JP2000123344A - 磁気記録媒体及びその製造方法ならびに磁気ディスク装置 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法ならびに磁気ディスク装置

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JP2000123344A
JP2000123344A JP10296589A JP29658998A JP2000123344A JP 2000123344 A JP2000123344 A JP 2000123344A JP 10296589 A JP10296589 A JP 10296589A JP 29658998 A JP29658998 A JP 29658998A JP 2000123344 A JP2000123344 A JP 2000123344A
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Hisateru Sato
久輝 佐藤
Iwao Okamoto
巌 岡本
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Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
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  • Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Thin Magnetic Films (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 媒体ノイズを低く保つことができ、さらに、
オーバーライト特性を向上させ、分解能を高めることが
できる磁気記録媒体を提供すること。 【解決手段】 非磁性の基板上に非磁性材料からなる下
地層を介して磁性記録層を設けてなり、かつ前記磁性記
録層が、非磁性材料とその材料中に均一に分散せしめら
れた強磁性結晶粒子とから構成されている磁気記録媒体
において、前記下地層が、クロム及びモリブデンを主成
分とするCrMo系下地層からなるように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気記録媒体に関
し、さらに詳しく述べると、高い保磁力Hcにより高密
度記録を可能とするとともに、特に、低ノイズであり、
オーバライト特性や分解能に優れた磁気記録媒体に関す
る。本発明はまた、このような磁気記録媒体の製造方法
及びそれを使用した、情報の記録及び再生を行うための
磁気ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】情報処理技術の発達に伴い、コンピュー
タの外部記憶装置に用いられる磁気ディスク装置に対し
て記録密度の向上が要求されている。具体的には、かか
る磁気ディスク装置の再生ヘッド部において、従来の巻
線型のインダクティブ薄膜磁気ヘッドに代えて、磁界の
強さに応じて電気抵抗が変化する磁気抵抗素子を使用し
た磁気抵抗効果型ヘッド、すなわち、MRヘッドを使用
することが主流になっている。MRヘッドは、磁性体の
電気抵抗が外部磁界により変化する磁気抵抗効果を記録
媒体上の信号の再生に応用したもので、従来のインダク
ティブ薄膜磁気ヘッドに較べて数倍も大きな再生出力幅
が得られること、イングクタンスが小さいこと、大きな
S/N比が期待できること、などを特徴としている。ま
た、このMRヘッドとともに、異方性磁気抵抗効果を利
用したAMRヘッド、巨大磁気抵抗効果を利用したGM
Rヘッド、そしてその実用タイプであるスピンバルブG
MRヘッドの使用も始まっている。
【0003】さらに、高密度記録の要求を満たすため
に、磁気ディスク装置において用いられるべき磁気記録
媒体においても、上記したMRヘッド、AMRヘッドあ
るいはGMRヘッド(スピンバルブヘッドを含む)に対
応する特性が必要である。すなわち、磁気記録媒体で
は、高い保磁力Hcにより高密度記録を可能とするとと
もに、S/N比の向上のため、特に低ノイズであること
が求められている。
【0004】従来の磁気記録媒体では、通常、アルミニ
ウム基板などの非磁性の基板上にコバルトを主成分とす
る合金、典型的にはCoCr系合金からなる磁性記録層
を形成している。また、基板と磁性記録層の間には、ク
ロムあるいはその合金からなる非磁性のCr系下地層を
介在せしめている。さらに、一般的には、硬度の向上の
ため、アルミニウム基板の表面にNiPメッキを施して
いる。しかし、上記したようなCoCr系合金から磁性
記録層を構成した場合には、記録密度を高くすると、再
生出力の低下の低下と媒体ノイズの増加に原因してS/
N比が低下してしまう。
【0005】媒体ノイズの発生とその増加の原因となる
ものは、一般的に、磁化遷移部分の磁化のばらつきであ
り、これは、磁性記録層を構成する強磁性粒子間の磁気
的な相互作用に起因している。したがって、媒体ノイズ
の低減のためには、この強磁性粒子間の磁気的な相互作
用を弱くしてやることが必要である。従来のCoCr系
合金からなる磁性記録層を有する磁気記録媒体でも、こ
の点を考慮して、CoCr系合金の組成の変更、成膜条
件の改善等により、強磁性部分と非磁性部分の偏析を促
し、ノイズの低減を図っている。
【0006】一方、磁性記録層を、強磁性結晶粒子間を
非磁性相で分離した構造を有するように構成した磁気記
録媒体、いわゆる「グラニュラ媒体」も報告されてい
る。グラニュラ媒体では、その磁性記録層において、非
磁性相としてSiO2 などの絶縁体を用いることによ
り、強磁性結晶粒子間の磁気的な相互作用をほぼ完全に
分断することが可能であり、その結果、磁化遷移部分の
磁化のばらつきに起因するノイズをほほゼロに抑えるこ
とができる。このような顕著な特性から、グラニュラ媒
