JP2001102084A - アルカリ蓄電池およびその製造方法 - Google Patents
アルカリ蓄電池およびその製造方法Info
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Abstract
容量で、高率放電特性に優れた蓄電池を提供する。 【解決手段】 金属多孔体10に活物質スラリーを充填
し、乾燥させた後、所定の厚みになるまで圧延した。こ
の圧延により網状骨格で形成される孔11は圧延方向
(図1(a)の矢印方向)に延伸されて、長径を有する
略楕円形状あるいはその変形形状の孔12となる。つい
で、略楕円形状あるいはその変形形状の孔12の長径方
向が極板の幅方向になるように切断した後、その長さ方
向(圧延方向とは垂直な方向)に一連のローラー間に通
してローラー処理を行った。このローラー処理により、
図1(c)に模式的に示すように、圧延方向とは平行な
方向に、微細な間隔をおいて多数のクラック14が形成
される。
Description
池、ニッケル・カドミウム蓄電池などのアルカリ蓄電池
に係り、特に、三次元的に連続した網状骨格を備えた金
属多孔体に活物質が充填された非焼結式電極と、もう一
方の電極をセパレータを介して渦巻状に巻回した電極群
を備えたアルカリ蓄電池およびその製造方法の改良に関
するものである。
ッケル・水素蓄電池などのアルカリ蓄電池に使用される
ニッケル電極は、金属繊維焼結体や発泡ニッケル(ニッ
ケルスポンジ)などの三次元的に連続した網状骨格をも
った金属多孔体(活物質保持体)に活物質スラリーを直
接充填した、いわゆる非焼結式極板が用いられている。
この種の三次元的に連続した網状骨格をもった金属多孔
体は、その多孔度が約95%と高多孔度であるので、活
物質を高密度に充填できるため、高容量の電池が得られ
るようになるとともに、この種の非焼結式極板は活物質
をそのまま金属多孔体に充填するので、面倒な活物質化
の処理が必要でなくなり、製造が容易になるという利点
がある。
高まり、活物質の充填量を多くすることにより高容量化
の要求に応えるようにしている。しかしながら、活物質
の充填量を多くすることは、活物質を高密度に充填した
り、極板の厚みを厚くすることに繋がり、極板が硬化
し、渦巻状に巻回する際に巻き取り性が大きく低下し
て、製造上の歩留まりが低下し、品質の低下も来すよう
になった。そこで、活物質が充填された極板に柔軟性を
付与して、極板の巻き取り性を向上させるようにしたも
のが、特開昭60−246561号公報、特開昭62−
136760号公報、特開平10−223215号公報
などにおいて提案されるようになった。
ては、三次元的に連続した網状骨格をもった金属多孔体
に活物質を充填し、所定の圧力で加圧処理した後、多数
のローラーを備えたレベラー装置内を通過させるように
している。このように、活物質が充填され、加圧された
極板をレベラー装置内を通過させることにより、極板表
面に多数の亀裂を生じさせて、極板の柔軟性を向上さ
せ、円滑に巻き取ることを可能にしている。
たような各公報にて提案された方法にあっては、三次元
的に連続した網状骨格をもった金属多孔体に活物質を充
填し、これを圧延した後、圧延と同じ方向にローラー処
理するため、亀裂は圧延方向と垂直方向に導入されるこ
ととなる。したがって、亀裂が生じた方向が巻回軸と平
行であるため、必然的に、極板の圧延方向は渦巻状に巻
き取る場合の巻き取り方向となる。
もった金属多孔体には、常に、活物質充填、圧延、ロー
ラー処理の各工程で同一方向に負荷が加わることとな
り、金属多孔体を構成する三次元的に連続した網状骨格
には、塑性変形による加工硬化をもたらすこととなる。
そのため、ローラー処理により極板に亀裂を導入して
も、巻き取り性の向上を図ることは困難な状況になって
いる。
り性を向上させるためには、極板の巻き取り方向に亀裂
間隔を細かく設けることが必要であるが、金属多孔体の
三次元的に連続した網状骨格により形成される孔は、そ
の平面形状が圧延方向に長径となるように延伸されるた
め、この長径に延伸された孔により、亀裂間隔を細かく
