JP2001311042A - 缶用塗料樹脂組成物及びこれを塗布した缶用塗装金属板 - Google Patents

缶用塗料樹脂組成物及びこれを塗布した缶用塗装金属板

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JP2001311042A
JP2001311042A JP2000130896A JP2000130896A JP2001311042A JP 2001311042 A JP2001311042 A JP 2001311042A JP 2000130896 A JP2000130896 A JP 2000130896A JP 2000130896 A JP2000130896 A JP 2000130896A JP 2001311042 A JP2001311042 A JP 2001311042A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 食品、および飲料用金属缶等に塗装され、加
工性、密着性、耐レトルト性、耐内容物性、抽出性、耐
オーバーベーク性、耐経時劣化性、耐デント性に優れ、
特に缶内面用に適した塗料樹脂組成物、及びこれを塗布
した缶内面用塗装金属板を提供する。 【解決手段】(A)ポリカルボン酸成分のうち、芳香族
ジカルボン酸が70〜100モル%、その他のポリカル
ボン酸成分が0〜30モル%、ポリアルコール成分のう
ち、側鎖を有するポリアルコール、及び/または1,4
−シクロヘキサンジメタノールが40〜100モル%で
あるポリエステル樹脂、(B)3官能となるフェノール
化合物を出発原料として70重量%以上含有し、かつ得
られたメチロール基が芳香環1核当たり1.0個以上、
かつ該メチロール基の50%以上をアルコキシメチル化
としたレゾール型フェノール樹脂、(C)酸触媒を含む
ことを特徴とする缶用塗料樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は飽和共重合ポリエス
テル樹脂を有効成分とする塗料樹脂組成物であり、更に
詳しくは加工性に優れたポリエステル樹脂と該ポリエス
テル樹脂を硬化し得るレゾール型フェノール樹脂等から
なり、食品、および飲料用金属缶等に塗装され、硬化
性、加工性、オーバーベーク性、耐レトルト性、耐内容
物(酸、塩など)性、耐デント性、抽出性、深絞り加工
性に優れる缶用(缶胴、缶蓋、シーム補修を含む)塗料
樹脂組成物、及びこれを塗布した缶用塗装金属板に関す
る。
【0002】
【従来の技術】缶塗料のなかで特に缶内面用塗料は内容
物の風味やフレイバーを損なわないこと、および多種多
様の食物による缶材質の腐食を防止することを目的とし
て使用されるものであり、まず毒性のないこと、加熱殺
菌(レトルト)処理に耐えること、次いで成形時の加工
性に優れること(加工性、深絞り加工性)、食塩や酸性
を示す内容物を加熱殺菌処理したときの耐ブリスター性
と耐白化性(耐酸性)、内容物に含まれる酸や硫黄化合
物(硫化黒変)での腐食防止、製缶時の過度の焼付によ
る加工性の劣化の無いこと(耐オーバーベーク性)、レ
トルト後の耐衝撃性(耐デント性)などが要求される。
また特に近年では外因子内分泌撹乱物質(以下、環境ホ
ルモン)を含むビスフェノール型エポキシ樹脂等の物質
も使用が避けられつつある。
【0003】缶内面用塗料樹脂としてはポリ塩化ビニル
系樹脂、及びエポキシ−フェノール系樹脂が現在多く使
用されているが、これらは次のような重大な問題を指摘
されているのが現状である。
【0004】まず、ポリ塩化ビニル系樹脂は、優れた耐
レトルト性、耐内容物性、加工性を有するが樹脂中に残
留する塩ビモノマーが発ガン性などの重大な衛生上問題
のある物質であることが指摘されている。また、缶をリ
サイクルや廃棄する際に焼却処理するとポリ塩化ビニル
系樹脂から毒性、腐食性の強い塩素ガス、塩化水素ガ
ス、猛毒のダイオキシンが発生するので、焼却装置の腐
食や環境汚染につながる問題がある。さらにポリ塩化ビ
ニル系樹脂は缶材質である金属との接着性が不十分であ
りエポキシ樹脂で処理した上にコーティングする必要が
あるなどコーティング行程が複雑である。
【0005】次にエポキシ−フェノール系樹脂では焼き
付け温度が高く、焼付け時に発泡等の外観不良を起し易
い。また、先に述べたようにエポキシ樹脂中に含まれる
ビスフェノール−Aが環境ホルモンとして作用する事が
発表されたため、これに代わる内面コート剤の開発が望
まれている。また、缶外面塗料においても前述した内面
塗料と同様に要求される加工性や耐レトルト性に加え、
環境ホルモン対策も必要となりつつある。
【0006】更にはDI(Draw & Ironin
g)加工やDRD(Draw &Redraw)加工に
よって得られる2ピース缶をプレコート化するためには
硬度、潤滑性、塗膜の伸度(展延性)、レトルト処理後
の密着性が必要とされるが、前述した性能、要求に加え
これらの加工を満足する塗膜を与える塗料組成物は得ら
れていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】かかる問題点を解決す
るために、塗装、焼付けが容易で、硬化性、加工性、金
属との密着性、耐レトルト性に優れ、焼却時に有毒、腐
食ガスを発生せず、塗膜中にビスフェノール−Aなどの
環境ホルモンを含有しないポリエステル系樹脂の製缶用
内用コーティング剤への適応が試みられているが、これ
らに加え耐内容物性、抽出性、耐オーバーベーク性、耐
デント性、DI加工、DRD加工性に優れた缶用に好適
な塗料樹脂、及び塗料樹脂組成物は得られていない。
【0008】つまり特公昭60−42829号公報、特
公昭61−36548号公報のような飽和ポリエステル
樹脂単独での缶内面塗料樹脂は沸水または蒸気のみにお
いての加熱処理(耐レトルト性)に対して耐ブリスター
