JP2005235436A - 水素吸蔵合金電極とその製造方法及びニッケル水素蓄電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】特定の構造を有する導電性支持体を用いて、特定の電極構成とすることにより、反応抵抗の低い、高エネルギー密度の水素吸蔵電極とそれを用いたニッケル水素蓄電池を提供する。
【解決手段】水素吸蔵合金とスチレン−ブタジエンゴムまたはその誘導体を主成分とする結着剤とからなる混合合剤と導電性支持体であるメッキされたパンチングメタルから構成される水素吸蔵合金電極であって、前記パンチングメタルは、メッキを除いた板の厚さが30〜45μm、開口径が0.8〜1.2mm、開口率が35〜55%であり、前記結着剤は、水素吸蔵合金粉末に対し固形重量比で0.5〜0.9%含有されており、かつ、前記混合合剤が5.5〜6.5g/ccの密度に形成されているか、水素吸蔵合金電極の体積空間の残存空間が6.6〜21%に形成されていることを特徴とする。また、そのような水素吸蔵合金電極が、5〜15ton/cmの圧延線圧にて、1回のプレスにより形成されることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、水素吸蔵合金電極とその製造方法及びその水素吸蔵合金電極を負極とするニッケル水素蓄電池に関し、さらに詳しくは、その負極のエネルギー密度の向上と生産性の向上に関するものである。
近年、モバイルコンピューター、デジタルカメラなどの移動体電子機器を始めとする小型軽量を求められる電動機器が急速に増加する傾向にある。これらの機器の電源として、密閉型ニッケル水素蓄電池はニッケルカドミウム蓄電池や鉛蓄電池等よりも単位体積および単位質量当たりのエネルギが高い上、環境にクリーンな電源として最近特に注目されている。また、ニッケル水素蓄電池は、過充電時に正極で発生する酸素を水素吸蔵合金負極で吸収する事が可能であるため、充電制御方式がリチウムイオン電池に比べて単純でよく、充電回路も簡単になり安価である利点を有している。
近年さらなる電池の高容量化の要望から、ニッケル水素蓄電池において、特に負極における水素吸蔵合金の高密度充填が必須要件となっている。
このため、前記ニッケル水素蓄電池用の負極である水素吸蔵合金電極の導電性支持体としてはパンチングメタル、エキスパンドメタルのような2次元集電体が繊維ニッケル、発泡ニッケル、立体型基材等の3次元集電体に比較してエネルギー密度に優れており、中でも経済性に優れたパンチングメタルを用いることが主流となっている。
高エネルギー密度な負極を制作する場合、パンチングメタルの開口率が高く、厚さが薄いい方がよいが、破断しやすくなる問題を有する。また、電極のプレス後の混合合剤密度が高い方が高エネルギー密度となるが、高い混合合剤密度を有する負極は、プレス時の延伸のため電極の強度が低下して、巻き込み時に電極が破断するといった問題を有する。
これらの問題を解決するため、特許文献1には、「厚さが30〜100μmで、開口率が30〜70%である多数の孔を有する導電性基板と、水素吸蔵合金」を用いた「密度Xが4.5〜6.6g/ccである負極を備える」(X=W/(V1−V2) 但し、Wは水素吸蔵合金の重量、V1は前記負極の見掛け体積、V2は前記導電性基板の体積)ニッケル水素二次電池の発明が開示されている。
この方法によれば、合金―パンチングメタル間の抵抗の少ない、脱落のしにくい負極が得られる(段落[0053])ものの、その効果は十分でない。それは、厚さ、開口率の範囲が広いものであり、平均孔径との関係では、開口率35%で、平均孔径0.5〜2.5mmのパンチングメタルを用いた実施例(負極の密度Xは5.5g/cc)がある(段落[0068])ものの、厚さ60μm、平均孔径0.5mm、2.0mm、2.5mmで実施しているにすぎず、厚さ、開口率、平均孔径(開口径)についての検討が不十分であるためである。
特開2000−357509号公報
また、特許文献2には、「厚さが30〜100μmで、開口率が30〜70%である多数の孔を有する導電性基板に水素吸蔵合金を含むペーストを塗布し、得られた塗布体」を用いた「前記塗布体にC/Bが0.1から2ton/mmになるようにロールプレスを施す」(但し、Bは前記塗布体の幅のうちロールの軸に沿う方向の幅であり、Cは上下ロールによる延伸荷重である)ニッケル水素二次電池の製造方法の発明が開示されている。
この方法によれば、合金―パンチングメタル間の抵抗の少ない、脱落のしにくい電極が得られる(段落[0049])ものの、その効果は十分でない。それは、厚さ、開口率の範囲が広いものであり、平均孔径との関係では、厚さ60μm、開口率60%で、平均孔径0.5mm、2.0mm、2.5mmの実施例がある(段落[0064])にすぎず、厚さ、開口率、平均孔径(開口径)についての検討が不十分であるためである。
特開2000−357510号公報
また、特許文献3には、「パンチドメタルとして開孔率が45〜70%」の集電体(導電性支持体)を用いた水素吸蔵合金電極の発明が開示されている。
この方法によれば、電極の利用率が高く、加圧形成時にパンチングメタルが破断したり、乾燥したペーストが剥離するのを防ぐことができるものの、その効果は十分でない。それは、孔径(開口径)2.0mm、厚さ0.1mmの実施例があるにすぎず、開孔率(開口率)以外の条件が未検討であるためである。