設けることが困難となり、極板の巻き取り性を向上させ
るが困難であるという問題も生じた。
するためになされたものであって、活物質充填後の極板
の圧延方向と、ローラー処理の方向との関係を検討した
結果、これらの方向を垂直にすれば極板の巻き取り性が
向上するという知見に基づいてなされたものであり、極
板の巻き取り性が向上した電極体を得て高容量で、高率
放電特性に優れた蓄電池を提供することを第1の目的と
し、極板の巻き取り性が向上した電極体の製造方法を提
供することを第2の目的とするものである。
発明は上記課題を解決するためになされたものであっ
て、上記第1の目的を達成するため、本発明のアルカリ
蓄電池は、金属多孔体の網状骨格によりその平面上に形
成される孔の平面形状は圧延により長径を有する略楕円
形状あるいはその変形形状に延伸されており、非焼結式
電極は孔の長径方向と平行にクラックが形成されている
とともに、該クラックがその短径方向に微小間隔に配列
されており、クラックが巻回軸と平行になるように渦巻
状に巻回されている。
いはその変形形状に延伸された孔の長径方向と平行にク
ラックが形成されていると、クラックは略楕円形状ある
いはその変形形状に延伸された孔の短径方向に配列する
ことができるようになるので、微小の間隔でクラックが
形成されることとなる。このため、この極板をクラック
と平行な方向を巻回軸として渦巻状に巻回されている
と、略真円状に巻回された電極群を形成することが可能
となる。この結果、巻き取り性が向上し、高品質で高容
量な蓄電池が得られるようになる。
クラックの微細化とともに、渦巻状電極群の真円化によ
る構成圧の分散化により、クラックに起因する短絡の発
生を防止できる。また、網状骨格により形成される孔の
短径方向に巻き取られているため、巻き取り時に金属多
孔体に加わる負荷が減少して、局所的な極板の伸びが抑
制され、金属多孔体に発生する網状骨格の切断などの欠
陥の発生を防止できる。この結果、集電性が向上し、高
品質で高容量な蓄電池が得られるようになる。
発明のアルカリ蓄電池の製造方法は、金属多孔体の網状
骨格内に活物質を充填して非焼結式電極とした後、この
非焼結式電極を所定の厚みに圧延する圧延工程と、所定
の厚みに圧延された非焼結式電極を圧延工程による圧延
方向とは垂直方向に一連のローラー間に通して、圧延方
向とは垂直方向に微小間隔で配列されるクラックを圧延
方向とは平行に形成するローラー処理工程と、ローラー
処理工程により形成されたクラック方向が巻回軸と平行
になるように巻回する巻回工程とを備えるようにしてい
る。
れた非焼結式電極を、圧延工程により所定の厚みに圧延
すると、網状骨格により形成される孔の平面形状は長径
を有する略楕円形状あるいはその変形形状に延伸され
る。ついで、この非焼結式電極を一連のローラー間に通
して圧延方向とは垂直の方向に配列するようにクラック
を形成すると、略楕円形状あるいはその変形形状に延伸
された孔の短径方向にクラックが配列されるので、微小
の間隔でクラックが形成される。
をクラック方向が巻回軸と平行になるように巻回する
と、容易に巻回することができるようになるので、略真
円状に巻回された電極体を形成することが可能となる。
また、孔の短径方向に巻き取られているため、巻き取り
時に金属多孔体に加わる負荷が減少して、局所的な極板
の伸びが抑制され、金属多孔体に発生する網状骨格の切
断などの欠陥の発生を防止でき、結果として、集電性が
向上して、高品質で高容量な蓄電池が得られるようにな
る。
った金属多孔体の目付が一定である場合、網状骨格によ
り平面上に形成される孔の1インチ当たりの孔数、即ち
PPIが小さくなると孔径が大きくなって、クラックの
配列間隔は大きくなるが、PPIが大きくなると孔径が
小さくなって、クラックの配列間隔は小さくなる。この
ため、PPIが200以下の三次元的に連続した網状骨
格をもった金属多孔体を備えた非焼結式電極に本発明を
適用すると、略真円の渦巻状電極体が得られ、一層効果
的である。
の蓄電池が得られることとなるが、充填密度を高くする
と高密度充填により極板が硬化する。一方、活物質の充
