JP2002208129A - 磁気記録媒体及びその製造方法並びに磁気記録装置 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法並びに磁気記録装置

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JP2002208129A
JP2002208129A JP2001301089A JP2001301089A JP2002208129A JP 2002208129 A JP2002208129 A JP 2002208129A JP 2001301089 A JP2001301089 A JP 2001301089A JP 2001301089 A JP2001301089 A JP 2001301089A JP 2002208129 A JP2002208129 A JP 2002208129A
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JP2001301089A
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Nobuyuki Inaba
信幸 稲葉
Tetsunori Kanda
哲典 神田
Hideaki Yamanaka
英明 山中
Satoru Matsunuma
悟 松沼
Shioji Fujita
塩地 藤田
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Hitachi Maxell Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱安定性に優れ、低ノイズの高密度記録用磁
気記録媒体を提供する。 【解決手段】 磁気記録媒体は基板1上に裏打ち層5と
規則合金からなる磁気記録層9を含む。裏打ち層5を、
微結晶析出型軟磁性層51と結晶性軟磁性層53とから
構成する。結晶性軟磁性層53を磁気記録層9側に位置
付ける。これにより磁気記録層9の結晶性が向上する。
微結晶析出型軟磁性層51によりスパイクノイズの発生
が低減される。磁気記録層9として高磁気異方性を有す
る規則合金を用いているために熱安定性に優れる。磁気
記録層9はECRスパッタ法を用いて形成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高密度記録に好適な磁
気記録媒体及びその製造方法並びに磁気記録装置に関
し、更に詳細には、磁気記録層に規則合金を用いた磁気
記録媒体及びその製造方法並びに磁気記録装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】磁気記録の分野においては、面内磁気記
録方式と垂直磁気記録方式の2つの記録方式がある。現
在、前者の記録方式が一般的に用いられている。面内記
録方式は、磁気記録ヘッドを用いて、磁気記録媒体面に
平行に、かつ、磁極のN極とN極、S極とS極を互いに
突き合わせる方向に磁化して記録ビットを形成して、磁
気記録を行なう方法である。面内磁気記録方式において
記録密度を向上するためには、記録されたビットに作用
する反磁場の影響を低減して、記録媒体である磁性膜の
膜厚を小さくし、膜面内の保磁力を増大する必要があ
る。
【0003】一方、垂直磁気記録方式は、磁気ヘッドを
用いて、垂直磁気異方性を有する磁気記録媒体に膜面に
対して垂直に、かつ、隣り合うビットの磁化方向が反平
行となるように記録ビットを形成して磁気記録を行なう
方法である。例えば、磁気記録層に対して基板と反対側
の面全体がS極、基板側の面全体がN極となるように一
様に磁化させたDC消去状態の磁気記録層に、この磁化
方向とは逆に基板と反対側がN極、基板側がS極となる
ように記録ビットを形成する方法である。この場合、隣
り合うビットの磁極がS極とN極であり、隣り合うビッ
トの磁化の向きが反平行であるため、隣接するビットの
磁気モーメント同士が引き合い、記録磁化が安定に存在
することになる。垂直磁気記録方式には、磁気ヘッドと
媒体の構造の違いにより、薄膜ヘッドと単層垂直媒体と
を組み合わせて記録する方式と、単磁極ヘッドと2層垂
直媒体を組み合わせて記録する方式の2つの方式に大別
される。
【0004】後者の方式において、単磁極ヘッドからの
磁束を環流させるための軟磁性体からなる磁束リターン
層を磁気記録層の下側に設ける方法が知られている。こ
れにより、単磁極ヘッドの主磁極から生じる磁束を磁気
記録層に効率的に導くことが可能となり、微細なビット
を書き込むことが可能となる。このため、薄膜ヘッドと
単層垂直媒体の組み合わせ記録する方式に比べて、単磁
極ヘッドと2層垂直媒体の組み合わせて記録する方式の
ほうが高密度記録に適している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】面内磁気記録方式及び
垂直磁気記録方式のいずれの記録方式においても、磁気
記録媒体の高密度化を実現するためには、磁気記録媒体
の磁気記録層を構成する磁性体の保磁力を増大させるこ
とが重要である。磁性体の保磁力を決める要因の一つに
結晶磁気異方性エネルギーがある。これは、磁性結晶粒
中の磁気モーメントをある特定の結晶方向に向きやすさ
を示すエネルギーであり、この値が大きいほど、その方
向に向きやすいことを示している。例えば、Co結晶粒
の場合、六方稠密結晶格子のc軸方向が磁気モーメント
の向きやすい方向であり(磁化容易軸)、この結晶磁気
異方性エネルギーKuは約4.6×10erg/cm
である。結晶粒の体積がVであるとき、結晶粒中の磁
気モーメントが磁化容易軸方向に向けて置くエネルギー
はKuVで与えられる。一方、磁気モーメントは、熱振
動のために揺らいでいる。このときのエネルギーは、ボ
ルツマン定数kと絶対温度Tとの積kTで与えられ
る。ここでkTとKuVを比較すると、kT≪Ku
Vの場合は磁気異方性エネルギーが十分大きいため、磁
気モーメントはほぼ結晶粒のc軸方向に向くことにな
る。kT≫KuVの場合は、磁気異方性エネルギーに
比べ熱振動のエネルギーの方が大きいため、磁気モーメ
ントは熱振動し続けることになる(超常磁性状態)。現
在、学会レベルでの記録ビットの熱安定性の議論では、
(KuV)/(kT)の値が50〜100であれば、
媒体の熱安定性が確保できると考えられている。
【0006】面内磁気記録方式で高密度記録を実現する
ために、結晶粒径、および、膜厚を現状の半分にした場
合を考える。Coと同程度の磁気異方性エネルギーを持
つ磁性体を磁気記録層に用い、かつ、室温(300K)
に放置した場合を仮定すると、KuV/kT〜10と
なり、磁化は不安定となる。このため、磁気異方性エネ
ルギーがCoに比べ5〜10倍の大きさを持つ磁性体を
磁気記録層として用いる必要がある。
【0007】高磁気異方性を有する磁性材料として、例
えばO.A.Ivanov et.al.,Phys.Met.Metall.,vol.35(197
3)pp.81で報告されているように、Fe−Pt規則合金
(Ku=7.0×10erg/cm)やCo−Pt
規則合金(Ku=7.0×10 erg/cm)等の
L1型規則合金が知られている。K.R.Coffeyらは、こ
のL1型規則合金を用いた薄膜をシリコン基板上に作
製したものを面内磁気記録媒体として用いて評価を行っ
ている(IEEE Trans.Magn.vol.31(1995)pp.2737.)。こ
の報告では、成膜後、600℃程度の高温で熱処理をす
ることにより、高磁気異方性を発現する規則合金相を形
成し、高保磁力を得ている。しかしながら、600℃程
度の高温での熱処理が必要であり、磁気ディスクで使用
されているガラス基板の対応可能な温度領域を越えてい
るため、実際に磁気ディスクとして量産して工業化する
ことは困難であった。また、一般に、高温での熱処理は
結晶粒の肥大化をもたらすため、高密度記録用媒体に要
求される結晶粒の微細化の観点からも問題があった。
【0008】ところで、薄膜を形成する手法として、電
子サイクロトロン共鳴法(ElectronCyclotron Resonann
ce)により形成したプラズマを用いて薄膜を作製するE
CRスパッタ法が知られている(特開平5−33467
0)。例えば、Co−Cr合金薄膜をECRスパッタ法
で作製すると、従来のスパッタ法や真空蒸着法を用いた
場合に比べ、低い基板温度でCo−Cr膜がCo元素の
多い領域とCr元素の多い領域に分離される組成偏析構
造の形成が進み、高い保磁力を有する媒体の作製が可能
であることが示されている。また、MgOなどの酸化物
をECRスパッタ法を用いて作製すると、従来の成膜方
法に比べて、低い基板温度で形成しても、薄い膜厚で結
晶性の良好な高配向膜が得られることが報告されている
(電子情報通信学会 信学技報MR2000−101
(2001年1月)7頁)。
【0009】磁気記録において、高密度記録を実現する
ためには媒体ノイズを低減することも重要である。媒体
ノイズの主な原因は、ビット境界部である遷移領域部分
に生じたジグザグ磁壁に由来する。ジグザグ磁壁は、磁
性粒子間の磁気的相互作用が大きいほど、大きく揺らぐ
ことになる。したがって、媒体ノイズを低減するために
は、結晶粒間に作用する磁気的相互作用を切り、磁性結
晶粒を磁気的に孤立する必要がある。
【0010】従来、磁気記録媒体の記録層に用いられて
いたCo−Cr系合金では、Crが結晶粒界に偏析して
非磁性層を形成していたため、これにより結晶粒間に作
用する磁気的相互作用を切断していた(例えば、N.Inab
a et.al.,J.Magn.Magn.Mater.,vol.168(1997)222.)。
ところが、L1型規則合金を磁気記録層に用いた場
合、組成偏析相が生じないため、L1型規則合金のみ
で磁気記録層を構成すると磁性粒子間の磁気的相互作用
を切断することができず、媒体ノイズが増加するという
問題があった。
【0011】この問題を解決するために、例えば、A.Ki
kitsu et.al.,J.Appl.Phys.,vol.87(2000)pp.6944で
は、磁気記録層をCoPt−SiOグラニュラー膜で
構成して、L1型規則合金結晶粒を酸化物で分離する
ことにより磁気的相互作用を低減できることを報告して
いる。しかしながら、かかる方法に基づいて磁性粒子を
十分分離するためには、酸化物の体積分率が40%程度
以上必要となり、磁性粒子の分離する酸化物層の厚さが
約5nmとなる。この酸化物による磁性粒子分離層の厚
さは、高密度記録の点から相反する結果となっており、
より薄い層を形成しなければならなかった。
【0012】また、ノイズを低減するためには、磁気記
録媒体を構成する磁性結晶粒の粒径を小さくし、遷移領
域での磁壁の揺らぎを小さくすればよいことが知られて
いる。例えば、面記録密度が50Gb/cm以上の記
録密度になると、記録ビットのビット長が40nm以下
となることが推定される。現在、一般的に使用されてい
る面内磁気記録媒体の磁気記録層の結晶粒径が約15n
m程度であることから、現状の結晶粒径で40nmのビ
ット長を構成するためには、ビット方向に2〜3個の結
晶粒が並ぶことになり、遷移領域でのジグザグ磁壁は大
きくなる。このため、結晶粒径を小さくし、1ビットを
構成するビット長方向の結晶粒の数を増やす必要があ
る。高密度記録を実現するためには、磁気記録層である
磁性膜の膜厚を薄膜化し、各磁性結晶粒の粒径を微細化
し、かつ、この状態で高保磁力を維持しなければならな
いという問題がある。
【0013】特に、面内磁気記録方式では、上記のよう
に反磁場の影響が大きいことから、高密度記録になるほ
ど、すなわち、ビット長が短くなるほど、磁気記録層の
膜厚を薄くし、反磁場の影響を低減する必要がある。こ
のため、面内磁気記録用媒体では、磁気記録層の結晶粒
径を微細化した場合、結晶粒の膜厚を粒径と同程度以下
まで薄くして、形状磁気異方性による膜面垂直方向に磁
化が向く影響を低減する必要がある。一方、垂直磁気記
録用媒体では、磁気記録層表面に磁極が生じ、この磁極
のために記録ビット内部には反磁場が生じている。この
反磁場は、常に記録磁化を反転させよう作用するため、
磁気異方性が小さいと部分的に磁化反転を起こし、逆磁
区を形成することとなる。この逆磁区は、媒体ノイズの
原因となるため、逆磁区が生じにくい高磁気異方性を有
する磁性体を磁気記録層として用いる必要がある。
【0014】更に、2層垂直磁気記録媒体の場合は、上
