JPH07134820A - 磁気記録媒体及びそれを用いた磁気記録装置 - Google Patents

磁気記録媒体及びそれを用いた磁気記録装置

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JPH07134820A
JPH07134820A JP5282385A JP28238593A JPH07134820A JP H07134820 A JPH07134820 A JP H07134820A JP 5282385 A JP5282385 A JP 5282385A JP 28238593 A JP28238593 A JP 28238593A JP H07134820 A JPH07134820 A JP H07134820A
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JP5282385A
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Yukio Honda
幸雄 本多
Nobuyuki Inaba
信幸 稲葉
Mikio Suzuki
幹夫 鈴木
Masaaki Futamoto
正昭 二本
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 磁性膜厚30nm以下で2kOe以上の高保
磁力などの磁気特性に優れた低いノイズ特性をもつ超高
密度磁気記録に好適な面内磁気記録媒体を提供する。 【構成】 基板1上に、磁性薄膜の構造制御用の下地層
2を設け、この上に組成の異なる少なくとも2層からな
る磁性膜3,4を互いに接して構成した積層磁性膜を非
磁性層12を介して多層に設けたことを特徴とする磁気
記録媒体。積層磁性膜3,4および非磁性層12は構造
制御用の下地層2の上にエピタキシャル成長しており、
積層磁性膜を構成する2層の磁性膜の格子定数は下地層
の格子定数に対して各々同じ方向にずれており、基板に
近い側の磁性膜3と下地層2の格子定数の差ΔL1 と、
基板から遠い側の磁性膜4と下地層2の格子定数の差Δ
2の間にはΔL2 >ΔL1 の関係が成り立つ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高密度磁気記録に好適
な磁気記録媒体及びそれを用いた磁気記録装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】現在、実用的に用いられている磁気記録
方式は、磁気記録媒体面に平行に、かつ磁極のN極とN
極、S極とS極を互いに突き合わせる方向に磁化して磁
気記録を行う面内磁気記録方式であり、将来の数Gb/
in2 オーダの高密度磁気記録においてもこの方式は有
力な記録方式の一つである。
【0003】面内磁気記録用磁性膜としては、Co−C
r,Co−NiなどのCo基合金薄膜が用いられ、中で
もCo−Crを主成分とする合金にTa,Pt,Mo,
Ru,Re,Feなどを添加したものが用いられてい
る。これら面内磁気記録用の磁性薄膜を構成するCo基
合金は稠密六方(hcp)格子構造を持ち、この結晶の
c軸、<001>方向に磁化容易軸を持つ。現在用いら
れている面内磁気記録媒体は、NiP被覆したAl基
板、ガラス板、あるいはポリイミド、ポリエチレンテレ
フタレートなどのプラスチックフィルム類などの非磁性
基板上に前述のCo基合金薄膜を形成したものである。
【0004】しかし、非磁性基板上に直接形成したCo
基合金薄膜においては磁化容易軸であるc軸は全く不揃
いであり、磁性膜の保磁力も1000Oe(エルステッ
ド)以下と小さく、高密度磁気記録用媒体としての性能
が不十分である。そこで、上記の磁性層であるCo基合
金薄膜結晶のc軸を基板面内に高配向化する目的から、
基板上に体心立方(bcc)格子構造を有するCr下地
層を形成し、その上にCo基合金磁性薄膜を形成する方
法が提案されている。
【0005】また磁気的な配向性を与えるために、基板
上にテクチャー溝を設け、この溝に沿った方向と、これ
に直交するする方向で薄膜の磁気異方性を制御する方法
も知られている。再生信号における媒体ノイズは、磁気
記録パターンの境界(磁化遷移領域)の構造と密接な関
係があり、これには磁性膜を構成する粒子間の磁気的な
