JP3763175B2 - プリンタ装置の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はプリンタ装置の製造方法に関し、例えばオンデマンド型インクジェットプリンタ装置(以下、これを単にインクジェットプリンタ装置という。)や、オンデマンド型キャリアジェットプリンタ装置(以下、これを単にキャリアジェットプリンタ装置という。)に適用して好適なプリンタ装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のインクジェットプリンタ装置は、記録信号に応じてインク液滴をインク吐出孔から吐出して、紙やフィルムなどの記録媒体に画像を印画するプリンタ装置であり、小型化及び低コスト化を実現することができるため、近年急速に普及しつつある。
【0003】
このインクジェットプリンタ装置においては、インク液滴を吐出する方法として、例えば発熱素子を用いる方法及び圧電素子を用いる方法が一般的である。
【0004】
発熱素子を用いる方法は、発熱素子がインクを加熱沸騰させることにより発生する泡の圧力によって、インク吐出孔よりインク液滴を吐出させるものである。
【0005】
圧電素子を用いる方法は、圧電素子を変形させ、インクが充填されているインク圧力室に圧力を与えることにより、このインク圧力室に形成されたインク導入孔を通して、インク吐出孔からインク液滴を吐出させるものである。
【0006】
この圧電素子を用いる方法には、振動板に貼り合わされた3つ以上の圧電素子が積層されてなる積層型圧電素子を直線的に変位させることにより、振動板を介してインク圧力室を押圧する方法と、振動板に貼り合わされた単板型の圧電素子又は2層に積層された圧電素子に電圧を与えることにより、振動板を湾曲させてインク圧力室を押圧する方法とがある。
【0007】
振動板に貼り合わされた単板型の圧電素子又は2層に積層された圧電素子に電圧を与えることにより、振動板を湾曲させてインク圧力室を押圧する方法は、高価な積層型圧電素子を用いないので、製造コストを安価に抑えることができる。しかしながら、この場合、切断された単板型の圧電素子又は2層に積層された圧電素子を振動板に貼り合わせる際に微細ピッチの達成が困難であるとの問題点があった。また、印刷等の手段により、振動板上にペースト状の圧電材料を塗布し、これを燃成して圧電素子を得るようにした場合には、振動板の耐熱性を考慮すると、燃成温度を1000℃以上にすることが困難であり、圧電材料の特性を十分に発揮することができないとの問題点があった。
【0008】
さらに、振動板に圧電材料を貼り合わせた後に、この圧電材料を切断して圧電素子を得るようにした場合には、切断工具の摩耗や工作機械の位置精度誤差等により、常に一定の深さで圧電材料を切断することは非常に困難であり、振動板を傷つけてしまうという問題点を有していた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記問題点に鑑み、本出願人らは、特願平7―193366号、特願平7―192201号、特願平7―190750号等において、単板あるいは2層に積層された圧電素子を用いる安価なインクジェットプリンターヘッドにおいて、プロセスの安定化および圧電材料の特性の発揮さらには微細ピッチに対応したインクジェットプリンターヘッドを提供してきた。
【0010】
しかしながら、これらの発明にて開示される圧電材料の分割方法は、振動板上に導電性接着剤などにより貼り合わされた圧電材料をダイシング装置を用いて分割する方法であり、図26に示すように、回転している刃物を固定状態としておき、被加工物である圧電素子をステージに載せた状態で1次元方向、すなわち、直線方向に移動させる方法である。したがって、加工形状は直線形状に限定され、結果的に分割された後の圧電素子の形状も各辺が直線を有した形状となるのが一般的であった。
【0011】
さらには、一回のステージの移動により、加工を行うことのできる箇所は、回転している刃物の枚数により決定されるので、同時に分割することのできる圧電素子の数は同時に駆動可能な刃物の数である数ヶに限定され、同時に数10ヶ以上の圧電素子を分割することはできなかった。
【0012】
さらには、ダイシングにより分割された圧電素子ごとの間隔は、ダイシング時の刃物の幅よりも数10μm程度広い間隔となるので、たとえ50μmの幅の刃物を用いた場合においても、間隔は70μm程度とするのが限界であった。また、ダイシングの刃物の幅を極力薄くすると、ダイシングの刃物の摩耗量も大きくなるため、実際には、刃物の幅は、100μm以上を選択せざるを得ないのが現状であり、結果的に、分割された後の圧電素子の間隔は、120μm以上となるように設計しなくてはならず、狭ピッチ化が望めない状況にあった。
【0013】
そこで本発明は、圧電素子の分割工程において、ダイシングに替わる分割方法を提案し、ダイシングを用いていた分割方法に比較して、加工時間を短縮することにより生産性を高めると共に、従来圧電素子の分割形状が直線形状を有する形状にほぼ限定されていたものを、より溶液の吐出形状に適した圧電素子の形状が得られるようにし、さらには、従来配置される圧電素子の間隔がダイシングの際に用いる刃物の幅に規定されていたものをより狭い間隔とすることにより、より狭いノズルピッチを得ることができるプリンタ装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るプリンタ装置の製造方法は、上述した目的を達成すべく提案されたものであって、上記圧電素子を、ダイヤモンド粒子が混合された固気2相噴流を上記振動板上の圧電材料上に吹き付けることにより、所定の形状に加工するものである。
【0015】
このプリンタ装置の製造方法によれば、形成される圧電素子の個数や形状はレジストの分布にのみ依存するので、多数の圧電素子を同時に形成することができ、加工時間の短縮による生産性の向上を図ることができるとともに、任意な形状の圧電素子を形成することができる。
【0016】
また、この方法によれば、隣接して形成される圧電素子間の間隔を容易に100μm以下の間にすることができ、ノズルの狭ピッチ化を図ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0018】
(第1の実施の形態)
本実施の形態においては、本発明をシリアル型のインクジェットプリンタ装置に適用した例について説明する。
【0019】
シリアル型のインクジェットプリンタ装置1(以下、プリンタ装置1と略称する。)は、図1に示すように、円筒形状をなすドラム2の外周の所定の位置に、このドラム2と平行となるように紙圧着コントローラ3が設けられている。そして、プリンタ装置1は、ドラム2と紙圧着コントローラ3とによって、被印刷物としてのプリント紙4を挟み込むことにより、このプリント紙4をドラム2に圧着固定するようになされている。
【0020】
また、プリンタ装置1は、ドラム2の外周から若干離間した位置に、送りねじ5が、ドラム2と平行となるように設けられており、この送りねじ5には、この送りねじ5に螺合する支持部材6を介して、インクジェットプリントヘッド7が取り付けられている。このインクジェットプリントヘッド7は、送りねじ5が回転することにより、送りねじ5に螺合する支持部材6とともに、図1中矢印Aで示すドラム2の軸方向に移動するようになされている。
【0021】
また、ドラム2は、第1のプーリ8、ベルト9及び第2のプーリ10を介して、モータ11に連係されており、モータ11の回転動に従って、図1中矢印Bで示す方向に回転する。
【0022】
そして、このプリンタ装置1は、図2に示すように、制御部20によって制御されている。制御部20は、信号処理制御回路21、ドライバ22、メモリ23、駆動制御部24及び補正回路25によって構成されている。信号処理制御回路21はCPU(Central Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Proccessor)より構成され、外部から入力信号S1として印字データ、操作部信号及び外部制御信号を受けると、印字データを印字順番に揃え、印字順番に揃えられた印字データを吐出信号とともに、ドライバ22を介してインクジェットプリントヘッド7に送出し、インクジェットプリントヘッド7を駆動制御する。
【0023】
この場合、印字順番は、インクジェットプリントヘッド7や印字部の構成によつて異なり、また印字データの入力順番との関係もあるので、必要に応じてラインバッファメモリ又は1画面メモリ構成でなるメモリ23に一旦記録しておき、適時メモリ23から読み出すようになされている。
【0024】
また、信号処理制御回路21は、入力信号S1をソフトウエアで処理するようになされており、処理した信号を制御信号として駆動制御部24に送出する。
【0025】
駆動制御部24は、信号処理制御回路21から送出される制御信号を受けると、モータ11及び送りねじ5を回転駆動するモータの駆動や同期を制御するとともに、インクジェットプリントヘッド7のクリーニング、プリント紙4の供給及び排出などを制御するようになされている。
【0026】
また信号処理制御回路21は、プリンタ装置1がマルチヘッド構成の場合、補正回路25によつてγ補正、カラーの場合の色補正及び各インクジェットプリントヘッド7のばらつき補正などを行う。この補正回路25には、予め決められた補正データがROM(read only memory)マップ型式で格納されており、信号処理制御回路21は外部条件、例えばインク吐出孔番号、温度及び入力信号などに応じて読み出すようになされている。
【0027】
なおプリンタ装置1がマルチヘッド構成で、インク吐出孔数が非常に多い場合には、インクジェットプリントヘッド7にIC(integrated circuit)を搭載して、インクジェットプリントヘッド7に接続する配線数を減らすようにしている。
【0028】
以上のように構成されるプリンタ装置1は、駆動制御部24が信号処理制御回路21から送出される制御信号を受けてモータを駆動させることにより、送りねじ5が回転する。そして、プリンタ装置1は、送りねじ5が回転すると、インクジェットプリントヘッド7が、インクを吐出しながら支持部材6とともにドラム2の軸方向に移動し、ドラム2に圧着されているプリント紙4に対して印字を行う。ここで、インクジェットプリントヘッド7がドラム2の軸方向に移動してプリント紙4に対して印画する印画方向には、同一方向の場合と往復方向の場合とがある。
【0029】
プリンタ装置1は、インクジェットプリントヘッド7がドラム2の軸方向に移動して、プリント紙4に対して1行分の印字を行うと、駆動制御部24の制御に基づいてモータ11が回転することにより、ドラム2が1行分だけ図1中矢印Bで示す方向に回転し、次の印字を行うようになされている。
【0030】
次に、インクジェットプリントヘッド7について説明する。
【0031】
インクジェットプリントヘッド7は、図3に示すように、板状をなすインク圧力室形成部材31の一方の主面31aに、振動板32が接着されているとともに、インク圧力室形成部材31の他方の主面31bに、板状をなすオリフィスプレート33が接着されている。そして、インクジェットプリントヘッド7は、2層構造の振動板32の一方の主面32aに、導電性接着剤34を介して圧電素子35が接合されている。さらに、オリフィスプレート33の、後述するインク吐出孔33aが開口される部位の周辺には、撥液処理膜42が形成されている。
【0032】
インク圧力室形成部材31は、厚さが約0.1mm程度のステンレス等の金属板により形成されている。そして、このインク圧力室形成部材31には、充填されるインクに所定の圧力をかけるインク圧力室31cと、このインク圧力室31cの一端側に連通し、インクをインク圧力室31cに供給するための通路となるインク流路31dと、インク圧力室31cの他端側に形成され、インク圧力室31cに充填されたインクをインク吐出孔33aに導く貫通孔となるインク導入孔31eと、インク流路31dにインクを配給するためのインクバッファタンク31fと、インク供給管36から供給されるインクをインクバッファタンク31f内に導くための接続孔31gとがそれぞれ形成されている。