体は、次世代の磁気記録媒体として期待されている。
【0007】グラニュラ媒体についてさらに説明する
と、例えば、市川らは、「低ノイズ・CoPt−SiO
2 磁性粒子分散形磁気記録媒体」と題する論文、第20
回日本応用磁気学会学術講演概要集(1996年)、1
96頁のなかで、図1に示すような層構成を有する試作
の磁気記録媒体を報告している。磁気記録媒体20は、
ガラス基板21の上に、Crからなる下地層22、Co
Pt−SiO2 分散体からなる磁性記録層25、そして
カーボン(C)からなる保護膜26を順次積層した構成
を有しており、また、磁性記録層25は、SiO2 から
なる非磁性相23中に飽和磁化の大きなCoPt結晶粒
子24を分散させた構造を有している。ここで、磁性記
録層25は、Co−20at%PtターゲットとSiO
2 ターゲットを同時スパッタして形成したものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記の説明から理解さ
れるように、CoPt−SiO2 分散体からなる磁性記
録層を有するグラニュラ媒体は、特に媒体ノイズの低減
に有効であると考えられる。しかし、この媒体は、従来
のCoCr系合金からなる磁性記録層を有する媒体と比
較した場合、分解能の指標であるPW50、すなわち、孤
立波再生波形の半値幅値(μm)が広いという特性をあ
わせて有しており、この特性が、好ましくないことに、
高周波記録領域における出力の減少、さらにはS/N比
の劣化の減少を引き起こすことになっている。さらに、
従来のグラニュラ媒体では、分解能やオーバーライト特
性が劣るという欠点がある。どうしてこのような欠点が
発生するのかについての完全な究明は完了していない
が、本発明者らのひとつの考察として、磁性記録層に組
み合わせてCr下地層を使用することにより、磁性記録
層の強磁性結晶粒子(CoPt粒子)の結晶構造を六方
最密構造とすることを可能としていることが理由として
挙げられる。すなわち、形成された六方最密構造では、
磁性記録層中の強磁性結晶粒子が、本来磁化容易軸(C
軸)の面と平行に配向されるべきところを、ほぼ三次元
にランダムに配向されるので、これが、分解能やオーバ
ーライト特性に悪い影響を及ぼしているものと理解され
る。
【0009】本発明の第1の目的は、上記したような従
来のグラニュラ媒体のいろいろな問題点を解決して、高
い再生出力に結びつく高い保磁力Hcを奏するととも
に、媒体ノイズを低く保つことができ、分解能やオーバ
ーライト特性も向上させることができる磁気記録媒体を
提供することにある。本発明のもう1つの目的は、上記
したような本発明による磁気記録媒体の有利な製造方法
を提供することにある。
【0010】また、本発明のさらにもう1つの目的は、
上記したような本発明による磁気記録媒体の特性を十二
分に発揮させることのできる磁気ディスク装置を提供す
ることにある。本発明の上記した目的及びその他の目的
は、以下の詳細な説明から容易に理解することができる
であろう。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、その1つの面
において、非磁性の基板上に非磁性材料からなる下地層
を介して磁性記録層を設けてなり、かつ前記磁性記録層
が、非磁性材料とその材料中に均一に分散せしめられた
強磁性結晶粒子とから構成されている磁気記録媒体にお
いて、前記下地層が、クロム及びモリブデンを主成分と
するCrMo系下地層からなることを特徴とする磁気記
録媒体にある。
【0012】また、本発明は、そのもう1つの面におい
て、非磁性の基板上に非磁性材料からなる下地層を介し
て磁性記録層が設けてなり、かつ前記磁性記録層が、非
磁性材料とその材料中に均一に分散せしめられた強磁性
結晶粒子とから構成されている磁気記録媒体を製造する
方法であって、前記下地層をCrMo系下地層から構成
するとともに、その下地層をクロムターゲット及びモリ
ブデンターゲットを使用したスパッタ法により成膜する
ことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法にある。
【0013】さらに、本発明は、そのもう1つの面にお
いて、磁気記録媒体において情報の記録を行うための記
録ヘッド部及び情報の再生を行うための再生ヘッド部を
備えた磁気ディスク装置であって、前記磁気記録媒体
が、上記しかつ以下において詳細に説明する本発明の磁
気記録媒体であり、そして前記再生ヘッド部が磁気抵抗
効果型ヘッドを備えていることを特徴とする磁気ディス
ク装置にある。
【0014】
【発明の実施の形態】引き続いて、本発明をその好まし
い実施の形態を参照して説明する。本発明による磁気記
録媒体は、非磁性の基板上に非磁性材料からなる下地層
を介して磁性記録層を設けるとともに、その磁性記録層
を、非磁性材料とその材料中に均一に分散せしめられた
強磁性結晶粒子とから構成した磁気記録媒体にあり、特
に、非磁性の基板と磁性記録層との間に、クロム及びモ
リブデンを主成分とするCrMo系下地層を介在せしめ
たことを特徴としている。本発明の磁気記録は、基本的
に、この層構成を満足させる限りにおいて、いろいろな
実施形態をとることができる。
【0015】本発明の磁気記録媒体の好ましい1実施形
態は、それを断面図で示すと、図2に示す通りである。
すなわち、磁気記録媒体10は、非磁性の基板1の上
に、CrMo系下地層2を介して、非磁性材料3とその
材料中に均一に分散せしめられた強磁性結晶粒子4とか
ら構成した磁性記録層5を設けて構成することができ
る。さらに、図示の例では、この技術分野において一般
的に行われているように、保護膜6が最上層を構成して
いる。
【0016】本発明の磁気記録媒体において、その基体
として用いられる非磁性の基板は、本発明の効果に悪影
響を及ぼさない限り、この技術分野において常用のいろ
いろな基板であることができる。本発明の実施において
適当な基板は、好ましくはディスク形状の基板であり、