述した磁気記録層に起因したノイズのほかに磁束リター
ン用の裏打ち層に起因したノイズがある。磁束リターン
用の裏打ち層に起因したノイズとしてスパイクノイズが
ある。これは、裏打ち層中に生じた磁壁が突発的に動く
ために生じる磁束の変化を磁気ヘッドが検出することに
よって起こるノイズである。裏打ち層に用いられる軟磁
性材料には、結晶性から以下の3種類のグループに大別
される。第1のグループがパーマロイ(Fe−Ni)や
Fe−Al−Siなどの結晶性軟磁性体、第2のグルー
プがFe−Ta−CやFe−Ta−Nなどの微結晶析出
型軟磁性体、第3のグループがFe−Nb−ZrやFe
−Ta−Zrなどの非晶質軟磁性材料である。
【0015】磁気記録層にCoCr系合金を用いた2層
垂直磁気記録媒体であって、裏打ち層にパーマロイなど
の結晶性軟磁性体を用いた媒体ではスパイクノイズが大
きいのに対して、裏打ち層にFe−Ta−Cなどの微結
晶析出型軟磁性体やFe−Nb−Zrなどの非晶質軟磁
性体を用いた媒体ではスパイクノイズが起こりにくく、
媒体ノイズレベルが低いことが報告されている(通産省
新エネルギー・産業技術総合開発機構 超先端電子技
術開発機構 第11回技術報告会資料(2001年5
月))。
【0016】また、高密度記録を実現するために、上述
の規則合金を磁気記録層に用いて2層垂直磁気記録媒体
を構成することが考えられる。この場合、CoCr系の
2層垂直磁気記録媒体で用いた裏打ち層をそのまま適用
してもノイズを十分に低減することができないという問
題がある。
【0017】本発明は、従来技術の欠点を解消するため
になされたものであり、本発明の第1の目的は、規則合
金からなる磁気記録層の結晶配向性を高めつつスパイク
ノイズを低減することができる磁気記録媒体及びそれを
備える磁気記録装置を提供することにある。
【0018】本発明の第2の目的は、規則合金からなる
磁気記録層の結晶配向性を高めて微細な記録ビットを確
実に形成することができる磁気記録媒体及びそれを備え
る磁気記録装置を提供することにある。
【0019】本発明の第3の目的は、磁気記録層を構成
する磁性粒子の結晶粒径を微細化し、かつ、粒径分布を
均一化することができ、熱揺らぎに強く記録減磁の小さ
い磁気記録媒体を提供することにある。
【0020】本発明の第4の目的は、磁性粒子間の磁気
的相互作用が低減され、ノイズの小さい磁気記録媒体を
提供することにある。
【0021】本発明の第5の目的は、ガラス基板のよう
な工業的に使用可能な基板上に高磁気異方性を有するL
規則合金を磁気記録層として形成した磁気記録媒体
を製造する方法を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の態様に従
えば、磁気記録媒体であって、基板と;規則合金からな
る磁気記録層と;裏打ち層と;を備え、該裏打ち層は、
結晶形態の互いに異なる少なくとも2種類の軟磁性層を
含む磁気記録媒体が提供される。
【0023】本発明では、裏打ち層として結晶形態の互
いに異なる少なくとも2種類の軟磁性層を用いて構成す
ることにより、磁気記録層として規則合金を用いた磁気
記録媒体のノイズを十分低減することができた。以下に
その理由について説明する。
【0024】規則合金は一般に規則化温度が高いため
に、CoCr系合金に比べて基板温度を高くして作製し
なければならない。このため、裏打ち層として従来の非
晶質軟磁性体を用いると、磁気記録層を形成する過程で
非晶質軟磁性層が結晶化してしまい、特性が劣化してノ
イズが発生する可能性が高くなる。一方、非晶質軟磁性
層の代わりに微結晶析出型軟磁性体を裏打ち層に用いた
場合、この材料の特性を出すために熱処理する必要があ
ることから、高温度プロセスで規則合金からなる磁気記
録層を形成しても、裏打ち層の性能は低下しない。しか
しながら、微結晶析出型の構造を有する裏打ち層は、そ
の最表面の結晶配向がランダム配向しているため、裏打
ち層上に形成する磁気記録層の結晶配向性を制御するこ
とが困難となりノイズが発生していた。結晶系軟磁性膜
は、結晶配向性が良いことから、その上に形成される磁
気記録層の結晶配向性を制御し易いという利点があるが
スパイクノイズが発生するという問題があった。また、
結晶系軟磁性体を裏打ち層として用いた場合に、規則合
金からなる磁気記録層を形成する過程での高温度プロセ
スにより、結晶性軟磁性体の結晶粒が肥大化しながら成
長するため、軟磁性体中の磁壁が動き安くなってスパイ
クノイズが増大する原因となっていた。
【0025】そこで、本発明の磁気記録媒体においては
裏打ち層として、結晶形態の互いに異なる少なくとも2
種類の軟磁性層、例えば、微結晶析出型軟磁性層と結晶
性軟磁性層の少なくとも2種類の層を用いて構成する。
そして、裏打ち層内において磁気記録層に近い側に結晶
性軟磁性層が位置するように構成する。このように磁気
記録層に近い側に結晶性軟磁性層を所定の厚さで形成す
ることによって磁気記録層の結晶配向性を制御しつつ、
微結晶析出型軟磁性層によりスパイクノイズの発生を防
止することができる。微結晶析出型軟磁性層の膜厚をt
1とし、結晶性軟磁性層の膜厚をt2としたときt1>
t2の関係を満たすことが好ましい。
【0026】また、裏打ち層と磁気記録層との間には、
磁気記録層の結晶配向性をより高精度に制御するために
非磁性層を備えることが好ましい。この場合は、裏打ち
層を構成する結晶性軟磁性層から非磁性層がエピタキシ
ャル成長し、更に非磁性層から磁気記録層がエピタキシ
ャル成長していることが好ましい。このように結晶性軟
磁性層から非磁性層及び磁気記録層をエピタキシャル成
長させることにより、磁気記録層に所望の粒子径及び結
晶配向性の磁性粒子を成長させることが可能となる。し
たがって、磁気記録層の結晶粒子径を微細化することが
可能となるとともに粒子径の分散を低減することが可能
になり、磁気記録媒体の熱揺らぎやノイズを減少させる
ことが可能となる。更に、磁気記録層における磁化反転
領域がジグザグになることが防止されるので、ノイズを
著しく低減することができる。
【0027】裏打ち層と磁気記録層との間に形成する非
磁性層は、体心立方格子(bcc)、体心正方格子(b
ct)、面心立方格子(fcc)、面心正方格子(fc
t)、あるいは、NaCl型結晶構造のいずれかの結晶
構造を有することが好ましく、(001)結晶面が基板
と略平行であることが一層好ましい。これにより、非磁
性層上に形成される磁気記録層の結晶配向性を高めるこ
とができる。
【0028】bcc結晶構造を有する非磁性層として
は、例えば、Cr単体、あるいは、CrにV、Mo、
W、Nb、Ti、Ta、Ru、ZrおよびHfからなる
群から選択される少なくとも1種の元素を加えた合金を
用いることができる。また、bct結晶構造を有する非
磁性層としては、例えば、Ni−Al二元合金、あるい
は、Ni−Al二元合金にV、Mo、W、Nb、Ti、
Ta、Ru、ZrおよびHfからなる群から選択される
少なくとも1種類の元素を加えた合金を用いることがで
きる。また、fcc結晶構造を有する非磁性層として
は、例えば、Pt、Pd、Rh、AuまたはCu単体、
あるいは、それらの少なくとも1種を主相とする合金を
用いることができる。また、NaCl結晶構造を有する
非磁性層としては、例えば、MgO、LiF及びNiO
の少なくとも1種類を含む無機物質を用いることができ
る。
【0029】本発明において、規則合金とは、規則合金
だけから構成された合金のみならず、規則合金の結晶構
造の占める比率が全体の約80%以上である合金をも含
む概念である。規則合金としては例えばL1型結晶構
造や面心立方格子構造を示す規則合金を用いることが好
ましい。L1型結晶構造を有する規則合金としては、
例えば、FePt、CoPt、FePd等を用いること
ができ、面心立方格子構造を示す規則合金としては、例
えば、第3元素としてBを適量添加したFePt合金を
用いることができる。FeやPt等に比べ原子半径が小
さく、結晶格子の隙間の空間に侵入するような元素を第
3元素として適量添加した場合、母相となる規則合金は
L1型結晶構造(面心正方格子)からほぼ面心立方格
子構造に結晶構造が変化する。
【0030】本発明において、用語「軟磁性体」は、記
録層の保磁力の1/10以下の保磁力を有する磁性体を
含む概念である。
【0031】本発明の磁気記録媒体において、微結晶析
出型軟磁性体は、例えば、Fe−X−C合金あるいはF
e−X−N合金(X=Ta,Ti,Zr,Hf,V,N
b)から構成し得る。微結晶析出型軟磁性体がFe−X
−C合金である場合には、Feを主体とした相とX−C
を主体とした相が析出した構造にし得る。さらに、Fe
を主体とした相の結晶粒径分布の平均結晶粒径が7nm
〜20nmの範囲内にあることが好ましく、また、X−
Cを主体とする相の結晶粒分布の平均結晶粒径が3nm
〜7nmの範囲内にあることが好ましい。これにより特
性が向上する。結晶性軟磁性体は、体心立方格子、ある
いは、面心立方格子の結晶構造を有することが好ましく
{100}結晶面が基板に対して略平行であることが好
ましい。これにより磁気記録層の結晶配向性を高めるこ
とができる。
【0032】本発明において、磁気記録層を構成する磁
性粒子の磁化容易軸方向は基板表面に対して略垂直に配
向制御することが好ましい。L1型規則合金を磁気記
録層として用いた場合、磁気記録層の結晶粒は、その主
成分がCoあるいはFeの遷移金属元素とPtあるいは
Pdの貴金属元素から構成される。この場合、遷移金属
元素と貴金属元素の原子比率が 0.45≦(遷移金属元素)/(遷移金属元素+貴金属
元素)≦0.55 であることが好ましい。かかる範囲内にすることによ
り、遷移金属元素と貴金属元素からなる合金の結晶構造
が所望の規則構造を形成することが可能となる。かかる
範囲以外の場合、所望の規則構造を形成することが困難
となるため、所望の磁気特性が得られなくなる恐れがあ
る。
【0033】本発明において、磁気記録層を形成する規
則合金は第3元素としてB、Si、Alの少なくとも一
種類を含むことが好ましく、特にBを含むことが好まし
い。規則合金中にBを含有させると、Bは結晶粒内部に
部分的に混入するとともに偏析して結晶粒界を構成する
ため磁性粒間の磁気的な相互作用を切断することが可能
となる。これによりノイズをより一層低減することが可
能となる。規則合金からなる磁気記録層を形成するに
は、成膜後に600℃程度の高温に加熱する必要がある
が、規則合金にBを添加することにより、かかる加熱処
理の際の加熱処理温度を低減する効果もある。規則合金
からなる磁気記録層は、電子サイクロトロン共鳴(EC
R)スパッタ法を用いて形成することが好ましく、規則
合金中にBを含有させた場合は成膜時の基板の加熱温度
を低減することができる。
【0034】また、本発明の磁気記録媒体においては、
磁気記録層を構成する磁性結晶粒内部の遷移金属元素の
濃度をC1とし、結晶粒界部での遷移金属元素の濃度を
C2とするときC1>C2の関係を満足することが好ま
しく、磁性結晶粒内部の第3元素の濃度をC3とし、結
晶粒界部での第3元素の濃度をC4とするときC3<C
4の関係を満足することが好ましい。磁性結晶粒内部と
結晶粒界部の第3元素の濃度を上記関係を満足させるこ
とにより、非磁性元素である第3元素が結晶粒内から結
晶粒界部に排斥されて結晶粒界部における非磁性元素の
濃度が増大することになる。その結果、結晶粒界部の強
磁性元素が減少し、結晶粒子間の磁気的相互作用が低減
されるためノイズを低減することができる。また、磁気
記録層は電子サイクロトロン共鳴(ECR)スパッタ法
を用いて形成することが好ましく、これにより更に特性
が向上する。
【0035】本発明の第2の態様に従えば、磁気記録媒
体であって、非晶質成分を含む基板と;規則合金からな
る磁気記録層と;を備える磁気記録媒体が提供される。
【0036】本発明の第2の態様の磁気記録媒体は、非
晶質成分を含む基板、例えば、ガラス基板上に規則合金
からなる磁気記録層を備える。磁気記録層を構成する規
則合金は、一般に、磁性粒子が規則化する温度が高いた
め、磁気記録媒体の記録層として用いるには、高温加熱
に耐え得るような、工業化の極めて困難な基板上に規則
合金材料を形成し、加熱処理等することによって規則合
金化する必要があった。本発明では、後述する製造方法
を用いることにより、磁気記録層を成膜する際の温度を
従来よりも低くして規則合金からなる磁気記録層を形成
することができるので、工業化可能なガラス基板上に規
