JP2001319643A - アルカリ蓄電池用正極の製造方法 - Google Patents
アルカリ蓄電池用正極の製造方法Info
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Abstract
化が図れるアルカリ蓄電池用正極を製造できる製造方法
を提供する。 【解決手段】 長軸が略一方向に配列した複数の扁平な
空孔30aを備える第1の金属多孔体シート30に正極
活物質ペーストを充填する第1の工程と、上記一方向と
ロールプレス機のロール31の回転軸31aの方向とが
略一致する状態でロールプレス機を用いてプレスするこ
とによって、空孔の縦横比の平均が0.9〜1.2の範
囲内である第2の金属多孔体シートを備える正極シート
40を作製する第2の工程とを含む。
Description
正極の製造方法に関する。
器や携帯機器などの電源として、また電気自動車やハイ
ブリッド電気自動車等に至る移動用電源として注目され
ており、従来にも増して高性能化が要請されている。た
とえば、水酸化ニッケルを主体とした活物質からなる正
極と、水素吸蔵合金を主材料とした負極とを備えるニッ
ケル水素二次電池は、エネルギー密度が高く信頼性に優
れた二次電池として急速に普及している。
酸化ニッケル粒子を主成分とする正極活物質を金属多孔
体シートに充填した極板が用いられている。この極板
は、金属多孔体シートに正極活物質ペーストを充填した
のち、ロールプレス機などでプレスすることによって、
厚みを調整している。
では、活物質が充填される金属多孔体シートの空孔は、
略真球状であることが、高寿命化や活物質の充填性向上
に有効である。しかしながら、上記従来の正極では、ロ
ールプレス機でプレスする際に、金属多孔体シートの空
孔の扁平率が高くなるという問題があった。
活物質の充填性が良好で、電池の長寿命化が図れるアル
カリ蓄電池用正極を製造できる製造方法を提供すること
を目的とする。
め、本発明のアルカリ蓄電池用正極の製造方法は、長軸
が略一方向に配列した複数の扁平な空孔を備える第1の
金属多孔体シートに正極活物質ペーストを充填する第1
の工程と、第1の工程を経た第1の金属多孔体シート
を、上記一方向とロールプレス機のロールの回転軸の方
向とが略一致する状態でロールプレス機を用いてプレス
することによって、空孔の縦横比(空孔の縦方向の径を
空孔の横方向の径で除した値である。ただし、プレスの
際にロールプレス機のロールの回転軸と平行な方向を金
属多孔体シートの縦方向とする。)の平均が0.9〜
1.1の範囲内である第2の金属多孔体シートを備える
正極シートを作製する第2の工程とを含むことを特徴と
する。上記製造方法では、正極に含まれる金属多孔体シ
ートの空孔の縦横比が1または1の近傍となる。このた
め、上記製造方法によって製造された正極を用いたアル
カリ蓄電池では、充放電時における反応が略均一に起こ
り、長寿命となる。また、上記製造方法によって製造さ
れた正極は、活物質の充填性が向上する。
数の空孔を備える金属多孔体シートをロールプレス機を
用いてプレスすることによって第1の金属多孔体シート
を作製する予備工程をさらに備えることが好ましい。上
記構成では、予備工程のプレス条件や用いる金属多孔体
シートを変えることによって、様々な形状の空孔を備え
る第1の金属多孔体シートを形成できる。したがって、
上記構成によれば、第1および第2の工程における条件
の制約が少なくなる。
第1の金属多孔体シートは、予備工程においてロールプ
レス機を通過した方向から第1の金属多孔体シートの主
面に垂直な軸を回転軸として略90゜回転してロールプ
レス機を通過させることが好ましい。上記構成によれ
ば、本発明の製造方法の実施が容易になる。なお、本発
明において、略90゜回転とは、シートの縦方向と横方
向とを入れ替えることを意味する。
けるプレス工程は、一度のプレスで行ってもよいし、複
数回のプレスで行ってもよい。
て説明する。
では、まず、長軸が略一方向に配列した複数の空孔を備
える金属多孔体シート(第1の金属多孔体シート)に正
極活物質ペーストを充填する(第1の工程)。
第1の金属多孔体シートを、上記一方向(長軸が配列し
ている方向)とロールプレス機のロールの回転軸の方向
とが略一致する状態で、ロールプレス機を用いてプレス
することによって、空孔の縦横比(空孔の縦方向の径を
空孔の横方向の径で除した値である。ただし、プレスの
際にロールプレス機のロールの回転軸と平行な方向を金
属多孔体シートの縦方向とする。)の平均が0.9〜
1.1の範囲内である第2の金属多孔体シートを備える
正極シートを作製する(第2の工程)。