以下に列挙するものに限定されるわけではないけれど
も、NiPメッキ付きのアルミニウム基板、シリコン基
板、ガラス基板(結晶化ガラス基板などを含む)、カー
ボン基板などを包含する。また、必要に応じて、SiO
2 基板、Al23 基板、MgO基板などの耐熱性のあ
る非磁性の基板を使用してもよい。さらに、シリコン基
板表面を100nm以上の厚さで酸化してSiO2 表面酸
化膜を有するSi基板を使用してもよい。
【0017】ガラス基板は、この技術分野において常用
のガラス基板のなかから、適当なものを選択して使用す
ることができる。適当なガラス基板としては、以下に列
挙するものに限定されるわけではないけれども、例え
ば、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、
無アルカリガラス、結晶化ガラスなどを挙げることがで
きる。これらのガラス基板は、必要に応じて、その表面
に無方向性の凹凸を有していてもよい。
【0018】本発明の実施において、非磁性の基板は、
その表面を清浄に処理した後で有利に使用することがで
きる。例えばガラス基板表面の清浄化は、常用の技法に
従って行うことができ、例えば、超純水、アルカリ洗浄
剤、中性洗剤等を使用した脱脂工程やイオン交換水を使
用した洗浄工程などを組み合わせて使用することができ
る。また、このような清浄化工程に追加して、必要に応
じて、基板表面の活性化処理などを施してもよい。さら
に、基板の表面にテクスチャ処理を施して、円周方向に
形成された浅い筋状の突起部及び溝部(凹凸)を付与し
てもよい。テクスチャ処理は、磁気記録媒体の製造にお
いて一般的に用いられている技法に従って行うことがで
きる。適当なテクスチャ処理として、例えば、砥石研磨
テープ、遊離砥粒などの研磨手段で基板の表面を研磨す
ることが挙げられる。基板の表面にテクスチャ処理を施
して凹凸を形成することにより、S/N比を向上させ、
ヘッド走行性を改善するという効果を得ることができ
る。
【0019】本発明の磁気記録媒体において、非磁性の
基板と磁性記録層との間に介在せしめられる下地層は、
前記したように、Cr及びMoを主成分として含有する
CrMo系合金からなる。本発明では、従来のグラニュ
ラ媒体の下地層として用いられてきたCr薄膜中にMo
を添加することで、下地層−強磁性結晶粒子間のエピタ
キシャル成長を促進させ、強磁性結晶粒子の磁化容易軸
(C軸)の面内配向性を促進させ、優れたオーバーライ
ト特性や高分解能を具現することができる。特に、本発
明者らの研究の結果、Cr薄膜中にMoを10〜50a
t%の量で添加した場合には特にオーバーライト特性を
改善することができ、また、Cr薄膜中にMoを60〜
100at%の量で添加した場合には(すなわち、この
場合には、「CrMo系下地層」といっても、実質的に
Crを含有しない、Moの単独からなる下地層も包含さ
れる)、特に分解能を改善することができる。強磁性結
晶粒子の磁化容易軸の面内配向性の促進についてさらに
説明すると、Cr薄膜中にMoを添加した場合、格子面
間隔を広げることができ、よって、磁性記録層中に含ま
れるPtによって広がる磁性記録層の格子面間隔に対し
て下地層の格子面間隔を近くしてやることにより、磁性
記録層のC軸の面内への優先配向を促すことができるか
らである。このような顕著な作用効果により、本発明の
磁気記録媒体を使用すると、高密度磁気記録領域におい
ても媒体ノイズを低く保つことが可能となり、高い信号
品質(高S/N比)をもち、オーバーライト特性や分解
能に優れた高記録密度の磁気ディスク装置を提供するこ
とができる。
【0020】CrMo系下地層の組成は、好ましくは、
式:Cr100-x Mox (x=10〜100at%)によ
って表すことができる。ここで、Crに対して添加する
Moの量(x)は、得られる媒体の特性に大きな影響を
及ぼし、したがって、所望とする効果に応じて適宜変更
することができる。例えば、x=10〜50at%のと
き、オーバーライト特性の顕著な改善を得ることがで
き、また、x=60〜100at%のとき、分解能の顕
著な改善を得ることができる。
【0021】CrMo系下地層は、好ましくは、例えば
RFマグネトロンスパッタ法などのスパッタ法により成
膜することができる。また、このスパッタ法は、クロム
ターゲット及びモリブデンターゲットを使用して、それ
らを同時にスパッタするのが有利である。さらに、クロ
ムターゲット及びモリブデンターゲットを同時にスパッ
タする場合、それぞれの投入電力を変化させることでC
rMo系下地層の組成を有利に調整することができる。
【0022】さらに、スパッタ法は、保磁力を高めるた
め、DC負バイアスの印加下に実施するのが好ましい。
適当な成膜条件として、例えば、約100〜300℃の
成膜温度、約200〜1000秒の成膜時間、約1〜6
mTorrのArガス圧力、100W前後の投入電力、
そして約100〜300VのDC負バイアスを挙げるこ
とができる。また、必要に応じて、スパッタ法に代え
て、他の成膜法、例えば蒸着法、イオンビームスパッタ
法等を使用してもよい。
【0023】CrMo系下地層の膜厚は、所望とする効
果に応じて広く変更することができるというものの、通
常、20〜50nmの範囲である。この下地層の膜厚が2
0nmを下回ると、磁気特性が十分に発現しないおそれが
あり、また、反対に50nmを上回ると、ノイズが増大す
るおそれがある。本発明の磁気記録媒体において、磁性
記録層は、そのtBr(磁性記録層の膜厚tと残留磁化
密度Brの積)が150Gμm以下であり、保磁力Hc
が1300Oe以上であり、かつ非磁性材料中にほぼ一
様に分散せしめられた強磁性結晶粒子の平均粒径が15
nm以下であることが好ましい。
【0024】磁性記録層の強磁性結晶粒子としては、本
発明の効果に悪影響を及ぼさない限り、いろいろな結晶
粒子を使用することができるけれども、CoPt系結晶
粒子を使用するのが特に有利である。CoPt系結晶粒
