43にそれぞれ対応し、かつ各ノズル導入孔43とそれぞれ連通するようにY方向に沿って圧力室41と同じ第1のピッチで複数の吐出ノズル44が穿設されている。これにより、このプリントヘッド19においては、各圧力室41にそれぞれ供給されたインクを、対応するノズル導入孔43を介して対応する吐出ノズル44から外部に吐出し得るようになされている。
また、振動板32においては、熱可塑性材料から形成された接着性を有する熱可塑性層50の一面50A上に複数の突起部51が積層形成されており、上記熱可塑性層50は圧力室形成部31の一面31Aを覆うようにして当該一面31A上に接着されている。
上記各突起部51は、図4において明らかなように、各圧力室41にそれぞれ対応させて、それぞれ対応する圧力室41の幅方向(Y方向)の中央部と熱可塑性層50を介して対向するように、かつ長さが圧力室41の長さよりも短くなるように当該熱可塑性層50上に形成されている。これによりこのプリントヘッド19においては、例えば圧電素子33の幅が圧力室41の幅よりも広い、及び/又は圧電素子33の長さが圧力室41の長さよりも長い場合においても各圧電素子33からそれぞれ与えられる圧力を有効に熱可塑性層50に与え得るようになされている。
さらに圧電素子33は、それぞれ圧電材及び導電材を順次交互に積層することにより形成されており、各圧力室41にそれぞれ対応させて、対応する圧力室41と振動板32を介して対向するようにそれぞれ振動板32の対応する突起部51を介して熱可塑性層50上に固着されている。
この場合、各圧電素子33においては、図3中上側となる上面に制御部からの駆動信号を受ける図示しない第1の電極がそれぞれ形成されると共に、図3中下側となる下面にはアース接地された図示しない第2の電極がそれぞれ形成されており、図1及び図2に示した制御部20からの駆動信号S3に基づく駆動電圧が第1の電極に印加されたときに振動板32を対応する圧力室41から引き上げる方向であるZ方向(図中矢印z1で示す方向)に変形するようになされている。
かくしてこのプリントヘッド19においては、動作時、図1及び図2に示す制御部20から供給される駆動信号S3に基づいて対応する圧電素子33の第1の電極に駆動電圧S3が印加されると、当該圧電素子33が振動板32を引き上げる方向、すなわちZ方向(図中矢印z1で示す方向)に変形して振動板32を変位させ、かくして対応する圧力室41の体積を増加させる一方、この後、駆動電圧が立ち下がると圧電素子33が変形状態から元に戻り、振動板32を元の位置に戻すようにして対応する圧力室41内の圧力を上昇させるようになされ、かくして、当該圧力に基づいて当該圧力室41内のインクをノズル導入孔43及び対応する吐出ノズル44を順次介して外部に吐出し得るようになされている。
かかる構成に加えこのプリントヘッド19の場合、図4中に示すように、振動板32の熱可塑性層50の一面上には、各圧力室41にそれぞれ対応させて、圧力室41及び液体供給路42の周囲上を取り囲むようにU字状の突起部でなるパターン層52が積層形成されている。
すなわち、本例のインクジェットプリンタ装置10のプリントヘッド19においては、振動板として、圧力室41を覆い、接着性も有する熱可塑性層50と、圧力室41及び液体供給路42の周囲上を取り囲むように上記熱可塑性層50上に積層されるパターン層52を有する振動板32を使用していることとなる。
これにより、このプリントヘッド19では、振動板32を圧力室形成部31の一面31A上に位置決めして載せた後、当該振動板32(熱可塑性層50)を加圧加熱することにより圧力室形成部31の一面31A上に接着する際に、圧力は振動板32のパターン層52に集中して印加され、パターン層52が形成されない液体供給路42との対向部に不要な圧力がかかることはなく、熱可塑性層50により液体供給路42が塞がれてしまうことはなく、かつ圧力室41が形成された圧力室形成部31に対する振動板32の接着作業が容易に行われる。
本例の場合、振動板32の各パターン層52は、15〔μm〕以上の厚みで形成されている。これによりこのプリントヘッド19では、振動板32を圧力室形成部31の一面31A上に加圧加熱して接着する際に、振動板32の熱可塑性層50が変形しても、熱可塑性層50の各圧力室41及び各液体供給路42と対向する部位に不要な圧力がかかるのがより確実に防止され、かくして工程上の不良発生をより低減し得るようになされている。このパターン層52の厚さを15〔μm〕よりも薄くした場合には、振動板を加熱加圧した際に振動板が内部に埋まってしまう可能性が高く、好ましくないからである。この一方で、あまり厚みを厚くした場合には、パターン層の形成を精度良く行うことが不可能となり、好ましくないからである。
(1−3)インクジェットプリントヘッドの製造方法
プリントヘッド19の製造方法について図5〜図7を用いて説明する。
すなわち、先ず、所定の大きさのステンレスよりなる板材にエッチングを施すことにより、図5(A)に示すようにインクバッファタンク40、液体供給路42、圧力室41及びノズル導入孔43をそれぞれ形成し、かくして圧力室形成部31を形成する。
次に、図5(A)中に示すように、この圧力室形成部31の他面31Bにオリフィスプレート30のもととなる例えば有機フィルム等のフィルム状部材60を固着すると共に、図5(B)に示すように、このフィルム状部材60の所定位置にエキシマレーザ等により貫通孔でなる吐出ノズル44を形成することにより、圧力室形成部31の他面31Bにオリフィスプレート30が固着されてなる圧力室部材61を形成する。
一方、これとは別に、図6(A)に示すような熱可塑性材料からなる熱可塑性層50の一面50A上にCu又はNi等からなる金属層62が形成された積層板63を用意し、当該積層板63の金属層62をエッチングして図6(B)に示すように突起部51及びパターン層52だけを残し、熱可塑性層50の一面50Aに上述の突起部51及びパターン層52がそれぞれ積層形成される振動板32を形成する。
なお、この積層板63は、熱可塑性層50上に接着剤を用いてCu又はNi等からなるプレートを接着することにより金属層62を形成し、又は熱可塑性層50上にめっきにより金属層62を積層形成し、若しくはCu又はNi等のプレートからなる金属層62上に熱可塑性材料を塗布することにより熱可塑性層50を形成するようにして作製することができる。
また、積層板63の熱可塑性層50の材料としては、インクに対して化学的に安定しているポリイミドを用いることが望ましく、このようにすることによって一般のフレキシブルプリント基板の製造技術をそのまま用いることができるため低コストで振動板32を作製し得る利点がある。なおこのような材料として、耐薬品性及び耐熱性に優れた三井東圧化学株式会社製の熱可塑性ポリイミド製フィルム ネオフレックス(商品名)を用いることができる。
また熱可塑性層50の材料として、ガラス転移点が180〔℃〕〜250〔℃〕の材料を用いることもでき、このようにすることによって後の加圧加熱接着工程においてそのプレス温度を低くすることができる。
さらに積層板63の熱可塑性層50を、図8に示すように、ガラス転移点が180〔℃〕〜250〔℃〕の材料よりなる熱可塑性層である有機フィルム65と薄膜64との積層構造とし、これを薄膜64を介して金属層62を構成するプレートに固着するようにして積層板63を形成するようにしても良く、このようにすることによって熱可塑性層50上に形成する突起部51及びパターン層52の精度を容易に高めることができる。
一方、積層板63の金属層62のパターニング方法としては、当該金属層62上にドライフィルム又は液体のレジスト等の感光性材料をラミネート又は塗布した後、当該ドライフィルムをパターンに対応したマスクを用いて露光し、現像した後、残存する感光材料をマスクとしたエッチングにより行うことができる。具体的には、金属層62を銅で形成した場合には、レジスト材料としてプリント基板配線用のドライフィルムレジストを用い、エッチング液として10〜50〔%〕程度の塩化第2鉄水溶液を用い、さらにレジスト材料の剥離液として2〜5〔%〕程度の水酸化ナトリウム水溶液を用いて上述の突起部51及びパターン層52を形成することができる。
続いて図7(図A)に示すように、図5(A),(B)について説明した工程を経て作製された圧力室部材61の一面61A上(圧力室形成部31の一面31A上)に、図6(A),(B)について説明した工程を経て作製された振動板32を位置決めして載置した後、当該振動板32の熱可塑性層50を加熱加圧することによりこれを圧力室形成部31の一面31A上に接着する。なおこの場合、振動板32を圧力室形成部31に接着するに際して当該振動板32に脱脂洗浄及び90〜120〔℃〕程度の乾燥処理を行うことによって、接着機能を高めることができる。
ここで実際上、振動板32の圧力室部材61への接着作業は、図9に示すように、圧力室部材61の一面61A上(圧力室形成部31の一面31A上)に振動板32が位置決めして載上されたものをプレス装置の加熱された第1及び第2のプレート70A,70Bによって挟むようにして行われる。具体的に、例えば振動板32の熱可塑性層50を上述のネオフレックスを用いて形成した場合には、プレス装置の第1及び第2のプレート70A,70Bの温度を230〔℃〕程度に設定し、振動板32と圧力室部材61との接着面積において20〜30〔kg/cm2〕程度の圧力がかかるように圧力調整を行うようにする。
すなわち、本例のプリンタ装置のプリントヘッドにおいては、振動板として、圧力室41を覆い、接着性も有する熱可塑性層50と、圧力室41及び液体供給路42の周囲上を取り囲むように上記熱可塑性層50上に積層されるパターン層52を有する振動板32を使用していることから、上記のように振動板32を圧力室部材61(圧力室形成部31)の液体供給路42が形成される一面61A上(一面31A上)に載置し、当該振動板32の熱可塑性層50を加圧加熱して圧力室部材61(圧力室形成部31)の上に接着する際、圧力は振動板32のパターン層52に集中して印加され、パターン層52が形成されない液体供給路42との対向部に不要な圧力がかかることはなく、熱可塑性層50により液体供給路42が塞がれてしまうことはなく、かつ圧力室42が形成された圧力室部材61(圧力室形成部31)に対する振動板32の接着作業が容易に行われる。
次いで図7(B)に示すように、このようにして形成された振動板32及び圧力室部材61からなるヘッド構成部の振動板32の各突起部51上に、それぞれ圧電素子33を固着する。これにより図3に示すプリントヘッド19を得ることができる。
(1−4)実施例の動作及び効果
以上の構成において、図1に示したこのインクジェットプリンタ装置10では、図2に示すように制御部20が供給される入力信号S1に基づいて駆動信号S3を生成し、これをプリントヘッド19に送出することにより、図3に示すような当該プリントヘッド19の対応する圧電素子33の第1の電極にパルス状の駆動電圧を印加する。
この場合、対応する圧電素子33においては、第1の電極にパルス状の駆動電圧が印加されることにより当該駆動電圧に基づいて分極方向に正の電界が発生し、かくして図10(A)中矢印A1で示す方向、すなわち振動板32を圧力室41に対して引く方向(Z方向)、言い換えれば圧力室41を膨らます方向に変位する。なお、この際、吐出ノズル44の先端近傍においては、インク71の表面張力が釣り合う位置においてメニスカスを形成するため、圧電素子33が振動板32を引き上げた後においてもメニスカス位置は図10(A)に示す位置(すなわち吐出ノズル44の先端位置)に安定する。
さらにこの後、この圧電素子33においては、第1の電極に印加される駆動電圧が立ち下がるために、図10(B)に示すように矢印A2で示す方向に変位し、すなわち変形状態から元に戻り、振動板32を元の位置に戻すことにより、対応する圧力室41内の圧力を上昇させ、この圧力によって当該圧力室41内のインク71をノズル導入孔43及び吐出ノズル44を順次介して外部に吐出させる。
ここでこのプリントヘッド19及びこのプリントヘッド19の製造方法では、上述のように振動板32が熱可塑性材料からなる接着性を有する熱可塑性層50を用いて形成されており、このため振動板32を圧力室形成部31の一面31A上に接着する際、液体などの接着のみを目的とした接着剤や、ドライフィルムなどの感光性及び接着性を有する接着剤を必要としない。
したがって、このプリントヘッド19及びこのプリントヘッド19の製造方法では、圧力室形成部31の一面31Aに振動板32を接着する接着工程を容易に行うことができ、またこの工程時において露光装置といった高額な装置を必要とない分、製造コストを低減することができる。
また、このプリントヘッド19及びこのプリントヘッド19の製造方法では、振動板32の熱可塑性層50上に、圧力室41及び液体供給路42の周囲上を取り囲むようにU字状のパターン層52が形成されているため、振動板32を圧力室形成部31の一面31A上に接着する工程時において、当該振動板32を介して圧力室部材61に与えられる圧力を図9中に示すように各パターン層52の下側の領域部分61Bに集中させることができる。したがってこのプリントヘッド19及びこのプリントヘッド19の製造方法では、振動板32の圧力室形成部31への接着工程時において、振動板32(熱可塑性層50)の圧力室形成部31の液体供給路42との対向部位に不要な圧力がかかるのを未然に防止することができ、その分各液体供給路42が振動板32の熱可塑性層50により塞がれることを確実に防止することができる。
また、このプリントヘッド19で及びこのプリントヘッド19の製造方法は、上述のように圧力室形成部31の一面31Aに対する振動板32の接着工程時において、振動板32の熱可塑性層50に与える圧力をパターン層52が形成された部分に集中させることができるため、プレス装置の加圧発生力を小さくすることができる。
以上の構成によれば、振動板32を熱可塑性層50を用いて形成すると共に、当該熱可塑性層50の一面50A上に圧力室41及び液体供給路42の周囲上を取り囲むようにU字状のパターン層52が形成されているため、圧力室形成部31の一面31Aに対する振動板32の接着作業を容易にすることができると共に、当該接着工程時において圧力室形成部31の液体供給路42が塞がれるのを格段的に減少させることができ、かくして圧力室形成部31の一面31Aに対する振動板32の接着作業を、圧力室形成部31の液体供給路42を塞ぐことなく容易に行い得るプリンタ装置を実現できる。
なお、上述の本実施例においては、シリアル型のプリンタ装置に適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、パラレル型のプリンタ装置等、この他種々のタイプのプリンタ装置に適用することができる。
さらに上述の本実施例においては、圧力室部材61をオリフィスプレート50と、圧力室形成部31とで構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、圧力室形成部とオリフィスプレートを一体成形するようにしても良い。
すなわち、図23に示すように、インクバッファタンク151、インク供給路152、圧力室153、ノズル導入孔154、吐出ノズル155を有する圧力室形成部150を射出成形法により形成するようにすれば良い。なおこのとき、圧力室形成部150の材料として、ポリエーテルイミドやポリエーテルサルホン等を使用すれば、吐出ノズル155が狭ピッチ化された圧力室153を形成することができると共に、吐出ノズル155をエキシマレーザ加工により形成することも可能である。
さらに、上述の本実施例においては熱可塑性層50としてガラス転移点が180〔℃〕〜250〔℃〕の材料よりなるものを使用することとした。比較のために、ガラス転移点が165〔℃〕の日立化成工業株式会社製の熱可塑性ポリイミド材料であるポリイミド接着フィルム AS−2250(商品名)により熱可塑性層を形成し、本実施例と同様のプリンタ装置を製造したところ、加圧加熱温度180〔℃〕で多量の流動が見られた。このように流動が生じると液体供給路を塞いでしまう可能性が高く、好ましくない。さらに、比較のために、ガラス転移点が172〔℃〕の巴川製紙所の熱可塑性ポリイミド材料であるDS3200(商品名)により熱可塑性層を形成し、本実施例と同様のプリンタ装置を製造したところ、加圧加熱温度220〔℃〕で多量の流動が見られた。このように流動が生じると液体供給路を塞いでしまう可能性が高く、好ましくない。また、加圧加熱温度を190〔℃〕に変更してみたが、やはり多量の流動が見られた。このように流動が生じると液体供給路を塞いでしまう可能性が高く、好ましくない。さらには、この場合には十分な接着強度が得られなかった。すなわち、熱可塑性層を形成する材料としては、ガラス転移点が180〔℃〕〜250〔℃〕の材料が好ましいことが確認された。
(2)本実施例の参考例
本実施例の第1参考例として、インクを希釈液に対して定量混合し、これらを混合吐出する「キャリアジェット」プリンタ装置に適用した例について述べる。
(2−1)「キャリアジェット」プリンタ装置の構成
図1との対応部分に同一符号を付して示す図11は、「キャリアジェット」プリンタ装置80を示すものであり、図1中に示すプリントヘッド19の代わりに「キャリアジェット」プリントヘッドであるプリントヘッド81が設けられている点、及びこれに伴い制御部20に変えて制御部82が設けられている点を除いて実施例のインクジェットプリンタ装置10と同様に構成されている。
この場合プリントヘッド81においては、上述のように各ドットごとに階調をもたせるために各ドットごとにインクを希釈液に混合させて吐出するようになされており、インク吐出用の第1の圧電素子と希釈液吐出用の第2の圧電素子とがそれぞれ設けられている。
このためこの制御部82には、図2との対応部分に同一符号を付した図12に示すように、各第1の圧電素子をそれぞれ駆動するための複数の第1のドライバ83Aと、各第2の圧電素子をそれぞれ駆動するための複数の第2のドライバ83Bとが設けられており、かくして制御部82において、信号処理制御回路84がこれら各第1又は第2のドライバ83A,83Bをそれぞれ介してプリントヘッド81の各第1及び第2の圧電素子を駆動制御するようになされている。
