JP2001134918A - 磁気記録媒体及び磁気記録装置 - Google Patents

磁気記録媒体及び磁気記録装置

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JP2001134918A
JP2001134918A JP31377799A JP31377799A JP2001134918A JP 2001134918 A JP2001134918 A JP 2001134918A JP 31377799 A JP31377799 A JP 31377799A JP 31377799 A JP31377799 A JP 31377799A JP 2001134918 A JP2001134918 A JP 2001134918A
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JP31377799A
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English (en)
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Fumiyoshi Kirino
文良 桐野
Nobuyuki Inaba
信幸 稲葉
Teruaki Takeuchi
輝明 竹内
Tomoko Sotani
朋子 曽谷
Tetsuo Mizumura
哲夫 水村
Koichiro Wakabayashi
康一郎 若林
Harumi Sakamoto
晴美 坂本
Takeshi Konuma
剛 小沼
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Maxell Holdings Ltd
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Hitachi Maxell Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 極薄の炭素保護層を備え、高密度記録に適し
た磁気記録媒体及びその媒体を備える磁気記録装置を提
供する。 【解決手段】 磁気記録媒体10は、ECRスパッタ法
により形成した炭素保護層4を備える。ECRスパッタ
法を用いると、5nm以下の極薄でありながら均一な炭
素保護膜4を磁性層3上に形成することができる。磁性
層3にP、Si、Bを含ませることにより、磁性層表面
の保護層側に不動態皮膜を形成し、磁性層3にも保護機
能を持たせる。炭素保護膜4及び磁性層3の不動態皮膜
により、保護層を極薄にしても十分な保護強度及び耐食
性を磁気記録媒体表面にもたらすことができる。これに
よって磁気ヘッドと媒体の間の距離を狭めることがで
き、高密度記録の可能な磁気記録媒体及び磁気記録装置
を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高密度記録に適し
た磁気記録媒体及び磁気記録装置に関し、特に、極めて
薄く且つ均一な膜厚を有する保護膜が形成された磁気記
録媒体及びその磁気記録媒体を装着した磁気記録装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年の高度情報化社会の進展にはめざま
しいものがあり、各種形態の情報を取り扱うことができ
るマルチメディアが急速に普及してきている。マルチメ
ディアの一つとしてコンピュータ等に装着される磁気記
録装置が知られている。現在、磁気記録装置は、記録密
度を向上させつつ小型化する方向に開発が進められてい
る。
【0003】磁気記録装置の高記録密度化を実現するた
めに、(1)磁気記録媒体と磁気ヘッドとの間隔を狭め
ること、(2)磁気記録媒体の保磁力を増大させるこ
と、(3)信号処理を高速化すること、(4)熱揺らぎ
の小さい磁気記録媒体を開発することなどが要望されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】磁気ヘッドと磁気記録
媒体の磁性膜の間隔については、15nm以下に狭める
ことが検討されている。一方、磁気ヘッドと磁性膜の間
隔が狭められるに従って、磁性膜を磁気ヘッドからの衝
撃や使用環境から保護する必要性がますます高くなる。
それゆえ、磁性膜を保護するための保護膜を一層均一で
欠損が生じないように形成することが必要とされてい
る。
【0005】従来の磁気記録媒体の磁性膜を覆う保護膜
は、DCスパッタ法やマグネトロンスパッタ法などで形
成されていたが、これらの方法では空孔の少ない均一な
カーボン膜を形成するためには、その膜厚を10nm程
度に成長させる必要があった。
【0006】しかしながら、磁気ヘッドと磁性膜との1
5nm以下の間隔を実現するためには、磁性膜上に形成
される保護膜は5nm以下の膜厚にする必要がある。D
Cスパッタ法やマグネトロンスパッタ法を用いて炭素保
護膜を5nm以下に成膜しようとしても、炭素保護膜が
アイランド状にしか形成されないか、保護膜に空孔やク
ラックなどの欠陥が生じるために、磁気記録媒体の表面
を保護膜により完全に覆うことができなかった。それゆ
え、磁性層に腐食が発生したり、ヘッドクラッシュなど
により磁性膜が物理的損傷を受けたりする場合があっ
た。
【0007】ところで、磁気記録媒体表面には、磁気ヘ
ッドをCSS方式により磁気記録媒体上に安定に浮上さ
せるために一定の凹凸が存在している必要がある。その
ために、基板表面や磁性層表面に予めテクスチャを設け
てある。具体的には、基板上にCr−Alなどの金属粒
を形成し、その上に磁性層を成長させていた。しかしな
がら、このようにしてできる磁性層表面の凹凸は比較的
大きいため、磁性層上に均一で且つ薄い保護膜形成の障
害となり、5nm以下の一定の膜厚で保護膜を形成する
ことは困難である。特に、磁性層表面の凹凸が保護膜の
厚さに比べてかなり大きい場合には保護膜中に生じる応
力にむらが生じるため、膜の薄い部分にはクラックが発
生し易くなる。このようなクラックが発生すると、磁気
ヘッドが安定して磁気記録媒体から浮上できなかった
り、磁性膜に腐食が発生する場合があった。
【0008】従って、高密度記録を行うためには、磁性
膜を覆う保護膜を前記の様々な観点から改良することが
要求されている。
【0009】そこで、本発明の第1の目的は、磁気記録
媒体の磁性層表面を1〜5nmの膜厚で均一に覆う保護
層を有する磁気記録媒体及びその磁気記録媒体を装着し
た磁気記録装置を提供することにある。
【0010】本発明の第2の目的は、高い保護機能を備
えた積層構造を有する磁気記録媒体及びその磁気記録媒
体を装着した磁気記録装置を提供することにある。
【0011】本発明の第3の目的は、磁気記録媒体の磁
性層表面を1〜5nmの膜厚で均一に覆う超薄膜の保護
層を備えるとともに、かかる超薄膜に好適な磁気ヘッド
浮上用のテクスチャーを有する磁気記録媒体及びその磁
気記録媒体を装着した磁気記録装置を提供することにあ
る。
【0012】さらに、本発明の第4の目的は、超薄膜の
保護膜を備えるとともに、40Gbits/inch
を超える超高密度記録が可能な磁気記録媒体及びその磁