特開平3−261072号公報
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、特定の構造を有する導電性支持体を用いて、特定の電極構成とすることにより、反応抵抗の低い、高エネルギー密度の水素吸蔵電極とそれを用いたニッケル水素蓄電池を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討の結果、水素吸蔵合金電極に用いる導電性支持体の構造を特定のものとし、一定の密度以上に形成することによって、電池内部の電気化学反応に何らの効果をもたらさない、不純物である結着剤を極めて少量に低減しても、驚くべきことに、活物質が脱落しにくく、巻き込み時の短絡を発生させない水素吸蔵合金電極が得られることを見いだし、本発明に至った。
また、本発明に係わる水素吸蔵合金電極の製造方法においては、後述のように水素吸蔵合金の水分を特定のレベルまで低減させ、特定の高い圧延線圧で1回のロールプレスを行うことによって、導電性支持体であるニッケルメッキされたパンチングメタルが、驚くべき低伸び率に抑えられ、優れた強度を持つ水素吸蔵合金電極が得られるものである。
上記の課題を解決するための本発明の手段は以下のとおりである。
(1)水素吸蔵合金とスチレン−ブタジエンゴムまたはその誘導体を主成分とする結着剤とからなる混合合剤と導電性支持体であるメッキされたパンチングメタルから構成される水素吸蔵合金電極であって、
前記パンチングメタルは
メッキを除いた板の厚さが30〜45μm、
開口径が0.8〜1.2mm、
開口率が35〜55%であり、
前記結着剤は
水素吸蔵合金に対し固形重量比で0.5〜0.9%含有されており、
かつ、前記水素吸蔵合金が5.5〜6.5g/ccの合金密度に形成されていることを特徴とする水素吸蔵合金電極である。
(2)水素吸蔵合金とスチレン−ブタジエンゴムまたはその誘導体を主成分とする結着剤とからなる混合合剤と導電性支持体であるメッキされたパンチングメタルから構成される水素吸蔵合金電極であって、
前記パンチングメタルは
メッキを除いた板の厚さが30〜45μm、
開口径が0.8〜1.2mm、
開口率が35〜55%であり、
前記結着剤は
水素吸蔵合金に対し固形重量比で0.5〜0.9%含有されており、
かつ、前記水素吸蔵合金電極の体積空間の残存空間(空孔率もしくはポロシティーとも呼ぶ)が6.6〜21%に形成されていることを特徴とする水素吸蔵合金電極である。
(3)前記メッキされたパンチングメタルが、ニッケルメッキされた鋼板から構成されるものであり、前記厚さが、ニッケルメッキを除いた鋼板の厚さであることを特徴とする前記(1)又は(2)の水素吸蔵合金電極である。
(4)前記導電性支持体として、メッキされたパンチングメタルの代わりに、メッキしないパンチングメタルを使用し、前記パンチングメタルの厚さを30〜45μmとしたことを特徴とする前記(1)又は(2)の水素吸蔵合金電極である。
(5)水素吸蔵合金とスチレン−ブタジエンゴムまたはその誘導体を主成分とする結着剤とからなる混合合剤と導電性支持体であるメッキされたパンチングメタルから構成される水素吸蔵合金電極の製造方法であって、
前記パンチングメタルは
メッキを除いた板の厚さが30〜45μm、
開口径が0.8〜1.2mm、
開口率が35〜55%であり、
前記結着剤は
水素吸蔵合金に対し固形重量比で0.5〜0.9%含有されており、
かつ、前記水素吸蔵合金電極が、5〜15ton/cmの圧延線圧にて、1回のプレスにより形成されることを特徴とする水素吸蔵合金電極の製造方法である。
(6)前記水素吸蔵合金が5.5〜6.5g/ccの合金密度に形成されることを特徴とする前記(5)の水素吸蔵合金電極の製造方法である。
(7)前記水素吸蔵合金電極の体積空間の残存空間が6.6〜21%に形成されることを特徴とする前記(5)又は(6)の水素吸蔵合金電極の製造方法である。
(8)前記メッキされたパンチングメタルが、ニッケルメッキされた鋼板から構成されるものであり、前記厚さが、ニッケルメッキを除いた鋼板の厚さであることを特徴とする前記(5)〜(7)のいずれか一の水素吸蔵合金電極の製造方法である。
(9)前記導電性支持体として、メッキされたパンチングメタルの代わりに、メッキしないパンチングメタルを使用し、前記パンチングメタルの厚さを30〜45μmとしたことを特徴とする前記(5)〜(7)のいずれか一の水素吸蔵合金電極の製造方法である。
(10)前記(1)〜(4)のいずれか一の水素吸蔵合金電極が、負極であることを特徴とするニッケル水素蓄電池である。
ここで、開口径とは、パンチングメタルに形成された円形の孔の直径、開口率とはパンチングメタルのパンチング形成部における、パンチング形成面積である。
スチレン−ブタジエンゴムまたはその誘導体を主成分とする結着剤の量は、乾燥後の固形分の重量比である。
合金密度とは、パンチングメタルを含む水素吸蔵合金電極の見掛けの単位体積に含まれる合金の重量を指す。
また、パンチングメタルを含む水素吸蔵合金電極の体積空間の残存空間を水銀ポロシメーターを用いて測定し、該測定値を残存空間(%)とした。