実際上、信号処理制御回路84においては、CPU又はDSPを含むマイクロコンピュータ構成でなり、供給される入力信号S1に基づいて、各ドットごとに指定された階調を得るための各第1の圧電素子の駆動電圧値をそれぞれ算出すると共に、当該算出された駆動電圧値を有するパルス波形の第1の駆動信号S10Aを各第1の圧電素子ごとにそれぞれ生成し、これらをそれぞれ対応する第1のドライバ83Aを介して第1の駆動信号S11Aとしてプリントヘッド81の対応する第1の圧電素子に印加するようになされている。
また、このとき信号処理制御回路84は、供給される入力信号S1に基づいて、各ドットごとに所定電圧を有するパルス波形の複数の第2の駆動信号S10Bを生成し、これらをそれぞれ対応する第2のドライバ83Bをそれぞれ介して第2の駆動信号S11Bとしてプリントヘッド81の対応する第2の圧電素子に印加するようになされている。
このようにして制御部82においては、各ドットごとに指定された階調に応じた量のインクと希釈液とをプリントヘッド81から吐出させるようになされ、かくしてプリントヘッド81に各ドットごとに入力信号S1に基づく階調の印字、印画を行わせるようになされている。
(2−2)「キャリアジェット」プリントヘッドの構成
プリントヘッド81(「キャリアジェット」プリントヘッド)の構成を図13及び図14に示す。
上記プリントヘッド81は、図13及び図14に示すように、オリフィスプレート90の一面90A上に圧力室形成部91及び振動板92が順次積層されると共に、当該振動板92上に複数の第1及び第2の圧電素子93A,93Bが固着されることにより形成されている。
本例のプリントヘッド81においては、圧力室形成部91は、例えばステンレス材を用いて形成されており、その一面91AにはY方向(図中矢印矢印y2で示す方向)に沿って両端部にそれぞれ形成された第1又は第2の開口部でなる希釈液バッファタンク101及びインクバッファタンク100と、対応する希釈液バッファタンク101又はインクバッファタンク100に沿って(Y方向に沿って)所定の第1のピッチで順次形成された凹部でなる複数の第1及び第2の圧力室103,102と、各第1及び第2の圧力室103,102をそれぞれ個別に対応する希釈液バッファタンク101又はインクバッファタンク100と連通する溝状の複数の第1及び第2の液体供給路105,104とが設けられている。また、各第1及び第2の圧力室10,10の先端部には、それぞれ貫通穴でなる第1のノズル導入孔107及び第2のノズル導入孔106がそれぞれ設けられている。
さらに、希釈液バッファタンク101は図示しない希釈液タンクと図示しない希釈液供給管を介して接続されると共に、インクバッファタンク100は図示しないインクタンクと図示しないインク供給管を介して接続されており、かくして希釈液タンクから希釈液供給管を介して希釈液バッファタンク101に供給された希釈液を対応する第1の液体供給路105を介して各第1の圧力室103内に導入し得る一方、インクタンクからインク供給管を介してインクバッファタンク100に供給されたインクを対応する第2の液体供給路104を介して各第2の圧力室102内に導入し得るようになされている。
一方、オリフィスプレート90は、有機フィルムを用いて形成されており、圧力室形成部91の各第2のノズル導入孔106にそれぞれ対応させて、対応する第2のノズル導入孔106とそれぞれ連通するようにY方向に沿って第2の圧力室102と同じピッチで複数の定量ノズル108が穿設されている。また、オリフィスプレート90には、圧力室形成部91の各第1のノズル導入孔107にそれぞれ対応させて、対応する第1のノズル導入孔107とそれぞれ連通するように、かつ対応する定量ノズル108と近接してX方向に並ぶようにY方向に沿って第2の圧力室105と同じピッチで複数の吐出ノズル109が穿設されている。
これにより、このプリントヘッド81においては、各第2の圧力室102にそれぞれ供給されたインクを、対応する第2のノズル導入孔106を介して対応する定量ノズル108から外部に吐出し得る一方、各第1の圧力室103にそれぞれ供給された希釈液を、対応する第1のノズル導入孔107を介して対応する吐出ノズル109から外部に吐出し得るようになされている。
このプリントヘッド81においては、各定量ノズル108がそれぞれオリフィスプレート90の他面90Bに行くに従って徐々に対応する吐出ノズル109に近づくように所定の傾きをもって形成されている。これによりこの「キャリアジェット」プリントヘッドであるプリントヘッド81においては、定量及び吐出ノズル108,109からそれぞれ排出されたインク液滴及び希釈液液滴を混ぜて1滴の液滴として外部に吐出し得るようになされ、かくして定量ノズル108から吐出するインクの液量と、吐出ノズル109から吐出する希釈液の液量との混合比に応じたインク濃度の液滴を吐出し得るようになされている。
一方、振動板92においては、熱可塑性材料からなり接着性を有する熱可塑性層110の一面110A上に複数の第1及び第2の突起部111B,111Aが積層形成されており、圧力室形成部91のインクバッファタンク100、希釈液バッファタンク101、第2の液体供給路104、第1の液体供給路105、各第1及び第2の圧力室103,102を一体に覆うように圧力室形成部91の一面91A上に接着されている。
各第1の突起部111Bは、各第1の圧力室103にそれぞれ対応させて、それぞれ対応する第1の圧力室103の幅方向の中心部と熱可塑性層110を介して対向するように、かつ対応する第1の圧力室103の長さよりも長さが短くなるように熱可塑性層110上に設けられている。またこれと同様にして、各第2の突起部111Aは、図14において明らかなように、各第2の圧力室102にそれぞれ対応させて、それぞれ対応する第2の圧力室102の幅方向の中心部と熱可塑性層110を介して対向するように、かつ対応する第2の圧力室102の長さよりも長さが短くなるように熱可塑性層110の一面110A上に設けられている。
これにより、このプリントヘッド81においては、例えば第1及び第2の圧電素子93B,93Aの幅が対応する第1及び第2の圧力室103,102の幅よりも広い、及び/又は第1及び第2の圧電素子93B,93Aの長さが対応する第1及び第2の圧力室103,102の長さよりも長い場合においても各第1及び第2の圧電素子93B,93Aからそれぞれ振動板92に与えられる圧力を有効に熱可塑性層110に伝達し得るようになされている。
さらに第1及び第2の圧電素子93B,93Aは、それぞれ圧電材及び導電材を順次交互に積層することにより形成されており、第1及び第2の圧力室103,102にそれぞれ対応させて、対応する第1及び第2の圧力室103,102と振動板92を介して対向するようにそれぞれ振動板92の対応する第1及び第2の突起部111B,111Aを介して振動板92の熱可塑性層110の一面110A上に固着されている。
この場合、各第1及び第2の圧電素子93B,93Aは、図13中上側となる上面に、図11及び図12に示した制御部82からの対応する第1又は第2の駆動信号S11A、S11Bを受ける第1の電極がそれぞれ形成されると共に、図13中下側となる下面にはアース接地された図示しない第2の電極がそれぞれ形成されている。そして、それぞれ対応する第1又は第2の駆動信号S11A、S11Bに基づく駆動電圧が第1の電極に印加されたときに、振動板92を対応する第1又は第2の圧力室103,102に対して引く方向であるZ方向(図中矢印z2で示す方向)に変形するようになされている。
かくして、このプリントヘッド81は、動作時、図11及び図12に示す制御部82から供給される第1及び第2の駆動信号S11A、S11Bに基づいて第1又は第2の圧電素子93B,93Aにパルス状の駆動電圧が印加されると、第1又は第2の圧電素子93B,93Aがそれぞれ振動板92を対応する第1又は第2の圧力室103,102に対して引く方向、すなわちZ方向(図中矢印z2で示す方向)に変形することにより当該対応する第1及び第2の圧力室103,102の体積を膨らませる一方、この後駆動電圧が立ち下がると、当該第1又は第2の圧電素子93B,93Aが変形状態から元に戻り、振動板92を元の位置に戻すことにより第1又は第2の圧力室103,102内の圧力を上昇させるようになされ、これにより当該圧力に基づいてこの対応する第1及び第2の圧力室103,102内の希釈液及びインクを対応する第1のノズル導入孔107及び第2のノズル導入孔106と、対応する吐出ノズル109及び定量ノズル108を介して外部に吐出し得るようになされている。
かかる構成に加えこの「キャリアジェット」ジェットプリントヘッド81の場合、振動板92の熱可塑性層110の一面110A上には、各第2の圧力室102にそれぞれ対応させて、対応する第2の圧力室102及びこれと連通する第2の液体供給路104の周囲上を取り囲むように、かつ当該第2の圧力室102及び第2の液体供給路104上に位置しないようにほぼU字状の所定厚の突起部でなる第2のパターン層112Aが積層形成されている。またこれと同様にして、振動板92の熱可塑性層110の一面110A上には、各第1の圧力室103にそれぞれ対応させて、対応する第1の圧力室103及びこれと連通する各第1の液体供給路105の周囲上をそれぞれ取り囲むように、かつ当該第1の圧力室103上及び第1の液体供給路105上に位置しないようにほぼU字状の所定厚の突起部でなる第1のパターン層112Bが積層形成されている。
すなわち、本例の「キャリアジェット」プリンタ装置80のプリントヘッド81においては、振動板として、第1の圧力室103及び第2の圧力室102を覆い、接着性を有する熱可塑性層110と、少なくとも上記第1の圧力室103及び第2の圧力室102との対向部と第1の液体供給路105及び第2の液体供給路104との対向部以外の位置で上記熱可塑性層上に積層されるパターン層とを有する振動板92を使用していることとなる。
これにより、このプリントヘッド81では、振動板92を圧力室形成部91の一面91A上に位置決めして載せた後、当該振動板92(熱可塑性層110)を加圧加熱することにより圧力室形成部91の一面91A上に接着する際に、圧力は振動板92の第1及び第2のパターン層112A,112Bに集中して印加され、これら第1及び第2のパターン層112A,112Bが形成されない第1及び第2の液体供給路105,104との対向部に不要な圧力がかかることはなく、熱可塑性層110により第1及び第2の液体供給路105,104が塞がれてしまうことはなく、かつ第1及び第2の圧力室103,102が形成された圧力室形成部91に対する振動板92の接着作業が容易に行われる。
本例の場合、振動板92の各第1及び第2のパターン層112B,112Aは、15〔μm〕以上の所定の厚みで形成されている。これにより、このプリントヘッド81では、振動板92を圧力室形成部91の一面91A上に加圧加熱して接着する際に、振動板92の熱可塑性層110が変形しても、熱可塑性層110の各第1及び第2の圧力室103,102と、各第2の液体供給路104及び各第1の液体供給路105とにそれぞれ対向する部位に不要な圧力がかかるのがより確実に防止しされ、工程上の不良発生をより減少させ得るようになされている。
(2−3)「キャリアジェット」プリントヘッドの製造手順
プリントヘッド81の製造方法について図15〜図17を用いて説明する。
すなわち、まず所定の大きさのステンレスよりなる板材にエッチングを施すことにより、図15(A)に示すようにインクバッファタンク100、希釈液バッファタンク101、第2の液体供給路104、第1の液体供給路105、第1及び第2の圧力室103,102、第2のノズル導入孔106並びに第1のノズル導入孔107を形成し、かくして圧力室形成部91を形成する。
次に、図15(A)中に示すように、この圧力室形成部91の他面91B側にオリフィスプレート90のもととなる例えば有機フィルム等のフィルム状部材120を固着すると共に、図15(B)に示すように、このフィルム状部材120の所定位置に対応する第2のノズル導入孔106又は第1のノズル導入孔107と連通するようにエキシマレーザ等により貫通孔でなる定量ノズル108又は吐出ノズル109を形成することにより、圧力室形成部91の他面91Bにオリフィスプレート90が固着されてなる圧力室部材121を形成する。
この場合プリントヘッド81においては、インクと希釈液との定量混合範囲を広くすること、すなわち階調範囲を広くすることを目的として、定量ノズル108と吐出ノズル109の間隔を100〔μm〕以下にすることが望ましい。このため、本例のプリントヘッド81では、上述のように定量ノズル108を斜めに形成することにより、対応する第1及び第2の圧力室103,102の距離を狭めることなくオリフィスプレート90の他面90Bにおける定量ノズル108の開口と、吐出ノズル109の開口との距離を狭めるようにしている。実際上、例えば図15(A)におけるフィルム状部材120の厚さを125〔μm〕とし、定量ノズル108の角度を60〔deg.〕とすることにより、対応する第1及び第2の圧力室103,102同士の距離を200〔μm〕以上にした場合においても、定量ノズル108と吐出ノズル109間の距離を100〔μm〕以下とすることが可能である。
一方、これとは別に、図16(A)に示すような熱可塑性材料からなる熱可塑性層110の一面110A上にCu又はNi等からなる金属層122が形成された積層板123を用意し、当該積層板123の金属層122をエッチングして図16(B)に示すように、各第1及び第2の圧力室103,102にそれぞれ対応させて複数の第1及び第2の突起部111B,111Aと、第1及び第2のパターン層112B,112Aだけを残し、熱可塑性層110の一面110Aに上述の第1及び第2の突起部111B,111Aと、第1及び第2のパターン層112B,112Aそれぞれ積層形成されてなる振動板92を作製する。
なおこの積層板123は、熱可塑性層110上に接着剤を用いてCu又はNi等からなるプレートを接着することにより金属層122を形成し、又は熱可塑性層110上にめっきにより金属層122を積層形成し、若しくはCu又はNi等のプレートからなる金属層122上に熱可塑性部材を塗布することにより熱可塑性層110を形成するようにして作製することができる。
また積層板123の熱可塑性層110の材料としては、インクに対して化学的に安定しているポリイミドを用いることが望ましく、このようにすることによって、一般的なフレキシブルプリント基板の製造技術をそのまま用いることができる分、低コストで振動板92を作製し得る利点がある。なお、このような材料として、耐薬品性及び耐熱性に優れた三井東圧化学株式会社製の熱可塑性ポリイミド製フィルム ネオフレックス(商品名)を用いることができる。
また、熱可塑性層110の材料として、ガラス転移点が180〔℃〕〜250〔℃〕の材料を用いることもでき、このようにすることによって後の加圧加熱接着工程においてそのプレス温度を低くすることができる。
さらに、積層板123の熱可塑性層110を、図18に示すように、ガラス転移点が180〔℃〕〜250〔℃〕の材料よりなる熱可塑性層である有機フィルム131と薄膜130との積層構造とし、これを薄膜130を介して金属層122を構成するプレートに固着するようにするようにして積層板63を形成するようにしても良く、このようにすることによって熱可塑性層110上に形成する第1及び第2の突起部111B,111A及び第1及び第2のパターン層112B,112Aの精度を容易に高めることができる。
一方、積層板123の金属層122のパターニング方法としては、当該金属層122上にドライフィルム又は液体のレジスト等の感光材料をラミネート又は塗布すると共に、当該感光材料をマスクを用いて露光し、現像した後、残存する感光材料をマスクとして金属層122をエッチングすることにより行うことができる。具体的には、金属層122の材料として銅を用いた場合には、感光材料としてプリント基板配線用のドライフィルムレジストを用い、エッチング液として10〜50〔%〕程度の塩化第2鉄水溶液を用い、さらに感光材料の剥離液として2〜5〔%〕程度の水酸化ナトリウム水溶液を用いて上述のパターニングを行うことができる。
続いて図17(A)に示すように、図15(A),(B)について説明した工程を経て作製された圧力室部材121の一面121A上(圧力室形成部91の一面91A上)に、図16(A),(B)について説明した工程を経て作製された振動板92を、振動板92の各第1及び第2の突起部111B,111Aがそれぞれ対応する第1又は第2の圧力室103,102の中央部と振動板92の熱可塑性層110を介して対向するように位置決めして載置した後、当該振動板92の熱可塑性層110を加熱加圧することにより圧力室形成部91の一面91A上に接着する。なお、この場合、振動板92を圧力室形成部91の一面91A上に接着するに際して当該振動板92を脱脂洗浄及び90〜120〔℃〕程度の乾燥処理を行うことによって、接着機能を高めることができる。
ここで実際上、振動板92の圧力室形成部91の一面91Aへの接着作業は、図19に示すように、圧力室部材121の一面121A(圧力室形成部91の一面91A)上に振動板92が位置決めして載上されたものをプレス装置の加熱された第1及び第2のプレート130A,130Bによって挟むようにして行うことができる。具体的に、例えば振動板92の熱可塑性層110として上述のネオフレックスを用いた場合には、プレス装置の第1及び第2のプレート130A,130Bの温度を230〔℃〕程度に設定し、振動板92と圧力室形成部91との接着面積において20〜30〔kg/cm〕程度の圧力がかかるように圧力調整を行うようにする。
