JP2001256640A - 磁気記録媒体及び磁気記録装置 - Google Patents

磁気記録媒体及び磁気記録装置

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JP2001256640A
JP2001256640A JP2000070187A JP2000070187A JP2001256640A JP 2001256640 A JP2001256640 A JP 2001256640A JP 2000070187 A JP2000070187 A JP 2000070187A JP 2000070187 A JP2000070187 A JP 2000070187A JP 2001256640 A JP2001256640 A JP 2001256640A
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Application number
JP2000070187A
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English (en)
Inventor
Teruaki Takeuchi
輝明 竹内
Fumiyoshi Kirino
文良 桐野
Nobuyuki Inaba
信幸 稲葉
Koichiro Wakabayashi
康一郎 若林
Atsumi Watabe
篤美 渡部
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Maxell Holdings Ltd
Original Assignee
Hitachi Maxell Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低ノイズの高密度磁気記録用の垂直磁気記録
媒体及び磁気記録装置を提供する。 【解決手段】 磁気記録媒体100は基板1と垂直磁化
を有する磁性層4との間に下地層3を備える。下地層3
は正六角形状の結晶粒子がハニカム状に配列した構造を
有する。かかる下地層3を磁性層4の下地として備える
ことにより磁性層4の粒子径は微細化し、粒子径のばら
つきが少なくなる。これにより磁気記録媒体からのノイ
ズが低減されるとともに高密度磁気記録が可能になる。
更に、面内磁化層2を設けることにより磁性層4からの
漏洩磁界が増大し、再生信号が大きくなる。かかる磁気
記録媒体は高S/Nで情報を再生することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気により情報が
記録される磁気記録媒体及びそれを備える磁気記録装置
に関し、更に詳細には、高密度磁気記録に適する垂直磁
気記録媒体及びそれを備える磁気記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】情報ネットワークの進展及びマルチメデ
ィアの普及に伴い、これを支える主要な情報記録装置で
ある磁気ディスク装置においては、小型化、低価格化及
び大容量化が重要な課題となっている。
【0003】現在実用化されている磁気ディスク装置は
面内磁気記録方式を採用している。すなわち、ディスク
面に対して平行な方向に磁化容易軸を有する磁性層を記
録層として備えた磁気記録媒体(以下、面内磁気記録媒
体と称する)を用い、面内磁化を有する磁区を記録層に
形成して記録を行う記録方式である。ところが、かかる
面内磁気記録方式においては、磁気記録媒体の記録層の
膜厚を厚くすると、磁化方向の異なる磁区同士の境界か
ら生じる磁界が微小磁区の形成を阻害するために高密度
記録が困難となる。それゆえ、記録密度を向上させるた
めには記録層の膜厚を薄くすることが必要であった。し
かし、記録層が非常に薄くなると、室温においても記録
磁区の熱揺らぎが発生し、時間の経過に伴って記録磁区
の磁化が減少してしまう。その結果、かかる記録磁区を
再生したときに再生出力が低下するという問題が生じ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような面内磁気記
録方式における問題を解決する技術として、垂直磁気記
録方式が注目されている。垂直磁気記録方式では、磁化
容易方向がディスク面に対して垂直な方向の磁性層を記
録層として備える磁気記録媒体(以下、垂直磁気記録媒
体と称する)を用いる。かかる垂直磁気記録において
は、磁化方向の異なる磁区の境界から生じる磁界が微小
磁区の形成を阻害するという、上述した面内磁気記録に
おける問題がないので、磁気記録媒体の磁性層の膜厚を
厚くすることができる。このため、垂直磁気記録媒体
は、高密度記録のために微小化された記録磁区を磁性層
に形成することができ、面内磁気記録媒体に比べて熱揺
らぎに強い。
【0005】かかる垂直磁気記録媒体においては、面内
磁気記録媒体の面内磁化の磁性層を単純に垂直磁化の磁
性層に変更して、磁性層(記録層)を1層のみ備える単
層タイプの垂直磁気記録媒体が検討されていた。単層タ
イプの垂直磁気記録媒体は、構造が単純であるものの、
面内磁気記録媒体に比べて媒体から発生する漏洩磁界が
小さく、再生出力が小さいという問題があった。
【0006】かかる問題を解決するために、基板と磁性
層との間に面内磁化層を形成した2層タイプの垂直磁気
