JP2001283942A - 光電変換素子 - Google Patents
光電変換素子Info
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Abstract
感色素の担持量を増やし、その結果、大きな光電流出力
を得ることができる光電変換素子を提供する。 【解決手段】 少なくとも、一方の面上に半導体層が被
着された電極と、この電極の前記半導体層と対峙する対
電極と、該電極の前記半導体層と対電極との間に配置さ
れた電解質層を有する光電変換素子において、前記半導
体層を形成する半導体粒子が細孔を有し、該半導体粒子
はその外表面及び前記細孔内に増感色素を担持してい
る。
Description
る。更に詳細には、本発明は増感色素の担持量を増大す
ることにより高い光電流出力を実現できる光電変換素子
に関する。
て大きく期待されており、すでにpn接合型太陽電池な
どが実用化されている。一方、光励起状態の化学反応を
利用して電気エネルギーを取り出す光化学電池は多くの
研究者によって開発されているが、実用化に関して言え
ば、すでに実績の高いpn接合型太陽電池には遙かに及
ばなかった。
容体からなる酸化還元反応を利用したタイプが知られて
いる。例えば、チオニン色素と鉄(II)イオンを組み合わ
せた系などがある。また、本多−藤嶋効果の発見以来、
金属やその酸化物の光電荷分離を利用した光化学電池も
知られている。
体の仕事関数の関係によりショットキー接合ができる
が、半導体と溶液が接している時も同様な接合ができ
る。例えば、溶液中にFe2+/Fe3+、Fe(CN)6
4-/Fe(CN)6 3-、I-/I2、Br-/Br2、ハイ
ドロキノン/キノンなどの酸化還元系が含まれている
時、n型半導体を溶液に浸けると半導体の表面付近の電
子が溶液中の酸化剤へ移動し平衡状態に達する。その結
果、半導体の表面付近は正に帯電し電位勾配が生じる。
これにともない半導体の伝導帯および価電子帯にも勾配
が生じる。
光を照射すると、半導体のバンドギャップ以上のエネル
ギーを持つ光が吸収され、表面付近で伝導帯に電子を、
価電子帯に正孔を生成する。伝導帯に励起された電子は
上述した半導体の表面付近に存在する電位勾配により半
導体内部へ伝達され、一方、価電子帯に生成された正孔
は酸化還元溶液中の還元体から電子を奪う。
と半導体間で回路を作ると、正孔に電子を奪われた還元
体は溶液中を拡散して金属電極から電子を受け取り、再
び還元される。このサイクルを繰り返し、半導体電極は
負極として、金属電極は正極としてそれぞれ働き、外部
へ電力を供給することができる。したがって、光起電力
は酸化還元溶液の酸化還元準位と半導体中のフェルミ準
位との差になる。
元準位の低い、すなわち酸化力の強い酸化還元溶液を用
いること、酸化還元準位と半導体中のフェルミ準位と
の間に大きな差を作り出せる、すなわちバンドギャップ
の大きい半導体を用いることである。
まり大きすぎると半導体自身の表面に酸化膜を形成し、
光電流は短時間のうちにストップする。また、バンドギ
ャップについては、一般にバンドギャップが3.0eV
以下さらには2.0eV以下の半導体は光電変換の際に
流れる電流により溶液中に溶解しやすい問題がある。例
えば、n-Siは水中の光照射で表面に不活性な酸化物
被膜を形成し、n-GaAsやn-CdSは酸化的に溶解
する。
護膜を被覆する工夫が試みられており、正孔輸送特性を
有するポリピロールやポリアニリン、ポリチオフェンな
どのp型導電性高分子を半導体の保護膜に使用する工夫
が提案されている。しかしながら耐久性に問題があり、
せいぜい数日程度しか安定しなかった。
ャップが3eV以上ある半導体の利用が考えられるが、
強度のピークが2.5eV付近にある太陽光を効率よく
吸収するには大きすぎる。そのため、太陽光のうち紫外
部しか吸収できず、大部分を占める可視域を全く吸収せ
ず、光電変換効率は極めて低くなる。
きな半導体の光安定性を両立させるために、半導体のバ
ンドギャップより小さい長波長側の可視光を吸収する増
感色素を半導体に担持させた色素増感太陽電池が知られ
ている。従来の半導体を用いた湿式太陽電池と異なると
ころは、色素に光を照射して電子が励起され、励起電子
が色素から半導体へ移動する光電荷分離過程である。
らえられることが多い。当初、色素としては光合成と同
様にクロロフィルが考えられていたが、絶えず新しい葉
緑素と交換される自然のクロロフィルと違い、太陽電池
に用いる色素では安定性の面で問題があり、また、太陽
電池としての光電変換効率も0.5%に満たないもので
あった。自然界の光合成の過程をそのまま模擬し、太陽
電池を構成することは非常に困難である。
からヒントを得て長波長の可視光を吸収しようというも
のであるが、実際には電子の伝導機構が複雑になったた
め、却って損失の増大が問題となった。固体の太陽電池
では、光を吸収する層を厚くすれば吸収効率は上げるこ
とができる。しかしながら、色素増感太陽電池に関して
は、半導体電極に電子を注入できるのは表面上の単分子
層のみである。そのため無駄な光の吸収をなくすため