圧延線圧とは、上下ロールによる延伸加重をかけたときの圧延加重を、パンチングメタルに塗布された負極合剤が上下ロールに挟み込まれたときの、ロールの軸に沿う方向の接触幅で割った値のことである
高容量密度を有し反応抵抗の小さく、かつ生産性に優れた水素吸蔵合金電極を提供できる。その結果、負極体積を減らして、その分の電池内空間を正極に回し、高容量化をすることができ、優れた高エネルギー密度の電池を提供できる。
以下に、本発明を実施するための形態を例示するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。また、作用機構については尚推定を含む部分があり、その作用機構の正否は、本発明を制限するものではない。
本発明者らは、水素吸蔵合金電極の単位体積あたりのエネルギー密度を向上させるため、水素吸蔵合金とスチレン−ブタジエンゴムまたはその誘導体を主成分とする結着剤を用いる混合合剤中の結着剤量の低減を検討した結果、スチレン−ブタジエンゴムまたはその誘導体を主成分とする結着剤を用いた場合、高い合金密度に形成すると、少ない結着剤の量で高い結着力を示すことを確認した。
中でも、合金密度が5.5g/cc以上、又は、水素吸蔵合金電極の残存空間が21%以下では優れた結着力を示し、電池の巻き込み時に活物質の脱落を低減し、短絡不良率を大幅に低減することができた。
これは、スチレン−ブタジエンゴムまたはその誘導体を主成分とする結着剤は合金との混合合剤中で微粒子となり均一分散されているが、高い合金密度に形成すると、このスチレン−ブタジエンゴムまたはその誘導体を主成分とする結着剤が合金との接触点で押しつぶされ、接触面積が大きくなったために向上するものと考えられる。
6.5g/ccを超えて合金密度を挙げたり、水素吸蔵合金電極の残存空間が6.6%未満であると接着強度が高まりすぎ、電極が堅くなり、巻き込み時に割れを生じやすくなり、活物質のバリが発生する。また、パンチングメタルの強度が不足して、圧延されてしまい、電極が伸び、導電性支持体が巻き込み時に破断するなどの問題を発生した。これらのことから、巻き込み時不良率を大幅に低減するため、合金密度は5.5〜6.5g/cc、水素吸蔵合金電極の残存空間は6.6〜21%が好ましい。
そこで、本発明者らは、一定の高密度を形成した水素吸蔵合金と結着剤を含有する合剤を用いて、パンチングメタルの形状について検討を行った結果、驚くべき結着力と低い反応抵抗を有する水素吸蔵合金電極が得られることが判った。
中でも、パンチングメタルの開口径が1.2mm以下になると、極めて優れた結着力を示し、電池の巻き込み時に活物質の脱落を低減し、短絡不良率を大幅に低減することができた。
開口径は、前記のとおり1.2mm以下で優れた結着力を有するものの、0.8mmより小さくなると、パンチングメタルのパンチの径が小さくなるため強度が低下し、数百mの製造でピンが折れるなどの問題が生じ、生産性が急激に悪くなる。また、同一の開口率を維持するために、ピッチ間隔(孔と孔の間隔)が狭くなり、極端に強度が低下し、プレス時にパンチングメタルが破断するといった問題が発生した。
このため、開口径は0.8〜1.2mmが好ましい。
パンチングメタルの開口率は、高い方がエネルギー密度に優れた電極が得られるものの、55%を超えると、パンチングメタルの強度が極端に低下して、圧延されてしまい、電極が伸び、導電性支持体が巻き込み時に破断するなどの問題を発生した。35%を下回ると、パンチングメタルのパンチング間隔が開きすぎ、活物質の結着力が不足して、脱落を発生し、巻き込み時の短絡不良率を上げてしまった。
これらのことから、巻き込み時不良率を大幅に低減するため、開口率は35〜55%が好ましい。
メッキされたパンチングメタルのメッキを除いた板の厚さが30μmより小さくなると、強度が低下し、プレス時にパンチングメタルが破断するといった問題や、巻き込み時に破断して不良率が増大した。
パンチングメタルの厚さが増加すれば強度は大きくなるものの、パンチングメタルが電極に占める体積が相対的に大きくなり、電極の容量密度が低下してしまう。
これらのことから、パンチングメタルのメッキを除いた板の厚さは30〜45μmであることが好ましい。
パンチングメタルのメッキは強度にあまり関係しないので、パンチングメタルをメッキしない場合でも、同様の厚さとすればよい。
メッキされたパンチングメタルは、ニッケルメッキされた鋼板から構成するのが好ましい。ニッケルメッキされた鋼板からなるパンチングメタルは、ニッケル製パンチングメタルに比べて安価であり、硬度が低いため捲回し易く、また、鋼板製パンチングメタルに比べて耐食性が高いというメリットがある。さらに、ニッケルメッキによって粗面を形成することにより結着材との結着性を増すことができる。
メッキの厚さは、1〜5μmとすることが好ましい。1μm未満では耐食性向上効果が十分でなく、5μmを超えると支持体の厚さが厚くなって活物質充填のスペースが小さくなる。
スチレン−ブタジエンゴムまたはその誘導体を主成分とする結着剤の含有量は、水素吸蔵合金に対し0.9%を超えると反応抵抗を増大させ、効率放電に優れなくなることが確認された。また、比重の小さい結着剤の量が増加するためエネルギー密度が低下するため、サイクル寿命性能が低下した。