記録媒体が提案されている。この2層タイプの垂直磁気
記録媒体では、磁性層の基板側において生じる磁束が面
内磁化層を通ることによって磁路が形成されるために、
磁性層の基板反対側において生じている漏洩磁界が増大
する。それゆえ再生用ヘッドを用いて磁性層からの漏洩
磁界を検出すると再生出力が大きくなる。
【0007】しかしながら、2層タイプの垂直磁気記録
媒体では、ノイズの原因である磁性層の磁化反転領域の
乱雑な磁区からの磁束も面内磁化層を通過する。それゆ
え、2層タイプの垂直磁気記録媒体では再生信号のみな
らずノイズも増大されてしまう。その結果、信号対ノイ
ズ比(S/N)は単層タイプの垂直磁気記録媒体と同等
になっていた。したがって、2層タイプの垂直磁気記録
媒体においては、S/Nの観点からするとノイズを減少
させることが必要であった。
【0008】本発明は、上記従来技術の問題を解決する
ためになされたものであり、本発明の目的は、ノイズを
低減し、高S/Nで情報を再生することが可能な垂直磁
気記録媒体を提供することにある。
【0009】本発明の別の目的は、40ギガビット/平
方インチ(約6.20ギガビット/平方センチメート
ル)以上の高密度磁気記録を可能とする磁気記録再生装
置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の態様に従
えば、基板上に、該基板の表面に対して垂直な方向に磁
化容易方向を有する磁性層を備え、該磁性層に情報が記
録される磁気記録媒体において、上記基板と磁性層との
間に下地層を備え、該下地層は、酸化コバルト、酸化ク
ロム、酸化鉄及び酸化ニッケルからなる群から選ばれた
少なくとも一種の酸化物から構成される結晶粒子と、当
該結晶粒子を取り囲む酸化ケイ素、酸化アルミニウム、
酸化チタン、酸化タンタル及び酸化亜鉛からなる群より
選ばれた少なくとも1種の酸化物を含む結晶粒界部とか
ら構成されることを特徴とする磁気記録媒体が提供され
る。
【0011】本発明の磁気記録媒体は、基板と情報が記
録される磁性層(記録層)との間に、下地層として、酸
化コバルト、酸化クロム、酸化鉄及び酸化ニッケルから
なる群から選ばれた少なくとも一種の酸化物から構成さ
れる結晶粒子と、当該結晶粒子を取り囲む酸化ケイ素、
酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル及び酸化
亜鉛からなる群より選ばれた少なくとも1種の酸化物を
含む結晶粒界部とから構成される層を備える。かかる材
料から形成される下地層は、磁性層を構成する材料の結
晶粒子径及びその分布を自在に制御することができるの
で、磁気記録媒体から発生するノイズを低減することが
できる。以下に、その理由を説明する。
【0012】まず、磁気記録媒体のノイズの原因につい
て説明する。一般に、磁気記録媒体から発生するノイズ
には、記録密度によらない直流消磁後においても発生す
る成分と、記録密度の上昇に伴い増加する成分とが存在
する。垂直磁気記録媒体では、直流消磁後においても発
生するノイズは、垂直磁化を有する磁性層の垂直磁気異
方性を強化して、垂直方向の磁化曲線の角型比を大きく
することにより減少することがわかってきた。そこで、
かかる方法により直流消磁後においても発生するノイズ
を低減した状態で、もう一方のノイズ成分である記録密
度の上昇に伴い増加する成分について調べたところ、そ
のノイズは主として磁化反転領域(隣接する記録磁区の
境界部)で生じていることがわかった。
【0013】磁化反転領域において生じるノイズは、磁
性層を構成する材料の結晶粒子が大きいことに起因して
いる。すなわち、結晶粒子が大きくなると円盤状の記録
媒体の円周方向における磁化反転領域が減少し、図4の
平面図に示すように、磁化反転領域がジグザグになるた
めである。したがって、磁化反転領域において生じるノ
イズを低減するためには結晶粒子は小さいほうが望まし
い。しかしながら、結晶粒径が数nm程度にまで極めて
小さくなると、磁気記録媒体を長期間保存したときに、
結晶粒子が長期間反磁界を受けることになるために、熱
ゆらぎ減磁作用によって磁化が減少し、情報を再生した
ときに再生出力が減少してしまう。それゆえ、結晶粒径
には適度な大きさが必要であり、その分布も可能な限り
小さいことが望ましい。また、結晶粒子を小さくしても
結晶粒子間の磁気的相互作用が大きいと、磁気的には大
きな結晶粒子が存在する状態と同様の状態となる。それ
ゆえ、ノイズを低減するには、結晶粒子が磁気的に孤立
していることが望ましい。
【0014】そこで、本発明では、かかる状態を実現す
るために、基板と磁性層との間に、酸化物から構成され
る結晶粒子と、当該結晶粒子を取り囲む結晶粒界部とか
ら構成される下地層を設けている。酸化物から構成され
る結晶粒子は、酸化コバルト、酸化クロム、酸化鉄及び
酸化ニッケルのうちの少なくとも一種から構成される。
結晶粒界部は、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チ
タン、酸化タンタル及び酸化亜鉛のうちの少なくとも1
種の酸化物から構成される。かかる下地層は、基板上に
成膜するときの成膜条件に従って、析出する酸化コバル
ト、酸化クロム、酸化鉄または酸化ニッケルの結晶粒子