填密度を低くすれば極板は硬化しないため巻き取り性が
向上する。そして、網状骨格により平面上に形成される
孔の短径方向に巻回する効果を発揮するためには、高容
量化と巻き取り性を考慮すると、活物質の充填密度を
2.6g/cm3−void以上にするのが好ましい。
ここで、活物質の充填密度(g/cm3−void)と
は、三次元的に連続した網状骨格を備えた金属多孔体の
金属部分を除く空孔の容積に対して充填されている活物
質の重量を指す。
蓄電池に適用した場合の一実施の形態を図に基づいて説
明する。なお、本発明は以下の実施の形態に限定される
ものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更し
て実施することができる。なお、図1は実施例の極板を
製造工程に従って模式的に示す図であり、図1(a)は
活物質保持体の一部を模式的に示す平面図であり、図1
(b)はこれを圧延後に1枚の極板形状に切断した状態
を模式的に示す平面図であり、図1(c)はこれをロー
ラー処理した状態を模式的に示す平面図である。
従って模式的に示す図であり、図2(a)は活物質保持
体の一部を模式的に示す平面であり、図2(b)はこれ
を圧延後に1枚の極板形状に切断した状態を模式的に示
す平面図であり、図2(c)はこれをローラー処理した
状態を模式的に示す平面図である。また、図3は比較例
2の極板を製造工程に従って模式的に示す図であり、図
3(a)は活物質保持体の一部を模式的に示す平面図で
あり、図3(b)はこれを圧延後に1枚の極板形状に切
断した状態を模式的に示す平面図である。また、図4は
比較例3の極板を製造工程に従って模式的に示す図であ
り、図4(a)は活物質保持体の一部を模式的に示す平
面図であり、図4(b)はこれを圧延後に1枚の極板形
状に切断した状態を模式的に示す平面図である。図5は
これらの極板と負極板を用いて渦巻状に巻回した状態を
模式的に示す斜視図である。
る)とする活物質粉末100重量部と、0.2重量%の
ヒドロキシプロピルセルロース水溶液40重量部と、P
TFEディスパージョン液1重量部とを添加混合して活
物質スラリーを作製した。
を、多孔度が97%で、厚みが約1.5mmのニッケル
発泡体(この発泡体は三次元的に連続した網状骨格を備
えている)からなる金属多孔体(活物質保持体)10
に、圧延後の活物質充填密度が約2.8g/cm3−v
oidとなるように活物質スラリーを充填した。なお、
図1(a)に模式的に示すように、この金属多孔体10
はその平面上に網状骨格で形成される多数の孔11を備
えている。そして、これらの多数の孔11のPPI(長
さ1インチ当たりの孔11の孔数)は50に調整されて
いる。
0の厚みが約0.7mmになるまで圧延した。なお、図
1(b)に模式的に示すように、この圧延により網状骨
格で形成される孔11は圧延方向(図1(a)の矢印方
向)に延伸されて、長径を有する略楕円形状あるいはそ
の変形形状の孔12となる。ついで、この金属多孔体1
0における略楕円形状あるいはその変形形状の孔12の
長径方向が極板の幅方向となるように切断して、ニッケ
ル極板13を形成した。
板13を、その長さ方向(圧延方向とは垂直な方向)に
一連のローラー間に通してローラー処理を行った。この
ローラー処理により、図1(c)に模式的に示すよう
に、圧延方向とは平行な方向に多数のクラック14を形
成し、実施例のニッケル極板13を作製した。なお、多
数のクラック14は、図1(c)に模式的に示すよう
に、孔12の短径方向に形成されるため、これらのクラ
ック14は微細な間隔で形成されることとなる。
度が97%で、厚みが約1.5mmのニッケル発泡体
(この発泡体は三次元的に連続した網状骨格を備えてい
る)からなる金属多孔体(活物質保持体)20に、圧延
後の活物質充填密度が約2.8g/cm3−voidと
なるように活物質スラリーを充填した。なお、図2
(a)に模式的に示すように、この金属多孔体20はそ
の平面上に網状骨格で形成される多数の孔21を備えて
いる。そして、これらの多数の孔21のPPI(長さ1