また、0.5%を下回ると、活物質の結着力が不足して、脱落を発生し、巻き込み時の短絡不良率を上げてしまった。
これらのことから、結着剤量は、水素吸蔵合金に対し固形重量比で0.5〜0.9%とすることが好ましい。
水素吸蔵合金のプレスは、低い線圧であっても数回プレスすることによって、高い密度の電極を得ることができる。しかしながら、複数回プレスして形成した電極は、圧延されて伸びてしまい、パンチングメタルの強度を低下させてしまう。
4回の圧延にて密度を形成できる線圧では、電極の破断強度を超えてしまい、プレス時にバラバラに破断してしまった。
このため、1回のプレスで十分な線圧を加えて電極を形成することが望ましい。
水素吸蔵合金は第3類引火性固体であり、作業中の静電気などにより発火するおそれがある。このため、あらかじめ一定の水分を含有した状態で、プレス加工することが望ましい。
しかしながら、電極が2%以上の水分含有状態では、プレス時のロールに付着して加工できない。また、0.5を超える水分含有状態では、活物質同士が滑るためか、プレス時に電極の伸びが大きくなり、電極強度が低下する。
電極の水分が0.05%を下回ると静電気が発生しやすく、加工時の粉塵などを集塵機で回収した場合、発火するなどの問題を発生した。
このため、水分率は0.05〜0.5%が好ましい。
本発明の水素吸蔵合金電極(負極)の主構成要素である負極活物質としての水素吸蔵合金は、水素吸蔵が可能なAB2系、AB5系などの合金であれば何でも良い。
AB5型の合金のMmNi5(Mmは希土類元素の混合物)のNiの一部をCo,Mn,Al,Cu等で置換した合金が、優れたサイクル寿命特性と高い放電容量を持つので好ましい。
特に合金に対してあらかじめアルカリ金属溶液で処理した、表面処理合金は優れた効率放電特性を有するので好ましい。
防触添加剤として、イットリウム、イッテルビウム、エルビウムの他に、ガドリウム、セリウムを酸化物や水酸化物を添加したり、予め水素吸蔵合金に金属として含有させても良い。
負極材料の粉体は、平均粒子サイズ50μm以下であることが望ましい。特に、負極活物質である水素吸蔵合金の粉体は、密閉型ニッケル水素電池の高出力特性を向上する目的で粒径は40μm以下の小さいものの方が良いが、高いサイクル寿命を得るためには粒径が20μm以上の大きいものの方が良い。
粉体を所定の形状で得るためには粉砕機や分級機が用いられる。例えば乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェトミル、ハンマーミル、旋回気流型ジェットミルや篩等が用いられる。粉砕時には水、あるいはアルカリ金属を含有した水溶液を用いて湿式粉砕を用いることもできる。分級方法としては、特に限定はなく、篩や風力分級機などが、乾式、湿式ともに必要に応じて用いられる。
以上、水素吸蔵合金電極の主要構成成分である負極活物質について詳述したが、前記負極には、前記主要構成成分の他に、導電剤、結着剤、増粘剤、フィラー等が、他の構成成分として含有されてもよい。
導電剤としては、電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば限定されないが、通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛,鱗片状黒鉛,土状黒鉛等)、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウイスカー、炭素繊維、気相成長炭素、金属(銅,ニッケル,金等)粉、金属繊維等の導電性材料を1種またはそれらの混合物として含ませることができる。
これらの中で、導電剤としては、電子伝導性及び塗工性の観点よりケチェンブラックが望ましい。導電剤の添加量は、正極または負極の総重量に対して0.1重量%〜2重量%が導電性を有しつつ、負極の容量を大きく低下させないことから好ましい。特にケッチェンブラックを0.1〜0.5μmの超微粒子に粉砕して用いると必要炭素量を削減できるため望ましい。これらの混合方法は、物理的な混合であり、その理想とするところは均一混合である。そのため、V型混合機、S型混合機、擂かい機、ボールミル、遊星ボールミルといったような粉体混合機を乾式、あるいは湿式で混合することが可能である。
増粘剤としては、通常、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、キサンタンガム等の多糖類等を1種または2種以上の混合物として用いることができる。増粘剤の添加量は、負極の総重量に対して0.1〜3重量%が好ましい。
フィラーとしては、電池性能に悪影響を及ぼさない材料であれば何でも良い。通常、ポリプロピレン,ポリエチレン等のオレフィン系ポリマー、炭素等が用いられる。フィラーの添加量は、負極の総重量に対して添加量は1重量%以下が好ましい。
負極は、前記活物質、導電剤および結着剤を水やアルコール、トルエン等の有機溶媒に混合させた後、得られた混合液を下記に詳述する集電体の上に塗布し、乾燥することによって、好適に作製される。前記塗布方法については、例えば、アプリケーターロールなどのローラーコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレード方式、スピンコーティング、バーコータ等の手段を用いて任意の厚さおよび任意の形状に塗布することが望ましいが、これらに限定されるものではない。