子は、好ましくは、fcc構造のCo100-x Ptx (x
=15〜25at%)である。このような特定構造の強
磁性粒子を使用することにより、1300Oe以上の高
い保磁力Hcを実現することができる。また、この強磁
性粒子を非磁性材料マトリックス中に微分散させること
により、記録密度を上げて、なおかつノイズの低減を図
ることができる。さらに、強磁性粒子の平均粒径を15
nm以下とし、かつ強磁性粒子どうしの間に非磁性材料を
介在させることにより、強磁性粒子間の磁気的相互作用
を効果的に断ち切ることができる。なお、CoPt系結
晶粒子以外の使用可能な強磁性結晶粒子としては、例え
ば、Fe,Co,CoCr,CoCrPt,CoRuな
どを挙げることができる。
【0025】上述の強磁性結晶粒子と組み合わせて磁性
記録層の形成に用いられるマトリックス材料としての非
磁性材料は、CoPtあるいはその他の強磁性結晶粒子
と非相溶性又は難相溶性の非磁性材料であることが好ま
しい。適当な非磁性材料として、例えば、珪素酸化物
(SiO2 )、銀(Ag)、銅(Cu)、カーボン
(C)、酸化物セラミックス(Al23 ,MgO)な
どを挙げることかできる。強磁性粒子の母相としてアモ
ルファスが適していることやCoPtとの優れた相性の
面から、特にSiO2 が好適である。
【0026】強磁性結晶粒子と非磁性材料とから上記の
ようなグラニュラ構造の磁気記録層を形成するには、両
者を同時成膜又は積層成膜(非磁性材料/強磁性結晶粒
子、例えばCoPt/非磁性材料のように積層するのが
好ましい)した後熱処理する方法が好適である。磁性記
録層のスパッタ法による成膜は、いろいろな成膜条件下
で実施することができる。特に、保磁力を高めるため、
基板に対してバイアス電力の印加下にスパッタ法を実施
するのが好ましい。スパッタ法としては、上記した下地
層の成膜と同様、例えばRFマグネトロンスパッタ法な
どを有利に使用することができる。適当な成膜条件とし
て、例えば、約100〜350℃の成膜温度、約4〜6
mTorrのArガス圧力、そして約80〜400Vの
DC負バイアスを挙げることができる。ここで、約35
0℃を上回る成膜温度は、本来非磁性であるべき基板に
おいて磁性を発現する可能性があるので、その使用を避
けることが望ましい。また、必要に応じて、スパッタ法
に代えて、他の成膜法、例えば蒸着法、イオンビームス
パッタ法等を使用してもよい。
【0027】さらに具体的に説明すると、前記強磁性結
晶粒子を、基板に対してバイアス電力の印加下に、Co
Ptターゲット及びSiO2 ターゲットを同時にスパッ
タすることにより成膜するとともに、それぞれの投入電
力を変化させることで、得られる磁性記録層中のCoP
t及びSiO2 の体積比を調整することが好ましい。例
えば、RFスパッタリングで、CoPtを100〜50
0秒間、10〜150W、SiO2 を100〜500秒
間、50〜200W、同時に放電するとともに、基板に
対して、1〜3W/in2 の範囲のRFバイアス電力を1
00〜500秒間にわたって印加するのが好ましい。
【0028】また、高い保磁力を達成するため、磁性記
録層の成膜後にそれを5×10-6Torr以下の高真空
中で500℃以上の温度で熱処理することが好ましい。
すなわち、強磁性結晶粒子としてCoPtを例にとった
場合、熱処理前のCoPt結晶粒子はその結晶粒径が小
さく、粒子どうしが連続である部分があるために保磁力
が小さいが、熱処理を施すと、CoPtとSiO2 が非
固溶であることからそれぞれの分離析出が進み、CoP
tは数十nmの粒径を有する粒子となり、高い保磁力を奏
するからである。本発明者らの知見によると、この効果
を得るためには上記のように最低500℃の熱処理温度
が必要である。また、このような高真空中での加熱処理
に代えて、例えばH2 混合ガス等の還元雰囲気中で熱処
理を行っても同様な効果を得ることができる。
【0029】本発明の実施に当たっては、CoとPtも
合金や複合ターゲットなどによる同時成膜のほか、積層
成膜でもよいが、堆積後、熱処理して非磁性材料中に均
一に微分散させるとともに、fcc構造の結晶粒子に成
すことが必要である。CoPtは通常hcp構造が安定
であるが、本発明ではfcc構造である。したがって、
熱処理温度としては400℃以上が好ましく、より好ま
しくは500〜600℃である。
【0030】磁気記録層中における非磁性材料(例えば
SiO2 など)と強磁性結晶粒子(例えばCoPtな
ど)との体積比は、本発明の効果に悪影響を及ぼさない
限りにおいて広く変更することができるというものの、
通常、30:70〜80:20の範囲であることが好ま
しく、より好ましくは50:50〜70:30の範囲で
ある。
【0031】本発明の磁気記録媒体において、磁性記録
層は、上記したように、150Gμm のtBr(磁性記
録層の膜厚tと残留磁化密度Brの積)を有しているこ
とが好ましい。本発明の磁性記録層は、従来の磁性記録
層に比較して薄く構成したことにより、特にMRヘッド
をはじめとした磁気抵抗効果型ヘッド用として最適であ
る。なお、磁性記録層の膜厚tは、上記のtBrの値を
満たせばよいが、一般的には10〜50nmの範囲である
のが好ましい。
【0032】本発明の磁気記録媒体は、必要に応じてか
つ、好ましくは、その最上層として、上記した磁性記録
層の上方に、この技術分野において屡々採用されている
ように、保護膜を有することができる。適当な保護膜と
しては、例えば、カーボンの単独もしくばその化合物か
らなる層、例えばC層、WC層、SiC層、B4 C層、
水素含有C層など、あるいは特により高い硬度を有する
という点で最近注目されているダイヤモンドライクカー
ボン(DLC)の層を挙げることができるできる。特
に、本発明の実施に当たっては、カーボンあるいはDL
Cからなる保護膜を有利に使用することができる。この
ような保護膜は、常法に従って、例えば、スパッタ法、
蒸着法などによって形成することができる。かかる保護