及び耐白化性に優れるが、いまだ性能不十分で塗膜の表
面状態劣化や光沢の低下などを起こしたり、内容物を想
定しての食塩水及び酸性雰囲気中でのレトルト処理(耐
内容物性)においてはブリスターや白化を生じ、外観不
良を起こす。
【0009】特開平7−113058号公報、特開平7
−113059号公報、特開平8−325513号公報
においてはポリエステル樹脂にビスフェノール−A型や
フェノールノボラック型のエポキシ樹脂を配合、ブレン
ド、或いはアミノ樹脂を併用することで耐レトルト性、
耐内容物性の優れた塗膜の提供を提案しているが、この
ものは耐オーバーベーク性、耐デント性が不足してい
る。また一部エポキシ樹脂には環境ホルモンとされるビ
スフェノール−Aが含まれるため使用が困難となってい
る。
【0010】また、特開平1−245065号公報、特
開平5−112755号公報ではプロピレングリコール
を主とした成分の飽和ポリエステル樹脂とアルキルエー
テル化アミノホルムアルデヒド樹脂からなる塗料組成物
を缶内面用コーティング剤に適用することで加工性と耐
レトルト性の優れた塗膜の提供を提案している。しか
し、これらは缶内面塗料に必要な耐オーバーベーク性、
耐デント性を十分に満足できない。更には特開平5−1
12755号公報ではDI、DRD缶への適応の記載が
あるが、塗膜の強度、加工後の耐レトルト性、密着性に
ついては満足できない点があった。
【0011】また、特開平11−315251号公報に
はポリエステル樹脂と3官能フェノール化合物を主成分
として得られるレゾール型フェノール樹脂からなる缶用
塗料組成物の提案がある。これはフェノール樹脂からも
たらされる塗膜の耐レトルト性、耐酸性などの性能は優
れるものの、硬化性に劣り耐デント性やDI缶、DRD
缶などへの適用は困難な場合がある。また、ポリエステ
ル樹脂とフェノール樹脂との相容性が不足しており、塗
膜の白化や塗料の貯蔵安定性に問題がある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者はこれらの問題
点のうち、特に上記した従来技術では検討されていなか
った耐オーバーベーク性、耐デント性、耐酸性について
鋭意検討し、更にはDI缶、DRD缶のプレコート化を
も可能とすべく検討を進めた結果、下記に述べる特定の
組成を有するポリエステル樹脂と特定のレゾール型フェ
ノール樹脂で硬化することでこれらの諸問題を解決でき
る塗膜を得ることを見出し、本発明に到達した。
【0013】即ち本発明は(A)ポリカルボン酸成分の
うち、芳香族ジカルボン酸が70〜100モル%、その
他のポリカルボン酸成分が0〜30モル%、ポリアルコ
ール成分のうち、側鎖を有するポリアルコール、及び/
または1,4−シクロヘキサンジメタノールが40〜1
00モル%、その他のポリアルコール0〜60モル%で
あり、かつ数平均分子量が5,000〜100,000
であるポリエステル樹脂、(B)ホルマリン類との反応
でフェノール樹脂を得る際に、3官能となるフェノール
化合物を出発原料として70重量%以上含有し、かつ得
られたメチロール基が芳香環1核当たり1.0個以上、
かつ該メチロール基の50%以上をアルコキシメチル化
とし、かつ数平均分子量が750未満であるレゾール型
フェノール樹脂、(C)酸触媒を含有することを特徴と
する缶用塗料樹脂組成物、及びこれを塗布した缶用塗装
金属板である。なお、(A),(B),(C)は下式の
範囲内で含有する事が好ましい。 (A)/(B)/(C)=100/5〜40/0.05
〜5 [重量比]
【0014】本発明に使用する(A)ポリエステル樹脂
に使用する芳香族ジカルボン酸成分は70〜100モル
%であり、その他のポリカルボン酸は0〜20モル%で
ある。芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル
酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカル
ボン酸等があり、これらの中から1種、または2種以上
を選択し使用できる。芳香族ジカルボン酸の量が70モ
ル%未満だと塗膜の強度が低下し、加工性、深絞り加工
性、耐デント性が低下する。更に、芳香族ジカルボン酸
のうちテレフタル酸を80モル%以上とすることで、塗
膜の強度、可撓性が向上するためより加工性、耐デント
性、深絞り加工性が向上し、好ましい。その他のポリカ
ルボン酸としては、例えばコハク酸、グルタル酸、アジ
ピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン
酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,4−シ
クロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘ
キサヒドロイソフタル酸、1,2−シクロヘキセンジカ
ルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、フマル酸、マレイ
ン酸、テルペン−マレイン酸付加体などの不飽和ジカル
ボン酸などを挙げることができ、これらの中から1種又
はそれ以上を使用できる。衛生面で好ましいのはアジピ
ン酸、セバシン酸、ダイマー酸、1,4−シクロヘキサ
ンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸である。
【0015】本発明に使用される(A)ポリエステル樹
脂のポリアルコール成分のうち、側鎖を有するグリコー
ル、及び/または1,4−シクロヘキサンジメタノール
が40〜100モル%である。側鎖を有するグリコール
としてはプロピレングリコール(1,2−プロパンジオ
ール)、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオ
ール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペ
ンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−
プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオ
ール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、
1−メチル−1,8−オクタンジオール、3−メチル−
1,6−ヘキサンジオール、4−メチル−1,7−ヘプ
タンジオール、4−メチル−1,8−オクタンジオー
ル、4−プロピル−1,8−オクタンジオール等があ
る。これら側鎖を有するグリコールと1,4−シクロヘ
キサンジメタノールを合わせた中から1種、または2種
以上を選択し、使用できる。側鎖を有するグリコール、
及び/または1,4−シクロヘキサンジメタノールが4
0モル%未満だと該ポリエステル樹脂をワニスとした際
の溶解性が乏しくなるため、塗料としたときの塗装適性
が低下したり、レトルト時に塗膜が白化したり、耐デン
ト性が低下したりする。中でも加工性、耐レトルト性、
耐デント性に優れるものとしてはプロピレングリコー
ル、1,2−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プ
ロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シ
クロヘキサンジメタノールである。
【0016】その他のポリアルコール成分は0〜60モ
ル%使用される。その他のポリアルコール成分として
は、例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオ
ール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオ
ール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオ
ール等の脂肪族グリコール、ジエチレングリコール、ト
リエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリ
プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール
などのポリエーテルグリコール類、1,3−シクロヘキ
サンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノー
ル、トリシクロデカングリコール類、水添加ビスフェノ
ール類などの脂環族ポリアルコールが挙げることがで
き、これらの中から1種、又はそれ以上を選び使用でき
る。このうち衛生上好ましいものはエチレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコールな
どを挙げることができる。
【0017】本発明に使用される(A)ポリエステル樹
脂の数平均分子量は5,000〜100,000であ
り、好ましくは8,000〜50,000、より好まし
くは10,000〜30,000である。数平均分子量
が5,000未満であると塗膜が脆くなり、加工性や耐
レトルト性に劣ったりし、100,000を越えると塗
装作業性が低下する場合がある。また、好ましいガラス
転移温度(Tg)は0〜120℃、より好ましくは10
〜100℃、更に好ましくは30〜100℃である。ガ
ラス転移温度が0℃未満であると耐レトルト性が劣る。
特にフレーバー性を必要とする内容物には50℃以上の
Tgが望ましい。Tgが120℃を超えると加工性や塗
装作業性が低下したりする場合がある。なお、ここで言
う数平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GP
C)によって標準ポリスチレンの検量線を用いて測定し
たものであり、ガラス転移温度(Tg)とは示差熱分析
(DSC)によって測定したものである。
【0018】本発明に使用される(A)ポリエステル樹
脂はポリカルボン酸成分、ポリアルコール成分に3官能
以上のポリカルボン酸または/およびポリアルコールを
加工性の低下しない範囲で使用する事が特に好ましい。
3価以上のポリカルボン酸成分としては、例えばトリメ
リト酸、ピロメリト酸、ベンゾフェノンテトラカルボン
酸などが挙げられ、3官能以上のポリアルコールとして
はグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロール
プロパン、マンニトール、ソルビトール、ペンタエリス
リトール、α−メチルグルコシドなどが挙げられる。衛
生上好ましくはトリメリト酸、トリメチロールエタン、
トリメチロールプロパン、グリセリンである。これら3
官能以上のポリカルボン酸、及びポリアルコール成分は
全酸成分または全ポリアルコール成分に対して0.1〜
3モル%の範囲で使用する事が好ましく、これらの3官
能成分が3モル%を越えるとポリエステル樹脂の可撓性
が失われ、加工性が低下したりする。
【0019】本発明に使用される(A)ポリエステル樹
脂は任意の方法で酸価を与えてもよい。酸価を与える目
的としては架橋剤との硬化促進、缶用金属材料との密着
性改良等が挙げられる。これらを目的とする場合、好ま
しい酸価の範囲は40〜200eq/106gである。
200eq/106gを超えると耐レトルト性が低下し
たり、酸付加成分が内容物へ溶出する可能性がある。酸
価を付与する方法としては重縮合後期に多価カルボン酸
無水物を付加する解重合方法、プレポリマー(オリゴマ
ー)の段階でこれを高酸価とし、次いでこれを重縮合
し、酸価を有するポリエステル樹脂を得る方法などがあ
るが、操作の容易さ、目標とする酸価を得易いことから