パンチングメタルは、構成された電池において悪影響を及ぼさない電子伝導体であればよい。
例えば、ニッケルやニッケルメッキした鋼板を好適に用いることができ、凸凹加工を施しても良い。強度と耐食性の確保のため純度98.5%以上の鉄からなる鋼板を用いるのが一般的である。
メッキ直後は、鋼板の微細な露出部が存在するため、アニール処理によるメッキの均一化を施すことが好ましい。
焼成炭素、導電性高分子の他に、接着性、導電性および耐酸化性向上の目的で、電極の表面をNi粉末やカーボンや白金等を付着させて処理したものやメッキしたものを用いることができる。これらの材料については表面を酸化処理することも可能である。
以下に、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の記載により限定されるものではなく、試験方法や構成する電池の正極活物質、負極材料、正極、負極、電解質、セパレータ並びに電池形状等は任意である。
(正極板の作成)
硫酸ニッケルと硫酸亜鉛および硫酸コバルトを所定比で溶解した水溶液に硫酸アンモニウムと苛性ソーダ水溶液を添加してアンミン錯体を生成させた。反応系を激しく撹拌しながら更に苛性ソーダを滴下し、反応系のpHを10〜13に制御して芯層母材となる球状高密度水酸化ニッケル粒子を水酸化ニッケル:水酸化亜鉛:水酸化コバルト=88.45:5.12:1.1の比となるように合成した。
(水酸化ニッケル粒子表面への表面層の形成)
前記高密度水酸化ニッケル粒子を、苛性ソーダでpH10〜13に制御したアルカリ水溶液に投入した。該溶液を撹拌しながら、所定濃度の硫酸コバルト、アンモニアを含む水溶液を滴下した。この間、苛性ソーダ水溶液を適宜滴下して反応浴のpHを10〜13の範囲に維持した。約1時間pHを10〜13の範囲に保持し、水酸化ニッケル粒子表面にCoを含む混合水酸化物から成る表面層を形成させた。該混合水酸化物の表面層の比率は芯層母粒子(以下単に芯層と記述する)に対して、4.0wt%であった。
(表面層の酸化処理)
前記混合水酸化物から成る表面層を有する水酸化ニッケル粒子50gを、温度110℃の30wt%(10N)の苛性ソーダ水溶液に投入し、充分に攪拌した。続いて表面層に含まれるコバルトの水酸化物の当量に対して過剰のK228を添加し、粒子表面から酸素ガスが発生するのを確認した。活物質粒子をろ過し、水洗、乾燥した。
(正極板の作製)
前記活物質粒子にカルボキシメチルセルローズ(CMC)水溶液を添加して前記活物質粒子:CMC溶質=99.5:0.5のペースト状とし、該ペーストを380g/m2のニッケル多孔体(住友電工(株)社製ニッケルセルメット#8)に充填した。その後80℃で乾燥した後、所定の厚さにプレスし、表面にテフロン(登録商標)コーティングを行い幅44mm長さ98.5mm(無塗工部4×7mm)の容量2300mAhのニッケル正極板とした。
(負極の作製)
粒径50μmのAB5型希土類系のMmNi3.6Co0.6Al0.3Mn0.35の組成を有する水素吸蔵合金とスチレンブタジエン共重合体とヒドロキシプロピルメチルセルロースを100:0.7:0.2の割合で混合し、水で分散してペースト状にし、ブレードコーターを用いて、鉄にニッケルメッキを施した開口径1.0mm、開口率43.2%、厚さ35μmのパンチング鋼板に塗布し、80℃で乾燥した。この塗布電極の水分率は0.1%だった。この塗布電極を合金の充填密度が6.0g/ccとなるよう圧延線圧9.0ton/cmにて1回のプレスを行い所定の厚さとし、幅44mm長さ130mmの容量3000mAhの水素吸蔵合金負極板とした。
このようにして得られた水素吸蔵合金電極を本発明電極1とする。
(評価電池の作製)
前記水素吸蔵合金負極板とスルフォン化処理を施した厚さ110μmのポリプロピレンの不織布状セパレータと前記ニッケル極板とを組み合わせてロール状に巻回した。
このようにして作成した未注液の電池(捲回体)を本発明電池1とする。
この捲回体に直流電源にて150Vの電圧印可を行い、0.1MΩ以下の抵抗を有する電池を短絡電池として短絡検査を行った。
(評価用単極電池の作製)
また、水素吸蔵合金電極の直流分極を評価するため、前記水素吸蔵合金電極を幅30mm長さ32mmとなるよう裁断し500mAhの電極とした。この合金電極をスルフォン化処理を施した厚さ110μmのポリプロピレンの不織布状セパレータを介して幅40mm長さ40mmに裁断した前記ニッケル極板4枚で挟み込み、6.8Nの水酸化カリウム水溶液に0.8Nの水酸化リチウムを溶解したアルカリ電解液を注液し液過剰の単極評価用電池を作製した。
単極評価用の第三電極としてHg/HgO電極を用いて負極電圧を測定した。
この単電池を25℃12時間の保管処理の後、負極容量の0.02ItAにて120mAh充電し、0.1ItAで10時間充電した後、0.2ItAで−0.6Vまで放電した後、0.1ItAで12時間充電、0.2ItAで−0.6Vまで放電する操作を4回繰り返した。この後、0.1ItAで12時間充電した後、5ItA放電を10秒間行い、この25℃での0〜10秒目までの電圧低下から算出される直流抵抗を測定した。
この抵抗値を反応抵抗値とした。