膜の膜厚は、種々のファクタに応じて広い範囲で変更す
ることができるというものの、好ましくは、約5〜10
nmである。
【0033】また、上記したような保護膜に代えて、例
えば、アモルファス水素化カーボン膜(a−C:H膜)
あるいはそれに類する保護膜を使用してもよい。例え
ば、特開平5−81660号公報には、スパッタ法によ
り形成されたアモルファス水素化カーボン膜からなる保
護膜が開示されている。また、特開平6−349054
号公報には、CSS耐久性の改良と薄膜化のため、スパ
ッタ法による水素含有カーボン保護膜を、水素含有率の
低い下層のカーボン膜と水素含有率の高い上層のカーボ
ン膜との少なくとも2層膜構造とすることが開示されて
いる。さらに、最近、スパッタa−C:H膜に代わるべ
きものとして注目されているプラズマCVD法により形
成したアモルファス水素化カーボン膜(PCVDa−
C:H膜)を使用してもよい。例えば、特開平7−73
454号公報には、プラズマCVD法において、反応性
ガスとしてCH4 ガス、CF4 などを使用することを特
徴とするカーボン保護膜製造方法が開示されている。
【0034】本発明の磁気記録媒体は、上記したような
必須の層及び任意に使用可能な層に加えて、この技術分
野において常用の追加の層を有していたり、さもなけれ
ば、含まれる層に任意の化学処理等が施されていてもよ
い。例えば、上記した保護膜の上に、フルオロカーボン
樹脂系の潤滑層が形成されていたり、さもなければ、同
様な処理が施されていてもよい。
【0035】本発明は、そのもう1つの面において、非
磁性の基板上に非磁性材料からなる下地層を介して磁性
記録層が設けてなり、かつ前記磁性記録層が、非磁性材
料とその材料中に均一に分散せしめられた強磁性結晶粒
子とから構成されている磁気記録媒体を製造する方法で
あって、前記下地層をCrMo系下地層から構成すると
ともに、その下地層をクロムターゲット及びモリブデン
ターゲットを使用したスパッタ法により成膜することを
特徴とする磁気記録媒体の製造方法にある。
【0036】本発明方法の実施に当たっては、先にも説
明したように、下地層の成膜をRFマグネトロンスパッ
タ法により行うことが好ましい。また、CrMo系下地
層の組成をCr100-x Mox (x=60〜99at%)
とするとともに、Crターゲット及びMoターゲットを
同時にスパッタしかつ、その際、それぞれの投入電力を
変化させることでCrMo系下地層の組成を調整するこ
とが好ましい。
【0037】同様に、磁性記録層を、スパッタ法によ
り、tBr(磁性記録層の膜厚tと残留磁化密度Brの
積)が150Gμm以下であり、保磁力Hcが1300
Oe以上であり、かつ非磁性材料中に分散せしめられた
強磁性結晶粒子の平均粒径が15nm以下であるように成
膜することが好ましい。ここで、強磁性結晶粒子を、C
oPtターゲットを使用して、CoPt系結晶粒子から
構成することが好ましい。また、CoPt系結晶粒子
は、好ましくは、fcc構造のCo100-x Ptx (x=
15〜25at%)である。同様に、磁性記録層の非磁
性材料を、SiO2ターゲットを使用して、SiO2
ら構成することが好ましい。
【0038】さらに具体的には、磁性記録層を、基板に
対してバイアス電力の印加下に、CoPtターゲット及
びSiO2 ターゲットを同時にスパッタすることにより
成膜するとともに、それぞれの投入電力を変化させるこ
とで、得られる磁性記録層中のCoPt及びSiO2
体積比を調整することが好ましい。基板に対して印加さ
れるバイアス電力は、好ましくは、1〜3W/in2 の範
囲である。
【0039】本発明方法の実施において、下地層及びそ
の上方の磁性記録層は、どちらもスパッタ法により、好
ましくはインラインプロセスで行うことが好ましい。こ
のようにすることによって、本発明の磁気記録媒体の製
造に要する時間や費用を大幅に短縮、低減することがで
き、また、得られる媒体の特性等も、高レベルに維持す
ることができる。
【0040】さらにまた、本発明は、そのもう1つの面
において、以上に詳細に説明した本発明の磁気記録媒体
を使用した磁気ディスク装置にある。本発明の磁気ディ
スク装置は、磁気記録媒体において情報の記録を行うた
めの記録ヘッド部及び情報の再生を行うための再生ヘッ
ド部を備えた磁気ディスク装置であって、前記磁気記録
媒体が本発明の磁気記録媒体であり、そして前記再生ヘ
ッド部が磁気抵抗効果型ヘッドを備えていることを特徴
とする磁気ディスク装置にある。ここで、磁気抵抗効果
型ヘッドは、好ましくは、MRヘッド、AMRヘッド又
はGMRヘッドである。
【0041】本発明の磁気ディスク装置において、その
構造は特に限定されないというものの、基本的に、磁気
記録媒体において情報の記録を行うための記録ヘッド部
及び情報の再生を行うための再生ヘッド部を備えている
装置を包含する。特に、再生ヘッド部は、以下に説明す
るように、磁界の強さに応じて電気抵抗が変化する磁気
抵抗素子を使用した磁気抵抗効果型ヘッド、すなわち、
MRヘッドを備えていることが好ましい。
【0042】本発明の磁気ディスク装置において、好ま
しくは、磁気抵抗効果素子及び該磁気抵抗効果素子にセ
ンス電流を供給する導体層を有し、磁気記録媒体からの
情報の読み出しを行う磁気抵抗効果型の再生ヘッド部
と、薄膜で形成された一対の磁極を有し、磁気記録媒体
への情報の記録を行う誘導型の記録ヘッド部とが積層さ
れてなる複合型の磁気ヘッドを使用することができる。
磁気抵抗効果型の再生ヘッドは、この技術分野において
公知のいろいろな構造を有することができ、そして、好
ましくは、異方性磁気抵抗効果を利用したAMRヘッド
又は巨大磁気抵抗効果を利用したGMRヘッド(スピン
バルブGMRヘッド等を含む)を包含する。再生ヘッド
部の導体層は、いろいろな構成を有することができるけ
れども、好ましくは、1.導体層の膜厚に関して、磁気
抵抗効果素子の近傍部分を比較的に薄く形成し、その他