に、半導体表面上の色素は単分子層とすることが望まし
い。
半導体内に注入されるためには、半導体表面と化学的に
結合していることが好ましい。例えば、酸化チタンに関
しては、半導体表面と化学的に結合するために、色素に
カルボキシル基があることなどが重要である。
jihiraらのグループである。彼らはローダミンBのカル
ボキシル基がSnO2表面の水酸基とエステル結合する
ことにより,光電流が従来の吸着法の10倍以上になっ
たことを1977年に雑誌Natureに報告している。これ
は従来のアミド結合よりエステル結合の方が色素内で光
のエネルギーを吸収した電子の存在するπ軌道が半導体
の表面に近いためとしている。
できたとしても伝導帯内にある電子は、色素の基底準位
と再結合する可能性や、酸化還元物質と再結合する可能
性などがある。このような問題点があったため、電子注
入について上記の改善にも関わらず光電変換効率は低い
ままであった。
大きな問題点として、半導体表面に単層で担持された増
感色素しか半導体へ電子を注入することができないこと
である。すなわち、これまで半導体電極によく用いられ
ていた単結晶や多結晶半導体は、表面が平滑で内部に細
孔を持たず、増感色素が担持される有効面積は電極面積
に等しく、増感色素の担持量が少ない。
の電極に担持された単分子層の増感色素は最大吸収波長
でも入射光の1%以下しか吸収できず、光の利用効率が
極めて悪くなる。光捕集力を高めるために増感色素を多
層にする試みも提案されているが、概して充分な効果が
得られていない。
する手段として、酸化チタン電極を多孔質化し、増感色
素を担持させ,内部面積を著しく増大させた(例えば、
特許2664196号)。ゾル・ゲル法によりこの酸化チタン
多孔質膜を作製し、膜のポロシティーは約50%ほどで
あり、非常に高い内部表面積を有するナノ多孔性構造が
形成されている。たとえば、8μmの膜厚ではラフネス
ファクター(基板面積に対する多孔質内部の実面積の割
合)は約720にも達する。この表面を幾何学的に計算
すると、増感色素の濃度は1.2×10-7mol/cm
2に達し、実に、最大吸収波長で入射光の約98%が吸
収されることになる。
い色素増感太陽電池は、上述の酸化チタンの多孔質化に
よる増感色素の飛躍的な担持量の増大と、太陽光を効率
よく吸収しかつ半導体への電子注入速度が著しく速い増
感色素の開発した点が大きな特徴である。
めにビス(ビピリジル)Ru(II)錯体を開発した。その
Ru錯体は一般式シス−X2ビス(2,2’−ビピリジ
ル−4,4’−ジカルボキシレート)Ru(II)の構造を
持つ。XはCl−,CN−,SCN−である。これらに
ついて蛍光、可視光吸収、電気化学的および光酸化還元的
挙動について系統的な研究が行われた。これらのうち、
シス−(ジイソシアネート)−ビス(2,2’−ビピリ
ジル−4,4’−ジカルボキシレート)Ru(II)は、太
陽光吸収剤および色素増感剤として格段に優れた性能を
持つことが示された。
配位子への電荷移動遷移である。また、配位子のカルボ
キシル基は表面のTiイオンに直接配位して、色素増感
剤と酸化チタンの間に密接な電子的接触を形成してい
る。この電子的な接触により、色素増感剤から酸化チタ
ンの伝導帯への電子注入が1ピコ秒以下の極めて速い速
度で起こり、その逆方向の酸化された色素増感剤による
酸化チタンの伝導帯へ注入された電子の再捕獲はマイク
ロ秒のオーダーで起こるとされている。この速度差が光
励起電子の方向性を生み出し、電荷分離が極めて高い効
率で行われる理由である。そして、これがpn接合面の
電位勾配により電荷分離を行うpn接合太陽電池との違
いであり、グレツェル・セルの本質的な特徴である。
した酸化スズの透明導電膜をコーティングした導電ガラ
ス基板2枚の間に、酸化還元対を含む電解質溶液を封入
したサンドイッチ型のセルである。ガラス基板の一方
は、透明導電膜上にコロイド状の酸化チタン超微粒子か
ら構成される多孔質膜を積層し、さらに増感色素を吸着
させて作用電極としたものである。他方は、透明導電膜
上に少量の白金をコーティングして対極としたものであ
る。2枚のガラス基板の間にスペーサを挟み、その間の
ごくわずかの隙間に毛細管現象を利用して電解質溶液を
注入する。電解質溶液は、エチレンカーボネートとアセ
トニトリルの混合溶媒を使用し、ヨウ化テトラ-n-プロ
ピルアンモニウムとヨウ素を溶質としたもので、I-/
I3-の酸化還元対を含む。対極にコーティングされた白
金はこの酸化還元対のI3-をI-に陰極還元する触媒作
用がある。
に従来の半導体を用いた湿式太陽電池と変わらない。た
だし、グレッツェル・セルのような多孔質電極のどの部
分においても光電荷分離応答が均一かつ効率的に行われ
るのは、主に電解質層が液体であるためである。すなわ
ち、色素担持多孔質電極を溶液に浸すだけで溶液が均一
に多孔質内に拡散し、理想的な電気化学的界面を形成で
きるからである。
とは、太陽電池の安定性という観点からは好ましくな
く、実際多くの場合、電池を作製しても電解質溶液の液
漏れが他の電池構成要素の劣化に先行して起こり、太陽
電池の性能を低下させてしまうことが知られている。グ