【0033】
インク圧力室31cは、インク圧力室形成部材31の厚み方向における中央部付近からインク圧力室形成部材31の一方の主面31a側にかけて形成されている。インク導入孔31eは、インク圧力室31cの他端側に形成され、インク圧力室形成部材31の厚み方向における中央部付近からインク圧力室形成部材31の他方の主面31b側にかけて形成されている。
【0034】
インク流路31dは、インク導入孔31eと同様に、インク圧力室形成部材31の厚み方向における中央部付近からインク圧力室形成部材31の他方の主面31b側にかけて形成されている。そして、このインク流路31dは、後述する第1の部材31hにより、インク導入孔31eから隔てられている。また、インク流路31dは、第1の部材31h側の一部がインク圧力室31cの一端側に連通するように形成されている。
【0035】
インクバッファタンク31fも、インク導入孔31e及びインク流路31dと同様に、インク圧力室形成部材31の厚み方向における中央部付近からインク圧力室形成部材31の他方の主面31b側にかけて形成されている。ここで、インクバッファタンク31fは、図4に示すように、複数のインク流路31dと連通する直線状の1本の配管であり、各インク流路31dにインクを配給する機能を有している。
【0036】
接続孔31gは、インクバッファタンク31fに連通するように、インク圧力室形成部材31の厚み方向における中央部付近からインク圧力室形成部材31の一方の主面31a側にかけて形成されている。
【0037】
ここで、インク圧力室形成部材31には、インク圧力室31cの底面を構成するとともにインク圧力室形成部材31の他方の主面31bの一部を構成し、またインク導入孔31eの一方の側面及びインク流路31dの一方の側面にそれぞれ接して、インク導入孔31eとインク流路31dとを隔てる第1の部材31hと、インク流路31dの上面を構成するとともにインク圧力室形成部材31の一方の主面31aの一部を構成し、またインク圧力室31cの一方の側面及び接続孔31gの一方の側面にそれぞれ接して、インク圧力室31cと接続孔31gとを隔てる第2の部材31iと、インク圧力室31cの他方の側面及びインク導入孔31eの他方の側面にそれぞれ接するとともにインク圧力室形成部材31の一方の主面31a及び他方の主面31bの一部を構成する第3の部材31jと、インクバッファタンク31fの一方の側面及び接続孔31gの他方の側面にそれぞれ接するとともにインク圧力室形成部材31の一方の主面31a及び他方の主面31bの一部を構成する第4の部材31kが形成される。そして、これら第1乃至第4の部材31h,31i,31j,31kにより仕切られた空間が、それぞれインク圧力室31c、インク導入孔31e、インク流路31d、インクバッファタンク31f及び接続孔31gとして構成される。
【0038】
また、インク圧力室形成部材31の他方の主面31bには、インク導入孔31e、インク流路31d及びインクバッファタンク31fを覆うように、オリフィスプレート33が熱圧着によって接着されている。このオリフィスプレート33としては、耐熱性及び耐薬品性に優れたネオフレックス(三井東圧化学工業株式会社製)等が用いられ、厚さが略50μmでガラス転移点が250℃以下のものが用いられる。
【0039】
このオリフィスプレート33には、インク導入孔31eに連通し、インク圧力室31cからインク導入孔31eを介して供給されるインクを吐出するためのインク吐出孔33aが、断面形状が例えば所定径を有する円形状となるように形成されている。このように、オリフィスプレート33にインク吐出孔33aを形成することにより、インクに対する化学的な安定性を確保することができる。
【0040】
ここで圧電素子35は、図4に示すように、インク圧力室31cの形状に対応した形状に形成されている。そして、隣接して形成される圧電素子35間の間隔は、100μm以下に設定されている。
【0041】
また、上述したインク圧力室31cは、インク導入孔31eが形成される位置での幅C2が、インク圧力室31cの主たる幅C1より小となり、かつ、インク吐出孔33aのインク導入孔31e側の開口径A1より大となるように形成されている。より具体的には、インク圧力室31cの主たる幅C1を0.4mm〜0.6mmとした場合において、圧力室31cのインク導入孔31eが形成される位置での幅C2は、0.2mm程度とし、圧力室形成部材31の板厚の2倍程度とする。ここで、このインク圧力室31cのインク導入孔31eが形成される位置での幅C2は、圧力室形成部材31の板厚の2.5倍以下とすることが望ましい。
【0042】
インク吐出孔33aは、インク導入孔31eの略中央に連通するように形成する。そしてインク吐出孔33aは、その形状を、インクが吐出される方向に従って次第に細くなるようなテーパー形状とし、本実施の形態においては、インク吐出孔33aの開口部における断面形状を直径約35μmの円形とし、インク圧力室形成部材31側における断面形状を直径を約80μmの円形とする。従って、インク圧力室31cのインク導入孔31eが形成される位置での幅C2は、インク圧力室31cの主たる幅C1より小となり、かつ、インク吐出孔33aのインク導入孔31e側の開口径A1より大となる。
【0043】
他方、インク圧力室形成部材31の一方の主面31a側には、インク圧力室31cの開口部を閉塞するように2層構造よりなる振動板32が、接着剤を介して接着されている。なお、ここでインク圧力室31cの開口部とは、インク圧力室形成部材31の一方の主面31a側に開口する開口部をいう。
【0044】
この振動板32は、圧力室31c側に位置し、配列されたインク圧力室31cの全ての開口部を閉塞する第1の振動板32xと、振動板32上に形成された圧電素子35の形状に対応した形状とされる第2の振動板32yとの2層構造よりなる。
【0045】
この振動板32には、インク圧力室形成部材31の接続孔31gに対応した位置に貫通孔32bが穿設されている。この貫通孔32bには、図示しないインクタンクに接続されたインク供給管36が取り付けられている。従って、インクタンクから導入されるインクは、インク供給管36及びインクバッファタンク31fを介してインク流路31dに供給され、インク流路31dを通ってインク圧力室31cに充填されるようになされている。
【0046】
2層構造の振動板32のうち、第1の振動板32xとしては、オリフィスプレート33と同様に、耐熱性及び耐薬品性に優れたネオフレックス(三井東圧化学工業株式会社製)等が用いられ、厚さが略20μmでガラス転移点が250℃以下のものが用いられる。そして、2層構造の振動板32のうち、第2の振動板32yとしては、例えば、厚さが略15μm程度の銅板が用いられる。
【0047】
そして、第2の振動板32yの主面上に、導電性接着剤34を介して圧電素子35が接合されている。なお、本例においては、振動板32を第1の振動板32x吐第2の振動板32yとからなる2層構造とした例について説明するが、振動板32は単板からなるようにしてもよいし、3層以上の積層構造としてもよい。
【0048】
圧電素子35は、図5(A)に示すような状態で駆動電圧が印加されると、図5(B)中矢印Aで示す方向に変位して、振動板32を湾曲させてインク圧力室31cの体積を減少させ、これによってインク圧力室31c内の圧力を上昇させるようになされている。
【0049】
ここで、インクジェットプリントヘッド7の動作について説明する。
【0050】
まず、待機状態においては、インク圧力室31c内に充填されているインクは、図5(A)に示すように、表面張力との釣合によってインク吐出孔33aの先端近傍にメニスカスを形成し安定する。
【0051】
そして、インク吐出時においては、圧電素子35に駆動電圧を印可することにより、圧電素子35が図5(B)中矢印Aで示す方向に変位する。この圧電素子35の変位に伴い、振動板32が図5(B)中矢印Aで示す方向に変位する。この振動板32の変位により、インク圧力室31cの体積が減少してインク圧力室31c内の圧力が上昇し、この結果、インク吐出孔33aからインクが吐出される。ここで圧電素子35に与えられている駆動電圧の時間変化は、インク吐出孔33aから目的とする量のインクを吐出し得るように設定されている。
【0052】
次に、インクジェットプリントヘッド7の製造方法について、図6、図7、図8、図9を参照しながら説明する。先ず、図6(A)に示すように、厚さが約0.1mm程度のステンレス等の金属部材38の一方の主面38aに、例えば感光性ドライフィルムや液体レジスト材料などのレジストを塗布した後、インク圧力室31c及び接続孔31gに応じたパターンを有するマスク39を用いてパターン露光を行うとともに、金属部材38の他方の主面38bに、例えば感光性ドライフィルムや液体レジスト材料などのレジストを塗布した後、インク導入孔31e、インク流路31d及びインクバッファタンク31fに応じたパターンを有するマスク40を用いてパターン露光を行う。
【0053】
次に、図6(B)に示すように、インク圧力室31c及び接続孔31gに応じたパターンを有するレジスト39と、インク導入孔31e、インク流路31d及びインクバッファタンク31fに応じたパターンを有するレジスト40とをマスクとして、金属部材38を、例えば塩化第2鉄水溶液でなるエッチング溶液に所定時間浸してエッチングを行うことにより、金属部材38の一方の主面38aにインク圧力室31c及び接続孔31gを形成するともに、金属部材38の他方の主面38bに、インク導入孔31e、インク流路31d及びインクバッファタンク31fを形成する。これにより、上述したインク圧力室形成部材31が得られる。
【0054】
この場合、金属部材38の一方の主面38a及び他方の主面38bからのエッチング量は、ともに金属部材38の厚さの約1/2強となるように設定する。本実施の形態においては、金属部材38の厚さが0.1mmに設定されているので、金属部材38の片面からのエッチング量は、約0.055mm程度となるように設定する。エッチング量をこのように設定することにより、インク圧力室31c、接続孔31g、インク導入孔31e、インク流路31d及びインクバッファタンク31fの寸法精度を向上させることができるとともに、これらを安定して形成することができる。
【0055】
また、金属部材38の一方の主面38aからのエッチング量と他方の主面38bからのエッチング量とが同じなので、金属部材38の一方の主面38aにインク圧力室31c及び接続孔31gを形成する際のエッチングの条件と、金属部材38の他方の主面38bにインク導入孔31e、インク流路31d及びインクバッファタンク31fを形成する際のエッチングの条件をほぼ同じ条件に設定することができ、このエッチング工程を簡易かつ短時間に行うことかできる。
【0056】
ここでインク導入孔31eは、その幅が、インク圧力室31cに圧力が印加された際に、インク圧力室31c内の圧力上昇に影響がない程度にインク吐出孔33aの径より大となるように形成される。また、インク圧力室31cのインク導入孔31e形成位置における幅とほぼ等しくなり、インク圧力室31cの主たる幅より小となるように形成されている。ここで、インク導入孔31eの幅は、板厚の2.5倍以下とすることが望ましい。また、インク導入孔31eの幅は、板厚と同程度とすると、作製工程上形状誤差を発生しやすいので、板厚の1倍以上であることが作製工程上望ましい。本実施の形態においては、インク導入孔31eの幅は、0.2mm程度とし、板厚の2倍程度としている。
【0057】
次に、図6(C)に示すように、レジスト39及び40を除去する。この場合、レジスト39,40としてドライフィルムレジストを用いた場合には、除去剤として、例えば5%以下の水酸化ナトリウム水溶液を用い、レジスト39,40として液状レジスト材料を用いた場合には、除去剤として、例えば専用アルカリ溶液を用いる。そして、レジスト39及び40を除去した後、厚さが約50μmでガラス転移点が250℃以下のネオフレックス(三井東圧化学工業株式会社製)等の樹脂材料41を、インク圧力室形成部材31の他方の主面31bに熱圧着によって接着する。この熱圧着は、230℃程度のプレス温度において20〜30kgf/cm2 程度の圧力を与えることにより行う。熱圧着の条件をこのように設定することにより、インク圧力室形成部材31と樹脂材料41との接着強度を高めることができるとともに、両者の接着を効率良く行うことができる。