の部分を厚く形成したもの、2.導体層の膜厚及び幅員
に関して、磁気抵抗効果素子の近傍部分のそれを比較的
に薄くかつ細く形成し、その他の部分を厚くかつ幅広に
形成したもの、を包含する。導体層の膜厚及び必要に応
じて幅員を上記のように調整することは、いろいろな手
法に従って行うことができるものの、特に、導体層の多
層化によって膜厚の増加を図ることによりこれを達成す
ることが推奨される。
【0043】特に上記したような構成の磁気ディスク装
置を使用すると、従来の複合型の磁気ヘッドに比較し
て、記録ヘッド部の磁極の湾曲を小さくするとともに導
体層の抵抗を下げ、オフトラックが小さい範囲であれ
ば、精確にかつ高感度で情報を読み出すことができる。
【0044】
【実施例】引き続いて、本発明をその実施例を参照して
詳細に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定さ
れるものではないことを理解されたい。例1 磁気記録媒体の製造 RFマグネトロンスパッタ装置を用意し、成膜工程に先
がけてスパッタ室内で1×10-7〜1×10-10 Tor
rの真空引きを行った。よく洗浄された表面を有するデ
ィスク状のNiPメッキ付きのアルミニウム基板(Ni
P/Al基板)をサンプルホルダーにセットした後、基
板温度を200℃に高め、Arガスを導入してスパッタ
室内を5mTorrに保持し、−200Vのバイアスを
印加しながら、Crターゲット及びMoターゲットを使
用した同時スパッタリングによりCrMo下地層を膜厚
50nmで成膜した。成膜時間は約1000秒、投入電力
は約100Wであった。ここで、Cr薄膜におけるMo
の添加効果を評価することを目的として、CrMo下地
層におけるMo量が0〜100at%となるように、両
ターゲットの組成比を変更した。
【0045】CrMo下地層(Mo=0〜100at
%)の形成後、同じRFマグネトロンスパッタ装置にお
いて、基板温度を200℃に高め、Arガスを導入して
スパッタ室内を5mTorrに保持し、−200Vのバ
イアスを印加しながら、CoPtターゲット及びSiO
2 ターゲットを使用した同時スパッタリングを実施し
た。CoPt及びSiO2 を、それぞれ、500秒間及
び150Wならびに500秒間及び200Wで同時に放
電するとともに、基板に対して、0〜5W/in2 のRF
バイアス電力を500秒間にわたって印加した。ここ
で、CoPt中におけるPtの添加効果を評価すること
を目的として、得られるCoPt−SiO2 薄膜におけ
るPt量が0〜35at%となるように、CoPtター
ゲットの組成比を変更した。膜厚26.5nmのCoPt
(Pt=0〜35at%)−SiO2 磁性記録層が得ら
れた。得られた磁性記録層において、15nm以下の平均
粒径を有する強磁性のCoPt結晶粒子が非磁性のSi
2 中にほぼ一様に微分散されていることが平面TEM
(透過型電子顕微鏡)によって確認された。得られた磁
性記録層をさらに真空中(5×10-6Torr以下)で
600℃で1時間にわたって熱処理した後、その表面に
カーボン(C)保護膜をスパッタ成膜した。この成膜の
ため、先に使用したRFマグネトロンスパッタ装置とは
別のスパッタ装置を用意し、スパッタ室内を真空引きし
た後、基板温度を200℃に高め、9mTorrのAr
ガス及び1mTorrのN2 ガスをスパッタ室内に導入
した。カーボンターゲットを使用して、DC電源からの
1kwの電力を6.2秒間にわたって投入したところ、
膜厚8nmのC保護膜が得られた。
【0046】以上のようなインラインスパッタプロセス
を通じて、図2に示したような層構成を有する磁気記録
媒体(磁気ディスク)を得ることができた。例2 磁気記録媒体の評価 前記例1において作製した磁気記録媒体について、下記
の項目に関して特性の評価を行った。なお、組成分析に
はEDX、磁気測定にはVSMを用いた。 (1)磁気記録媒体のtBrのMo濃度依存性 前記例1において作製した磁気記録媒体(CrMo下地
層中のMo濃度=0〜100at%)において、そのt
Br(CoPt−SiO2 磁性記録層の膜厚tと残留磁
化密度Brの積)を異なるMo濃度で測定したところ、
図3にプロットするような結果が得られた。図3のグラ
フから、本例の磁気記録媒体の場合、そのtBrはCr
Mo下地層中のMo濃度の変化にかかわりなくほぼ11
0Gμmであることが判明した。 (2)MRヘッドの再生出力と記録密度の関係 先に説明したように、近年、高記録密度の記録信号の再
生に磁気抵抗型のヘッド(MRヘッド)が用いられてい
る。MRヘッドは従来のインダクティブ型のヘッドに比
べて非常に感度が高い一方、感度の直線性範囲が0〜1
50Gμmの狭い範囲に限られている。図4は、MRヘ
ッドを用いたときの再生出力(実効出力)と記録密度の
関係を、前記例1に記載の手法に従って作製した5種類
の異なるtBr(20、50、100、150及び20
0Gμm)を有する磁気記録媒体について示したもので
ある。図示のグラフから理解されるように、低記録密度
領域ではtBrの大きな媒体の方が出力が大きいが、高
記録密度領域、特に100kFRPI 近くになってくると、
tBrの小さな媒体の方が再生出力が大きくなってい
る。したがって、MRヘッドを高密度記録領域(120
kFRPI 以上)で使用するには、tBrが150Gμmで
あることが望ましい。 (3)磁気記録媒体の保磁力HcのMo濃度依存性 前記例1において作製した磁気記録媒体(CrMo下地
層中のMo濃度=0〜100at%)において、その保
磁力Hcを異なるMo濃度で測定したところ、図5にプ
ロットするような結果が得られた。図5のグラフから、
本例の磁気記録媒体の場合、その保磁力Hcは所望の最
低レベルである1300Oeを大きく上回る1800O
e以上であり、Mo濃度の増加につれて上昇する傾向に
あることが判明した。 (4)磁気記録媒体のCrMoの(110)面間隔のM
o濃度依存性 前記例1において作製した磁気記録媒体(Co80