気記録媒体を装着した磁気記録装置を提供することにあ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の態様に従
えば、磁気記録媒体であって、基板と;上記基板上に形
成され、情報が記録される磁性層と;上記磁性層上にE
CRスパッタ法により形成された炭素保護層と;を備
え、上記磁性層は、クロム、ニオブ、タンタル、及びチ
タンからなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素
と、リン、ホウ素、及びケイ素からなる群より選ばれた
少なくとも1種類の元素を含むことを特徴とする磁気記
録媒体が提供される。
【0014】本発明では、磁気記録媒体の高密度記録に
応えるために、炭素保護層をECR(Electron Cyclot
ron Resonance)スパッタ法で形成するとともに、磁性
層にクロム、ニオブ、タンタル、及びチタンからなる群
より選ばれた少なくとも1種類の元素とリン、ホウ素、
及びケイ素からなる群より選ばれた少なくとも1種類の
元素を含ませることにより、磁性膜の表面、特に磁性膜
の保護膜側表面に酸化物の不動態皮膜を形成させてい
る。すなわち、ECRスパッタ法により極めて薄い膜厚
で形成した炭素保護層と、磁性層上に発生させた不動態
皮膜により二重の保護構造とした。これによって、磁性
層を腐食など化学的作用から保護するとともに、磁気ヘ
ッドとのヘッドクラッシュなどによる物理的衝撃から保
護することができ、さらに高密度記録に適した保護膜の
超薄膜化を実現することができる。
【0015】本発明において、磁性層中には不動態皮膜
を形成する元素を含む。不動態皮膜を形成する元素とし
ては、クロム、ニオブ、タンタル及びチタンからなる群
より選ばれた少なくとも1種類を含み得る。
【0016】クロム、ニオブ、タンタル、及びチタンか
らなる群の元素は、磁性層表面において成膜時の雰囲気
に存在する酸素と結合し、金属酸化物となって不動態皮
膜を形成する。この不動態皮膜により、磁性層表面から
内部への酸素の拡散を抑制できるため、保護層の炭素膜
に空孔等があっても磁性層の腐食を防ぐことが可能にな
る。加えて、形成した不動態皮膜は非磁性であるので、
磁性層の磁気特性には影響を与えない。また、実施例に
て観察結果を示したように、不動態皮膜は1nm以下の
厚さで層を形成させ得る。また、実施例に示したよう
に、不動態皮膜中の元素、例えばクロムは炭素保護層の
炭素と化学結合しており、保護層の機械的強度を向上さ
せていることが分かった。
【0017】磁性層中に、不動態化を促進する元素とし
て、リン、ホウ素、及びケイ素からなる群より選ばれた
少なくとも1種類を含み得る。これらの元素は、磁性層
中に多量に存在すると磁性層の磁気特性を劣化させるこ
とになるので、例えば、磁性層中1〜5原子%含ませる
ことができる。これらの元素は、不動態皮膜を形成する
クロム、ニオブ、タンタル、及びチタンからなる群の元
素を、磁性層表面に引き出し、濃縮する効果を有してい
る。このリン、ホウ素、及びケイ素からなる群の元素が
存在しない場合でも不動態皮膜は形成され得るが、この
場合は不動態皮膜の厚さが極めて薄く、保護機能が十分
ではない。これらの元素を加えることにより、十分な保
護機能を持つ不動態皮膜を効果的に形成できる。これ以
外に、これらの元素を磁性層に含むと、磁性層の硬度を
増し、摺動特性を増大する効果もある。
【0018】本発明の磁気記録媒体の炭素保護層は、マ
イクロ波による共鳴放電を利用するECRスパッタ法に
より形成される。このスパッタ法は、マイクロ波による
共鳴放電で発生したプラズマを用いてターゲットからタ
ーゲット粒子をたたき出し、ターゲットと基板間に一定
のバイアス電圧をかけることにより基板に向かうターゲ
ット粒子の運動エネルギーを一定に揃えることができ
る。このため、基板上形成した磁性膜上にターゲット粒
子を極めて均一に堆積させることができる。それゆえ、
ECRスパッタ法を用いることにより、炭素膜を、空孔
が生じたりアイランド状になることなく均一な膜厚で磁
性層表面に形成することができる。また、この方法で形
成された炭素膜は膜厚や応力にむらがないので、クラッ
クが入ることがない。また、このECRスパッタ法によ
り形成した炭素膜の密度は、理論密度(欠損などがなく
格子が一様に詰まった状態の密度)の60%以上であ
る。これは従来の方法で形成した炭素膜の40〜50%
に比較して高い値であり、ECRスパッタ法によれば、
空孔や欠損がなくより緊密な保護層が形成できることを
示している。また、ECRスパッタ法を用いれば、炭素
膜が磁性層表面の凹凸を反映した凹凸を持つように形成
でき、これは後述するように、磁気記録媒体のテクスチ
ャとして有用である。
【0019】ECRスパッタ法により形成するこの炭素
膜は、膜厚が1nm〜5nmであることが最も好まし
い。膜厚が1nm未満であると均一な膜厚で一様に磁性
層を覆うことが困難となり、膜厚が5nmを超えると高
密度記録を実現するため磁気ヘッドと磁気ディスク間の
距離が制限されてしまう。1nm〜5nmの範囲の膜厚
でECRスパッタ法により形成された炭素膜は、不動態
皮膜とともに十分な磁性膜の保護機能を発揮する。
【0020】このECRスパッタ法による炭素薄膜の形
成は、アルゴンを主体とするスパッタガスを用いて形成
することが望ましい。スパッタガスとして、アルゴンに
窒素及び/または水素を含有させた混合ガスが好まし
い。この混合ガスを用いると、得られた薄膜の硬度およ
び密度を向上させることができるので保護性能がより向
上する。
【0021】磁性膜の高密度記録を実現する観点から、
磁性層中の磁化反転単位を小さくし、ノイズや熱揺らぎ
を減少させるために、基板と磁性層の間に下地層を設け
ることができる。下地層は、酸化コバルト、酸化クロ
ム、酸化鉄あるいは酸化ニッケルからなる群から選ばれ
る少なくとも1種類の酸化物を結晶粒子として含む。そ
して、結晶粒子の周囲を取囲む結晶粒界部は、酸化ケイ
素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル及び
酸化亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種類の酸
化物から構成され得る。
【0022】この下地層は、基板面に平行な面内では、
図2に示すように、1つの結晶粒子の形状が正六角形で
あり、下地層の基板面に垂直な断面ではその結晶粒子が
上方に柱状に成長している構造を有する。特に、下地層
の成長とともに結晶粒子の柱状の断面は扇状に広がるこ
となく、結晶粒界部の幅が均等な構造を有している。し
たがって、一つが正六角柱をなす結晶粒子の集合体は、
正六角柱が規則的に配列したハニカム構造を形成してい
る。また、このハニカム構造は、結晶粒子及び結晶粒界
部で成膜速度がわずかに異なるため、表面に規則的な凹
凸を有している。結晶粒子部分は凸部であり、結晶粒界
部は凹部である。後述するこの凹凸形状は、磁気ヘッド
を浮上させるためのテクスチャーとして機能する。
【0023】実施例に示したように、下地層中に析出し
ている粒子及びその粒界部は、X線回折法による解析に
より、それぞれ、結晶質及び非晶質であることがわかっ
た。その結晶粒子径分布の標準偏差σは平均粒子径の1