【0058】
またこの場合、樹脂材料41には、インク吐出孔33aが形成されていないので、インク圧力室形成部材31に樹脂材料41を接着する工程においては、高精度な位置合わせ精度を必要としない分、接着工程を簡易に行うことができる。さらに接着剤を用いずに、インク圧力室形成部材31に樹脂材料41を接着しているので、接着剤がインク流路31dを塞いでしまうような不都合も回避できる。
【0059】
次に、図6(D)に示すように、樹脂材料41におけるインク圧力室形成部材31と対向する面に、撥液処理膜42を形成する。撥液処理膜42としては、インクをはじき、インク吐出孔周辺にインク付着残りを生じさせず、かつ、エキシマレーザによりインク吐出孔33aを形成した場合において、バリ及び剥がれ等を発生しない材料を用いることが望ましく、例えば、ポリイミド材料中にフッ素系を分散させたも(例えば、変性FEP材料;商品名:958−207(DuPont社製))、あるいは、ポリイミド系材料のうち吸水率が0.4%以下の材料(例えば、ポリイミド系オーバーコートインク;商品名:ユピコートFS−100L、FP−100(宇部興産株式会社製))、さらには、撥液性のポリベンゾイミダゾール(例えば、塗布型ポリベンゾイミダゾール材料:商品名:NPBI(ヘキスト社製))等を用いる。
【0060】
次に、図6(E)に示すように、インク圧力室形成部材31の一方の主面31a側からインク圧力室31c及びインク導入孔31eを介して樹脂材料41に対してエキシマレーザを垂直に照射して、樹脂材料41及び撥液処理膜42にインク吐出孔33aを形成する。これにより、上述したオリフィスプレート33が得られる。ここで、オリフィスプレート33の素材として、樹脂材料41を用いているので、インク吐出孔33aを容易に形成することができる。また、撥液処理膜42においてもエキシマレーザ加工性に優れた材料を選定しているので、インク吐出孔33aの形成が容易となる。さらに、インク導入孔31eは、インク吐出孔33aの径より大とされているので、レーザ加工時の樹脂材料41とインク圧力室形成部材31との位置合わせ精度を緩和することができるとともに、レーザ加工時にインク圧力室形成部材31によってレーザが遮蔽される危険性を回避することができる。
【0061】
次に、図7(A)に示すように、2層構造からなる振動板32の第2の振動板32yの主面上に、導電性接着剤34を介して厚さが略30μmの圧電材料43を接着する。この場合、導電性接着剤34の厚さが極力薄くなるように、20〜30kgf/cm2 程度の圧力をもって接着することが好ましい。これにより圧電材料43と振動板32との接続の電気抵抗値を安定させるとともに、強度的にも安定した接着を行うことが可能となる。
【0062】
ここで圧電材料43の両面には、電気接続のため、予めスパッタリング等の薄膜形成方法により、厚さ約0.2μm程度の銅―ニッケル合金等の導電膜を形成しておく。また、導電性接着剤34としては、例えば、室温にて硬化するエポキシ系接着剤にカーボン粒子等の導電材料を混入したものを用いる。
【0063】
次に、図7(B)に示すように、圧電材料43上に、インク圧力室31cの形状に対応したレジスト材料201を形成する。このレジスト材料201には、例えば、商品名:BF−405、BF−403(東京応化製)等のサンドブラスト用レジストあるいは、パウダービームエッチング用レジストを用いることが可能である。そして、これらレジスト材料を用いることにより、最小線幅で50μm程度の解像度が得られる。
【0064】
次に、図7(C)に示すように、サンドブラスト加工装置あるいは、パウダービームエッチング装置を用いて、5〜30μm 程度の大きさを有するダイヤモンド粒子が混合された固気2相噴流をレジスト材料201が形成された圧電材料43上に吹き付けることにより、圧電材料43をレジスト材料201の形状に対応させた形状に加工し、圧電素子35を形成する。ここで、5〜30μm 程度の大きさを有する微細なダイヤモンド粒子を用いていることにより、圧電素子35となる圧電材料43と第2の振動板32yを構成する銅材料との加工速度の比率(選択比)として8〜9程度の値を得ることができる。すなわち、圧電材料の加工速度は、銅材料と比較して、8〜9倍程度早い。そのため、図7(C)に示した圧電素子35の形成工程において、その加工領域を第2の振動板32yを構成する銅材料中にとどめることが容易となる。
【0065】
次に、圧電素子35が形成された振動板32を塩化第2鉄水溶液中に浸し、あるいは、圧電素子35が形成された振動板32に塩化第2鉄水溶液をシャワー状に吹き付けることにより、圧電素子35の形成されない部分の第2の振動板32yを除去する。この除去工程において、第1の振動板32xは、ポリイミド材料または、チタン材料よりなり、第2の振動板32yのエッチング溶液である塩化第2鉄水溶液には侵されることがないので、図7(D)に示すように、第2の振動板32yのみが除去されることとなる。
【0066】
次に、図7(E)に示すように、圧電素子35上に存在するレジスト材料201を専用除去溶液等を用いて除去する。
【0067】
なお、以上は、圧電素子35を形成する際に用いたレジスト材料201をマスクとして、第2の振動板32yを除去する例について説明したが、図8(A)に示すように、第2の振動板32yの除去工程の前にレジスト201を除去し、その後、図8(B)に示すように、圧電素子35をマスクとして第2の振動板の除去を行うようにしてもよい。
【0068】
レジスト材料201をマスクとして第2の振動板32yを除去するようにした場合には、圧電素子35の両面に形成されている電極材料の保護をする点で適しており、また、レジスト材料201を除去した後に圧電素子35をマスクとして第2の振動板32yを除去するようにした場合には、第2の振動板32yのエッチング溶液である塩化第2鉄水溶液がより狭い溝の内部まで、早く浸透することにより、エッチング精度の向上を図ることができる。
【0069】
なお、本例においては、振動板32を第1及び第2の振動板32x,32yとからなる2層構造とし、第2の振動板32yを除去する例について説明したが、振動板32を3層以上の多層構造とした場合には、圧電素子35側の少なくとも1層以上をエッチング除去するようにする。
【0070】
次に、図9(A)に示すように、オリフィスプレート33が接合された圧力室形成部材31と圧電素子35が形成された振動板32とを接着する。ここで、接着剤としては、エポキシ系の接着剤を用いることが可能である。また、第1の振動板32xの材質として、ネオフレックスよりなるポリイミド材料を使用した場合においては、その材料の有する接着性を用いて、220〜230℃の温度において、20〜30kgf/cm2 程度のホットプレス工程を用いることにより、接着剤を用いることなく接着を行うことが可能となり、耐薬品性能の向上が容易になされる。
【0071】
また、第1の振動板32xの材質として、チタン材料を用いた場合においては、プリンタのアクチュエーターとして動作させた場合においてその共振周波数を高めることが可能であり、吐出されるインクの速度を早めることができる。
【0072】
次に、図9(B)に示すように、例えばエポキシ系の接着剤を用いて、インク供給管36を振動板32上の貫通孔32bが形成された位置に接着する。かくしてインクジェットプリントヘッド15が得られる。
【0073】
以上のようにしてインクジェットプリントヘッド15を製造するようにすれば、従来、直線を有する形状とならざるを得なかった圧電素子35の形状を、直線形状に限定することのない任意な形状とすることが可能となる。また、隣接して形成される圧電素子35の間隔も容易に100μm以下にすることができる。これにより、プリンタ装置のノズルピッチを縮小することができる。
【0074】
さらには、従来の製造方法では、圧電素子35を形成する際に、刃物の摩耗を考慮した設計を行わなければならなかったが、本例のプリンタ装置の製造方法においては、刃物の摩耗等を考慮する必要がなく、よりインク吐出性能を重視した設計を実現できる。
【0075】
さらにまた、本例のプリンタ装置の製造方法によれば、振動板32上に貼り合わされた圧電材料43のほぼ全面を同時にを分割加工することが可能となるので、加工時間を大幅に短縮することができる。
【0076】
(第2の実施の形態)
本実施の形態においては、本発明をシリアル型の「キャリアジェット」プリンタ装置に適用した例について説明する。
【0077】
シリアル型の「キャリアジェット」プリンタ装置50(以下、プリンタ装置50と略称する。)は、図10に示すように、円筒形状をなすドラム51の外周の所定の位置に、このドラム51と平行となるように紙圧着コントローラ52が設けられている。そして、このプリンタ装置50は、ドラム51と紙圧着コントローラ52とによって、被印刷物としてのプリント紙53を挟み込むことにより、このプリント紙53をドラム51に圧着固定するようになされている。
【0078】
また、このプリンタ装置50は、ドラム51の外周から若干離間した位置に、送りねじ54が、ドラム51と平行となるように設けられており、この送りねじ54には、この送りねじに螺合する支持部材55を介して、「キャリアジェット」プリントヘツド56が取り付けられている。この「キャリアジェット」プリントヘツド56は、送りねじ54が回転することにより、送りねじ54に螺合する支持部材55とともに、図10中矢印Aで示すドラム51の軸方向に移動するようになされている。
【0079】
また、ドラム51は、第1のプーリ57、ベルト58及び第2のプーリ59を介してモータ60に連係されており、モータ60の回転動に従って、図10中矢印Bで示す方向に回転する。
【0080】
そして、このプリンタ装置50は、図11に示すように、制御部61によって制御されている。この制御部61において、信号処理制御回路21、メモリ23、制御駆動部24、補正回路25は、それぞれ第1の実施の形態に係るプリンタ装置1の制御部20における信号処理制御回路21、メモリ23、制御駆動部24、補正回路25と同一であるので、これらの構成については詳細な説明を省略する。
【0081】
本実施の形態に係るプリンタ装置50の制御部61は、インク吐出用の第1のドライバ62及び希釈液吐出用の第2のドライバ63を有している。実際上、これら第1のドライバ62及び第2のドライバ63は、それぞれインク吐出孔及び希釈液吐出孔の数に応じて設けられている。第1のドライバ62は、後述するように、インク吐出孔からインクを吐出させるために設けられた第1のピエゾ素子(定量側)を駆動制御するものであり、第2のドライバ63は希釈液吐出孔から希釈液を吐出させるために設けられた第2のピエゾ素子(吐出側)を駆動制御するものである。
【0082】
これら各第1のドライバ62及び第2のドライバ63は、図12に示すように、それぞれ信号処理制御回路21内に設けられたシリアルパラレル変換回路64及びタイミング制御回路65の制御に基づいて、対応する第1のピエゾ素子及び第2のピエゾ素子を駆動制御する。
【0083】
すなわち、シリアルパラレル変換回路64はデジタル中間調データD1を各第1のドライバ62及び第2のドライバ63に送出する。
【0084】
タイミング制御回路65は、印字トリガ信号T1を受けると、所定のタイミングで各第1のドライバ62及び各第2のドライバ63にそれぞれタイミング信号を送出する。この印字トリガ信号T1は、印字タイミングになったとき、タイミング制御回路65に送出される。
【0085】
