JP3861532B2 - インクジェットプリンタヘッドの製造方法 - Google Patents

インクジェットプリンタヘッドの製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吐出ノズルを適正な形状に容易に形成できる作業性に優れたインクジェットプリンタヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、インクジェット方式のプリンタが広く用いられている。このインクジェット方式のプリンタによる印字方法は、インク吐出面に多数配列されている微細なノズルからインクの液滴を吐出させ、このインク滴を紙、布などの被記録材に吐出・着弾させて吸収させ、これにより文字や画像等の印字を行なうものであり、騒音の発生が少なく、特別な定着処理を要せず、比較的高速であり且つフルカラー画像の形成も容易な印字方法である。
【0003】
このインクジェット方式によるプリンタには、ピエゾ抵抗素子(圧電素子)の変形によってインク滴を飛ばすピエゾ方式や、膜気泡の発生する圧力でインク滴を飛ばすサーマル方式等がある。サーマル方式のプリンタの印字ヘッドには、インク滴の吐出方向により二通りの構成がある。すなわち、発熱部の発熱面に平行な方向へインクを吐出する構成のサイドシュータ型と呼称されるものと、発熱部の発熱面に垂直な方向にインクを吐出する構成のルーフシュータ型(又はトップシュータ型ともいう)と呼称されるものである。ルーフシュータ型の印字ヘッドは、サイドシュータ型の印字ヘッドに比較して、消費電力が極めて小さくて済むことが知られている。
【0004】
(a) は、ルーフシュータ型の印字ヘッドのインク吐出面を示す平面図であり、同図(b) は、同図(a) の破線Aで囲んだ部分を拡大し最上層(オリフィス板)を透視して示す図、同図(c) は、同図(b) のB−B′断面図である。
【0005】
同図(a),(b),(c) に示す印字ヘッド1は、チップ基板2の上に、特には図示しないが、LSI形成処理技術によって駆動回路が形成され、更に全面に絶縁層が形成され、その上に、スパッタリング技術とフォトリソグラフィー技術等により、発熱体3が例えば40μm程度の微細なピッチでパターニングされ、その両端に、これも図示を省略しているが上記の発熱体3を発熱駆動するための電極(個別配線電極と共通電極)が形成されている。
【0006】
更にそれらの上に、隔壁4(4−1、4−2、4−3)が積層され、更にこの隔壁4の上にオリフィス板5が積層され、このオリフィス板5の上記の発熱体3と対向する位置にインクを吐出する吐出ノズル6が形成されている。隔壁4−1とこの隔壁4−1から櫛の歯状に延び出す隔壁4−2とでコの字形に仕切られた加圧室7が形成され、この加圧室7の開口側に、やや間隔を置いてシール用の隔壁4−3が形成されている。
【0007】
この隔壁4−3と加圧室7の開口部の略中間のチップ基板2の表面にインク供給溝8が穿設されており、このインク供給溝8に連通し、チップ基板2の裏面まで貫通するインク供給孔9が穿設されている。そして、チップ基板2上には隔壁4に囲まれたインク流路11が形成されている。
【0008】
(a),(b),(c) は、上記の印字ヘッド1が発熱駆動されるときの動作状態を示す図である。尚、同図(a) には図(c) に示した断面図を再掲している。また、加圧室7には、インク供給孔9及びインク供給溝8を介して外部からインク12が常時供給されており、このインク12は吐出ノズル6内に進出してノズル口にメニスカスを形成している。
【0009】
先ず、同図(a) において、不図示の電極を介して発熱体3への画像情報に応じた通電により、発熱体3が発熱すると、同図(b) に示すように、発熱体3上に膜気泡13が発生して、この膜気泡が断熱膨脹して成長し、周囲のインクを押し遣り、これにより吐出ノズル6からインク12aが押し出される。
【0010】