すなわち、本例のプリンタ装置のプリントヘッドにおいては、振動板として、第1及び第2の圧力室103,102を覆い、接着性も有する熱可塑性層110と、少なくとも第1及び第2の圧力室103,102との対向部と第1及び第2液体供給路105,104との対向部以外の位置で上記熱可塑性層110上に積層される第1及び第2のパターン層112B,112Aを有する振動板92を使用していることから、上記のように振動板92を圧力室部材121(圧力室形成部91)の第1及び第2の液体供給路105,104が形成される一面121A上(一面91A上)に載置し、当該振動板92の熱可塑性層110を加圧加熱して圧力室部材121(圧力室形成部91)の上に接着する際、圧力は振動板92の第1及び第2のパターン層112B,112Aに集中して印加され、第1及び第2のパターン層112B,112Aが形成されない第1及び第2の液体供給路105,104との対向部に不要な圧力がかかることはなく、熱可塑性層110により第1及び第2の液体供給路105,104が塞がれてしまうことはなく、かつ第1及び第2の圧力室103,102圧力室42が形成された圧力室部材121(圧力室形成部91)に対する振動板92の接着作業が容易に行われる。
続いて図17(B)に示すように、このようにして形成された振動板92及び圧力室部材121からなるヘッド構成部の振動板92の各第1及び第2の突起部111B,111A上にそれぞれ第1及び第2の圧電素子93B,93Aを固着する。これにより図13に示すプリントヘッド81を得ることができる。
(2−4)第1参考例の動作及び効果
以上の構成において、図11に示した「キャリアジェット」プリンタ装置80では、図12に示すように制御部82が供給される入力信号S1に基づいて複数の第1及び第2の駆動信号S11A、S11Bを形成し、これらをそれぞれプリントヘッド81の対応する第1又は第2の圧電素子93B,93Aに印加する。
このとき対応する第1及び第2の圧電素子93B,93Aにおいては、それぞれ第1の電極にパルス状の駆動電圧が印加されることにより当該駆動電圧に基づいて分極方向に正の電界が発生するため、図20に示すように、図20中矢印A3で示す方向、すなわちそれぞれ振動板92を対応する第1又は第2の圧力室103,102に対して引く方向(Z方向)、言い換えれば対応する第1又は第2の圧力室103,102を膨らます方向に変位する。なお、この際、吐出ノズル109及び定量ノズル108の先端近傍においては、希釈液141又はインク140の表面張力が釣り合う位置においてメニスカスを形成するため、対応する第1又は第1の圧電素子93B,93Aが振動板92を引き上げた後においてもメニスカスの位置は図20の位置に安定する。
次いで図21に示すように、第2の圧電素子93Aに印加される駆動電圧が立ち下がるために、図21中矢印A4で示す方向に変位し、すなわち第2の圧電素子93Aが変位状態から元に戻り、振動板92を元の位置に戻すことにより、対応する第2の圧力室102内の圧力を上昇させ、この圧力によって当該第2の圧力室102内のインク140を対応する第2のノズル導入孔106及び定量ノズル108を順次介して外部に排出させる。
この場合、第2の圧電素子93Aには立ち下がりが緩やかな傾きをもつパルス波形の駆動電圧が印加されるため、対応する第2の圧力室102内のインク140は定量ノズル108から飛翔することなく、当該定量ノズル108の先端近傍にあふれた状態となる。そしてこのインク140が対応する吐出ノズル109の先端近傍に存在する希釈液141のメニスカスと接触し、混合することにより、指定された階調に応じたインク濃度の混合溶液142が形成される。
続いて図22に示すように、定量ノズル108からインク140が排出した直後に第1の圧電素子93Bに与えられていた駆動電圧が立ち下がり、図22中矢印A4で示す方向に変位し、すなわち第1の圧電素子93Bが変形状態から元に戻ることにより、対応する第1の圧力室103の圧力が上昇し、かくして対応する吐出ノズル109からインク140と希釈液141の混合液142が排出される。この場合第1の圧電素子93Bに印加される駆動電圧の立ち下がりは急峻に変化し、吐出ノズル109の先端部に形成された混合溶液142が図22中に示すような1滴の混合液滴143として吐出ノズル109から吐出される。
ここでこのプリントヘッド81の場合、上述のように振動板92が熱可塑性材料からなる接着性を有する熱可塑性層110を用いて形成されており、このため振動板92を圧力室形成部91の一面91A上に接着する際、液体などの接着性のみを目的とした接着剤や、ドライフィルムなどの感光性及び接着性を有する接着剤を必要としない。
したがって、このプリントヘッド81では、圧力室形成部91の一面91Aに振動板92を接着する接着工程を容易に行うことができ、またこの工程時において露光装置といった高額な装置を必要としない分、製造コストを低めることができる。
また、このプリントヘッド81では、振動板92の熱可塑性層110上に、各第2の圧力室102及びこれと連通する第2の液体供給路104と、各第1の圧力室103及びこれと連通する第1の液体供給路105との対向部以外の位置で複数のほぼU字状の第1及び第2のパターン層112B,112Aが形成されているため、振動板92を圧力室形成部91の一面91Aに接着する工程時において、当該振動板92を介して圧力室部材121に与えられる圧力を図19中に示すように各第1及び第2のパターン層112B,112Aの下側の領域部分121Bに集中させることができる。
したがって、このプリントヘッド81では、振動板92の圧力室形成部91への接着工程時において、振動板91(熱可塑性層110)の圧力室形成部91の各第2の液体供給路104又は各第1の液体供給路105との対向部位に不要な圧力がかかるのを未然に防止することができ、その分各第2の液体供給路104及び各第1の液体供給路105が振動板92の熱可塑性層110により塞がれるのを確実に防止することができる。
また、このプリントヘッド81では、上述のように圧力室形成部91の一面91Aに対する振動板92の接着工程時において、振動板92の熱可塑性層110に与える圧力を第1及び第2のパターン層112B,112Aに集中させることができるため、プレス装置の加圧発生力を小さくすることができる。
以上の構成によれば、振動板92を熱可塑性層110を用いて形成すると共に、当該熱可塑性層110の一面110A上に、少なくとも第2の圧力室102及びこれと連通する第2の液体供給路104と、第1の圧力室103及びこれと連通する第1の液体供給路105との対向部以外の位置に所定厚の第1及び第2のパターン層112B,112Aが形成されているため、圧力室形成部91の一面91Aに対する振動板92の接着作業を容易にすることができると共に、当該接着工程時において圧力室形成部91の各第2の液体供給路104及び各第1の液体供給路105が塞がれるのを格段的に減少させることができ、かくして圧力室形成部91の一面91Aに対する振動板92の接着作業を、圧力室形成部91の各第2の液体供給路104及び各第1の液体供給路105を塞ぐことなく容易に行い得るプリンタ装置を実現できる。
お、上述の第1参考例においては、シリアル型のプリンタ装置に適用するようにした場合について述べたが、パラレル型のプリンタ装置等、この他種々のタイプのプリンタ装置に適用することができる。
また上述の第1参考例においては、圧力室部材121の第1及び第2の圧力室103,102内の圧力を上昇させる圧力上昇手段として、第1及び第2の圧電素子93B,93Aを適用した場合について述べたが、この他種々の圧力上昇手段を適用できる。
上述の第1参考例においては、圧力室形成部121をオリフィスプレート90と、圧力室形成部91とで構成するようにした場合について述べたが、圧力室部とオリフィスプレートを一体成形するようにしても良い。
すなわち、図24に示すように、インクバッファタンク161、第2の液体供給路162、第2の圧力室163、第2のノズル導入孔164、定量ノズル165、希釈液バッファタンク166、第1の液体供給路167、第1の圧力室168、第1のノズル導入孔169、吐出ノズル170を有する圧力室形成部160を射出成形法により形成するようにすれば良い。なおこのとき、圧力室形成部160の材料として、ポリエーテルイミドやポリエーテルサルホン等を使用すれば、吐出ノズル170及び定量ノズル165が狭ピッチ化された第1及び第2の圧力室168,163を形成することができると共に、吐出ノズル170及び定量ノズル165をエキシマレーザ加工により形成することも可能である。
さらに上述の第1参考例においては、インク140の液量を調整することによって各ドットごとに指定された階調をもたせるようにした場合について述べたが、希釈液141の液量を調整することによって各ドットごとに指定された階調をもたせるようにしても良い。すなわち、希釈液を定量側とし、インクを吐出側としても良い。この場合「キャリアジェット」プリントヘッドの構成及び動作は、第1参考例と同様にできる。なおこの場合、淡色の表現力は落ちるが、逆にシャドウ部に関しては十分なインク濃度を得ることができるため有利である。
さらに上述の第1参考例においては、第1及び第2のパターン層112B,112Aが、1及び第2の圧力室103,102、これらと連通する第1及び第2の液体供給路105,104の対向部以外の部分にU字状をなすように形成される場合について述べたが、要は、パターン層が、少なくとも圧力室41、第1及び第2の圧力室103,102、これらと連通する液体供給路42、第1及び第2の液体供給路105,104の対向部以外の部分に形成されていれば良く、上記対向部以外の熱可塑性層50,110上の全ての領域にパターン層が形成されていても良い。したがって、パターン層の形状としては、この他種々の形状を適用できることは言うまでもない。
さらに、上述の第1参考例においては熱可塑性層110としてガラス転移点が180〔℃〕〜250〔℃〕の材料よりなるものを使用することとした。比較のために、ガラス転移点が165〔℃〕の日立化成工業株式会社製の熱可塑性ポリイミド材料であるポリイミド接着フィルム AS−2250(商品名)により熱可塑性層を形成し、第1参考例と同様のプリンタ装置を製造したところ、加圧加熱温度180〔℃〕で多量の流動が見られた。このように流動が生じると液体供給路を塞いでしまう可能性が高く、好ましくない。さらに、比較のために、ガラス転移点が172〔℃〕の巴川製紙所の熱可塑性ポリイミド材料であるDS3200(商品名)により熱可塑性層を形成し、第1参考例と同様のプリンタ装置を製造したところ、加圧加熱温度220〔℃〕で多量の流動が見られた。このように流動が生じると液体供給路を塞いでしまう可能性が高く、好ましくない。また、加圧加熱温度を190〔℃〕に変更してみたが、やはり多量の流動が見られた。このように流動が生じると液体供給路を塞いでしまう可能性が高く、好ましくない。さらには、この場合には十分な接着強度が得られなかった。すなわち、熱可塑性層を形成する材料としては、ガラス転移点が180〔℃〕〜250〔℃〕の材料が好ましいことが確認された。
(3)第参考例
第2参考例は、インクのみを吐出するインクジェットプリンタ装置の参考例について述べる。
−1)インクジェットプリンタ装置の構成
本例のインクジェットプリンタ装置の全体の構成であるが、上述の発明に対応する実施の形態中と同様とされているので、ここでは説明を省略することとする。すなわち、本例のインクジェットプリンタ装置においては、先に示したプリントヘッド19の代わりに後述のインクジェットプリントヘッドが使用されることとなる。なお、本例のインクジェットプリンタ装置においても前述した制御部と同様の制御部が使用されることとなるので、この説明も省略することとする。
−2)インクジェットプリントヘッドの構成
次に、本例のインクジェットプリンタ装置のインクジェットプリントヘッドの構成について説明する。このプリントヘッドは、図25に示すように、圧力室形成部231、振動板232、積層ピエゾ素子である圧電素子233、ノズル形成部材であるオリフィスプレート234により主に構成されるものである。
上記圧力室形成部231は、第1の部材235と第2の部材236を接着剤層237により接着してなるものである。なお、これら第1の部材235と第2の部材236は例えば厚さ0.1〔mm〕のステンレススチール等により形成すれば良い。
先ず、第1の部材235であるが、所定の位置にインクバッファタンクを構成する貫通孔部238と圧力室を構成する貫通孔部239を有する板状の部材である。一方の第2の部材236も板状の部材であり、上記インクバッファタンクを形成する貫通孔部238に対応する位置にこれと連通してインクバッファタンクを形成する貫通孔部240が形成されると共に、上記圧力室を形成する貫通孔部239に対応する位置にこれと連通して圧力室を形成する溝部241が一主面236aに臨んで開口するように形成されている。また、この第2の部材236においては、上記貫通孔部240の側面と溝部241の底面間を接続し、インク供給路を形成する溝部242が第1の部材235への対向面となる一主面236aとは反対側となる一主面236bに臨んで開口するように形成されると共に、ノズル導入孔を形成する貫通孔243が溝部241の底面から一主面236bに貫通するように形成されている。
そして、本例のプリントヘッドにおいては、上記圧力室形成部231の第1の部材235側に振動板232を配し、第2の部材236側にオリフィスプレート234を配して、圧力室形成部231を振動板232とオリフィスプレート234により厚さ方向に挟み込んでいる。なお、上記振動板232は、耐熱性及び耐薬品性に優れた例えば三井東圧化学工業株式会社製のガラス転移点が250〔℃〕以下のネオフレックス(商品名)により形成すれば良く、その厚さを略20〔μm〕程度とすれば良い。上記振動板232においては、インクバッファタンクとなる貫通孔部238に対応する位置にこれよりも小径のインク供給口244が形成されている。
また、一方のオリフィスプレート234は、耐熱性及び耐薬品性に優れた例えば三井東圧化学工業株式会社製のガラス転移点が250〔℃〕以下のネオフレックス(商品名)により形成すれば良く、厚さを略50〔μm〕程度とすれば良い。このような材質を使用すれば、化学的な安定性が確保され、好ましい。さらに上記オリフィスプレート234においては、ノズル導入孔となる貫通孔243に対応する位置にこれよりも小径の吐出ノズル245が形成されている。この吐出ノズル245は例えば断面円形の孔部として形成すれば良い。
すなわち、圧力室形成部231を振動板232とオリフィスプレート234により厚さ方向に挟み込むことによって、貫通孔部238、貫通孔部240、溝部242、溝部241、貫通孔部239、貫通孔243が接続されることにより形成される空洞部が振動板232とオリフィスプレート234により塞がれて、圧力室形成部231の振動板232側からオリフィスプレート234側に向かって厚さ方向に形成されるインクバッファタンク252、これと接続され圧力室形成部231の面内方向に形成される液体供給路246と、これに接続され振動板側に形成される圧力室247、上記圧力室247に接続され、オリフィスプレート234側に開口するノズル導入孔248が連続して形成されることとなる。そして、前述のように振動板232にはインク供給口244が形成され、オリフィスプレート234には吐出ノズル245が形成されていることから、インク供給口244、インクバッファタンク252、液体供給路246、圧力室247、ノズル導入孔248、吐出ノズル245の順にインクが流れることとなる。
また、本例のプリントヘッドにおいては、振動板232の圧力室形成部231と接着される面とは反対側の一主面232aの圧力室247に対応する位置に突起部249が形成されており、この突起部249を介して圧電素子233が載置されている。なお、上記圧電素子233としては、上述のように圧電素子が挙げられ、この圧電素子としては、圧電部材と導電部材とが交互に積層されてなるものが挙げられる。このとき、圧電部材と導電部材との積層数は何層であっても良い。
この突起部249は圧力室247の平面の面積及び圧電素子233の平面の面積よりも小さいものとして形成されている。さらに、上記振動板232の一主面232aのインク供給口244に対応する位置には図示しないインクタンクに接続されるインク供給管250が接続されている。
さらにまた、本例のプリントヘッドにおいては、オリフィスプレート234のノズル開口面となる一主面234aに撥液膜251が形成されている。
そして、本例のプリンタ装置においては、図26に模式的に示すように、プリントヘッド中のインクバッファタンク252は、管状の部材となされており、このインクバッファタンク252の長手方向に複数の上述したようなプリントヘッドが所定の間隔を有して平行に配列されて、インクバッファタンク252は各プリントヘッドの共通のインク配給管となされている。そして、これらプリントヘッドにおいては、インクバッファタンク252の長手方向に対して液体供給路246が直交するように接続している。このため、各プリントヘッドの吐出ノズル245は1つの面上に開口することとなる。すなわち、インクは図示しないインクタンクからインクバッファタンク252に供給され、ここから各プリントヘッドの液体供給路246に供給されることとなる。
そして、本例のプリンタ装置においては特に、プリントヘッドの振動板232と圧力室形成部231間が熱可塑性樹脂よりなる接着層により接着されている。
また、本例のプリンタ装置においては特に、プリントヘッドのオリフィスプレート234は圧力室形成部231に対して熱圧着により接着されている。
さらに、このプリンタ装置においては特に、圧力室形成部231を構成する第1の部材235と第2の部材236間が前述のように熱硬化性樹脂よりなる接着剤層237により接着されている。
すなわち、本例のプリンタ装置においては、圧力室形成部231と振動板232との間に熱可塑性樹脂よりなる接着層237が形成されるようになされており、振動板232の圧力室形成部231に対する接着強度が十分に確保される。
−3)第参考例の動作