相互作用の強さや磁気異方性の分散などが関係してい
る。媒体ノイズの低減のために従来試みられている方法
としては、(1)CoCr系合金中の非磁性Crを増加
させ、過飽和のCrを結晶粒界に偏折させて磁性粒子間
の磁気的相互作用を小さくする方法、(2)スパッタリ
ングガスの圧力を制御することにより構造制御用の下地
層を形態的に孤立させ、この上に形成する磁性粒子間の
相互作用を低下する方法などがある。
【0006】さらに媒体ノイズを低減する目的から、磁
性膜の平面方向だけでなく、膜厚方向においても磁性粒
子間の磁気的相互作用を小さくするために、例えばCo
Cr系合金磁性膜の間にCrのような非磁性の中間層を
設ける方法が提案されている。しかし、単に磁性膜の間
に非磁性層を設けた場合、同じ厚さの単層の磁性膜に比
べて保磁力が著しく低下し、高々1300〜1500O
eの保磁力しか得られない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】1Gb/in2 以上の
超高密度磁気記録においては、記録ビット長は0.2μ
m以下と小さくなり、面内記録時の反磁界の影響を小さ
くし安定な高密度記録を実現するには、磁性膜の膜厚は
30nm以下、また媒体の面内方向の保磁力は2000
Oe以上のものが必要とされる。
【0008】従来の磁気記録媒体はCoCr合金をベー
スに、これにPtやTa,Wなどを添加したものが用い
られ、前記Cr下地層の上にこれら磁性膜をエピタキシ
ャル的に成長した薄膜が用いられていた。しかし、この
場合、磁性膜厚30nm以下において2000Oe以上
の高保磁力が得られず、再生ノイズが小さな磁気記録を
再現性良く実現できない。また、再生ノイズを低下する
目的から上記磁性膜の間にCrなどの非磁性中間層をい
れた媒体が提案されているが、従来の構成の磁気記録媒
体では全磁性膜厚30nm以下の薄膜では保磁力の低下
が著しく、高々1300〜1500Oeの媒体しか得ら
れない。
【0009】本発明の目的は、上述した従来技術の欠点
を解消し、磁性膜厚30nm以下で2kOe以上の高保
磁力を有するなど磁気特性に優れた低いノイズ特性をも
つ超高密度磁気記録に好適な面内磁気記録媒体を提供す
ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明においては、基板
上に薄膜の結晶成長制御層を設け、その上に組成の異な
る磁性膜を互いに接して構成した積層磁性膜を設け、該
積層磁性膜を非磁性層を介して多層に設け、上記磁性膜
を構造制御用下地層上にエピタキシャル的に形成するこ
とにより、全磁性膜厚30nm以下において2000O
e以上の保磁力を有する超高密度記録に好適な磁気記録
媒体を実現する。
【0011】構造制御用薄膜としては、この上に形成す
る磁性膜と結晶格子の整合性の良い材料、例えばCrに
V,Ti,Ru,Coなどを含む合金材料を選択する。
最も一般的には、基板上に体心立方格子(bcc)構造
のCr下地層を形成し、この上にCo基合金薄膜を形成
する。このCo基合金薄膜のc軸を面内配向させるに
は、<100>もしくは<110>配向したCr下地層
が望ましい。
【0012】高密度磁気記録に適した磁性薄膜として
は、磁化容易軸のc軸が基板面に平行に配向しており、
また磁性粒子が夫れ夫れ磁気的に孤立していることが望
ましく、このためには構造制御用薄膜を構成する一個の
結晶粒の上に各々一個の磁性結晶が形成されるのが好適
である。また1Gb/in2 以上の超高密度記録用の媒
体としては、磁性薄膜の粒径は10〜50nmの範囲で
均一であり、磁性粒子が孤立していることが望ましい。
このためには磁性膜の構造制御用薄膜として作用するC
rを主成分とする合金下地薄膜の結晶粒径も10〜50
nmの範囲で均一に分布しており、また<110>もし
くは<100>方位に配向していることが望ましい。
【0013】本発明の第1の要点は、組成の異なる2種
以上の磁性薄膜を互いに界面を接して積層した積層磁性
膜を前記構造制御用下地層の上にエピタキシャル的に成
長させる点である。磁性薄膜はCoを主成分として、こ
れにCr,Mo,V,Ta,Pt,Si,B,Ir,
W,Hf,Nb,Ru,Ti,Niおよび希土類元素の
中から選ばれる少なくとも1種類以上の元素を含んだ材