則合金からなる磁気記録層を備える磁気記録媒体を提供
できる。
【0037】本発明の第2の態様の磁気記録媒体は、更
に、磁気記録層と基板との間に少なくとも1層の非磁性
下地層を備え得る。この場合、磁気記録層と接する非磁
性下地層が、体心立方格子(bcc)、体心正方格子
(bct)、面心立方格子(fcc)、面心正方格子
(fct)、あるいは、NaCl型結晶構造のいずれか
の結晶構造を有することが好ましい。非磁性下地層がb
cc、fcc、あるいはNaCl型の結晶構造を有する
ときは{100}結晶面が基板表面と平行であることが
好ましく、また、非磁性下地層がbct、あるいはfc
t結晶構造を有するときは(100)結晶面あるいは
(001)結晶面が基板と平行であることが好ましい。
かかる非磁性下地層上に磁気記録層の磁性粒子がエピタ
キシャル成長しているときに磁気記録層の結晶配向性を
高めることができる。
【0038】本発明において、bcc結晶構造を有する
非磁性下地層としてはCr単体、あるいは、CrにV、
Mo、W、Nb、Ti、Ta、Ru、ZrおよびHfか
らなる群から選択される少なくとも1種の元素を加えた
合金を用いることができる。また、bct結晶構造を有
する非磁性下地層としてはNi−Al二元合金、あるい
は、Ni−Al二元合金にV、Mo、W、Nb、Ti、
Ta、Ru、ZrおよびHfからなる群から選択される
少なくとも1種の元素を加えた合金を用いることができ
る。また、fcc結晶構造を有する非磁性下地層として
はPt、Pd、Rh及びAuからなる群から選択される
少なくとも1種を含み材料を用いることができる。ま
た、NaCl結晶構造を有する非磁性下地層としてはM
gO、LiF及びNiOからなる群から選択される少な
くとも1種を含む材料を用いることができる。
【0039】本発明の第2の態様の磁気記録媒体は、磁
気記録層を構成する磁性結晶粒内部の遷移金属元素の濃
度をC1とし、結晶粒界部での遷移金属元素の濃度をC
2とするとき、C1>C2の関係を満たすことが好まし
い。これにより、結晶粒内の強磁性元素が相対的に増大
し、個々の結晶粒の磁気特性が向上するとともに、結晶
粒界部においては強磁性元素が減少するため、結晶粒の
間で働く磁気的相互作用が減少し、ノイズを低減するこ
とができる。
【0040】また、本発明の磁気記録媒体において、磁
気記録層の規則合金として遷移金属元素と貴金属元素と
からなる合金を用いた場合、遷移金属元素と貴金属元素
からなる合金の主相に、5at.%〜30at.%の範
囲内の第3元素を添加することができる。第3元素に
は、例えばB、Si及びAlからなる群から選択された
少なくとも一種を用いることができ、特にBが好まし
い。規則合金に第3元素を上記範囲内で含有させること
により、第3元素が偏析して結晶粒界を構成し、結晶粒
同士の磁気的相互作用を切断させることが可能となる。
このため、磁性結晶粒は磁気的に孤立するため、磁気記
録層に形成されるジグザグ磁壁の揺らぎが低減し、媒体
ノイズを低減することが可能となる。特に、磁気記録層
に第3元素としてBを含有させると、規則合金からなる
磁気記録層を形成するときの基板の温度を低減できると
いう効果もある。
【0041】第3元素の磁気記録層内における分布は、
磁気記録層を構成する磁性結晶粒内部の第3元素の濃度
をC3とし、結晶粒界部での第3元素の濃度をC4とし
たときに、C3<C4の関係を満たすことが好ましく、
かかる範囲内にすることにより、非磁性元素である第3
元素が磁性結晶粒内から結晶粒界部に排斥されて結晶粒
界部における非磁性元素の濃度が増大することになる。
その結果、結晶粒界部の強磁性元素が減少し、磁性結晶
粒の間で働く磁気的相互作用が低減されるためノイズを
低減することができる。更に、磁気記録層を構成する磁
性結晶粒内部の酸素の含有量(C5)と結晶粒界部での
酸素の含有量(C6)が(C5/10)<C6の関係を
満足すると、結晶粒界部に酸化物相が形成されるため、
結晶粒間の磁気的相互作用が低減されてノイズが低減さ
れるという効果が得られる。特に、C3<C4の場合
は、非磁性の第3元素が化粧粒界に偏析した効果に加
え、結晶粒界部で第3元素を含む酸化相が形成されるこ
とにより、第3元素の偏析効果によるノイズ低減効果に
加え、更なるノイズ低減が可能となる。一方、結晶粒内
における酸素が、上記関係式以上に増大すると結晶粒内
においても酸化作用が進行して磁気特性の劣化の原因と
なる恐れがある。
【0042】本発明の第2の態様の磁気記録媒体におい
て、磁気記録層を構成する磁性粒子の平均結晶粒径d1
が4nm〜10nmの範囲内にあることが好ましい。ま
た、例えば、磁気記録層のAC消去時(磁気記録層を交
流消磁して初期化したとき)の最小磁化反転単位の粒径
をd2としたとき(2×d1)>d2を満たすことが好
ましい。これにより、磁気記録層に磁気ヘッドで磁界を
印加したときに、隣接する複数の結晶粒が同時に磁化反
転を起こすこと、すなわち、磁気記録層の広い領域が一
度に磁化反転を起こすことが無くなり、個々の結晶粒ご
とに磁化反転が起こるため、磁化遷移領域のジグザグ磁
壁が小さくなり、ノイズを低減することができる。
【0043】本発明の第3の態様に従えば、磁気記録媒
体の製造方法であって、非晶質成分を含む基板を用意
し、前記基板を加熱した後、スパッタリング用ガスをプ
ラズマ化することにより生じた電荷を有する粒子をター
ゲットに衝突させてターゲット粒子を飛翔させ、該ター
ゲット粒子を基板上に堆積させることにより規則合金か
らなる磁気記録層を形成することを含む製造方法が提供
される。
【0044】本発明の製造方法において、スパッタリン
グ用ガスのプラズマ化の方法として電子サイクロトロン
共鳴(ECR)を用いることが好ましい。これにより、
規則合金を得るために磁気記録層成膜時の基板の加熱温
度を、例えば、400℃〜450℃の範囲内に低減する
ことができる。このため、磁気記録媒体の基板としてガ
ラス基板を用いることが可能となり、磁気記録層として
規則合金を用いた磁気記録媒体を大量に且つ安価に製造
することができる。
【0045】本発明の製造方法を用いて製造される磁気
記録媒体の磁気記録層は、規則合金がL1型規則合金
から構成されていることが好ましく、特にBを含有する
ことが望ましい。磁気記録層にBを含有させることによ
り、規則合金からなる磁気記録層を形成する際の基板の
加熱温度を更に低減することができる。
【0046】本発明の第4の態様に従えば、本発明の第
1の態様または第2の態様に従う磁気記録媒体と;情報
を記録又は再生するための磁気ヘッドと;前記磁気記録
媒体を前記磁気ヘッドに対して駆動するための駆動装置
と;を備える磁気記録装置が提供される。
【0047】かかる磁気記録装置は、本発明の第1また
は第2の態様の磁気記録媒体を用いているので、熱ゆら
ぎや熱減磁に強く、熱安定性に優れ、磁気記録媒体の磁
気記録層に高密度に記録された情報を低ノイズで再生す
ることができる。
【0048】
【発明の実施形態】以下に本発明の実施例を挙げ、図面
を参照しながら詳細に説明する。図において、同一符号
を付加したものは、同じ機能を有する部分を示すことと
する。
【0049】
【実施例1】図1に、本発明に従う磁気記録媒体の概略
断面図を示す。磁気記録媒体は、基板1上に、基板密着
層3、裏打ち層5、非磁性配向制御層7、磁気記録層9
及び保護層10を備える。裏打ち層5は、微結晶析出型
軟磁性層51と結晶性軟磁性層53とから構成され、結
晶性軟磁性層53が磁気記録層9側に形成されている。
本実施例では、微結晶析出型軟磁性層51としてFe−
Ta−Cを、結晶性軟磁性層53としてパーマロイを用
いた。しかし、これに限らず、微結晶析出型軟磁性層5
1としてFe−Ta−Cの代わりにFe−Ta−Nなど
の微結晶析出型軟磁性材料を、また、結晶性軟磁性層5
3としてパーマロイの代わりにFe−Al−Siなどの
結晶性軟磁性材料を用いても良い。
【0050】また、本実施例では、CoPt規則合金を
磁気記録層に用いたが、これに限らず、Coの代わりに
Feを用いてもよく、また、Ptの代わりにPdを用い
てもよい。
【0051】また、本実施例において、成膜方法につい
て特記して理由を説明しない限り、実施例に記載した方
法が代表例としての成膜方法であって、金属膜あるいは
導電性膜を成膜する場合にはDCマグネトロンスパッタ
法、RFマグネトロンスパッタ法、RFコンベンショナ
ルスパッタ法、ECRスパッタ法で良く、また、非金属
膜あるいは非導線性膜を形成する場合は、RFマグネト
ロンスパッタ法、RFコンベンショナルスパッタ法、E
CRスパッタ法を用いて良い。
【0052】図1に示した積層構造を有する磁気記録媒
体の製造方法を以下に説明する。
【0053】まず、洗浄した直径2.5インチの磁気デ
ィスク用のガラス基板をスパッタリング成膜装置に設置
した。導入室で予め1×10−7Torr未満の真空度
まで排気した後、基板を200℃に加熱して基板表面の
吸着ガスを除去した。そして基板密着層3としてHfを
15nm形成した。Hfの成膜には、DCマグネトロン
スパッタ法を用い、Arガス圧3mTorr、成膜レー
ト5nm/秒となるように印加電力を設定した。基板1
上に直接裏打ち層5を形成することも可能であるが、こ
の場合、裏打ち層の初期成長状態が基板の表面状態に依
存して変化する可能性が大きくなる。このため、基板表
面の影響が裏打ち層に及ぶことを防ぎ、かつ、常に同一
の表面状態の上に裏打ち層を形成することが可能となる
ように基板密着層3を設けている。
【0054】また、この実施例では基板密着層3として
Hfを用いたが、これに限らず、成膜した膜の結晶粒が
微細となるように融点が高い元素であれば良く、W,T
a,Ti,Zr,Mo等の純金属、あるいは、それらを
主相とした合金でも良い。また、本実施例では膜厚を1
5nmとしているが、3nm〜50nmの範囲であれば
良い。3nmよりも薄くなると、基板密着層が一様に形
成されなくなって膜厚の薄い部分が生じてしまう恐れが
あるため、基板の影響を断ち切れない部分が生じてしま
う恐れがある。一方、50nm以上に膜厚を厚くする
と、結晶粒が大きく成長するために、膜表面の凹凸が大
きくなり、その上部に形成する裏打ち層の特性を劣化す
る恐れがある。
【0055】つぎに、基板密着層3であるHf上に微結
晶析出型軟磁性層51と結晶性軟磁性層53からなる裏
打ち層5を形成した。まず、微結晶析出型軟磁性層51
としてFe−9at.%Ta−12at.%C(膜厚:
200nm)をRFマグネトロンスパッタ法を用いて成
膜した。成膜条件は、Arガス圧が3mTorr、ま
た、成膜レートが1.5nm/秒となるように投入電力
を制御した。続いて、Fe−Ta−C膜上に結晶性軟磁
性層53として直接パーマロイ(Ni−20at.%F
e、膜厚:50nm)をECRスパッタ法を使用して形
成した。成膜条件は、ガス圧を0.2mTorr、プラ
ズマを励起するためのマイクロ波は700W、ターゲッ
トに印加する電力は、成膜レートが0.2nm/秒とな
るように投入電力を制御した。裏打ち層5全体の膜厚
は、磁気記録層の膜厚の3倍以上で且つ500nm以下
の範囲が適当である。裏打ち層の膜厚が磁気記録層の膜
厚の3倍よりも薄いと、ヘッドからの印加磁界が裏打ち
層から漏洩してしまい、ヘッドの書き込み能力が低下す
る。一方、500nmよりも厚い場合、裏打ち層の表面
の凹凸が大きくなり、裏打ち層上に形成される磁気記録
層の平坦性に影響を及ぼし、ヘッドを媒体上で浮上させ
たときにヘッドと媒体表面との距離を一定に保ち難くな
り、記録再生特性が劣化する恐れがある。
【0056】本実施例では、微結晶析出型軟磁性層51
上に直接、結晶性軟磁性層53を形成したが、それらの
間に非磁性層を介在させても良い。この場合、非磁性層
の膜厚を、裏打ち層5と磁気記録層9との間に形成され
た非磁性配向制御層7の膜厚に比べて薄くすることが望
ましく、これにより、裏打ち層5に到達した磁気ヘッド
からの磁束がこの非磁性層から漏洩することが防止さ
れ、裏打ち層5の特性を劣化させることが防止される。
したがって、微結晶析出型軟磁性層51上に直接結晶性
軟磁性層53を形成した場合、または、微結晶析出型軟
磁性層51上に非磁性層を介して結晶性軟磁性層53を
形成した場合のどちらの場合も同様の効果が得られる。
【0057】つぎに、裏打ち層5上に非磁性配向制御層
7としてMgO(5nm)を成膜した。MgO膜の形成
には、RFコンベンショナルスパッタ法を使用し、成膜
時のArガス圧を3mTorrとし、成膜レートが0.