本例のプリンタ装置により印刷を行うには、以下のようにすれば良い。すなわち、本例のプリンタ装置のプリントヘッドで使用されている圧電素子233においては、駆動電圧が印加されると、図25中矢印M1で示す方向とは逆の方向に直線的に変位する性質を有
するため、これに接着されている突起部249を中心に振動板232を持ち上げることとなり、図27に示すように圧力室247の体積が増大することとなる。
またこの圧電素子233は駆動電圧が解放されると、図27中に矢印M1で示す方向に
直線的に変位する性質を有するため、これに接着されている突起部249を介して振動板232を押圧して湾曲させて圧力室247の体積を減少させて圧力室247内の圧力を上昇させることとなる。このとき、突起部249は、その平面面積が圧電素子233の平面面積よりも小さくなるようになされているので、圧電素子233の変位を振動板232の圧力室247に対応する位置に集中的に伝達することが可能である。
したがって、このプリンタ装置により印刷を行う場合には、先ず、圧電素子233に所定の駆動電圧を印加する。すると、前述のように圧電素子は図27中矢印M1で示す方向とは反対の方向に変位し、圧力室247の体積が増加する。その結果、吐出ノズル245の先端に形成されている図示しないインクのメニスカスは、一旦圧力室247側に後退した後、圧電素子233の変位が収まると表面張力との釣り合いによって吐出ノズル245の先端近傍で安定し、インク吐出の待機状態となる。
続いて、圧電素子233に印加されている駆動電圧が解放されると、圧電素子233は元の形状に戻ろうとして図27中矢印M1で示す方向に変位する。その結果、圧力室247は元の大きさに戻ろうとし、圧力室247内の圧力が上昇するため、吐出ノズル245からインクが吐出される。このとき、圧電素子233に印加される駆動電圧の時間変化は、吐出ノズル45からインクを吐出し得るように設定されている。
−4)インクジェットプリントヘッドの製造方法
続いて本例のプリンタ装置のプリントヘッドの製造方法について述べる。先ず、圧力室形成部の第2の部材を形成する。すなわち、図28に示すように、厚さが略0.1〔mm〕のステンレスよりなる板材261の一主面261aに例えば感光性ドライフィルムや液体レジスト材料などのレジストを塗布した後、インクバッファタンクを形成するための貫通孔部と圧力室を形成するための溝部の形成位置に応じた部分をエッチング可能なパターンを有するマスクを用いてパターン露光し、レジスト262を形成する。
また、この板材261の一主面261aに相対向する主面261bにも同様にして液体供給路を形成するための溝部、ノズル導入孔を形成するための溝部の形成位置に応じた部分をエッチング可能なパターンを有するマスクを用いてパターン露光し、レジスト263を形成する。
続いて、上記板材261にレジスト262,263をマスクとして、例えば塩化第2鉄水溶液等のエッチング溶液に所定時間浸してエッチングを行う。その結果、図29に示すように、インクバッファタンクを形成し、一主面261aからこれと相対向する主面261bに貫通する貫通孔部240、圧力室を形成し、一主面261aに臨んで開口する溝部241、貫通孔部240の側面と溝部241の底面を接続して液体供給路を形成し、一主面261bに臨んで開口する溝部242、ノズル導入孔を形成し、溝部241の底面から一主面261bに貫通する貫通孔243が形成される。
このようにエッチングを行う場合、板材261の相対向する一主面261a,261bの各面からのエッチング量を板材261の厚さの約1/2強となるように選定する。すなわち、本例においては、板材261の厚さを0.1〔mm〕としているので、板材261の一方の主面からのエッチング量が約0.055〔mm〕程度となるようにする。これにより貫通孔部240、溝部241、溝部242、貫通孔243の寸法精度を向上しつつ安定して形成することが可能となる。
また、板材261の各面からのエッチング量が同じなので、圧力室を形成し、一主面261aに臨んで開口する溝部241を形成する際のエッチングの条件と、液体供給路を形成し、一主面261bに臨んで開口する溝部242、ノズル導入孔を形成し、一主面261bに臨んで開口する貫通孔243を形成する際のエッチングの条件を同じ条件に設定し得るので、エッチング工程を簡易かつ短時間に行うことできる。
なお、上記ノズル導入孔となる貫通孔243は、圧力室に圧力が印加された場合に当該圧力室内の圧力上昇に影響がない程度に、後工程で形成されるオリフィスプレートのノズルの径より大きくなるように形成する。
続いてレジスト262,263を除去する。レジスト262,263としてドライフィルムレジストを使用した場合には、例えば5%以下の水酸化ナトリウム水溶液を用いれば良く、レジスト262,263として液体レジスト材料を用いた場合には、例えば専用アルカリ溶液を用いれば良い。その結果、図30に示すように、貫通孔部240、溝部241、溝部242、貫通孔243が形成される第2の部材236が形成される。
次に、図31に示すように、液体供給路を形成する溝部242及びノズル導入孔を形成する貫通孔243が開口する一主面236b側にオリフィスプレートとなる板材264を熱圧着により接着する。この板材264は、例えば三井東圧化学工業株式会社製のガラス転移点が250〔℃〕以下のネオフレックス(商品名)により形成すれば良く、厚さを略50〔μm〕程度とすれば良い。熱圧着の条件としては、プレス温度を230〔℃〕程度とし、圧力を20〜30〔kgf/cm〕程度とすることが好ましい。このように熱圧着すれば板材264と第2の部材236間の接着強度を高めることができると共に効率良く接着することが可能である。
また、このように、予めノズルを形成することなく板材264と第2の部材236を接着すれば、これらの位置合わせ精度はあまり要求されず、接着が容易に行われる。さらに、本例においては、接着剤を用いることなく、板材264と第2の部材236間を接着しているため、接着剤が液体供給路を形成する溝部242を塞いでしまうこともない。
次に、図32に示すように、板材264の第2の部材236への対向面とは反対側の一主面264aに撥液処理を施し、撥液膜251を形成する。上記撥液膜251は、インクをはじき、後工程で形成されるノズル周辺にインク付着残りを生じさせないように形成されるものであり、かつ後工程でエキシマレーザによりノズルを形成した場合において、バリ及び剥がれ等を発生しない材料よりなることが好ましい。このような材料としては、ポリイミド系材料中にフッ素系材料を分散させた、例えば、デュポン(株)社製の変性ポリテトラフルオルエチレンコーティング 958−207(商品名)や、ポリイミド系材料のうち吸水率が0.4%以下の材料、例えば宇部興産(株)社製のポリイミド系オーバーコートインクであるユピコートFS−100L(商品名)、同社製のポリイミドコーティング材料であるユピファインFP−100(商品名)等が挙げられ、さらには、撥液性のポリベンゾイミダゾール、例えば、ヘキスト(株)社製の塗布型ポリベンゾイミダゾール材料であるNPBI(商品名)等が挙げられる。
続いて、第2の部材236側から溝部241及び貫通孔243を介してエキシマレーザを垂直に照射し、板材264を貫通するノズルを形成し、図33に示すようなノズル導入孔となる貫通孔243に対応する位置に吐出ノズル245を有するオリフィスプレート234を完成する。このとき、撥液膜251にも吐出ノズル245に連通する孔部が形成されることは言うまでもない。
本例のプリンタ装置の製造方法においては、オリフィスプレート234となる板材264として、樹脂よりなるものを使用しているため、ノズル形成時のエキシマレーザ加工性が非常に良好であり、吐出ノズル245が容易に形成される。さらには、撥液膜251もエキシマレーザ加工性にすぐれた材料により形成しているため、吐出ノズル245に連通する孔部が容易に形成される。
また、ノズル導入孔となる貫通孔243を吐出ノズル245よりも大きな径を有するものとしていることから、この貫通孔243と吐出ノズル245の位置合わせ精度が緩和され、レーザ加工時に第2の部材236がレーザを遮蔽する危険性が回避される。
さらに、このように第2の部材236に対してオリフィスプレート234が接着されることにより、溝部242及び貫通孔243が塞がれ、液体供給路246及びノズル導入孔248が形成されることとなる。
次に、圧力室形成部の第1の部材を形成する。すなわち、図34に示すように、厚さが略0.1〔mm〕のステンレスよりなる板材271の相対向する主面271a,271bに例えば感光性ドライフィルムや液体レジスト材料などのレジストを塗布した後、インクバッファタンクを形成するための貫通孔部と圧力室を形成するための貫通孔部の形成位置に応じた部分をエッチング可能なパターンを有するマスクを用いてパターン露光し、レジスト272,273をそれぞれ形成する。
続いて、上記板材271にレジスト272,273をマスクとして、例えば塩化第2鉄水溶液等のエッチング溶液に所定時間浸してエッチングを行う。
その結果、図35に示すように、板材271の所定の位置にインクバッファタンクを形成する貫通孔部238と圧力室を形成する貫通孔部239が形成される。
このとき、板材271の相対向する主面271a,271bのそれぞれからのエッチング量が板材271の厚さの約1/2強となるようにエッチング量を選定する。すなわち、本例においては、板材271の厚さが0.1〔mm〕とされているので、板材271の片面からのエッチング量が約0.055〔mm〕程度となるようにする。このようにすれば、貫通孔部238、貫通孔部239の寸法精度を向上する共に安定して形成することが可能である。
続いてレジスト272,273を除去する。レジスト272,273としてドライフィルムレジストを使用した場合には、例えば5%以下の水酸化ナトリウム水溶液を用いれば良く、レジスト272,273として液体レジスト材料を用いた場合には、例えば専用アルカリ溶液を用いれば良い。その結果、図36に示すように、貫通孔部238、貫通孔部239が形成される第1の部材235が形成される。
次に、図37に示すように、第1の部材235の第2の部材との接着面となる面とは反対側の主面235aに振動板232を熱圧着により接着する。この振動板232は、例えば三井東圧化学工業株式会社製のガラス転移点が250〔℃〕以下のネオフレックス(商品名)により形成すれば良く、厚さを略20〔μm〕程度とすれば良い。そして、上記振動板232としては、圧力室に対応する位置に当該圧力室及び後工程で積層される圧電素子の平面面積よりも小さい平面面積の突起部249を有するものとする。この突起部249は、例えば厚さが18〔μm〕程度のCu及びNiといった金属箔フィルム材料を上記樹脂よりなる振動板232上に形成した後に、プリント配線板を形成するプロセスと同様にして金属箔フィルムをエッチングして形成することができる。なお、この振動板232にはインクバッファタンクとなる貫通孔部238に対応する位置にこれよりも小径で連通するインク供給口244が形成されていることは言うまでもない。
この結果、第1の部材235と振動板232間に振動板232の一部ではあるが、熱可塑性樹脂よりなる接着層が形成されることとなる。
熱圧着の条件としては、プレス温度を230〔℃〕程度とし、圧力を20〜30〔kgf/cm〕程度とすることが好ましい。このように熱圧着すれば振動板232と第1の部材235間の接着強度を高めることができると共に効率良く接着することが可能である。
また、この突起部249を有する振動板232は、以下に示すような材料を使用すれば、更に容易に形成できる。このような材料としては、図38に示すように、厚さが略20〔μm〕の三井東圧化学工業株式会社製のガラス転移点が250〔℃〕以下のネオフレックス(商品名)よりなるフィルム281上に、Cuよりなる金属箔フィルム282を厚さ略18〔μm〕で形成した、三井東圧化学社製の金属ラッピングフィルム(商品名)が挙げられる。なお、上記フィルム281は、ガラス転移点が250〔℃〕以下であり220〔℃〕〜230〔℃〕程度の温度範囲において接着性を示す第1の樹脂層281aと、ガラス転移点が300〔℃〕以上であり300〔℃〕以下の温度において接着性を示さないポリイミド材料である第2の樹脂層281bと、ガラス転移点が300〔℃〕以下であり270〔℃〕〜280〔℃〕程度の温度範囲において接着性を示す第3の樹脂層281cが積層されて構成されており、第3の樹脂層281c上に金属箔フィルム282が貼り合わされてなる。この材料においては、比較的低温にて軟化する接着剤を用いていないので、振動板232上に突起部249を、耐熱性のある構造体として形成することができる。
続いて、熱硬化性樹脂にて第1の部材235と第2の部材236間を接着する。すなわち、図39に示すように第1の部材235と第2の部材236を貫通孔部238と貫通孔部240の位置を合わせ、かつ貫通孔部239と溝部241の位置を合わせて、これら第1の部材235と第2の部材236間を熱硬化性樹脂よりなる接着層237により接着し、圧力室形成部231を完成する。
このように第1の部材235と第2の部材236を接着することにより、貫通孔部238と貫通孔部240の両端が蓋されたインクバッファタンク252が形成され、貫通孔部239と溝部241よりなる圧力室247が形成される。そして、インクバッファタンク252、液体供給路246、圧力室247、ノズル導入孔248が連続して形成されることとなる。
続いて、例えばエポキシ系の接着剤を用いて突起部249に圧電素子233を接着し、振動板232のインク供給口244にインク供給管250を接続し、図25に示したようなプリントヘッドを完成する。
本例のプリントヘッドの製造方法においては、第1の部材235には振動板232を熱可塑性樹脂により予め接着しておき、第2の部材236にはオリフィスプレート234を予め接着するようにしており、この後に圧力室形成部231を構成する第1の部材235と第2の部材236間を熱硬化性樹脂よりなる接着層237により接着するようにしていることから、この接着工程において第1の部材235と振動板232間を接着する熱可塑性樹脂が影響を受けることはなく、また、第2の部材236に接着されているオリフィスプレート234の撥液膜251に熱等が加わることもなく、撥液膜の選定範囲が広がる。
−5)第参考例の効果
したがって、本例のプリンタ装置においては、プリントヘッドにおいて振動板232と圧力室形成部231間が熱可塑性樹脂により接着されていることから、振動板232の接着強度が確保され、撥液膜251が熱の影響を受けないことから撥液膜251にさほど耐熱性は要求されず、撥液膜251として実使用条件に即した撥液性能を有するものの使用が可能であり、撥液膜251の選定範囲を広げることが可能であり、生産性が良好となる。
また、本例のプリンタ装置においては、プリントヘッドにおいて液体供給路246を形成する溝部242をオリフィスプレート234側に形成するようにしていることから、第2の部材236と第1の部材235の接着工程において、上記溝部242が接着剤によって塞がれてしまうことはなく、接着剤による目詰まりに起因する液体供給路246の流路抵抗の上昇を回避することができ、高い信頼性を得ることができる。
さらに、本例のプリンタ装置においては、プリントヘッドにおいて液体供給路246がオリフィスプレート234側に形成されていることから、振動板232と第1の部材235間を接着する熱可塑性樹脂の選択範囲、ここでは振動板232の形成材料の範囲が広がり、生産性が良好となる。
さらまた、本例のプリンタ装置においては、プリントヘッドにおいて圧力室形成部231を構成する第1の部材235と第2の部材236間を例えばエポキシ等の熱硬化性樹脂により接着しているが、これら第1の部材235と第2の部材236は振動板232と比較していずれも機械的に剛性を有している部材であるので、接着を行う際にさほどの圧力をかけなくても、接着の際に発生するそりを防止することができる。
すなわち、本例のプリンタ装置においては、プリントヘッドにおいて第1の部材235と第2の部材236間が温度及び圧力をさほど高くすることなく、容易に接着されることとなり、接着する際に用いる接着剤の選択範囲の制約が軽減され、かつ撥液膜の性能の劣化が軽減され、撥液膜が接着治具に付着するといった工程不良の発生も軽減することが可能となり、生産性が向上する。
さらに、本例のプリンタ装置においては、プリントヘッドにおいて圧力室形成部231をステンレスにより形成し、オリフィスプレート234を樹脂により形成するようにしており、圧力室形成部とオリフィスプレートの両者を樹脂により形成した場合に比べて圧力室247に圧力を加えた場合のオリフィスプレート234の変形を小さく抑えることが可能である。また、本例においては、圧力室247の下部にも第2の部材236が存在することとなることから、吐出ノズル245からのインクの吐出を安定して行うことが可能である。
)第参考例
第3参考例においては、インクを定量媒体とし、希釈液を吐出媒体としてインクを希釈液に混合して吐出する「キャリアジェット」プリンタ装置に適用した例について述べる。
−1)「キャリアジェット」プリンタ装置の構成
本例の「キャリアジェット」プリンタ装置の全体の構成であるが、上述の第1参考例と同様とされているので、ここでは説明を省略することとする。すなわち、本例の「キャリアジェット」プリンタ装置においては、先に示したプリントヘッド81の代わりに後述の「キャリアジェット」プリントヘッドが使用されることとなる。なお、本例の「キャリアジェット」プリンタ装置においても前述した制御部と同様の制御部が使用されることとなるので、この説明も省略することとする。
なお、「キャリアジェット」プリントヘッドを使用した場合の駆動回路を図40に示す。すなわち、デジタル中間調データが他ブロックより供給され、シリアルパラレル変換回路311により第1のドライバ291及び第2のドライバ292に送られる。シリアルパラレル変換回路311より与えられたデジタル中間調データが所定のしきい値以下の場合は、定量及び吐出は行わない。印字タイミングになると、他ブロックから印字トリガが出力され、タイミング制御回路312がそれを検出し、所定のタイミングで定量部コントロール信号と吐出コントロール信号をそれぞれ第1のドライバ291及び第2のドライバ292に出力する。