レッツェル・セルの実用化のためには、電解質を一例に
挙げたように、グレッツェル・セルを構成する各要素に
ついて詳細な検討を加えていかなければならない。
素の担持量を飛躍的に増大させるために、超微粒子の酸
化チタンを使って表面積を稼いだことにある。したがっ
て、酸化チタンの表面積をより大きくすれば、増感色素
の担持量も増え、その結果得られる光電流がより大きく
なると当然予想される。これまでにも、表面積を大きく
するために、酸化チタン薄膜の基板の表面を粗面化した
り(例えば、特開平10−112337号公報参照)、
酸化チタン薄膜にポリマーを添加して空孔を作ったりす
る方法(三木等、太陽/風力エネルギー講演論文集199
8、147-150参照)が知られている。
化する方法を採るため、酸化チタン薄膜は多孔質ではな
く、その結果、超微粒子の酸化チタンからなる薄膜に比
べ光電流が小さくなる。また、後者の方法は空孔制御で
きるなどの特徴はあるが、空孔径が大きすぎ、かえって
色素担持量の減少を導いてしまっている。このように、
従来の技術では、酸化チタンの超微粒子を使った薄膜よ
り優れたものは発明されていない。
は、表面積の大きな半導体層を配設することで増感色素
の担持量を増やし、その結果、大きな光電流出力を得る
ことができる光電変換素子を提供することである。
も、一方の面上に半導体層が被着された電極と、この電
極の前記半導体層と対峙する対電極と、該電極の前記半
導体層と対電極との間に配置された電解質層を有する光
電変換素子において、前記半導体層を形成する半導体粒
子は細孔を有し、該半導体粒子はその外表面及び前記細
孔内に増感色素を担持している光電変換素子により解決
される。
する一手段として、超微粒子の酸化チタンの一次粒子径
を小さくすることが考えられる。本発明者らは、一次粒
子径の小さい超微粒子の酸化チタンを使って、多孔質酸
化チタン薄膜を作製し、色素担持量を測定したところ、
確かに一次粒子径の大きいものより色素担持量は増加し
たものの、その増加分に比べ、得られる光電流はほとん
ど増加しないか、逆に減少してしまうという知見を得
た。そしてさらに、この原因が、一次粒子径の小さい超
微粒子酸化チタンを使った多孔質膜は、一次粒子径の大
きなそれと比べ、表面積は増加したが、多孔質膜中の空
孔径が減少したことにあることを突き止めた。すなわ
ち、多孔質膜中の空孔径が小さくなると、電解質溶液中
の酸化還元物質の移動が困難になるからである。
径を小さくすることなく、表面積を増加させることがで
きれば、色素担持量の増大に応じて、得られる光電流も
増加するような多孔質酸化チタン薄膜が作製できるので
はないかと考え、鋭意研究を続けた結果、内部に細孔を
有する適切な一次粒子径の酸化チタン粒子からなる多孔
質薄膜を作製することで、従来の多孔質酸化チタン薄膜
よりも色素担持量が多く、その色素担持量に応じた光電
流が得られることを発見し、本発明を完成させた。
ルとの相違点は、本発明の光電変換素子における半導体
層を形成する半導体粒子はその内部に細孔を有し、該細
孔内に増感色素を担持することができることである。グ
レッツェル・セルは半導体膜を半導体粒子のみで多孔質
化したものであり、半導体粒子自体はその内部に細孔を
有さず、中実のままである。従って、従来のグレッツェ
ル・セルの増感色素担持量に比べて、本発明の光電変換
素子の増感色素担持量は著しく大きい。このため、本発
明の光電変換素子の光電流出力は従来のグレッツェル・
セルの光電流出力よりも遙かに高い。
換素子の一例について具体的に説明する。図1は本発明
の光電変換素子の一例の概要断面図である。図示されて
いるように、本発明の光電変換素子1は、基板3の一方
の表面に形成された電極5を有する。この電極5の一方
の表面には色素増感半導体層7が形成されている。更
に、この色素増感半導体層7に対峙して対電極9が存在
する。対電極9は別の基板11の一方の表面に形成され
ている。色素増感半導体層7と対電極9との間には電解
質層13が存在する。
スチックなどを使用できる。プラスチックは可撓性なの
で、柔軟性を必要とする用途に適する。基板3は光入射
側基板として機能するので透明であることが好ましい。
一方、基板11は透明でも、不透明でもよいが、両側の
基板から光を入射させることができるので、透明である
ことが好ましい。
金属そのものか、またはガラスもしくはプラスチック上
に導電剤層を有するものである。好ましい導電剤として
は金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジ
ウム、インジウム等)、炭素、もしくは導電性の金属酸
化物(インジウム−錫複合酸化物、フッ素をドープした
酸化錫等)が挙げられる。
い表面抵抗の範囲としては50Ω/□以下であり、より
好ましくは30Ω/□以下である。下限に特に制限はな
いが、通常0.1Ω/□である。
い光透過率としては50%以上であり、より好ましくは
80%である。電極5としてはガラスもしくはプラスチ
ック上に導電剤層を有するものが好ましい。電極5の膜
厚は0.1〜10μmが好ましい。電極5の膜厚が0.