1nm/秒となるように印加電力を調整した。ここで
は、MgO膜を非磁性配向制御層7として用いたが、b
cc結晶構造を有するCr単体、あるいは、CrにV、
Mo、W、Nb、Ti、Ta、Ru、ZrおよびHfの
群から選択される少なくとも1種の元素を加えた合金を
用いることもできる。あるいは、bct結晶構造を有す
る材料、例えばNi−Al二元合金、あるいは、Ni−
Al二元合金にV、Mo、W、Nb、Ti、Ta、R
u、ZrおよびHfの群から選択される少なくとも1種
類以上の元素を加えた合金を用いることもできる。ある
いは、Pt、Pd、Rh、Au、Cuの少なくとも1種
類を含むfcc結晶構造を有する非磁性金属を用いるこ
ともできる。あるいは、LiF、NiOの少なくとも1
種類を含みNaCl結晶構造を有する無機物でも良い。
【0058】非磁性配向制御層7の成膜後、基板を40
0℃に加熱して磁気記録層9(膜厚:15nm)を形成
した。磁気記録層9は、ECRスパッタ法を使用して形
成した。成膜には、ArガスにOガスを1%添加した
混合ガスを使用し、磁性膜を反応性スパッタ法で形成し
た。成膜条件は、ガス圧を0.2mTorr、プラズマ
を励起するためのマイクロ波は700W、ターゲットに
印加する電力はRF1kWとした。このときの成膜レー
トは、0.2nm/秒であった。また、ターゲットは、
Co−53at.%Ptをベースに10at.%Bを添
加したターゲットを使用した。成膜後の薄膜状態での磁
気記録層の組成は、予め、単層膜を作成し、ICPS法
(Inductively Coupled Plasma Spectroscopy)を用い
て決定したところ、膜平均組成はCo−47at.%P
t−9at.%Bであった。
【0059】磁気記録層9を形成した後、基板温度が1
00℃程度まで低下した時点で保護層10としてカーボ
ン膜(膜厚:5nm)を形成した。カーボン膜形成は、
DCマグネトロンスパッタ法を使用した。成膜条件は、
Arガス圧2mTorr、ターゲットへの印加電力は
0.3kWとした。カーボン膜を形成する際に基板温度
を低下させたのは、基板温度が高温の状態のままカーボ
ン膜を成膜すると、カーボン膜が下部の磁気記録層内に
拡散して磁気記録層の特性が変化する可能性があるの
で、これを防止するためである。記録再生特性を評価す
る試料は、予め、テープバニッシュを行ったのち、潤滑
剤を塗布した。作製した各媒体試料は、後述する記録再
生特性評価を行った後、小片に切り出し、膜構造や磁気
特性の評価を行った。
【0060】比較例1 図2に比較例1の磁気記録媒体の概略断面図を示す。比
較例1の磁気記録媒体は、実施例1の磁気記録媒体の裏
打ち層5を従来の微結晶析出型軟磁性体単層で構成した
以外は、実施例1と同様にして作製した。比較例1の磁
気記録媒体の製造方法を以下に説明する。
【0061】まず、洗浄した直径2.5インチの磁気デ
ィスク用ガラス基板をスパッタリング成膜装置に設置し
た。次いで、導入室で予め1×10−7Torr未満の
真空度まで排気した後、基板を200℃に加熱して基板
表面の吸着ガスを除去し、基板密着層3としてHfを1
5nm形成した。Hfの成膜には、DCマグネトロンス
パッタ法を用い、Arガス圧3mTorr、成膜レート
5nm/秒となるように印加電力を設定した。
【0062】基板密着層3であるHf上に、裏打ち層5
として、微結晶析出型軟磁性層51であるFe−9a
t.%Ta−12at.%C(膜厚:250nm)をR
Fマグネトロンスパッタ法を用いて成膜した。成膜条件
は、Arガス圧が3mTorr、また、成膜レートが
1.5nm/秒となるように投入電力を制御した。
【0063】次いで、非磁性配向制御層7としてMgO
(5nm)を成膜した。MgO膜の形成には、RFコン
ベンショナルスパッタ法を使用し、成膜時のArガス圧
を3mTorrとし、成膜レートが0.1nm/秒とな
るように印加電力を調整した。
【0064】非磁性配向制御層7の成膜後、基板を40
0℃に加熱し、磁気記録層9(膜厚:15nm)を形成
した。磁気記録層9は、ECRスパッタ法を使用して形
成した。成膜には、Arガスに1%Oガスを添加した
混合ガスを使用し、磁性膜を反応性スパッタ法で形成し
た。成膜条件は、ガス圧を0.2mTorr、プラズマ
を励起するためのマイクロ波は700W、ターゲットに
印加する電力はRF1kWとした。このときの成膜レー
トは、0.2nm/秒であった。また、ターゲットは、
Co−53at.%Ptをベースに10at.%Bを添
加したターゲットを使用した。
【0065】磁気記録層9を形成した後、基板温度が1
00℃程度まで低下した時点で保護層10としてカーボ
ン(C)膜(膜厚:5nm)を形成した。カーボン膜の
形成にはDCマグネトロンスパッタ法を使用した。成膜
条件は、Arガス圧2mTorr、ターゲットへの印加
電力は0.3kWとした。記録再生特性を評価する試料
は、予め、テープバニッシュを行ったのち、潤滑剤を塗
布した。作製した各媒体試料は、後述する記録再生特性
評価を行った後、小片に切り出し、膜構造や磁気特性の
評価を行った。
【0066】比較例2 図3に、比較例2で作製した磁気記録媒体の概略断面図
を示す。比較例2の磁気記録媒体は、実施例1の磁気記
録媒体の裏打ち層5を従来の結晶性軟磁性体単層で構成
した以外は、実施例1の磁気記録媒体と同様の方法によ
り作製した。以下に、図3に示した比較例2の磁気記録
媒体の作製方法を説明する。
【0067】まず、洗浄した直径2.5インチの磁気デ
ィスク用ガラス基板をスパッタリング成膜装置に設置し
た。導入室で予め1×10−7Torr未満の真空度ま
で排気した後、基板を200℃に加熱して基板表面の吸
着ガスを除去して、基板密着層3としてMgOを25n
m形成した。MgOの成膜には、RFコンベンショナル
スパッタ法を用い、Arガス圧3mTorr、成膜レー
ト0.1nm/秒となるように印加電力を設定した。
【0068】基板密着層3であるMgO上に、裏打ち層
5として、結晶性軟磁性層53であるパーマロイNi−
20at.%Fe(膜厚:250nm)をRFマグネト
ロンスパッタ法を用いて成膜した。成膜条件は、Arガ
ス圧が3mTorr、また、成膜レートが1.5nm/
秒となるように投入電力を制御した。
【0069】非磁性配向制御層7としてMgO(5n
m)を成膜した。MgO膜の形成には、RFコンベンシ
ョナルスパッタ法を使用し、成膜時のArガス圧を3m
Torrとし、成膜レートが0.1nm/秒となるよう
に印加電力を調整した。
【0070】非磁性配向制御層7の成膜後、基板を40
0℃に加熱し、磁気記録層9(膜厚:15nm)を形成
した。磁気記録層9は、ECRスパッタ法を使用して形
成した。成膜には、Arガスに1%Oガスを添加した
混合ガスを使用し、磁性膜を反応性スパッタ法で形成し
た。成膜条件は、ガス圧を0.2mTorr、プラズマ
を励起するためのマイクロ波は700W、ターゲットに
印加する電力はRF1kWとした。このときの成膜レー
トは、0.2nm/秒であった。また、ターゲットは、
Co−53at.%Ptをベースに10at.%Bを添
加したターゲットを使用した。
【0071】磁気記録層9を形成したのち、基板温度が
100℃程度まで低下した時点で保護層10としてカー
ボン(C)膜(膜厚:5nm)を形成した。C膜形成
は、DCマグネトロンスパッタ法を使用した。成膜条件
は、Arガス圧2mTorr、ターゲットへの印加電力
は0.3kWとした。記録再生特性を評価する試料は、
予め、テープバニッシュを行ったのち、潤滑剤を塗布し
た。作製した各媒体試料は、後述する記録再生特性評価
を行った後、小片に切り出し、膜構造や磁気特性の評価
を行った。
【0072】〔特性の比較〕実施例1、比較例1及び2
の磁気記録媒体について磁気記録層の磁気特性を比較し
た。ここでは、カー効果を測定することにより、磁気記
録層の膜面垂直方向の保磁力Hc、角形比Sを求めた。
測定結果を以下に示す。
【0073】 実施例の試料 :Hc=3.5kOe、S=0.98 比較例1の試料:Hc=2.7kOe、S=0.35 比較例2の試料:Hc=2.2kOe、S=0.99
【0074】上記磁気特性を測定した試料の微細構造を
調べるために、X線回折測定、および、電子顕微鏡観察
を行った。本発明の試料についてX線回折測定を行う
と、磁気記録層からの回折ピークは、2θ〜48°近傍
に(002)面からの回折ピークが観察された。一方、
比較例1の試料では、磁気記録層からの回折ピークは2
θ〜41°近傍と2θ〜48°近傍に観察された。この
ピークの内、前者が(111)面からの回折ピークであ
り、後者が(002)面からの回折ピークであった。ま
た、両者のピーク強度を比較すると、前者のピーク強度
に比べて、後者のピーク強度が1/10以下であり、こ
の結果から、比較例1の磁気記録層は主に(111)面
配向した結晶粒で構成されていることがわかる。比較例
2の試料においても、2θ〜41°近傍に(111)面
からの回折ピークが観測され、また、2θ〜48°近傍
に(002)面からの回折ピークが観察された。ただ
し、比較例1の場合と異なり、(111)面からのピー
ク強度が小さく、(002)面のピーク強度の約1/2
0であった。X線回折測定の結果から、裏打ち層5の構
造の相違により、裏打ち層上に形成される磁気記録層の
結晶配向性に相違が生じていることがわかった。
【0075】磁気記録層の結晶配向性と裏打ち層の構造
との関係を明確にするため、各試料の断面方向、およ
び、磁気記録層の膜面内方向の透過電子顕微鏡(TE
M)観察を行った。実施例1の試料の断面のTEM像に
おいて、結晶性軟磁性層53であるパーマロイ、非磁性
配向制御層7であるMgO、及び、磁気記録層の磁性結
晶粒の格子像にそれぞれ着目すると、各層の積層界面で
多少の歪み、結晶欠陥が観察されるものの、格子がパー
マロイから磁気記録層までほぼ連続しており、各層がエ
ピタキシャル成長していることが判った。
【0076】また、各層の電子線回折像と格子像から各
層の結晶配向関係を求めると、パーマロイが(001)
面配向を示し、その上に形成されたMgO膜が(00
1)面配向を示し、また、磁気記録層の磁性結晶粒も
(001)面配向を示していた。この結果は、X線回折
測定結果を裏付ける結果となっている。
【0077】また、各層の結晶粒の形態に着目すると、
パーマロイの結晶粒の形態を引き継いでMgO,およ
び、磁性結晶粒が成長した柱状構造を示していた。ま
た、微結晶析出型軟磁性層51であるFe−Ta−C層
では、2nm程度から25nm程度の粒径を持つ微粒子
が分布していた。この微粒子を同定するために電子線回
折像を調べたところ、複数の回折リングが観察された。
明確に判別できる2本の回折リングから結晶面間隔を求
めたところ、一方の面間隔は0.20nmとなりFe
(110)面の面間隔とほぼ一致した。他方の回折リン
グから求めた面間隔は0.25nmとなりTa−C(1
11)面の面間隔とほぼ一致することが判った。格子像
が明確に観察される72個の結晶粒について、結晶粒径
及び格子像の面間隔を測定したところ、31個の結晶粒
が、測定誤差内で0.25nmの面間隔を示し、Ta−
Cの微粒子であることが判った。また、残りの41個
は、測定誤差範囲内で0.20nmの面間隔を示し、F
e微粒子であることが判った。
【0078】また、これらの粒子の粒径を求めると、T
a−C粒子では2nm〜12nmの範囲に分布してお
り、平均粒径が6nmであった。一方、Fe微粒子の結
晶粒径は、4nm〜27nmの範囲にあり、平均粒径は
14nmであった。また、Fe−Ta−C層とパーマロ
イの積層界面に着目すると、Fe−Ta−C層とパーマ
ロイとの間にはエピタキシャル成長は見られなかった。
【0079】比較例1の試料の断面をTEMを用いて観
察した。前述の実施例1の試料の場合と異なり、非磁性
配向制御層7であるMgO層は、部分的に格子像が観察
されるだけで、膜全体の結晶性が低下していた。部分的
に格子像が観察された部分について電子線回折像を調べ
ると、MgO(001)面配向していることが判った。
この部分の上に形成された磁気記録層の磁性結晶粒は、
格子が連続して成長しており、MgO上にエピタキシャ
ル成長していた。このときの磁性結晶粒は、格子像の面
間隔から配向を求めると、(001)面配向していた。
【0080】一方、結晶性を示していないMgO上の磁