この押し出されたインク12aは、同図(c) に示すように、膜気泡13の更なる膨張した膜気泡13aによって押し出され、インク滴12bとなって吐出ノズル6から、不図示の紙面に向けて吐出される。この後、上記の膜気泡13aが収縮し、消滅して、次の発熱体3の加熱が待機される。この一連の動作は数十μ秒という極めて短時間で行われる。
【0011】
(a) 〜(d) は、上記のような印字ヘッド1の製造過程における状態を工程順に示す図である。尚、同図(a) 〜(d) は、図(b) のC−C′部分の断面を示しており、発熱体3の図示を省略している。先ず、同図(a) に示すように、チップ基板2上に隔壁4が形成される。次に、この隔壁4上に同図(b) に示すように、オリフィス板5が積層される。同図(b) に示すオリフィス板5は、フィルム状のポリイミド14の片面(接合される下面)に、加熱によって接着剤の働きを生じる熱可塑性のポリイミド15が塗布されたものを示している。
【0012】
続いて、同図(c) に示すように、このオリフィス板5の表面に適宜の金属薄膜16をスパッタリングで形成し、この金属薄膜16に吐出ノズルに対応するパターン17を形成してメタルマスクとする。そして、適宜のドライエッチング装置により、同図(d) に示すように、上記パターン17に沿ってエッチングを行って、吐出ノズル6を形成する。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のように吐出ノズル穿設位置(図(c) の矢印18で示す位置)に接着剤層(熱可塑性ポリイミド15)を付けたまま、ドライエッチングにより吐出ノズル6を穿設すると、ポリイミド14と熱可塑性ポリイミド15のエッチングレートが異なるため、吐出ノズル6の断面形状、つまり内壁の形状が、円滑な垂直状態に形成できなかったり、ややもすると接着剤の残渣が壁面に付着して孔が完全に貫通しなかったり、また、接着剤にシリコン変性体等の成分が含まれている場合には酸素プラズマでは全くエッチングができず異種のガスを用いてエッチングし直すなど、種々の不具合が発生する。
【0014】
(a),(b),(c) に示したように、上記の吐出ノズル6は極めて微細であり且つ極めて短い時間内にインク滴12bを吐出する関係上、吐出ノズル6の内壁が円滑な垂直状態に形成されていなかったり、吐出ノズル6内に残渣があると、インク滴12bを正しい量で正しい方向に吐出することができなくなる。そして、このために、正常な印字画像を形成出来ないという問題を有していた。
【0015】
また、上記の吐出ノズル穿設位置にある余分な接着剤が残渣として図(b),(c) に示したインク流路11に付着して、図(a),(b),(c) に示したインク12の円滑な流れ、すなわち供給を、阻害するという問題も有していた。
【0016】
本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、吐出ノズルを適正な形状に容易に形成できる作業性に優れたインクジェットプリンタヘッドの製造方法を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明のインクジェットプリンタヘッドの製造方法は、インク流路を通じて供給されたインクに圧力エネルギーを作用させて上記インクを吐出ノズルから記録媒体上に吐出させ印字を行うインクジェットプリンタヘッドの製造方法であって、上記圧力エネルギーを発生させる圧力エネルギー発生素子が複数個並設された基板と、該基板上に隔壁を形成する為の隔壁層を積層し、該隔壁層上に接着剤層を積層し、該接着剤層上にインク流路に対応したパターンのマスク層を形成し、該マスク層に従って前記接着剤層と前記隔壁層とをドライエッチングにより一括してパターニングし、該パターニングにより形成された上記隔壁及び該隔壁上にのみ残された上記接着剤層上にオリフィス板を圧着し、該オリフィス板のインク吐出口が形成される表面に上記吐出ノズルの配置に対応し、上記インク流路に対応したパターンよりも狭いパターンのマスク層を形成し、該マスク層に従ってドライエッチングにより上記吐出ノズルを一括形成するように構成される。
【0018】