前者の解重合方法が好ましい。
【0020】このような解重合方法での酸付加に用いら
れる多価カルボン酸無水物としては無水フタル酸、無水
テトラヒドロフタル酸、無水コハク酸、無水トリメリト
酸、無水ピロメリト酸、無水ヘキサヒドロフタル酸など
が挙げられる。好ましくは無水トリメリト酸である。
【0021】本発明の缶用塗料組成物に使用する(B)
レゾール型フェノール樹脂はホルマリン類との反応でフ
ェノール樹脂を得る際に、3官能となるフェノール化合
物を出発原料として70重量%以上、好ましくは80重
量%以上、更に好ましくは90重量%以上含有する。ホ
ルマリン類との反応で3官能となるフェノール化合物と
してはフェノール、m−クレゾール、m−エチルフェノ
ール、3,5−キシレノール、m−メトキシフェノー
ル、ビスフェノール−A、ビスフェノール−F等が挙げ
られ、これらの中から1種、または2種以上を選択し使
用できる。環境ホルモンとしてビスフェノール型化合物
が指摘されているため、フェノール、m−クレゾール、
m−エチルフェノール、3,5−キシレノール、m−メ
トキシフェノールが好ましいが、硬化性の面からm−ク
レゾールが特に好ましい。これら3官能のフェノール化
合物が70重量%未満だと硬化性が十分に得られない。
2官能のフェノール化合物としてはo−クレゾール、p
−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−
エチルフェノール、2,3−キシレノール、2,5−キ
シレノール等があり、原料として30重量%未満の範囲
で使用できる。これらの3官能と2官能のフェノール化
合物の混合されたフェノール樹脂を得る場合は、ホルマ
リン類によりフェノール樹脂化する前に任意の比率で混
合しておく方法や各々別途にフェノール樹脂化し、これ
を任意の混合比率で混ぜたものを使用しても良い。
【0022】本発明の缶用塗料組成物に使用する(B)
レゾール型フェノール樹脂のホルマリン類との反応で得
られたメチロール基が芳香環1核当たり1.0個以上で
ある。1.0個未満だと(A)ポリエステル樹脂との硬
化性が劣る。また、使用されるホルマリン類としてはホ
ルマリン、パラホルムアルデヒドまたはトリオキサンな
どが挙げられ、これらから1種、または2種以上を使用
することができる。
【0023】本発明の缶用塗料組成物に使用する(B)
レゾール型フェノール樹脂はホルマリン類にてメチロー
ル化した後、このメチロール基の50%以上をアルコキ
シメチル化する。好ましくは70%以上、より好ましく
は80%以上である。従来はポリエステル樹脂とレゾー
ル型フェノール樹脂との相容性を得ることは困難で、塗
膜の濁り、硬化性の原因となっていた。しかし、アルコ
キシメチル化を上記した範囲で行うことで著しく相容性
と硬化性の向上を可能とした。このアルコキシメチル化
が50%未満だと(A)ポリエステル樹脂との相容性が
低くなり、塗膜に濁りが生じたり、硬化性が得られなか
ったりする。アルコキシメチル化する際に使用されるア
ルコールとしては炭素原子数1〜8個、好ましくは1〜
4個の1価アルコールであり、好適な1価アルコールと
してはメタノール、エタノール、n−プロパノール、n
−ブタノール、イソブタノールなどを挙げることがで
き、より好ましくはn−ブタノールである。また、アル
コキシメチル化する際にはリン酸などの触媒を使用して
も良い。
【0024】本発明の缶塗料組成物に使用する(B)レ
ゾール型フェノール樹脂は数平均分子量が750未満で
あり、好ましくは700以下である。フェノール樹脂の
分子量はアルコキシメチル化の量と同様にポリエステル
樹脂との相容性と硬化性を左右する。レゾール型フェノ
ール樹脂の分子量が高いと、フェノール樹脂同士の自己
縮合反応が早くなるため、ポリエステル樹脂との硬化、
架橋反応が進まず、硬化性の低下、相分離による塗膜の
濁りの原因となっていた。しかし、該フェノール樹脂の
数平均分子量を上記した範囲とすることで著しく相容性
と硬化性の向上を可能とした。従って、数平均分子量が
750以上になると塗膜に濁りが生じたり、硬化性が得
られなかったりする。
【0025】本発明の缶塗料組成物に使用する(B)レ
ゾール型フェノール樹脂は150℃の金属プレート上に
滴下したときのゲル(MEKに不溶化)に達する時間が
30秒以上であるものが好ましく、より好ましくは10
0秒以上である。このゲルに達するまでの時間はフェノ
ール樹脂の自己縮合性を示し、時間が短いほど自己縮合
性が顕著で前記したようにポリエステル樹脂との硬化性
に乏しくなる。
【0026】本発明の(B)レゾール型フェノール樹脂
以外に使用できる任意の架橋剤としてはアミノ樹脂、イ
ソシアネート化合物、エポキシ樹脂等が挙げられるが、
衛生面よりアミノ樹脂が特に好ましい。これらの架橋剤
は塗膜の性能を低下させない程度に配合し使用できる。
【0027】上記のアミノ樹脂としては、メラミン、尿
素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ステログア
ナミン、スピログアナミン、ジシアンジアミド、などの
アミノ成分と、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒ
ド、アセトアルデヒド、ベンツアルデヒドなどのアルデ
ヒド成分との反応によって得られるメチロール化アミノ
樹脂が挙げられる。このメチロール化アミノ樹脂のメチ
ロール基を炭素原子数1〜6のアルコールによってエー
テル化したものも上記アミノ樹脂に含まれる。これらの
内、単独或いは併用して使用できる。衛生上、メラミ
ン、ベンゾグアナミンを使用したアミノ樹脂が好まし
く、更に好ましくは耐レトルト性、抽出性に優れるベン
ゾグアナミンを使用したアミノ樹脂である。
【0028】ベンゾグアナミンを使用したアミノ樹脂と
しては、メチロール化ベンゾグアナミン樹脂のメチロー