前記負極の作製においてスチレンブタジエン共重合体の混合量を0.5%としたこと以外は、実施例1と同様にして水素吸蔵合金電極を作成した。
この得られた水素吸蔵合金電極を本発明電極2とし、前記の方法によって作成した電池を本発明電池2とする。
前記負極の作製においてスチレンブタジエン共重合体の混合量を0.9%としたこと以外は、実施例1と同様にして水素吸蔵合金電極を作成した。
この得られた水素吸蔵合金電極を本発明電極3とし、前記の方法によって作成した電池を本発明電池3とする。
(比較例1、2)
前記負極の作製においてスチレンブタジエン共重合体の混合量を0.4%、1.5%としたこと以外は、実施例1と同様にして水素吸蔵合金電極を作成した。これらの得られた水素吸蔵合金電極を比較例電極1、比較例電極2とし、電池を比較例電池1、比較例電池2とする。
表1に、実施例1〜3、比較例1、2の合金に対するスチレンブタジエン共重合体(以下SBRと略記する)の混合量、捲回体の短絡不良率、反応抵抗について示す。
Figure 2005235436
SBR混合量が0.4%のとき短絡不良率大幅に増加したが、これはSBR混合量が少なくなると合金合剤粉末の脱落や剥離が起こりやすくなったためであると考えられる。
一方、反応抵抗値はSBR量の増加と共に増加しており、SBR混合量が1.5%では反応抵抗値が大幅に増加してしまう。これは絶縁抵抗体であるSBRの増加による粒子間抵抗の増加やSBRの合金表面被覆による反応界面量の減少が原因であると考えられる。
したがって、混合するSBRの量は0.5〜0.9%がよい。
次にパンチングメタルの厚さについて検討した。
前記負極の作製においてパンチングメタルのメッキを除いた鋼板の厚さを30μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして水素吸蔵合金電極を作成した。この得られた水素吸蔵合金電極を本発明電極4とし、電池を本発明電池4とする。
前記負極の作製においてパンチングメタルのメッキを除いた鋼板の厚さを45μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして水素吸蔵合金電極を作製した。この得られた水素吸蔵合金電極を本発明電極5とし、電池を本発明電池5とする。
(比較例3)
前記負極の作製においてパンチングメタルのメッキを除いた鋼板の厚さを25μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして水素吸蔵合金電極を作成した。この水素吸蔵合金電極を比較例電極3とし、電池を比較例電池3とする。
表2に、実施例4、5、比較例3のパンチングメタルのメッキを除いた鋼板の厚さと短絡不良率について示す。
Figure 2005235436
メッキを除いた鋼板の厚さが25μmのものはプレス時や捲回時に電極が破断してしまった。パンチングメタルの厚さが薄くなりすぎると強度が低下するためである。
一方、パンチングメタルの厚さが増加すれば強度は大きくなるものの、パンチングメタルが電極にしめる体積が相対的に大きくなり、電極の容量密度が低下してしまう。
よってパンチングメタルのメッキを除いた板の厚さは30〜45μmとすることが好ましい。
次に開口部のピッチ間隔(孔と孔の間隔)を変更し作製したパンチングメタルを支持体として水素吸蔵合金電極を構成することにより、パンチングメタルの開口率についての検討を行った。
前記負極の作製においてパンチングメタルの開口径を1.2mmとし、ピッチ間隔を変更して開口率を54.0%としたこと以外は、実施例1と同様にして水素吸蔵合金電極を作成した。この得られた水素吸蔵合金電極を本発明電極6とし、電池を本発明電池6とする。
前記負極の作製においてパンチングメタルの開口径を1.2mmとし、ピッチ間隔を変更して開口率を47.1%としたこと以外は、実施例1と同様にして水素吸蔵合金電極を作成した。この得られた水素吸蔵合金電極を本発明電極7とし、電池を本発明電池7とする。
前記負極の作製においてパンチングメタルの開口径を1.2mmとし、ピッチ間隔を変更して開口率を41.6%としたこと以外は、実施例1と同様にして水素吸蔵合金電極を作成した。この得られた水素吸蔵合金電極を本発明電極8とし、電池を本発明電池8とする。
前記負極の作製においてパンチングメタルの開口径を1.2mmとし、ピッチ間隔を変更して開口率を36.7%としたこと以外は、実施例1と同様にして水素吸蔵合金電極を作成した。この得られた水素吸蔵合金電極を本発明電極9とし、電池を本発明電池9とする。
(比較例4、5)
前記負極の作製においてパンチングメタルの開口径を1.2mmとし、ピッチ間隔を変更して開口率を62.1%、33.1%としたこと以外は、実施例1と同様にして水素吸蔵合金電極を作成した。これらの得られた水素吸蔵合金電極を比較例電極4、比較例電極5とし、電池を比較例電池4、比較例電池5とする。
表3に、実施例6〜9、比較例4、5のパンチングメタルの開口率とピッチ間隔の最短距離(一般に骨(bar)と呼ばれる)、短絡不良率について示す。
Figure 2005235436
電極の容量密度を高くするためには開口率がより高い方が有利であるが、開口率が62.1%になると電極圧延時および捲回時に電極の破断が発生した。これは開口率を高くしていくとピッチ間隔が小さくなってしまい強度が低下するためである。