上記吐出ノズルを形成するドライエッチングは、例えば請求項2記載のように、ヘリコン波ドライエッチングであることが好ましい。
また、上記接着剤層と隔壁層とを一括してパターニングするドライエッチングは、例えば請求項記載のように、へリコン波ドライエッチングであることが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1(a) は、本発明の実施形態におけるインクジェットプリンタヘッドの一連の製造工程においてシリコンウエハのチップ基板上に形成されていく最初の段階における状態を示す概略の平面図を模式的に示しており、同図(b) はその一部を拡大して詳細に示す図であり、同図(c) は同図(b) のE−E′断面図、同図(d) は同図(b) のF−F′断面図である。
【0021】
(a) は、上記一連の製造工程の中間段階における状態を模式的に示す概略の平面図である。そして、同図(b) はその一部を拡大して詳細に示す図であり、同図(c) は同図(b) のG−G′断面図、同図(d) は同図(b) のH−H′断面図である。
【0022】
(a) は、上記一連の製造工程の最終段階における状態を模式的に示す概略の平面図である。そして、同図(b) はその一部を拡大して詳細に示す図であり、同図(c) は同図(b) のJ−J′断面図、同図(d) は同図(b) のK−K′断面図である。
【0023】
この印字ヘッドの基本的製造方法は、先ず、工程1として、直径101.6mm以上のシリコンウエハ上にスクライブラインで区画された各チップ基板に、LSI形成処理により駆動回路とその端子を形成すると共に、保護膜として厚さ1〜2μmの酸化膜を形成し、次に、工程2として、薄膜形成技術を用いて、例えばTa−Si−Oからなる発熱抵抗体膜と、W−Tiをバリア層としたAuなどからなる電極膜を形成する。そして、電極膜と発熱抵抗体膜をフォトリソグラフィー技術によって夫々パターニングし、ストライプ状の発熱抵抗体膜上の発熱部となる領域の両側に配線電極が積層される。この工程で発熱部の位置が決められる。
【0024】
図1(a) 〜(d) は、上記の工程1及び工程2が終了した直後の状態を示している。すなわち、チップ基板20上には共通電極21、共通電極給電端子22、個別配線電極23が並設された個別配線電極列23′、発熱部24が並設された発熱部列24′、駆動回路26及び駆動回路端子27が形成されている。
【0025】
ところで、オリフィス板の隔壁上への張り付けと、このオリフィス板の表面への金属膜によるマスクの形成と、このマスクを用いた吐出ノズルの孔空け加工において、従来のように通常に孔空け加工をしていたのでは、加工仕上がり後に、接着剤の残渣による不具合が発生し易いことは前述した。
【0026】
そこで、本発明においては、吐出ノズルの孔空けの際には余分な接着剤が存在しないように、隔壁形成の段階から特別の工夫が凝らされている。これを第1の実施形態として、以下に説明する。
【0027】
図2(a) 〜(f) は、図と同様に、隔壁形成〜吐出ノズル形成に至る製造プロセスを工程順に示す各工程毎の説明図である。先ず、図2(a) に示すように、チップ基板20上に隔壁材料(熱硬化型ポリイミド)31′を全面に塗布して熱硬化させ、厚さ10μm の隔壁層を形成する。そして、更にその上に、熱可塑性ポリイミド接着剤を全面に塗布して接着剤層38を積層する。この熱可塑性ポリイミド接着剤層38は、後にオリフィス板と隔壁との接着剤になる層である。
【0028】
次いで、同図(b) に示すように、隔壁形成用のメタルマスク39を形成する。このメタルマスク39は、上記の隔壁材料31′と接着剤層38の二層構造の上に、Ti又はAl等の金属をスバッタなどの物理成膜法で形成した後、フォトリソグラフイ技術によって所定のパターンにエッチング加工して形成する。
【0029】
続いて、同図(c) に示すように、上記のメタルマスク39を遮蔽マスクとして隔壁材料31′と接着剤層38の二層構造を一括してドライエッチングして、上部に熱可塑性ポリイミドの接着剤層38を被着した隔壁31を形成する。このドライエッチングの処理では、エッチングレートを高くするためと、異方性エッチングによる隔壁のアスペクト比を上げるため、へリコン波を用いた酸素プラズマ発生装置で加工する。