ル基を一部又は全部を、メチルアルコールによってエー
テル化したメチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂、ブ
チルアルコールによってブチルエーテル化したブチルエ
ーテル化ベンゾグアナミン樹脂、或いはメチルアルコー
ルとブチルアルコールとの両者によってエーテル化した
メチルエーテル、ブチルエーテルとの混合エーテル化ベ
ンゾグアナミン樹脂が好ましい。上記、ブチルアルコー
ルとしてはイソブチルアルコール、n−ブチルアルコー
ルが好ましい。
【0029】メラミンを使用したアミノ樹脂としては、
メチロール化メラミン樹脂のメチロール基を一部又は全
部を、メチルアルコールによってエーテル化したメチル
エーテル化メラミン樹脂、ブチルアルコールによってブ
チルエーテル化したブチルエーテル化メラミン樹脂、或
いはメチルアルコールとブチルアルコールとの両者によ
ってエーテル化したメチルエーテル、ブチルエーテルと
の混合エーテル化メラミン樹脂が好ましい。
【0030】本発明の缶用塗料組成物に使用する(C)
酸触媒としては例えば硫酸、p−トルエンスルホン酸、
ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、
ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジ
スルホン酸、樟脳スルホン酸、リン酸及びこれらをアミ
ンブロック(アミンを添加し一部中和している)したも
の等が挙げられ、これらの中から1種、又は2種以上を
併用することができるが、樹脂との相容性、衛生性の面
からドデシルベンゼンスルホン酸、及びこの中和物が好
ましい。
【0031】本発明の缶用塗料組成物はこれに使用する
(A)ポリエステル樹脂、(B)レゾール型フェノール
樹脂、(C)酸触媒の比率は下式の範囲内で配合された
ものが好ましい。 (A)/(B)/(C)=100/5〜40/0.05
〜5 [重量比] (A)ポリエステル樹脂100重量部に対し、(B)レ
ゾール型フェノール樹脂の重量比が40重量部を超える
と加工性が劣り、5重量部未満だと硬化性、耐レトルト
性、耐デント性が低下する。好ましくは(A)ポリエス
テル樹脂100重量部に対し10〜30重量部である。
また、(C)酸触媒量が0.05重量部未満だと硬化性
が不十分になり加工性、耐レトルト性が劣り、5重量部
を超えると酸による架橋部分の解裂が促進され加工性や
硬化性、耐レトルト性、耐デント性などが低下する。好
ましくはポリエステル樹脂100重量部に対し0.1〜
3重量部である。
【0032】また、本発明の缶塗料用樹脂組成物には
(D)潤滑剤を(A)ポリエステル樹脂100重量部に
対し0.1〜10重量部含有することができる。これは
製缶時の塗膜の傷付きを抑制したり、成形加工時の塗膜
の滑りを向上させる効果がある。特にDI加工、DRD
加工時に効果がある。(D)潤滑剤が0.1重量部未満
だと深絞り成型加工時に塗膜の傷付きが激しくなり基材
の腐食が著しくなり、10重量部を超えると硬化性、塗
膜の機械的強度が低下したりして加工性が満足しない。
好ましくは0.3〜5重量部の範囲内である。
【0033】本発明に使用する(D)潤滑剤は、例えば
ポリオール化合物と脂肪酸とのエステル化物である脂肪
酸エステルワックス、シリコン系ワックス、フッ素系ワ
ックス、ポリエチレンなどのポリオレフィンワックス、
ラノリン系ワックス、モンタンワックス、マイクロクリ
スタリンワックス、カルナバろう、及びシリコン系化合
物等を挙げることができる。潤滑剤は1種、または2種
以上を混合し使用できる。
【0034】本発明の缶用塗料樹脂組成物には用途に合
わせた酸化チタン、シリカなどの公知の無機顔料、リン
酸およびそのエステル化物、有機スズ化合物等の硬化触
媒、表面平滑剤、消泡剤、分散剤、潤滑剤等の公知の添
加剤を配合することができる。
【0035】本発明の缶用塗料用樹脂組成物は公知の有
機溶剤に溶解された状態で塗料化される。塗料化に使用
する有機溶剤としては、例えばトルエン、キシレン、芳
香族系炭化水素化合物、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチ
ルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキ
サノン、イソホロン、メチルセロソルブ、ブチルセロソ
ルブ、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテー
ト、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテー
ト、エチレングリコールモノアセテート、メタノール、
エタノール、ブタノール、エチレングリコールモノエチ
ルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、
ジエチレングリコールモノブチルエーテル等から溶解
性、蒸発速度等を考慮して1種、または2種以上を選択
し使用される。
【0036】本発明の缶塗料樹脂組成物には塗膜の可撓
性、密着性付与などの改質を目的としたその他の樹脂を
使用できる。その他の樹脂としてはエチレン−重合性不
飽和カルボン酸共重合体、及びエチレン−重合性カルボ
ン酸共重合体アイオノマーを挙げることができ、これら
から選ばれる少なくとも1種以上の樹脂を配合すること
により効果的の塗膜の可撓性、密着性を付与できる。
【0037】本発明の缶用塗料組成物は飲料缶、食品用
缶、その蓋、キャップ等に用いることができる金属板で
あればいずれへも、その内外面に塗装し使用でき、例え
ばブリキ板、ティンフリースティール、アルミ等を挙げ
ることができる。これらの金属板にはあらかじめリン酸
処理、クロム酸クロメート処理、リン酸クロメート処