1μm未満の場合、均一な膜厚の電極膜を形成すること
が困難になる。一方、膜厚が10μm超の場合、光透過
性が低下し、十分な光が色素増感半導体層7に入射され
なくなる。透明電極5を使用する場合、光は色素増感半
導体層7が被着される側の電極5から入射させることが
好ましい。
能し、前記の色素増感半導体層7が被着される側の電極
5と同義である。本発明における光電変換素子1の対電
極9としては、光電変換素子1の正極として効率よく作
用するために、電解質の還元体に電子を与える触媒作用
を有する素材が好ましい。このような素材は例えば、金
属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウ
ム、インジウム等)、グラファイト、もしくは導電性の
金属酸化物(インジウム−錫複合酸化物、フッ素をドー
プした酸化錫等)などである。これらのうち、白金やグ
ラファイトなどが特に好ましい。対電極9が配設される
側の基板11は、対電極9の被着面側に透明導電膜(図
示されていない)を有することもできる。この透明導電
膜は例えば、前記の電極5と同じ材料から成膜すること
ができる。この場合、対電極9も透明であることが好ま
しい。
板3側に被着された色素増感半導体層7の部分拡大概要
断面図である。図示されているように、色素増感半導体
層7は、半導体粒子15と、この粒子に担持された増感
色素17とから構成されている。増感色素17は半導体
粒子15の外表面の他に、粒子内に形成された細孔19
の内部にも担持される。半導体粒子15に増感色素17
を担持させることにより、光電変換効率の高い光電変換
素子を得ることができる。
100μmの範囲内であることが好ましい。色素増感半
導体層7の膜厚が0.1μm未満の場合には、十分な光
電変換効果が得られない可能性がある。一方、膜厚が1
00μm超の場合には、可視光および近赤外光に対する
透過性が著しく悪化するなどの不都合が生じるので好ま
しくない。半導体層7の膜厚の一層好ましい範囲は、1
μm〜50μmであり、特に好ましい範囲は5μm〜3
0μmであり、最も好ましい範囲は10μm〜20μm
である。
〜1000nmの範囲内であることが好ましい。半導体
粒子15の粒径が5nmより小さいと、色素増感半導体
層7の空孔径が小さくなり、電解質溶液中の酸化還元物
質の移動が困難になって、得られる光電流が低下してし
まうからである。この観点から、色素増感半導体層7の
空孔径は5nm以上であることが好ましく、半導体粒子
15の粒径が5nmより小さいと、色素増感半導体層7
の空孔径が5nm未満になってしまう。また、半導体粒
子15の粒径が1000nmより大きくなると、半導体
層7の表面積がそれほど大きくないため、充分な増感色
素の担持量を得ることができず、その結果、得られる光
電流も期待する程のものでないためである。半導体粒子
15の粒径の特に好ましい範囲は10nm〜100nm
である。
9の内径は一般的に、3nm〜10nmの範囲内である
ことが好ましい。細孔19の内径が3nmより小さい
と、細孔内部へ増感色素を担持することが困難になる。
一方、細孔19の内径が10nmより大きい場合、従来
の細孔のない半導体粒子を使っても、10nm以上の空
孔を色素増感半導体層7内に十分に作ることができるの
で、細孔を設ける意味が無くなる。細孔19の形状は不
定形であり、貫通孔もあれば、窪み状の孔もある。従っ
て、増感色素を収容するのに十分な形状と内容積を有す
る細孔であれば本発明の要件を満たすことができる。
径や色素増感半導体層7の空孔径の測定は、窒素ガスや
クリプトンガスの吸着―脱離等温曲線の測定結果から得
ることができる。例えば、ASAP2010(マイクロ
メリティックス社製)による測定で得られた細孔分布曲
線から細孔径を求めることができる。
(アルキレンオキサイド)ブロックコポリマーを添加し
た半導体材料のゾル溶液から調製することからなる公知
の方法を用いて生成することができる。半導体材料のゾ
ル溶液は、金属塩を加水分解したり、アルコールと金属
塩や金属との反応などによって得られる金属のアルコキ
シドを加水分解したり、金属のアルコキシドに溶解した
金属塩を加水分解することからなる公知の方法によって
調製される。例えば、チタンのアルコキシドとして、テ
トライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネー
ト、ブチルチタネートダイマー、テトラキス(2−エチ
ルヘキシルオキシ)チタン、テトラステアリルチタネー
ト、トリエタノールアミンチタネート、ジイソプロポキ
シ・ビス(アセチルアセトナト)チタン、チタニウムエ
チルアセトアセテート、チタニウムイソプロポキシオク
チレングリコレート、チタニウムラクテートなどがあ
る。
ルキレンオキサイド)ブロックコポリマーはポリプロピ
レングリコールにエチレンオキサイドを付加したものが
好ましい。特に、立体的に規則性を持って空孔を作るこ
とができるABA型、AB型のブロック共重合体が好ま
しい。例えば、BASF社製のPluronicシリー
ズや三洋化成工業社製のニューポールPEシリーズなど
が挙げられる。
属塩や金属のアルコキシドと相溶性のある溶媒であれば
何でもよく、単独でも混合物でも制限なく使用できる。