各第1及び第2のドライバ62及び63は、それぞれタイミング制御回路65からのタイミング信号に応じたタイミングで、シリアルパラレル変換回路64からのデータに応じた駆動信号(駆動電圧)をそれぞれ対応する第1のピエゾ素子及び第2のピエゾ素子に送出する。ここでタイミング制御回路65は、第1のピエゾ素子及び第2のピエゾ素子(この場合、第1のピエゾ素子及び第2のピエゾ素子は一対となっているインク吐出孔及び希釈液吐出孔にそれぞれ対応するものである)に印加される駆動電圧のタイミングが、例えば図13に示すようなタイミングになるように、それぞれ第1及び第2のドライバ62及び63にタイミング信号を送出する。
【0086】
この例の場合、吐出周期は1msec(周波数1kHz )であり、この間にインクの定量混合と液滴の吐出が行われる。またシリアルパラレル変換回路64から与えられたデイジタル中間調データD1が、所定のしきい値以下の場合には、インク定量及び吐出は行わない。
【0087】
次に、「キャリアジェット」プリントヘッド56について説明する。
【0088】
「キャリアジェット」プリントヘッド56は、図14に示すように、板状をなす圧力室形成部材71の一方の主面71aに、振動板72が接着されているとともに、圧力室形成部材71の他方の主面71bに、板状をなすオリフィスプレート73が接着されている。そして、「キャリアジェット」プリントヘッド56は、振動板72の一方の主面72aに、導伝性接着剤74を介して、第1の圧電素子76(上述の第1のピエゾ素子に相当)及び第2の圧電素子77(上述の第2のピエゾ素子に相当)がそれぞれ接合されている。さらに、オリフィスプレート73の、後述するインク吐出孔73aが開口される部位及び希釈液吐出孔73bが開口される部位の周辺には、撥液処理膜67が形成されている。
【0089】
圧力室形成部材71は、厚さが約0.1mm程度のステンレス等の金属板により形成されている。そして、この圧力室形成部材71には、充填されるインクに所定の圧力をかけるインク圧力室71cと、このインク圧力室71cの一端側に連通し、インクをインク圧力室71cに供給するための通路となるインク流路71dと、インク圧力室71cの他端側に形成され、インク圧力室71cに充填されたインクをインク吐出孔73aに導く貫通孔となるインク導入孔71eと、インク流路71dにインクを配給するためのインクバッファタンク71fと、インク供給管78から供給されるインクをインクバッファタンク71f内に導くための第1の接続孔71gとがそれぞれ形成されている。また、この圧力室形成部材71には、充填される希釈液に所定の圧力をかける希釈液圧力室71hと、この希釈液圧力室71hの一端側に連通し、希釈液を希釈液圧力室71hに供給するための通路となる希釈液流路71iと、希釈液圧力室71hの他端側に形成され、希釈液圧力室71hに充填された希釈液を希釈液吐出孔73bに導く貫通孔となる希釈液導入孔71jと、希釈液流路71iに希釈液を配給するための希釈液バッファタンク71kと、希釈液供給管79から供給される希釈液を希釈液バッファタンク71k内に導くための第2の接続孔71lとがそれぞれ形成されている。
【0090】
インク圧力室71cは、圧力室形成部材71の厚み方向における中央部付近から圧力室形成部材71の一方の主面71a側にかけて形成されている。インク導入孔71eは、インク圧力室71cの他端側に形成され、圧力室形成部材71の厚み方向における中央部付近から圧力室形成部材71の他方の主面71bにかけて形成されている。
【0091】
インク流路71dは、インク導入孔71eと同様に、圧力室形成部材71の厚み方向における中央部付近から圧力室形成部材71の他方の主面71bにかけて形成されている。そして、このインク流路71dは、第1の部材71mにより、インク導入孔71eから隔てられている。また、インク流路71dは、第1の部材71m側の一部がインク圧力室71cの一端側に連通するように形成されている。
【0092】
インクバッファタンク71fも、インク導入孔71e及びインク流路71dと同様に、圧力室形成部材71の厚み方向における中央部付近から圧力室形成部材71の他方の主面71b側にかけて形成されている。ここで、インクバッファタンク71fは、図15に示すように、複数のインク流路71dと連通する直線状の1本の配管であり、各インク流路71dにインクを配給する機能を有している。
【0093】
第1の接続孔71gは、インクバッファタンク71fに連通するように、圧力室形成部材71の厚み方向における中央部付近から圧力室形成部材71の一方の主面71a側にかけて形成されている。
【0094】
ここで圧力室形成部材71には、インク圧力室71cの底面を構成するとともに、圧力室形成部材71の他方の主面71bの一部を構成し、また、インク導入孔71eの一方の側面及びインク流路71dの一方の側面にそれぞれ接して、インク導入孔71eとインク流路71dとを隔てる第1の部材71mと、インク流路71dの上面を構成するとともに、圧力室形成部材71の一方の主面71aの一部を構成し、また、インク圧力室71cの一方の側面及び第1の接続孔71gの一方の側面にそれぞれ接して、インク圧力室71cと第1の接続孔71gとを隔てる第2の部材71nと、インクバッファタンク71fの一方の側面及び第1の接続孔71gの他方の側面にそれぞれ接するとともに、圧力室形成部材71の一方の主面71a及び他方の主面71bの一部を構成する第3の部材71oとがそれぞれ形成される。そして、これら第1乃至第3の部材71m,71n,71oと、後述する第7の部材71sとによって仕切られた空間が、それぞれインク圧力室71c、インク導入孔71e、インク流路71d、インクバッファタンク71f及び第1の接続孔71gとして構成される。
【0095】
希釈液圧力室71hは、圧力室形成部材71の厚み方向における中央部付近から圧力室形成部材71の一方の主面71a側にかけて形成されている。希釈液導入孔71jは、希釈液圧力室71hの他端側に形成され、圧力室形成部材71の厚み方向における中央部付近から圧力室形成部材71の他方の主面71bにかけて形成されている。
【0096】
希釈液流路71iは、希釈液導入孔71jと同様に、圧力室形成部材71の厚み方向における中央部付近から圧力室形成部材71の他方の主面71bにかけて形成されている。そして、この希釈液流路71iは、後述する第4の部材71pにより、希釈液導入孔71jから隔てられている。また、希釈液流路71iは、第4の部材71p側の一部が希釈液圧力室71hの一端側に連通するように形成されている。
【0097】
希釈液バッファタンク71kも、希釈液導入孔71j及び希釈液流路71iと同様に、圧力室形成部材71の厚み方向における中央部付近から圧力室形成部材71の他方の主面71b側にかけて形成されている。ここで、希釈液バッファタンク71kは、インクバッファタンク71fと同様に、図15に示すように、複数の希釈液流路71iと連通する直線状の1本の配管であり、各希釈液流路71iにインクを配給する機能を有している。
【0098】
第2の接続孔71lは、希釈液バッファタンク71kに連通するように、圧力室形成部材71の厚み方向における中央部付近から圧力室形成部材71の一方の主面71a側にかけて形成されている。
【0099】
ここで圧力室形成部材71には、希釈液圧力室71hの底面を構成するとともに、圧力室形成部材71の他方の主面71bの一部を構成し、また、希釈液導入孔71jの一方の側面及び希釈液流路71iの一方の側面にそれぞれ接して、希釈液導入孔71jと希釈液流路71iとを隔てる第4の部材71pと、希釈液流路71iの上面を構成するとともに、圧力室形成部材71の一方の主面71aの一部を構成し、また、希釈液圧力室71hの一方の側面及び第2の接続孔71lの一方の側面にそれぞれ接して、希釈液圧力室71hと第2の接続孔71lとを隔てる第5の部材71qと、希釈液バッファタンク71kの一方の側面及び第2の接続孔71lの他方の側面にそれぞれ接するとともに、圧力室形成部材71の一方の主面71a及び他方の主面71bの一部を構成する第6の部材71rとがそれぞれ形成される。
【0100】
また、圧力室形成部材71には、インク圧力室71cの他方の側面、インク導入孔71eの他方の側面、希釈液圧力室71hの他方の側面及び希釈液導入孔71jの他方の側面に囲まれ、圧力室形成部材71の一方の主面71a及び他方の主面71bの一部を形成する第7の部材71sが形成されている。
【0101】
そして、これら第4乃至第7の部材71p,71q,71r,71sにより仕切られた空間が、それぞれ希釈液圧力室71h、希釈液導入孔71j、希釈液流路71i、希釈液バッファタンク71k及び第2の接続孔71lとして構成される。
【0102】
圧力室形成部材71の他方の主面71bには、インク導入孔71e、インク流路71d、インクバッファタンク71f、希釈液導入孔71j、希釈液流路71i及び希釈液バッファタンク7Ikを覆うように、オリフィスプレート73が熱圧着によつて接着されている。このオリフィスプレート73としては、厚さが略50μmでガラス転移点が250℃以下のネオフレックス(三井東圧科学工業株式会社製)等が用いられる。
【0103】
このオリフィスプレート73には、インク導入孔71eに連通し、インク圧力室71cからインク導入孔71eを介して供給されるインクを吐出するための所定径を有するインク吐出孔73aが、後述する希釈液吐出孔73b側に向くように斜めに形成されている。またオリフィスプレート73には、希釈液導入孔71jに連通し、希釈液圧力室71hから希釈液導入孔71jを介して供給される希釈液を吐出するための希釈液吐出孔73bが、断面形状が例えば所定径を有する円形状となるように形成されている。このように、オリフィスプレート73にインク吐出孔73a及び希釈液吐出孔73bを形成することにより、インク及び希釈液に対する化学的な安定性を確保することができる。
【0104】
ところで、上述した第1及び第2の圧電素子76,77は、図15に示すように、インク圧力室71c及び希釈液圧力室71hの形状に対応した形状に形成されている。また、隣接して形成される第1及び第2の圧電素子76,77間の間隔は、100μm以下とされている。
【0105】
また、インク圧力室71cは、インク導入孔71eが形成される位置での幅C4が、インク圧力室71cの主たる幅C3よりも小となり、かつ、インク吐出孔73aのインク導入孔71e側の開口径A2よりも大となるように形成されている。より具体的には、インク圧力室71cの主たる幅C3を0.4mm〜0.6mmとした場合において、インク圧力室71cのインク導入孔71eが形成される位置での幅C4は、0.2mm程度とし、圧力室形成部材71の板厚の約2倍程度とする。
【0106】
また、上述した希釈液圧力室71hは、希釈液導入孔71jが形成される位置での幅H2が、希釈液圧力室71hの主たる幅H1よりも小となり、かつ、希釈液吐出孔73bの希釈液導入孔71j側の開口径B1よりも大となるように形成されている。より具体的には、希釈液圧力室71hの主たる幅H1を0.4mm〜0.6mmとした場合において、希釈液圧力室71hの希釈液導入孔71jが形成される位置での幅H2は、0.2mm程度とし、圧力室形成部材71の板厚の約2倍程度とする。
【0107】
ここで、インク圧力室71cのインク導入孔71eが形成される位置での幅C4及び、希釈液圧力室71hの希釈液導入孔71jが形成される位置での幅H2は、それぞれ圧力室形成部材71の板厚の2.5倍以下とすることが望ましい。
【0108】
また、本実施の形態においては、希釈液吐出孔73bは、希釈液導入孔71jの略中央部に連通するように形成する。そして希釈液吐出孔73bは、その形状を、第1の実施の形態におけるインク吐出孔33aと同様に、希釈液が吐出される方向に従って次第に細くなるようなテーパー形状とし、希釈液吐出孔73bの開口部における断面形状を直径約35μmの円形とし、圧力室形成部材71側における断面形状を直径を約80μmの円形とする。従って、希釈液圧力室71hの希釈液導入孔71jが形成される位置での幅H2は、希釈液圧力室71hの主たる幅H1よりも小となるとともに、希釈液吐出孔73bの希釈液導入孔71j側の開口径B1より大となる。
【0109】