【0030】
へリコン波によるエッチング方式以外では、例えば平行平板方式のRF高周波電源を用いたドライアッシング方式で、隔壁材料31′と接着剤層38を削り取る方法もあるが、これらはへリコン波によるエッチング方式に比較して異方性が悪く、またエッチングレートも低いので、ヘリコン波方式のような良い結果が得られない。
【0031】
ドライエッチング後、メタルマスク39を除去して、隔壁31(31−1、31−2、31−3)上の接着剤層38を露出させる。尚、このメタルマスク39の除去工程は、次に述べるサンドブラストによるインク供給穴穿設工程の後に行っても良い。
【0032】
続いて、サンドブラスト加工法によりチップ基板の表面(発熱抵抗体膜や電極膜が形成されている面)に細長いインク供給溝を形成し、更にこのインク供給溝に連通し基板裏面に開口するインク供給穴を形成する。
【0033】
図3(a) 〜(d) は、上述のインク供給穴形成工程が終了した直後の状態を示している。すなわち、インク供給溝28及びインク供給穴29が形成され、インク供給溝28の左側に位置する共通電極21部分と右方の個別配線電極23が配設されている部分に、インクを外部から封止するシール隔壁31−1及び31−2が形成されており、シール隔壁31−2から各発熱部24と発熱部24の間に伸び出す区画隔壁31−3が形成されている。
【0034】
上記の発熱部24を中心として形成されているシール隔壁31−2及び区画隔壁31−3の一方のシール隔壁31−2を櫛の胴とすれば、他方の区画隔壁31−3は櫛の歯に相当する形状をなし、この櫛の歯状の区画隔壁31−3を仕切り壁として、その歯と歯の間の付け根に当る部分に発熱部24が位置する微細な個別インク流路32が、発熱部24の数だけ形成されている。また、インク供給溝28の右側に位置する共通電極21部分は共通インク流路を形成している。
【0035】
次に、同図(d) に示すように、290〜300℃で加熱しながら、オリフィス板33を、真空プレス等の方法で貼り付ける。接着剤層38は隔壁31の上にのみ存在し、この接着剤層38によりオリフィス板33は隔壁31上に固着される。この場合、オリフィス板33には接着剤層が被着されていないので、作業性良く容易にオリフィス板33を隔壁31上に正確に設置できる。
【0036】
続いて、同図(e) に示すように、オリフィス板33上に、吐出ノズル形成用のマスクパターン42を備えたTiやAl等の金属からなる厚さ0.5〜1μm程度のメタルマスク35を形成する。このマスクパターンの形成も、TiやAl等の金属をスバッタリングでオリフィス板33上に成膜した後、フォトリソグラフイ技術により所定のパターンにエッチング加工して形成する。
【0037】
そして、最後に、同図(f) に示すように、上記のメタルマスク35を遮蔽マスクとしてドライエッチングにより吐出ノズル36として20μmφ〜40μmφの多数の孔をオリフィス板33に一括形成する。このドライエッチング処理にも、エッチングレートと異方性が高いへリコン波エッチング装置を用いる。
【0038】
図4(a) 〜(d) は、上述した吐出ノズル形成工程が終了した直後の状態を示している。すなわち、オリフィス板33が共通電極給電端子22及び駆動回路端子27の部分を除く全領域を覆い隔壁31(31−1、31−2、31−3)上に熱可塑性ポリイミド接着剤層38を介して設置され、上述した個別インク流路32及び共通インク流路34が、発熱部24とインク供給溝28との間に形成されている。
【0039】
そして、図4(a),(b),(c) に示すように、オリフィス板33には、メタルマスク35を用いたドライエッチングによって、発熱部24に対向する部分にインクを吐出する吐出ノズル36が形成されている。これにより、多数の吐出ノズル36を1列に備えたインクジェットプリンタのヘッドチップ37が完成する。
【0040】