理、その他の防錆処理剤などの防食、塗膜の密着性向上
を目的とした表面処理を施したものを使用しても良い。
【0038】本発明の塗料組成物はロールコーター塗
装、スプレー塗装などの公知の塗装方法によって塗装
し、本発明の塗装金属板を得ることができる。塗装膜厚
は特に限定されるものではないが、乾燥膜厚で3〜18
μm、更には3〜10μmの範囲であることが好まし
い。塗膜の焼付条件は通常、約100〜300℃の範囲
で約5秒〜約30分の程度であり、更には約150〜2
50℃の範囲で、約1〜約15分の程度である事が好ま
しい。
【0039】
【実施例】以下実施例を挙げて、本発明を具体的に説明
する。実施例において単に部とあるものは重量部を示
す。各測定項目は以下の方法に従った。
【0040】(1)ポリエステル樹脂の組成、及びフェ
ノール樹脂のメチロール基とアルコキシメチル基の定量 500MHzの核磁気共鳴スペクトル装置を用い、ポリ
エステル樹脂の酸成分、アルコール成分のモル比、及び
フェノール樹脂のメチロール基とアルコキシメチル基の
定量を行った。
【0041】(2)ポリエステル樹脂とフェノール樹脂
の数平均分子量の測定 ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって標準ポ
リスチレンの検量線を用いて測定した。
【0042】(3)ポリエステル樹脂の還元粘度測定 ポリエステル樹脂0.10gをフェノール/テトラクロ
ロエタン(重量比6/4)の混合溶媒25ccに溶か
し、30℃で測定した。
【0043】(4)ガラス転移温度の測定 示差走査熱量計(DSC)を用いて20℃/分の昇温速
度で測定した。
【0044】(5)酸価の測定 ポリエステル0.2gを20mlのクロロホルムに溶解
し、0.1NのKOHエタノール溶液で滴定し、樹脂1
6g当りの当量(eq/106g)を求めた。
【0045】評価項目 (6)テストピースの作成 塗料組成物をアルミニウム金属板(#5052、70m
m×150mm×0.3mm)にバーコーターで膜厚が
4〜8μmになるように塗装し、硬化焼き付けを行い、
これを試験片とした。焼付条件としては210℃×5分
間で評価を行った。
【0046】(7)硬化性 試験片の塗装面にMEK/トルエン=1/1溶剤を浸し
たフェルトを当て、これに荷重0.5kgをかけながら
50回往復させる。その後、フェルトを往復させた部分
の塗膜状態を目視で観察し、以下のように判定する。 ◎:良好(塗膜が溶剤に溶けた形跡無し) ○:わずかに溶剤に溶けている・ △:溶剤に溶けているが塗膜は残っている。 ×:塗膜が溶剤に溶け、素地に達している。
【0047】(8)加工性 試験片と同じ厚さの金属板を1枚挟み180度方向に曲
げる。この加工部を1%NaCl水溶液に浸漬したスポ
ンジに接触させ5.5Vの電圧をかけたときの通電値に
より評価した。通電値が小さい方(≦1.5mA)が良
好である。
【0048】(9)オーバーベーク性 試験片を再度210℃×10分の熱処理を行い、これを
(7)と同じ方法で加工性を評価した。
【0049】(10)耐レトルト性 試験片を立ててステンレスカップに入れ、これにイオン
交換水を試験片の半分の高さまで注ぐ。これを圧力釜の
中に設置し、125℃×30分のレトルト処理を行う。
処理後の評価は水中部分と蒸気部分とで行い、それぞれ
白化の度合いを目視で以下のように判定する。 ◎:良好 ○:わずかに白化はあるがブリスターは無
し △:若干白化、または若干のブリスターあり ×:著しい白化、または著しいブリスターあり
【0050】(11)耐内容物性 試験片を食塩3wt%、及び乳酸3wt%を含む水溶液
に浸し、125℃×30分処理した後、塗膜の白化、ブ
リスターの状態を目視で判定した。 ◎:良好 ○:わずかに白化はあるがブリスターは無
し △:若干白化、または若干のブリスターあり ×:著しい白化、または著しいブリスターあり
【0051】(12)耐酸加工性 試験片をクエン酸1wt%を含む水溶液に浸し、125
℃×30分処理した後、これを(7)と同じ方法で加工
性を評価、判断した。
【0052】(13)耐デント性 (11)に示した耐内容物試験を行った試験片の塗装面
を下にし、デュポン衝撃試験器を用い、その裏面より1
/2インチ×1kg×5cm高さの条件で衝撃を加え
る。次いでその凸部分を1%NaCl水溶液に浸漬した
スポンジに接触させ5.5Vの電圧をかけたときの通電
値により評価した。通電値が小さい方(≦1.5mA)
が良好である。
【0053】(14)抽出性 (10)に示したレトルト試験後の抽出液を過マンガン
カリウムによる滴定により、塗膜からの有機物の抽出量
を定量した。数値の少ない方が良好である。
【0054】(15)深絞り加工性 試験片の塗装面が外側になるよう深絞り加工機を使用し
て、L/D(直径/深さ)=1/1の成形加工を行っ
た。この試験片の加工側面部の塗膜剥離状態を目視観察
し、判定した。 ◎:良好 ○:塗膜にわずかにスリ傷がある。 △:塗膜に若干の剥離が認められる。 ×:塗膜に激しい剥離、損傷が認められる。
【0055】本発明のポリエステル樹脂の合成 エステル交換法による合成例(a) ジメチルテレフタル酸890部、トリメリト酸4.4
部、プロピレングリコール700部、1,4−シクロヘ
キサンジメタノール100部、チタンテトラブトキシド
0.5部を3Lフラスコに仕込み、4時間かけて220
℃まで徐々に昇温しエステル交換を行なった。ついで、
30分かけて10mmHgまで減圧初期重合を行なうと
ともに温度を250℃まで昇温し、さらにこのまま、1
mmHg以下で90分間後期重合を行ない本発明のポリ
エステル樹脂(a)を得た。
【0056】直接重合法による合成例(a) テレフタル酸2660部、トリメリト酸15.5部、プ
ロピレングリコール2450部、1,4−シクロヘキサ
ンジメタノール350部、チタンテトラブトキシド1.