また、インク吐出孔73aは、斜めに形成されているために、断面形状が楕円となる。そして、本実施の形態においては、このインク吐出孔73aは、圧力室形成部材71側における断面形状を短軸方向の径が約80μmの楕円形とする。従って、インク圧力室71cの圧力室導入孔71eが形成される位置での幅C4は、インク圧力室71cの主たる幅C3よりも小となると共に、インク吐出孔73aのインク導入孔71e側の開口径A2よりも大となる。
【0110】
他方、圧力室形成部材71の一方の主面71a側には、インク圧力室71c及び希釈液圧力室71hの開口部を閉塞するように2層構造よりなる振動板72が、接着剤を介して接着されている。なお、ここでインク圧力室71c及び希釈液圧力室71hの開口部とは、圧力室形成部材71の一方の主面71a側に開口するインク圧力室71c及び希釈液圧力室71hの開口部をいう。
【0111】
この振動板72は、インク圧力室71c及び希釈液圧力室71h側に位置し、配列されたインク圧力室71c及び希釈液圧力室71hの全ての開口部を閉塞する第1の振動板72xと、振動板72上に形成された圧電素子75の形状に対応した形状とされる第2の振動板72yとの2層構造よりなる。
【0112】
この振動板72には、圧力室形成部材71の第1の接続孔71g及び第2の接続孔71lに対応した位置に、それぞれ第1の貫通孔72b及び第2の貫通孔72cが穿設されている。これら第1及び第2の貫通孔72b,72cには、それぞれ図示しないインクタンク及び希釈液タンクに接続されたインク供給管78及び希釈液供給管79が取り付けられている。従って、インクタンクから供給されるインクは、インク供給管78及びインクバッファタンク71fを介してインク流路71dに供給され、インク流路71dを通ってインク圧力室71cに充填され、希釈液タンクから供給される希釈液は、希釈液供給管79及び希釈液バッファタンク71kを介して希釈液流路71iに供給され、希釈液流路71iを通って希釈液圧力室71hに充填されるようになされている。
【0113】
2層構造の振動板72のうち、第1の振動板72xとしては、オリフィスプレート73と同様に、耐熱性及び耐薬品性に優れたネオフレックス(三井東圧化学工業株式会社製)等が用いられ、厚さが略20μmでガラス転移点が250℃以下のものが用いられる。そして、2層構造の振動板72のうち、第2の振動板72yとしては、例えば、厚さが略15μm程度の銅板が用いられる。
【0114】
そして、第2の振動板72yの主面上に、導伝性接着剤74を介して、第1の圧電素子76及び第2の圧電素子77がそれぞれ接合されている。なお、本例においては、振動板72を第1及び第2の振動板72x,72yとからなる2層構造とした例について説明したが、振動板72はこれに限定されるものではなく、単板で形成するようにしてもよいし、3層以上の多層構造としてもよい。
【0115】
第1の圧電素子76は、図16(A)に示すような状態で駆動電圧が印加されると、図16(B)中矢印Aで示す方向に変位して、振動板72を湾曲させてインク圧力室31cの体積を減少させ、これによってインク圧力室31c内の圧力を上昇させるようになされている。
【0116】
第2の圧電素子77は、図16(B)に示すような状態で駆動電圧が印加されると、図16(C)中矢印Bで示す方向に変位して、振動板72を湾曲させて希釈液圧力室31cの体積を減少させ、これによって希釈液圧力室31c内の圧力を上昇させるようになされている。
【0117】
ここで、「キャリアジェット」プリントヘッド56の動作について説明する。
【0118】
まず、待機状態においては、インク圧力室71c及び希釈液圧力室71h内に充填されているインク及び希釈液は、図16(A)に示すように、表面張力との釣合によってインク吐出孔73a及び希釈液吐出孔73bの先端近傍にメニスカスを形成し安定する。
【0119】
そして、インク定量時においては、第1の圧電素子76に駆動電圧を印可することにより、第1の圧電素子76が図16(B)中矢印Aで示す方向に変位する。この第1の圧電素子76の変位に伴い、振動板72が図16(B)中矢印Aで示す方向に変位する。この振動板72の変位により、インク圧力室71cの体積が減少してインク圧力室71c内の圧力が上昇する。
【0120】
この場合、第1の圧電素子76に与えられている駆動電圧の時間変化は、インク吐出孔73aからインクが飛翔しないように穏やかに設定されているので、インクはインク吐出孔73aから飛翔せずに押し出された状態となる。ここで、第1の圧電素子76に駆動電圧を印可するときの電圧値は画像データの階調に応じた値に設定されているので、インク吐出孔73aの先端から押し出されるインク量は画像データに応じた量となる。そして、このインク吐出孔73aから押し出された状態にあるインクは、希釈液吐出孔73bの先端部3b近傍においてメニスカスを形成している希釈液と接触して混合される。
【0121】
インク吐出時においては、第2の圧電素子77に駆動電圧を印加することにより、第2の圧電素子77が図16(C)中矢印Bで示す方向に変位する。この第2の圧電素子77の変位に伴い、振動板72が図16(C)中矢印Bで示す方向に変位する。この振動板72の変位により、希釈液圧力室71hの体積が減少して希釈液圧力室71h内の圧力が上昇し、この結果希釈液吐出孔73bから画像データに応じたインク濃度を有する混合溶液が吐出される。ここで第2の圧電素子77に与えられている駆動電圧の時間変化は、希釈液吐出孔73bから混合溶液が吐出し得るように設定される。
【0122】
次に、「キャリアジェット」プリントヘッド56の製造方法について図17、図18、図19、図20を参照しながら説明する。
【0123】
先ず、図17(A)に示すように、厚さが約0.1mm程度のステンレス等の金属部材82の一方の主面82aに、例えば感光性ドライフィルムや液体レジスト材料などのレジスト83を塗布した後、インク圧力室71c、第1の接続孔71g、希釈液圧力室71h及び第2の接続孔71lに応じたパターンを有するマスクを用いてパターン露光を行うとともに、金属部材82の他方の主面82bに、例えば感光性ドライフィルムや液体レジスト材料などのレジスト84を塗布した後、インク導入孔71e、インク流路71d、インクバッファタンク71f、希釈液導入孔71j、希釈液流路71i及び希釈液バッファタンク71kに応じたパターンを有するマスクを用いてパターン露光を行う。
【0124】
次に、図17(B)に示すように、インク圧力室71c、第1の接続孔71g、希釈液圧力室71h及び第2の接続孔71lに応じたパターンを有するレジスト83と、インク導入孔71e、インク流路71d、インクバッファタンク71f、希釈液導入孔71j、希釈液流路71i及び希釈液バッファタンク71kに応じたパターンを有するレジスト84とをマスクとして、金属部材82を、例えば塩化第2鉄水溶液でなるエッチング溶液に所定時間浸してエッチングを行うことにより、金属部材82の一方の主面82aにインク圧力室71c、第1の接続孔71g、希釈液圧力室71h及び第2の接続孔71lを形成する。また金属部材82の他方の主面82bには、インク導入孔71e、インク流路71d、インクバッファタンク71f、希釈液導入孔71j、希釈液流路71i及び希釈液バッファタンク71kを形成する。これにより、上述した圧力室形成部材71が得られる。
【0125】
この場合、金属部材82の一方の主面82a及び他方の主面82bからのエッチング量は、ともに金属部材82の厚さの約1/2強となるように設定する。本実施の形態においては、金属部材82の厚さが0.1mmに設定されているので、金属部材82の片面からのエッチング量は、約0.055mm程度となるように設定する。エッチング量をこのように設定することにより、インク圧力室71c、第1の接続孔71g、インク導入孔71e、インク流路71d、インクバッファタンク71f、希釈液圧力室71h、第2の接続孔71l、希釈液導入孔71j、希釈液流路71i及び希釈液バッファタンク71kの寸法精度を向上し得るとともに、これらを安定して形成することができる。
【0126】
また、金属部材82の一方の主面82aかっらのエッチング量と他方の主面82bからのエッチング量とが同じなので、金属部材82の一方の主面82aにインク圧力室71c、第1の接続孔71g、希釈液圧力室71h及び第2の接続孔71lを形成する際のエッチングの条件と、金属部材82の他方の主面82bにインク導入孔71e、インク流路71d、インクバッファタンク71f、希釈液導入孔71j、希釈液流路71i及び希釈液バッファタンク71kを形成する際のエッチングの条件をほぼ同じ条件に設定することができ、このエッチング工程を簡易かつ短時間に行うことができる。
【0127】
ここでインク導入孔71e及び希釈液導入孔71jは、それぞれの幅が、インク圧力室71c及び希釈液圧力室71hに圧力が印加された際に、インク圧力室71c及び希釈液圧力室71h内の圧力上昇に影響がない程度に、インク吐出孔73a及び希釈液吐出孔73bの径よりそれぞれ大となるように形成される。
【0128】
またインク導入孔71eは、その幅が、インク圧力室71cのインク導入孔71e形成位置における幅と略等しく、インク圧力室71cの主たる幅よりも狭くなるように形成される。そして、希釈液導入孔71jは、その幅が、希釈液圧力室71hの希釈液導入孔71j形成位置における幅と略等しく、希釈液圧力室71hの主たる幅よりも狭くなるように形成される。ここで、インク導入孔71e及び希釈液導入孔71jの幅は、板厚の2.5倍以下とすることが望ましい。
【0129】
また、インク導入孔71e及び希釈液導入孔71jの幅は、板厚と同程度とすると、作製工程上形状誤差を発生しやすいので、板厚の1倍以上であることが作製工程上望ましい。本実施の形態においては、インク導入孔71e及び希釈液導入孔71jの幅は、0.2mm程度とし、板厚の2倍程度としている。
【0130】
次に、図17(C)に示すように、レジスト83及び84を除去する。この場合、レジスト83,84としてドライフィルムレジストを用いた場合には、除去剤として、例えば5%以下の水酸化ナトリウム水溶液を用い、レジスト83,84として液状レジスト材料を用いた場合には、除去剤として、例えば専用アルカリ溶液を用いる。そして、レジスト83及び84を除去した後、厚さが約50μmでガラス転移点が250℃以下のネオフレックス(三井東圧化学工業株式会社製)等の樹脂材料85を、圧力室形成部材71の他方の主面71bに熱圧着によって接着する。この熱圧着は、230℃程度のプレス温度において20〜30kgf/cm2 程度の圧力を与えることにより行う。熱圧着の条件をこのように設定することにより、圧力室形成部材71と樹脂材料85との接着強度を高めることができるとともに、両者の接着を効率良く行うことができる。
【0131】
また、この場合、樹脂材料85には、インク吐出孔73a及び希釈液吐出孔73bが形成されていないので、圧力室形成部材71に樹脂材料85を接着する工程においては、高精度な位置合わせ精度を必要としない分、接着工程を簡易に行うことができる。さらに接着剤を用いずに、圧力室形成部材71に樹脂材料85を接着しているので、接着剤がインク流路71d及び希釈液流路71iを塞いでしまうような不都合も回避できる。
【0132】
次に、図17(D)に示すように、樹脂材料85における圧力室形成部材71と対向する面に、撥液処理膜67を形成する。撥液処理膜67としては、インクをはじき、インク吐出孔周辺にインク付着残りを生じさせず、かつ、エキシマレーザによりインク吐出孔73a,73bを形成した場合において、バリ及び剥がれ等を発生しない材料を用いることが望ましく、例えば、ポリイミド材料中にフッ素系を分散させたもの(例えば、変性FEP材料;958−207(DuPont社製))、あるいは、ポリイミド系材料のうち吸水率が0.4%以下の材料(例えば、ポリイミド系オーバーコートインク;ユピコートFS−100L、FP−100(宇部興産株式会社製))、さらには、撥液性のポリベンゾイミダゾール(例えば、塗布型ポリベンゾイミダゾール材料:NPBI(ヘキスト社製))等を用いる。
【0133】