0%以下であり、しかも、粒子径分布が正規分布である
などその構造の規則性は非常に高い。また、下地層中の
結晶粒子は、強い結晶配向を持っている。このような構
造の下地層上に磁性層を形成させることにより、磁性層
中の磁性粒子径及び配向性を高密度記録に適するよう制
御できる。
【0024】この下地層は、ECRスパッタ法により形
成することが最も好ましい。ECRスパッタ法を用いる
ことにより、特に複雑なスパッタ条件を必要とせずに、
所望の結晶配向及び良好なハニカム構造の膜が得られ
る。さらに、酸素を混合したスパッタガスを用いた反応
性スパッタを実行すれば、成膜速度を速くできるので製
造上有利である。また、この下地層の膜厚は10nm〜
100nmが最も好ましい。
【0025】この下地層の上に磁性層を形成すると、磁
性層は下地層の構造を反映して同様のハニカム構造を有
する。これは、下地層中の結晶粒子上から、磁性層の磁
性粒子が連続してエピタキシャル成長するからである。
従って、下地層のハニカム構造を適宜調整することによ
り、その上に高密度記録に適した粒子径及び結晶配向性
の磁性粒子を成長させることが可能となる。すなわち、
下地層は、磁性層の粒子径、粒子径分布及び結晶配向性
を制御する働きをする。これにより、磁性粒子径を微細
化すること、及び粒子径のばらつきをなくすことが可能
になり、これらに起因する磁気記録媒体の熱揺らぎやノ
イズを減少させ得る。
【0026】磁性層において、磁性層の磁性粒子は、下
地層のハニカム構造の結晶粒子から成長させることがで
き、一方、下地層のハニカム構造の粒界部からは非磁性
の境界部を成長させることができるため、磁性粒子が互
いに磁気的に分離された構造をもたらすことができる。
これにより、記録及び再生の際の磁化反転単位を、例え
ば、磁性粒子2〜3個に低減することができ、超高密度
記録が可能となる。また、磁性膜における隣接する記録
磁区の境界部がジグザグパターンになることを防止し
て、ノイズを低減することができる。先に述べたよう
に、不動態皮膜形成のため磁性層にはリン、ホウ素、及
びケイ素からなる群より選ばれた少なくとも1種類を含
むが、このうちケイ素は、磁性粒子の境界部にも元素を
偏析させ、磁性粒子間の磁気的相互作用をさらに低減す
る効果もある。
【0027】本発明の磁気記録媒体では、下地層中の結
晶粒子上から磁性層の磁性粒子が連続してエピタキシャ
ル成長するため、以下のような利点もある。すなわち、
磁性層中のクロムなど元素は、リン、ホウ素またはケイ
素などの元素の存在により磁性層の表面に押し出されて
不動態皮膜を形成するが、磁性層の下地層側表面では、
磁性層が下地層から直接エピタキシャル成長するため
に、不動態皮膜が磁性層の下地層側表面に形成されるこ
とはない。すなわち、不動態皮膜を磁性層の保護層側表
面にのみ形成することができる。それゆえ、磁性層の磁
性粒子の粒径分布や配向性を下地層により有効に制御す
ることができる。
【0028】前述したように、下地層のハニカム構造は
結晶粒子と粒界部に対応した凹凸を持っている。磁性層
中の磁性粒子及び境界部を、下地層の結晶粒子及び結晶
粒界部上からエピタキシャル成長させることにより、磁
性層表面にもこの凹凸が現れる。先に述べたように、こ
の磁性層上に保護層である炭素膜を、ECRスパッタ法
を用いて形成する。この炭素膜は、ECRスパッタ法を
用いることにより、均一な膜厚で一様に磁性層を覆うこ
とができるため、磁性層表面の凹凸を保護層表面にその
まま反映して形成される。したがって、本発明の磁気記
録媒体には、下地層のハニカム構造に由来する規則的な
凹凸がその表面に現れている。実施例1で示すように、
実際にはこの凸部の高さは10nm以下と、原子力間電
子顕微鏡(AFM)の測定限界以下の小さい値であっ
た。それゆえ、この凹凸は磁気ヘッドとの衝突を生じさ
せることなく、磁気記録媒体の回転駆動時に磁気ヘッド
を磁気記録媒体から安定に浮上させるためのテクスチャ
としては有効に機能する。
【0029】上記磁性層中の磁性粒子は、コバルトを主
体とした合金が好ましい。コバルト合金として、例え
ば、コバルトを主体とし、これにクロム、白金、タンタ
ル、ニオブ、チタン及びケイ素からなる群から選ばれる
少なくとも1種類の元素を含む合金から構成され得る。
また、磁性粒子の境界部は、クロム、タンタル、ニオ
ブ、チタン、ケイ素からなる群から選ばれる少なくとも
1種類の元素を含み且つ多結晶質から構成され得る。加
えて、前述したように不動態化のため、磁性層全体に
は、リン、ホウ素、及びケイ素からなる群より選ばれた
少なくとも一種、並びに、クロム、ニオブ、タンタル、
及びチタンからなる群より選ばれた少なくとも一種の元
素を含む。
【0030】磁性層として、結晶質相と非晶質相の二相
から構成されるグラニュラ構造の磁性膜を用いてもよ
い。この場合、結晶質相はコバルトを主体とし、上述の
リン、ホウ素、及びケイ素からなる群より選ばれた少な
くとも一種、並びに、クロム、ニオブ、タンタル、及び
チタンからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を
含み、これ以外にネオジウム、プラセオジウム、イット
リウム、ランタン、サマリウム、ガドリニウム、テルビ
ウム、ジスプロシウム、ホロミウム、白金、パラジウム
の内より選ばれる少なくとも1種類の元素を含み得る。
非晶質相としては、酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化タンタ
ル、酸化アルミニウムの内より選ばれる少なくとも1種
類の化合物が結晶粒子を取囲むように存在し得る。
【0031】さらに、磁性層の配向性及び磁性層の組織
の制御性向上のため、基板上にNiP層を形成した後に
下地層、磁性層、及び保護層を形成し、磁気記録媒体を
作製してもよい。
【0032】本発明の第2の態様に従えば、磁気記録媒
体であって、基板と;上記基板上に形成された下地層
と、下地層上に形成された、情報が記録される磁性層
と;上記磁性層上にECRスパッタ法により形成された
炭素膜と;を備え、さらに、上記磁性層と炭素膜との間
に、クロム、ニオブ、タンタル、及びチタンからなる群
より選ばれた少なくとも1種類の元素を含む酸化物層を
備えることを特徴とする磁気記録媒体が提供される。
【0033】第2の態様の磁気記録媒体は、ECRスパ
ッタ法により極めて薄い膜厚で形成した炭素保護層と、
磁性層上に発生させた酸化物皮膜とにより磁性膜のため
の二重の保護構造を有する。これによって、磁性層を腐
食など化学的作用から保護するとともに、磁気ヘッドと
のヘッドクラッシュなどによる物理的衝撃から保護する
ことができ、さらに高密度記録に適した保護膜の超薄膜
化を実現することができる。
【0034】本発明の第3の態様に従えば、本発明の第
1の態様に従う少なくとも一つの磁気記録媒体と;上記
磁気記録媒体に情報を記録または再生するための磁気ヘ
ッドと;上記磁気記録媒体を上記磁気ヘッドに対し駆動
するための駆動装置と;を含む磁気記録装置が提供され
る。
【0035】本発明の磁気記録装置は、本発明の磁気記
録媒体を装着しているので、画像や音声、コードデータ
などの情報を、低ノイズで高密度記録することができ
る。
【0036】