の大きさが一定になる。更に、それら結晶粒子は蜂の巣
(ハニカム)状に配列する。すなわち、析出するそれぞ
れの結晶粒子は、基板面に平行な面内では、正六角形の
形状を有し、下地層の基板面に垂直な断面では柱状の形
状を有する。そして、このような正六角柱をなす結晶粒
子が集合体となり、正六角柱が規則的に配列したハニカ
ム構造を形成している。
【0015】かかる下地層の上に磁性層を形成すると、
形成された磁性層は、下地層の構造が反映されて下地層
と同様のハニカム構造が形成される。磁性層中の結晶粒
子は、下地層中の結晶粒子上から連続してエピタキシャ
ル成長するので、下地層のハニカム構造を適宜調整する
ことにより、その上に所望の粒子径及び結晶配向性の磁
性粒子を成長させることが可能となる。このように、下
地層は、磁性層の粒子径、粒子径分布及び結晶配向性を
制御する働きを備える。したがって、磁性層の結晶粒子
径を微細化することと、粒子径のばらつきをなくすこと
が可能になり、これらに起因する磁気記録媒体の熱揺ら
ぎやノイズを減少させることが可能となる。更に、磁性
層における磁化反転領域がジグザグパターンになること
が防止されるので、ノイズを低減することができる。下
地層の構造、配向性、結晶粒子径などを制御するには、
例えば、結晶粒子を形成する酸化物及び結晶粒界物質の
濃度(組成)や、結晶粒界部の材料、成膜条件などを適
宜好適に選択すればよい。
【0016】本発明において、下地層の結晶粒子は(1
11)方位に配向していることが望ましい。これは、か
かる方位に配向した下地層上に磁性層を形成すると、磁
性層を(00.1)方位に容易に配向させることができ
るからである。(00.1)方位に配向した磁性層は垂
直磁化を示す。
【0017】本発明の磁気記録媒体において、磁性層
は、例えばCoを主体とし、Cr、Pt、Ta、Nb、
Ti及びSiのうちの少なくとも2種類の元素を含有す
る合金から構成することが望ましく、かかる合金は強磁
性を示すことが望ましい。かかる合金は、飽和磁化が大
きいために漏れ磁界も大きく、得られる再生信号を増大
させることができる。
【0018】本発明の磁気記録媒体は、下地層と磁性層
との間に、磁性層の配向性を強化するための制御層を備
えることが好ましい。制御層は、TiまたはTiを主体
とする合金から構成することができる。かかる制御層を
設けることにより、磁性層に所望の磁化容易方向を与え
ることができるので、更に良好な特性が得られる。この
場合、制御層の結晶粒子の形状、寸法及び配置は、下地
層のそれらに従うので、制御層上に形成される磁性層も
下地層の結晶粒子の形状、寸法及び配置が継承される。
【0019】また、本発明の磁気記録媒体は、基板と下
地層の間に面内磁化層を備えることが好ましい。面内磁
化層は非晶質の材料から構成されることが好ましく、か
かる材料としては、例えば、CoNbZr、FeCoZ
rB及びFeCoSiBなどが好適である。面内磁化層
を構成する材料の磁気特性としては、磁束を十分に通す
ことが可能であるとともに、磁気ヘッドと磁気記録媒体
とによって形成される磁路によって外部磁界が増幅され
て記録層の記録状態が変化することを避けることが可能
であるような磁気特性であることが望ましく、例えば保
磁力が5(Oe)(約395A/m)であり、透磁率が
500以上10000以下であることが望ましい。
【0020】本発明の第2の態様に従えば、本発明の第
1の態様に従う少なくとも一つの磁気記録媒体を備える
ことを特徴とする磁気記録装置が提供される。
【0021】本発明の磁気記録装置は、本発明の磁気記
録媒体を装着しているので、画像や音声、コードデータ
などの情報を、低熱揺らぎ、低熱減磁、低ノイズで高密
度記録することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明に従う磁気記録媒体
の実施例について説明するが、本発明はこれに限定され
るものではない。
【0023】
【実施例1】図1に、本発明に従う磁気記録媒体の一具
体例を示す。磁気記録媒体100は、基板1上に面内磁
化層2、下地層3、磁性層4、保護層5及び潤滑剤層6
をこの順で有する。この磁気記録媒体100の製造方法
について、適宜成膜した層の組成や構造を分析しながら
説明する。
【0024】(1)面内磁化層の形成 直径2.5inch(6.35cm)のガラス基板1上
に、面内磁化層2として非晶質構造を有するCoNbZ
r層を膜厚100nmにて成膜した。面内磁化層2の成
膜には、DCスパッタ法を用い、スパッタ時に基板1の
加熱は行なわなかった。ターゲットにはCoNbZr合
金を用い、放電ガスにはArガスを用いた。
【0025】(2)下地層の形成 次いで、面内磁化層2上に、下地層3としてCoO−S
iO層をマイクロ波(2.98GHz)を用いた反応
性ECR(Electron Cyclotron Resonance)スパッタ法
により形成した。ターゲットにはCo−Si合金を用
い、放電ガスにはAr−O混合ガスを用いた。スパッ
タ時のガス圧は0.3mTorr(約39.9mP
a)、投入マイクロ波電力は1kWであった。また、マ
イクロ波により励起されたプラズマをターゲット方向
に、同時に叩き出されたスパッタ粒子を基板方向に引き
込むために、500WのRFバイアス電圧をターゲット