−2)「キャリアジェット」プリントヘッドの構成
次に、本例の「キャリアジェット」プリンタ装置の「キャリアジェット」プリントヘッドの構成について説明する。本例のプリントヘッドは、図41に示すように、圧力室形成部321、振動板322、積層ピエゾ素子である第1及び第2の圧電素子323a,323b、オリフィスプレート324により主に構成されるものである。
上記圧力室形成部321は、第1の部材325と第2の部材326を接着剤層127により接着してなるものである。なお、これら第1の部材325と第2の部材326は例えば厚さ略0.1〔mm〕のステンレススチール等により形成すれば良い。先ず、第1の部材325であるが、所定の位置にインクバッファタンクを構成する貫通孔部328と第2の圧力室を構成する貫通孔部329を有し、かつ所定の位置に希釈液バッファタンクを構成する貫通孔部338と第1の圧力室を構成する貫通孔部339を有する板状の部材である。上記第1の部材325においては、略中央部近傍に所定の間隔を有して貫通孔部329,339が形成されており、これら貫通孔部329,339と所定の間隔を有してこれらを挟むようにして貫通孔部328,338がそれぞれ形成されている。
一方の第2の部材326も板状の部材であり、上記インクバッファタンクを形成する貫通孔部328に対応する位置にこれと連通してインクバッファタンクを形成する貫通孔部330が形成されると共に、上記第2の圧力室を形成する貫通孔部329に対応する位置にこれと連通して圧力室を形成する溝部331が一主面326aに臨んで開口するように形成されている。また、この第2の部材326においては、上記希釈液バッファタンクを形成する貫通孔部338に対応する位置にこれと連通して希釈液バッファタンクを形成する貫通孔部340が形成されると共に、上記第1の圧力室を形成する貫通孔部339に対応する位置にこれと連通して第1の圧力室を形成する溝部341が一主面326aに臨んで開口するように形成されている。
さらに、この第2の部材326においては、上記貫通孔部330の側面と溝部331の底面間を接続し、第2の液体供給路を形成する溝部332が第1の部材325への対向面となる一主面326aとは反対側となる一主面326bに臨んで開口するように形成されると共に、第2のノズル導入孔を形成する貫通孔333が溝部331の底面から一主面326bに貫通するように形成されている。さらにまた、この第2の部材326においては、上記貫通孔部340の側面と溝部341の底面間を接続し、第1の液体供給路を形成する溝部342が第1の部材325への対向面となる一主面326aとは反対側となる一主面326bに臨んで開口するように形成されると共に、第1のノズル導入孔を形成する貫通孔343が溝部341の底面から一主面326bに貫通するように形成されている。
そして、本例のプリントヘッドにおいては、上記圧力室形成部321の第1の部材325側に振動板322を配し、第2の部材326側にオリフィスプレート324を配して、圧力室形成部321を振動板322とオリフィスプレート324により厚さ方向に挟み込んでいる。なお、上記振動板322は、耐熱性及び耐薬品性に優れた例えば三井東圧化学工業株式会社製のガラス転移点が250〔℃〕以下のネオフレックス(商品名)により形成すれば良く、その厚さを略20〔μm〕程度とすれば良い。上記振動板322においては、インクバッファタンクとなる貫通孔部328に対応する位置にこれよりも小径のインク供給口334が形成され、かつ希釈液バッファタンクとなる貫通孔部338に対応する位置にこれよりも小径の希釈液供給口354が形成されている。
また、一方のオリフィスプレート324は、耐熱性及び耐薬品性に優れた例えば三井東圧化学工業株式会社製のガラス転移点が250〔℃〕以下のネオフレックス(商品名)により形成すれば良く、厚さを略50〔μm〕程度とすれば良い。このような材質を使用すれば、化学的な安定性が確保され、好ましい。さらに上記オリフィスプレート324においては、第2のノズル導入孔となる貫通孔333に対応する位置にこれよりも小径の定量ノズル335が形成されると共に、第1のノズル導入孔となる貫通孔343に対応する位置にこれよりも小径の吐出ノズル355が形成されている。これら定量ノズル335と吐出ノズル355は例えば断面円形の孔部として形成すれば良く、これらの開口先端が隣接するように、例えば吐出ノズル355はオリフィスプレートの厚さ方向に形成されるものとし、定量ノズル335が吐出ノズル355開口先端に徐々に近づいていくように形成することが好ましい。
すなわち、圧力室形成部321を振動板322とオリフィスプレート324により厚さ方向に挟み込むことによって、貫通孔部328、貫通孔部330、溝部332、溝部331、貫通孔部329、貫通孔333が接続されることにより形成される空洞部が振動板322とオリフィスプレート324により塞がれて、圧力室形成部321の振動板322側からオリフィスプレート324側に向かって厚さ方向に形成されるインクバッファタンク352、これと接続され圧力室形成部321の面内方向に形成される第2の液体供給路346と、これに接続され振動板側に形成される第2の圧力室247、上記第2の圧力室247に接続され、オリフィスプレート324側に開口する第2のノズル導入孔348が連続して形成されることとなる。
そして、前述のように振動板322にはインク供給口334が形成され、オリフィスプレート324には定量ノズル335が形成されていることから、インク供給口334、インクバッファタンク352、第2の液体供給路346、第2の圧力室347、第2のノズル導入孔348、定量ノズル335の順にインクが流れることとなる。
同様に貫通孔部338、貫通孔部340、溝部342、溝部341、貫通孔部339、貫通孔343が接続されることにより形成される空洞部が振動板322とオリフィスプレート324により塞がれて、圧力室形成部321の振動板322側からオリフィスプレート324側に向かって厚さ方向に形成される希釈液バッファタンク362、これと接続され圧力室形成部321の面内方向に形成される第1の液体供給路356と、これに接続され振動板側に形成される第1の圧力室357、上記第1の圧力室357に接続され、オリフィスプレート324側に開口する第1のノズル導入孔158が連続して形成されることとなる。
また、同様に、振動板322には希釈液供給口354が形成され、オリフィスプレート324には吐出ノズル355が形成されていることから、希釈液供給口354、希釈液バッファタンク362、第1の液体供給路356、第1の圧力室357、第1のノズル導入孔358、吐出ノズル355の順に希釈液が流れることとなる。
また、本例のプリントヘッドにおいては、振動板322の圧力室形成部321と接着される面とは反対側の一主面322aの第2の圧力室347に対応する位置に第2の突起部349が形成されており、この第2の突起部349を介して第2の圧電素子323bが載置されている。さらに、第1の圧力室357に対応する位置にも第1の突起部359が形成されており、この第1の突起部359を介して第1の圧電素子323aが載置されている。なお、上記第1及び第2の圧電素子323a,323bとしては、圧電部材と導電部材とが交互に積層されてなる圧電素子が挙げられる。このとき、圧電部材と導電部材との積層数は何層であっても良い。
これら第1及び第2の突起部359,349は第1の圧力室357及び第2の圧力室347の平面の面積及び第1及び第2の圧電素子323a,323bの平面の面積よりも小さいものとして形成されている。さらに、上記振動板322の一主面322aのインク供給口334に対応する位置には図示しないインクタンクに接続されるインク供給管350が接続され、希釈液供給口354に対応する位置には図示しない希釈液タンクに接続される希釈液供給管360が接続されている。
さらにまた、本例のプリントヘッドにおいては、オリフィスプレート324のノズル開口面となる一主面324aに撥液膜351が形成されている。
そして、本例のプリンタ装置においては、図42に模式的に示すように、プリントヘッド中のインクバッファタンク352及び希釈液バッファタンク362は、管状の部材となされており、このインクバッファタンク352及び希釈液バッファタンク362の長手方向に複数の上述したようなプリントヘッドが所定の間隔を有して平行に配列されて、インクバッファタンク352は各プリントヘッドの共通のインク配給管となされ、希釈液バッファタンク362も各プリントヘッドの共通の希釈液配給管となされている。そして、これらプリントヘッドにおいては、前述のプリントヘッドと同様に、インクバッファタンク352に対して第2の液体供給路346が接続され、希釈液バッファタンク362に対して第1の液体供給路356が接続されている。このため、各プリントヘッドの定量ノズル335と吐出ノズル355は隣り合うようにして1つの面上に開口することとなる。
すなわち、本例のプリンタ装置においては、インクは図示しないインクタンクからインクバッファタンク352に供給され、ここから各プリントヘッドの第2の液体供給路346に供給されることとなり、一方の希釈液も図示しない希釈液タンクから希釈液バッファタンク362に供給され、ここから各プリントヘッドの第1の液体供給路356に供給されることとなる。
そして、本例のプリンタ装置においては特に、プリントヘッドの振動板322と圧力室形成部321間が熱可塑性樹脂よりなる接着層により接着されている。
また、本例のプリンタ装置においては特に、プリントヘッドのオリフィスプレート324は圧力室形成部321に対して熱圧着により接着されている。
さらに、本発明のプリンタ装置においては特に、圧力室形成部321を構成する第1の部材325と第2の部材326間が前述のように熱硬化性樹脂よりなる接着剤層327により接着されている。
すなわち、本例のプリンタ装置においては、圧力室形成部321と振動板322との間に熱可塑性樹脂よりなる接着層327が形成されるようになされており、振動板322の圧力室形成部321に対する接着強度が十分に確保される。
−3)第参考例の動作
本例のプリンタ装置により印刷を行うには、以下のようにすれば良い。すなわち、本例のプリンタ装置のプリントヘッドで使用されている圧電素子である第2の圧電素子323bにおいては、駆動電圧が印加されると、図41中矢印M2で示す方向とは逆の方向に直線的に変位する性質を有するため、これに接着されている第2の突起部349を中心に振動板322を持ち上げることとなり、図43に示すように第2の圧力室347の体積が増大することとなる。このことは、第1の圧電素子323aにおいても同様であり、駆動電圧が印加されると、図41中矢印M2で示す方向とは逆の方向に直線的に変位する性質を有するため、これに接着されている第1の突起部359を中心に振動板322を持ち上げることとなり、図43に示すように第1の圧力室357の体積が増大することとなる。
またこの第1及び第2の圧電素子323a,323bは駆動電圧が解放されると、図41中に矢印M2で示す方向に直線的に変位する性質を有するため、これに接着されている第1及び第2の突起部359,349を介して振動板322を押圧して湾曲させて第1の圧力室357或いは第2の圧力室347の体積を減少させて第1の圧力室357或いは第2の圧力室347内の圧力を上昇させることとなる。このとき、第1及び第2の突起部359,349は、その平面面積が第1及び第2の圧電素子323a,323bの平面面積よりも小さくなるようになされているので、第1及び第2の圧電素子323a,323bの変位を振動板322の第1の圧力室357或いは第2の圧力室347に対応する位置に集中的に伝達することが可能である。
次に、上記のような構成のプリンタ装置により印刷を行う場合の、駆動電圧の印加タイミングを図44に示す。ここでは、第1及び第2の圧電素子323a,323bとして、いわゆるd31モードの圧電素子を使用した場合の駆動電圧の印加タイミングを示す。
すなわち、図44(a)に示すように、印刷前の待機時、図中(A)で示す時点において、第1の圧力室357に対応する位置に設けられる第1の圧電素子323aに予め例えば20〔V〕を印加し、図44(b)に示すように、印刷前の待機時、図中(A)で示す時点において、第2の圧力室347に対応する位置に設けられる第2の圧電素子323bには予め例えば10〔V〕を印加しておく。すると、図43中に示すように、第2の圧力室347と第1の圧力室357の体積が増加した状態となる。このとき、吐出ノズル355、定量ノズル335の何れにおいても先端にメニスカスが形成されている。
そして、印刷時には、信号に基づいて、定量媒体を飛翔させることなく定量するべく、図44(b)中(B)で示す時点で第2の圧電素子323bの電圧を例えば5〔V〕まで除々に下げ、この状態で例えば150〔μsec〕保持する。すると、第2の圧電素子323bが図41中矢印M2で示す方向に除々に伸長し、図45中に示すように振動板322を介して第2の圧力室347が徐々に加圧され、第2の圧力室347が元の形状に戻ろうとするため、定量ノズル335に内圧が加わり、インクが定量ノズル335の外から吐出ノズル355の開口付近までしみ出し、吐出ノズル355の希釈液に合わさる。なお、このときの電圧は、画像データの階調に合わせて設定されており、インクの量は画像データに応じたものとなる。
その後、定量ノズル335内にインクを引き込み、定量されたインクのみを吐出ノズル355開口付近に残存させるべく、図44(b)中(C)で示す時点で第2の圧電素子323bの電圧を10〔V〕まで徐々に戻す。すると、第2の圧電素子323bが図41中矢印M2で示す方向とは反対の方向に除々に縮小し、定量ノズル335の内圧が解除され、インクは定量ノズル335内に戻ろうとする。これにより、定量されたインクのみが吐出ノズル355開口付近に残存することとなる。
次に、吐出ノズル355から希釈液を吐出するべく、図44(a)中に示すように、図中(D)で示す時点で第1の圧電素子323aの電圧を例えば0〔V〕とする。すると、第1の圧電素子323aが図41中矢印M2で示す方向に伸長し、振動板322を介して第1の圧力室357が加圧され、第1の圧力室357が元の形状に戻ろうとするため、吐出ノズル355に内圧が加わる。その結果、吐出ノズル355内の内圧によって希釈液が押し出され、この希釈液と吐出ノズル355開口付近に残存していたインクとの混合溶液が形成される。
次に、図44(a)中(D)で示す時点から例えば50〔μsec〕の間0〔V〕とし、図44(a)中(E)で示す時点で第1の圧電素子323aの電圧を例えば20〔V〕に戻すと、第1の圧電素子323aが図41中矢印M2で示す方向とは反対の方向に縮小し、吐出ノズル355の内圧が解除され、希釈液が吐出ノズル355内に戻ろうとする。これにより、吐出ノズル355内の希釈液と混合溶液間にくびれが生じ、ついには混合溶液が吐出ノズル355から吐出され、当該混合溶液がプリント紙に被着して印刷が行われる。
第1の圧力室357及び第2の圧力室347の内圧はやがて元に戻り、希釈液及びインクは再び吐出ノズル355及び定量ノズル335内に充填され、再び印刷待機状態となる。
なお、図44(b)中T1で示され、図中(B)で示す時点と図中(C)で示す時点間のインク定量パルス幅、図44(a)中T2で示され、図中(D)で示す時点と図中(E)で示す時点間の希釈液吐出パルス幅、図44(b)中Vで示されるインク定量電圧は可変である。
そして、図44(a),図44(b)に示されるように、上記動作を繰り返すことで印刷がなされ、図44(a)中T3で示される印刷のサイクルは例えば1〔msec〕とすれば良い。
すなわち、図40に示した駆動回路の信号は、上記のような図44で示したタイミングで出力され、これにしたがって、第1の圧電素子323a及び第2の圧電素子323bに所定電圧が印加される。
−4)「キャリアジェット」プリントヘッドの製造方法
続いて本例のプリンタ装置のプリントヘッドの製造方法について述べる。先ず、圧力室形成部の第2の部材を形成する。すなわち、図46に示すように、厚さが略0.1〔mm〕のステンレス等よりなる板材371の一主面371aに例えば感光性ドライフィルムや液体レジスト材料などのレジストを塗布した後、インクバッファタンク及び希釈液バッファタンクを形成するための貫通孔部と第1及び第2の圧力室を形成するための溝部の形成位置に応じた部分をエッチング可能なパターンを有するマスクを用いてパターン露光し、レジスト372を形成する。
また、この板材371の一主面371aに相対向する主面371bにも同様にして第1及び第2の液体供給路を形成するための溝部、第1及び第2のノズル導入孔を形成するための貫通孔の形成位置に応じた部分をエッチング可能なパターンを有するマスクを用いてパターン露光し、レジスト373を形成する。
続いて、上記板材371にレジスト372,373をマスクとして、例えば塩化第2鉄水溶液等のエッチング溶液に所定時間浸してエッチングを行う。その結果、図47に示すように、インクバッファタンクを形成し、一主面371aからこれと相対向する主面371bに貫通する貫通孔部330、第2の圧力室を形成し、一主面371aに臨んで開口する溝部331、貫通孔部330の側面と溝部331の底面を接続して第2の液体供給路を形成し、一主面371bに臨んで開口する溝部332、第2のノズル導入孔を形成し、溝部331の底面から一主面371bに貫通する貫通孔333が形成される。また、図47中に示すように、希釈液バッファタンクを形成し、一主面371aからこれと相対向する主面371bに貫通する貫通孔部340、第1の圧力室を形成し、一主面371aに臨んで開口する溝部341、貫通孔部340の側面と溝部341の底面を接続して第1の液体供給路を形成し、一主面371bに臨んで開口する溝部342、第1のノズル導入孔を形成し、溝部341の底面から一主面371bに貫通する貫通孔343が形成される。