性結晶粒については、(001)面配向と異なる格子像
を示していた。この結晶粒について、格子像の面間隔か
ら磁性結晶粒の配向を求めると、(111)面配向して
いた。磁気記録層について(111)面配向した結晶粒
の割合を調べるため、暗視野像観察を行ったところ、
(111)配向した結晶粒は、観察領域の90%以上の
領域で観察された。この結果は、X線回折測定結果を裏
付ける結果となっている。
【0081】微結晶析出型軟磁性層51であるFe−T
a−C層では、2nm〜25nm程度の粒径を有する微
粒子が分布していた。この微粒子を同定するために電子
線回折像を調べたところ、複数の回折リングが観察され
た。明確に判別できる2本の回折リングから結晶面間隔
を求めたところ、一方の面間隔は0.20nmとなりF
e(110)面の面間隔とほぼ一致した。他方の回折リ
ングから求めた面間隔は0.25nmとなりTa−C
(111)面の面間隔とほぼ一致することが判った。格
子像が明確に観察される90個の結晶粒について、結晶
粒径及び格子像の面間隔を測定したところ、47個の結
晶粒が、測定誤差内で0.25nmの面間隔を示し、T
a−Cの微粒子であることが判った。また、残りの43
個の結晶粒は、測定誤差範囲内で0.20nmの面間隔
を示し、Fe微粒子であることが判った。また、これら
の粒子の粒径を求めると、Ta−C粒子では2nmから
14nmの範囲に分布しており、平均粒径が7nmであ
った。Fe−Ta−C層とMgO層との間では、エピタ
キシャル成長が見られなかった。
【0082】比較例2の試料の断面構造をTEMにより
観察した。裏打ち層5である結晶性軟磁性層53のパー
マロイ、非磁性配向制御層7であるMgO、及び、磁気
記録層の磁性結晶粒の格子像にそれぞれ着目すると、各
層の積層界面で多少の歪み、結晶欠陥が観察されるもの
の、格子がパーマロイから磁気記録層まで略連続してお
り、各層がエピタキシャル成長関係にあることが判っ
た。また、各層の電子線回折像と格子像から各層の結晶
配向関係を求めると、パーマロイが(001)面配向を
示し、その上部に形成されたMgO膜が(001)面配
向を、また、磁気記録層の磁性結晶粒も(001)面配
向を示していた。この結果は、X線回折測定結果を裏付
ける結果となっている。また、この結果は、実施例の場
合と類似しているが、実施例に比べて磁気記録層の結晶
粒サイズが大きくなっていた。この点を明確にするため
に、実施例と比較例1、2の各試料の磁気記録層の磁性
粒子の粒径分布を比較した。
【0083】以下の手順で磁気記録層を構成する磁性粒
子の平均粒径、粒径分布を求めた。磁気記録層の平面T
EM像において、0.2μm四方の観察視野に対してラ
ンダムに400個の結晶粒を選択し、結晶粒の輪郭をコ
ンピューターに画像情報として取り込んだ。この取り込
んだデータから各結晶粒の面積を計算し、各結晶粒につ
いて面積が等しくなる円板で近似し、この円板の直径を
求めることにより、結晶粒の粒径を算出した。また、4
00個の結晶粒の粒径分布はほぼガウス分布で近似可能
な分布形状をしていることから、得られた粒径分布にガ
ウス分布を適用して平均結晶粒径及び粒径分散を求め
た。以下に測定結果を示す。
【0084】 試料 平均結晶粒径(nm) 分散(nm) 実施例1 7.2 1.1 比較例1 6.0 3.1 比較例2 21.3 2.5
【0085】また、磁気記録層部分の結晶粒に着目する
と、各試料とも同じように、隣接する粒子を分離するよ
うに、結晶粒の粒界部に厚さが1〜2nm程度の格子像
の観察されない領域が存在していた。磁気記録層部分の
平面構造をTEMにより観察したところ、結晶性粒子と
結晶性粒子の間が1〜2nmの非晶質構造で分離された
構造であることが観察された。
【0086】磁気記録層内の結晶性粒子と非晶質構造を
構成する元素を同定するため、電子顕微鏡に搭載された
μEDX分析器(空間分解能:約1nm)を用いて、膜
面内方向における組成分析を行った。この結果、結晶性
粒子内のEDXスペクトルは、Co元素およびPt元素
のみ観測され、B、および、酸素のピークは検出誤差以
下であった。EDXスペクトルから組成を同定すると、
結晶性粒子内の組成は、Co−52at.%Ptとな
り、ほぼCo−Pt2元系強磁性合金であった。一方、
結晶粒界部の非晶質領域では、ホウ素(B)及び酸素の
ピークが検出され、非晶質部分はB元素の酸化物である
と推定される。この観察結果から、磁気記録層は、Co
−Pt磁性結晶粒の周囲をB酸化物の薄い層(厚さ:1
〜2nm)が覆った構造を有しており、各磁性結晶粒
は、B酸化物の薄い層により粒子間に作用する交換相互
作用が切断されて磁気的に孤立していることが判った。
【0087】以上のように試料の構造解析から得られた
結果と磁気特性との関係を比較すると次のようになる。
【0088】比較例2の試料では、裏打ち層から磁気記
録層までエピタキシャル成長しているために、磁気記録
層は、その磁化容易軸である(001)面が基板表面に
対して垂直方向に向くように配向制御されている。しか
しながら、裏打ち層が、パーマロイ単層で構成されてい
るために、裏打ち層の膜厚が厚くなり磁気記録層側に近
づくに従ってパーマロイの結晶粒径が大きくなり、この
影響で、磁気記録層の磁性粒子も肥大化している。この
ため、比較例2の試料は、基板表面に対して垂直方向の
磁気特性において角形比が0.99であるにも関わら
ず、保磁力が2.2kOeと小さい値しか示さなかっ
た。
【0089】比較例1の試料では、磁気記録層の結晶粒
は微細化されたものの、これらの磁性結晶粒の配向が制
御されていないために、磁化容易軸である(001)面
が基板表面に対して垂直方向に配向せず、磁化曲線の角
形比が0.35の小さい値となっている。
【0090】これに対して、本発明に従う実施例1の試
料では、結晶性軟磁性体であるパーマロイから磁気記録
層までエピタキシャル成長しているため、磁気記録層
は、磁化容易軸である(001)面が基板表面に対して
垂直方向に向くように配向制御されている。また、裏打
ち層を、結晶性軟磁性体と微結晶析出型軟磁性体とを積
層して構成することにより、結晶性軟磁性層であるパー
マロイを薄く形成することができたので、パーマロイの
結晶粒径が、パーマロイ単層膜で裏打ち層を構成した場
合に比べて小さくなっている。このため、本実施例で
は、磁気記録層の磁性結晶粒は微細化し、かつ、保磁力
が3.5kOe、角形比が0.98に向上している。
【0091】ここで、実施例1の試料を磁気記録装置に
組み込んで記録再生特性を評価した。図4及び図5に磁
気記録装置40の概略構成を示す。図4は、磁気記録装
置40の上面模式図であり、図5は、図4の破線A−
A’における磁気記録装置40の概略断面図である。記
録用磁気ヘッドとして、トラック幅が0.3μmの単磁
極ヘッドを用いた。また、再生用磁気ヘッドとして、ト
ラック幅0.2μm、ギャップ長0.08μmのデュア
ルスピンバルブ磁気抵抗効果型ヘッドを用いた。記録用
磁気ヘッド及び再生用磁気ヘッドは一体化されており、
図4及び図5では磁気ヘッド43として示した。この磁
気ヘッド43は磁気ヘッド駆動系44により制御され
る。磁気ディスク100は、回転駆動系のスピンドル4
2により同軸回転される。記録時及び再生時ともに、磁
気ヘッド43の浮上量は、磁気記録媒体の保護層の表面
から0.015μmであり、磁気ヘッド43の磁気ディ
スクに対する相対速度は11m/sとした。かかる磁気
記録装置40により、低密度記録に対して出力が半減す
る記録密度D50、および、500kFCIでのS/N
を比較した。また、比較例1及び2の試料についても、
上記と同様に、図4及び図5に示す磁気記録装置に組み
込み、記録再生特性について評価した。以下に評価結果
を示す。
【0092】 試料 D50(kFCI) S/N(dB) 実施例1 315 24 比較例1 240 19 比較例2 130 2
【0093】各試料についての記録再生特性の差を調べ
るため、磁気力顕微鏡(MFM)を用いて、磁気記録層
の記録磁化状態の観察を行った。比較例2の試料では、
500kFCIの記録状態では、磁気記録層に明確な記
録パターンが観察されなかった。これは、結晶粒径が肥
大化したことに起因していると考えられる。これに対
し、比較例1の試料では、記録パターンは形成されてい
るものの、磁化遷移領域において記録磁区のパターンが
大きく揺らいでおり、大きなジグザグ磁壁が観察され
た。これは、磁気記録層の結晶配向性が悪いために遷移
領域で磁化反転を起こしやすい部分が存在していること
に起因していると考えられる。これに対し、実施例1の
試料では、明確な記録パターンが観察された。実施例1
の試料に対して、AC消去状態での磁区サイズから最小
磁化反転単位を求めると、その直径は約15nmであっ
た。この結果、結晶粒径に比べ、磁化反転単位が2倍よ
り小さく、磁壁の揺らぎが小さくなり、媒体ノイズが低
減され、記録再生特性が向上した。
【0094】更に、各試料についてスパイクノイズを調
べるために、AC消去状態の再生信号を調べた。この結
果、実施例および比較例1の試料ではスパイクノイズが
観察されなかった。これに対して、比較例2では、ディ
スク1周に対して、4カ所でスパイクノイズが観察され
た。このスパイクノイズが観察された位置は、ディスク
の回転角度θで表記すると、測定開始の基準角度から2
0°、75°、180°、240°の位置であった。こ
のスパイクノイズは再現性があり、また、ディスクの内
周から外周にわたって、ほぼ同じ角度位置で検出されて
いることから、前記の角度位置で裏打ち層にディスク半
径方向の磁壁が存在していると考えられる。
【0095】
【実施例2】図6に、本発明に従う磁気記録媒体の別の
具体例の概略断面図を示す。磁気記録媒体は、基板1上
に、非磁性層62、磁気記録層63及び保護層64を備
える。磁気記録媒体を以下の手順で作製した。
【0096】以下の説明において、作製した媒体につい
ての特性を評価する上で、評価に用いる媒体の基板とし
ては工業化の点から磁気ディスク用のガラス基板を用い
るべきであるが、後述するように、通常のガラス基板で
は使用が困難な高温まで加熱して実験を行っているた
め、最初に熱酸化シリコン基板を用いて媒体作製プロセ
スを検討したのち、磁気ディスク用ガラス基板を用いて
媒体を作製し、その磁気ディスクの特性を確認した。
【0097】直径2.5インチの磁気ディスク用ガラス
基板とほぼ同等の形態を有する熱酸化シリコン基板を洗
浄した後、スパッタリング成膜装置に設置した。次い
で、導入室で予め1×10−7Torr未満の真空度ま
で排気した後、非磁性層62としてMgO(20nm)
を成膜した。MgO膜の形成には、ECRスパッタ法を
使用し、成膜時のArガス圧を0.2mTorr、プラ
ズマを励起するためのマイクロ波は500W、ターゲッ
トに印加する電力は、RF500Wとした。このときの
成膜レートは、0.1nm/秒であった。ここでは、M
gO膜の形成にECRスパッタ法を使用したが、RFス
パッタ法や真空蒸着法など無機物材料の薄膜を形成する
通常の成膜方法でも良い。また、ここでは、MgO膜を
非磁性層62として用いたが、bcc結晶構造を有する
Cr単体、あるいは、CrにV、Mo、W、Nb、T
i、Ta、Ru、ZrおよびHfからなる群から選択さ
れる少なくとも1種類の元素を加えた合金を用いること
もできる。また、bct結晶構造を有するNi−Al二
元合金、あるいは、Ni−Al二元合金にV、Mo、
W、Nb、Ti、Ta、Ru、ZrおよびHfからなる
群から選択される少なくとも1種類の元素を加えた合金
を用いることもできる。あるいは、Pt、Pd、Rh及
びAuからなる群から選択される少なくとも1種類を含
むfcc結晶構造を有する非磁性金属、または、LiF
及びNiOの少なくとも一方を含むNaCl結晶構造を
有する無機物でもよい。
【0098】次いで、基板1を加熱した後、磁気記録層
63(膜厚:10nm)を形成した。この実施例では、
基板加熱温度を50℃〜600℃の温度範囲内で変化さ
せて、複数の試料(磁気記録媒体)を作製した。各試料
の基板温度は後述する。磁気記録層63の成膜にはEC
Rスパッタ法を用いた。成膜には、Arガスに1%O
ガスを添加した混合ガスを使用し、磁気記録層63を反
応性スパッタ法で形成した。成膜条件は、ガス圧を0.