と基板の間に印加した。こうして、下地層3としてのC
oO−SiO膜を20nmの膜厚にて形成した。
【0026】(3)下地層の組成分析、TEMによる観
察、μ−EDX分析及び格子像観察 ここで、下地層3であるCoO−SiO層の組成を分
析した。分析の結果、CoOとSiOが2:1の割合
(モル比)であることが分かった。
【0027】次いで、下地層3の表面をTEMにより明
視野で観察した。その観察像の概略図を図2に示す。図
2に示すように、下地層3は、対辺の距離が10nmの
正六角形の結晶粒子12(磁性粒子)が均一な幅の結晶
粒界部14を隔ててハニカム(蜂の巣)状に規則的に配
列したハニカム構造を有していた。
【0028】つぎに、下地層3について、極微小領域の
エネルギー分散型X線分析(μ−EDX分析)を行なっ
た。その結果、結晶粒子はコバルトの酸化物で、結晶粒
界に存在している物質は酸化ケイ素であった。結晶粒子
間の距離(結晶粒界部の幅)は、0.5〜1.0nmで
あった。この結晶粒子間の距離は、ターゲットの組成
(CoとSiの比、あるいはCoOとSiOの比な
ど)を変化させることにより所望の値を容易かつ任意に
選択することができる。例えば、成膜時にSiO濃度
を高くすると、結晶粒子間の距離は長くなる。しかし、
SiOが多量に存在すると酸化コバルトの析出成長が
抑制されると推察されるため、結晶粒子間の距離は2n
mを上限とすることが望ましい。ただし、この上限は、
基板温度を上げるなど成膜プロセスを最適化することに
より、ある程度変化させることができる。
【0029】この下地層3の構造を更に詳しく調べるた
めに格子像観察を行った。観察の結果、コバルト酸化物
は結晶質であり、酸化ケイ素は非晶質であることが確認
された。結晶質部分の格子定数は、成膜条件、さらに
は、CoOにイオン半径の異なる金属(例えば、クロ
ム、鉄、あるいはニッケルなど)又は、これらの酸化物
を添加することでも制御できる。
【0030】更に、下地層3の断面をTEMにより観察
したところ、基板表面に対して垂直な面においては柱状
の組織が観察された。CoOである結晶粒子の示す柱状
構造は、途中で結晶粒子径が変化することなく一定の粒
子径を保って上方に成長していることを示していた。こ
れは、基板面に平行な下地層の面内において、サイズの
揃った六角柱状の結晶粒子が、ハニカム状に規則的に配
列していることを示している。
【0031】また、前述の下地層表面のTEMによる観
察結果から、結晶粒子径(正六角形の対辺の距離)、結
晶粒子径分布、及び1つの結晶粒子の周囲を取り囲んで
いる結晶粒子数(以下、配位粒子数と称する)を解析し
た。結晶粒子径は、ランダムに選択した一辺が200n
mの正方形の領域に存在する粒子の平均の粒子径とし
た。その結果、平均粒径は10nmであった。また、粒
子径分布は正規分布をしており、標準偏差(σ)は0.
5nmであった。配位粒子数については、500個の結
晶粒子を対象として調べたところ、平均6.01個であ
った。これは、結晶粒子の粒子径のばらつきが少なく、
基板面に平行な面内で結晶粒子の正六角形がハニカム状
に極めて規則的に配列していることを示している。ハニ
カム構造の規則性を反映する配位粒子数は、結晶粒子間
隔に依存して変化する。例えば、結晶粒子間に存在する
SiOの濃度を低くすると、結晶粒子同士が接近して
粒子間隔は狭くなり、同時に粒子形状に乱れが生じるこ
とがわかった。また、SiO 濃度を低下させると、配
位粒子数も7個の場合があったり、4〜5個の場合もあ
り、配位粒子数のばらつきも大きくなる。その上、二次
元の配列に乱れが生じ、ハニカム構造が崩れる。以上の
ことから、結晶粒子間に存在するSiOは、構造に規
則性を持たせる重要な役割を有していることがわかっ
た。
【0032】ここで、比較のために、下地層を構成する
CoO−SiO膜をECRスパッタ法以外の通常のマ
グネトロンスパッタ法により形成した。このマグネトロ
ンスパッタ法によるCoO−SiO膜の構造をTEM
により解析したところ、平均粒子径は10nmであっ
た。粒子径分布は、正規分布をしているものの、標準偏
差σを求めると1.2nmであり、粒子径のばらつきが
大きかった。また、500個の結晶粒子から配位粒子数
を調べたところ平均で6.30個であり、ハニカム構造
の規則性が低下していた。このことから、ECRスパッ
タ法を用いて下地層であるCoO−SiO膜を形成す
ると、この膜の構造の規則性を大きく改善できることが
分かった。更に、下地層の構造をX線回折法により解析
したところ、CoO結晶が(111)の方位に配向して
いることが分かった。
【0033】(4)磁性層、保護層及び潤滑剤層の形成 上記のように形成した下地層3上に、磁性層4として、
CoCrPt層をDCスパッタ法により膜厚15nmに
て形成した。ターゲットにはCoCrPt合金を用い、
放電ガスにはArを用いた。スパッタ時のガス圧は3m
Torr(約399mPa)、投入DC電力は1kW/
150mmφであった。磁性層4の成膜中は、基板を3
00℃に加熱した。
【0034】次いで、磁性層4上に保護層5として炭素
膜を膜厚5nmにて成膜した。炭素膜の成膜にはマイク
ロ波を用いたECRスパッタ法を用いた。ターゲットに
はリング状の炭素を用い、スパッタガスにはArを用い
た。スパッタ時のガス圧は0.3mTorr(約39.