20;CrMo下地層中のMo濃度=0〜100at
%)において、そのCrMoの(110)面間隔を異な
るMo濃度で測定したところ、図6にプロットするよう
な結果が得られた。図6のグラフから、本例の磁気記録
媒体の場合、CrMoの(110)面間隔はMo濃度が
20at%の近傍にある時にCoPtの(002)面間
隔に等しくなることが分かる。また、薄膜たる磁性記録
層の配向結晶面は、その下地層の結晶面の面間隔の影響
を大きく受ける傾向にあるので、CoPt薄膜とCrM
o下地層の場合、CoPtの(002)面間隔とCrM
oの(110)面間隔とをマッチングさせることで、強
磁性CoPt結晶粒子の磁化容易軸(C軸)を面内方向
に優先的に配向させることができる。したがって、本例
の場合、磁気記録媒体におけるCoPtの(002)面
間隔が図示のように2.0940Åであることから、C
rMoのMo濃度を20at%の近傍に調整した時に、
最大のオーバーライト特性を得ることができることがわ
かる。 (5)磁気記録媒体のオーバーライト特性のMo濃度依
存性 前記例1において作製した磁気記録媒体(Co80
20;CrMo下地層中のMo濃度=0〜100at
%)において、その媒体のオーバーライト特性0/W値
(dB)を異なるMo濃度で測定したところ、図7にプ
ロットするような結果が得られた。図7のグラフから、
本例の磁気記録媒体の場合、CrMo下地層中にMoを
10〜50at%の濃度で添加することにより、従来の
Cr単独からなる下地層を有する媒体(Mo濃度=0a
t%のときの0/W値を参照)と比較して、0/W値を
およそ−10dB程度改善できるということが判明し
た。 (6)磁気記録媒体のPW50のMo濃度依存性 前記例1において作製した磁気記録媒体(Co80
20;CrMo下地層中のMo濃度=0〜100at
%)において、その媒体の孤立波再生波形の半値幅値P
50(μm)を異なるMo濃度で測定したところ、図8
にプロットするような結果が得られた。図8のグラフか
ら、本例の磁気記録媒体の場合、CrMo下地層中にM
oを60〜100at%の濃度で添加することにより、
従来のCr単独からなる下地層を有する媒体(Mo濃度
=0at%のときのPW50を参照)と比較して、PW50
をおよそ0.30μm程度狭めることができ、分解能の
改善に有効であるということが判明した。 (7)磁気記録媒体の高密度記録状態におけるS/N比
のMo濃度依存性 前記例1において作製した磁気記録媒体(Co80
20;CrMo下地層中のMo濃度=0〜100at
%)において、その媒体の高密度記録状態(160kF
CI)におけるS/N比、S160kFCI /Nm(dB)を
異なるMo濃度で測定したところ、図9にプロットする
ような結果が得られた。図9のグラフから、本例の磁気
記録媒体の場合、CrMo下地層中にMoを60〜10
0at%の濃度で添加することにより、従来のCr単独
からなる下地層を有する媒体(Mo濃度=0at%のと
きのS160kFCI /Nmを参照)と比較して、S160kFCI
/Nmをおよそ1.5dB程度改善できるということが
判明した。なお、このような改善は、上記したようにP
50が狭くなり、分解能が上昇したことに由来してい
る。 (8)磁気記録媒体の保磁力HcのPt濃度依存性 前記例1において作製した磁気記録媒体(CoPt−S
iO2 薄膜におけるPt濃度=0〜35at%;CrM
o下地層中のMo濃度=50at%)において、その保
磁力Hcを0〜35at%の範囲の異なるPt濃度で測
定したところ、図10にプロットするような結果が得ら
れた。図10のグラフから、本例の磁気記録媒体の場
合、その保磁力HcはPt濃度が15〜25at%の時
に最大になることが判明した。また、CrMo下地層中
のMo濃度を50at%から10、60及び100at
%に変更した場合にも、同様な結果を得ることができ
た。 (9)磁気記録媒体の保磁力Hcのバイアス電力依存性 前記例1において作製した磁気記録媒体(Co80
20;CrMo下地層中のMo濃度=50at%)にお
いて、その保磁力Hcを0〜5W/in2 の範囲の異なる
バイアス電力の印加下に測定したところ、図11にプロ
ットするような結果が得られた。図11のグラフから、
本例の磁気記録媒体の場合、その保磁力Hcはバイアス
電力が1〜3W/in2 の時に最大になることが判明し
た。また、CrMo下地層中のMo濃度を50at%か
ら10、60及び100at%に変更した場合にも、同
様な結果を得ることができた。
【0047】
【発明の効果】本発明によると、磁気記録媒体におい
て、高い保磁力Hcにより高密度記録を可能とするとと
もに、特に、使用する磁性記録層の特性に由来して媒体
ノイズを低く保つことができ、さらに、オーバーライト
特性を向上させ、分解能を高めることができる。また、
本発明によれば、このような磁気記録媒体の有利な製造
方法や、この磁気記録媒体を使用した、高い信号品質
(高S/N比)をもつ高記録密度の磁気ディスク装置も
提供することができる。本発明の磁気ディスク装置で
は、磁気抵抗型ヘッドを装備しているので、非常に高い
感度か得られるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の磁気記録媒体の一例を示した断面図であ
る。
【図2】本発明による磁気記録媒体の好ましい1実施態
様を示した断面図である。
【図3】本発明の磁気記録媒体のtBrのMo濃度依存
性を示したグラフである。
【図4】MRヘッドの再生出力と記録密度の関係を示し
たグラフである。
【図5】本発明の磁気記録媒体の保磁力HcのMo濃度
依存性を示したグラフである。
【図6】本発明の磁気記録媒体のCrMoの(110)
面間隔のMo濃度依存性を示したグラフである。
【図7】本発明の磁気記録媒体のオーバーライト特性の
Mo濃度依存性を示したグラフである。
【図8】本発明の磁気記録媒体のPW50のMo濃度依存
性を示したグラフである。