して正極を作製する。なお、上記工程の間に金属多孔体
シートにリード(集電体)を溶接する工程がさらに含ま
れる。
孔体シートは、長軸が略一方向に配列した複数の空孔を
含む。そして、その空孔は、金属多孔体シートの主面と
略平行な断面における断面形状が略楕円形である。ま
た、その空孔は、縦横比(長軸が配列している方向を縦
とする。)の平均が、たとえば、1.3〜1.5程度で
ある。なお、上記縦横比は、第2の工程におけるロール
プレスの条件によって好ましい値が異なる。
孔体シートは、たとえば、複数の空孔を備える金属多孔
体シートをロールプレス機を用いてプレスすることによ
って作製できる(予備工程)。このとき、ロールプレス
の条件を変化させることによって、空孔の縦横比を変化
させることができる。
物質は、アルカリ蓄電池に一般に用いられるものを用い
ることができる。具体的には、たとえば、コバルトなど
を添加した水酸化ニッケル粒子を用いることができる。
機のローラ径は、たとえば、50mmφ〜1000mm
φである。
多孔体シートは、上記予備工程においてプレスされた方
向から略90゜回転されてプレスされることが好まし
い。すなわち、第1の金属多孔体シートは、予備工程に
おいてロールプレス機を通過した方向から第1の金属多
孔体シートの主面に垂直な軸を回転軸として略90゜回
転してロールプレス機を通過させることが好ましい。
機のローラ径は、たとえば、50mmφ〜1000mm
φであり、好ましくは、500mmφ〜1000mmφ
である。予備工程においては、最適な縦横比まで空孔を
伸ばす必要があるため、多孔体シートの伸ばし方に応じ
て予備工程で用いられるローラプレス機のローラ径を変
える。第2の工程においては、多孔体シートが切れるこ
とを防止するため、比較的ローラ径が大きいローラプレ
ス機を用いる。
1である空孔を備える金属多孔体シートと、上記金属多
孔体シートに充填された正極活物質とを備える正極を製
造できる。したがって、上記製造方法によれば、正極活
物質の充填性が良好で、電池の長寿命化が図れるアルカ
リ蓄電池用正極を製造できる。また、上記製造方法によ
れば、正極活物質の充填性がよい正極を製造できる。さ
らに、上記製造方法では、予備工程の条件を変化させる
ことによって、第1の金属多孔体シートの形状を変化さ
せることができ、第1の工程において充填される正極活
物質の量を容易に制御できる。さらに、上記製造方法で
は、予備工程および第2の工程の条件を変化させること
によって、得られる正極シートの形状を変化させること
ができ、この正極を用いたアルカリ蓄電池の出力と容量
とのバランスを容易に制御できる。
説明する。
発泡ニッケル)を用意した。金属多孔体シート10に
は、厚み2.0mm、多孔度97%、空孔の縦横比が
1.0程度の構造を有するものを用いた。この金属多孔
体シート10を図1(a)に示すように、ロールプレス
機を用いてプレスを行い、金属多孔体シート20を形成
した(予備工程)。プレスの条件は、ロール21の径が
100mmφ、プレス圧3920N/cm2(400k
gf/cm2)、クリアランス1.0mm、プレス速さ
10m/分であった。ロールプレス前後の金属多孔体シ
ート10および20の状態を図2に模式的に示す。この
とき、ロールプレス機のロール21の回転軸21aと平
行な方向を金属多孔体シート10および20のA方向と
すると、金属多孔体シート10は、A方向に垂直なB方
向に主に圧延された。このため、金属多孔体シート20
の空孔20aは、B方向に伸びた扁平な形状となった。
このとき、空孔20aの縦横比(A方向の径をB方向の
径で除した値)の平均は、約0.7であった。なお、空
孔の縦横比は、空孔の形状が電気抵抗に反映されるた
め、電気抵抗の縦横比から算出できる。具体的な算出方
法については後述する。
20に正極活物質スラリを充填し、乾燥して金属多孔体
シート30を得た(第1の工程)。正極活物質スラリに
は、水酸化ニッケルを主成分として用いた。充填量は、
シート1枚につき、19.0g〜21.0gとした。正
極活物質スラリは、シートの上下面から吐出する方法
(水平充填)で、金属多孔体シート20に充填した。
属多孔体シート30を、再びロールプレス機を用いて圧
延することによって、正極シート40を得た(第2の工
程)。このときのプレスの条件は、プレス径800mm
φ、プレス圧2940N/cm2(300kgf/c
m2)、クリアランス0.5mm、プレス速さ10m/
分とした。第2の工程を図3に模式的に示す。第2の工
程の際に、金属多孔体シート30を、第1の工程におい
てロールプレス機を通過した方向から金属多孔体シート
30の主面に垂直な軸を回転軸として略90゜回転して