料から構成される。磁性薄膜の結晶格子定数は組成によ
り変化し、例えばCoCr合金にPtを添加した場合、
添加量により格子定数は1〜3%変化する。すなわち、
組成の異なる(格子定数の異なる)磁性膜を界面を接し
てエピタキシャル成長させることにより、境界に発生す
るストレスにより磁性膜の保磁力を向上することがで
き、積層磁性膜厚30nm以下、特に15nm以下でさ
えも2000Oe以上の保磁力を得られる。
【0014】第2の要点は、前記積層磁性膜を非磁性層
を介して多層に積層する点である。これにより磁性膜の
膜厚方向においての磁気的な相互作用の強さを制御で
き、再生ノイズを低減できる。非磁性層はCr,V,T
i,Ruから選ばれた少なくとも1種類を含む材料、も
しくはこれを含む合金材料から構成し、例えばCr,C
r−V合金、Cr−Ti合金、Co−Cr(25at%
以上)合金等を用い、この非磁性層の厚さtMDは、0≦
MD<10nmが好適である。非磁性層は単原子層オー
ダーの酸化膜や吸着膜でも同様の効果があり、上式中t
MD=0は非磁性層が単原子オーダーの膜であることを表
す。また前記積層磁性膜1層の厚さTm は、低い再生ノ
イズ特性を得るために30nm以下が望ましく、より望
ましくは5≦Tm ≦30nmである。
【0015】積層磁性膜からなる多層の磁気記録媒体を
構成するに際して、積層磁性膜は組成の異なる磁性膜で
構成され、基板に近い側の磁性膜1と下地層の格子定数
の差ΔL1 と、基板から遠い側の磁性膜2と下地層の格
子定数の差ΔL2 の間にΔL 2 >ΔL1 の関係が成り立
つことが好ましい。但し、下地層の格子定数に対する磁
性膜1と磁性膜2の格子定数のずれの方向は同じ方向と
する。これにより下地層から多層の積層磁性膜の表面ま
で良好なエピタキシャル的結晶成長が実現でき、低ノイ
ズで高密度磁気記録に好適な磁気記録媒体が得られる。
【0016】前記組成の異なる2種以上の磁性薄膜を互
いに界面を接して構成した積層磁性薄膜は、上層と下層
の磁性膜の積層膜厚比は目的により任意に設定でき、積
層膜厚比1:1を基準として膜厚比1:3〜3:1の範
囲で保磁力2000Oe以上を得ることができる。また
非磁性層を介して形成する積層磁性薄膜は、上層と下層
でその膜厚を変えることも可能であり、下層に比べて上
層の保磁力を大きく設定したり、あるいは飽和磁化の値
を大きく設定することができる。
【0017】1Gb/in2 以上の超高密度磁気記録を
実現するには記録媒体表面と磁気ヘッドとの間のスペー
シングは数十ナノメートルと小さく設定されるため、磁
性膜表面の起伏はできるだけ小さく、望ましくは10n
m以下が良い。このためには上記磁性膜の構造制御層の
厚さはできるだけ薄いことが望ましく、5nm以上10
0nm以下が好適である。実用的に高い再現性を得るに
は10〜50nmが望ましい。本発明の磁気記録媒体に
おける薄膜の形成には、真空蒸着法、高周波スパッタリ
ング法、イオンビームスパッタリング法などの物理蒸着
法を用いることができる。
【0018】
【作用】稠密六方格子(hcp)構造のCo基合金はそ
のc軸方向に大きな結晶磁気異方性を有し、面内磁気記
録媒体はこのc軸を基板面内に配向させる。構造制御用
薄膜は、このCo基合金のc軸を基板面内に高配向させ
るために用いられる。Cr合金薄膜下地層は、この上に
形成するCo基磁性薄膜の結晶粒径や結晶配向を制御す
るための構造制御用薄膜として作用し、Co基磁性薄膜
は、この下地層の上にエピタキシャル的に成長する。ま
た、この構造制御用薄膜はCrを主成分とする合金薄膜
を用いることにより、Cr単独の薄膜の場合に比べて結
晶粒径を小さくでき、従って、この上に形成する磁性薄
膜の結晶粒径も小さく制御できる。
【0019】組成の異なる2種以上の磁性薄膜を互いに
界面を接して構成した積層磁性膜を前記構造制御用下地
層の上にエピタキシャル的に成長させるとき、磁性薄膜
の結晶格子定数は組成により変化し、例えばCoCr合
金にPtを添加した場合、添加量により格子定数は1〜
3%変化する。すなわち、組成の異なる(格子定数の異
なる)磁性膜を界面を接してエピタキシャル成長させる
ことにより、境界に発生するストレスにより磁性膜の保
磁力を向上することができる。
【0020】前記積層磁性膜を非磁性層を介して多層に
構成することにより、磁性膜の膜厚方向における磁気的