インチ当たりの孔21の孔数)は50に調整されてい
る。
0の厚みが約0.7mmになるまで圧延した。なお、図
2(b)に模式的に示すように、この圧延により網状骨
格で形成される孔21は圧延方向(図2(a)の矢印方
向)に延伸されて、長径を有する略楕円形状あるいはそ
の変形形状の孔22となる。ついで、この金属多孔体2
0における略楕円形状あるいはその変形形状の孔22の
長径方向が極板の長さ方向となるように切断して、ニッ
ケル極板23を形成した。
板23を、その長さ方向(圧延方向と平行な方向)に一
連のローラー間に通してローラー処理を行った。このロ
ーラー処理により、図2(c)に模式的に示すように、
圧延方向とは垂直な方向に多数のクラック24を形成
し、比較例1のニッケル極板23を作製した。なお、多
数のクラック24は、図2(c)に模式的に示すよう
に、孔22の長径方向に形成されるため、これらのクラ
ック24の間隔は長くなる。
度が97%で、厚みが約1.5mmのニッケル発泡体
(この発泡体は三次元的に連続した網状骨格を備えてい
る)からなる金属多孔体(活物質保持体)30に、圧延
後の活物質充填密度が約2.8g/cm3−voidと
なるように活物質スラリーを充填した。なお、図3
(a)に模式的に示すように、この金属多孔体30はそ
の平面上に網状骨格で形成される多数の孔31を備えて
いる。そして、これらの多数の孔31のPPI(長さ1
インチ当たりの孔31の孔数)は50に調整されてい
る。
0の厚みが約0.7mmになるまで圧延した。なお、図
3(b)に模式的に示すように、この圧延により網状骨
格で形成される孔31は圧延方向(図3(a)の矢印方
向)に延伸されて、長径を有する略楕円形状あるいはそ
の変形形状の孔32となる。ついで、この金属多孔体3
0における略楕円形状あるいはその変形形状の孔32の
長径方向が極板の幅方向になるように切断して、比較例
2のニッケル極板33を作製した。
度が97%で、厚みが約1.5mmのニッケル発泡体
(この発泡体は三次元的に連続した網状骨格を備えてい
る)からなる金属多孔体(活物質保持体)40に、圧延
後の活物質充填密度が約2.8g/cm3−voidと
なるように活物質スラリーを充填した。なお、図4
(a)に模式的に示すように、この金属多孔体20はそ
の平面上に網状骨格で形成される多数の孔41を備えて
いる。そして、これらの多数の孔41のPPI(長さ1
インチ当たりの孔41の孔数)は50に調整されてい
る。
0の厚みが約0.7mmになるまで圧延した。なお、図
4(b)に模式的に示すように、この圧延により網状骨
格で形成される孔41は圧延方向(図4(a)の矢印方
向)に延伸されて、長径を有する略楕円形状あるいはそ
の変形形状の孔42となる。ついで、この金属多孔体4
0における略楕円形状あるいはその変形形状の孔42の
長径方向が極板の長さ方向になるように切断して、比較
例3のニッケル極板43を作製した。
ル、コバルト、アルミニウム、およびマンガンを1:
3.4:0.8:0.2:0.6の比率で混合し、この
混合物をアルゴンガス雰囲気の高周波誘導炉で誘導加熱
して合金溶湯となす。この合金溶湯を公知の方法で鋳型
に流し込み、冷却して、組成式Mm1.0Ni3.4Co0.8
Al0.2Mn0.6で表される水素吸蔵合金のインゴットを
作製した。
粉砕した後、不活性ガス雰囲気中で平均粒子径が約50
μmになるまで機械的に粉砕した。このようにして作製
した水素吸蔵合金粉末にポリエチレンオキサイド等の結
着剤と、適量の水を加えて混合して水素吸蔵合金スラリ
ーを作製した。このスラリーをパンチングメタルからな
る活物質保持体の両面に、圧延後の活物質密度が所定量
になるように塗着した後、乾燥、圧延を行った後、所定
寸法に切断して水素吸蔵合金負極板50を作製した。
13および比較例1〜3の各ニッケル正極板23,3
3,43と、上述のように作製した水素吸蔵合金負極板
50とをそれぞれポリプロピレン製不織布からなるセパ
レータ(厚みが約0.15mmのもの)60を介して渦
巻状に卷回して渦巻状電極群a,x,y,zをそれぞれ
作製した。なお、ニッケル正極板13を用いたものを渦