例えば、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノ
ール、N−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、
トリクレン、プロピレンジクロライドなどがある。特
に、急激な加水分解反応を抑えるために、非水系溶媒が
好ましい。
て得られた半導体粒子を焼成することで、ポリ(アルキ
レンオキサイド)ブロックコポリマーを取り除き、細孔
を有する半導体粒子を得ることができる。焼成温度の範
囲は400℃〜600℃が好ましい。400℃より低い
と、ポリマーを完全に燃焼することができない恐れがあ
る。600℃より高いと、半導体粒子の焼結が進行し、
細孔が塞がってしまう問題が生じる。
体粒子のスラリー液を公知慣用の方法(例えば、ドクタ
ーブレードやバーコータなどの使う塗布方法や、スプレ
ー法、ディップコーティング法、スクリーン印刷法、ス
ピンコート法など)により、電極5を有する基板3の表
面に塗布し、その後、400℃〜600℃の範囲内の温
度で加熱焼結して多孔質な色素増感半導体層7を形成す
ることができる。
Pb、Mo、W、Sb、Bi、Cu、Hg、Ti、A
g、Mn、Fe、V、Sn、Zr、Sr、Ga、Si、
Crの酸化物、SrTiO3、CaTiO3のようなペロ
ブスカイト、または、CdS、ZnS、In2S3、Pb
S、Mo2S、WS2、Sb2S3、Bi2S3、ZnCdS
2、Cu2Sの硫化物、CdSe、In2Se3、WS
e2、HgS、PbSe、CdTeの金属カルコゲナイ
ド、その他GaAs、Si、Se、Cd2P3、Zn
2P3、InP、AgBr、PbI2、HgI2、BiI3
が好ましい。または、前記半導体から選ばれる少なくと
も一種以上を含む複合体、例えば、CdS/TiO 2、
CdS/AgI、Ag2S/AgI、CdS/ZnO、
CdS/HgS、CdS/PbS、ZnO/ZnS、Z
nO/ZnSe、CdS/HgS、CdSx/CdSe
1-x、CdSx/Te1-x、CdSex/Te1-x、ZnS
/CdSe、ZnSe/CdSe、CdS/ZnS、T
iO2/Cd3P2、CdS/CdSeCdyZn1-yS、
CdS/HgS/CdSが好ましい。
としては、従来の色素増感性光電変換素子で常用される
色素であれば全て使用できる。このような色素は当業者
に公知である。このような色素は例えば、RuL2(H2O)2タ
イプのルテニウム−シス−ジアクア−ビピリジル錯体又
はルテニウム−トリス(RuL3)、ルテニウム−ビス(Ru
L 2)、オスニウム−トリス(OsL3)、オスニウム−ビス(Os
L2)タイプの遷移金属錯体若しくは、亜鉛−テトラ(4
−カルボキシフェニル)ポルフィリン、鉄−ヘキサシア
ニド錯体、フタロシアニンなどが挙げられる。有機色素
としては、9-フェニルキサンテン系色素、クマリン系色
素、アクリジン系色素、トリフェニルメタン系色素、テ
トラフェニルメタン系色素、キノン系色素、アゾ系色
素、インジゴ系色素、シアニン系色素、メロシアニン系
色素、キサンテン系色素などが挙げられる。この中でも
ルテニウム−ビス(RuL2)誘導体が好ましい。
半導体粒子15へ増感色素17を担持させる方法は、例
えば、増感色素を溶かした溶液に、半導体粒子層を被着
させた電極付基板3を浸漬させる方法が挙げられる。こ
の溶液の溶媒としては、水、アルコール、トルエン、ジ
メチルホルムアミドなど増感色素を溶解可能なものであ
れば全て使用できる。また、浸漬方法として増感色素溶
液に、半導体粒子層を被着させた電極付基板3を一定時
間浸漬させている時に、加熱還流をしたり、超音波を印
加したりすることもできる。半導体粒子15への色素担
持後、担持せずに色素増感半導体層7に残ってしまった
増感色素を取り除くために、アルコールで洗浄あるいは
加熱還流したりするとよい。さらに、増感色素17が担
持されてない半導体粒子15の部分がないようにするた
めに、アルコール中にt-ブチルピリジンを溶かしておく
ことが好ましい。アルコール中にt-ブチルピリジンが存
在すると、半導体粒子/電解質界面では、増感色素及び
t−ブチルピリジンによって半導体粒子表面と電解質と
をセパレートすることができ、漏れ電流を抑制すること
が可能なため、光電変換素子の特性を著しく向上させる
ことができる。
としては、10-8〜10-6mol/cm2の範囲にあれ
ばよく、特に0.1〜9.0×10-7mol/cm2が
好ましい。増感色素17の担持量が10-8mol/cm
2未満の場合、光電変換効率向上効果が不十分となる。
一方、増感色素17の担持量が10-6mol/cm2超
の場合、光電変換効率向上効果が飽和し、不経済となる
だけである。
13で使用される電解質としては、酸化体と還元体から
なる一対の酸化還元系構成物質が溶媒中に含まれていれ
ば、特に限定されないが、酸化体と還元体が同一電荷を
持つ酸化還元系構成物質が好ましい。この明細書におけ
る、酸化還元系構成物質とは、酸化還元反応において、
可逆的に酸化体及び還元体の形で存在する一対の物質を
意味する。このような酸化還元系構成物質自体は当業者
に公知である。本発明で使用できる酸化還元系構成物質
は例えば、塩素化合物−塩素、ヨウ素化合物−ヨウ素、
臭素化合物−臭素、タリウムイオン(III)−タリウムイ
オン(I)、水銀イオン(II)−水銀イオン(I)、ルテニウム