な相互作用の強さを制御でき、再生ノイズを低減でき
る。磁性膜の間の磁気的相互作用を弱める目的からは、
非磁性層の厚さは10nm以下で十分である。また、非
磁性層の厚さを10nm以上にすると磁性膜のエピタキ
シャル成長に悪影響を及ぼし、磁性層の保持力が低下し
再生ノイズが増大するので10nmより薄いのが好まし
い。
【0021】また、積層磁性膜の基板に近い側の磁性膜
と下地層の格子定数の差ΔL1 と、基板から遠い側の磁
性膜と下地層の格子定数の差ΔL2 の間にΔL2 >ΔL
1 の関係が成り立つことが好ましい。これにより下地層
から多層の積層磁性膜の表面まで良好なエピタキシャル
的結晶成長が実現でき、低ノイズで高密度磁気記録に好
適な磁気記録媒体が得られる。
【0022】
【実施例】以下に本発明の実施例について、図面を参照
しながら詳細に説明する。図において、同一の符号を付
したものは、同じ性能特性を有する部分を表す。図1
(a)は、磁性膜の面内方向と膜厚方向での磁気的相互
作用を制御し、且つ高保磁力、低膜厚化を図り、低ノイ
ズ特性、高密度磁気記録を実現した実施例を示す。
【0023】洗浄したガラス基板1をスパッタリング装
置に設置し、2×10-7Torrの真空まで排気した。
続いて基板1を200℃に加熱し、磁性膜の構造制御用
として厚さ50nmの下地層2を形成した。下地層2と
してはCrを用いたが、Crを主成分としてこれにV,
Ti,Ru,Hf,Ir,Mo,Pd,Pt,Re,T
a,Ti,Zrなどの元素を添加して用いることも可能
である。上記下地層2は体心立方格子構造を有し、その
成長方位は<110>もしくは<100>方位であっ
た。この下地層の上に引き続き同一真空中で第1磁性膜
3、第2磁性膜4を順次形成して構成した積層膜を作製
し、さらにこの上に非磁性層12を介して上記と同様に
第1磁性膜3、第2磁性膜4を順次形成して構成した積
層膜を形成し、2組の積層膜から成る多層膜A13を作
製した。非磁性層12にはCrを用いた。
【0024】薄膜の形成は、スパッタリングArガスの
圧力を15mTorrとしてDCマグネトロンスパッタ
リング法により行った。磁性膜形成用のターゲットは薄
膜と同一組成の合金を用いた。この多層膜A13の上に
は膜厚10nmの保護膜6を形成した。本実施例では、
第1磁性膜3としてCo−16at%Cr−4at%T
a系磁性膜を、第2磁性膜4としてCo−11at%C
r−15at%Pt系磁性膜を用いた。
【0025】本実施例の場合、第2磁性膜として用いた
Co基合金の格子定数は、第1磁性膜のCo基合金の格
子定数に比べて約2%大きい。すなわち、下地層2と第
1磁性膜との格子定数の差ΔL1 と、下地層2と第2磁
性膜との格子定数の差ΔL2の間にはΔL2 >ΔL1
関係が成り立っている。ΔL2 とΔL1 の差は、大きす
ぎるとエピタキシャル成長が生じ難くなり、小さすぎる
と格子歪が小さくて保持力を高める効果が小さいため、
第1磁性膜であるCo基合金の格子定数に対して1〜5
%が適切である。このΔL2 とΔL1 の差は、Co基合
金の添加元素の組成を変化することにより任意に設定で
きる。
【0026】第1磁性膜3の膜厚tm1と第2磁性膜の膜
厚tm2は任意に選択できるが、ここではtm1=tm2に設
定した。また積層膜の厚さTm1(=tm1+tm2)および
m2は任意に選択できるが、ここではTm1=Tm2=15
nmに設定した場合について説明する。比較用として、
図1(b)に示すように、上記下地層2の上に全磁性膜
の厚さ(T=Tm1+Tm2)を同じに設定し、第1磁性膜
材料を非磁性層12を介して構成した2層の交互膜A1
4、図1(c)に示すように、上記下地層2の上に全磁
性膜の厚さ(T=Tm1+Tm2)を同じに設定し、同様に
非磁性層12を介して第1磁性膜3、第2磁性膜4の順
に構成した交互膜B15、図1(d)に示すように、上
記下地層の上に第1磁性層3と第2磁性層4を順次形成
した積層膜A5、及び図1(e)に示すように、上記下
地層2の上に第1磁性膜材料3のみから構成された単層
膜A7を作製した。
【0027】上記の多層膜A、交互膜A,B、積層膜A
及び単層膜Aは、いずれも下地層の上にエピタキシャル
的に成長した膜であることをX線回折法と電子顕微鏡に
より確認した。非磁性層を含む上記3種類の構成の磁性