また、開口率が33.1%の時に短絡不良率が大幅に増加しているのは、ピッチ間隔が増大しており合金脱落・剥離が増加していることが原因である。これらの合金結着性の低下原因としては、プレス時に開口部分と無孔部分での合金合剤のプレス圧縮率が異なることでプレス粗密が出来やすくなることや、無孔部での合金の鋼板平面への金属結着が弱く剥離しやすくなることなどが考えられる。
これらのことから、開口率は35〜55%とすることが好ましい。特に、開口率が36.7〜54.0%とすると短絡不良が少なく機械的強度に優れた水素吸蔵合金電極を作製できる。
次に開口径を変更し作製したパンチングメタルを支持体として水素吸蔵合金電極を構成することにより、パンチングメタルの開口径についての検討を行った。
前記負極の作製においてパンチングメタルの開口径を0.8mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして水素吸蔵合金電極を作成した。この得られた水素吸蔵合金電極を本発明電極10とし、電池を本発明電極10とする。
前記負極の作製においてパンチングメタルの開口径を1.2mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして水素吸蔵合金電極を作成した。この得られた水素吸蔵合金電極を本発明電極11とし、電池を電池を本発明電池11とする。
(比較例6、7)
前記負極の作製においてパンチングメタルの開口径を1.7mm、2.0mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして水素吸蔵合金電極を作成した。これらの得られた水素吸蔵合金電極を比較例電極6、比較例電極7とし、電池を比較例電池6、比較例電池7とする。
表4に、実施例10、11、比較例6、7のパンチングメタルの開口径と短絡不良率の関係について示す。
Figure 2005235436
開口径を大きくしていくと、開口率の検討の項と同様に合金合剤粉末の脱落や剥離が起こりやすくなり、1.7mm以上では短絡不良率が増加する。また、開口径が大きいと集電体から合金までの平均距離が増加し集電効率が低下することは公知の事項である。
一方開口径が小さいときは短絡不良率は小さいものの、開口径が0.8mmよりも小さいとピッチ間隔が小さくなるため強度が低下し電極が破断しやすくなる。
以上により、合金の開口径は0.8〜1.2mmのものを用いるのがよい。
次に水素吸蔵合金電極のプレス時をするときの圧延線圧とプレス回数を変えることにより、プレス条件と合金密度の検討を行った。
前記負極の作製において、電極のプレスを圧延線圧15.0ton/cmにて1回行い合金の充填密度を変化させたこと以外は、実施例1と同様にして水素吸蔵合金電極を作成した。この得られた水素吸蔵合金電極を本発明電極12とし、電池を本発明電池12とする。
前記負極の作製において、電極のプレスを圧延線圧5.0ton/cmにて1回行い合金の充填密度を変化させたこと以外は、実施例1と同様にして水素吸蔵合金電極を作成した。この得られた水素吸蔵合金電極を本発明電極13とし、電池を本発明電池13とする。
(比較例8〜12)
前記負極の作製において電極のプレスを圧延線圧20.0、3.0、1.0ton/cmにて1回行い合金の充填密度を変化させたこと以外は、実施例1と同様にして水素吸蔵合金電極を作成した。これらの水素吸蔵合金電極の製法を比較例製法1、比較例製法2、比較例製法3とする。
また、前記負極の作製において電極のプレスを圧延線圧3.0ton/cmにて2、3回と複数回行い合金の充填密度を変化させたこと以外は、実施例1と同様にして水素吸蔵合金電極を作成した。これらの水素吸蔵合金電極の製法を比較例製法4、比較例製法5とする。
表5に、実施例12〜13、比較例8〜12の電極プレス時の圧延線圧とプレス回数、合金密度、短絡不良率について示す。
Figure 2005235436
圧延線圧を大きくするとそれに伴い1回のプレスで形成される電極の合金密度が高くなるが、圧延線圧が3.0ton/cmよりも低いときときは合金密度が4.5g/cc以下であり、これら合金密度が小さいものは合金脱落に起因する短絡不良が増加した。
合金密度が6.5g/ccを超えるものについても検討したが、1回のプレスで充填密度を高くすることが難しく、プレス後の電極が破断しやすくなったり、合金粒子が強いプレスにより粉砕され微粉化されるなどの不具合が発生した。
一方、同圧延線圧でプレス回数を増やすことによっても合金密度は高くなるが、電極の伸び率が大きく極板が断裂してしまった。
このことから、電極のプレスは高い圧延線圧をかけ1回でおこなうのが好ましく、そのときの圧延線圧は5〜15ton/cmとするのが好ましい。また、そのときに形成される水素吸蔵合金電極の合金密度は5.5g〜6.5/ccとするのがよい。
前記負極の作製において、電極のプレスを圧延線圧を変化させて1回行い合金の充填密度を3.50g/ccから6.80g/ccまで変化させたこと以外は、実施例1と同様にして水素吸蔵合金電極を作成した。水銀ポロシメータを用いて、これらの得られた水素吸蔵合金電極の体積空間の残存空間(極板残存空間:ポロシティー)を測定した。