8部を10Lオートクレーブに仕込み、3.5Kg/c
m・Gの窒素加圧下で3時間かけて235℃まで徐々に
昇温し、エステル化を行った。次いで、1時間かけて1
0mmHgまで減圧重合を行うと共に温度を250℃ま
で昇温し、さらにこのまま1mmHg以下で90分間後
期重合を行ない本発明のポリエステル樹脂(a)を得
た。それぞれエステル交換法、及び直接重合法で得られ
た樹脂(a)の性能には差異はなく、組成と特性値は表
1に示す。また、得られた樹脂はシクロヘキサノン/ソ
ルベッソ−150=1/1溶剤で固形分40%の樹脂ワ
ニスとし、これを用いて本発明の塗料組成物を調製し
た。
【0057】合成例 (b) ジメチルテレフタル酸380部、2−メチル−1,3−
プロパンジオール255部、ネオペンチルグリコール1
59部、トリメチロールプロパン3部、チタンブトキサ
イド0.2部を2Lフラスコに仕込み、4時間かけて2
20℃まで徐々に昇温しエステル交換を行なった。つい
で、200℃以下に冷却後、セバシン酸45部を添加
し、再度230℃まで昇温し、エステル化反応を行っ
た。次にこれを、30分かけて10mmHgまで減圧初
期重合を行なうとともに温度を250℃まで昇温し、さ
らに250℃、1mmHg以下で90分間後期重合を行
なった。この後、一端樹脂を窒素気流下で220℃まで
冷却し、これにトリメリト酸3.4部を添加し本発明の
ポリエステル樹脂(b)を得た。得られた樹脂の組成と
特性値は表1に示す。また、得られた樹脂はシクロヘキ
サノン/ソルベッソ−150=1/1溶剤で固形分40
%の樹脂ワニスとし、これを用いて本発明の塗料組成物
を調製した。
【0058】合成例(c)〜(f) 合成例(a)のエステル交換法、または直接重合法、及
び合成例(b)にて、樹脂組成が表1に示されるような
本発明のポリエステル樹脂(c)〜(f)、及びそれら
の固形分40%の樹脂ワニスを得た。
【0059】
【表1】 *1:1,4−シクロヘキサンジメタノール
【0060】比較例 (g)〜(j) 合成例(a)または(b)と同様にして、樹脂組成が表
2に示されるような比較例ポリエステル樹脂(g)〜
(j)を得た。また、得られた樹脂はシクロヘキサノン
/ソルベッソ−150=1/1溶剤で固形分40%の樹
脂ワニスとし、これを用いて塗料組成物を調製した。
【0061】
【表2】 *1:1,4−シクロヘキサンジカルボン酸 *2:1,4−シクロヘキサンジメタノール
【0062】合成例(k)レゾール型フェノール樹脂の
合成 m−クレゾール100部、37%ホルマリン水溶液18
0部、及び水酸化ナトリウム1部を加え、60℃で3時
間反応させた後、減圧下50℃で1時間脱水した。つい
でn−ブタノール100部を加え、110〜120℃で
4時間反応を行った。反応終了後、得られた溶液を濾過
して、固形分約50%のm−クレゾール系のレゾール型
フェノール樹脂架橋剤(k)を得た。合成配合を表3に
示す。
【0063】その他のレゾール型フェノール樹脂 その他のレゾール型フェノール樹脂として合成例(k)
と同様にして(l)〜(q)を得た。合成配合を表3に
示す。尚、(l)〜(m)が本発明のレゾール型フェノ
ール樹脂、(n)〜(q)が比較用のレゾール型フェノ
ール樹脂である。
【0064】
【表3】 略号 m−CS:m−クレゾール p−CS:p−クレゾール Xyl:3,5−キシレノール Ph:フェノール
【0065】実施例 (1) 樹脂ワニス(a)20部、フェノール樹脂(k)3.2
部、ドデシルベンゼンスルホン酸0.028部、カルナ
バろう0.08部を配合した後、シクロヘキサノン/ソ
ルベッソ−150=1/1で塗装に適した粘度になるま
で希釈し、本発明の塗料組成物(1)を得た。これを前
述した方法により塗布、焼付を行い本発明の塗装金属板
のテストピースを得た。配合組成、並びにテストピース
を評価した結果を表4に示す。
【0066】実施例(2)〜(7) 実施例(1)と同様にして本発明の塗料樹脂組成物
(2)〜(7)を得た後、同じく前述した方法により塗
布、焼付を行い本発明の塗装金属板のテストピースを得
た。配合組成、並びにテストピースを評価した結果を表
4に示す。
【0067】
【表4】 *1:メチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂(三井サ
イテック(株)製) *2:メチルエーテル化メラミン樹脂(三井サイテック
(株)製) *3:フェノールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェ
ルエポキシ(株)製)ドデシルベンゼンスルホン酸 *4:ドデシルベンゼンスルホン酸 *5:ドデシルベンゼンスルホン酸系硬化触媒(キング
インダストリイズ社製)
【0068】比較例 (8)〜(13) 実施例(1)と同様にして、比較例の塗料樹脂組成物