膜において、非磁性層の膜厚tMDを変化したときの保磁
力を比較した結果を図2に示す。図中、曲線16は多層
膜Aの保持力を、曲線17は交互膜Aの保持力を、曲線
18は交互膜Bの保持力を表す。同図から明らかなよう
に、本発明の多層膜Aからなる磁性膜は、超高密度磁気
記録に好適な2000Oe以上の保磁力を再現性良く得
ることができる。非磁性層の厚さtMDは、0≦tMD<1
0nmで2000Oe以上の保磁力が得られるが、工業
的に量産可能な装置において再現性良く高保磁力を実現
できる非磁性層の厚さは1nm以上が望ましい。この条
件は多層膜Aで満足されることが図2からも明らかであ
る。
【0028】図1(a)の多層膜Aの構成の磁性膜にお
いて非磁性層12の厚さtMDを2nmに設定し、第1、
第2磁性膜からなる積層膜の厚さ(Tm1、Tm2)を変化
したときの保磁力を図3に示す。比較用として図1
(c)の交互膜Bの構成の磁性膜の特性も同図に示し
た。図から明らかなように、本発明の多層膜構造の磁気
記録媒体は積層膜の厚さを10nmに薄く構成しても高
い保磁力を実現できることがわかる。図3は、Tm1=T
m2の場合であるが、Tm1≠Tm2の場合であっても保持力
は同様の傾向を示す。
【0029】前記した各種構造の磁気記録媒体を作製
し、これに薄膜磁気ヘッドにより磁気記録を行い、さら
にこれを磁気抵抗効果型ヘッドにより再生した信号のノ
イズ特性の記録密度依存性を測定し、比較した結果を図
4に示す。この記録再生特性は80nmの磁気スペーシ
ングを保って測定した。図から明らかなように、本発明
の多層膜構造の磁気記録は、全ての記録密度領域におい
て従来の記録媒体に比べて再生ノイズの小さい磁気記録
が実現されており、現在の装置系によっても1Gb/i
2 の記録密度を達成できる可能性を示していることが
わかる。
【0030】本実施例の多層膜構造磁気記録媒体の第
1、第2磁性膜としては、上記で説明した以外に、Co
を主成分とし、これにCr,Mo,V,Ta,Pt,S
i,B,Ir,W,Hf,Nb,Ru,Ti,Niおよ
び希土類元素の中から選ばれる少なくとも1種類以上の
元素を含んだ材料から構成され、下地層2と第1磁性膜
との格子定数の差ΔL1 と、下地層2と第2磁性膜との
格子定数の差ΔL2 の間にΔL2 >ΔL1 の関係が成り
立ち、ΔL2 とΔL1 の差が第1磁性層の格子定数に対
して1〜5%の間にあれば他の組成の材料の組合せでも
よい。但し、下地層の格子定数に対する磁性膜1と磁性
膜2の格子定数のずれの方向(正負の方向)は同じ方向
とする。非磁性層はCrの他に、Cr,V,Ti,Ru
から選ばれた少なくとも1種類を含む材料もしくはこれ
を含む合金材料、例えばCr−V合金、Cr−Ti合
金、Co−Cr合金(25at%Cr以上)を用いても
よい。また非磁性層は体心立方格子構造、または稠密六
方格子構造のいずれでも同様の効果を得ることができ
る。さらに、薄膜の形成法はスパッタリング法の他に真
空蒸着法、イオンビームスパッタリング法などのいずれ
を用いても良い。
【0031】本実施例では、2種類の磁性膜で構成した
積層膜を用いて説明したが、2種類以上の磁性膜を用い
た積層膜でも同様の効果を得ることができる。また、前
記積層膜を非磁性層を介して3層以上積み重ねた多層膜
構造磁気記録媒体を用いても、上記の如く低い再生ノイ
ズ特性の磁気記録を実現できる。図5は、本発明による
磁気記録媒体を組み込んだ磁気記録装置の模式図であ
る。磁気記録媒体51は、モータにより回転する保持具
により保持され、それぞれの各磁性膜に対応して情報の
書き込み、読み出しのための磁気抵抗効果素子再生複合
ヘッド52が配置されている。この磁気抵抗効果素子再
生複合ヘッド52の磁気記録が媒体51に対する位置を
アクチュエータ53とボイスコイルモータ52により移
動させる。さらにこれらを制御するために記録再生回路
55、位置決め回路56、インターフェイス制御回路5
7が設けられている。
【0032】
【発明の効果】以上詳細に説明したごとく、本発明の磁
気記録媒体によれば、基板上に磁性薄膜の構造制御用の
下地層を形成し、この上に組成の異なる少なくとも2層
からなる磁性膜を互いに接して構成した積層磁性膜を膜
厚0≦tMD<10nmの非磁性層を介して多層に形成し