2mTorr、プラズマを励起するためのマイクロ波は
700W、ターゲットに印加する電力はRF1kWとし
た。このときの成膜レートは、0.2nm/秒であっ
た。また、ターゲットは、Co−53at.%Ptをベ
ースに10at.%Bを添加したターゲットを使用し
た。成膜後の薄膜状態での磁気記録層の組成は、予め、
単層膜を作成し、ICPS法(Inductively Coupled Pl
asma Spectroscopy)を用いて決定したところ、膜平均
組成はCo−47at.%Pt−9at.%Bであっ
た。
【0099】磁気記録層63を形成したのち、基板温度
が100℃程度まで低下した時点で保護層64としてカ
ーボン(C)膜(膜厚:5nm)を形成した。C膜の形
成にはDCマグネトロンスパッタ法を使用した。成膜条
件は、Arガス圧2mTorr、ターゲットへの印加電
力は0.3kWとした。C膜の形成において基板温度を
低下させたのは、基板温度が高温の状態のままC膜を成
膜すると、C膜の下地の磁気記録層内にCが拡散して、
磁気記録層の特性が変化する恐れがあるため、これを防
止するためである。記録再生特性を評価する試料は、予
め、テープバニッシュを行ったのち、潤滑剤を塗布し
た。作製した各媒体試料は、後述する記録再生特性評価
を行った後、小片に切り出し、膜構造や磁気特性の評価
を行った。
【0100】作製した試料の磁気記録層成膜時の基板温
度は以下の通りである。
【0101】 試料番号 基板温度(℃) A−1 50 A−2 150 A−3 250 A−4 300 A−5 350 A−6 400 A−7 450 A−8 600
【0102】作製した試料の磁気特性を評価するため
に、磁化曲線を測定した。基板温度と保磁力との関係を
図7に示す。図からわかるように、基板温度が低い試料
(A−1,2,3)では保磁力が1kOe以下であるの
に対し、基板温度が250℃を越えると保磁力が増加を
始め、400℃でほぼ一定値を示すようになる。このと
き、保磁力は5.2kOeであった。
【0103】磁気特性を測定した試料の微細構造を調べ
るために、X線回折測定及び電子顕微鏡観察を行った。
X線回折測定では、各試料ともに、非磁性層62である
MgOの(200)面からの回折ピークが2θ=42.
5°近傍で観察され、MgO膜は(100)配向して成
長していた。また、250℃以下の試料(A−1,2,
3)では、2θ=48°近傍に磁性膜からの回折ピーク
が観察された。基板温度が250℃を越えた試料(A−
4,5)では、基板温度の上昇に伴い、この2θ=48
°近傍のピークはブロードとなり、400℃に近づくに
従って回折ピークが2つのピークに分離する傾向を示
し、基板温度が400℃以上の試料(A−6,7,8)
では、2θ〜47.5°と2θ〜49°の2カ所に明確
なピークが分離して観察された。この結果は、磁気記録
層成膜時の基板温度が上昇するに伴い、磁気記録層の結
晶構造が変化したことを示している。
【0104】結晶構造の変化を明確にするため、試料の
断面、及び、磁気記録層の表面を透過型電子顕微鏡(T
EM)を用いて観察した。試料の断面の電子顕微鏡観察
から、各試料ともに、非磁性層62と磁気記録層63が
連続して成長した柱状構造が観察された。この柱状構造
に着目すると、非磁性層62であるMgOとその上に形
成された磁気記録層63は、格子が連続しており、Mg
Oの結晶形態を引き継いで、その上部に磁気記録層63
がエピタキシャル成長して結晶性粒子を形成していた。
また、磁気記録層63に着目すると、結晶性粒子の粒界
部に、隣接する粒子と粒子を分離するように、厚さが1
〜2nm程度の格子像が観察されない領域が存在した。
【0105】磁気記録層の表面をTEMを用いて観察し
たところ、結晶性粒子と結晶性粒子の間(結晶粒界部)
に1〜2nmの非晶質の物質が介在しており、結晶性粒
子が結晶粒界部により分離された構造であることが観察
された。磁気記録層内の結晶性粒子と非晶質物質を構成
する元素を同定するため、電子顕微鏡に搭載されたμE
DX分析器(空間分解能:約1nm)を用いて、面内方
向の組成分析を行った。組成分析の結果、結晶性粒子内
のEDXスペクトルは、Co元素およびPt元素のみ観
測され、B、および、酸素のピークは検出誤差以下であ
った。EDXスペクトルから組成を同定すると、結晶性
粒子内の組成は、Co−52at.%Ptとなり、ほぼ
Co−Pt2元系強磁性合金であった。一方、結晶粒界
部の非晶質領域では、B、および酸素のピークが検出さ
れ、非晶質物質はB元素の酸化物であると推定される。
この観察結果から、磁気記録層3は、Co−Pt磁性結
晶粒の周囲がB酸化物の薄い層(厚さ:1〜2nm)に
より覆われた構造を有していることがわかった。更に、
各磁性結晶粒は、粒子間に作用する交換相互作用が切れ
て、磁気的に孤立していることが判った。
【0106】この磁性結晶粒の微細構造を調べるため、
磁性結晶粒の格子像観察を行った。各試料の平面につい
てのTEM観察像から、0.2μm四方の観察視野に対
して任意に200個の結晶粒を選択し、それらの格子像
を観察した。この結果、A−2の試料では、磁性粒子内
に格子欠陥が観察されるものの、各結晶粒ともにほぼ正
方形の格子像が観察され、格子長が一定値を示すfcc
結晶構造の格子像のみ観察された。一方、基板温度がA
−7の試料では、200個中172個がほぼ長方形の格
子像を示し、a軸方向とc軸方向で格子定数が異なるL
構造の格子像であった。残り28個の結晶粒は、ほ
ぼ正方形の格子像を持つfcc構造であった。基板温度
が300℃の試料では、fcc構造を示す結晶粒が11
2個、L1構造を示す結晶粒が88個観察され、両者
が混在していた。これらの電子顕微鏡の観察結果とX線
回折の測定結果から、250℃以下の基板温度では、磁
気記録層の磁性粒子は、fcc結晶構造をとり、不規則
合金状態にある。基板温度を250℃よりも昇温する
と、磁性粒子の規則化がはじまり、規則合金状態のL1
構造が観察されるようになり、この割合が基板温度の
上昇とともに増大する。400℃を越えると、ほぼ磁性
粒子の規則化が完了し、L1構造の磁性粒子が支配的
となる。かかる結果と、図7の保磁力の基板温度依存性
の結果からすると、規則合金の割合が増加するに伴い、
保磁力が増加していることとなる。
【0107】つぎに、以下の手順に従って磁気記録層を
構成する磁性粒子の平均粒径、粒径分布を求めた。磁気
記録層の平面TEM観察像から、0.2μm四方の観察
視野に対してランダムに400個の結晶粒を選択し、結
晶粒の輪郭をコンピューターに画像情報として取り込ん
だ。この取り込んだデータから各結晶粒の面積を計算
し、各結晶粒について面積が等しくなる円板で近似し、
この円板の直径を求めることにより、結晶粒の粒径を算
出した。また、400個の結晶粒の粒径分布はほぼガウ
ス分布で近似可能な分布形状をしていることから、得ら
れた粒径分布をガウス分布に適用して平均結晶粒径及び
粒径分散を求めた。以下に測定結果を示す。
【0108】 試料番号 平均結晶粒径(nm) 分散(nm) A−1 6.2 0.8 A−2 6.0 0.7 A−3 6.5 0.5 A−4 7.3 0.8 A−5 7.7 0.7 A−6 8.1 0.7 A−7 8.7 0.7 A−8 13.2 1.7
【0109】上記結果から、基板温度の上昇とともに粒
径は多少増加するが、450℃以下の基板温度では結晶
粒が10nm以下である。これに対し、A−8試料で
は、結晶粒が肥大化し、10nmを越える大きさに成長
している。この結晶粒の大きさでは、前述のビット長が
40nm前後の記録密度では3個の結晶粒で構成するこ
ととなり、ビットがきれいに記録されず、再生時のノイ
ズが増大することになる。
【0110】試料A−1〜8を、実施例1の場合と同様
に図4及び図5に示す記録再生装置に組み込んで試料A
−1〜8の記録再生特性を評価した。なお、実施例1で
は磁気ヘッドとして記録用磁気ヘッドと再生用磁気ヘッ
ドを一体化した磁気ヘッドを用いたが、記録用磁気ヘッ
ドと再生用磁気ヘッドを各々独立のスライダーに搭載し
て構成してもよい。本実施例においても、記録時及び再
生時の磁気ヘッドの浮上量を、磁気記録媒体の保護層表
面から0.02μmに制御し、磁気ヘッドの媒体に対す
る相対速度を11m/sとした。かかる記録再生装置を
用いて、低密度記録に対して出力が半減する記録密度D
50、および、500kFCIでのS/Nを比較した。
以下に評価結果を示す。
【0111】 試料番号 D50(kFCI) S/N(dB) A−1 100 2 A−2 110 3 A−3 110 2 A−4 170 8 A−5 250 16 A−6 310 21 A−7 315 22 A−8 220 14
【0112】この記録再生特性の差を調べるため、磁気
力顕微鏡(MFM)を用いて、各試料の磁気記録層の記
録磁化状態を観察した。試料A−1〜4では、500k
FCIの記録では、磁気記録層に明確な記録パターンが
観察されなかった。これに対し、A−8では、磁気記録
層に記録パターンは形成されているものの、磁化遷移領
域において記録磁区パターンが大きく揺らいでおり、大
きなジグザグ磁壁が観察された。これは、結晶粒径が肥
大化したことに起因していると考えられる。これに対
し、A−6,7では、明確な記録パターンが観察され
た。この2つの試料に対して、AC消去状態での磁区サ
イズから、最小磁化反転単位を求めると、試料A−6で
は直径が約15nm、試料A−7では直径が約16nm
であった。この結果、磁化反転単位は、結晶粒径の2倍
よりも小さくなっていた。このため、磁壁の揺らぎが小
さくなり、媒体ノイズが低減され、記録再生特性が向上
した。
【0113】また、磁気記録層に記録された記録磁区の
熱安定性を調べるために、300kFCIで記録した
後、再生出力減少の時間依存性を調べた。この結果、試
料A−1〜4では、1000時間後に出力が5%以上低
下したのに対し、試料A−6,7では、出力低下が0.
5%以下であった。この結果は、試料A−6,7に高密
度に記録した記録磁区は熱的に安定であることを示して
いる。
【0114】以上の結果から、試料A−6及び7は、媒
体ノイズが低く、記録再生特性は向上しており、熱安定
性にも優れている。試料A−6及び7は、磁気記録層成
膜時の基板温度がそれぞれ400℃及び450℃であ
り、ガラス基板を用いて成膜可能な温度である。したが
って、本実施例のように、ECRスパッタ法を用いてガ
ラス基板の温度を400℃〜500℃程度に制御するこ
とにより、規則合金からなる磁気記録層をガラス基板上
に成膜することが可能となる。そこで、基板として2.