(8)〜(13)を得た後、同じく前述した方法により
塗布、焼付を行い比較例のテストピースを得た。配合組
成、並びにテストピースを評価した結果を表5に示す。
ちなみに(13)はエポキシ−フェノール樹脂塗料を再
現したものである。
【0069】
【表5】 *1:メチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂(三井サ
イテック(株)製) *2:メチルエーテル化メラミン樹脂(三井サイテック
(株)製) *3:フェノールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェ
ルエポキシ(株)製) *4:ビスフェノール型エポキシ樹脂(油化シェルエポ
キシ(株)製) *5:ドデシルベンゼンスルホン酸 *6:ドデシルベンゼンスルホン酸系硬化触媒(キング
インダストリイズ社製)
【0070】表4〜5で明らかなように、本発明の缶塗
料用樹脂組成物を塗布した金属板ははその硬化性、加工
性、耐レトルト性、耐内容物(酸、塩)性、耐オーバー
ベーク性、耐酸加工性、抽出性、耐デント性、深絞り加
工性に優れている。
【0071】
【発明の効果】食品や飲料缶内面に塗装される塗料はそ
の性質から毒性がなく、廃棄、リサイクル時にも汚染物
質の排出もなく、製缶の加工、レトルト処理の蒸気、
熱、内容物の塩、酸に耐えるものでなければならない。
また近年はエポキシ−フェノール系塗料など外因子内分
泌撹乱物質(環境ホルモン)とされるビスフェノール化
合物を含む塗料の代替化も望まれている。本発明の缶内
面用塗料樹脂組成物は、優れた加工性を有するポリエス
テル樹脂とポリエステル樹脂との硬化性に優れたレゾー
ル型フェノール樹脂からなり、上記した毒性化合物の含
有、排出がなく、環境ホルモンを含まず、硬化性、加工
性、耐レトルト性、耐内容物性を満足し、更には耐酸加
工性や耐オーバーベーク性、耐デント性、深絞り加工性
に優れるため、食品缶、及び飲料缶用缶胴、缶蓋の内面
やシーム用補修塗料に好適である。
フロントページの続き (72)発明者 田近 弘 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 3E033 AA06 BA07 BA13 BB08 CA11 CA14 CA20 EA10 4J038 BA212 CB022 DA062 DD061 DD071 DD121 DD191 DL032 HA376 HA416 JA11 JA57 JC13 JC23 KA03 KA04 KA07 MA14 NA00 NA03 NA04 NA11 NA12 NA14 NA27 PA19 PB04 PC02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ポリカルボン酸成分のうち、芳香族
    ジカルボン酸が70〜100モル%、その他のポリカル
    ボン酸成分が0〜30モル%、ポリアルコール成分のう
    ち、側鎖を有するポリアルコール、及び/または1,4
    −シクロヘキサンジメタノールが40〜100モル%、
    その他のポリアルコール0〜60モル%であり、かつ数
    平均分子量が5,000〜100,000であるポリエ
    ステル樹脂、(B)ホルマリン類との反応でフェノール
    樹脂を得る際に、3官能となるフェノール化合物を出発
    原料として70重量%以上含有し、かつ得られたメチロ
    ール基が芳香環1核当たり1.0個以上、かつ該メチロ
    ール基の50%以上をアルコキシメチル化とし、かつ数
    平均分子量が750未満であるレゾール型フェノール樹
    脂、(C)酸触媒を含むことを特徴とする缶用塗料樹脂
    組成物。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の(A)ポリエステル樹
    脂、(B)フェノール樹脂、(C)酸触媒が下式の範囲
    内で含有する事を特徴とする缶用塗料樹脂組成物。
    (A)/(B)/(C)=100/5〜40/0.05
    〜5 [重量比]
  3. 【請求項3】(B)レゾール型フェノール樹脂のアルコ
    キシメチル基がn−ブチル基である請求項1または2に
    記載の缶用塗料組成物。
  4. 【請求項4】(D)潤滑剤を(A)ポリエステル樹脂1
    00重量部に対し、0.1〜10重量部の範囲で含有す
    ることを特徴とする請求項1,2,3のいずれかに記載
    の缶用塗料組成物。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載の缶用塗料
    樹脂組成物を塗布、硬化させたことを特徴とする缶用塗
    装金属板。
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