次に、図17(E)に示すように、圧力室形成部材71の一方の主面71a側から希釈液圧力室71h及び希釈液導入孔71jを介して樹脂材料85に対してエキシマレーザを垂直に照射して、樹脂材料85に希釈液吐出孔73bを形成する。また圧力室形成部材71の一方の主面71a側からインク圧力室71c及びインク導入孔71eを介して樹脂材料85に対してエキシマレーザを希釈液吐出孔73b側に向けて斜めに照射して、樹脂材料85にインク吐出孔73aを形成する。これにより、上述したオリフィスプレート73が得られる。
【0134】
ここで、オリフィスプレート73の素材として、樹脂材料85を用いているので、インク吐出孔73a及び希釈液吐出孔73bを容易に形成することができる。また、撥液処理膜67においてもエキシマレーザ加工性に優れた材料を選定しているので、インク吐出孔73a及び希釈液吐出孔73bの形成が容易となる。さらに、インク導入孔71e及び希釈液導入孔71jは、それぞれインク吐出孔73a及び希釈液吐出孔73bの径より大とされているので、レーザ加工時の樹脂材料85と圧力室形成部材71との位置合わせ精度を緩和することができるとともに、レーザ加工時に圧力室形成部材71によってレーザが遮蔽される危険性を回避することができる。
【0135】
次に、図18(A)に示すように、2層構造からなる振動板72の第2の振動板72yの主面上に、導電性接着剤74を介して厚さが略30μmの圧電材料75を接着する。この場合、導電性接着剤74の厚さが極力薄くなるように、20〜30kgf/cm2 程度の圧力をもって接着することが好ましい。これにより圧電材料75と振動板72との接続の電気抵抗値を安定させるとともに、強度的にも安定した接着を行うことが可能となる。
【0136】
ここで圧電材料75の両面には、電気接続のため、予めスパッタリング等の薄膜形成方法により、厚さ約0.2μm程度の銅―ニッケル合金等の導電膜を形成しておく。また、導電性接着剤74としては、例えば、室温にて硬化するエポキシ系接着剤にカーボン粒子等の導電材料を混入したものを用いる。
【0137】
次に、図18(B)に示すように、圧電材料75上に、インク圧力室71c及び希釈液圧力室71hの形状に対応したレジスト材料202,203を形成する。このレジスト材料202,203には、例えば、商品名:BF−405、BF−403(東京応化製)等のサンドブラスト用レジストあるいは、パウダービームエッチング用レジストを用いることが可能である。そして、これらレジスト材料を用いることにより、最小線幅で50μm 程度の解像度が得られる。
【0138】
次に、図18(C)に示すように、サンドブラスト加工装置あるいは、パウダービームエッチング装置を用いて、5〜30μm 程度の大きさを有するダイヤモンド粒子が混合された固気2相噴流をレジスト材料202,203が形成された圧電材料75上に吹き付けることにより、圧電材料75をレジスト材料202,203の形状に対応させた形状に加工し、第1及び第2の圧電素子76,77を形成する。ここで、5〜30μm 程度の大きさを有する微細なダイヤモンド粒子を用いていることにより、第1及び第2の圧電素子76,77となる圧電材料75と第2の振動板72yを構成する銅材料との加工速度の比率(選択比)として8〜9程度の値を得ることができる。すなわち、圧電材料の加工速度は、銅材料と比較して、8〜9倍程度早い。そのため、図18(C)に示した第1及び第2の圧電素子76,77の形成工程において、その加工領域を第2の振動板72yを構成する銅材料中にとどめることが容易となる。
【0139】
次に、第1及び第2の圧電素子76,77が形成された振動板72を塩化第2鉄水溶液中に浸し、あるいは、第1及び第2の圧電素子76,77が形成された振動板72に塩化第2鉄水溶液をシャワー状に吹き付けることにより、第1及び第2の圧電素子76,77の形成されない部分の第2の振動板72yを除去する。この除去工程において、第1の振動板72xは、ポリイミド材料または、チタン材料よりなり、第2の振動板72yのエッチング溶液である塩化第2鉄水溶液には侵されることがないので、図18(D)に示すように、第2の振動板72yのみが除去されることとなる。
【0140】
次に、図18(E)に示すように、第1及び第2の圧電素子76,77上に存在するレジスト材料202,203を専用除去溶液等を用いて除去する。
【0141】
なお、以上は、第1及び第2の圧電素子76,77を形成する際に用いたレジスト材料202,203をマスクとして、第2の振動板72yを除去する例について説明したが、図19(A)に示すように、第2の振動板72yの除去工程の前にレジスト202,203を除去し、その後、図19(B)に示すように、第1及び第2の圧電素子76,77をマスクとして第2の振動板72yの除去を行うようにしてもよい。
【0142】
レジスト材料202,203をマスクとして第2の振動板72yを除去するようにした場合には、第1及び第2の圧電素子76、77の両面に形成されている電極材料の保護をする点で適しており、また、レジスト材料202、203を除去した後に第1及び第2の圧電素子76,77をマスクとして第2の振動板72yを除去するようにした場合には、第2の振動板72yのエッチング溶液である塩化第2鉄水溶液がより狭い溝の内部まで、早く浸透することにより、エッチング精度の向上を図ることができる。
【0143】
なお、本例においては、振動板72を第1及び第2の振動板72x,72yの2層構造からなる積層体にて形成し、第2の振動板72yをエッチング除去した例について説明したが、振動板72を3層以上の多層構造で形成した場合には、第1及び第2の圧電素子76,77側の少なくとも1層以上をエッチング除去するようにする。
【0144】
次に、図20(A)に示すように、オリフィスプレート73が接合された圧力室形成部材71と第1及び第2の圧電素子76,77が形成された振動板72とを接着する。ここで、接着剤としては、エポキシ系の接着剤を用いることが可能である。また、第1の振動板72xの材質として、ネオフレックスよりなるポリイミド材料を使用した場合においては、その材料の有する接着性を用いて、220〜230℃の温度において、20〜30kgf/cm2 程度のホットプレス工程を用いることにより、接着剤を用いることなく接着を行うことが可能となり、耐薬品性能の向上が容易になされる。
【0145】
また、第1の振動板72xの材質として、チタン材料を用いた場合においては、プリンタのアクチュエーターとして動作させた場合においてその共振周波数を高めることが可能であり、吐出されるインクの速度を早めることができる。
【0146】
次に、図20(B)に示すように、例えばエポキシ系の接着剤を用いて、インク供給管78を振動板72上の第1の貫通孔72bが形成された位置に接着するとともに、希釈液供給間79を振動板72条の第2の間通行72cが形成された位置に接着する。かくして「キャリアジェット」プリントヘッド56が得られる。
【0147】
以上のようにして「キャリアジェット」プリントヘッド56を製造するようにすれば、従来、直線を有する形状とならざるを得なかった第1及び第2の圧電素子76,77の形状を、直線形状に限定することのない任意の形状とすることが可能となる。また、隣接して形成される圧電素子76,77の間隔も容易に100μm以下にすることができる。これにより、プリンタ装置のノズルピッチを縮小することができる。
【0148】
さらには、従来の製造方法では、圧電素子76,77を形成する際に、刃物の摩耗を考慮した設計を行わなければならなかったが、本例のプリンタ装置の製造方法においては、刃物の摩耗等を考慮する必要がなく、よりインク吐出性能を重視した設計を実現できる。
【0149】
さらにまた、本例のプリンタ装置の製造方法によれば、振動板72上に貼り合わされた圧電材料75のほぼ全面を同時にを分割加工することが可能となるので、加工時間を大幅に短縮することができる。
【0150】
(他の実施の形態)
上述の第1実施の形態においては、オリフィスプレート33が接合された圧力室形成部材31に、圧電素子35が形成された振動板32を接着してインクジェットプリントヘッド7を製造する方法について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、図21に示すように、オリフィスプレート33が接合された圧力室形成部材31に振動板32を接着した後に、この振動板32上に圧電素子35を形成するようにしてもよい。
【0151】
すなわち、まず、図21(A)に示すように、オリフィスプレート33が接合された圧力室形成部材31の一方の主面31aに、2層構造よりなる振動板32と圧電材料43とをそれぞれ接着する。
【0152】
そして、図21(B)に示すように、圧電材料43上に、レジスト材料201を用いてパターンを形成する。
【0153】
次に、図21(C)に示すように、このレジスト材料201をマスクとして、パウダービームエッチングあるいは、サンドブラスト加工法により、レジスト材料201に対応した形状の圧電素子35を形成するとともに、塩化第2鉄水溶液を用いたエッチング工程により、第2の振動板32yの除去を行う。
【0154】
そして、図21(D)に示すように、所望の形状の圧電素子35及び第2の振動板32yが形成された後に、第1の振動板32x上の貫通孔32bが形成された位置に、インク供給管36を接着する。
【0155】
なお、この場合において、レジスト材料201の剥離工程は、第1の実施の形態と同様に、塩化第2鉄水溶液を用いた第2の振動板32yのエッチング工程の前であっても後であっても構わない。また、振動板32と圧力室形成部材31との接着方法、および振動板32と圧電素子35との接着方法も第1の実施の形態に示した方法と同様の方法を適用することができ、振動板32と圧力室形成部材31との接着工程、および振動板32と圧電素子35との接着工程は、どちらが先であっても構わない。
【0156】
以上のような方法によれば、圧電素子35の位置合わせ精度は、レジスト材料201のパターニング精度とすることができるので、より位置合わせ精度を高めることが可能となる。
【0157】
なお、この方法は、上述した第2の実施の形態において説明した「キャリアジェット」プリンタ装置50の製造方法においても適用することが可能であり、同様の効果を得ることができる。
【0158】
また、上述の第1の実施の形態においては、振動板32が圧力室形成部材31とほぼ同一の大きさを有し、振動板32にもインク供給管36との接続を図るための貫通孔32bが形成された例を示したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、図22に示すように、振動板32の大きさを圧力室形成部材31の大きさよりも小さくしても、インク圧力室31cを覆う以上の大きさであれば同様の効果を得ることができる。
【0159】
すなわち、インクジェットプリントヘッド7は、図22に示すように、圧力室形成部材31に設けられている接続孔31gの周囲には振動板32が存在していないようにしてもよい。このインクジェットプリントヘッド7においては、第1の実施の形態に係るインクジェットプリントヘッド7において振動板32に設けられていた貫通孔32bを形成する必要がないので、振動板32の孔開け工程を削除することが可能であると同時に、振動板32と圧力室形成部材31との接着面積を少なくすることが可能である。さらにまた、上述したように、振動板32と圧力室形成部材31とを接着した後に圧電素子35を形成する場合において、レジスト材料201の露光工程における位置合わせの基準を圧力室形成部材31に直接設けることが可能となるので、より、位置合わせ精度を向上させることが可能となる。
【0160】
なお、この方法は、上述した第2の実施の形態において説明した「キャリアジェット」プリンタ装置50の製造方法においても適用することが可能であり、同様の効果を得ることができる。
【0161】
また、上述した第1の実施の形態においては、ガラス転移点が250℃以下のネオフレックスからなるオリフィスプレート33を用いた例について説明したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、第1の実施の形態で適用したオリフィスプレート33の代わりに、図23に示すようなオリフィスプレート91を適用しても上述の第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0162】