巻状電極群aとし、ニッケル正極板23を用いたものを
渦巻状電極群xとし、ニッケル正極板33を用いたもの
を渦巻状電極群yとし、ニッケル正極板43を用いたも
のを渦巻状電極群zとした。
よび比較例2のニッケル正極板33は、長径を有する略
楕円形状あるいはその変形形状の孔12および32の短
径方向に巻回され、比較例1のニッケル正極板23およ
び比較例3のニッケル正極板43は、長径を有する略楕
円形状あるいはその変形形状の孔22および42の長径
方向に巻回される。そして、上述のようにして作製した
各渦巻状電極群の負極板の端部50aに負極集電体を接
続するとともに、各ニッケル正極板13,23,33,
43の端部13a,23a,33a,43aと正極集電
体とを接続して各電極体をそれぞれ作製した。ついで、
各電極体をそれぞれ有底円筒形の金属外装缶内に挿入
し、負極集電体金属外装缶の底部にスポット溶接した
後、正極集電体から延出するリード板を封口体の底部に
溶接した。
(水酸化リチウム(LiOH)と水酸化ナトリウム(N
aOH)を含有した7.5Nの水酸化カリウム(KO
H)水溶液)を注入し、封口体を封口ガスケットを介し
て外装缶の開口部にかしめて封口した。これにより、公
称容量1200mAHの円筒形ニッケル−水素蓄電池A
1(渦巻状電極群aを用いたもの)、円筒形ニッケル−
水素蓄電池X1(渦巻状電極群xを用いたもの)、円筒
形ニッケル−水素蓄電池Y1(渦巻状電極群yを用いた
もの)、円筒形ニッケル−水素蓄電池Z1(渦巻状電極
群zを用いたもの)をそれぞれ作製した。
zの長径と短径を測定し、長径に対する短径の比率を真
円度として求めると、下記の表1に示すような結果とな
った。
1をそれぞれ100個ずつ用意し、これらの100個の
各電池A1,X1,Y1,Z1の電池電圧を測定して、
0.1V以下を短絡と判定し、短絡が発生した個数を求
めると、下記の表1に示すような結果となった。
3の各電池X1,Y1,Z1の真円度が低く、極板の巻
き取り時に生じる極板の折れや亀裂がセパレータを貫通
し、内部短絡に至った電池が発生したのに対して、実施
例の電池A1では巻き取り形状が真円に近く、極板の巻
き取り時に生じる極板の折れや破損がなく、内部短絡に
至った電池が生じなかった。これは以下のように考える
ことができる。
13の幅方向に圧延(図1参照)されているため、金属
多孔体10の網状骨格で形成される孔11が極板13の
幅方向に延伸されて、この孔12の短径が極板13の長
さ方向に配列されるため、極板13の巻き取り方向とな
る極板13の長さ方向に対しては柔軟性を保持してい
る。また、ローラー処理により、亀裂14が極板13の
長さ方向(巻き取り方向)に微小間隔で配列されている
ため、極板13の高密度化や厚み増加に対しても巻き取
り時に極板13に加わる負荷を分散させることが可能と
なって、巻き取り性が向上し、真円度が高く、短絡発生
数が抑制されたと考えられる。
板23の長さ方向に圧延(図2参照)されているため、
極板23の長さ方向(巻き取り方向)に負荷が加わるこ
とで、金属多孔体20が塑性変形により加工硬化し、極
板23の巻き取り方向に対して硬化している。また、ロ
ーラー処理により、極板23の幅方向に亀裂24を導入
できても、金属多孔体20の網状骨格で形成される孔2
1が極板23の長さ方向に延伸されて、この孔22の長
径が極板23の長さ方向に配列されるため、極板23の
長さ方向での亀裂24の間隔は孔22の長径に依存して
長くなり、巻き取り性が悪くて真円度が低く、内部短絡
の発生数も増加したと考えられる。
板33の幅方向に圧延(図3参照)されているため、金
属多孔体30の網状骨格で形成される孔31が極板33
の幅方向に延伸されて、この孔32の短径が極板33の
長さ方向に配列されるため、極板33の巻き取り方向と
なる極板33の長さ方向に対しては柔軟性を保持してい
る。しかしながら、ローラー処理を行っていないため、
極板33の高密度化や厚み増加に対して、巻き取り時に
極板33に加わる負荷を分散させることができず、巻き
取り性が悪くて真円度が低く、内部短絡の発生数も増加