このようにエッチングを行う場合、板材371の相対向する一主面371a,371bの各面からのエッチング量を板材371の厚さの約1/2強となるように選定する。すなわち、本例においては、板材371の厚さを0.1〔mm〕としているので、板材371の一方の主面からのエッチング量が約0.055〔mm〕程度となるようにする。これにより貫通孔部330,340、溝部331,341、溝部332,342、貫通孔333,343の寸法精度を向上しつつ安定して形成することが可能となる。
また、板材371の各面からのエッチング量が同じなので、第1及び第2の圧力室を形成し、一主面371aに臨んで開口する溝部341,331を形成する際のエッチングの条件と、第1及び第2の液体供給路を形成し、一主面371bに臨んで開口する溝部342,332、第1及び第2のノズル導入孔を形成し、一主面371bに臨んで開口する貫通孔343,333を形成する際のエッチングの条件を同じ条件に設定し得るので、エッチング工程を簡易かつ短時間に行うことができる。
なお、上記第2のノズル導入孔となる貫通孔333及び第1の導入孔となる貫通孔343は、第2の圧力室或いは第1の圧力室に圧力が印加された場合に当該第2の圧力室或いは第1の圧力室の圧力上昇に影響がない程度に、後工程で形成されるオリフィスプレートの定量ノズル或いは吐出ノズルの径より大きくなるように形成する。
続いてレジスト372,373を除去する。レジスト372,373としてドライフィルムレジストを使用した場合には、例えば5%以下の水酸化ナトリウム水溶液を用いれば良く、レジスト372,373として液体レジスト材料を用いた場合には、例えば専用アルカリ溶液を用いれば良い。その結果、図48に示すように、貫通孔部330,340、溝部331,341、溝部332,342、貫通孔333,343が形成される第2の部材326が形成される。
次に、図49に示すように、第2の液体供給路を形成する溝部332及び第2のノズル導入孔を形成する貫通孔333が開口し、かつ第1の液体供給路を形成する溝部342及び第1のノズル導入孔を形成する貫通孔343が開口する一主面326b側にオリフィスプレートとなる板材374を熱圧着により接着する。この板材374は、例えば三井東圧化学工業株式会社製のガラス転移点が250〔℃〕以下のネオフレックス(商品名)により形成すれば良く、厚さを略50〔μm〕程度とすれば良い。熱圧着の条件としては、プレス温度を230〔℃〕程度とし、圧力を20〜30〔kgf/cm〕程度とすることが好ましい。このように熱圧着すれば板材374と第2の部材326間の接着強度を高めることができると共に効率良く接着することが可能である。
また、このように、予めノズルを形成することなく板材374と第2の部材326を接着すれば、これらの位置合わせ精度はあまり要求されず、接着が容易に行われる。さらに、本例においては、接着剤を用いることなく、板材374と第2の部材326間を接着しているため、接着剤が第1及び第2の液体供給路を形成する溝部342,332を塞いでしまうこともない。
次に、図50に示すように、板材374の第2の部材326への対向面とは反対側の一主面374aに撥液処理を施し、撥液膜351を形成する。上記撥液膜351は、インクや希釈液をはじき、後工程で形成されるノズル周辺にインク付着残り或いは希釈液付着残りを生じさせないように形成されるものであり、かつ後工程でエキシマレーザによりノズルを形成した場合において、バリ及び剥がれ等を発生しない材料よりなることが好ましい。このような材料としては、ポリイミド系材料中にフッ素系材料を分散させた、例えば、デュポン(株)社製の変性ポリテトラフルオルエチレンコーティング 958−207(商品名)や、ポリイミド系材料のうち吸水率が0.4%以下の材料、例えば宇部興産(株)社製のポリイミド系オーバーコートインクであるユピコートFS−100L(商品名)、同社製のポリイミドコーティング材料であるユピファインFP−100(商品名)等が挙げられ、さらには、撥液性のポリベンゾイミダゾール、例えば、ヘキスト(株)社製の塗布型ポリベンゾイミダゾール材料であるNPBI(商品名)等が挙げられる。
続いて、第2の部材326側から溝部341及び貫通孔343を介してエキシマレーザを垂直に照射し、板材374を貫通する吐出ノズル355を形成し、また同様に第2の部材326側から溝部331及び貫通孔333を介してエキシマレーザを斜め方向に照射し、板材374を貫通し、その開口部が吐出ノズル355と所定の間隔を有して隣り合うような定量ノズル335を形成し、図51に示すように、第2のノズル導入孔となる貫通孔333に対応する位置に定量ノズル335を有し、第2のノズル導入孔となる貫通孔343に対応する位置に吐出ノズル355を有するオリフィスプレート324を完成する。このとき、撥液膜351にも定量ノズル335及び吐出ノズル355に連通する孔部が形成されることは言うまでもない。
本例のプリンタ装置の製造方法においては、オリフィスプレート324となる板材374として、樹脂よりなるものを使用しているため、ノズル形成時のエキシマレーザ加工性が非常に良好であり、定量ノズル335及び吐出ノズル355が容易に形成される。さらには、撥液膜351もエキシマレーザ加工性にすぐれた材料により形成しているため、定量ノズル335及び吐出ノズル355に連通する孔部が容易に形成される。
また、第2のノズル導入孔となる貫通孔333を定量ノズル335よりも大きな径を有するものとしていること、第1のノズル導入孔となる貫通孔343を吐出ノズル355よりも大きな径を有するものとしていることから、貫通孔333と定量ノズル335、貫通孔343と吐出ノズル355の位置合わせ精度が緩和され、レーザ加工時に第2の部材326がレーザを遮蔽する危険性が回避される。
さらに、このように第2の部材326に対してオリフィスプレート324が接着されることにより、溝部332及び貫通孔333が塞がれ、第2の液体供給路346及び第2のノズル導入孔348が形成されると共に、溝部342及び貫通孔343が塞がれ、第1の液体供給路356及び第1のノズル導入孔358が形成されることとなる。
次に、圧力室形成部の第1の部材を形成する。すなわち、図52に示すように、厚さが略0.1〔mm〕のステンレスよりなる板材381の相対向する主面381a,381bに例えば感光性ドライフィルムや液体レジスト材料などのレジストを塗布した後、インクバッファタンク及び希釈液バッファタンクを形成するための貫通孔部と第1及び第2の圧力室を形成するための貫通孔部の形成位置に応じた部分をエッチング可能なパターンを有するマスクを用いてパターン露光し、レジスト382,383をそれぞれ形成する。
続いて、上記板材381にレジスト382,383をマスクとして、例えば塩化第2鉄水溶液等のエッチング溶液に所定時間浸してエッチングを行う。
その結果、図53に示すように、板材381の所定の位置にインクバッファタンクを形成する貫通孔部328と第2の圧力室を形成する貫通孔部329が形成されると共に、希釈液バッファタンクを形成する貫通孔部338と第1の圧力室を形成する貫通孔部339が形成される。
このとき、板材381の相対向する主面381a,381bのそれぞれからのエッチング量が板材381の厚さの約1/2強となるようにエッチング量を選定する。すなわち、本例においては、板材381の厚さが0.1〔mm〕とされているので、板材381の片面からのエッチング量が約0.055〔mm〕程度となるようにする。このようにすれば、貫通孔部328,338、貫通孔部329,339の寸法精度を向上する共に安定して形成することが可能である。
続いてレジスト382,383を除去する。レジスト382,383としてドライフィルムレジストを使用した場合には、例えば5%以下の水酸化ナトリウム水溶液を用いれば良く、レジスト382,383として液体レジスト材料を用いた場合には、例えば専用アルカリ溶液を用いれば良い。その結果、図54に示すように、貫通孔部328,338、貫通孔部329,339が形成される第1の部材325が形成される。
次に、図55に示すように、第1の部材325の第2の部材との接着面となる面とは反対側の主面325aに振動板322を熱圧着により接着する。この振動板322は、例えば三井東圧化学工業株式会社製のガラス転移点が250〔℃〕以下のネオフレックス(商品名)により形成すれば良く、厚さを略20〔μm〕程度とすれば良い。そして、上記振動板322としては、第1の圧力室に対応する位置に当該第1の圧力室及び後工程で積層される第1の圧電素子の平面面積よりも小さい平面面積の第1の突起部359を有し、第2の圧力室に対応する位置に当該第2の圧力室及び後工程で積層される第2の圧電素子の平面面積よりも小さい平面面積の第2の突起部349を有するものとする。この第1及び第2の突起部359,349を形成するには、例えば厚さが18〔μm〕程度のCu及びNiといった金属箔フィルム材料を上記樹脂よりなる振動板322上に形成した後に、プリント配線板を形成するプロセスと同様にして金属箔フィルムをエッチングして形成することができる。なお、この振動板322にはインクバッファタンクとなる貫通孔部328に対応する位置にこれよりも小径で連通するインク供給口334が形成され、希釈液バッファタンクとなる貫通孔部338に対応する位置にこれよりも小径で連通する希釈液供給口354が形成されていることは言うまでもない。
この結果、第1の部材325と振動板322間に、振動板322の一部ではあるが、熱可塑性樹脂よりなる接着層が形成されることとなる。
熱圧着の条件としては、プレス温度を230〔℃〕程度とし、圧力を20〜30〔kgf/cm〕程度とすることが好ましい。このように熱圧着すれば振動板322と第1の部材325間の接着強度を高めることができると共に効率良く接着することが可能である。
また、この第1及び第2の突起部359,349を有する振動板322は、以下に示すような材料を使用すれば、更に容易に形成できる。このような材料としては、図56に示すように、厚さが略20〔μm〕の三井東圧化学工業株式会社製のガラス転移点が250〔℃〕以下のネオフレックス(商品名)よりなるフィルム391上に、Cuよりなる金属箔フィルム392を厚さ略18〔μm〕で形成した、三井東圧化学社製の金属ラッピングフィルム(商品名)が挙げられる。
なお、上記フィルム391は、ガラス転移点が250〔℃〕以下であり220〔℃〕〜230〔℃〕程度の温度範囲において接着性を示す第1の樹脂層391aと、ガラス転移点が300〔℃〕以上であり300〔℃〕以下の温度において接着性を示さないポリイミド材料である第2の樹脂層391bと、ガラス転移点が300〔℃〕以下であり270〔℃〕〜280〔℃〕程度の温度範囲において接着性を示す第3の樹脂層391cが積層されて構成されており、第3の樹脂層391c上に金属箔フィルム392が貼り合わされてなる。この材料においては、比較的低温にて軟化する接着剤を用いていないので、振動板322上に第1及び第2の突起部159,149を、耐熱性のある構造体として形成することができる。
続いて、熱硬化性樹脂にて第1の部材325と第2の部材326間を接着する。すなわち、図57に示すように第1の部材325と第2の部材326を貫通孔部328と貫通孔部330の位置を合わせ、かつ貫通孔部329と溝部331の位置を合わせると共に、貫通孔部338と貫通孔部340の位置を合わせ、かつ貫通孔部339と溝部341の位置を合わせて、これら第1の部材325と第2の部材326間を熱硬化性樹脂よりなる接着層327により接着し、圧力室形成部321を完成する。
このように第1の部材325と第2の部材326を接着することにより、貫通孔部328と貫通孔部330の両端が蓋されたインクバッファタンク352が形成され、貫通孔部329と溝部331よりなる第2の圧力室347が形成される。そして、インクバッファタンク352、第2の液体供給路346、第2の圧力室347、第2のノズル導入孔348が連続して形成されることとなる。
また、同様に貫通孔部338と貫通孔部340の両端が蓋された希釈液バッファタンク362が形成され、貫通孔部339と溝部341よりなる第1の圧力室357が形成される。そして、希釈液バッファタンク362、第1の液体供給路356、第1の圧力室357、第1のノズル導入孔358が連続して形成されることとなる。
続いて、例えばエポキシ系の接着剤を用いて第2の突起部349に第2の圧電素子323bを接着し、振動板322のインク供給口334にインク供給管350を接続すると共に、第1の突起部359に第1の圧電素子323aを接着し、振動板322の希釈液供給口354に希釈液供給管360を接続して、図41に示したようなプリントヘッドを完成する。
本例のプリントヘッドの製造方法においては、第1の部材325には振動板322を熱可塑性樹脂により予め接着しておき、第2の部材326にはオリフィスプレート324を予め接着するようにしており、この後に圧力室形成部321を構成する第1の部材325と第2の部材326間を熱硬化性樹脂よりなる接着層327により接着するようにしていることから、この接着工程において第1の部材325と振動板322間を接着する熱可塑性樹脂が影響を受けることはなく、また、第2の部材326に接着されているオリフィスプレート324の撥液膜351に熱等が加わることもなく、撥液膜の選定範囲が広がる。
−5)第参考例の効果
したがって、本例のプリンタ装置においては、プリントヘッドにおいて振動板322と圧力室形成部321間が熱可塑性樹脂により接着されていることから、振動板322の接着強度が確保され、撥液膜351が熱の影響を受けないことから撥液膜351にさほど耐熱性は要求されず、撥液膜351として実使用条件に即した撥液性能を有するものの使用が可能であり、撥液膜の選定範囲を広げることが可能であり、生産性が良好となる。
また、本例のプリンタ装置においては、プリントヘッドにおいて第2の液体供給路346を形成する溝部332及び第1の液体供給路356を形成する溝部342をオリフィスプレート324側に形成するようにしていることから、第2の部材326と第1の部材325の接着工程において、上記溝部332,342が接着剤によって塞がれてしまうことはなく、接着剤による目詰まりに起因する第2の液体供給路346及び第1の液体供給路356の流路抵抗の上昇を回避することができ、高い信頼性を得ることができる。
さらに、第2の液体供給路346及び第1の液体供給路356がオリフィスプレート324側に形成されていることから、振動板322と第1の部材325間を接着する熱可塑性樹脂の選択範囲、ここでは振動板322の形成材料の選択範囲が広がり、生産性が良好となる。
さらまた、本例のプリンタ装置においては、プリントヘッドにおいて圧力室形成部321を構成する第1の部材325と第2の部材326間を例えばエポキシ等の熱硬化性樹脂により接着しているが、これら第1の部材325と第2の部材326は振動板322と比較していずれも機械的に剛性を有している部材であるので、接着を行う際にさほどの圧力をかけなくても、接着の際に発生するそりを防止することができる。
すなわち、本例のプリンタ装置においては、プリントヘッドにおいて第1の部材325と第2の部材326間が温度及び圧力をさほど高くすることなく、容易に接着されることとなり、接着する際に用いる接着剤の選択範囲の制約が軽減され、かつ撥液膜の性能の劣化が軽減され、撥液膜が接着治具に付着するといった工程不良の発生も軽減することが可能となり、生産性が向上する。
さらに、本例のプリンタ装置においては、プリントヘッドにおいて圧力室形成部321をステンレスにより形成し、オリフィスプレート324を樹脂により形成するようにしており、圧力室形成部とオリフィスプレートの両者を樹脂により形成した場合に比べて第1及び第2の圧力室357,347に圧力を加えた場合のオリフィスプレート324の変形を小さく抑えることが可能である。また、本例においては、第1及び第2の圧力室357,347の下部にも第2の部材326が存在することとなることから、定量ノズル335及び吐出ノズル355からのインク或いは希釈液の吐出を安定して行うことが可能である。
さらにまた、上述のようにオリフィスプレート324の変形が小さく抑えられることから、第1及び第2の圧電素子323a,323bに印加する電圧を小さくしても第1及び第2の圧力室357,347内の圧力を有効かつ安定して上昇させることが可能であり、消費電力が軽減される。
上述した第及び第参考例のプリンタ装置のプリントヘッドの例においては、オリフィスプレートを1種類の樹脂材料により形成した例について述べたが、このオリフィスプレートは、図58に示すように、略125〔μm〕の厚さを有し、ガラス転移点が250〔℃〕以上の樹脂材料、例えばデュポン(株)社製のカプトン(商品名)よりなる樹脂材料401の一主面401a上に、略7〔μm〕の厚さを有し、ガラス転移点が250〔℃〕以下の樹脂材料、例えば三井東圧化学工業株式会社製のネオフレックス(商品名)よりなる樹脂材料402が塗布されて構成される板材403により形成されても良い。この場合においても、やはりエキシマレーザ加工等の手法によりノズルが形成される。
このような板材403でオリフィスプレートを形成すると、前述の例よりも厚さが厚いオリフィスプレートが形成されるので、オリフィスプレートの強度を一段と確保することができると共に、ノズルの長さを長くすることができるので、吐出されるインク液滴の方向性を高めることができる。
なお、前述の「キャリアジェット」プリンタ装置のような2液混合型のプリンタ装置のプリントヘッドにおいて、オリフィスプレートを上記のような2種類の樹脂材料よりなる板材403により形成するようにすれば、定量ノズルの傾斜角度に余裕をもたせることができると共に、第1及び第2の圧力室の間隔を容易に拡げることができるので、インク漏れ及び希釈液漏れを確実に防止し得る。
また、前述した第参考例のインクジェット方式のプリンタ装置においては、圧力室への圧力付加手段として積層ピエゾ素子である圧電素子を使用した例について述べたが、この圧力付加手段としては、単板の圧電素子を使用しても良い。