9mPa)、投入マイクロ波電力は1kWであった。ま
た、マイクロ波により励起されたプラズマをターゲット
方向に、同時にプラズマにより叩き出されたターゲット
粒子を基板方向に引き込むために、500VのDCバイ
アス電圧をターゲットと基板の間に印加した。なお、バ
イアス電圧としてDC電圧に代えてRF電圧を用いても
よい。
【0035】最後に、保護層5上に、パーフルオロポリ
エーテルからなる潤滑剤層6を形成し、図1に示す構造
を有する磁気記録媒体100を作製した。
【0036】(5)磁性層のTEMによる観察及びX線
回折法による解析 上記製造工程において、磁性層4であるCoCrPt膜
の形成後に、磁性層4の表面構造をTEMにより観察し
た。観察の結果、磁性層4も、下地層3の構造を反映し
てハニカム構造を有していることが分かった。このTE
Mによる平面観察から求めた結晶粒子の平均粒子径は1
0nmであり、粒子径分布における標準偏差σは0.6
nmであった。このように、磁性層4の磁性粒子は、微
細化され、かつ、粒子径のばらつきが小さく、下地層と
同一の形態であることが分かった。
【0037】つぎに、磁性層4において、1つの結晶粒
子の周囲を取り囲んでいる結晶粒子数(配位粒子数)に
ついて500個の結晶粒子を対象に調べたところ平均で
6.01個であり、下地層3における配位粒子数とよく
一致していた。これは、六角形状の結晶粒子が下地層3
から連続して2次元的に規則的に配列していることを示
している。更に格子像観察により結晶粒子の粒界近傍の
構造を調べたところ、結晶粒子とその周囲の粒界部分と
では磁性層4の組織が異なっていた。特に、粒界部では
格子の乱れが観察され、結晶部分と異なる配向であるこ
とがわかった。上述の下地層3の組織観察の結果から、
格子の乱れた部分は下地層3の粒界部分に対応してい
た。
【0038】また、磁性層4の断面構造をTEMにより
観察した。観察の結果、下地層3と磁性層4との間には
格子のつながりが観察され、磁性層4は下地層3からエ
ピタキシャル成長していることがわかった。また、結晶
相と粒界相とでは、磁性層4の成長様式が異なり、異な
る金属組織を有していることがわかった。特に、下地層
3の結晶粒子からは磁性層4まで良好な柱状組織が成長
していた。一方、粒界相上の磁性層部分は明確な組織を
示していなかった。このことから粒界相上の磁性層部分
は多結晶体の集合体であり、非磁性的な挙動を示すと考
えられる。更に、磁性層4をX線回折により調べると、
磁性層4は(00.1)の方位に配向しており、c軸が
膜面に対して垂直であることがわかった。これは磁性層
4が垂直磁化膜であることを示している。
【0039】ところで、本実施例で用いた基板の材質や
寸法は例示にすぎず、任意の材質及び寸法のディスク基
板を用いても構わない。例えば、AlやAl合金などの
金属、更にはアモルファスポリオレフィンやポリカーボ
ネートなどの樹脂基板を用いてもよい。
【0040】また、下地層3の形成においては、ターゲ
ットとしてCo−Si合金を用い、スパッタガスとして
Ar−O混合ガスを用いたが、CoOとSiO
2:1に混合して焼結した材料をターゲットに用い、純
アルゴンを放電ガスに用いてもよい。また、これら各元
素(化合物)を単体で焼結したものをターゲットに用
い、二元同時スパッタにより成膜しても同様の膜が得ら
れ、成膜法やターゲットの種類には依存しない。マイク
ロ波を用いたECRスパッタ法を用い、スパッタ粒子の
エネルギーを精密に制御することにより良好な結果が得
られ、この場合、膜厚を5nm程度に薄くしても、10
0nm程度に厚くしても、得られる膜の表面及び断面の
組織や構造、粒子サイズ、粒子サイズ分布などに、膜厚
に依存した変化は見られなかった。しかも、ECRスパ
ッタ法を用いると、成膜初期において初期成長層なども
観察されなかった。膜厚が3nm以下の場合、成膜装置
の都合上、安定して作製することが困難であり、膜厚が
100nm以上の場合は、成膜に時間がかかるので製造
効率が低下する。
【0041】また、上記磁気記録媒体の製造工程におい
て、保護層形成の際にスパッタガスとしてArを使用し
たが、窒素を含む混合ガスを用いてもよい。窒素を含む
混合ガスを用いると、スパッタされた炭素粒子が微細化
するとともに、得られる炭素膜が緻密化し、保護性能を
さらに向上させることができる。保護層の膜質は、この
ようなスパッタ条件に大きく依存しているので、スパッ
タ条件は絶対的なものではない。なお、本実施例におい
て保護層の成膜にECRスパッタを用いたのは、緻密で
且つピンホールフリーな膜が得られるからである。
【0042】
【実施例2】本実施例では、本発明に従う磁気記録媒体
の別の具体例として図3に示すような積層構造を有する
磁気記録媒体200を作製した。磁気記録媒体200
は、実施例1の磁気記録媒体100の下地層3と磁性層
4との間に、磁性層4の結晶配向を強化するための配向
制御層7を備えた構造を有する。かかる磁気記録媒体2
00の製造方法を以下に説明する。
【0043】(1)磁気記録媒体の作製 2.5”(6.35cm)サイズのガラス基板1上に、
面内磁化層2として非晶質構造を有するCoNbZrを
膜厚100nmで成膜した。成膜にはDCスパッタ法を
用い、Arガス圧を3mTorr、投入DC電力を1k
W/150mmφとしてスパッタした。スパッタの際に
基板の加熱は行なわなかった。
【0044】次いで、面内磁化層2上に下地層3として
CoO−SiO膜をマイクロ波(2.98GHz)を