てなる多層膜構造の記録媒体を用いることにより、前記
積層磁性膜の厚さTm が5≦Tm ≦30nmの薄膜にお
いて2kOe以上の高保磁力が実現でき、記録再生ノイ
ズ特性の小さい超高密度磁気記録に好適な磁気記録媒体
を提供できる効果があり、工業上の利用価値は極めて大
きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による多層膜構造磁気記録媒体の一実施
例及び比較例の断面模式図。
【図2】図1の構成の記録媒体の非磁性層の効果を説明
する図。
【図3】本発明の実施例による多層膜及び比較用の交互
膜の保持力を示す図。
【図4】記録媒体のノイズ特性を示す図。
【図5】磁気記録装置の模式図。
【符号の説明】
1…基板、2…下地層、3…第1磁性膜、4…第2磁性
膜、5…積層膜A、6…保護膜、12…非磁性層、13
…多層膜A、14…交互膜A、15…交互膜B、16…
多層膜Aの保磁力、17…交互膜Aの保磁力、18…交
互膜Bの保磁力、51…磁気記録媒体、52…磁気抵抗
効果素子再生複合ヘッド、53…アクチュエータ、54
…ボイスコイルモータ、55…記録再生回路、56…位
置決め回路、57…インターフェイス制御回路
フロントページの続き (72)発明者 二本 正昭 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、磁性薄膜の構造制御用の下地
    層を設け、この上に組成の異なる少なくとも2層からな
    る磁性膜を互いに接して構成した積層磁性膜を非磁性層
    を介して多層に設けたことを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 積層磁性膜および非磁性層は構造制御用
    の下地層の上にエピタキシャル成長していることを特徴
    とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 積層磁性膜を構成する2層の磁性膜の格
    子定数は下地層の格子定数に対して各々同じ方向にずれ
    ており、基板に近い側の磁性膜と下地層の格子定数の差
    ΔL1 と、基板から遠い側の磁性膜と下地層の格子定数
    の差ΔL2 の間にΔL2 >ΔL1 の関係が成り立つこと
    を特徴とする請求項1又は2記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 非磁性層はCr,V,Ti,Ru,W,
    Moからなる群から選ばれた少なくとも1種類の元素を
    含む材料、又は該元素を含む合金材料からなることを特
    徴とする請求項1、2又は3記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 非磁性層の厚さは10nm以下であるこ
    とを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の磁気
    記録媒体。
  6. 【請求項6】 磁性膜はCoを主成分とし、これにC
    r,Mo,V,Ta,Pt,Si,B,Ir,W,H
    f,Nb,Ru,Ti,Niおよび希土類元素の中から
    選ばれる少なくとも1種類以上の元素を含んでなる材料
    から構成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれ
    か1項記載の磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 一組の積層磁性膜の厚さは5nm以上、
    30nm以下であることを特徴とする請求項1〜6のい
    ずれか1項記載の磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項記載の磁気
    記録媒体、該磁気記録媒体を保持するための保持具、磁
    気記録媒体の磁性膜上に配置され、情報を記録、再生す
    るための磁気ヘッド、磁気ヘッドと磁気記録媒体の相対
    的位置を移動させるための移動手段、及びこれらを制御
    するための制御手段を有することを特徴とする磁気記録
    装置。
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