このようにオリフィス板33を最上層に張り付けて、その後で下地のパターンつまり発熱部24に合わせて、インク吐出ノズル36を孔空け加工することは、予めインク吐出ノズルを孔空け加工したオリフィス板を張り合わせることよりも遥かに生産性の高い実用性のある方法である。尚、同図(a) には36個のインク吐出ノズル36を示しているが、実際には64個、128個、256個等、設計上の方針によって多数形成されるものである。
【0041】
ここまでが、シリコンウエハの状態で処理される。そして、最後に、ダイシングソーなどを用いてシリコンウエハをスクライブラインに沿ってカッテングして、チップ基板単位毎に個別に分割し、実装基板にダイスボンデングし、端子接続して、実用単位のインクジェットプリンタヘッドが完成する。
【0042】
このように、本例では、接着剤層は隔壁31の上つまり隔壁31とオリフィス板33が接する部分にのみ存在し、他の部分つまり吐出ノズルが穿設される部分には存在しないから、吐出ノズルの形成加工時には、オリフィス板33のみをエッチングすればよいことになり、前述したような吐出ノズルの内壁の形状が円滑な垂直形状でないことやインク流路内に接着剤層のエッチング残渣が発生することによる不具合は解消される。
【0043】
尚、接着剤は基本的に隔壁上にのみ存在するが、加熱によって流動性が高くなる接着剤を用いた場合は、オリフィス板の貼付け時に、隔壁上にあった接着剤が近傍にはみ出す虞がある。これでは従来同様の不具合が発生してしまう。
【0044】
600ドット/25.4mmの解像度のインクジェットプリンタヘッドの揚合、ドットピッチは42.3μmであり、個別インク流路32の幅寸法は、およそ30μmである。一方、吐出ノズル36の直径は15μm〜20μmくらいが適当である。したがって上記の接着剤のはみ出しを、5μm以下に抑えれば、はみ出してもエッチング部分には出ないので前述したような不具合は発生しない。
【0045】
実験によれば、厚さ2μmの接着剤層を介してオリフィス板を隔壁上に貼り付けた場合、接着部の接着剤層が1μm残ったときのはみ出し量は約3μm、すなわち、吐出ノズルの形成位置に達しない5μm以下の範囲内であった。したがって、接着剤層を2μm程度の厚さに積層すれば、そのはみ出しによる不具合の発生を防止することができる。
【0046】
上記実施の形態によれば、オリフィス板が接着剤層の形成されていない単層のフィルムであるので、従来の片面に接着剤が塗布されているオリフィス板用フィルムのような熱膨張係数の差による巻きぐせが発生せず、接着不良等の不具合の発生を抑止することができる。
【0047】
また、本例の場合、隔壁をへリコン波ドライエッチングで形成するので、隔壁材料に感光性ポリイミドを用いる必要がなく、安価で高特性の非感光性ポリイミドを用いることができる。したがって、高品質で低コストのインクジェットプリンタヘッドを提供することが出来る。
【0048】
尚、片面或いは両面に接着剤が一面に塗布されたオリフィス板を用いる場合、予め隔壁上面に対応する部分の接着剤層だけを残して他をエッチングして除去した後、このオリフィス板を隔壁上に接着するようにしてもよい。
【0055】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、オリフィス板と隔壁とを接着する接着剤が少なくとも吐出ノズルを穿設する領域に存在しない状態で吐出ノズルをドライエッチングにより穿設することにより、吐出ノズルを形成する際はオリフィス板のみをエッチングすればよく、これにより、吐出ノズルを内壁が円滑な所望の例えばストレート形状に正確に且つ作業性良く容易に穿設することができると共に余分な接着剤が残渣としてインク流路等に付着する不都合の発生を防止でき、したがって、出来上がったインクジェットプリンタヘッドの信頼性とインク吐出特性が共に向上し、高品質の印字画像を形成することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a) は本発明の実施形態におけるインクジェットプリンタヘッドの一連の製造工程の最初の段階における状態を模式的に示す概略の平面図、(b) はその一部を拡大して詳細に示す図、(c) は(b) のE−E′断面図、(d) は(b) のF−F′断面図である。