イオン(III)−ルテニウムイオン(II)、銅イオン(II)−
銅イオン(I)、鉄イオン(III)−鉄イオン(II)、バナジウ
ムイオン(III)−バナジウムイオン(II)、マンガン酸イ
オン−過マンガン酸イオン、フェリシアン化物−フェロ
シアン化物、キノン−ヒドロキノン、フマル酸−コハク
酸などが挙げられる。言うまでもなく、その他の酸化還
元系構成物質も使用できる。中でも、ヨウ素化合物−ヨ
ウ素が好ましく、ヨウ素化合物としては、ヨウ化リチウ
ム、ヨウ化カリウム等の金属ヨウ化物、テトラアルキル
アンモニウムヨージド、ピリジニウムヨージド等のヨウ
化4級アンモニウム塩化合物、ヨウ化ジメチルプロピル
イミダゾリウム等のヨウ化ジイミダゾリウム化合物が特
に好ましい。
は、酸化還元系構成物質を溶解しイオン伝導性に優れた
化合物が好ましい。溶媒としては水性溶媒及び有機溶媒
の何れも使用できるが、酸化還元系構成物質をより安定
するため、有機溶媒が好ましい。例えば、ジメチルカー
ボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボ
ネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネー
ト等のカーボネ−ト化合物、酢酸メチル、プロピオン酸
メチル、ガンマーブチロラクトン等のエステル化合物、
ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,3
−ジオキソシラン、テトラヒドロフラン、2−メチルー
テトラヒドラフラン等のエーテル化合物、3−メチル−
2−オキサゾジリノン、2−メチルピロリドン等の複素
環化合物、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、
プロピオニトリル等のニトリル化合物、スルフォラン、
ジジメチルスルフォキシド、ジメチルフォルムアミド等
の非プロトン性極性化合物などが挙げられる。これらは
それぞれ単独で用いることもできるし、また、2種類以
上を混合して併用することもできる。中でも、エチレン
カーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネ−
ト化合物、3−メチル−2−オキサゾジリノン、2−メ
チルピロリドン等の複素環化合物、アセトニトリル、メ
トキシアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル
化合物が特に好ましい。
いは、ゲル状電解質のいずれも使用することができる。
特に光電変換効率の向上には液体電解質が好ましい。ま
た、液体電解質を多孔質支持体(図示されていない)に
充填することにより、電解質溶液の漏液を完全に防止す
ることができる。
は例えば、濾過フィルター(メンブランフィルタ)ある
いは一次電池や二次電池などに用いられるセパレーター
又は不織布などを好適に使用できる。特に、多孔質支持
体面に対し法線方向に貫通した空隙をもつ場合、多孔質
支持体自体が酸化還元対の移動を阻害する作用が少ない
ため高い光電変換効率が得られる。
ターの材質としては、ガラス繊維、ポリプロピレン、ポ
リエチレン等のポリオレフィン類、ポリエチレンテレフ
タレート等のポリエステル類などからなるものが好まし
い。
ー又は不織布の材質としては、ポリプロピレン、ポリエ
チレン等のポリオレフィン類、ポリエチレンテレフタレ
ート等のポリエステル類、ポリアミド類、ポリフェリレ
ンスルフィド、ビニヨン(塩化ビニルと酢酸ビニルの共
重合物)、ポリイミド、ビニロン(アセタール化ポリビ
ニルアルコール)などが好ましい。これらの材質のセパ
レーター又は不織布を単独でも、あるいは2種以上の材
質のセパレーター又は不織布を複合化して使用すること
もできる。ここで、「複合化した不織布」とは、上記2
種類の材料をブレンド後に溶融紡糸/延伸したブレンド
延伸型不織布、または上記2種類の材料の一方を芯と
し、他方がその周囲を被覆してなる複合繊維(コンジュ
ゲート型繊維)を熱融着してなる芯鞘構造型の不織布で
ある。例えば、芯成分に高融点のポリプロピレンを用
い、鞘成分に低融点のポリエチレンを用いた熱融着タイ
プの不織布がよく知られている。
8との面間隔で規定される。しかし、一般的に、多孔質
支持体の厚みは、1mm以下が好ましい。多孔質支持体
の厚みが1mm超の場合、電解質層7中の酸化還元対の
移動距離が長くなり、酸化還元対を媒介とした電子の授
受反応が律速となり光電変換効率が低下する。
とは、多孔質支持体による保持機構の働かない電解質層
7部分を無くすことになり、そのこと自体は液漏れ防止
および信頼性向上につながる。しかしながら、半導体層
5と対電極8との空間を無くすために、その組立工程お
いて両極を互いに強く押しつけ合うことは、半導体層5
および対電極8を機械的に破壊し、光電変換効率を低下
させる要因となることもある。そのため、半導体層5と
対電極8との間には少なくとも1μm以上の間隔を設
け、前記半導体層5および対電極8の機械的破壊を防ぐ
ことが好ましい。従って、半導体層5と対電極8との間
に設ける多孔質支持体の厚みとしては1μm以上とする
ことが好ましい。
解質層7を構成するために使用される多孔質支持体は、
半導体層5と対電極8との間に充填される電解液の酸化