用いた反応性ECRスパッタ法により形成した。スパッ
タ条件は実施例1において下地層を形成したときと同じ
条件とした。
【0045】つぎに、下地層3上に配向制御層7として
TiCr膜をDCスパッタ法により膜厚5nmにて形成
した。ターゲットには、TiCr合金を用い、スパッタ
ガスにはArを用いた。スパッタ時のガス圧は3mTo
rr(約399mPa)、投入DC電力は1kW/15
0mmφであった。配向制御層7をX線回折により解析
したところ、(00.1)の方位に配向していた。
【0046】次いで、配向制御層7上に磁性層4として
CoCrPt層をDCスパッタ法により膜厚15nmに
て成膜した。成膜中、基板の温度を300℃にし、スパ
ッタガスの圧力を3mTorr(約399mPa)、投
入DC電力を1kW/150mmφにした。つぎに、磁
性層4上に、保護層5として炭素膜を膜厚5nmにて成
膜した。成膜にはマイクロ波を用いたECRスパッタ法
を用いた。スパッタ時のガス圧を3mTorr(約39
9mPa)、投入マイクロ波電力を1kWに設定した。
また、マイクロ波により励起されたプラズマをターゲッ
ト方向に、同時にプラズマにより叩き出されたターゲッ
ト粒子を基板方向に引き込むために、500VのDCバ
イアス電圧をターゲットと基板の間に印加した。
【0047】次いで、保護層5上にパーフルオロポリエ
ーテルからなる潤滑剤を膜厚2nmにて塗布して潤滑剤
層6を形成した。こうして図3に示す積層構造を有する
磁気記録媒体200を作製した。
【0048】(2)磁性層のTEM観察 磁気記録媒体200の製造過程において、磁性層4の形
成後に、磁性層4の構造をTEM観察により調べた。T
EMの観察によると、下地層3及び配向制御層7の組織
を反映して、磁性層4は蜂の巣(ハニカム)状の構造を
有していることがわかった。また、電子顕微鏡による平
面観察から粒子の平均粒径を調べたところ、平均粒径は
10nmであり、粒径分布は標準偏差:σで0.6nm
であった。このように、磁性層4の粒子は微細化されて
おり、粒径サイズの分布も小さく、下地層3と同一の形
態であった。
【0049】つぎに、磁性層4において、1個の結晶粒
子の周囲を取り囲んでいる結晶粒子数(配位粒子数)に
ついて500個の結晶粒子を対象に調べたところ平均
6.01個であり、下地層3における配位粒子数とよく
一致していた。これは、粒径サイズの揃った六角形状の
結晶粒子が下地層3から連続して2次元的に規則的に配
列していることを示している。
【0050】更に格子像観察により結晶粒子の粒界近傍
の構造を調べたところ、結晶粒子とその周囲の粒界部分
とでは磁性層4の組織が異なっていた。特に、粒界部で
は格子の乱れが観察され、結晶部分と異なる配向である
ことがわかった。実施例1の下地層3の組織観察の結果
と合わせて考えると、格子の乱れた部分は下地層3の粒
界部分に対応していると考えられる。
【0051】また、磁性層4の断面構造をTEMにより
観察した。観察の結果、下地層3と磁性層4との間には
格子のつながりが観察され、磁性層4は下地層3からエ
ピタキシャル成長していることがわかった。また、結晶
相と粒界相とでは、磁性層4の成長様式が異なり、異な
る金属組織を有していることがわかった。特に、下地層
3の結晶粒子は磁性層4まで連続して良好な柱状組織が
成長していた。一方、粒界相上の磁性層部分は明確な組
織を示していなかった。このことから粒界相上の磁性層
部分は多結晶体の集合体であり、非磁性的な挙動を示す
と考えられる。
【0052】(3)磁性層のX線回折による解析 更に、磁性層4をX線回折により調べたところ、磁性層
は(00.1)の方位に配向しており、c軸が膜面に対
して垂直であることがわかった。これは、磁性層4が垂
直磁化膜であることを示している。また、X線回折強度
曲線を詳細に調べると、磁性層4の(00.2)反射の
半値幅は2°であった。配向制御層7であるTiCr層
を設けない実施例1の磁気記録媒体100の磁性層4と
比較すると、この半値幅の値は約1/2となっている。
この結果から、磁性層4の(00.1)方位への配向
が、配向制御層7であるTiCr層により強化されたこ
とがわかる。
【0053】(5)磁気記録媒体の磁気特性の測定 次いで、この磁気記録媒体200の磁気特性を測定し
た。測定の結果、膜面垂直方向における磁気特性は、保
磁力が3.1kOe(約244.9kA/m)、Isv
が2.5×10−16emu、M−Hループにおけるヒ
ステリシスの角型比Sは0.95であり、良好な磁気特
性を有していた。このように、角型比が大きいのは、下
地層の結晶粒界部を反映して磁性層の成長機構が異なっ
たために、磁性層の磁性結晶粒子間での磁気的相互作用
が低減されたためである。
【0054】つぎに、前述の磁気記録媒体の製造工程と
同様の方法により複数枚の磁気記録媒体を作製し、それ
らを図5に示すような断面構造を有する磁気記録装置5
00に組み込んだ。図5に示すように、磁気記録装置5
00は、磁気ヘッド82、サスペンション83、アクチ
ュエータ84、駆動回路85、記録再生回路86、位置
決め回路87、インターフェース制御回路88及び複数
の磁気記録媒体100を備える。図5において、磁気ヘ
ッド82は、記録用磁気ヘッド(不図示)及び再生用磁
気ヘッド(不図示)が一体化された磁気ヘッドである。
記録用ヘッドは、2.1Tの高飽和磁束密度を有する軟
磁性層を用いた薄膜磁気ヘッドであり、再生用磁気ヘッ
ドは、巨大磁気抵抗効果を有するデュアルスピンバルブ
型のGMR磁気ヘッドである。この一体型の磁気ヘッド