【発明の実施の形態】本発明の磁気記録媒体及び磁気記
録装置を、図面を参照しながら以下の実施例により具体
的に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例に限定
されるものではない。
【0037】
【実施例1】本実施例では、図1に示すように、基板1
上に、下地層2、磁性層3及び保護層4をこの順で備え
た磁気ディスク10を製造する方法、並びに得られた各
層及び磁気ディスクの測定結果について説明する。
【0038】(1)下地層の形成 直径2.5inch(約6.25cm)のガラス基板1
上に、ECRスパッタ法により、下地層2を形成した。
ターゲットにはCoOとSiOを2:1に混合したも
のを、スパッタガスにはArをそれぞれ使用した。スパ
ッタ時のガス圧は3mTorr(約399Pa)、投入
マイクロ波電力は1kWであった。また、マイクロ波に
より励起されたプラズマによりたたき出されたターゲッ
ト粒子を基板方向に引き込むために、500WのRFバ
イアス電圧をターゲットと基板との間に印加した。この
ECRスパッタにより下地層を膜厚30nmに形成し
た。ここで、ECRスパッタ法を用いたのは、DCスパ
ッタ法やRFスパッタ法と比較して、スパッタ(ターゲ
ット)粒子の有するエネルギーを高精度に制御できるか
らである。このエネルギーをコントロールすることによ
り、膜の成長を制御でき、例えば、下地層の厚み及びそ
の表面の凹凸を所望の値に制御することができる。
【0039】(2)下地層のTEMによる観察、μ−E
DX分析、及びAFMによる測定 このCoO−SiO膜2の平面構造を高分解能透過型
電子顕微鏡(TEM)により明視野で観察した。観察し
た像の概略を図2に示す。図に示すように、このCoO
−SiO薄膜は正六角形の結晶粒子12の集合体であ
り、結晶粒子12は互いに結晶粒界部14を介して二次
元に規則的に配列していた。次いで、この薄膜の断面を
観察したところ、この正六角形の結晶粒子12は基板面
に対して垂直方向に柱状の構造が成長していることが観
察された。即ち、CoO−SiO 膜全体がハニカム構
造を有していることが分かった。結晶粒子12の粒子径
(正六角形の対辺の距離)は約10nm、結晶粒子間の
距離(結晶粒界部14の幅)は約1.5nmであった。
【0040】また、極微小領域のエネルギー分散型X線
分析(μ−EDX分析)により、このCoO−SiO
膜の結晶粒子12及び結晶粒界部14を分析したとこ
ろ、六角形の結晶粒子12はCoOであり、結晶粒界部
14はSiOであった。
【0041】このCoO−SiO膜2の断面をTEM
により観察した。それによると、CoO−SiO膜の
結晶粒子12の断面は、途中扇状に成長することなく良
好な柱状の構造であることが分かった。このことは、薄
膜の成長によって結晶粒子径が変化していないことを示
している。下地層の膜厚を厚くした場合も、薄膜の場合
と同様に結晶粒子径は一定であった。しかし、形成した
30nmの下地層のうち基板表面から20nmは、規則
的なハニカム構造を持たない初期成長層が観察され、安
定した柱状構造を得るためには、30nm程度の膜厚が
必要であることがわかった。また、この下地層であるC
oO−SiO膜の表面には、ハニカム構造に対応した
凹凸が存在していることが分かった。後述するX線回折
による結晶性の解析により、凸部は結晶質相であり結晶
粒子12に対応し、凹部は非晶質相であり結晶粒界部1
4に対応していることが分かった。
【0042】このCoO−SiO膜の断面における凹
凸形状を、原子間力電子顕微鏡(AFM)により測定し
た。図3に示すように、凸部高さ16として、一つの山
(凸部:結晶粒子)に着目し、その山の頂点から、その
山に最も近い谷(凹部:結晶粒界部)との高さの差を測
定したところ、平均10nmであった。この値は、ラン
ダムに選択した500個所を測定し、平均値を求めた。
この値はAFMの測定限界以下であり、この500箇所
の測定値の標準偏差は0.5nm以下であった。このこ
とから、一つの凸部自体が比較的小さくCoO−SiO
膜全体としては平坦であり、凹凸形状のばらつきも著
しく小さいことが分かった。
【0043】一方、図3に示した凸部間距離18とし
て、ある一つの山(凸部)の頂点(凸部の中央)から最
も近い山の頂点(凸部の中央)までの、基板面に平行な
方向の距離を測定したところ、10nmであった。ま
た、山(凸部の中央)と谷(凹部の中央)の距離は約5
nmであった。凸部を有する結晶粒子は、下地層表面に
ハニカム状に規則的に配列しており、しかも、この凹凸
の形状やその分布が良好であるため、磁気ディスク用の
テクスチャ付き基板として有用であることが分かった。
この凹凸形状は、成膜温度やスパッタの速度、スパッタ
時のスパッタガスの圧力を制御することにより、制御が
可能である。なお、このCoO―SiO膜は、上記1
0nmの周期の凹凸以外に約6μm程度の周期でマクロ
な凸部を有していることが分かった。
【0044】下地層2上の凹凸と、基板1の表面に存在
する凹凸との比較を行った。AFMにより、用いたガラ
ス基板1の凹凸形状について下地層の凹凸形状の測定と
同様の測定を行った。ここで、ランダムに選択した一辺
が300μmの正方形数箇所について調べ、凸部間距離
及び凸部高さそれぞれについてランダムに選択した約5
00箇所の測定を行った。その結果、基板面と平行方向
の凸部間距離は平均50nmであり、基板面と垂直方向
の凸部高さは60nmであった。基板上にCoO−Si
膜2を形成した場合の凹凸の寸法と比較すると下地
層の凹凸は基板表面の凹凸とは異なっており、かつ小さ
いことが分かった。ここで、さらに凹凸が大きい(凸部
間距離:30nm、凸部高さ:100nm)基板上に下
地層であるCoO−SiO膜を形成した。すると、C
oO−SiO膜表面の凹凸は、先の基板を用いた場合
の測定結果と同じであり、凸部間距離が10nm、凸部
高さが10nm以下(AFMの測定下限以下)であっ
た。したがって、ECRスパッタ法を用いてハニカム構
造の下地層2を形成することにより、基板表面の凹凸に
関係なく規則的で微小な凹凸を有する面が得られること
が分かった。
【0045】(3)磁性層の形成 上記の下地層であるCoO−SiO膜2上に、磁性層
3として(Co69Cr11Pt17Ta98Si
なる組成の磁性膜をDCスパッタ法により形成した。
スパッタガスにはArを、ターゲットにはCo−Cr−
Pt−Ta−Si合金をそれぞれ使用した。スパッタ時
のガス圧は、3mTorrであり、投入DC電力は1k
W/150mmφであった。磁性膜の成膜中は、基板を
300℃に加熱した。このようにして(Co69Cr
11Pt17Ta98Si膜3を10nmの膜厚
に形成した。
【0046】(4)磁性層のTEMによる観察、オージ
ェ電子分光法による分析及び磁気特性測定 上述のように下地層上に形成した(Co69Cr11
17Ta98Si磁性膜3の表面をTEMによ
り観察した。観察像から、磁性層は下地層であるCoO
−SiO膜2の構造を反映し、ハニカム構造を有して
いることが分かった。即ち、下地層(2)の結晶粒子に
対応して正六角形のCo合金が磁性粒子として成長して
いた。また、この磁性粒子の平均粒子径は10nmであ
り、粒子径分布における標準偏差(σ)は1.5nm以