還元対の移動を妨げないばかりか、これら電解液を液漏
れしないように保持しなければならない。従って、本発
明の多孔質支持体は、光電変換素子の形成に必要な電解
液の酸化還元対の移動を妨げず、しかも、液漏れを起こ
さないように電解液を保持するのに必要十分なポロシテ
ィー(気孔率)を有しなければならない。
る電解質層7を構成するために多孔質支持体を使用する
場合、その多孔質支持体としては、ポロシティー(気孔
率)が30%〜80%の範囲内である多孔質素材を使用
することが好ましい。ポロシティーが30%より小さい
多孔質支持体を用いた場合、多孔質支持体が酸化還元対
の移動を妨げる効果が大きくなり、酸化還元対を媒介と
した電子の授受反応が律速となり光電変換効率が低くな
る。一方、ポロシティーが80%より大きい多孔質支持
体を用いた場合、孔径が大きくなり、毛管作用による電
解質溶液保持能力が低下し、十分な液漏れ抑制効果が得
られなくなる。
に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限
定されるものではない。
(三洋化成工業社製)を溶解させた。次に、四塩化チタ
ン0.01molをこの脱水エタノール溶液に添加し、
激しく1時間攪拌し、酸化チタンのゾル溶液を調製し
た。酸化チタンのゾル溶液10gをシャーレに移し、シ
ャーレを40℃に設定したオーブンに入れて、脱水エタ
ノールが完全に無くなるまで放置した。シャーレに残っ
た酸化チタンゲルを400℃で4時間焼成し、ニューポ
ールPE−108を完全に取り除いた。得られた酸化チ
タンの粉末をSEMで観察した結果、粒径が約30nm
であった。また、X線回折の結果から得られた酸化チタ
ンはアナターゼ型であった。さらに、TEM観察と窒素
ガスの吸着-脱離等温曲線から酸化チタン粒子の内部に
8nmの細孔が作られていることを確認した。
0.2mlを含む水とアセチルアセトンとの混合液(容
量混合比=20/1)20ml中に上記の酸化チタン粒
子を濃度約1wt%で分散させてスラリー液を調製した。
次に、このスラリー液を厚さ1mmの導電性ガラス基板
(F−SnO2,10Ω/sq,旭硝子製)上に塗布
し、乾燥し、得られた乾燥物を500℃で30分間、空
気中で焼成し、多孔質酸化チタン膜を形成した。次に、
多孔質酸化チタン薄膜を備えた導電性ガラスを、[Ru
(4,4'-ジカルボキシル-2,2'-ビピリジン)2(NCS)2]で表
される増感色素溶液中に浸漬し80℃で還流を行いなが
ら色素吸着処理を行った。
電極とを電解質溶液に接触させて光電変換素子を構成し
た。この場合、対電極としては、白金を20nm厚さで
蒸着した導電性ガラスを用いた。両電極間の距離は0.
1mmとした。電解質溶液としては、テトラプロピルア
ンモニウムヨーダイド(0.5M)とヨウ素(0.04
M)を含むエチレンカーボネートとアセトニトリルとの
混合液(容量混合比=80/20)を用いた。
持された増感色素の担持量、および組み立てた光電変換
素子の光短絡電流を下記の表1に示す。増感色素の担持
量の測定は、増感色素が担持した半導体電極をアルカリ
性のエタノール溶液に浸漬させて増感色素を溶出後、そ
のエタノール溶液の吸光度変化から算出した。また、光
電変換素子の光短絡電流は、光照射時の電流−電圧特性
から求めた。
む水とアセチルアセトンとの混合液(容量混合比=20
/1)20ml中に酸化チタン粒子(日本アエロジル社
製,P25,平均粒径20nm)を濃度約1wt%で分散
させてスラリー液を調製した。次に、このスラリー液を
厚さ1mmの導電性ガラス基板(旭硝子製,F−SnO
2,10Ω/sq)上に塗布し、乾燥し、得られた乾燥
物を500℃で30分間、空気中で焼成し、多孔質酸化
チタン膜を形成した。次に、この多孔質酸化チタン膜を
設けた基板とともに、[Ru(4,4'−ジカルボキシル-2,2'
-ビピリジン)2(NCS)2]で表される増感色素溶液中に浸
漬し、80℃で還流を行いながら色素吸着処理を行っ
た。このようにして得た半導体電極を用いて、実施例1
と同様な方法で光電変換素子を組み立てた。
光電変換素子における、半導体電極に担持された増感色
素の担持量、および組み立てた光電変換素子の光短絡電
流を測定した。増感色素の担持量の測定は、増感色素が
担持した半導体電極をアルカリ性のエタノール溶液に浸
漬させて増感色素を溶出後、そのエタノール溶液の吸光
度変化から算出した。また、光電変換素子の光短絡電流
は、光照射時の電流−電圧特性から求めた。測定結果を
下記の表1に示す。
膜厚はほぼ同じであるにもかかわらず、色素担持量は実
施例1の方が2.6倍多い。すなわち、酸化チタン粒子
内部に細孔があるため、増感色素の担持量が多くなった
ことを示し、その結果、短絡光電流も色素担持量の増大
に応じた増加を示した。
23(BASF社製)を溶解させた。次に、四塩化チタ
ン0.01molをこの脱水エタノール溶液に添加し、
激しく1時間攪拌し、酸化チタンのゾル溶液を調製し
た。この酸化チタンのゾル溶液50mlに厚さ1mmの
導電性ガラス基板(F−SnO2,10Ω/sq,旭硝
子製)を浸漬後、5mm/minの速さで導電ガラスを
引き上げた。続いて、40℃に設定したオーブンに入れ
て、脱水エタノールを飛ばした後、450℃で30分間
焼成した。この浸漬−焼成を繰り返して得られた酸化チ