【図9】本発明の磁気記録媒体の高密度記録状態におけ
るS/N比のMo濃度依存性を示したグラフである。
【図10】本発明の磁気記録媒体の保磁力HcのPt濃
度依存性を示したグラフである。
【図11】本発明の磁気記録媒体の保磁力Hcのバイア
ス電力依存性を示したグラフである。
【符号の説明】
1…非磁性の基板 2…下地層 3…非磁性材料 4…強磁性結晶粒子 5…磁性記録層 6…保護膜 10…磁気記録媒体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01F 41/18 H01F 41/18 Fターム(参考) 5D006 BB01 BB06 BB07 CA01 DA03 EA03 FA09 5D112 AA03 AA05 AA24 BB05 BB06 BB10 BD04 FA04 FB05 FB14 5E049 AA04 AA09 AC00 AC05 BA06 BA12 CB02 CC01 DB02 DB04 DB12 GC02 GC04

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性の基板上に非磁性材料からなる下
    地層を介して磁性記録層を設けてなり、かつ前記磁性記
    録層が、非磁性材料とその材料中に均一に分散せしめら
    れた強磁性結晶粒子とから構成されている磁気記録媒体
    において、 前記下地層が、クロム及びモリブデンを主成分とするC
    rMo系下地層からなることを特徴とする磁気記録媒
    体。
  2. 【請求項2】 前記磁性記録層において、tBr(磁性
    記録層の膜厚tと残留磁化密度Brの積)が150Gμ
    m以下であり、保磁力Hcが1300Oe以上であり、
    かつ前記非磁性材料中に分散せしめられた強磁性結晶粒
    子の平均粒径が15nm以下であることを特徴とする請求
    項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記強磁性結晶粒子がCoPt系結晶粒
    子からなることを特徴とする請求項2に記載の磁気記録
    媒体。
  4. 【請求項4】 前記CoPt系結晶粒子がfcc構造の
    Co100-x Ptx (x=15〜25at%)であること
    を特徴とする請求項3に記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記磁性記録層の非磁性材料がSiO2
    であることを特徴とする請求項2記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 非磁性の基板上に非磁性材料からなる下
    地層を介して磁性記録層が設けてなり、かつ前記磁性記
    録層が、非磁性材料とその材料中に均一に分散せしめら
    れた強磁性結晶粒子とから構成されている磁気記録媒体
    を製造する方法であって、 前記下地層をCrMo系下地層から構成するとともに、
    その下地層をクロムターゲット及びモリブデンターゲッ
    トを使用したスパッタ法により成膜することを特徴とす
    る磁気記録媒体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記CrMo系下地層の成膜をRFマグ
    ネトロンスパッタ法により行うことを特徴とする請求項
    6に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記CrMo系下地層の組成をCr
    100-x Mox (x=10〜100at%)とするととも
    に、クロムターゲット及びモリブデンターゲットを同時
    にスパッタしかつ、その際、それぞれの投入電力を変化
    させることでCrMo系下地層の組成を調整することを
    特徴とする請求項6に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記磁性記録層を、スパッタ法により、
    tBr(磁性記録層の膜厚tと残留磁化密度Brの積)
    が150Gμm以下であり、保磁力Hcが1300Oe
    以上であり、かつ前記非磁性材料中に分散せしめられた
    強磁性結晶粒子の平均粒径が15nm以下であるように成
    膜することを特徴とする請求項6に記載の磁気記録媒体
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記強磁性結晶粒子をCoPt系結晶
    粒子から構成することを特徴とする請求項9に記載の磁
    気記録媒体の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記CoPt系結晶粒子がfcc構造
    のCo100-x Ptx(x=15〜25at%)であるこ
    とを特徴とする請求項10に記載の磁気記録媒体の製造
    方法。
  12. 【請求項12】 前記磁性記録層の非磁性材料をSiO
    2 から構成することを特徴とする請求項9に記載の磁気
    記録媒体の製造方法。
  13. 【請求項13】 磁気記録媒体において情報の記録を行
    うための記録ヘッド部及び情報の再生を行うための再生
    ヘッド部を備えた磁気ディスク装置であって、前記磁気
    記録媒体が請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気記
    録媒体であり、そして前記再生ヘッド部が磁気抵抗効果
    型ヘッドを備えていることを特徴とする磁気ディスク装
    置。
  14. 【請求項14】 前記磁気抵抗効果型ヘッドが、MRヘ
    ッド、AMRヘッド又はGMRヘッドであることを特徴
    とする請求項13に記載の磁気ディスク装置。
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