したと考えられる。
極板43の長さ方向に圧延(図4参照)されているた
め、極板43の長さ方向(巻き取り方向)に負荷が加わ
ることで、金属多孔体40が塑性変形により加工硬化
し、極板43の巻き取り方向に対して硬化している。ま
た、ローラー処理も行っていないことから、巻き取り時
に極板43に加わる負荷を分散させることができず、巻
き取り性が悪くて真円度が低く、内部短絡の発生数も増
加したと考えられる。
1を用いて、まず、室温(周囲温度が25℃)で、12
0mA(0.1C)の充電々流で16時間充電し、1時
間の休止の後、240mA(0.2C)の放電々流で電
池電圧が1.0Vに達するまで放電し、その後1時間の
休止をするというサイクルを3サイクル繰り返して、各
電池A1,X1,Y1,Z1を活性化した。この3サイ
クル目の放電容量を基準容量とした。
容量を測定した後、室温(周囲温度が25℃)で、12
0mA(0.1C)の充電々流で16時間充電し、1時
間の休止の後、3600mA(3C)の放電々流で電池
電圧が1.0Vに達するまで放電させ、このときの放電
容量を測定して、上述した基準容量に対する比率を3C
での高率放電特性として求めると、以下の表2に示すよ
うな結果となった。
0mA(0.1C)の充電々流で16時間充電し、1時
間の休止の後、6000mA(5C)の放電々流で電池
電圧が1.0Vに達するまで放電させ、このときの放電
容量を測定して、上述した基準容量に対する比率を5C
での高率放電特性として求めると、以下の表2に示すよ
うな結果となった。なお、表2において、実施例の電池
A1の高率放電特性を100とし、比較例の電池X1,
Y1,Z1の高率放電特性はその比率で表示した。
3の各電池X1,Y1,Z1の高率放電特性はいずれも
低くて劣っているのに対して、実施例の電池A1の高率
放電特性が優れていることが分かる。これは、実施例の
電池A1は、巻き取り時に極板13に加わる負荷が減少
することにより、局所的な極板の伸びが減少し、金属多
孔体10の網状骨格に欠陥や損傷が発生しなかったため
に、金属多孔体10の高い集電性が維持されたためと考
えられる。
あっては、極板23および極板43の長さ方向のみに圧
延時の負荷が加わっているため、金属多孔体20,40
の網状骨格に塑性変形に基づく加工歪みや破損が発生
し、金属多孔体20,40の集電性が低下して、高率放
電特性が低下したと考えられる。また、比較例2,3の
各電池Y1,Z1にあっては、ローラー処理がなされて
いないために、巻き取り時に応力が分散することがな
く、金属多孔体30,40の網状骨格に局所的な欠陥や
破損が発生して、金属多孔体30,40の集電性が低下
して、高率放電特性が低下したと考えられる。
1,Y1,Z1を、25℃の温度雰囲気で1.2A(1
C)の充電電流で充電し、充電末期の電池電圧のピーク
値を記憶し、これを基準として一定値だけ電圧が低下し
た時点で充電を終了し、1時間休止した後、1.2A
(1C)の放電電流で電池電圧が1.0Vになるまで放
電し、1時間休止するという−Δサイクル試験を行い、
放電容量が初期容量の60%に達した時点で寿命と判定
するサイクル寿命試験を行うと、下記の表3に示すよう
な結果となった。
3の各電池X1,Y1,Z1のサイクル寿命はいずれも
低くて劣っているのに対して、実施例の電池A1のサイ
クル寿命が優れていることが分かる。これは、実施例の
電池A1は、金属多孔体10の網状骨格に欠陥や損傷が
発生しなかったことにより、金属多孔体10の高い集電
性が維持され、正極板での均一な充放電反応が促進され
て、正極活物質の膨化が抑制され、サイクル寿命が向上
したと考えられる。一方、比較例1,2,3の各電池X
1,Y1,Z1にあっては、各金属多孔体20,30,
40の網状骨格に局所的な欠陥や破損が発生し、各金属
多孔体20,30,40の集電性が低下し、正極板での
均一な充放電反応が阻害されたためにサイクル寿命が低
下したと考えられる。
一定とした場合の、PPI値(この金属多孔体の網状骨
格で形成される孔の平面上の1インチ当たりの孔数)と
真円度との関係について検討した。ここで、実施例の電