このオリフイスプレート91は、厚さが約125μmで、ガラス転移点が250℃以上のカプトン(デユポン社製)からなる第1の樹脂材料92の一方の主面に、厚さが約7μmで、ガラス転移点が250℃以下のネオフレックスからなる第2の樹脂材料93が塗布されて構成されている。このオリフィスプレート91を適用した場合には、オリフィスプレート91にインク導入孔31eに連通したインク吐出孔33aが形成される。
【0163】
このオリフィスプレート91は、その厚さが、第1の実施の形態で適用したオリフィスプレート33の厚さより厚いので、オリフィスプレート33に比して一段と高い強度を確保することができるとともに、インク吐出孔33aの長さを長くすることができるので、吐出されるインク液滴の方向性を高めることができる。
【0164】
また、上述した第2の実施の形態においては、ガラス転移点が250℃以下のネオフレックスからなるオリフィスプレート73を用いた例について説明したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、第2の実施の形態に適用したオリフィスプレート73の代わりに、図20に示すオリフィスプレート91を適用しても上述の第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0165】
特に「キャリアジェット」プリントヘッド56においてオリフィスプレート91を用いた場合には、インク吐出孔73aの傾斜角度に余裕をもたせることができるとともに、インク圧力室71cと希釈液圧力室71hとの間隔を容易に拡げることができるので、インク漏れ及び希釈液漏れを確実に防止することができる。
【0166】
この場合、オリフィスプレート91にインク導入孔71e及び希釈液導入孔71jにそれぞれ連通したインク吐出孔73a及び希釈液吐出孔73bが形成される。
【0167】
また、上述した第1及び第2の実施の形態においては、シリアル型プリンタ装置1,50に本発明を適用した例について説明したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、図24に示すようなライン型プリンタ装置120及び図25に示すようなドラム回転型プリンタ装置130に適用することができる。なお、図24及び図25においては、図1に示すシリアル型プリンタ装置1と同一の構成については同一符号を付して示している。
【0168】
ライン型プリンタ装置120は、多数のプリントヘッドがライン状に配置されてなるラインヘッド121が、軸方向に沿って固定して設けられている。このライン型プリンタ装置120は、ラインヘッド121で1行分の印字が同時に行われ、印字が完了するとドラムを1行分だけ回転させて次の行の印字を行うようになされている。この場合、全ラインを一括して印字したり、複数ブロックに分割したり、1行おきに交互に印字する方法が考えられる。
【0169】
ドラム回転型プリンタ装置130は、ドラム2が回転するとその回転に同期してプリントヘッド6からインクが吐出され、プリント紙4上に画像が形成される。ドラム2が1回転してプリント紙4上に円周方向に1列の印刷が完了すると、送りねじ5が回転してプリントヘッド6を1ピッチ移動させ、次の印刷を行う。この場合、ドラム2と送りねじ5を同時に回転させ、印刷しながらプリントヘッド6を徐々に移動させるようにしてもよい。マルチインク吐出孔ヘッドの場合や、同じ場所を何度か印字するような構成の場合は、ドラム2と送りねじ5とを連動して同時に回転させながらスパイラル状の印字を行う。
【0170】
また、上述した第1及び第2の実施の形態においては、厚さ約0.1mmのステンレス等の金属部材38及び82を用いてインク圧力室形成部材31及び圧力室形成部材71をそれぞれ作製した例について説明したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、金属部材38及び82の厚さとしてこの他種々の数値を適用し得る。ここでインク圧力室形成部材31及び圧力室形成部材71における各室及び孔は、上述したようにエッチングによつて形成されるので、金属部材38及び82の厚さは0.07mm以上に設定することが望ましい。このように、金属部材38及び82の厚さを0.07mm以上に設定することにより、金属部材38,82に、インク圧力室31c、インク圧力室71c及び希釈液圧力室71h内の圧力を上昇させるのに十分な強度をもたせることができる。
【0171】
また、上述した第1及び第2の実施の形態においては、プレス温度が230℃程度において20〜30kgf/cm2 の圧力で、オリフィスプレート33及び73をそれぞれインク圧力室形成部材31及び圧力室形成部材71に熱圧着した例について説明したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、接着強度を得ることができる範囲内で、この他の種々の数値でオリフィスプレート33及び73をそれぞれインク圧力室形成部材31及び圧力室形成部材71に熱圧着するようにしてもよい。
【0172】
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、エキシマレーザを用いて、樹脂材料41にインク吐出孔33aを、樹脂材料85にインク吐出孔73a、希釈液吐出孔73bをそれぞれ形成する例について説明したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、炭酸ガスレーザ等の種々のレーザを用いて、インク吐出孔33a、インク吐出孔73a、希釈液吐出孔73bを形成するようにしてもよい。
【0173】
また、上述した第1及び第2の実施の形態においては、インクが充填され、所定の圧力が印加されるインク室として、インク圧力室31c及びインク圧力室71cを用いた例について説明したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、インク室として、この他種々のインク室を適用することができる。
【0174】
また、上述した第1及び第2の実施の形態においては、インク室の配列方向に対して斜めに形成され、インク供給源から供給されるインクをそれぞれ各インク室に供給するインク流路として、インク流路31d及びインク流路71dを用いた例について説明したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、インク流路として、この他種々のインク流路を適用することができる。
【0175】
また、上述した第1及び第2の実施の形態においては、各インク流路にそれぞれ圧力が印加された際、各インク室から供給されるインクを記録媒体に対してそれぞれ吐出するインク吐出穴として、インク吐出孔33a及び73aを用いた例について説明したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、インク吐出穴として、この他種々のインク吐出穴を適用することができる。
【0176】
また、上述した第2の実施の形態においては、吐出時にインクに混合される希釈液が充填され、所定の圧力が印加される複数の希釈液室として、希釈液圧力室71hを用いた例について説明したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、希釈液室として、この他種々の希釈液室を適用することができる。
【0177】
また、上述した第2の実施の形態においては、希釈液室の配列方向に対して斜めに形成され、希釈液供給源から供給される希釈液をそれぞれ各希釈液室に供給する希釈液流路として、希釈液流路71iを用いた例について説明したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、希釈液流路として、この他種々の希釈液流路を適用することができる。
【0178】
また、上述した第2の実施の形態においては、各希釈液流路にそれぞれ圧力が印加された際、各希釈液室から供給される希釈液を記録媒体に対してそれぞれ吐出する希釈液吐出穴として、希釈液吐出孔73bを用いた例について説明したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、希釈液吐出穴として、この他種々の希釈液吐出穴を適用し得る。
【0179】
また、上述した第1及び第2の実施の形態においては、各インク室及び各インク流路が孔加工されて形成された金属板として、インク圧力室形成部材31及び圧力室形成部材71を用いた例について説明したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、各インク室及び各インク流路が孔加工されて形成された金属板として、この他種々の金属板を適用することができる。
【0180】
また、上述した第1及び第2の実施の形態においては、インクを吐出するインク吐出孔が形成された板状の樹脂材として、オリフィスプレート33,73を用いた例について説明したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、インクを吐出するインク吐出孔が形成された板状の樹脂材として、この他種々の樹脂材を適用することができる。
【0181】
また、上述した第1及び第2の実施の形態においては、ガラス転移点が250℃以下の樹脂材として、厚さが約50μmでガラス転移点が250℃以下のネオフレックスからなるオリフィスプレート33,73を用いた例について説明したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、ガラス転移点が250℃以下の樹脂材であれば、この他種々の樹脂材を適用することができる。
【0182】
また、上述した実施の形態においては、ガラス転移点が250℃以上の第1の樹脂材料と、ガラス転移点が250℃以下の第2の樹脂材料とが積層されてなる樹脂材として、オリフィスプレート91を用いた例について説明したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、ガラス転移点が250℃以上の第1の樹脂材料と、ガラス転移点が250℃以下の第2の樹脂材料とが積層されてなる樹脂材として、この他種々の樹脂材を適用することができる。
【0183】
また、上述した第1及び第2の実施の形態においては、インク供給源から供給されるインクを配給するインク配給手段として、インクバッファタンク31f及びインクバッファタンク71fを用いた例について説明したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、インク配給手段として、この他種々のインク配給手段を適用することができる。
【0184】
また、上述した第2の実施の形態においては、希釈液供給源から供給され、吐出時にインクと混合される希釈液を配給する希釈液配給手段として、希釈液バッファタンク71kを用いた例について説明したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、希釈液配給手段として、この他種々の希釈液配給手段を適用することができる。
【0185】
【発明の効果】
本発明に係るプリンタ装置の製造方法は、圧電素子を、ダイヤモンド粒子が混合された固気2相噴流を上記振動板上の圧電材料上に吹き付けることにより、レジストの形成されない位置の圧電材料を除去して圧電素子を振動板上に形成するようにしているので、圧電素子の形状を、直線形状に限定することのない任意な形状とすることができる。
【0186】
また、このプリンタ装置の製造方法によれば、隣接して形成される圧電素子間の間隔も容易に100μm以下にすることができる。これにより、プリンタ装置のノズルピッチを縮小することができる。
【0187】
また、このプリンタ装置の製造方法によれば、圧電素子を形成する際に、刃物の摩耗等を考慮する必要がなく、よりインク吐出性能を重視した設計が可能となる。
【0188】