下と著しく小さかった。この二つの値は、下地層におけ
る結晶粒子径及び粒子径の標準偏差と同じであり、下地
層のハニカム構造を確かに反映していることが分かっ
た。
【0047】また、TEMにより断面構造を調べてみる
と、下地層から結晶格子が連続しており、CoO−Si
膜の結晶粒子上から磁性層の磁性粒子であるCo系
合金がエピタキシャル成長した柱状構造をしていること
が分かった。このように、磁性粒子を下地層の結晶粒子
上からエピタキシャル成長させることにより、磁性層の
磁性粒子径を制御できた。また、磁性膜の下地層側には
後述する不動態被膜は形成されていなかった。
【0048】ここで、CoO−SiO膜2の、非晶質
である結晶粒界部上に形成した磁性層部分(境界部)で
は柱状構造は観察されず、CoO−SiO膜中の結晶
粒子上から成長した磁性粒子とは異なる組織であった。
この境界部は、磁性粒子とは異なる磁気特性を有してお
り、セミハードな磁性を示した。この境界部が磁性粒子
を均一な幅で取り囲んでいるため、磁性粒子間の磁気的
相互作用を低減できる。
【0049】さらに、この磁性層である(Co69Cr
11Pt17Ta98Si膜の基板面に垂直方向
の組成をオージェ電子分光法により分析した。その結
果、磁性層表面(下地層との接面と反対側の面)近傍に
は厚さ約0.1nmの、Cr及びTaの酸化物層が形成
されていることが分かった。同時にTEMによる断面観
察でも、磁性層表面のみに白色の薄い膜が形成されてい
ることが確認された。これらは、磁性層表面に不動態皮
膜が形成されたことを示している。
【0050】ここで、磁性層である(Co69Cr11
Pt17Ta98Si膜中において、Ptは磁性
膜全体に均一に存在しているが、CrはCo粒子の結晶
粒界に偏析しており、TaとSiがこの偏析を促進して
いる。Siは、表面近傍に不動態化元素を濃縮させる効
果に加えて、磁性粒子の境界部にも元素を偏析させ、磁
性粒子間の磁気的相互作用をさらに低減する効果もあ
る。また、磁性膜にSiを含んでいるために、磁性層の
硬度も増し、摺動特性を増大できる。
【0051】次に、この磁性層である(Co69Cr
11Pt17Ta98Si膜の磁気特性を測定し
た。得られた磁気特性は、保磁力が3.5 kOe、I
svが2.5×10−16emu、M−Hループにおけ
るヒステリシスの角型性の指標であるSが0.85、S
が0.90であり、良好な磁気特性を有していた。こ
のことは、磁性層の磁性粒子径が微細化され、そのばら
つきが小さくなったこと、さらに、磁性粒子間の磁気的
相互作用が低減された結果である。また、ばらつきが小
さくなったことから、耐熱揺らぎに優れた媒体であるこ
とがわかる。
【0052】次に、このようにして形成した磁性層であ
る(Co69Cr11Pt17Ta 98Si磁性
膜の構造をX線回折法により調べた。得られた回折プロ
ファイルをを図4に示す。まず、2θ=62.5°付近
に観測された回折ピークは、下地層中の結晶粒子である
CoOの(220)に対応している。また、2θ=73
°付近に観測されたピークは、磁性層中の磁性粒子に含
まれるCoの(11.0)に相当している。このCoの
(11.0)は、よく知られているように高密度記録に
最適な配向である。このようにCoが配向するのは、下
地層中の結晶粒子上から磁性粒子がエピタキシャル成長
しているためであり、下地層の配向を反映した結果であ
る。また、この下地層2が存在しない場合は、Coの
(11.0)面は観測されず、Coの(002)が観測
された。このことから、この下地層であるCoO−Si
膜は磁性層の配向性制御に大きく寄与していること
が分かった。
【0053】(5)保護層の形成 最後に、保護膜4として、ECRスパッタ法により、炭
素膜を形成した。ターゲットには、リング状のカーボン
ターゲットを用い、スパッタガスにはArをそれぞれ用
いた。スパッタ時のガス圧は3mTorr、投入マイク
ロ波電力は1kW(周波数は2.93GHz)であっ
た。基板温度は室温であった。マイクロ波により励起さ
れたプラズマをターゲット方向に引き込むとともにター
ゲット粒子を基板に引き寄せるために、500WのRF
バイアス電圧をターゲットと基板との間に印加した。こ
のようなECRスパッタにより、炭素膜4を3nmの膜
厚に形成した。このようにして、図1に示す積層構造の
磁気ディスクを得た。
【0054】(6)保護層のTEMによる観察、及びE
SCAによる分析 上述のように保護層である炭素膜を形成後、この磁気デ
ィスクの表面および断面をTEMにより観察した。その
結果、磁性膜4の表面は均一にカーボン保護膜で覆われ
ており、アイランド状の部分は見当たらなかった。ま
た、保護膜の表面形状は、下の磁性膜の表面形状を反映
し、ハニカム状の凹凸が存在していた。凸部の高さは1
0nmであり、凸部間の距離は約10nmであった。こ
れ以外にこの炭素膜には、下地層であるCoO―SiO
膜と同様に、約6μm周期の凸部が見られた。ただし
このマクロな凸部については、記録再生の際の磁気ヘッ
ドの追従には何ら問題はなかった。
【0055】また、炭素の結合状態をESCA(Electr
on Spectroscopy for ChemicalAnalysis)により調
べたところ、結合性の炭素の存在が確認された。これ
は、Cr−C結合が形成されていることを示している。
クロムのESCAスペクトルでは、結合性のクロムと金
属のクロムとを明確に分離することはできなかった。し
かし、クロムは炭素との親和力が強いので、Cr−Cを
生成していることは十分に考えられる。これにより、炭
素保護膜の膜厚を3nm以下の厚さにしても、10nm
程度のクロム膜と同程度以上の保護効果が得られた。先
の不動態被膜に加えて、この結合によって、炭素保護層
のみの場合に比べて機械的強度及び耐食性に優れた保護
層が形成できた。
【0056】また、形成した炭素膜の一部分について体
積測定を実施し、その既知体積の炭素膜中の炭素量を測
定した。その結果、炭素膜の密度は理論密度の60%以
上であり、これは通常のスパッタ法(DCスパッタやR
Fスパッタなど)による炭素保護膜の40〜50%に比
べて大きかった。即ち、ECRスパッタ法を用いると、
従来の方法を用いるよりも緻密な炭素膜が形成できるた
め、ECRスパッタ法は従来法に比較して、同量の炭素
を堆積させて膜を形成する場合には、炭素保護膜の厚み
を薄くすることができる。
【0057】また、ナノインデンタを用いて、一定の力
で炭素保護層表面を擦り、一定時間後に削り取られた膜
の深さを求めた。この摩擦の結果、本実施例のECRス
パッタ法で形成した膜が削り取られた量は、通常のスパ
ッタ法で形成した膜が同様の方法で削り取られた量の1
/2であった。このことは、ECRスパッタ法を用いて
形成した炭素保護膜が、通常の方法の炭素膜の2倍の硬
度を持ち、摩擦に対する保護性能も向上したことを示し
ている。
【0058】ここで、ECRスパッタ法を用いて形成し
たカーボン膜と、マグネトロン型RFスパッタ法で形成
したカーボン膜をそれぞれ有する磁気ディスクの磁気特
性を比較した。マグネトロン型RFスパッタ法で形成し
たカーボン膜を有する磁気ディスクでは、ECRスパッ
タ法でカーボン膜を形成した場合に比べ、保磁力が2.