82は、サスペンション83により保持されており、サ
スペンション83はアクチュエータ84と駆動回路85
とからなる磁気ヘッド駆動系により制御される。サスペ
ンション83及び駆動回路85は、位置決め回路87に
接続されている。位置決め回路87はインターフェース
制御回路88に接続されており、インターフェース制御
回路88は記録再生回路86に接続されている。また、
記録再生回路86はサスペンション83を通って磁気ヘ
ッド82に接続されている。かかる構成の磁気記録装置
500において、複数の磁気記録媒体100はスピンド
ル52により同軸回転されており、磁気記録媒体100
の回転時には、磁気ヘッド82の底面と磁気記録媒体1
00の表面との距離が15nmになるように制御され
る。
【0055】この磁気記録装置500に組み込まれた磁
気記録媒体100に40Gbits/inch(6.
20Gbits/cm)に相当する信号を記録してデ
ィスクのS/Nを評価したところ、32dBの再生出力
が得られた。また、実施例1で作製した磁気記録媒体に
ついても同様に、複数枚の磁気記録媒体を作製して図5
と同様の構造を有する磁気記録装置に組み込み、40G
bits/inch(6.20Gbits/cm
に相当する信号を記録してディスクのS/Nを評価し
た。その結果、30dBのS/Nが得られた。また、こ
れらのディスクの欠陥レートを測定したところ、信号処
理を行わない場合の値で1×10−5以下であった。
【0056】ここで、磁気力顕微鏡(MFM)により磁
化反転単位を測定したところ、磁化反転単位は結晶粒子
2〜3個分程度であり、十分に小さいことがわかった。
磁化遷移領域に存在するジグザグパターンも従来の磁気
記録媒体よりも小さいことがわかった。また、熱ゆらぎ
や熱による減磁も発生していなかった。
【0057】
【比較例】この例では、比較として、粒径制御用のCo
O−SiO下地層を設けない磁気記録媒体を製造し
た。かかる磁気記録媒体の製造方法を以下に説明する。
【0058】まず、ガラス基板を用意し、ガラス基板上
に面内磁化を有するCoNbZr層を膜厚100nmで
形成した後、CoNbZr層上に記録層としてCoCr
Pt層を膜厚15nmにて直接形成した。次いで、Co
CrPt層上に、保護層としての炭素膜を膜厚5nmに
て、潤滑剤層を膜厚2nmにて順次形成した。かかる磁
気記録媒体は、実施例1で作製した磁気記録媒体におい
て、粒径を制御するためのCoO−SiO下地層を有
しない以外は、同様の構造を有する。基板上の各層の成
膜方法及び条件は、実施例1と同様である。
【0059】こうして得られた磁気記録媒体に情報を記
録し、その情報を再生すると、ノイズが増大しており、
エラーレートも増大していた。
【0060】以上、本発明の磁気記録媒体について実施
例1及び2により説明したが、本発明はこれらに限定さ
れるものではない。上記実施例1及び2の磁気記録媒体
では、基板上に面内磁化層が形成された積層構造にした
が、かかる積層構造に限定されるものではなく、例え
ば、図6に示すように、面内磁化層を設けないで基板1
上にCoO−SiOから構成される下地層3を直接形
成し、その上にCoCrPtから構成される磁性層4を
形成した構造にすることも可能である。また、更に別の
構成として、例えば、図7に示すように、基板1上にC
oO−SiOから構成される下地層3を直接形成し、
下地層3上に配向制御層7及び磁性層4を順に積層した
構造にしてもよい。このように基板上に面内磁化層を形
成しない構造の磁気記録媒体も、ノイズを低減すること
ができ、高S/Nで情報を再生することができる。
【0061】上記実施例1及び2では、下地層の結晶粒
子を構成する材料として酸化コバルトCoOを用いた
が、組成比の異なるCoでもよく、酸化クロム、
酸化鉄又は酸化ニッケルを用いてもCoO同様の正六角
形の規則的な結晶粒子が得られる。さらに、結晶粒界部
の物質として実施例1及び2ではSiOを用いたが、
これ以外に、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タン
タルあるいは酸化亜鉛を用いてもSiO同様の結晶粒
子を均一に隔てる結晶粒界部が得られる。
【0062】また、磁性層を構成する材料としてCoC
rPtを用いたが、Ptの代わりにPd、Tb、Gd、
Sm、Nd、Dy、HoまたはEuを用いてもよく、C
oCrPtに、例えばTa、Nb、Si、BまたはVな
どの元素を添加して4元系としてもよい。また、これら
の中から複数の元素を含んでもよいことは言うまでもな
い。
【0063】
【発明の効果】本発明の磁気記録媒体は、基板と磁性層
との間に、正六角形の結晶粒子が均一な幅の結晶粒界部
を介して規則的に配列したハニカム構造を有する下地層
を備えるので、磁性層はかかる下地層の構造が反映さ
れ、結晶粒子径が微細化されるとともに粒径のばらつき
も低減される。また、磁性層は垂直磁化層であるので熱
ゆらぎに強く、更なる高密度記録化が実現できる。それ
ゆえ、本発明によれば、ノイズが低減された高密度記録
に好適な磁気記録媒体を提供することができる。更に、
基板と下地層との間に面内磁化層を形成することによ
り、磁性層からの漏洩磁界が増大されるので、ノイズを
低減しつつ信号のみを増大することができ、その結果、
高S/Nで情報を再生することが可能となる。
【0064】また、本発明の磁気記録媒体を備える磁気
記録装置は、40Gbits/inch(6.20G
bits/cm)を超える記録密度での記録が可能で