表6及び図1に、合金密度と極板残存空間(ポロシティー)の関係について示す。
Figure 2005235436
表6及び図1から、合金密度と極板残存空間(ポロシティー)は反比例し、合金密度5.5g〜6.5/ccが極板残存空間21〜6.6%に対応することが分かる。
電極のプレス状態を表す値として種々の指標があるが、合金の組成、SBRの分子量などによって、真密度が変わるため、電池設計上(液量空間設計)からは合金密度ではなく極板残存空間(ポロシティー)で管理することが好ましい。
なお、詳細は省くが、鋼板に代えて、例えばニッケルのような耐食性に優れた材質のものを用いることによって、メッキを省くこともできる。この場合のパンチングメタルの厚さは、前記実施例で示したニッケルメッキを施した鋼板におけるメッキの厚さを除いた厚さと同様30〜45μmが好ましい。
また、本発明は上記実施例に記載された活物質の出発原料、製造方法、正極、負極、電解質、セパレータ及び電池形状などに限定されるものではない。
合金密度と極板残存空間の関係を示す図である。

Claims (10)

  1. 水素吸蔵合金とスチレン−ブタジエンゴムまたはその誘導体を主成分とする結着剤とからなる混合合剤と導電性支持体であるメッキされたパンチングメタルから構成される水素吸蔵合金電極であって、
    前記パンチングメタルは
    メッキを除いた板の厚さが30〜45μm、
    開口径が0.8〜1.2mm、
    開口率が35〜55%であり、
    前記結着剤は
    水素吸蔵合金に対し固形重量比で0.5〜0.9%含有されており、
    かつ、前記水素吸蔵合金が5.5〜6.5g/ccの合金密度に形成されていることを特徴とする水素吸蔵合金電極。
  2. 水素吸蔵合金とスチレン−ブタジエンゴムまたはその誘導体を主成分とする結着剤とからなる混合合剤と導電性支持体であるメッキされたパンチングメタルから構成される水素吸蔵合金電極であって、
    前記パンチングメタルは
    メッキを除いた板の厚さが30〜45μm、
    開口径が0.8〜1.2mm、
    開口率が35〜55%であり、
    前記結着剤は
    水素吸蔵合金に対し固形重量比で0.5〜0.9%含有されており、
    かつ、前記水素吸蔵合金電極の体積空間の残存空間が6.6〜21%に形成されていることを特徴とする水素吸蔵合金電極。
  3. 前記メッキされたパンチングメタルが、ニッケルメッキされた鋼板から構成されるものであり、前記厚さが、ニッケルメッキを除いた鋼板の厚さであることを特徴とする請求項1又は2に記載の水素吸蔵合金電極。
  4. 前記導電性支持体として、メッキされたパンチングメタルの代わりに、メッキしないパンチングメタルを使用し、前記パンチングメタルの厚さを30〜45μmとしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の水素吸蔵合金電極。
  5. 水素吸蔵合金とスチレン−ブタジエンゴムまたはその誘導体を主成分とする結着剤とからなる混合合剤と導電性支持体であるメッキされたパンチングメタルから構成される水素吸蔵合金電極の製造方法であって、
    前記パンチングメタルは
    メッキを除いた板の厚さが30〜45μm、
    開口径が0.8〜1.2mm、
    開口率が35〜55%であり、
    前記結着剤は
    水素吸蔵合金に対し固形重量比で0.5〜0.9%含有されており、
    かつ、前記水素吸蔵合金電極が、5〜15ton/cmの圧延線圧にて、1回のプレスにより形成されることを特徴とする水素吸蔵合金電極の製造方法。
  6. 前記水素吸蔵合金が5.5〜6.5g/ccの合金密度に形成されることを特徴とする請求項5に記載の水素吸蔵合金電極の製造方法。
  7. 前記水素吸蔵合金電極の体積空間の残存空間が6.6〜21%に形成されることを特徴とする請求項5又は6に記載の水素吸蔵合金電極の製造方法。
  8. 前記メッキされたパンチングメタルが、ニッケルメッキされた鋼板から構成されるものであり、前記厚さが、ニッケルメッキを除いた鋼板の厚さであることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の水素吸蔵合金電極の製造方法。
  9. 前記導電性支持体として、メッキされたパンチングメタルの代わりに、メッキしないパンチングメタルを使用し、前記パンチングメタルの厚さを30〜45μmとしたことを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の水素吸蔵合金電極の製造方法。
  10. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の水素吸蔵合金電極が、負極であることを特徴とするニッケル水素蓄電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN104362303A (zh) * 2014-10-30 2015-02-18 陕西德飞新能源科技有限公司大荔分公司 一种镍氢动力电池负极极片的制备方法

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