5〜1.8kOeに低下していた。同時にこの保磁力
は、1枚の磁気ディスク上に大きなむらを生じていた。
このように、ECRスパッタ法は保護層形成において、
カーボン膜で磁性層を均一に被覆できることや、形成し
たカーボン膜が緻密であることに加えて、成膜時の磁性
層への損傷も抑制できることが分かった。
【0059】(7)磁気ディスクの評価 さらに、上述のように形成した保護膜5の上に潤滑剤を
塗布して磁気ディスク10を完成させた。同様のプロセ
スにより複数枚の磁気ディスクを作製し、それらを磁気
記録装置に組み込んだ。磁気記録装置の概略構成を図5
及び図6に示す。図5は磁気記録装置60の上面から見
た図であり、図6は、図5の破線A―A’における磁気
記録装置60の断面図である。記録用磁気ヘッドとし
て、2.1Tの高飽和磁束密度を有する軟磁性膜を用い
た薄膜磁気ヘッドを用い、再生のために巨大磁気抵抗効
果を有する磁気ヘッドを用いた。記録用磁気ヘッド及び
再生用磁気ヘッドは一体化されており、図5及び図6で
は磁気ヘッド53として示した。この一体型の磁気ヘッ
ド53は磁気ヘッド用駆動系54により制御される。複
数の磁気ディスク10は、回転駆動系51のスピンドル
52により、同軸回転される。磁気ヘッド面と磁気ディ
スク10との距離は15nmに保った。このディスクに
40Gbits/inchに相当する信号を記録し
て、ディスクのS/Nを評価したところ、32dBの再
生出力が得られた。
【0060】ここで、磁気力顕微鏡(MFM)により、
情報記録時の磁化反転単位を測定した。1ビットのデー
タを記録する際に印加した記録磁界に対して磁性粒子2
から3個が一度に磁化反転した。これは、従来の磁化反
転単位5から10個に比べて十分に小さい。これに伴
い、隣接する磁化反転単位の境界に相当する部分(ジグ
ザグパターン)も従来の磁気ディスクより著しく小さか
った。これは、磁性粒子が微細化し、磁化反転単位も小
さくなったため、磁化反転領域の境界線が滑らかになっ
たことを示している。また、熱揺らぎや熱による減磁も
発生しなかった。これは、(Co69Cr11Pt17
Ta98Si膜の結晶粒子径の分布が小さいこと
による効果である。また、このディスクの欠陥レートを
測定したところ、信号処理を行わない場合の値で、1×
10−5以下であった。
【0061】ここで、磁気ヘッドと磁気ディスク表面と
の距離は15nmであり、磁気記録装置は磁気ヘッドを
安定に浮上させることができた。しかし、下地層を有し
ていない磁気ディスクを同様の条件で駆動したところ、
安定した再生信号が得られず、また、ヘッドクラッシュ
も発生した。安定した再生信号が得られないのは、下地
層を持たないこのディスクの表面の凹凸が大きく、磁気
記録装置が磁気ヘッドと磁気ディスク表面の距離を一定
にするよう制御できる範囲を超えているためである。
【0062】本実施例で用いた基板の材質や寸法は例示
にすぎず、任意の材質及び寸法のディスク基板を用いて
も構わない。例えば、AlやAl合金などの金属、さら
にはアモルファスポリオレフィンやポリカーボネイトな
どの樹脂の基板を用いてもよい。また、これらの基板上
にNiPをメッキ法などの成膜手法により形成してもよ
い。
【0063】本実施例では、下地層形成においてCoO
とSiOを2:1に混合した焼結体をターゲットに用
いたが、Si−Co合金ターゲットを用いた反応性EC
Rスパッタ法を用いることはさらに好ましい。反応性ス
パッタ法は、下地層の成膜速度を上げることができるか
らである。
【0064】また、下地層中の結晶粒子として、本実施
例ではCoOを用いたが、酸化クロム、酸化鉄あるいは
酸化ニッケルを用いても同様に六角形状の結晶粒子が得
られた。さらに、結晶粒界部に存在させる物質としてS
iOを用いたが、これ以外に、酸化アルミニウム、酸
化チタン、酸化タンタルあるいは酸化亜鉛を用いてもS
iO同様の均一な結晶粒界部が形成された。
【0065】上記実施例では、ガラス基板上に下地層を
設けたが、基板を下地層と同じ材料で構成して、下地層
の形成を省略してもよい。この場合、請求の範囲におけ
る「基板」と「下地層」は、同一物を意味すると解釈さ
れるべきである。また、この下地層と磁性層の間に、両
層の格子定数の差を調整するための層としてbcc(Bo
dy‐Centerd Cubic)やhcp(Hexagonal Closest
Packing)構造の金属合金膜を設けることもできる。
【0066】本実施例では、磁性層に不動態皮膜を形成
する元素としてCr及びTaを含む例を述べたが、この
他にNbやTiを用いても、Cr及びTaを含む場合と
同様の不動態皮膜が得られた。また、ここでは、不動態
化を促進する元素としてSiを磁性膜に添加したが、こ
れをリンやホウ素に変えてもSi同様の促進効果が見ら
れた。これら元素は、Si−P、P−B、Si−Bなど
複合して添加してもよい。
【0067】本実施例では、磁性層形成にDCスパッタ
法を用いたが、磁性層をECRスパッタ法により形成し
てもよい。また、保護層形成において、ここではプラズ
マを引き込むためにRF電圧を印加したが、炭素は導電
体であるのでDC電圧を印加して引き込んでもRF電圧
の場合と同様に良好な炭素膜が得られる。さらにここで
は、スパッタガスにArを使用したが、Arに窒素を混
合したガス、あるいは窒素と水素を混合したガスを用い
てもよい。これらの混合ガスを用いると、スパッタ粒子
が微細化するために、得られる炭素膜が緻密化し、保護
性能を向上させることができる。
【0068】
【実施例2】本実施例は、磁性層として実施例1で用い
た材料とは異なる材料を使用するが、形成する磁気ディ
スクは、図1に示した構造と同様の構造である。ここで
は、磁気記録用の磁性層に、酸化物中に粒状の金属が存
在しているCoCrPtSi−SiO系Co−SiO
のグラニュラ型磁性膜を用いた。
【0069】(1)下地層及び磁性層の形成 直径2.5inchのガラス基板上に、実施例1と同様
の材料及び方法を用いて、下地層であるCoO−SiO
膜を形成した。このCoO−SiO膜上に、ECR
スパッタ法により、磁性層としてグラニュラ型CoCr
PtSi−SiO系磁性膜を形成した。ターゲットに
はCo64Cr18Pt15Si−SiO系混合
(混合比:Co64Cr18Pt15Si:SiO
=1:1)ターゲットを、スパッタガスにはArをそれ
ぞれ使用した。スパッタ時のガス圧は3mTorr、投
入マイクロ波電力は1kWであった。マイクロ波によっ
て励起されたプラズマをターゲット方向にを引き込むた
めに、500WのRFバイアス電圧をターゲットに印加
した。磁性層の成膜中は、基板を150℃に加熱した。
このようなECRスパッタにより磁性層を膜厚10nm
に形成した。ECRスパッタ法で磁性層を形成すること
によって、通常のスパッタ法を用いた場合よりも低温で
成膜でき、磁性粒子の過度の成長を抑制し、粒子の大き
さが微細でかつ粒子径の揃った磁性粒子を磁性層中に形
成することができる。
【0070】(2)磁性層のTEMによる観察、AFM
による測定及び磁気特性測定 上述のように形成した磁性層であるグラニュラ型CoC
rPtSi−SiO系磁性膜の表面及び断面を、TE
Mにより観察した。表面を観察した結果、磁性層は、下
地であるCoO−SiO膜のハニカム構造を反映し、
やはりハニカム構造を有していることが分かった。この
2層の断面を観察すると、CoO−SiO膜の結晶粒
子上からグラニュラ型CoCrPtSi−SiO系磁
性膜の磁性粒子がエピタキシャル成長していることが分
かった。この磁性粒子は、下地層の結晶粒子から基板面
に垂直方向に、正六角形の粒子径を一定に保ち柱状に成
長していた。また、下地層の結晶粒子を取囲む結晶粒界
部上には、磁性層のSiO が成長していた。磁性層中
では、磁性粒子はSiOに囲まれているため、個々の
磁性粒子が均一な幅の境界部SiOで分離されること
により、磁性粒子間の磁気的相互作用が大きく低減され
ることが理解される。このグラニュラ型CoCrPtS
i−SiO系磁性膜の構造は、磁化反転単位を小さく
することが可能になるため、高密度な磁気記録媒体を実
現するのに好適である。
【0071】また、このようにして形成した磁気記録媒
体の磁気特性を測定した。得られた磁気特性は、保磁力
が4.0kOe、Isvが2.5×10−16emu、