池Aとして、上述の実施例の電池A1を作製するに際し
て、PPI値を50(実施例のA1),100,20
0,250と変化させた金属多孔体を用いて、上述の実
施例と同様に電極群を作製し、その真円度(電極群の長
径に対する短径の比率)を求めると、下記の表4に示す
ような結果となった。一方、比較例の電池Xとして、上
述の比較例1の電池X1を作製するに際して、PPI値
を50(比較例1のX1),100,200,250と
変化させた金属多孔体を用いて、上述の比較例1と同様
に電極群を作製し、その真円度(電極群の長径に対する
短径の比率)を求めると、下記の表4に示すような結果
となった。
活物質充填性を低下させることなく、高密度充填化する
ことが可能となるため、高容量化手段としてPPI値を
小さくすることが必要となる。しかしながら、上記表4
から明らかなように、比較例の電池XではPPI値を2
00以下とすることで、真円度が実施例の電池Aよりも
大幅に低下していることが分かる。これに対して、実施
例の電池AではPPI値を200以下としても真円度の
低下が見られないことが分かる。このことから、高容量
で高品質な電池を製造することが可能となる効果を最大
限に発揮するためには、金属多孔体のPPI値は200
以下であることが好ましい。
ついて ついで、金属多孔体に充填される活物質の充填密度と真
円度との関係について検討した。ここで、実施例の電池
Aとして、上述の実施例の電池A1を作製するに際し
て、活物質の充填密度を2.5g/cm3−void,
2.6g/cm3−void,2.7g/cm3−voi
d,2.8g/cm3−void(実施例の電池A
1),2.9g/cm3−voidと変化させて、上述
の実施例と同様に電極群を作製し、その真円度(電極群
の長径に対する短径の比率)を求めると、下記の表5に
示すような結果となった。
較例1の電池X1を作製するに際して、活物質の充填密
度を2.5g/cm3−void,2.6g/cm3−v
oid,2.7g/cm3−void,2.8g/cm3
−void(比較例1の電池X1),2.9g/cm3
−voidと変化させて、上述の比較例1と同様に電極
群を作製し、その真円度(電極群の長径に対する短径の
比率)を求めると、下記の表5に示すような結果となっ
た。
することが必要となる。しかしながら、高密度に充填す
ることは極板が硬化し巻取性低下(真円度低下)に繋が
る。ここで、上記表5から明らかなように、比較例の電
池Xは活物質の充填密度が2.6g/cm3−void
以上になるに伴い真円度が大幅に低下している。一方、
実施例の電池Aにあっては、活物質の充填密度が2.6
g/cm3−void以上になっても真円度の低下が殆
ど見られないことが分かる。これらのことから、高容量
でかつ巻取性の向上した高品質な電池を製造することが
可能となる効果を最大限に発揮するには、活物質の充填
密度は2.6g/cm3−void以上であることが好
ましい。
形状が長径を有する略楕円形状あるいはその変形形状に
延伸された孔の長径方向と平行にクラックが形成されて
いると、クラックは略楕円形状あるいはその変形形状に
延伸された孔の短径方向に配列することで、微小の間隔
でクラックが形成されることとなる。このため、この極
板をクラックと平行な方向を巻回軸として渦巻状に巻回
されていると、略真円状に巻回された電極体を形成する
ことが可能となる。この結果、巻き取り性が向上し、高
品質で高容量な蓄電池が得られるようになる。
クラックの形成方向に巻き取られているため、クラック
に起因する短絡の発生を防止できるとともに、網状骨格
により形成される孔の短径方向に巻き取られているた
め、巻き取り時に金属多孔体に加わる負荷が減少して、
局所的な極板の伸びが抑制されるため、金属多孔体に発
生する網状骨格の切断などの欠陥の発生を防止でき、結
果として、集電性が向上し、高品質で高容量な蓄電池が
得られるようになる。
みが1.5mmの金属多孔体(発泡ニッケル)に活物質
を充填した後、厚みが0.7mmになるまで圧延する例
について説明したが、厚みが何mmの金属多孔体(発泡