すなわち、先に図25に示したプリントヘッドと略同様の構成を有する図59に示すようなプリントヘッドの振動板232上の圧力室247に対応する位置にこの圧力室247の平面面積と略同等の平面面積を有する振動板404を積層形成し、さらにこの上に板状の圧電素子405を積層形成するようにしても良い。なお、図59においては、図25と同様の構成を有する部分においては同一の符号を付し、この部分の説明は省略する。
なお、このプリンタ装置においても、オリフィスプレートを前述の2層の樹脂材料よりなるオリフィスプレートとしても良く、上述の場合と同様の効果を得ることができる。
この圧電素子405の分極及び電圧の印加方向は、圧電素子405に電圧を印加した際に、圧電素子405が振動板404の面内方向に縮んで図中矢印M3に示す方向に撓むように設定されている。
したがって、このインクジェット方式のプリントヘッドにおいては、圧電素子405に駆動電圧が印加されると、圧電素子405は、図60に示すように図中矢印M3で示す方向に撓んで振動板404を押圧し、振動板232を湾曲させる。この結果、圧力室247の体積が減少し、圧力室247の圧力が上昇して吐出ノズル245からインクが吐出する。
この場合、圧電素子405に印加される駆動電圧の時間変化は、吐出ノズル245からインクを吐出し得るような電圧波形に選択されている。
上述のような圧電素子は、前述した「キャリアジェット」プリンタ装置のような2液混合型のプリンタ装置のプリントヘッドにも適用可能である。すなわち、先に図41に示したプリントヘッドと略同様の構成を有する図61に示すようなプリントヘッドの振動板322上の第2の圧力室347に対応する位置にこの第2の圧力室347の平面面積と略同等の平面面積を有する振動板414を積層形成し、さらにこの上に板状の第2の圧電素子415を積層形成すると共に、第1の圧力室357に対応する位置にこの第1の圧力室357の平面面積と略同等の平面面積を有する振動板224を積層形成し、さらにこの上に板状の第1の圧電素子225を積層形成するようにしても良い。なお、図61においては、図41と同様の構成を有する部分については同一の符号を付し、この部分の説明は省略する。
なお、このプリンタ装置においても、オリフィスプレートを前述の2層の樹脂材料よりなるオリフィスプレートとしても良く、上述の場合と同様の効果を得ることができる。
この第1及び第2の圧電素子425,415の分極及び電圧の印加方向は、第1及び第2の圧電素子425,415に電圧を印加した際に、第1及び第2の圧電素子425,415が振動板424,414の面内方向に縮んで図中矢印M4に示す方向に撓むように設定されている。
したがって、この2液混合型のプリンタ装置のプリントヘッドにおいて、印刷を行う場合には、先ず、第1及び第2の圧電素子425,415に駆動電圧を印加せず、希釈液及びインクにより、それぞれの表面張力と釣り合う位置、言い換えれば吐出ノズル355及び定量ノズル335の先端近傍にそれぞれメニスカスを形成し、印刷待機状態とする。
次いで、インクを定量するべく、第2の圧電素子415に駆動電圧を印加する。これにより、図62に示すように、第2の圧電素子415が図中矢印M4で示す方向に撓んで振動板322の第2の圧力室347に対応する部分が図中矢印M4で示す方向に湾曲し、この結果第2の圧力室347の体積が減少して第2の圧力室347内の圧力が上昇する。
ここで、第2の圧電素子415に印加される電圧の電圧値は画像データの階調に応じた値に設定されているので、画像データに応じた量のインクが定量ノズル335の先端から押し出される。
そして、この定量ノズル335から押し出されたインクは、吐出ノズル355の先端部近傍においてメニスカスを形成している希釈液と接触して混合される。
次いで、第2の圧電素子415に印加される駆動電圧を解放し、第2の圧力室347内の圧力を元の圧力として、定量ノズル335から押し出された余分なインクを引き込んで定量されるインクのみを吐出ノズル355先端近傍に残存させる。
続いて、第1の圧電素子425に駆動電圧を印加し、図63に示すように当該第1の圧電素子425を図中矢印M4で示す方向に撓ませ、振動板322の第1の圧力室357に対応する部分を図中矢印M4で示す方向に湾曲させる。この結果、第1の圧力室357の体積が減少して第1の圧力室357内の圧力が上昇し、吐出ノズル355から先に述べた画像データに応じたインク濃度を有する混合溶液が吐出される。
ここで第1の圧電素子425に印加する駆動電圧の時間変化は、吐出ノズル355から混合溶液が吐出し得るように設定されている。
さらに、これまで述べた2液混合型のプリンタ装置のプリントヘッドにおいては、インクを定量媒体とし、希釈液を吐出媒体としている例について述べたが、本発明はこれに限らず、インクを吐出媒体とし、希釈液を定量媒体としたプリントヘッドを有するプリンタ装置にも適用可能であることは言うまでもなく、上述の実施例と同様の効果を得ることができる。
また、前述のインクジェット方式のプリンタ装置の例においては、プリントヘッドの液体供給路246がオリフィスプレート234側に設けられている例について述べたが、このインク供給路は、図64に示すように、先に図25に示したプリントヘッドと略同様の構成を有するプリントヘッドの振動板232側に形成する、すなわち、圧力室形成部231の第1の部材235に液体供給路416を形成するようにしても良く、前述の例と同様の効果を得ることができる。なお、図64においては、図25と同様の構成を有する部分においては同一の符号を付し、説明を省略することとする。すなわち、このプリントヘッドにおいても、液体供給路416は、熱可塑性の接着剤により覆われることとなるので、接着剤の硬化時において、流路が塞がれることなない。
なお、この液体供給路416を有する第1の部材235は前述のプリントヘッドの第2の部材236と同様にして形成される。
このプリントヘッドにおいても、オリフィスプレートを前述した2種類の樹脂材料よりなる板材により形成しても良く、上述の場合と同様の効果を得ることができる。
さらに、このプリントヘッドにおいても積層ピエゾ素子である圧電素子233の代わりに単板の圧電素子を用いても上述と同様の効果を得ることができる。
さらにまた、前述のインクジェット方式のプリンタ装置においては、圧力室形成部231の第1及び第2の部材235,236の何れもがステンレス部材をエッチングして形成されていたが、本発明は、第2の部材の役割も果たすオリフィスプレートを射出成形により形成したプリンタ装置にも適用可能である。すなわち、図65に示すように、先に図64に示したプリントヘッドと略同様の構成を有するプリントヘッドにおいて、先に述べた第2の部材の役割も果たすオリフィスプレート417と第1の部材235を接着剤層237により接着してプリントヘッドを構成するようにしても良い。なお、図65中においては、図64と同様の構成を有する部分においては、同一の符号を付し、説明を省略するものとする。本例においては、オリフィスプレート417に圧力室の一部を形成する溝部とノズル導入孔を形成する貫通孔とノズルが一体化された凹部418が形成されることとなる。このようにしても、これまでと同様の効果が得られる。
なお、射出成形されるオリフィスプレート417を構成する材料としては、ポリエーテルイミド、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール等が挙げられる。そして、このプリントヘッドにおいても、振動板232は、熱可塑性の材質よりなり、振動板232は第1の部材235に対して熱圧着により接着されているので、これまで述べたプリンタ装置と同様の効果が得られる。さらには、オリフィスプレート417と第1の部材235間の接着を熱硬化型樹脂よりなる接着層237により行っていることから、オリフィスプレート417と第1の部材235の熱膨張率が大きく異なっても熱膨張率の違いによるソリ等は発生しない。
また、前述の2液混合型のプリンタ装置の例においては、プリントヘッドの第2の液体供給路346及び第1の液体供給路356がオリフィスプレート324側に設けられている例について述べたが、この第1及び第2の液体供給路は、図66に示すように、先に図41に示したプリントヘッドと略同様の構成を有するプリントヘッドの振動板322側に形成する、すなわち、圧力室形成部321の第1の部材325に第1及び第2の液体供給路420,419を形成するようにしても良く、前述の例と同様の効果を得ることができる。図66においては、図41と同様の構成を有する部分においては、同一の符号を付し、説明を省略することとする。すなわち、このプリントヘッドにおいても、第1及び第2の液体供給路420,419は、熱可塑性の接着剤により覆われることとなるので、接着剤の硬化時において、流路が塞がれることなない。
なお、この第1及び第2の液体供給路420,419を有する第1の部材325は前述のプリントヘッドの第2の部材326と同様にして形成される。
このプリントヘッドにおいても、オリフィスプレートを前述した2種類の樹脂材料よりなる板材により形成しても良く、上述の場合と同様の効果を得ることができる。
さらに、このプリントヘッドにおいても積層ピエゾ素子である第1及び第2の圧電素子323a,323bの代わりに単板の圧電素子を用いても上述と同様の効果を得ることができる。
さらにまた、前述の2液混合型のプリンタ装置においては、圧力室形成部321の第1及び第2の部材325,326の何れもがステンレス部材をエッチングして形成されていたが、本発明は、第2の部材の役割も果たすオリフィスプレートを射出成形により形成したプリンタ装置にも適用可能である。すなわち、図67に示すように、先に図66に示したプリントヘッドと略同様の構成を有するプリントヘッドにおいて、先に述べた第2の部材の役割も果たすオリフィスプレート421と第1の部材325を接着剤層327により接着してプリントヘッドを構成するようにしても良い。本例においては、オリフィスプレート421に、第2の圧力室の一部を形成する溝部と第2のノズル導入孔を形成する貫通孔と定量ノズルが一体化された凹部422と、第1の圧力室を形成する溝部と第1のノズル導入孔を形成する貫通孔と吐出ノズルが一体化された凹部423が形成されることとなる。このようにしても、これまでと同様の効果が得られる。
なお、射出成形されるオリフィスプレート421を構成する材料としては、ポリエーテルイミド、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール等が挙げられる。そして、このプリントヘッドにおいても、振動板322は、熱可塑性の材質よりなり、振動板322は第1の部材325に対して熱圧着により接着されているので、これまで述べたプリンタ装置と同様の効果が得られる。さらには、オリフィスプレート421と第1の部材325間の接着を熱硬化型樹脂よりなる接着層327により行っていることから、オリフィスプレート421と第1の部材325の熱膨張率が大きく異なっても熱膨張率の違いによるソリ等は発生しない。
さらに、先に述べたインクジェット方式のプリンタ装置の製造方法においては、振動板232上に突起部249を形成した後に、圧力室形成部231の第1の部材235への接着を行う方法を示したが、図68に示すように、熱可塑性の材料よりなる振動板232上に、金属箔426を貼り合わせた状態で第1の部材235上に接着した後、突起部を形成するようにしても良い。なお、上記のような熱可塑性の材料と金属箔が貼り合わされたものとしては、例えば、三井東圧化学(株)社製の金属ラッピングフィルム(商品名)が挙げられる。
上記のようにして突起部を形成するには、先ず、図69に示すように、振動板232上の金属箔426の突起部が形成される所定の位置にドライフィルム等でマスク427を形成する。そして、例えば塩化第2鉄水溶液等のエッチング溶液に浸すことにより金属箔426のマスク427形成部分以外の部分をエッチングした後、マスク427を剥離し、図70に示すように、振動板232の所定の位置に突起部249を形成するようにしても良い。
なお、この振動板232において、貫通孔部238に対応する位置にインク供給口244を形成するには、打ち抜き等により所定部分の振動板232を除去すればよい。
このように、振動板232と第1の部材235の接着後に突起部249を形成するようにすると、突起部249と圧力室との位置合わせを図69に示すマスク形成工程に行うこととなるので、露光装置を用いて位置合わせを行うこととなる。すなわち、前述のように突起部を形成した後に圧力室との位置合わせを接着治具を用いて行うよりも、位置合わせ精度を向上させることができる。
さらには、第1の部材を形成する板材と金属箔が接着された振動板とを接着した後、第1の部材の各貫通孔部及び突起部を形成するようにしても良い。
すなわち、図71に示すように、熱可塑性の材料よりなる振動板232上に、金属箔426を貼り合わせた状態で、当該振動板232を第1の部材を形成する板材271上に接着する。なお、上記のような熱可塑性の材料と金属箔が貼り合わされたものとしては、例えば、三井東圧化学(株)社製の金属ラッピングフィルム(商品名)が挙げられる。
次に、図72に示すように、振動板232上の金属箔426の突起部が形成される所定の位置にドライフィルム等でマスク427を形成すると共に、板材271上に各貫通孔が形成できるようなマスク428をドライフィルム等により形成する。そして、例えば塩化第2鉄水溶液等のエッチング溶液に浸すことにより金属箔426のマスク427形成部分以外の部分をエッチングし、板材271のマスク428形成部分以外の部分もエッチングする。次いで、マスク427,428を剥離し、図73に示すように、振動板232の所定の位置に突起部249を形成し、貫通孔部238,239が形成された第1の部材235を形成するようにしても良い。
なお、この振動板232において、貫通孔部238に対応する位置にインク供給口244を形成するには、打ち抜き等により所定部分の振動板232を除去すればよい。
このように、振動板232と板材271の接着後に突起部249及び貫通孔部238,239を形成するようにすると、突起部249と圧力室を形成する貫通孔部239との位置合わせを図72に示すマスク形成工程に行うこととなるので、露光装置を用いて位置合わせを行うこととなる。すなわち、前述のように突起部及び貫通孔を形成した後に突起部と貫通孔との位置合わせを接着治具を用いて行うよりも、位置合わせ精度を向上させることができる。また、このとき、両面露光装置を使用すれば、両面を同時に露光することができるので、さらに、位置合わせ精度を向上させることが可能となる。
なお、このような突起部或いは貫通孔部の形成方法は、上述した「キャリアジェット」プリンタ装置のような2液混合型のプリンタ装置の製造方法にも適用可能であり、第1の突起部と第1の圧力室、第2の突起部と第2の圧力室の位置合わせ精度を向上させることが可能である。
さらに、上述の第参考例のプリンタ装置においては、少なくとも圧力室との対向部及び液体供給路との対向部以外の位置で熱可塑性樹脂よりなる接着層上にパターン層が積層されていても良い。
すなわち、図74に示すように、図25に示すプリンタ装置のプリントヘッドと略同様の構成を有するプリントヘッドにおいて、振動板232の一主面232a上の少なくとも圧力室247及び液体供給路246との対向部以外の位置にパターン層430を設けるようにしても良い。この結果、振動板232と圧力室形成部231を構成する第1の部材235間の図示しない熱可塑性樹脂よりなる接着層上に上記のようなパターン層430が形成されることとなる。なお、図74においては、図25と同様の構成を有する部分においては同一の符号を付し、説明を省略するものとする。
このようなプリントヘッドを有するプリンタ装置においては、前述の第参考例のプリンタ装置と同様の効果を有する他、プリントヘッドを製造する際に、振動板232を圧力室形成部231の第1の部材235上に載置し、これらの間を熱可塑性樹脂よりなる接着層により接着する際、加熱加圧の圧力が振動板232のパターン層430に集中して印加され、圧力室247が形成された圧力室形成部231に対する振動板232の接着作業が容易に行われる。
さらに、このようなパターン層を先に図64に示した液体供給路416が振動板232側に形成されているプリントヘッドに形成するようにすれば、加熱加圧の際に、パターン層が形成されない液体供給路416との対向部に不要な圧力がかかることはなく、熱可塑性樹脂よりなる接着層により液体供給路416が塞がれてしまうことがなく、より好ましい。
さらにまた、上述の第参考例のプリンタ装置においても、少なくとも第1及び第2の圧力室との対向部及び第1及び第2の液体供給路との対向部以外の位置で熱可塑性樹脂よりなる接着層上にパターン層が積層されていても良い。
すなわち、図75に示すように、図41に示すプリンタ装置のプリントヘッドと略同様の構成を有するプリントヘッドにおいて、振動板322の一主面322a上の少なくとも第1及び第2の圧力室357,347及び第1及び第2の液体供給路356,346との対向部以外の位置にパターン層431を設けるようにしても良い。この結果、振動板322と圧力室形成部321を構成する第1の部材325間の図示しない熱可塑性樹脂よりなる接着層上に上記のようなパターン層431が形成されることとなる。なお、図75においては、図41と同様の構成を有する部分においては同一の符号を付し、説明を省略するものとする。
このようなプリントヘッドを有するプリンタ装置においては、前述の第参考例のプリンタ装置と同様の効果を有する他、プリントヘッドを製造する際に、振動板322を圧力室形成部321の第1の部材325上に載置し、これらの間を熱可塑性樹脂よりなる接着層により接着する際、加熱加圧の圧力が振動板322のパターン層431に集中して印加され、第1及び第2の圧力室357,347が形成された圧力室形成部321に対する振動板322の接着作業が容易に行われる。
さらにまた、上述の第及び第3参考例においては、シリアル型のプリンタ装置に適用した例について述べたが、いわゆるライン型のプリンタ装置或いはドラム回転型のプリンタ装置に適用可能である。
上記ライン型のプリンタ装置は、図76に示すような構成を有する。なお、図76中においては、図1との対応部分には同一符号を付して示し、その説明を省略する。