ロールプレス機を通過させる(図2のB方向が図3の縦
方向になる)。すなわち、ロールプレス機のロール31
の回転軸31aを縦方向とすると、金属多孔体シート3
0の空孔30aの縦横比の平均は、略1.4(0.7の
逆数とほぼ等しい)であった。ロール31の回転軸31
aを金属多孔体シート30および正極シート40の縦方
向とすると、正極シート40の空孔(正極活物質が充填
されている)40aの縦横比(縦方向の径を横方向の径
で除した値)の平均は、約1.0となった。
切断し、正極を得た。
の空孔の縦横比が異なる様々な正極を作製した。空孔の
縦横比は、正極シート作製時の引張テンションを変更す
ることによって調整した。そして、空孔の縦横比が異な
る正極を用いてニッケル水素二次電池を作製した。負極
には、水素吸蔵合金電極を用いた。セパレータには、ポ
リプロピレン製不織布を用いた。電解液には、KOH、
NaOH、LiOHの混合溶液を用いた。そして、常法
に従って、定格容量が6.5Ahの電池を作製した。こ
のようにして得られた電池について、サイクル試験を行
って出力の変化を測定した。サイクル試験は、35℃で
2C充電を行ったのち、35℃で2C放電を行う充放電
サイクルを1サイクルとした。測定結果を図4に示す。
用いたニッケル水素二次電池の出力を100としたとき
の相対値である。
1である正極を用いた電池と比較して、空孔の縦横比が
0.8、1.34または1.48である正極を用いた電
池は充放電サイクルの経過によって出力が大きく低下し
た。このように、空孔の縦横比が1に近い正極を用いる
ことによって、寿命が向上することがわかった。
算出する方法について説明する。まず、金属多孔体シー
ト20から、縦方向(A方向)×横方向(B方向)が1
5cm×1cmの縦方向サンプルと1cm×15cmの
横方向サンプルとを切り出した。次に、それぞれのサン
プルについて、電気抵抗を測定した。電気抵抗の測定で
は、まず、図5に示すように、各サンプルの両端に電極
端子SAおよびSDを形成し、両端から2.5cmの位
置に電極端子SBおよびSCを形成した。SBおよびS
Cの間隔は10cmである。そして、電極端子SAと電
極端子SDとの間に1Aの電流を流したときの電極端子
SBおよびSC間の電圧を測定し、電気抵抗を計算し
た。そして、縦方向サンプルの電気抵抗と横方向サンプ
ルの電気抵抗との比を計算し、これを空孔の縦横比とし
た。このようにして、空孔の縦横比を計算した。なお、
他の金属多孔体シートについても同様の方法で空孔の縦
横比を計算した。
げて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定され
ず本発明の技術的思想に基づき他の実施形態に適用する
ことができる。
の形態および実施例で説明した電池を製造する場合に限
定されない。
蓄電池の製造方法によれば、正極活物質の充填性が良好
で、電池の長寿命化が図れるアルカリ蓄電池用正極を製
造できる。
に示す斜視図である。
示す模式図である。
例を示す模式図である。
れたニッケル水素二次電池について充放電サイクルによ
る出力の変化を示すグラフである。
測定する方法を示す図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 長軸が略一方向に配列した複数の扁平な
空孔を備える第1の金属多孔体シートに正極活物質ペー
ストを充填する第1の工程と、 前記第1の工程を経た前記第1の金属多孔体シートを、
前記一方向とロールプレス機のロールの回転軸の方向と
が略一致する状態でロールプレス機を用いてプレスする
ことによって、空孔の縦横比(空孔の縦方向の径を空孔
の横方向の径で除した値である。ただし、プレスの際に
ロールプレス機のロールの回転軸と平行な方向を金属多
孔体シートの縦方向とする。)の平均が0.9〜1.1
の範囲内である第2の金属多孔体シートを備える正極シ
ートを作製する第2の工程とを含むことを特徴とするア
ルカリ蓄電池用正極の製造方法。 - 【請求項2】 前記第1の工程の前に、複数の空孔を備
える金属多孔体シートをロールプレス機を用いてプレス
することによって前記第1の金属多孔体シートを作製す
る予備工程をさらに備える請求項1に記載のアルカリ蓄
電池用正極の製造方法。 - 【請求項3】 前記第2の工程において、前記第1の金
属多孔体シートは、前記予備工程においてロールプレス
機を通過した方向から前記第1の金属多孔体シートの主
面に垂直な軸を回転軸として略90゜回転してロールプ
レス機を通過させる請求項2に記載のアルカリ蓄電池用
正極の製造方法。
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