M−Hループにおけるヒステリシスの角型性の指標であ
るSが0.85、Sが0.90であり、良好な磁気特
性を有していた。このことは、磁性膜の磁性粒子径が小
さく、そのばらつきが小さいこと、さらに、磁性粒子間
の磁気的相互作用が低減したことによる効果である。ま
た、磁性層中の磁性粒子径のばらつきが少ないため、微
小に過ぎる磁性粒子がほとんど存在しないので、耐熱揺
らぎに優れた媒体が製造できる。
【0072】また、AFMによる観察の結果、グラニュ
ラ型CoCrPtSi−SiO系磁性膜の表面には凹
凸があることが分かった。この凹凸は基板面に凸部間距
離が10nm、凸部高さが10nm以下(AFMの測定
下限以下)であった。この値は基板面の傷や凹凸に比べ
て小さく、磁性層表面が滑らかであり、それら基板面の
荒さが磁性層表面へ影響することを防ぐことが可能であ
ることを示している。AFMにより、下地層であるCo
O−SiO膜を観察した結果と比較したところ、この
磁性層の凹凸は、下地層のハニカム構造による凹凸形状
を反映していることが分かった。
【0073】(3)保護層の形成及びTEMによる観察 このグラニュラ型CoCrPtSi−SiO系磁性膜
の上に、実施例1と同様のECRスパッタ法で、保護層
である炭素膜を2nmの膜厚に形成した。このようにし
て、図1に示した構造の磁気ディスクを得た。保護膜形
成後の磁気ディスク表面をTEMにより観察したとこ
ろ、磁性膜表面と同様で下地層のハニカム構造に由来す
る規則的な凹凸が確認された。加えて、磁性層表面は、
2nmと極薄の炭素膜であるにもかかわらず、保護層で
ある炭素膜で完全に覆われていた。
【0074】(4)磁気ディスクの評価 上記のように形成した炭素膜の上に潤滑剤を塗布して、
磁気ディスクを完成させた。上述したプロセスにより同
様に複数枚の磁気ディスクを作製し、それらを磁気記録
装置のスピンドルに同軸上に取り付けた。この磁気記録
装置の構成は実施例1と同様である。磁気ヘッド面と磁
気ディスクとの距離は15nmであった。この磁気ディ
スクの記録再生特性を評価するため、このディスクに4
0Gbits/inchに相当する信号を記録してS
/Nを調べたところ、32dBの再生出力が得られた。
【0075】ここで、磁気力顕微鏡(MFM)により、
情報記録時の磁化反転単位を測定した。1ビットのデー
タを記録する際に印加した記録磁界に対して、磁性粒子
2から3個が一度に磁化反転した。これは従来の磁化反
転単位5から10個に比べて十分に小さいことがわかっ
た。これに伴い、隣接する磁化反転単位の境界に相当す
る部分(ジグザグパターン)も従来の磁気ディスクより
著しく小さかった。磁性粒子が微細化し、磁化反転単位
も小さくなったため、磁化反転領域の境界線が滑らかに
なったことを示している。また、熱揺らぎや熱による減
磁も発生しなかった。これは、磁性層であるグラニュラ
型CoCrPtSi−SiO系磁性膜の粒子径分布が
従来より小さくなったためである。また、このディスク
の欠陥レートを測定したところ、信号処理を行わない場
合の値で、1×10−12以下であった。
【0076】ここで、磁気ヘッドと磁気ディスク表面と
の距離は15nmであり、磁気記録装置は磁気ヘッドを
安定に浮上させることができた。しかし、下地層を有し
ていない磁気ディスクを同様の条件で駆動したところ、
安定した再生信号が得られなかったり、ヘッドクラッシ
ュが発生したりした。安定した再生信号が得られないの
は、下地層を持たないこのディスクの表面の凹凸が大き
く、磁気記録装置が磁気ヘッドと磁気ディスク表面の距
離を一定にするよう制御できる範囲を超えているためと
考えられる。
【0077】本実施例では、磁性層としてグラニュラ型
CoCrPtSi−SiO系磁性膜を用いたが、さら
にこの膜の組成に、白金、パラジウム、ガドリニウム、
サマリウム、プラセオジウム、ネオジウム、テルビウ
ム、ジスプロシウム、ホロミウム、イットリウム、ラン
タンなどの元素を添加して磁性層中の磁性粒子の磁気異
方性を向上させることができる。これによって、磁性層
の保磁力が増し、より高密度記録に適した磁気記録媒体
を製造できる。
【0078】
【発明の効果】本発明のECRスパッタ法を用いて形成
した炭素膜は、5nm以下の極薄膜であってもアイラン
ド状になることなく、均一に磁性層を覆うことができ
る。さらに、ECRスパッタ法を用いて炭素膜を形成す
ると、膜の密度は理論密度の60%以上の高密度であ
り、硬度も通常のスパッタ法(RFマグネトロン法な
ど)により形成した膜の2倍以上である。このため、こ
の炭素膜は、緻密で損傷を受けにくい保護層として効果
がある。
【0079】一方で、磁性層にケイ素、リン、ホウ素な
どの元素を添加することにより、磁性層表面に不動態皮
膜を形成する元素を濃縮することができる。これによっ
て磁性層表面に1nm以下の厚さで不動態皮膜を形成す
ることができ、この不動態皮膜は、磁性層内部に酸素を
拡散させることがなく、磁性層を保護する機能を有す
る。さらに、炭素膜の炭素と磁性層のCrの間に化学結
合が生じ、これによっても保護性能の向上が見られた。
【0080】このように、ECRスパッタ法を用いて高
性能の炭素膜を形成できること、及び不動態皮膜形成に
より磁性層表面にも保護機能を持たせることにより、保
護膜の膜厚を小さくしても十分な保護機能を持つ磁気記
録媒体が実現できた。これにより、ヘッドと磁気記録媒
体間の間隔を短くして、記録密度を向上させるのに効果
がある。したがって、本発明の磁気記録媒体及びそれを
用いた磁気記録装置により、高い保護機能とともに、4
0Gbits/inch以上の高密度記録を実現する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う磁気記録媒体の断面構造を示す模
式図である。
【図2】本発明に係る下地層の表面モフォロジーを示す
模式図である。
【図3】本発明に係る下地層の断面構造を示す模式図で
ある。
【図4】実施例1に係る下地層及び磁性層のX線回折プ
ロファイルである。
【図5】本発明に従う磁気記録装置の一例を上方から見
た概略構成図である。
【図6】図5に示す磁気記録装置のA−A’方向の断面
図である。
【符号の説明】
1 基板 2 下地層 3 磁性層 4 保護層 10 磁気ディスク 12 結晶粒子 14 結晶粒界部 16 凸部高さ 18 凸部間距離 51 回転駆動系 52 スピンドル 53 磁気ヘッド 54 磁気ヘッド用駆動系 60 磁気記録装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01F 10/30 H01F 10/30 41/18 41/18 (72)発明者 竹内 輝明 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 曽谷 朋子 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 水村 哲夫 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 若林 康一郎 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 坂本 晴美 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 (72)発明者 小沼 剛 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内 Fターム(参考) 5D006 AA02 AA05 AA06 BB01 BB06 BB07 CA01 CA05 CA06 DA03 EA03 FA09 5E049 AA04 AA09 AC00 BA06 CC01 DB04 DB14 DB20 GC01 GC08

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気記録媒体であって、 基板と;上記基板上に形成され、情報が記録される磁性
    層と;上記磁性層上にECRスパッタ法により形成され
    た炭素保護層と;を備え、 上記磁性層は、クロム、ニオブ、タンタル、及びチタン
    からなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素と、リ