このライン型のプリンタ液体噴射記録装置は、図示しない多数のプリントヘッドがライン状に配置されてなるラインヘッド432がドラム15の軸方向に固定して設けられている。このライン型のプリンタ装置においては、ラインヘッド432が1行分の印字を同時に行うようになされており、一行分の印字が完了すると図中矢印mで示す方向にドラム15を1行分だけ回転させて次の行の印字を行うようになされている。この場合、全ラインを一括して印字したり、複数ブロックに分割したり、1行おきに交互に印字する方法が考えられる。
一方のドラム回転型のプリンタ装置は、図77に示すような構成を有する。なお、図77中においても、図1との対応部分には同一符号を付して示し、その説明を省略する。このドラム回転型のプリンタ装置においては、ドラム15が回転するとその回転に同期してプリントヘッド19からインクを含む液滴が吐出され、プリント紙17上に画像が形成される。ドラム15が図中矢印mで示す方向に1回転してプリント紙17上に円周方向に1列の印刷が完了すると、送りねじ18が回転してプリントヘッド部3を図中矢印M´で示す方向に1ピッチ分移動させ、次の列の印刷を行う。この場合、ドラム17と送りねじ18を同時に回転させ、印刷しながらプリントヘッド19を徐々に移動させる方法もある。マルチノズルヘッドの場合や同じ場所を何度か印字するような構成の場合は、ドラム17と送りねじ18とを連動して同時に回転させながらスパイラル状の印字を行う。
さらに、第及び第参考例のプリンタ装置においては、圧力室形成部を構成する第2の部材にも圧力室を形成する溝部が設けられている、或いは第1及び第2の圧力室を形成する溝部が設けられている例を示したが、この第2の部材に設けられる溝部の深さを極力浅くしても、本発明の効果に影響は与えない。したがって、第2の部材には、これら圧力室を形成する溝部が設けられていないくても良く、第2の部材に形成されるノズル導入孔がこれら圧力室に連通していれば、本発明の効果は得られる。
さらに第及び第参考例のプリンタ装置においては、振動板232及び振動板322の大きさを、それぞれ第1の部材235の上面或いは第1の部材325の上面の大きさに合わせ、これに接着可能な大きさとしたが、これら振動板は、圧力室247、第1及び第2の圧力室157,147に対応する位置に接着可能な大きさとなされていればよい。このようにすれば、振動板をそれぞれ小さくすることができるので、振動板と第1の部材の接着工程が一段と容易になる。
さらにまた、第及び第参考例のプリンタ装置においては、主に、第1の部材235,325及び第2の部材236,326を厚さ0.1〔mm〕の板材261,271,371,381を用いて形成する例について述べたが、これら板材261,271,371,381の厚さは、0.1〔mm〕以外の厚さとなされていても特に問題はない。ただし、上述の例においては、各貫通孔部、溝部、貫通孔をエッチングによって形成しているので、板材261,271,371,381の厚さは、0.07〔mm〕以上とすることが好ましい。この場合、圧力室247、第1及び第2の圧力室357,347内の圧力を上昇させるのに十分な強度をもたせることができる。
さらには、第及び第の参考例のプリンタ装置においては、オリフィスプレート234と第2の部材236間、オリフィスプレート324と第2の部材326間の熱圧着条件を、プレス温度が230〔℃〕程度、圧力が20〜30kgf/cm程度となるようにしているが、この熱圧着条件は、上記条件に限られるものではなく、被接着物間の接着強度を得ることができる条件であれば良い。
また、第及び第3参考例のプリンタ装置においては、ノズルの加工をエキシマレーザ加工により行った例について述べたが、このノズル加工はこれに限らず、炭酸ガスレーザの他、種々のレーザを適用した加工により行うことが可能である。
さらにまた、第及び第3参考例のプリンタ装置においては、圧力室247、第1及び第2の圧力室357,347や液体供給路246、第1及び第2の液体供給路356,346の構成及び形状は種々の変更が可能である。また、他の手段で代替可能であれば、代替えしても良い。
さらに、第及び第の参考例のプリンタ装置においては、吐出ノズル245,355、定量ノズル335の形状は種々の変更が可能である。また、他の手段で代替可能であれば、代替えしても良い。
また、第及び第の参考例のプリンタ装置においては、圧力室形成部231,321を溝加工及び孔加工がなされたステンレススチール板である金属板により形成する例について述べたが、このような金属板としては、この他種々の金属板が使用可能である。また、他の手段で代替可能であれば、代替えしても良い。
さらに、第及び第3参考例のプリンタ装置においては、オリフィスプレート234,324を形成する材料として、上述したような材料の他、種々の材料の使用が可能である。また、他の手段で代替可能であれば、代替えしても良い。
さらにまた、第及び第3参考例のプリンタ装置においては、図示しないインクタンク或いは希釈液タンクから、インクを液体供給路或いは第2の液体供給路に供給する、或いは希釈液を第1の液体供給路に供給する手段として、インクバッファタンク或いは希釈液バッファタンクを使用しているが、これらインクバッファタンク或いは希釈液バッファタンクにおいては、形状或いは構成の種々の変更が希釈液可能である。また、他の手段で代替可能であれば、代替えしても良い。
プリンタ装置の一例を示す要部概略斜視図である。 プリンタ装置の一例の制御部の構成を示すブロック図である。 プリントヘッドの一例を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの一例を示す要部概略平面図である。 プリントヘッドの製造方法の一例を示すものであり、圧力室形成部を形成す る工程を示す断面図である。 プリントヘッドの製造方法の一例を示すものであり、振動板を形成する工程 を示す断面図である。 プリントヘッドの製造方法の一例を示すものであり、プリントヘッドを完成 する工程を示す断面図である。 熱可塑性層の一例を示す断面図である。 振動板を圧力室部材へ接着する工程を示す要部拡大断面図である。 プリントヘッドの一例の動作を示す要部概略断面図である。 プリンタ装置の第1参考例を示す要部概略斜視図である。 プリンタ装置の第1参考例の制御部の構成を示すブロック図である。 プリントヘッドの第1参考例を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第1参考例を示す要部概略平面図である。 プリントヘッドの第1参考例の製造方法を示すものであり、圧力室形成部を形成する工程を示す断面図である。 プリントヘッドの第1参考例の製造方法を示すものであり、振動板を形成する工程を示す断面図である。 プリントヘッドの第1参考例の製造方法を示すものであり、プリントヘッドを完成する工程を示す断面図である。 第1参考例の熱可塑性層の他の例を示す断面図である。 振動板を圧力室部材へ接着する工程を示す要部拡大断面図である。 プリントヘッドの第1参考例の動作を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第1参考例の動作を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第1参考例の動作を示す要部概略断面図である。 本実施例の圧力室形成部の一例を示す断面図である。 第1参考例の圧力室形成部の他の例を示す断面図である。 プリントヘッドの第2参考例を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第2参考例を示す要部概略平面図である。 プリントヘッドの第2参考例のインク圧力室の体積が増大した状態を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第2参考例の製造方法の工程順に示すものであり、板材上にレジストを形成する工程を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第2参考例の製造方法の工程順に示すものであり、エッチングした状態を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第2参考例の製造方法の工程順に示すものであり、第2の部材を形成する工程を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第2参考例の製造方法の工程順に示すものであり、第2の部材上に板材を配する工程を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第2参考例の製造方法の工程順に示すものであり、撥液膜を形成する工程を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第2参考例の製造方法の工程順に示すものであり、オリフィスプレートを完成する工程を示す断面図である。 プリントヘッドの第2参考例の製造方法の工程順に示すものであり、板材上にレジストを形成する工程を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第2参考例の製造方法の工程順に示すものであり、エッチングした状態を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第2参考例の製造方法の工程順に示すものであり、第1の部材を形成する工程を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第2参考例の製造方法の工程順に示すものであり、第1の部材上に振動板を配する工程を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第2参考例の製造方法の工程順に示すものであり、振動板を形成する材料を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第2参考例の製造方法の工程順に示すものであり、第1の部材と第2の部材間を接着する工程を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第3参考例の駆動回路を示す回路ブロック図である。 プリントヘッドの第3参考例を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第3参考例を示す要部概略平面図である。 プリントヘッドの第3参考例の第1及び第2の圧力室の体積が増大した状態を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第3参考例の駆動電圧の印加タイミングを示すチャートである。 プリントヘッドの第3参考例の第2の圧力室の体積が元に戻った状態を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第3参考例の製造方法の工程順に示すものであり、板材上にレジストを形成する工程を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第3参考例の製造方法の工程順に示すものであり、エッチングした状態を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第3参考例の製造方法の工程順に示すものであり、第2の部材を形成する工程を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第3参考例の製造方法の工程順に示すものであり、第2の部材上に板材を配する工程を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第3参考例の製造方法の工程順に示すものであり、撥液膜を形成する工程を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第3参考例の製造方法の工程順に示すものであり、オリフィスプレートを完成する工程を示す断面図である。 プリントヘッドの第3参考例の製造方法の工程順に示すものであり、板材上にレジストを形成する工程を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第3参考例の製造方法の工程順に示すものであり、エッチングした状態を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第3参考例の製造方法の工程順に示すものであり、第1の部材を形成する工程を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第3参考例の製造方法の工程順に示すものであり、第1の部材上に振動板を配する工程を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第3参考例の製造方法の工程順に示すものであり、振動板を形成する材料を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第3参考例の製造方法の工程順に示すものであり、第1の部材と第2の部材間を接着する工程を示す要部概略断面図である。 第2参考例及び第3参考例のオリフィスプレートに使用可能な材料の一例を示す断面図である。 プリントヘッドの第2参考例の他の例を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第2参考例の他の例において圧力室の体積が減少している状態を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第3参考例の他の例を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第3参考例の他の例において第2の圧力室の体積が減少している状態を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第3参考例の他の例において第1の圧力室の体積が減少している状態を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第2参考例の他の例を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第2参考例の他の例を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第3参考例の他の例を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第3参考例の他の例を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第2参考例の製造方法の他の例を工程順に示すものであり、第1の部材と金属箔が形成された振動板を接着する工程を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第2参考例の製造方法の他の例を工程順に示すものであり、金属箔上にマスクを形成する工程を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第2参考例の製造方法の他の例を工程順に示すものであり、突起部を形成する工程を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第2参考例の製造方法の他の例を工程順に示すものであり、金属箔が形成された振動板と板材を接着する工程を示す断面図である。 プリントヘッドの第2参考例の製造方法の他の例を工程順に示すものであり、金属箔とステンレス部材上にマスクを形成する工程を示す断面図である。 プリントヘッドの第2参考例の製造方法の他の例を工程順に示すものであり、突起部と貫通孔を形成する工程を示す断面図である。 プリントヘッドの第2参考例の他の例を示す要部概略断面図である。 プリントヘッドの第3参考例の他の例を示す要部概略断面図である。 プリンタ装置の第2参考例及び第3参考例の他の例を示す要部概略斜視図である。 プリンタ装置の第2参考例及び第3参考例の他の例を示す要部概略斜視図である。 従来のプリントヘッドを示す要部概略断面図である。 従来のプリントヘッドを示す要部概略平面図である。

Claims (1)

  1. 圧力室と上記圧力室に液体を供給する液体供給路とを形成する圧力室形成部と、上記圧力室に連通する吐出ノズルと、上記圧力室を覆う振動板と、上記振動板を介して上記圧力室に対応して配置される圧電素子とを有するプリンタ装置の製造方法において、
    上記圧力室及び上記液体供給路の一部を形成する上記圧力室形成部を形成し、
    上記圧力室形成部の上記振動板が貼り合わされる一面とは反対側の他面にフィルム状部材を貼り合わせ、このフィルム状部材に上記吐出ノズルを形成し、
    接着性を有する熱可塑性層の一方の面上に、上記熱可塑性層上に上記圧力室及び液体供給路の周囲上を取り囲むようにU字状に形成したパターン層と上記圧電素子が取り付けられ、上記圧力室の幅方向の中央部と上記熱可塑性層を介して対向するように、かつ、長さが該圧力室の長さより短くなるように形成される突起部とが同時に形成された上記振動板を、上記圧力室形成部の上記一面に、上記パターン層の下側に上記圧力形成部が位置するように上記熱可塑性層の上記パターン層が形成されていない面を上記圧力室形成部に対向させ、プレス装置の第1及び第2のプレートによって挟むようにして該パターン層に圧力を集中させて印加して、上記パターン層が形成されている側から上記パターン層の下側の上記圧力室形成部に圧力が集中する領域が形成されるように上記熱可塑性層を上記圧力室形成部に加熱圧着し、上記圧力室形成部に貼り合わせ、
    上記振動板上に上記圧電素子を固着することを特徴とするプリンタ装置の製造方法。
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