ニッケル)を用い、この厚みを何mmまで圧延するか
は、必要とする極板容量などにより適宜選択すればよ
い。また、上述した実施の形態においては、本発明をニ
ッケル−水素蓄電池に適用する例について説明したが、
本発明はニッケル−水素蓄電池に限らず、ニッケル−カ
ドミウム蓄電池等の他の蓄電池に適用できることは明ら
かである。
す図であり、図1(a)は活物質保持体の一部を模式的
に示す平面図であり、図1(b)はこれを圧延後に1枚
の極板形状に切断した状態を模式的に示す平面図であ
り、図1(c)はこれをローラー処理した状態を模式的
に示す平面図である。
示す図であり、図2(a)は活物質保持体の一部を模式
的に示す平面図であり、図2(b)はこれを圧延後に1
枚の極板形状に切断した状態を模式的に示す平面図であ
り、図2(c)はこれをローラー処理した状態を模式的
に示す平面図である。
示す図であり、図3(a)は活物質保持体の一部を模式
的に示す平面図であり、図3(b)はこれを圧延後に1
枚の極板形状に切断した状態を模式的に示す平面図であ
る。
示す図であり、図4(a)は活物質保持体の一部を模式
的に示す平面図であり、図4(b)はこれを圧延後に1
枚の極板形状に切断した状態を模式的に示す平面図であ
る。
した状態を模式的に示す斜視図である。
た発泡ニッケル)、11…孔、12…延伸された孔(略
楕円形状あるいはその変形形状の孔)、13…ニッケル
極板、14…クラック、50…負極、60…セパレータ
Claims (6)
- 【請求項1】 三次元的に連続した網状骨格を備えた金
属多孔体に活物質が充填された非焼結式電極と、この電
極ともう一方の電極をセパレータを介して渦巻状に巻回
した電極群を備えたアルカリ蓄電池であって、 前記金属多孔体の網状骨格によりその平面上に形成され
る孔の平面形状は圧延により長径を有する略楕円形状あ
るいはその変形形状に延伸されており、 前記非焼結式電極は前記孔の長径方向と平行にクラック
が形成されているとともに、該クラックがその短径方向
に微小間隔に配列されており、 前記クラックが巻回軸と平行になるように渦巻状に巻回
されていることを特徴とするアルカリ蓄電池。 - 【請求項2】 前記金属多孔体の前記網状骨格により平
面上に形成される孔の1インチ当たりの孔数は200
(200PPI)以下であることを特徴とする請求項1
に記載のアルカリ蓄電池。 - 【請求項3】 前記非焼結式電極の活物質の充填密度は
2.6g/cm3−void以上であることを特徴とす
る請求項1または請求項2に記載のアルカリ蓄電池。 - 【請求項4】 三次元的に連続した網状骨格を備えた金
属多孔体に活物質を充填して非焼結式電極とする工程
と、この電極ともう一方の電極をセパレータを介して渦
巻状に巻回して電極群を形成する工程とを備えたアルカ
リ蓄電池の製造方法であって、 前記金属多孔体の前記網状骨格内に前記活物質を充填し
て非焼結式電極とした後、この非焼結式電極を所定の厚
みに圧延する圧延工程と、 前記所定の厚みに圧延された前記非焼結式電極を前記圧
延工程による圧延方向とは垂直方向に一連のローラー間
に通して、前記圧延方向とは垂直方向に微小間隔で配列
されるクラックを前記圧延方向とは平行に形成するロー
ラー処理工程と、 前記ローラー処理工程により形成されたクラックが巻回
軸と平行になるように巻回する巻回工程とを備えたこと
を特徴とするアルカリ蓄電池の製造方法。 - 【請求項5】 前記圧延工程において前記金属多孔体の
前記網状骨格によりその平面上に形成される孔の平面形
状を長径を有する略楕円形状あるいはその変形形状に延
伸するとともに、前記網状骨格により平面上に形成され
る孔の1インチ当たりの孔数を200(200PPI)
以下としたことを特徴とする請求項4に記載のアルカリ
蓄電池の製造方法。 - 【請求項6】 前記金属多孔体に活物質を2.6g/c
m3−void以上の充填密度で充填するようにしたこ
とを特徴とする請求項4または請求項5に記載のアルカ
リ蓄電池の製造方法。
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