【図2】 (a) 〜(f) は第1の実施形態におけるインクジェットプリンタヘッドの隔壁の形成〜吐出ノズルの形成に至る製造プロセスを工程順に各工程毎に示す説明図である。
【図3】 (a) は本発明の実施形態におけるインクジェットプリンタヘッドの一連の製造工程の中間段階における状態を模式的に示す概略の平面図、(b) はその一部を拡大して詳細に示す図、(c) は(b) のG−G′断面図、(d) は(b) のH−H′断面図である。
【図4】 (a) は本発明の実施形態におけるインクジェットプリンタヘッドの一連の製造工程の最終段階における状態を模式的に示す概略の平面図、(b) はその一部を拡大して詳細に示す図、(c) は(b) のJ−J′断面図、(d) は(b) のK−K′断面図である。
【図】 (a) は従来のルーフシュータ型印字ヘッドのインク吐出面を示す平面図、(b)は(a) の破線Aで囲んだ部分を拡大しオリフィス板を透視して示す図、(c) は(b) のB−B′断面図である。
【図】 (a),(b),(c) はルーフシュータ型印字ヘッドが発熱駆動されるときの動作状態を示す図である。
【図】 (a) 〜(d) は従来のルーフシュータ型印字ヘッドの製造プロセスを工程順に各工程毎に示す説明図である。
【符号の説明】
1 印字ヘッド
2 チップ基板
3 発熱体
4(4−1、4−2、4−3) 隔壁
5 オリフィス板
6 吐出ノズル
7 加圧室
8 インク供給溝
9 インク供給孔
11 インク流路
12、12a インク
12b インク滴
13、13a 膜気泡
14 ポリイミド
15 熱可塑性ポリイミド
16 金属薄膜
17 パターン
20 チップ基板
21 共通電極
22 共通電極給電端子
23 個別配線電極
23′ 個別配線電極列
24 発熱部
24′ 発熱部列
26 駆動回路
27 駆動回路端子
28 インク供給溝
29 インク供給孔
31′ 隔壁材料(熱硬化型ポリイミド)
31 隔壁
31−1、31−2 シール隔壁
31−3 区画隔壁
32 個別インク流路
33 オリフィス板
34 共通インク流路
35 メタルマスク
36 吐出ノズル
37 ヘッドチップ
38 接着剤層
39 メタルマスク
41 除去部
42 吐出ノズル形成用パターン

Claims (3)

  1. インク流路を通じて供給されたインクに圧力エネルギーを作用させて前記インクを吐出ノズルから記録媒体上に吐出させ印字を行うインクジェットプリンタヘッドの製造方法であって、
    前記圧力エネルギーを発生させる圧力エネルギー発生素子が複数個並設された基板と、該基板上に隔壁を形成する為の隔壁層を積層し、該隔壁層上に接着剤層を積層し、該接着剤層上にインク流路に対応したパターンのマスク層を形成し、該マスク層に従って前記接着剤層と前記隔壁層とをドライエッチングにより一括してパターニングし、該パターニングにより形成された前記隔壁及び該隔壁上にのみ残された前記接着剤層上にオリフィス板を圧着し、該オリフィス板のインク吐出口が形成される表面に前記吐出ノズルの配置に対応し、前記インク流路に対応したパターンよりも狭いパターンのマスク層を形成し、
    該マスク層に従ってドライエッチングにより前記吐出ノズルを一括形成する、
    ことを特徴とするインクジェットプリンタヘッドの製造方法。
  2. 前記吐出ノズルを形成するドライエッチングは、ヘリコン波ドライエッチングであることを特徴とする請求項1記載のインクジェットプリンタヘッドの製造方法。
  3. 前記前記接着剤層と前記隔壁層とを一括してパターニングするドライエッチングは、へリコン波ドライエッチングであることを特徴とする請求項記載のインクジェットプリンタヘッドの製造方法。
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