    ン、ホウ素、及びケイ素からなる群より選ばれた少なく
    とも1種類の元素を含むことを特徴とする磁気記録媒
    体。
  2. 【請求項2】 上記保護層の膜厚が1nm〜5nmであ
    ることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 上記磁性層の保護層側の表面に不動態皮
    膜が形成されていることを特徴とする請求項1または2
    に記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 上記磁性層の不動態皮膜が、保護層側に
    厚さ1nm以下の層を形成していることを特徴とする請
    求項3に記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 上記磁性層表面の不動態皮膜が、磁性層
    表面を一様に覆い、かつ、該不動態皮膜と保護層とが化
    学結合していることを特徴とする請求項3または4に記
    載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 上記磁性層が、コバルトを主体とした合
    金であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一
    項に記載の磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 上記合金が、コバルト以外に白金、パラ
    ジウム、クロム、ニオブ、チタン、タンタルからなる群
    より選ばれた1種類又は2種類の元素を含むことを特徴
    とする請求項6に記載の磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 上記炭素保護層の密度が理論密度の60
    %以上であることを特徴とする請求項1から7のいずれ
    か一項に記載の磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 上記炭素保護層の形成において、ECR
    スパッタ法に用いるスパッタガスにアルゴンあるいはア
    ルゴンを主体とする混合ガスを用いることを特徴とする
    請求項1から8のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  10. 【請求項10】 上記混合ガスは、窒素あるいは水素の
    いずれかのガスを含有していることを特徴とする請求項
    9に記載の磁気記録媒体。
  11. 【請求項11】 上記基板上に結晶質相と非晶質相から
    なる下地層を形成し、該下地層上に上記磁性層及び上記
    保護層を積層したことを特徴とする請求項1から10の
    いずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  12. 【請求項12】 上記下地層が、酸化コバルト、酸化鉄
    及び酸化ニッケルからなる群より選ばれた少なくとも1
    種類の酸化物を含む結晶粒子と、該結晶粒子を取り囲む
    酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タン
    タル及び酸化亜鉛からなる群より選ばれた少なくとも1
    種類の酸化物を含む結晶粒界部とから構成されているこ
    とを特徴とする請求項11に記載の磁気記録媒体。
  13. 【請求項13】 上記下地層の結晶粒子が六角形状をし
    ており、該結晶粒子が基板面に平行な面内においてハニ
    カム状に配列し、且つ基板面に垂直な面内において柱状
    の構造をしていることを特徴とする請求項11又は12
    に記載の磁気記録媒体。
  14. 【請求項14】 上記下地層がECRスパッタ法により
    形成されていることを特徴とする請求項11から13の
    いずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  15. 【請求項15】 上記ECRスパッタ法が、反応性スパ
    ッタ法であることを特徴とする請求項14に記載の磁気
    記録媒体。
  16. 【請求項16】 上記磁性層表面に凹凸が形成されてお
    り、凸部が上記下地層の結晶粒子に対応し、凹部が上記
    粒界部に対応することを特徴とする請求項12に記載の
    磁気記録媒体。
  17. 【請求項17】 上記保護層が磁性層表面の凹凸を反映
    した凹凸を有することを特徴とする請求項16に記載の
    磁気記録媒体。
  18. 【請求項18】 上記保護層表面の凹凸は、磁気ヘッド
    を浮上させるためのテクスチャとして用いられることを
    特徴とする請求項17に記載の磁気記録媒体。
  19. 【請求項19】 上記磁性層が、上記下地層からエピタ
    キシャル成長していることを特徴とする請求項12から
    18のいずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  20. 【請求項20】 上記磁性層が、上記下地層のそれぞれ
    の結晶粒子に対応して成長した磁性粒子と、隣り合う磁
    性粒子間に磁気的相互作用を実質的に遮断する境界部と
    を有することを特徴とする請求項12から19のいずれ
    か一項に記載の磁気記録媒体。
  21. 【請求項21】 上記磁性粒子は、コバルト又はコバル
    トを主体とする合金であり、上記境界部とは構造又は組
    成が異なっていることを特徴とする請求項20に記載の
    磁気記録媒体。
  22. 【請求項22】 上記磁性粒子が、コバルト以外にネオ
    ジウム、プラセオジウム、イットリウム、ランタン、サ
    マリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウ
    ム、ホロミウム、白金、及びパラジウムからなる群より
    選ばれた少なくとも1種類の元素を含み、上記磁性粒子
    の境界部が酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化タンタル、及び
    酸化アルミニウムからなる群より選ばれた少なくとも1
    種類の化合物を含むことを特徴とする請求項21に記載
    の磁気記録媒体。
  23. 【請求項23】 上記基板と下地層との間に、さらにN
    iP層を備えることを特徴とする請求項16から22の
    いずれか一項に記載の磁気記録媒体。
  24. 【請求項24】 記録密度が40Gbits/inch
    以上であることを特徴とする請求項1から23のいず
    れか一項に記載の磁気記録媒体。
  25. 【請求項25】 磁気記録媒体であって、 基板と;上記基板上に形成された下地層と、 下地層上に形成された、情報が記録される磁性層と;上
    記磁性層上にECRスパッタ法により形成された炭素膜
    と;を備え、 さらに、上記磁性層と炭素膜との間に、クロム、ニオ
    ブ、タンタル、及びチタンからなる群より選ばれた少な
    くとも1種類の元素を含む酸化物層を備えることを特徴
    とする磁気記録媒体。
  26. 【請求項26】 上記酸化物層の膜厚が1nm以下であ
    ることを特徴とする請求項25に記載の磁気記録媒体。
  27. 【請求項27】 上記炭素膜の膜厚が1nm〜5nmで
    あることを特徴とする請求項25または26に記載の磁
    気記録媒体。
  28. 【請求項28】 少なくとも一つの、請求項1に記載の
    磁気記録媒体と;上記磁気記録媒体に情報を記録又は再
    生するための磁気ヘッドと;上記磁気記録媒体を上記磁
    気ヘッドに対し駆動するための駆動装置と;を含む磁気
    記録装置。
  29. 【請求項29】 上記少なくとも一つの磁気記録媒体が
    複数の磁気ディスクであり、上記駆動装置が上記複数の
    磁気ディスクを同軸上に支持して回転するための回転軸
    を備えることを特徴とする請求項28に記載の磁気記録
    装置。
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