5インチ磁気ディスク用ガラス基板を用い、試料A−6
及び7を製造したときと同様の条件で試料を作製し、作
製した試料について上記と同様にして各種の特性を評価
したところ、得られたそれぞれの特性は実験誤差範囲で
試料A−6,7の場合と同様の値を示した。
【0115】比較例3 比較のために、従来の磁気記録媒体として、図8に示し
た断面構造を有する磁気記録媒体を作製した。従来の磁
気記録媒体は、図8に示すように、基板1上に、磁気記
録層83及び保護層84を備える。かかる磁気記録媒体
の製造方法を以下に説明する。
【0116】まず、直径2.5インチの磁気ディスク用
ガラス基板とほぼ同等の形態を有する熱酸化シリコン基
板1を洗浄した後、スパッタリング成膜装置に設置し
た。スパッタリング成膜装置の導入室を予め1×10
−7Torr未満の真空度まで排気した。そして、基板
を加熱しないで基板上にCo−Pt/SiOグラニュ
ラー構造の磁気記録層83(膜厚:10nm)を形成し
た。磁気記録層83の成膜では、Co−Ptターゲット
とSiOターゲットを用いて、Arガス圧2mTor
rのガス圧下で両ターゲットを同時にスパッタするコス
パッタ法を用いた。磁気記録層83のCo−Pt成分
は、Co−53at.%Ptターゲットを用いてRFマ
グネトロンスパッタ法により作製し、SiO成分は、
SiOターゲットを用いてRFマグネトロンスパッタ
法により作製した。また、磁気記録層83中のCo−P
t粒子の体積分率が70%となるように、Co−Pt成
分とSiO成分の成膜レートを調整した。
【0117】基板上に磁気記録層83を形成した後、真
空中で加熱ステージに移動した後、真空中で熱処理を行
った。熱処理前の加熱ステージ真空槽の背圧が約2×1
Torrになるまで減圧してから、熱処理を行っ
た。ここでは、熱処理の温度を100〜700の範囲内
で変化させて、複数の試料を作製した。各試料を作製し
た際の熱処理温度は後述する。また、熱処理プロセスは
以下の手順で行った。まず、10分で設定温度と平衡状
態になるように加熱ヒーターの温度調整を行った。設定
温度に到達して平衡状態になった後、30分間放置し、
加熱ヒーターを切断した。試料は、加熱ヒーターを切っ
た後、真空中で自然冷却した。
【0118】磁気記録層83の熱処理を行った後、基板
温度が100℃程度まで低下した時点で保護層84とし
てカーボン(C)膜(膜厚:5nm)を形成した。C膜
形成は、DCマグネトロンスパッタ法を使用した。成膜
条件は、Arガス圧2mTorr、ターゲットへの印加
電力は0.3kWとした。基板温度が低下するまで待っ
たのは、基板温度が高温の状態のままC膜を成膜する
と、C膜が下部の磁気記録層内に拡散して、磁気記録層
の特性が変化する可能性があるので、これを防止するた
めである。記録再生特性を評価する試料は、予め、テー
プバニッシュを行ったのち、潤滑剤を塗布した。作製し
た各媒体試料は、後述する記録再生特性評価を行った
後、小片に切り出し、膜構造や磁気特性の評価を行っ
た。
【0119】作製した各試料の熱処理温度は以下の通り
である。
【0120】 試料番号 熱処理温度(℃) B−1 なし B−2 200 B−3 300 B−4 400 B−5 500 B−6 600 B−7 650 B−8 700
【0121】作製した試料の磁気特性を評価するために
磁化曲線を測定した。各試料の磁化曲線から得た保磁力
と熱処理温度との関係を図9に示す。図9から、熱処理
温度が500℃以下では保磁力が1kOe以下であるの
に対し、熱処理温度が600℃を超えると保磁力が増加
し始め、700℃では保磁力が6.4kOeに達してい
ることがわかる。このことから、熱処理温度を高くする
ことにより高保磁力の媒体が得られることがわかる。
【0122】磁気特性を測定した各試料の微細構造を調
べるために、X線回折測定及び電子顕微鏡観察を行っ
た。X線回折測定の結果から、熱処理温度が500℃以
下の試料(B−1〜5)では、fcc(111)面から
の回折ピークが主ピークとして観察され、その他にfc
c(200)ピーク等が観察された。このことから、B
−1〜5の試料では、磁性粒子の結晶粒がランダム配向
していることがわかる。これに対し、熱処理温度を60
0℃以上に上げて作製した試料では、fct結晶構造の
(111)、(110)、(001)、(200)面か
らの回折ピークが増大しており、特に、熱処理温度を7
00℃にした試料ではfct結晶構造が支配的であっ
た。
【0123】ここで、磁気記録層の微細構造を調べるた
めに、磁気記録層の表面を透過型電子顕微鏡(TEM)
を用いて観察した。観察の結果、結晶性粒子の粒界部
に、隣接する粒子と粒子を分離するように、厚さが2〜
4nm程度の格子像が観察されない非晶質領域が存在し
ていた。磁気記録層内の結晶性粒子と非晶質構造を構成
する元素を同定するために、電子顕微鏡に搭載されたμ
EDX分析器(空間分解能:約1nm)を用いて磁気記
録層の面内方向の組成分析を行った。この結果、結晶性
粒子内のEDXスペクトルはCo元素およびPt元素の
み観測され、結晶性粒子内の組成は、Co−51at.
%Ptであった。一方、結晶粒界部の非晶質領域では、
Si及び酸素のピークが検出され、非晶質部分はSiO
であることがわかった。この観察結果から、磁気記録
層3は、Co−Pt磁性結晶粒の周囲がSiO酸化物
層で覆われたグラニュラー構造を有していることがわか
った。また、各磁性結晶粒は、粒子間に作用する交換相
互作用が切断されて磁気的に孤立していることが判っ
た。
【0124】この磁性結晶粒の微細構造を調べるため、
電子線回折像の観察を行った。この結果、試料B−1〜
5では、fcc(111)面の回折リングが主に観察さ
れた。また、これに加えて、fcc(200)からの回
折リングも僅かに観察された。一方、B−8試料では、
fct(111)面の回折リングが主用回折像として観
察された。かかる回折リングの他に複数の回折リングが
観察されたが、十分に分離されたピークではなく、回折
面を同定するのは困難であった。これらの電子顕微鏡の
観察結果とX線回折の測定結果から、500℃以下の熱
処理温度では、磁気記録層の磁性粒子はfcc結晶構造
をとり不規則合金状態にあると考えられる。600℃以
上に熱処理温度を昇温すると、磁性粒子の規則化が開始
し、規則合金状態のfct構造が観察されるようにな
り、保磁力が増加する。
【0125】つぎに、以下に示すような手順で、磁気記
録層を構成する磁性粒子の平均粒径及び粒径分布を求め
た。磁気記録層の平面TEM像において、0.2μm四
方の観察視野に対してランダムに400個の結晶粒を選
択し、結晶粒の輪郭をコンピューターに画像情報として
取り込んだ。この取り込んだデータから各結晶粒の面積
を計算し、各結晶粒について面積が等しくなる円板で近
似し、この円板の直径を求めることにより、結晶粒の粒
径を算出した。また、400個の結晶粒の粒径分布はほ
ぼガウス分布で近似可能な分布形状をしていることか
ら、得られた粒径分布をガウス分布に適用し、平均結晶
粒径、および、粒径分散を求めた。以下に測定結果を示
す。
【0126】 試料番号 平均結晶粒径(nm) 分散(nm) B−1 5.1 2.2 B−2 5.2 2.3 B−3 5.1 2.1 B−4 7.3 2.5 B−5 10.4 3.7 B−6 14.8 4.1 B−7 16.2 4.5 B−8 18.4 5.2
【0127】この結果から、熱処理温度の上昇とともに
粒径は増加することがわかる。特に、600℃以上に熱
処理温度を昇温すると、粒径の増大、粒径分散の増大が
顕著となった。この結果は、磁気記録層の形成の際に熱
処理することにより保磁力を増大させることができるも
のの、磁気記録層の結晶粒径の肥大化が顕著となり、記
録再生時のノイズが増大することとなる。実施例2の場
合と同様に、高密度記録可能な保磁力を有するB−6〜
8を図4及び5に示した記録再生装置に組み込んで実施
例2と同様の測定条件にて記録再生特性の評価を行った
ところ、S/Nは、B−6が11dB、B−7が12d
B、B−8が12dBとなり、十分な保磁力を有してい
るにもかかわらずノイズが大きく、記録再生特性が悪か
った。
【0128】この記録特性の結果を調べるため、磁気力
顕微鏡(MFM)を用いて、各試料の磁気記録層の記録
磁化状態を観察した。各試料の磁気記録層には記録パタ
ーンが形成されているものの、遷移領域における記録磁
区パターンは大きく揺らいでおり、大きなジグザグ磁壁
が観察された。これは、結晶粒径が肥大化したことに起
因していると考えられる。
【0129】実施例2及び比較例3の結果から、以上の
知見から、工業用ガラス基板が使用でき、高密度記録に
対応できる試料A−6,7の条件で、2.5インチ磁気
ディスク用ガラス基板に試料を作製した。この結果、作
製した試料は、実験誤差範囲で各種特性が試料A−6,
7と同様の値を示し、本発明がこれまでの問題点を解決
し、かつ、工業化可能な条件で実現できた。試料A−
6,7では、基板の加熱温度が400℃〜450℃であ
るため、工業用ガラス基板を用いて磁気記録媒体を作製
することができる。
【0130】以上、本発明の磁気記録媒体及びその製造
方法並びに磁気記録装置について実施例により説明した
が、本発明はこれらに限定されない。
【0131】本実施例では、磁気記録層の規則合金の遷
移金属元素としてCoを、貴金属元素をしてPtを用い
た場合であるが、Coの代わりにFeを、また、Ptの
代わりにPdを用いても良い。
【0132】
【発明の効果】本発明の第1の態様の磁気記録媒体は、
裏打ち層を結晶形態の異なる少なくとも2種類の軟磁性
層を用いて構成することにより、磁気記録層の結晶配向
性を高めつつノイズを低減することができる。また、磁
気記録層として高磁気異方性を有する規則合金を用いて
いるため、熱安定性に極めて優れる。
【0133】本発明の第2の態様の磁気記録媒体は、磁
気異方性の極めて高い規則合金からなる磁気記録層を備
えるので、熱安定性の極めて高い磁気記録媒体を提供す
ることができる。また、基板として工業化可能なガラス
基板を用いているため、低コストで大量に生産すること
ができる。
【0134】本発明の第3の態様の製造方法では、従来
よりも低い温度領域において磁気記録層として用いる磁
性粒子を規則合金化することができるので、量産に適し
たガラス基板を用いることが可能となり、高密度記録が
可能で熱的に安定な磁気記録媒体を低コストで提供する
ことが可能となる。それゆえ工業上の利用価値が極めて
高い。
【0135】本発明の磁気記録装置は、高保磁力を有す
る磁気記録媒体に確実に情報を記録し、記録した情報を
低ノイズで再生することができるので、超高密度記録用
の次世代磁気記録装置として極めて好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で作製した本発明に従う磁気記録媒体
の概略断面図である。
【図2】比較例1で作製した従来の磁気記録媒体の概略
断面図である
【図3】比較例2で作製した従来の磁気記録媒体の概略
断面図である。
【図4】実施例1で用いた磁気記録装置の概略構成図で
ある。
【図5】図4の磁気記録装置のA−A’方向における断
面図である。
【図6】実施例2で作製した本発明に従う磁気記録媒体
の概略断面図である。
【図7】実施例2で作製した磁気記録媒体の保磁力と、
磁気記録層成膜時の基板温度との関係を示すグラフであ
る。
【図8】比較例3で作製した従来の磁気記録媒体の概略
断面図である。
【図9】実施例2で作製した磁気記録媒体の磁化の温度
変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1 基板 3 基板密着層 5 裏打ち層 7 非磁性配向制御層 9、63,83 磁気記録層 10、64 保護層 40 磁気記録装置 43 磁気ヘッド 42 スピンドル 44 磁気ヘッド駆動系 51 微結晶析出型軟磁性体 53 結晶性軟磁性体 62 非磁性層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 5/851 G11B 5/851 (72)発明者 山中 英明 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 松沼 悟 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 藤田 塩地 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 Fターム(参考) 5D006 BB01 BB05 BB06 BB07 BB08 CB04 CB06 CB07 5D112 AA03 AA05 BB02 BB05 BB06 BD03 BD04 BD08 FA04

Claims (51)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気記録媒体であって、 基板と;規則合金からなる磁気記録層と;裏打ち層と;
    を備え、該裏打ち層は、結晶形態の互いに異なる少なく
    とも2種類の軟磁性層を含む磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記裏打ち層は、前記基板と磁気記録層
    との間に形成され且つ微結晶析出型軟磁性体を用いて形
    成された微結晶析出型軟磁性層と結晶性軟磁性体を用い
    て形成された結晶性軟磁性層とを含み、結晶性軟磁性層
    は裏打ち層内において磁気記録層に対して近い側に位置