タンの膜厚は2.3μmであった。得られた酸化チタン
薄膜の表面をSEMで観察した結果、粒径が約15nm
の酸化チタン粒子からなることを確認した。また、X線
回折の結果から得られた酸化チタンはアナターゼ型であ
り、さらに、TEM観察と窒素ガスの吸着-脱離等温曲
線から酸化チタン粒子の内部に6nmの細孔が生成され
ていることを確認した。
電ガラスを[Ru(4,4'-ジカルボキシル-2,2'-ビピリジ
ン)2(NCS)2]で表される増感色素溶液中に浸漬し80℃
で還流を行いながら色素吸着処理を行った。このように
して得た半導体電極を実施例1と同様な方法で光電変換
素子を組み立てた。前記と同様な方法で半導体電極に担
持された増感色素の担持量、および組み立てた光電変換
素子の光短絡電流を測定した。半導体電極に担持された
増感色素の担持量は0.038μmol/cm2、光電
変換素子の光短絡電流は6.4mA/cm2であった。
23(BASF社製)を溶解させた。次に、チタンテト
ライソプロポキシド0.05molをこの脱水エタノー
ル溶液に添加し、激しく1時間攪拌し、酸化チタンのゾ
ル溶液を調製した。実施例2と同様に、この酸化チタン
のゾル溶液50mlに厚さ1mmの導電性ガラス基板
(F−SnO2,10Ω/sq,旭硝子製)を浸漬後、
5mm/minの速さで導電ガラスを引き上げた。続い
て、80℃に設定したオーブンに入れて、1時間放置
後、450℃で30分間焼成した。この浸漬−焼成を繰
り返して得られた酸化チタンの膜厚は1.6μmであっ
た。得られた酸化チタン薄膜の表面をSEMで観察した
結果、粒径が約20nmの酸化チタン粒子からなること
を確認した。また、X線回折の結果から得られた酸化チ
タンはアナターゼ型であり、さらに、TEM観察と窒素
ガスの吸着-脱離等温曲線から酸化チタン粒子の内部に
8nmの細孔が生成されていることを確認した。
電ガラスを[Ru(4,4'-ジカルボキシル-2,2'-ビピリジ
ン)2(NCS)2]で表される増感色素溶液中に浸漬し80℃
で還流を行いながら色素吸着処理を行った。このように
して得た半導体電極を実施例1と同様な方法で光電変換
素子を組み立てた。前記と同様な方法で半導体電極に担
持された増感色素の担持量、および組み立てた光電変換
素子の光短絡電流を測定した。半導体電極に担持された
増感色素の担持量は0.025μmol/cm2、光電
変換素子の光短絡電流は5.3mA/cm2であった。
半導体粒子内部に細孔を生成し、半導体粒子の外表面だ
けでなく、粒子の細孔内部にも増感色素を担持させるこ
とにより、色素増感半導体層全体の増感色素担持量が増
大され、その結果、非常に高い光電流出力を示す光電変
換素子を得ることができる。
る。
面図である。
Claims (11)
- 【請求項1】 少なくとも、一方の面上に半導体層が被
着された電極と、この電極の前記半導体層と対峙する対
電極と、該電極の前記半導体層と対電極との間に配置さ
れた電解質層を有する光電変換素子において、 前記半導体層を形成する半導体粒子は細孔を有し、該半
導体粒子はその外表面及び前記細孔内に増感色素を担持
していることを特徴とする光電変換素子。 - 【請求項2】 前記細孔の内径は3nm〜10nmの範
囲内であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換
素子。 - 【請求項3】 前記半導体粒子の粒径は5nm〜100
0nmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載
の光電変換素子。 - 【請求項4】 前記半導体粒子の粒径は10nm〜10
0nmの範囲内であることを特徴とする請求項3に記載
の光電変換素子。 - 【請求項5】 前記半導体層の膜厚は0.1μm〜10
0μmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載
の光電変換素子。 - 【請求項6】 前記電解質層が、電解質溶液が含浸され
た多孔質支持体から構成されていることを特徴とする請
求項1に記載の光電変換素子。 - 【請求項7】 前記多孔質支持体のポロシティーが30
%〜80%の範囲内であることを特徴とする請求項6に
記載の光電変換素子。 - 【請求項8】 前記多孔質支持体の厚さが1μm〜1m
mの範囲内であることを特徴とする請求項6に記載の光
電変換素子。 - 【請求項9】 前記多孔質支持体が濾過フィルタ、セパ
レータ又は不織布からなることを特徴とする請求項6〜
8に記載の光電変換素子。 - 【請求項10】 前記濾過フィルタは、ガラス繊維、ポ
リオレフィン類及びポリエステル類からなる群から選択
される素材により形成されていることを特徴とする請求
項9に記載の光電変換素子。 - 【請求項11】 前記セパレータ又は不織布は、ポリオ
レフィン類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリフェ
リレンスルフィド、ビニヨン(塩化ビニルと酢酸ビニル
の共重合物)、ポリイミド、ビニロン(アセタール化ポ
リビニルアルコール)からなる群から選択される少なく
とも1種類の素材により形成されていることを特徴とす
る請求項9に記載の光電変換素子。
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