さらにまた、このプリンタ装置の製造方法によれば、振動板上に貼り合わされた圧電材料のほぼ全面を同時にを分割加工することが可能となるので、加工時間を大幅に短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るシリアル型インクジェットプリンタ装置の要部斜視図である。
【図2】同プリンタ装置の制御部の構成を示す構成説明図である。
【図3】同プリンタ装置のインクジェットプリントヘッドの縦断面図である。
【図4】同プリンタ装置のインクジェットプリントヘッドを模式的に示す平面図である。
【図5】同プリンタ装置のインクジェットプリントヘッドの動作を説明する図であり、(A)は、インク圧力室の体積が増加された状態を示す縦断面図であり、(B)は、インク圧力室の体積が減少された状態を示す縦断面図である。
【図6】同プリンタ装置のインクジェットプリントヘッドの製造工程を説明する図であり、(A)は、金属部材にレジストを形成した状態を示す縦断面図であり、(B)は、上記レジストをマスクとしてエッチングを行った状態を示す縦断面図であり、(C)は、上記レジストを除去した金属部材に樹脂材料を接着した状態を示す縦断面図であり、(D)は、上記樹脂材料に撥液処理膜を形成した状態を示す縦断面図であり、(E)は、上記樹脂材料及び撥液処理膜にインク吐出孔を形成した状態を示す縦断面図である。
【図7】同プリンタ装置のインクジェットプリントヘッドの製造工程を説明する図であり、(A)は、振動板に圧電材料を貼り付けた状態を示す縦断面図であり、(B)は、上記圧電材料の主面に所定のパターンを有するレジストを形成した状態を示す縦断面図であり、(C)は、上記レジストをマスクとして粉体粒子を吹き付け圧電素子を形成した状態を示す縦断面図であり、(D)は、上記レジストをマスクとしてエッチング処理を施し第2の振動板を除去した状態を示す縦断面図であり、(E)は、除去溶液を用いて上記レジストを除去した状態を示す縦断面図である。
【図8】同プリンタ装置のインクジェットプリントヘッドの製造工程を説明する図であり、(A)は、振動板に圧電素子を形成した状態を示す縦断面図であり、(B)は、上記圧電素子をマスクとしてエッチング処理を施し第2の振動板を除去した状態を示す縦断面図である。
【図9】同プリンタ装置のインクジェットプリントヘッドの製造工程を説明する図であり、(A)は、圧電素子が形成された振動板を圧力室形成部材に接着した状態を示す縦断面図であり、(B)は、インク供給管を取り付けた状態を示す縦断面図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係るシリアル型「キャリアジェット」プリンタ装置の要部斜視図である。
【図11】同プリンタ装置の制御部の構成を示す構成説明図である。
【図12】上記制御部の動作を説明する図である。
【図13】第1のピエゾ素子及び第2のピエゾ素子に印可される駆動電圧のタイミングを説明する図である。
【図14】上記プリンタ装置の「キャリアジェット」プリントヘッドの縦断面図である。
【図15】同プリンタ装置の「キャリアジェット」プリントヘッドを模式的に示す平面図である。
【図16】同プリンタ装置の「キャリアジェット」プリントヘッドの動作を説明する図であり、(A)は、初期状態を示す縦断面図であり、(B)は、インク圧力室の体積が減少された状態を示す縦断面図であり、(C)は、希釈液圧力室の体積が減少された状態を示す縦断面図である。
【図17】同プリンタ装置の「キャリアジェット」プリントヘッドの製造工程を説明する図であり、(A)は、金属部材にレジストを形成した状態を示す縦断面図であり、(B)は、上記レジストをマスクとしてエッチングを行った状態を示す縦断面図であり、(C)は、上記レジストを除去した金属部材に樹脂材料を接着した状態を示す縦断面図であり、(D)は、上記樹脂材料に撥液処理膜を形成した状態を示す縦断面図であり、(E)は、上記樹脂材料及び撥液処理膜にインク吐出孔及び希釈液吐出孔を形成した状態を示す縦断面図である。
【図18】同プリンタ装置の「キャリアジェット」プリントヘッドの製造工程を説明する図であり、(A)は、振動板に圧電材料を貼り付けた状態を示す図であり、(B)は、上記圧電材料の主面に所定のパターンを有するレジストを形成した状態を示す図であり、(C)は、上記レジストをマスクとして粉体粒子を吹き付け圧電素子を形成した状態を示す図であり、(D)は、上記レジストをマスクとしてエッチング処理を施し第2の振動板を除去した状態を示す図であり、(E)は、除去溶液を用いて上記レジストを除去した状態を示す図である。
【図19】同プリンタ装置の「キャリアジェット」プリントヘッドの製造工程を説明する図であり、(A)は、振動板に圧電素子を形成した状態を示す図であり、(B)は、上記圧電素子をマスクとしてエッチング処理を施し第2の振動板を除去した状態を示す図である。
【図20】同プリンタ装置の「キャリアジェット」プリントヘッドの製造工程を説明する図であり、(A)は、圧電素子が形成された振動板を圧力室形成部材に接着した状態を示す縦断面図であり、(B)は、インク供給管及び希釈液供給管を取り付けた状態を示す縦断面図である。
【図21】本発明の他例を示すプリンタ装置の製造方法の工程説明図であり、(A)は、圧電材料が接合された振動板を圧力室形成部材に接着した状態を示す縦断面図であり、(B)は、上記圧電材料上にレジストを形成した状態を示す縦断面図であり、(C)は、圧電素子を形成した状態を示す縦断面図であり、(D)は、インク供給管を取り付けた状態を示す縦断面図である。
【図22】本発明の他例を示すプリンタ装置の製造方法を説明する図であり、本例により製造されるインクジェットプリントヘッドの縦断面図である。
【図23】本発明の他例を示すプリンタ装置の製造方法を説明する図であり、本例で用いられる樹脂材料の縦断面図である。
【図24】ライン型プリンタ装置の要部斜視図である。
【図25】ドラム回転型プリンタ装置の要部斜視図である。
【図26】従来のプリンタ装置の製造方法を説明する図であり、ダイシングにより圧電素子を形成する状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 シリアル型インクジェットプリンタ装置、7 インクジェットプリントヘッド、31 インク圧力室形成部材、31c インク圧力室、32 振動板、33a インク吐出孔、35 圧電素子、43 圧電材料、50 シリアル型「キャリアジェット」プリンタ装置、56 「キャリアジェット」プリントヘッド、71 圧力室形成部材、71c インク圧力室、71h 希釈液圧力室、72 振動板、73a インク吐出孔、73b 希釈液吐出孔、75 圧電材料、76第1の圧電素子、77 第2の圧電素子、201,202,203 レジスト材料

Claims (24)

  1. インク吐出孔に連通する圧力室と、この圧力室の側壁の一部を構成する振動板と、この振動板と接して配される圧電素子とを有してなり、上記圧電素子及び振動板の変位により上記圧力室内のインクがインク吐出孔より吐出されるプリンタ装置の製造方法において、
    上記圧電素子を、ダイヤモンド粒子が混合された固気2相噴流を上記振動板上の圧電材料上に吹き付けることにより、所定の形状に加工することを特徴とするプリンタ装置の製造方法。
  2. 上記圧電素子上にマスクを配し、このマスク上から粉体粒子を吹き付けることにより、圧電素子を所定の形状に加工することを特徴とする請求項1記載のプリンタ装置の製造方法。
  3. 上記マスクをレジストにより形成することを特徴とする請求項2記載のプリンタ装置の製造方法。
  4. 上記振動板を材質の異なる2種以上の板材の積層体にて形成し、圧電素子側の少なくとも1層をエッチングにより除去することを特徴とする請求項1記載のプリンタ装置の製造方法。
  5. 上記振動板の圧電素子側の少なくとも1層を上記圧電素子をマスクとしてエッチングすることを特徴とする請求項4記載のプリンタ装置の製造方法。
  6. 上記振動板の圧電素子側の少なくとも1層を上記圧電素子上に配されたマスクをマスクとしてエッチングすることを特徴とする請求項4記載のプリンタ装置の製造方法。
  7. 上記振動板の圧電素子側の少なくとも1層は、金属材料からなることを特徴とする請求項4記載のプリンタ装置の製造方法。
  8. 上記金属材料は銅を主成分とすることを特徴とする請求項7記載のプリンタ装置の製造方法。
  9. 上記振動板の圧力室側の1層は、チタンを主成分とする金属材料からなることを特徴とする請求項4記載のプリンタ装置の製造方法。
  10. 上記振動板の圧力室側の1層は、ポリイミドを主成分とする有機材料からなることを特徴とする請求項4記載のプリンタ装置の製造方法。
  11. 上記圧電素子は、単板のピエゾ素子であることを特徴とする請求項1記載のプリンタ装置の製造方法。
  12. 上記圧電素子は、電圧の印加により上記振動板とのバイモルフ効果により上記振動板を変位させ、上記圧力室内のインクをインク吐出孔より吐出させることを特徴とする請求項1記載のプリンタ装置の製造方法。
  13. インク吐出孔に連通するインク圧力室と、希釈液吐出孔に連通する希釈液圧力室と、上記インク圧力室及び希釈液圧力室の一部を構成する振動板と、この振動板と接しインク圧力室に対応した位置に配される第1の圧電素子と、上記振動板と接し希釈液圧力室に対応した位置に配される第2の圧電素子とを有してなり、上記第1の圧電素子及び振動板の変位により上記インク圧力室内のインクがインク吐出孔より吐出されるとともに、上記第2の圧電素子及び振動板の変位により上記希釈液圧力室内の希釈液が希釈液吐出孔より吐出されるプリンタ装置の製造方法において、
    上記第1及び第2の圧電素子を、ダイヤモンド粒子が混合された固気2相噴流を上記振動板上の圧電材料上に吹き付けることにより、所定の形状に加工することを特徴とするプリンタ装置の製造方法。
  14. 上記第1及び第2の圧電素子上にマスクを配し、このマスク上から粉体粒子を吹き付けることにより、圧電素子を所定の形状に加工することを特徴とする請求項13記載のプリンタ装置の製造方法。
  15. 上記マスクをレジストにより形成することを特徴とする請求項14記載のプリンタ装置の製造方法。
  16. 上記振動板を材質の異なる2種以上の板材の積層体にて形成し、第1及び第2の圧電素子側の少なくとも1層をエッチングにより除去することを特徴とする請求項13記載のプリンタ装置の製造方法。
  17. 上記振動板の第1及び第2の圧電素子側の少なくとも1層を上記第1及び第2の圧電素子をマスクとしてエッチングすることを特徴とする請求項16記載のプリンタ装置の製造方法。
  18. 上記振動板の第1及び第2の圧電素子側の少なくとも1層を上記第1及び第2の圧電素子上に配されたマスクをマスクとしてエッチングすることを特徴とする請求項16記載のプリンタ装置の製造方法。
  19. 上記振動板の第1及び第2の圧電素子側の少なくとも1層は、金属材料からなることを特徴とする請求項16記載のプリンタ装置の製造方法。
  20. 上記金属材料は銅を主成分とすることを特徴とする請求項19記載のプリンタ装置の製造方法。
  21. 上記振動板の第1及び第2の圧力室側の1層は、チタンを主成分とする金属材料からなることを特徴とする請求項16記載のプリンタ装置の製造方法。
  22. 上記振動板の第1及び第2の圧力室側の1層は、ポリイミドを主成分とする有機材料からなることを特徴とする請求項16記載のプリンタ装置の製造方法。
  23. 上記第1及び第2の圧電素子は、単板のピエゾ素子であることを特徴とする請求項13記載のプリンタ装置の製造方法。
  24. 上記第1の圧電素子は、電圧の印加により上記振動板とのバイモルフ効果により上記振動板を変位させ、上記インク圧力室内のインクをインク吐出孔より吐出させるとともに、上記第2の圧電素子は、電圧の印加により上記振動板とのバイモルフ効果により上記振動板を変位させ、上記希釈液圧力室内の希釈液を希釈液吐出孔より吐出させることを特徴とする請求項13記載のプリンタ装置の製造方法。
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