    付けられている請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記微結晶析出型軟磁性層の膜厚t1と
    結晶性軟磁性層の膜厚t2がt1>t2の関係を満たす
    請求項2に記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記裏打ち層の膜厚が、前記磁気記録層
    の膜厚の3倍以上であり且つ500nm以下である請求
    項1〜3のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記結晶性軟磁性層の膜厚が100nm
    以下である請求項2または3に記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記微結晶析出型軟磁性層がFe−X−
    C合金またはFe−X−N合金からなり、XがTa,T
    i,Zr,Hf,V及びNbからなる群から選ばれた少
    なくとも一種である請求項2、3及び5のいずれか一項
    に記載の磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 前記微結晶析出型軟磁性層中に含有され
    るFe元素が70at.%〜85at.%の範囲内にあ
    る請求項2、3、5及び6のいずれか一項に記載の情報
    記録媒体。
  8. 【請求項8】 前記微結晶析出型軟磁性層はFe−X−
    C合金からなり、Fe−X−C中で、Feを主体とした
    相とX−Cを主体とした相が相分離を起こして析出して
    いる請求項6に記載の磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 Feを主体とした相の結晶粒径分布の平
    均結晶粒径が7nm〜20nmの範囲内にある請求項8
    に記載の情報記録媒体。
  10. 【請求項10】 X−Cを主体とした相の結晶粒分布の
    平均結晶粒径が3nm〜7nmの範囲内にある請求項8
    に記載の情報記録媒体。
  11. 【請求項11】 前記結晶性軟磁性層は、体心立方格子
    または面心立方格子の結晶構造を有する請求項2、3、
    5〜10のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  12. 【請求項12】 前記結晶性軟磁性層の結晶面{10
    0}面が基板に対してほぼ平行である請求項2、3、5
    〜11のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  13. 【請求項13】 更に、前記裏打ち層と磁気記録層との
    間に非磁性層を備え、非磁性層及び磁気記録層が少なく
    とも結晶性を有する粒子から構成されており、前記裏打
    ち層内で磁気記録層に近い側に形成されている層から非
    磁性層及び磁気記録層がエピタキシャル成長している請
    求項1〜12のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  14. 【請求項14】 前記磁気記録層を構成する磁性粒子の
    磁化容易軸の方向が基板表面に対して略垂直である請求
    項13に記載の磁気記録媒体。
  15. 【請求項15】 前記磁気記録層を構成する磁性粒子
    は、その主成分がCo及びFeの少なくとも一方の遷移
    金属元素とPtあるいはPdの貴金属元素から構成され
    ており、遷移金属元素と貴金属元素の原子比率が 0.45≦(遷移金属元素)/(遷移金属元素+貴金属
    元素)≦0.55 の関係を満足する請求項14に記載の磁気記録媒体。
  16. 【請求項16】 前記磁気記録層を構成する磁性粒子が
    L1型結晶構造または面心立方格子構造を有する請求
    項15に記載の磁気記録媒体。
  17. 【請求項17】 前記磁気記録層は、遷移金属元素と貴
    金属元素からなる合金を主相とし且つ第3元素として
    B、Si及びAlの少なくとも一種類を含み、第3元素
    の添加量が5at.%〜30at.%の範囲内にある請
    求項15または16に記載の磁気記録媒体。
  18. 【請求項18】 前記磁気記録層を構成する磁性結晶粒
    子の内部における遷移金属元素の濃度をC1とし、結晶
    粒界部における遷移金属元素の濃度をC2とするときに
    C1>C2の関係を満たし、更に、前記磁性結晶粒子の
    内部における第3元素の濃度をC3とし、結晶粒界部に
    おける第3元素の濃度をC4とするときにC3<C4の
    関係を満たす請求項15〜17のいずれか一項に記載の
    磁気記録媒体。
  19. 【請求項19】 前記磁気記録層が電子サイクロトロン
    共鳴(ECR)スパッタ法により成膜されている請求項
    1〜18のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  20. 【請求項20】 前記非磁性層は、単層または複数の層
    から構成され、且つ、体心立方格子(bcc)、体心正
    方格子(bct)、面心立方格子(fcc)、面心正方
    格子(fct)及びNaCl型結晶構造からなる群から
    選択された一種の結晶構造を有し、かつ、(001)結
    晶面が基板と略平行である請求項13に磁気記録媒体。
  21. 【請求項21】 bcc結晶構造を有する非磁性層は、
    Cr単体、あるいは、CrにV、Mo、W、Nb、T
    i、Ta、Ru、ZrおよびHfの群から選択される少
    なくとも1種類以上の元素を添加した合金を用いて形成
    されている請求項20に記載の磁気記録媒体。
  22. 【請求項22】 bct結晶構造を有する非磁性層は、
    Ni−Al二元合金、または、Ni−Al二元合金に
    V、Mo、W、Nb、Ti、Ta、Ru、ZrおよびH
    fの群から選択される少なくとも1種類以上の元素を加
    えた合金を用いて形成されている請求項20に記載の磁
    気記録媒体。
  23. 【請求項23】 fcc結晶構造を有する非磁性層は、
    Pt、Pd、Rh、Au、Cu単体、あるいは、少なく
    とも1種類を主相とする合金を用いて形成されている請
    求項20に記載の磁気記録媒体。
  24. 【請求項24】 NaCl結晶構造を有する非磁性層
    は、MgO、LiF及びNiOの少なくとも1種類を含
    む無機物質を用いて形成されている請求項20に記載の
    磁気記録媒体。
  25. 【請求項25】 前記非磁性層の膜厚をt3、前記記録
    層の膜厚をt4としたときに、 2nm≦t3≦(t4/2) の関係を満足する請求項20〜24のいずれか一項に記
    載の磁気記録媒体。
  26. 【請求項26】 前記磁気記録層を構成する磁性粒子の
    平均結晶粒径が4nm〜10nmの範囲内にある請求項
    1〜25のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  27. 【請求項27】 前記基板が非晶質成分を含むことを特
    徴とする請求項1〜26のいずれか一項に記載の磁気記
    録媒体。
  28. 【請求項28】 磁気記録媒体であって、 非晶質成分を含む基板と;規則合金からなる磁気記録層
    と;を備える磁気記録媒体。
  29. 【請求項29】 前記磁気記録層は、Co及びFeの少
    なくと一方の遷移金属元素と、Pt及びPdの少なくと
    も一方の貴金属元素とを含むL1型結晶構造を有する
    規則合金であり、前記遷移金属元素と前記貴金属元素の
    原子比率が、0.45≦(遷移金属元素)/(遷移金属
    元素+貴金属元素)≦0.55の関係を満足する請求項
    28に記載の磁気記録媒体。
  30. 【請求項30】 前記磁気記録層と前記基板との間に少
    なくとも1層の非磁性下地層を有し、前記磁気記録層に
    接して存在する非磁性下地層が、体心立方格子(bc
    c)、体心正方格子(bct)、面心立方格子(fc
    c)、面心正方格子(fct)及びNaCl型結晶構造
    からなる群から選ばれたいずれか一種の結晶構造を有す
    る請求項28または29に記載の磁気記録媒体。
  31. 【請求項31】 前記磁気記録層に接して存在する非磁
    性下地層が、体心立方格子(bcc)、面心立方格子
    (fcc)及びNaCl型からなる群から選ばれたいず
    れか一種の結晶構造をし、且つ、{100}結晶面が基
    板と平行であることを特徴とする請求項30に記載の磁
    気記録媒体。
  32. 【請求項32】 前記磁気記録層に接して存在する非磁
    性下地層が、体心正方格子(bct)または面心正方格
    子(fct)の結晶構造を有し、且つ(100)結晶面
    または(001)結晶面が基板と平行である請求項30
    に記載の磁気記録媒体。
  33. 【請求項33】 前記bcc結晶構造を有する非磁性下
    地層は、Cr単体、または、CrにV、Mo、W、N
    b、Ti、Ta、Ru、Zr及びHfからなる群から選
    択される少なくとも1種類の元素を加えた合金を用いて
    形成されている請求項30に記載の磁気記録媒体。
  34. 【請求項34】 前記bct結晶構造を有する非磁性下
    地層は、Ni−Al二元合金、または、Ni−Al二元
    合金にV、Mo、W、Nb、Ti、Ta、Ru、Zr及
    びHfからなる群から選択される少なくとも1種類の元
    素を加えた合金を用いて形成されている請求項30に記
    載の磁気記録媒体。
  35. 【請求項35】 前記fcc結晶構造を有する非磁性下
    地層は、Pt、Pd、Rh及びAuからなる群から選択
    された少なくとも1種を含む請求項30に記載の磁気記
    録媒体。
  36. 【請求項36】 前記NaCl結晶構造を有する非磁性
    下地層は、MgO、LiF及びNiOからなる群から選
    択された少なくとも1種を含む請求項30に記載の磁気
    記録媒体。
  37. 【請求項37】 前記磁気記録層は、磁性結晶粒子とそ
    れを取り囲む結晶粒界部で構成され、前記磁性結晶粒子
    内における遷移金属元素の濃度をC1とし、前記結晶粒
    界部における遷移金属元素の濃度をC2とするとき、C
    1>C2の関係を満たす請求項29に記載の磁気記録媒
    体。
  38. 【請求項38】 前記磁気記録層が、第3元素として
    B、Si及びAlからなる群から選択された少なくとも
    一種を含む請求項28に記載の磁気記録媒体。
  39. 【請求項39】 第3元素の添加量が5at.%〜30
    at.%の範囲内にある請求項38に記載の磁気記録媒
    体。
  40. 【請求項40】 前記磁気記録層の磁性結晶粒子内にお
    ける第3元素の濃度をC3とし、前記結晶粒界部におけ
    る第3元素の濃度をC4とするとき、C3<C4の関係
    を満たす請求項39に記載の磁気記録媒体。
  41. 【請求項41】 第3元素がBである請求項39に記載
    の磁気記録媒体。
  42. 【請求項42】 前記磁気記録層の磁性結晶粒子内にお
    ける酸素の含有量をC5とし、前記結晶粒界部における
    酸素の含有量をC6とするとき、(C5/10)<C6
    の関係を満たす請求項29に記載の磁気記録媒体。
  43. 【請求項43】 前記磁気記録層を構成する磁性粒子の
    平均結晶粒径が4nm〜10nmの範囲内にある請求項
    37に記載の磁気記録媒体。
  44. 【請求項44】 前記平均結晶粒径をd1とし、最小の
    磁化反転単位の粒径をd2としたとき、(2×d1)>
    d2の関係を満たす請求項43に記載の磁気記録媒体。
  45. 【請求項45】 上記基板がガラス基板である請求項2
    7または28に記載の磁気記録媒体。
  46. 【請求項46】 磁気記録媒体の製造方法であって、 非晶質成分を含む基板を用意し、 前記基板を加熱した後、スパッタリング用ガスをプラズ
    マ化することにより生じた電荷を有する粒子をターゲッ
    トに衝突させてターゲット粒子を飛翔させ、該ターゲッ
    ト粒子を基板上に堆積させることにより規則合金からな
    る磁気記録層を形成することを含む製造方法。
  47. 【請求項47】 前記プラズマ化が、電子サイクロトロ
    ン共鳴(ECR)スパッタ法であることを特徴とする請
    求項46に記載の製造方法。
  48. 【請求項48】 前記基板の加熱を、400℃〜450
    ℃の範囲内で行うことを特徴とする請求項46または4
    7に記載の製造方法。
  49. 【請求項49】 前記規則合金がL1型結晶構造を有
    する規則合金である請求項46〜48のいずれか一項に
    記載の製造方法。
  50. 【請求項50】 前記磁気記録層はBを含む請求項46
    〜49のいずれか一項に記載の製造方法。
  51. 【請求項51】 請求項1または28に記載の磁気記録
    媒体と;情報を記録又は再生するための磁気ヘッドと;
    前記磁気記録媒体を前記磁気ヘッドに対して駆動するた
    めの駆動装置と;を備える磁気記録装置。
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