あるので、超高密度記録用の磁気記録装置として極めて
有望である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う磁気記録媒体の概略断面図であ
る。
【図2】本発明に従う磁気記録媒体の下地層の平面構造
を模式的に示す図である。
【図3】実施例2で作製した本発明に従う磁気記録媒体
の概略断面図である。
【図4】磁性層の磁化反転領域の様子を模式的に示す平
面図である。
【図5】本発明に従う磁気記録装置の概略構成図であ
る。
【図6】本発明に従う磁気記録媒体の別の具体例の概略
断面図である。
【図7】本発明に従う磁気記録媒体の更に別の具体例の
概略断面図である。
【符号の説明】
1 基板 2 面内磁化層 3 下地層 4 磁性層 5 保護層 6 潤滑剤層 7 配向制御層 100、200 磁気記録媒体 500 磁気記録装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 稲葉 信幸 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 若林 康一郎 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 渡部 篤美 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 Fターム(参考) 5D006 BB01 BB09 CA01 CA05 CA06 DA08 5E049 AA01 AA04 AA09 AC05 BA06 DB04 DB12 DB14 DB18 DB20

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、該基板の表面に対して垂直な
    方向に磁化容易方向を有する磁性層を備え、該磁性層に
    情報が記録される磁気記録媒体において、 上記基板と磁性層との間に下地層を備え、 該下地層は、酸化コバルト、酸化クロム、酸化鉄及び酸
    化ニッケルからなる群から選ばれた少なくとも一種の酸
    化物から構成される結晶粒子と、当該結晶粒子を取り囲
    む酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タ
    ンタル及び酸化亜鉛からなる群より選ばれた少なくとも
    1種の酸化物を含む結晶粒界部とから構成されることを
    特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 上記結晶粒子は、基板表面に対して垂直
    な面において柱状で、基板表面に対して平行な面におい
    て六角形の形状を有し、且つ基板表面に平行な面内にお
    いてハニカム状に配列していることを特徴とする請求項
    1に記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 上記結晶粒子及び結晶粒界部が非磁性で
    あることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記
    録媒体。
  4. 【請求項4】 上記下地層の結晶粒子は(111)方位
    に配向していることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    か一項に記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 更に、基板表面に対して平行な方向に磁
    化容易方向を有する面内磁化層を上記基板と下地層との
    間に備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一
    項に記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 上記下地層上に、上記磁性層の結晶配向
    性を強化するための制御層を備えることを特徴とする請
    求項1〜5のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 上記制御層は、TiまたはTiを主体と
    する合金から構成されることを特徴とする請求項6に記
    載の磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 上記磁性層は、Coを主体とし、Cr、
    Pt、Ta、Nb、Ti及びSiからなる群から選ばれ
    た少なくとも2種類の元素を含有する合金から構成され
    た強磁性層であることを特徴とする請求項1〜7のいず
    れか一項に記載の磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 上記下地層は、上記磁性層の結晶粒子
    径、結晶粒子径分布、結晶粒子間の磁気的相互作用及び
    結晶粒子の配向性を制御するための層であることを特徴
    とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の磁気記録媒
    体。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれか一項に記載の
    磁気記録媒体を備えることを特徴とする磁気記録装置。
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